大手VCのBenchmarkがゼネラルパートナーに29歳のマイルズ・グリムショー氏を登用

著名なベンチャーキャピタル企業であるBenchmark(ベンチマーク)は、5人目のゼネラルパートナーとして29歳のMiles Grimshaw(マイルズ・グリムショー)氏が就任したことを発表した。Yale(イェール大学)出身の同氏は、Thrive Capitalにやはり5人目のパートナーとして2013年に入社し、第4、第5となるファンド(Forbes記事)設立に従事した。

グリムショー氏はニューヨーク拠点のThriveのゼネラルパートナーとしてLattice、Mapbox、Benchling、Airtableなど現在活躍中のスタートアップへの出資に関わり取締役を務めるなか、Benchmarkの同僚投資家たちと知り合った。

同氏がThrive代表として、研究者のバイオ技術研究を管理するソフトウェアを開発するBenchlingの取締役に就任した際には、2014(未訳記事)年にゼネラルパートナーとしてBenchmarkに入社した元起業家で経営者のEric Vishria(エリック・ヴィシャリア)氏と取締役会で一緒だった。

グリムショー氏がThriveを代表して、クラウドコラボレーションソフトウェア企業のAirtableで取締を務めたときの同僚であるPeter Fenton(ピーター・フェントン)氏は、著名なVCのBill Gurley(ビル・ガーリー)氏が現役を退いた2020年に、Benchmarkで最古参のゼネラルパートナーになった。フェントン氏は2006年にAccelから引き抜かれた(The Mercury News記事)。

そしてグリムショー氏は、2017年にGreylockからBenchmarkへ引き抜かれた(未訳記事)Sarah Tavel(サラ・テーヴル)とも、取締役をともに務めた。その会社、Supergreat(スーパーグレイト)はニューヨーク拠点の設立2年になるサイトで、美容愛好家を集めてレビュアーに、やがては購入者にするコミュニティを運営している。

SupergreatはBenchmarkの直近の投資先の1つだ。2020年12月始めにBenchmarkは、同スタートアップの650万ドル(約6億8000万円)のシリーズAラウンドをリードしたと発表した。

グリムショー氏就任前にBenchmarkで最も新しいゼネラルパートナーだったのはChetan Putagunta(チェタン・プッタグンタ)氏で、同氏は7年以上勤めたNew Enterprise Associatesから2018年に入社(Bill Gurley氏ブログ)した。

Benchmarkは継続に関して他社を抜きん出ており、ゼネラルパートナーの多くがスタートアップとの関わりを出資後長い時間が過ぎてからも続けている。

Benchmarkの共同ファウンダーであるBruce Dunlevie(ブルース・ダンレヴィー)氏は、WeWorkの取締役会に2012年に参加した。現在、同氏は同じくWeWorkの出資者であるSoftBankを契約違反および新任義務違反で訴える裁判に加わっている。SoftBankは2019年にWeWorkがIPO申請を取り下げた後、初期株主に対する公開買い付けの提示を中止した。

報道によると、Matt Cohler(マット・コーラー)氏(Facebookの元幹部でBenchmarkに10年間勤めた後2018にゼネラルパートナーを辞めた)も、この夏BenchmarkがライブストリーミングeコマースプラットフォームのPopshop LiveのシリーズA出資者の席を確保する手助けをした。The Informationによると、コーラー氏はスタートアップの取締役に就任することに同意して契約締結を後押ししていた。

ここ数年の間に辞任したコーラー氏とガーリー氏以外に、2007年に入社したMitch Lasky(ミッチ・ラスキー)氏も2018年に中核チームを離れている。

2020年夏にBenchmarkは、5人目のパートナーを登用する計画を明らかにし、その人物が当面最後のメンバーになると語った。フェントン氏は9月に、本誌のTechCrunch Disruptイベントで登壇し、Benchmarkは「スケーリングできない。パートナーが6人以上になると会社はうまく回らない」と話した。

フェントン氏はBenchmarkが自社チームをどのように見ているかについて、時間をかけて話した。私たちはWeWorkの契約についても話を聞いた。詳細を知りたい人は下に貼ったインタビューをご覧いただきたい。

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タグ:Benchmark

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

次のVCの見つけ方

スタートアップとマーケットのニュースレター The Exchange(ザ・エクスチェンジ)へようこそ。

ここではお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話などをお伝えしていこう。

12月も半ばを迎えて普通ならニュースサイクルも鈍化してくるはずだ。ところがそれがむしろ加速していて、2020年のホリデーサイクルはほとんど仕事で埋まるのではと真剣に心配をしているところだ。

ともかく、いつものような戯言を言っている暇はないので、さっそく仕事に取りかかろう。

次のベンチャーキャピタリストの見つけ方

New Stack(ニュー・スタック)というVCがある。同社はサンフランシスコやニューヨークに拠点を置いていないスタートアップのための、最初の機関投資家向けラウンドを主導することに注力している。ご想像の通り、その仕事の一部は、投資先企業が次の投資家を見つけることを支援することだ(現在の投資先企業がどのようなものかはここで見ることができる)。

New StackのNate Pierotti(ネイト・ピエロッティ)氏がThe Exchangeに語ったところによれば、彼のチームは現在、投資しているスタートアップたちが新しいラウンド探しのために無駄な時間を過ごさなくて良いように、「次のラウンド」の企画を練っている最中だという。ピエロッティ氏によれば、この企画は創業者たちとVCの両者に人気があるという。

少し前に、New Stackは約400人の創業者に対して、それぞれのベンチャーが困っているポイントは何かと質問した。これは多くのVCが市場をよく理解するために行っていることだと思う。この調査を通して、多くの創業者が次の投資家を見つけるための支援を求めていることがわかった。

この結果を受けて、New Stackは「次のラウンド」用ツールの公開版をまとめることを支援することにした。それはVC Rank(VCランク)と呼ばれるもので、内容はここでチェックすることができる。そこにスタートアップが自社についての情報を入力すると、1700を超えるファンドの中から連絡すべきファンドをアドバイスしてくれる。

なぜこんな話を持ち出したのかって?常に中西部のスタートアップの活動を取材する口実を探していることはさておき、日頃このニュースレターでは、ベンチャーキャピタルに頼っていた日々はとうに過ぎ去った企業の話に多くの時間を費やしている。今回のものは、まだVCに頼っている創業者たちが、実際に使えるリソースについて紹介できるチャンスだったのだ。

The Exchangeで取り上げるのは何もパブリックSaaSの話題ばかりではない。

マーケットノート、マーケットニュース

もうすでに読者のみなさんは、DoorDash(ドアダッシュ)のIPO(価格[未訳記事]、取引将来[未訳記事])、C3.ai(価格[未訳記事]、取引[未訳記事]、将来[未訳記事])、Airbnb(エアビーアンドビー)(価格取引[未訳記事])についてはご存知のことと想像している。以下はそれを前提として書く。

今回のマーケットノートはいくつかのマーケットニュースから始めよう。Braze(ブレイズ)は、会計年度の最初の3四半期で60%の成長を遂げた。

このニューヨークに拠点を置くカスタマーエンゲージメントソフトウェアのスタートアップは1年弱前に(未訳記事)ARR(年間経常収益)が1億ドル(約104億円)に達していたが、残念ながら単純に現在ARRが1億6000万ドル(約166億4000万円)になったということはできない。なぜできないのか?実は同社はARRではなく、GAAP(米国会計基準)による計算に移行したために、成長の数字が古いメトリックと一致していないのだ。

この60%の成長をした期間は2020年2月から10月までだ(SaaS企業では、第4四半期がクリスマス直後に終了しないように、1月以降に会計年度を開始するのが一般的だ)。しかし、もしBrazeのARR が 1億6000万ドル(約166億4000万円)以上になっていたとしても不思議はない。

CEOのBill Magnuson(ビル・マグヌソン)氏によれば、同社は2018年10月に8000万ドル(約83億2000万円)のシリーズEを行って以来、資金調達を行っていないという。このスタートアップは、成長のための資金を、これ以上の調達に頼る必要なく急速に成長してるのだ。

同社に対する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響は?マグヌソン氏によれば、Brazeはおそらく新型コロナ前の計画を上回っているものの、経済の変化にともない、2020年は状況に応じて再予測を行っていると語った。顧客という面では、新型コロナがなくても成長度合いは似ていたかもしれないが、内容は違っているとCEOはいう。彼は風船に例えて話した。新型コロナは風船のある場所(市場の一部)を絞りこんだが、同時にまた別の場所を膨らませた。つまり新型コロナを経ても、風船の体積は同じなのだが、その形(市場)が異なるものになったということだ。

GAAPへの移行はIPOに向けた動きを示しているのだろうか?そうではない、とマグヌソン氏はいった。Brazeは、他社と結果を比較して、どのように改善できるか、どこを改善できるかを検討するのが好きなので、標準的な測定基準があると助かる、と彼は付け加えた。

しかし、はっきりさせておこう。Brazeは株式公開をできる位の十分な規模を持っており、支出も大きくはなく、他の企業がほとんど冗談のような数字で公開するところも見ている。IPOへの誘惑は確かにあるはずだ。

そしてIPOに関して、少し話をしてみよう。私は先週AirbnbとDoorDashの公開に関して、それぞれの関係者と電話で話したが、それぞれの話のキーポイントを凝縮して話すと以下のようになる。

  • DoorDashのCFOがパンデミック後の消費者需要に強気な理由:多弁で明晰なCFOのPrabir Adarkar(プラビア・アダーカー)氏との会話はとても楽しいものだった。誰かから何かを学びたいと思っているときに、多弁で明晰な性質はとても素晴らしい組み合わせだ。私はパンデミック後のフードデリバリー需要について、DoorDashが何を考えているのか知りたかった。私は少し悲観的な見方をしている。だがアダーカー氏は、ご想像の通り強気だった。同社の巨額のIPOは、食品市場に深く入り込み、新たな分野に進出するためのクッションになるだろうと話した後、私たちは本題に入った。アダーカー氏は、一度ユーザーがDoorDashアプリをダウンロードして数回使用すれば、高い習慣性が生まれるのだという。彼は新型コロナウイルス感染症が終わった後も、その習慣性は続くと予想している。そして、ここ数カ月でより多くのレストランが参加しているので、サービス自体が向上しているのだと付け加えた。この先外出が許されたとしても、ユーザーの関心をつなぎ止めておくために役立つだろうということだ。
  • Airbnbの最高戦略責任者(CSO)がパンデミック後の消費者需要に強気な理由:Airbnbの創業者の1人であり、最高戦略責任者(CSO)でもあるNathan Blecharczyk(ネイサン・ブレチャージク)氏が、同社のパンデミック後の需要というテーマについてThe Exchangeに語った。まず第一に、外に出ることが許されれば旅行もすぐに回復する。これはAirbnbにとってはいいことだ。そして、Zoom(ズーム)がなくなるわけではない、と彼はいう。たとえばAirbnbを使って長い週末を取り、金曜日に働いて、また週末に寛ぐ人もいるかもしれない。また海外旅行が復活し、リモートワークへの文化的シフトが進めば、Airbnbは2021年には2019年よりも大きな数字を達成できるかもしれないという。まあどうなるかは、やがてわかるだろう。
  • SequoiaのパートナーであるAlfred Lin(アルフレッド・リン)氏が直近のIPO価格と結果について語る:最後は投資家からの声だ。SequoiaはDoorDashとAirbnbの両方に関わっており、リン氏はそれぞれの会社の取締役だ。私たちは、IPOで目立った点について話をした。一部の企業がIPO後につけた極端な価格についての私の質問に答えて、リン氏はAirbnbは公開前の間も価格が高かったと説明した。傑出しているもののためには、ときには有り金をはたく必要があるというのが、言い分のようだ。ベンチャー的視点からは、その点には共感できるが、一般投資家の視点からすると、共感度は低くなる。でも、だからこそ、株式市場はおもしろいのだ。

さらに細かい話をする前に、OKRにフォーカスするKoan(コウアン)がさらに100万ドル(約1億400万円)を調達したこと(未訳記事)と、以前にも記事にした(未訳記事)OKRにフォーカスするAlly.io(アリーio)の成長について書いておこう。要点はこうだ。Allyは2020年に収益を3.3倍に成長させ、500社の新規顧客を獲得し、既存顧客のうち145社で規模が拡大された。Allyはこの需要の原動力として、ハイブリッド(オフィスとリモート)ワーキング環境のために、より多くの計画ツールが必要されている点を挙げた。Koanは、そのソフトウェアの無料版をリリースする際に、同様の状況を語った。

今年の年頭のOKR市場は熱かったが(未訳記事)、その熱はいまでも続いているようだ。

その他のことなど

さて、以下興味深くはあるものの、まとめて書くことができなかったトピックを順不同でご紹介しよう。

  • デンバーを拠点とするRange Ventures(レンジ・ベンチャーズ)が2300万ドル(約23億9000万円)のファンドを組成した。なぜこれが気になるのか?デンバーに焦点を当てているためだ。デンバーの投資シーンが、ご当地VCを生み出せるほど成熟していたとは知らなかった。これに関しては私は認識不足だった。
  • ブラジルのソフトウェア企業Intelipost(インテリポスト)がRiverwood Capitalの主導で3200万ドル(約33億3000万円)を調達。2020年にはeコマースと物流がホットだが、Intelipostはその両方に対応している。目が離せない会社の1つだ。
  • シカゴのCarDr(カードクター)が、Red Fort Capitalから「ローンチ&シードファンディング」と称する500万ドル(約5億2000万円)を調達。このスタートアップは、AIを使ってクルマの診断を支援できるようにしている。それが自らを「カードクター」と呼ぶ理由だ。同社によれば、消費者やディーラー、銀行などを相手にセールスを行っているという。スタートアップは新しい資金のうち75%をエンジニアリングのために確保する予定だ、すなわちこの先さらに多くのものを開発するということを意味する(良いことだ)。経済面では、良好な利幅を確保しているものの、AIコンピューティング時間のコストのために、一部のSaaS企業よりも若干低い水準であると、同社はThe Exchangeに語っている。そのことも記事にしている(未訳記事)。
  • APIセキュリティに特化したSalt Security(ソルト・セキュリティ)は、今週3000万ドル(約31億2000万円)を調達した。私は、APIに関しては詳しくないので、APIセキュリティ分野の企業が1回のラウンドでこれだけの調達をしたことに興味を惹かれた。Sequoiaが今回のシリーズBを主導したが、Saltは6月に2000万ドル(約20億8000万円)のシリーズA調達も行っている(2020年の2ラウンドのトレンドが続いている![未訳記事])。
  • Beyond Identity(ビヨンド・アイデンティティ)というスタートアップが今週7500万ドル(約78億円)を調達した。私は「 passwordless”パスワードなし)アイデンティティ」が何を意味しているのかについては途方に暮れているが、うまくいくことを願っておこう。なにしろ私はOkta(オクタ)のパスワードを定期的に更新しなければならないことで、日頃残念な思いをしているのだ。
  • Ada Ventures5000万ドル(約52億ドル)のファンドを組成(未訳記事)。この欧州のグループは「社会的な問題に取り組む多様な創業者に投資すること」を意図している。そうしたミッションに参加しないでいることは難しい。

では今回はこの辺で。

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画像クレジット:Nigel Sussman

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(翻訳:sako)

YJキャピタルとEast Venturesの起業家支援プログラム「Code Republic」が第9期スタートアップ募集開始

YJキャピタルとEast Venturesの起業家支援プログラム「Code Republic」が第9期スタートアップ募集開始

ヤフーのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)「YJキャピタル」と、日本および東南アジアで最大級のシードVC「East Ventures」が共同運営するアクセラレーター「Code Republic」は12月10日、第9期参加企業の募集を開始した。応募締め切りは2021年3月7日23時59分で、合否通知は2021年3月中旬。プログラムの開催期間は、2020年4月20日〜2021年8月25日予定。「Code Republic 第9期 応募フォーム」で応募を受け付けている。

募集対象は、加速度的な成長を狙うスタートアップ。応募条件は、チームにエンジニアがいること。また新型コロナウイルスの影響を踏まえ、オンライン開催としており、地方在住でもプログラムへの参加が可能としている。

YJキャピタルとEast Venturesの起業家支援プログラム「Code Republic」が第9期スタートアップ募集開始

Code Republicは、起業志望・起業初期などシード期のスタートアップを対象に創業資金700万円、毎週のメンタリング、各種勉強会を開催する4ヵ月間のアクセラレータープログラム。Code RepublicではシリーズA達成率100%を目標として、スタートアップが最短でPMF(Product/Market Fit)を達成できる環境を提供している。

YJキャピタルとEast Venturesの起業家支援プログラム「Code Republic」が第9期スタートアップ募集開始

2016年の設立以降、合計25社に対して累計10.2億円の投資を実行。追加調達率は72%、卒業企業の累計時価総額は163億円となり、多くの企業が成長を続けている。

少数の企業に対してフルコミットでの支援を行なっており、第8期は100社以上の応募から、オンラインコミュニティポータルサービス「VIVERTA」、日本酒の記録・レコメンデーションサービス「サケアイ」2社を採択、2020年11月よりプログラムを開始している。

Code Republicでは、プログラム開始時点に創業資金700万円のシード投資を実施。週次メンタリングでは、事業進捗に対してキャピタリストおよび起業家同士によるフィードバックを行い、起業時に陥りやすい失敗を防ぎ、最短での事業成長を後押しする。また月次発表では、Code Republicのアドバイザーに対して事業進捗を発表、フィードバックにより事業の精度を高める。

VCや各領域の専門家、ゲストアドバイザーを招いての勉強会も隔週開催。様々な専門知識を習得するとともに、Code Republic卒業企業との交流により、起業家同士のつながりを構築できる。

プログラムの最後は、投資家を招いたデモデイを開催。投資家からのフィードバックとともに、追加資金調達を目指す。

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Steve Case氏のRevolutionが第4の成長ファンドとして5億ドルを目指す

米証券取引委員会に新たに提出された書類によると、AOLの共同創設者CEOのSteve Case(スティーブ・ケース)氏とAOLの元上級幹部Ted Leonsis(テッド・レオンシス)氏が設立したワシントンDCを拠点とする投資会社Revolution(レボリューション)が、同社第4のファンドで5億ドル(約520億円)を調達するという。

同社はこの件についてコメントを避けている。ちなみに同社の幹部の1人は、1月にホワイトハウスに入るため同社を退社することになっている。

この新しい資金調達は誰もが予期していたものだ。Revolutionが資本コミットメントにおいて5億2500万ドル(約547億円)を調達した第3の成長ファンドを発表してからすでに4年以上が経過しているからだ。これは約2年ごとに新しい資金を調達する傾向があるベンチャー業界全体では長い期間だが、Revolutionのペースは同社のミッションに繋がっている。同社は主に、かつては「Rise of the Rest(残された者の上昇)」と称されていた生活費などが安い都市に投資して、結果的に小切手がより遠くまで届くという仕組みを用いる傾向にある。

同社は同時に複数のファンドから投資を行っている。最近ではシード投資を行い、2つのRise of the Restのシード資金を調達、そのうちの最新のものは2019年末に1億5000万ドル(約157億円)の資本コミットメントを確保した。

おそらく同社の投資家たちは、Revolutionの最近のイグジットに注目しているのだろう。ボストンに拠点を置く同社のポートフォリオ企業DraftKings(ドラフトキングス)は今年、3社の合併を完了してナスダック市場に上場した。また、オースティンに拠点を置くSaaSスタートアップのBigCommerce(ビッグコマース)は、オンラインストアの構築、管理、マーケティングを支援しているが、従来のIPOを通じて8月初めに上場し、現在の時価総額は42億ドル(約4380億円)となっている(Revolutionは2013年のシリーズCラウンドで資金を提供し、その後のラウンドにも投資を続けた)。

Revolutionによる注目すべき投資先は他にもある。Orchard(オーチャード)はユーザーが持ち家を売ると同時に次の家を買うことを支援する技術プラットフォームで、同社の6900万ドル(約72億円)のシリーズCラウンドは9月にRevolutionによってリードされている。サーマルライナーのメーカーであるTemperPack(テンパーパック)は、昨年夏にシリーズCで3100万ドル(約324億円)を調達。プラスチック廃棄物に対処することを目的としており、Revolutionからの追加資金も含まれている。2013年にRevolutionから最初の支援を受けたカジュアルなレストランチェーンのSweetgreen(スウィートグリーン)は、パンデミックの影響で多少の浮き沈みに耐えてきたが、昨年1億5000万ドル(約157億円)の資金調達を達成した。

私たちは先月、ケース氏と長時間の対話を行い、今日のインターネットの巨人たちの創造に貢献した1996年通信品位法第230条の創設に同氏が関わったことなどについて話を聞いた。

新型コロナウイルスが最終的にシリコンバレーの引率力を失わせるかどうかについても言及している。前回公開されなかったコメントに以下のようなものがある:

まだ結論は出ていません。シリコンバレーを離れて別の場所に避難しようと決めた人の多くも、結局は戻ってくると思います。シリコンバレー、ニューヨーク、そしてボストンに至っても、一部で予想されていたような大規模な人口流出は起こらないと考えます。

一時的に離れることを決めても、会社に残る意思を持つ人は多いと思います。そのほとんどは現在の会社で働き続けるでしょう。その理由の1つは、FacebookやSquareのようなテクノロジー企業を始め多くの企業が、リモートによる仕事を推進していることにあります。しかし、他の場所に住み着き、家族がそこに落ち着きを見出したら、何か別の選択をする人も出てくるでしょうし、そのことが促進剤となってRise of the Restのような都市にも有利に働くでしょう。

また、Zoomを通して取引がなされる中で、従来のベンチャー企業のネットワークフローに参加していなかった女性を始めとする創業者らが取り残されていることを示唆するデータについてもケース氏に話を聞いた。データを見て感慨深げに語っている。

ええ、それは懸念されます。人と場所、両方に変化が必要です。NVCAのデータによると、昨年のベンチャーキャピタルの75%は3つの州に留まりました。90%以上が男性で、女性は10%以下でした。女性が人口の半分を占めているにもかかわらずです。そして昨年、黒人のアメリカ人が人口の約14%を占めながら、黒人の創設者はベンチャーキャピタルの1%未満しか得ていませんでした。こうしたデータだけを見ると、どこに住んでいるのか、肌の色は何色か、どの学校を卒業したのか、ということが重要ということになってしまいます。

パンデミックの影響でZoomミーティングがより一般化してきたことで、多くのベンチャーキャピタリストにとってチャンスが開けるかもしれないと思っていました。遠い場所にいる人々とのミーティングを積極的に行い、従来は投資してこなかった多様なコミュニティにも手が差し伸べられるようになるのだと思っていました。

確かにその機運は見え始めています。沿岸部の投資家の間では、Rise of the Restと呼ばれる都市での投資機会への関心が高まってきています。ただしもっと広い視野で見ると場所の問題よりも人に関する課題が大きく、ベンチャーキャピタリストとの会話でよく耳にするのですが、彼らは「私たちが解決の手助けをしなければならない問題であることは理解しています。こういった起業家の中には本当に価値のある会社を作ろうとしている人もいますから。でも私たちにはネットワークがありません。住んでいる場所、働いていた場所、通っていた学校の地域、そして以前に投資をしたことのある場所を中心に生活がまわっています。内陸部にはネットワークがありませんし、黒人の創業者とのネットワークはありません」などと言うことが多いのが事実です。

そのため私たちは今、ネットワークをいかに広げていくかということに重点を置いています。ほとんどのVCは、自分たちが問題の一部になるのではなく、解決策の一部になるべきだと認識していると信じています。

大統領選を控えての電話会談で、ケース氏はバイデン次期大統領との長年にわたる校友関係について言及した。Revolutionでバイデンと関係があるのは同氏だけではない。Revolutionの取締役副社長を務めるRon Klain(ロン・クレイン)氏は、以前バイデン氏が副大統領だったときに首席補佐官を務めていた人物だが、ホワイトハウスの次期首席補佐官に選ばれ、再び政治に乗り出していることが先週明らかになった。

ケース氏はクレイン氏について先週New York Timesで次のように語っている。「彼は多くの情報を処理し、重要なことに集中し、さまざまな問題において解決に導くことができるでしょう」。

関連記事:Beyond Next Venturesの2号ファンドは総額165億円で最終クローズ

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タグ:資金調達

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(翻訳:Dragonfly)

Beyond Next Venturesの2号ファンドが総額165億円で最終クローズを完了

Beyond Next Venturesの2号ファンドが総額165億円で最終クローズを完

Beyond Next Venturesは12月8日、産業革新投資機構(JIC)などからの出資を受け、同社が無限責任組合員として運営する「Beyond Next Ventures 2号投資事業有限責任組合」(BNV2号ファンド)を総額165億円の規模でファイナルクローズしたと発表した。

BNV2号ファンドは、同社のふたつ目の基幹ファンド。主に、大学・研究機関の有する優れた技術シーズを基にしたシードステージのスタートアップや、企業が有する有望技術のカーブアウトスタートアップなどへの投資を実施。2020年12月現在ですでに26社の投資先企業の成長を支援している。

2018年10月のファンド設立後、独立行政法人中小企業基盤整備機構からの出資などを経て、今般、JICなどからの出資を受けて、総出資約束金額165億円の規模でその組成を完了することとなった。

同社は、「起業家と共に、大学等の高度な技術シーズを実用化し、新産業創出とチャレンジする人材を多数輩出することにより社会に貢献する」ことをミッションとして掲示。BNV2号ファンドのファイナルクローズを踏まえ、今後も日本を中心とした研究機関における高度な技術シーズを起業家とともにひとつでも多く実用化し、グローバルなマーケットを狙っていける技術系スタートアップを支援することで、新産業の創出をさらに加速していく。

産業革新投資機構(JIC)は、2018年9月、産業競争力強化法改正法の施行に伴い、従来の株式会社産業革新機構から株式会社産業革新投資機構に商号を変更し発足した投資会社。IoT、ビッグデータ、AIなど、新たな情報技術の社会実装が世界で加速する中、投資に適したガバナンス構造と迅速で柔軟な投資判断により、長期・大規模な成長投資を中心としたリスクマネー供給への要求に応える新たな組織として誕生した。

Beyond Next Venturesは、大学などの研究機関で革新的な技術の開発に取り組む研究者やテック系のスタートアップ企業経営者・起業家と共に新たな産業・イノベーションの創出に取り組む。

  • スタートアップ投資:事業化~成長支援までにわたる投資経験と運用実績を有する。2020年12月時点で47社への投資実績があり、2015年2月に設立した1号ファンドおよび2018年10月に設立した2号ファンドを合わせて計220億円のファンドを運用
  • 事業化支援プログラムの企画・運営:「BRAVE」において、革新的な技術の事業化を目指す研究者や起業家に対して、経営人材候補とのマッチング、事業化実現のための知識・ネットワーク・成長資金を提供。東京都からの委託を受け、創薬・医療系スタートアップの起業や成長を支援するプログラム「Blockbuster TOKYO」も運営
  • シェアラボの運営:ライフサイエンス領域のスタートアップがより低コストで実験などを行えるシェア型ウェットラボ「Beyond BioLAB TOKYO」を東京都中央区に開設
  • 経営チーム組成、共同創業支援:「Innovation Leaders Program」「Co-founders」など、経営人材を求めるスタートアップや研究者と、経営参画・起業したいビジネス人材を、Beyond Next Venturesが保有する人材ネットワークを活用してつなぐことで、強固な経営チーム組成・共同創業を支援

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矢澤麻里子氏がシード特化型ファンド「Yazawa Ventures」を組成、女性の社会活躍の支援も

矢澤麻里子氏がシード特化型ファンド「Yazawa Ventures」を組成。女性の社会活躍の支援も

Yazawa Venturesが11月24日、ベンチャーキャピタル「Yazawa Ventures1号投資事業有限責任組合」の組成を発表した。投資先は事業を立ち上げたばかりのシード期に特化しており、1件あたり1000万円~1500万円前後での出資を想定している。

投資家には日本テクノロジーベンチャーパートナーズ代表の村口和孝氏、ウィズグループ代表の奥田浩美氏などが名を連ねている。今後も出資者を募集し、2021年5月までにファンド総額7億円以上を目指すという。

矢澤麻里子氏がシード特化型ファンド「Yazawa Ventures」を組成。女性の社会活躍の支援も

代表の矢澤麻里子氏はニューヨーク州立大学を卒業後、シリコンバレーのVCでデューデリジェンスやファンドレイズを経験。国内ではサムライインキュベートでシニアアソシエイトを務めたのちに、アメリカの企業支援大手Plug and Play JapanのCOOと務めるなど、国内外のスタートアップ企業に長年携わってきた。

2019年に出産を機にPlug and Play Japanを離れたものの、「スタートアップへの投資を通じ、経済活動をより良いものにするメガベンチャーを輩出することで、かねてより課題とされる日本のGDP成長率や労働生産性の低さの抜本的改革を目指したい」という思いから、新ファンド設立に至った。

投資領域は、企業や組織におけるDXや業務効率化を含めた働く環境を構造から変革するスタートアップ、およびテクノロジーを軸にした「個」の多様な活躍を推進するスタートアップ。

また、国内のVCの女性比率は海外に比べて低く、矢澤氏のように国内で女性VCが代表を務めるケースは珍しい。女性の社会活躍を後押しすべく、課題解決に向けたヘルスケアや教育といったスタートアップにも積極的に投資していく予定だ。

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ヘルステックに特化したVCのOTVが177億円の新ファンド設立、アジア市場にも進出

ヘルステックに特化したイスラエルのベンチャーキャピタル、OTV(旧Olive Tree Ventures)が新たに1億7000万ドル(約177億円)のファンドを立ち上げた。また同社は中国の上海にオフィスを新設し、アジア太平洋地域での成長をうかがっている。

現在OTVのポートフォリオには計11社の企業が載っている。2020年、同社はテレヘルス(遠隔医療)プラットフォームのTytoCareとLemonaid Healthのラウンドをリードしたほか、ゲノム機械学習プラットフォームのEmedgene、顕微鏡イメージングのスタートアップ、Scoipio、在宅心肺モニターのDonisi Healthなどにも投資している。OTVはラウンドBやラウンドCへの投資が主で、製品はすでに立証されているが拡大にあたって規制その他の問題に対応している企業を支援することを目標にしている。

OTVはさまざまな国で運用可能なデジタルヘルスサービスに焦点を当てることで医療費を下げ、乱立するヘルスケアシステムのギャップを埋めようとしている。

OTVのアジア太平洋地域責任者に就任するJose Antonio Urrutia Rivas(ホセ・アントニオ・ウルティア・リバス)氏は、上海オフィスで同社のポートフォリオ企業が中国その他アジア諸国に進出する手助けをする。これでOTVのオフィスはニューヨーク、テルアビブ、モントリオールと合わせて4カ所となる。リバス氏はOTVに加わる前、金融会社のLarrainVialでアジア市場責任者を務めていた。

OTVは2015年に、ゼネラルパートナーのMayer Gniwisch(マイヤー・グニウィッシュ)氏、Amir Lahat(アミール・ラハット)氏、Alejandro Weinstein(アレハンドロ・ワインスタイン)氏が創業した。OTVのパートナーで、アジア市場で15年を超える経験があり、この5年間は北京に住んでいるManor Zemer(マナー・ゼマー)氏は、いまがアジアに進出する最適な時期と判断した理由をについて、「デジタルヘルスはすでに多くのアジア太平洋諸国で十分発達してデジタルヘルスサービスが対面型医療機関を補完しているため、この分野に特化したベンチャーキャピタルにぴったりの地域だ」とTechCrunchに話した。

さらに同氏は、OTVは「パンデミックのずっと以前から成長分野だっデジタルヘルスが、新型コロナウイルス(COVID-19)によって世界中の医療インフラ国際化、相互接続化が急速に促進されていることを活かしたかった」と付け加えた。

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Plug and Play Japanが「Summer/Fall 2021 Batch」参加スタートアップを募集開始

Plug and Play Japanが「Summer/Fall 2021 Batch」参加スタートアップを募集開始

Plug and Play Japanは12月7日、次期アクセラレータープログラム「Summer/Fall 2021 Batch」の募集開始を発表した。

Summer/Fall 2021 Batchの募集期間は2020年12月7日から2021年2月19日。プログラム期間は2021年6月〜9月。対象は、Plug and Play Japanの企業パートナーとの連携を希望するスタートアップ、登記済みまたはプログラム期間中に登記予定のスタートアップ(すべてのステージのスタートアップが対象)。申し込みは、同社特設ページより行う。

Plug and Play Japanが「Summer/Fall 2021 Batch」参加スタートアップを募集開始

  • 募集期間:2020年12月7日~2021年2月19日
  • プログラム期間:2021年6月〜9月
  • 参加条件:Plug and Play Japanの企業パートナーとの連携を希望するスタートアップ、登記済みまたはプログラム期間中に登記予定のスタートアップ
  • 申込方法:Plug and Play Japanウェブサイト内の特設ページから必要事項を記載の上、募集期間内に応募

また、2021年1月26日と2021年2月9日に、説明会を兼ねてスタートアップ企業向けに人数限定のオンラインミートアップを開催する。参加希望の方は「2021年1月26日(火)参加登録」「2021年2月9日(火)参加登録」より登録を行うようよびかけている。

同社のアクセラレーションプログラムは、「テーマ」を主軸として、国内外のスタートアップをグローバルレベルのスタートアップへと支援していくというもの。

またテーマごとの3ヵ月間のプログラムを年2回運営。1テーマ(領域)をVertical、1プログラムをBatchという単位で呼び、日本の場合東京で「Fintech」「Insurtech」「IoT」「Mobility」「Brand & Retail」のの5Vertical(5領域)、京都で「Hardtech & Health」の1Vertical(1領域)、大阪(1領域)で「SmartCities」の1Verticalの合計7Vertical(7領域)を実施している。

Plug and Play Japanが「Summer/Fall 2021 Batch」参加スタートアップを募集開始

Plug and Play Japanが「Summer/Fall 2021 Batch」参加スタートアップを募集開始

スタートアップ企業は、同プログラムを通じて、複数の企業パートナーとの連携の機会を獲得可能。成果発表会「Summit/EXPO」で優勝したスタートアップは、本社シリコンバレーでのピッチ機会が得られ、グローバルマーケットへのアクセスも可能としている。

「Summit/EXPO」は、東京の場合2021年3月2日~3日の2日間に渡ってPORTCITY TAKESHIBA PORT HALLにおいて開催。京都では、2021年3月16日に京都産業会館で、大阪では2021年3月18日にナレッジシアターで開催する。

一方企業パートナーは、プログラムへの参加を通じ、厳選された国内外スタートアップとの個別面談、ネットワーキング、ビジネスマッチングなどの機会が提供される。

Plug and Play Japanが「Summer/Fall 2021 Batch」参加スタートアップを募集開始

Plug and Play は、革新的な技術やアイディアを持つスタートアップを大手企業とともに支援するグローバル・ベンチャーキャピタル/アクセラレーター。2019年はプログラムを通じて、米国本社では549社以上の、グローバルでは1450社を超えるスタートアップを支援した。

現在、世界16カ国30拠点以上に拡大し、Plug and Play Japan はその日本支社として、2017年7月に設立。2019年は60超のアクセラレーションプログラムを実施し、400社超の企業へイノベーションを提供した。

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ある企業がVC資金なしで208億円の売上を実現した方法とは?

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。

今回はお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話をしよう。

先週は非常に多くのことが起きた。先週はEquityポッドキャストのスタッフが、最近のアーリーステージ向けベンチャーキャピタルのラウンドをじっくりと調べたが、もしまだ聞いていないならこちら(未訳記事)から聞くことができる。小規模なスタートアップは登場し続けてはいるものの、今回のThe Exchangeでは、より後期ステージのニュースを掘り下げたい。

まずは、私にとっては初めて聞く会社だったNextiva(ネクスティバ)の話題から始めよう。現在、売上高が2億ドル(約208億1000万円)を超えた同社は静かな巨人である。そして注目すべきは、その規模に至るまでベンチャーキャピタルからの資金調達を行ってこなかったことだ。

資金調達に関するニュースがテックメディアで頻繁に取り上げられることを思うと、これまでNextivaが一体どのようにして高コストの成長戦略と外部資金に頼らずに規模を拡大して来たかを尋ねるのは新鮮な気持ちだった。

CEOで共同創業者のTomas Gorny(トマス・ゴーニー)氏と話しながら、会社の歴史を少し掘り下げてみた。それはおおよそのところ次のようなものだ。1996年に20歳でカリフォルニアに移住したゴーニー氏は、ドットコム・ブームの時代にテック企業で働いた後、2001年にウェブホスティング会社を創業した。そのウェブホスティング会社(iPower)は、2007年にEndurance International(エンデュランス・インターナショナル)という名の別の会社に売却された(PE Hub記事)。Enduranceは2011年におよそ10億ドル(約1040億6000万円)で一括売却されたのちに公開され、2020年11月に30億ドル(約3121億8000万円)で買収されて非公開となった(Clearlake記事)。歴史的な参考資料としてTechCrunchがEnduranceについて触れた2010年の記事(未訳記事)を読むことができる。

ゴーニー氏は2008年にNextivaを設立し、「UcaaS」(unified communications as a service、サービスとしてのユニファイドコミュニケーション)と現在は呼ばれるものに焦点を絞った。このスタートアップは、年間経常収益(ARR)が約4000万ドル(約41億7000万円)になるまでに成長したが、やがてハードウェアとサポートサービスソフトウェアを統合するサードパーティ製システムの問題に直面したことが、考え方の転換のきっかけとなった。同社はプラットフォームの構築に乗り出したのだ。

Nextivaは水平展開を行い、規模の拡大にともないCRMソフトウェア、アナリティクス、その他の機能を追加していった。そしてその成長は効率的だった。ゴーニー氏はTechCrunchに対して、同社は創業者チームの資金からスタートしたが、たとえ他の誰かの資金を使っていたとしても、同じように会社を作りあげただろうと語った。

プラットフォームの切り替えにはコストがかかり、Nextivaの計算ではそのプロジェクトに1億ドル(約104億1000万円)が費やされた。彼らはTechCrunchに対して、もしオリジナルのサービスだけに集中していれば、短期的にはもっと早く成長できたかもしれないと語っている。

Nextivaが膨大な時間とお金を費やしてきたプラットフォーム製品は、すでにマーケットに提供(GlobalNewswire記事)され、ARRは2016年の1億ドル(BusinessInsider記事)から拡大し、2020年は2億ドル(約208億1000万円)となった。今の同社はプラットフォームと呼べる地位への進化を完了できたと考えている。このことに私は少し反発を感じた。文字通りすべての会社がプラットフォームになりたいと思っている中で、ほとんどがそうできていないのだから。

しかし、ゴーニー氏はその点に関する彼の考えを語り、私の気持ちを落ち着かせた。Nextivaは一連の製品群を構築したが、その時点ではプラットフォームではなかったと彼は説明する。正しい。しかし、自社のすべてのアプリやサービスのために、顧客データの共有プールを作成するシステムを構築したことで、Nextivaがその基盤となるレイヤーの上でより速く構築できるようになり、同社は1つになれたのだと彼は主張する。現在テック企業たちが乱用する以前の「プラットフォーム」の用語定義に照らして、その使い方は正当なもののように思える。

Nextivaの次のステップは?年30%以上の成長を考えれば、株式公開の可能性もあるだろう。それが自己資金であることを考えると、桁外れに大きなキャッシュバーンを持つことはないし、IPOのために必要なベンチマークは満たしている。さらに、ゴーニー氏はプライベートであることで、製品開発に集中したいときに成長を加速させたり減速させたりすることができると強調してはいたものの、Nextivaはもっと有名になりたいと考えているような印象を受けた。そして、IPOはそれに役立つだろう。

2021年はユニコーンのIPOラッシュが到来するといわれている。おそらく、そうしてデビューするものたちの中にはダークホースも含まれているだろう。

マーケットノート

今回私たちは、より広範なスタートアップ市場についての、議論に値する3つのテーマを取り上げる。AIの資金調達、フィンテック、未上場株式市場の流動性だ。

AIに関しては、特に後期ステージの中では、このところ忙しいセクターとなっている。オハイオ州に拠点を置くヘルスケアAI企業のOlive(オリーブ)は、これまでに調達した4億5600万ドル(約474億6000万円)の約半分にあたる2億2550万ドル(約234億7000万円)を調達した(Oliveサイト)。さらにいうなら、Oliveはユニコーンでもあり、PitchBookは資金調達後の評価額を15億ドル(約1561億1000万)としている。

中西部の企業の活躍を見るのはうれしい。だがOliveだけがユニコーンではない。Scale AI(スケールAI)も巨額の資金を調達しており、今回は35億ドル(約3642億6000万円)の評価額で1億5500万ドル(約161億3000万円)(未訳記事)の資金を調達した。2019年は10億ドル(約1040億7000万円)以上の評価額で1億ドル(約104億1000万円)を調達していた(未訳記事)。またAIスタートアップの領域では他にも、Versatile(バーサタイル)が2000万ドル(約20億8000万)を調達しultimate.ai(アルティメットai)も2000万ドル(未訳記事)を調達した。大忙しだ!

先を急ごう。Stripeはサービスとしてのバンキングを提供するツールセットを投入し、すでに高額な評価を受けているペイメント企業を、当初のニッチな領域から、より広範なそして利益を生む可能性のある領域へとシフトした。

ということで、同じ問題空間で仕事をしている小規模なスタートアップにとっては悪い知らせかも?彼らに何かいうことがあるかどうかは別として。以前に私が採り上げたAPI経由で銀行サービスを提供するスタートアップ、Treasury Prime(トレジャリー・プライム)のCEOであるChris Dean(クリス・ディーン)氏がThe Exchangeに寄稿した記事によれば「(Stripeのニュースが発している)最も重要なメッセージは、銀行に対してオープンバンキングAPIが必要とされていることを伝えている」ということだ。

そしてディーン氏は、すべてのフィンテックが異なる対象ごとに複数のベンダーを持つように、バンキングAPIサービスを提供する主要なフィンテックごとにも多くのベンダーが存在する余地があると考えており、Treasury Primeの顧客の中にも銀行業務のニーズに対して「Marqeta(マルケタ)、Galileo(ガリレオ)、Stripeを利用している顧客」がいると指摘している。

この先どうなるか楽しみにしよう。だがそれでもやはり、Stripeのニュースはビッグニュースだ。そして今回のアップデートは、彼らのIPOの遅れを説明できるものだと思う。成長を促進するこうした新しい要素があるときに公開した方が良いだろう。そのIPOが遅れていることに対して、口やかましく指摘した前回の私たちのノートの続きはここまでにしておこう。

そして最後はCarta X(カルタX)だ。このニュースを伝えられる興奮が押さえきれない。スタートアップ企業の資本対策表(キャップテーブル)管理や従業員の株式持ち分の取引を支援するCartaは、一種の取引所(Carta X)を開こうとしている、これは未上場株式市場に対してより多くの流動性、つまりより多くの価格シグナルと透明性をもたらすはずだ。開所予定は来年早々である。詳しくはここで(Medium記事)。

その他のことなど

残り文字数が少なくなってきたので、今回の締めくくりに3つだけ取り上げる。

最後に、The ExchangeはYext(イエクスト)のCEOであるHoward Lerman(ハワード・ラーマン)氏に対してインタビューを行った。内容は、第3四半期の結果については短期予想を上回る結果(Seeking Alpha記事)となったものの、第4四半期の利益予想については投資家に不安が広がっている(Seeking Alpha記事)件に関してだ。

私は先週のExtra Crunch Liveに参加した(未訳記事)ラーマン氏に話を聞き、状況を聞くことができた。検索サービスの提供に向けたYextの努力が功を奏して知名度が上がり、販売プロセスのコスト削減に貢献している。だがもう一方では、世界が再びロックダウンに向かっていることから、一部の地域では売上の伸びに対する弱さが見られ、ソフトウェア企業の成長の鍵を握る短期的な総合成績の結果はへこんでいる。

Yextは公開SaaS企業の1つに過ぎないので、その業績に対して過剰な評価はしたくないが、近い将来の成長という点で、同社が直面している不確実性についての率直な評価は、同社の事業に特有のものであるとはいえない。近い内にスタートアップたちに対して第4四半期の成長について尋ねる必要があるだろう。

こんなことをいっても仕方がないが、Yextはインテリジェントな製品を拡大している真っ最中なのに、それを売り込む先の市場の一部が冷え込んでいるのだ。これは、スタートアップたちが未上場のうちに乗り切るのがベストだと表現する状況だ。おそらく、Yextのケースは、公開企業が同様の状況を切り抜ける際の良い事例の1つになるだろう。

ではまた。

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タグ:NextivaScale AIStripe

画像クレジット:Nigel Sussman

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(翻訳:sako)

エンタメ業界のDXファンド「ミクシィエンターテインメントファンド1号投資事業有限責任組合」が設立完了

エンタメ業界のDXファンド「ミクシィエンターテインメントファンド1号投資事業有限責任組合」が設立完了

ミクシィは12月4日、エンターテインメント業界におけるDXを、投資活動を通じて推進するファンド「ミクシィエンターテインメントファンド1号投資事業有限責任組合」の設立が完了したと発表した。投資対象は、ライブエンターテインメントの分野でDXを進めるスタートアップ企業など。今後同ファンドを含め最大100億円規模の投資を予定している。

また今回、同ファンドの第1号案件として、アバターテクノロジー企業の米Geniesの第三者割当増資を引き受けたことを発表した。今回の増資によりGeniesは、エンジニア、デザイナー、営業・管理部門の人員拡大、および各種プロモーション施策を強化し、3Dアバターユーザーの獲得を加速させる。

エンタメ業界のDXファンド「ミクシィエンターテインメントファンド1号投資事業有限責任組合」が設立完了

Geniesは、世界最大のアバターテクノロジー企業であり、プラットフォームを超えて使用できるデジタルアイデンティティの創造を推進している。Geniesは、国際的に有名なアバター広告代理店業とソフトウェア開発キット(SDK)の開発を通じて、社会や文化の中でアバターを迅速に普及させるための基盤を構築。

また現在までに、この技術をグッチ、フリトレー、GIPHY、リアーナ、ショーン・メンデス、ジェニファー・ロペス、ジャスティン・ビーバーなど多くの企業やタレントが採用。

さらに、安室奈美恵、ダニエル・ウー、MIYABIなどの著名人とのコラボレーションなど、1年間のアジアでの実績を経て、Geniesは東京をアジア本社とすることを決定した。Geniesは、3Dアバターやデジタルグッズにより、人々の可能性を広げていくことを目指す。

エンタメ業界のDXファンド「ミクシィエンターテインメントファンド1号投資事業有限責任組合」が設立完了

なお、バンダイナムコエンターテインメントは11月20日、Geniesとの資本業務提携を発表している。同社は、これまで培ってきたキャラクターIP(知的財産)やゲームにおけるノウハウおよびバンダイナムコグループの玩具など幅広い事業への展開力と、Geniesが持つアバター事業のノウハウや著名人とのネットワーク、それに紐づくファンベースなどを掛け合わせることで、キャラクターIPを使ったアバターおよび着せ替え用デジタルグッズの展開、フィギュア化など、デジタルとフィジカルを融合させた新しいアバター事業を展開し、世界中にアバターの魅力を届けるとしている。

ミクシィは、新型コロナウイルスの感染拡大により、スポーツや音楽、演劇などライブエンターテインメント分野は深刻な打撃を受けており、現在もコロナ禍前と同様に開催することは困難な状況にある点を指摘。こうした中で、無観客ライブを実施しネットでの有料配信により収益化を図るなど、テクノロジーを活用した新しい取り組みも行われており、今後さらに、DXによる新たな体験価値の提供が期待されているという。

同社は、「エンタメ×テクノロジーの力で、世界のコミュニケーションを豊かに」を中期経営方針に掲げ、エンターテインメント領域での事業成長に注力。この方針の下、同ファンドは投資活動を通じて様々なライブエンターテインメント分野のDXを推進し、投資先との協業などによる同分野での新事業創出を目指す。

同ファンドを通じて、これまでリアルの場でしか楽しめなかったエンターテインメントにテクノロジーの力をかけ合わせ、離れた場所でも楽しめる新たな形を創り出すことで、多くの方に豊かなコミュニケーションを届けていく。

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i-nest capitalの1号ファンド「i-nest1号投資事業有限責任組合」が総額73億円で組成完了

i-nest capitalの1号ファンド「i-nest1号投資事業有限責任組合」が総額73億円で組成完了

i-nest capital(アイ・ネスト・キャピタル)が運営・管理する「i-nest1号投資事業有限責任組合」は12月4日、11月27日の追加募集で運用総額を73億円に増額し、ファンドの組成完了を発表した。

i-nest capitalは、エンターテインメント&ライフスタイル領域を中心に新産業の創造や社会課題の解決を目指すベンチャーキャピタルで、2019年12月9日に1号ファンドを設立。今回、新たに有限責任組合員として加入したリコーリースからの出資を受け、運用総額73億円で組成を完了した。

  • 名称:i-nest1号投資事業有限責任組合
  • 運用期間:10年間
  • 運用総額:総額73億円(組成完了)
  • 運営者(無限責任組合員):i-nest1号有限責任事業組合(LLP)
  • 主な投資家(有限責任組合員):中小企業基盤整備機構、NTTドコモ、パワーソリューションズ、東京貿易ホールディングス、みずほ銀行、みずほ証券プリンシパルインベストメント、リコーリース

投資領域は、エンターテインメント&ライフスタイル領域を中心に、新産業の創造や社会課題の解決に取り組むスタートアップを幅広く支援。

i-nest capitalの1号ファンド「i-nest1号投資事業有限責任組合」が総額73億円で組成完了

投資額の25%を大きな投資倍率を目指すシード投資に充当。会社設立前から情報収集・関与し、有望案件を選択。また投資額の75%を、アーリー・ミドル・レイターそれぞれが1/3ずつ構成するように割り当て、投資回収時期を分散。マイルストーン投資により有望案件への投資比率を積み上げ、有望案件(一定条件などをクリア)に対しては積極的に追加投資を実施している。

i-nest capitalの1号ファンド「i-nest1号投資事業有限責任組合」が総額73億円で組成完了

投資実績

  • セキュア:監視カメラやAIを活用した顔認証等による入退管理システムなど、各種セキュリティ機器およびセキュリティシステムの設計・開発・コンサルティング・販売レンタルサービス・施工・保守を提供
  • カバー:自社開発したVTuber配信システム「ホロライブ」を活用し、日本発で最先端の二次元エンターテインメント体験を提供
  • emotivE:人と通じ合うコミュニケーションAI技術「OMOHIKANE」を活用した企画・開発・サービスを提供
  • スキマワークス:飲食・物流業界に特化した、超短期のスキマ時間に働ける単発アルバイトマッチングサイト「スキマワークス」を運営
  • ユートニック:動画や音源、マガジンやチケットなどのコンテンツを収録したデジタルトークンの発行・管理プラットフォーム「utoniq core」を提供
  • THECOO:アイコンとコアファンをつなぐ、会員制ファンコミュニティプラットフォーム「Fanicon」を運営
  • 奇兵隊:新興国を中心として200ヵ国以上に展開する寄付型クラウドファンディングプラットフォーム「Airfunding」を運営
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シード期特化VCのKVPがMBO実施によりKLabから独立、「ANOBAKA」(アノバカ)に社名変更

シード期特化VCのKVPがMBO実施によりKLabから独立、「ANOBAKA」(アノバカ)に社名変更

ベンチャーキャピタルファンドを運営するKVPは12月2日、長野泰和 代表取締役社長によるマネイジメント・バイアウト(MBO)を実施し、親会社であるKLabが保有するKVP株式の買い取りを12月1日に行ったと発表した。これに伴い、社名も「ANOBAKA」(アノバカ)に変更した。シード期のスタートアップ対象VCのファンド運営を通して、より積極的に投資活動を行い、今後は投資という枠を超えた取り組みにも挑戦する。

シード期特化VCのKVPがMBO実施によりKLabから独立、「ANOBAKA」(アノバカ)に社名変更

同社は2016年5月よりシード期に特化したベンチャーキャピタルとして活動を開始。これまで80社以上のスタートアップへの投資を実行し、その成長をサポート。「日本の起業の裾野を広げ、『夢や情熱を持つ人が、だれでもチャレンジできる社会』を実現するため、より投資活動を積極的に行い、さらには、投資という枠を超えた取り組みにも挑戦していかなければならない。」との思いから、親会社であるKLabと協議の上、MBOを実施し、独立に至ったという。

今回のMBOに伴い社名も「ANOBAKA」(アノバカ)に一新。世の中から「常識はずれ」「ありえない」といわれるような夢やアイディアや人の中に、いつか世界を変えるような力があるはずという。

「成功するのは優秀なやつではない、勇気のあるやつだ」という想いをモチーフとして「Empowering Mad Dreams」をビジョンに掲げ、ひとりでも勇気のある「あのバカ」の夢の実現に邁進していきたいとの願いを、新しい社名とスローガンに込めているとした。新たなビジュアルのアイコンとなっているのは無骨な石。世の中が気づかないような「原石」たちの中に光を見つけ、勇気を与え続けるという願いを込めているという。

シード期特化VCのKVPがMBO実施によりKLabから独立、「ANOBAKA」(アノバカ)に社名変更

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シード・アーリーステージのスタートアップを支援するHIRAC FUNDの1号ファンドが総額30.4億円でクローズ

シード・アーリーステージのスタートアップを支援するHIRAC FUNDの1号ファンドが総額30.4億円でクローズ

マネーフォワードのグループ会社マネーフォワードベンチャーパートナーズ(MFVP)は12月1日、シード・アーリーステージのスタートアップを支援するアントレプレナーファンド「HIRAC FUND」(ヒラクファンド)の1号ファンドの募集を総額30.4億円で完了したと発表した。

「HIRAC FUND」(ヒラクファンド)概要

  • 名称:HIRAC FUND1号投資事業有限責任組合
  • ファンド総額:30.4億円
  • 投資対象:国内外のシード・アーリーステージのITおよびテクノロジー企業全般
  • 無限責任組合員:マネーフォワードベンチャーパートナーズ(マネーフォワード100%子会社)

同ファンドは、主にテクノロジーによる社会課題解決を目指すシード・アーリーステージのスタートアップを対象としたアントレプレナーファンド。企業の急成長を牽引してきたスタートアップ起業家や経営陣など25名以上に加え、金融機関や事業会社、教育機関などがLP(リミテッドパートナー)として参画している。

同ファンドは、2020年7月の発表以降、WRAY、ワークサイド、TENTIAL、Go Visions、サロウィンへの出資を実行済み。今後も、創業間もないスタートアップ支援をさらに強化していくとしている。

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ジャフコとマネーフォワードがスタートアップ支援第1弾、「マネーフォワード クラウド」導入を無償サポート

ジャフコとマネーフォワードがスタートアップ支援第1弾、「マネーフォワード クラウド」導入を無償サポート

ジャフコ グループ(ジャフコ)マネーフォワードは、スタートアップ企業支援プログラムの第1弾として、ジャフコの投資先企業に対し、「マネーフォワード クラウド」の導入サポートを無償で実施すると発表した。同プログラムにより、シード・アーリー期のスタートアップのバックオフィス支援体制サポートを進めていく。

なお、マネーフォワードで展開する「STARTUP BOOSTER」との併用は不可。会計・給与・経費等の導入支援実施サービスに応じて、無償提供の内容は異なる。

スタートアップ企業支援プログラム実施内容

  • 「マネーフォワード クラウド」導入サポートの無償実施
  • 「マネーフォワード クラウド」導入時のデータ移行サポート
  • スタートアップ企業の管理体制レベルに応じたツール機能の提案
  • CFO・管理部長の採用支援(投資先の管理体制レベルによって提供サービスが異なる。また、ジャフコ独自のサービスとなる)

スタートアップ企業の中でも特にシード・アーリー期の企業は人的リソースが限られるため、事業づくりとバックオフィス業務の両立が難しく、バックオフィス業務の整備まで行き届かないという現状がある。

一方でシード・アーリー期は、業績の振れ幅が大きくリアルタイムの業績数字把握が困難となっている。本格的なIPO準備を始めるにあたって業績の管理を適時把握することは非常に重要であり、早いうちから最低限の体制を作っておくことが必要となる。

同プログラムの実施によりジャフコの投資先企業は早い段階から管理体制を構築でき、IPO準備へスムーズに移行できるようになるとしている。

昨今、新型コロナウィルスの影響によるテレワークの推奨や、電子帳簿保存法改訂によりペーパーレスやハンコレスへの対応など、スタートアップ企業においてもバックオフィスの業務効率化が求められている。

ジャフコとマネーフォワードは2020年7月、業務提携契約を締結。両社で投資先企業を支援する中、経営層が経理業務に時間が取られながらも、システム導入コストや導入時のデータ移行の手間など、サービス導入へのハードルの高さがネックとなり、スタートアップ企業がバックオフィスの業務効率化に踏み出せない実情が明らかになってきたという。

このハードルを払拭し、スタートアップが必要とするサービスを投資先に提供すべく、今回のスタートアップ企業支援プログラムの実施を決定したとしている。

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投資家ジェイソン・グリーン氏がSPACの展望と従来型IPOとの比較について語る

Jason Green(ジェイソン・グリーン)氏はベンチャーキャピタリストとして揺るぎない評価を得ている。同氏が17年前に共同創業した、企業を対象とするファンドであるEmergence Capital(エマージェンスキャピタル)はSaleforce、Box、Zoomなど多くの企業に投資している。いまやあらゆるファンドがサービスとしてのソフトウェア(Software-as-a-Service)のスタートアップに投資している一方で、同氏のファンドは法人向けの製品やサービスを販売する多くのトップ創業者が頼りにする存在だ。

グリーン氏の投資分野に影響を与えるトレンドについて詳しく知るため、先週の終わりに、SPAC(特別買収目的会社)からバリュエーションまで、また現在競合している多くのライバルとの差別化について同氏と対談を行った。以下は、その内容を短く編集した抜粋版だ。

TechCrunch(以下、TC):SPACは十分な収益を生み出していないがために従来のルートで公開できない企業向けだという評価についてどう思いますか。

ジェイソン・グリーン氏(以下、JG):ええ、そうですね、これからが本当におもしろいと思います。SPACにとって2020年は特筆すべき年になりました。正確な数は覚えていませんが、今年SPACが調達した資金は500億ドル(約5兆2000億円)に上ります。すべてのSPACが今後12~18カ月以内にその資金を目的に沿って投入する必要があります。投入できなければ返還されます。そしてSPACが買収したいと考える対象には信じられないほどに蓄積された需要があります。チャートのトップに顔を出す企業、つまり高成長で収益性の高い企業は、おそらく従来のIPOを選択するだろうと私は想像します。

SPACの(合併)候補企業は、急速に成長していて将来の公開企業としての魅力を備えてはいるが、チャートのトップに躍り出るほどではない企業になるでしょう。スポンサーが狙うのは、おそらく上位四分位(25%)の公開企業よりも少し成長は遅いが利益を計上している企業か、成長は速いが多額のキャッシュをどんどん使っており従来のIPO投資家を軒並み怖がらせてしまうような企業だろうと思います 。

TC:CEOらと、その道を選ぶべきか話し合っていますか。

JG:我々はそうした会話をちょうど始めたばかりです。ポートフォリオには、おそらく来年または2年以内に公開企業になる企業がいくつかあるため、検討すべき選択肢になることは間違いありません。ポートフォリオには近々何かが起こりそうな企業はありません。ほとんどの起業家は、従来の方法による公開を多少なりとも夢として持っていますが、SPACは若干魅力が劣ると思われます。公開前にもう1つプライベートラウンドを検討する可能性がある企業にとっては、「プライベートプラス」ラウンドといったところです。いわば、どっちつかずの位置づけですので、検討中の企業があるとすればまだ公開の準備が整っていない企業でしょう。

TC:SPACによる資金調達の多くは、パブリックウィンドウ(公開市場からの調達の機会)が閉じられてしまうかもしれないという時期における不確実性への対応のようにも見えました。選挙が終わったいま、不確実性は減ったと思いますか。

JG:選挙以降もリスクと不確実性は減少していないと思います。現在、政治的には依然として不確実性が存在します。最近、ワクチンやその候補に関していくつかの本当に良い発表がありましたが、パンデミックが再び著しい規模で出現しました。ですから、物事はさまざまな方向性に進む可能性があるといえます。

一般に公開市場というのは、より質の高い機会に引き寄せられる傾向がある環境です。その結果、企業の数は少なくなりますが、質は高くなります。そこにSPACが役割を果たす余地が生じます。2021年の前半には、SPACの方が公開企業に転じる可能性が高くなることが容易に想像できます。来年も後半に入り、ワクチンが投入され、人々がそれなりに通常の状態に戻ったと感じれば、従来のIPOが復活することになると思います。

TC:約1年前にお会いした(未訳記事)とき、Emergenceは年間1000件の取引を検討し、25件のデューデリジェンスを行い、資金を提供するスタートアップは毎年ほんひと握りだとおっしゃいました。2020年に入り、どう変化しましたか。

JG:過去5年間でほぼ完全に変わったと思います。現在の我々はデータ主導、仮説主導のアウトバウンドファンドであり、起業家が会社を設立しまたはシードファイナンスを獲得した後に、連絡を取ります。我々が行った直近の3つの投資はすべて、実際の資金調達プロセスを始める1年から18カ月前には関係を構築していました。信頼関係を築くために必要なのはそれだと思います。なぜなら、その結果、資金調達を非常に迅速に行うことができたからです。

2020年はおそらく、我々のファンドの歴史の中でかつてなかったほど多くの投資を行うと思います。新型コロナウイルスを考れば驚くべきことです。我々はパイプラインを積み上げ、確信を得るために必要な能力を磨くことができたと思います。そしてこの市場環境で、我々の投資対象を拡大するのにZoomが本当に役立っています。我々が見ている会社はおそらく50~100%増加しました。時間をかけて会社の数を減らしていき、チームとして深掘りしたい20~25社に絞ります。

TC:あなたの考えを理解したい創業者のためにお聞きします。いま、あなたにとっておもしろいものは何ですか。

JG:我々のファンドは一度に3つの主要なテーマに焦点を当てる傾向があります。1つは「コーチングネットワーク」と呼ばれています。これはAI、機械学習、人間同士の相互作用の重なる領域です。セールスエンゲージメントプラットフォームのSalesLoft、ナレッジマネジメントシステムのGuru、手動の工場組立ラインのビデオ分析を提供するDrishtiなどの企業は、このカテゴリーに分類されます。

2番目のテーマは、個々の業界にもっと深く入り込むものです。Veeva(Bloomberg記事)は、ヘルスケアとライフサイエンスの分野の初期の最良の例でした。現在、輸送の分野でp44と呼ばれる企業があり、非常に順調です。ヘルスケア分野のDoximityは医師向けのLinkedInのように深く浸透しており、いくつかのリモートヘルス機能を備えています。そして金融サービス分野には融資会社のBlendがいる。これらの企業はクラウドソフトウェアを採用しており、業界の最も重要な問題に深く取り組んでいます。

3番目のテーマはリモートワークの周辺領域です。Salesforceが何年かかけてプラットフォームになったように、Zoomもほとんどプラットフォームとなりました。Zoomは明らかに我々の投資の中でも最高のものでした。我々はClassEDUという会社に資金を提供しました。これはZoom上で提供される教育市場向けサービスです。Snowflakeもプラットフォームになりつつあります。新しい機会は単に次のコラボレーションツールを考え出すことにあるわけではありません。特定の用途または業種に深く入り込むことにあります。

TC:ここ数年であなたが見逃した会社と得た教訓について教えてください。

JG:我々には恥の殿堂があります(笑)。我々が同じ会社に投資していたとしても、同じことが起こったと考えるのは危険だと思います。交渉のテーブルに同席したその投資家だったからこそ、会社の結果に違いをもたらしたのだと私は信じています。私は逃した機会に関して自分をあまり責めないようにしています。会社が成功するにあたり、(我々が関与するよりも)良い組み合わせや投資家に出会ったかもしれないからです。

しかし、CoupaのRob Bernshteyn(ロブ・バーンシュタイン)氏は、彼がSuccessFactors(同社の製品マーケティング担当副社長だった)にいたときから知っていて、私はいつも彼を尊敬し、気に入っていました。我々は常に同社のバリュエーションの推移を追いかけていました。確か8000万ドル(約83億円)か1億ドル(約104億円)のバリュエーションだといわれて我々は断りました。現在は200億ドル(約2兆800億円)で評価されています。夜、眠れなくなるには十分の経験です。

その時点では、(投資対象の)事業に関してリスクや懸念があったり、より積極的になることをいとわない人々が他にいたりして、機会を逃すことがあります。我々のビジネスの素晴らしいところは、ゼロサムゲームではないという点です。

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タグ:SPAC

画像クレジット:Emergence Capital

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(翻訳:Mizoguchi

D2Cスタートアップにフレッシュな視点で臨む新しいVC企業The-Wolfpack

新型コロナウイルスによるパンデミックが、消費者市場とレジャー産業そしてメディア企業に大打撃を与えている中で、The-Wolfpackと呼ばれる新しいベンチャー企業は、これらの分野に対してきわめて前向きだ。シンガポールに本社を置く同社は、世界最大の広告とメディア企業の1つであるGroupMのマネージングディレクターたちが創業し、同社のポートフォリオ企業との密接な協力関係を狙っている。社名の由来は、「起業家は狼の群れの仲間であるとき最も栄える」という同社のエコシステム重視の信念にある。

The-WolfpackのデビューファンドであるWolfpack Pioneer VCCは、目標額の500万ドル(約5億2000万円)がすでに全額集まり、8社から10社の消費者直販(D2C)企業に投資される予定だ。同社はすでに第2のファンドの募集を初めており、その目標額は2000万シンガポールドル(約1490万ドル、約15億6000蔓延)あまりだ。また台湾に第2のオフィスを構える計画があり、インドネシアへの進出も予定している。

The-Wolfpackは、ともにGroupMにいたToh Jin Wei(トー・ジン・ウェイ)氏とSimon Nichols(
サイモン・ニコルズ)氏、そしてSunray Woodcraft Constructionの元ディレクターであるTan Kok Chin(タン・コック・チン)氏が創業した。チン氏は以前、Marina Bay SandsやRaffles Hotelそしてシンガポール観光局などのプロジェクトを担当した。

The-Wolfpackはスタートアップに資金を提供するだけでなく、同社のポートフォリオ企業を軸とするエコシステムを作りたいと考えている。それにより彼らを、各種知財のオーナーやデジタルマーケティングのエキスパート、コンテンツ制作者、デザイナーなどと結びつけ、今後オフラインの展開もできるようにしていく。また同社の計画では、互いに組み合わせ販売の可能性がある複数のスタートアップへの投資も構想している。

トー氏によると、The-Wolfpackの公式の企画は2019年の終わりごろスタートしたが、そのとき彼とニコルズ氏は、5年前にGroupMにいるときから考えていた自分たちの事業を立ち上げる気だった。

「狙っているニーズという点では、両社は似通っていた。つまり、D2Cの創業者の支援を熟知している戦略的投資家であることだ」とトー氏は語る。

The-Wolfpackが狙う主な業態は消費者向け企業とレジャー産業とメディア企業の3つだが、いずれもパンデミックの経済的影響が大きい。しかし同時に消費者の習慣も変わりつつあるのだから、そこにはイノベーションの機会もある、とニコルズ氏は語る。

消費者の支出額が落ちても、よりクオリティの高いエンゲージメントの構築を志向しているブランドに、消費者はより惹かれるようになると彼はいう。「この変化をよく理解して正しく対応できるD2Cブランドには、本物のビジネスアドバンテージがある」と彼は主張している。

The-Wolfpackのこれまでの投資はまだどれも完了していないため詳細は明かされないが、同社のデビューファンドが関心を寄せているブランドの一例として、東南アジア進出を狙っているオーストラリアのメイクアップアーティストや、そのエコシステムにオリジナルコンテンツやゲームのチーム、スタジオなどを含むオンラインゲーム企業がある。後者はThe-Wolfpackの支援により、リアルのスタジオを建設して、オフラインでの体験も販売していく予定だ。

「これまでも企業は消費者に語りかけてきたが、これから重要なのは双方向の会話だ。そこにはD2Cのスタートアップにとっても、飛躍的な成長の機会が眠っており、そこが大きな投資機会でもある」とトー氏は信じている。

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タグ:The-WolfpackD2C

画像クレジット:The-Wolfpack(共同創業者:Toh Jin Wei, Tan Kok Chin, Simon Nichols)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

独立系VC「ANRI」が4号ファンド投資先において女性起業家比率を20%まで引き上げると発表

独立系VC「ANRI」が4号ファンド投資先において女性起業家比率を20%まで引き上げると発表

独立系ベンチャーキャピタルANRI(代表:佐俣アンリ氏)は11月24日、4号ファンド投資先において起業家が女性である企業の比率を最低でも20%に引き上げるとの投資方針を発表した。

ANRIは、多様なバックグラウンドを持つ人々が関わり合う環境や、異質な他者の存在に想像を働かせ、そして受け入れる姿勢が、従前には不可能であった様々な課題を解決する糸口のひとつであると信じているという。

この信念のもと、スタートアップ業界におけるダイバーシティ(多様性)やインクルージョン(機会均等)を推進する取り組みのひとつとして、現在運用中の4号ファンド(ANRI4号投資事業有限責任組合員)では、全投資先のうち女性が代表を務める企業の比率を最低でも20%に引き上げるとの投資方針を明らかにした。

代表の佐俣アンリ氏によると、今後ANRIの社会に対する責任をより明確にし、20%という数字をきっかけに取り組みを進化させるという。

また同社はダイバーシティ&インクルージョンの取り組みとして、まずはジェンダーから取り組みを始めるものの、今後はLGBTQ+、障がい者など多様な生き方をスタートアップという手法を通じて支援するとしている。

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タグ:インクルージョン(用語)ダイバーシティVC / ベンチャーキャピタル(用語)日本(国・地域)

VC会社a16zが2つのファンドをクローズ、管理資産は計1.7兆円兆に

Andreessen Horowitz(a16z、アンドリーセン・ホロウィッツ)は計45億ドル(約4670億円)になる2つのファンドをクローズした、と米国時間11月20日朝のブログ投稿で明らかにした。同社はコンシューマー、企業、フィンテックにフォーカスしたアーリーステージファンド向けに13億ドル(約1350億円)を調達した。そしてレイターステージ投資のために32億ドル(約3320億円)のグロースステージファンドをクローズした。同社はコメントの求めには応じなかった。

2つのファンドは、同社が近年調達してきた新規ファンドのサイズを考えると典型的なもののように思える。それでもa16zがわずか11年前に設立され、メンロパークとサンフランシスコにオフィスを構えていることを考えると、これらのファンドの額は並外れたものだ。

並外れているといえば、同社が管理する資産は今回のファンドにより165億ドル(約1兆7130億円)になる。

a16zが直近のファンド2つをクローズしたのはわずか20カ月前のことだ。20億ドル(約2080億円)のレイトステージファンド、そして7億4000万ドル(約770億円)のフラッグシップアーリーステージファンドだ。

同社はまたこれとは別に、仮想通貨にフォーカスした5億1500万ドル(約535億円)のファンドを2020年4月に発表した。この手のものとしては2つめのビークルになる。また2月には3つめのバイオテック・ヘルスケア投資ファンドを開始し、支払い確約額7億5000万ドル(約780億円)でクローズした。

1年で扱う資本としてはかなりの額だ。同社のリミテッドパートナーがポートフォリオについて楽観的だった理由がある。例えば1月には、a16zが2018年後半のシリーズCラウンドに加わったフィンテック企業のPlaid(プレイド)は、計3億1000万ドル(約320億円)を調達した後に、53億ドル(約5500億円)でVisa(ビザ)に買収された。

司法省は最近、独禁法の観点からこのディールを阻止しようと提訴したが、このディールが反故になったとしても業界観測筋はPlaidの展望を好意的にみている。

a16zはまた、間もなく上場するAirbnbの投資家でもあるが、AirbnbのS-1によるとa16zは2011年にAirbnbのシリーズBラウンドをリードし、a16zのゼネラルパートナーであるJeff Jordan(ジェフ・ジョーダン)氏がAirbnbの役員を務め、結果として同社の株式所有を示す必要がると考えられるにもかかわらず、S-1書類に記載されるほどa16zの持分は十分でない。

TechCrunchはa16zが持分の一部あるいはすべてを2020年始めに売却する可能性があるか尋ねたが、いまだ返事は得られていない。

a16zのポートフォリオにある別の企業、現金払い主義の貸付会社Affirm(アファーム)も上場申請した。a16zはAffirmの2015年のシリーズBラウンドで初めて参加した。AffirmのS-1書類にもa16zは記載されていない。つまり持分は5%以下であることを意味する。

そしてa16zはゲーム会社Roblox(ロブロックス)の投資家で、2020年初めの1億5000万ドル(約156億円)のシリーズGラウンドをリードした。Robloxは今週初めにS-1を提出したが、ここにもa16zの名はない。

アーリーステージ部門では、ボイスチャットアプリClubhouse (クラブハウス)の1億ドル(約104億円)のバリュエーション、Y Combinator卒業生Trove(トローヴ)の7500万ドル(約78億円)のバリュエーションなど、a16zは派手な取引でよく知られている。

a16zは直近ではまた、過小評価されている創業者たちに投資するためにドナーアドバイズドファンド(助成先の分野を指定して資金を出す制度)を使っているTxOアクセラレーターを立ち上げた。a16zのパートナーNait Jones(ナイト・ジョーンズ)氏が率いるTxOは最初のグループの7社にそれぞれ10万ドル(約1040万円)を投資し、7%の持ち株を得た。

ドナーアドバイズドファンドは最初の取り組みで220万ドル(約2億3000万円)を立ち上げ、Ben Horowitz(ベン・ホロウィッツ)氏とFelicia Horowitz(フェリシア・ホロウィッツ)氏は最大500万ドル(約5億2000万円)とすると発表した。このファンドの企業からのリターンは投資ビークルに再利用される見込みだ。a16zはファンドの総規模については明かさなかった。

a16zは現在185人を雇用し、直近ではニューヨーク証券取引所の最高規則責任者だったAnthony Albanese(アンソニー・アルバネーゼ)氏を仮想通貨チームのパートナーとして採用した。

a16zのこれまでで最大の成功の1つは、GitHub(ギットハブ)のようだ。GitHubは2018年に75億ドル(約7790億円)の全株取引でMicrosoft(マイクロソフト)に売却された。報道によるとこのディールでa16zは10億ドル(約1040億円)超を手に入れた。a16zがGitHubに投資した際、その額は当時のa16zがそれまでに発行した小切手の中では最高の1億ドル(約104億円)だった。Benchmark(ベンチマーク)などとの厳しい競争でディールを獲得するには十分なものだった。ゼネラルパートナーのPeter Fenton(ピーター・フェントン)氏が最近述べたように、Benchmarkもまた当時GitHubにいい寄ろうとしていた。

a16zは仮想通貨取引のCoinbase(コインベース)の初期投資家だ。Coinbaseは直近では投資家に80億ドル(約8300億円)と評価され、来年初めにもIPOを検討していると報道されている。加えて、a16zは人気の投資アプリRobinhood(ロビンフッド)にも出資している。Robinhoodは9月に117億ドル(約1兆2000億円)と評価された。

Robinhoodも近い将来IPOを検討するといわれている。

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タグ:Andreessen Horowitz

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(翻訳:Mizoguchi

俳優アシュトン・カッチャー氏のSound Venturesが第3のファンドで155億円超を調達へ

Ashto Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏とGuy Oseary(ガイ・オセアリー)氏が共同設立したSound Ventures(サウンドベンチャーズ)は3番目のファンドで1億5000万ドル(約155億8000万円)を調達する計画をまとめた書類を提出した。同社は2018年の2番目のファンドでも同じ金額の書類を提出している。

新しいファンド設立計画に関するコメント要求に対して、同社からの回答はない。Sound Venturesはレイトステージのスタートアップに高額の小切手を切ることで知られているが、基本的にステージにこだわらない。カッチャー氏の名前と高額な資金規模をよそに最近同社は比較的静かに行動している。

Sound Venturesのウェブサイトには、同社が「クリーンで多くの人が参加できる持続可能な次世代ビジネス」に特化したSOUNDWavesと呼ばれるファンドを運営していると書かれている。果たしてこの日の申請がSOUNDWavesのためなのかSound Veturesの主要ファンドなのか、それとも会社の新しい方針によって2つが統合されたものなのかははっきりしない。

2018年にカッチャー氏は、車よりもスクーターのほうが好きだとTechCrunch Disruptの壇上で語った(未訳記事)。「車はあたり構わず駐車します!あれはひどい!おかげで道路は渋滞し、行きたいところへ行くのが不可能になっています」とカッチャー氏は語った。注目に値するのは、Sound VenturesがBirdにも投資ししていることで、BirdはSPACによる上場を検討している(Bloomberg記事)ことを今週発表している。

2020年は出資の話題が続き、オハイオ州拠点の自動車保険会社、Rootが今年上場し(未訳記事)、そして、温かく迎えられた(未訳記事)。

マイクロモビリティーと保険の他にもSound Venturesは、フィンテック、エンタープライズ、govtech(ガブテック。行政テクノロジー)、メドテック(医療テクノロジー)インフラストラクチャーマーケットなどでチャンスを伺っている。同社はRobinhoodやGustoなどにも投資している。

新ファンドの申請は、Sound Venturesのチームが成長を続けている最中の出来事だ。2017年にSound VenturesはEffie Epstein(エフィー・エプスタイン)氏を雇い(未訳記事)、同氏はマネージングパートナー兼COOに就任した。エプスタイン氏の採用はSound Venturesが一般投資家以外にも目を向け始めたのを受けたものだ。他にはグロース投資家でStripeのグロースマーケティングを統括していたSusan Su(スーザン・スー)氏や、以前VICE MediaとMaverick Managementで働いていたKatherine Keating(キャサリン・キーティング)氏を採用している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

オリックスがイスラエルの投資プラットフォームOurCrowdに62億円出資

オリックスは米国時間11月20日、イスラエルの 投資プラットフォームOurCrowd(アワークラウド)に6000万ドル(約62億円)の戦略的投資を行った、と発表した。そのお返しとして、OurCrowdはオリックスがOurCrowdのスタートアップネットワークにアクセスできるようにする。OurCrowd はまた、両社が日本とグローバルのマーケット向けに金融商品と投資機会を作ることでコラボすると話す。ここには、OurCrowdのベンチャーファンドと同社のポートフォリオにある企業へのアクセスが含まれる。

「オリックスは多様なビジネスや、さまざまな方法でOurCrowdを強化する金融サービスにおけるグローバルリーダーです」とOurCrowdのCEOであるJon Medved(ジョン・メドベジ)氏は発表で述べた。「ベンチャーキャピタルアセットクラスをさらに変革し、イノベーティブな企業に重要なアジアマーケットへの橋渡しを提供するというポテンシャルに心躍らせています」。

一方のオリックスは、米国を含む37カ国ですでに事業を展開しているが、イスラエルでの投資は今回が初となる。この件は、イスラエルでの日本の投資が急増をみせている中でのものだ。例えば2020年初め、イスラエルを代表する航空会社であるEL AL Israel Airlines(エル・アル航空)は東京への直行便を飛ばそうとしていた。パンデミックで直行便はキャンセルになったが、2国間の拡大するビジネス関係を示すものだ。

「イスラエルの最もアクティブなベンチャー投資家であり、世界で最もイノベーティブなベンチャーキャピタルプラットフォームの1つであるOurCrowdに投資することに興奮しています」とORIX UKのCEO、羽広潔氏は述べた。「当社はOurCrowdのアクティブパートナーとなり、すでに印象的なOurCrowdの成長を加速させるのをサポートするつもりです。その一方でイスラエルの優れたテックを日本の産業・金融部門にもたらします」。

これまでのところ、OurCrowdは22のファンドで220社に投資を行った。最も成功したエグジット例としてはBeyond Meat、Lemonade、JUMP Bike、Briefcam、Argusなどがある。オリックスもまた不動産、銀行、エネルギーサービスなどへの投資を行っていて、かなり充実したポートフォリオを持っている。

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(翻訳:Mizoguchi