米国拠点の超音速旅客機スタートアップのBoomがロールスロイスと提携、NY〜ロンドン片道3.5時間目指す

米国コロラドに拠点を置く航空機製作のスタートアップであるBoom Supersonicはコンコルドの遺産を継承して大きく進歩させた超音速旅客機の開発に長年取り組んでいる。BoomはOverture超音速旅客のエンジンを入手するためにロールスロイスと契約を結んだ(PR NewsWire記事)。BoomはテストモデルのXB-1を実際に飛行にさせる寸前まで来ている。XB-1はOvertureで使用を予定しているさまざまなテクノロジーを実験、実証するための縮小モデル機だ。

ロールスロイスがBoomに協力するのはこれが初めてではない。Boomの発表によれば、両社はこれまでにもさまざまな面で共同作業を行ってきたという。ロールスロイスは第二次世界大戦以前にさかのぼる航空機用エンジン開発の歴史を持ち、現在も世界で二番目に大きい航空機エンジンメーカーだ。

これに対してBooomは航空機メーカーとしては新しいスタートアップだ。長い伝統のあるロールスロイスが推進システムを受け持つことになったのは大きなメリットだろう。コンコルドの推進システムに採用されたOlymppus 593ターボジェットエンジンはロールスロイスが開発・製作したものだ。

Boomが開発しているOvertureは世界最高速の旅客機を目指している。飛行時間はニューヨークからロンドンまでが3時間半など、現在のジェット旅客機の機の半分となるはずだ。Boomは、頻繁に空路で出張する旅行者を対象にビジネスクラス専用機としてOvertureをデザインしており、今後5年から10年の間に実用化することを計画している。

XB-1デモンストレーターのロールアウトは今年の10月7日に設定された。Boomが飛行に必要な機能をすべて備えた実機を公開するのはこれが初めてとなる。

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滑川海彦@Facebook

日本の宇宙開発スタートアップispaceが月着陸船「HAKUTO-R」の最終デザイン公開、2022年の初ミッションに向け

日本の宇宙開発スタートアップであるispaceが、月着陸船「HAKUTO-R」の最終デザインを公開した。この着陸船は、以前は2021年10月の飛行が予定されていたが、この度アップデートされた計画に従って2022年に初めて月に着陸する予定だ。ispaceはNASAのCommercial Lunar Payload Services(CLPS)プログラムに選定されたDraperに率いられるチームの一員で、 2024年にNASAが計画する月有人探査ミッションに先立って、さまざまなペイロードを月に輸送する。

ランダー(着陸機)は人より少しだけ高く、全高は約7フィート半(約2.3m)で、基本的には幅も長さも同じ。4K解像度のカラーカメラが搭載されており、ミッション全体の映像を中継できるほか、推進剤を保持する燃料タンク、発電用ソーラーパネル、着陸装置、スラスタ、最大66ポンド(約30kg)の実験装置やその他の機材を保持するペイロード収納部などがある。

前述したように、HAKUTO-Rの初の月面着陸機ミッションのタイミングの調整も発表されている。1回目は2022年に行われる予定で、SpaceXのFalcon 9ロケットを使用し、科学実験機器を含む商業ペイロードを搭載する。第2回目は2023年に予定されており、月面を調査する小型ローバーを搭載し、月面での長期的な商業投資の可能性の道を開くことを目指す。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAが火星探査機「Perseverance」の打ち上げに成功

NASAは米国時間7月30日の朝、最新のローバー(探査車)を火星に向けて打ち上げた。打ち上げは米国東部夏時間7月29日午前7時50分(日本時間7月30日午後8時50分)に設定されており、放送は米国東部夏時間7月29日午前7時00分(日本時間7月30日午後8時)だった。このミッションでは、ULA(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)のAtlas Vロケットを打ち上げ、2021年2月に火星に到着し数カ月間におよぶ火星探査ミッションとなる「Perseverance」を実施する。

重量2260ポンド(約1トン) のこの探査機には、火星で過去に発見された微小な有機生命体の痕跡を探すためのさまざまなセンサーが搭載されているほか、火星の大気や地質を調査することもできる。またヘリコプター型ドローン「Ingenuity」も搭載しており、火星の大気中を飛行する初の装置となることを目指している。

Perseveranceはいくつかの点で、以前のローバーから大きくアップグレードされている。例えば、1日あたりの自律的な移動距離でこれまでのどの探査車よりもより多くの場所をカバーでき、またこれまで以上に多くの科学調査が実施できる。車体には19個のカメラを搭載しており、周囲の様子を詳細かつ高品質に地球に向けて映し出すことができる。このローバーはまた、将来の有人火星探査(および長期の有人月探査)を手助けするように設計されており、火星の大気中に存在する二酸化炭素から酸素を生成する装置であるMOXIEのような実験を搭載している。これは火星において自立型電源として機能し、将来開発される洗濯機サイズのバージョンのための実質的な準備となる。

またPerseveranceは、収集したサンプルの一部を再利用するための準備をしている点でもユニークだ。最終的にはNASAと欧州宇宙機関(ESA)の協力を得て、将来の探査機と回収ランダーを利用してPerseveranceが回収容器に残した火星の土のサンプルを回収し、地球に持ち帰って直接研究する計画だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

テスラが自動運転ソフトと駆動システム、バッテリーを他メーカーに供給へ

Tesla(テスラ)でCEOを務めるElon Musk(イーロン・マスク)氏は米国時間7月28日夜にTwitter(ツイッター)で、同社が他の自動車メーカーに「ソフトウェアをライセンスし、パワートレイン(駆動システム)とバッテリーを供給する」意向であると語った。さらにマスク氏は、テスラがさまざまな運転状況に合わせた高度なクルーズコントロールを可能にする運転支援ソフトウェアであるAutopilot(オートパイロット)もライセンスの提供範囲に含まれていることを付け加えた。

同氏は、ドイツの自動車メーカーがEVを製造するにあたり、テスラとの技術格差をいかに埋めようとしているかを書いたテスラ専門のニュースサイトであるTeslarati(テスララティ)誌の記事に言及した。Volkswagen(フォルクスワーゲン)のHerbert Diess(ヘルベルト・ディース)会長は過去の発言で、マスク氏とテスラのさまざまな分野における実績を称賛していた。

VWは独自のEVプラットフォームであるMEBを開発し、スポーツセダンからSUVまで複数の電気自動車の基盤として利用しようとしている。また同社は、MEBの技術をほかの自動車メーカーへライセンスすることにも積極的で、昨年7月にFord(フォード)のヨーロッパ事業向けにライセンス契約を結んだ。

マスク氏は、テスラがライセンスに関心を持ったのは「ライバルを倒すのではなく、維持可能エネルギーを加速する」という同社の根底にある目標に端を発しているとツイートで語った。同社が目標達成のために技術を開放する意志を表明するのはこれが初めてではない。2014年に同氏はブログで「テスラは自社の知的財産を『同社のテクノロジーを善意で使いたい人全員に』利用できるようにする」ことを発表した。

だからといってテスラがときおり潜在的ライバルを法的手段の標的にするのをやめたわけではない。先週同社は電気自動車メーカーのRivianおよび元社員4名を営業秘密窃盗と従業員の不正引き抜きがあったとして訴えた。

プラットフォームのライセンス供与や部品の供給は、自動車メーカー業界では多くの前例がある。また、テスラの自動車販売売上にマイナスの影響をあたえるものでもない。それは同社のセールスポイントがパワートレインとバッテリーという基本部分以外にもたくさんあるからだ。

VWはフォートとの提携を発表した時に、MEBの契約を通じて最大200億ドル(2兆1000億円)の売上を期待していると語り、その大部分がMEBの部品供給によるものだと語った。テスラも同様の利益を、おそらく世界的に拡大して実現するだろう。もし同社がパワートレインとバッテリーの生産能力を自社の需要以上に高めることができればなおさらだ。

画像クレジット:Tesla

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

1日に何度も準軌道を往復可能なスペースプレーン「Mk II Aurora」をDawn Aerospaceが発表

我々が地上でさまざまな移動手段を利用しているように、宇宙経済の可能性はさまざまなタイプの乗り物や打ち上げシステムを可能にする。米国時間7月28日にDawn Aerospace(ドーン・エアロスペース)は小型車よりも小さく、1日に何度も準軌道を往復可能なスペースプレーンのDawn Mk-II Auroraを発表した。

Mk-IIはその名前が示すように、Dawnによって作られたコンセプトの第2弾だ。Mk-Iは実際に製造され2018年5月に飛行し、通常の滑走路から水平に離陸した後、飛行中にロケットを発射する能力を実証した。Mk-IIの主要な能力の1つも通常の滑走路で離着陸する能力であり、特殊で高価な垂直発射施設は必要としない。

Dawn Aerospaceはオランダのデルフトにてデルフト工科大学と提携して設立され、またニュージーランドでも運営されている。ニュージーランドは商業打ち上げサービスで最も成功を収めている新興企業の1つであるRocket Lab(ロケット・ラボ)の本拠地として、ニュースペース業界でさらに高い評価を得ている。同社のミッションはすべて持続可能な宇宙経済を中心に構築されており、CubeSat推進システム事業でも成功している。

Mk-II Auroraは持続可能な商業宇宙飛行の目標に向けて、異なる方法でアプローチしており、3Uのペイロードを搭載し60マイル(約97km)以上の飛行が可能だ。リアルタイムのダウンリンク通信機能を備え、1回のフライトにつき約5万ドル(約530万円)の費用で、1日に何度も往復できる。

さらにDawnは長さ60フィート(約18メートル)で、110~220ポンド(約50〜100kg)のペイロードを軌道上まで運ぶことができるスペースプレーン「Mk-III」の計画も進められている。こちらも毎日複数回の飛行が可能で、世界中のどこにでもある通常の滑走路から離着陸できる能力を考えれば、小型衛星打ち上げ業界の常識を覆すものとなるだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Virgin Galacticの眺めを重視した観光宇宙船の内装が初公開

有人宇宙飛行の商用サービス開始に向けた準備が進む中、Virgin Galactic(バージン・ギャラクティック)はVSS Unity(ユニティー)宇宙船の客室の最終デザインを初めて公開した。同社は、本日開かれたバーチャルイベントでその内部を披露し、VRを使って私も含む報道関係者を特別に案内してくれた。客室は、1回数万ドル(数百万円)という料金に見合う乗客のエクスペリエンスを第一に考えて作られている。

Virgin GalacticのVSS Unityは、最大6人の乗客で宇宙の準軌道を飛行するという、前代未聞の旅を提供する。そこでは無重力を体験でき、地球の丸さや大気圏外の宇宙の暗さを観察できる。客室は、料金を支払って搭乗した民間宇宙飛行士たちの飛行中の安全性、居住性、自由が最大限に確保できるよう設計されている。Unityは母機で上空に運ばれ、切り離された後にロケット噴射によって急加速される。宇宙空間では自由浮遊飛行となり、最後に大気圏を脱出したときとは反対の方向に高い加速度がかかる形で地上に帰還する。

快適な飛行を可能にするために、Virgin GalacticはUNDER ARMOUR(アンダー・アーマー)と共同で、カーボンファイバーとアルミにメタリックなローズゴールドのアクセントを織り込んだ三次元の柔らかい素材とファブリックを組み合わせるシートを開発した(UNDER ARMOURは乗客が着る専用宇宙服も作っている)。飛行の途中で乗客は地上の3倍の重力を体験することになるため、できる限り安全に快適に過ごせるように考えられている。このシートは、それぞれの乗客の体型に合わせて個別に製作される。その際、例えばポニーテールにしている人ために頭がフィットするようにヘッドレストの中央に穴を設けるなど、大変に細かい部分まで配慮される。

シートに組み込まれた5点式シートベルトは、1つのボタンを押すだけで簡単に外すことができ、無重力状態になる自由浮遊飛行の際に危険にならないよう、ベルトはシートに内蔵された固定具の中に自動的に引き込まれる。地球に帰還するときには再びベルトを装着するが、そのときは簡単に場所がわかるようになっている。

すべてのシートは、無重力状態の間は手で掴まって体を支えるハンドグリップとしても活躍する。もっとも、客室内のあらゆるものがハンドグリップの役割を果たしている。どのシートも壁から突き出た取り付け具で固定され、下に空間が作られているのもそのためだ。これによりUnityが地球の大気圏を抜け、上下という概念がなくなったときに探索の幅が広がるわけだ。

同じ理由で、客室全体が柔らかい素材で作られている。また窓は2名の乗員用の3つを含めて全部で17箇所あり、乗客用の窓のそれぞれに柔らかい素材で作られたリング状の「ヘイロー」照明とハンドグリップそしてカメラが内蔵されている。この他にもVirginは、客室のいたるところにカメラを設置した。これには飛行中に条件が変化しても高画質の写真撮影ができるよう、映像の専門家が調整を施す。乗客が自分で撮影する手間を省き、それぞれの体験を最良の形で確実に記録することが狙いだ。Virginによれば、画像は着陸とほぼ同時に乗客に送られるため、宇宙旅行者たちは即座にSNSで写真をシェアできるという。

すべての座席が窓際席で、横と上に2つずつ窓が配置されていて、息を呑むような眺めが楽しめる。また、客室とロケットエンジンとを仕切る後方の遮蔽壁全体を大きな鏡が覆っている。これは、乗客が無重力での自分のおかしな姿を見て楽しむためのものだ。

シートは、飛行中の段階に応じて方向や角度が変わる。ロケットを噴射して3.5Gで加速中は背もたれが起きる。大気圏の縁をかすめて再突入のために3Gで減速するときは、背もたれが倒れる。各シートには情報ディスプレイがあり飛行中の状況を確認できるようになっているが、操縦士と副操縦士は完全に乗客と遮断されているわけではないため、理論的にはその場で乗客が質問することも可能だ。

Virgin Galacticでは、定期航空便が先駆者となって採り入れた飛行中の雰囲気を演出する照明方法を、宇宙用に作り直して採用している。客室のよく考えられた位置に巧妙に隠された照明器具から発せられる光が、飛行の各段階に応じて動的に変化する。客室の内装の詳細を表した下の写真を見て欲しい。3名搭乗の場合の座席の配置を示した写真では、片側に実験器具が並べられている(実験器具の搭載は、Virgin Galacticがもう1つの収益源として考えているものだ)。

  1. Virgin Galactic宇宙船客室のペイロード配置

    Virgin Galactic宇宙船客室のペイロード配置。
  2. Virgin Galactic宇宙船の宇宙でのシートの状態

    Virgin Galactic宇宙船の宇宙でのシートの状態。
  3. Virgin Galactic宇宙船シートの細部

    Virgin Galactic宇宙船シートの細部。
  4. Virgin Galactic宇宙船の宇宙での客室内部

    Virgin Galactic宇宙船の宇宙での客室内部。
  5. Virgin Galactic宇宙船客室の内装

    Virgin Galactic宇宙船客室の内装。

実際に料金を取って乗客を飛行させるまでには、まだ最後の準備が残されてはいるが、VSS Unityの内装が決定したことでゴールにぐっと近づいた。これはまったくユニークな提案であるため、実際に乗って確かめた人の意見なしに評価は下せない。しかし明らかにいえるのは、Virgin Galacticはこの宇宙旅行の料金が支払えるすべての人を満足させるために数多くの見解、考察、専門知識をこの宇宙船の内装デザインに注ぎ込んでいるということだ。

画像クレジット:Virgin Galactic

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(翻訳:金井哲夫)

XPRIZEが新型コロナの高速テストのコンテストを賞金約5.3億円で実施

XPRIZEは重要な分野における技術革新を促進するために賞金を提供するという実証済みのモデルを、新型コロナウイルス(COVID-19)テストの課題に転換しようとしている。この非営利団体は、Rapid COVID Testingとして賞金500万ドル(約5億3000万円)のコンテストを創設した。これは科学者、研究者、業界のリーダーによって結成されたOpenCovidScreenと呼ばれる組織と提携し、この課題に関するオープンな科学的コラボレーションを推進する。

このコンペティションでは、テスト能力を大規模に拡張し、安全な再開戦略への道を開くために、既存のものを補完できる低コストで高速な結果試験ソリューションの開発が参加者に求められる。自宅でのテスト、ポイントオブケアで実施されるテスト、分散型ラボテスト、そして最終的には高スループットなラボ・ソリューションなど、多くのカテゴリーの潜在的なソリューションを募集する。

最終的な賞金の審査では革新性、パフォーマンス、検索結果の高速な提供(最大許容ターンアラウンドタイムは12時間))、拡張性、使いやすさ、費用対効果(1回のテストあたり15ドルが上限)に重点が置かれている。XPRIZE団体はまた、サプライチェーンの多様化と持続可能性の確保のために、提案するソリューションでさまざまな技術を試すことを奨励している。

コンペティションに参加するためには、2020年8月31日までにチームが参加する必要がある。コンペは2021年1月末までに大賞受賞者を発表する予定で、5チームにそれぞれ100万ドル(約1億1000万円)を授与する計画だ。

コンペ終了後、参加者は「COVID Apollo Project」が設立した5000万ドル(約53億円)の基金を利用して、実際の生産・流通に向けたソリューションの開発、展開、スケールアップを図ることができる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

スペースXがDragonの未来的な宇宙服の開発過程を公開

SpaceX(スペースX)は有人宇宙飛行に進出する際、独自の宇宙服を社内で開発すると決めた。これはNASAを含む多くの宇宙服のプロジェクトとはまったく異なるアプローチだ。一般的には長年の経験を持つ外部の専門業者に仕事を依頼するが、スペースXは新たに公開した動画の中で、なぜそのようなプロジェクトに自ら取り組んだのか、その独自性と現代的なデザインがどのようにして生まれたのか、そしてユニークでモダンな外観の宇宙服が、美的にも機能的にもどのようにDragon宇宙船を完璧に補完するようにデザインされているのかを紹介している。

スペースXの宇宙服・クルー機器マネージャーのChris Trigg(クリス・トリッグ)氏と、リード宇宙服スペシャリストのMaria Sundeen(マリア・サンディーン)氏が、同社の宇宙服のコンセプト、デザイン、製造プロセスを説明している。なお宇宙飛行士は今週中に、復路にてこの宇宙服を装着する予定だ。

トリッグ氏によると、このスーツはドラゴン宇宙船のクルーシートを含むシステムの一部であり、プラグを差し込めば必要なものすべてが自動的に提供するように設計されている。彼はまた、ヘルメットのデザインの背景にあるアイデアと、宇宙船のコントロールサーフェスで作業するためのタッチスクリーンとの互換性と同時に、加圧と保護を提供する手袋を作る必要性についても説明している。

前述したように、天候などに問題がなければDragon宇宙船は8月1日に国際宇宙ステーション(ISS)から帰還し、8月2日には大西洋で宇宙飛行士を乗せて着水する予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAが第2次Crew Dragonミッションの宇宙飛行士を発表、JAXAの星出彰彦さんも参加

NASAとSpaceXは、同社のCrew Dragon宇宙船の最後のデモミッションを今週末に完了させる予定で、すでに2021年春に予定されているCrew Dragonの2番目の運用フライトであるCrew-2に向けて準備を進めている。その打ち上げには2人のNASAの宇宙飛行士と宇宙航空研究開発機構(JAXA)からの1人、欧州宇宙機関(ESA)からの1人の合計4人が搭乗することが明かされた(NASAリリース)。

NASAのMegan McCarthur(メーガン・マッカーサー)宇宙飛行士とShane Kimbrough(シェーン・キンブロー)宇宙飛行士は、JAXAの星出彰彦宇宙飛行士とESAのThomas Pesquet(トーマス・ペスケ)宇宙飛行士とともに、Demo-2が終了した後の9月下旬に予定されているCrew-1の次のミッションに参加する。これはISSに長期的に人員を配置するための通常の運用ミッションにあたり、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在(6カ月間)し、ロシアのソユーズ宇宙船を利用する3人の宇宙飛行士と軌道上の研究プラットフォームを共有することになる。

つまり、同時に7人の乗組員がISSを共有することになり、通常の6人よりも多くなる。NASAによると7人体制が新たな標準になる予定で、追加されたクルーは「宇宙で実施できる科学実験の量を効果的に倍増させる」ことを意味する。

ISSのクルーが日常的なメンテナンスや作業に多くの時間を費やしていることを考えて欲しい。7人目の乗組員が日常的な作業を手伝うことで、ISSの良好な動作を維持するための分割時間を削減につながり、実験や研究のために多くの時間を割けるようになる。

このクルーメンバーは全員、以前に宇宙に滞在したことがあるが、マッカーサー飛行士にとっては初めてのISSでのミッションとなる。彼女が最後に宇宙に行ったのは2009年にスペースシャトルに搭乗し、ハッブル宇宙望遠鏡の最後のサービスミッションに参加したときだ。マッカーサー飛行士は仲間の宇宙飛行士のBob Behnken(ボブ・ベーンケン)飛行士の妻でもあり、ベーンケン飛行士はCrew Dragonで打ち上げられた史上初の宇宙飛行士として、ISSに滞在している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ゲームボーイをはじめとしたレトロなポータブルゲームが遊べるAnalogue Pocketが8月3日に予約開始

Analogueは、レトロゲームに関しては業界のリーダーであることをたびたび証明してきた。ファミコン、スーファミ、メガドライブなど、さまざまなゲームを最新のハードウェアでかなり忠実に再現してみせた。同社は2019年10月に、次世代のポータブルゲーム機となるAnalogue Pocketを発表した。それがようやく予約注文を受けるところまでこぎ着けた。標準でゲームボーイ、ゲームボーイカラー、ゲームボーイアドバンスのカートリッジがそのまま動く。アダプターを使えば、さらに多くのレトロなポータブルゲーム機用のゲームで遊べるようになる。

画像クレジット:Analogue

Analogue Pocketは、米国太平洋標準時の8月3日の午前8時(東部標準時では同日午前11時)から199.99ドル(約2万1000円)で予約を受け付ける。ただし実際に出荷されるのは、それよりかなり後になる。Analogueでは、実際にこのゲーム機を予約者に向けて出荷できるのは、2021年5月になると考えている。同社によれば、それも「我々にはどうすることもできない不幸な世界情勢とサプライチェーンの問題」によるのだという。もちろん、進行中の新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックと、それが電子部品のサプライヤーに与える影響について危機感を抱いている独立系のメーカーは、Analogueだけではない。

画像クレジット:Analogue

とはいえ、辛抱強く待ちさえすれば、この製品はほぼ確実に入手できると安心していいだろう。Analogueには、これまでにもNt mini、Super Nt、Mega Sgなど、多くの製品を出荷してきた実績がある。そうしたゲーム機は、単に約束を果たしたというだけのものではなかった。エミュレーションに頼ることなく、最新のテレビやディスプレイで、クラシックなゲームをプレイ可能にするという素晴らしいパフォーマンスを提供したのだ。

Analogue Pocketは、2019年に発表されたときのものと比べて、若干デザインが変更されている。スタートとセレクトの両ボタンが、本体前面の底部に近い場所に移動した。同社によると「使いやすさを最適化する」ためだという。またPocketをテレビに接続して大画面でゲームを楽しめるようにするDockは、埋め込み式のUSB-Cポートを備え、接続をより安定したものとしている。

クラシックなゲームプレイと最新の便利さを融合させる同社お得意の機能として、現在のスマホやタブレットと同様のスリープ/復帰機能を実現している。このゲーム機の電源ボタンを軽く1回押すと、低消費電力のサスペンド状態になる。その後、また電源ボタンを押せば、以前の続きからプレイを再開できる。これは、独自のセーブ機能を備えていないゲームをプレイする際には大きなメリットとなる。

画像クレジット:Analogue

Analogue Dockは99.99ドル(約1万500円)だ。有線、Bluetooth、または2.4GHzのワイヤレス接続で、最大4つのコントローラーを同時にサポートできる。別売りのマルチリンクケーブルを使えば、最大4台のPocketを接続して、ローカルでマルチプレーヤー対戦も可能となる。

Analogueでは、Pocket用のアクセサリもあれこれと提供する。例えば保管や持ち運びにも便利な透明なハードケース、USB-Cの急速充電器といったものから、ゲームギア、ネオジオポケットカラー、Atari Lynxのようなゲーム機のカートリッジ用アダプターもある。またMIDIアナログ同期ケーブルを使えば、MacやPC、電子楽器と接続して、同社製のNanoloop音楽制作ソフトウェアが利用可能となる。

画像クレジット:Analogue

同社は、このゲーム機のソフトウェア的な特長もいくつか明らかにした。例えば「オリジナルディスプレイモード」では、オリジナルのゲーム機でのディスプレイ表示を、バグっぽいものも含めて忠実に再現する。一方、Pocketの内蔵ディスプレイは、耐久性の高いゴリラガラス製だ。リフレッシュレートは可変で、360度の自由な回転表示も可能となっている。

Analogue Pocketは4300mAhの充電式バッテリーを内蔵し、6〜10時間のプレイ時間を実現している。プレイを中断した際には、スリープ状態で10時間以上持続するはずだ。

これはこれまでのAnalogue製品の中でも、間違いなく最も素晴らしいものであり、ポータブルゲーム機として驚きをもって迎えられる製品となるはずだ。

画像クレジット:Analogue

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Boston Dynamicsのイヌ型ロボットがフォードの改修を重ね現状がわからなくなった工場のマッピングに採用

 
Ford(フォード・モーター)はトランスミッション工場の改修のためのマッピングにBoston DynamicsのSpotロボット2台を利用してテストを行うことを発表した(Fordリリース)。Spotはイヌに似た四脚で移動するロボットで重量は32kgだ。

フォードの説明によれば、この工場は建設されて以来、新型トランスミッションを製造するために何度も改修を重ねているため、現在フォードが計画している改修計画が現状に整合しているかの確認が困難になっているのだという。Spotはレーザースキャナーなどの視覚センサーを備えており、極めて詳細で精密な地図を作成することができる。フォードではこのバーチャルマップに基づいて工場の近代化計画を立てる。

Spotを使用して工場をマッピングすることには大きなメリットがある。従来、こうした作業は多くのポイントに三脚を設置し、レーザースキャナーによって周囲をマッピングしていた。しかしこれは非常に時間のかかるプロセスだ。イヌ型ロボットのSpotなら移動しながら連続的に周囲のスキャンを続けることができ、作業時間を最大で50%も削減できるという。

Spotはレーザースキャナーに加えて5台のカメラを装備しており、時速4.8kmほどで連続2時間作動可能だ。 Spotが収集したデータと広範囲のデータを総合することで工場全体のマッピングできる。さらにSpotは小型で軽快であるため、人間が入り込めないような場所を動き回って計測を行うこともできる。

今回のプログラムはテストであり、使われる2台のSpotはフォードがBoston Dynamicsからリースしたものだ。しかしロボットがフォードが期待するとおりの性能を発揮できた場合、他の様々な用途に採用されるようになることは容易に想像できる。

画像クレジット:Ford

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

新しいMac用のマウスとキーボードはロジクールの新製品がおすすめ

Logitech(ロジクール)が、Macユーザーに向けた新バージョンのMXシリーズ周辺機器の他、Appleデバイス用に設計された新たなK380ワイヤレスBluetoothキーボードをリリースした。Logitechの既存のデバイスと比較してこれらの新製品に劇的な変化は見られないが、これは吉報である。同社の周辺機器は既に優秀であったが、同新シリーズはそれらの周辺機器をMacユーザーのデフォルト的チョイスとも言えるようなものへとアップグレードさせたのだ。

MX Master 3 for Mac

Image Credits: Darrell Etherington

既存のMX Master 3にわずかな変化が加えられたのがMX Master 3 for Macだ。新しいスタイルの塗装が主な変更点で、実際には古いバージョンとかなり似ている。Mac専用バージョンもスペックは同様で、最大スクロール速度が毎秒1000行の静かなスクロールホイールや、高速な動きに適したフリーホイールスクロールを可能にするLogitechのMagSpeedテクノロジーなどを搭載している。

MX Master 3 for Macには、非Macバージョンに付属するUSB-A/USB-Cケーブルの代わりにUSB-C/USB-Cコードが同梱されており、ドングル無しのモダンなMacBookコンピューターで使用し充電するにはより便利になっている。フルに充電すれば70日間使用することができ、わずか60秒の充電時間で3時間使用可能だ。このマウスには同社のDarkfieldレーザートラッキングを使用。これにより平均1000dpiの精度を叶え、ほぼ全ての表面での使用が可能となる。また、複数のデバイスを繋げる同社のEasy-Switchテクノロジーにより、MacとiPad間で動作することも可能となる。

既存のMX Master 3ユーザーが気付くであろう主な相違点としては、LogitechのウェブサイトにMX Master 3 for MacがBluetooth接続のみの提供として記載されている点だ。信頼性を高めるためにBluetoothではなく専用のRFネットワークを介して周辺機器を接続する、同社のUnifying USBレシーバーが同梱されていない。MX Master 3 for MacにはLogitechのUnifyingレシーバーが使えるため、これは不思議である。実際に著者も、キーボードのMX Master Keys for Macとセットで梱包されていたUSBドングルを使用して設定している。

Image Credits: Darrell Etherington

MX Master 3 for Macは、非Macバージョンと同様の129.99ドル(約1万4000円)という金額設定となっているにも関わらず、レシーバーが含まれておらずBluetoothマウスとして売り出しているため、これは特筆すべき点である。これには首を傾げるが、同社の製品を長年使用しているユーザーならおそらくUnifyingレシーバーを余分に保有していることだろう。Macバージョンに施されたスペースグレーカラーは実際のMacハードウェアとよりマッチすることも言及しておきたい。

性能面において、MX Master 3 for Macは入手可能なマウスの中でも最高クラスのものと言えるだろう。この上なく快適な使い心地を備え、同社のソフトウェアであるOptionsを用いたコントロールのカスタマイズも可能。なめらかで高精度なトラッキング機能を備え、充電中の使用も可能だ。

MX Keys for Mac

Image Credits: Darrell Etherington

マウスと同様、MacバージョンのMX Keysにおいてもほぼ外観のアップデートとなる。Apple製品と同名の色であるスペースグレーが施され、ワイヤレスおよびバッテリーエレクトロニクスを収納するトップバーとキーはコントラストの効いた黒で仕上げられている。キーレイアウトもMacに特化したものに変更。既存のMX Keysで見られるハイブリッドキーラベルをやめ、専用のコマンドキーとオプションキーの他、ハードウェアのイジェクトキーも完備している。

Mac Master 3と同様に、MX KeysもmacOS、iPadOS、iOSなどのデバイス間で使用することが可能だ。USB-C/USB-Cの充電ケーブルとUnifyingレシーバーがセットになっており、繰り返し言うが、標準のMX Keysに付属するUSB-A/USB-Cケーブルよりも便利である。Bluetoothで最大3つのデバイスに接続することも可能であり、それぞれを切り替えるための専用キーを備えている。

カチカチした感触のメカニカルキーボードを好むユーザーでない限り、優れたパフォーマンスと感触を提供するサードパーティキーボードとしてMX Keysは最善のチョイスだと言えるだろう。手を近づけると自動的に起動するスマートバックライトを備え、使用していないときは自動的にオフになるためバッテリーも長持ちする。プラスチック製ではあるものの、良い意味で重量感のある仕上がりで、デスクにぴったりとフィットする。著者はこのキーボードがリリースされて以来続けて使用しているがトラブルは何一つ起きておらず、耐久性に関しては問題ないと断言できる。

Image Credits: Darrell Etherington

バッテリー寿命に関しては、バックライトをアクティブにした状態で10日間使用可能だ。しかし、バックライトを使用しなければ最大5か月は持つだろう。また前述した通り、付属のUSB-Cケーブルを使用してMacから直接充電するのも簡単だ。これなら充電しながら使用することも可能である。

同製品のカラースキームは素晴らしく、メタル製の雰囲気を醸し出すスペースグレーの表面にいたるまで、Appleのアルミニウム処理の外観にマッチしている。すでにMX Keysを使用している場合、買い換える必要はないだろう。しかし新しいキーボードをお探しなら、オリジナルと同様の129.99ドル(約1万4000円)で購入できる同製品は、Macユーザーにとってこれ以上ない最高のチョイスであること間違いない。

Mac、iPad、iPhone向けのK380 Bluetoothキーボード

K380は、丸いキーと軽いプラスチックのシェルを備えたよりポータブルなキーボードである。Bluetooth接続のみではあるものの、同時に最大3つのデバイスを接続することが可能だ。Macバージョンは白とピンクから選ぶことができ、MXと同様にMac専用のキーを完備している。

Image Credits: Darrell Etherington

macOS、iOS、iPadOS間で使用ができ、シームレスに切り替えることが可能なため、MacやiPad、iPhoneを含めた設定で外出先で作業するには最適である。付属の単4形乾電池2つで作動し、これで約2年間使用できることになっている。

MXシリーズよりもキーストロークはやや浅めだがそれでも素晴らしい仕上がりで、ほぼ無音のため共有スペースなどでの作業にはぴったりだ。価格は49.99ドル(約5300円)となっている。

まとめ

Logitechはこれらのどの製品においてもマウスホイールをアップデートしていない(MX Master 3の最初のリリース時に既にアップデートされている)。しかし変更された点はすべて、Macやその他のAppleデバイスをより快適に使用できるようにするための歓迎すべき改善だ。Apple製品でさえダークカラーの入力デバイスには割増価格が付けられているため、改善に伴う価格変更がなされなかった点は実に素晴らしい。

もし新しい周辺機器を探していて且つMXシリーズを所有していない場合、MXシリーズを選択するのが正解だ。各デバイスに対応し、重くなく耐久性があり、見た目も触り心地も優れたオールインワンキーボードをお探しならMac用のK380をおすすめしたい。

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カテゴリー:ハードウェア

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(翻訳:Dragonfly)

3万人が参加する最大規模の新型コロナワクチン治験をモデルナが米国で開始

新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン候補の最大規模の治験が米国7月27日に始まった。製薬会社Moderna(モデルナ)が3万人の参加が想定されているボランティアの一部にワクチンの接種を開始している。治験は盲検テストで、参加者にはワクチンかプラセボ(偽薬)が接種される。各参加者への接種は2回行い、通常の生活の中でどちらのグループが新型コロナ感染の影響をより受けるか研究する。

治験は全米70カ所以上で行う。最初の治験場所はジョージア州サバンナだ。参加者の構成は、新型コロナの影響が深刻な地域やさほど影響が深刻ではないエリアを含めたさまざまな地域の在住者であるばかりでなく、人口統計的にも幅広いサンプルになるようになっている。

Modernaの治験は米国立衛生研究所(NIH)との提携のもとに行われ、これまでで最も早く進められているワクチン開発となる。同社のワクチン開発が始まってからまだ2カ月しか経っておらず、初の治験は実施済みだ。第1段階のテスト(小規模での治験)の初期データでは、実際に感染からの保護を示す有望な結果が示された。ただ、効果について最終的な結論を下す前に今回のような大規模治験は必須だ。

ワクチンが本当に効果があることを確認するのに加え、大規模治験では接種が安全であることを証明する意図もある。初期の治験結果では一部で副作用がみられた。しかし繰り返しになるが、それなりの規模で試すまでは副作用について最終結論を出すことはできない。

他のワクチン候補の治験も迅速に進んでいる。ここには、オクスフォード大学が開発したものも含まれる。Modernaは以前、すべてが順調に進んだ場合、2020年秋にも医療従事者向けに実験バージョンのワクチンを提供できるかもしれない、と話していた。

画像クレジット:David L. Ryan/The Boston Globe / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

自宅のシステムをアップグレードしてくれる、最強のWi-Fi 6ホームネットワーク

Wi-Fi 6が登場した。昨年の主力製品iPhone 11シリーズで採用されたことで注目されたこのWi-Fi 6は、ますます多くのデバイスに搭載されるようになっている。この次世代Wi-Fiテクノロジーによりデバイス間のデータ転送がより迅速に行えるようになる。しかしより重要なのは、システムが、減速や中断なく、接続された複数のWi-Fiデバイスの処理を一度にしやすくなる点だ。モバイルデバイスのバッテリーの消耗を低減することさえできる。

iPhone 11の発売以降、Wi-Fi 6ルーターやメッシュシステムの数は劇的に増え、今や様々な価格帯のあらゆるオプションが揃っている。しかし、Wi-Fi 6を最大限に活用したいと思っている読者には、2つのシステムがお薦めである。異なるアプローチで異なるニーズに応え、ユーザーに必要なあらゆる性能を提供するこれらのシステムをご紹介したい。

Orbi AX6000 Mesh Wi-Fi システム(699.99ドル / 約7万5千円より)

Image Credits: Netgear

Netgear(ネットギア)社製のOrbiラインナップは人気のメッシュオプションである。最新のAX6000シリーズは2または3パック構成でWi-Fi 6ネットワークを提供する。Netgearによると、2パックでも5000スクエアフィート(約460平米)をカバーし、さらにイーサネット接続のモデムから最大2.5Gのインターネット接続をサポートすることが可能だ。

Orbi AX6000には、最高のパフォーマンスを得るためストリーミングやメディア接続を最適化することが可能なNetgearのXテクノロジーが搭載されている。ベースユニットとサテライトの両方に直結用の4ギガビットイーサネットLANポートが備えられているため、すべてのギアを接続するのにイーサネットスイッチが必要になる可能性が低くなる。

実際のテストにおいて、AX6000は極めて信頼のおける、カバー範囲の広いメッシュシステムであることが証明された。著者はベースユニット1台とサテラライト1台を用いた2デバイス構成でテストを行ったが、実際にカバー範囲が広いことを確認できた。AX6000を用いたこのテストでは、屋外で500フィート(約150メートル)もしくはそれ以上の範囲で安定した強力なWi-Fi接続を利用することが可能であった。私の場合、これを湖畔の別荘で設置し、湖に突き出た桟橋までWi-Fiが届くようにしたかったのだが、そういった状況では便利なオプションである。

Orbiのシステムはモバイルアプリで管理することができ、接続された各デバイスの概況が詳細な情報とともに提供される。アプリから接続された各デバイスへのアクセスを一時停止および再開することや、専用ゲストネットワークなどの機能を有効にすることが可能だ。

またNetgearは、ネットワーク上のリアルタイムの脅威を検出し保護するArmorと呼ばれるサービスを提供している。これは別途契約が必要なサブスクリプションサービスだが、Orbiシステムを最初に設置する際に期間限定の無料体験を利用できる。実際に試してみたところ、フィッシングやマルウェアの接続を効果的に検出してブロックするようである。これは継続的な有料アドオンのオプションである。

私が感じたOrbiシステムの真の強みは、比較的リモートな設定で携帯電話ベースのネットワーク接続でシステムを利用した際、パフォーマンスが劇的に改善した点であった。これは、1.5Gbpsネットワークであるホームファイバー接続で使用した場合も同様であったが、信頼性がはるかに低い50Mbpsのモバイル接続が大幅に改善されたため、やや低かった信頼性が、完全に信頼できるものとなった。

またNetgearの製品はアプリやネットワーク管理の点でシンプルである。これにはメリットもデメリットもあるが、ライトユーザーや非技術系ユーザーにとっては利点と言えるのではないだろうか。私が欲しかった高度なオプションの1つとして、例えば2.4Ghzネットワークと5Ghzネットワークを別々のネットワークSSIDで分離して、いくつかのスマートホームデバイスをより簡単に接続できるようにする機能などが欠けていることが分かったが、おそらくほとんどのユーザーはそうした機能を必要としていないだろう。

AmpliFi Alien Wi-Fi 6ルーター(379ドル / 約4万円より)

Image Credits: AmpliFi

一方、AmpliFi(アンプリファイ)社製のAmpliFi Alienルーターは、コマーシャルネットワーク大手Ubiquiti(ユビキティ)による一般消費者向け製品であり、上級ユーザーが望むすべてのカスタマイゼーション機能を提供する。デバイスは379ドル(約4万円)で、スタンドアロンのトライバンドルーターとして機能するが、他のAlienベースステーションと組み合わせてより広い範囲をカバーするメッシュネットワークを形成することもできる。2パックの場合は699ドル(約7万5千円)となる。Orbiとは異なり、AmpliFiのハードウェアには専用のベースステーションやサテライトユニットが存在しない。つまりメッシュ機能が必要なければ、必要に応じて交換し別のネットワークを設定することができるのだ。

AmpliFiのAlienをテストしたところ、これもカバー範囲が大変広く1.5Gbpsの光ファイバー接続機能に最大限アクセスすることができ、極めてよく動作した。長期に渡るテストでは、ネットワークのアップタイムの点で信頼性が申し分がなく、またAmpliFiは性能を向上させるため、継続的にアップデートを行っている。

Ubiquitiを通じ最高の高度ネットワークを提供するという評価を築いているAmpliFiだが、 Alienにも素晴らしいハードウェアスペックを搭載している。これにはカスタムアンテナアレーや、各ベースステーションに装備された2.2GHz 64-bitの専用クアッドコアCPUが含まれる。これは、一部のミッドレンジAndroidスマートフォンよりも優れた処理能力であり、こうしたハードウェアのすべてが、最大のパフォーマンスを実現するため、常にネットワークとデバイスの接続を最適化する作業を行っている。

しかし、こうした機能が搭載されているからといって操作が複雑だということはない 。AmpliFiはUbiquitiによるより身近な一般消費者向けブランドであり、そのことは、シンプルなアプリベースの設定や制御からも見て取れる。AmpliFiアプリは極めて使い勝手がよく、設計も優れており、個々のデバイスビューや制御、ルールの作成、完全な統計レポートなどユーザーがメッシュネットワークシステムに求める全ての機能を備えている。また、ゲストネットワークを設定したり、さまざまな周波数ネットワーク用の個別のSSIDなどより高度な機能を構成したりすることもできる。

またAmplifFi Alienはカラフルな高解像度ディスプレイを備えており、現在のネットワークパフォーマンス、信号の強度、接続されたデバイスの一覧などの情報を一目で確認できる。これらのメニュー、そしてアプリ内メニューは共にOrbiなどの他のオプションに比べ情報密度がやや高いため、テクノロジー全般、特にネットワークテクノロジーに慣れているユーザーには大変適したオプションだと思われる。

1つにつきわずか379ドル(約4万円)という価格で、Alienシステムスは優れた拡張性と柔軟性、および素晴らしいカスタム制御機能を備えている。高度な家庭用Wi-Fi 6ネットワークという観点から見ると、間違いなく他のソリューションより優れたオプションと言える。

まとめ

Wi-Fi 6テクノロジーが一般消費者向けのデバイスに搭載されるようになるにつれ、より多くのWi-Fi 6オプションが市場に登場している。前述のように、価格も次第に手頃になってきている。しかしWi-Fi 6はこの先何年にもわたってネットワーク上のアドバンテージをユーザーにもたらしてくれる投資対象であり、時間とともにベネフィットが増すため、将来を見据えた性能を提供するトップレベルのシステムに投資する価値があるだろう。

Netgear OrbiシステムやAmpliFi Alienは、共に素晴らしい性能と多くの優れた機能を備えており、設定も簡単だ。OrbiのAX6000は一度設定したらそれ以降は手を加えないというユーザーや、継続的な脅威検出を設定するオプションを望むユーザーに向いているだろう。Alienはテクノロジーに精通したパワーユーザーや、複数の場所で使用するためネットワークハードウェアを分割するなど構成を変える機能を必要とするユーザーに向いていると考えられる。

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タグ:ガジェット レビュー Wi-Fi

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(翻訳:Dragonfly)

Nanoleafの新製品「Hexagon」はまるで生きているように光り、インテリアとの相性も抜群

Nanoleaf(ナノリーフ)は、コネクティッド照明パネルによってスマート照明の分野に新しいカテゴリを確立した。その後、スクエア型のCanvas(キャンバス)シリーズを発表し、今回はそれに続き、新しい形状のHexagons(ヘキサゴン)シリーズを追加した。ヘキサゴンはすでに人気製品となっており、現在、次回出荷まで順番待ちになっているが、筆者はヘキサゴンをしばらく使ってみる機会を得た。実際に使ってみると、ユニークで、面白く、大変楽しめるインテリア製品だと感じた。

製品の概要

ヘキサゴンの基本構成は他のナノリーフ製品と変わらない。複数の照明パネルをハードウェアコントローラーとなるコントロールユニットと電源ケーブルが付いたパネルに接続して使う。各パネルに取り付けられた電子コネクターを両面接続モジュールにはめ込んで別のパネルと接続することにより、思い通りのレイアウトに組み上げることができる。パネルは付属の3M製粘着テープで壁に取り付ける。テープはプラスチック製のパッドにあらかじめ付着しているのでパネルから比較的容易に剥がすことができ、壁に傷を付けずに済む。模様替えなどで取り付けをやり直す場合は、新しい3Mのテープを使って貼り直すことができる。よりしっかりと設置したい場合は、ネジを使って取り付けることも可能だ。

パネルにはいくつかの構成がある。7枚のパネルで構成されるスターターキット(約199.99ドル)、3枚の追加パネルが入ったアドオンパック、より大きなパック(13枚と19枚のバンドル)などだ。基本的にパネルは自由に組み合わせることができるが、自由にと言われても困るという人向けに、おすすめの構成が多数用意されている。また、アプリにはAR(拡張現実)機能が搭載されていて、実際に設置する前に実物大のさまざまなモデルを組み上げて壁にプレビュー表示できる。筆者は、開始パネルから終了パネルまでの幅と高さを大まかに決め、あとは自由に組み上げた。出来栄えには大変満足している。

Image Credits: Darrell Etherington

仕様は、各パネルがわずか0.24インチと大変薄く、大きさは9x7.75インチ(約22.8x19.6センチメートル)、パネル1枚当たりの照度は100ルーメン程度なので天井の照明の代わりに使えるほどの明るさはないが、ベッドサイドのランプやその他の部屋のムード照明を置き換えるにはまったく問題ない。

ヘキサゴンは、ベースキットに同梱されているハードウェアコントローラー、モバイルまたはデスクトップアプリ、Amazon Alexa(アマゾン・アレクサ)、Google Assistant(グーグル・アシスタント)、Apple HomeKi(アップル・ホームキット)などのスマートアシスタント等、さまざまな方法で制御できる。どの方法も、パネルを操作するのに便利で使いやすいと感じた。また、個々のパネルにタッチして点灯させることもできる。

ヘキサゴンには、照明が音に反応する音声反応モードも用意されている。アプリに含まれているデフォルトのプログラムを使用してもよいし、ユーザーが作成したプログラムをダウンロードして使うことも、自分でプログラムを作ることもできる。プログラムには、音声反応モードで使用するタイプと、あらかじめ設定されたパターンで点滅するタイプとがある。音声反応モードは、家庭のオーディオ機器で再生された音楽と驚くほどうまく連係動作する。本当にいきいきと動くので、まるで照明パネルが生きているような感じさえしてくるほどだ。

デザイン

Image Credits: Darrell Etherington

ヘキサゴンの個々のパネルは非常に軽量で薄いが、丈夫で耐久性も高い。パネルの表面は、六角形の各頂点を丸めた部分を除いてほぼすべて照明領域になっているため、電源を入れるとより有機的な感じがする。六角形パネルの各辺には背面のコネクタークリップをはめ込むレセプタクルがあり、ここに別のパネルを接続することで、全パネルに電力を供給し、コントロールすることが可能になる。1台のコントローラーで500個のパネルを制御できるため、コントローラーが2台以上必要になることはまずない。また、電源装置1台でパネル21枚に電力を供給できる。電源装置はどのパネルにも接続できるので柔軟な位置決めが可能だ。

ナノリーフの最初の照明パネルは三角形で、その後、四角形の「Canvas(キャンバス)」シリーズが出た。ヘキサゴンは蜂の巣の形状なので、筆者の目には最も有機的に感じられ、工業的ではない柔らかい感じのインテリアにも広くマッチする性質を備えている。

各パネルが発する光は均等で明るく、RGBスペクトル全域にわたって調整できる。同じ白色でも暖色系から寒色系まで広範囲な発色が可能なので、より日常的な用途にも使える。ハードウェアコントローラーを使用すると、標準の白のプリセット(暖色系白色(2700K)、読書灯(4000K)、および白昼白色(5000K)を循環発色させることができる。さらには、アプリを使って、好みの温度と色に制御することも可能だ。

取り付け方法はいたってシンプルなので、一人でも簡単に作業できる。筆者は、壁に大体のレイアウトを作成してからおよそ15分で取り付けと設定を完了した。最初のパネルを地面に対して正確に垂直にするために水準器を使ったが、この作業は必須というわけではない。というのは、各パネルが部屋と周囲の家具等に対して水平になっていなくても、それはそれで何の違和感もないからだ。

パネルはモジュラー形式になっているため、将来、パネルの枚数を増やす場合でも、追加の拡張パックを入手して既存のレイアウトに簡単に追加できる。取り付け部には十分な遊びがあるため、コネクターの1つを取り付け済みのパネルの背後からはめ込んで新しいパネルを接続できるようになっている。

機能

ナノリーフは最初の製品を発表して以来、さまざまな組み込み機能を追加して製品を進化させてきた。代表的な組み込み機能として、オーディオを使ってパネルの照明をダイナミックに変化させる環境音楽モードがある。これはヘキサゴンで筆者が気に入っているモードで、頻繁に使っている。筆者のようにほぼ毎日、Sonos(ソノス)のスピーカーを家中に持ち歩いて音楽を聴いている人間にはうってつけの機能だ。

Image Credits: Darrell Etherington

ハードウェアコントローラーもなかなかよい。アプリ機能をまったく使わず、ヘキサゴンを従来の照明機器と同じように使う場合に用意されたオプションだが、柔軟性も強化されている。明るさの調整、電源のオン/オフ、保存されているさまざまなパターンとシーケンスの循環再生などの操作が可能だ。

アプリベースのコントロールでは、さらに広範な機能が用意されている。標準のダイナミックモードと(サウンドに反応する)Rhythm(リズム)モードなど、事前にインストールされたさまざまなシーンを利用できる上、例えば、シーンの変更などのイベントをスケジュール設定したり、選択したスケジュールについて、イベントの1回実行と反復実行を切り替えたりできる。

組み込みのシーンクリエーターを使用すると、照明ショーをパネル単位でフルカスタマイズし、カスタマイズした内容を保存してコミュニティで共有することもできる。これは自分のイメージ通りにセットアップするには最高の方法だ。シーンクリエーターとスケジューラーを組み合わせれば、色、明るさ、各種効果など、まさに自分のイメージ通りにカスタマイズされたセットアップを思い通りの時間に作動させることができる。

Image Credits: Darrell Etherington

まとめ

ナノリーフのヘキサゴンは、ナノリーフの製品ラインナップを大幅に強化する素晴らしい製品だ。ヘキサゴンは、同社の既存モデルと比べても、より広範な顧客層にアピールする可能性が非常に高い。筆者自身、これほどナノリーフの大ファンになるとは思っていなかった。これまでもナノリーフ製品には少し興味を持ってはいたが、せいぜいその程度だった。だが、ヘキサゴンの電源を入れた瞬間、部屋の空間の美的センスが格段に向上したように感じたのには驚いた。

リズム機能は、まるで電気装飾品が生きて踊っているようで、一般的なパターンはもとより、環境照明モードもすべて、どのような部屋にもよく馴染む。ハイテクおたく的なお仕着せ感もなく、部屋や家具などの雰囲気を壊すこともない。価格は従来の照明に比べれば高めだが、こうしたクールな機能を備えていることを考慮すれば、自分の部屋で自分だけのパーソナルでユニークな感覚を楽しめるという点で、価格に見合うだけの価値は十分にあると思う。

現在、初期先行予約分はすでに売り切れ状態で、再度購入可能になるまで順番待ちとなっている。次回出荷は8月になる見通しだ。

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カテゴリー:ハードウェア

タグ:ガジェット レビュー

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(翻訳:Dragonfly)

NASAがサッカー場サイズの高高度気球で光の波長を観測する成層圏望遠鏡を浮かべ誕生まもない星を研究

NASAの最新ミッションは、実際には宇宙に到達しない。しかしサッカースタジアムサイズの高高度気球で構成される巨大な観測船と、地球の大気に遮られた星から発せられる光の波長を観測できる新たに開発された特別な成層圏望遠鏡によって、宇宙へと限りなく近づく。

このミッションは「Astrophysics Stratospheric Telescope for High Spectral Resolution Observations at Submillimeter-wavelengths(サブミリ波の高スペクトル分解能観測のための天体物理学成層圏望遠鏡)」と名づけられているが、省略してASTHROSと呼ばれている。現時点では2023年12月に南極から離陸するように設定されており、そのメインペイロードは科学者が星形成活動を観察してきた天の川の2つの領域を含む、4つの主要なターゲットを補足する8.4フィート(約2.6メートル)の望遠鏡だ。

ASTHROSの望遠鏡はこの方法で輸送される最大のもので、地上から科学者がその方向を正確に設定でき、また完全に膨らませたときには約400フィート(約120メートル)幅となるバルーンによって空中に保持される。そのミッションには、高高度成層圏の気流に沿って3〜4週間の間に、南極上空を2〜3周するものも含まれる。その後、望遠鏡はバルーンから分離しパラシュートで減速して地球に帰還するが、将来的には回収され再び飛行させる可能性もある。

気球を地球の大気圏の端まで浮かべるというのは、ロケットで人工衛星を打ち上げるよりも簡単に聞こえるかもしれないが、NASAのジェット推進研究所のエンジニアであるJose Siles(ホセ・サイレス)氏によれば、気球観測ミッションは宇宙観測ミッションよりも実際にはリスクが高いとNASAのリリースで述べている。しかし同時に、ロケットでの衛星打ち上げに比べて、コストを抑えて大きな成果を得られる可能性もある。

ASTRHOSの最終目標は、誕生したばかりの星の周囲にある領域が、その星の発達を妨げたり星の誕生を促したりすることができるのかをより理解するための「ガスの密度、速度、運動に関する最初の詳細な3Dマップ」を作ることだ。この研究は銀河の形成と進化に関する既存のシミュレーションを洗練させるのに役立つだろうと、NASAは述べている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

中国初の探査車が天問1号ロケットの打ち上げ成功で火星に向かう

中国は今日(米国時間7月23日)午前、火星探査機の打ち上げに成功した。東海岸時刻午前12時41分、海南島(Hainan Island)の文昌衛星発射場(Wenchang Satellite Launch Center)から長征5号(Long March 5)ロケットを使って発射された。搭載された天問1号(Tianwen-1)探査車(ローバー)は、2011年に地球軌道の脱出に失敗した火星探査機蛍火1号(Yinghuo-1)を受け、中国初の本格的探査ミッションを担う。

これは中国だけでなく、地球外惑星探査全般にとって大きな取り組みである。一つのミッションで、軌道周回機と探査車の両方を組み合わせ、惑星に着陸させた探査車が火星軌道上の周回機と連絡を取り合う新しい試みだ。

天問1号は今年離陸した2番目の火星ミッションであり、今週UAE(アラブ首長国連邦)は、日本の三菱重工(MHI)のロケットで火星探査機を打ち上げた。そのミッション “Hope”は火星大気を測定する着陸機を搭載している。

中国のミッションでは、送り込んだソーラー電力探査車による90日間の火星表面探査が計画されており、搭載したさまざまな機器を使って標本採取やマルチスペクトル写真撮影、表面組成、天候、磁界情報などの測定を行う。軌道周回機も自身のカメラと測定機器を使って、分光計、レーダー、写真などの情報を収集するほか、探査車から送られてきたデータを地球に送るリレーステーションの役目も果たす。

今年の火星大接近(地球と火星それぞれの太陽周回軌道が最接近する時期)が終わる前に、もうひとつ火星に向かうミッションがある。NASAの火星探査車 “Perseverance”(忍耐)の打ち上げだ。天候が許せば7月30日に離陸する予定だ。PerseveranceはNASAの探査車、Curiosityの後継機で、標本を採取して地球に文字通り持ち帰る。小型自走ヘリコプターも搭載しており、成功すれば火星表面から離陸した初めての動力航空機になる。

天問1号は来年2月に火星に到着する予定で、数ヶ月にわたる旅は両惑星の相対距離に基づく最短移動時間だ。

画像クレジット:China National Space Administration

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXとNASAはCrew Dragonの初の業務運用を9月に設定

SpaceX(スペースX)とNASAは今週、SpaceXの有人宇宙船Crew Dragon(クルー・ドラゴン)の最初の公式運用ミッションを9月中に実施するとNASAのメディア向け最新情報で伝えた。この打ち上げは、当初は8月に設定されていたのだが、「9月後半」に予定が変更された。Bob Behnken(ボブ・ベンケン)氏と Doug Hurley(ダグ・ハーリー)氏が参加しているCrew DragonのDemo-2(デモツー)有人ミッションは、早ければ8月1日に両宇宙飛行士がSpaceXのこの宇宙船で地球に帰還・完了することになっているが、それを見届ける時間の猶予が必要なためだ。

Demo-2ミッションは、実際に国際宇宙ステーション(ISS)に人を送り込むことに成功したが、これはあくまで最終試験であり、Crew DragonとFalcon 9に人を乗せて評価を行う開発工程の最終段階に過ぎない。今後、この宇宙船とロケットは、宇宙飛行士の定期的な輸送サービスが可能かどうか、NASAの目によって審判される。これに対してCrew-1は最初の運用ミッションだ。つまり、定期的に宇宙飛行士を運ぶというSpaceXの契約に記されたひとつの基準を、初めて満たすものと考えられる。

Crew-1は、Michael Hopkins(マイケル・ホプキンス)氏、Victor Glover(ビクター・グローバー)氏、 Shannon Walker(シャノン・ウォーカー)氏の3人のNASAの宇宙飛行士と、JAXAの野口聡一氏をISSまで運ぶ。フロリダ州のケネディー宇宙センターから打ち上げられ、宇宙飛行士たちはそこで通常の任務期間を過ごす。この国際チームは、NASAとパートナーに依頼された数々の実験や研究を、力を合わせてこなすことになっている。

もちろん、Crew-1が9月に打ち上げられるためには、いくつかの条件がある。そのひとつが、ハーリー氏とベンケン氏がISSから無事に帰還することだ。SpaceXの証明プロセスを完了するためには、この部分がスムーズに進行しなければならない。その後、NASAによる検証が行われるのだが、それには少々時間がかかる。

ベンケン氏とハーリー氏は、ISSにドッキング中、「居住性評価」と呼ばれるもうひとつの重要なテストを完了させたところだ。ドッキングハッチの開閉、廃棄物システムが予定どおり操作できるか、ISSから荷物をCrew Dragonにうまく運び込めるか、などが試された。NASAの認証を得るためには、NASAが要求する膨大な数の試験項目のすべてに合格マークが付かなければならないのだ。
画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:金井哲夫)

ロシアの衛星兵器テスト疑惑で明確化する宇宙軍事化の証拠

米国宇宙軍は、ロシアが軌道上の既存探査機を使って実施していると疑われている衛星攻撃兵器(Anti-Aatellite Weapon)テストに関する詳細を発表した。問題のロシア探査機は2020年始めに米国のスパイ衛星を追尾している見られたことで大きく取り上げられたのと同じものだ。宇宙軍によると、その同じ宇宙船が何らかの投射物を発射し、現在地球軌道を周回している物体を監視していると見られている。

米国宇宙軍のJohn Raymond(ジョン・レイモンド)宇宙作戦部長は、The Vergeの取材に対して「『ロシアが宇宙ベースのシステムの開発、テストを続けている』こと、およびそれが米国および同盟国の宇宙資産を危険に晒す戦略を追及しているさらなる証拠である」と語った。

宇宙の軍事化は新しい話ではなく、あらゆる方面のあらゆる部隊が攻撃、防御両方の宇宙兵器技術の開発を追究している。考えられる最大のリスクの1つが、今回のように衛星から発射して他の衛星を破壊する兵器であり、地上の通信、諜報、監視など、あらゆる軍事行動の命令、制御に使用されている重要な宇宙基盤を破壊する可能性がある。

宇宙の軍事化に関して米国を悩ましているのはロシアだけではない。4月にインドが行ったテストで、同国は地対宇宙衛星破壊ミサイルシステムを誇示したが、NASA長官はこれを「人間の宇宙飛行と相容れない」ものとして否定した。もちろんこの種の能力を明らかにしたのはインドが最初ではなく、米国、中国、ロシアいずれも同様のテストを実施している。

軌道対軌道攻撃兵器によるリスクの高まりは、米国を始めとする各国軍隊の宇宙内資産の優先度に劇的な影響を与えた。例えば、米国防総省および他の米国防衛・情報機関は、従来利用してきた膨大なコストがかかる巨大な地球同期衛星への依存度を減らし、冗長性を内包する低地球軌道で動作する機敏な衛星群へと転換しているようだ。彼らは商用小規模打ち上げスタートアップにも積極的な投資を行っており、SpaceXなどの既存ロケット企業以上に迅速な軌道ロケット打ち上げサービスの提供を期待している。

宇宙の軍事化に関しては声高な批判者が数多くいることは明白だが、その膨大な戦術的優位に期待する世界の超大国が巨額を投じている事実は変われない。この種のテストの頻度は社会的注目の高まりを踏まえると、中でも米国にとっては、創造的で高度なソリューションを提供できる民間セクターの支援を大いに期待できる分野である。

画像クレジット:Erik Simonsen / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

IBM Researchが細菌の抗生物質耐性を破る高分子を開発

新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミック以外にも、深刻な健康危機が発声している。抗生物質耐性がその1つで、この厄介なトレンドは上向き傾向であり、治療の困難な「スーパーバグ」の増加が始まろうとしている。IBM Researchは、シンガポールのInstitute of Bioengineering and Nanotechnology(生物工学とナノテクノロジー研究所)と協力して、既存の抗生物質の有効性を大幅に高め、台頭してきているスーパーバグを撃退できる合成高分子のポリマーを開発した。

学術誌「Advanced Science」で発表された研究論文でIBMの研究者たちは、一連の抗生物質と組み合わせることのできるポリマーの作成過程を詳述している。その抗生物質は非耐性菌株の感染症の治療に使われるもので、投与の量は、抗生物質を克服するする能力のない感染症の治療でよく見受けられる程度、あるいはそれより少ないことすらあるほどの量だ。

この高分子は、感染症が抗生物質を使って治療され、まだ完全に排除されていないときに細菌が変容させる酵素に取りつき、効果を発揮する。抗生物質を処方されたとき必ず、すべて服用しなさいといわれるのはそのためだ。細菌が完全に排除されていないときには、リバウンドして、再び治療されたときには治療への抵抗性を身につけている。

IBMのポリマーは基本的に、細菌が抗生物質の効果に対抗するために開発した防護策をショートさせ、抗生物質の効力を取り戻したり、可能性としてはやや改善したりする。

これはまだ、研究室の高度にコントロールされた環境で行われている比較的初期段階の研究であり、実用までには人間の患者による臨床試験を含むさらに多くの開発努力とテストを要するだろう。しかし今回の実験室での結果は、実用性に向けたかなりの有望さを感じさせる。特に、複数の薬品に対する抵抗力がある細菌の感染でも有効性を実証したことは素晴らしい。

画像クレジット: IBM Research

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa