アップルが年内にインドでオンライン販売を開始、直営店は2021年オープン

10年もの間、Apple(アップル)はインドでの製品販売をサードパーティの業者や店舗、マーケットプレイスに全面的に頼ってきた。それが今年、変わる。

米国時間2月26日に開かれた定時株主総会で、CEOのTim Cook(ティム・クック)氏は投資家に対し、アップルは年内のどこかで世界で2番目に大きいスマホマーケットであるインドでオンラインストアを開き、来年には初の直営店をオープンさせると話した。「私はインドの可能性をかなり信じている。無比の活気と人口を抱えた国だ」とクック氏は述べた。

TechCrunchは先月、アップルがオンラインストアを2020年第3四半期にオープンさせる計画で、実店舗の開設は年内はなさそうだと報じた。

米国のテック大企業にとっておそらく最後の大きな成長マーケットであるインドは、プレミアムなアイテムを販売するアップルやその他の企業にとって「難物」だった。

インドは成長を続けている大きなマーケットだが、多くの人々はアップル製品を買う経済的余裕がない。調査会社のCounterpointによると実際、インドで出荷される大半のスマホの価格は150ドル(約1万7000円)以下だ。

また、アップルにとってはインド政府が電子機器に課している輸入税も問題だった。税分を価格に乗せるため、iPhoneはインドの人にとってより高価なものとなる。

iPhoneの価格を下げようと、同社はインドでさまざまなアピールを試みてきた。何年もの間、インド政府に税制上の優遇措置を求めてきたがその交渉は実を結ばず、同社はすべての中国のスマホメーカーがインドでしたことへと舵を切った。インドでのスマホ組み立てだ。

インド政府はインドで電子機器を組み立てる企業にいくつかのインセンティブを与えている。実現には2年かかったが、アップルの提携企業であるFoxconn(フォックスコン)とWistron(ウィストロン)は幅広いモデルのiPhoneをインドで組み立てている。これにより、最新ラインアップを除くより多くのモデルの価格が下がった。

こうした動きは同社にとって役立つものだったことが証明された。調査会社のCanalysの推測では、アップルは昨年12月までの四半期にインドで92万5000台近くのiPhoneを出荷した。この数字は前年同期比200%増で、同社にとってインドマーケットでの最高の年だったとCanalysは付け加えた。

CanalysのアナリストであるMadhumita Chaudhary(マデゥミタ・チョウドリィ)氏は、アップルはより攻勢をかけようと銀行と組んで顧客にさらなるインセンティブを提供している、と話した。これが功を奏して、アップルはAndroidスマホが99%を占めるインドのスマホ市場でシェアを伸ばした。

同社はまた、インドの視聴者に提供する映画やテレビ番組を増やすためにコンテンツスタジオとも協議してきた。これまで報道されていないことだが、例えば2年前に同社はEros Nowを3億ドル(約330億円)で買収する詰めの話し合いをしていた。アップル株の持分を増やすというオプション付きだった、とこの件を直接知る情報筋が数カ月前にTechCrunchに話した。

しかしこの買収案件は実現しなかった。

TechCrunchはまた、クック氏がオンラインストア開店でインドを訪問するかもしれないと先月報じた。この件についてアップルはコメントしなかった。

インドは昨年、単一ブランドを扱う外資系小売に対する規制を緩和した。これによりアップルのような企業が実在店舗を開店させる前にオンラインストアを開設することができるようになった。

画像クレジット:INDRANIL MUKHERJEE / AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

5Gスマホをインドにいち早く持ち込むこと競り合う中国企業

インドでは、国内の通信事業者がまだ周波数帯オークションに参加していないので、少なくとも来年末までに5Gで実質的にカバーされる可能性は低い。しかしそうした事情も、中国のベンダーであるOppo(オッポ)、Vivo(ヴィーヴォ)、そしてXiaomi(シャオミ)が、5G対応のスマートフォンをこの世界第2位の携帯電話市場に持ち込む動きを押し止めることはない。

シャオミ、VivoのサブブランドiQoo(アイクー)、およびOppoのサブブランドRealme(リアルミー)はすべて、この1週間に相次いで5Gスマートフォンを発表した。インドで2年以上トップの座につく携帯電話ベンダーであるシャオミは、最近発表された5G対応のMiMix Alphaスマートフォンを、国内のいくつかの実店舗で展示しただけだが、他の2社は新しい携帯電話の発売を開始した。

インドで2番目に大きい携帯電話ベンダーであるVivoは、iQoo 3を発売した。この機種は1080×2400ピクセルの画面解像度の6.44インチディスプレイを備え、4440mAhバッテリー(55Wの高速充電をサポート)し、Android 10を搭載する。プロセッサにはQualcomm Snapdragon 865を採用し、8GBのメモリーと128GBのストレージが組み合わせられている。4つの背面カメラ(メイン4800万画素、望遠1300万画素、超広角1300万画素、深度センサー200万画素)と、前面には1600万画素のカメラを搭載している。

この携帯電話の価格は3万6990インドルピー(約5万7000円)から始まり、追加のストレージとメモリを備えた上位機種は4万4990インドルピー(約6万9000円)になる。

そしてインドで大手携帯電話メーカーと善戦を続けるRealmeは、90Hzのリフレッシュレートをサポートする1080×2400ピクセルの画面解像度を持つ6.44インチのディスプレイを搭載したX50 Pro 5Gを発売した。Qualcomm Snapdragon 865 SoCを採用し、12GBのメモリー、および65W Super Dart充電サポートを備えた4200mAhバッテリーを搭載している。

写真撮影という点では、背面にメイン65万画素、超広角800万画素、望遠1200万画素、ポートレート撮影時にメインカメラとともに使われる200万画素のカメラを備えている。前面には、3200万画素および800万画素のデュアルセルフィーカメラが装備されている。

Realme X50 Pro 5Gの価格は3万7999インドルピー(約5万9000円)で、追加のストレージとメモリを備えた上位機種は4万4999インドルピー(約6万9000円)と高くなる。

5G携帯をこれほど早く発売する理由は、将来の保証があるデバイスを提供するためだと各社の幹部は口にする。さらにQualcomm(クアルコム)が、電話ベンダーたちに対して、主力商品であるSnapdragon 865 SoCを使用する場合には、X55 5Gモデムの利用も要請しているという事情もある。

なお最近XiaomiからスピンアウトしたPocoのエグゼクティブは、以下のように発言している。

5G

皆さまご注目ください。お知らせしたいのは、私たちがご提供するのは皆さまの必要としているもので、不要なものではないということです (注:POCOは5G携帯を発表していない)

トップ画像クレジット:INDRANIL MUKHERJEE / AFP / Getty Images

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(翻訳:sako)

Googleがインドの駅や僻地で提供してきた無料Wi-Fiプログラムを終了させる

Google(グーグル)は米国時間2月17日に、多くのパートナーたちと協力してインド国内の400以上の駅や多数の僻地の公共の場所に、無料Wi-Fiを提供してきたGoogle Stationプログラムを、この先縮小すると発表した。

グーグルのPayments and Next Billion Users(支払いならびに次の10億ユーザー)担当副社長のCaesar Sengupta(シーザー・セングプタ)氏は、2015年に開始されたこのプログラムは、何百万人ものユーザーがインターネットサーフィンするために役立ち、多くの人が消費するデータ量を気にしなくても良いようにした初めてのものだと語る。しかし、インドを含む多くの市場でモバイルデータ通信の価格が安くなったため、Google Stationはもはや必要ではなくなったのだと彼は言う。同社は2020年中にプログラムを中止する予定だ。

さらに、グーグルはプログラムを拡張するための持続可能なビジネスモデルを見つけることが困難になっていると述べている。最近ではStationプログラムはインドネシア、メキシコ、タイ、ナイジェリア、フィリピン、ブラジル、ベトナムへと拡大していた。同社が南アフリカで同プログラムを開始したのはわずか3カ月前だ。

長年にわたり、グーグルはGoogle Stationプログラムを収益化する方法も模索していた。たとえば同社は、ユーザーがインターネットサービスに接続するためにサインインする際の、広告表示を開始していた。

2019年初めのインタビューで、インドにおいてグーグルの接続性への取り組みを率いているGulzar Azad(ガルザー・アザド)氏は、同社はStationをより多くの市場に拡大する方法を考えていると語っていたが、インドの鉄道駅への展開に関しては、(400の鉄道駅にサービスを提供する)という目標を達成したと語っていた。

グーグルがインドで無料のWi-Fiを提供する取り組みを発表した1年後、同国で最も裕福な男性Mukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏が、通信ネットワークReliance Jioを立ち上げた。Jioは、長期間にわたって無料で大量の4Gデータ通信を顧客に提供し、他の通信事業者たちが、請求額を下げざるをえないようにした。

この動きによって、膨大な数のインド人がインターネットにアクセスし始めた。多くの人にとって当初のアクセス料金が高すぎたからだ。別のインタビューで、私はアザド氏に対して、Reliance Jioの参入によってGoogle Stationの意義がいくらかでも低下したかと尋ねている。その時の彼の答えは、多くの人が今でもJioのプログラムにサインアップを続けている段階であり、さらに大量データを消費したいという大きな意欲も見せ続けているというものだった。

グーグルは多くの企業と協力して、公共の場所でユーザーたちが無料のWi-Fiを使えるようにしている。たとえばインドでは、グーグルがソフトウェアスタックを構築し、国有の通信インフラプロバイダーであるRailTel(レイルテル)が無料のインターネット回線を提供している。

RailTelは5600以上の鉄道駅でWi-Fiを提供し、長年にわたって独自のソフトウェアスタックを提供する能力を開発してきた。「私たちはパートナーと協力して既存のサイトへ移行し、コミュニティにとって有用なリソースを維持できるようにします」とセングプタ氏は述る。

TechCrunchはRailTelの広報担当者に連絡をとり、グーグルと連携してきた400余りの鉄道駅で、Wi-Fiを提供し続ける予定かどうかを確認した。RailTelからの回答によれば、すべての鉄道駅で無料Wi-Fiサービスは継続されるとのことだ。「この年月にグーグルから受けたサポートを心から評価しています」と、広報担当者は付け加えた。

「各国のパートナー間における、異なる技術的要件とインフラストラクチャは、パートナーたちにとってStationプログラムを拡大し持続可能にしておくことを困難にしました。そして、将来本当に影響を与えられるのはどこかを評価したとき、次なる10億人のユーザー市場に向けて、より役立つように調整された製品や機能を構築することに、さらに大きなニーズと大きな機会があると考えたのです」とセングプタ氏は語る。

開発途上市場のユーザーたちに、無料のインターネットを提供するために取り組んできた技術大手はグーグルだけではない。Facebookの後継組織Internet.org2017年に同国内で始められている(だが同プログラムはインド国内でのネット中立性規則に違反したために禁止されている)。

トップ画像クレジット: PUNIT PARANJPE / AFP / Getty Images

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(翻訳:sako)

インドの宇宙機関は有人飛行に備えて事前に半人型ロボを宇宙に飛ばす

ISRO(Indian Space Research Organisation、インド宇宙研究機関)は、2022年に最初の宇宙飛行士を宇宙に送り出すという有人宇宙飛行の準備に余念がない。それに先立って、今年の後半にはGaganyaan(ガガンヤーン)と呼ばれる周回軌道を回る宇宙船を打ち上げる予定だ。そこには乗員が乗り込むが人間ではない。代わりに1体のロボットが搭乗する。

画像クレジット:MANJUNATH KIRAN/AFP/Getty Images

Times of Indiaによると、それはISROがVyommitra(ヴァイオミトラ)と名付けた「半ヒューマノイド型」のロボ宇宙飛行士で、12月にガガンヤーンが初めて飛行する際に搭乗する。このロボットは、スイッチパネルを操作してカプセルを制御したりするだけでなく、「コンパニオン」としても働くといった広範囲の機能や特徴を備えている。例えば「宇宙飛行士と会話したり、乗員を認識して質問に答える」といったことまでできる。今週の発表会では、自らの言葉で、その能力を紹介していた。

ヴァイオミトラはバイリンガルだ。そのほぼ擬人化された性質によって、実際に人間が座席に固定されて操縦する際に、ガガンヤーンがどのような挙動を示すかといった貴重なデータを、事前に収集できるわけだ。このロボットは、環境の調整や生命維持装置の制御を含めて、乗組員に求められる「すべて」の機能を、確かに実行できる。また、顔に表情を浮かべたり、地上の制御室からのメッセージなどを伝える際には、音声に合わせて唇を動かすこともできる。

これは、宇宙に送り込まれる最初の擬人的なデザインと機能を備えたロボットというわけではない。すでにロシアのSkybotがISSに行ったことがあるし、NASAも、宇宙飛行士を支援し、アシスタントとして働く「Astrobee」と呼ばれるスフェロイド型ロボットをテストしている。しかし、それぞれアプローチは異なっている。ヴァイオミトラの場合は、機能だけでなく容姿も人間に似せようとする明確な意図があり、興味深い存在となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

暗号の専門家27人がインドの仲介者責任法改定を考え直すよう警告

世界中のセキュリティと暗号化の専門家が、さまざまな団体に集結し、インド政府に対して、同国の仲介者責任法の改正を思い留まるよう呼びかけている。

1月9日、インドのIT大臣Ravi Shankar Prasad(ラビ・シャンカール・プラサッド)氏に送られた公開書簡で、27人のセキュリティおよび暗号化の専門家が、現在、まとめられている改正法案をそのまま可決すれば、インターネットのセキュリティが弱体化し、強力な暗号化が制限されるとインド政府に警告した

インド政府は、2018年12月末、仲介者責任法の一連の改正法案(PDF)を提出した。もしこれが施行されたなら、中小からFacebookやGoogleといった最大手に至るすべての企業が運営する無数のサービスは、大幅な変更が求められることになる。

元の改正案は、仲介者(インド政府の定義では、2人以上のユーザーがコミュニケーションを取り合うための便宜を提供し、インドには500万人以上のユーザーがいるサービス)は、ユーザーのコンテンツを積極的に監視し選別して、疑わしいコンテンツの最初の発信者を特定可能にすることで、ユーザーの行動に対する全責任を負わずに済むようになるという内容だ。

「仲介者の保護に、責任からそのプラットフォームやシステムで交わされるコミュニケーションを監視する能力までを結びつけるこの改正案は、終端間の暗号化を制限し、他者による既存のセキュリティ対策の弱体化を助長してしまう」と専門家たちは、インターネット協会が取りまとめた書簡に記している。

終端間の暗号化に関しては、サービス提供者が解読したユーザーのコンテンツにアクセスする手段が提供されていないと彼らは言う。これに加わった専門家にはGoogle、Twitter、人権擁護団体Access Now、Torプロジェクト、ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアムで働く個人も含まれている。

「これは、終端間の暗号化を適用するサービスは、改正案で要求されるレベルの監視は行えないということ意味しています。暗号化プロトコルのバックドアを使うか、エスクローに暗号化キーを保管するか、グループメッセンジャーにサイレントユーザーを忍ばせるか、といった方法を使うことになり、システムのセキュリティを弱体化せずに例外的アクセスを可能にする方法はない」と彼らは言い加えている。

巨大ハイテク企業はこれまで、いわゆる「セーフハーバー」法を享受してきた。現在、アメリカの通信品位法やインドの2000年情報技術法の下で適用されている法律では、プラットフォームは、そこでユーザーがやりとりする内容に関しては責任を負わないことになっている。

このところ多くの団体が、この法律の改正に懸念を表明している。今週のはじめには、Mozilla、GitHubCloudflareはインド政府に対して、彼らが作成した仲介者責任法の改正案を透明化するよう要求した。最新の改正草案の内容を知る人間は、インド政府の他には存在しない。1月15日に、インドの最高裁判所の承認を得るために提出される予定だ。

人々が訴える数々の懸念のなかに、「仲介者」そのものの曖昧な定義がある。最後に公表された草案では、「仲介者」の定義は非常に漠然としていた。人気のインスタント・メッセージ・クライアントから、インターネットISP、サイバーカフェ果てはウィキペディアまで、幅広いサービス提供者が含まれてしまう。

ウィキメディア財団の法務顧問Amanda Keton(アマンダ・キートン)氏は、2019年12月末、インターネット上のコミュニケーションの「追跡可能性」を要求しないよう、インド政府に訴えた。それが通ってしまえば、ウィキペディアの協力者たちが自由にプロジェクトに参加できる機会が制限されてしまうと警告している。

あるアメリカの技術系企業の幹部は、1月8日、匿名を条件に、仲介者のガイドラインに関する改正法案によって大きな変更が要求されるとしても、インド政府はここで立ち止まって考える時期に来ているとTechCrunchに話した。

「ソーシャルメディア・プラットフォームとインスタント・コミュニケーション・サービスに対して行動を起こせば、現実世界は大きなダメージを受ける。偽情報の拡散によって、私たちは少なくとも30人の命が失われるという損害を被った。もし明日、他人に見られたくない写真やメッセージがインターネット上で漏洩するとしても、現在のサービス提供者には手も足も出ません。私たちに必要なのは、今のインターネットの課題に対処する法律です」と彼は語っていた。

画像クレジット:PRAKASH SINGH / AFP / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

インド最高裁がカシミールのインターネット遮断は不当で「権力の乱用」と裁定

インドの最高裁は2020年1月10日、カシミールにおける無期限のインターネット遮断は不当であり、Narendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相率いる政府による「権力の乱用」と裁定した。

同国は2019年8月、イスラム教徒が大半を占めるカシミールの自治を取り消し、その後インターネットアクセスを遮断した。政府がセキュリティのためとして強行しているこのインターネット遮断は、あらゆる民主主義の中で最長となる。今回の最高裁による裁定は、インターネット接続を回復させるものではない。

最高裁は裁定の中で、インターネットの無期限の遮断はインドの通信規則に反していると指摘している。N. V. Ramana(N. V. ラマナ)判事はまた、カシミール地元当局に1週間以内にすべての制限を見直すよう命じた。

また最高裁は、政府がすべてのインターネット遮断命令をつまびらかにすべきとした。不当な扱いを受けている人々がそうした命令に抗うことができるよう書面で公開すべきとしている。

インド政府はカシミールで携帯電話の通信も遮断したが、現在これは大半のところで回復している。

活動家でニュースメディアのMediaNamaの創業者であるNikhil Pahwa(ニクヒル・パーワ)氏は、最高裁の裁定は下級裁判所に手本を示すものとして「意義深い」と述べた。

ニューデリーを拠点とするデジタル支持団体「Software Law and Freedom Centre」が運営するサービスInternet Shutdownsによると、インドでは過去9年間で381件のインターネット遮断が報告されている。そのうちの319件は2017年以降のものだ。

インターネットが利用できない状態は、事業にもかなり大きな影響を及ぼしてきた。インド国際経済関係研究所(ICRIER)の2018年に行われた調査によると、インターネット遮断でインド経済は30億4000万ドル(約3330億円)の損失を被った。業界団体のインド携帯通信協会(COAI)は2019年12月末に発表したレポートで、サービスを展開する22エリアでの遮断により通信会社は1日あたり800万ドル(約8億8000万円)の損失となっていると推定している。

画像クレジット: Saqib Majeed / SOPA Images / LightRocket / Getty Images

関連記事:インド政府が再びインターネットを遮断、今回はアッサム州とメガラヤ州

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(翻訳:Mizoguchi

Uberがインドで音声録音、不規則な乗車状況チェック、認証コードによる安全機能を導入

Uber(ウーバー)は米国時間1月9日、同社にとって最も重要な海外市場の1つであるインドでのサービスを改善するために、3つの安全機能を展開することを発表した。

新機能には、乗客乗車中に予定外の長時間停車があった場合にUberが介入すること、および乗客が正しい車に乗ることを保証するための4桁の認証コードの導入が含まれている。同社の幹部は、ニューデリーで行われた記者会見で、上記2つの機能が本日からユーザーに公開されていると語った。

UberのCEOを務めるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏(画像クレジット: Anindito Mukherjee / Bloomberg / Getty Images)

Uberは以前にこれらの機能を米国で展開しており、インドのローカルライバルであるOla(オラ)もこうした機能を以前から提供していた。またUberは、インド国内で乗客もしくは運転手が不快な思いをした際に、乗車全体の録音記録を会社に送ることができるようにするとも語った。Uberによれば、この機能は今年後半に国内でテスト段階に入る予定だ。ちなみにOlaはこの機能を提供していないが、ローカルバス乗車シェアリングサービスのShuttlは過去にこれをテストしていた。

Ride Checkと呼ばれる最初の機能は、長時間の予期されていない停車や、その他の不規則な状況が乗車中に発生した場合に有効になる。そうした事態を検知した場合、Uberは乗客と運転手の双方を呼び出して、すべてが問題なしかどうかを確認する。同社は、運転手のスマートフォンを使って突然の中断を検知する。

UberのSachin Kansal(サチン・カンサル)氏が、ニューデリーでのイベントで新しい安全機能について語った

Olaは、2018年9月から「Guardian」と呼ばれる同様の機能をテストしている。Olaは先月、10カ所を超えるインドの都市と、オーストラリアのパースでGuardianを展開していると語った。

Uberはまた、乗客が正しい車に乗っているかどうかを確認するために、乗客に4桁の認証コードの提示を求める機能も展開した。乗客が認証コードを提供するまで、乗車は開始しない。インドのOlaはこの機能を、すでに数年前から提供している。

さらにUberは、Manas Foundationと提携して、プラットフォームを女性にとってより安全なものにしてきたという。Manas Foundationは、インドの運転手パートナー向けに、カスタマイズされたジェンダー問題認知ワークショップを実施している。同社によれば、5万人以上の運転手パートナーが既にトレーニングを受けているという。

UberのGlobal Safety ProductsのシニアディレクターであるSachin Kansal(サチン・カンサル)氏は、同社は世界中のさまざまなマーケットでこれらの機能を試験し改良していると語った。「プライバシーはUberにとって非常に重要であり、これらのツールはすべて、それを念頭に置いて設計されています。すべての人にとってすべての乗車を5つ星体験にする手助けができるように、私たちはこの機能の改良を続けます」。

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(翻訳:sako)

インド政府が異論噴出の法案への支持を求める偽キャンペーンで炎上

インドの政権与党であるインド人民党(BJP)は、異論噴出の法案への支持を求める虚偽の疑いが濃厚なTwitterキャンペーンで非難されている。

まずは話の背景を解説しておこう。インド政府は、先月、イスラム教徒が多数を占める隣国のアフガニスタン、バングラデッシュ、パキスタンからの非イスラム教徒少数派移民がインドの市民権を取得しやすくする市民権法改正法案(CAA)を可決した。

しかし批評家たちはこれを、国民登録制度の法案と結びつけ、インドに住むイスラム少数派を差別し、宗教にとらわれないインドの伝統をなし崩しにするものだと警告している。

この数週間、インド各地では、少なくとも数万人の市民が法案に反対する平和的な抗議活動に参加した。インド政府は抗議を鎮めようと、多くの地域で一時的にインターネットモバイル通信を遮断するなど、これまでのところ法案撤回の意志は示していない。

それどころか、1月4日にインド政府は法案への支持を求めて新しい手に出たようだ。インドのAmit Shah(アミット・シャー)内務大臣は1月2日、「CAA法支持」の意志表明を行う番号に電話をかけるよう国民にツイートした。

すると1月4日になって、数千人のBJP党員たちがTwitterでその電話番号を拡散し始めた。その番号に電話をかければ、就職機会や無料モバイルデータ通信、Netflixの無料アカウント、果ては「寂しい女性」との出会いが得られるといったご褒美が約束されている。

CAA支持を求める4つの写真にわたる物語……
・不在着信でCAAへの支持を示してください
・パーティーの電話番号です。気軽に不在着信を。よろしく……
・今日はすごく退屈なのでフォロワーのみなさんに私の電話番号をシェアします。電話してね
・携帯をなくしました。誰か、この番号に電話して
・電話してね

非常事態の非常手段……

Netflixを6カ月間無料で視たくないですか?8866288662に電話をしてユーザー名とパスワードを取得してください。先着1000名様限りのご優待です

Netflix Indiaこれは完全なフェイクです。タダでNetflixを見たい方は、普通の人がやるように他人のアカウントを使ってください

ハフィントンポストのインド版は、異論の多い法案への支持を集めるためのこの動きを、最新の「BJP策略」と呼んでいる。インドのファクトチェックのための団体BoomLive(ブームライブ)は、これを行っている人の多くは与党に所属していると伝えている

私たちは、BJPとTwitterの広報担当者にコメントを求めている。

議会で法案を通すために、大勢の人間を動員して、セックスや仕事やNetflixのアカウントを餌にして支持を集めるなんてことは、70年の歴史の中で初めて

主張が真実であればの話だが、BJPがTwitterを使って積極的にそのビジョンを宣伝したのはこれが初めてではない。2017年、BuzzFeedは、インドでのTwitterのトレンド、トップ10の中に政治的なハッシュタグが数多く見られ、組織的なキャンペーンの結果であったと報じている

ファクトチェックのウェブサイトであるAlt News(オルト・ニューズ)の共同創設者であるPratik Sinha(プラティック・シンハ)氏は、昨年、Googleドキュメントに保存された声明文にアクセスして内容に手を加えれば、いとも簡単に大勢の政治家を操って特定の内容のツイートをさせることができことを実証して見せた。

先月、カシミールに雪が降った。大変な緊張状態にあり、4カ月以上もインターネットが遮断されている地域なのだだが、米国のTwitterでトレンドになっていた。それが不可解なことに、カシミールがトレンドのリストに載るようになった理由を多くのジャーナリストから質問された途端に、そのトレンドは消えてしまった。

カシミールに関する「トレンド」のことがすごく不思議。8月からインターネットが使えなくなっているのに。広告でもない。@Jack、どうなってるの?

我々が話を聞こうとすると、インドのTwitterの広報担当者は、トレンド・トピックの仕組みを説明しているFAQページを見るようTechCrunchに伝えてきた。だが、私たちが求める答はFAQの中にはなかった。

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

インドのテックスタートアップの資金調達額は2019年に過去最高の1.6兆円を突破

インドのテックスタートアップがこれほど盛り上がったことはない。調査会社のTracxnによると、インドのテックスタートアップは2019年に145億ドル(約1兆6000億円)を調達し、過去最高だった昨年の106億ドル(約1兆2000億円)を上回った。

2019年にインドのテックスタートアップは、1185回の資金調達ラウンドに817人の投資家が参加した。うち459回はシリーズA以降のラウンドだった。スタートアップ向け融資を行うInnoVen Capitalのレポートによると、アーリーステージのスタートアップは今年、エンジェルラウンドとシリーズA以前の資金調達ラウンドで69億ドル(約7500億円)を調達し、昨年の33億ドル(約3600億円)をあっさり上回った。

InnoVenのレポートによると、一般的に投資家をひきつけるのに苦労することが多いアーリーステージのスタートアップの今年の資金調達の件数は前年比22%増加した。1社あたりのバリュエーションの平均は260万ドル(約2億8000万円)で昨年から15%増加した。

全体では、2500万〜1億ドル(約27〜109億円)の資金調達取引は81件で、昨年は56件、一昨年は36件だった。1億ドル(約109億円)を超える取引は27件あり、2018年は17件、2017年は9件だったとTracxnはTechCrunchに述べた。

インドでは2019年に、128のスタートアップが買収され、4社が株式公開し、9社がユニコーンになった。Tracxnによると、今年、インドのテックスタートアップも記録的な数の国外の投資家を魅了した。

今年の資金調達によって、急成長しているインドのスタートアップは着実な成長の道をさらに進むことになる。テックスタートアップの資金調達額がわずか43億ドル(約4700億円)だった2016年(前年の79億ドル(約8600億円)から減少)以来、エコシステムへの資本の流れが大幅に増加した。Tracxnによると、インドのスタートアップは2017年に104億ドル(1兆1000億円)を調達した。

「スタートアップの資金調達額は、2010年の5億5000万ドル(約600億円)から2019年には145億ドル(約1兆6000億円)へと、25倍を超える目覚ましい成長を遂げた」とTracxnはコメントした。

「インドのスタートアップについて同様に有望なのは、彼らが現在取り組み始めた課題だ」とVCファンド、Lightspeed Venture PartnersのパートナーであるDev Khare(デブ・カレ)氏は、TechCrunchとの最近のインタビューで語った。

「2014年と2015年の時点では、スタートアップは主にeコマースソリューションの開発と欧米市場で成功したアイデアのコピーに注力していた。しかし今日、彼らは幅広い分野で機会を狙っており、インドが世界初となるソリューションの開発も見られる」とカレ氏は述べた。

Tracxnの分析によると、宿泊施設のスタートアップは今年約17億ドル(約1900億円)を調達し、うちOyoだけで15億ドル(約1600億円)を調達したElastic Run、Delhivery、Ecom Expressなどの物流スタートアップの調達額も、6億4100万ドル(約700億円)に上った。

176の水平的マーケットプレイス、150を超える教育学習アプリ、160を超えるフィンテックスタートアップ、120を超えるトラック輸送マーケットプレイス、82の配車サービス、42の保険プラットフォーム、33の中古車リストプロバイダー、企業や個人へ運転資金を供給する13のスタートアップが今年資金を調達した。Tracxnによると、フィンテックのスタートアップだけでも今年32億ドル(約3500億円)を調達しており、他のどの分野のスタートアップよりも多かった。

投資家

50を超える投資(または共同投資)があるSequoia Capital(セコイアキャピタル)は、インドのテックスタートアップにとって今年最も活発なベンチャーキャピタルファンドだった。Googleのインドと東南アジアビジネス担当の元幹部、Rajan Anandan(ラジャン・アナンダン)氏は4月、Sequoia Capital Indiaにマネージングディレクターとして加わったAccel、Tiger Global Management、Blume Ventures、Chiratae Venturesが、Sequoiaを除くトップ4のVCだった。

Steadview Capitalは、配車サービスのOla教育アプリのUnacademyフィンテックスタートアップのBharatPeを含む9つのスタートアップへの投資により、プライベートエクイティファンドの先駆けとなった。NoBrokerに投資し、EdTech(エドテック)スタートアップのByju’sを最近黒字に転換させたGeneral Atlanticは、4つのスタートアップに投資した。FMO、Sabre Partners India、CDC Groupはそれぞれ3つのスタートアップに投資した。

HomeCapitalとBlowhornを含め40以上の投資を行っているVenture Catalystsは、今年インドのトップアクセラレーターまたはインキュベーターだった。Y Combinator25を超える投資を実行したほか、Sequoia CapitalのSurge、Axilor Ventures、Techstarsも今年非常に活発だった。

インドのテックスタートアップは、今年も多くのトップ企業や銀行から直接投資を引き寄せた。今月初めにフィンテックのスタートアップ、ZestMoneyに投資しGoldman Sachsは、今年合計で8件投資した。とりわけ、Facebookはインドのスタートアップに初めて投資した。投資先はソーシャルコマース企業のMeeshoとTwitterが1億ドル(約109億円)の資金調達ラウンドをリードしたローカルソーシャルネットワーキングアプリのShareChatだ。

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

インド政府が再びインターネットを遮断、今回はアッサム州とメガラヤ州

インドでは、12月13日からアッサム州とメガラヤ州でインターネットが遮断され、日本時間12月14日午前3時で36時間に及んでいる。物議をかもしている広範な市民に関わる新しい法律への抗議を抑制するのが目的だ。

320万人が暮らすアッサム州とメガラヤ州で行われている今回のインターネットの遮断措置は、ウェブ上での人々のコミュニケーションや情報へのアクセスを阻止するという、世界のさまざまな政府に広がる憂慮すべき傾向の最新の事例だ。

しかもインドは、6億5000万人の利用者を擁する世界第2位のインターネット市場でありながら、世界のどこよりも長く遮断措置を続けている。

12月12日、インドのラム・ナト・コビンド大統領は、前日に議会を通過した市民権修正法案を承認した。この法律は、自国のイスラム教少数派ではなく、3つの隣国(アフガニスタン、パキスタン、バングラデッシュ)からの非イスラム教少数派移民に市民権取得の道を開くというもの。

この法律が可決されるや、以前から3つの隣国からの移民に悩まされてきたインド北東部のアッサムとメガラヤの2つの州で、街頭抗議行動が巻き起こった。メガラヤ州ではメッセージサービスも停止されている。

政府の市民権州政法案に反対するデモ隊が放火した車両の残骸ごしに見える兵士たち。2019年12月13日、グワーハーティーにて(写真:BIJU BORO/AFP via Getty Images)

この事態を沈めるために、インド政府は軍隊を送り込み、インターネットを遮断した。こうした措置は、過去に国連から人権侵害と断定されている。

アッサム州の当局者は、「Facebook、WhatsApp、Twitter、YouTubeなどのソーシャルメディア・プラットフォームは風評の拡散、感情を煽る写真、動画、文章などの情報の伝播に利用されるめに、法と秩序を乱す恐れがある」と話している。今のところ、この2つの州でインターネットがいつ再開されるかは、公式には発表されていない。

メディアの人間同士が情報交換をできなくする、あるいはニュースや情報への接触を禁ずる施策は、一部の国では状態化しているものの、その数はインドの足下にも及ばない。

2018年に国家によるインターネットの遮断措置が行われた回数

デジタル人権団体Access Now(アクセス・ナウ)は、今年の初めに、2018年に記録されたインターネット遮断件数196件のうち、インドだけで134件を占めると伝えた。ニューデリーに本拠地を置くデジタル権利擁護団体Software Law and Freedom Centre(ソフトウェアの法と自由センター)が運営するサービスInternet Shutdowns(インターネット・シャットダウンズ)によれば、今年はインドで91件のインターネット遮断措置が記録されているという。

ジャンムーとカシミールでは、8月にインド政府が大半のイスラム教徒自治区の自治権を剥奪した後、インターネットを133日間にわたり遮断した。しかし、いまだ一部しか再開されていない

関連記事:インドが政府による個人データアクセスを可能にする新法案を提案

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(翻訳:金井哲夫)

インドが政府による個人データアクセスを可能にする新法案を提案

インドは、企業が市民の個人データを収集・処理する前に市民の同意を得ることを義務付ける新ルールを提案した。しかし同時に新法案では、企業はユーザーの「個人的ではない」データを政府に提出しなければならない、とされている。主権とより大きな公共の利益に対応するために国民に適用される法律を回避することで、政府は同意なしで市民のあらゆるデータを収集する権力を持つことになる。

コピーが火曜日(10月10日)にリークされた「個人データ保護法案2019」で提案されている新ルールでは、「インドの統治と高潔さ、国家の安全、他国との友好、治安のためであれば政府機関は法律の適用が免除される」となっている。

今後議会で議論されるが、この法案が通れば10年以上前に草案され物議を醸しているいくつかの法律に何も変更が加わらないことになる。

そのほかのルールでは、より良いガバナンスのために政府が「データ受託者またはデータプロセッサー」に「匿名化された」「個人的でないデータ」を提出するよう依頼できることを保証している。

先週の閣議で決まり、まだ一般には正式公開されていない新法律は、 Google(グーグル)やFacebook(フェイスブック)、 Twitter(ツイッター)、ByteDance(バイトダンス)のTikTok(ティックトック)、すでにインドで規制当局の厳しい目が向けられているその他の企業にとって新たな難題となるかもしれない。

インドはこの法案を2年前に起草して以来、大幅に変更を加えてきた。昨年公開された先の草案には、インド政府は法的手続きが伴わない限り、市民の個人情報を収集・処理してはいけないと書かれていた。

しかしながら、誰が「仲介」または「ソーシャルメディア」プラットフォーム、「ソーシャルメディア仲介」なのか、インド政府の考えは明瞭ではなく、確立されていない。最新バージョンでは、「ソーシャルメディア仲介」に支払サービスやインターネットサービスプロバイダー、検索エンジン、オンライン百科事典、電子メールサービス、オンラインストレージサービスは含まれていない。

提案されたルールの1つは、直接的にFacebookやTwitter、その他2人以上のユーザーが相互にやり取りできるソーシャルメディアをターゲットにしていて、そうしたサービスがユーザーにIDを証明するオプションを提供し、ユーザーのプロフィールにそのステータスを表示できるようにすることを義務付けている。これは、FacebookやTwitterがセレブや世間の関心を集めるアカウントで活用しているブルーティック(証明)に似ている。

先週ロイター通信は匿名の情報筋の話として法案の一部を報じた。その報道では、インドが誤情報の拡散を抑制するために任意のID証明を必須とすることを提案しているとした。

インドでは誤情報の拡散で少なくとも30人が死亡しているが、ソーシャルメディア企業がこうした問題に取り組んでいる中、ナレンドラ・モディ首相率いる政府も問題を解決する方策を模索してきた。政府そのものもソーシャルメディアプラットフォームを大いに活用している。

これまでの2年間、インド政府は国内にユーザー4億人超を抱えるWhatsApp(ワッツアップ)に対し、同サービスのプラットフォームに「トレーサビリティを持たせる」よう働きかけてきた。これは行政当局が情報を拡散している人を特定できるようにするためだ。

WhatsAppは、そうした動きは世界で10億人を超えるユーザーのプライバシーやセキュリティを支える暗号化を破ることになると主張してきた。

誤情報に関する政府の要望は法案には明記されていない。その代わり、新法律が「透明性と責任」を確保するのに貢献する、とされている。

一部の批評家はこの提案されたルールに対し懸念を表明した。 Mozillaで公共政策アドバイザーを務めるUdbhav Tiwari氏は、「法案はインド国民のプライバシーにとって重大な脅威となるかもしれない。インド国民が真に守られるのであれば、こうした危険な提案が法制化される前に議会がレビューしてただすることが早急に求められる」と話した。

インドのニュースサイトMediaNamaこちらのTwitterのスレッドでいくつかの変更を概説している。

画像クレジット: INDRANIL MUKHERJEE / AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Microsoft AIプロジェクトでインドの運転免許試験がスマートに

米国の巨大企業が、うんざりするような運転免許証の発行手続きを簡単にしてくれるかもしれない。その兆しを、インドでちらりと覗き見ることができる。

インドのヒマラヤ山脈の麓に位置するウッタラーカンド州の州都デヘラードゥーンでは、ここ数週間、運転免許証を取得した何百人もの人たちは、試験の際に隣に教官を乗せることがなかった

代わりに、彼らの車にはスマートフォンが取り付けられ、そこではHAMSが実行されていた。HAMSとは、Microsoft Research(マイクロソフトリサーチ)のチームが開発したAIプロジェクトだ。HAMSは、スマートフォンのフロントとリアのカメラ、その他のセンサーを使って運転者(とその目の動き)と前方の道路をモニターする。マイクロソフトリサーチによると、運転試験中の縦列駐車やロータリーでの見極めなど、車の軌道を正確にトラッキングできるよう、HAMSをカスタマイズしたという。

このAI技術は「例えば試験中に車を停止してしまったり、規定回数を超えて前後に進路変更を繰り返すといった運転者の行動を判断できる」とチームは話している。さらに「車線変更の前にミラーで確認したかどうか」といったこともわかるという。

インド行政職ウッタラーカンド州政府秘書官のShri Shailesh Bagauli(シリ・シャイレッシュ・バガウリ)氏は、デヘラードゥーン州交通局の運転免許証試験にHAMSを導入したことは「効率的で世界をリードするサービスをウッタラーカンドの住民に提供するという、交通局の目標に大きく近づくものです。路上の安全にAIを利用する先駆けと慣れたことに、私たちは誇りを持っています」と語っている。

HAMSは、Harnessing AutoMobiles for Safety(安全のための自動車制御)の頭文語だが、そもそも路上での運転者と運転の安全を向上させるために開発されたものだ。「運転者の訓練と試験は、その目標の基盤となります。そのためこのプロジェクトは、運転試験での運転者の評価という方向に傾くのは自然なことです」とチームは話す

運転免許試験の自動化は、少しずつ世界に広がっているが、試験場の道に沿って支柱を立ててカメラを設置するなど、大掛かりなインフラ整備が必要とされている。マイクロソフトのチームによれば、HAMSなら車内の映像も含め、試験の監視態勢を向上させながらも自動化のコストを削減できるという。

一部の調査(PDF)によると、インドでは運転免許証の交付を申請した人のうちの相当数が、面倒を嫌って試験を受けにすら来ていないという。「HAMS技術を使用した自動化により、審査官の負担が軽減されるばかりか、受験者にとってプロセスをわかりやすく透明化することができます」と、2016年にHAMSプロジェクトを立ち上げたマイクロソフトリサーチ・インドの副担当責任者Venkat Padmanabhan(ベンカット・パドマンアブハム)氏は話していた。

インドがこのプロジェクトの実験場となったことは、特段驚くことではない。米国の技術系企業はインドでの存在感を高めつつあり、成長著しい市場のひとつとして、さまざまな挑戦がそこで展開されている。

マイクロソフト、グーグル、アマゾンは、インドを実験場として、現地市場のためのソリューションを開発している。そのなかには、他国に展開されたものもある。マイクロソフトもすでに、インドで農家の収穫量を高める技術や、失明予防の技術を病院と共同で開発している。昨年は、アポロ病院と共同で、心臓疾患のリスク予測のためにカスタマイズしたAIを使ったAPIをインドで構築した。

また昨年、マイクロソフトは伝説的なクリケット選手Anil Kumble(アニル・クンブル)氏と共同で、子どもたちのバッティングフォームの分析に役立つトラッキング装置を開発した。さらにマイクロソフトは、保険会社ICICI Lombardと共同で、損害賠償請求や保険の更新の手続きを支援するAIシステムを開発している。

グーグルも、インド向けのサービスやツールを幅広く開発している。昨年は、現地の言語で書かれた小説を簡単にウェブ上で公開できるパブリッシャー向けのツールを立ち上げた。今年も、このAndroidを開発した企業は、洪水予測ツールの改良版を発表している。そしてもちろん、YouTube GoGoogle Stationといった人気アプリをインド専用サービスとしてスタートさせている。

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(翻訳:金井哲夫)

インドの小規模店舗向けPOSアプリ「OkCredit」が72億円を追加調達

インドのバンガロールを拠点とするOkCreditは、小規模店舗の帳簿デジタル化を支援するスタートアップだ。このほど新たな調達ラウンドで6700万ドル(72億円)を獲得し、事業の全国拡大を目指す。

創立2年目のスタートアップのシリーズBラウンドはLightspeedとTiger Globalがリードした。去る6月のシリーズAラウンドに続くもので、OkCreditの総調達額はこれで8300万ドル(89億円)になった。

OkCreditは店舗が日々の仕入れと売上を管理するためのモバイルアプリを提供している。先月OkCreditの創業者らはTechCrunchのインタビューに答えて、現在同アプリはインドの2000都市にわたり500万以上のアクティブ利用者がいると語った。

Lightspeed USのパートナーであるAmy Wu(エイミー・ウー)氏は、「OkCreditのアクティブ利用者は今年始めと比べて76倍に増えている。これは過去最高速の成長企業であり、このビジネスの驚くべきバイラル性とネットワーク効果の現れだ」と語った。

露天商から食料品店、薬局にいたるまでさまざまな種類の店舗がOkCreditに加盟している。

現在インドには5億人以上のインターネット利用者がいるが、この国の商店はほとんどデジタル化されていないと業界は推定している。未だに大きな紙のノートに取引を記録している。

「技術の進歩によって現金の支払いにはPOS端末が利用されるようになった。最近ではさらにQRコードが加わり、手書きの伝票は印刷されたレシートになった。しかしこの国で今も変わらないのは、ほとんどの客がノートに記録されている「つけ」で商品を購入しているという事実だ」とOkCreditのCEOであるHarsh Pokharna(ハーシ・ポーカーナ)氏が声明で語った。

ポーカーナ氏は本日TechCrunchに、同社はこの資金を使って社員を増やし、商店のユーザー基盤を拡大すると語った。商店向けのサービスの拡大も計画しているという。

インドで同様の試みを行っているスタートアップには、ほかにVyaparとKhataBookがある。

LightspeedのパートナーであるHarsha Kumar(ハルシャ・クマール)氏は声明で、「インドではあらゆる業種や業態でテクノロジーが導入されつつある。 長期にわたって中小零細企業セグメントは無視されてきたが、LightspeedはUdaan、OkCreditなどの中小企業分野への投資を通じて、テクノロジーの利用が急速に進んでいるところを見てきた。こうした発展を間近で見られることを大いに喜んでいる」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

インド最大のライドシェアサービス「Ola」が2輪車サービスに本格参入

インド最大のライドシェアサービスOlaは、同社の2輪車サービスOla Bikeが現在インド国内150以上の市町村で運用中であり、来年にはこの事業の規模を3倍にする計画であることを発表した。

ソフトバンクの支援を受けている創業8年の同社によると、Ola BIkeは「インドの辺境地」での運用が可能であり、数百万の人たちに便利なオンデマンド輸送手段を低価格な提供している。この2輪車ビジネスは、4輪自動車と同じくドライバーが乗客を載せて運ぶシステムで、2016年の開業以来インドの30万人近い人たちに新たな生計手段をもたらしてきた。

インド最大のライドシェアサービスOlaは、同社の2輪車サービスOla Bikeが現在インド国内150以上の市町村で運用中であり、来年にはこの事業の規模を3倍にする計画であることを発表した。

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Ola Bikeの利用料金は、1kmあたりわずか5ルピー(約7.6円)から。インドにおけるOlaの最大のライバルであるUberも、Uber Motoの名前で2輪車ビジネスを展開している。ただしUber Motoはまだインドの10都市程度でしか利用できない。OlaとUberはともに、3輪自動車によるサービスも同国で提供している。

近年インドではBounce、Vogo、Yuluなどのスタートアップが登場して2輪車レンタルサービスを提供しており、毎日数万人以上の人々が利用している。

Bounceの幹部は最近のTechCrunchのインタビューで、現在バンガロールでは同社のサービスが毎日約8万回が利用されていると語った。

Ola自身も、スクーターレンタルのスタートアップ、Vogoにおよそ1億ドルを出資している。Uberは今年、Yuluと提携してバンガロールで電動バイクサービスの試行を開始した。インドのUber広報担当者は今月TechCrunchに宛てた声明で、パイロットテストは継続中であると話したがそれ以上の詳細は明らかにしなかった。

Olaのマーケティング責任者であるArun Srinivas(アルン・スリニヴァサ)氏は声明で、「来年Olaは100万人以上のバイクパートナーを集める計画」であると語った。そして「Ola Bikeはビハール州チャプラのような小さな村から、グルガオンのような大都市まで、 あらゆるインド国民に早くて信頼性のある移動手段を手頃な価格で提供することを可能にするサービスだ」と付け加えた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アリババ子会社UCWebがインドでeコマース事業を開始する計画

中国のIT大手アリババグループの子会社、UCWebは、今後数カ月のうちにインドでeコマース事業を開始する予定だ。

TechCrunchに宛てた声明の中でUCWebの広報は、インドのコンテンツプラットフォームに関連するeコマース事業を構築する計画だと述べた。インドの既存のeコマース企業と競合する意図はなく、アリババグループはこの事業の開発を監督していないと付け加えた。

UCWebは人気のモバイルブラウザ「UC Browser」で知られている。同社は「インドにおける広範囲のユーザーコミュニティ」を活用してeコマース事業を構築するという。広報は「新しいサービスは、ユーザーとクライアントの双方の体験を豊かにするという当社の戦略に沿ったものだ」と述べている。

UC Browserは世界中で4億3000万人以上に使われている。インドには1億3000万人以上のユーザーがいて、このアプリの重要な市場のひとつだ。第三者の調査会社であるStatCounterによると、UC Browserはインドのモバイルブラウザ市場で23%以上のシェアを獲得し、Google Chromeに次ぐ位置につけている。なお近年、Google Chromeは63%にまでシェアを伸ばしている。

アプリの調査会社であるSensorTowerによると、UC BrowserはGoogle Playストアからのダウンロード数が現在もインドのトップ15に入っている。

近年、UCWebはUC Browserを強化してモバイルブラウジングにとどまらない製品へと成長させている。現在、12万人以上のブロガーおよび700社以上のメディアと連携してコンテンツを制作し、UC Browserのユーザーに提供している。

最近では、UCWebはウェブからビデオをダウンロードしたいユーザーのためのアプリをいくつもリリースしている。このような機能を提供するUCWebのアプリ「Vmate」は、親会社のアリババから1億ドル(約107億円)のコミットメントを得ている。

9月5日にインドで開催されたアリババのイベントの際、UCWeb Global BusinessのバイスプレジデントでありHuaiyuan Yang(ホワイエン・ヤン)氏は通信社のPTIに対し、同社がこれから展開するeコマース事業では既存のプレイヤーと協力するつもりであると述べた。アリババは、インドで電子決済とeコマースを手がけるPaytmの約30%を所有している。

ヤン氏はPTIに対し「我々にはアリババのeコマースの遺伝子がある。我々はまさに革新的なeコマースのビジネスモデルを始めようとしている」と述べた。

画像:VCG/VCG / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

Google マップで近所のレストランの割り引きが受けられる(インドの話)

Googleは本日(米国時間7月11日)、マップアプリに近所のレストランの割り引き情報を提示するサービスをインドで開始したと発表した。到達力と関連性を常に拡大しようと努めているこのマウンテンビューの巨大ハイテク企業にとって、インドは重要な鍵を握る海外市場のひとつだ。

Googleは今回、インドでのGoogleマップアプリに組み込まれる3つの新機能を公開した。ひとつには、Explore(周辺のスポット)タブの中に、新しく「Offer」(オファー)オプションが追加され、周辺のレストランから割り引き価格が提示されるようになった。Googleによると、これはレストランの予約プラットフォームEazyDinerと共同で提供されるサービスで、4000件以上のレストランの割り引きが受けられるという。この機能は、インドの11の大都市で提供されている。

レストランの割り引きは、まだ序の口だ。Googleは、より多くのパートナーと手を組み、より多くの分野に拡大する計画を立てているという。レストランのテーブルの予約も、Google マップアプリから直接行える。Googleは、EazyDinerとの取り引きの金銭面には触れなかったが、ニューデリーを本拠地とするこの創業5年のスタートアップは、今日までに1300万ドル(約14億1000万円)を調達している。

この新サービスは、いかにしてマップから利益を得るかをGoogleが考える中で登場した。同社は、企業ユーザー向けにGoogle マップ・プラットフォームを運営しているが、そのアクセス料金を年々値上げしている。それでも、一般消費者向けの部分での収益化を、思い切った方法で図る必要があった。

本日の発表の一環として、インドのExploreタブを「地域とコミュニティの豊かな多様性を反映させる」よう改善したと、Google マップのディレクター、Krish VitaldevaraとChandu Thotaはブログ記事の中で述べている。今回の模様替えで、レストラン、ATM、買い物、ホテル、薬局、そしてもちろん割り引き情報を素早く呼び出せるショートカットも追加したと、Googleは話していた。

さらに、Exploreタブのオプションとして、各都市のトップエリアの方向を示す機能も追加された。同社によれば、そうした地域を機械学習で特定しているという。「自分の街だけでなく、街の名前を検索するだけで、インドの他の街について調べることができます。出発前に、簡単に現地の状況が掴めます」とVitaldevaraとThotaは書いている。

3つめの新機能は「For You」と名付けられたものだ。新しいレストランや流行の場所など、個人の好みに合わせたおすすめ情報が表示される。インドのユーザーは、ひとつの店をフォローして最新情報やイベント情報を手に入れることができる。

「この機能はまた、Your Matchスコアを利用しています。これは、機械学習を使って、私たちが持つ無数にある場所の情報と、高く評価したレストラン、いいねをしたレストラン、行ったことがある場所など、ユーザーが追加した情報とを結合させます。初めてこの機能を使うときは興味のある場所を選択できますが、使っているうちに、その人の好みに合った、関連性の高いおすすめ情報が提示されるようになります」と2人のディレクターは述べている。

Googleは、インドでのマップの機能を引き続き拡大してゆく考えだ。数カ月前からは、タクシーが普段のコースを外れていないかを、または列車やバスのリアルタイムの運行状況を確認できる機能などを追加している。

インドには3億人のユーザーがいると見積もるGoogleは、今後もこの国をさまざまなサービスの実験台にするつもりだ。今回のアプローチによって、インドのスマートフォンの98パーセントで稼働するAndroid OSの提供者であるGoogleは、この国での普及率をさらに広げることができる。

しかしこれは同時に、Googleのインドでの影響力について独占禁止法違反の疑いによる捜査の必要性を国に抱かせることにもなっている。

インドのAndroidに対する独禁法捜査には穴がある(本文は英語)

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(翻訳:金井哲夫)

アップルが中国初のデザインと開発のアクセラレーターを開設

アップルは中国初のデザインと開発のアクセラレーターを上海に開設した。重要な海外市場のひとつである中国でサービスビジネスを拡大するために、地元の開発者が優れたアプリを作れるよう支援する。

アップルは、このアクセラレーターで開発者向けに定期的な講義、セミナー、ネットワーキングセッションを開始したと発表した。これは同社が2年前にインドのバンガロールに開設したのと同様のものだ。

インドにはアップル関連のアプリ開発者が約50万人いる。アクセラレータープログラムに参加した30人以上の開発者がTechCrunchに対し、このプログラムはきわめて有益だったと語っている。アクセラレーターへの参加は無料だ。

アップルは、台湾と香港を含む中華圏に250万人以上の開発者がいて、積極的にアップルのプラットフォームのアプリをさかんに開発していると述べている。中華圏の開発者はApp Storeの売上から290億ドル(約3兆円)以上を手にしている。公表されているところによると、アップルの売上の15%以上は中華圏が占めている。

アップルの中華圏のデベロッパリレーションズ責任者、Enwei Xie氏は声明で次のように述べている。「中華圏の開発者は世界をリードしている。App Storeで最も人気のあるアプリのいくつかは彼らが作ったものだ。我々は中華圏の開発者をこれまで以上にサポートできることをうれしく思う。教育から健康、エンターテインメントまで、我々が中華圏で目にする革新は素晴らしい。才能豊かな開発者たちが次に何を生み出すか、楽しみでならない」。

中国で(そしてほかの国でも)、iPadなど一部のデバイスは引き続き好調であるもののiPhoneの販売は成長が鈍っている。そのタイミングでデザインと開発のアクセラレーターが始まった。iPhoneの成長の鈍化は米中間で続く貿易摩擦から直接影響を受けている

アップルのティム・クックCEOは2019年第1四半期の収支報告に先立ち、投資家に向けて「私たちは中国の経済環境が貿易をめぐる米国との緊張の高まりによってさらに影響を受けたと考えています。不確実性が高まる風潮が金融市場に重しとなってのしかかる中、影響は消費者にも拡がる様相を見せており、中国では直営店やチャネルパートナー店への来客数が四半期終盤にかけて減少しました」と書いている。

中国での状況が好転してアップルの第3四半期はサービスの売上が急上昇するだろうと予想するアナリストもいる。

中国の大都市にデザインと開発のアクセラレーターを開設したことで、開発者がより質の高いアプリを作れるようになる。結果としてユーザーエクスペリエンスが向上し、アップルのサービスと製品のエコシステムとの関わりを深めることにつながるだろう。

インドの開発者アクセラレーターはアップルが初めて開設した開発者の拠点で、FlipkartやPaytmといった有力企業のスタッフがこのプログラムのセッションを通じて学び、各社のアプリを改良してきた。多くのアップルの社員や専門家がセッションで開発者をコーチしている。

アップルはここ数年、多くの市場でデザインとコーディングのプログラムを実施している。3月にはシンガポールの協力校でアプリ開発カリキュラムを拡大し、インドネシアには2つめの開発者アカデミーを開設すると発表した。イタリアでも同様のプログラムを継続している。今年の初めには、女性が設立した11のアプリ開発会社をアントレプレナーキャンプに受け入れた

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(翻訳:Kaori Koyama)

Beyond NextがインドC-CAMPと提携で相互支援、海外投資も本格化

独立系アクセラレーターのBeyond Next Ventures(BNV)は6月3日、インド・バンガロールのインキュベーターCentre for Cellular and Molecular Platforms(C-CAMP)との業務提携を発表した。

写真右から2人目:BNV代表取締役社長 伊藤毅氏

C-CAMPが拠点を置くバンガロール(ベンガルール)はインドの南部に位置し、「インドのシリコンバレー」と呼ばれるテック企業の集積地であり、技術系大学や医大など、インド有数の大学が数多く集まる都市でもある。C-CAMPはその地に2009年、インド政府科学省によって設立されたインキュベーターだ。

これまでに100を超えるスタートアップを支援してきたC-CAMP。ライフサイエンス分野を中心とした最先端の研究開発、投資、メンタリングの実施や、インキュベーション施設の提供などを通して、インドのスタートアップの事業化・成長支援を推進してきた。

BNV代表取締役社長の伊藤毅氏は、C-CAMPについて「シェア型ウェットラボを運営するなど、我々と似た活動をしているアクセラレーター」と説明する。インドには政府が政策として、予算を付けてバックアップするインキュベーターも多く、再生医療の分野などでアカデミア発のベンチャーの事業化を支援している。C-CAMPもそのひとつ。バンガロールにあるライフサイエンス領域のインキュベーターでは、中核的な存在だという。

BNVも2014年8月の創業時から、アカデミア発のスタートアップ支援を行うアクセラレーターで、2018年10月には2号ファンドを設立。1号ファンドとの累計で150億円近い額となるファンドを運営し、ライフサイエンス分野を中心とした技術系スタートアップへのインキュベーション投資や事業化・成長支援を実施する。今年2月には東京・日本橋に開設されたシェア型ウェットラボの運営を開始した。

今回の業務提携では、両社がインドおよび日本の起業家育成、双方のアクセラレーションプログラムを通した人材・テクノロジーの交流などを目的としたコンソーシアム「C-CAMP Beyond Next Ventures Innovation Hub(CBIH)」を設立。インドにおける技術系スタートアップへの投資やハンズオンサポートなどを組み合わせ、インドと日本双方のイノベーションの創出を目指す。

より具体的には、BNVが日本で投資するスタートアップがインドで事業を展開したり、ラボへ入居したりする際にはC-CAMPがサポートを実施。C-CAMPがインキュベートを手がけるインドのスタートアップには、BNVが日本でのパートナーや投資家の紹介、アクセラレーションプログラムへの参加などで支援する、といった形で両社の経験やネットワークを生かしていく。

また、これを機にBNVでは、インドへの投資を本格展開していく予定だ。BNVが投資を行う現地のライフサイエンス領域のスタートアップについては、C-CAMPがデューデリジェンスや育成をサポートする。

「インドは人口も多く、世界第3位のスタートアップ大国でもある。中でもインドのシリコンバレーと言われるバンガロールは投資機会に恵まれた地域だ。また、インドは今後も発展を続け、中長期的には大市場となる。我々の投資先であるスタートアップにとって、海外の展開先としても有望な国だと考えている。学力や教育レベルも高く、ITエンジニアだけでなく、ライフサイエンス領域でも優秀な人材が多い。今は日本の方が優れた研究もあり、論文も多いかもしれないが20〜30年後、中長期的にはそれが変わっていくとみている」(伊藤氏)

今年8月には創業5年を迎えるBNV。現在、海外では2社のスタートアップに出資しているが、今回の業務提携をきっかけに、インドだけでなくアジア諸国、海外への投資を加速していく考えだ。

インドで新鮮な魚や肉、野菜を提供する電子商取引プラットフォームのFreshToHome

シャン・カダビル(Shan Kadavil)氏は、テックサポート企業であるSupportのマネージャーを務めたあと、ゲーム会社Zyngaのインド事業を率いていた。そんな彼が自分の息子が生まれたときに、天命のようなものを感じたのだと言う。カダビル氏は、インドで売られている食肉の多くが健康的ではないことに気が付いたのだ。傷みやすい食品たちが化学物質漬けにされ、表面的には6カ月もしくはそれ以上に消費期限を引き伸ばされていた。彼はその状況を改善したいと考えたのだ。

それから4年。本日カダビル氏は100%純粋で新鮮な魚、鶏肉、その他の食肉を提供するFreshToHomeが、シリーズAで1100万ドル(約12億円)を調達したと語った。同社は、これまでに1300万ドル(約14億2000万円)を調達している。

このラウンドはCE Venturesの主導によって行われ、Das Capital、Kortschak Investments、TTCER Partners、Al-Nasser Holdings、M&S Partners、そしてその他のアジアやシリコンバレーを拠点とする投資家たちが参加した。FreshToHomeの支援者の中には、Google東南アジアの元責任者であるラジャン・アナンダン(Rajan Anandan)氏、GVのCEOであるデビッド・クレーン(David Krane)氏、そしてZyngaの会長であるマーク・ピンカス(Mark Pincus)氏なども含まれている。

FreshToHomeはすでに、インドの4都市、 バンガロール、デリー首都圏(デリー、グルガオン、ノイダ、ファリダバード、そしてグレーターノイダ)、チェンナイ、ケララ(コーチ、トリバンドラム、カリカット、そしてトリチュール)で40万人の顧客を集めている。またスタートアップは、バックエンドでは125の沿岸地域で1500人の漁師たちと取引をしている。

TechCrunchとのインタビューで、カダビル氏はスタートアップが「インドの農民と漁師の皆さんを『Uber化』しようとしています」と述べた。「私たちは彼らに、商品取引のためのアプリを提供しています。なおこれに関しては米国特許を取得済です。農民や漁師の方々が行うことは、アプリを使って私たちに対して電子的な入札(地元の法律で定められている)を行うことです」生産者と直接やりとりを行うことによって、スタートアップは半ダースもの仲介業者を排除してコストを削減している。

またスタートアップは独自のサプライチェーンネットワークを構築している。「私たちは1000人の従業員、100台のトラック、40の収集ポイントを保有しています」。スタートアップはまた、列車や飛行機も使って在庫を移動させている。このことで、同社は航空会社であるIndigoとSpiceJetの最大の顧客の1つになったと彼は付け加えた。カドビル氏によれば、FreshToHomeは食肉を扱う最大の電子商取引プラットフォームでもあり、総流通総額(GMV)は毎月173万ドルに達するということだ。

もしこれが良く練られた戦略だと思えるならば、それはこれを運営している人たちの努力の賜物だ。カダビル氏が、一緒にFreshToHomeを設立したマシュー・ジョセフ(Mathew Joseph)氏は、30年以上にわたって魚の輸出に取り組んできた業界のベテランだ。ジョセフ氏は2012年に、SeaToHomeという名のインド初の魚と肉の電子商取引事業を開始した。

FreshToHomeは、共同農場を営んでいる農家にとっての、マイクロVCとしての性格も見せ始めている。そのモデルの中では、FreshToHomeは農家が特定の種類の魚を捕獲するために、最新の技術を使うように指導している。現時点では月間で、共同農場で生産され市場で販売される食材は60トンを超え、スタートアップが販売する全体の量は400トンを超える。

FreshToHomeは、新しく得た資金を使ってサプライチェーンネットワークを拡大し、8500軒もの新しい農家とつながり、野菜の配達を開始する。既にバンガロールでの野菜の配送は始まっている。カドビル氏は、さらにムンバイとプネの2都市に拡大する予定だと語った。

FreshToHomeの数少ない競争相手は、これまでに3500万ドル以上を調達しているLicious、ZappFresh、そして今月初めに15000万ドルを調達した BigBasketなどである。インドのコールドチェーン市場は、今後5年間で370億ドル(約4兆円強)に成長すると推定されている。

準備された声明文の中で、CE Venturesのディレクターであるチュシャ・シンビ(Tushar Singhvi)氏は、次のように述べている。「インドの食肉およびシーフード市場は、500億ドル(約5兆5000億円)規模の市場であると考えられています。しかし私たちは、それが極めて断片化された市場であることを忘れてはなりません。FreshToHome.comは、業界を合理化しようとしているだけでなく、テクノロジーを使って業界が機能する方法を刷新しようとしているのです。そしてサプライチェーンを単純化し、仲介業者を排除して、漁師や農民と市場モデルの中で直接取り引きを行い、大衆が新鮮で化学物質を含まない食材を手に入れられるようにするのです」。

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(翻訳:sako)

Apple Musicがインドで料金を値下げ、地元サービスに対抗

米国時間4月7日のWSJによると、Appleの音楽ストリーミングサービスは米国の有償利用者数でSpotifyを上回り、さらにインド市でも同じことをするべく大幅値下げに踏み切った。

さらにApple Music学生プランも月額60ルピーから49ルピーに、ファミリープランも190ルピーから149ルピーにそれぞれ値下げられた。

このニュースはThe Indian Expressが最初に報じ、その後ソーシャルメディアを通じて広まった。

値下げされた新料金は、既存ユーザー、新規ユーザー両方に適用されるようだ。

インドはストリーミングサービスにとって重要な市場であるとともに、最近はSpotifyだけでなく主要米国IT企業の戦いの場となっている。

今年3月、YouTube Musicとその有償サービスであるYouTube Premiumがインドに上陸し、すでに参入していたAmazon、Googleに続いた。Spotifyも今年インドに進出したが、Warner Muisicとの複雑なライセンス論争が巻き起こり、提供楽曲数に影響を与えた。

しかし、市場支配を目指して殴り合っているのはこれらの会社だけではない。

現在インドの音楽シーンは充実しており、Gaana、JioSaavn(JioMusicとSaavnが合併して作られた)、Wynkなどの地元企業も参入している。

そして最近、JioSaavnとGaanaは、両社とも年間購読料金を70%引き下げた。こうした値下げは、顧客を一年間囲い込み、YouTube、Spotify、Appleなどに近づけないことが狙いだ。JioSaavnのプレミアム会員料金は年間999ルピーから299ルピーへと70%引き下げられた。一方Gaana Plusは年間1098ルピーから298ルピーに値下げられた。

AppleはインドでのApple Music購読者数を公開していないが、世界では5600万人の購読者がいる。

同サービスはインド市場に向けてカスタマイズされており¥プレイリストにはマラヤーラム語、タミル語などの現地語の人気楽曲も含まれているとThe Indian Expressは書いている。ローカライズされたラジオ局が14局あるほか、インドの有名レコードレーベル、Saregama、T Series、Zee Music、YRF、Universal、およびSonyと提携している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook