アップルがApple MusicやApple Arcadeなど複数サービスのサブスクセット販売を計画中

Bloomberg(ブルームバーグ)によると、アップルはさまざまな定期購読(サブスクリプション)サービスのバンドルプランをリリースする準備を進めているという。「Apple One」 と呼ばれる可能性があるこのバンドルパッケージには、Apple Music、Apple Arcade、Apple TV+、Apple News+、iCloudなど同社のサービスが含まれており、それぞれを個別に購読するよりも安い料金で提供される。

ブルームバーグによると、この新バンドルサービスは新型iPhoneが発売される言われている10月に、早くも登場する可能性があるという。バンドルにはApple MusicとApple TV+を含むエントリーレベルのプランのほか、Apple Arcadeを追加するアップグレードオプション、Apple News+を含むオプションも存在する。記事によると、より高価なオプションとして追加のiCloudストレージもバンドルされるというが、これらの計画はリリース前に変更される可能性がある。

最終的な価格設定は報じられていないが、月額2ドルから5ドルの月額料金が節約できるとされている。またすべてのサブスクリプションは、既存のファミリープランで利用できる。つまり1世帯で最大6人の家族が、アップルのバンドルサービスにアクセスできることになる。

アップルはまた、新しいハードウェアの購入に無料サブスクリプションをバンドルする戦略を継続するといわれている。昨年にはApple TV+が発表され、最近リリースされたハードウェアを購入した顧客に1年間無料で提供された。

サービスサブスクリプションのバンドル化は、アップルがサービスプランへの投資を本格化して以来、アナリストらの多くが予測してきた。この戦略は非常に理にかなっており、特にアップルがほかのサービスほど人気があるとは限らないサービスの採用を促進するのに役立つ。これはまた、同社がより包括的で潜在的に安定した経常収益ビジネスを構築するための方法を提供するという意味で、Amazon Primeのようなものに似ている。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

Oura Ringは今の時代を生き抜くための指輪型健康トラッカー、睡眠分析機能はwatchOS 7を凌ぐ

Oura Ringは、新型コロナウイルスのさまざまな研究に貢献しているだけでなく、新型コロナウイルスの蔓延を防ぐための潜在的なツールとしてNBAとWNBAに採用され、これら2つのリーグの試合を定期的なスケジュールに戻すために役立っているという点でも最近注目を集めている。Ouraはこれまで、Oura Ringを数世代をリリースしている。これは健康状態と運動量を計測するトラッカーで、私はこの1カ月間にわたってOura Ringを使ってきた。

Oura Ringとは何か?

Oura Ringは、似たような目的を持ったほかのウェアラブルとは似ても似つかないヘルストラッカーだと言える。このリングは、一般的な指輪、すなわちスマートな機能を持たない指輪とほとんど区別がつかない。また、いくつかの異なるデザインと複数の仕上げ加工の製品がラインアップされている。リングの内側にはセンサーが付いているが、全体的な厚みはほとんどなく装着すると完全に隠れる。

小型でスリムだがバッテリーを内蔵しており、Bluetooth経由でスマートフォンと通信して指輪内蔵センサーが収集したデータを送信する機能を備える。Oura Ring専用の充電ドックにはUSB-Cを備えたスタンドがあり、非接触で充電できる。

内蔵バッテリーは、睡眠中に装着したままでもフル充電状態で7日間の連続使用が可能だ。バッテリーの持ちは一般的に考えて十分に長い。充電時間も短くて済むので気が付いたときに充電ドックに入れるのを忘れないようすれば、バッテリー切れは防げるだろう。私の場合、デスクでの仕事中は充電ドックにOura Ringを入れていた。またOura Ringの専用アプリは、バッテリー残量が残り少なくなったときに、寝る前に充電を促す通知を送ってくれるので安心だ。

ボディーにはチタンを採用

最新のOura Ringは「Balance」と「Heritage」の2つのデザインを用意しており、どちらもメタリック仕上げだ。さらに、光沢のあるシルバーと光沢のあるブラックの2つのオプションがあり、「Balance」にはダイヤモンドがちりばめられたプレミアムバージョンもある。なお、私が試用したのはマットブラック仕上げのものだ。

本体の金属素材は軽量なチタンで、内部側はセンサーを保護するためにプラスチック素材が使われている。外側はキズがつきにくいコーティングが施されているものの、ほかの金属製ジュエリーと同様にキズがつかないというわけではない。私が試用したマットブラック仕上げのOura Ringは何週間か使用したあとに確かに多少の摩耗などが見られたが想定内の範囲で、驚くほどの弾力性がある。個人的な意見だが、外見上の小さなキズはデザインを損なわず、逆にいい味わいを醸し出してくれる。

Oura Ringはサイズやフィット感が非常に重要で、ユーザーの指にフィットするよう工夫されている。無料のサイズ計測キットを提供しており、まずはどのサイズが最適かをユーザーが判断し、どの指を装着するかを決めればいい。Oura Ringはモニタリングのために指にぴったりとフィットさせる必要がある。

実際のところOura Ringのデザインは魅力的で、1日中、そしてひと晩中着けていられる信じられないほど快適なデバイスだ。Apple Watchやそのほかの手首装着型のウェアラブル端末とは異なり、睡眠中の装着やさまざまなタイプのバンドの不快感に慣れる必要もない。私は装着していたことを忘れてしまったほどだし、一般的な指輪のようなので他人からもOura Ringを付けていることを気付かれることはないだろう。

watchOS 7を超える睡眠監視機能

Oura Ringは何を追跡しているのだろうか?具体的には、睡眠のほか待ち受け状態と活動状態に分けてさまざまな数値を測定している。「Sleep」「Readiness」「Activity」はいずれも、総合的なサマリースコアを100点満点で示し、ユーザーは現在の状態を把握できる。なお実際には内蔵センサーが取得したさまざまスコアを掛け合わせて算出している。

Oura Ringの睡眠トラッキング機能は、アップルが今秋にリリースするwatchOS 7に備わるApple Watchの睡眠トラッキングよりもはるかに詳細だ。眠りについた時間、どのくらいの時間寝ているか、どれくらいが眠りが深いか、レム睡眠かどうかなどをモニタリングしてくれる。取得したデータから、睡眠効率、ベッドで過ごした時間、合計睡眠時間なども算出可能だ。特になにも行動していない、いわゆる待ち受け状態のときは、体温、心拍変動、呼吸数、安静時の心拍数などをトラッキングする。運動しているときは、自動的にカロリー消費量、非アクティブな時間、歩数、全体的なアクティビティの目標にどれだけ近づいているかを測定する。

これら3カテゴリーすべてについて、個々の活動量を分析して時間の経過や1日あたりのスコアの推移、そして全体的なスコアを見ることができる。アプリ内ではフィードのようなダッシュボードが表示され、そのスコアとトレンドに基づいて、1日の行動や睡眠習慣をどうすべきかについての実用的なアドバイスを受けられる。

