7日先どころではない―気象スタートアップのWeatherPlannerは来年の今日の天気を予報する

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半年後の従兄弟の結婚式の当日の天気がわからなくて落胆する人間は今のところあまりいない。しかし将来はどうだろう? 実はそのような予測が可能になりつつあるのだ。

昨日(米国時間10/27)、われわれのTechCrunchラジオの人気番組でWeatherPlannerというスタートアップが来年の今日の天気がどうなるか予報するテクノロジーについてプレゼンした。

予報の仕組みはおおむねこうだ。サービスはカバーする地点の100年分の気象情報を収集し、一般的な季節ごとの傾向を把握する。予報を求められると、その日を中心に前後10日の気象履歴を詳しく分析するわけだ。この方法を使えばユーザーは大掛かりなイベントを雨の多い季節のど真ん中に設定してしまうという失敗を冒さずにすむ。WeatherPlannerによれば、このテクノロジーはすでにハンバーガーチェーンのMcDonaldやスーパーマーケットのWalmartのような、ビジネスが天気に大きく影響される企業に提供されているという。WeatherPlannerでは同じデータを一般にユーザーにも使いやすいユーザー・インターフェイスでパッケージしている。

スノーボードをしにでかけたところドカ雪に閉じ込められたなどいうのはありがたくないのでWeatherPlannerのサービスは魅力的だ。しかし常識的に考えて、天気というものは変わりやすいのではないだろうか? WeatherPlannerの予報はどの程度信頼してよいのだろう?

こうした疑問に対して同社のCEO、Jay Ciccaroneはこう説明する。

われわれのアルゴリズムは、1週間後の天気を予報するのとまったく同じ精度で1年後の天気も予報する。ただしこうした比較には注意が必要だ。1週間後の予報と1年後の予報では背後にある科学が異なる。われわれは異なる問題を解こうとしているわけだ。人が10日より先の天気を知りたいとすれば、結婚式、スポー試合、バケーションの旅行など、かなり大掛かりなことを計画している。われわれのテクノロジーを利用しているFortune 500の場合も同じで、WeatherPlannerは気象トレンドを正確に分析する。WeatherPlannerは今後、日常生活で普通のニーズに応えられるようテクノロジーを強化していきたい。

現在WeatherPlannerの一般ユーザー向けサービスは無料だが、同社ではB2B戦略に重きを置く考えだ。WetherPlannerではデータを他社に販売することを考えている。たとえば、自治体の市民サービス部局はWeatherPlannerのデータをもとに将来の結婚数の増減を予測し、それに応じて結婚許可書の発表など各種の事務の規模を調整できるだろう。

昨日、IBMは20億ドルでThe Weather Companyを買収することを発表した。これは気象データをめぐるビジネス規模が巨大化していることを明らかにしたものといえるだろう。WeatherPlannerのデータが同社の主張のように正確なものであれば、気象の長期予報というビジネスの中に確固とした地位を占めることなるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Twitter、Q3決算で株式8%急落―売上見通し弱く、アクティブ・ユーザー数頭打ちに市場は嫌気

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株式取引終了のベルと同時にTwitterは2015年第3四半期の決算を報告した。 今回の財務情報によると、同社の売上は5億6920万ドル、調整済み一株当たり利益は0.10ドルだった。市場はTwitterが5億5960万ドルの売上に対して0.05ドルの一株当たり利益を上げることを期待していたのでこれは上回ったといえる。

しかし財務内容を説明するカンファレンス・コールの後、Twitter株式は時間外取引で約8%急落した。

Twitterは第3四半期の月間アクティブ・ユーザーを3億2000万人と発表した。この数字は前年同期には2億8400万だったが、直前の第2四半期には3億1600万人だった。

現在Twitterについてはアクティブ・ユーザー数の頭打ち傾向が投資家の最大の懸念だ。今日(米国時間10/27)の決算報告でTwitterはこうした懸念を吹き払うことに失敗した。一見したところアナリストの期待を上回る財務情報でありながら、Twitter株が大きく売り込まれたのはそういう理由だ。

売上の伸び率に関してTwitterは問題ない。売上は対前年比で58%も伸びている。しかしユーザー数が横ばいなのはこの企業のキャッシュ・フローを見る上で本質的な弱みだ。読者も記憶しているだろうが、投資家はキャッシュ・フローを見る。

Twitterのモバイル対応は模範的だ。広告収入の86%はモバイル広告の画面から来ている。あの小さいなモバイル・サービスの広告を健全な収益に結びつけることに成功した企業はごく少ない。

にもかかわらず、ユーザー数が増えないことに対する投資家の懸念は晴れなかった。

Twitterが発表した今後のビジネスのガイダンスによると、同社は今期(第4四半期)に6億9500万ドルから7億1000万ドルの売上を予想している。市場では第4四半期の売上は7億3970万ドルに届くだろうと予測されていたので、これを大きく下回るガイダンスの数字は投資家を落胆させることとなった。

通常の会計基準に従えば、今期Twitterは1億3170万ドルの企業価値を失ったことになる。投資家はこれまでTwitterをGAAP基準の財務情報では判断せず、ソーシャルメディアの将来性に賭けてきた。しかし事情がこうであると、市場はもはやTwitterにそのような楽観的基準を適用しないことになりそうだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

医療機器からペットの健康まで―イスラエルのヘルス・テクノロジーに世界の多国籍企業の関心が集中

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イスラエルの数多くの小さなヘルス関連スタートアップが集める世界の大企業の関心は恐ろしいほどだ。スイスやアメリカ生まれの多国籍製薬会社や医療企業はイスラエルのハイテク・ブームから利益を得ようと試みている。イスラエルのヘルス・テクノロジー自体、世界的な医療テクノロジーのイノベーションの需要に牽引されている。その結果、イスラエルは投資家の注意を強く引き付けるようになっている。

Israel Advanced Technology Industries〔イスラエルの高度テクノロジー産業〕の2015年の報告によれば、同国のライフ・サイエンス企業は2014年に14億ドル以上の資金をNASDAQで集めている。

つまり、2014年に行われたバイオテク関連の上場73件のうち、約1割、7件はイスラエル企業だった。さらにこの報告に引用されているVenture Capital(IVC) Research Centerによれば、 8億100万ドルの資金がイスラエルの167社のライフ・サイエンス関連企業に投資された。これは前年に比べて55%の増加だ。

多国籍企業の一部はイスラエルでスタートアップの買収に力を入れているが、同時にAbbott Labs、Philips、 Carestream Johnson & Johnson他の有力企業は現地にR&Dセンターを開設している。

特にこの数ヶ月、わが国のヘルス関連スタートアップへの関心が高まる傾向が見てとれる。

この10月だけでも、この記事のタイトルを裏付けるような動きがあった。たとえば、今月初旬Boston Scientific Corporation (NYSE: BSX) はある種の心臓弁膜症に対して人工心臓弁を提供するイスラエルのスタートアップ、MValve Technologies Ltd.に対する追加投資を完了したことを発表した。.

もう一つ大きな動きとしては、スイスの巨大製薬会社、Novartis (NOVN: VTX)が、イスラエルの幹細胞治療研究企業、Gamida Cellに最大1500万ドルの投資をすると発表したことが挙げられる。2014年にNovartisはGamida Cellに3500万ドルを投じて15%の株式を取得している。Novartisの投資は最大で6億ドルに達する可能性がある。

Cukierman & Co. Life Sciencesの社長、Dr. Laurent Choppeは次のように証言する。

こうした〔投資などの〕動きは、イスラエルの現地で起きているイノベーションのトレンドをはっきりと証明するものだ。現在、わが国のスタートアップに対して外国企業は最初期から投資を行っている。過去には外国からの投資はもっと後の段階で行われるのが普通だった。たとえば、Novartisの2回目の投資がこのことをよく示している。イスラエルのバイオテクはすでに世界的なブランドとなったといえるだろう。さらに、イスラエルの国家最高技術責任者(Israel’s Chief Scientist)もスタートアップの発展に多大な貢献をしてきた。 今やわれわれは過去の努力の成果を刈り取る時期に至っている。

イスラエルのテクノロジーR&Dのレベルの高さは世界の注目を集めている

去る9月には、 Johns Hopkins大学テクノロジー・ベンチャーズがイスラエルのヘルスITのインキュベーター、 Luminoxとの間で段階的契約に調印した。また同月、アメリカの医療機器メーカー、 ZOLL Medical Corpはうっ血性心臓障害を早期に発見するテクノロジーを開発しているイスラエルのスタートアップ Kyma Medical Technologies Ltdを買収した。9月初旬にはワシントンDCに本拠を置くアメリカのべんチャーキャピタル、 eHealthVenturesが脳障害を治療するテクノロジーを研究しているテルアビブのスタートアップ、 Intenduに投資したと発表した。

Choppe博士によれば、さまざまな多国籍企業がイスラエルに大きな組織を置き、有望なスタートアップに目を配って必要なら即座に投資ができる態勢を整えているという。

大企業傘下のベンチャーキャピタルがイスラエルを訪問する頻度が増えている。この点は過去からはっきり変わった点だ。こうした大企業本体はイスラエルでずっと前から商業的に運営されているが、最近はイスラエルにおける初期のスタートアップのモニタに力が入れられている。

イスラエルのライフ・サイエンス系産業は多様だが、中でも医療機器の分野は抜きん出ている。 Israel Advanced Technology
Industriesの調査によると、全ライフ・サイエンス産業の53%、725社が医療デバイスを扱っており、バイオテク・製薬が2位を占め、23%、317社、ヘルスケアITが20%などとなっている。

こうした大きな分野の確立にともない、消費者とこのようなテクノロジーを結びつける下位分野の起業も活発になっている。.

9月にテルアビブに本拠を置く Archimedicxがオンライン医療検索エンジンを世界に公開した。この検索エンジンを利用すると、特定の疾病、症状をもつ患者はそれに対応した専門医療施設を容易に発見できるという。この検索エンジンは現在世界の主要な300病院を症状や疾患の種類に応じてランクづけしている。「われわれのアルゴリズムは世界の主要病院を特定の疾患は必要とされる特殊な処置ごとにランキングできる。対象となる病院がわれわれと提携していなくてもランキングは可能だ」とArchimedicxのCMO〔最高医療責任者〕のGuy
Klajmanは言う。

2015年初頭に起業したテルアビブのスタートアップ、 Somatixは、人間の手の動きをモニタし、喫煙のような独特の動作を検出して健康に有害な行動を防止するのに役立つフィルタリング・アルゴリズムを開発した。

イスラエルのスタートアップはこうした人間の医療に関して努力を払っているだけでなく、一部はペットの健康という多少競争相手の少ない分野にも進出している。たとえば、 PetPaceはペット用の首輪で、無線で健康情報その他ペットの行動をモニタする。.

人間からペットまで、イスラエルのスタートアップはヘルス分野、メディカル分野まで幅広い。このエコシステムは患者から医療機関、ヘルスケア提供者、デバイス・メーカー、ヘルス・ソフトウェア・ベンダー、R&D組織のすべてをカバーしている。

このイスラエルのイノベーションのレベルの高さはすぐに世界的多国籍企業の注目するところとなった。現在のトレンドが継続するなら、 2015年はイスラエルのヘルス・テクノロジー産業にとってまたも記録破りの年となるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


【以上】

Square、上場申請書を更新―Q3の売上は3億3220万ドルに鈍化、損失は5390万ドルに拡大

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今日(米国時間10/26)、Squareはアメリカ証券取引委員会に提出していたS-1上場申請書を第3四半期のデータに更新した。これによると、同社の売上の伸びは鈍化し、純損失の比率は拡大している。.

Squareによれば、第3四半期には純損失約5400万ドルが計上されているが、これは主としてStarbucksとの取引におけるコスト4100万ドルが計上されたことよるとしている。また、第3四半期では支払処理手数料の売上が2億8100万ドル、全売上が3億3200万ドルだった。第2四半期では、全売上は2億2700万ドル、純損失は3770万ドルだった。

これらの数字は支払処理手数料の伸びが鈍化していることを意味している。近日上場を計画している企業として、投資家に送る最良のサインとはいえないだろう。ただし企業のサイズが拡大するにつれて売上の伸び率は一般に低下していく。しかし上場をめぐる株式市場は現在やや不安定な状態にある。決済サービスのFirst Dataの株式上場初日に急落した件は、市場に大きな影響を与えたようだ。

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当初、Squareの最初の上場申請書では、財務状況はそこまで悪いようには見えなかった。2015年上半期の売上は5億6060万ドル、 純損失は7760万ドルに過ぎなかった。また前年同期には売上3億7190万ドルに対して純損失は7940万ドルとやや膨らんでいた。

同社の営業費用は近年売上を追い越して大きく伸びている。2013年の第4四半期以降、運営コストが急増したことがSquareの非 GAAP損失がここまで高くなった主要な原因だ。事実、暦年の第3四半期の純損失は第2四半期の2倍近くになっている。もちろんSquareのビジネスは季節的要因に大きく左右される。しかし高コストだが高成長が期待できるとしていた企業の見かけ上の損失拡大は、浮き足立っている投資家の心理をさらに消極的にするおそれがある。

調整ずみEBITDAベース―上場の際に投資家が気にする指標―では、Squareはやはり問題を抱えており、前四半期には85万9000ドルの黒字だったのに対して今期は1580万ドルの赤字を計上した。この数字は昨年同期よりやはり悪く、EBITDAは1300万ドルの損失を計上しなければならなかった。

Squareの営業コストは今後も増大していく見込みだ。同社の発表によると、第3四半期の営業コストは1億4850万ドルだったという。前年同期には 9710万ドルだった。.

いくつかの理由から、Squareは最近もっとも注目される上場となっている。その一つはCEOのジャック・ドーシーだ。ドーシーはSquareとTwitter双方の共同創業者であり、両者を現に指揮している。ドーシーは数週間前に所有するTwitter株式の3分の1をTwitter社員に返還した。その際、ドーシーはSquare株についても20%以上を持っていることが明らかとなった。 つまりSquareの上場が成功すれば、ドーシーはこちらでも巨額の資産を得ることになるわけだ。

一方で、Forbesが気づいたところによると、ベテランのベンチャーキャピタリスト、 Vinod KhoslaがSquareの取締役を辞任していた。以下はSquareによる声明だ。

Khosla氏は以前から上場の直前にわが社の取締役を辞任したい考えを明らかにしていた。これは同氏が日頃から述べていた上場企業の取締役は務めないという方針に沿うものだ。Khosla氏のSquare社取締役会からの辞任は上場申請書が公式に有効となると同時に発効する。同氏は引き続きわが社において取締役会に対するアドバイザーの地位を占める。

現在TechcCrunchでは新しい上場申請書を精査しており、新しい情報が得られ次第この記事をアップデートする予定だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

エイズ薬を1錠750ドルで売ろうとした傲慢CEOに鉄槌―ライバルが同じ薬を1錠1ドルで販売へ

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1月ほど前に32歳の元ヘッジファンド・マネージャー、マーティン・シュクレリ(Martin Shkreli =上の写真)が大部分を出資して設立した製薬ベンチャー、チューリング・ファーマスーティカルズ(Turing Pharmaceuticals)は、はるか以前に開発されたエイズ治療薬をいきなり1錠750ドルに値上げして大炎上した。その経緯は読者の記憶にも新しいだろう。

誕生以来62年の製薬会社、Daraprimはトキソプラズマ症その他に効果のある薬剤を販売していた。シュクレリが5500万ドルを投じてDarapirimを買収するや、問題の薬剤は1錠あたり13.50ドルからいきなり750ドルという法外な価格に値上げされた。

シュクレリはこの暴挙に当初まったく謝罪の態度を見せず、「アンビエン(睡眠薬)を飲んでいるので夜はよく眠れる」とツイートした。この人物のいささか驚くべき行動についてはわれわれもここで報じている

シュクレリはRetrophinというバイオテック・ベンチャーのCEOとして頭角を表したものの、重大な人格的欠陥によってその地位を追われている。昨日((米国時間10/22)、サンディエゴに本拠を置く上場製薬会社のインプリミス・ファーマスーティカルズ(Imprimis Pharmaceuticals)はダラプリムと同種の薬剤を開発し、1錠ほぼ1ドルで販売する計画を明らかにした。シュクレリにとって自らの行動にふさわしい結果だろう。

「チューリング社が自ら適切と考える価格で薬剤を医療機関に販売する権利は尊重するもの、われわれは同種の薬剤をはるかに効率よく生産することができる。患者、医師、保険会社はこれによって大きな利益を得られるだろう」とImprimisは声明を発表した。

Imprimisの新薬は葉酸系のジェネリック薬品を含んでおり、こちらはFDAの認可を受けているが、新薬全体としてはまだ認可は出されていない。San Diego Union-Tribuneの報道によれば、現在この薬品は医師の処方箋によって特定の患者に投与することが可能だという。

チューリングを設立したシュクレリは今年8月、9000万ドルのシリーズA資金を個人的にほぼ独力で調達したと伝えられる。シュクレリはこの資金調達には「匿名の機関投資家多数が参加している」と声明を出していた。

チューリング社には高優先度の担保付き債務が存在するが、こ種のスタートアップとしては異例だ。シュクレリがDaraprimを焦って値上げした理由はこれによって説明できるかもしれない。

あらゆる方面からの非難の集中砲火を浴びてシュクレリはABCニュースのインタビューに対して、「Daraprimの価格を適切な水準に下げる」と約束した。

これは2週間前のことだが、値下げはいまだに実現していない

今日(米国時間12/23)、チューリング社は「てんかん性脳障害に効果のある薬品」の臨床試験がFDAによって認可されたと発表している

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Surface Pro 4はWindows 10を得て最良のタブレットに―仕事に使うならSurface Bookとさてどっち?

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Microsoftは先日のプレスイベントで重要な2つのハードウェア、Surface Pro 4とSurface Bookを発表した。Surface Pro 4のハードは実質的にSurface Pro 3だが、Windows 10搭載のおかげで初めて仕事に使えるマシンに生まれ変わった。Microsoftの歴史上、これは初の現象かもしれない。レビューの結論は以上だ。読者は解散してよろしい。

というわけにもいかないので、Surface Pro 4と兄貴分のSurface Bookを先週いっぱい使ってみた経験を少し詳しく報告しよう。この両機種は最初の印象ではそっくりだったが、実際に触れてみると、まるで違う製品だった。そのあたりも紹介していきたい。読者は新しいSurface Proについて少なくも漠然とした印象くらいはお持ちと考える。もしそうでないなら、まずこちらを読んでいただきたい。

概要と印象

Surface Pro 4はPro 3に比べて筐体がやや薄くなり、ハードは強力になった。また各所に改良の努力が見られる。

あっさり言ってしまえば、内容としては前回の製品とほぼ同様のタブレットだ。しかし MicrosoftはPro 4で「最良のタブレット」を目指した。そのために搭載されたのがWindows 10だが、これは前回Pro 3に搭載されたWindows 8.1が強みというより弱みになっていたのと対照的だ。

Windows 10を得てPro 4は以前と比べものにならないくらい強力になった。なんども同じことを言うなと叱られそうだが、事実なので止むをえない。

Microsoft Surface Pro 4 Tabletop

比較

Surface BookとSurface Pro 4を同時にテストすると両機種の差異が非常によくわかる。重要な点から紹介しよう。:

  • Surface Pro 4はタブレットのハイブリッドであり、そのとおり、ユーザーのタブレットないし軽量ノートをリプレースしようとしている。
  • Surface Bookはノートのハイブリッドであり、メイン・マシン、ないしセカンド・マシンの位置を占めようとしている。

両製品のサイズ、モニター、バッテリー容量、キーボード、価格などがこれを裏付けている。

  • Surface Pro 4はより小型で、軽く、持ち歩きに便利、Bookに比べて価格が安い。
  • Surface Bookはより大型で、重く、持ち歩きに不便で、Pro 4より価格がはるかに高い。

つまりユーザーのニーズによってどちらの製品が適切か決まることになる。

これだけでは多少漠然とした解説かもしれない。たしかに両製品ともカテゴリーとしてタブレットとノートの境界線上に位置しており、注意深く観察しないと違いを見失いがちだ。

Microsoft Surface Pro 4 Touch Cover Onstage

ところがうまくしたもので、実際に使ってみると両者はまるで違う。Pro 4はデスクトップで使う製品で、おそらくは普段は強力で大型のモニタが接続されているだろう。Surface Bookをタブレットとして使ってみると、いささか違和感がある。

私は発売前にお蔵になってしまったSurface Mini以外のSurfaceはすべてテストしてきた。その上で言うが、Surface Pro 4はこれまででダントツに最良のSurfaceだ。
信じてもらいたい。

メリット

私が前回のSurface Pro 3に感じていた最大の不満はWindows 8.1とキーボードの設定方法だった。今回Type Coverは大きく改良されて使いやすいキーボードになった。とはいえ専用キーボードを好むコンピュータ・オタクも多いだろう。仕事でタイプしているならほんのわずかの能率の差も大きく影響する。

Surface Pro 4のキーボード、いわゆるType Coverはこの種の製品として断然最良だ。機能としては見たとおりだが、キータッチや信頼性などどこにも妥協の跡が感じられずまったく申し分ない。もちろん極めて薄型のキーボードを叩いている感触はある。ただそれがまったく気にならないのだ。

Microsoft Surface Pro 4

比較を続けるならPro 4のタイプカバーはSurface Bookの専用キーボードのレベルにほとんど達している。ほとんど、ということはやはり多少そこに差がある。頑丈なノートパソコンの筐体をカバーで完全に再現するのは無理だ。またSurface Bookのキーボードはフルメタル製だ。

デメリット

ここまで読んで「お前は壊れてレコードプレイヤーか? さっきから同じことばかり言っているぞ」という感想をもたれたのであれば申し訳ない。だがSurface
Pro 4はこれまでの不満を一気に解消するような製品に仕上がっているのも事実だ。

とはいえ、 Pro 4にも限界はある。もし読者があらゆる作業が可能なフルパワー・マシンを求めているならPro 4は向かない。毎日外出しており、そのつど重いマシンを担いていくのが気が進まないならPro 4は好適だ。しかしあくまでニッチ・デバイスだということには留意されたい。

Microsoft Surface Pro 4 Stylus Array 2

しかしそういう機能上の点はあまり重要な問題ではない。Surface Pro 4に対して私が感じる最大の違和感は価格だ。MicrosoftはPro 3に比べてPro 4を100ドル以上も値上げした。Pro 4は入門モデルでさえ899ドルもする。キーボード(Type Cover)は別にしてだ。つまりそこそこ実用になるPro 4を買えば。楽に1000ドルを超えてしまう。メイン・マシン以外のコンピュータにしては良い価格といわざるを得ない。

しかしMicrosftの考えではPro 4はビジネス用であり、ホーム・マシンではないようだ。MicrosofttはPro 4のターゲットとして企業のIT担当を考えていると思われる。ここにその証拠が上がっている

一般の認識

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誰もがPro 4をビジネス用と考えている

とりあえず結論

段階的な改良というのはそれぞれの製品を実際に使ってみないとなかなか実感できない。それでもSurface Pro 4が非常にすぐれたデバイスであることには変わりない。デスクトップマシンならSurface Bookのパワーが欲しいが、仕事で外に持ち歩くなら断然Pro 4だ。どちらも毎日の作業にすぐにでも欲しいところだ。

このタブレット、Pro 4はバッテリーが強力で、スクリーンは美しく、スタイラスペンのタッチは軽快だ。キーボードも良い。

現在のところ興味があるのは、Surface Bookがその強力なパワーでPro 4のシェアを侵食するかどうかだ。それとも両デバイスは全体としてSurfaceのシェア(と売上)を拡大するだろうか? 今後じっくり観察していきたいところだ。

〔日本版〕Surface Pro 4はMicrosoftが日本版を予約受付中。価格は13万4784円(税込)から。Surface Bookについては現在Microsoftサイトでは予約分は売切のようだが、他社サイトから予約できるようだ。価格は不明。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

日本のエンタプライズソフトウェアの大手Work ApplicationsがクラウドERPプラットホームAI Worksで合衆国進出

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Work Applicationsは日本の大手エンタプライズソフトウェア企業の一つだが、合衆国ではまだ知られていない。この東京の企業がこのほど、人工知能を利用して速くて正確なデータ入力を可能にするクラウドベースのERPプラットホームAI Worksで、合衆国にもその名を知らしめようとしている。AI Worksは昨日(米国時間10/19)、ラスベガスで行われたHR Technology Conferenceで披露された。

同社のプロダクトは現在7000社が利用しているが、合衆国市場に食い込むためにはWorkdayやSAP、Oracleなどの強敵に勝てるだけの、強力な差別化が必要だ。

Work Applicationsは1996年に、アジアの企業にERPソフトウェアを提供すべく創業され、現在社員は4000名いる。CEOのMasayuki Makino(牧野正幸)によると、当時合衆国企業のプロダクトはローカライズされていないものが多く、言語だけでなく各国によって異なる財務の慣行(会計年度など)も問題だった。そこで同社は、アジア各国の特性に合わせたソフトウェアを作ることにより、当市場でのシェアを伸ばした。

そして今や日本のトッププレーヤーになったWork Applicationsは、アジア以外の市場に勢力を広げようとしている。Makinoによると、ERPソフトウェアのユーザ体験はここ20年あまり変わってないから、それがWork Applicationsにとっては好機になっている。

先月行ったインタビューで彼は、“日本におけるトップの座を守るという考え方を捨てて、画期的な技術でユーザの生産性を大きく上げるイノベーション志向の企業になりたい”、と述べている。

同社によると、AI Worksはスプレッドシートやメール、分析ツール、クラウドストレージなどを統合して文書作成におけるコラボレーションを支え、とくにデータ入力に要する時間を半減する。ユーザがGoogle Autocompleteなどで慣れているユーザインタフェイスにより、レスポンスタイムを100ミリ秒以下に抑えている。とくに会計や経理の方面に強くて、入力されるデータの予知能力が高く、またレシートなどほかのドキュメントから数値を自動的に取ってくることもできる。

Work Applicationsはアジア市場、とくにシンガポールや中国で今でも伸びているが、ITの世界でグローバルプレーヤーになるためには北米市場に挑戦する必要がどうしてもある、とMakinoは主張している。

ただしその北米市場で成功するためには、企業ユーザを、既存のERPソフトウェアからWork Applicationsにスイッチしてもらうための、多大な努力が必要だ。Makinoは、AI Worksのデモを見たらそそられる顧客が多いはず、切り替えコストも低い、と確信しているが、“合衆国でマーケティングを展開するのはこれが初めてだから、いきなり成功する保証もない”、とも語る。

しかし彼によると、日本ではOracleやSAPのユーザのAI Worksへの乗り換えにかなり成功している。その切り札はデモを見てもらうことで、AI Worksが実際に使われているところを見たらほとんどの人が、“このプロダクトの魅力に屈してしまう”そうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

Red HatがITオートメーションのAnsibleを$150Mで買収へ…OpenStackデプロイをDevOpsのために簡易化

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オープンソースで大企業を築いたRed Hat(社員数7300)が、エンタプライズITのポートフォリオ充実のため、また企業買収を行おうとしている。本日(米国時間10/16)同社は、ITオートメーションのスペシャリストAnsibleを買収すると発表した。同社の得意分野は、オンプレミスとクラウドの両ソリューションを組み合わせたハイブリッドITの、構築、デプロイ、そして管理だ。

これまでの噂では買収価額が1億ドル強とされていたが、業界筋によると実際には1億5000万ドルに近いようだ。Red Hat自身は買収の条件を何も公表しないが、買収の完了は今月とされている。ただし、Red Hatのほかにも、Ansibleにアプローチしている企業が数社あるらしい。

2013年にSanta Barbaraで創業したAnsibleはこれまで主にMenlo Venturesと、e.venturesのパートナーDoug Carlisleから計600万ドルしか資金を調達していない。それに対し1億5000万ドルは、相当大きなリターンだ。

AnsibleはOpenStackクラウドのスペシャリストとして名を上げ、今年前半にはその支援者としてCisco, HP, CSCおよびRackSpaceとパートナーシップを結んだ。Red HatによるAnsibleの買収は前者が今後もOpenStackビジネスを拡大していく意思の現れであり、それにはハイブリッドクラウドの管理や、OpenStackとコンテナの展開など広範囲なサービスが含まれる。

とくに今回の買収では、Red HatによるDevOps向けプロダクトの底入れが期待され、デベロッパ兼オペレータが頻繁に現場の問題に即応して、迅速にコードを書き、デプロイもしていくという最近の成長トレンドを、支援していくものと思われる。すでにTwitterなどのテク企業では行われていたこの実践が、今やほかの業界の企業にも普及しつつある。

“Ansibleは、その過程を自動化する方法を提供する”、とMenloのCarliseは語り、それがRed Hatが同社に関心を持った理由でもある、と述べた。

Red HatのVP Joe Fitzgeraldは声明文の中で、“AnsibleはITオートメーションとDevOpsにおける、誰もが認めるリーダーである。同社はRed Hatが目標とする、摩擦のないITの提供に、大きく貢献するものと思われる”、と言っている。

また、Ansibleの協同ファウンダでCEOのSaïd Ziouaniは、“オープンソースのグローバルリーダーであるRed Hatが、ITオートメーションとシステム管理の未来に挑戦するためにAnsibleを選んだことに感動している。このことは、Ansibleのシンプルなサービスと、エンタプライズのカスタマベース、そして強力なコミュニティが、コンピューティングとネットワーキングとクラウドとコンテナのすべてをカバーするエンタプライズITオートメーションにおける、勝者になりつつあることの、強力な認定である”、と声明している。

買収に関するRed Hat自身の説明はここで読める。本誌ライターのFrederic Lardinoisによると、Ansibleは複雑なOpenStackに一見単純な外見を与えて、一般ユーザにとって使いやすいものにしている。

そのようにAnsibleは、コードのデプロイに伴う大量の専門技術や専門知識を不要にして、ふつうに英語でコマンドできるようにした、新世代のITプラットホームに属する、とされている(私の知人がそう説明してくれた)。

買収に関するRed Hatの声明文は、“競合するソリューションと違ってAnsibleではコーディングのスキルが要らないので、ITオートメーションの最大の障害の一つが取り除かれている”、と述べている。

Red Hatによると、Ansibleの技術がカバーしているのは、アプリケーションをプライベートとパブリック両方のクラウドにまたがってデプロイし管理する能力、DevOps方式でサービスのデリバリをスピードアップすること、OpenStackのインストールとアップグレードを簡素化/合理化すること、オーケストレーションと構成を単純化することによってコンテナの採用を加速すること、などである。

Red Hatは今日、ニュースの一部として決算報告の簡単なアップデートも発表した。それによると買収は同社の第三および第四四半期の売上に大きな影響を及ぼさない。2016会計年度のNon-GAAP操業費用はQ3で200万ドル、一株あたり0.01ドル増加し、Q4ではこの買収の結果400万ドル(0.02ドル)となる。

Red Hatは1999年に上場し、今回はその14番目の買収となる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

カード支払サービス、Squareが上場申請―上半期の業績好調、ドーシーのTwitter CEO兼任に懸念

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以前からの予想どおり、カード支払サービスのSquareが上場を申請した。2015年上半期の詳細な財務内容を含む S-1上場申請書の提出と同時にSquareのすべての財務取引は一時停止されている。

S-1申請書によれば、2015年上半期のSquareの売上は5億6060万ドル、損益は7760万ドルの損失となっている。昨年上半期の数字では、売上は3億7190万ドル、損失は7940万ドルだったので、今年は財務状態が大きく改善されている。

要約すれば、Squareはこの種のサービスとして順調に成長しており、損失もわずかだか減少させることに成功している。

これは基本的に良い兆候といえるだろう。同社はNYSE(ニューヨーク株式取引所)に上場を予定している。今年上半期の粗利益は1億6460万ドルで、売上と比較すると、同社の事業の健全さと同時に支払サービス事業のコストが膨大なものであることを示している。

特筆すべき点は、同社の損失が今年第1四半期の4790万ドルから、第2四半期の2960万ドルへ急減していることだ。ただしSquareは過去に膨大な損失を抱えており、現状の成長が継続されても近い将来トータルで黒字に転じるのは難しそうだ。

Squareは今回特にStarbucksコーヒーチェーンとの取引内容を詳しく開示している。Squareによると、今年上半期のStarbucksからの収入は6290万ドルで、昨年同期の5660万ドルから大きく増加したという。

2015年上半期終了時点で同社の現金及び現金等価物は1億9790万ドルだという。つまり今後の成長に必要とされる資金は十分に手当されていることになる。しかしSquareが今後大型買収などで多額の資金を必要とすることなった場合、新規上場による資金調達は大いに歓迎すべきものとなろう。

同社の粗支払額、つまりSquareが支払うべきカード処理額の総額は、今年上半期に159億ドルに達した。これは昨年同期の104億ドル(通年で238億ドル)から大きく伸びている。Squareは2012年の粗支払額は65億ドル、2013年は148ドルだったとしている。

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現在の資金供給率が続く間に安定した黒字化を達成できるか否かなど、S-1にはSquareの将来性に関するリスクを警告するボイラープレートが大量に含まれている。しかしいちばん興味がある要素はSquareの共同ファウンダー、CEOのジャック・ドーシー(Jack Dorsey)に関するものだろう。これによれば、ドーシーが現在SquareとTwitterの常勤CEOを兼任しており、両者に時間を配分しなければならないことに対する懸念が示されている。「(この兼任は)最終的に、ドーシーがすべての能力、時間、注意力、努力等をSquareに集中することを妨げる可能性がある」とS-1申請書は警告している。

S-1に記載されたもう一つのリスク要因は、顧客データの漏洩の可能性だ。これはある意味で当然予想されるところで、最近もTargetやHome
Depotが攻撃を受け、大規模なユーザー情報の漏出に見舞われている。これらは近年で最大の顧客データ事故となった。当然ながらSquareはこうした事態を防ぐためにあらゆる努力を払わねばならない。

Squareの大株主に関しては、Khosla Venturesが17.3%、ドーシーが24.4%を所有しているという(下に詳細)。

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共同ファウンダー、CEOのジャック・ドーシーはSquare株の24.4%を所有し、 Khosla Venturesがこれに次ぐ7.3%を持っている。大口株主は以下、もう一人の共同ファウンダー、James McKelveyが 9.4%、JPMC Strategic Investmentsが 5.5%、Sequoia CapitalとRizvi Traverseがそれぞれ5.4%などとなっている。

Squareは現在2億2500万ドル相当の融資枠を持ち、そこから3000万ドルの借り入れを行っている。これらの融資枠、営業によるキャッシュの流入、予定されている新規上場などにより、今後の資金調達は万全だろう。

S-1申請書を一見したかぎり、数字自体はTechCrunchが予想していたより良かった。ただし、Squareがこれから参入しようとしている公開株式市場は現在微妙な時期を迎えている。あの巨大Alibabaやユーザーに人気の高いBoxの情報を含め、最近上場した各社は株価の維持に苦闘している。市場には広く不透明感が漂っており、株価の動向は不安定だ。Squareが踏み込もうとしているのは決して平穏無事な世界ではない。

われわれはSqure上場に関する取材を続けており、新情報をつかんだ場合はすにフォロー記事を発表する予定だ。.

画像: Nikita Starichenko/Shutterstock

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Dell、EMCを670億ドルで買収。IT業界史上最高額

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IT業界史上圧倒的最大(*)の契約によって、Dellは今日、パートナーのMSD PartnersおよびSilver Lakeと共にEMCの買収に合意した。買収金額は670億ドル、1株当たり33.15ドルだ。

これは先週噂されていた1株当たり27ドルを大きく上回り、去る5月にAvagoがBroadcomに払った370億よりもはるかに大規模だ。

この契約でさらに興味深いのは、Dellが評価額250億ドル前後と、サイズがEMCのほぼ半分と小さいことだ。

EMCで最重要な部分は何といってもVMWareで、今回の契約にも含まれ今後も個別の上場企業として継続するが、EMCは非公開企業としてDellの一部となり、同社の公開企業としての長い歴史に幕を下ろす。

合併によってDellとEMCは、世界最大の民間統合IT企業になる、とEMCの発行した声明文に書かれている。

予想された通り、Dellが新会社を率い、長年務めたEMC CEOのJoe Tucciは退任する。Tucciは何度か引退を延期しており、それはふさわしい後任を見つけられなかったためだった。Michael Dellが合併後の組織を経営する。

この種の合併につきものの問題は、確立したカルチャーを持つ2つの巨大企業が、いったいどうやって一つになるのかである ― そしそれはまだわからない。

コーネル大学ダイソン応用経済経営校のAija Leiponen准教授は、両社が問題を抱えている可能性を指摘する。

「多くの合併は実際に企業価値を下げ、自身を再生し復活することに問題のあった2社が合併して成功することは稀だ。よってこの合併は極めてリスキーだ。EMCとDellはコンピューター業界で相補的な分野にいるので、もしもすべてがうまくいけば両社が別々でいるより価値は高まるかもしれない。しかしそれは、大きな「もしも」である」と彼女は言った。

Dellは、近年コモディティー化したサーバービジネスから撤退し、プライベートクラウドコンピューティングとストレージによって企業ユーザーに深く侵入し、IBM、HPをはじめとする伝統的メーカーやPure Storage等の新参メーカーと競合することを目録んでいる。

「Dellは、クラウドインフラストラクチャーで最後に残る一人になりたがっているようだ」と、Constellation Researchのファウダー、R Ray WangはTechCrunchに話した。

これがDellにとって巨大な賭けであるという事実は避けようもなく、契約実現のために新たな財政パートナーを見つけざるを得なかったが、実際この分野で競争できる規模を得るためには、それが唯一の方法だった。

EMCにとって、これはTucciが15年以上続けたリーダーの立場を去る最高の花道であり、株主にも期待しうる最高の価値を残した。CNBCはTucciが、「契約には、同社が他の買い手を探すことが許され、より有利な契約を見つけた場合にはEMCの違約金を安くする、”Go-Shop”条項がある」と語ったと報じているが、誰かがこの種の金額をEMCに出す可能性は極めて小さい。

契約は2016年中頃に締結される予定であり、当然規制当局による承認の対象となる。また、契約完了後にDellがEMCの一部、特にVMwareを売って支払いの足しにするかどうか、今後注目したい。

この契約の噂は先週浮上し始め、本誌で報じるうちにも噂は強まっていたことから、何かがある可能性は高かった。そして、実際そうなった。

【原注*】 Aol(TechCrunchの親会社)による2000年のTime Warner買収は1060億ドルで実際にはさらに大きかったが、あれはメディア/ITの契約だった。DellのEMC買収は、史上最大のIT買収だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

現在、最強のエンタープライズIT企業はAmazon AWSだ

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先日、Amazon AWSは4年目となるデベロッパー向けカンファレンス、re:Inventを終了した。これを見ると、Amazonがもはやデベロッパー向けプラットフォームではなく、スモールビジネスからFortune 500にリストアップされるような大企業まで、あらゆる企業のニーズに応えるフル機能のエンタープライズ・クラウド企業となったことが分かる。

今やAWSはパブリック・クラウド市場を制覇したことが明らかだが、これはパーソナル・コンピュータの登場以来、エンタープライズ・コンピューティングにおける最大のディスラプトだと思われる。

いくつか具体例を挙げよう。

  • AWSはどの顧客企業よりもはるかに巨大だ。したがって顧客企業はAWSの料金とストレージ容量に太刀打ちできない。規模のメリットを活かすことによってAWSは最新、最良のテクノロジーをいち早く導入することが可能となり、もっとも優れたインフラとハードによるシステムを構築できる。いかなる大企業といえども最後にはAWSの規模の経済に太刀打ちすることは不可能となるだろう。この点、Zyngaのエンジニアの証言を聞くのはためになる。彼らは数年前にAWSを飛び出して独自のクラウド・インフラの構築を図った。しかし、結局彼らはその試みが無駄だったことを認め、AWSに戻ってしまった。Amazonほどのスケールになれば、その巨大さがますます多くの顧客を惹きつけることになる。
  • AWSエンタープライズ事業の拡大はこれがすでにメインストリームとなったことをうかがわせる。たとえば、Capital One、Hertz、AOL、John
    Deere、 FINRA等々の大企業がAWSのクラウド・サービスの新規顧客として注目されている。Capital Oneのキーノート・プレゼンがかっこうの例だ。Capital
    Oneのカスタマーは今やAWSで作動するアプリを利用することになっており、Capital Oneはこれがなぜ最良の解決法で他社もいずれこれにならう他ないかをデータで説明している。それだけでも十分興味深いが、 Capital Oneはフィナンシャル・サービスを提供する会社であり、最新のクラウド・テクノロジーにまっ先に飛びつくような企業ではない事を考えると、クラウドの浸透ぶりがうかがえる。
  • すでに事業として成功を収めているにもかかわらず、AWSは驚くべきスピードでイノベーションを進めている。今年に入ってすでに500以上の新機能を追加しているし、re:Inventカンファレンスだけでもさらに大きな機能追加の告知があった。Amazonはクラウド・サービスの本質を深く理解しており、顧客のニーズ、サービスの利用形態も他のどのプレイヤーより深く知っている。他社がやっと事業を軌道に乗せ、収益を上げられそうになったとき、AWSはすでにその先を行っているわけだ。
  • Lambdaは非常に重要なプロダクトだ。というのも、これはAmazonの精神、いわばマインドセットを知る手がかりになるからだ。このイベント・ベースのコンピューティング・サービスは去年秋、メジャー・アップデートを受けた。Python、VPCがサポートされ、関数の生存期間が延長されるなどした。サーバーなしで複雑なアプリを作動させようというこのアプローチは斬新で興味あるものだが、重要なのはAmazonが各種AWSサービスとEC2のカニバライゼーション(共食い)を避けるつもりがないことが分かる点だ。歴史的にみて、AWSのコストには圧倒的な競争力がある。Amazonはこの点、いわゆる「イノベーターのジレンマ」を避けようとせず、AWSの利点を最大限に利用するつもりのようだ。これは競合他社にとって脅威となるだろう。.
  • 最後に、AWSはもはや IaaSサービスにとどまらないことを注意しておきたい。AWSはスタックを拡充し、顧客との関係を密接化し、クラウド・サービスをますますユーザー・フレンドリーなもにしている。たとえば、 Amazonは今週、ビジネス・インテリジェンス・プロダクトとしてQuickSightを発表した。これはエンド・ユーザー向けで必ずしもデベロッパー向け製品ではない。驚くべき進展ではないかもしれないが、AWSサービスの上にさまざまなシステムを構築して収益を上げている他社に恐怖を与えるには十分だっただろう。Amazonがビジネス・インテリジェンスなどの分他で洗練されたサービスを提供できるまでにはかなりの時間がかかるだろう。当初は機能不足で荒削りなものにとどまる可能性が高い。それでも他社はAWSがいつまでも infrastructure-as-a-serviceの段階で満足はしていないことを知るだろう。

AWS事業は通年換算で100億ドルの事業に成長した。対前年比で81%の成長だ。これはエンタープライズ・コンピューティングの分野として驚くべき高成長だ。Bairdによれば、AWSの今年の売上はデータセンター事業全体の 5%、全エンタープライズ市場の 1%以下にしかならないという。逆にみれば、AWSにはまだ大きな成長の余地が残されていることんなる。AWSのスケール・メリットとこれまでの実績は次の10年で飛躍するための理想的な土台となるだろう。

AWSのカンファレンスが終了した頃、DellがEMCを買収するという情報が流れた。 EMCの最大の資産はもちろんVMwareだ。EMCは言うまでもなくオンプレミスのエンタープライズ・ストレージの頑強な支持者であり、そのVMwareはサーバーのバーチャル化のチャンピオンだ。両者はオンプレミスのエンタープライズ・データセンターの基盤としてこの10年以上。大きな成功を収めてきた。しかし今はおそらく、彼らの最良に時期はAWSによって過去のもにされかかっているのではないかという不安に捕らわれている頃だろう。

これに引き換え、AWSは上り坂であり、大規模な企業コンピューティングのあらゆる局面をリードする立場にある。もちろんMicrosoft、IBMなどはエンタープライズ市場の攻略に向けて巨大な資産を蓄えている。そうであっても現在この分野を主導するのはAmazonであり、世界でもっとも重要なIT企業であるという点は揺るがないだろうというのが私の考えだ。.

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今やシャドーITは怖がらないで歓迎すべき時期にきている

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[筆者: James Quigley ](CanvasのCEOで協同ファウンダ、Washington, DC郊外のコワーキングスペースRefraction Restonの協同ファウンダ。)

今ぼくが原稿を書いているまさにこの時点でも、多くの企業のIT部門は、社員や部課などからのITプロジェクトのリクエストの、膨大なリストを抱えている。それらにはたとえば、倉庫業務のためのモバイルのカスタムアプリもあれば、Salesforce.comをバックエンドのオフィスシステムと統合したいというリクエストもあるだろう。

この無限に長いリストを管理するために、IT部門は、リクエストを会社の業績に与える影響の大きさや、現時点での重要性の順に並べ替えたりする。そして整列したリストの上の方に来るのは、売上を上げたり、顧客体験を改良するプロジェクトになりがちだ。逆に、ロジスティクスを合理化するなどの内部的なリクエストは後回しにされる。そしてこのやり方では、プライオリティの高いリクエストは完了するが、その他大勢は未着手のまま放置されたり、着手されてもだらだらとデリバリが遅れがちになる。

これらの問題は、IT部門の責任ではなく、また彼らのさまざまな社内顧客が悪いのでもない。イノベーションが急速に進む今日では、社員や各部課等は、自分たちのアイデアが実装されるのを何週間も何か月も待つことはできない。ITが慢性過負荷であることを知った彼らは、Webやモバイル上などですぐに使えるアプリケーションや、クラウドサービスを利用しようとする。それが、今ではShadow IT(シャドーIT)と呼ばれているトレンドの起源だ。それは、大まかな定義としては、IT部門が知らないうちに、あるいは認めたおぼえがないのに、社内的に作られて/使われてしまうアプリケーションやITソリューションを指す。

シャドーITはイノベーションを推進するか?

世界の200名のCIOにアンケート調査をしたBrocadeの報告書によると、回答者の83%が、部課等によるクラウドサービスの勝手な利用を経験している。それどころか最近まで、企業の役員やIT部門は、シャドーITをセキュリティやコントロールを脅かす危険な兆候とみなしていた。しかし、シャドーITを悪者視せずに、むしろ、イノベーションを促進し費用を低減するための貴重なツール、と考えたらどうだろうか? 企業が社員を‘市民デベロッパ’とみなし、プロダクトやプロセスが完成するまでの過程で革新的なアイデアを自由に持ち込んでよい、と彼らを奨励したらどうだろう?

ITのスペシャリストでない社員が社内でイノベーションを主導する機会は、現状では、従来的なアプリケーション開発や製品開発の方式に、邪魔されてぽしゃることが多い。しかしシャドーITの勃興は、ある面では、人不足力不足のITにまかせていたのではいつまで経ってもらちが明かないプロジェクトを、自分たちで前へ進めたい、という社員の欲求を反映している。

そうすることによって、一般社員が‘市民デベロッパ’(citizen developers)になる。それは、組織内のITスペシャリストでない人たちが、自らの力を発揮して、 ITが無関与のまま、自分たちのビジネスニーズを満たすソリューションを即席で構築展開することを指す。それがうまくいき、他の部課が見倣うようになると、このイノベーションが全社化する。

シャドーITはIT部門の仕事を楽にするか?

リストのうしろの方へ追いやられてしまいがちなITタスクは、現場仕事の生産性を上げるものとか、コミュニケーションを簡素化するもの、プロセスを改善するもの、などが多い。これらは顧客や消費者に関連するセクシーなプロジェクトではないが、でも、業績向上に大きく貢献するものもありえる。

企業はシャドーITのセキュリティリスクと、市民デベロッパによるイノベーションを封殺する機会損失とを、秤(はかり)にかけてみるべきだ。

今人気が盛り上がっている企業向けのメッセージングアプリSlackは、シャドーITがイノベーションを刺激しITのリソースに余裕を作り出す好個の例だ。Slackのデプロイは多くの企業において“land and expand”方式(まず上陸、それから拡大)で行われている。ひとつの部署が使い始めて好評が社内に広まり、まるで山火事のように利用が全社に広がる、というパターンだ。

IT部門が自分たちの過負荷を防ぐためには、自ら進んで社内の顧客たちの先手をうち、彼ら自身の力で問題解決に取り組むよう仕向けるべきだ。そうすればIT部門は、専門知識と専門技能を要する高度なイノベーションのプロジェクトに専念できる。言い換えると企業のIT部門は、率先して、シャドーITの推進役に徹した方がよい。

シャドーITのセキュリティは大丈夫か?

2015年のVanson Bourneの調査によると、イギリスのエンタプライズのCIOの89%が、未承認のシャドーITは企業に長期的なセキュリティリスクをもたらす、と感じている。もちろん、目の届かないところで社員たちがアプリケーションやサービスをデプロイするときには、セキュリティの弱点について十分注意しなければならない。ときには、IT経験の浅い社員が勝手に導入したテクノロジによって、既存のシステムやネットワークが破壊されることもありえる。それは、不注意によって弱点を見過ごすことよりも、さらに危険だ。

企業はシャドーITのセキュリティリスクと、市民デベロッパによるイノベーションを封殺する機会損失とを、秤(はかり)にかけてみるべきだ。シャドーITが、会社のメインシステムのデータに触るかどうかも、よく調べなければならない。データを変えないまでも、重要な企業情報の勝手なアーカイブを作ったりしないか? そのシャドーITの環境は、どれだけ安全か? シャドーITはデフォルトではセキュアではないが、事前に重要なパラメータをすべてチェックすれば、良い防備ができる。

シャドーITにおけるIT部門の役目

シャドーITのネガティブなイメージは、それがIT部門に隠れて秘密裏に行われる、という考え方にも原因がある。そういう場合も少しはあるかもしれないが、でもいちばん多いのは、そういうことが行われているのをIT部門は知っているけど、そのwho、what、howなどの詳細を知らないケースだ。その効果も、IT部門は認識していない。今年の初めにCloud Security AllianceがIT部門の役員に対して行った調査[PDF]によると、役員たちの72%は、自分の会社でどれだけのシャドーITアプリケーションが使われているか知らない。会社内のシャドーITの全体像を把握している者は、わずかに8%だった。

組織がシャドーITから十分な利益を得るためには、IT部門が具体的に指導的役割を発揮すべきである。その背後にあるプラットホームを技術的によく調べて承認したり、あるいは自ら新しいサービスやアプリケーションを発見してもよい。そしてそれらの発見を社内の市民デベロッパたちに伝えれば、シャドーITの効果そのものが大きく向上するだろう。

社内における市民デベロッパの登場は今後数年間で業界共通のテーマになり、そしてシャドーITのポテンシャルを前向きに歓迎する企業こそが、明日のイノベーションと繁栄にいちばん近い位置につけるだろう。

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IBMのワトソンは、当分人間に取って代わらない

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IBMの人工知能システム「ワトソン」が驚くべきテクノロジーの結晶であることに疑いはない。それは構造化されていない膨大なデジタルデータを検索し、際立った速さで答えを見つけ出す。しかし、人間を置き換えることは当分なさそうだ。IBMでワトソンチームを率いるJohn Kelly博士が今日(米国時間9/21)、本誌のAlex WilhemにサンフランシスコのTechCrunch Disruptで語った。

むしろこのシステムは人間を補強し、より良い決定を下す手助けをすると彼は言った。

ワトソンの純粋な知識力を披露するために、インタビューはデモから始まった。Wilhelmは、オンライン百科事典Wikipediaの正確性を尋ねる一連の質問を選んだ。わずか数秒後、ワトソンはWikipediaの全項目を精査して信頼性ある情報源であるかどうかを判定した。証拠内容を確認した後、ワトソンはWikipediaが実際に正確な情報源であるという決断を下した。

この種の能力に、スタートレックから飛び出してきたコンピューター合成音声応答を組み合わせたものは、12〜18ヶ月のうちに開発者向けに提供されるとKellyは言った。

ワトソンと聞いておそらく誰もが思い出すのは、クイズJeopardyの歴代チャンピオンたちを倒した時のことだろうが、今のワトソンはもっとはるかにすごい。Kellyによると、彼らがJeorpardy向けにシステムを作ったときは純粋に質問と答のエンジンだった。

今やワトソンは、Wikipediaデモで見せたようにあらゆるデータを消化しどんな大きな情報源でも取り組む。例えば、ある病気に関する入手可能な全文献を評価し、医師らと協議して最適な治療方法を見つけることもできる。これは、機械が医者に取って代わるのではなく、医者が正しい決定を下すのを手助けするものだ。

ワトソンはあなたのお役にたちます

IBMが2011年にあのJeopardy!出演に向けてワトソンを開発した時、それはハードウェアとソフトウェアの強力な組み合わせだった。今同社はその機械生成された全知能を元に、開発者向けに一連のサービスを作りあげた。

Kellyいわく、ワトソンボックスを作ることもできたが、クラウドに置きAPIを通じて利用できるようにすることが、このテクノロジーを広める最適な方法だと考えたという。

「ワトソンは、一つの物ではなく、様々な統計学習エンジン群の集合だと考えて欲しい」とKellyは言った。「面白いことに、あまりに強力なので売り込む必要がない」。開発者が使いたくなることは間違いない。

つい昨日、TechCrunch Disrupt ハッカソンで複数のチームがワトソンのツールを使ってハック作品を作り、その中には人工知能ニュース発見アプリのKnoもあった。

Kellyは、会社が未だに過去の重苦しい「ビッグブルー」のイメージを脱却し、開発者や投資家をワトソンプラットフォームに引きつけようとしていることを認めた。開発者の数が飛躍的に増えている一方、未だにシリコンバレーのコミューニティーを取り込めていないと彼は言う。Kellyはそれを改善するための取り組みを進めていることを示唆した。

システムは膨大な能力を有している。課題は、特定のヒジネス問題に焦点を絞ることで、同社はWatson HealthおよびWatson Financeで具体的な業界の問題にソリューションを提供しようとしている。

いずれにせよ、システムを支える技術的基盤のすごさに疑う余地はない。

「これは生まれたばかりのテクノロジーだ。これから世界を変えていこうとしている。偏見なく不完全な情報を使うことなく決断を下すところを想像して欲しい」とKellyは言った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NGINXの商用版アップデートNGINX Plus R7がHTTP/2をサポート、TCPロードバランサも改良

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投資家たちにも愛され、人気急伸中のWebサーバNGINXが今日(米国時間9/16)、HTTPの次世代規格HTTP/2を、サーバの最新の商用リリースでサポートする、と発表した。

無料のオープンソースバージョンではすでにHTTP/2を部分的にサポートしていたが、今日はNGINX Plus R7が同社の顧客にリリースされた。このリリースではHTTP/2のサポートが最大の目玉だが、この、同社を代表するプロダクトには、そのほかの新しい機能もいくつか加わっている。

HTTP/2は、その一部がGoogleのSPDYプロトコルをベースにしている。しかしNGINXのマーケティング担当Peter Guagentiによると、ブラウザ側のHTTP/2のサポートにまだむらがあるので、多くのブラウザの実装のレベルが揃うまでは、デフォルトの高速HTTPプロトコルとしてSPDYを使った方がよい、という。しかしHTTP/2はセキュリティの機能が優れているので、その試用は今から初めておくべきだ、と。

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HTTP/2のNGINXの実装方式では、レガシーユーザに標準のHTTP 1でページを容易にサーブできる。またそれをサポートしているクライアントには、HTTP/2やSPDYで接続する。ただしSPDYとHTTP/2をパラレルに動かすことはできない。

今回のアップデートでは、NGINX PlusのTCPロードバランサが改良されている。前回の最初のリリースでは、TCPのサポートと、NGINXのHTTPのサポートがうまくマッチしていなかった。しかしこれからはたとえば、ユーザはTCP接続の接続リミットや帯域リミットを設定できる。一見するとマイナーな機能のようだが、しかし今ではストリーミングサービスなどでTCP接続が頻繁に利用されているから、アクティブな接続の数を制限できることは、DDoSとの戦いの最前線の防備として重要だ。

NGINX Plus R7はまた、Microsoft NT Lan Managerの認証を使っているアプリケーションに対応できる。これはTCPよりもさらにもっとマイナーなようだが、これによりレガシーのMicrosoftアプリケーションを動かしている環境でNGINXをロードバランサとしてデプロイできるようになる。同社によると、これはユーザの要望が多かった機能だ。

Guagentiによると、今回のリリースにはパフォーマンスアップのための改良が数多く盛り込まれ、またサーバのモニタリングと管理の機能も改良されている。これら多くの機能にアドミンが容易にアクセスできるよう、ダッシュボードも刷新した。彼によると、今のユーザは、“自分のスタックに対する驚くほど詳細な可視性を要求する”。でも、高度なユーザならサービスのAPIを使って必要なデータを取り出し、既存のダッシュボードにそれらを統合できる、と。なお、新しいダッシュボードでは、そこからアドミンがサーバの稼働中にパラメータを変えてトラフィックを調節したり、サーバをオフラインにする、新しいサーバを加える、などの操作ができる。

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この新しいリリースの技術的詳細はここにある。

NGINXのチームによると、商用バージョンをまさに商用に利用する顧客が、今は非常に多様化している。“これまでのNGINXはナードのベストフレンドだったが、今ではエンタプライズユーザが同じものを求める”、とGuagentiはジョークを言う。このところの成長率は、通常のテク企業よりもエンタプライズによる採用の方が高い。彼によるとそれは、エンタプライズが現代的なソフトウェアアーキテクチャに前向きになっているからであり、DevOpsやクラウドへの移行が本格化しているからだ。今では金融企業や保険企業も、同社の顧客中に多く見られるようになっている。それに、一部の政府機関も。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Famaは、企業が採用候補者のソーシャルメディア「危険フラグ」を見つけるためのサービス

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Fama Technologiesの目的は、ソーシャルメディアの記事を分析し、企業が採用候補者を調べるのを助けることだ。

何年も前にTwitterに書いたバカな投稿が、就職に影響するという考えは気に入らないかもしれないが、Fama CEO・共同ファウンダーのBen Monesによると、既に企業はこの種のソーシャルメディア検査を行っている ― ただ、あまり包括的あるいは系統的にやっていないだけだ。

そして彼はそれが悪いことではないと考えている。つまるところソーシャルメディアは、誰かが会社に合っているかを雇用主が知るためだけでなく、問題のある投稿をして会社を困らせる可能性が高いかどうかもわかる。

「オンラインでの行動は、オフライン世界でのその人を非常によく表すものだ」とMonesは言う。「このことはごく最近人々が受け入れ始めた」。

Famaの顧客は、ドラッグ使用であれ、性的コンテンツや偏見やののしり言葉であれ、会社が知りたい「ソーシャルメディアの危険信号」を識別できる。同サービスはテキスト、画像、およびビデオを分析する(Amazonのクラウドソーシングプラットフォーム、Mechanical Turkも一部で利用している)。

Moneいわく、一般に雇用主は採用候補者がマリファナを吸うか、学生時代大酒飲みであったかどうかにはあまり関心がなく、むしろ女性に礼儀正しく接することができるかどうかの方が問題だという。

さらに彼は、Famaが提案はしないことを強調した。雇用担当者に追加情報を提供するだけだ ― 厄介な法的問題を避けるためには重要な境界だ。

「われわれは個人にスコアをつけることも、雇うべきかどうかの結論を出すことも、提案するすることはない」と彼は言った。「われわれの仕事は、雇用担当者に十分煮つめたデータを渡して決断できるようにすること。彼らに決断のきっかけを与える。スコアを付けないことはわれわれ(あるいは顧客)が訴えられないためにも重要だ。

彼は、Famaが公正信用報告法に準拠していること、および人種、性別、身体障害等、差別に関わる情報を目立たせないことも付け加えた。

Famaは今日、人事ワークフローと身元調査の会社、CARCOとサービスの共同販売を行う提携を発表した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google曰く: 営業力でもコネでもない、これからのエンタプライズ戦略の主力はオープンソース

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GoogleでKubernetesやGoogle Container Engineなどのプロダクトマネージャを担当しているCraig McLuckieが、今日(米国時間8/26)行われたOpenStack Foundationの例年行事Silicon Valley Eventで、こう述べた: “Googleはエンタプライズ企業ではないが、エンタプライズのニーズを知るための努力はしている”。

今や誰の目にも分かるように、Googleは同社のクラウドプラットホームのエンタプライズユーザを増やすべく、懸命の努力をしている。しかし同社には、伝統的なエンタプライズコンピューティング企業が持つ強力な営業部隊がないし、Microsoftなどが長年かけて築いてきた、企業世界とのコネもない。

そんなものの代わりにGoogleは、今後もっともっとオープンであることに、賭けようとしている。そしてオープンソースのソフトウェアをもっと多くリリースすること。それが、エンタプライズに食い込む契機になるだろう。“Googleは、オープンがソフトウェア構築のベターな方法であると認識している”、とMcLuckieは述べる。“オープンソースのコミュニティがイノベーションを引っ張っている。その能力は感嘆に値する”。

彼によると、オープンであることは顧客のためにベターなプロダクトを作り出すだけでなく、(継続的インテグレーションにおいて)より速いインテグレーションサイクルが可能になる。さらに、他社を巻き込んだオープンソースプロジェクトでは、その他社のDNAをプロダクトが吸収できる。

その典型的な例がKubernetesだ。Googleで孵化したそのコンテナ管理/スケジューリングツールは、今では急速に、多くのコンテナアーキテクチャの標準コンポーネントになりつつある。Googleは最近そのコードをCloud Native Computing Foundationに寄贈したので、今後はRed Hat、Docker、IBM、VMWare、Huawei、Twitterなどの企業グループが開発していくことになる。つまり、ますますそれは、オープンソースコミュニティのものになる。

Googleは企業が、自分のワークロードを複数のクラウドやコンテナ間で移動できるようになることを期待しているが(クラウドと言っても主に自分のクラウドだが)、そのような技術の主軸となるのがKubernetesだろう。今後ますます多くのパートナーが採用すれば、確実にそうなる。

McLuckieはスピーチのあとのインタビューで、Googleは同社のインフラストラクチャスタックのそのほかの部分もオープンソースにしていく予定だが、何を、ということは現段階では言えない、と述べた。しかしこれだけでも、Googleがオープンソースを本気でエンタプライズ戦略の中心に据える気であることが分かる。

今後の積極的な攻めの基本戦略として、Googleの“秘密のソース”をオープンソース化していくべきだ、というMcLuckieらの説に、最初のうちはインフラ担当のSVPたちやGoogle Fellowで彼のボスであるUrs Hölzleらは納得しなかったが、今ではそれが、全社的なコンセンサスになっている。

今や、あの、プロプライエタリの古い怪物Microsoftでさえ、多くのコードをオープンソース化しつつある。しかもそれには、十分な理由がある。

“オープンソースでソフトウェアを構築しない者は、そうである者に対し競争上の不利を背負うことになる”、とMcLuckieは語る。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

IBM、Canonicalと提携してUbuntu Linuxの動作するメインフレームを提供

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「Linux」と「メインフレーム」を「相反するもの」と捉えている人も多いのではなかろうか。しかしこの15年、IBMはメインフレームにLinuxの要素を取り入れてきているのだ。そしてついにIBMCanonicalは、メインフレーム上でUbuntsu Linuxを動かすことにした旨のアナウンスを行った。このプロダクトはLinuxOneと命名されている。

このLinuxOneではメインフレームの利用シーンを拡大したいという狙いに満ちてもいる。たとえば価格にはサブスクリプションモデルを採用し、またさまざまなオープンソースプロジェクトと連携し、さらには自らのメインフレーム上のコードもオープンソース化するという動きもみられる。

Canonicalとの連携にあたり、IBMが用意するメインフレームは2種類だ(もちろんペンギンにちなむものだ)。ひとつは「Emperor」(皇帝)という名前で、1月に記事にしたIBM z13を利用するものだ。もうひとつは少々コンパクトで「Rockhopper」(イワトビ)の名前を持つ。こちらはメインフレームユーザーの中では、エントリーレベルの層をターゲットとしている。

もしかすると、「メインフレーム」というのは恐竜のように絶滅したのだと思っていた人もいるかもしれない。実のところはまだまだ現役で、それどころか、世界中の大組織の中で積極的に活用されているものだ。こうした中でクラウドサービス、データ分析やセキュリティ面などでもメインフレームの活用の場を広げるため、Ubuntu LinuxおよびApache Spark、Node.js、MongoDB、MariaDB、PostgreSQLおよびChefなどメジャーなオープンソースのエンタープライズソフトウェアを動作させようとしているわけだ。

IBM SystemsのRoss Mauriによれば、IBMは四半期毎に10社ないし20社程度のメインフレームユーザーを獲得しているのだとのこと。IBMとしてはクラウドサービス並に柔軟な価格体系を用意して、メインフレームの導入コストに躊躇していた利用者をも獲得していきたい考えだ。

Mauri曰く、こうした価格体系にあってメインフレームはオンプレミスで提供されるものの、しかし課金についてはクラウド風に使用量に応じた形で請求されるのだそうだ。

これまでの歴史からみれば、CanonicalとIBMに接点はなさそうにも見える。しかしPund-ITのプリンシパルアナリストであるCharles Kingによれば、これは企業内でUbuntu Linuxの採用事例が増えていることに対するIBMの成長戦略のひとつなのであるとのこと。

Ubuntuを支援するCanonicalのJohn Zannosの話によれば、顧客層の中でのUbuntu利用が増える様子をみて、IBMの方からCanonicalにアプローチしてきたらしい。ちなみに、今回が両社がタッグを組む最初の事案というわけでもなくOpenPOWERプロジェクトでも協力した経験を持っている。

Zannosは曰く、IBMはZシステムやメインフレーム上でオープンソースの活用を積極的にすすめるなど、従来のパラダイムを転換する方向に動いているとのこと。

Charles Kingは、今回の連携は双方にとってもメリットのあるものだ(もちろんほぼすべての業務提携が双方にとってのメリットを強調してはいる)と述べている。「IBMはLinuxの強い市場でのプレゼンスを高めることになるでしょう。そしてCanonicalの方も、IBMのメインフレームを使っていたような大企業におけるシステム導入を増やすことに繋がることになります」と、明るい未来を描いている。

IBMとしては、セールス拡大に向けた新たなチャネルを獲得したい狙いがある。「主要ビジネスでの全面的な売上低下」に対応していきたいという考えているはずだと、Wall Street Journalは伝えている。

IBMにとっては、ともかくメインフレームの販売拡大が企業にとっての大きなメリットとなる。Canonicalとの提携や、各種オープンソースツールの採用により、小規模な、しかし成長著しいマーケットへの進出を狙いたいと考えているわけだ。

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(翻訳:Maeda, H

GoolgeとDell、業務向けChromebookを発表

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今日(米国時間8/13)サンフランシスコのGoogleで行われた企業向けイベントで、同社はDell製の新しい企業向けChromebookを発表した

Google for Workチームは、同社の消費者向け全ソフトウェア製品を企業利用向けに仕立て直している。つまり、セキュリティー、セキュリティー、そしてセキュリティー。要するに、巨大企業のお墨付きを得るためには、防弾仕様でなければならない。

企業内に踏み入れるために、GoogleとDellの新13インチChromebookは以下の機能を備えている:VPNサービスの統合、バーチャル化(Microsoft OfficeがGoogle Chomeで動くところを見るのは妙な気分だ)、ネイティブファイルストレージの利用、Chromeマネージメントエンハンスメント、プリントサポートの拡張、ネットワーク個人認証などだ。

AndroidおよびChrome for Work&EDU製品担当ディレクターのRajen Shethは、力強く言った:「私たちはChromebookを業務で使える準備が整ったと信じている」。

本当に?

最大の問題は、「Microsoftに依存している企業が移行するのか?」だ。Googleは、NetflixとStarbuckがChrome OSを導入し始めたことにかなり興奮気味で、こうした象徴的契約が他の変化を求める人々に火をつけることを期待している。Googleは、Chromebook製品は教育分野で人気があり、それは企業でも採用できる証拠だと主張する。学校現場では、セキュリティーや管理のしやすさなど、企業同様のニーズがある。

これは一夜にしてなせることではないが、GoogleとDellはそれが「可能である」ことを示そうとしている。Netflixのような巨大組織で物事を動かすためには、多くの人々が関与する必要がある。CIOの決断を勝ち取ることは、紛れもなく悪夢だ。

Chromeが企業でうまくいかない理由はたくさんあるが、その一つは既存の社内アプリが移植されていないため、容易に乗り換えられないことだ。Neflixのような会社で既存アプリを書き直すにはそれほど時間はかからないかもしれないが、伝統的な、技術力の低い会社が変わっていないのには理由がある。

変化は難しい。金もかかる。

ともあれ、ここに新しい業務用ノートパソコンが登場した。”Dell Chromebook 13” は、13.3インチIPSスクリーン(タッチまたは非タッチ)、1080p FHD、第5世代Intelプロセッサー(最廉価モデルはCeleron)、重量3.23ボンド(1.47kg)、バッテリー持続時間12時間以上、価格は非常に魅力的な399ドルから(メモリー増設を含む最大構成で899ドル)。発売は9月中旬。

またGoogleは、価格は手頃でソフトウェアは現行ライバルのように肥大化していないが、Chromeを使用した業務で可能になるグローバルな管理機能は、他に類を見ないと確信している。

Device Details

改めて、企業が今すぐ変わるのに十分か?ノー。その同じ企業に、Chromeプラットフォームへの移行を少なくとも検討させるには十分か?そうかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Microsoft、Windows 10のアップデートを公開するも説明は殆どなし

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「このアップデートには、新しい機能と改善を通じてWindows 10の機能性を向上するための非セキュリティー関連の変更が含まれています ー Microsoftの誰か

Microsoftは一連のWindows 10アップデート群を今日(米国時間8/5)公開したが、ユーザーによってすでに適用済みのものとそうでないものがあるかもしれない。すでに一部を適用済みの人は、まだ適用されていないアップデートを受け取ることになる。

それで、アップデートには何か入っているのか?中身はかなり多い。ちょっと調べたところ、いくつかいいものも見つかった。変更点のリストより抜粋:

  • 当初8月2日にアップデートされた45件のアップデート。
  • 当初6月18日にアップデートされた761件のアップデート。
  • 他の日付のその他多くのアップデート。

今日の午前、Microsoftに問い合わせて、アップデートの内容や何を修正したかに関する明確な説明あるいは助言がないか尋ねた。今のところ返答はない。

あえて憶測するなら、これは最近までユーザーに対して小刻みに配布されたものを集めた単なる累積アップデートだろう。したがって、インサイダープログラムに入っていた人 ー WIndows 10を公開前に使っていたテスター ー にとっては、おそらく新しいものは殆どない。しかし、OEMが早い時期にWindows 10をROMに焼き込んでいれば、Microsoftはあらゆる部分を確実に磨きあげたいと思うだろう。そのためのアップデートだ。

あるいは、Microsoftが我々に伝えることを適当でないと考えたか。

MicrosoftはWindows 10を継続的にアップデートする方針だが、それは少しばかりの背景を説明できないという意味ではない。特に、Windows 10のレビューサイクルがあれだけ強力だったことを考えると、このOSを機能的な形で世に出したあの透明でオープンなコミュニケーション戦略が、公開後こんなに早く消滅することは奇異にさえ感じる。

ともあれ、何か新しいコードがあるようだ。手に入れよう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Translate.com、企業向け翻訳プラットフォームをスタート

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Emerge MediaのTranslate.comは4年ほど前に開業し、おそらく翻訳ビジネスでは最高のドメイン名を持っている。しかしこれまで、同サービスは主として同社の ― 一部Microsoft製 ― 消費者向け翻訳ツールのフロントエンドとして提供され、巨大で実入りの良いエンタープライズ市場には積極的参入をしてこなかった。

しかし、このたび同社は企業向けプラットフォームを公開し、機械翻訳と人間の翻訳者と編集者を合わせて、ビジネス向きの手頃価格な翻訳サービスの提供を開始した。

速くて安くて正確な翻訳を提供することは至難だが、TranslateのCEO Anthos Chrysanthouは私に、彼の製品はAIとプロの翻訳者と編集者を合わせたハイブリッド方式を採用することで、ライバルに勝てると信じていると話した。

3 - In-Progress Translation

Google TranslateやTranslate.com等のサービスを使ったことがある人なら、機械翻訳がここ数年で大きく進歩したものの、まだまだ先が長いことを知っているだろう。

そこでTranslateの企業向けサービスは、同社のアルゴリズムを初期の ― 粗野な ― 翻訳を作るために使用する。次にテキストは分割されて同社が精選した複数の専門家の手に渡り、チェック・編集される。最後に、テキスト全体を見渡す第2段の編集者がテキスト全体を見て、翻訳作業がうまく働いていることを確認する。

こうすることで、同社は高速な作業時間(一部ライバルの最大10倍)を確保しつつ、料金はワード当たりわずか2セントしか徴収しない。しかし、Chrysanthougは同サービスの特徴は品質にあると言う。

「速くても翻訳がひどければ意味はない」と彼は言った。さらに彼は、新しい翻訳者とは全員電話インタビューを行っていることも私に話した。「労働集約的なや方だがが、適切に行うために今は成長を犠牲にしている」。

消費者向けでは、Translate.comは約300万人のユーザーを持ち、これまでに2億件の機械翻訳を実施したと同社は言う。Chrysanthouは、この強力な基盤のおかげで、企業向けビジネスを有機的に成長させることが可能になったと言っていた。

3 - In-Progress Translation

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook