営業の効率を上げる: 見込み客を見つける前にLegion Analyticsで情報の精選を

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Legion Analyticsのファウンダたちは、営業が新規顧客を見つけるためには、もっと良い方法があるはず、と主張する。

彼らはは今、Y Combinatorが新しく作った特別奨励事業(fellowship system)に参加している。それはごくごく初期の企業に対する8週間の育成事業で、12000ドルの助成金とオフィスの利用とメンターが提供される。

これまでの見込み客生成過程の、どこが間違っていたのか? CTOのSinan Ozdemirによると、これまでの営業はごみの山のような大量の無駄なデータとの格闘に、時間を取られすぎていた。情報の20から40%は、不正確な、あるいは無関係なデータなのに。

そこでLegion Analyticsは、営業マン/ウーマンに大量のコンタクト情報を提供しない。代わりに毎朝、二つ、五つ、または十件の見込み客情報を送る(件数は設定できる)。これらの見込み客は会社の業種業態や彼/彼女の関心に基づいて選別され、さらにPandoraの曲のランクのように[良い/だめ]の評価をつけられ、ランキングができる。

見込み客の選別は、Legion Analytics独自のアルゴリズムと、社内のエキスパートグループが行う。とくに、その人の職責と肩書を重視する。CEOのJamasen Rodriguezによると、ふつうの肩書も役に立つが、同社のアルゴリズムは”sales hacker”のようなナウい肩書も無視しない。今では、同じ仕事がさまざまな、珍奇な肩書で呼ばれていることが多いからだ。

選別に対して、ユーザが条件を付けることもできる。たとえば「25-32歳の営業担当VPで、サンフランシスコの企業、資金調達履歴は500万ドル以上、WebサイトでMixpanelを使っている」、などと。

Legion Analytics screenshot

同じくY Combinatorで育った営業支援スタートアップAmbitionのBrian Trautscholdが、Legion Analyticsについてこう言っている: “これまで10種類あまりの見込み客生成サービスを使ってみた。どれもまあまあだけど、すばらしくはない。でも、2か月前から使っているLegionは、手放せないね。毎朝メールチェックのとき、新しい見込み客を教えてくれる。それは自分の毎日のワークフローに合っているから、人生がすごく楽になった気がする”。

RodriguezとOzdemirはJohns Hopkins大学で出会った。当時Rodriguezは学生、Ozdemirは講師だった。Ozdemirによるとそのとき彼らは、“人間に関するネット上のデータからその人を本当に一人の人間として感じ理解できるためにはどうすべきか”、というテーマに関心を持っていた。研究を続けるうちに、これは営業の人たちを助けることもできるテーマだ、と気づいた。

YCの特別奨励事業を知ったのは、二人がサンフランシスコに来てからだ。実はその事業は、ベイエリア以外のスタートアップでも参加できる。彼ら自身もまた、営業の担当地域としてもっと多くの地域をカバーしたい、と考えている。

“見込み客生成(リードジェネレーション, lead generation)のための情報分析は、今ではネット上のひとつの業種業態として定着していて、情報の分析や精錬からメールマーケティングまで、いろんなタイプのサービスがある”、とRodriguezは語る。“でもうちは、その全過程をカバーしたい”。

そして、Legion Analyticsという社名の由来だが、なんとそれはLeがlead、gionがgenaration、合わせて“見込み客生成分析”という意味になるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

翻訳サービスのUnbabelが翻訳者にヒントを提供するSmartcheck機能を導入

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人間による編集と機械学習を併用する、Y Combinator支援の翻訳プラットホームUnbabelが今日(米国時間9/11)、Smartcheckと呼ばれる新しい機能を発表した。

Unbabekの基本システムは、インテリジェントな翻訳エンジンをベースとする翻訳サービスだ。仕事を求める翻訳者はそこに登録し、翻訳者を探している顧客は言語や専門分野などで検索する。現在は22の言語の45のペア(スペイン語を英語に翻訳、など)をサポートしている。

その機械学習の部分では、翻訳システムがシステム内で行われる翻訳から学習する。翻訳のパターンを認識して、特定の語句の特定の翻訳のされ方を覚え、それを基準として正しい翻訳とそうでない翻訳を見分ける。

UnbabelのCEO Vasco Pedroはこう述べる: “システムが徐々にお利口になっていく。人間編集者の仕事をモニタして、よくある誤訳を見つけるとコミュニティにフィードバックする”。

翻訳料金は語数ベースで、翻訳者の能力は1時間800語以上が期待されている。翻訳者の報酬は時間給なので、Unableとしては速い方がありがたい。そこでスピードアップとエラーの減少の二兎を、Unableは追わなければならない。

そこで登場したのが、Smartcheckだ。この機能は翻訳の過程で誤訳の可能性を指摘するだけでなく、正しい訳のヒントも与える。

Shows example of the Unbabel Smartcheck feature.

“翻訳者が翻訳をしていく過程でヒントを与え、検討を要する部分を高輝度化する”、とPedroは説明する。

指摘は単語のスペルのような単純な問題もあれば、主観的な言い方を避けよ、とか、顧客が求める文体でない、など高度な指摘もある。

システムはこれらのヒントを、翻訳エンジン内の翻訳者の仕事をモニタすることによって習得する。つまり人間翻訳者は機械から教わるが、その前に機械は人間翻訳者から学ぶのだ。

同社の登録翻訳者は今約32000名で、およそ380社が利用している。7月は同社の売上が初めて10万ドルを超えるという、最高記録に達した。

今同社の料金制度は、それまでの月額会費制から、語数ベースの翻訳料へ移行しつつある。

同社はY Combinatorの2014年冬季クラスに参加し、150万ドルを調達した

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アジアでのネット販売は複数のeコマースの利用が必要不可欠な難題…その総合サービスを提供する香港のBranch8

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アジアはアジアというたった一つのラベルを貼ることが無意味なぐらい、文化も民族も多様だ。まあそれは、地図上の特定の範囲の呼称にすぎない。言語など、ほかの文化要素に負けず、eコマースもアジアのそれは多様性が激しい。

アジアには、西側のAmazonやeBayに相当する単一の支配的勢力がない。中国ではAlibabaとJDが優勢、日本はRakuten、韓国はCoupang。東南アジアや南アジアなどの途上国市場は、もっと分裂していて、Rocket Internetはここに足場を築くために10億ドル近くを費やした。とりわけインドでは、Flipkart、Snapdeal、Paytmなどの地元勢力がAmazonと互角に戦っている。

競争があって選べることは消費者にとって嬉しいが、商業者にとっては厄介だ。アジアでできるだけ多くの国で売ろうとすれば、五つか六つのeコマースサイトと付き合わなければならない。複数のサイトで売ることが面倒であるだけでなく、在庫管理、需要予測、パッケージの手配など、商業者として日常やるべき業務も複雑多岐になる。その仕事量たるや膨大で、一商業者が片手間でやれるようなタスクではない。

そこでeコマース商業者のマルチサイト展開を助けるサービスが、必要になる。ここでご紹介するBranch8が、まさにその一つだ。同社は、商業者が複数のサイトで売ることを、簡単にできるようにしてくれる。

Branch8のファウンダたちは全員、eコマース畑の古強者だ。CEOのElton ChanはRocket InternetのLazadaで電子製品の販売を担当し、CTOはFacebookとMicrosoftにいた人物、そしてCOOとCPOは前歴が、いろんなマーケットプレースで売ってきた有能なリテイラーだ。…Branch8は、複数のマーケットプレースで売りたい人を助けるワンストップショップ(なんでもやってくれるサービス)を志向している。

ChanはLazadaにいたとき、このようなサービスを着想した。さまざまな売り手(商業者)を相手にする機会が多かったからだ。“彼らのアカウントを見ると、いろんな国のいろんなマーケットプレースで商売することの難しさが、まるで自分のことのようによく理解できた”、と彼は語る。

Branch8はオフィスは香港にあるが、Y Combinatorの今年の夏のクラスに参加した。5月には招待制でローンチし、そして今ではすべての商業者が利用できる。現在のユーザは1000社(店)近く、製品(商品)は60万種以上、そして彼らの、Branch8プラットホーム上の各月の売上は100万ドルを超えている。

ローンチしてまもなくの今、サポートしているeコマースサービスは、AmazonとLazada、Rakuten、eBay、そしてJumiaのみだが、同社は売ることだけでなく、トラフィックの分析や、他社(他店)の売値のチェック、商品の他プラットホームへの移行、サードパーティのロジスティックサービスの利用、などもサービスに含めている。Chanによると、こういう一連の付加価値が、ユーザである商業者から見てBranch8の強みになるはずだ。

Chanはこう語る: “うちの差別化要素は分析だ。SKUベースでトラフィックを追えるツールは、ほかにほとんどない。価格調査や新しいプラットホームへの移行(展開)も、各商業者が単独でやれば厄介なタスクになるが、それをうちは自動化している”。

このサービスは最初の3ヶ月は無料だが、その後は毎月315ドルからの有料になる(最高は715ドル)。商品の種類が多いほど、そして上記のような顧客サービスのリクエストの頻度が多いほど、料金は高くなる。

YCは対象をNPOやバイオにも広げるなど、多様化に熱心だが、香港など合衆国以外の地域でのアクセラレータ業務はまだ経験が浅い。しかしそれでも、Chanによると、とくにプロダクト開発の面では、YCの存在が大いに助けになっている、という。

“うちは学ぶことに貪欲だから、YCからも多くのことを学んだ。とくにネットワークの使い方や、プロダクト開発のやり方がとても役に立った。YCのメンター制度は有益で、新しい考え方に目を開かせてもらえた”、と彼は述べている。

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Yコンビネーター発のL. Condomsは、安全なセックスをオンデマンドで提供する

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徒歩15分以内のコンビニに十分在庫があるに違いないのに、1時間以内にコンドーム1箱を配達してもらう必要がある状況を私は知らないが、サンフランシスコのあるスタートアップが説明してくれる。

L. Condomsは、Y Combinator の現行クラスの一員で、安全で皮膚にやさしい避妊具を、あなたの玄関先に1時間以内に届けてくれる。

その魅力的な贅沢さのほかに、このスタートアップは世界に素晴らしい貢献をしようとしている ー 避妊用品と女性がそれで稼ぐ方法を途上国にもたらすことだ。

L.のファウンダー、Talia Frenkelは多忙なフォトジャーナリストとして、国連や赤十字のために最近の洪水や火事その他の災害を報道し、2008年には、HIV/AIDSで死んでいく女性や少女たちを撮影するためにアフリカに派遣された。この性感染症は、世界的に生殖年齢女性の死亡原因第1位であると世界保健機関は言っている。

このハッとさせされる数字が、Frenkelの中で何かを呼び起こした。「私は女性の死因ナンバーワンが、完全に予防可能であることに気づかなかった。絶対に行動を起こすべきだと思った」と彼女はTechCrunchに話した。

私は女性の死因ナンバーワンが、完全に予防可能であることに気づかなかった。絶対に行動を起こすべきだと思った。

— Talia Frenkel, L. Condoms

Frenkelは、適切な避妊具を使っていれば感染する必要のない病気から女性を守ることを目標に、1年半以上前に自己資金でL. を立ち上げた。彼女はこれに、1対1購入モデルを適用している。L. 経由で購入されたコンドーム1箱につき1箱のコンドームがウガンダの女性に寄付されるのだ。

L. は、ウガンダの現地で働く女性起業家2000人のネットワークを通じてコンドームを配達する。女性たちはコンドームを低価格で販売し、彼女たちが他の人々に正しいコンドームの使用法を教育できるよう、長期に継続可能なビジネスを構築する。

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Frenkelは、自分の製品を国内でも魅力的なものにした。L. のコンドームは、無毒で、完全菜食主義者に優しい天然ラテックスで作られており、ラテックスアレルギーの持ち主がコンドームでアレルギーを起こす危険を減らす。コンドームはエコフレンドリーな自転車メッセンジャーによって、サンフランシスコ、マンハッタンおよびブルックリンで日夜1時間以内に配達される。

Frenkeは、宅配に加えて現在彼女の製品はコンビニ、Target、およびWhole Foodsなど1000以上の店舗で販売されており、YC参加時点より売上が4倍に増えたとTechCrunchに話した。

というわけで、もしあなたが(文字通り)世界を変えるセックスの気分になったら、ズボンをはいて街角まで買いに行くことができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