これは、私が使った中で最も理解しやすい健康トラッカーであると同時に、何が実際に追跡されているのか、そしてそれが何を意味するのかを深く掘り下げてくれるアプリでもある。このアプリは、ユーザー各自の基準値を定め、その基準値からの逸脱を常に監視し、それに基づいてアドバイスを提供してくれるので、具体性と有用性が高い使用感を得られるはずだ

個人の健康状態を長期的に見守ってくれる

Apple Watchをはじめとするほとんどのウェアラブル端末は「邪魔くさい」「使い続けるのが面倒くさい」という人も多い。Oura Ringは指輪形状なので邪魔にならないデザインであり、利便性と実用性を兼ね備えた健康モニタリング機器としはトップクラスの製品だろう。

Oura Ringが実際に新型コロナウイルスへの感染を正確に検出できるのか、あるいは症状の発現を予測できるのかどうかについてはまだ結論は出ていない。しかし、このデバイスは個人の健康状態を常時モニタリングでき、日々の体調を管理するには素晴らしいプロダクトだ。個々の基準値を定め、実際の全体的な状態を基準値と毎日比較することによって、個人の長期的な健康状態を見守ってくれるのだ。

画像クレジット:Darrell Etherington

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(翻訳:TechCrunch Japan)

求人広告でSpaceXのテキサス宇宙港の構想が判明

SpaceX(スペースX)は、人や物を輸送できる次世代宇宙船Starship(スターシップ)の建造と試験を現在行っているテキサス州ボカチカで、大きな計画を立てている。CNBCの宇宙担当記者Micheal Sheetz(マイケル・シーツ)氏が発見(Twitter投稿)した新しい求人広告(SpaceXウェブサイト)では、SpaceXの宇宙船建造と打ち上げ試験の場となっている小さなボカチカ地区にもっとも近い隣町ブラウンズビルでの「拠点開発責任者」を募集している。

この求人広告では、「SpaceX初の拠点開発を、チームの組織作りから完了まで監督する」マネージャーを求めている。ゆくゆくはボカチカを「21世紀の宇宙港」にする構想だ。この仕事には、設計から建設に至る全行程を監督することと、さらに必要なあらゆる作業許可と規制当局の認可を取得し、最終的に施設の建物を完成させる責任を負う。

SpaceXは、理想的な宇宙港がどのような姿になるかを表したコンセプトデザインを提示している。またCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、6月に、惑星間飛行と、地球上の2地点間飛行のための浮遊港にしたいという意図を示していた。それが発表された当時は、海上作業エンジニアを募集していた。それも場所はブラウンズビルだ。

この新しい求人広告からは、SpaceXが宇宙飛行体験の最初から最後までを自分たちで作り上げたいとの意欲が伺い知れる。ここは、Virgin Galactic(バージン・ギャラクティック)がニューメキシコ州に建設中のSpaceport America(スペースポート・アメリカ)とよく似ている。Virginは、民間宇宙観光旅行で提供する、宇宙船の客室空間と、打ち上げ場の地上設備の両面で、顧客エクスペリエンスに大きな重点を置いている。

SpaceXは、Crew Dragon(クルー・ドラゴン)を使用した有料の民間軌道飛行の計画も発表し、民間宇宙飛行士を打ち上げるための独自の宇宙船の準備を進めているが、NASAの宇宙飛行士、Bob Behnken(ボブ・ベンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)氏を乗せた有人ミッションを無事成功させたことで、有人宇宙飛行の認可が以前よりもぐっと近づいた。あのデモミッションは、その認可プロセスの最終段階だった。現在SpaceXは、早くも来年の打ち上げウィンドウを目指した、民間宇宙飛行士の飛行計画を軌道に載せたところだ。

画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:金井哲夫)

Rocket LabがElectronロケットの推力を300kgに増強

米国時間8月4日、Rocket Lab(ロケット・ラボ)は既存のElectronロケットのペイロード重量を大幅に向上させることに成功したと発表した(Rocket Labリリース)。同社によると、現在Electronは低軌道に300kg(太陽同期軌道なら約200kg)を輸送でき、その主な原因はバッテリー技術の進歩にあるという。

エレクトロンはもちろんバッテリー駆動ではないが、Rutherfordエンジンへと燃料を供給するための電動ポンプがある。そこでRocket Labは他のいくつかの最適化とともに、総ペイロード重量を3分の1増加させている。小型衛星の打ち上げ市場では、CubeSatの重量が3ポンド(約1.4kg)以下になることもあり、今回は大きな重量増加となる。

Rocket Labによると、これはPhotonプラットフォームを衛星バス(企業からの特定のニーズを満たすための基本的な衛星プラットフォーム)として使用している顧客が、約400ポンド(約180kg)の機器を搭載できるようになったことを意味しており、これは広い範囲で潜在的な新しい需要を喚起できる可能がある。

エレクトロンは7月上旬のミッションの早期終了と打ち上げ失敗が発生した後、早ければ2020年8月中にも定期的な打ち上げに戻ることを目指していると発表した。同社はすでに問題を特定し、修正を実施しているという。

関連記事:Rocket Labの打ち上げは第2段ロケットの燃焼中に失敗、キヤノン電子開発の地球観測衛星などが消失

カテゴリー:宇宙

タグ:Rocket Lab

画像クレジット:Rocket Lab

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXのスターリンク衛星10回目の打ち上げが日本時間8月7日14時からライブ中継


SpaceX(スペースX)は10回目のStarlink(スターリンク)ミッション打ち上げを行う。今回が3度目の試みで、これまでに6月と7月の2度の機会が延期された。その間にもSpaceXは多くの実績を上げていて、GPS衛星を打ち上げ、ボブ・ベンケン、ダグ・ハーリー両宇宙飛行士の国際宇宙ステーションからクルードラゴンに乗って地球帰還に成功した。

今回のStarlinkミッションは東海岸夏時間8月7日金曜日午前1時12分(日本時間午後2時12分)にフロリダ州ケネディー宇宙センターで実施される。予備の時間帯は8月8日土曜日午前0時50分(日本時間午後1時50分)

本ミッションの積載物は当然ながらStarlink衛星で、57基がすでに衛星群の形成されている地球低軌道に加わる。SpaceXは今年の夏にベータテストを開始する予定だ。Starlinkは低遅延高速ブロードバンドを接続環境のよくない地域に提供することを目的としており、ベータテストは米国とカナダの一部で行われる。今回飛行するStarlink衛星には特別な折りたたみ式太陽光バイザーが装備され、地球での展開観測を妨害する反射を防止する。

ほかに、BlackSky(ブラックスカイ)衛星も積載され、打ち上げサービス会社のSpaceflight(スペースフライト)経由でSpaceXを利用する顧客の一つだ。SpaceXが自社のStarlink衛星以外の積荷を載せるのは今回が2度目であり、宇宙のライドシェア・ビジネスの始まりを表している。

ライブ中継は打ち上げ時刻の15分ほど前に開始される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXがStarshipのホップ飛行と着陸動画を公開

SpaceX(スペースX)は米国時間8月4日の火曜日の夜、宇宙船Starshipの開発プログラムを大きく進展させ、プロトタイプ機ことSN5をRaptorエンジン1基で推進し、約500フィート(約150m)の高度まで飛行させた。このテストは、テキサス州ボカ・チカにある同社のロケット開発・試験施設で行われ、実物大のStarshipのプロトタイプが離昇したのはこれが初めてだ。

SpaceXはテスト打ち上げ全体の動画を公開し、ドローン視点からの映像、SN5に搭載されたカメラからの映像、胴体内からのRaptorエンジンの動作、着陸に備えて展開される脚などを紹介した。

テストが成功した後、同社創業者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、Starshipの開発プロセスの次の段階を概説した。マスク氏によると、着陸脚は今後いくつかの変更を予定しており、まず長さが長くなり、次に幅が広く高くなり、より平坦でない地形に着陸できるようになるという。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXがStarshipプロトタイプの高度150メートル飛行試験に成功

SpaceX(スペースエックス)は、テキサス州ボカチカの同社打ち上げサイトで、次世代宇宙船Starship(スターシップ)を開発している。今日まで、同社はいくつものStarshipのプロトタイプを建造してきたが、Starhopper(スターホッパー)と呼ばれる1つ前のバージョンは、基本的にロケットの下の部分だけだった。米国時間8月4日、SpaceXは実物大のプロトタイプ(ただし最終バージョンに取り付けられる予定の先端のドームと下部の操縦翼面を除く)の初飛行を行い、同機はおよそ150メートルの高度に達した。

これは、この試験段階で建造されたプロタイプの中で、最も高く飛行したものとなった。Starship SN5と呼ばれるこの機体は、このシリーズでは5番目のプロトタイプとなる。しかしSpaceXは、現在の命名法則に切り替える前にStarship Mk1(マークワン)という名の実物大プロトタイプを建造しているので、今回のものが実際には6番目だ。これまでのバージョンは、タンクの加圧テストやエンジンの地上燃焼試験など、準備段階のさまざまな時点で失敗に見舞われている。

SN5は、実物大の機体として実際に飛行した初めてのものとなった。今週初めにエンジンの地上燃焼試験をパスしたことで、今回の短距離飛行試験への道が開かれた。このプロトタイプにはRaptor(ラプター)エンジンが1基だけ搭載されているが、完成形では6基のRaptorエンジンを搭載して、大きな推進力を発揮することになっている。同機は垂直に跳び上がり、垂直に着陸を果たした。こうした目に見える結果から、すべてが予定通りに進行したものと推測される。

画像クレジット:NASA Spaceflight

Starhopperが同様の短距離飛行試験を成功させたのは、2019年8月のことだった。SpaceXでは、早ければ2021年中に軌道に載せる実際の宇宙船を使って、ペイロードを搭載した打ち上げという意欲的なゴールに向けて、Starshipの実用化を目指したプロトタイプ開発計画を積極的に進めている。Starshipは、将来のFalcon Heavy(ファルコン・ヘビー)ブースターを装着できるように設計されており、これを使って大きなペイロードを地球軌道、月軌道、そしていずれは火星軌道にまで運ぶことが予定されている。

画像クレジット:NASA Spaceflight Forums

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(翻訳:金井哲夫)

Virgin Orbitは2度目の軌道上での打ち上げでNASAのために11の衛星を運ぶ

Virgin Orbitの軌道への打ち上げの最初の試みは、打ち上げ後の飛行の中断で終わってしまったが、早くも次の試みためのペイロードを契約している。それはNASAの科学衛星11基で、米国の大学が設計、生産し、NASAが選択したものだ。Virginによると、この2度目となる打ち上げは、積荷を完備した状態で、2020年末までに行う予定だという。

計画どおりの結果を得ることなく中断した最初の打ち上げは、おそらく軌道高度への、空のLauncherOneロケットの再利用可能な飛行を目指していた。その後、Virgin Orbitのチームは事故原因の徹底的な調査を行なった。現在ではその調査も終わりに近く、同社はブログで、ミッションを終わらせたエラーの原因がLauncherOneのロケットエンジンに液体酸素を供給する高圧管の破損だった、と述べている。それはロケットを駆動する燃料燃焼のために必要な部品だ。

Virginによると、調査はあと少しで完了するが、この小型衛星打ち上げ企業の声明によれば、将来同じ事故が起こらないようにするための技術的対策には確信があり、その実装も開始しているという。

NASAはVirgin Orbitにとって初めての顧客の1つであり、当然ながらVirginは失敗した最初の飛行の目標を確実に達成するために、2度目の試みもペイロードというリスクがない状態でやりたいと申し出たが、NASAは次はペイロードがあっても問題ないだろうと述べている。

これはVirgin Orbitと彼らの計画への大きな信頼を表している。また宇宙への打ち上げ事業の標準から見ても、年末という目標は相当野心的なものだが、同社によると、技術的な詳細と問題解決についてはすべて標準に準拠するつもりだが、発表したスケジュールを守っていくという。

Virgin Orbitは、その正規事業としての打ち上げも早く顧客に提供したいと願っている。同社のその計画では、747輸送機の改良機にロケットを装着し大型ジェット旅客機が飛ぶあたりの高度に機が達したら、ロケットを飛行機から切り離してエンジンに点火し、それより先の宇宙に小規模なペイロードを運んでいく。

画像クレジット:Virgin Orbit

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

遺伝子検査のHelixが新型コロナ検査体制拡大に向け米国立衛生研究所から約35億円獲得

米国立衛生研究所(NIH)は、Rapid Acceleration of Diagnostics(RADx、診断迅速化)プログラムの最初の受益者を発表した。サンマテオに本拠を置くHelix(へリックス)が連邦政府から3300万ドル(約35億円)を受け取ることになった。Helixは2015年創業のヘルステックスタートアップで個人の遺伝情報から得られる洞察に注目している。同社はRT-PCR法を用いてSARS-CoV-2(新型コロナのウイルス名)の存在を検出する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査も開発した。

資金は、新型コロナ検査の規模を拡大するHelixの取り組みを支援するために使用される。同社は今秋までに、1日当たり10万回のテストを達成し、その後スループットキャパシティ(単位時間当たりの処理量)をさらに拡大することを狙う。Helixの検査は2020年7月初めにFDAのEmergency Use Approval(EUA、緊急使用承認)を取得して以来、米国全体で利用可能になった。同社の検査は翌日に結果が出る。

Helixは第2のタイプの検査もEUAに申請した。これはNGS(DNAまたはRNA配列解析技術の1つ)検査で、より多くの検査量に対してより高いスループットを提供するとともに、偽陰性をなくしウイルスの存在を正確に検出する感度の良さを持ち合わせる。この検査は、承認されればということだが、RADxプログラムが最終的な目的とする今よりはるかに大規模な検査体制をHelixが実現するための鍵となる。

現在承認申請中の2つ目の検査システムは、1日当たり最大2万5000件を処理できる。この検査システムはサプライチェーンの負担を軽減する方法を使用している。

画像クレジット:Helix

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(翻訳:Mizoguchi

コンコルド超えマッハ3超音速旅客機の設計をVirgin Galacticが発表、ロールス・ロイスがエンジン担当

Virgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)は、既存の民間宇宙船よりも少し地球に近い場所で飛行する、高速の民間航空機の開発という目標に向かって前進している(Virgin Galactic特設サイト)。初代コンコルドが達成したマッハ2(時速約2470km)前後の平均巡航速度よりも速い、マッハ3(時速約3700km)を超える速度での飛行を計画している。

この音速旅客機のコンセプトデザインは、同社が世界有数の航空機エンジンメーカーであるRolls-Royce(ロールス・ロイス)との間で締結した覚書に基づくもので、両社の新たなパートナーシップによって実現した。ちなみにロールスロイスは、唯一の超音速民間航空機であるコンコルドのエンジン製造メーカーだ。

なお、Virgin Galacticは5月にNASAと提携し、民間航空会社の乗客のための高速・高高度のポイント・ツー・ポイント旅行に向けて取り組むことを発表済みだ。この計画では、最終的にはコンコルドの巡航高度である6万フィート(約18km)以上を飛行し、1回のフライトで9人から19人を乗せることができる。キャビンは基本的にビジネスクラスまたはファーストクラススタイルの座席とサービスを各乗客に提供するようになる。デザイン上のもう1つの重要な要素としては、持続可能な次世代の燃料を使用し、より環境にやさしい運航を実現する点だ。

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いくつかの点でこの音速旅客機は、NASAの超音速研究機であるX-59 Quietと同じ目標を持っている。まず、どちらも高マッハのポイント・ツー・ポイント旅行の開発を追求することで、業界全体を盛り上げることを目的としている。Virgin Galacticはその目的の1つとして「ベースラインとなる『持続可能な技術と技術』を提案することで『他の航空業界での採用を促進する』役割を果たす」と説明している。

同社の製造子会社であるSpaceship Company(スペースシップ・カンパニー)は、スタートアップ企業であるBoom Supersonic(ブーム・スーパーソニック)とパートナーシップを結び、この超音速民間旅客機の開発で協力体制を敷く。なおBoom Supersonicは、10月の自社イベントで超音速旅客機「XB-1」のプロトタイプを発表し、テストを開始する予定だ。最近ではロールス・ロイスとの新たなパートナーシップも発表され、Boom Supersonicが製造予定の55人乗り民間旅客機「Overture」のエンジンの設計と製造をロールス・ロイスが担当する。

画像クレジット:Virgin Galactic
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(翻訳:TechCrunch Japan)

これこそ完璧なワイヤレスイヤホンだーーBang & Olufsenのスポーツ向け新モデル「Beoplay E8 Sport」

Bang & Olufusen(バング&オルフセン)が、高い評価を受けてきた同社の高精度かつ自然なサウンドをスポーツ仕様のデザインに詰め込んだBeoplay E8 Sportを発表した。価格は350ドル(約3万7000円)。IP57認証の防水性能、合計最大30時間のバッテリー駆動時間(1回の充電で最大7時間再生)、外音を取り込める透過モードなど、優れた機能が満載の完全ワイヤレスイヤホンだ。

製品の概要

E8 Sportは、バング&オルフセンがしばらく前から展開している完全ワイヤレスイヤホン「Beoplay E8第三世代」の最新モデルだ。同シリーズで初めてスポーツ仕様の防滴・汗耐性を備えたモデルとなる。だからといって、以前のE8モデルが運動に不向きだというわけではない(筆者も使っている)。しかし、E8 SportはIP57認証の防水性能を備えていて、浅瀬程度の水深であれば30分間、水中で完全防水機能を発揮する。だから、雨の中でジョギングする時も、たくさん汗をかく時も、安心して使えるのだ。

ただし、泳ぐ時には使えない。E8 Sportの防水性能は、製品の耐久性を強化し、望むなら使用後にさっと水で洗えるようにすることが目的だからだ。言ってしまえば「気休め」なのかもしれないが、それでも、あればうれしい機能である。

Image Credits: Darrell Etherington

E8 Sportのイヤーピースの表面はラバー感が前面に出た新しいデザインとなっていて、充電ケースの予備電源バッテリー容量はE8の前継モデルよりやや少ないが(その差はわずか30分程度)、USB-Cケーブルやワイヤレスパッドを使って充電できる。充電ケースのバッテリーで23時間、イヤーピース内蔵のバッテリーだけでも7時間のオーディオ再生が可能だ。

また、各種サイズのシリコン製イヤーチップセットとComply製の形状記憶チップ(Mサイズ)1セットに加えて、ランニングや高強度の運動をする時でも高い装着フィット感を維持できる各種サイズのシリコン製イヤーフィンセットも付属している。Beoplay E8 SportのカラーバリエーションはパステルターコイズのOxygen Blue(オキシジェンブルー)とBlack(ブラック)の2色。さらに、スイスのランニング用品ブランドOn(オン)とコラボした特別エディション「Beoplay E8 Sport On Edition」も発売されている

イヤホンの内部は、スポーツ向けではない他のE8シリーズ標準モデルとほぼ同じだ。つまり、バング&オルフセンが誇るあの高精度で豊かな音質を楽しむことができる。

デザインと性能

バング&オルフセンはE8 Sportで新しいデザインを採用している。他のE8モデルのイヤーピース表面は滑らかだが、E8 Sportは丈夫でラバー感が前面に出た仕上がりとなっている。また、E8のケースがレザー仕上げであるのに対して、E8 Sportのケースはシリコン製だ。さらに、汗でぬれても滑りにくいように、E8 Sportのイヤーピースとケースの表面には浅い溝が刻まれている。

Image Credits: Darrell Etherington

スポーツ仕様とされる多くの他社製品とは異なり、Beoplay Sport E8は控えめで洗練された雰囲気を保っている。イヤーピースは装着時でもまったく目立たず、特にブラックの方は装着していても決して気づかれないのではないかと思う。「オキシジェンブルー」の方は少し目につきやすいが、それでも派手さや華やかさは感じさせないソフトな印象だ。

イヤーピースの左右どちらの表面にも、バング&オルフセンのロゴが刻印されたアルミニウムリングが埋め込まれていて、フェイスプレート部分はタッチセンサー式ボタンの役目も果たしている。全体的に他のE8モデルと異なるデザインであることは一目瞭然だが、それでも、バング&オルフセン製かどうかを疑うほどかけ離れた冒険的なデザインにはなっていない。

性能面では、E8 Sportという名の通り、長時間のバッテリー性能、パッシブ遮音性、並外れてクリアな音声分離機能、抜群の装着フィット感など、スポーツ向けモデルに期待されるあらゆる条件を満たしている。筆者も、30分間のランニングなど、さまざまなシチュエーションで実際に使ってみたが、接続品質も音質も常に最高だった。特に、スポーツ向けワイヤレスイヤホンなのにこれだけ高品質のサウンドを実現できていることに驚いた。他メーカーのスポーツ向けモデルは音質に妥協してベース音が濁ることが多いのだが、E8 Sportではまったくそのようなことはなかった。

それこそE8 Sportが最高の製品たるゆえんである。どんな天候の中でどんな運動をする時でも、家で静かにくつろぐ時でも、極上のサウンドを楽しめる万能イヤホンだ。もし、どんなシチュエーションにも最適なワイヤレスイヤホンを探しているのなら、E8 Sportが文句なしにおすすめだ。

Image Credits: Darrell Etherington

バング&オルフセンのアプリを使えば、好みのサウンドに細かく調整できる。また、イヤーピース表面のタッチセンサーに触れるだけで、音楽再生のコントロールや、外音透過モードへの切り替えが可能だ。そして、これらの操作はすべて、ランニング中でも、電話会議中でも実行できる。さらに、通話時の音質も非常にすばらしい。筆者がテストした時の通話相手は、電話を口元に近づけて話す場合よりもはるかに音質がよく、筆者がプロ仕様のオーディオ機器を使って録音しているポッドキャストの音声品質に近い、とまで言っていた。

総合評価

ワイヤレスイヤホン市場にはすでに無数のプロダクトが存在しており、その数は常に増え続けていて、性能も価格もさまざまだ。バング&オルフセンは現行のE8第三世代でワイヤレスイヤホンとして最高の音質を実現したと筆者は思っている。そして新製品のE8 Sportはその最高音質に加えて、見事な耐久性も備えている。

関連記事:違いのわかる大人の完全ワイヤレスイヤフォン「Technics EAH-AZ70W」

カテゴリー:ハードウェア

タグ:ガジェット イヤフォン レビュー

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(翻訳:Dragonfly)

Crew Dragonテスト成功でSpaceXはNASA初の有人民間宇宙飛行事業者へ


既報のとおり、SpaceXとNASAは極めて重要なミッション「Demo-2」を成功させて、宇宙飛行の新たな歴史を作った。SpaceXのCrew Dragon宇宙船は初の有人飛行を無事完了したのだ。NASAの2名の宇宙飛行士、Bob Behnken(ボブ・ベンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)氏は5月30日に軌道上国際宇宙ステーション(ISS)に到着し、約2か月間実験などに従事したのち無事に地球に帰還した。

Crew Dragonは当初の計画どおりに全任務を進めることができたようだ。打ち上げ、ISSへのドッキング、逆噴射による衛星軌道離脱、完全自動操縦により着水という重要なステップを予定どおり実施し、何より重要なことだが、すべての段階で2名の宇宙飛行士の安全を確保できた。

今回のミッションの最終段階はベンケンとハーリーの両飛行士を乗せたCrew Dragonをメキシコ湾にパラシュートで着水させ、ゴーナビゲーターと呼ばれるSpaceXの回収船に引き上げることだった。このプロセスは米国東部時間午後3時18分(日本時間8月3日午前5時18分)にスムーズに完了した。その後、午後4時ごろにカプセルのハッチが開かれ、4時6分に両宇宙飛行士が姿を現した。

周辺には多数の民間船が見物のために集まっていた。これは航行禁止区域の違反でセキュリティー上の問題なのだが、SpaceXは制止線を作って作業を続行した。ともあれこの状況では他に方法はなかっただろう。

今回の飛行が成功したことで、Crew DragoとFalcon 9ロケットをNASAの正規の基準により商用有人宇宙飛行システムとして認証する準備がすべて整った。ただし最終的な認証決定までには今回の飛行に関する情報をすべて詳細に審査し、解決を要する何らかの問題が残っていないかチェックする必要がある。我々が中継で見た限り、Demo-2は終始絵に描いたように順調に作業が進んだように思われるので、NASAの認証を得るための困難は大きくないだろう。もうひとつ記憶すべき点は、これが45年ぶりの有人着水だったことだ。前回の着水は1974年のSkylabの最後のクルー(NASAプレスリリース)だった。

Crew Dragonが進むべき次のステップは宇宙ステーションへの往還における米国の主要手段となることだ。次回からは本番任務となり、Crew-1と呼ばれる。スケジュールとしては9月中が予定されており、NASAの宇宙飛行士と日本の宇宙開発機関であるJAXAの星出彰彦宇宙飛行士がISSへ向かう(JAXAプレスリリース)。

これによってNASAは2011年のスペースシャトルの退役以後失っていた自国(および友好国)の宇宙飛行士を自力で宇宙ステーションに往復させる能力を取り戻す。ただしこれは商用クループログラム(Commercial Crew program)とう名前が示すとおり、スペースシャトルの際のようにNASAが打ち上げから機体運用まですべて単独で実施するものではなく、あくまで民間企業との協力によって行われる。全ミッションを完了したのはSpaceXが最初となったが、ボーイングもNASA向け商用宇宙飛行の実施の2社目となるべく準備を進めている。

NASAは将来にわたってISSへのアクセスを確保したい意向だ、また宇宙産業育成の資金とするためにできるかぎりコストを節約したいのでCrew DragonもボーイングのStarlinerも有料の乗客のための席を確保している。SpaceXはすでにCrew Dragonによる宇宙往復(ISSには滞在しない)旅行のチケットの予約を取り始めている。Dragonカプセルは最大7名の収容能力がある。NASAはこのうち4席のみを予約している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

グーグルとアップルの接触通知システム採用アプリの米国展開は「数週間後」か

Googleの副社長であるDave Burke(デイブ・バーク)氏は、Google(グーグル)がApple(アップル)と共同で開発したExposure Notifications System(接触通知システム、ENS)に関する最新情報を提供(Googleブログ投稿)した。公衆衛生当局の接触追跡を支援するこのコネクテッドソリューションは、プライバシーを保護しつつ、新型コロナウイルスへの感染が確認された人へ接触した可能性がある人に警告を発する。バーク氏は「グーグルはこれら一連のアプリが米国で今後数週間で展開されると見込んでいる」と述べた。実際の製品は5月にリリースしたテクノロジーをベースに作られているが、製品化への進展が見られないとの批判もあった(CNBC記事)。同氏のコメントは批判に対する暗黙の返答かもしれない。

バーク氏によると、現在米国内の20の州と地域がENSシステムを利用したアプリを検討中であり、検討中の州・地域合計で米国人口のほぼ半分(45%)をカバーする。また同氏は、Exposure Notification API(ENS API)や関連する文書や情報について最新情報と改善状況を公表した。両社がそれらを公表したのは、州保健機関からの質問に回答し、望むらくはAPIの使用とプライバシーへの影響に関して透明性を確保するためだ。

ENS APIは、国をまたぐ接触通知もサポートしている。バーク氏によると、このテクノロジーに基づいてアプリをすでにリリースした国、具体的にはカナダCOVID Alert)と一部の欧州諸国があることを前提として追加された機能だ。また、多種のデバイスに固有のBluetooth値を使って、近くのデバイスの検出する精度にも優れている。加えて、開発者向けにアプリとデバッグツールの両方の信頼性を向上させたため、公衆衛生当局と開発パートナーは、実際にENSを利用するアプリをより簡単に開発できるはずだ。

バーク氏は「開発者から、ENSが内部でどのように機能しているかより詳細な情報が欲しい」というフィードバックがあったと述べた。そこで、テスト検証サーバーの作成、基礎的な動作を明らかにするコード、実際に(匿名化された上で)収集されるデータの種類について保健当局の参考となるガイドを公開した。透明性を確保したデバッグと適切にアプリが機能することの検証を可能にするためだ。

Googleは接触通知機能を利用するためにAndroidデバイスの位置情報設定をオンにする必要がある理由も説明している。APIを使用して開発されたアプリは位置情報データの収集を明確に禁止しているからだ。基本的にこれは古い要件が残ったままになっており、間もなくリリースされるAndroid 11では不要となる予定だ。ただしそれまでは、位置情報サービスがオフになっているとENSを利用するアプリは実際には位置情報を表示または受信することができない。

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【Japan編集部追記】日本国内で配布されている「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)」もExposure Notifications Systemを使って開発されている。

(翻訳:Mizoguchi

SpaceXの有人宇宙船Crew Dragonがメキシコ湾に着水し船上回収成功

SpaceXと NASAはこれまでで最大の共同ミッションを遂行中だ。Crew Dragon Demo-2による有人宇宙飛行を完了する準備を整えている。Crew Dragonは、一般人の宇宙飛行を可能にするよう設計された宇宙船だ。今回のミッションはCrew Dragonが商用宇宙飛行に適格であると認定するもので、SpaceXとNASAの協力の成果の集大成となる。

NASAの2名の宇宙飛行士は数時間にわたって高度を下げ、フロリダ半島東側、アラバマ州ペンサコラ沖に着水する。

Behnken(ベンケン)氏、Hurley(ハーリー)氏の両宇宙飛行士は米国東部時間8月1日午後7時30分(日本時間8月1日午後9時30分)にすでに国際宇宙ステーション(ISS)を離脱しており、以後の飛行はCrew Dragonのシステムが自動操縦となる。SpaceXは、Crew Dragonの打ち上げと帰還飛行を完全に自動化するようデザインされているのだ。前回の無人無人宇宙飛行ではこれに成功している。

Demo-2ミッションは ベンケン氏とハーリー氏をメキシコ湾のペンサコラ沖に米国東部標準時8月2日午後2時48分(日本時間8月3日午前43時48分)着水させること完了する。ここにはSpaceXの回収チームが待ち受け、回収船に収容する。Crew Dragonは 5月30日にEndeavourの飛行を成功させているが、今回は宇宙飛行の歴史上最初の商用宇宙飛行の成功となる。

Dragonカプセルは大気圏を降下し、まず小型のパラシュートを使って姿勢を安定させ、さらにメインパラシュートを展開して時速24km程度に減速する。ISSを離脱してから着水までに非常に長い時間が必要な理由は、ISSをスタートしたきは時速2万8000km程度で飛行しており、非常に大きな減速の必要があるためだ。

NASAとSpaceXは回収の模様をペンサコラ沖とカリフォルニア州ホーソーンのミッションコントロールの双方からライブで中継している。新しい情報が確認でき次第、記事をアップデートする。

【Japan編集部追記】ペンサコラ沖の洋上回収に成功。両宇宙飛行士に異常はなく、カプセルは回収船のU型クレーンによって船上引き上げられハッチが開かれるのを待っている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Mammoth BiosciencesのCRISPRベースのCOVID-19テストがNIHのRADxプログラムを通して資金獲得

米国時間7月31日、CRISPR(クリスパー)技術スタートアップのMammoth Biosciences (マンモス・バイオサイエンス)が、米国立衛生研究所(NIH)のRapid Acceleration of Diagnostics(RADx)プログラムから資金を獲得したことをに明らかにした。Mammothは、自社が開発するCRISPRベースのSARS-CoV-2(新型コロナウィルス)診断テストを拡大し、米国全体の検査不足問題に対応するために、この契約を締結した。

MammothのCRISPRベースのアプローチは、PCR技術に基づく既存の方法と比較した場合、検査の手法が非常に異なるために、現在の検査のボトルネックを解消するための重要なソリューションとなる可能性がある。またスタートアップは製薬大手のグラクソ・スミスクライン(GSK)の協力を得て、新しいCOVID-19検査ソリューションの開発および生産を行っている。これはわずか20分で医療現場で結果を判定することができる、携帯性に優れた使い捨て式の検査手段である。

同社の検査はまだ開発中だが、今回受け取ったRADxの資金は、民間検査室で利用できるように、同社のDETECTRプラットフォームの製造を拡大するために使われる。これは、GSKと一緒に開発しようとしている「その場検査」ではなく、検査室で行うソリューションだが、それでも「検査能力を何倍にもできる」ものである。

すでに、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)は、FDAからSARS-CoV-2の検査のためにDETECTR試薬セットを使う緊急使用許可(EUA)を受けているが、スタートアップは同様の検査能力を米国内の他のラボにも拡張できることを望んでいる。

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(翻訳:sako)

TikTokは保留中の米国事業の禁止を受けて「米国から離れる予定はない」と表明

TikTokの米国事業のゼネラルマネージャーを務めるVanessa Pappas(ヴァネッサ・パパス)氏は米国時間8月1日、トランプ大統領が米国で中国製アプリの「禁止」に取り組んでいるという報道への対応と思われるビデオメッセージを投稿した。彼らがこれを実行できるかどうかは未解決のままだが、その間にTikTokは米国のユーザーを安心させたいと考えているようだ。この漠然とした、しかし潜在的に存在する脅威に対応して運営計画を変更するつもりはないようだ。

パパス氏のメッセージは保留中の米国の禁止に対して「米国から離れる予定はない」という内容が、米国のTikTok全ユーザーに通知された。

TikTokはこれを、アプリのプッシュ通知やウェブサイトで公表し、コミュニティ全体を安心させる狙いだ。ユーザーへの感謝の意を表す内容から始まり、米国を拠点とした貢献、すなわちこれまでに創出した雇用と今後の創出を約束した雇用、米国および世界のクリエイターを支援するために設立した基金の一部について強調している。

パパス氏は最後に、TikTokは「長期的に米国に留まる」と主張し「TikTokのために立ち上がる」ためのコミュニティの支援を呼びかけている。

トランプ大統領は早ければ米国時間8月1日に米国からのアプリへのアクセスを禁止する命令に署名する予定だと主張したが、これに続いてマイクロソフトが同社の中国に拠点を置くオーナーであるByteDanceと米国事業の買収の可能性を巡って協議中であるとの報道があった。

トランプ大統領はホワイトハウスでの報道陣へのコメントで、その可能性を否定しているように見えたが、米国時間8月1日の朝に発表された内容によると、マイクロソフトはTikTokの株式を取得し、米国ユーザーのデータの管理を引き継ぐために実際に交渉中で、あらゆる禁止を食い止めるための水面下の取引を進めているようだ。

しかしByteDanceは、中国企業が米国を拠点とするTikTokの運営を米国の所有者に完全に売却しない限り、トランプ氏がそうすることができると仮定して、米国内の関係者と取引を進めているようだ。

繰り返しになるが、トランプ大統領が米国中でアプリを禁止することについて実際にどのようなに裁定を下すのかは明らかではないが、ByteDanceは米国の関係者と協力して、中国企業が米国のオーナーにTikTok事業を完全に売却しない限り、アプリが利用できなくなることを前提にした取引を進めているようだ。

Chesnot / Getty Images

(翻訳:TechCrunch Japan)

アマゾンのインターネット衛星コンステレーションKuiperがFCCの承認を獲得、1兆円超の投資を発表

Amazon(アマゾン)は、これまで計画していた3236基のインターネット用衛星コンステレーションの打ち上げに対する米国連邦通信委員会(FCC)の承認を得た(Amazonリリース)。その衛星群はアマゾンのProject Kuiperの柱であり、それまで高速インターネット接続を得られなかった米国の世帯に高速低遅延のブロードバンドインターネットサービスを人工衛星から提供しようとするものだ。

当局からの重要な承認と並行してアマゾンは、Kuiperに100億ドル(約1兆500億円)あまりを投じると発表した。その費用は衛星の構築や試験ばかりでなく、顧客が実際に接続を利用できるために必要な地上局ネットワークのインフラストラクチャの構築も含む米国に雇用を生み出すものだ。

アマゾンのKuiperの計画には、消費者直通のサービスだけでなく、キャリアのための中継回線(バックホール)のネットワークサービスも含まれる。これによりキャリアは、高速のLTEおよび5Gワイヤレス接続を、対応した地上局がない圏域の顧客にも提供できる。アマゾンによると、これは米国だけでなく全世界に提供される。つまりKuiperのネットワークは最初は米国市場だけのものだが、その後グローバルに拡張される計画になっているのだ。

実際のところ、アマゾンはSpaceXの後を追う形になっている。後者はすでにそのStarlinkネットワークのために衛星を打ち上げており、2020年の夏にはベータテストが行えるようになるという。しかしJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が率いるeコマースの巨人は、ワシントン州レドモンドにKuiperの開発専用の新たなR&D施設をオープンさせること。そして同じくベゾス氏の宇宙への打ち上げ企業であるBlue Originもそのパートナーであることから、この強力でパートナーシップによりKuiper用衛星の打ち上げサービスは比較的早く準備が整うかもしれない。

低地球軌道衛星と呼ばれるこの新興市場において、勝者は1人ではない。遅延と速度と接続の質に関してこれらのネットワークがその約束を十分に守れるのであれば、複数のプロバイダーが文字通り地球規模で十分に競争できるだろう。アマゾンによる100億ドルの投資も、その実現することに賭ける理由の1つだ。大きな衛星コンステレーションの打ち上げには、その前段階のインフラの費用も膨大であるため、それだけの資金を確実に用意できる競合他社はそれほど多くはない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SpaceXのStarship SN5がエンジンテストに成功、高度150mの短距離飛行テストに移行

SpaceX(スペースX)の創設者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏によると、同社の宇宙船Starship(スターシップ)の6番目の試験用プロトタイプを使った極めて重要なRaptor(ラプター)エンジンの地上燃焼試験が見事に成功した。SN5と呼ばれるこのプロトタイプは今後高度150mの短距離飛行テストに移行する。SpaceXの開発計画を通じて製造された試験用宇宙船の中で、最も遠くまで飛行するものとなる。

SpaceXは、最初の実証試験用の小型版Starshipを製造したのに続き、去年からStarshipの試験用プロトタイプの製造とテストを繰り返してきた。プロトタイプはSNという名称で表され、その後に製造順に番号が付く。この小型版は実際にはStarshipの基礎部分だけで、短距離飛行と着陸の実証試験を行うためのRaptorエンジンが1基だけ搭載されていた。

以来SpaceXは、数々の飛行テストのための実物大の実証試験用プロトタイプを複数製造してきたが、当初はすぐにでも高高度飛行テストを行う予定だった。これまでのプロトタイプはMK1とMK2として知られている。MK1は、タンクの加圧テストの最中に爆発。MK2は、同社がMK3(SN2)にフォーカスを移したことで破棄された。なおMK2はSN1と改名され、ここから新しい命名規則が始まっている。開発されたプロトタイプは製造と試験が急がれたのだが、SN3とSN4はテスト中に壊滅的な失敗に見舞われた。

だがSpaceXは、ここまでにSN5のエンジン燃焼テストを成功させ、実物大試験機による低高度の「ホップ」飛試験に進めるようになった。

最終的にSpaceXは、Falcon 9(ファルコン9)やFalcon Heavy(ファルコン・ヘビー)を含む同社のすべてのロケットをStarshipに置き換える計画で、将来の火星の有人基地建設建設にはStarshipにSuper Heavy(スーパー・ヘビー)ブースターを装着して対応させることにしている。

その壮大なゴールに到達するまでには、まだまだ多くのテストを繰り返して改善を重ねる必要があるのは明らかだが、マスク氏とSpaceXは一般大衆の目に見えるかたちで大急ぎでテストと改良を繰り返すことに力を入れているようだ。

宇宙船開発は十分にテストを重ねるのが定番となっているが、それをオープンに行うということ、そして実際の飛行テストに使用する宇宙船の製造を急ぎ、その結果を新しい(そして改善が期待される)バージョンの製造に生かすという考え方は斬新だ。
画像クレジット:Darrell Etherington

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(翻訳:金井哲夫)

ロケット打ち上げスタートアップAstraが8月2日以降に初軌道飛行テストを実施、SpaceXなどより低コスト

米国拠点のロケット打ち上げスタートアップであるAstra(アストラ)は、初の軌道飛行テストの準備を進めている。天候に応じて、今週末か来週末にも打ち上げを実施する。同社は、アラスカ州コディアクから「Rocket 3.1」と呼ばれるロケットを打ち上げる。厳密に言えば軌道飛行テストに分類されるが、米国時間7月30日に開かれた記者会見では「最初の3回の打ち上げが、どれも正しく軌道に載ると信じているわけではない」とジャーナリストに対して早々に釘を刺していた。

「ホールインワンを狙っているわけではありません」とCEOのChris Kemp(クリス・ケンプ)氏は言う。「これはパー3のコースです。3回の打ち上げを行った後に、適切に軌道飛行が行えると確証を持てるだけの経験を積もうと考えているのです。私たちにとってそれは、予定どおりに第1段のエンジンが燃焼し、第2段が正常に分離されることを意味します。そこで習得したあらゆることを、上に積み上げてゆきます。私たちは、第2段が点火すれば満足です。そして第2段が、次の打ち上げをもっとうまくやるための何かを教えてくれたらそれで十分なのです」。

Astraのロケットの建造と打ち上げに対する考え方は競合他社とは異なっている。このスタートアップは創業からまだ3年しか経っていない。同社は、オークランドにほど近いカリフォルニア州アラマダでロケットを建造している。Rocket 3.1は、高さおよそ40フィート(約12m)で、小さなペイロードを打ち上げることができる。現在、数多くの企業が地球の低軌道で運用する衛星コンステレーションを打ち上げているが、それを構成する小型衛星1基が搭載できる程度だ。ちなみにSpaceXのStarlink計画では、一度に60個の衛星を載せて打ち上げている)。

結局は受賞者を出さずに終了したDARPA(米国防高等研究計画局)の打ち上げコンテストに初めて挑戦する前にケンプ氏が私に話した(未訳記事)ところによると、低コストで大量にロケットを作り、SpaceX(スペースX)やRocket Lab(ロケット・ラボ)などの新進宇宙企業よりも、失敗を許容するマージンを大きく取るのだと強調していた。

「最初の1回で成功させるために何年間も費やすのではなく、我々は軌道への挑戦を何度も繰り返します」とケンプ氏は、来週の打ち上げを前にした7月30日の記者会見で話していた。

Rocket 3.0型では、最初の計画から何度もやり直すこの方法で、同社は異常事態によりロケットを丸ごと失うという事故に見舞われた(未訳記事)。同社はその後、設計を見直して失敗の原因になったものを含めいくつもの問題点を解決した。今回の打ち上げは、もともと3月末に予定されていたものだが、新型コロナウイルスの影響で延期されていた。だがAstraは、オフィスに従業員を集めて仕事を続けることができる数少ない企業のひとつに国から指定されている。なぜならその事業が、国の安全保障にとって重要なものだからだ。

これから行われる3回の打ち上げテストでは、ペイロード(積載物)は搭載されない。理由のひとつとして、少なくとも最初のロケットは完全に失われることを想定しているという点がある。しかしAstraのロケットは、その経済性のために多少の失敗は許容できる。1回の打ち上げ費用は、小型衛星を打ち上げたいときに候補に挙げられるSpaceXやRocket Labなどの乗り合い型ミッションと比較しても、ずっと安い。

最初のAstraのテストの打ち上げ計画は、米国時間8月2日から8月7日の間の、米国太平洋夏柑午後7時から午後9時(日本時間8月3〜8日の間の午前11時)の間に設定されている。いまのところ、現地の8月2日の天候はあまり芳しくない。しかし同社によれば、天候は目まぐるしく変化するため、注意深く観察し、柔軟に対応するとのことだ。

画像クレジット:Astra

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(翻訳:金井哲夫)

NASAが火星探査車搭載ロケットの打ち上げに成功、古代微生物の痕跡を探す旅へ

NASA(米航空宇宙局)は史上最も重要な科学ミッションの一つとされるMars 2020ミッションのスタートを切り、火星探査車(ローバー)であるPerserverance(パーセヴェランス)を載せたロケットを打ち上げた。この探査車はロボッティック探査車 Curiosity(キュリオシティー)の後継であり、火星で古代微生物の痕跡を発見するために作られたセンサーを装備している。

Mars 2020は米国東部夏時間7月29日午前7時50分(日本時間7月30日午後8時50分)に、フロリダ州ケープ・カナベラルを出発した。PerseveranceはUnited Launch Alliance(ULA)のAtlas Vロケットに搭載され、ロケットは順調に離昇したあと第2ステージを切り離し、火星への旅に向けて待機するためのパーキング軌道に宇宙船を送り込む。火星には2021年2月に到着する予定だ。

火星に着いたら、2021年2月18日に着陸船がPerseveranceを火星表面に運び、Jezero Crater(ジェゼロ・クレーター)と呼ばれる着陸地点に向かう。そこは、かつて火星が現在のような乾燥してほこりまみれで低温な環境と異なるはるか昔には湖だった場所だ。ここが選ばれた理由は、存在するかもしれない微生物の何らかの痕跡を見つける最良の場所であり、火星で最も保存状態のいい三角州沈殿物が見られるからだ。

NASAの科学者らはPerseveranceに搭載した機器を使って火星の生命の存在を確認できるとは期待していない。しかし、かつて生命が存在するために必要だった環境や物質を示す強い可能性を発見できると考えている。究極の証拠は、2026年に予定されている待望の火星サンプル回収ミッションで見つかるかもしれない。このためにNASAは、Perseveranceが収集したサンプルを載せて火星表面から離陸することが可能な帰還用ロケットを火星に送り込む。ロケットはその後、欧州宇宙機関(ESA)が打ち上げ予定の探査車とも出会ったあと、科学者たちの待つ地球への帰路につく。

Perseveranceには、動力源である原子力電池、環境センサー、カメラ、その他何らかの古代生命の保存された証拠を収集するための機器群に加え、マイクロホンを搭載している。別の世界の表面にマイクロホンが持ち込まれるのはこれが初めてであり、つまり、別の世界の表面でどんな音がするのかを聞けることを意味しており、これはこれまでになかったことだ。

Perseveranceには、Ingenuity(インジェヌイティー)と呼ばれるヘリコプターも載せられている。史上初めて自力で飛行する小型ドローンで、冷たい火星の夜を生き延びるために自身を温めるように作られている。30日間に5回の飛行を予定しており、カラー写真も撮影する。見晴らしのよい空中から撮る初めての写真だ。

歴史的Mars 2020ミッションは大きな第一歩を踏み出した。注目すべき次の大きな節目は約2週間後に宇宙船がエンジンに点火して地球軌道を離れ、火星への長い旅を始める時だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook