「ガンダムオープンイノベーション」が人類が向き合うべき社会的課題に対応する革新的なアイデア・技術を募集中

「ガンダムオープンイノベーション」が人類が向き合うべき社会的課題に対応する革新的なアイデア・技術を募集中バンダイナムコグループでは、2018年・2019年に、従来のビジネスモデルや常識にこだわることなく、次のステージに向けたCHANGEにつながる事業アイデアを募集する「バンダイナムコアクセラレーター」を実施した。現在そのバンダイナムコアクセラレーターが、「ガンダム」を活用したサステナブルプロジェクト「GUNDAM UNIVERSAL CENTURY DEVELOPMENT ACTION」(GUDA)第2弾にあたるプログラム「ガンダムオープンイノベーション」を実施中だ。「ガンダムオープンイノベーション」が人類が向き合うべき社会的課題に対応する革新的なアイデア・技術を募集中

このガンダムオープンイノベーションとは、現実世界において「宇宙世紀」を新たに捉え直し、ガンダムの世界同様に現実世界が抱えている「社会課題」に対して、「ガンダム」と「未来技術」を掛け合わせることにより未来の夢と希望を現実化するプログラム。

バンダイナムコグループは、ガンダムの持つ壮大な世界観には、まだ実現できていない新しい技術や可能性がつまっているとし、その可能性を現実のものとしワクワクする未来に向かって発展していくため多くの人々の創造力と知恵と情熱を結集していきたいと考えているという。

ガンダムの世界同様に、人類が向き合っていくべき課題である人口問題、環境問題、宇宙進出などの未来社会につながるサステナブルなテーマ/領域において、革新的なアイデアや技術などについて、共創プランとして幅広く募集している(ガンダムに関連する作品アイディア・商品化を募集するものではない)。エントリー1次締め切りはすでに終了しているものの、最終締め切りを2021年9月15日まで応募可能だ。

「ガンダムオープンイノベーション」概要

  • 募集テーマ:人口問題、環境問題、宇宙進出などの未来社会におけるサステイナブルなテーマ/領域において、革新的なアイデアや技術などを共創プランとして幅広く募集
  • 応募方法:「ガンダムオープンイノベーション」の「ガンダムオープンイノベーションにエントリーする」より応募
  • 最終締め切り(エントリー2次):2021年9月15日
  • 参加条件:年齢・性別・国籍含め、特になし。学生、複数企業・団体でのチームを組んでのエントリーも可能。プランが固まっていない方や、まだプログラムへの応募を迷っている方を含め、様々な分野での技術開発・研究や、取り組みに関心がある方も参加可能
  • 求めるパートナー:「ガンダムへの深い理解」「募集テーマにおける技術・経験・実績」「今後の実現性(3~4カ年の計画)」を評価。宇宙世紀を起点に人類の革新や人類が望む未来社会を構想し、本気で実現に向けて挑むことのできる様々な分野のエキスパートやイノベーター、研究機関や先端企業などのパートナー
  • 選考基準:「ガンダム×サステナブルな未来社会への明確なビジョン」に対する本気度やそれを裏付ける技術や先進性が高い取り組みを確認
  • 支援内容:「ガンダム公認として『オフィシャルによる活動の促進』、『ガンダムの素材や資料などの提供』『IPの素材や資料などの提供』」や「共同プロジェクトとして『長期的な連携を視野に入れた共創、支援』『対象となる領域への将来性や成果などを含めた出資検討』」「社会実装・披露の場として『コンセプト社会実装の場、イベントなどを提供』」を予定
  • グランドスケジュール:2021年採択パートナー発表。2022年採択パートナーとのアクションプラン公開。2023年採択パートナーとの進捗状況を公開。2024~2025年採択パートナーとの活動報告(発表の場)

求めるパートナーにある「ガンダムへの深い理解」では、「ガンダムIPと未来社会への明確なビジョンや熱意はあるか」「本気で世界の未来社会にイノベーションをもたらすための動機があるか」をみるという。「募集テーマにおける技術・経験・実績」では、「技術の新規性や将来性、過去の実績」「このプログラムで実現する未来への先進性と魅力度があるか」を重視。「今後の実現性(3~4カ年の計画)」では、「ガンダムで描かれた未来を解釈し、現代社会においてゴールへの具体的なプランが提示できているか」「中長期(3~4カ年)でビジョンを現実にフィードバック/アプライできるか」を検討するとしている。

バンダイナムコグループは、IP軸戦略のもと、ファンとともに持続可能な社会の実現に向けたサステナブル活動を推進していく、グループのサステナビリティ方針を策定。その一環として、チーフガンダムオフィサーを主宰としたバンダイナムコグループ横断プロジェクトである「ガンダムプロジェクト」において、GUDAを立ち上げ、ガンダムオープンイノベーションを実施している。

このガンダムプロジェクトとは、バンダイナムコエンターテインメント常務取締役藤原孝史氏が務めるチーフガンダムオフィサーを主宰とし、バンダイナムコグループ全体でより効果的なガンダム戦略を立案・実行するためのグループ横断プロジェクト。このガンダムプロジェクトを中心として、ガンダムによるグループ事業強化と同時に、グループ外との連携も強化してグループ内リソースのイノベーションを図り、「機動戦士ガンダム」シリーズのIP価値を向上させ、世界最大級のIPとして成長させることに取り組んでいる。


©︎創通・サンライズ

ジェトロが全国8カ所でアクセラレーションプログラム開始、世界展開を目指すスタートアップを100社募集

ジェトロが全国8カ所でアクセラレーションプログラム開始、 世界展開を目指すスタートアップを100社募集

日本貿易振興機構(ジェトロ)は、内閣府「スタートアップ・エコシステム形成推進事業」拠点都市8カ所において、スタートアップ対象のアクセラレーションプログラムをオンラインで実施すると発表した。「スタートアップシティ・アクセラレーションプログラム」として、グローバル展開を目指すスタートアップを募集している。プログラム期間は2021年10月下旬~2022年3月頃で、デモデイは2022年2~3月予定。参加費は無料で、応募締め切りは9月27日17時。参加スタートアップは、ビジネスモデル構築のためのメンタリングや、海外投資家・ビジネスパートナーとのネットワーキング・マッチングの機会が得られる。

同プログラムは、世界トップレベルのアクセラレーターとジェトロが提携し、日本のスタートアップのグローバル展開を後押しするとともに、日本の地方エコシステムの活性化を目的としている。2020年度の試行を経て2021年度は本格実施へ移行し、参加対象地域・企業数・プログラムコースを拡充した。

今回の取り組みでは、プログラム参加対象企業のエリアを国内全8カ所に拡大。2020年度の対象地域、グローバル拠点都市4カ所にエコシステム推進拠点都市4カ所を加え、合計100社程度のスタートアップを募り、スタートアップ・エコシステムの底上げ・活性化に取り組む。

またプログラムコースとしては、「Global Scaleステージ」(5コース)と「「Global Preparationステージ」(1コース)の2ステージを用意した。

スタートアップ・エコシステム拠点都市「グローバル拠点都市」

  • スタートアップ・エコシステム 東京コンソーシアム:東京都、川崎市、横浜市、和光市、つくば市、茨城県など
  • Central Japan Startup Ecosystem Consortium:愛知県、名古屋市、浜松市など
  • 大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアム:大阪市、京都市、神戸市など
  • 福岡スタートアップ・コンソーシアム:福岡市など

スタートアップ・エコシステム拠点都市「推進拠点都市」

  • 札幌・北海道スタートアップ・エコシステム推進協議会:札幌市など
  • 仙台スタートアップ・エコシステム推進協議会:仙台市など
  • 広島地域イノベーション戦略推進会議:広島県など
  • 北九州市SDGsスタートアップエコシステムコンソーシアム:北九州市など

応募要件(すべて満たす必要がある)

  • スタートアップ・エコシステム拠点都市(8拠点都市)のスタートアップ企業
  • 海外での事業展開や資金調達を検討している
  • 商談可能な英語力を有する(取締役、海外展開責任者)
  • 海外展開について意思決定権を有する方(取締役、海外展開責任者)が参加可能
  • 利用条件」に同意し、同コースに関わるすべてのプログラムに参加できること
  • プログラム後のアンケートなどへの協力

「スタートアップシティ・アクセラレーションプログラム」概要

  • 期間(予定):プログラムは2021年10月下旬~2022年3月頃、デモデイは2022年2~3月予定
  • 形式:オンライン(状況次第でオフラインも検討)
  • 募集期間:2021年8月26日~9月27日17時
  • 参加費:無料
  • プログラム詳細・申込:「スタートアップシティ・アクセラレーションプログラム
  • プログラム目的(Global Scaleステージ):販路開拓、事業提携、資金調達
  • プログラム目的(Global Preparationステージ):グローバル展開の基礎知識の習得、海外市場展開意欲向上
  • プログラム内容:講義セッション(マインドセット/コミュニケーション/戦略立案/人材獲得、資金調達・ファイナンス/マーケティングなどに関する座学セッション・ワークショップ)、1on1メンタリング、ネットワーキング、投資家・海外企業に向けたデモデイ
  • 参加対象企業:スタートアップ・エコシステム拠点都市のスタートアップ企業

Global Scaleステージ(5コース)

グローバル展開を加速する企業を対象とするGlobal Scaleステージでは、分野に特化した専門コースを複数新設。B2B・SaaSやバイオ・ヘルスケア分野をはじめ、グローバルトレンドである気候変動・サステイナビリティ分野、大学発・ディープテック分野に特化したコースを設けた。

プログラムの目的

  • グローバル展開の市場参入戦略の策定
  • 市場インサイトの獲得・ネットワーキングの構築
  • 販路開拓、事業提携、資金調達を目的としたプログラム

プログラム概要

  • 販路開拓、事業提携、資金調達を目的としたプログラム
  • メンタリング・イントロダクションを中心としたプログラム構成。座学ではなく、より実践的なプログラム
  • プログラム全体構成は委託先の意向も聞いた上でコースごとに調整(2~3部構成を想定)
  • プログラムは英語にて実施。必要に応じて参加者が通訳者を手配

Global Preparationステージ(1コース)

グローバル展開に向けた準備に取り組む「Global Preparationステージでは、より手厚く、より多様なニーズに応えるべく、日米を熟知するアクセラレーター2社によるプログラムを展開、きめ細かなサポート体制を敷いている。

プログラムの目的

  • グローバル展開の基礎知識の獲得
  • バリュープロポジションの精錬
  • マーケット・インサイトの獲得、ネットワーク構築

プログラム概要

  • グローバル展開の基礎知識の習得、海外市場展開意欲向上を目的としたプログラム
  • 講義とメンタリングを中心とした、基本的に週2日(3時間/日)程度のライトなプログラム構成
  • Acceleration Phaseで選抜された企業(約10社)については販路拡大、資金調達などを目的としたエクステンション・プログラムへの参加
  • セミナー・ワークショップはすべて日本語での受講が可能

ジェトロが全国8カ所でアクセラレーションプログラム開始、世界展開を目指すスタートアップを100社募集 ジェトロが全国8カ所でアクセラレーションプログラム開始、世界展開を目指すスタートアップを100社募集

アクセラレータープログラムCode Republicが第9期デモデイ開催、第10期参加スタートアップも募集中

アクセラレータープログラムCode Republicが第9期デモデイ開催、第10期参加スタートアップも募集

ZホールディングスCVC「Z Venture Capital」と、日本と東南アジア最大級のシードVC「East Ventures」が共同運営し、創業からシリーズAの達成を目指すアクセラレータープログラム「Code Republic」(コード・リパブリック)は8月26日、第9期デモデイを開催。採択企業6社が発表を行った。

登壇した企業は次の6社。

アイホック

アイホックは、札幌市内でよく利用する店舗から最短30分で配達する買い物代行サービス「ihok!」(Android版iOS版)を展開。

grow&partners

grow&partnersは、スマホのLINEで一時保育の予約と検索が1分で行えるサービス「あすいく」を運営している。

JUST INNOVATION

JUST INNOVATIONは、ゴルフクラブ選びを専門家に相談できる通販サイト「JUST GOLF」を展開。

Boomee

Boomeeは、事前注文と決済ができる待ち時間ゼロでランチが楽しめるアプリ「Boomee」(ブーミー。Android版iOS版)を展開。

PONT

PONTは、リンク、コンテンツ、販売を一元化できるクリエイターのためのプロフィールサイト「Pont」を運営。

Mierba

Mierbaは、履歴書やエントリーシートではわからない採用候補者の適合性を可視化するプレスクリーニングサービス「Mierba」(ミエルバ)を展開している。

第10期(2021年秋冬プログラム)の採択企業を募集

Code Republicでは第10期(2021年秋冬プログラム)の採択企業を募集している。応募締切は、2021年9月5日23時59分。応募フォームはこちら

プログラム内容

  • 初回投資:創業資金700万円のシード投資。事業の成長に応じてZ Venture Capital、East Venturesから追加投資が実施される
  • メンタリング:事業進捗に対して、Z Venture Capital、East Venturesのキャピタリストから、または起業家同士でフィードバックを実施。起業初期に陥りやすい失敗を防ぎ、最短での事業成長を後押しする
  • 月次発表:Code Republicのアドバイザーに事業進捗を発表。フィードバックにより事業の精度を高める
  • 勉強会:隔週でVCや各領域の専門家を招いて勉強会を開催。さまざまな専門知識を習得し、起業家同士のつながりを構築する。
  • デモデイ:プログラム最終日にデモデイを開催。次回調達のための投資家との関係構築を行う

募集要項

  • プログラム期間:2021年10月中旬から2022年2月下旬
  • 募集締切:2021年9月5日23時59分
  • 応募フォームに必要事項を記入して申し込むと、書類選考の後、面談選考が行われる。書類選考の合否通知は9月上旬を予定

UTECがディープテック創業者の仕事の商業化を支援する新たなイニシアチブをローンチ

2021年7月、東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)は、ディープテック創業者の多くが直面していると同社が指摘する問題に取り組むため、新たなプログラムをローンチしている。創業者たちは、インキュベーターやアクセラレータープログラムからプレシード資金を調達できても、アーリーステージのラウンドに進む前に資金ギャップに達してしまうことがある。資金がなければ、どんなに有望なテクノロジーであっても、商用化には時間がかかる。

東京大学をはじめとするアカデミアと連携している独立系ベンチャーファンドであるUTECは、このギャップに対処するために「UTEC Founders Program(UFP)」を開設した。フレキシブルな条件で最大100万ドル(1億円)を投資する「Equity Track(エクイティ トラック)」と、半年ごとに受領者に授与される約5万ドル(500万円、必要に応じ最大10万ドル[1000万円])の非希薄化型(ノン・ダイリューティブ)の助成金である「Grant Track(グラント トラック)」の2つのトラックから成る。

UFPのアプリケーションは、世界中のディープテック研究者や創業者に開かれている。

UTECは5月に約2億7500万ドル(約300億円)規模のファンドを立ち上げ、通常約100万ドルから500万ドル(約1億円~5億円)の小切手を発行している。同社が運用している資産総額は約7億8000万ドル(約850億円)に上る。UTECはサイエンスおよびテクノロジー企業向けの日本最大のベンチャーキャピタルファンドであり、アジア最大のディープテックファンドの1つであると同社は語っている。

ディープテック研究者や起業家からのフィードバックを受けて、同ファンドのパートナーらは、研究者や起業家が潜在的にインパクトのあるテクノロジーを開発したとしても、すぐにシード資金を調達できる状態にない可能性があることを認識した。今回のイニチアチブを通じて、多くのチームが、長いデューデリジェンスのプロセスを待つのではなく、テクノロジーの商用化の準備を続けるための迅速な資金調達からも恩恵を受けることになるだろう。

UTECのプリンシパルで、UFPのリーダーを務める小林宏彰氏とKiran Mysore(キラン・マイソール)氏は、TechCrunchに宛てたeメールの中で次のように述べている。「満たされない市場ニーズに応えるために新製品を生み出す起業家のように、UTECでは、サイエンスおよびテクノロジーの研究者や起業家のために、より機敏な形で新しい投資商品を提供するよう努めています。UFPは、UTECが15年以上にわたって培ってきたディープテック投資の経験と学習を、アーリーステージのテクノロジー商品化イニシアチブにつなげていこうとする試みです」。

Equity Track(エクイティ トラック)は主にシードおよびプレシリーズAのスタートアップを対象としており、SAFE、KISSやJ-KISS(日本版Keep It Simple Security)、転換社債、普通株といったフレキシブルな投資条件を提供している。年間を通して応募を受け付け、合格者には3日以内に一次面接が行われる。マイソール氏によると、デューデリジェンスと投資委員会のプロセスは、最初のインタビューから4週間以内に完了するという。

Grant Track(グラント トラック)は起業前またはアーリーステージのスタートアップを対象としており、資金はプロトタイピング、市場テスト、リクルートメントなどに利用できる。第1期募集は6カ月ごとに行われ、毎回約5チームが選ばれる。第1期の応募締め切りは7月31日で、決定は9月に行われる。

UFPに参加するディープテックチームは、115を超える日本および世界のスタートアップ、学術機関、政府機関、企業からなるUTECのネットワークへのアクセスも獲得することになる。

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画像クレジット:Yuichiro Chino / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Dragonfly)

スタートアップの成長率を追う

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。

こんにちは!先週は慌ただしいどころの話ではなかった、そのため話題がてんこ盛りだ。今回お届けするのは、ブラジルのIPO市場に関するメモ、シカゴのスタートアップシーンに関する報告、スタートアップ企業たちの最近の成長に関連する数々の数字などだ。ということで、アーリーステージレイトステージのスタートアップ、海外のスタートアップ国内のスタートアップが好きな方には、ぴったりの内容となるだろう。

先週もまた、資金調達ラウンドについてのツイッターでの会話が続いていた。簡単に言えば、他のスタートアップ活動よりも、資金調達ラウンドを優先するメディアに対する不平不満が多く聞かれたのだ。それに対する私の意見を述べるなら、私たちのようなライター稼業連中が資金調達ラウンドを取り上げる理由は、それこそがあるスタートアップがその事業の成果を実際に発表しようとする貴重な瞬間だからなのだ。

投資家は、創業者がどうやってアイデアを思いついたかを短い電話会議で聞いただけでは、その会社に投資しようとは思わないだろうということを考えると、VCが時折こうした報道に文句をいうというのは馬鹿げた話だ。しかも創業者に対しては「メディアには何もいうな」という。なんてことだ。

そんなこんなで、私はこう叫ばずにはいられない「スタートアップ企業のみなさん、データを下さい!」と。そして、それに応えてくれた企業もある!また、以前に発表されていたものの、私たちが見逃していたものについて、メモを送ってくれた企業もあった。

そこで今回は、さまざまなステージや市場などから、スタートアップの成長をダイジェストでご紹介しよう。

CopyAI(コピーAI): 最近ARR(年間経常収益)が200万ドル(約2億2000万円)を突破した。CopyAIは、ビジネスを構築するために忙しくしているが、同時にメトリクスを共有しながら進めている(それは私たち好みのやりかただ)。その一方で、外部から資金を調達して急成長を遂げており、情報を共有しスタートアップが即座に炎上することはないことを証明している。

CEOのPaul Yacoubian(ポール・ヤクービアン)氏に、期待通り成長しているのかどうかを尋ねたところ「そうだ」という答えが返された。次に尋ねたいのは、会社の規模が再び2倍になるまでにはどのくらいかかるのかという質問だ。CopyAIがARR100万ドル(約1億1000万円)に達したのは2021年の初めだったのだ。

TextNow(テキストナウ): いまやARRが1億ドル(約110億円)を超えた。同社は創業以来200万ドル(約2億2000万円)以下の資金しか調達しておらず、基本的には自力で立ち上がった企業だ。最近CFOを採用している。その意味はおわかりだろう、IPOが近いということだ。正直なところ、TextNowは私がよく知っている会社ではなかったが、情報を共有してもらえたので、もっと知りたいと思うようになった。楽しみにしておこう!

Kalendar AI(カレンダーAI): この会社は、利用者が営業会議を予約することをAIを使って支援するらしい。このモデルは一定の支持を得ていると、創業者でCEOのRavi Vadrevu(ラビ・バドレブー)氏はいう。彼は、銀行の残高や成長のチャートなどの数々の指標をThe Exchangeに示した(データ万歳!)。そしてARRは6桁(数千万円台)に達し、最近のラウンドでは70万ドル(約7680万円)を調達した。

そして、そのチャートによれば、加入者の増加が加速しているように見える。また別のデータセットによると、この8月は、同社のビジネスの主要な(非GAAP的)指標である会議予約数に関して、これまでで最も忙しい月になるようだ。同社は、この数字(予約数)が毎月30%ずつ増加しているという。

バドレブー氏自身の言葉によれば、Kalendar AIは「AWSが仮想化でイノベーションを大衆化したように、企業の成長を大衆化したい」と考えている。

Balto(バルト):Baltoはセントルイスを拠点とするスタートアップで、これまでの調達資金額が5000万ドル(約54億9000万円)を超えたばかりだ。これは、先ごろ行われたシリーズBで、3750万ドル(約41億2000万円)という良い結果を得た結果だ、同社のCOOであるChris Kontes(クリス・コンテス)氏によれば「Jump Capital、OCA Ventures、Sandalphon」がこのラウンドに参加したという。シカゴ市場に関する最近の記事を読んでいただければ、これが大変なことだとわかるだろう。

にもかかわらず、Baltoは2020年第3四半期にシリーズA調達を行って以来、顧客ベースを84%、収益を200%成長させたという。私は、同社の顧客数と売上高の伸びの違いは、NDR(Net Dollar Retention、売上継続率)や、より大口の顧客によってもたらされたものなのかと尋ねた。コンテス氏は「答は『どちらも』です、ややNDRに寄っていますけれど」と答えた。絶対的な数字は答えてもらえなかったが、Baltoの「NDRは150%を超えています」と彼はいう。すばらしい。

ちなみにこの会社はサポート要員が、コール中に何をいうべきかを知ることができる技術を開発している。どうやらそれが、大きなビジネスになっているようだ。

HostiFi(ホスティファイ): デトロイト近郊に本社を置くHostiFiは「UniFiネットワークデバイスのリモート監視と管理」をサポートしている。悲しいかな、私にはそれが何を意味するのかわからないし、今はそれを深く掘り下げる時間もない。

だがうれしいことに、HostiFiの創業者であるReilly Chase(ライリー・チェイス)氏が、私たちの受信箱にメトリクスを送ってきた。それによれば、彼の会社は「今後数週間」でARR100万ドル(約1億1000万円)に到達し「今後3年間」ではARR1000万ドル(約11億円)を達成したいと考えているということのようだ。同社は、以前私たちが取材したこともある旧Earnest Capitalグループから10万ドル(約1100万円)を調達した。HostiFiには1700の顧客がいて、完全にリモートの6人のチームで構成されている。

おもしろいね?非公開企業が財務実績をよりオープンにすることは、不透明なスタートアップの世界を少しだけ明快にするという意味で、世界にとっても良いことだと思う。

ブラジル

ブラジルのスタートアップ市場とその間近に迫ったIPOについての記事は、書いていてとても楽しいものだった。しかし記事が出た後で、TechCrunchの取材に応じたブラジルのB3証券取引所が、私たちの質問への回答を送ってきた。惜しくも締切に間に合わなかったということだが、彼らのメモを紹介しないわけにはいかない。

ブラジルのテクノロジー関連IPO市場の現状について、B3のRafaela Vesterman Araujo(ラファエラ・ベステルマン・アラウジョ)氏は次のように書いている(わかりやすくするために若干の編集を加えている)。

現在、ブラジルの資本市場は記録的な時代を迎えています。2021年8月前半までのIPO件数は44件(比較のために挙げると、2020年は全部で28件でした)で、そのうち約30%がテクノロジー企業ですが、2020年以前のB3ではテクノロジー分野の存在感が薄かったことを考えると、これは非常に興味深いことです。

これこそが、まさに私たちが強調したかったトレンドであり、それがデータによって裏付けられたことはすばらしいことだ。

次に、B3に上場するにはどれくらいの規模である必要があるのか。ベステルマン・アラウジョ氏はこういう(わかりやすくするために若干の編集を加えている)。

2020年および21年上半期のテクノロジー関連IPOの約70%は、1億1000万ドル(約120億8000万円)から3億6700万ドル(約402億9000万円)の間の調達をしていました。またこれらの企業の70%は、最大5500万ドル(約60億4000万円)の純利益を挙げています。中には、他のセクターに比べて純収入が少ないにもかかわらず、成長への期待を反映してか、多くの企業がより多くの資金を調達しているケースも見受けられました。

すごいね。成長プレミアムだ!これは、自国の市場での上場を目指すブラジルのスタートアップ企業にとって、とてもすばらしいニュースだ。Nubank(ヌーバンク)やNuvemshop(ヌービンショピ)が非上場ながら巨大化している中では、国内企業がどこに上場するかはささいな問題ではない。

シカゴ

先週私たちはシカゴのブームについて調べた。過去数四半期におけるシカゴの巨大なベンチャーキャピタルの実績を追跡し、資金調達とスタートアップ活動の波を引き起こしている正確な要因を地元の人びとに尋ねた。それを原稿に取り込んでいくなかで、読んでもらいたいまた別の答えが出てきたので共有したい。

Techstars(テックスターズ)のシカゴ事業所のマネージングディレクターであるNeal Sáles-Griffin(ニール・セイルズ・グリフィン)氏は、シカゴ地域のスタートアップが2020年後半以降資本を集めるのに長けている理由を次のように説明している。

それは(投資家が投資対象をよりリスクの低い、安全性の高いものを求める)「質への逃避」です。あまりにも長い期間、1つのハブに資本が集中してきたため、COVID(によるロックダウン)後のイノベーションの分散化にVCが流れたのです。パンデミックは、古い習慣を打ち破り、シカゴのような成熟した市場に投資家を呼び寄せました。【略】何年も前から、シカゴはスタートアップ企業にとって全米でもトップクラスの目的地として成長してきました。米国のVCコミュニティは、中西部で急速に成長している創業者のすばらしいコミュニティを探って、ようやく追いついてきたところです。

私はシカゴの学校に通っていたので、この地域の学校の密度はよく知っている。私が気にしているのは、この事実が地元のスタートアップ企業にとって有益なものなのかどうかだ。セイルズ・グリフィン氏によると、その答えは確実に「イエス」だという。

当地には、トップ5に入る2つのMBAプログラム(シカゴ大学とノースウエスタン大学)があり、トップ5に入る工学系大学(イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校)と、全米で最も多様性に富んだ工学系大学の1つ(イリノイ大学シカゴ校)があります。また、この地域で最大規模のシティカレッジを擁する地区(シティ・カレッジ)や、シカゴ州立大学のような歴史的に黒人の多い教育機関もあります。どちらも複数のエンジニアリングやITのプログラムを持ち、次世代の人材を育成しています。

シカゴ発の次世代のスタートアップはどこに注目しておけばよいのだろうか?Techstarsは、ヘルスケアやライフサイエンスの他、フードテックや、より大きな輸送産業を構築する企業を重要な市場として挙げている。

他にもいろいろある!

残念ながら、このニュースレターの文字数を大幅にオーバーしてしまったので、このあたりで止めなければならない。しかし、他にも注目すべきものはたくさんあるのだ。たとえばインディアナポリスのLessonly(レッスンリー)がSeismic(サイズミック)に買収されたことなどだ。Lessonlyは、元気の塊のようなMax Yoder(マックス・ヨーダー)氏を中心に、独立運営しながら3000万ドル(約32億9000万円)弱の資金を調達してきた。また、多くの著名な俳優が支援しているAspiration Partners(アスピレーション・パートナーズ)は、SPACを利用して株式を公開する。この取引によって、同社には数億ドル(数百億円)の新たな資本が提供される。

続きはまた来週。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文: Alex Wilhelm、翻訳:sako)

クリス・サッカ氏の気候変動対策ファンド「Lowercarbon Capital」が880億円を集める

クライメートテックに特化するファンドのLowercarbon Capital(ローワーカーボンキャピタル)が8億ドル(約880億円)の調達を完了したと8月13日にサイト上で発表した。同ファンドは、長年の投資家であるChris Sacca(クリス・サッカ)氏とその妻Crystal Sacca(クリスタル・サッカ)氏が設立した。

サッカ氏によると、資金調達は非常に早く、「わずか数日」で完了した。「未曾有の熱波の中で、そして火事の煙が立ち込める中で、気候変動対策ファンドの募集を行ったことは、おそらく悪いことではなかったと思います。それどころか、そうした全ての汚染は、私たちのズームコールに温かく美しいもやを運んだのかもしれません。Incendiary Doom Glowインスタフィルターのように」

関心が寄せられていることは驚くべきことではない。気温の上昇により、人類の生命が危機に瀕していることを示す、かなり明白な証拠が積み重なっているからだ。西ドイツと中国の洪水、ギリシャとカリフォルニアの山火事、そして太平洋岸北西部の人々が現在備える更なる熱波に先立ち、国連の気候科学研究グループが8月9日に発表した新しい報告書は、現状を明確に示し、「人類にとっての非常事態」を宣言した。

確かに、Lowercarbonの投資家の中には、こうした傾向を少しでも変えようとする技術に興味を持っている人もいるだろう。しかし、サッカ氏が言うように、彼らが注目しているものが、気候変動に取り組む技術がもたらす金銭的な報酬であって構わないだろう。

「私たちは、多くの投資家が気候危機の緊急性を理解し、真の解決策のために資金だけでなく時間も捧げていることに感激しています」とサッカ氏は投稿で語っている。「しかし、率直に言うと、実際には地球のことをそれほど気にせず、金銭的なリターンだけを追い求めている投資家の方々にも心を動かされました」

Lowercarbonが掲げる仮説は、「大規模な変化が起こるのは、ビジネス上の理由だけでそうした投資が回収されるから」というものだと同氏は付け加えている。

サッカ夫妻に加えて、Lowercarbonを運営するのは、ニューヨーク州ブルックリンを拠点とするパートナーのClay Dumas(クレイ・デュマス)氏だ。ファンドは同氏をLowercarbonの中で最も積極的な投資家だと説明している。ハーバード大学を卒業した同氏は、ベンチャーの世界に長く身を置いていたわけではない。2017年にサッカ氏と合流し、サッカ氏の前のファンドであるLowercase Capital(ローワーケースキャピタル)にパートナーとして参加したのが最初だった。デュマス氏は「伝統的」なVCとは異なり政治の世界を理解している。

2008年にBarack Obama(バラク・オバマ)氏の選挙運動のために現場事務所を開設した後、ホワイトハウスで当時の副参謀長の補佐官を務め、その後(再びホワイトハウスの)デジタル戦略室で勤務した。

Lowercarbonがこれまでに行った数十件の投資には、Heart Aerospace(スウェーデン・ヨーテボリを拠点とし、地域間輸送電気旅客機の開発に取り組む創業3年目のスタートアップで、Lowercarbonがシート資金を投資し、最近では追加投資も行った)、Holy Grail(米国カリフォルニア州マウンテンビューを拠点とし、大気から二酸化炭素を取り込む小型でモジュール式の機器の試作品開発に取り組む創業2年目のスタートアップで、6月にシードラウンドを発表した)、Cervest(ロンドンを拠点とする創業6年目の気候リスクプラットフォームで、事業会社と政府機関に対し、複合的な気象リスクが所有資産に与える影響について、現在や過去の、さらに予測的な見解を提供していおり、直近では5月に3000万ドル=約33億円=を調達した)などがある。

サッカ氏は、Twitter(ツイッター)やUber(ウーバー)への初期の巨額投資で有名になった。人気テレビ番組「Shark Tank」の審査員を数シーズン務めたが、2017年に番組を、そしてベンチャーキャピタルを辞め、「40歳で引退するつもりだった」と語った。当時、彼は42歳だった。

サッカ氏は、気候変動への関心が高まり、政治家が気候変動を食い止められるという確信が持てなくなったため、自身の決断を見直すことにした。3月、同氏はフォーブス誌にこう語った。「私たちは、市場が地球を救う鍵を握っているのではないかと考えています」

昨年6月のAxiosの報道によると、Lowercarbonは当初、数千万ドル(数十億円)の資金を投入するファミリーオフィスとして設立された。昨年半ばの時点で外部から受け入れてた資金は「サッカ氏が以前に運営していたファンドの機関投資家といくつかの特別目的会社」だけだったという。

新たに得た8億ドル(約880億円)の投資資金を4つのファンドに分け、Sacca & Co.は完全に仕事を再開したようだ。来月開催のTechCrunch Disruptで実際にサッカ氏に話を聞く予定だ。

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画像クレジット:Chris Sacca

[原文へ]

(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソフトバンクG孫社長が中国への投資は「しばらく様子見」、IT大手締め付けに「いずれバランスを取り戻すと信じている」

ソフトバンクG孫社長が中国への投資は「しばらく様子見」、IT大手締め付けに「いずれバランスを取り戻すと信じている」

AI革命を掲げ、多くの中国ハイテク企業に投資しているソフトバンクグループの孫正義社長は8月10日の決算会見で、中国当局のIT大手締め付けについて『長い目でみれば、どこかでもう一度バランスを取り直すと私は信じている』とコメントしました。

孫社長は『6月末を過ぎたあたりで、中国の問題が出てきました。DiDiが上場した直後や、フルトラックアライアンスも上場直後でしたね。その後、アリババもテンセントもバイドゥもメイトゥアンも、中国のハイテク株は今受難のときであります。しかし、長い目で見ればですね、業績は伸び続けているわけですから、もう一度バランスを取り直して、株価も持ち直すと私は信じております』とコメント。

また『世界のAI技術の革新の中心は2つあって、米国と中国であると思っています。ですから、今後とも中国におけるAI技術そしてビジネスモデルの革新はどんどんと続いていくんだろうと強く信じております』と述べました。

一方で投資活動については『新たなさまざまな規制等がはじまっておりますので、どのような規制がどのような範囲で行われるのか、そしてそれが株式市場にどのような影響を与えるのかを、もう少し様子を見てみたい』とし、中国企業への投資は当面見合わせる方針を示しました。

加えて『我々が中国政府の動きに反対しているとか、そういうことは全く考えてませんし、中国の将来性について疑念を抱いているかというと、それも全く違います。ただ、新たな規制、新たなルールが今はじまろうとしているばかりですから、もう少し様子が固まるまで、我々としては様子を見てみたいと。おそらく1年2年すれば、新たなルールのもと、新たな秩序がもう一度しっかり構築されると私は信じておりますので、その状況がはっきりしてくれば、中国での投資活動を活発に行うということは十分に可能性としてはありますが、ここしばらくは様子を見てみたいということです』とも付け加えました。

また、ソフトバンクグループの時価純資産(NAV)の多くを占めるアリババについては『依然として売上1.3倍増くらいが続いていますし、直近もそれが衰えずに伸びておりますので、アリババの株価もいずれ回復すると私は信じております』と述べた一方、「直近ではNAVに占めるアリババ株の割合はソフトバンク・ビジョンファンドを下回っている」とも述べ、アリババ一本足打法とみなされる状況を脱却しつつあるとも強調しました。

時価純資産におけるアリババの割合はビジョンファンドの伸長で低下していると説明

時価純資産におけるアリババの割合はビジョンファンドの伸長で低下していると説明

また、ビジョンファンドにおける中国企業への依存度については、ビジョンファンド1・2のトータルでは『2021年7月末の時価ベースで23%』としたものの、2021年4月以降の新規投資では11%に留まっていることも明かしました。

Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Alibaba / アリババ(企業)Ant Group(企業)ソフトバンク / SoftBank(企業)ソフトバンク・ビジョン・ファンド / SoftBank Vision Fund(企業)Tencent / テンセント(企業)Didi Chuxing / 滴滴出行(企業)Baidu / 百度(企業)Meituan / メイトゥアン(企業)中国(国・地域)日本(国・地域)

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孫社長は『6月末を過ぎたあたりで、中国の問題が出てきました。DiDiが上場した直後や、フルトラックアライアンスも上場直後でしたね。その後、アリババもテンセントもバイドゥもメイトゥアンも、中国のハイテク株は今受難のときであります。しかし、長い目で見ればですね、業績は伸び続けているわけですから、もう一度バランスを取り直して、株価も持ち直すと私は信じております』とコメント。

また『世界のAI技術の革新の中心は2つあって、米国と中国であると思っています。ですから、今後とも中国におけるAI技術そしてビジネスモデルの革新はどんどんと続いていくんだろうと強く信じております』と述べました。

一方で投資活動については『新たなさまざまな規制等がはじまっておりますので、どのような規制がどのような範囲で行われるのか、そしてそれが株式市場にどのような影響を与えるのかを、もう少し様子を見てみたい』とし、中国企業への投資は当面見合わせる方針を示しました。

加えて『我々が中国政府の動きに反対しているとか、そういうことは全く考えてませんし、中国の将来性について疑念を抱いているかというと、それも全く違います。ただ、新たな規制、新たなルールが今はじまろうとしているばかりですから、もう少し様子が固まるまで、我々としては様子を見てみたいと。おそらく1年2年すれば、新たなルールのもと、新たな秩序がもう一度しっかり構築されると私は信じておりますので、その状況がはっきりしてくれば、中国での投資活動を活発に行うということは十分に可能性としてはありますが、ここしばらくは様子を見てみたいということです』とも付け加えました。

また、ソフトバンクグループの時価純資産(NAV)の多くを占めるアリババについては『依然として売上1.3倍増くらいが続いていますし、直近もそれが衰えずに伸びておりますので、アリババの株価もいずれ回復すると私は信じております』と述べた一方、「直近ではNAVに占めるアリババ株の割合はソフトバンク・ビジョンファンドを下回っている」とも述べ、アリババ一本足打法とみなされる状況を脱却しつつあるとも強調しました。

時価純資産におけるアリババの割合はビジョンファンドの伸長で低下していると説明

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また、ビジョンファンドにおける中国企業への依存度については、ビジョンファンド1・2のトータルでは『2021年7月末の時価ベースで23%』としたものの、2021年4月以降の新規投資では11%に留まっていることも明かしました。

Engadget日本版より転載)

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Best Buyがマイノリティ創業者の支援を専門とするVCに最大約11億円を出資

Brown Venture Groupのマネージングパートナーであるクリス・ブルック氏、パートナーのJerome Hamilton(ジェローム・ハミルトン)氏、パートナーのChris Dykstra(クリス・ディクストラ)氏、マネージングパートナーのPaul Campbell(ポール・キャンベル)氏。ミネアポリスにあるオフィスの外で

George Floyd(ジョージ・フロイド)氏殺害を受けて、Best Buy(ベストバイ)は2020年夏に有色人種コミュニティのサポートを「さらに推進する」ことを約束した。過小評価とテクノロジーの不平等の問題にこれまで以上に取り組むというBest Buyが自らうたったミッションの一環として、同社は米国8月5日、Brown Venture Group(ブラウン・ベンチャー・グループ)に最大1000万ドル(約11億円)を投資すると発表した。

ミネソタ州を拠点とするBrown Venture Groupは「先端テクノロジー」を手がける黒人、ラテン系、先住民のテックスタートアップに特化して支援することを約束している創業3年のベンチャーキャピタル会社だ。Crunchbaseのデータによると、2020年の資金調達総額のうち黒人とラテン系のコミュニティが獲得した資金はわずか2.6%だった。

Brown Venture Groupは5000万ドル(約55億円)を目標とするの第1号ファンドの資金調達を行っていて、同社幹部によると目標額の75%は目処がついている。これは、ミネアポリスを拠点とするBest Buyの「最大1000万ドル」投資するという約束がBrown Venture Groupが調達する資金の最大20%を占め、これによりBest Buyがこのファンドのリーディングパートナー(LP)になるかもしれないことを意味する。

Brown Venture Groupの共同創業者でマネージングパートナーのPaul Campbell(ポール・キャンベル)博士は、自身と共同創業者のChris Brooks(クリス・ブルック)博士が会社設立の初期に「複数の地元の人」から「資金はすべて海岸側にある」ためツインシティーズ(ミネアポリス・セントポール都市圏)を去るべきだと言われた、と話した。

「ごく初期段階に、我々はツインシティーズにとどまり、ツインシティーの物語にすると固く決心しました」とキャンベル氏はTechCrunchに語った。「ですので、ツインシティーズのエコシステムについて、そして誰に当社のリードLPになって欲しいかを考えたとき、Best Buyがリストの一番上にきました。Best Buyが当社のファンドのリードLPとなることに勝る喜びはありません」。

この件について2020年の売上高が470億ドル(約5兆1800億円)だったBest Buyは、今回の動きは「資金へのアクセスやテック産業における次世代サポートの欠如など、黒人・先住民・有色人種(BIPOC)起業家が往々にして直面する組織的な障壁をなくす」ことをサポートするのが目的だと述べた。

また「Brown Venture Groupとの提携では、テクノロジースタートアプ分野をより包括的で多様なサプライヤーの強固なコミュニティを作り出すものにすることに向けて取り組む」と同社は付け加えた。

Best Buyのファンド出資の発表と併せて、Best BuyとBrown Venture Groupは教育、メンター制度、ネットワーキング、資金へのアクセスを通じて若い起業家の成長をサポートすべく、Best Buy Teen Tech Centersで起業家プログラムを共同展開することも明らかにした。

代表者らの「包括的な」皮膚の色を示すためにこの社名を選んだBrown Venture Groupは、これまでのところクリーンエネルギースタートアップEcolution kwhを含む5社に投資した。

1000万ドルという出資額は2020年の売上高が470億ドルという企業にとってはわずかなものにみえる。Best Buyはこのイニシアチブは同社がBIPOC企業をサポートしようとしているいくつかの取り組みの1つにすぎないと話す。その他の取り組みには、BIPOCの学生のための大学進学と就業の機会を増やすために4400万ドル(約48億円)を拠出する計画や、2025年までにBIPOCと多様性がある企業に少なくとも12億ドル(約1320億円)を注ぐという約束が含まれる。同社はまた、2025年までに時間給ではない3つの新たな業務の1つをBIPOC従業員に任せ、テクノロジーチームで1000人を新規雇用し、うち30%を黒人、ラテン系、先住民、女性など多様な人材とする、と述べた。

「BIPOCの起業家が直面してきた困難を解決するために意義ある行動を起こすことを約束します」とBest BuyのCEO、Corie Barry(コリー・バリー)氏は声明文で述べた。「今回のような提携を通じて、もしかすると将来Best Buyのパートナーになるかもしれないテック産業における多様な革新者たちの、これまでよりも強固で活気のあるコミュニティの構築をサポートすることで問題解決に着手できると確信しています」。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Best BuyVC投資マイノリティ

画像クレジット:Brown Venture Group

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

愛知県と500 Startupsが「Accelerate Aichi by 500 Startups」参加スタートアップを募集中

愛知県と500 Startupsが「Accelerate Aichi by 500 Startups」参加スタートアップを募集中

愛知県は、米国の著名ベンチャーキャピタル500 Startups(ファイブハンドレッド・スタートアップス)と連携し、同県のスタートアップ・エコシステムの発展を目的とした「Accelerate Aichi by 500 Startups」参加スタートアップ企業を募集中だ。

愛知県との協業プロジェクトとして、計3プログラムのうち、現在「Growth Program」(グロース・プログラム)の募集を行っており(締め切りは8月20日)、「Landing Pad」(ランディング・パッド)は9月20日から募集を受け付ける予定となっている。両プログラムとも参加費無料で、セッションは主にオンライン開催予定。それぞれ、スタートアップによる成功モデルを創出し、スタートアップ・エコシステム全体の発展を促進させ、革新的な技術やビジネスモデルを生むオープンイノベーション文化の構築に貢献することを目的としている。

愛知県と500 Startupsが「Accelerate Aichi by 500 Startups」参加スタートアップを募集中

現在日本には、1万社を超えるスタートアップが存在するものの、グローバルに活躍する企業はあまりない。政府は競争力強化のためエコシステム拠点都市の形成に注力しており、これを受け愛知県では、2018年10月に「Aichi-Startup戦略」を掲げ、「Aichi-Startup」など日本・愛知県発のスタートアップの発掘・育成と、他県や海外からのスタートアップ誘致に取り組んできたという。今回の「Accelerate Aichi by 500 Startups」は、同戦略の一環として実施するものという。

Growth Program(グロース・プログラム)

Growth Programは、国内のスタートアップ(最大20社)を対象とするアクセラレータープログラム。プログラム期間は、2021年9月6日~10月15日の6週間。応募期間は8月20日まで。

日本語によるAMA(Ask Me Anything)セッションを8月11日14時に開催予定。申し込みは、Growth Program紹介ページから行える。

Growth Program参加条件は、実用的なプロトタイプやMVP(Minimum Viable Product・実用最小限の製品)を持つプレシード、シード、アーリーステージ期のスタートアップであること。プロトタイプおよびMVPは、初期の顧客を満足させ、将来の製品開発に役立つ有効なフィードバックや実証を得られる機能を備えた製品のバージョンを有しているものとしている。

500 Startups提供の他グロース・プログラムと同様に、イノベーションや起業分野においてグローバルな実務経験を持つ業界リーダーを講師に迎え、「成長の基礎」「実証実験」「資金調達」「ピッチ準備」などのテーマについて指導を受けた後、デモデイを実施する。

Landing Pad(ランディング・パッド )

Landing Padの対象は、シリーズA以降の海外のスタートアップ(最大20社)。日本におけるビジネスチャンスを発掘し、成長エンジンの構築や加速化を支援することを目的とした10週間のプログラムという。応募期間は、2021年9月20日からを予定。プログラム期間は2022年1月10日から3月18日。

専任のメンターやその他のメンターと密に連携しながら、「マーケット理解」「市場参入(GTM)戦略」「資金調達」「ピッチ準備」等のテーマについて各2週間、「実証実験」「ビジネスパートナーとのネットワーキング」などのテーマで6週間の指導を受け、デモデイにのぞむこととなる。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:愛知県500 startups(企業)日本(国・地域)

パナソニック ライフソリューションズ社「Panasonic Accelerator by Life Solutions Company」が参加企業募集

パナソニック ライフソリューションズ社「Panasonic Accelerator by Life Solutions Company」が参加スタートアップ募集

ゼロワンブースターは8月3日、パナソニック ライフソリューションズ社と共同開催する「Panasonic Accelerator by Life Solutions Company」参加企業の募集を開始した。スタートアップ企業との共創によるイノベーション創出、社会課題の解決、パナソニック ライフソリューションズ社の新規事業加速を目的としている。早期応募期限は2021年9月3日、最終応募期限は9月30日。

パナソニック ライフソリューションズ社は、街づくりや移動など、「人々の『くらし』に関わるあらゆる場面」で事業を展開する企業。「人が集まる空間の課題を解決するためにデータコンサルティングを通じた継続的な空間の最適化」(空間ソリューション)などを推進しているが、激しく変化するライフスタイル、価値観、ニーズに対応するソリューションを創出し続けることを重視している。そのためのアプローチのひとつが、このプログラムということだ。

募集領域は次の4つ。

  • 空間価値の向上:IoTやデータを活用した次世代の空間サービスやコンテンツなど、オフィスや店舗などが安心、安全、快適、効率的な空間となるアイデア
  • 建築・建設業界のDX:働く人や環境のデジタル化により効率化や高度化を実現し、安全、安心、スマートでクールな現場プロセスを再構築できるアイデア
  • カーボンニュートラル:省エネや創電、持続的社会の実現に向けたサービスやコンテンツなど、カーボンニュートラル社会の実現に向けたサービスやアイデア
  • その他:「人起点でくらしをより良く、快適にする」とのビジョンに沿い、パナソニック ソリューションズ社のアセットを活用したアイデア

応募アイデアの審査により、最終的に5〜8チームが採択される。採択されたチームはパナソニック ライフソリューションズ社のカタリストとチームを結成してアイデアをブラシュアップし、優れたものには事業化へ向けてナソニック ライフソリューションズ社とゼロワンブースターからの支援が提供される。

スケジュール

2021年8月3日:ビジネスプラン募集開始
8月19日:オンライン説明会
9月30日(木)応募締切
10月:選考期間
2021年11月〜2022年3月:アクセラレータープログラム期間
2022年3月:成果発表

8月19日木曜日午後2時から約1時間、オンライン説明会が実施される

募集概要

下記の領域においてイノベーションをもたらす起業家・事業家を募集。既存領域に捉われない、新たなテクノロジーを活⽤したビジネスアイデアを広く募集する。

事業領域

・空間価値の向上
・建築・設備業界のデジタルトランスフォーメーション
・カーボンニュートラル
・その他

選考基準

下記を中心に、社内および社外の審査員により総合的に判断。

・事業創造への本気度、能力、チームワーク、バックグラウンド、リソース調達力など
・革新的な事業を共創する本アクセラレータープログラムの趣旨との親和性
・課題、変化に対するソリューションの独創性、革新性
・ビジネスプランの新規性、成長性

事業ステージ

事業ステージは不問。プラン企画段階・検証段階の独立起業志望者から、事業化済み・資金調達済みの起業家・スタートアップまで歓迎するという。

参加企業・チーム

参加条件は、法人もしくはチームの代表者がビジネスプランの実現・加速にフルコミットしている、もしくはアクセラレータープログラム参加時点でフルコミットできる見込みがあること。年齢・国籍不問。個人・法人どちらでも応募可能なものの、複数人のチームを歓迎するとしている。

応募時点で法人設立していない個人事業者でも応募可能だが、出資を希望する場合は法人設立が前提となる。

その他の条件

・2次選考(面談選考)を通過した場合、最終選考(ピッチコンテスト)でピッチ(4分35秒予定)を行う必要がある。選抜された場合、同アクセラレータープログラムに必ず参加すること
・パナソニック ライフソリューションズ社および01Boosterによる出資について協議してもらう場合がある
・チーム(人)で複数のビジネスプランをご応募可能
・ビジネスプランはチーム(人)で複数プランを申請可能。その場合はプランごとに申請書を作成し、1件ずつエントリーを行う。また、1度提出したビジネスプランの申請書を修正・再提出することも可能

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タグ:アクセラレータープログラム(用語)ゼロワンブースター(企業)Panasonic / パナソニック(企業)日本(国・地域)

ANOBAKA(アノバカ)が東京のVC全13社と愛知県のスタートアップをつなぐ「AICHI STARTUP BRIDGE」を開始

ANOBAKA(アノバカ)が東京のVC全13社と愛知県のスタートアップをつなぐ「AICHI STARTUP BRIDGE」を開始

ANOBAKA(アノバカ)は8月2日、愛知県のインキュベーションプログラムの一環として、「AICHI STARTUP BRIDGE」のプログラム運営者に採択されたと発表した。ANOBAKAが持つ投資家のネットワークを活かし、同地域が課題とする、首都圏VCと愛知県の関係構築、スタートアップへの資金調達機会を提供する。

AICHI STARTUP BRIDGEプログラムの特徴は、首都圏のVCが愛知県とパートナーシップを結ぶ「Aichi Partner VC」の仕組み。今回はANOBAKAを中心に全13社がパートナーとなり、勉強会やピッチイベントを通じて、同地域のスタートアップ投資をサポートする。起業家はこれまで同地域で不足していた資金や経営ノウハウを共有できるほか、VC各社にとっては、新しい起業家の発掘・育成につながるとしている。

「AICHI STARTUP BRIDGE」概要

  • 実施内容:資金調達や起業に関する勉強会、シード期・シリーズAのスタートアップを対象としたピッチイベント、投資家・事業会社とのマッチング機会の提供、Slackコミュニティへの招待など
  • 開催日程:2021年8月~2022年3月
  • 特設サイトhttps://aichistartupbridge.com/

「Aichi Partner VC」一覧

  • iSGSインベストメントワークス
  • アプリコット・ベンチャーズ
  • Wedge
  • XTech Ventures
  • グロービス・キャピタル・パートナーズ
  • サイバーエージェント・キャピタル
  • サムライインキュベート
  • ジェネシア・ベンチャーズ
  • ゼロイチキャピタル
  • ディープコア
  • デライト・ベンチャーズ
  • 三菱UFJキャピタル
  • Lifetime Advisory

ANOBAKA(アノバカ)が東京のVC全13社と愛知県のスタートアップをつなぐ「AICHI STARTUP BRIDGE」を開始プログラム予定のうち、第1弾として、8月31日に「VCの投資判断基準」と「会社法と契約書について」をテーマにした勉強会を2部構成で開催する。ANOBAKAのキャピタリストが講師を務め、資金調達の基礎知識や、VCの仕組み・投資投資判断のポイント、契約書における注意事項などを扱うという。創業初期の起業家だけでなく、これから起業を予定している方も対象としている。

前半スケジュール

  • 2021年8月31日:勉強会「VCの投資判断基準」と「会社法と契約書について」
  • 9月29日:シードスタートアップのピッチイベントと個別面談

勉強会テーマ:「VCの投資判断基準」「会社法と契約書について」

  • 開催日時:8月31日
  • 開催場所:なごのキャンパス 〒451-0042 愛知県名古屋市西区那古野2-14-1
  • 詳細および申し込み:「AICHI STARTUP BRIDGE」参照
  • 参加費:無料(参加可能な人数に限りがある)

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:ANOBAKA(企業)VC / ベンチャーキャピタル(用語)日本(国・地域)

【コラム】ドイツのベンチャーキャピタルが離陸するには政府がブレーキを解除する必要がある

編集部注:本稿の著者Uwe Horstmann(ウーヴェ・ホルストマン)氏は、ベルリンを拠点とするベンチャーキャピタルProject A Venturesの共同設立者兼パートナー。

ーーー

現在ドイツは、世界的な競争力を持つベンチャーキャピタル市場の構築において、ヨーロッパの近隣諸国に遅れを取っていると言える。しかし、今後の5年間はドイツのベンチャーキャピタルセクターにとって大変に大きな影響をもつと予想され、その将来は非常に明るいと筆者は考える。

ドイツのスタートアップが2020年に調達した金額は64億ユーロ(約8400億円)にのぼり、これはフランスの57億ユーロ(約7500億円)を上回っている。もう1つの好ましい点は、初期段階の市場に対する国内からの投資と国外からの投資のバランスが健全であることである。シードおよびシリーズAの段階では、ドイツのファンドがドイツのスタートアップへの投資のほとんどを占める。企業が成長すると、海外からの投資重要な役割を担う。5000万ドル(約55億円)以上の資金調達ラウンドの半分は完全に外国人投資家が主導しており、ドイツの投資家によるものはわずか5%で、残りの45%は外国人投資家と国内投資家の混合による投資となる。

筆者はこれをドイツVC市場にとって理想的な状態と考える。優れたイノベーションは、国内のファンドから資金を得、支援を受けている。これらの企業が成長して頭角を表すと、最高の投資家を世界中から引き付けるようになり、ドイツのローカル企業という立場から国際化への道が開かれる。これにより初期段階のスタートアップに投資を行うVCは報酬を獲得し、引き続きドイツ国内のスタートアップに投資する。今後市場が成熟していけば、初期段階だけでなく、成長段階に対しより多くのドイツのVC資金が投資されると筆者は確信している。

見通しは良好である。ドイツ市場は現在大変活発に発展しており、パンデミックでさえ、テクノロジーセクターの根本的上昇傾向にほとんど影響を与えなかった。

ドイツ市場は現在大変活発に発展しており、パンデミックでさえ、テクノロジーセクターの根本的上昇傾向にほとんど影響を与えなかった。

ドイツテックに対する国内外からの投資レベルの高まりに加え、政策立案者はドイツでスタートアップやVCファンドが発展できるような好条件を作り出している。

ドイツ連邦政府は100億ユーロ(約1兆3000億円)の未来基金を立ち上げ、ディープテック未来基金に追加で資金を投入した。これにより、ただちに成長段階の市場により多くの資本が投資されるだけでなく、このような政策はドイツが「ビジネスにオープンであることを示してもいる。イノベーションが社会における具体的な改善につながる、ということをドイツが理解していることを世界に伝える明確なシグナルになるのである。これは、世界中のファンドにとって力強い、歓迎すべきシグナルである。

ドイツは投資家にとってだけではなく、技術者にとっても大変魅力的な国である。ドイツが未来のモデルを提示する中、ますます多くの技術者がドイツへの移住を望むようになっている。

長期的視点からみても状況は良好である。ドイツは製造およびエンジニアリング部門で世界的に有名であり、国内生産を通じて貿易黒字を生み出している数少ない国の1つである。製造およびエンジニアリング部門はイノベーションを通した大々的な飛躍をまだ遂げていない。従って、ドイツのスタートアップは高まりを見せる「インダストリー4.0」イノベーションの活動から、メリットを享受できる大変有利な立場にあり、ドイツの製造業の中心地で生まれたスタートアップが、ベルリンとミュンヘンで増え続ける技術者のプールと融合する準備が整いつつある。

シェアオプションとスピンオフはドイツのスタートアップにとってのアキレス腱だ

ドイツのVCとテック市場は新たな飛躍を遂げる準備が整っている。しかし、大幅な改善が求められる領域が2つある。それは社員株オプションとスピンオフをめぐる規制である。

ドイツは官僚主義に陥っており、それはイノベーションにとっては脅威である。テルサの新しいギガファクトリーの例は、煩雑な行政プロセスがいかにあらゆることをスローダウンさせるかの最新の例である。

ドイツのスタートアップにとって、スタートアップで働く社員が会社の成功から利益を得、またスタートアップエコシステムが自力で発展していくためにも、従業員ストックオプションプラン(ESOP)の 改革は今すぐにも実行する必要がある。

税制上の優遇措置に関する現行法案は、業界のニーズを反映しているとは言えない。例えば、免税措置が適用されるのは設立から10年未満の会社の従業員のみである。従業員が別の会社に移る場合、事前に会社の株式に対する税金を払う必要があり、これは重大な破産のリスクをともなう。これは10年以上が経過していても利益をだすことができないでいるスタートアップが多いからであり、税金は従業員が持ち株から実際に利益を上げたとき、つまり株式を売却したときにのみ支払う形にすべきである。こうしたこともあり、スタートアップは従業員に対し新たなESOPを提供しない。

もう1つの問題はスピンオフである。ドイツはヨーロッパで最も特許出願数が多い国である。しかし、スタートアップが革新的テクノロジーを製品市場に適合させることができない場合が多い。ドイツの大手研究機関からのスピンオフを実行する場合、高額の機関固定費とライセンス料が課されるため、足場を固めるには非常な困難をともなうのだ。ドイツはもっと柔軟に対応し、スタートアップが必要とするスペースと資金を与えるべきである。

スピンオフ時に創設者が直面する固定費や膨大な行政手続きを削減すべきであるし、また投資家は、研究者から創設者に転向した人々に対して、より多くの運営上のサポートや組織上のサポートを提供する必要がある。さらに、VCは、成功するまでに多少時間がかかると目される革新的なアイデアやテクノロジーにもっと投資する勇気を持つべきである。BioNTechは、そうした長期間にわたるサポートが報われた最良の例といえる。

ドイツのユニコーン企業について

現状では、2021年にはすでにドイツで多数の新しいユニコーン企業が登場しておりPersonioMambuSennderGorillasTrade Republicは数十億ドル(数千億円)の評価を得ている。そしてこうしたユニコーン企業の数は今後も増える見通しである。

規制当局が最終的にストックオプションとスピンオフにまつわる官僚的形式主義を取り払うことができれば、ドイツの技術とVC業界は新たな高みに到達することができるだろう。筆者は今後数年間で前向きな変化が起きることを期待し、ドイツにたくさんのユニコーン企業が生まれることを楽しみにしている。

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(文:Uwe Horstmann、翻訳:Dragonfly)

U25起業家と起業家予備軍対象に創業前後の支援を行うコミュニティ「TORYUMON ZERO」が第3期メンバーの募集開始

U25起業家と起業家予備軍対象に創業前後の支援を行うコミュニティ「TORYUMON ZERO」が第3期メンバーの募集開始

プレシード期・シード期のスタートアップを支援する独立系ベンチャーキャピタル「F Ventures」は7月29日、25歳以下の資金調達前の起業家と起業予定者を対象に創業前後の支援を行うコミュニティー「TORYUMON ZERO」(トウリュウモン・ゼロ)の第3期メンバー募集の開始を発表した。参加者には、プログラム期間中限定で、渋谷のレンタルオフィス利用の権利と、アマゾンのクラウドプラットフォーム「AWS」の無料クレジットとテクニカルサポートが提供される。

TORYUMON ZEROは、数多くのエンジェル投資家や起業家をアンバサダーに招いて「将来の日本を支えるような経営者の輩出」を目指す、オンラインメインのコミュニティ。これまで2回募集を実施しており、ここから初めての資金調達につなげたメンバーも複数あった。第3期となる今回は、次のような活動が予定されている。

「TORYUMON ZERO」第3期・提供特典および活動内容

  • TORYUMON SEMINAR
  • 事業の「壁打ち」をはじめとしたVCメンバーによるメンタリング
  • 外部のキャピタリストの方々によるオフィスアワー
  • 創業支援・資金調達支援
  • TORYUMONでのピッチ機会
  • 事業を作る上で役立つ情報やノウハウの共有
  • オフライン含む交流会などを通じた横と斜めのつながり提供
  • AWSで使える無料クレジット、テクニカルサポート、トレーニングなどの提供

U25起業家と起業家予備軍対象に創業前後の支援を行うコミュニティ「TORYUMON ZERO」が第3期メンバーの募集開始

また活動は、9月初旬から開始される。利用できるオフィス(9月以降利用開始)は、レンタルオフィス「H¹O 渋谷三丁目」(東京都渋谷区渋谷3丁目1-1 PMO渋谷Ⅱ内)。ただ活動自体は完全オンラインで行われるため、日本全国から応募できる。

募集対象は、応募時点で調達前の25歳以下の起業家(登記前でも可能)。募集開始は7月29日、締め切りは8月20日午後11時59分。応募は「TORYUMON ZERO3期生応募フォーム」から行える。書類審査による一次選考と、オンライン面談による二次選考がある。一次選考の結果は1週間以内にメールで知らされる。二次選考通過者は順次コミュニティーのSlackに招待される。

詳細はこちらから

「TORYUMON ZERO」3期生募集概要

  • 募集人数:30名程度
  • 募集期間:2021年7月29日〜8月29日23時59分
  • 活動開始:2021年9月初旬始動
  • 対象:応募時点で調達前のU25起業家(登記前・エンジェルラウンド調達済でも可)。起業する予定のある学生・社会人。成長に貪欲な人。積極的にコミュニティの環境を活用できる人
  • 応募フォームTORYUMON ZERO3期生応募フォーム

募集スケジュール

  • 2021年7月29日:募集開始
  • 8月20日:募集締切、順次選考
  • 9月初旬:コミュニティ活動開始

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【コラム】世界中のエコシステムでエグジットの効果を最大化するためにVCが行うべき4つのこと

多くのベンチャーキャピタル企業(VC)にとって、エグジット、すなわち現金化によって投資を回収して次に進むことは、その投資案件の終わりを意味する。しかし、知っての通り、スタートアップの世界は進化している。つまり、投資によってもたらされるインパクトを左右する要素は今や投資金額の大小だけではないということだ。

VC企業は、投資家として、各投資案件が人類にとって何を意味するのか、VCの使命と資本をどう連携させていくか、という点について掘り下げて考えている。長期に及ぶインパクトにつながる強力な機運を生み出すきっかけの1つは、ポートフォリオ企業のエグジット成功だ。しかし、そのエグジットの効果が最大限に生かされていない。

エグジットは、適切に活用すれば、本当の意味で影響力を持つ企業を誕生させることにつながる。すべての創業者に平等にチャンスを与えて優れたアイデアに力を与えようとする場合はなおさらだ。米国以外の国々で生まれた製品が世界を席巻し、国際的な取引が当たり前になっている今、投資業界は「アメリカファースト」のアプローチからゆっくりと離れつつある。

投資家は、非常に高いポテンシャルを持つ企業が、その所在地に左右されずに、世界中で重宝されるような製品を生み出すことを可能にする原動力になる。そのような企業の手法には、業界を刷新し、海外の創業者でも国内の創業者と同じチャンスを与えられる場所へと変える力がある。

我々は、資本を使ってその手法を実践する基本的な方法ならすでに知っている。まず必要なのは、レプリゼンテーションが低い創業者に投資することだ。しかし、この記事では、多様性に富んだ創業者が戦える場を整える点でエグジットが持つ力について語りたいと思う。そのためには、他の起業家の事業が高額で買収されるのを見ることから生まれる心理的なモチベーションや、エグジットを終えたスタートアップのチームが次に取り組むこと、また、一市民の功績が一国家の評判にどれほどの影響を及ぼすのかという点について検討する必要がある。

2020年、ベンチャー投資を受けた41の企業が10億ドル(約1100億円)規模のエグジットを達成し、そのエグジット総額は1000億ドル(約11兆円)を超えた。これは10年ぶりの最高記録だ。VC企業は今、そのようなエグジットに関してかつてないほどの影響力を持っている。そして、大型エグジットを連鎖的に引き起こしていくためにVC企業にできることが4つある。

1. 競争心を引き出す

外国人の起業家が米国企業から資金を調達し、その事業を別の米国企業に売却すれば、当然それは移民の目に留まる。その外国人起業家の製品がどれほど画期的なアイデアに基づいたものだとしても、米国に住む移民たちは、少なくともベンチャー投資用資金の93%が白人男性にコントロールされている限りは、その外国人起業家にすべての希望を託したいとは思わないだろう。

米国人の発明家よりも移民の方が40%も多くイノベーションに貢献していることが研究によって証明されているのにも関わらず、このような状況なのである。

そのような外国人起業家が最も必要としているものは自信とロールモデル、そして、同じような立場の人々が同じような業界で色々と波風を立てながらも成功していることを示すサクセスストーリーである。

したがって、あるエグジットが大きな話題になると、業界内の他の外国人創業者は、自分の事業にテコ入れをして次の段階に進めようとする。それだけなく、彼らはより自信を持って資金調達に臨むようになる。そして、その自信を投資家は高く評価する。

筆者がこの記事を書こうと思い立ったのは、自分と同じくスペインからサンフランシスコに移住した移民創業者が起業したフィンテック企業Returnly(リターンリー)がAffirm(アファーム)によって3億ドル(約329億円)で買収されたことがきっかけだった。ちなみに、完全な透明性を期すために書いておくが、筆者はリターンリーにエンジェル投資、およびシリーズBとC段階での投資を行ってきた。

個人的に金銭的な利益を享受した筆者には、それだけでもこのエグジットに対して賛辞を送る十分な理由がある。しかし、シリコンバレーという競争の激しい環境の中で、その不利な立場に負けず、米国を拠点とする投資家から多額の資金を調達し、最終的には米国企業による買収を達成した外国人創業者の成功は、世界中の多様性豊かな創業者にインスピレーションを与えた。このエグジットはスペインの主要メディアやビジネスメディアで大きく報じられ、LinkedInアカウントには「つながり」リクエストやお祝いメッセージが殺到した。

外国人起業家のスタートアップにも資金調達の機会を平等に与えようとするグローバルな視点を持つ組織の存在を、エグジットを通して外国人起業家に示すことができれば、そのエグジットがもたらすインパクトはさらに強くなる。つまりそれは、世界各国の起業家に注目し、世界各地のエキスパートを結びつけるネットワークを築くVC企業が存在することを意味するからだ。

投資家は、エグジットを進める際に創業者が外国人であることを大いに宣伝し、その創業者がこれまでに乗り越えてきた課題や獲得してきたチャンスについて語ることによって、そのエグジットが業界にもたらすインパクトを最大化できる。さらに、そのようなサクセスストーリーに注目することにより、多様性が豊かな外国人起業家に投資することの価値が過小評価されているという事実を米国人投資家たちに納得させることができる。このようなエグジットを達成することにより、ニッチな外国人起業家に投資するVC企業としてのブランド力を強化し、資金調達を打診するスタートアップを引きつけて、この好循環をさらに強化することも可能だ。

2. 富を生み出す好循環を作る

大型エグジットが成功すると、関係する全投資家は多額の富を手にする。そして、その富が使われないまま投資家の手元にとどまる可能性は低い。投資家はその富を投資するために、高いポテンシャルを持つ別の企業、恐らくは大型エグジットを達成した直前の企業と同じような企業を探すことだろう。

しかし、そのような投資家は、自社のポートフォリオにおいて前述のような好循環を促進するだけでなく、同じようにするよう他の投資家にも働きかけるようになる。

どのエグジットも、成功例であれ失敗例であれ、外国人起業家とそのスタートアップにとって「前例」となる。高い利益を見込んであるスタートアップに出資する投資企業が1つでもあると、それを嗅ぎつけた他の投資家がそれに続く。なぜなら、スタートアップ投資の世界では外国人創業者や少数派民族の創業者は依然として過小評価されており、非常に高いポテンシャルを秘めていながらも、積極的に投資する企業がまだ少ないからだ。無比のチャンスを探す目を持つVC企業であれば、従来の形にとらわれないスタートアップに出資して大きな利益を手にした投資企業が1社でもあれば、それを見逃さない。その投資企業が同じ業界の別の企業に継続して投資している場合はなおさらだ。

この流れをサポートするために、最近エグジットを成功させ、類似する創業者に再投資してきたエンジェル投資家やVC企業は、そのような成功例の連鎖について大いに宣伝し、1つの成功例が同業界の別のスタートアップへの投資へとつながってきた経緯を説明するべきだ。さらに、成功した前例に基づいて特定の起業家を育てる決断をしたことを、自社のネットワーク内の企業にきちんと伝えることもできるだろう。

リターンリーの創業者は最近、自分が手にした利益の一部を当社のファンドに戻すことを申し出た。彼と同じ立場の外国人起業家が1人でも多く資金を調達できるようにするためだ。投資企業が創業者と意義深い関係を育み、多様性豊かな起業家に力を与えることに真剣に取り組めば、富の増大という投資企業としての使命もよりよく果たせるだろう。

3. 再投資を促進する

「ペイパルマフィア」はPayPal(ペイパル)の元幹部や元社員で構成される起業家集団である。そのメンバーには、南アフリカ共和国出身のElon Musk(イーロン・マスク)氏やドイツ系米国人のPeter Thiel(ピーター・ティール)氏など、1つの業界だけでなく、テクノロジーに関する複数の業界で大きな革新を生み出してきた起業家たちが名を連ねる。ペイパルマフィアの中には、YouTube(ユーチューブ)、LinkedIn(リンクトイン)、Yelp(イェルプ)、Tesla(テスラ)などの創業者や、米国大使になった者もいる。1つの企業だけでこれだけの効果を生み出せたのであれば、多様性が豊かで意欲にあふれた他のスタートアップのチームが大型エグジットに成功して資金とインスピレーションを手にしたら、チームメンバーは自分たちを信じてくれた人たちの成功に感化されて、1人また1人と、それぞれ自分で再投資を行うようになるだろう。

そのようにして設立されたベンチャーは、出自に関係なく平等なチャンスを与えるという特性を「次世代に引き継ぎ」、その使命によってより多くの雇用を創出していく可能性が高い。例えば、ペイパルマフィアのティール氏はこれまでに欧州だけで40以上の企業に投資してきた。

VC企業は、スピンオフするベンチャーに目をつけて、可能であればサポートする(出資しない場合でも、これまで積み上げてきた知識や人脈を使ってサポートする)ことにより、このチーム効果を活用できる。しかし、それだけでなく、投資の世界に参入するよう、そのようなベンチャー創業者の背中を押すことも検討できる。自社のポートフォリオ企業から始めるよう勧めてもよいだろう。成功したスタートアップの創業者や幹部社員の多くは投資家に転身する。例えばペイパルマフィアのメンバーは、現在最も有名なファンドのいくつかに出資してきた。成功したスタートアップのチームメンバーたちは、出自に関して自分たちもさまざまなことを経験してきたがゆえに、過小評価されている創業者たちを投資によって支援したいと、より強く思うようになる。そして、新しい起業家たちは自分たちの体験からさらなる価値を引き出せるようになるのだ。

4. 評判を次につなげる

前述したリターンリーの本社はサンフランシスコにあるが、同社の創業者はスペイン人で、従業員の多くがスペインを拠点としている。

つまり、リターンリーのエグジットによってもたらされるインパクトは大西洋の反対側にあるスペインでも、米国に入るスペイン人移民たちの間でも感じられるということだ。同じことは他のエグジット売却にも当てはまる。例えば、スペインで創業し、スペイン国内に複数のオフィスを持つAlienVault(エイリアンボルト)だ。同社は米国の通信大手AT&Tに9億ドル(約987億円)で買収された。または、IPO(新規株式公開)の例もある。今月初め、スペイン発の決済サービス企業Flywire(フライワイヤー)がIPOを申請した。IPO価格は30億ドル(約3289億円)になると予想されている。1つのスタートアップが成功すると、そのスタートアップに関わったチームメンバー全員の評判が上がり、ひいては、彼らと同じ国の出身で、同じ背景、教育、目標を持つ他の創業者や人材の評判も上がる。

その結果として、投資家や他のステークホルダーは、成功した創業者と出身国を同じくする別の創業者を支援したいという気持ちになる。その国の出身であることが、スタートアップのミッション、専門知識、文化に寄与していると考えるからだ。

同時に、成長中のスタートアップは、明白な成功実績を持つチームから人材を採用したいと感じる。これは、米国でより多くの外国人専門家を採用することだけでなく、米国以外の国へアウトソースする道を探ることも意味している。我々はすでに、リモートチームと働くことに非常に慣れており、チームの半分が眠っている時間帯にもう半分が働くというように時差を利用した方が資金を効率よく使える。しかし、創業者たちは常に、地元の人材とイノベーションがすでに活発に生まれている国に引きつけられる。VC企業はそのような話をポートフォリオ企業と始めるとよいだろう。

VC企業には、業界を永久に変え、大陸を超えてスタートアップエコシステムをつなげて、スタートアップが世界中に拡大していくのをサポートする力がある。しかし、その力を発揮するには、投資家として関わり続けるだけでなく、スタートアップがエグジットを達成した後に迎える次のステージがポジティブなものになるよう尽力する必要がある。

スタートアップの未来が本質的にグローバルで多様なものになることを認識していない投資家は、絶好のチャンスにめぐり合えないし、最良の創業者から選ばれることもないだろう。遅れを取り戻すことよりも、グローバルで多様なエコシステムを構築することに力を尽くすべきだ。

編集部注:Laura González-Estéfani(ローラ・ゴンザレス-エステファニ)氏は、TheVentureCityの創設者兼CEO。TheVentureCityは、グローバルな起業家のエコシステムをより多様に、国際的にそして公正な資本にアクセスできるように設計された、事業者主導の国際的なベンチャーアクセラレーションモデル。

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(文:Laura González-Estéfani、翻訳:Dragonfly)

「Plug and Play Osaka」スマートシティ領域アクセラレータープログラム第2期参加の8社が公開

「Plug and Play Osaka」スマートシティ領域アクセラレータープログラム第2期参加の8社が公開

Plug and Play(プラグアンドプレイ)の日本法人Plug and Play Japanは7月21日、大阪拠点Plug and Play Osakaが運営するアクセラレータープログラムにおいて、第2期となる「Batch 2」プログラムに参加するスタートアップ8社を発表した。

Plug and Play Osakaのアクセラレータープログラムは、スマートシティ(Smart Cities)がテーマ。第1期にあたるBatch 1プログラムでは、「スマートライフと建設」「旅行とエクスペリエンス」「都市交通とクリーンテック(Clean Tech)」、「ホスピタリティーと健康」を注力分野として、14社のスタートアップを採択した。

Batch 2プログラムでは、「サステナビリティ」と「エクスペリエンス」「クリーンテック」「スマートライフ」の4つを注力分野に掲げ、「脱炭素社会の実現に向け二酸化炭素分離技術や環境負荷を低減する新素材など、サステナブルな先端テクノロジーに加えて、味覚、嗅覚、聴覚などの五感や購買体験や鑑賞行為のアップデートに取り組むスタートアップを採択」したという。「持続可能な付加価値創造都市の発展」に向けたスタートアップ支援が実施される。

採択スタートアップ8社(アルファベット順)

  • ビーブリッジ:xR(AR/VR/MR)プラットフォームを活用したソリューションを提供。日本
  • Bergen Carbon Solutions(ベルゲン・カーボン・ソリューションズ。):カーボンナノファイバー(CNF)の製造・提供。スウェーデン
  • Carbon Clean Solutions(カーボン・クリーン・ソリューションズ):工業用およびガス処理アプリケーションのための二酸化炭素(CO2)分離技術。イギリス
  • Dreamwaves(ドリームウィーブズ):オーディオ・ナビゲーションアプリを開発。オーストリア
  • FlaVR Labs(フレイビアー・ラボズ):電気的刺激で味覚を作り出すデジタル・テイストの開発。アメリカ
  • Leakmited(リークミット):AIと衛星画像で漏水管の位置を特定。フランス
  • SceneryScent(シーナリーセント):店舗やステージで香りの演出を行う。日本
  • SERENDIOUS(セレンディアス):アーティスト・クリエイターと展示販売スペースのマッチングサービスを提供。日本

Batch 2の期間は2021年7月21日から2021年11月10日まで。ピッチデーにあたる「Batch 2 EXPO」は2021年11月10日に行われる予定。

またPlug and Play Osakaでは、プログラムの最大価値を模索すべく、独自に採択期間・プログラム実施期間の延長を行い、企業パートナーやスタートアップとの対話機会を増やしながら最適なマッチングに取り組む試験的な取り組みを開始した。実施時間による検証を行い、今後の事業支援、共創支援に向けた更なる発展を目指す。

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タグ:アクセラレータープログラム(用語)Plug and Play Japan(企業)日本(国・地域)

独立系VCのSixty8 Capitalが社会的地位の低い創業者を対象とした22億円規模のファンドを設立

黒人、女性、ラテン系、LGBTQ+のスタートアップ創業者にとって、シリコンバレーにおけるVC投資のパイ獲得が困難であるということは間違いない。この事実に対処すべく、米国のど真ん中、インディアナ州のインディアナポリスに拠点を置くSixty8 Capitalが、社会的弱者のスタートアップ創業者らにアーリーステージ資金を提供するため2000万ドル(約22 億円)規模のファンドを設立した。

このファンドには、The Indiana Next Level Fund、50 South Capital、Bank of America、Eli Lilly and Company、First Internet Bank、Central Indiana Community Foundationなどの投資家が名を連ねている。また、インディアナ州を拠点とするベンチャー企業のAllos Venturesと連携しており、同社のPaul Ehlinger(ポール・エリンガー)氏がSixty8のベンチャーパートナーとなる予定だ。

「このファンドで有色人種や女性をはじめとする多様なコミュニティに直接資金を提供することで、彼らを力付けることが可能になります。多様な人々によって設立された、すばらしいソリューションを構築している企業に直接投資できるようになるのです。これがSixty8を立ち上げた理由であり、これまでになかったチャンスを見つけ出すことができると信じています。インディアナのコミュニティだけでなく、中西部や南部の一部にも良い影響をもたらすことができたらと期待を膨らませています」と同社のマネージングパートナーであるKelli Jones(ケリー・ジョーンズ)氏は話している。

インディアナポリスで育ったジョーンズ氏は、ニューヨークやロサンゼルスに移った後、音楽、テック、エンターテインメントなどに携わる仕事を経験。2016年にインディアナポリスに戻り、自分が育ったコミュニティの黒人がテック分野やそれ以外で仕事に就くための訓練を受ける手助けを開始した。それが黒人の創業者に焦点を当てたスタートアップインキュベーターの展開に繋がり、後にピッチコンテストに参加することになる。

同氏がともに働いていた創業者らが、インキュベーターやピッチコンテストの一環として始めたビジネスを成長させるチャンスを得るために資本へのアクセスを必要としているということが、その当時から明らかだったため、アーリーステージファンドのアイデアを具体化させていったと話している。同氏によるとインディアナ州はB2BのSaaSで知られており、そのエネルギーにあやかりたいと考えていた。

「インディアナ州はB2BのSaaSで有名で、ExactTarget、SalesforceAngie’s ListInteractive Intelligence、Genesysなどのすばらしい企業へのイグジットなど、地元のテクノロジー分野では本当にすばらしいことがたくさん起こっています。しかし多様性に関してや、有色人種、女性、LGBTQの創業者を増やすということについてはあまり議論されていないのが事実です」とジョーンズ氏。

同社は1社あたり25万ドル(約2700万円)から50万ドル(約5500万円)の投資で、シード、プレシードの他、Aラウンドへの参加も計画している。インキュベーターやピッチコンテストなど、他のベンチャーからのパイプラインが用意されており、また起業家精神に溢れたコミュニティにも精通していると同氏は話している。

同社は、多様性の問題や多様な人々が投資の意思決定を行うという課題に対処するためだけでなく、ベンチャーキャピタルの支援を受けた企業には到底見えないような企業にも投資することができるという戦略に基づいてファンドを設立したいと考えていた。

最初の投資先はQualifiというB2BのSaaS企業だ。大量の採用を行う企業がAIを使って書類選考をより早く行うというもので、これにより7~10日かかっていた審査期間を3日以内に短縮することができるとジョーンズ氏は話している。

同社の企業名の由来は1968年に遡る。全国で多くの抗議が沸き起こり、有色人種や女性、ゲイの権利のための平等性を求める声が多く上がった歴史的な時代である。2019年に同社を立ち上げた当初は別の名前を使用していたものの、多様なグループを力付けることに焦点を当てた会社として、この名前の方がふさわしいと感じたとジョーンズ氏は振り返る。

「偉大な指導者を失い、人々の心の中にあった炎が大きく燃え上がった1968年の公民権運動の時と同じように、人々は依然として行進し生き残ろうと声をあげ続けているように感じます。女性の権利、ラテンアメリカ人の権利、黒人の権利のために戦っていた当時、さまざまなことが起きていましたが、2021年の今もなお、当時から前進できていないように感じるのです」。

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タグ:Sixty8 Capital投資マイノリティ女性LGBTQ+

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[原文へ]

(文:Ron Miller、翻訳:Dragonfly)

基礎研究を応援するANRIが給付型奨学金プログラム「ANRI基礎科学スカラーシップ」第4期生募集開始

基礎研究を応援するANRIが給付型奨学金プログラム「ANRI基礎科学スカラーシップ」第4期生募集開始

「未来を創る」起業家の支援を行うANRIは、特に研究開発型の大学発スタートアップを支援する中で、すぐに利益を生むことはないものの科学技術の発展には欠かせない基礎研究に資金が集まりづらく、学生には厳しい環境が続いていると感じていた。そこで、給付型奨学金プログラム「ANRI基礎科学スカラーシップ/The ANRI Fellowship」を立ち上げることにしたという。第4期となる今回は、奨学金受給希望者を最大10名募集している。

ANRIのジェネラル・パートナー、鮫島昌弘氏はこう話す。
「基礎研究すぎる? 成果が出るまで時間がかかる? 誰のためになってるの? そんな批判はもういいじゃない。自分がやりたい研究をトコトンやってほしい。もし君が周りからなかなか評価されずに暗闇の中でもがいているなら、僕らが小さなロウソクになれれば嬉しいなと思います」

「ANRI基礎科学スカラーシップ」の主な内容

  • 支給金額:1人あたり50万円(採択より1年間)
  • 募集対象:数学や物理学、生物学、化学などの分野において優秀な成績を収めた学生(年齢制限なし)
  • 募集人数:10名まで
  • 選定方法:書類選考。必要に応じて面接も実施
  • 応募締め切り:2021年8月31日
  • 発表:10月末ごろ
  • 応募注意事項:ANRIが提供可能な資料は「ANRI学生向け研究費支給通知書」「寄附金申込書」「研究費使用規定」の3点のみ

応募はANRI基礎科学スカラーシップ/The ANRI Fellowship」第4期生 応募フォーム」から。

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タグ:ANRI学生(用語)基礎研究(用語)奨学金(用語)VC / ベンチャーキャピタル(用語)日本(国・地域)

恋に落ちる36の質問(ただし相手は共同ファウンダー)

数カ月間のベータテストを終え、Y Combinator(Yコンビネーター)は共同ファウンダーマッチングプラットフォームを公開した。そこでは起業家たちがプロファイルを作成し、自分自身のことや共同ファウンダーに望むこと、たとえば場所やスキルなどを記入することができる。システムはその情報を分析し、ニーズに合った候補者を何人か選んで提示する。言ってみれば共同ファウンダーのためのTinder(ティンダー)のようなものだ。これまでに4500人の共同ファウンダーの間で9000件のマッチングが出来上がった、とY Combinatorは言っている。

Y Combinatorがこのツールを運用するのに適した立場にあることは明らかだ。このアクセラレーターは、Startup School(スタートアップ・スクール)という人気の無料オンラインプログラムを開設しており、会社を始めたい人なら誰でも、設立に必要なリソースを手に入れ講義を受けることができる。スクールは190か国、23万人のファウンダーからなるコミュニティを作り上げた。このため、マッチングツールの提供はごく自然な流れであり、YCパートナーが新たに芽生えつつある才能を早期に集め、情報収集する場所としても役立っている。中でも、このマッチング・プラットフォームで出会った2つの会社はいずれもY Combinatorの2021年夏学期のメンバーだ。エコシステム万歳!

私の第一感はこうだ。このツールは、気が利いていて需要のあるシンプルなツールとして人々を結びつけることができるだろうが、意味のある形で運用していくのは、みんなが思うよりもはるかに大変だ、YCのように著名で実績のあるアクセラレーターにとってさえも。この後、このツールに関する提案、というよりも私の希望のリストを書いていきたい。January Ventures(ジャニュアリー・ベンチャーズ)の共同ファウンダーであるJennifer Neundorfer(ジェニファー・ニューンドーファー)氏と話して彼女の考えを聞いた後にまとめたものだ。

  1. 共同ファウンダーマッチングツールが最も向いているのは、自分のネットワークを持たず、初期段階で共同作業者を見つける方法を必要としている人たちだ。Startup Schoolは非常に大きいネットワークだが、クラス内の多様化と少数派登用に苦闘しているY Combinatorとしては、ファウンダーをマッチングさせる際にその問題を悪化させない方法を見つける必要がある。性別や民族によるフィルターは可能か?その機能はあるべきなのか? そこは危うい領域だ。
  2. YCは私にこう言った「Startup School参加者には地域年齢に関する情報を、最近追加した性別に関する自由記入テキストボックス以外尋ねていません。そして大部分の人たちは性別情報をまだ記入していません。現在私たちは、この情報を共同ファウンダーのマッチングに使用しています。女性であれば、女性共同ファウンダーを探しているというマークをつけることができ、その場合は共同ファウンダー候補として女性が選ばれる可能性が高くなります」。
  3. 双方が持つ情報が非対称である「逆選択」は実際に起きる。以前ニューンドーファー氏は、共同ファウンダーマッチングツールにはネットワークを持たないファウンダー「のみ」が集まると私に話したが、これは両者の経歴を組み合わせてもまだVCとのミーティングができない場合、あまり意味をなさない。共同ファウンダー・マッチングツールはよい加減の「ゴルディロックス状態」をどうやって見つけるのだろうか。起業家精神に関する鋭いスタートアップ思考を持つスター・プロジェクトマネージャーと、コーディングは大好きだがシリコンバレーにひとりも知り合いのいない大学院生の「両方」をどうやって引きつけるのか?
  4. それは(Tinderのように)右にスワイプするほど簡単ではない。果たしてYCは、マッチングサービス内の共同ファウンダーたちが相性を厳しく吟味する方法を簡単に学べる方法を見つけられるのか?NY Times(ニューヨーク・タイムズ)で人気となった恋に落ちる36の質問は、共同ファウンダー探しにも利用できる。

新ツールを発表したブロク記事で、YCはこの最後の点に言及した。「人はおそらく、1回デートしただけで結婚すべきではないでしょう。同じように、誰かと会社を共同設立するかどうかを決めるためにはビデオ通話が2回以上は必要でしょう」とブログに書かれている。「マッチした候補と実際に顔を合わせ、機会があれば、目的とゴールを明確にした期間限定のテストプロジェクトで一緒に働き、共同ファウンダーとの相性を慎重に吟味することをお勧めします」。

ともあれ、私は応援している。なぜなら、というか、誰でもそうだろう。ニューンドーファー氏はこう言っている「ファウンダーマッチングツールはファウンダーの供給を拡大しファウンダー基盤を多様化する興味深い方法です」。あとはツール群が多様性とアクセシビリティーを考慮して作られているかどうかだけだ。

この記事の後半では、IPO前の会社で起きた珍しい幹部のシャッフル、最新のウェブ・デリバリー・テック・スタックを深堀りしたExtra Crunchの特集EC-1、およびDidi(ディディ)を取り上げる。

Instacartシャッフル

画像クレジット:Instacart

Instacart(インスタカート)は、予定されているIPOを前に、Facebook (フェイスブック)幹部のFidji Simo(フィジー・シモ)氏を新CEOに指名した。食料品デリバリーのスタートアップは最新の評価額が390億ドル(約4兆3040億円)で、現CEOでファウンダーのApoorva Mehta(アプアバ・メフタ)氏は取締役会長に就任する。

関連記事:グローサリー配達のInstacartが新CEOにフェイスブック幹部のシモ氏を指名

注目ポイントはここだ:上場直前の重要な幹部シャッフルは稀でありかつ疑問符がつく。Instacartのメフタ氏は自身が10年近く前に創業した会社を公開する直前に現職を去ることになる。そして、The Information(ジ・インフォメーション)によると、シモ氏のCEO就任は、Instacartで長らく続いているFacebookの「人材漁り」の最新事例だという。同誌の推計によると、2021年にInstacartは、エンジニア、プロジェクトマネージャー、リクルーター、デザイナー、およびデータサイエンティストの計55人以上をFacebookから引き抜いている。もちろん、シモ氏の新しい仕事は、Facebookが最高ランクの女性幹部を1人失ったことを意味しており、すでに多様性に苦闘している会社にとって見っとも良い話ではない。

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EC-1のNS1特集

画像クレジット:Nigel Sussman

TechCrunchがスタートアップの設立から直面する課題への取り組みまで詳細に分析するEC-1の最新号はNS1を特集している。最新ウェブデリバリー技術スタックの中核を破壊しようとしている会社だ。

注目ポイントはここだ:この記事はITや大企業の仕組みの大ファンではない普通の人たちにとっても一読の価値がある。なぜか?そこでは資金豊富なビッグテック企業とVC支援の大物スタートアップでいっぱいの成熟した市場で、どうやってスタートアップが戦っていくかが書かれているからだ。そして、インターネット・トラフィックの再検討の必要性がなぜニッチな話ではないのかも。

EC-1記事

TechCrunchのEquityチームは今週特にすばらしい仕事をした。私はそこにいなかったので、ここでは多少バイアスの少ない私の言葉を読めるだろう。

注目ポイントはここだ:この回で一番興味深い部分は、Didi、および同社のが中国企業の米国上場に与える影響に関する話題だ。規制の問題には投資家の興味を薄れさせる効果があるが、DidiはTechCrunchがそれを指摘しなければならない唯一の事例ではない。

その他のニュース

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Y CombinatorInstacartDidi

画像クレジット:ALFRED PASIEKA/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

新世代のエンジェル投資家誕生を支援するHustle Fund

Kara Penn(カラ・ペン)氏は、4人の娘の母であり、マネジメントおよび戦略コンサルティング会社Mission Spark(ミッションスパーク)を経営している。

そして今、彼女はHustle Fund(ハッスルファンド)のおかげで、エンジェル投資家でもある。

Hustle Fundは2021年5月、コロラド州に拠点を置くペン氏のように、より多くの人々がエンジェル投資を利用できるようにする新しいイニシアチブAngel Squad(エンジェルスクワッド)でステルスから抜け出した。

「当社は、スタートアップのエコシステムで多様性を増すためにしなければならないことは、性別、人種、居場所にかかわらず、エンジェル投資家における多様性を増すことだと信じています」と Hustle Fundの共同創業者兼ゼネラルパートナーのElizabeth Yin(エリザベス・イン)氏は語った。

Hustle FundはAngel Squadを通じて、インクルーシブな投資家コミュニティの構築を特に目指しており、最低投資額を低く、利用しやすいように設定し(最低1000ドル、約10万9000円から)、投資家に「エンジェルの心得」とHustle Fundとともに投資する方法を提供する。

イン氏は「エンジェル投資家になるには、大金持ちで2万5000ドル(約270万円)の小切手が切れなければいけないという誤解がありました。少なくとも私はそのように思っていました」とTechCrunchに語った。「でも実際シリコンバレーでは、1000ドルの小切手で投資している人たちがいます。これはほとんどの人が考える額よりもはるかに手に届く額です。少額の小切手をたくさん集めて、企業に対して多額の小切手を切ることができるという点で、このグループを作る価値があります」。

ペン氏はこれまで、不動産、食品、アパレル、金融などさまざまなセクターで5社のスタートアップに投資している。

ペン氏は自身のことをエンジェル投資において「完全な初心者」としており、今のところはこの経験を楽しんでいる。

「すばらしい実業家は誰でもなれ、どこにでもいるというHustle Fundの考え方が気に入っています」とペン氏はTechCrunchに話した。「あらゆるレベルの専門知識が揃い、どんな質問にも答えてくれる協力的なコミュニティの一員でいることを楽しんでいます」。

またこの経験により、彼女はテクノロジーとAI、データの収集と利用、新しい市場の創出など、今までに触れたことのない方法で知識を広めることができるようになった。

「自分の会社で社会的影響力のある組織の戦略に専念する者として、創業者が複雑な問題に対して創造的な解決策を特定して市場に出す方法を探したり、難しい問題をスマートな方法で解決しようとしている革新的な人々のネットワークに触れることを望んでいます」とペン氏。「このように触れる機会があることで、難しい社会問題にこれらのアプローチを適用することについて考えようという気持ちにさせてくれます」。

Hustle Fundはエリザベス・イン氏とEric Bahn(エリック・バーン)氏によって創業されたベンチャー企業だ。両者ともにプレシードソフトウェアのスタートアップへの投資を目標に持つ、500 Startups(500スタートアップス)の元パートナーだ。同社は従来、通常は最低限の有望製品を持つ企業に2万5000ドルを投資し、チームと連携して企業の成長を助けている。同社ウェブサイトによると、年間およそ50件の投資を行っている。

最近、新規ファンドに 3360万ドル(約36億8000万円) 調達した。

「当社にとって最も重要なものの1つは、このスタートアップのエコシステムの方法を変えるという大きなミッションです」とイン氏。「起業家として、そしてアクセラレーターの業務を行うときの両方で、特定の履歴書があったり、特定の学校を卒業しているとか、特定の人種や性別だと、会社を立ち上げて、資金を調達する上で有利だということに気づきました。この項目に当てはまらなければ、多くの人にとって起業はとても困難なことになる可能性があるのです。だから当社はあらゆる階層からの多くの創業者に投資しているのです」。

Hustle FundのベンチャーパートナーBrian Nichols(ブライアン・ニコルス)氏は、AngelList(エンジェルリスト)でLyft(リフト)の元社員のシンジケートを開始した。いくつかの取引を行った後、AngelList以外の人々に対するシンジケートを開いている。

「あらゆるバックグラウンドの世界中の人々が、プライベートマーケットに多様性を求めていることがわかりました」とニコラス氏は話した。「Hustle Fundとは、投資していた企業の趣味が合うので、共同投資という形で関係を築いたのです」。

ニコラス氏は現在、同社のAngel Squadイニシアチブを助けている。これまでに合計で150名以上の投資家を集めたコホートを2回行った。同社のミッションに忠実に、投資家は通常のエンジェルシンジケートよりも多様性に富んでいた。メンバーの46%が女性で9%が過小評価されているマイノリティ、32%が弁護士や医者、アーティストなどのテック以外の専門職であった。シリコンバレーに拠点を置いているのは1/3に過ぎない。

Angel Squadでは毎週、ネットワーキングから、Hustle Fundが投資を検討している機会を密かに伺ったり、創業者とミーティングを行うか否かの理由について話し合ったりするなど、さまざまなイベントを開催している。

ニコラス氏は「ゼロから始めることを考えてみてください。たくさんのステップをスキップできて、スタートアップを評価するプロセスで大金を失う前に、エリザベス(・イン氏)にやり方を教えてもらうことができるのです」とTechCrunchに語った。「Angel Squadはまさに、私が投資に興味を持ち始めた3、4年前に望んでいたものです」。

シリコンバレーは威嚇的なところもあるが、実際はすべてにおけるエキスパートはいないとイン氏は認識している。

「私たちは人々がとても親切な環境を作ろうとしています。『嫌なやつ禁止』ルールがあり、人々が安心して学び、質問でき、エンジェル投資について何も知らなくてよいという環境です。実際ほとんどの人はエンジェル投資について知っていません。私たちは新しい人をこのシステムに招き入れたいのです」。

「嫌なやつ」ではない他、Angel Squadのメンバーになるための他の条件には、価値を高め、公認の投資家になることが含まれる。

「現在の競合的なラウンドで、私たちが投資しているポートフォリオ企業を積極的にサポートしたい人々を求めています」とニコラス氏。「プログラムに参加したい方は全員、当社チームによる面接があり、『あなたが創業者を助けられることは何か』といった質問がされます。受動的な資本は探していません。受動的な資本はエコシステムのこの時点ではさほど役に立ちません」。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Hustle Fund多様性インクルーシブ

画像クレジット:Hustle Fund

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)