オンデマンドの技術系便利屋さんEdenがワーカーを個人契約から社員に格上げ…そうせざるを得ない理由とは

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今年の5月にY Combinatorから巣立ったテクノロジ系の便利屋さんEdenは、iPhoneの割れた画面やWiFiの接続不良、プリンタのインストール、買ったばかりのテレビの据え付けまでやってくれる。シード資金130万ドルを調達した同社は、順調に成長してきたが、これまで同社が家庭などに派遣してきたワーカーは全員、個人契約だった。言い換えると、その個人にとっては“ちょっとしたバイト”という収入の性質になる(所得分類としては“その他の収入”)。

本日(米国時間8/3)、協同ファウンダのJoe du Beyの発表によると、全ワーカーを個人契約から社員資格に変える(所得分類としては“給与”になる)。一部を正社員とし、他を非常勤とするが、さらに一部は同社の株主にもなる。

実はオンデマンド労働をめぐって、個人契約か社員扱いかという議論が、このところ過熱している。UberやHomejoy、Handyといったオンデマンド企業に対する訴訟が、最近増えているからだ。

これまでEdenは、Best Buyのような大型店や、小さなテクノロジ系企業で働いている技術職のプロたちを、時給30ドルで契約してきた。しかし、du Beyによると、そうやって契約したEden Tech Wizardsの人たちが実際に利用者の家庭にお伺いして、有形無形の個人情報を目にすることもある面倒な仕事をするときは、技術者が顧客に安心感と幸福感を与えうるプロとして教育訓練されていなければならない。

“うちの優先順は、前と変わらない。一に顧客、二にテクノロジウィザードの方々、会社とそのほかは三番目だ”、とdu Beyは語る。“正社員扱いに変えるのは、その方が明らかに、顧客の安心感と満足感が向上し、またその基盤として、うちがテクウィザードたちを大事に扱っている、という状態と印象が定着するからだ。

個人契約で仕事をすれば、ワーカーはある意味、自由だ。責任はすべてその人個人にあり、会社は関係ない。ただし医療費や保険などはすべて自前になる。ワーカーは自由だが、一方会社は、彼らをほとんどコントロールできないし、教育訓練もできることが(法律で)限られている。「もっときれいな服装をしろ!」と命ずることもできない。ワーカーはあらゆる面で、相当な自由を担保する。

du Beyによると、Edenの売上の多くを、世帯主が50歳以上の家庭が支えている。これまで技術的なことをなんでもやってくれた若い親族が、家を出て行った家庭だ。

“仕事の依頼は、若い親族から来る。つまり、その人たちの両親や祖父母は、その人にとってとっても大事な人たちだ。今高齢の母親しかいない家には、信頼できる人、何でもできる人、そして忍耐強い人に行ってもらいたい”、とdu Beyは語る。“うちのテクウィザードが、仕事ができるだけでなく、老母にとって‘とっても感じのいい人だったわ’であるためには、大量の教育訓練が必要なんだ”。

個人契約から社員に変わったことによって、Edenがワーカーに支払う額は、従来より20%多くなる。

利用者の家庭がEdenに支払う額は1時間69ドルで、対象地域はベイエリアのみだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

このサイトは、スタートアップのホームページの変遷を見られるタイムマシンだ

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先日私が、Twitterのホームページデザインの変遷を調べた時、それはまるでタイムマシンで過去に向かっていくような体験だった。2009年に彼らが会社で最も重要なページをどう考えていたのかを見るのは実に興味深かった…そして、すぐに変わってしまったことも。

これを楽しいと思ったのは私だけではなかった。Startup Timelinesというサイトが、様々なスタートアップのホームページの歴史を収集している。

例えばこれは、Squareのサイトが進化していった様子

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サイトを運営するBakz Awanは、われわれと同じくスタートアップのファンで、面倒な作業の一切(Way Back Machineをクリックして、スクリーンショットを取り、GIFに変換して、所蔵する)をみんなに代わってやってくれる。

本誌も年とともに変わってきた

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サイトは無作為に集められているわけではない。例えば、 Y Combinato 2015年夏学期などのコレクションにまとめられている。 ユーザーがサイトを提案することもできる。

Twitterの過去をスクリーンショットに収めるだけだった私にすれば、Awanの仕事には大いに感心する。今日自分が世に出すものが、来週は違うかもしれないことを思い出させてくれる、ありがたい存在だ。物事は変化し、シリコンバレーは進化で溢れている。一息ついて、 Startup Timelinesというタイムマシンに乗ってみよう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

テキストメッセージだけを使う超簡単なeコマースプラットホームLocent、意外と他の目的にも

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Y Combinatorの今年の夏季クラスでローンチしたLocentは、テキストメッセージだけを使うeコマースプラットホームだ。

オンラインの小売で最大の障害が、面倒なチェックアウトプロセスだ。Locentはユーザ企業に、ふつうにテキストできる電話番号を一つ与える。そしてチェックアウトプロセスを単なるテキストメッセージにしてしまう。

ユーザ企業はLocentにアカウントを作り、電話番号をもらう。それからLocentのバックエンドを利用して、品物を並べる。それらの値段、写真、キーワードなどをアップロードする。

お客はその番号に、ほしい品物のキーワードをテキストする。決済のリンクが出るので、そこでトランザクションを完了する。

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Locentの最終的な目標は、ふつうの小売店にそんな‘テキスト店’を持ってもらうことだが、今のところは既存のブランドやインフルエンサーのマーケティング的(==誘導的)利用が主体だ。

たとえばSnapchatのスターShondurasの場合は、Locentの番号にファンからメッセージが来ると、その返事で会員制のTwitchチャネルのリンクを教える。最初の12時間で‘ファンテキスト’は8000通あまり殺到し、彼らはただちに、Twitchチャネルのリンクを返事で受け取った。

Locentの協同ファウンダMatt JosephとRyan MacInnesによると、このサービスを利用すれば既存のマーケティングチャネルがワンクリックの売り場に変身する。

同社は、Locentを寄付のプラットホームにすることも考えている。とくに、2016年は大統領選の年だから、資金集めが賑やかになるだろう。候補者がLocentの番号入りの名刺をばらまいたとすると、そこにテキストしたユーザは寄付のページへ連れて行かれる。

バックエンドとしてTwilioStripeを利用しているが、Locentそのものは、そこらの商店のおっちゃんでも簡単に使えるプラットホームだ。

料金は、Stripeの2.9%+30セントに加えて、売値の3%だ。

LocentはY CombinatorとChaac Venturesから63万ドルを調達している。

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あなたの体の内部の3Dモデルを見せてくれるKlarismoが$2.1Mを調達、病気になってからMRIしたって遅い!

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MRIなどのボディースキャン情報から人間の3Dモデルを作るKlarismoが、210万ドルの資金を獲得し、Y Combinatorからローンチした。

Klarismoにネットでアクセスして3Dモデルを作ってもらうと、体の内部構造がよく分かるようになる。ただしサービスを利用するためには、MRIスキャンなどのスキャンデータをKlarismoに提供する必要がある。3Dモデルもネット上で画像として提供され、経時的にこのサービスを利用すると、筋肉が増えたなとか、体脂肪が減ったななど、体の時系列的な変化を見ることができる。脾臓など、内蔵の形や色の変化も分かる。

CEOのMarcus Fosterは語る: “このサービスを利用すると、体の内部が分かる。減量や増量、筋肉の増強などに努力しているアスリートにとっては、とても役に立つサービスだと思う。体の、自分が見たい部分の変化を知ることができるサービスは、これが今のところ唯一だ。筋肉の組織の一つ一つが手に取るように分かるし、体内の脂肪の減り具合も分かる。ほかの方法では、それを見ることはできない。今までに見たことのないやり方で、自分の体を見ることができるんだ”。

しかもそんな3D画像データは、個人ばかりでなく、保険会社や医薬関連の企業にとっても利用価値が大きい。それまでは、そんな大企業ですら、人の体の内部を簡便に見る方法を持っていなかった。3Dモデルを作るための元データはKlarismoのものではないから、ほかの企業がもっと高値で入手することも、できるだろう。

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Klarismoは今、いくつかの検査機関とパートナーしてボディースキャンのデータを得ている。データの借り賃は、一体につき250ドルだ。今後はもっともっと多くの、そしてメジャーな、検査機関とパートナーして、世界中の何千何万ものスキャンデータを入手したい、また、できるだけ多くの人びとに、日常的なボディースキャンを習慣づけたい、とFosterは言っている。

3Dモデルが完成したら、ユーザがたとえば、“脾臓を見たい”と入力すると、その部分の立体像を見せてくれる。

Foster自身がこれまで、何度も自転車で事故に遭ったし、脳には腫瘍がある。そこで彼は、誰もが簡単に体の内部を見られる方法がほしい、と思うようになった。

“これまでは、スキャンが終わると、X線技士がわずか2行ぐらいの所見を書き、それに基づいて治療が処方された。患者自身がそのデータを見ることはないから、体の内部の詳細はわからないままだ”、とFosterは語る。

“しかも、実際に病気になってからスキャンすることが圧倒的に多いから、遅すぎるのだ。病気になれば、何らかの症状がある。たとえば癌ではステージ3でスキャンすることが多いが、それでは手遅れなのだ。もっと健康な時点から、定期的にスキャンしてくれるところがあれば、それがいちばん良いのだけど、身近にそんな便利な検査機関がないところが多い”。

Y Combinatorの夏季クラスの生徒としてもらう資金のほかに、同社はKhosla Venturesやlowercase capital、そしてAtomicoからも資金を得ている。

彼によると、体の3Dデータがもたらすもうひとつの利点が、医学研究の進歩だ。研究目的で利用されるとき、データは匿名化されるが、それは研究の支障にはならない。実際に死体解剖などをしなくても、簡単かつ頻繁に体の内部を見られることは、医学教育も大きく進歩させるだろう。新しい治療法の発見も、より早くなるはずだ。

“スキャンデータが今後何十万〜何百万体ぶんも集まれば、その研究資料としての重要性や利用価値は計り知れない。それだけのデータをどうやって集めるか、という方法論も重要だが、ぼくの関心は、そこから作れる新しい消費者製品にある。Klarismoのサービスも、元々は消費者製品がねらいだけどね”。

アップデート: 競合の状況などを追記。

関連記事(1)(2)(3)。〕

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無料アイコンを提供するFont Awesomeがアイコンの利用をカスタマイズできる有料会員制サービスFonticonsを立ち上げ

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自分でWebサイトを作ったことのある人なら、Font Awesomeをご存知だろう。無料のアイコンを500以上も提供し、それをわずか1行のCSSで利用できるサービスで、今ではホワイトハウスのオフィシャルWebサイトをはじめ、世界中の約4000万のWebサイトが使っている。

今回、Font Awesomeの作者Dave Gandyが、FAからの前進の第一歩として、会員制サービスFonticonsを立ち上げた。

Fonticonsを作ったGandyとTravis Chaseは、同じ町内で育った幼なじみだが、二人は再びいたずら友だちになってFonticonsを始めることになった。

このサービスにはFont Awesomeの機能もそのまま含まれ、有料会員には新しい機能が提供される。有料プランの料金は最大で年間99ドルまでだ。

新しい機能のひとつが、アイコンキットの作成だ。これは、自分のサイトが使うアイコンをあらかじめ指定しておき、不必要なアイコンがロードされないようにする。そしてどのアイコンも、ユーザのサイトがそれらをいちばん高速にロードできるサーバからサーブされるようにする。

有料会員のための第二の機能は、ベクタアイコンのインポートだ(たとえばユーザの会社のロゴなど)。それらもキットにインポートされるから、ほかのアイコンと同じように使える。

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Fonticonsにはマーケットプレースもあるので、そこで人気のデザイナーから自分専用のアイコンセットを購入できる。今、その‘店頭在庫’は1万種類ぐらいあるそうだが、でも今後デザイナーがどんどん増えれば天文学的な数になるだろう、と同社は言っている。

マーケットプレースでは、アイコンをデザイナーに特注することもできるから、既存のアイオンセットにないものを、補うことができる。

GandyとChaseによると、新しい機能は十分に魅力的だから、FAからFonticonsへの乗り換えはスムーズにいくだろう、という。とは言うものの、FAはそのまま残ってしかも無料だから、今後も利用価値は十分にある。しかもGandyらは、FAのアップデートは今後も続ける、と言っている。

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クラウドファンディングで大成功したスマートベッドのLunaがY Combinatorに入学、$1.3Mを個人投資家たちから調達

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Lunaの、温度調節ができて、睡眠の質をチェックできて、ほかのデバイスに接続できるマットレスは、今年初めクラウドファンディングに成功して100万ドルあまりを集めた

そして同社からの今日のニュースは、インキュベータY Combinatorの今のクラスに‘入学’したことと、クラウドファンディングのときとほぼ同額の130万ドルを個人投資家たちから調達したことだ。

協同ファウンダのMatteo Franceschettiによると、この資金はIndiegogoのキャンペーンよりも前にすでに調達していた。ではなぜクラウドファンディングを? キャンペーンは彼によると、初期ユーザとの結びつきを作り出し、フィードバックを得るためだ。たとえば、セキュリティとBluetoothの装備が重要だ、とわかったのはキャンペーンからだ。それらのフィードバックから、Lunaは機能を一層充実させることができた。

投資家は全員、匿名希望のようだ。でも、すでに資金を獲得して消費者にもアピールしている企業が、なぜインキュベータに入ったのだろう? それは、Franceschettiによると、YCのすぐれたメンター能力のためだ。“いろいろ迷っていたことが、すっきりと分かってきた、すごく助かる”、と彼は言う。

下のビデオは1月(クラウドファンディングキャンペーンの前)に撮られたLunaのプロトタイプだ。マットレスの各部の温度を調節できるから、たとえばカップルがそれぞれ違う温度の上で寝られる。Franceschettiによると、この機能こそが、クラウドファンディングで予約が殺到した第一の理由だ。でもこのビデオでは、Lunaのセンサにほかのスマートデバイスを接続して睡眠をカスタム化できることも、よく分かる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

30日以内にプログラミング(だけではない)を教えるOne Monthが、190万ドルを調達

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One Monthは、1ヵ月以内で修了する本格的企業向け学習プラットフォームを提供するスタートアップだ。同社は今日、追加シード資金190万ドルを調達したことを発表した。リードは既に出資しているIdea Bulb Venturesと新たに加わったArena Ventures。Conerstone On-Demandも、戦略投資家として本ラウンドに参加した。

Y Combinator出身のOne Monthは、2013年8月に唯一のコースであるOne Month Railと共に羽ばたいた。コースは、Codecademyその他のコンピュータ科学教育プラットフォームと異なり、ユーザーは本当に必要な内容だけを学習するために、個別のウェブページを構築できる。Ruby on Railsのあらゆる細部を学習する必要はない。

One Monthは、昨年6月に77万ドルのシード資金を調達し、以来プログラミング言語に留まらず広い分野へとコースを拡張してきた。例えば、現在One MonthはiOSのSwifty、HTML、およびPythonのコースを提供しており、さらにグロースハッキング、支払いプロセス、ウェブセキュリティー、プログラミングの基本、コンテンツマーケティング等も手がけている。

現在ウェブサイトには、JavaScript、UXデザイン、および「Minimal Viable Product」構築が、近日提供予定コースとして挙げられている。

またOne Monthは、価格体系を変更し、クラス単位ではなく定期購読モデルを提供している。従来ユーザーはクラス当たり最大300ドルを支払っていたが、新しい購読ベースの料金体系では、ユーザーは月額1コース49ドル、あるいは複数コースを月額100ドルで利用できる。

加えて、One Monthはさらに深く従業員教育を行いたい企業向けにOne Month for Teamsのオプションを追加した。

ファウンダーのMattan Griffelは、スタートアップのアイデアを構築するプログラマーを探すことに失敗して苛立った経験からOne Monthを立ち上げた。このたび、One Month Learning Libraryに既にある資源を利用して、無料コースを追加する計画があると言っている。

現在までOne Monthには2万5000人以上の生徒が所属し、修了率は他のMOOC[大規模オンライン講座]と比べて2倍から3倍だと言っている。

One Monthの調達額は合計260万ドルとなった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

人気のJavaScriptフレームワークMeteorがデベロッパ企業Percolate Studioを買収してサポート付き有料プランを開始

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Y Combinatorで孵化したJavaScriptフレームワークMeteorが、Meteorのヘビーユーザでデザインとエンジニアリングの経験豊富なPercolate Studio買収した。何のためかというと、Meteorが今日(米国時間6/26)ローンチした会員制有料プランで、Percolateに高度にプロフェッショナルなデベロッパサポートをしてもらいたいからだ。

Meteorが買収をするのは、昨年秋のデータベースサービスFathomDBに次いで今回が二度目だ。

MeteorのCEO Geoff Schmidtが買収の発表声明の中でこう言っている: “Meteorのユーザは加速度的に増えており、JavaScriptがWebとモバイルのアプリケーション開発の標準になりつつある今日、弊社は評価の高い開発環境だけでなく、それにふさわしいコマーシャルなクォリティのサポートをご提供したいと考えている”。

同社が有料サービスを始めるのはこれが初めてだが、そもそもMeteorのようなオープンソースのプロダクトは、サポートを収入源にするのがほぼ定石だ。

有料会員制のユーザであるデベロッパは、アプリケーションの開発途上でさまざまなサポートを受けられ、そのほかセキュリティに関するプロアクティブなアラートや、彼らのアプリケーションのアーキテクチャに関するリビューも提供される。Percolateの協同ファウンダZoltan Olahが、Meteorのこのような顧客成功努力をリードする。

このサポートプランの料金などについては、情報が得られ次第この記事をアップデートしよう。

今のところSchmidtは、“契約は年ベース、商用アプリ/アプリケーションを作っているところならどこでも会員になれる。料金はサポートの内容にもよるが、まあいちばん多いのは1か月2000ドルぐらいのケースだろう”、と言っている。

2012年にローンチされたMeteorは、その使いやすさ、JavaScriptでフロントエンドとバックエンドの両方を書ける、デフォルトのデータベースとしてMongoDBがバンドルされている、リアルタイムアプリケーションを重視、などの特長により、早くからデベロッパたちの人気が沸騰した。でもそのわりには、Meteorで作られた大物の商用プロダクトはまだ多くない。本格的な、本当にプロフェッショナルな、商用開発にもどんどん使われたいがためにMeteorは、今回のアーキテクチャとスケーリングのサポートまで伴う有料プランのローンチに 踏み切ったのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

幼児の夜驚症を防ぐLullyがシードで$2.1Mを調達、そのほかの睡眠障害にも取り組む

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夜驚症を防ぐデバイスを作っているLullyが、210万ドルのシードラウンドを終了した。同社はまた、明日(米国時間6/2)行われるアクセラレータHighway 1のデモデーにも登場し、今月中にはデバイスのベータを終えたバージョンをローンチする予定だ。

Lullyはスマートフォンのアプリとペアになった製品で、子どものベッドのマットレスの下に入れておく。夜になり、夜驚症が一般的に多い時間帯になると、親のスマートフォンに通知が来るので、親はデバイスのスイッチを入れに行く。

デバイスは子どもの下でしばらく振動して、夜驚症に導きやすい睡眠パターンの発生を防ぎ、子どもと親の両方に安心の夜をもたらす。

 

Lullyは数か月前に150家族を対象にベータテストを行い、累計5000夜のテストの結果、平均70%の睡眠改善率を達成、80%は怖い夢を見なくなった。

今のニューバージョンでは、親がいちいちスイッチをon/offしなくてよい。デバイスが自動的に子どもが良くない睡眠パターンに入ったことを検知し、自動的に自分のスイッチを入れる。

今Lullyのチームは、そのほかの睡眠障害の解決にも取り組んでいる。たとえば生後4〜6か月の子どもの75%は、夜間の不眠現象があり、それは一種の症状と見なされている。

Lullyの次の製品は、この月齢期の子どもたちを対象にする。また夜驚症対策も、自動化機能をさらに充実する。

Lullyについて詳しく知りたい人は、こちらへ

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ホームレスのための家をクラウドファンディングで建てるNew Story…ハイチからネパールを展望

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Y Combinatorの今の‘学期’に参加しているNew Storyは、自然災害で住むところを失った人たちが家を建てるための資金募集活動をしている。その始まりはハイチで、協同ファウンダのBrett Haglerは、2010年のハイチ地震の被害者を助けるボランティアをしたとき、何千ものハイチ人がホームレスになっているのを見て、この非営利スタートアップを着想した。

Haglerはこう述べる: “家がないとどうなるか、何が起きるか、ということを、当時のぼくも含め、みんなはよく知らない。子どもがレイプされたり、誘拐されることもある。ぼくは、のちにNew StoryのパートナーになったMission of Hopeの救援事業に参加してハイチへ行き、災害で行き場を失った人をたくさん見た。なんとかしなくてはいけない、と強く思った”。

Maria Rose, a widow with four children who lost her home in the earthquake that hit Haiti in 2010, stands happily outside her new home.

Maria Roseは4人の子どものいる未亡人、New Storyに家を建ててもらった。

Haglerはその後2年間、社会事業のような性格もあるeコマーススタートアップHucksleyで仕事をしたが、その思いは脳裏を去らなかった。そのスタートアップは、ホームレスの問題には無関心だった。でも彼は、ハイチで支援した家のない家族たちのことを、忘れることができなかった。

Haglerは協同ファウンダとして、Alexandria LafciとMatthew Marshallを加えた。二人ともチャリティの経験があり、Haglerは彼らに助けられながら、自然災害の被害者たちが家を建てるための資金を集める、クラウドファンディングのサイトを作った。

New Storyのクラウドファンディングのやり方はKickstarterやIndiegogoと同じだが、製品や商品ではなく家を建てるためのお金を集める。一回に一家族を対象とし、6000ドル集まれば建設を開始できる。一軒建てるのに約45日かかり、出資者は、彼らが助けた家族が新しい家の前に立っている写真をもらう。

今はもっぱら、ハイチの地震被害者が対象だが、今後はネパールなどそのほかの地域にも広げる予定だ。ご存知のように、ネパールの地震はマグニチュード7.8で、死者8000名以上、負傷者や住む場所を失った人はもっと多い。

“今は緊急救援の段階だから、われわれの出番はない。ネパールは、もうすこしあとに行きたい”、とHaglerは語る。“彼らのために、10年から15年は保(も)つ家を作りたい”。

New Story co-founders pose for a group photo in Haiti.

ハイチにおけるNew Storyの協同ファウンダたち。

Haglerによると、家を建てるチャリティはリソースとパートナーシップが重要だ。そのためには、地域の人たちや見物人たちに好印象と信頼感を持ってもらえるよう、しっかりした仕事ぶりをつねに心がけないといけない、と彼は言う。

“ぼくは、NPO(ノンプロフィット)という言葉が嫌いだ。その言葉は、今New Storyがやってることを正しく伝えていない。ユーザに良質な体験を提供する、という意味では、まさにスタートアップだと思う”、とHaglerは言う。“ただし、利益は投資者へ行くのではなくて、家族へ行くんだ”。

YCがノンプロフィットも支援するようになったのは2013年からだが、New Storyもその一つだ。

New StoryはYC以外からも12万ドルを集め、ハイチの20家族に家を提供した。New Storyがもっと多くの家族を助けられるようにしたい、と願う人はここをクリックしよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

お金のないバイオテク・スタートアップのために試験を低費用で代行するTranscripticが広い建物に引っ越した

 

Transcripticはクラウドを利用するバイオテクのラボで、まだ実験段階の薬の試験をロボットなどにより自動化する。このラボは、シリコンバレーの多くのバイオテク企業にとって、重要なプラットホームになっている。

このプラットホームはとくに、Y Combinatorのようなインキュベータ(孵化器)から巣立ったバイオテク企業が重宝している。まだほとんどお金のない連中でも、低料金で、しかも早く、試験結果が得られるからだ。Transcripticは一社あたり2万ドルのクレジットを、Notable LabsやAtomWiseなどYC出身のスタートアップに提供して、シリコンバレーの中に新薬発見産業を育てようとしている。

新薬が市場に出るまでには平均して12年の時間と数十億ドルの費用がかかる、と言われている。Transcripticによると、同社のサービスは科学者たちがリモートで大量のデータを自動化機器(〜ロボット)で生成処理することを可能にし、わずか数日で、かつ低費用で、試験結果を作り出す。新薬の市場化のためにはほかにもいろいろやるべきことがあるが、このラボのおかげで、人の命を救える新薬をよりはやく、より低コストで市場に出すことができる。

こういう、ロボットを利用する試験施設はEmerald Cloud Laboratoryなどほかにもあるが、Transcripticの場合は、高価で従来的な自動化装置を購入するのではなく、ロボットも、それらを動かすコードも、自作だ。このやり方が低コスト化に貢献し、またスケールアップも迅速にできる。

Transcripticは最近、サンフランシスコに近いMenlo Parkの22000平方フィートの施設に引っ越した。これで今後の成長が可能になるし、サービスの内容も多様化できる。本誌TechCrunchは、ファウンダのMax Hodakと一緒に、新しいスペースを見学した。

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履歴書では人物が分からない…HigherMeは時給制の店員などの適材を見つけるオンラインサービス

その仕事にぴったりの人を雇いたいと思っているとき、履歴書はあまり役に立たない。

どんな仕事でもそうだと思うが、今Y Combinatorという孵化器の中で温められているHigherMeの協同ファウンダRob Hunterによると、時給制の店員などがとくにそうだと言える。履歴書に書かれている職歴よりも、どこに住んでて、どの時間働けて、人柄はどうか、という点が何より重要だ。

それは、Hunter自身が経験から学んだことだ。彼はアイスクリーム店Marble Slab Creameryのフランチャイズを数店抱えていたが、思い出すのは最初のころの店員Kendraのことだ。その履歴書は、どの高校生でもそうだが、あまりぱっとしなかった。サッカー部にいるとか、ベビーシッターのバイトをしたとかは、彼女のアイスクリームを盛るスキルについて何も語ってくれない。履歴書は誤字だらけだったが、それもアイスクリームを売ることとは無関係だ。

Hunterは言う、“履歴書を見ただけだったら、彼女を雇わなかっただろう”。でも実際に会ってみると彼女は、“意外にもとても頭の良い聡明な若者だった”。しかも店のすぐ近くに家があったので、彼が必要とするシフトに十分対応できた。

Hunterの思い出によると、Kendraを雇ったことは店の経営にとって満塁ホームランだった。彼女は大学に入るまで数年間店にいて、“私にたくさん儲けさせてくれた”。そこで彼の協同ファウンダJef ChedevilleとEvan Lodgeと共に、雇用者が世界中のKendraを見つけることのできるサービス、HigherMeを立ち上げた。

このサービスにアクセスした求職者は、雇用者がいちばん関心を持っている情報を提供する。それが過去の職歴のこともあるが、しかしHigherMeは住所や働ける時間帯も尋ねるし、また雇用者が聞きたいと思っている質問も尋ねる。求職者はビデオを添付してもよい。そのほうが、文章よりも自分の人柄がよく伝わるかもしれない。

雇用者は履歴書の山をかき分ける代わりに、求職者が現れるたびにメールをもらう。そこには求職者の情報のほかに、100点満点による適性評価もある。また雇用者には、すべての求職者を一望するためのダッシュボードが与えられる。そこで、彼らと対話しながら面接をスケジュールできる。

今年の初めにローンチしたばかりだから、Hunterによるとまずお店や企業に訴求する。それから、求職者が地理的なターゲット広告から来るようにする。そういう、地理分けしたターゲット広告はいろんな地域を対象にできるから、求人店があちこちに複数あってもよい。

求職者はサービスを無料で利用できる。求人側は、一地域一か月50ドルから数百ドルまで。スタートアップが時給制の労働者を雇うために利用してもよいが、そういう、物理店のない求人の場合は、もっとよく考えた課金にしないといけない、とHunterは言っている。

今のYCには、HigherMe以外にも、雇用関連のスタートアップがいる。たとえば今日(米国時間3/20)は、技術系の人材を対象とするSmartHiresも記事にした

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a16zが出資しているuBiomeが歯のバクテリア収集のためIndiegogoでクラウドファンディング

自分の胃腸の中のバクテリアのフロラやファウナに関心を持ったことある?

歯は、どう?

Y Combinatorのバイオ系育成企業uBiomeは、かつてAndreessen Horowitz(a16z)から資金を調達したが、今度は歯のバイオームに着目して二度目の資金募集を開始した。

バイオーム(biome, 生物群系)とは、体の中の何兆というバクテリア全体の生態系のことだ。人間の体の細胞の数は10兆ぐらいだが、微生物の細胞はその10倍ある。100兆のそれらすべてが、人体のバイオームを構成している。

通常それらは無害だが、体重や健康状態や消化やそのほかの疾病に、予測困難な影響を与えることもある。

uBiomeは人間のバイオームの配列を決定するためのサンプリングを、2年前にクラウドファンディングにより開始した。彼らは35万ドルを集め、資金提供者は2500名にのぼった。この研究でuBiomeは、UCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)の歯科医学の教授で、生物情報科学の博士号を持つJeremy Horstとパートナーする。

Indiegogoの資金募集キャンペーンでは、サンプルを採取するためのキットを79ドルで支援者に買ってもらう。同社はサンプルを処理し、配列を求め、その微生物学的成分を理解する。そして発見された微生物と、それらが次の研究に与える影響について、報告書を共有する。

uBiomeの長期的なビジョンは、市民科学者や市民研究者たちの大きなコミュニティを育てることだ。

uBiomeの協同ファウンダJessica Richmanによると、同社の顧客の多くがこれまで何度も試験に協力し、プロバイオティクス(善玉菌)サプリメントの効果や、彼らのバイオームの構成などの研究に貢献してくれた。

“大きなデータ集合からインサイトを得て、それらを今後、治療や診断のためのツールにしていかなければならない”、と彼女は言う。そのデータ収集はもちろん、理解と合意の上で行われなければならない。

たとえとしては、23andMeが遺伝子に対して行うことを、uBiomeは個人のマイクロバイオーム(体内微生物叢)に対して行う。それは消費者製品だが、今後のもっと大きな研究コラボレーションの基盤になる。マイクロバイオームにはどんな個人差があり、それが健康にどんな影響を及ぼすのか…それはまだ、ほとんど未知の研究分野だ。

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デトロイトで人助けの寄付をクラウドソーシングするプラットホームDetroit Water Project、他都市への展開も構想

助けはどこからでもやってくる。そしてデトロイトの市民は助けを必要としている。2014年にデトロイト市は、合衆国の歴史上最大規模の自治体破産の最中(さなか)にいた。市は財政立て直し策の一環として、水道料金滞納世帯に対して断水を敢行した。2014年だけでも33000名の市民が水を断たれた。市は今でも未払水道料金の徴収努力を続けているが、しかしThe Detroit Newsの最近の報道によると、水道局は矛先を一般市民から企業へと移そうとしている。

そこで、水は基本的人権の一部だと主張する団体Detroit Water Projectが、未払の水道料金請求書をどっさり溜め込んでいる人びとにチャリティの寄付を結びつけることによって、彼らの命を救おうとしている。つまり世帯主がいわば、水道料金をクラウドソーシングするわけだ。未払料金は、ときには数千ドルに及ぶこともあるが、寄付者はその全額を払ってもよいし、一部を払ってもよい。同団体は今ではボルチモアにも進出して、Baltimore Water Projectを立ち上げている。

今ではNPOやNGOも育成支援しているアクセラレータY Combinatorの、2015年冬のクラスでローンチした協同ファウンダのTiffani Bellによると、彼女はデトロイトで始まった大規模な抗議運動に刺激されてこのプラットホームを開発した。当時は、直接的な援助が何もなかった。Detroit Water Projectがその穴をうめ、寄付につきまといがちな不確実性を取り除いた。水道料金の請求書は、すべて本物であることをチェックする。完全にNPOなので、お金は全額市の水道局へ行く。人助けボランティアであり、寄付の鞘(さや)を取る営利事業ではない。

これまでDetroit Water Projectはデトロイトの900あまりの世帯のために17万ドルを集めた。

Bellによると、このような団体をほかの都市にも育てることによって、水が合衆国国民の基本的人権に属することを正式に立法化したい。公共財である水を、真に公共財として保護する法律は、まだ存在しない。暖房に水が使われる場合のみ、生活保護的使用が認められる(スチームヒーターなど)。

生活保護のような低所得者支援制度はデトロイト市にもある。全国的な慈善団体United Wayに依存している制度だが、有資格の市民は未払公共料金の一部をその制度から払ってもらえる。有資格世帯は今2000近くあるが、市当局によるとこの制度の資金にはまだ余裕があるので、もっと多くの市民に知らしめたい、という。

NPOスタートアップDetroit Water Projectは、人助けにもイノベーションがありえることを、示している。ファウンダたちは、このプラットホームを築くことによって、寄付とその利用に往々にしてつきまとう面倒な手続きや、本来は要らないはずの手数料などをバイパスした。助けは、特定の決まったところからではなく、彼らが信ずるように、どこからでも*来るべきものだからだ。 〔*: 不特定任意の寄付者。〕

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Y Combinatorがこれまで育てたのは842社、2015冬季では女性ファウンダが22%

Y Combinator(YC)は、DropboxやReddit、Airbnb、Stripeなどなどを育てた、今や業界のリーダー格のアクセラレータだが、今朝同社は、同社の現状を表す一連の数字を発表した。いちばん印象的なのは、同社の育成企業が近年、とても多様化していることだ。

まず、同社がこれまでに資金を提供した企業の累計総数は842社で、投資総額は30億ドルあまり、時価総額の合計は300億ドルあまりとなる。現時点で10億ドルを超える企業は4社、1億ドル超は32社となる(買収された企業も含む)。本誌TechCrunchのライターJosh Constineが書いていたように、YC自身の現在の理論上の時価は10億ドルあまりとなる。

YCは集団投資事業を年2回、冬と夏に行っているが、現在の2015年冬はこれまでで最大で、114の企業を対象にしている。それらの企業は以前に比べると大幅に多様化していて: 2015冬では21.9%の企業はファウンダが女性、黒人が7.9%、ヒスパニックが5.2%となっている[原注: 最初の数字では女性23%、黒人8%、5.3%がヒスパニックだったが、今日までの数日間で対象企業の構成がやや変わったために改訂された]。

2015冬ではファウンダの年齢層の幅も広がり、最年少は20歳、最年長は66歳だ。平均年齢は30.27、メジアンは29である。もっとも生きの良いスタートアップのファウンダは10代の学生、という説は、過去の神話になってしまった。2015冬の詳しい数字は、ここで見られる。

テク業界は、業界全体としては多様性(diversity, ダイバーシティ, 性的・人種的多様性)、多様化がまだ遅れているが、YCは一歩も二歩も進んでいるようだ。

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天然ガスを人工微生物に食べさせて工業用化学物質を作り出すIndustrial Microbes

East Bayに生まれY Combinatorに育てられたIndustrial Microbesは、バイオ燃料で長年の経験を持つ三人の合成生物学者が創始したスタートアップだ。

三人はバイオ燃料のスタートアップLS9で出会った。同社はクリーンテクノロジのブームに乗って8000万ドルあまりを調達し、人工的に作ったバクテリアから燃料を作ろうとしていた。しかしベンチャー企業としてのLS9は、その後鳴かず飛ばずで、結局昨年、6150万ドルで買収された

でもLS9で出会った三人、Derek GreenfieldElizabeth ClarkeNoah Helmanは、それぞれ、スタンフォードとUC BerkeleyとUCSFでPhDを取っており、自分たちの新しい企業を作って出直そうとしている。Industrial Microbesの目標は、天然ガスを工業用化学物質に変える微生物を設計することだ。

重要な違いは、バクテリアが糖ではなく天然ガスを消費すること。LS9のようなバイオ燃料企業は、糖のコストが大きいため、他と競合できるエネルギー価格を実現することが難しい。燃料以外の化学物質の市場は170億ドルの規模だが、やはり原料が糖ではなかなか難しい。

Greenfieldは曰く、“糖は原材料と見なされることが多いが、しかし良い原材料ではない。天然ガスは糖の1/4の価格だ。石油よりも安く、埋蔵量も多い。しかもそれは、合衆国で産出される。エネルギー効率は高いし、パイプラインのインフラもすでにある”。

Greenfieldらは、1970年代に発見された、泥炭湿原などで天然ガスを消費している微生物の遺伝子素材を利用しようとしている。元の微生物を育てるのは困難だが、それらのバクテリアから採取した酵素と遺伝子を一般的な微生物に注入してやり、天然ガスを食べて工業用化学物質を作り出す能力を持たせることはできる。

同社の最初の目標化合物はリンゴ酸だ。それはあらゆる生物が作り出すジカルボン酸の一種で、りんごの酸っぱさの元だ。リンゴ酸は、食品添加物として広く利用されている。これを十分な低コストで作れば、生分解性のプラスチックを作れる。そして最終的に彼らは、糖ではなく天然ガスから、安価な液体燃料を作るつもりだ。

DNA解読の費用はムーアの法則よりも高速に下がりつつあるので、Greenfieldらが行うさまざまな実験も、10年前に比べると、とても安くできるようになっている。費用の低下傾向に伴って今では、生物情報科学や合成生物学の分野のスタートアップが数多く生まれている。Y Combinatorの同窓生としては、Counsyl20nなどがいる。

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