ウォルマートの会話型パーソナルショッピングサービスは一顧客に毎月16万円超を売る

1年前にWalmart(ウォルマート)は、パーソナルショッピングサービスのJetBlackをニューヨークで立ち上げた。そして米国時間6月7日の発表によると、JetBlackの顧客の3分の2が週ベースでこのサービスを利用し、平均して毎月1500ドル(約16.2万円)の買い物をしている。ただしそれらの顧客は全員がWalmartやその子会社Jet.comなどで買い物をしているわけではない。JetBlackは独立のeコマース企業であり、Walmartが育成した。そして、いろんなリテイラーからの商品を配達している。

実際のところ、JetBlackが扱っていないのは、生鮮とアルコール、大麻由来製品、タバコ、処方薬、そしてレンズだけだ。

Walmartがインキュベートしたこのスタートアップは、ショッピングにコンシエルジュを絡ませてeコマースを会話型にする実験であり、顧客はリクエストをテキストメッセージで送り、そしてWalmartやJet.com、そのほかの地元リテイラーからの商品推奨を受け取る。会費は月50ドルでAmazon Primeよりも高いが、本格的な高級コンシエルジュサービスのHello AlfredMagicなどよりは安い。これらは、JetBlackがデビューする数か月〜数年前から注目されている。

Walmartによると、このサービスは、オンラインショッピングの利便性と専門知識を持つエキスパートの個人的アシスタントを組み合わせて、都市の忙しい核家族に効率的なショッピング方法を提供する。

JetBlackは、Rent the Runwayの共同創業者であるJenny Fleissらが創り、WalmartのインキュベーターStore No. 8のインキュベート事業に参加した。インキュベーターを立ち上げてから数か月後の2018年9月にWalmartは、The Wall Street Journalの取材に対し、JetBlackの会員は毎週平均300ドルの買い物をしている、便利なサービスだから買い物の頻度も上がる、と言っている。2019年3月では、毎週の買い物品目数が10以上だが、そのうちいくつがWalmartの商品か、という内訳は公表されていない。

米国時間6月7日はWalmartの株主総会だったが、JetBlackに関する話は少なかった。平均買い物額が増えたことだけが、言及された。

Walmartの国内eコマース部門のCEOであるMarc Lore氏は「JetBlackは会話型コマースに活気をもたらした」とコメント。。そして彼は、eコマース関連の最新の数字を「どれも顧客のおかげ」と述べた。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

iOS 13からアプリは連絡先のメモ欄を読めなくなる

Apple(アップル)は、アプリ開発者がユーザーのデリケートな個人情報をアクセスするおそれのある抜け穴を塞いだ。iOS 13から、ユーザーの連絡先データを要求したアプリは連絡先の「メモ」欄のデータを読めなくなる。

過去何人もわたってセキュリティー専門家は、連絡先にプライベート情報を書き込まないよう警告してきた。保護も暗号化もされていないので盗まれる恐れがあるからだ。

それでも、アドレス帳をパスワードマネージャー代わりにする人は後を絶たない。あるいは、さまざまなプライベート情報をメモ欄に記入する人もいる。

ATMの暗証番号、家のドアを開けるためのコード、金庫のコード、社会保障番号、クレジットカード番号等々。人に聞かれたくない個人情報も入っているかもしれない。

しかし、iOSアプリがユーザーの連絡先を要求すると、名前、住所、メールアドレス、電話番号とともにメモ欄のデータも返ってくる。Appleは今週のWWDCカンファレンスで、今後そういうことはなくなると発表した。

メモフィールドには、ボスの悪口などデリケートな情報が書かれている可能性がある。実際には多くのユーザーのメモ欄にもっとまずいものが入っていることがある。

このプライベートなメモ情報を必要としているアプリはほとんどないので、影響はないはずだとAppleは言った。もしメモ欄を必要とする正当な理由があるという開発者がいれば、例外を要求することができる。

ほとんどのユーザーはこの問題についてよく考えたことがないだろう。連絡先を秘密情報のために使わない賢明な人は、この変更の影響がないので気にする必要がない。

そして事情を知らなかった人たちのためには、Appleが代わってプライベートデータをプライベートなままにしてくれる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Skypeが画面共有機能をiOSとAndroid向けにローンチ

Skypeはデスクトップ版で最も人気がある「画面共有機能」を、モバイル版に導入する。米国時間6月4日、同社はiOS版とAndroid版にてそれぞれの画面を共有できる画面共有機能が、ベータテストを終了したと発表した。

この機能は、Microsoft(マイクロソフト)が以前に提案していたように、パワーポイントのプレゼンテーションを共有するなど仕事関連で利用できる。しかしそれだけでなく、デートアプリで友達と盛り上がったり、あるいはオンラインショッピングにも活用できる。特に、家族へのスマートフォンの技術的なサポートに役立つことだろう。

モバイル向けの画面共有機能はまず4月にテスター向けにベータ版が導入され、現在はすべてのユーザーが利用できるようになった。この機能はSkypeアプリの「…」のメニューから利用できる。ここでは、通話録音やサブタイトルなど、最近リリースされたその他の機能も見つけられる。

また最新版のモバイル向けのSkypeでは、通話コントロールがワンタップで解除できるように通話画面のデザインが変更されている。2回タップするとすべてのコントロールが消え、ビデオ通話がフォーカスされる。また、もう1回タップすればコントロールが復帰する。

Skypeは古参アプリだが、依然として月間3億人のユーザーを抱えている。WhatsAppやMessenger、Snapchatのようなチャットアプリ、あるいはiMessageやFaceTimeのような内蔵コミュニケーションサービスにて数多くのメッセージがやり取りされる時代になっても、Skypeが存在感を確保するために新機能の追加をやめることはない。

なお、すべての変更が成功したわけではなく、以前にはSnapchatのようなカラフルすぎるデザインを撤回したこともある。一方で、HD動画やSignal Protocolによる暗号化、通話録音など、便利な機能も導入されている。

モバイル向けの画面共有機能はAndroid 6.0とそれ以降、あるいはiOS(iPhoneとiPad)のiOS 12かそれ以降で利用できる。機能の利用には、アプリを最新版へとアップデートする必要がある。

なお画面共有機能は、Linux、macOS、Windowsと、Skype for Windows 10(バージョン14)でも利用できる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Apple Watch専用のApp Storeとアプリが登場

Apple Watchアプリがこれまでの制約から解放される。Apple(アップル)はデベロッパー会議でApple Watch上で作動する専用のApp Storeを発表した。つまり、Apple WatchのアプリをiPhoneで探したり、オンやオフをトグル設定したりしなくてもよくなり、新しいApple Watchアプリを手首でブラウズして探すことができる。

Apple Watchの新App StoreではiOSのApp Store同様にアプリの説明、スクリーンショット、評価などが表示される。そしてスクリーンをタップしてアプリをApple Watchにインストールできる。

このApple Watch専用App Storeに関連して、アップルはwatchOSアプリがiOS アプリから独立して作動すると説明している。これによりデベロッパーはWatch専用のアプリをつくることができるようになる。おそらくこうした変更によりiOS用のApp Storeでは展開できなかったApple Watchエコシステムを始動させることを思い描いているのだろう。最近の消費者はアラームの受信や、着信・メッセージへの応答、音楽の操作などのビルトイン機能をApple Watchで活用する傾向にある。

今回、新たなストリーミングAPIも発表された。この独立したApple Watchアプリにはライブのオーディオフィードが含まれ、会議のステージ上で紹介されたようにスポーツイベントの中継を聴いたりすることもできる。

こうした新たな要素は、より多くの消費者にApple Watchを購入したいと思わせるかもしれない。今まではApple Watchを使うにはiPhoneも持っていなければならなかった。しかしこれからはAppleのエコシステムに多くを投資することなく、さまざまなWatch機能のアドバンテージを享受できるようになる。

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(翻訳:Mizoguchi)

Spotifyが軽量視聴アプリ「Stations」を米国でリリース

Spotifyは米国にて、キュレートされたプレイリストに簡単にアクセスできる視聴アプリのStationsをリリースした。このアプリはSpotifyによる実験だと考えられており、また起動時のインスタント楽曲再生をサポートしていることから、Pandoraのコピーだと考える人もいる。

Stationsアプリは、時間と労力をかけて音楽を探したり、自分のプレイリストをカスタムするよりも、ラジオのような体験をしたい人へと向けてデザインされている。また、Spotifyのアプリの外観は万人向けとはいえないので、シンプルなユーザーインターフェイスを求める人にも魅力的だろう。

そのかわり、Stationsではスクロールできるリスト上のプレイリストや、簡易的なカスタムツールなど、機能が最低限に留められている。

Stataionsでは無料ユーザーには広告が再生され、また楽曲の評価ができるが、スキップはできない。Spotifyのプレミアム会員は無限のスキップと広告なしでの再生が可能だ。

アプリではジャンルや年代、アクティビティなどに応じたプレイリストが用意され、使い続けるうちにユーザー向けによりカスタマイズされていく。またYouTube Musicのように、ユーザーが好きなアーティストを選び、自分のステーションをカスタムすることも可能だ。さらに、ユーザーの好みに応じたお気に入りプレイリストも用意される。

Stationsアプリはまず、オーストラリアにてAndroidユーザー向けに2018年にローンチされた。そして同国では、1カ月前にiOS版もローンチされている。

当初、Spotifyはこのアプリを他の市場へと投入する計画についてコメントしなかったが、今回の拡大はSpofityがStationsのユーザーから良好なフィードバックが得られたという前向きな兆候のようだ。

なお、現在米国ではiOS向けにStationsがローンチされている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

iMessageがプロフィール写真をサポート、ミー文字ではメイクやアクセサリーも楽しめる

アップルはiOS 13でiMessageを大幅にアップデートするとWWDCで発表した。ついに、自分の連絡先に写真を設定していない相手に表示される邪魔なグレーのイニシャルをなくす方法が提供される。ユーザーが自分のプロフィール写真を追加すると、iMessageでメッセージをやり取りするときに表示されるようになる。これは写真でもいいし、ミー文字でもいい。そのミー文字もアップデートされる。

現在のミー文字では、肌のトーン、髪の色、目などを変更できるが、今後はさらにメイクやアクセサリーも追加できるようになる。アイシャドウやリップの色を変えたり、ピアスなどのアクセサリーを追加したり、さらにAirPodsを耳に装着することもできる。

WWDCのステージでは、リップピアス、舌ピアス、ノーズリングなどのデモがあった。歯列矯正装置やイヤリング、そしてすきっ歯、金歯、髪、帽子などの新しいオプションもある。今回のイベントでは美容系インフルエンサーが登壇して新しいミー文字を紹介した。

このアップデートでiMessageは、MessengerやWhatsAppなどのようなメッセージングアプリらしさを増す。

その後に披露された新登場のiPadOSに関するデモでは、iMessageの新しいプロフィール写真とミー文字が共有シートにも表示されることを確認した。

さらにiOS 13では、ミー文字はステッカーとして送信できるようになる(以下の写真を参照)。

SnapchatのBitmojiに見られるように、オリジナルの絵文字は自己表現の形として人気がある。米国時間6月3日のアップルのキーノートに先立ち、Facebookも「Avatars」というBitmojiのようなものを発表した。Avatarsは米国時間6月3日にオーストラリアでMessengerとニュースフィードのコメントに使えるようになり、今後各国で導入される。

iMessageの新機能は今秋登場のiOS 13に搭載される予定だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アップルの新しいTestFlightでスクリーンショット付きのフィードバックを簡単に送れる

アップルのテスト用プラットフォーム、TestFlightがアップデートされる。WWDCで発表された新バージョンのXcode 11では、TestFlightアプリのユーザーからのフィードバックが自動で有効になる。ユーザーはテスト中のTestflightアプリからスクリーンショットを共有する際に、ベータフィードバックとして共有するかどうか、コメントをつけるかどうかを選択できる。これまでよりも一体化したエクスペリエンスにすることによって、より多くのユーザーにフィードバックを促そうというものだ。

こうした機能は人気のアプリフィードバックプラットフォームのInstabugにもある。InstabugはBuddybuildのサービスで、アップルは2018年1月にBuddybuildを買収していた

開発者はApp Store Connectで受け取ったフィードバックをすべて確認し、詳細をダウンロードして後で参照することができる。

ちょっとしたアップデートのように思えるが、開発者はiOSのApp Storeでアプリを広く公開する前のユーザーテスト期間中に多くのバグや問題を把握できるようになる。エンドユーザーにとってはアプリのテストとフィードバック提供がシンプルになる。これまではフォームに入力したり開発者にメールを送信したりといった手間がかかって、フィードバックせずに放置されることがあったと推測される。

これは、アプリのフィードバックに関して米国時間6月3日に発表された2つのうちのひとつだ。

もうひとつというのは、ユーザーが共有に同意すると、アプリの開発者はバッテリー駆動時間、起動時間、メモリリークの数値を匿名化した形で取得できることだ。これらの数値は集約され、クラッシュやエネルギー使用量の隣のオーガナイザーに表示されるので、開発者がアプリのパフォーマンスを監視し向上させるのに役立つ。

アップルによれば、集約された数値の収集は実際には今年の春のiOS 12.2から始まっていたので、多くのアプリではすでにこのデータをこれから利用できる状態になっているという。

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(翻訳:Kaori Koyama)

米国アマゾンで1000万種類以上の商品が翌日配送に対応

Amazon(アマゾン)は直近の収支報告にて、プライム会員向けに翌日配送を新たなスタンダードにするために取り組んでいると発表した。そして米国時間6月3日の朝、同社はプライム会員向けに1000万種類以上の商品が翌日配送に対応したと発表した。

このニュースは主にWalmart(ウォルマート)をターゲットにしたもので、同社はアマゾンの最初の発表の数週間後に翌日配送サービスの開始を発表している。

しかし、ウォルマートのほうはたったの20万種類の商品しか翌日配送に対応せず、ずっと規模が小さい。これは3万5000種類の日用品を翌日配送するTarget Restockの競合となるものだ。

アマゾンによれば、第4四半期(10月〜12月)には米国にて1万カ所以上の市や街で翌日配送と即日配送が開始された。そしてアラスカやハワイ、プエルトリコでもAmazonプライムが始まったが、その配送スピードは翌日から5日後までさまざまだ。

4月上旬には、アマゾンは翌日配送の商品と配送エリアを「大いに拡大した」と発表し、さらにより多くの商品の追加と配送エリアの拡大を目指している。

Amazonプライムの配送スピードは国によっても異なり、英国では翌日配送が、そして日本ではたびたび即日配送が選択できる。

アマゾンによれば、プライムメンバー向けの無料翌日配送は、2005年に2日後配送を開始した時点から10倍にも成長している。また米国では110カ所の受注センター、40箇所の仕分けセンター、100カ所の配送センター、そして20カ所の空輸センターを展開している。

アマゾンが本日明らかにしなかったことは、1億人以上いるプライム会員がいつ翌日配送をデフォルトで選択できるようになるのか、ということだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Googleマップがレストランの最高の料理を見つけて提案してくれる

Googleマップは、レストランの客がなにを注文すべきかを教えようとしている。米国時間5月30日にAndroid版のGoogle マップに配信(iOS版は後日)されたアップデートでは、レストランで最も人気の料理を教えてくれる。この機能はレストランのレビューと画像に基づき、機械学習により料理の提案してくれる。

つまり、客がレビューにて料理を褒めれば、Googleマップはその情報を利用して提案を判断し、また料理と客によりアップロードされた画像をマッチさせて、人気メニューのセレクションを作成するのだ。もちろん、レビューが少なかったりないレストランは、この機能の恩恵を受けない。

このシステムは人力によるキュレーションではなく自動システムなので、時には間違いを起こす可能性がある。特に、機械学習が強化されていない初期においては。

 

レストラン愛好家は、料理の写真を撮影してGoogle マップにアップロードすることができる。アプリは彼らに料理の名前を入力するように求め、機能の改善に利用する。

この料理の提案機能は、Google マップの概要タブに表示される。もし好きな料理を見つけたら、タップして他の客によって議論されているレビューを閲覧することができる。さらにメニュータブをタップすれば人気順、あるいは朝食やランチ、ディナーなどのメニュー別で閲覧することもできる。

この機能は小規模だが、ここ数カ月で着実にビジネス向けプラットフォームとなりつつあるGoogle マップにとっては有用な追加だ。昨年秋、グーグルは消費者がお気に入りのビジネスのオーナーが共有した売り上げ、イベント、その他の情報を常に知ることができるツールで、Facebookへの挑戦を始めた。さらに昨年には「For You」タブで、ユーザが訪れたり、食事をしたり、買い物をするであろうお勧めの場所の個人向けの提案をロールアウトした。

これらの機能を組み合わせることで、Google マップはただの場所やナビゲーションのためのツールではなく、エンドユーザーに特化された体験を提供するプラットフォームになった。

グーグルによれば、この人気の料理の提案機能はまずAndroid版に配信され、iOS版には数カ月中に配信されるという。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アップルが新設したApp Storeウェブサイトは反トラスト訴訟に狙いを定める

WWDCを目前に控えた今、Apple(アップル)は新しくApp Storeウェブサイトを公開した。最近の同社を相手取った反トラストおよび反競争の告発から自らを擁護することが目的だ。同サイトには、AppleがどのようにApp Storeを運営しているかが詳しく書かれている。アプリがどのように集められ、レビューされているか、デベロッパーはどんなビジネスモデルを構築できるかなども説明されている。さらに、「A Store that welcomes competition」(競争を歓迎するストア)と題したセクションもあり、自社アプリとサードパーティーアプリがマーケットプレイスで共存していることをAppleが主張している。

例えば、Appleの自社製メッセージアプリがMessenger、Slack、Snapchat、Viberらと、AppleのメールがGmail、Outlook、Spark、Yahoo Mailと、マップがGoogleマップ、Citymapper、MAPS.ME、Wazeとそれぞれ競合していることを紹介している。

当然Spotifyも、Apple Musicとポッドキャストのライバルとして掲載されている。

これは驚くことではない。なぜなら最近Spotifyは、Appleが反競争的環境で運営されていると主張しているからだ。3月にEUに提出され現在調査中と報じられている告発状で、同社はAppleがiOS、App Store、自社製競合アプリのすべてを持っていることで戦いを有利に導いていると主張している。Appleバージョンのアプリと競合するアプリを売りたい人は、収益の30%をAppleに払わなくてはならない。

このいわゆる「Apple税」のために、デベロッパーの中にはiOSユーザー向けのアプリやサブスクリプションの価格を高く設定しているところもある。例えばSpotifyは、ウェブで申し込むと月額9.99ドルだが、iOSデバイス経由だと12.99ドルで、事実上「Apple税」を消費者に転嫁している。

これが、今月米国最高裁判所が、裁判の実施を認めた反トラスト法訴訟の根拠となっている。

裁定に際しAppleは、「デベロッパーはアプリの価格を自由に設定しており、Appleは関与していない」と、iOSユーザー向けの価格を高く設定したデベロッパーの決定から自らを遠ざけようとした。

「Appleが収益を分配するのは、デベロッパーがデジタルサービスをApp Store経由で販売することを選んだ場合に限られる」とも同社は言っている。デベロッパーは支払いとサブスクリプションをAppleのプラットフォーム経由で行わなくてもよい、ということのリマインダーだ。

実際、複数の大手IT企業がすでにApp Storeを回避している。

Amazonは以前から長期にわたり、同社のiOSアプリのユーザーが書籍、音楽、映画、TV番組などを買う場合、ウェブブラウザー経由でのみ許している。最近Netflixは、Google PlayとApp Storeの両方でアプリからのサブスクリプション申し込みを廃止した。

残念ながらiOSデベロッパーは、App Store以外で購入する手段をユーザーに伝える手段が制限されており、App Store以外で購入するためのウェブサイトへのリンクを知らせることも禁止されている。しかし、これはフェアなシステムとも言える。「Apple税」は消費者にとってApple Payで簡単に支払うことができ、デベロッパーにとってはAppleが支払手続きを代行してくれ手数料と見ることができるからだ。

本件に関するAppleの総合的な立場はこの新しいApp Storeウェブサイトでも繰り返されている。アプリを集約したプラットフォームの価値と、全世界で10億人に達する顧客とつながることの利点を強調している。

さらにAppleは、これまでに合計1200億ドル以上をデベロッパーに渡してきたことも、思い出させようととしている。そして、ほかのどのアプリストアよりもiOSユーザーが多くのお金を使っていることも(だからデベロッパーは頑張ってね!)

ただしこれは、Appleにとって強調すべきことだったかどうかはわからない。なぜならApp Storeが業界内で避けることのできない巨大な存在であることを、自ら示しているからだ。そして、デベロッパーがよそへ行くことがいかに難しいかを容易に想像できる絵がそこには描かれている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google Playの子供向けアプリのポリシーがFTCの告発を受けて改定

Googleは米国時間5月29日の朝、新しいデベロッパー向けのポリシーを発表した。Google Playで子供向けのアプリを探す子供や家族を、手厚く保護することを目的としたものだ。今回改定されたポリシーでは、デベロッパーは、子供を対象とするアプリに必要なすべてのポリシーと、当局による規制要件を満たしていることを保証しなければならない。アプリのコンテンツ、広告、および個人を特定できる情報の取り扱いなどが対象となる。

まずはじめに、デベロッパーはアプリの対象ユーザーとして子供が含まれるのかどうかを明確にする必要がある。もしそうでないのなら、アプリが意図せずに子供の目に触れることのないようにしなければならない。Googleも個々のアプリのマーケティング状況を再確認し、そのアプリがどちらに該当するのかをチェックして、必要であればデベロッパーに変更を求める。

また、子供を対象とするアプリは、個人を特定できる情報の中身と、その取り扱いに関するポリシー要件を満たさなければならない。これについては、もともとルールを遵守してきたデベロッパーにとって、何も新しいことはないはずだ。Googleは、「ファミリー向け」プログラムの一環として、もう何年も前から子供の安全を考慮したアプリに関するポリシーを制定している。また国ごとに、子供に関するデータを収集する際に守るべき法規は前からある。

さらに、子供向けのアプリを開発しているデベロッパーは、Googleのファミリー向けポリシーに準拠していることが認定された広告ネットワークからのもの以外の広告を配信してはならない。

こうしたポリシーをくまなく適用するため、Google Play Console上で、新しい対象ユーザーとコンテンツのセクションの記述を完成させることを、Googleは今やすべてのデベロッパーに求めている。そこでは、アプリに関する詳細を記述する必要がある。もし子供がターゲットに含まれるとした場合には、対応するポリシーが提示される。

Googleは、こうした情報に、アプリのマーケティング資料を加味してアプリを分類し、3種類のターゲットグループに応じたポリシーを適用する。つまり、子供、子供と大人、大人の3つだ。「子供」の定義は国によって異なる可能性があるので、デベロッパーは、各アプリがGoogle Playに表示される国ごとに、年齢によって課せられる制限を確認しておかなければならない。

デベロッパーは、Google Play Consoleに必要な情報を確実に入力するとともに、改定されたポリシーに準拠するよう対処しなければならない。期限は2019年の9月1日と定められた。

Googleは、子供と家族に「安全で有益な環境」を提供することに全力で取り組んでいるとしている。そのため、今回の変更を発表したのだと。

しかし、この変更は、むしろ昨年12月に提出されたFTCへの告発に対応したものと考えられる。その告発は、合計22の消費者および公衆衛生擁護団体の連盟が参加し、CCFC(コマーシャルフリーの幼年期キャンペーン)と、CDD(デジタル民主主義センター)によって主導されたもので、Google Play上の子供向けアプリを調査することを要求している。

こうした団体は、Google Playのファミリーセクションに掲載されているアプリやゲームが、米国の子供のプライバシーに関する法律、COPPAに準拠しているかどうか、Googleは検証を怠っていると主張していた。

彼らはまた、多くの「キッズ向け」とされているアプリの振る舞いがよろしくないことも指摘した。たとえば、途中で終了するのが難しい広告や、ゲームを続けるためには嫌でも見なければならない広告を表示するようなものがある。アプリの中には、子供にアプリ内購入を迫るものや、アルコールやギャンブルに関する広告を表示するものもある。他にも、有害な行動を助長するモデルとなりそうなもの、性的な画像を表示するものがあることなどを、グループは規制当局に訴えていた。

そうした違反行為が、網の目から漏れてしまっていたのは遠い過去の話となっている。データ保護とプライバシーに焦点を当てたEUのGDPRのような法律を盾にした、規制当局によるオンライン業界全体に対する監視の強化によるものだ。FTCは、必要に応じて積極的に行動を起こすようになっている。最近では、TikTokがCOPPAに違反したとして、記録的な額の罰金を科している。

対象とするユーザーとコンテンツを設定するセクションは、すでにGoogle Play Consoleに設けられている。また、新しいポリシーに関するドキュメント、デベロッパーガイドオンラインのトレーニングも用意されている。さらにGoogleによれば、Google Playのアプリレビューに関するコミュニケーションと、審査に対する抗議に対応するための人員を増やしたという。それによって、デベロッパーが、指摘された変更について理解し、素早く判断できるよう補佐するとのこと。

【米国東部標準時2019/05/29 16:30追記】
Googleの発表を受けて、FTCの告発を主導したCCFC(コマーシャルフリーの幼年期キャンペーン)は、以下のような声明を発表した。

「私たちの連合の主張が、Play Storeの子供向けアプリが抱える大きな問題に対してGoogleを目覚めさせることになったのは素晴らしいことです」と、CCFCのディレクター、Josh Golin氏は述べた。「ただ残念ながら、今回の変更には実効性のあるものはそれほど含まれていません。Googleは、独自のポリシーを施行するための真の一歩を踏み出す代わりに、コンプライアンスに対する責任を、相変わらずデベロッパーに転嫁しようとしていることが懸念されます」。

「さらに言えば、自分たちのアプリが子供向けではないフリをして自らの法的責任を回避しようとしているデベロッパーを、もしGoogleが真剣に取り締まるつもりなら、まず自らの姿を鏡に写して見ることから始めるべきでしょう。YouTubeは、毎日、大々的にCOPPAに違反しています。Googleの、このサイトは13歳以上を対象にしている、という言い訳には笑うしかありません」と、彼は付け加えた。

画像クレジット:Christopher Winton-Stahle/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Googleマップが日米など40カ国で速度制限、ネズミ取りカメラ位置などを表示へ

Googleマップに新しい機能が加わった。これはGoogleが買収したスタートアップ、Wazeのナビゲーションアプリが搭載していた交通取り締まり状況の表示だ。40カ国以上の地域でマップに速度制限、取り締まりカメラの位置などのが表示されるようになるとGoogleは確認した。これまでこの機能は一部のユーザーを対象にテストされていた。

このアップデートにいち早く気づいたのはZDNetと、そしてもちろん、Redditだ。

現在このアップデートが利用できる地域としてGoogleがTechCrunchに挙げた国は、米国、日本、オーストラリア、ブラジル、カナダ、英国、インド、メキシコ、ロシア、アンドラ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、クロアチア、チェコ、エストニア、フィンランド、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イスラエル、イタリア、ヨルダン、クウェート、ラトビア、リトアニア、マルタ、モロッコ、ナミビア、オランダ、ノルウェー、オマーン、ポーランド、ポルトガル、カタール、ルーマニア、サウジアラビア、セルビア、スロバキア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、チュニジア、ジンバブエ。

Googleは2013年にWazeを買収したが、交通情報表示機能をマップアプリに統合することには慎重だった。 Googleはマップをナビアプリというより、店舗や企業の位置を示すもっと一般的な地図として利用してもらいたかったのだろう。これは各種ビジネスからの広告料が収入の柱となっているGoogleの性格に基づくものだ。

画像:Android Police

しかし昨年後半からGoogleマップに事故やネズミ取りの情報が表示されるようになった。ただ当時はこの機能が使えるのは一部のユーザーに限られていた。

今回のアップデートにより、Android、iOS双方のアプリでナビ情報が大幅に強化されたわけだ。またAndroidユーザーは英国やインドで導入されているモバイルスピードカメラの情報も投稿できる。速度制限は地図アプリの下部に、ネズミ取りは地図上に表示される。

こうした機能はWazeのユーザーにはおなじみだが、このアプリのユーザーインターフェイスが好きでない場合、今回のGoogleマップへの実装は朗報だ。WazeのUIはかなり複雑で経路の選択方法も独特なので慣れるに時間がかかる。

ただし、新機能は多数の地域でそれぞれ異なるスケジュールでロールアウト中なので読者が使っているマップでどの機能が利用できるようになっているかを正確にいうことは難しい。

また交通情報の表示がマップ本体できるようになってもWazeの有用性が減るわけではない。このアプリはリアルタイムのクラウドソースで道路状況を知ることができる。つまり任意の地点の交通関連情報を投稿し、リアルタイムで共有できる。取り締まりカメラ、パトカー、事故だけでなく沿道のガソリンスタンドのガソリン料金も知ることができるわけだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Googleはモバイルファーストインデックスを新ドメインすべての標準に

2018年末、Googleはモバイルファーストインデックスが、全検索結果に含まれるウェブページの半分以上に使われるようになったと述べた。この場合のモバイルファーストとは、ウェブサイトのモバイル版のほうのページについてインデックスを付けるという意味だ。そして米国時間5月28日、Googleは2019年7月1日以降、すべての新しいウェブドメインについて、モバイルファーストインデックスがデフォルトになると発表した。

つまり、新しいウェブサイトが登録されると、Googleのスマホ用Googlebotによってクロールし、そのサイトのモバイル向けコンテンツをページのインデックス作成の際に使用する。さらに、モバイル版のコンテンツの構造を解析し、可能なら適切な抜粋も検索結果に含めて表示する。

Googleが最初にその計画を発表したのは2016年だった。それ以来、モバイルファーストインデックスに関する取り組みには長い道のりがあった。2017年12月に、Googleはモバイルファーストインデックスを、わずかな数のサイトから展開し始めた。ただし、その際には、この初期のテストの対象となったグループに、どのサイトが含まれているのかは明らかにしなかった。去年の3月には、モバイルファーストインデックスは、より広い範囲のサイトに拡大し始めた。そして昨年末までには、ウェブ上の半分のページが、Googleのスマホ用Googlebotによってインデックス付けされたのだ。

Gooleの説明によれば、サイトのインデックス付けの方針を変更したのは、「ほとんどいつもモバイル」というユーザーにとって、適切なウェブ検索結果が得られることを目指したものだという。2015年以降、Googleユーザーの大多数はモバイルデバイスから検索するようになっていたのだ。だからこそ、デスクトップ用のページではなく、モバイル版のウェブサイトについての検索結果を表示することに意味がある。

ますます大きな割合を占めるようになったモバイルに、Googleが順応し始めたことを示していたのは、モバイルファーストインデックスだけではない。

数年前からGoogleは、モバイルを意識したウェブページを、検索結果のより上位に表示するようにし始めた。そして昨年には、ページの読み込み速度を、モバイル検索結果の表示順位を決める際の要素として追加した。さらに2018年7月からは、読み込みが遅いページの表示順位をあえて下げることにも踏み切った。

今日では、多くのサイトがデスクトップとモバイルのユーザーに、同じコンテンツを提供している。このような等価性をまだ実現していないサイトに対しても、そのためのリソースが色々と用意されている。サイトのオーナーは、検索コンソールのURL Inspection Toolを利用して、自分のサイトが最後にクロールされ、インデックス付けされたのがいつかなのを調べることで、モバイルファーストインデックスの対象になっているかどうかを確認できる。またGoogleは、ウェブサイトをモバイルファーストインデックスの対象にする方法について、多くのドキュメントを発行している。そして、デスクトップとモバイルに別々のURLを割り振るのではなく、レスポンシブなウェブデザインを採用するよう勧めている。

「デスクトップに主眼をおいたものから、モバイルを意識したものに、ウェブは進化してきました。今やそのほとんどが、モバイル用のユーザーエージェントを使ってクロールでき、インデックス付けができるようになったことをうれしく思っています」と、Gooleは今回の発表の中で述べている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アマゾンCEOの元妻が資産370億ドルの半分超を慈善活動に寄付へ

Amazonの創業者でCEOJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏との離婚により世界で3番目にリッチな女性になったMacKenzie Bezos(マッケンジー・ベゾス)氏がGiving Pledge(ギビング・プレッジ)に署名した。これは、彼女が保有する資産の半分以上を生前、または遺言で慈善活動に寄付するという約束だ。

離婚に伴って彼女は最近、夫婦で保有していたAmazon株の75%と議決権、そしてワシントン・ポスト紙とBlue Originに関する権利を元夫のJeffに渡しニュースとなっていた。しかしそれでも彼女には少なくとも356億ドル分の持分が残された。BloombergBillionaires Indexは彼女の純資産を366億ドルと推測している。

「一連の無限の影響と、決して完全に理解することができない幸運により、私たちはそれぞれに提供すべきギフトを手に入れた」と、資産の寄付の意図を今日Giving Pledgeを通して発表した手紙に書いている。

「人生で得たあらゆる資産に加え、私には不釣り合いなほどの額の共有すべきお金がある。慈善活動に対し、私はこれまで通り思慮深い取り組みを続ける。それには時間と努力、そして配慮を要する。しかし、ただ待ってはいられない。金庫が空になるまで私は続ける」と述べている。

元夫のジェフは今朝、彼女を賞賛する言葉をツイートした。

Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏やWarren Buffett(ウォーレン・バフェット)氏を抜いて今や世界一の富豪となったジェフ・ベゾス氏自身はGiving Pledgeに署名していない。ゲイツ夫妻とバフェット氏によって2010年に設立されたGiving Pledgeは世界の富豪に彼らの資産の半分を寄付するよう呼びかけている。

これまでに署名している著名人は、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏とPriscilla Chan(プリシラ・チャン)氏、Elon Musk(イーロン・マスク)氏、Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏、Larry Ellison(ラリー・エリソン)氏、Michael R. Bloomberg(マイケル・R・ブルームバーグ)氏、Pierre Omidyar(ピエール・オミダイヤ)氏、その他多数だ。

今日、Giving Pledgeは新たに19人が署名し、トータルで204人となったことを明らかにした。

マッケンジー・ベゾス氏に加え、ほかにもテック業界の人が今日発表されたリストの中に含まれている。TeganBrian Acton(テーガン・アクトンとブライアン・アクトン)氏。ブライアン氏は2014年にFacebook190億ドルで買収したメッセージアプリWhatsAppの共同創業者だ。Coinbaseの共同創業者でCEOBrian Armstrong(ブライアン・アームストロング)氏。仮想通貨取引所BitMEXの共同創業者Ben Delo(ベン・デロ)氏。TwilioCEOを務めるJeff Lawson(ジェフ・ローソン)氏Erica Lawson(エリカ・ローソン)氏。Lowercase CapitalパートナーのChrisCrystal Sacca(クリス・サッカとクリスタル・サッカ)氏。そしてPinterestの共同創業者Paul Sciarra(ポール・シャラ)氏とJennifer Sciarra(ジェニファー・シャラ)氏。

署名している人は23カ国にまたがる。オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、キプロス、ドイツ、インド、インドネシア、イスラエル、マレーシア、モナコ、ノルウェー、ロシア、サウジアラビア、スロベニア、南アフリカ、スイス、タンザニア、トルコ、ウクライナ、アラブ首長国連邦、英国、そして米国だ。米国においてはニューヨークとカリフォルニアで署名者が多い。

詳細が述べられているマッケンジー・ベゾス氏の手紙全文は以下のとおりだ。

2019525

Giving Pledgeのことを考えたとき、私がかつて読んだ、書くことについて書かれた一節に思いを馳せた。その一節は、最良のアイデアを後章のために取っておくのではなく今使うというものだ。

私は今朝それを、棚にあった大学時代からの本の中に見つけた。Annie DillardThe Writing Lifeの最後の部分だ。その部分には下線が引いてあり、その言葉全てが長年にわたって私に感銘を与えてきたかのように輝いていた。その言葉は文章において真実であり、また人生においても真実である。

「後の章、または別の本によさそうなものを溜め込むな何か良さそうなものを後のために取っておくという衝動は今使うべきというサインだ。よりたくさんのものが後のために生まれるあなたが自由にそして十分に差し出さないものはあなたの中で失われる。金庫を開けてそこにあるのは灰だ」。

与えるべきという衝動に基づいて素早く行動に移すとき、途方もない価値が生まれると私は信じて疑わない。奉仕したいという願望ほど、ポジティブな波及効果を持つドライブはない。私たちがそれぞれに金庫から取り出して他人と共有できるものはたくさんある。時間、配慮、知識、忍耐力、創造性、才能、努力、ユーモア、同情。そして実に、私たちが与えるたびに、それ以上のものが生まれる。それぞれの道を歩みながらも隣り合って座る友人の安心感、我々の失敗を共有するときの子供の顔に浮かぶ安堵、泣いている誰かにタイミングを見計らってかけるジョークによる笑い、本を贈った学校の子供たちの興奮、資金を出したシェルターで眠る家族の安全。こうしたすでに見られている結果は始まりにすぎない。我々が決して知ることもない方法で価値は増え、広がっている。

一連の無限の影響と、決して完全に理解できない幸運により、私たちはそれぞれに提供すべきギフトを手にした。人生で得たあらゆる資産に加え、私には不釣り合いなほどの額の共有するべきお金がある。慈善活動に対し、私はこれまで通り思慮深い取り組みを続ける。それには時間と努力、そして配慮を要する。しかし、ただ待ってはいられない。金庫が空になるまで私は続ける。

マッケンジー・ベゾス

イメージクレジット: JORG CARSTENSEN/AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

サブスク疲弊はまだ大丈夫

米国の消費者は、まだサブスクリプションを普通に利用している。米国人の3分の1以上(34%)が、今後2年間で自分が利用する購読サービスの数が増えだろうと考えている。これは、eMarketerが発表した最新のレポートのデータだ。5年前の調査では、平均2.4個の購読サービスが利用されていたが、それが今回3個に増えている。

このレポートでは、サブスクリプションプラットフォームのZuoraと、調査分析会社The Harris Pollのデータを引用しながら、このような判断を導き出している。

またこの調査結果は、我々がすでにサブスクリプション疲弊の状態に達したのではないかという説を一蹴するものとなっている。

サブスクリプションの数を増やすことにしている人は、全体の3分の1だけだが、これは世界的な平均とだいたい一致している。米国のインターネットユーザーの大多数は、今後2年間、現在と同じ数のサブスクリプションサービスを利用するだろうと言っているわけだ。

言い換えれば、多くのユーザーは、サブスクリプションの数を減らそうとは考えていない。実際、今後2年でサブスクリプションの数を減らすことにしている、と答えたのは、わずか7%だけだった。

しかし、これはサブスクリプション業界全体にとって、良いニュースでもあり、悪いニュースでもある。ある意味、これは新しいサービスに対する潜在的な加入者の健全な基盤があることを示している。しかしそれは同時に、多くの人は、新しいサブスクリプションを利用する際に、それまで利用していたものを止める可能性が高いことを示しているからだ。おそらく支出を増やさないようにするためだろう。

結局のところ、サブスクリプションは、まだ一種の贅沢のように感じられているのかもしれない。たとえば、Netflix、Spotify、自宅に配達される食料品、郵送される厳選された衣料品など、必要不可欠なものとは言えない。もっと手頃な価格で、サブスクリプション以外の選択肢があるからだ。問題は、毎月送られてくる請求書に対して、どの贅沢なら払っても良いと感じられるか、ということだろう。

実はこの調査は、サブスクリプションの中身については規定していない。つまり、ニュースや雑誌の購読、デジタルストリーミングサービス、サブスクリプションボックス、といったものをすべてひっくるめた数字なのだ。ただし、消費者がさまざまなカテゴリーに抱いている関心については質問している。

米国の消費者の半数以上(57%)は、テレビやビデオのオンデマンドサービス(Netflixなど)に興味を持っていて、38%が音楽配信サービスに興味を持っていると答えている。

これに関連してeMarketerは、米国のネット配信動画の視聴者は、2021年までに1億9300万人に達すると予想している。それは、米全人口の57.3%に相当する数だ。また、デジタルオーディオの聴取者は、2億1100万人を上回り、こちらも人口の63.1%を占めることになるという。

今回の調査で、次に人気があったのは、Amazon Freshのような食料品配達(32%)と、Blue Apronのような食材配達(21%)だった。iCloudのようなソフトウェアとストレージサービス、そしてIpsyのようなサブスクリプション美容サービスは、それぞれ17%で、それに続いている。

消費者はニュースや情報の購読や、サブスクリプションボックスといったものには、あまり興味を持っていない。実際、後者に興味を示しているのは10%に過ぎない。

もちろん、こうした数字は、かなり割り引いて受け取る必要がある。食材キットの市場は、実際にはだいぶ苦労している。コンサルティング会社NPD Groupは、食材キットを利用したことがあるのは、米国の消費者のわずか4%に過ぎないと推定している。つまり、消費者が興味を持っていると自ら言うことと、彼らが実際にすることとの間には、大きなギャップがあるというわけだ。

その証拠に、あまり人気がないと思われていたニュースや情報サービス市場だが、いくつかのケースでは活況を呈している。たとえばニューヨークタイムズは、今月になって利益の上昇と、223000人のデジタル版の購読者の増加を報告した。その結果、有料購読者数は450万に達したという。そして今Appleでは、「何百人もの従業員」がApple News+に取り組んでいると、最近明らかにした

もちろん、いつかは消費者も、支払い続けても良いと感じられるサービス数の限界に達するはずだ。しかし、ここ当分の間は、サブスクリプション経済も堅調なもののように見える。

画像クレジット:Mongkol Chuewong/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

マイクロソフトの新アプリはスマホカメラとコンピュータビジョンで英単語を学べる

マイクロソフトの8人のインターンが、新しい言語学習ツールを開発した。スマートフォンのカメラを使って身の回りの語を学び、成人の英語の識字能力向上を図るものだ。Read My Worldと名付けられたこのアプリを使い、スマートフォンで写真を撮って、1500語以上のライブラリから語を学ぶことができる。実際の物体の写真でも、書類の中の文字列でもいいとマイクロソフトは説明する。

このアプリは、授業を補うものとしても使えるし、言語習得のクラスに通う時間やお金がなかった人が語を学ぶ方法としても使うことができる。

授業に参加しなくても、毎日の生活の中で出あうものの写真を撮って学ぼうということだ。

このプロジェクトのソフトウェア開発インターン、Nicole Joyal氏は「もともとは授業のようなスタイルのアプローチを考えていましたが、調査と研究の結果、スイスアーミーナイフのようなもののほうが役に立つと考えました。何かを教えるツールよりも、生活の中で常に役立つツールを作ろうと思ったのです」と語る。

Read My Worldは、Microsoft Cognitive ServicesとComputer Vision APIを組み合わせることで、写真に写っているものを特定する。すると語の綴りが表示され、読み上げられる。特定された語の写真を保存し、アプリの中の自分専用の辞典としてあとで参照することもできる。

さらにこのアプリには3種類の語彙ゲームも含まれていて、ユーザーが新たに学んだ語を練習できるようになっている。

1500語の語彙では少ないと感じるかもしれないが、実はこれは外国語学習者が従来の学習方法で身につけることのできる語数に近い。たとえばBBCの報告によれば、言語学習者の多くは何年も学習しても2000〜3000語以上は習得が難しいという。台湾のある研究では、外国語を9年間学習した学生でも利用頻度が最も高い1000語を習得できなかったという。

この報告では、毎日使う語を身につけるのが最も大切であることも強調されている。

目にするものに焦点を当てているアプリなので、正式な教育に置き換えられるかというと限りがある。初期バージョンをテストした教員と学生からのフィードバックを集めた結果、チームは書類中の語も検出できるようにした。書き言葉を翻訳するGoogleレンズのような使い勝手ではなく、アプリが特定した一部の単語をハイライト表示し、その語の発音を聞いたり写真を見たりすることで、その語が何を表しているかがわかるようになっている。

たとえば学生の持ち物リストにアプリを向けると、鉛筆、ノート、はさみ、バインダーなどの語がハイライトされる。

このアプリはマイクロソフトの社内インキュベーター、Microsoft Garageのプロジェクトで、はじめはテストとフィードバックのために一部の組織に提供される。NGOや非営利団体で低識字率のコミュニティに携わっている人は、フォームから参加を申し込むことができる。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Googleが検索結果表示を改定、サイトオーナーとパブリッシャーを強調

米国時間5月22日、Google(グーグル)はモバイル検索結果の表示方法を変更し、サイトオーナーは自らのブランドを前面に押し出し出せるようになった。これまで検索結果はブルー、情報ソース(パブリッシャーのサイトなど)はその下に小さなグリーンのフォントで表示されていた。今度はパブリッシャーが主役になった。新しい画面では、検索結果のソースがサイト独自のアイコンとともにトップに表示される。

これは小さな変更だが、パブリッシャーにとってはブランドを売り込めるうれしい変更だ。ウェブ検索する人は、たとえ検索結果ページの下のほうにあっても、よく知っているパブリッシャーのサイトをクリックしたくなるものだ。

さらに、ウェブサイトをブランディングすることで、利用者はその情報がどこから来たのか、公式サイトなのか有名なニュースサイトなのかを理解しやすくなる。今回のアップデートはGoogle検索の広告の表示にも影響を与える。

これまでは小さなグリーンのボックスに入った「Ad」という文字がソースへのリンクの前に付けられていた。今度は、「Ad」の文字はボールドの黒いフォントでウェブサイトのアイコンの来る位置に表示されている。検索結果のトップが広告だということには以前より少し気づきにくくなったかもしれない。これは利用者の目がブルーの文字に注目しがちなのと「Ad」の文字がボックスで囲まれなくなったためだ。

新しいデザインは、同社が検索結果カードにアクションボタンやプレビューを追加する準備を整えつつ、情報ソースを明確にすることができるものだとGoogleは言っている。

Googleは先日のGoogle I/Oで、新しい検索機能の計画として検索結果へのAR導入ニュース記事やポッドキャスト検索の改善などを発表した。ポッドキャストについては検索結果画面で直接聞いたり、保存してあとで聞くためのツールも提供する。

なお、サイトオーナーやパブリッシャーで、オーガニック検索結果に表示するアイコンをカスタマイズしたい人はこちらで作ることができる。

新デザインはまずモバイルユーザー向けに今後数日をかけて公開されるとGoogleは言っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

中国がスマートスピーカー市場で米国を抜いた

米国もはやスマートスピーカー市場のリーダーではない。米国時間5月20日、Canalysが発表した最新データによると、中国のスマートスピーカー出荷台数は2019年Q1に500%成長し、米国を上回る市場シェア51%を占めた。

報告によると中国の出荷台数は1060万台で、それを支えているのは「お祭り騒ぎプロモーション」だという。

具体的には、Baidu(バイドゥ)は中国の旧正月前夜の新年番組で中国国営テレビのCCTVとスポンサー契約を結んだ。これは視聴者数最大のエンターテイメント番組だ。プロモーションではユーザーに「Baidu」アプリのダウンロードを促し、12億人の視聴者を対象にクーポン1億枚を配布して同社ブランドのスマートスピーカーの認知度を高めた。

バイドゥはQ1にスピーカー330万台を出荷し、Amazon(アマゾン)の460万台、Google(グーグル)の350万台に続いた。Alibaba(アリババ)とXiaomi(シャオミ)がいずれも320万台でこれに続き、これも中国の新年プロモーションの成果だ。

「中国の急速な成長は、メーカーがいち早くシェアを獲得するために大量の資金を注ぎ込んでいるからだ」とCanalysのモビリティー担当VPを務めるNicole Peng氏が声明で語った。「これは、バイドゥ、Alibabat(アルファベット)、Tencent(テンセント)などトラフィック獲得に数十億ドル費やすことをいとわず、インストール基盤の臨界点に到達する方法を知っているサービスプロバイダーたちが好んで用いる戦略だ」

その他のブランドの出荷台数を合わせると290万台になる。これにはApple(アップル)のHomePodも含まれているが、市場シェアが小さいため「その他」にまとめられている。

1060万台を出荷した中国は米国(500万台出荷)を上回り市場シェアを51%に伸ばした。一方米国の市場シェアは2018年Q4の44%から2019年Q1は24%に急落した。

全体では、Q1に世界のスマートスピーカー出荷台数は2070万台で年間成長率131%と3桁成長に戻った。2018年Q1はわずか900万台だった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフトは2022年までに1万5000名の労働者にAIのスキルと資格証明を賦与

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間5月17日朝、同社が教育プロバイダーのGeneral Assemblyと提携して、一定範囲のAI関連スキルの資格証明と教育訓練に投資すると発表した。目標は2022年までに1万5000名を教育訓練して、世界中で多くのAI人材を確保することだ。教育訓練のフォーカスはAIと機械学習、データサイエンス、データエンジニアリングなどに置かれる。

この新事業の初年度には2000名を教育訓練してAIと機械学習のロールに移行させる。そしてその後の3年でさらに1万3000名にAI関連のスキルを教育訓練する。

この取り組みの一環としてMicrosoftは、他社とともにGeneral AssemblyのAIのStandards Board(スタンダード委員会)に加わる。今後の6カ月でこの委員会は、AIスキルのスタンダードを定義し、評価の基準を開発、キャリアのフレームワークを設計、そしてAIスキルの資格証明書を作る。

教育訓練事業は、現在需要のあるAI関連雇用を満たすことにもフォーカスし、そこではMicrosoft固有の技術も学習する。Microsoftによれば、航空宇宙や製造業などいくつかの業種では、Azureを使いこなせるような社員がとても少ない。そこで教育訓練のフォーカスは、AI人材を雇用したいと思っている企業のそのような、Microsoft固有技術のニーズにも対応していく。

また人材ネットワークAI Talent Networkを作り、そこから長期雇用の人材や契約労働者を見つけられるようにする。General Assemblyは、22の大学キャンパスや求人求職サイトAdecco(アデコ)にも縁があるので、この人材ネットワークをアシストできる。Adeccoは昨年General Assemblyが41300万ドルで売った企業だ。

Microsoftはこの事業の背景として、雇用創出へのAIのインパクトを挙げている。2022年までには、新しいテクノロジーによって最大13300万の新たなロールが作り出されるそうだ。もちろん、同社のソフトウェアやクラウドの顧客がAzureのような同社製品を使える人々を楽に見つけられるようになるという計算もある。

Microsoftでグローバル営業、マーケティング、オペレーションを担当する執行副社長であるJean-Philippe Courtois氏は声明で「テクノロジー企業がイノベーションにコミットしていくときには、労働者がAIの教育訓練にアクセスできて、今日と明日の職場で伸びていけるようにする責任がある。我々の業態とGeneral Assemblyの専門的技術が組み合わされば、スキルのギャップをなくし、企業はAIに駆動される経済において自らのポテンシャルを最大化できる。その成果が今からとても楽しみだ」と述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa