GoogleのWaze買収研究―なぜモバイル・ナビのスタートアップに11億ドルも出したのか? その影響は?

Waze買収に関する噂は数ヶ月前から流れていた。最初はAppleが5億ドルを提示し、続いてFacebookが10億ドルという値付けをしたと報じられた。そこに突如Googleがやって来て獲物をさらっていった。イスラエルの経済紙Globesによれば、Facebookの幹部がイスラエルに飛び、真剣な交渉を始めていたという。

この大騒ぎの元のWazeっていったい何だ?

Wazeは2007年に創業され、現在イスラエルとシリコンバレーのパロアルトにオフィスがある。主なプロダクトはiOSとAndroid向けの無料カーナビ・アプリだ。創立の1年後にWazeはシリコンバレー(KleinerPerkinsなど)や香港(Horizons Ventures)の有力ベンチャーキャピタルから6700万ドルの資金を調達し、社員110人の企業に成長した。社員の大部分はイスラエルに住むイスラエル人で、CEOのNoam Bardin他10人程度がパロアルトのオフィスに勤務する。

モバイル地図アプリが無数に生まれている中、Wazeのユーザーは5000万人(昨年10月の3000万人)を超えて着実に増加中だ。強みの一つはユニークなクラウドソースによる地図編集方式にある。自ら現地を回って地理情報を収集する代わりに、Wazeは地図作成にあたって何千万ものユーザーが投稿する情報に頼っている。ユーザー車両の車速や位置などの情報は自動的にアップロードされ、さらにユーザーは新たな交通規制、事故、渋滞などの情報をリアルタイムでWazeに投稿する。

こうしてドライバーからクラウドソースで収集されたデータはユーザー・コミュニティーによって共有、管理される。大勢の熱心な市民地図作成者からの情報は非常に有益であり、何よりリアルタイム性が高い。カーナビ・サービスでは道を間違えたときの経路再検索の処理が非常にやっかいで、Googleでさえ苦闘している。膨大なクラウドソース・データを持つWazeは、経路再検索でも非常に高い能力を発揮する。

ドライバーは単に運転経路だけでなく、ソーシャル・レイヤーを使って沿道のガソリンスタンドの位置と最新のガソリン価格、観光地、レストラン情報などをハンズフリーで受け取ることができる。ソーシャル・サービスはすべてそうだが、規模が大きくなればなるほど有用性も増大する。

ビッグ3すべてが買収を狙ったわけ

Jordan Crook記者も指摘していたとおり、巨大モバイル・テクノロジー企業の間で「マップ戦争」がますます激しくなっている。情報が網羅的で、信頼性が高く、使い勝手のいいナビゲーション・サービスはすべてのモバイル体験のベースになる。地図アプリ、ナビ・アプリが使われる頻度がこれだけ極端に高ければ、Facebook、Apple、Googleのビッグ3がこの分野のユーザー体験の改善に全力を投入するのは当然だ。

Appleの場合、Waze買収に興味を示したのはAppleのCEOのTim Cookが公式に謝罪する破目になった.悪名高い地図アプリの大失敗の後だった。正確さで名高いWazeを買収するという選択は地図で被った悪評を打ち消すために理にかなっていると思われた。.

Facebookもことところ全力を挙げてサービス全体のモバイル化に取り組んできた。モバイル部門は次第にFacebookの決算に直接大きな影響を与えるようになった。Facebookにとって、自社独自の優秀なネーティブ地図アプリを持てば、不人気なFacebook Homeのてこ入れにもなるはずだった。

この2社に対してGoogleの状況は若干異なる。Googleはすでに文句なく世界一の地図プロダクトを持っている。一般ユーザー向けカーナビ・モバイル・アプリの世界標準を確立したのもGoogleだ。Googleはおかしな格好のストリートビューカメラを装備した撮影チームの大部隊を世界に展開し、おかげでわれわれは道路だけでなくグランドキャニオンを下る小道から海の底まで地球上のあらゆる場所をワンクリックで見られるのを当たり前だと思うまでになっている。考えてみればとほうもない偉業だ。

なぜGoogleが勝ったのか?

今日のブログ記事でWazeのCEO、Noam BardinはGoogleと(特にCEOのラリー・ペイジ、ジオ・プロダクト担当副社長のBrian McClendon)の間で長期的ビジョンにおいて共感するところがあったからだと書いている。しかしそれだけではあまり具体性がある情報とはいえない。そこで以下、なぜGoogleが巨額を投じることを決めたのか、Apple、Facebookを始めモバイル・マップ関連業界に激震を走らせることになったのか分析してみたい。

地理情報

WazeがGoogleを選んだ理由は他の2社のようにシリコバレーへの移転を求めなかったからだと言われている。Googleはイスラエルには優秀なITエンジニアを輩出することをよく認識している。GoogleはこれまでにLabpixiesやQuickseeなどイスラエルで生まれたスタートアップを買収しているだけでなく、イスラエルに拠点を持ち、地元の起業家を支援するプログラムを運営するなど存在感を高めていた。Wazeの社員の大部分がイスラエルに居住している。GoogleがWazeにシリコンバレーへの移転を求めなかったのは、イスラエルのエンジニアの人材を獲得するのに現状のままのの方が有利だと判断したからだろう。

5000万ユーザーより、そのビッグデータの方が重要

通常、買収にあたってはサービスのトラクション(ユーザー数、トラフィック)がもっとも重視される。しかしGoogleはすでにアメリカでもっとも人気の高いカーナビ・アプリを持っている。なるほど5000万ユーザーも魅力ではあろうが、喉から手が出るほどトラクションの増加を必要としていたわけではない。.

Googleがもっとも魅力を感じたのはトラクションではないはずだ。Wazeは自らを「地図企業ではなくビッグデータ企業だ」と規定している。Googleは「地球上のあらゆるデータを組織化する」のを使命と考えている。Antonio Regaladoによればビッグデータという概念を生んだのは事実上Google(とその発明になるMapReduceシステム)だ。またGoogleはビッグ・データを地図上に新たなフォーマットで表示する実験に力を入れてきた。もちろんGoogleマップ改善にも常に精力的に取り組んでいる。

巨大なデータ・セットと地図インフラを擁するGoogleは個別のユーザー向けにカスタマイズされた体験を提供しようという努力を始めている。これを実現するにはWazeが得意とするようなソーシャル・レイヤーが必要になってくる。たとえばナビゲーションではGoogleは依然として固定的な経路を事前に設定する方式に頼る傾向が強い。なるほど最新のGoogle Mapsでは渋滞情報のレイヤーも提供されるようになった。しかしWazeのように運転中にリアルタイムで常に渋滞情報がアップデートされ、ドライバーに渋滞を避ける代替ルートが提案されるというレベルにはなっていない。

こうした代替ルートの提案などのWazeの機能は一見ささいに見えるかもしれないが、Googleマップに統合されれば大きなユーザー体験の向上となることは間違いない。またWazeのUIデザインは見て楽しく、対話性にも優れている。Googleは位置情報サービス全体にこのデザインを取り入れることができる。Wazeユーザーは渋滞やネズミ捕りの情報を共有するのに非常に熱心だ。これもまたGoogleにとって大きな価値になる。

ソーシャル・ドライビング

WazeはGoogle+とGoogleマップをソーシャル化するために理想的なプラットフォームを提供できる。昨年、Wazeはソーシャル化を一歩進め、友だちの位置が表示できるようにした。これは待ち合わせに便利だし、さまざまな会話や情報共有の可能が広がる。

WazeにはFacebookへのワンクリック・サインイン機能がある。これはそのままGoogle+の認証に使える。Google+にはユーザーの友だちがいる。Facebookとの連携ではWazeは特定の待ち合わせ場所やそこへの運転経路を友だちの間で共有できる。これらはすべてすぐにGoogle+に生かせるだろう。

ローカル広告にビッグチャンス

言うまでもないが、Googleのビジネスは徹頭徹尾、広告だ。Googleのさまざまなサービスの究極の目的は消費者の前に広告を表示することにある。Wazeもまた非常に有望な広告プラットフォームだ。

当初Wazeは収益化を後回しにしてプロダクトの開発と成長に専念してきた。しかし昨年後半にWazeはローカル・ビジネスと大手ブランド向けに位置情報に基づく運転者向けローカル広告のプラットフォームを発表した。

以前からWazeはガソリンスタンド情報などをタップとスワイプですばやく調べることができる機能を提供しいてが、広告プロダクトはいわばそれの強化版だ。ただでさえ狭いモバイル画面に単にバナー広告を表示するのではなく、Wazeの広告は、たとえばドライバーが「レストラン」を検索した場合に、付近のレストランやファーストフード・チェーンの店舗の広告が表示される仕組みだ。

Wazeの広告プラットフォームを利用すれば、たとえばローカルビジネスだけでなくダンキン・ドーナッツのようなチェーン店もセフルサービスでモバイル広告キャンペーンを実施し、成果を評価できる。これは従来のローカル検索広告や高度なターゲット広告と組み合わせることによって一層効果を高めることができるだろう。

これまでFoursquare、Yelp、Facebookその他有力テクノロジー・サービスはなんとかして効果的なローカル広告プロダクトを作り出そうと苦闘してきた。ここに名前を上げた3社はローカル検索と位置情報を統合したチェックインシステムを提供している。しかしこと検索に関しては3社とも機能、規模いずれをとってGoogleのレベルには御びょばない。.

たしかに今のところGoogle+’のローカルビジネス・ページはFacebookページほど普及していないが、その差は縮まりつつある。Googleはローカルビジネスに関して膨大なデータをすでに保有しており、住所、連絡先、営業内容などを把握している。キーワード検索を通じて適切なターゲットに広告を表示するテクノロジーではGoogleには圧倒的な蓄積がある。

アメリカのローカル・モバイル広告市場はここ数年で爆発的に成長すると見込まれている。Googleの巨大なローカルビジネスのデータベースとWazeが統合されればきわめて強力なソーシャル・モバイル広告のプラットフォームとなるだろう。現在Wazeに欠けている一般的な検索機能をGoogleが補うのも容易だ。

地図戦争はゲーム・オーバー?

GoogleのWaze買収の動機を調べれば調べるほどこれは安い買い物だったと思わざるを得ない。地図サービスの改良を絶望的に必要としているライバル2社ではなく、すでに世界最高の地図サービスを持つGoogleが既存のサービスとは方向の異なる優れた新興サービスを手に入れたのだ。

将来の統合のことはしばらく置くとしても、Greg Kumparak記者も指摘していたとおり、GoogleはすぐにでもWazeのリアルタイム交通情報データと代替経路提案をカーナビ・アプリに取り入れることができる。どちらもGoogleマップの大幅な改良になる上に、Waze側のユーザー体験を損なうこともない。

端的に言って、今回のGoogleによるWaze買収はFacebookとAppleに取って打撃だったと思う。両社はWazeがGoogleの手に落ちるのを防ぐという目的のためだけにでも、もっと真剣に買収の努力をすべきだったのではないか。これでApple、Facebook、その他地図サービスに関わる全員が流れに逆らって上流に泳ぐような苦しい戦いを強いられることになりそうだ。.

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Facebook、あらゆるTwitterハッシュタグ広告をハイジャック

Twitter #ブランドは絶滅危惧種になった。ハッシュタグは、Facebookがサポートすることによって汎用化されつつある。それはTwitterの重要な成長ベクトルが無効化することを意味する。従来、印刷メディアやテレビCMでハッシュタグが話題になるたびに、人々はTwitterへの参加を促された。これからは、既に自分が使っているSNSでそのリアルタイム会話に参加できる。

企業やイベントの望みは、自分たちへのソーシャルな言及が最大のリーチを得ることなので、万能ハッシュタグが使える時に「Twitterハッシュタグ」を宣伝することは意味をもたない。今後企業はハッシュタグの表示からTwitterロゴを外すか、Facebookロゴを追加するようになると私は予想する。

ハッシュタグがFacebookで普及するかどうかは未だわからない。Facebookで有名人やジャーナリストをTwitter流にフォローするフィード購読[現在はフォロー]機能は大ヒットにはなっていない。さらにハッシュタグは、Facebookへの書き込みの多くが友達とのみシェアされていて全体公開されていない、という課題にも直面しなければならない。

Facebookハッシュタグには一つ追い風がある。非常に人気のあるイベントでも、それについて赤の他人がTwiiterハッシュタグを付けて投稿しても私は興味をもたないだろう。しかし、Facebookハッシュタグを検索したりクリックしたりすれば、友達が何を言っているかを優先的に見ることができるかもしれない。個人的にはゲーム・オブ・スローンズ #redwedding に関して、友達や知り合いが話していることの方が、会ったこともない何百万もの人々から寄せられた純粋なソーシャル・メンションよりも気にかかる。

Facebookハッシュタグは大失敗に終るかもしれないし、たとえ少々人気を博したとしても、Twitterがリアルタイム会話の王者で居続けるに違いない。しかし今日のニュースによって、Twitterの〈独自の付加価値〉が減少する可能性がある。これはFacebookで現在進行中の、ライバルを蹴落とす「ほどほどの」戦略の一環である。他の誰かならもっとうまい方法を思いつくかもしれないが、Facebookはこれを、人々が新たに始める必要のないネットワーク上で、大規模に行っている。

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(翻訳:Nob Takahashi)


FacebookがとうとうTwitter式ハッシュタグを導入する―さらに新機能を準備中

Facebookは先ほどハッシュタグで投稿やコメントを検索できる能力を追加すると発表した。ハッシュタグの追加計画があることは今年の3月に報道されていた

もちろんこれまでもユーザーがハッシュタグを投稿中に含めることが禁じられていたわけではない。ただハッシュタグを検索できなかったので含めても意味がなかった。この新機能を紹介する公式ブログ記事でFacebookは「すでにInstagram、Twitter、Tumblr、Pinterestなどに存在する機能だが、ハッシュタグをクリックするとそのハッシュタグを含むニュースフィード中のコンテンツを読むことができるようになる」と述べている。

Facebookの説明は以下のとおりだ。

毎日、何億人ものユーザーがFacebookを利用して身の回りで起きた出来事や意見を交換する。お気に入りのテレビ番組、地元のチームのスポーツ試合、緊急ニュース速報、その他Facebookには世界中のありとあらゆるトピックについての会話が行われている。

こうした会話をもっと前面に押し出すために、われわれは一連の新機能を準備中だ。その第一歩としてFacebookにハッシュタグを導入する。

Facebookは新機能をまず一部のユーザーに提供し、順次公開範囲を広げていくのが普通だ。ハッシュタグ機能が全ユーザーに行き渡るのは少し先になるだろう。またFacebookはこれを「第一歩」と言っている。さらにどんな機能が開発中なのか注目だ。

Facebook上で交わされる会話の規模は驚くべきものだ。テレビのゴールデンアワーの時間帯にはアメリカで8800万から1億のユーザーがFacebookを使う。先週のゲーム・オブ・スローンズの放映では150万回、今年のアカデミー賞の発表のときには6650万回のアクション(投稿、「いいね!」、コメントの総数)があったという。

ブログ記事には3月に最初の報道がなされたときにわれわれが抱いた疑問、つまりプライバシーの管理については触れられていない。基本的にすべてのコンテンツが公開されているTwitterのようなサービスとは異なりFacebookの場合は多かれ少なかれすべてのコンテンツにプライバシー設定が行われている。

Facebookの広報担当者に取材したところ、ハッシュタグ検索はグラフ検索と同様の仕組みが用いられているということだった。つまり検索するユーザーが閲覧することを承認されているコンテンツのみ表示されるということだ。私が「友だち限定」の投稿にハッシュタグを含めたとすると、そのハッシュタグ検索で記事を読めるのは私の友だちに限定される。

〔日本版〕 Facebookブログによると、今回導入されるハッシュタグの機能は次のようなものという。
 • 検索窓からの検索。たとえば#NBAFinalsのように入力して検索できる。
 • Instagramなど他のサービスのハッシュタグをクリックできる。
 • ハッシュタグ検索結果やハッシュタグ・フィードから直接あらたな投稿ができる。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Apple経営陣、昨年の組織変更を反影してWWDCでの息はぴったり

昨日行われたAppleのWWDCキーノート講演は、私にあることを印象づけた。経営陣たちがかつてないほど、CEO Tim Cookに安心感を持ち、息が合っているように感じたことだ。昨日のAppleほど、キーノートやイベントがスムーズに進行することは稀であり、アンサンブル・キャスト方式(複数の幹部がそれぞれ機能説明や発表を行う)がこれほど無理なく安心感を与えながらテンポ良く進み、成功することもめったにない。

Appleのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長で、iOSおよびOS Xの責任者であるCraig Federighiが、iOS、OS Xに関するこの日最大のニュースと共に、今年のキーノートのスポットライトを奪ったと指摘する向きもある。Federighiは間違いなくこのショウのスターとして際立っていたが、全幹部が魅力的かつ安心感のあるプレゼンテーションを行ったという事実は、決して普通のことではない。

これは、Appleが昨年末に会社のトップ組織を入れ替え、Scott ForstallとJohn Browettが会社を去り、Jony Ive、Eddy Cue、Federighi、およびBob Mansfieldが新たな役職について以来、初のイベントだった。Federighiは、Forstallの職務を引き継いだのに加え、AppleのデスクトップOSの開発を率いている。

Appleは、社内の工業デザイン部門とソフトウェアデザイン部門の新しいレベルの協調関係について明言していたが、その証拠はiOSとOS Xの新しいソフトウェアだけでなく、発表のテンポとやり方にも表れていた。CookがAppleを率いるようになって以来、経営チームが最も団結していたと言ってもよい。ともあれ、この新たに再編されたより結束の強いと思われるApple経営チームから、まだまだ多くのイノベーションが生まれることを予感させるエネルギーがそこには漂っていた。

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(翻訳:Nob Takahashi)


GoogleのBigQueryが分析関数を強化, UIを一新, 料金を値下げ

Google BigQueryは、いくつかの新たなアップデートにより、大量データの低料金かつ迅速な分析サービスを、より使いやすくしようとしている。BigQueryはテラバイトのオーダーのデータを処理するが、今日(米国時間6/11)発表されたアップデートで、大きなデータベースのアドホックな分析における柔軟性が増し、またより高度な分析ができるようになった。

新たな機能は6つある: 1)クェリの出力量の制限を撤廃、2)高度なウィンドウ関数、3)再計算における時間とコスト節減のためのキャッシングの改良、4)クェリのコスト情報を瞬時に提供、5)ストレージ費用の低減、6)大型ワークロードのサポート(全ユーザに対し対話的クェリのクォータを倍増)。

BigQueryの新しいウィンドウ関数によってユーザは、“結果のランキング、分布や百分位を知る、JOINをせずに結果全体を横断する”、などができる。

データ量が大きいと費用も無視できない。その点、新しいユーザインタフェイスによって、データの管理がやや容易になり、時間節約が可能になった。正しいシンタクスのクェリに対してUIは、そのクェリの実行コストを事前に教えてくれる。

ストレージの費用は1ギガバイトあたり月額12セントが8セントに値下げされた。大型ユーザのためにはクェリ単位の料金設定もできるようになる。

BigQueryは、数十億行ものデータを処理する。そのベースとして使用しているGoogle Dremelは、リアルタイムのアドホッククェリシステムとして、Hadoopの分析能力を上回る、と言われている。

Dremelをオープンソース化しよう、という動きもある。ApacheのDrillは、Dremelの技術をオープンソースで実装している。ClouderaのImpalaも、オープンソースのリアルタイムクェリエンジンだ。2月にローンチしたCitus DataCitusDB for Hadoopは、数ペタバイトのデータを数秒で処理するサービスだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


調査結果:アメリカ人の過半数はNSAのスパイ行為をプライバシーより重要と考えている


国家安全保障局(NSA)のインターネット詮索に対する発作的怒りが爆発する中、多くのアメリカ人は権力によるスパイ行為を全く問題なしと考えている。「アメリカ人の過半数 ― 56% ― はNSAによる通話記録の追跡を政府のテロ対索手段として受け入れている」と、最新のPewレポートは伝えている

また大多数のアメリカ人は、一般に「テロリストの脅威の捜査」を「プライバシーを侵害しない」ことより重要であると考えている(62% 対 34%)。このタカ派的意見のリードは6年間安定している。

もし私がオバマ大統領なら、記者会見のたびにPewのTシャツを着て行くだろう。なぜなら、このデータはどこから見ても、彼の議論を呼ぶ政策を絶対的に支持しているから(ちなみに私はNSAの秘密主義を嫌っている)。

しかし、そのアメリカ人もメールの監視に関しては体質的にもう少し神経質のようだ。わずかの差ながら、過半数(52% 対 47%)が政府によるメール監視に反対している。

若者たちは詮索に嫌悪感を示す傾向にあるが、それでもあらゆる年代で過半数が、もし国家がテロ攻撃防止に役立つと考えるなら、全員のオンライン行動を監視する、ことを支持している。

予想されるように、このニュースを「非常に詳しく」追っている人々は、市民の自由を国家保障以上に懸念している(31% 対 21%)。

興味深いのは、オバマ政権とブッシュ政権との間に明らかな党派性による変化が見られることだ。2006年には共和党支持者の53%、民主党支持者の41%がメールの監視を支持したが、7年後には完全に逆転している(共和党の45%、民主党の53%がメール監視を支持)[訳注:下の表は別の質問。メールに関する質問の結果はPewのサイトを参照]

最後に、私は同僚たちに叩かれることを覚悟でこの記事を締めくくりたい。報道は常に人々を代表しているわけではない。われわれの仕事は批判的であることだ。オバマ大統領の市民の自由に関する実績を批判する時、われわれは彼が人々を代表する選ばれた役職としての使命を果たそうとしている可能性に留意すべきだ。改めて言うが、私はNSAの秘密主義が嫌いだ。しかし、知的誠実さを持つライターであれば誰でも、オバマ大統領の国家安全戦略に対する蔓延する批判を、世論が複雑化していることを認めるべきだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


AWSにRed Hat Enterprise Linuxの無料利用枠, 関係データベースの利用料金値下げ

Amazon Web Services(AWS)にRed Hat Enterprise Linux(RHEL)の無料利用枠が加わった。その発表と同じ夜(米国時間6/10)、関係データベースサービスの料金値下げも発表された。

AWSによるRed Hat Enterprise Linuxの提供は2007年に始まった。またAWSの無料利用枠は2010年に設けられた。今回は両者の組み合わせにより、無料利用枠の利用有資格者は750時間、RHELを無料で使用できる。

この発表の前にはAWSのブログ上で、Amazon RDS(Relational Database Service, 関係データベースサービス)の料金値下げが発表された。値下げは”On-Demand”(オンデマンド)と”Reserved”(予約)の両利用タイプに対し適用される。予約インスタンスは前払い、オンデマンドは短期間必要に応じて確保されるインスタンスだ。

オンデマンドのプライスはMySQLとOracle BYOL(Bring Your Own License, 既存Oracleライセンス)で18%、SQL Server BYOLで28%値下げされる。値下げの適用開始は6月1日にさかのぼって、となる。予約インスタンスに関してはMySQLとOracle BYOLで27%の値下げとなる。値下げは、本日以降の購入に対し適用される。

予約インスタンスに対する値下げは、過去30日以内の購入ぶんにも適用される。予約インスタンスに関しては、途中契約解除に対する返金はない。ただし料金値下げの適用は、1年ものの予約インスタンスなら30日前までの購入、3年ものなら90日前までの購入ぶんが対象となる。そして値下げぶんとの差額が、比例案分(日割り計算)で計算されて返金される。

AWSの基本テーマは、一貫して薄利多売だ。もちろん、競合他社との料金競争もある。またそれは、最近の企業ITの変化動向も反映している。企業はますます、自分のビジネスに忙しい。データベースの管理なんか、できれば自分ではやりたくない。と思って見たら、目の前にAWSがある。ラッキー! というわけでAWSの利用量は増える一方なので、料金値下げも今後さらに引き続いてあるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ザッカーバーグは(今でも)Facebookの株価に失望。広告ビジネスには「精通している」

Mark Zuckerbergは、今日(米国時間6/11)行われたFacebook株主総会の質疑応答前に、事前送付された質問の多くがIPO以来のFacebook株の業績に関するものであったことを明かした。それはありふれた質問であり、彼のコメントも、昨秋のTechCrunch Disruptカンファレンスを含め過去に話したものと同じような内容だった。

Zuckerbergは、多くの株主が株価の実績に満足していないことを認め、Facebookは、世界をもっとオープンでつながれたものにするという全社的使命を、より深く追求すると共に、「株主全員がすばらしい財政的リターンを得る」ことが必要だと語った。

「私たちは過去一年間の株価実績に失望している。重要なのは、そのために私たちは何をするのか、である」とZuckerbergは語った。

Zuckerbergは、回答の中であまり詳細に立ち入ることはなかったが、会社が常に「長期的展望」にたっていることを話した。彼は、Facebookが現在に至るまでに9年かかったことを挙げ、今後も株価だけではなく、サービスの改善、売上の向上、アプリの拡充などに引き続き焦点を当てていくと語った。

それに続く質問から判断するに、株主たちはこの回答に十分満足してはいないようだ。また、多くのコメントや質問に関してその険悪さうぶさ加減面白がる向きもあるが、これはFacebook株を買った一般人の多くが、結果的に損を出しているという(おそらく明白な)事実を思い出させるものだ。

彼らの不満に対するZuckerbergの回答は、主として冒頭のコメントの変化形にすぎなかったが、最後に聞かれた彼がどれだけの時間仕事に集中しているかという質問への答えは興味深かった。

「私は殆どの時間を、サービスやわれわれのユーザーが触れる部分の検討に割いている」と彼は言った。しかし、その「ユーザー」には、消費者、デベロッパー、広告主など様々なグループが含まれていることを指摘し、自分はFacebookの広告製品の検討に「有意義な」時間を費していると言って間違いないと付け加えた: 「私は当社の広告ビジネスに極めて精通している」。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Google、ソーシャル・カーナビのスタートアップ、Wazeを11億ドルで買収―ライバルに痛打

数ヶ月前から注目の的だったWazeの去就が決まった。このソーシャル・カーナビ・サービスのスタートアップをGoogleが買収したことが明らかになった。すでに二番手を遠く引き離しているGoogleのモバイル・マップ事業が、この買収によってさらに大きく強化されることになる。買収金額は明らかにされていないが、TechCrunchの情報源によると、11億ドルだという。

アップデート: Wazeが公式ブログで買収について発表した。CEOのNoam Bardinは「GoolgeのCEO、Larry Page、ジオ・プロダクト担当副社長、Brian McClendon、Googleマップ・チームは、以前からWazeに注目していた。われわれはGoogleマップ・チームといっしょに働くことができるようになったことに興奮している」と書いている。Bardinはまた、「Wazeは買収後も事実上何も変わらない。ブランド、サービス、会社組織、そして5000万人に上るユーザー・コミュニティーは従来どおり維持される」と述べた。

BardinはまたなぜWazeが株式上場ではなく買収を選んだかについても次のように説明している。「(上場すると)企業はプロダクトよりも決算の数字を優先せざるを得なくなる。注意はユーザーよりも金融機関、投資家、弁護士、ウォールストリートの方に向かいがちだ。しかしわれわれはWazeコミュニティーを最優先する(ためにGoogle傘下に入る道を選んだ)」。

アップデート2: イスラエルのテクノロジー・ブログ、GeekTimeも11億ドルという金額を確認した。それによると、10億3000万ドルは現金で会社とその株主に支払われ、1億ドルが貢献に応じて社員に支払われるという。

今回の買収はGoogleにとって二重に戦略的だ。報道によれば、Googleのライバル2社、FacebookとAppleがWazeの買収を試みていた。Facebookはデューデリジェンス段階で脱落、Appleのアプローチも失敗した(ただし2社ともWazeに買収の申し出をしたことは公式に認めていない)。

GoogleのWazeに対する関心2週間前に報じられ、その後さらに熱意が高まっているとされた。しかしこれまで噂が先行して情報が錯綜していた。

Wazeはこれまでに6700万ドルのベンチャー資金を調達している。投資家はBlue Run Ventures、Magma、Vertex、Kleiner Perkins Caulfield & Byers、Horizon Venturesなどだ。買収代金の大半はこれらの投資家のところに直行するらしい。イスラエルの経済紙、Globesによれば、共同ファウンダーのEhud Shabtai、AmirとGili Shinar、Uri Levine、Arie Gillon、CEOのNoam Bardinが手にするのは2億ドル以下だという。

ソーシャル: ラリー・ペイジがCEOの就任して以来、Googleはソーシャル化を強力に推進してきた。今やGoogleの全プロダクjとはGoogle+を軸としてソーシャルに再編されつつある。

世界最大のクラウドソースの位置情報プラットフォームであるWazeは、Googleのモバイル・マップのソーシャル化を大きく推進することができる。ユーザーは単にウェブ上で訪問した場所(ウェブサイト)を共有するだけなく、物理的に訪問した場所を共有できる。Bardinは4月のAllThingsDカンファレンスで、「“モバイルにとっての地図はウェブにとっての検索と同じ役割を果たす」と述べた。つまりモバイル・ユーザーが行う検索の大部分は位置情報に関連している。Wazeはモバイル・ユーザーの位置情報検索を現実の地図上のソーシャル・レイヤーとして表現できる。世界でもこうしたサービスを大規模に実現している例は数えるほどしかない(ニューヨーク・タイムズは地図をカンバスにしてあらゆるモバイル・アプリを統合するという興味あ実験を紹介している)。

ライバル: Waze買収にはもうひとつの意味がある。Wazeを傘下に収めたことによってGoogleはFacebookがWazeの資産を活用することを効果的に防止することができる。Bardinも述べているとおり、Wazeは単なる地図サービスではなく、位置情報のビッグデータ企業だ。モバイル化に全力を挙げているFacebookにとってインハウスで収集された膨大なソーシャル位置情報を保有するWazeは理想的な統合の相手だった。WazeをGoogleにさらわれたことによってFacebookはサードパーティーからのデータ提供に頼ることを続けるか、あるいは別の、より小さい同種の会社を買収しなければならなくなった。

Wazeが売却の相手にGoogleを選んだのはイスラエルから本拠を移さないという条件をGoogleがのんだことも一因だという。110人の社員のほとんど全員がイスラエルにおり、パロアルトのアメリカオフィスに勤務するのはわずか10人ほどだ。しかしパロアルト・オフィスは規模は小さいものの、CEOのNoam Bardinとプラットフォームおよび提携戦略担当副社長のDi-Ann Eisnorが常駐している。

現在のWazeの主要なターゲットはアメリカだ。4月にBardinが発表したところでは4400万人(当時)のユーザーのうち1200万人はアメリカにいるということだった。今年2月、Wazeはアメリカの事業を拡張し、収益化のため、広告ビジネスの中心地、ニューヨークのマジソン・アベニューにオフィスを開いた。最近、Wazeの社員が頻繁にニューヨークを訪れている。収益化のためには今後なすべきことが多いだろうが、ここでもGoogle poleの巨大な広告マシンが大いに威力を発揮するに違いない。この点でもWazeとGoogleの相性は良さそうだ。

〔日本版〕 Wazeはカーナビをベースにしてユーザーがドライブ中に渋滞、事故、ガソリンスタンドの料金などの情報をリアルタイムで発信し、情報を共有できるサービス。日本語版も公開されている(Android版、iOS版)。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Apple新製品にはJony Iveビデオ。「複雑な世界に秩序をもたらすiOS 7」

Appleは昨日、WWDCにて次世代iOSの発表を行った。発表を受けて、Jony Iveによる7分間のiOS 7紹介ビデオが公開されている。

「真のシンプルさというのは、無用なものを削ぎ落したとか、装飾を廃したというようなところから生まれるのではありません」とIveは言う。「複雑さの中に秩序をもたらしてこそ、シンプルさが実現されるのです」(bringing order to complexity)とのこと。

WWDCのステージ上でも言っていたように、iOS 7はiPhone上で実現される最大の変化となる。それでAppleとしても実際のリリースの前からiOS 7についていろいろと情報を流しているというわけだ。但し、新OSのベータ版を動作させているさまざまなデバイスを見る限り、どうやら賛否両論がありそうだと感じる。

たとえばFacebookはほんのちょっとした変更を加えただけで、反対の声が大きく巻き起こるというのが常となっている。Appleが採用する今回の変更は、ほぼ「全て」の面にわたっているのだ。

Iveによる今回のビデオは、今後いくつも行われる大規模マーケティングキャンペーンの第一弾となるものだろう。Appleはこれからしばらく大幅に変更したiOSのメリットを訴えかけるキャンペーンを張るに違いない。秋のiOS 7登場前に、TVのスポット広告やオンライン広告が種々登場することになるだろう。

まずはカクテルでも飲みながら、Sir Jonathan Iveの格調高い紹介ビデオでも見ていることとしようではないか。

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(翻訳:Maeda, H)


本日アナウンスされたiOS 7、新たな機能をスクリーンショットで確認してみる

WWDC 2013の舞台にて、iOS 7が正式にアナウンスされた。見た目の部分でかなり大きな変更があるようだ。もちろん新たに生み出されたり付け加えられた機能も多くある。正式版のリリースはまだ数カ月先だが、本日公開された開発者版を早速いろいろといじり始めているBrian Roizenが数多くのスクリーンショットを投稿してくれている。WWDCの舞台上で行われたデモで、新しいOSの方向性は理解できたという人も多いことだろう。しかし詳細なスクリーンショットも、いろいろと参考になるところがあるはずだ。

ノートアプリケーションにある紙の質感などの部分に、以前からの「skeumorphic」デザインが少々残っているようにも感じるが、しかし全体的にはシンプルになったスタイルと「フラット」デザインが特徴だ。またマルチタスクトレイは大幅に使いやすくなった様子。また各種設定をまとめて行えるコントロール・センターも非常に便利そうだ。ボトムトレイからダブルクリックで呼び出す現在の設定機能にはいろいろと不便な点があり、不満をおぼえていた人には朗報となる。

全体的に言えば、これまでよりもモダンでクリーンなエクスペリエンスを提供するOSになると言える。カレンダーやメール、サファリなどのコアアプリケーションの外見によって感じる変化も大きそうだ。基本的な機能オプションのみを常に表示し、細かな機能を提示することでデザインをごちゃごちゃさせることがなくなっている。但し新しい通知パネルには「Today」、「All」、そして「Missed」などのペーンが新たに用意されることとなり、ひと目で全体を見るという方向からは変更になったようだ。こうしたところの使い勝手などをチェックしてみたいものだ。

ちなみに、一般向けのiOS 7のリリースは秋に予定されている。これからしばらくの間で変更点も多数あることだろう。しかし全体的なルック&フィールについては、本日明らかになったものと大きく変わらないものと思われる。これまでと比べると大きな変化であるのは間違いない。一般利用者の評価がどうなるのか、注目して行きたい。

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(翻訳:Maeda, H)


HTML5アプリの高速化フレームワークを提供するFamo.usが今年のWWDCで紹介された

Appleはこれまでも、WWDCのキーノートで、同社とゆかりのあるデベロッパやパートナーを取りあげてきた。今日(米国時間6/10)の最大の勝者は、Andreessen Horowitzが投資しているAIのスタートアップAnkiだと思うが、ほかにも印象に残ったのはFamo.usの短いデモだ。ここは昨年秋の本誌主催Disruptカンファレンスでローンチしたスタートアップだ。

そのデモは、かなり短かった。それはOS X Mavericksの発表で、Safariの改良を説明したときだ。Safariのパフォーマンスをほかのブラウザと比較しながら、AppleのCraig Federighiが、「ではここで、とっても電力を食う重いWebサイトを開いてみよう」、と言った。それがFamo.usのホームページで、Famo.usのJavaScriptフレームワークをデモするためにいろんな成分のテーブルを表示している。そのときFederighiは、Famo.usのときはCPUの電力消費メーターの針が約半分ぐらいのところまで上がることを見せた。そのウィンドウをiTunesの背後に隠すと、針は下がった。

Famo.usのプラットホームは、HTML5アプリの高速なレンダリングが売りだから、そのデモとしては物足りない。でも、多くの聴衆に、AppleがFamo.usに注目していることが分かっただけでも、すごいことだ。

Famo.usの協同ファウンダでCEOのSteve Newcombに、今日のWWDCでAppleがFamo.usを取りあげた理由について聞いてみた。彼は、よく分からないけど“前からAppleとの仲は良いし、彼らがうちを高く評価していることの表れだろう”、とだけ言った。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


「iTunes Radioだって?」PandoraとSlackerは感銘を受けていない

Appleは、長らく噂されていたApple iRadio、ではなくiTunes Radioを今日のWWDCで発表した。新しい音楽ストリーミングサービスの概要はわかったが、明白な疑問が一つ。PandoraやSpotifyなど既存のインターネットラジオやオンライン音楽サービスにとってこれは何を意味するのだろうか。

そこで私は、Pandora、Rdio、Slacker、およびSpotifyにメールで意見を尋ねた。Spotifyは回答を拒否し、Rdioは何らかの発表を準備中とのことだったが、あとの2社は短い声明を送ってくれた。大きな驚きはなく、あの恐怖の「正当性」という単語も1回登場する。ともあれ、彼らがなぜこのニュースに脅威を感じていないかについての興味深いトークが展開されている。

まず、Pandoraの声明:

Appleの新機能は、iTunesをすでにラジオ機能を持つ他の音楽ストリーミングサービスと対等にする進化だ。当社は過去13年間ラジオを再定義することだけに集中し、他を寄せつけない知的財産、パートナライズされたプレイリストの提供に関する豊富な体験、およびあらゆるプラットフォームで利用できる普遍性の恩恵に預かってきた。Pandoraなら2億人を越える登録ユーザーが、いつでもどこでも大好きな曲と簡単につながることができる。

そしてこちらがSlacker CEOのJim Cady:

結局人々は音楽をレンタルしたいのだろう。

Appleがついに音楽ストリーミング分野に乗り出したことは、われわれがSlackerで2010年以来、世界の音楽ライブラリーをどの端末からでも聞けるサービスを提供してきたことの正当性を実証する。Appleは優れた製品を作るが、Appleのエコシステムに入っていない人は使えない。囲い込みはリスナーのためにならないので、Slackerはユーザーに自分のコンテンツをアクセスする真の自由を与えることの重要性を信じている。iOSであれ、Android、Windows、スマートテレビ、Xbox、あるいは車載情報エンターテイメントシステムであれ。

さらにSlackerは、独自の人間的アプローチをコンテンツプログラミングに取り入れ、ABC、ESPNスポーツのニュースやWeather Channelの最新情報を盛り込むことによって、音楽に留まらないユニークなパーソナライズド・エンターテイメントを実現している。

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(翻訳:Nob Takahashi)


iOS 7のフラットデザインでアプリを開発するための移行ガイドをAppleが発行

予想どおりAppleは、iOS 7にまったく新しいデザイン原則を導入した。自分のアプリを最新作に見せたいデベロッパは、その‘原則’に適応しなければならない。幸いにもAppleは今日(米国時間6/10)、iOS 7向けの設計や既存アプリの移行に関する、相当網羅的なガイドを発表した。これを読むと、縁なしボタンや半透明バー、全画面レイアウトなど、新しいUI成分の使い方を理解できる。

完全新装のiOS 7についてAppleは、“アプリがその目的と機能性をユーザに伝えるやり方を再検討するための、またとない機会だ”、と言っている。

iOS 7向けにアプリを設計するときのAppleが掲げる三大テーマは:

服従(Deference)* UIはユーザによるコンテンツの理解やコンテンツとの対話を助けるが、コンテンツと競合しない。

明晰(Clarity) テキストはどのサイズでも読みやすく、アイコンは精密で明快、装飾は目立たず適切、そして機能性を重視したデザイン。

深遠(Depth)** ヴィジュアルレイヤ(層化UI)とそのリアルな動きがユーザの満足と理解を高める。

〔訳者注: *Deference, 三歩下がってコンテンツの邪魔をせずのような、控えめな態度。**Depth, はてブsecurecatさんのご忠告に従うと「奥行き」、ただここは、全体的に文学調・哲学調にしてみたかったので。〕

中でもAppleがとくに強調している新機能が動的タイプ(Dynamic Type)だ。それによりiOS 7の中ではテキストレイアウトの多くが自動化される。Appleはまた、iOS 7向けのアプリは新しいデザイン成分、とくに透明なステータスバー、ナビゲーションバー、タブバー、ツールバー、検索バー、スコープバー、デート(日付)ピッカーなどをサポートしてくれ、と言っている。

さらにまたAppleは、アプリがiOS 7にふさわしい“くっきりとした美しいUIとなめらかな動き”を実現して、いかにもAppleふうのアプリになるためのコツを二つほど述べている。その第一は、全画面重視。はめ込み的なレイアウト(inset)やフレームを使わずに、アプリのコンテンツが“画面の端から端までを占領する”こと(上図)。第二は、物理的なリアリズム(ベゼル、グラデーション、ドロップシャドウなど)を廃すること。その理由は、それらはUIを重くし、コンテンツよりも目立ってしまうことがあるからだ。Appleは曰く、“UIはあくまでも脇役に徹するべきである”。そして、アプリは“明快さを優先し”、ホワイトスペースが多くて、色はUIを単純化するためにのみ、使うこと。

そのほか、Appleがデベロッパに多用してほしいと思っているUI成分は、半透明な背景とトランジションの強調により、複数のコンテンツの深度と階層を表現するやり方…層化UI…だ(下図)。

このガイドはiOS 7のドキュメンテーションでありながら、必要ならば当分の間はiOS 6ふうのデザインを維持してもよい、と言っている。そのためXcode 5は、アプリの複数のバージョンの管理をサポートし、Auto Layoutを使った場合とそうでない場合を比較できる。

以下に、Appleが主張するiOS 7向けアプリ開発の原則を、箇条書きにしてみた:

  1. アプリのコンテンツが半透明のUI成分(バーやキーボードなど)や透明なステータスバーの下に見えること。iOS 7では、ビューコントローラは全画面レイアウトを使う(ビューコントローラの使い方は、Using View Controllers)。
  2. カスタムバーののボタンアイコンのデザインを変える。iOS 7ではバーのボタンアイコンは軽くてスタイルも異なる。
  3. ふちなしボタンに備える…ボタンのバックグラウンド画像をやめて、レイアウトも再検討する。
  4. UI成分のサイズや位置をコード中で具体的に指定することをやめて、システム提供の値からそれらが自動生成されるようにする。レイアウトを変えたときにアプリが自動的に適応するためにAuto Layoutを使う(Auto Layoutの使い方は、Cocoa Auto Layout Guide)。
  5. アプリ中の、UIKitコントロールやビューの寸法・スタイル等が変わるとレイアウトや外見が変わるような場所を見直す。たとえば、スイッチは幅が広いし、テーブルのグループにはインセットがなく、プログレスビューは前よりも薄い。個々のUI成分に関する詳しい情報は、Bars and Bar ButtonsControlsContent ViewsTemporary Viewsを見よ。
  6. Dynamic Typeを使え。iOS 7では、アプリ内で今見ているテキストのサイズをユーザが調節できる。ユーザのそんなアクションにアプリが対応できるためには、Dynamic Typeを採用しなければならない。詳しくは、Using Fontsを。
  7. アプリ独自のタッチ処理を書いたときなどには、iOS 7の新機能であるControl Centerのジェスチャーやナビゲーションコントローラの‘スワイプして戻る’ジェスチャなどと衝突しないよう気をつける。
  8. ドロップシャドウやグラデーション、ベゼルなどの使用をやめる。iOS 7の美学はスムースさと層化(半透明化)にあるので、物理的な実物に見えるようなUI成分は重視されない。影つきとか、立体感とか、そういう物理的実物感は再検討を要する〔つまり、やめてほしい〕。
  9. 必要なら、アプリをiOS 6のベストプラクティスにアップデートする(Auto Layoutやストーリーボードなど)。それにより、アプリが非推奨APIを使っていないようにする。

iOS 7デザインガイド本体は、ここにある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


iOS 7、古いiPhoneやiPadは取り残される

iOS 7はこの秋iPhoneにやってくる。しかし、WWDCで発表された機能のすべてを使えるのはiPhone 5とiPod touchだけだ。iPhone 4と4Sユーザーが手にするのは新しいルックスと機能の一部だけだ。iPhone 3GS以前の旧モデルのことは忘れること。そこではiOS 6のスキューモーフィックな世界が永遠に続く。

下の表にある通り、AirDropはiPad 4、iPad miniを含む最新機種だけが利用できる。iPhone 4Sはカメラのフィルターを欠いているが、iPhone 4共々、写真アプリではフィルターが使える。

今日発表された中で唯一Appleに収益をもたらす機能であるiTunes Radioは、iOS 7互換の全機種で利用できる。

これらの機能の一部はiPadでも利用できる ― ただし初代iPadを除く。これはiOS 6のままだ[*]。iPad 2はSiriのアップデートとiTunes Radioだけ。写真のフィルターはiPad 3以降で使える。しかし、iPad 4とiPad miniですら、カメラのパノラマやフィルター機能はない。
[* 訳注:初代iPadはiOS 5までなのでiOS 6さえも使えない。iPhone 3GはiOS 4まで]

もちろんこれは、進化における残念な副作用であり、取り残される機種が出るのは当然だ。

AppleとGoogleは、最新OSで旧機種をサポートすることに関して、称賛すべき行動をとっている。iOS 7を含め、殆どの場合制限の理由はハードウェアに直結している。ハードウェアが新機能に全く対応していないか、ユーザー体験の質を維持できる水準にない場合だけだ。

とりわけAppleは、他社以上にユーザー体験を損わない場合にのみ機能を提供することにこだわる。Siriが登場した時、AppleはiPhone 4Sよりハード性能の低い1年前のiPhone 4に音声入力を提供しなかった。

Microsoftは、Windows Phone 8が当時の現行端末を サポートしないと発表して人気を下げた。旧ユーザーはWindows Phone 8のUI要素の一部を使用できたが、性能改善を支える新機能群は提供されなかった。しかし、新OSは当時の機種にないハードウェアを必要としていた。進歩は時に痛みを伴う。

iOS 7が今年の秋に公開される時、ハッカーやプログラマーたちは、欠けている機能を旧機種に移植すべく最大の努力を払うに違いない。もっとも、それが起こらなくても、あなたのiPhoneにない機能を持つアプリが存在する可能性は高い・・・なぜなら、元々Appleが盗んだものなのだから。

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(翻訳:Nob Takahashi)


iOS 7、新機能の多くは模倣。Mailboxのジェスチャー、BlackBerryのバック機能、WebOSのマルチタスク等々

今日(米国時間6/10)Appleは、WWDCのキーノート講演でiOS 7を発表した。新OSには魅力的なデザイン改訂がなされたが、その機能やUIの多くは、革新的サードパーティーアプリや、ライバルのモバイルOSに強くインスパイヤーされている。

新しいメールクライアントは、見た目からしてMailboxにそっくりだが、これは新しいフラットUIのためだ。しかし、Craig Federighiがメールの上で指をスワイプして「移動」や「削除」のアクションを見せた時、Mailboxのジェスチャーが強く想起された。

新カレンダーアプリには新しいデフォルトビューが採用された。上部には週間カレンダーが、下部には現在起きているイベントのフィードが表示される。そして、先の日付にジャンプするためのスクロール式月間ビューはSunriseのUIによく似ている。

そしてもちろん、iTunes Radioである。すでに誰もが知るライバル、Pandoraとの比較は避けて通れない。あの小さなスタートアップは大くく成長して上場企業になり、音楽を聞く全く新しい方法を定義した。Spotifyはそのラジオ機能をコピーしたが、今度はAppleだ。Pandoraと全く同じように、お気に入りのアーティストを選んで関連ある曲がエンドレスに流れる自分専用のラジオ局を作ることができる。

真似されているのはサードパーティーアプリばかりではない。ライバルOSも気をつけた方がいい。例えば、Appleはシステム横断の「戻る」機能を新しく提供する。iOSはAndroidと異なり戻るボタンがないことでよく知られてきたが、回避方法を見つけたようだ。画面の左端をスワイプすると、前の画面に移動する。この機能はBlackBerry 10そのままだ。

そしてAppleが新たに採用したマルチタスク画面は、今はなきWebOSにそっくりだ。古き良きWebOSで最高の機能といえばマルチタスクだった。実行中のアプリ毎に、アプリの現状を示すカードがある。カードからカードへとスワイプして求めるアプリを見つけることができる。

新しいフラットUIによって、iOSはWindows Phoneにもかなり似てきた。ボタンとロック画面はよく似ているし、フラットテザインを普及させた主役の一人がMicrosoftであることに驚く人はいないだろう。

盗作はまだまだありそうだ。

[iOSの写真アプリは、flayvrにそっくり]

古いUI要素も一部残されているので、iOS標準アプリの古いユーザーを驚かせることはないだろう。例えば、カレンダーの週間ビューはSunriseには存在しないがAppleは今もこのビューを提供している。Appleが他のOSの機能を模倣するのは珍しいことではないが、サードパーティーからの盗作は納得できない。あの小さなチームたちは、モバイルで最大級のUIイノベーションを生み出したのに、iOSの最新版によって報われることはない。

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(翻訳:Nob Takahashi)


AppleのApp Storeダウンロード総数は500億。アプリケーション数が90万で、開発者が得た金額は100億ドル

毎年のWorldwide Developers Conferenceで楽しみなことのひとつは、Appleエコシステムの状況について発表をきくことだ。本日も、最新の情報が発表された。App Storeからのダウンロード総数は500億に達したとのことで、昨年の300億から大いに伸び、480億ダウンロードの達成を先日アナウンスしたGoogle Playをリードする状況であるようだ。iOS用アプリケーションの数は90万本に達しており、iPhone、iPad、およびiPod touchなどで利用できる。iPad専用アプリケーションの数は37万5000本となっているそうだ。

2012年6月の段階では、iOSアプリケーションの数は65万本であるとされ、iPad用が22万5000本だとアナウンスされていた。ちなみに2011年段階ではiOSアプリケーションの数は42万5000本で、iPad用は9万本とのことだった。登録アプリケーションを利用する登録利用者数は現在のところ5億7500万であるとのこと。

Appleのアプリケーション経済は開発者たちにとってもうまく機能しており、Appleがサードパーティー開発者に支払った額も100億ドルに達しているそうだ。こちらの方は2012年には50億ドルで、2011年段階では25億ドルだった。成長具合をみるためにさらに遡ってみると、2010年は15億ドルであるとアナウンスされていた。

アプリケーション開発者がマネタイズを目指す際に、やはりAppleのエコシステムというのが有効に機能しているようだ。アプリケーション分析を行なっているApp Annieの今年第一四半期についてのレポートによれば、iOS App Storeの売り上げはGoogle Playストアの2.6倍であったとのこと。App Annieと競合するDistimoも、Google Playが着実に成長しつつあるものの、現状ではiOS App Storeが優位であることをレポートしている。また、アメリカのストアにおいてトップ200のアプリケーションを比較した調査も行なっている。それによれば、2013年4月時点で、Google Playにおける日々の売り上げは110万ドルで、Apple App Storeの方は510万ドルとなっている。

ただ、Appleのアプリケーションエコシステムの成長が諸刃の剣となっている状況もある。多くの利用者が存在してチャンスはあるものの、しかし一部の「勝者」が全てを獲得するという状況にもなりつつあるのだ。iPhoneアプリケーションの売り上げが上位のパブリッシャーのうち、新人が占める割合がわずか2%であるという報告もあった。100億ドルの行き先がどうなっていたのかは、なかなか興味深いところだ。

爆発的な人気を獲得したわけではないアプリケーションの開発者にとってみれば、App Storeの成長ぶりや売上げについてのアナウンスはすなわち機会損失を証明するものともなる。Apple App Storeの成長が落ち着いてくる中、Google Playの方に目を向けようとする開発者も存在するようだ。

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(翻訳:Maeda, H)


Apple、ついに新型Mac Proをアナウンス

WWDC 2013の会場にて、Phil Schillerは集まった人々に向けて麗々しく新しいMac Proをアナウンスした。曰く「これ以上のイノベーションは不可能です」とのこと。最大12コアのIntel Xeonを搭載したサーマルコア構造で、超高速なメモリを採用している。これまでのMac Proと比較して、2倍の処理性能を誇るそうだ。

20GbpsのThunderbolt 2ポートが用意され、2枚のGPUグラフィックカードを積んで4Kディスプレイをサポートする。性能的には文句のつけようがないものと言えるかもしれない。また、これまでのMac Proと比較して大幅に小型化がなされている。従来のものと比べて8分の1程度のサイズになっているようだ。

ギガビットEthernetに対応し、HDMI、USB 3.0ポートなども搭載。アメリカでアセンブルされる予定で今年後半に登場とのことだが、時期や価格についての詳細はまだ明らかになっていない。

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(翻訳:Maeda, H)


Apple、新SiriのTwitter、Wikipedia、Bingとの統合を発表。新コマンドおよび男女双方の音声も用意

WWDCキーノートにて、音声を使ったパーソナルアシスタントであるSiriに施す種々の機能追加が発表された。外見的には高性能の男性および女性音声が利用できるようになる。また、複数言語にも対応している(英語、ドイツ語、フランス語等々)。しかしそうした外見的変更だけでなく、機能的にも大幅に変更されることになった。すなわちTwitter、Wikipedia、およびBingを使った検索機能を統合することとなったのだ。即ち利用者のリクエストに対して、Wikipediaから引用して回答するというようなことがあり得るようになったわけだ。

またコマンドもいくつか追加されることとなった。たとえば「Play last voicemail」(最新のボイスメールを再生)、「toggle settings」(設定変更)、ないし「increase brightness」(輝度アップ)などだ。しかし最も大きな変更は、BingをSiriの標準検索ツールとしたことだろう。

さらに、ホンダ、メルセデス、日産、シボレー、Kia、およびHyundaiなどとの提携により、車載のタッチスクリーンからも種々の機能が利用できるようになる。

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(翻訳:Maeda, H)


スマートフォンが大きすぎて友達を失くした女子の話

ダンスフロアで彼女を見失った。普通なら何の問題もないが、彼女はスマートフォンが大きすぎたのでクロークに預けていた。大きく美しい画面を追求するあまり、彼女はそもそもなぜ人は電話を携帯するのかという基本的理由を犠牲にしていた。広大なナイトクラブで彼女を見つける方法はなく、2度と会うことはなかった。

これは今週シンガポールで起きた私の驚くべき体験だ。スマートフォン革命は、効率よりパワーと派手さに集中してきたが、そこには問題がある。

今日のテクノロジーによって、私たちは小型軽量でバッテリー寿命の長い事実上破壊不能な電話機を持ち、通話やSMS、さらにはAndroidを走らせてメッセージングアプリを使うことまでできるようになった。何よりも、携帯に便利で信頼性が高い。

私たちが失ったすてきな友達も、そんなデバイスの恩恵を受けていたに違いない。彼女はその夜のクラブを一人で過ごすことになり、私たちは気もそぞろに彼女を探し、不満を募らせながら過ごした。スカートのベルトかブラに挟める小さな電話機があれば、私たちは再会してディスコライトの下で楽しい夜を過ごすことができただろう。

Mophie Juicepackの売れ具合や、よく聞く「電池が切れた!」の叫びは、われわれのバッテリー難に何らかの解が必要であることを示している。あの最後の20%の命を夜のために残さなくてよいと知っていれば、あそこまで電子の割り当てに熱心になる必要もないのに。

最近のトレンドである男性のタイト目のジーンズにとっても、小さい電話機の利用価値はある。非常用デバイスとしても有効だ。値段も安いので車のグローブボックスや地震の持ち出しキットに、ソーラーまたは手回し発電機と一緒に放り込んでおくのもいい。データ利用料で稼ぎたいキャリアーには不評かもしれないが、独立系メーカーが隙間を埋めてくれるだろう。

誰もがPathのファウンダー、Dave MorinのiPhoneを2台持つというアイデアを笑った。1台は昼用、1台は夜用で、彼があまりに早くバッテリーを消費するからだ。しかし、たぶん一部の人々にとって本当に必要なのは、大きなフル機能のメディア消費用モバイルコンピューターを1台と、ごく小さな基本的コミュニケーション用ツールが1台だろう。

旧型携帯電話はたくさんあるが、価格のせいか機能が絞られすぎている。意図的に機能を限定し、かつハイテクを駆使した端末に市場はあるかもしれない。スマートでもダムでもない、シンプル・フォンを世界は待っている。

[画像提供:Anniken Hannevik / Trigger Happy TV

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(翻訳:Nob Takahashi)