吉本興業も出資する東南アジアのビデオストリーミングサービス「iflix」が54億円を調達

米国時間7月22日、東南アジアなどの新興市場でNetflixのライバルとなっているマレーシアのiflixは、新たな資金調達ラウンドを完了したと発表した。このラウンドはFidelity Internationalが主導し、以前にも投資したCatcha Group、Hearst、Sky、EMCが参加した。iflixは金額を明言していないが、合計5000万ドル(約54億円)以上で、今後の株式公開に向けた成長のために使われる予定だという。

iflixは、インドネシアのMNC、日本の吉本興業、韓国のJTBCも投資に参加したと発表した。iflixのアクティブユーザー数は、半年前の900万人から現在は1700万人に増加しているという。共同創立者で会長のPatrick Grove(パトリック・グローブ)氏はプレスリリースの中で「この投資を得られたのは、明らかにiflixのビジネスモデルが成長する見込みであることの裏付けだ。また我々は各地域最大のコンテンツプロバイダとの関係を強めることができた」と述べている。

iflixは2018年12月に、Kwesé iflixというアフリカの事業の株式を売却し、東南アジアと中東の市場に集中すると発表していた。Crunchbaseによれば、最新のラウンドまでに調達した資金の合計は3億5000万ドル(約378億円)以上になるとみられる。

画像:Vesna Jovanovic / EyeEm / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

世界最大級のハードウェアアクセラレーターHAXが日本参入、住友商事との連携で産業とスタートアップを繋ぐ

左から、HAX Tokyoゼネラルマネージャーの渡邊みき氏、SOSVジェネラルパートナーのDuncan Turner氏、Cyril Ebersweiler氏、SOSV創業者のSean O’Sullivan氏

住友商事、SCSK、ならびに深圳とサンフランシスコでハードウェアアクセラレーターの「HAX(ハックス)」を展開する国際的なベンチャーキャピタルSOSV Investmentsの連携により開始する「HAX Tokyo(ハックストウキョウ)」。

狙いは、日本における優秀なシードステージのハードウェアスタートアップを発掘し育成すること。HAX Tokyoは日本のスタートアップをグローバルレベルへ引き上げるための登竜門だ。

「SOSVのミッションは、特にディープテック領域の起業家が早く成長しできるだけ遠くまで行けるようように支援すること」

SOSVの創業者でマネージング・ジェネラルパートナーのSean O’Sullivan(ショーン・オサリバン)氏はそう話す。

「日本には技術的に優れている人材は多いが、あまり多くのハードウェアスタートアップが出てきていないように見える。アーリーステージの起業家に対する支援が足りていない」(O’Sullivan氏)

O’Sullivanに加え、SOSVのジェネラルパートナーで、中国の深圳でHAXプログラムのマネージングディレクターを務めるDuncan Turner(ダンカン・ターナー)氏、同じくSOSVのジェネラルパートナーでHAXサンフランシスコの代表を務めるCyril Ebersweiler(シリル・エバースヴァイラー)氏は7月9日、東京に集結し、世界最大級のハードウェアアクセラレーターであるHAXの今後について話した。

HAX Tokyoは「Stage0」

米プリンストンに本社を構えるSOSVはニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドン、深圳、上海、台北などに拠点を置く。HAXでは、ロボットやセンサー、コンシューマーエレクトロニクス、医療機器などの領域における200以上のスタートアップを支援。同社いわく、過去4年間でSOSVが支援した起業家によって創業されたスタートアップの価値は100億ドル以上、そして、それらによる収益は年間約10億ドルを超えている。

これまでのHAXには、プロトタイプ製造ならびに量産化体制構築のためのStage1である「HAX深圳」と、成長のための資金調達に特化したStage2の「HAXサンフランシスコ」により成り立っていた。

これらに加わるのが、Stage0にあたり、技術コンセプトやビジネスモデル確立のためのHAX Tokyoだ。

Turner氏によると、HAX Tokyoが注目しているのはコンシューマー向けではなく、B2B領域のロボティクス関連のテクノロジー。Stage0の舞台をフランスや他の国ではなく日本にした理由はそこにある。

「日本にはデジタル化を必要としている多くの伝統的な製造業の産業が存在する。だが、必要なテクノロジー自体は国内に揃っているものの、そのような産業とスタートアップが繋がっていないため、私たちは架け橋になりたいと考えている」(Turner氏)

Turner氏は「ロボティクスに限って言えば、日本には多くの優れたテクノロジーが存在するが、用途がわからないままの状態になっているように感じる」と説明。「興味深いソフトロボティクスやマニピュレーター関連の技術をよく目にする。だが、その技術をどのように活かすのか。その部分が考え抜かれていない」(Turner氏)

そのようなテック企業をB2B領域に集中させることで、製造業などに存在する、デジタル化に向けた「大きな需要」を満たすことがHAXの東京進出の目的だ。

HAX Tokyoで重点的にカバーする技術領域は、IoT、センサー、ライフサイエンス、ロボティクス、新素材など、となっている。

住友商事が語るHAX Tokyoの詳細

「日本の国内のハードウェア市場はこれまで、大企業が中心となって牽引してきたと言うが、近年では製造業での開発と製造の分離が進み始め、製造委託が広がってきている。スタートアップにとっては、大規模な設備を持たなくても生産が可能となり、ハードウェア分野での参入ハードルが徐々に下がってきている。また、インターネット市場においては、従来の、スマホやパソコンといった情報通信機器だけではなく、スマートウォッチ、AIスピーカー、AI家電、AIロボットなど、様々なハードウェアをソフトウェアを使ってインターネットに繋いで新しい顧客体験を提供するスタートアップが出始めている。このような状況において、ハードウェアに注目し革新的なアイディアを持つスタートアップに投資を行うVCの増加や、クラウドファンディングなどの普及によって、ハードウェア関連のスタートアップにとっては資金調達面においても、事業の立ち上げがしやすい環境が整い始めてきている」

そう話すのは、住友商事の理事でデジタル事業本部長を務める渡辺一正氏。同氏は7月9日、都内にて開催されたローンチパーティーにてHAX Tokyoの詳細について話した。

渡辺一正氏

「SOSVが培ってきたアクセラレーター運営のノウハウ、SCSKの高度なシステムインテグレーション、ITサービス、顧客基盤、そして住友商事が持つグローバルなビジネス現場、課題を持ち寄り、スタートアップの育成の支援と企業の新事業創出、事業変革を支援していきたいと考えている」(渡辺氏)

HAX Tokyoは約3ヵ月間のプログラムとなる。採択されたスタートアップには、HAXが200社を超えるスタートアップを育成した経験やノウハウをベースとした、約30項目のマイルストーンが設定される。例えば、「ターゲット顧客へのヒアリングによるニーズの理解の深化」、「アイディアからビジネスモデルへのレベルアップ」、「ビジネスプランの作成支援」、「投資家向けのプレゼン資料の作成、ブラッシュアップ」、「製品、サービスに関わる規則の調査」など。

そして、様々なメンタリングに加え、SCSKや住友商事の持つビジネス現場のヒアリングの機会なども提供される。

渡辺氏は「ビジネスの最前線にいるSCSKや住友商事のメンバーや、その取引先の方々との議論、交流を通じてリアリティのある生のビジネスニーズ、またはビジネスチャンスを掴んでいただき、アイディアを具体的なビジネスモデルにさせる」と説明した。

HAX Tokyoに採択されたスタートアップは住友商事が運営するオープンイノベーションラボの「MIRAI LAB PALETTE(ミライラボ パレット)」をオフィスとして利用する。

「スタートアップや投資家だけでなく、企業、大学、有識者、各分野のプロフェッショナルといった、様々な領域のタレントの方々と交流し、アイディア、技術シーズとビジネスニーズが出会う場をMIRAI LAB PALETTEに作っていく」(渡辺氏)

HAXの強みは世界的なコミュニティ

HAXの強みは、Stage0からStage2までの3ステップのプログラムとなっているため、参加したスタートアップが国際的なコミュニティの一部となれる点だ。HAX Tokyoでも、採択したスタートアップに約1週間、深圳を訪問する機会を与える。

渡辺氏は「深圳のオフィスを利用したり、HAX深圳に入居しているスタートアップや、彼らのメンターなどとコミュニケーションを取ることで、ハードウェアスタートアップのグローバルなエコシステムを肌で感じていただきたい」と述べていた。

そして、HAX Tokyoの最終日に開催されるデモデーで「HAX深圳の採択基準に到達した」と認められたスタートアップは、次のステージであるHAX深圳プログラムへの参加が可能となる。

そして、前述のとおり、HAXではこれまでに200以上のスタートアップを支援してきた。そのため、「HAXを卒業した後もスタートアップはオフィスに戻ることができる」といった継続的なサポートを提供する体制が整っているほか、「新入りは先輩方からアドバイスを受けることも可能だ」と、HAXサンフランシスコ代表のEbersweiler氏は話した。

Ebersweiler氏は「日本のスタートアップは国内に留まることが多く、国際的だとは言い難い」と評すが、国際的なVCであるSOSVがHAXの持つデータやノウハウ、コミュニティは、日本のスタートアップにとって、世界基準の企業になるための優れたリソースだと言えるだろう。

HAX Tokyoでは現在、参加を希望するスタートアップからの応募を受け付けている。プログラムは11月に開始し、2020年2月にデモデーが開催される予定だ。

ニュースレター有料購読サービスの「Substack」が16.5億円を調達

ベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)は、ニュースレターには今も大きな勝機があると考えているようだ。同社はSubstackのシリーズAを主導し、1530万ドル(約16億5000万円)を調達した。

Substackは2年前にニュースレターを有料購読ビジネスにする企業として設立され、その後ポッドキャストとディスカッションスレッドにも対応した。CEOのChris Best(クリス・ベスト)氏が語るように、ライターやクリエイターが自分自身の「パーソナルメディアの帝国」を運営することを目指している。

Substackを利用しているライターには、Nicole Cliffe(ニコール・クリフ)氏Daniel Ortberg(ダニエル・オートバーグ)氏Judd Legum(ジャド・レガム)氏Heather Havrilesky(ヘザー・ハバイルズキー)氏Matt Taibbi(マット・タイービ)氏などがいる。同社のプラットフォームで発行されているニュースレターには5万人の有料購読者がいて(10月には2万5000人だった)、最も人気のある書き手はすでに相当な金額を稼いでいるという。

自身がブロガーでありニュースレターのライターでもあるAndreessen HorowitzのAndrew Chen(アンドリュー・チェン)氏は、Substackの取締役を務めている。チェン氏の考えによれば、Substackは古いものと新しいものを組み合わせていて、ライターは以前から存在する「熱心なオンラインコミュニティ」にリーチしつつ、読者から直接お金を集めることのできる「マイクロアントレプレナーシップを実現する新しい方法」を追求できるという。「この2つが両立すれば特別なことになる」とチェン氏は言う。

Substackがかつて参加したY Combinatorも資金調達に加わった。

Substackのメンバーは、共同設立者であるベスト氏、CTOのJairaj Sethi(ジャラジ・セティ)氏、COOのHamish McKenzie(ヘイミッシュ・マッケンジー)氏の3人で、ベスト氏の家のリビングで仕事をしているという(その3人が上の写真だ)。新たに資金を調達したが、ベスト氏とマッケンジー氏は慎重に成長していきたいと語る。

マッケンジー氏は「我々は信頼性と安定性のあるSubstackから収入を得るライターのことを考えている。そこを逸脱して多くのスタートアップが陥りがちな誤りをすることのないようにしたい」と言う。

とはいえ、同社はリビングを出てチームを大きくする予定だ。ベスト氏は、クリエイターが同社のプラットフォームを最大限に活用し、ビデオなどほかのフォーマットにも展開できる「ライターの成功」ツールをさらに構築する計画であると語った。

マッケンジー氏は、Substackが成長しても「読者との関係を自分で所有したい人々」のためのサブスクリプション製品に取り組み続けていくと言う。ベスト氏は、こうしたアプローチによって「くだらない暴言、注目、中毒性」を狙ってオンラインニュースを発行する意欲が削がれると述べている。「これは文化を創造するのに適したモデルだ」とも付け加えた。

ニュースレターのブームが飽和するかどうかはともかくとして、新しいニュースレターが読者を獲得するのは難しい。ほとんどの読者にとって購読するニュースレターの数にはおそらく限りがあると、Best氏は認める。しかし同氏はこう語る。「そうだとしても、ニュースレターは成功するモデルになり得る。有料購読の魅力は、何百万人もの読者を獲得しなくてもいいということだ」。

画像:Substack

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

インドの教育系スタートアップ「Byju’s」が160億円調達し海外へ

インドで最も評価の高いEdtech(教育テック)のスタートアップ、Byju’sは、国内と海外のマーケットに学習アプリを拡大していくために1億5000万ドル(約160億円)を調達した。

資金調達ラウンドを主導したのは、カタールの政府系ファンドのカタール投資庁(Qatar Investment Authority、QIA)で、Edtechスタートアップに多く投資しているOwl Venturesも参加した。Owl Venturesにとってはこれがインドのスタートアップに対する初めての投資だ。関係筋によると、Byju’sの評価額は昨年の約40億ドル(約4300億円)から、この新規ラウンドで57億5000万ドル(約6200億円)に上昇したとという。

Byju’sはこれまでに約9億2500万ドル(約1000億円)を調達した。新たに得た資金では積極的に国際市場を開拓していくという。同社は米国、英国、オーストラリア、ニュージーランドに進出する計画を明らかにしていた。

Byju’sは今年1月にOsmoを1億2000万ドル(約130億円)で買収した。Osmoは米国の学習スタートアップで5〜12歳の子供に人気がある。Osmoは先月、就学前の幼児に向けた新製品を発表した。

Byju’sは、すべての児童・生徒が複雑な単元を理解できるよう、チューターがピザやケーキなどの実物を使って説明するアプリを提供している。大学や大卒レベルのコースもある。Byju’sは数年にわたってアプリで使われる英語のアクセントを微調整し、さまざまな教育システムに対応してきた。登録ユーザーは3500万人以上で、そのうち約240万人は有料のユーザーだ。

Byju’sの設立者でCEOのByju Raveendran氏は声明の中で次のように述べている。「傑出した政府系ファンドと投資ファンドからの資金提供は、我々のビジネスの強固な基盤の証明だ。インドのEdtech企業は有力な投資家から注目を集めている。インドがデジタル学習の分野をグローバルに開拓しているからだ」。

インドでは、Byju’sはバンガロールに拠点を置くUnacademyなどと競合している。Unacademyは大卒レベルの試験準備をする学生を対象としており、先月5000万ドル(約54億円)を調達した

5〜24歳の人口では、インドが世界一だ。コンサルティング会社のKPMGとGoogleの2017年の報告によると、インドのオンライン教育市場の売上は2021年までに19億6000万ドル(約2100億円)に成長すると見込まれている。

Byju’sは3月までの前会計年度で約2億500万ドル(約220億円)の収益を上げた。 今年度はこれを4億3000万ドル(約460億円)以上にする計画だ。CEOのRaveendran氏は、同社を今後2、3年以内に株式公開する予定であると述べている。

画像:MANJUNATH KIRAN/AFP / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

サムスンのVC投資部門がインドのIndus OSなどに9.2億円投資

韓国テック大企業の投資部門Samsung Venture(サムスン・ベンチャー)が、インドでの投資活動を開始し、手はじめにIndus OSと他3つのスタートアップに計850万ドル(約9.2億円)を投資した。

Indus OSはインドの大勢の人に提供することにフォーカスしている、多くのローカライズされたアプリケーションを構築してきた人気のAndroidのようなものだ。Samsung(サムスン)とVenturestはこの設立4年のスタートアップにシリーズBラウンドで575万ドルを投資した。

Micromax、Gioness、Intex、そしてKarbonnといったインド企業を含め、いくつかのスマートフォンベンダーがIndus OSの顧客であり、多くの機能をそれらベンダーのスマートフォンに載せている。今年初め、サムスンはGalaxy App Storeを改良するためにIndus OSと提携した。

Indus OSの共同創業者でCEOであるRakesh Deshmukh氏はTechCrunchとのインタビューで、「同社が今回の資金をローカルソリューションの開発とデベロッパーが既存のアプリにひねりを加えたり、インド固有の機能を追加したりできるようにするソフトウェア開発キットをつくるのに使う」と話した。

Deshmukh氏は、広告で収益を上げているIndus OSがインドでさらに事業を拡大するために、間もなくさらなるスマホベンダーと提携すると語った。これは、かつてインドのスマホマーケットをコントロールしていたものの、今やシェアの3分の2を中国企業とサムスンに奪われたインドのスマホベンダーにとって必須の要素だ。

他の問題は、もちろん存在感を増しているKaiOSだ。インドの通信オペレーターReliance Jioと提携してからというもの、KaiOSは人気を博している。何千万というフィチャーフォンのJioPhoneが今日KaiOSで駆動し、これにより多くの人がスマホへのアップグレードに消極的だ。

Deshmukh氏は、KaiOSが競争相手だとは思っていない、と語った。「KaiOSは橋のような役割を果たしている。人々にインターネットにつながるよう、そしてマルチメディア電話を試すよう働きかけている。そうして人々は最終的にはより使い勝手のいいものにアップグレードする」。

インドの新聞であるEconomic Timesは、サムスンがIndus OSの20%の株式を所有していると今朝早く報道した。3年前に3回にわたって実施されたシリーズAで1000万ドル調達したIndus OSの代表は、報道は正しくないと指摘し、同社が近くより多くの資金を調達する計画だと述べた。

Indus OSはさておき、Samsung VentureはスピーチテクノロジーにフォーカスしているスタートアップGnani.aiとIoTソリューションプロバイダーのにSilvan Innovation Labsにも投資した。また、コンピュータービジョンを専門とするアーリーステージのスタートアップにも投資したと述べたが、企業名を明らかにするのは避けた。

22億ドル(約2400億円)もの資産を持つSamsung Ventureは、新テクノロジーを活用した未来型の事業に積極的に投資していくと語った。一方、2年前にサムスンを抑えてインドで最も売れているスマホベンダーになったXiaomi(シャオミ)もまたインドで半ダースほどのスタートアップに投資している。

インドのテックスタートアップはこれまでの2年間で200億ドル超を調達した。インドの広がりつつあるエコシステムは国内の主要VCファームをますますひきつけている。2大グローバルVCファンドのソフトバンクとTiger Globalはインドを最大のマーケットの1つと捉えている。

近年、Google、Microsoft、Amazon、そしてFacebookもまたインドのスタートアップに資金を注入し始めた。GoogleはデリバリースタートアップのDunzoに投資し、その一方でAmazonはShuttlを含む半ダース超のローカル企業の株式を取得した。そしてFacebookは先月、ソーシャル商業アプリのMeeshoに資金を注入した。

Microsoftは今年初め、コーポレートベンチャーファンドM12をインドにも広げ、創業6年のSaaSスタートアップInnovaccerに投資した。

イメージクレジット: Avishek Das/SOPA Images / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

「本田圭佑に限界なし」ケイスケ・ホンダ、YouTuberになる

プロサッカー選手の本田圭佑氏は7月11日、自身が手がける個人ファンドのKSK Angel Fundを通じて、シンガポール拠点でインフルエンサーマーケティングなどを専門とするAnyMindグループに出資した。出資額は非公開。

これに伴い、本田氏はAnyMindグループのアドバイザーに就任する。一方でAnyMindグループは、FacebookやInstagramといったSNS上での本田氏の活動をサポートする。さらに公式YouTubeチャンネル「Keisuke Honda」を本日開設し、ティザー動画を公開。同チャンネルでは今後、本田氏に挑戦してほしい企画を視聴者から募集し、実際に本田氏がチャレンジしていく。

本田氏はチャンネル開設について「『本田圭佑に限界なし』というのを、YouTubeを通じて挑戦していければいいと思っています。自分自身が『挑戦者』としてさまざまなことに本気で取り組んでいくことで、世の中に良い影響を与えいくことが最大の目的になります!」とコメント。

AnyMindグループは、2016年4月にAdAsiaホールディングスとして十河宏輔氏が設立したスタートアップ。2018年1月に現社名となっており、これまでLINEや未来創設ファンド、VGI、JAFCO Asiaなどから総額約40億円を調達している。

AnyMindグループに出資した理由として本田氏は「代表の十河さんと意気投合したことが、出資させていただこうと思った主な理由です。インフルエンサーへのコンサルティングや育成という幅広い領域を、しかもグローバルでやっていくという挑戦を聞いて、僕も近くで応援したいという気持ちになりました」と話す。

プロサッカー選手でありながら投資家としても世界で活躍中の本田氏。今後SNSを本格活用することで世界にどのような影響を及ぼすのだろうか。まずは公式YouTubeチャンネルのコンテンツの充実に期待したい。

「本田圭佑に限界なし」ケイスケ・ホンダ、YouTuberになる

プロサッカー選手の本田圭佑氏は7月11日、自身が手がける個人ファンドのKSK Angel Fundを通じて、シンガポール拠点でインフルエンサーマーケティングなどを専門とするAnyMindグループに出資した。出資額は非公開。

これに伴い、本田氏はAnyMindグループのアドバイザーに就任する。一方でAnyMindグループは、FacebookやInstagramといったSNS上での本田氏の活動をサポートする。さらに公式YouTubeチャンネル「Keisuke Honda」を本日開設し、ティザー動画を公開。同チャンネルでは今後、本田氏に挑戦してほしい企画を視聴者から募集し、実際に本田氏がチャレンジしていく。

本田氏はチャンネル開設について「『本田圭佑に限界なし』というのを、YouTubeを通じて挑戦していければいいと思っています。自分自身が『挑戦者』としてさまざまなことに本気で取り組んでいくことで、世の中に良い影響を与えいくことが最大の目的になります!」とコメント。

AnyMindグループは、2016年4月にAdAsiaホールディングスとして十河宏輔氏が設立したスタートアップ。2018年1月に現社名となっており、これまでLINEや未来創設ファンド、VGI、JAFCO Asiaなどから総額約40億円を調達している。

AnyMindグループに出資した理由として本田氏は「代表の十河さんと意気投合したことが、出資させていただこうと思った主な理由です。インフルエンサーへのコンサルティングや育成という幅広い領域を、しかもグローバルでやっていくという挑戦を聞いて、僕も近くで応援したいという気持ちになりました」と話す。

プロサッカー選手でありながら投資家としても世界で活躍中の本田氏。今後SNSを本格活用することで世界にどのような影響を及ぼすのだろうか。まずは公式YouTubeチャンネルのコンテンツの充実に期待したい。

ランス・アームストロングが81億円のVCファンド設立へ

元自転車レース選手のLance Armstrong(ランス・アームストロング)氏が率いる投資会社Next Venturesは、初のベンチャーキャピタルファンドを立ち上げようと7500万ドル調達のための書類を提出した。

米証券取引委員会に提出された書類によると、Armstrong氏とNext VenturesのゼネラルパートナーLionel Conacher氏は、スポーツ、フィットネス、栄養、そしてウェルネス分野のスタートアップを支援するために一部のパートナーからこれまでに2450万ドルの出資を取り付けた。

Armstrong氏、Conacher氏共に長い間活躍したアスリートで、ご存知の通りArmstrong氏は自転車競技のプロ選手としてのキャリア、そして最終的に国際自転車競技連合が2012年に彼のツール・ド・フランス7連覇のタイトルを剥奪することになった有名なドーピングスキャンダルで知られている。一方のConacher氏の経歴には、「生涯マルチスポーツアスリートで、アウトドア愛好家であり、ファースト・ファミリー・オブ・スポーツのメンバーでもある」と書かれている。Conacher氏はまた、Roth Capital Partnersの前副会長として投資銀行とプライベートエクイティでの経験も持っている。

Next Venturesは6カ月前に初の投資を公表した。同社はカリフォルニア州カールスバッド拠点のPowerDotに資金を注入した。PowerDotはスマートな筋肉刺激デバイスを作っている創業2.5年の会社だ。このデバイスは繊細な軟組織に働きかけるために電気パルスを送り、ランナーや他のアスリートのトレーニング疲労回復を手伝う。同社はこれまでに睡眠とアクティビティを追跡するOuraやコミュニティベースのフィットネスアプリSparその他2つに投資している。

自転車競技からの永久追放という処分を受けたArmstrong氏は投資会社Lowercase Capitalのリミテッドパートナーを務めたのちに投資に関わるようになった。Lowercaseでの投資を通じて彼は初期のUber株に投資していて、後にこれは経済破綻から家族を“救った”と彼は述懐している。

もしArmstrong氏とConacher氏が目標額を調達できたら、Pelotonの大成功で注目を集めているこの業界にVCが賭けているように、Next Venturesはスポーツとフィットネスにフォーカスした最大のファンドの一つとなる見込みだ。

イメージクレジット: Ezra Shaw / Staff / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

記録破りの猛暑がグローバルな傾向になりクリーンテックが急務に

アラスカからヨーロッパまで、世界はこれまでの数週間を記録破りの猛暑に焼かれて過ごした。米国気象庁によると、アラスカでは7月4日に全州で過去最高の気温を記録した。州最大の都市アンカレッジでは温度計が華氏90度(摂氏32度)を指し、1952年に記録が始まって以来の最高となった。

アラスカの他の都市で90度になったことは過去にあったが、アンカレッジで温度計がこの数値を指したのはこれが初めてだ。

7月4日のアラスカは各都市で過去最高: 華氏摂氏, 88F=31C, 89F=31.7C, 90F=32.2C

一方ヨーロッパではサハラ砂漠の熱風が北へ吹き、記録的な猛暑をもたらした。グローバルに記録的な高温をもたらした気温の急上昇は、ヨーロッパにおける摂氏3度の上昇がその主犯だ。

Screen Shot 2019 07 05 at 12.16.41 PM

EUのコペルニクス気候変動サービスのトップJean-Noël Thépaut(ジャン-ノエル・テポー)氏はこう語る。「各地の気温は予報より高いことも低いこともあったが、6月最終週のヨーロッパ南西部の気温は異常に高かった。これは例外的な事象ではあるが、今後の気候変動によりさらに頻繁に起きると思われる」。

コペルニクスのデータによると、6月のヨーロッパ全域の気温上昇は、その月としての過去最高を記録した。

同じ5日間について過去30年の記録を見ると、気温の摂氏2度から5度くらいの急上昇はその多くがフランス、ドイツ、スペイン北部全域、イタリア北部、スイス、オーストリア、チェコ共和国で起きている。

気温急上昇が一般的によくある現象になってくれば、炭素の排出量を減らす技術の導入と普及が一層急務になってくる。

クリーンテクノロジーや再生可能エネルギーへのVCの投資は、このところしばらく日陰者だったが、ここに来て電気自動車や省エネ建設技術、古いインフラ(橋、道路、鉄道など)の低炭素化復興、消費者製品の生産における低炭素化技術など、新しい切り口で蘇りつつある。

Bloomberg New Energy Financeによると、クリーンテクノロジーへの投資は2018年の92億ドルで2009年以来の最高に達し、そのうち33億ドルは中国の電気自動車製造関連である。

そしてかんじんのグローバルな炭素排出量は、Global Carbon Projectの推計によればこの2年間で増加している。ピークは過ぎたとする一部の研究者たちの見方は、虫の良い願望にすぎなかったのだ。たとえば激しい気候変動は、暖房や冷房などでエネルギー消費を増やす。またアメリカでは、新車の販売で大型車が増えている。

画像クレジット: コペルニクス気候変動サービス

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

記録破りの猛暑がグローバルな傾向になりクリーンテックが急務に

アラスカからヨーロッパまで、世界はこれまでの数週間を記録破りの猛暑に焼かれて過ごした。米国気象庁によると、アラスカでは7月4日に全州で過去最高の気温を記録した。州最大の都市アンカレッジでは温度計が華氏90度(摂氏32度)を指し、1952年に記録が始まって以来の最高となった。

アラスカの他の都市で90度になったことは過去にあったが、アンカレッジで温度計がこの数値を指したのはこれが初めてだ。

7月4日のアラスカは各都市で過去最高: 華氏摂氏, 88F=31C, 89F=31.7C, 90F=32.2C

一方ヨーロッパではサハラ砂漠の熱風が北へ吹き、記録的な猛暑をもたらした。グローバルに記録的な高温をもたらした気温の急上昇は、ヨーロッパにおける摂氏3度の上昇がその主犯だ。

Screen Shot 2019 07 05 at 12.16.41 PM

EUのコペルニクス気候変動サービスのトップJean-Noël Thépaut(ジャン-ノエル・テポー)氏はこう語る。「各地の気温は予報より高いことも低いこともあったが、6月最終週のヨーロッパ南西部の気温は異常に高かった。これは例外的な事象ではあるが、今後の気候変動によりさらに頻繁に起きると思われる」。

コペルニクスのデータによると、6月のヨーロッパ全域の気温上昇は、その月としての過去最高を記録した。

同じ5日間について過去30年の記録を見ると、気温の摂氏2度から5度くらいの急上昇はその多くがフランス、ドイツ、スペイン北部全域、イタリア北部、スイス、オーストリア、チェコ共和国で起きている。

気温急上昇が一般的によくある現象になってくれば、炭素の排出量を減らす技術の導入と普及が一層急務になってくる。

クリーンテクノロジーや再生可能エネルギーへのVCの投資は、このところしばらく日陰者だったが、ここに来て電気自動車や省エネ建設技術、古いインフラ(橋、道路、鉄道など)の低炭素化復興、消費者製品の生産における低炭素化技術など、新しい切り口で蘇りつつある。

Bloomberg New Energy Financeによると、クリーンテクノロジーへの投資は2018年の92億ドルで2009年以来の最高に達し、そのうち33億ドルは中国の電気自動車製造関連である。

そしてかんじんのグローバルな炭素排出量は、Global Carbon Projectの推計によればこの2年間で増加している。ピークは過ぎたとする一部の研究者たちの見方は、虫の良い願望にすぎなかったのだ。たとえば激しい気候変動は、暖房や冷房などでエネルギー消費を増やす。またアメリカでは、新車の販売で大型車が増えている。

画像クレジット: コペルニクス気候変動サービス

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Fintech協会事務局長・桜井氏が不動産テック特化ファンドを設立

日本でも盛り上がりを見せる不動産テック。2018年9月には不動産テック協会が設立され、スタートアップへの出資もよく目にするようになっている。

そんな中、7月5日には不動産テック特化型のファンド設立が発表された。2月に創業したデジタルベースキャピタルが運用する「デジタルベースキャピタル1号投資事業有限責任組合」は、平和不動産やイタンジ創業者の伊藤嘉盛氏ら、複数からのLP出資を受け、6月末にファーストクローズを迎えた。

規制や業界慣習の強い業界で起業家をサポート

デジタルベースキャピタルを創業したのは、代表パートナーの桜井駿氏だ。みずほ証券での営業、NTTデータ経営研究所でのコンサルティング業務を経て、不動産テックのハブとなる場を提供したいとの思いから起業した。

デジタルベースキャピタル代表パートナー 桜井駿氏

「もともと、みずほ証券時代からSkyland Venturesのイベントを手伝うなど、スタートアップ界隈には興味があった。スタートアップとは対極の大手企業で仕事をしていたけれども、スタートアップの世界をより良くしたいと考え、コンサルティングも経験しようと考えた」と桜井氏は経緯を説明する。

コンサルタントとしての業務のかたわら、桜井氏は2017年1月からFintech協会の事務局長としても活動。同年12月には不動産/建設スタートアップのコミュニティとしては日本最大級の「PropTech JAPAN」も創設し、運営を続けている。また、LIFULLやゼンリンといった不動産にまつわる各業界のプレーヤーが参加する「不動産情報コンソーシアム(Aggregate Data Ledger for Real Estate:ADRE)」の立ち上げにも関わり、事務局長を務める。

「金融業界、そしてコンサルタントとして不動産業界にも関わり、またFintech協会の事務局長としてスタートアップとの接点も持つ中で、規制産業におけるスタートアップ支援は大変重要で、自分が手がけるべきだという認識に至った」と桜井氏はいう。

「不動産業界は、Fintechに比べても参入ハードルが高い分野で、独特の慣習や業界構造が特徴だ。新規参入するスタートアップに必要なものはすべて、デジタルベースキャピタルで提供していきたい」(桜井氏)

デジタルベースキャピタルでは、ベンチャーキャピタルとしての投資をメインの事業としながら、大手企業向けには不動産テックに関わるイノベーション実現を支援する事業も手がけている。また収益事業ではないが、スタートアップ向けコミュニティのPropTech JAPAN運営を、引き続き実施していく。

PropTech Japanでの活動は、大きく3通りに分けられる。1つはミートアップで、不動産テックやFintech、建設テックのスタートアップの交流の場として、ほぼ毎月、平均100名規模で実施してきている。2つ目は国土交通省を中心とした政府との連絡会議。コミュニケーションを図ることで、スタートアップの新しいアイデアや事業に理解を得ることが目的だという。そして3つ目として、海外にある同じようなコミュニティとの連携も行っている。

桜井氏は「コミュニティ運営については、不動産テックスタートアップのエコシステムをつくる目的がある。行政当局、大手企業、そしてスタートアップの三者の連携が重要だ」と述べている。これは先だって関わってきたFintech領域でも同じだったという。

桜井氏には、2018年度、経済産業省新公共サービス検討会の委員を勤めた経歴もある。「金融、不動産ともに、規制対応や業界慣習への対応があり、ディスラプトが難しい分野。とはいえ事業者は使う人の生命・財産を守る必要があるため、利用者保護は重要」として、これまでの知見・経験を生かし、スタートアップが手がける事業の適法性確認や、そのままでは事業化できない場合は実現のためのサポートなども、同社で行っていく予定だ。

「PropTech JAPAN運営を2年ほど続けてきた中で、大手企業もアクセラレーションプログラムの実施など、アクションを起こすようになってきた。Fintech協会事務局に参加してきた感覚からも、自分でもサポーターは向いていると思う」(桜井氏)

不動産テックはデジタル化からLaaSへ

海外の不動産テック事情について桜井氏は「Fintechと比較すれば、海外が日本よりすごく進んでいるというわけではない」と分析する。コミュニティについても、不動産テックでは「世界同時的に立ち上がり、対等な関係で連携が進んでいる感触」ということだ。コミュニティの属性が近いためか、金融業界から不動産テックの分野へ移ってきている人も多いそうだ。

桜井氏によれば、この分野では世界的に「LaaS(Life as a Service)」、すなわち生活に必要なサービスを継続的に提供する事業が注目を集めているという。「不動産テックへの投資は2つの段階を踏んで進んできた。1.0では、業規制の中にある事業をデジタライゼーションすることによる、効率化が対象だった。そして2.0がLaaSだ」(桜井氏)

桜井氏が例に挙げたのは、今年3月に日本にも進出したインド発のホテル/賃貸アパートメントサービスのOYOだ。「もともと一括借り上げによるサブリースがOYOのサービスの核。自社物件確保により、仲介を必要とせず、オンライン契約を可能にしている。その先で、住人の家具・家電のレンタルや水の宅配などのサブスクリプションサービスを横に連携することで、豊かに暮らせる世界の実現につなげられる」(桜井氏)

桜井氏はさらに、不動産情報コンソーシアム(ADRE)が手がける不動産にまつわるデータの収集により、新たな不動産テック事業の創出も期待できると考えている。

「例えばコワーキングスペースで、WeWorkの料金は同じWeWork同士であればサービスサイトで比較して選べるが、リージャスなど他のサービスと横並びで比較はできない。これは個人のコリビングスペースでも同じこと。中国では「Ziroom(自如)」といった不動産賃貸プラットフォームのサービスが既に始まっており、こうしたサービスでは情報が申し込み時点で収集できるしくみが確立している」(桜井氏)

桜井氏は「ファンドでは、サブリースのように不動産取引と金融とが混じり合うエリアの事業や、家具レンタル、不用品の収納サービスといった住居に関連したサブスクリプションサービスなどにも出資していきたい」と話している。

また転居などの人の動きに合わせて発生する手続きにも注目しているという。「家賃保証会社など、現状ではユーザーが選択することはできず、オーナーや不動産会社の指定に合わせることになるが、これは『あるべき姿』ではない。本来はユーザーが自分で選べるようにするべき。こうした保証などの領域に関しても、IT化やサービス間の横連携でデータが取得でき、サービスにつなげられると考えている」(桜井氏)

桜井氏の調査では、日本の不動産スタートアップは約80社、建設スタートアップの20社を加えても100社規模で、約4000億円市場だという。一方、Fintechスタートアップ市場は200社、1兆円規模とほぼ倍の域にある。桜井氏は「ファンド設立により、不動産テックでもその規模を目標にしたい」という。

デジタルベースキャピタルのファンドでは、シード期のファイナンスをサポート。1号ファンドは総額10億円規模で、2020年春のファイナルクローズを目指す。

目標値に比べるとファンド規模が小さいようにも思えるが、桜井氏によれば「実は前職を退いてから間がなく、営業がこれから」とのこと。創業とファンド立ち上げのきっかけは、2018年秋、PropTech Japanで懇意にしていたイタンジ創業者の伊藤氏が、不動産テック業界への思いを語る桜井氏に「桜井さん、それほどスタートアップを支えたいのなら、ファンドを立ち上げたらどうか」と話したことだったというから、かなり急ピッチでの会社設立・ファンド組成と言えるだろう。

桜井氏は「今後、大手企業にも投資参加を呼びかけていく。はじめは小さくファンドをつくって、数千万円から5000万円規模の出資を10〜20社のスタートアップ対象に行っていく」と述べている。対象となるスタートアップも何件か検討が進んでいるそうだ。

金融・コンサル時代から「いつかはやりたかった」というファンド設立。「スタートアップが好きで(コミュニティなど)いろいろやっていたら、こうなった」という桜井氏は「まずはスタートアップを成長させることが大事」と語っていた。9月には不動産テックに特化したスタートアップのピッチカンファレンス「PropTech Startup Conference 2019」の初開催も予定しているという。

ソニーが200億円のファンドを立ち上げてテクノロジー系スタートアップに投資

ソニーは、スタートアップへの投資に注力しようとしている。この日本のテクノロジー大手は、200億円を調達して「高成長の重要産業」に属する企業に投資していくと発表した

ソニーは2016年にもファンドを立ち上げたが、今回のはInnovation Growth Fundと呼ばれ、他との共同事業になる。メインのパートナーは大和証券のVC部門である大和キャピタル・ホールディングスだが、これまで確認されている初期のLPの中には住友三井銀行、大阪商工信金銀行、三菱UFJリース&ファイナンスなどがいる。これまで得られた調達額は公表されていないが、まだ満額ではない。

ソニーによると、この前のファンドは40件あまりの投資を行い、今ではソニーよりも資金力のあるIGFが引き継ぎテクノロジー系スタートアップへの注視を続けている。

長期的目標のひとつは、そのポートフォリオ企業の上場を支援していくことだ。その意味で、企業の上場に関する大和の専門的能力が生かされることになる。一方ファンドの計画としては「著名な研究機関」やそのほかのテクノロジー企業とのリンクを開き、スタートアップの経営が軌道に乗るよう支援していく。そのやり方はなんとなくソフトバンクのビジョン・ファンドのようでもあるが、ただし1000億ドルには遠く及ばない。

大和証券の常務取締役を務める金子好久氏は、声明の中で次のように述べている。「最新技術に関するソニーの知見と大和証券グループの金融業における専門的能力が統合されれば新しい種類のベンチャーキャピタル事業が作られ、ベンチャーキャピタルのエコシステムに新しいトレンドによる活気をもたらすと信じている」。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

博報堂が100億円規模のCVC設立、スタートアップとの連携深める

博報堂DYホールディングスは7月1日、コーポレ ートベンチャーキャピタル(CVC)として博報堂DYベンチャーズを設立したことを発表した。スタートアップ企業との連携を深めて、テクノロジーを活用した新たなビジネスモデルの創出を狙うのが目的だ。ファンドの名称は「HAKUHODO DY FUTURE DESIGN FUND」となる。

博報堂DYホールディングスが5月に発表した新中期経営計画期間である2019年度〜2023年度の 5カ年に、スタートアップ企業に100億円規模の投資を実施する予定だ。

詳細は追って追記する。

IPOを控えるフードデリバリーのPostmates、取締役にGoogleの財務トップが就任

米国時間6月28日、PostmatesGoogleの財務担当副社長であるKristin Reinke(クリスティン・ラインケ)氏が社外取締役に就任したことをに発表した。Postmatesはオンデマンドのフードデリバリーを手がけるサンフランシスコのスタートアップで、この人事は新規株式公開に向けた準備とみられる。

ラインケ氏はOracleに8年間勤務した後の2005年にGoogleに入社した。連邦準備銀行のサンフランシスコの経済諮問委員も務めている。同氏のスキルセットはPostmatesの新規株式公開に寄与することだろう。

今年はじめ、PostmatesはプレIPO資金調達で1億ドル(約110億円)を集めた。企業評価額は18.5億ドル(約2000億円)だった。同社は、Tiger Global、BlackRock、Spark Capital、Uncork Capital、Founders Fund、Slow Venturesなどの支援を受けている。Spark CapitalのNabeel Hyatt(ナビール・ハイアット)氏は、米国時間6月28日にこの人事のニュースをツイートした。

ラインケ氏は次のように語っている。「Postmatesは急成長するオンデマンドデリバリーの分野においてイノベーションとルートの効率化に力を注ぎ、マーケットリーダーとしての地位を確立した。同社には高い実行力、急速な成長、財政規律があり、米国全体で成長し続けている市場で有利な立場にある。私は取締役として加わることをうれしく思っている」。

Postmatesはこのところ経営陣を強化している。最近では元アップル社員で作家のKen Kocienda(ケン・コシエンダ)氏を、Postmates Xの主任ソフトウェアエンジニアに迎えた。Postmates Xチームは、歩道を通ってフードを配送する半自律型ローバーのServeを開発している。

コシエンダ氏は「Creative Selection Apple 創造を生む力」の作者だ。アップルで15年間にわたってヒューマンインターフェイスデザインを担当し、初代iPhone、iPad、Apple Watchの開発に携わった。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

ジュエリーのスタートアップ「AUrate」が14億円を調達

米国時間6月26日、ゴールドジュエリーを直販するスタートアップのAUrate New Yorkが、シリーズAで1300万ドル(約14億円)を調達したと発表した。

同社の共同創立者のBouchra Ezzahraoui氏とSophie Kahn氏が語るところによると、同社の製品の価格帯は50〜3000ドル(5400円〜32万円)だが、Ezzahraoui氏は「この新しいマーケットのスイートスポット」は300〜500ドル(3万2000円〜5万4000円)と考えていて、この価格帯を狙っているという。このスイートスポットはとても安いというわけではないが、購入者は普通だったら1200ドル(13万円)以上するような、メッキではなく金無垢のファインジュエリーを求めているという。

同社のジュエリーは持続可能な供給源から調達した金を用いて、ニューヨークの地元のパートナーが製作している。Kahn氏は、ファインジュエリーは伝統的に「男性が女性のために」作ってきたがAUrateのジュエリーは彼女自身がデザインしていると述べた。女性を象徴するような力強さとフェミニンさを常に追求しているという。

AUrateはオンラインでジュエリーを販売しているほか、ニューヨークで2カ所の実店舗も運営していて、3店舗目をワシントンD.C.で準備中だ。同社は「Curate」というサービスも提供している。これは顧客が自宅で試着できるように、購入の義務を課さずにおすすめのジュエリーを5点送るサービスだ。

AUrateは2015年に創立された。オンラインでの売上が毎年400%ずつ成長し、実店舗の売上も倍増しているという。顧客の40%がリピ買いし、顧客の90%は女性だという点にも注目だ。

今回の資金調達はMichael Platt氏率いるBluecrest Capitalが主導し、Point King Capital、Arab Angel Fund、Drake Managementが参加した。

画像:AUrate

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

酔っ払いたくないミレニアル世代は仕事の飲み会で何を飲む?

Z世代は酔っ払いたくない。ミレニアル世代は仕事の後の半ば強制的な飲み会にうんざり。

インターネットで食前酒を販売する新しいスタートアップであるHausは、その解決策を握っている。同社が提供する飲み物は、市場で販売されている標準的な蒸留酒よりもアルコール分が少ない。ということは、数杯飲んでも嫌な気分にならずに済む。ブドウと生のハーブなどの植物を蒸留して作られたこの飲み物は、天然材料と最上級ブランドにより若い購買層にアピールすること間違いない。

ベンチャー投資企業Combine、Haystack、Partners Resoluteからプレシード投資を受けて今日(米国時間6月27日)からインターネット上で発売されるのは、Hausの最初の製品、シトラス&フラワー・フレーバーの食前酒(アルコール度数15%)だ。価格は1本70ドル。共同創設者であるHelena Price Hambrecht氏によると、同社の目標は、デジタルにうとい既存の酒造メーカーや流通業者に独占されているこの業界で初めての、完全な直販企業になることだ。

Hausは、ちょうどいい時期にこの市場に参入してきた。ベンチャー投資家は、これまでになく革新的な飲料水プロジェクトに投資金を集中させようとしているからだ。今年、缶入りワインのメーカーBevは、Founders Fundから700万ドル(約7億5400万円)のシード投資を受けた。パンクロックのライブ会場に集まるファンに向けた缶入りの水を販売するLiquid Deathは、Awayの共同創設者Jen Rubio氏とTwitterの共同創設者Biz Stone氏といったエンジェル投資家から200万ドル(約2億1550万円)近い投資を受けている。なかでもLiquid Focusの販売準備を進めているMore Labsは、ベンチャー投資家から800万ドル(約8億6200万円)の投資を獲得した。

Hausは、Helena Price Hambrecht氏とWoody Hambrecht氏の夫婦コンビで運営されている。Helena氏はシリコンバレーで身を立て、Airbnb、Dropbox、Facebook、Fitbit、Instagramといった消費者と直接向き合う企業のブランド開発を行ってきた。一方Woody氏は、若いころから正真正銘の「大酒飲み」で、ワインを醸造し、夫婦が暮らすカリフォルニア州ソノマ郡の農場で約27ヘクタールのワイン用ブドウの畑を管理している。Hausの本社もそこに置かれている。

Hausの共同創設者のWoody Hambrecht(左)とHelena Price Hambrecht(右)の夫妻

「こんなこと、誰もやったことがないので、それにはシリコンバレー的な人間と、酒作り野郎と結婚させる必要があるって、いつも冗談を言ってます。クレイジーな話よ」とHelena Price HambrechtはTechCrunchに話した。「私は、めちゃくちゃたくさんのユーザーを獲得するものを作って、寝てる間にアイロンをかけて、コンプライアンスとフルフィルメントと法律と経理のことを理解している酒作り野郎と結婚生活を送っています。2人で熟す仕事量は尋常ではありません」。

彼女が言う「こんなこと」とは、食前酒の消費者向け直販ブランドを立ち上げることだ。インターネットでの蒸留酒の消費者向け直販は基本的には違法だが、アルコール度数の低いごく一部の酒類はその限りではない。この抜け穴を利用して、全米の数多くのレストランが、そのごく一部に該当するカクテルを作り始めている(それにより、酒類販売許可証を取得するための大きな出費を回避できる)。しかしHelena氏によると、酒類市場の昔ながらの障壁に立ち向かうことを恐れて、食前酒のオンラインストアを立ち上げようと考える人間はいなかったという。

Hausは、そのプロセスのすべての工程を自分たちで賄っている。彼らには特許出願中の生産モデルもある。古い障壁など問題ではない。それをよじ登ろうともしていない。現在、彼らは、食前酒の醸造と瓶詰めを、夫妻の農場のすぐ北にある約84坪の倉庫で行っている。注文が増えたときのために、約78坪の倉庫の購入も考えている。出荷までに何年も熟成させなければならないワインやウィスキーと異なり、食前酒はほんの数時間で作れる。ワインと蒸留酒の醸造事業におけるひとつの難問を単純化した。

今年の後半には、Hausは追加のシード投資で資金調達を行い、2020年から製品の定期購買を開始する予定だ。また、ミレニアル世代とZ世代の同輩たちのために、食前酒を売る実店舗を展開し、第2第3の製品ラインを発売する計画もある。最終的にHausは、酒類業界の破壊のみならず、よりよい選択肢を求める若者のための新しい飲み物を提供したいと考えている。

「私は、自分自身のお酒に関するジレンマと闘ってきました」とHelena氏は言う。「出世を目指す人なら、週のうち4日以上はお酒に付き合うことになります。人を集めるお酒は大好きです。それは社会の基盤でもあります。しかし、それにはどうしても副作用がついて回ります。悪酔いや二日酔いは二度とごめんです」

「これは、私たちが解決を目指す社会問題なのです」。

関連記事:酒造スタートアップに酔いしれるベンチャー投資家たち(未訳)

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

シード期の資金調達はグローバルで行う時代になっている

CB Insightsによると、米国におけるシード期の資金調達件数は2018年に4年連続の減少となった。ディールの件数がどんどん落ち込む傾向は続いていて、その一方でディールの平均サイズは大きくなっている。これは新たな常態と言ってもいいだろう。しかし引き続き莫大な額の余剰金があり、かつてなく多くの資金がそこら中にある。

アーリーステージのスタートアップの起業を繰り返している創業者と同様、新たな起業家にとってこうした状況の変化は、どのように、どこで、誰から初期資本を調達するかに大きな影響を及ぼす。過去においては、シード期の資金調達はしばしば企業のアイデアに対して数十万ドルを投資するローカルのVCやエンジェルを探すことだった。実際の魅力や、ターゲットマーケットからのフィードバックというより、誰を知っているか、どこに立地するかという要素が大きかった。

しかし最良の投資ディールをめぐる競争が激しくなるにつれ、シリコンバレーのレガシー投資家はいま、世界中のスタートアップへの投資を模索し始めている。シリコンバレー外で操業している起業家には潜在的金鉱のようにみえるかもしれないが、創業者は投資家たちがスタートアップ、特に彼らの本拠地外のスタートアップについてどのように考えているかを理解する必要がある。

投資家が海外から問い合わせてきたときのために、起業家が知っておくべき3つのことを以下に挙げる。

チームの分散はもはや不利ではないが、マーケット近くに立地する必要がまだある

これまでの大多数の考え方は、スタートアップがうまくやっていくにはシリコンバレーか別の米国内のテックハブに立地する必要がある、というものだった。結局、投資家や才能ある人がいるのは米国なのだ。しかしながら、必ずしもそうではなくなってきている。確かに企業のビジネス面では米国に足がかりを持っておくのはまだ必須で、これは米国には多くの潜在客がいるからだ。しかしチームの分散は多くの投資家にとってもはや「リスク」ではない。

イスラエルのようなマーケットが優秀なテック人材を輩出してきたのは周知の通りだ。本部と創業者少なくとも1人(通常はCEOだ)を顧客や投資家に近い米国に置き、その一方でエンジニアリングのチームの大半をイスラエルに抱えている、多くの成功したスタートアップの例を我々は見てきた。

用心深い投資家はまだCEOを米国マーケットに置くことを企業に求めるだろうが、しかしそれはR&Dチームをスタートアップの本国に置いておけない、ということではない。これは、R&Dチームとともに本国に残る他の共同創業者やCTOがすべてをコントロールするのに必要なリーダーシップのスキルを持ち、その一方でCEOが米国の本部で事業を構築する、ということを意味している。

投資家はローカル共同投資家に頼りながら案件を探している

シリコンバレーのスタートアップの企業価値はここ数年うなぎ登りだ。ほぼ毎日のように5000万ドル超の資金調達が発表され、これに伴い企業価値も膨らんでいる。資金調達の熱狂は、資金を調達した企業だけでなく、小さなスタートアップにも大きな影響を与えている。シリコンバレーですさまじい資金獲得競争が展開され、多くのシード期の投資家は他のマーケットの過小評価されている起業を探し、資産の増大を抑えている。

最良の投資家が必ずしも大きいところは限らない

米国外のスタートアップの企業価値は概して小さく、初期に小切手を切ったりかなりの企業価値に吊り上げたりする大規模のVCファンドから圧迫されている投資家にとっては最良の機会となる。一般にレートステージの投資家はイスラエルや欧州など米国外のディールで“ギャンブル”をするが、競争によりシード期の投資家はアーリーステージの機会を探ることを余儀なくされている。

その結果、シード期のファンドは外資との共同投資にこれまでになくオープンになりつつある。上で述べたように、投資家はホームマーケット外のディールに目を向けているが、ファンドは米国外にはまだそんなに目を向けていない。選ばれたディールがいまさに始まろうとしている。海外マーケットで最良のディールを見つけるために、米国のファンドは、すでにディールを経験し地元のスタートアップ業界の裏表を知っている地元のVCとの協力を往々にして模索している。たとえ海外であっても彼らはしっかりしたプロセスを求めている。

すべての投資家が価値を付加するわけではない

創業者としては、誰から資金を調達するかは大きな問題だ。馴染みのない投資家から資金を調達するのはメリットがあるだろうか、それとも失敗の元になるだろうか。彼らはどう関わるだろうか。

スタートアップの創業者は投資家がもたらす資金以外の価値について長期的に、そして真剣に検討しなければならない。もし投資家が会社の日々の運営から除外され、会社が直面している困難に関知しないのなら、彼らを含める意味は何になるだろうか。

最近、大きなファンドによるシードレベルへの投資ラッシュが見られ、それらは長期的な価値やサポートを保障することなく多額の資金を提供している。この新たな“数撃てば当たる”的アプローチにより、こうした数十億ドル規模の投資では大型ディールのような注意を払わない。

最も良い投資家は必ずしも大規模の投資家とは限らない。その代わり、最良の投資家は事業が成長するのを実際にサポートするために常に価値を付加する。そして彼らはプレシードとシード期の企業への投資にフォーカスする。彼らは潜在的な顧客やパートナーにつなげて、新マーケットなどへのドアを開いてくれるだろうか。問題を乗り越えるとき実際にサポートしてくれる投資家は誰だろうか。誰がパートナーになるだろうか。

すべてのベンチャーキャピタルのように、シード期の投資は有意義に変化している。少なくとも投資先探しという点では、かつてローカルで、その地域だけで完結していたプロセスがいまはグローバルビジネスになっている。にもかかわらず、大半の投資家が、投資先の企業がビジョンを実行するのを真にサポートできることを確かめるために、創業者/CEOと社の本部が身近なところに存在することを求めている。

イメージクレジット: Kristin Lee / Getty Images

[原文へ]

【編集部注】著者のShuly GaliliはUpWestの設立パートナー。

(翻訳:Mizoguchi)

1000名以上のエンジニアを抱えるSun Asteriskが「スタートアップスタジオ」を開始

Sun Asterisk(旧:Framgia)がスタートアップの課題を解決する「スタートアップスタジオ」を開始した。そのまんますぎるネーミングだが、同事業はその名のとおり、イノベーションを創出することを目的としたいわゆるスタートアップスタジオだ。

スタートアップスタジオにはゼロイチ段階を支援するBuildと事業成長を加速させるBoostの2つのプログラムがある。

「開始」と発表されているが、Sun Asteriskでスタートアップスタジオの事業を担当している船木大郎氏いわく、正確には以前よりBoostの部分に関しては行なっており、300以上のスタートアップやプロダクトを成功に導いた。

「(Sun Asteriskの)設立当初の強みはBoostのところにあった。ベトナムの拠点に500名ほどのエンジニアがいる中で、シリーズAやBの調達を終えた企業に対し、エンジニアを提供すると言うソリューションを出してきた」(船木氏)

だが、Sunが目指すのは『心を揺さぶる“Awesome!”を創る機会が平等にある世界』。その使命を果たすため、Build用のチームを蘇生した。

「このビジョンに対してBoostしかできないというのは、最初のAwesomeを作るところに我々が関わっていないということになってしまう。アイディアしかない状態から形にするところもやっていかなければ会社のビジョンと違う」(船木氏)

Build用のチームは、日本でこれまでにスタートアップを立ち上げてきたシニアなエンジニアたちだ。Build段階のスタートアップと関わるには物理的な距離の近さが重要と判断し、国籍は様々だが日本に拠点を置いているエンジニアが作業に当たる。海外のエンジニアはこれまでどおりBoostに関与する。

「特に日本においては、エンジニアが枯渇している」と話す船木氏。日本にもスタートアップスタジオは博報堂グループのquantumや西條晋一氏率いるXTechなど色々あるが、Sunのスタートアップスタジオの強みは同社が「エンジニアを1000人以上抱えているところにある」と同氏は説明した。

「スタートアップスタジオは大体、Buildの部分を担当するもの。Sunの強みはワンストップでBoostというところまで持っていけるところだ。バイアウトからIPOまで連れていけるだけのリソースを持っている」(船木氏)

スタートアップスタジオでは年間30ほどのサービス立ち上げを目指し、記者としてはIPOが見たいものだが、基本的にはバイアウトを狙う。スキームは以下のとおり。

商業用物件を探すテナントと物件を提供したい不動産事業者をマッチングする「テナンタ」運営のテナンタは、CXOのアレンジから成長戦略の支援まで受けている。

ピザ宅配のZumeが植物由来プラスチックに着目してパッケージ企業を買収

ロボット活用で知られるピザ宅配のZumeが、植物由来のパッケージ資材を開発している南カリフォルニアのPivotを買収した。これに伴い、Zumeは南カリフォルニアに約2000坪の工場を開設する。

実はZumeは、2016年にサトウキビのかすの繊維から製造され利用後に堆肥になるピザボックスを導入して以来、何らかの形でパッケージ業界に関わっていたという。今回の買収で同社は、ボウル、皿、カップ、カトラリーなどにも植物由来の食器の利用を広げる。

同社は来年までに10億個のプラスチックや発泡スチロールの食器を置き換えるという高い目標を掲げている。これは立派な目標だ。食品パッケージのゴミは手に負えないほどの問題で、改善が追いつかずに状況が悪化していると見られる。

ZumeのCEOのAlex Garden氏は今回の発表に関して次のように述べている。「フードデリバリーは食品のシステムを変えている。フードデリバリーは消費者からの需要が高く、そのことが持続可能な世界をつくる力になると我々は信じている。食品パッケージは方程式の中で重要な役割を担っている。重要な消費のデータを表すだけでなく、パッケージの材料が最終処分される農場からの有用な情報にもなるからだ」。

同社は米国で工場をいくつか計画していて、今回の新しい工場がその1つ目だ。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

一橋大出身の起業家を支援する如水ベンチャーズが1号ファンドを設立

左から如水ベンチャーズ パートナー 郡裕一氏、フィル・カンパニー創業者 高橋 信彰氏、ストライク代表取締役社長 荒井邦彦氏、如水ベンチャーズパートナー 赤松典昭氏

如水ベンチャーズは6月10日、一橋大学生および同大卒業生の起業家を支援する1号ファンドを設立したことを明らかにした。

まずは1億円規模のファンドとして運用を開始し、創業者・役員に一橋大学生、卒業生が含まれるスタートアップに対して1社あたり500~3000万円を出資する。

一橋大出身者には各業界で活躍する起業家や経営者も多いが、業界・世代をまたいだ繋がりやOBOGの経営者が若手起業家を支援する仕組みなどが十分に整っている状況ではなく、結果として先輩が後輩をサポートしたくても個人レベルでは限界があったという。そこで生まれたのが、一橋大学出身者から集めた資金を後輩起業家のスタートアップに投資する如水ベンチャーズだ。

特徴は資金だけでなく、バラエティ豊かなOBOGの支援者やパートナーによる実践的なメンタリング、事業開発サポートを提供すること。以前紹介した東大創業者の会応援ファンドと近しい部分も多いが、如水ベンチャーズでは「一橋大学出身の起業家たちにとってOBOGとのネットワークが強固であるコミュニティの形成が重要だと思っており、そこに注力していきたい」という思いがあり、リアルイベントの開催にも力を入れていくそうだ。

今回の1号ファンドにはストライク代表取締役社長の荒井邦彦氏やフィル・カンパニー創業者の高橋信彰氏、ことでんグループ代表の真鍋康正氏を含む複数名の個人投資家が出資者として名を連ねる。冒頭でも触れた通りファンドサイズは1億円からのスタートとなるが、今後も出資者の追加とともに増額を予定しているという。

また出資者とは別にレアジョブ創業者の加藤智久氏やfreee代表取締役の佐々木大輔氏など、先輩起業家や各ジャンルのプロフェッショナルが支援者として参画する(以下は支援者の一部)。

  • 相川光生氏(KMアドバイザーズ代表取締役 公認会計士)
  • 伊藤彰浩氏(アクリー 創業者 /ウィステリア代表取締役)
  • 岡田奈津子氏(カスタマーサクセスコンサルタント)
  • 小椋一宏氏(HENNGE代表取締役)
  • 加藤智久氏(レアジョブ創業者)
  • 加藤広晃氏(ポート取締役 / 加藤公認会計士事務所 所長)
  • 佐々木大輔氏(freee代表取締役)
  • 佐藤有紀氏(創・佐藤法律事務所 弁護士 / ニューヨーク弁護士)
  • 寺島有紀氏(寺島戦略社会保険労務士事務所 所長 / 社会保険労務士)
  • 冨田和成氏(ZUU 代表取締役)
  • 成田博之氏(SEESAW 取締役)

ちなみに如水ベンチャーズのパートナーを務める赤松典昭氏と郡裕一氏も一橋大学のOBだ。

赤松氏はフューチャーベンチャーキャピタルで執行役員管理部長なども務めた後、2018年にFinTechスタートアップのカンムにジョイン。郡氏もウェブマーケティングツールなどを手がけるエフ・コードを経て、自身で創業したOtsumuでの事業開発やアクセラレータ支援を担い、SaaSとAIに特化したVCファンドを立ち上げるなど、両者ともにVCやスタートアップでの現場経験がある。

出資額は非公開ながら、すでに1号案件として弁護士保険を提供するフェリクス少額短期保険へと出資済み。6月13日には起業家やこれから起業を目指す一橋大学生・卒業生・教員とOBサポーターを繋ぐ如水アントレプレナーサミットを開催する予定だ。