Shopifyが売上高1.1億円以下のデベロッパーへのアプリストア手数料を免除

AppleやGoogle、そして直近ではAmazonなどの動き同様に、eコマースプラットフォームのShopify(ショッピファイ)は米国時間6月29日、同社のアプリマーケットプレイス、そして新しいShopify Theme Storeでデベロッパーに課す手数料を下げると発表した。同社のUnite 2021カンファレンスで、Checkout、API、デベロッパーツール、フレームワークなどへのアップデートを含む他のデベロッパー関連のニュースとともに発表された。

Shopifyのアプリデベロッパーパートナーは2020年に、2018年と2019年の合算を上回る2億3300万ドル(約260億円)を売り上げた。これは部分的には新型コロナウイルスパンデミックとそれにともなうeコマースへの急速なシフトによるものだと同社は話す。今日では、Shopifyのアプリストアでは6000超のアプリが提供されていて、販売事業者は経営のために平均6つのアプリを使っている。

Shopifyはアプリデベロッパーの売上にかかる手数料を、同社のプラットフォームでの年間売上高が100万ドル(約1億1050万円)以下であれば20%から0%に下げると話す。このベンチマークはプラットフォーム上で毎年リセットされ、売上高が100万ドル前後のデベロッパーにさらに稼ぐ可能性を提供する。そしてShopifyの売上高シェアが適用されると、その取り分は「余分の」売上の15%となる。つまりデベロッパーは100万ドルを超えた分の売上の15%だけを手数料として払うことになる。

同じビジネスモデルがShopifyのTheme Storeにも導入され、デベロッパーは7月15日から申し込める。

ShopifyのアプリストアとTheme Storeは別事業であり、売上高100万ドルというメトリックはそれぞれ別に適用される。新しいビジネスモデルは8月1日から展開され、アカウント情報をパートナーダッシュボードで提供して登録しているデベロッパーが利用できる。

これまでよりもデベロッパーフレンドリーなビジネスモデルはShopifyにとっては売上減を意味するが、さらにイノベーションと開発を促すことが見込まれるため、売上減の影響が「かなり大きなものになる」とは考えていない、と同社は話す。

Shopifyのアプリストアへの変更は、デベロッパーに課す手数料をめぐるアプリストアマーケットにおけるシフトに続くものだ。

2020年、アプリストア運営に対する規制当局の監視が厳しくなる中で、Appleは新しいプログラムのもとに零細事業者に課すアプリストア手数料を減額すると発表している。年間最大100万ドル稼ぐデベロッパーはアプリ内購入で払う手数料は15%に抑えられる。その後、GoogleAmazonも似たような動きを見せた。たとえばGoogleの場合、デベロッパーが稼ぐ最初の100万ドルでは15%の手数料を取る。Amazonはまだ20%と高い手数料を徴収しているが、特典としてAWSクレジットを付けている。

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AppleとGoogleは特に、こうした変更がアプリストア独占疑いでの独禁法調査から自社を守るのに役立つことを望んでいて、一方で自社のアプリ経済に参加する良い理由をデベロッパーに提供している。

モバイルはさておき、Microsoftは2021年、ライバルへの圧力を強める手段としてEpic GamesのWindows Storeでのゲーム販売の手数料を12%とすることに同意した。新しいWindows 11 Storeの大規模なアップデートでは、アプリにかかる手数料は15%のままだが、デベロッパーは独自の決済プラットフォームを使うことができる。

これまで、マーケットの大方はアプリとゲームの販売の手数料を下げることにフォーカスしてきた。Shopifyのアプリプラットフォームは他のものと異なる。eコマース事業を促進するのに使われるアプリを扱っている。出荷や配達、マーケティング、マーチャンダイジング、ストアデザイン、顧客サービスなどに関するものだ。これらは消費者向けのアプリではないが、アプリストアで販売されている。

デベロッパーの事業への変更は6月29日開催のUnite 2021で発表された大きなニュースである一方で、それはShopifyが発表したプラットフォームに関する一連のアップデートを打ち消しはしない。

主なアップデートは次の通りだ。Netflixが最初にテストしたShopifyのLiquidプラットフォームへの、よりフレキシブルでカスタマイズ可能なアップデートであるOnline Store 2.0のデビュー。すばやい対応のためのカスタムストアフロントへの投資。Hydrogenというカスタムストアフロント構築のための新しいReactフレームワーク。OxygenというShopifyでのHydrogenストアフロントをホストする方法。プロダクトと類似プロダクト、カスタムコンテンツでのMetafieldsのサポート。これまでよりも迅速なSpotify Checkout。Checkout Extensions(デベロッパーによって構築されるカスタマイゼーション)。従来より簡単でパワフルなShopify Scripts。サードパーティ決済ゲートウェイのCheckoutへの統合のためのPayments Platform。ストアフロントAPIへのアップデート。

Shopifyはまた、新たにいくつかの事業メトリクスを共有し、たとえば2020年4億5000万人超がShopifyで決済を行い、流通取引総額は1200億ドル(約13兆2640億円)だったと明らかにした。アプリデベロッパー、テーマビルダー、デザイナー、代理店、専門家などを含むShopifyパートナーの2020年の売上高は125億ドル(約1兆3815億円)と前年比84%増で、これはShopifyプラットフォームの売上高の4倍だった。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Shopifyeコマースアプリ

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

韓国裁判所がNetflixに不利な判決、ISPによるストリーミングサービスへの帯域幅使用料徴収の道をひらく

韓国での裁判はNetflix(ネットフリックス)の敗北、同国ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)の勝利となった。ISPはトラフィックを食い尽くすストリーミングプラットフォームから帯域幅使用料金を徴収する権利を得た。判決は控訴される可能性が高い。なぜなら事実上これは、市場の爆発的な伸びにあわせ新世代のストリーミングサービスにISPとの価格交渉を強いるものだからだ。

Korean Economic Dailyの報道によると、裁判所の決定は「自分たちで解決せよ」とする公式見解ほど規範的なものではない。しかしストリーミングサービスを彼らが数年来戦ってきた特別な帯域幅使用料から保護するものでもなかった。

2020年にNetflixは、ISPであるSK Broadband(SKブロードバンド)に同プラットフォームが使用する帯域幅の使用料を要求する権利はないと主張する裁判を起こした。2014年前後に勃発した訴訟と同様の内容だ。

当時ISP各社は、ストリーミング・サービスは法外な量の帯域幅を消費しているので、提供側コストを補償する支払いをすべきだと主張した。一方ストリーミングサービス側は、自分たちはすでに帯域幅の利用料金を払っているユーザーの要求を満たしているだけであり、ISPは同じものに課金して「二重稼ぎ」しようとしていると反論した。

厳密には現実はもう少し複雑であり、結局Netflixは、膨大なデータを高速で安定して配信するために必要なインフラストラクチャーを維持するための相互接続費用なるものを払うことになった。Netflixはこれを「高速レーン」税のようなものだと述べたが、その後の説明はなく同社はそれを事業運営のコストとして計上したと見られる。

Netflix広報担当者は、SKが要求していた料金は、世界中どこのISPとの契約にも見られないものだったとTechCrunchに説明した。同社は過去に相互接続その他の費用を払ってきたが、現在はブロードバンド・ロバイダー各社と別の方法を検討中であり、コンテンツ配信を高速化するローカル・キャッシング・インフラストラクチャーを構築することでISPの通行料を回避しようとしていると広報担当者は言った。NeftlixはSKの要求について、何人のユーザーや何テラバイトのトラフィックに対して何ドル / 何ウォン支払うなどの詳細は明らかにしなかった。

「現在裁判所の見解を慎重に検討しているところです。当社は今後も引き続き、SK Broadbandと協力して共通の顧客にサービスを提供し、私たちのOpen Connectサーバーに投資していきます」とNetflixが声明で語った。

韓国では他国と比べてこの問題が解決しておらず、爆発的に成長していることから、ストリーミングサービスは自分たちの成功に比例した料金を払わないことを望んでいるものと思われる。その結果がこの訴訟だ。しかし、裁判所の最新の決定はボールを相手コートに返し「手数料を払うかどうかは両当事者間による交渉で決める必要がある」とした。

これはブロードバンドプロバイダーにとって朗報だ。なぜなら交渉結果が何であれ、これまでのゼロよりは大きいからだ。どういった種類の金額を要求可能なのかは完全な謎である。なぜなら業界の変化があまりにも速いからだ。そしてこの判決は世界最大級の企業(貪欲な韓国市場で大儲けしている)にとって不利であることから、再燃することはほぼ間違いないだろう。一方この国の消費者にとってはストリーミングの価格が上がる可能性が高い。消費者の反発を引き起こす実証済みの方法だ。

この問題は米国その他の地域でも解決にはほど遠く、民主党主導となったFCC(連邦通信委員会)の下、強力なネット中立性ルールの新たな後押しがあるかもしれない。Netflixは当初のネット中立性推進の議論の中でこの種の料金を違法であると主張したが、最終的にその考えを捨てた(後日ルールが撤廃さればそもそも意味がなくなる)。ISPが何を課金できて何を課金できないか誰が払うべきかの議論は今なお全世界で進行中だ。

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タグ:韓国Netflix動画配信ISP裁判

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックに対する米連邦取引委員会の独禁法訴訟は棄却、しかし完全には敗訴せず

FTC(連邦取引委員会)といくつかの州がFacebookを提訴した反トラスト法違反の訴訟は、米国時間6月29日、連邦判事により、同社がソーシャルメディアを独占的に支配していることを示す十分な証拠を原告が提示していないとの判決が下された。しかし、裁判所は、InstagramとWhatsAppの買収を再検討することには前向きで、本件は規制当局が再度検討する余地を残している。

この判決は、訴訟を棄却せよというFacebookの動議に対する答えだ。ワシントンD.C.巡回裁判所のJames Boesberg(ジェームズ・ボーズバーグ)判事の説明では、独占および反トラスト違反の証拠として提出されたものは、「前進するにはあまりにも推測的で結論的である」という。もっと普通の業界のものであれば、これで十分かもしれないが「本件は、普通のあるいは直感的な市場ではない」と彼は認めている。

原告は、Facebookが市場の60%を支配しているという主張を、明確かつ膨大なデータと、その市場が具体的にどのように構成されているのかを説得力のある形で裏づける必要があったが、それができなかったとボーズバーグ氏は記している。そのためボーズバーグ氏はFacebookの法的な主張に従って訴えを却下した。

Facebookは声明の中で「本日の決定が、政府の申し立ての欠陥を認めたことを喜ばしく思う」と述べた。

一方、ボーズバーグ氏は、記録に証拠がないからといって、その証拠が存在しないということにはならないと考えている。そこで彼は、FTCと各州に30日間の修正期間を与え、その後に苦情の再評価を行うことにした。

判事はまた、問題は証拠だけであり、Facebookの訴訟棄却の論理には、論争を招いている肝心のInstagramとWhatsAppの買収に対する申し立てそのものを棄却する論理はないと考えている。

Facebookの主張では、これらの買収が問題含みであったとしても、FTCにはこのような「長きにわたる行為」を訴追する権限はなく、規制の対象は直近の問題に限られるとしている。それに対してボーズバーグ判事は、そのような買収が存在するかぎりにおいては法的に現在と認められ得るという判例を見つけて反論している。そのため政府は、疑義さえあればいつでもそれらを再訪できる。ただしこれはFTCが絡む国の訴訟についてだが、州の訴訟は事後があまりに長いときには彼が今回そうしたように棄却される。

これは、独占禁止法全般および過去の買収に関して強硬な規制姿勢をとってきたFTCの新委員長Lina Khan(リナ・カーン)氏の計画である可能性が非常に高い。承認公聴会で彼女は、合併の承認は完全な情報なしになされたかもしれないとコメントし、そのため、理解し周囲のルールを構築するための「機会を逸した」ことを表した。

FTCの関係者は「公取委が意見を綿密に検討しており、最善の案を検討している」と述べている。

米国時間7月1日に開催される政府機関の会議では、さらに詳しい情報が得られるだろう。裁判官は、文字どおり、より多くの情報を元に訴状を書き直すよう求めているため、30日間の猶予は、カーン氏にとって彼女のアイデアを実践する絶好の機会となるかもしれない。彼女とFTCが説得力のある訴えをまとめるのに十分な材料を持っているかどうかはまだわからないが、1つ確かなことがある。Facebookは、少なくとも今のところは、シャンパンを冷蔵庫に戻すべきだ。カーン氏は平手打ちを食らうことはないだろう。

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タグ:FacebookFTC訴訟 / 裁判

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アマゾンがAlexaで利用できる子供向けの「読書仲間」と音声プロフィールを公開

米国時間6月29日、Amazon(アマゾン)はAlexaを子どもの読書仲間にする新機能と、家中の全Echoデバイスで子どものAlexaエクスペリエンスをパーソナライズする音声プロフィールのサポートを発表した。この2つの機能は連携して動作する。音声プロフィールによってAlexaは話者を特定するので、デバイスは「Alexa、読書をしよう」というようなリクエストに適切に対応できるようになるのだ。Alexaはリクエストを受けて、Amazonが「Reading Sidekick」と呼んでいる読書仲間エクスペリエンスを開始する。

この機能はAmazon Kids+サブスクリプションが必要であるため、Alexaデバイスの全ユーザーが利用できるわけではない、このサブスクリプションサービスは月額2.99ドル(約330円)で、多くの子ども向けの本、テレビ番組、映画、教育アプリ、ゲームの他、広告なしのラジオステーションとプレイリスト、Audibleのブック、限定のAlexaスキルといったEchoデバイス向けプレミアムコンテンツも利用できる(Amazon Kids+は、日本ではプライム会員は月額480円、一般会員は月額980円。ただしFireやKindleのキッズモデルを購入すると1年間無料)。

画像クレジット:Amazon

サブスクリプションを購入したら、子どもはAlexaに一緒に読書をしようと話しかけ、互換性のある紙の書籍または電子書籍を選んで読み始める。Alexaは何の本を読んでいるかを尋ねる。また、たくさん読みたいか、少しだけか、順番に読むかも尋ねる。この機能を使えるのはAmazon Kids+サブスクリプションに含まれる6〜9歳向けの数百冊の書籍で、紙の書籍も電子書籍も対象となっている。子どもが読む番になったらAlexaはそれを聞いて、上手く読めていればほめ、つまづいたら助ける。

子ども向けAlexa音声プロフィールも米国時間6月29日から公開が開始される。この機能をオンにすると、保護者は家族内の子ども、最大4人の音声プロフィールをそれぞれ作成でき、Alexaのエクスペリエンスが各人に応じてパーソナライズされる。つまり、Alexaはあらかじめ構成された適切なペアレンタルコントロールを自動で適用して、不適切な音楽を自動でフィルタリングし、通話やメッセージの送信先を承認された連絡先のみに制限し、保護者が前もって承認したAlexaスキルしか使えないようにする。また、子ども向けのゲーム、スキル、音楽、動画が利用できるようになり、子どもからの問いかけにはそれに応じた対応をする。

このような機能によりAlexaのエクスペリエンスは家族にとってこれまで以上に楽しく便利になるが、その一方で保護者は子どもの声が録音され、分析され、一定の期間保管されることを考慮しなくてはならない。現在、Amazonは子どもの質問やリクエストに対するAlexaの理解を向上させるために、子どもの声の録音を使って音声認識と自然言語理解システムをトレーニングしている。録音を人間が検討することもある。このように使われたくない保護者は、Alexaアプリの設定から子どもの履歴に関連する録音を1つずつ、または全部いっぺんに削除できる。3カ月または18カ月で録音を自動で削除する設定にしたり、音声によるリクエストで録音を削除したりすることもできる。

ただし、保護者が子どもの声の録音を保存しない設定にした場合、ペアレントダッシュボードから子どもがこれまでにリクエストした内容の履歴をたどることはできない。

Reading Sidekickや音声プロフィールなどの機能を有効にする前に、あるいはもっと広く考えるとスマートスピーカーのようなものを家庭に持ち込むかどうかについて、保護者は自分の家庭に適した判断を下す必要がある。

Amazonによれば、子ども向けAlexa音声プロフィールは7月2日(金)までにAmazonの全顧客に提供されるという。Reading Sidekickは米国時間6月29日から提供が開始されている。

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タグ:AmazonAlexa子ども音声認識音声操作読書

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

フェイスブックがニュースレター配信プラットフォーム「Bulletin」始動、まずは米国中心ベータ

Facebook(フェイスブック)の新しいクールな試みは、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が自らLive Audio Rooms(ライブオーディオルーム)で製品ニュースを発信することだ。ザッカーバーグ氏は米国時間6月29日、同社のClubhouse(クラブハウス)競合機能を通じて、次の新製品であるニュースレタープラットフォーム「Bulletin(ブレティン、Bulletin.com)」を発表した。

Bulletinは、Facebookとは別のプラットフォームで構築されている。ウェブサイトのFAQによると「クリエイターがFacebookのプラットフォームだけに依存しない方法でオーディエンスを増やすことを可能にするため」と記載されている。ニュースレターを購読するのにFacebookアカウントは必要ないが、BulletinはFacebookのインフラに依存しており、プレミアムサブスクリプションの購入や、購読者限定のグループやライブオーディオルームへの参加にはFacebook Payを使用している。

Substack(サブスタック)のような競合他社は、コンテンツのモデレーションに「干渉しない(hands-off)」アプローチをとっており、誰でもニュースレターを始めることができる。現在FacebookのBulletinに掲載されているライターは、すべて同社により厳選されたクリエイターたちだ。しかしSubstackは、特定のライターにSubstackでの執筆を依頼する物議を醸した「Substack Pro」プログラムを通じ、反トランスジェンダーのレトリックを助成していたとして批判を受けている。このように、Bulletinはキュレーションされたモデルであっても、Substackを悩ませる問題と無縁ではないだろう。

Bulletinの初期のライターには、ジャーナリストのMalcom Gladwell(マルコム・グラッドウェル)氏、作家・ジャーナルストのMitch Albom(ミッチ・アルボム)氏、スポーツキャスターのErin Andrews(エリン・アンドリュース)氏「Queer Eye(クィア・アイ)」で知られるデザイナーTan France(タン・フランス)氏などが名を連ねている。FAQには、ベータプログラムは米国中心で、海外のライターは現在のところ2名のみであると記されている(Bulletinは「ベータプログラムのローンチ後、より多くの海外クリエイターを含めることを検討しています」と述べている)。Facebookはこれらのライターの貢献に対して前払いをしており、今のところ、ライターの利益に割り込む予定はないという。また、ライターがプラットフォームから離れる場合、購読者リストは維持することができる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebookアメリカニュースレターベータ版

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

アップルのApp Storeがドイツで調査の対象に、競争規制当局が「市場支配力」に向けた手続きを進行

ドイツの競争規制当局であるドイツ連邦カルテル庁(FCO)は、ビッグテックGAFAの「ビンゴ」カードを完成させ、Apple(アップル)に対する手続きを開始した。

当局はすでに2021年に入り、Amazon(アマゾン)Facebook(フェイスブック)Google(グーグル)に対して同様の調査を開始しており、本措置も、改正されたドイツの競争法の基準をiPhoneメーカーが満たすかどうかを判断するものとなる。

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2021年1月に施行された同法の第10次改正法により、連邦カルテル庁は、大規模なデジタル企業が「市場間競争において重要な影響(paramount significance)を与える」と判断された場合や、その反競争的行為への関与を防ぐ目的において、これらの企業の慣行に対して積極的に介入することができるようになった。

この競争法(通称、GWBデジタル化法)の重要な新条項、特に第19条aに関する議論が行われた先に行われたパネルディスカッションで、FCOのAndreas Mundt(アンドレアス・ムント)長官は、この競争法の更新はFacebookによるインターネットユーザーの「スーパープロファイリング」に対する長期にわたる(かつ先駆的な)訴訟の経験に影響を受けたと説明した。

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要するに、ドイツの競争法には現在、競争法とデータ保護を内包する有害性の理論があるということだ。ただしAppleの場合、同社が管理するテック帝国は概して(乱用というよりは)ユーザーのプライバシー保護と結びついている。

しかし、ドイツの反トラスト法に対する包括的な改正は、ビッグテックに広く向けられたものだ。FCOによる規制の対象となる条項を通じて、市場の開放を維持し、イノベーションを促進し、いかなる不正行為も阻止することを目的としている。当該規制の対象には、自己優遇やバンドル、巨大企業の融合商品による隣接市場への強引な参入、競合他社を締め出すために相互運用性やデータアクセスをブロックすること等が含まれている。

各ケースの特性や個別のエコシステム事業に応じて、条項が組み合わされて展開され、テック大手が法の下で対処され得るだろう。そのため改正法が実際にどのように機能するかはまだ未知数だ。これまでのところ、FCOはGAFAに対して法律を適用できるかどうかをそれぞれのケースで判定中である。

Appleの訴訟に関して、ムント長官は米国時間6月21日の声明で、App Storeの運営は調査の「主要な焦点」になると述べ、その理由として「Appleがサードパーティの事業活動にさまざまな方法で影響を与えることが考えられる」と指摘した。

「Appleがその専有OSであるiOSを用いて、複数の市場にまたがるデジタルエコシステムをiPhoneを中心に構築したかどうかを検証する」と同長官は続けた。「Appleはタブレット、コンピュータ、ウェアラブルを製造し、デバイス関連のサービスを数多く提供している。同社はさまざまなハードウェア製品の製造に加えて、 App Store、iCloud、AppleCare、Apple Music、Apple Arcade、Apple TV+などの提供をサービス事業の一環として行っている。これらの分野における同社の立場を評価するだけでなく、複数の市場レベルにわたる広範な統合、技術的および財務的資源の規模、データへのアクセスなどについて、さまざまな側面から検討していく」。

FCOはまた、Appleに対する「反競争的行為の可能性に関連した」多くの苦情が寄せられていることについてプレスリリースで言及した。例えば、iOS 14.5の導入でユーザー追跡が制限されたことに対する広告およびメディア業界からの抗議などだ。また、GWBの第19a条で禁止されている自己優遇の可能性として、同社独自のアプリケーションを排他的にプリインストールしたことに対する苦情も挙げられている。

「アプリ開発者はまた、Appleが提供するアプリ内課金システム『App内課金(In-App Purchase、IAP)』の義務的利用とそれにともなう30%の手数料率を批判している」とFCOは同プレスリリースで付言している。「これに関連して、AppleのApp Storeにおけるアプリ開発者のマーケティング上の制限についても対処されている。後者の苦情は、ストリーミングサービスのSpotifyに制限を課して自社サービスを優先させているとして欧州委員会がAppleに対し現在進めている訴訟と類似している。この点に関して、連邦カルテル庁は必要に応じて欧州委員会や他の競争当局と連絡を取る方針である。これまでのところ、さらなる手続きを開始する決定はなされていない」。

FCOの行動についてTechCrunchがAppleにコメントを求めたところ、広報担当者の名前で以下のような回答が送られてきた。

Appleはイノベーションと雇用創出の原動力であることに誇りを持っており、ドイツのiOSアプリ経済が支える雇用は25万件を超えています。App Storeによる経済成長と活動は、あらゆる規模のドイツの開発者に、世界中のユーザーと情熱と創造性を共有する同一の機会を与えるとともに、顧客が好みのアプリをダウンロードするための安全で信頼できる場所を作り、彼らが期待するプライバシー保護を提供するものとなっています。ドイツにはAppleの欧州最大のエンジニアリング拠点もあり、ミュンヘンのEuropean Silicon Design Center(欧州シリコンデザインセンター)に新たな10億ユーロ(約1320億円)の投資も行われています。当社のアプローチについてFCOと議論し、FCOの懸念についてオープンな対話を行う機会があることを期待しています。

FCOが裁定を下すと「重要な影響(paramount significance)」の認定は5年間続く。一方で、第19a条による訴訟は意図的に早められ、上訴はドイツの連邦司法裁判所(専属的管轄権を与えられている)に委ねられる。その目的は、Facebookのスーパープロファイリングに対するFCOの訴訟で起きたような、長期間に及ぶ長引く訴訟を回避することにある。同訴訟は、連邦カルテル庁がFacebookのデータ慣行の調査を開始してから5年もの月日が流れた2021年3月に、法的問題としてCJEU(欧州司法裁判所)に付託されたものだった。

GAFAが欧州最大の経済圏でどのように事業を展開していくのかという点において、今後数カ月から数年の期間は非常に重要な意味を持つだろう。そしてその延長線上で、多くの管轄区域がビッグテックを規制する方法に積極的な関心を寄せている中、欧州やそれ以外の地域でも同じような様相となる可能性が高い。

例えば2021年3月には、英国競争・市場庁(Competition and Markets Authority、CMA )がAppleのApp Storeの調査を開始している。同時に同庁は、テック大手への規制を強化することを念頭に置いた「競争促進」を生み出す国内法の改革に取り組んでいる。

また、欧州連合(EU)の立法者たちは2020年12月にデジタル市場法案を提出し、いわゆる「ゲートキーパー」プラットフォームのパワー市場に対処することを目指している。

FTC(米連邦取引委員会)がLina Khan(リナ・カーン)氏を委員長に任命したことも、米国におけるテック業界の反トラスト法に対する方針転換を意味するように思われる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:AppleApp Storeドイツ独占禁止法

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

フェイスブックが音声SNS「Live Audio Rooms」とポッドキャスト向け新サービスの提供を米国で開始

2021年4月、Facebook(フェイスブック)は、ライブ音声SNSサービスClubhouse(クラブハウス)のFacebook版をはじめとする、一連の新しい音声関連サービスに投資する予定であることを発表した。そして米国時間6月21日、Facebookは予定されていた一連の新サービスの提供を正式に開始した。手始めとして、Live Audio Rooms(ライブ・オーディオ・ルーム)のサービスが米国で開始されたのだが、現時点では「ルーム(特定の話題について話すための部屋)」をLive Audio Rooms内で設立できるのはiOSアプリからのみで、設立できるユーザーも一部の著名人やFacebookグループに限定されている。Facebookは同時に、米国内のポッドキャストパートナー第一陣によるポッドキャスト配信も開始した。

関連記事:フェイスブックが音声関連の新機能を発表、Clubhouse類似機能やポッドキャスト支援ツールなど

Facebookによると、Live Audio Roomsを設立できるのは、Facebookが認めて許可を与える米国内の著名人またはクリエーターのみで、iOSでプロフィールまたは新しく導入されたFacebook Pages(Facebookページ)を作成している必要がある。Facebookグループについては現時点でも「多数のグループ」が同機能を利用できるとのことだ。

Live Audio Roomsとポッドキャスト用新サービスのどちらについても、今後数週間から数カ月の間にもっと多くのユーザー、ポッドキャスト、グループが追加されて、より広く利用可能になる予定だ。一方、Live Audio Roomsのルームに参加したりポッドキャストを視聴したりするだけであれば、すべてFacebookユーザーが今週から利用可能である。

画像クレジット:Facebook

FacebookのLive Audio Roomsにも、Clubhouseやそれに類する音声SNSと同様の標準的な機能が備わっている。

Live Audio Roomsのイベントホストは画面上部に円形のプロフィールアイコンで表示され、リスナーは画面の下半分にホストよりも小さいアイコンで表示される。発話中のスピーカーのアイコンは光るようになっており、承認されたスピーカーの名前の横にはチェックマークが付く。

ライブキャプション(字幕)を有効化するオプションや、発言したいときに使う「挙手」ツール、Facebookのニュースフィードやグループへの投稿を通じて特定のルームを共有するツールも用意されている。

画像クレジット:Facebook

Live Audio Roomsには他の類似サービスとは異なる機能もいくつかある。例えば、ホストはセッション開始前に前もってスピーカーを招待できるし、セッション中にリスナーの誰かをスピーカーに指定することもできる。Facebookによると、1つのセッションでスピーカーを最大50人まで指定でき、リスナー数の制限はないとのことだ。

自分が参加しているルームのセッション中に自分の友だちやフォロワーが参加すると、それも通知される。

ルーム参加中に画面下部の「サムアップ」ボタンを押すと表示されるFacebook用の絵文字アイコンを使って「いいね!」や他のリアクションでコンテンツへの反応を示すことができる。今回の正式サービス開始にともない、リスナーはLive Audio Roomsを開設している著名人に投げ銭機能の「スター」を送って支援することも可能になった。Facebook Liveのコンテンツと同様に、スターはルームでの会話中に購入でき、好きなときに送ることができる。

スターを送ると、スターを送ったリスナーがハイライトされる特別席である「Front Row」にアイコンが表示される。これによりイベントのホストは、どのリスナーが支援してくれているのかを簡単に認識でき、望むならイベント中にそのようなリスナーに対して名指しで感謝のコメントを述べることもできる。

画像クレジット:Facebook

ホストが会話中に支援したい非営利団体やファンドレイザーを選び、リスナーやスピーカーがそれらの団体に直接寄付できるようにする新機能も追加された。そのセッション中は、寄付の集まり具合が進捗バーで表示される。

画像クレジット:Facebook

Facebookグループの場合は、モデレーターやグループメンバー、他の管理者のうち誰がルームを設立できるようにするかを、管理者がコントロールできる。公開グループのルームにはメンバーもビジターも参加できるが、プライベートグループのルームへの参加はメンバーに限定されている。

ルームが新しく設立されると、その旨がニュースフィードに表示され、通知も届く。また、Facebookユーザーは、興味があるルームにサインアップし、そのルームがライブになったときにリマインド通知を受け取れるように設定することが可能だ。Live Audio Roomsは対象のFacebookグループ内から見つけることもできる。

画像クレジット:Facebook

さっそくFacebookのLive Audio Roomsを始めた著名人には、グラミー賞にノミネートされたエレクトロニックミュージックのTOKiMONSTA(トキモンスタ)氏、アメフトの有名クォーターバックであるRussell Wilson(ラッセル・ウィルソン)氏、オーガナイザー兼プロデューサーで独立系ジャーナリストでもあるRosa Clemente(ローザ・クレメント)氏、ストリーマー兼デジタルエンターテイナーのOmareloff(オマレロフ)氏、社会起業家のAmanda Nguyen(アマンダ・グエン)氏が名を連ねる。間もなく開始することを計画している著名人には、D Smoke(D・スモーク)氏、Kehlani(ケラーニ)氏、Reggie Watts(レジ―・ワッツ)氏、Lisa Morales Duke(リサ・モラレス・デューク)氏、Dr. Jess(ドクター・ジェス)氏、Bobby Berk(ボビー・バーク)氏、Tina Knowles-Lawson(ティナ・ノウレス-ローソン)、Joe Budden(ジョー・バドゥン)氏(Spotify初の大物人気ポッドキャスターだったが、Spotifyは2020年、彼との専属契約を失った)、DeRay Mackesson(ディレイ・マッケソン)氏などがいる。

画像クレジット:Facebook

また、Dance Accepts Everyone、Vegan Soul Food、Meditation Matters、Pow Wow Nation、OctoNation(なんと、最大の「タコ」専門ファンクラブだ)、Space HipstersなどのFacebookグループがLive Audio Roomsを試し始めている。

画像クレジット:Facebook

Facebookは、Live Audio Roomsのサービス開始と同時に、計画していたポッドキャスト用サービスを一部のクリエーター向けに提供し始めた。例えば、「The Joe Budden」のJoe Budden(ジョー・ボドゥン)氏、The Black Effect Podcast NetworkとiHeartRadioで「Carefully Reckless」を配信しているJess Hilarious(ジェス・ヒラリアス)氏、「The LadyGang」のKelti Knight(ケルティ・ナイト)氏、Becca Tobin(ベッカ・トービン)氏、Jac Vanek(ジャック・ヴァネック)氏、「Side Hustle Pro」のNicaila Matthews Okome(ニケイラ・マシューズ・オコメ)氏などだ。夏には他のポッドキャスターにも門戸が開かれる予定とのことだ。

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誤解のないようにいうと、Facebookのこの新しいポッドキャストサービスは、Spotifyと連携して、Spotifyの音楽やポッドキャストをFacebookアプリ上のミニプレイヤーで再生可能にした最近の新サービスとは異なる。Facebookの新しいポッドキャスト機能では、ポッドキャストを、公開RSSフィードを使ってFacebook上で直接配信できるため、Spotifyを通す必要はない。しかし、Facebook内で使うポッドキャスト用ミニプレイヤーは、Spotifyと連携したミニプレイヤー(Project Boomboxとも呼ばれる)と外見も挙動もそっくりだ。それでも、この2つは異なる別のものである。

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今回の新しいポッドキャスト機能により、ユーザーはFacebook上で直接、ミニプレイヤーまたはフルスクリーンでポッドキャストを視聴できる。再生オプションもいくつかあり、スマートフォンの画面がオフになってもポッドキャストの再生を続けることが可能だ。これにより、SpotifyやApple Podcastsなどのサービスを介さなくてよくなるため、Facebookはある意味、ポッドキャスト配信用のネイティブアプリのようになる。

Facebookは以前に、ポッドキャストを視聴するためにFacebookページに接続しているユーザーが1億7000万人を超えていると述べたことがある。Facebook上でポッドキャストを視聴したいユーザーが多いことは明らかだ。

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Facebook Podcastのサービス開始にともない、Facebookはポッドキャストクリエーターたちに、ポッドキャストをFacebookのサーバーにキャッシュする許可を求めている。これは、コンテンツがFacebookのコミュニティ規定に抵触しないようにするためだという。しかし、RSSフィード経由で配信されることに変わりはないため、ポッドキャストは、クリエーターが利用しているホスティングプロバイダーのメトリクスで表示される。

Facebookは先週、ポッドキャストページのオーナーに宛てて配信したメールの中で、Facebook上でポッドキャストを配信する詳しい方法と、各エピソードのRSSフィードをリンクさせてニュースフィードに自動的に投稿できることについて説明した。この機能は、Facebookページの「ポッドキャスト」タブからも使用できる。Facebookのポッドキャスト利用規約では、クリエーターは「派生コンテンツ」を作成する権利をFacebookに付与することが定められている。おそらく、今後展開されるクリップ機能を想定してのことだろう。

Facebookは夏の終わり頃までに、ポッドキャストを短いクリップにして共有する機能や、キャプションを付ける機能などを追加する予定だという。長期的には、ポッドキャストを中心としたSNS体験を構築する計画だ。Facebookはまた、クリエーターと協力して、短いクリエイティブ音声クリップによるSNSサービス「Soundbite」を新たに開発している。サービス開始は2021年終わり頃になる予定だ。

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Facebookが準備中の他の音声関連機能には、さまざまな音声コンテンツをFacebookで一元的に楽しめるようにする機能や、動画をオーディオ再生する機能などがある。

Facebookによると、この新機能により、ポッドキャストだけでなく、Facebook上にあるあらゆる種類のオーディオコンテンツを一元的に聴けるようになり、ユーザーは新しいトピックあるいは新しいクリエーターの音声コンテンツを発見しやすくなるという。この機能に関するさらなる詳細は2021年夏ごろに公開される予定だ。

本日のサービス開始に先立ち、Facebookはひそかに台湾と社内でLive Audio Roomsのテスト運用を行った。このテスト運用は今後も継続される。先週、FacebookのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は米国で、自身がホストになってLive Audio Roomsの初回テストを行った。このテストには、Facebookの幹部社員やFacebook Gamingのクリエーター数人が参加した。

ザッカーバーグ氏は、Facebookにおける音声コンテンツの可能性に強い自信を持っている。同氏はその点について、Clubhouseに数回登場して語ったことさえある。FacebookがいわばClubhouseのライバルサービスであるLive Audio Roomsを発表したのは、その直後のことだった。

ザッカーバーグ氏は同サービスを初めて発表した際にPlatformer(プラットフォーマー)の取材に応じて次のように語っている。「私がFacebookで最も期待している分野は、基本的に、数多くのコミュニティやグループが存在することです。興味のあることを中心に構成されたコミュニティにすでに参加されている方は多いと思いますが、さらにそれらの人々が集まって話ができるルーム(部屋)を持てるようになることは、非常に有益なことだと思います」。

Facebookはこれらの新しい音声関連サービスを今後数カ月の間に米国以外の国々にも展開していく予定だ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook音声ソーシャルネットワークポッドキャストアメリカ

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

位置情報SNSのFoursquare創業者デニス・クロウリー氏が辞任

Foursquare(フォースクエア)の共同ファウンダーであるDennis Crowley(デニス・クロウリー)氏が、同社を離れることを発表した。設立後の7年間、クロウリー氏は同スタートアップの最高経営責任者を務め、2016年には執行会長職に就いた。それ以来Foursquare Labsの研究開発グループも指揮している。

今後クロウリー氏はこの会社にフルタイムで勤めることはない。取締役会には残り、Factual(ファクチュアル)のファウンダーであるGil Elbaz(ジル・エルバス)氏とともに共同議長を務める。

2009年、Foursquareは位置情報ベースのソーシャルネットワークとしてよく知られていた。ユーザーは場所にチェックインして、近況を友だちと共有した。バッジやメイヤーシップを獲得することもできた。

数年のうちに、最もアクティブなユーザーは何千回もチェックインを繰り返していた。Foursquareはお気に入りの場所の記録をつけるのに便利なアプリになった。友だちの好きな場所を知るためにも使うこともできる。

それは、同社がメインアプリを2つのアプリに分割した理由だった。Foursquare City Guide(フォースクエア・シティガイド)とSwarm(スォーム)だ。それと同時に、会社はデベロッパー向けにAPIとSDKを開発し、他社がFoursquareの位置データを利用できるようにした。

ビジネスは十分利益を上げている。同社のPilgrim SDKを使うと、デベロッパーは位置情報対応アプリを開発することができる。例えば広告主はその人のいる場所に基づいてパーソナライズされた通知を送ることができる。Foursquareはできるかぎり精度を高めることにこだわり、ある場所での入場時刻や出場時刻を記録することもある。

SDKはさまざまな可能性をもたらした。オンラインセールスにおける広告キャンペーンの効果を追跡するのは容易だが、オフラインでの関心はどうなのか?

FoursquareのSDKを使えば、広告主やブランドは広告キャンペーンが来店に影響を与えているのかどうかを知ることができる。もちろん、そのデータを他の顧客データと組み合わせることもできる。

Foursquareは位置情報に焦点を合わせた重要な広告・マーケティングプラットフォームになった。2020年に同社は1億ドル(約110億円)以上の売上を計上した。2021年にはこの数字を超える成長を期待している。

クロウリー氏は、会社を辞める理由を2つ挙げた。会社は好調であり、自分はすでに12年間同じ仕事をしてきた、と同氏はいう。

「Foursquareは自分の道を見つけただけではありません。その道をリードしてきました。かつて私は、自分のゴールは『Foursquare』という名前を『コンテキスト対応コンピューティングのイノベーション』と同義語にすることだと言ってきました。そして2021年になった現在、私たちはそれを実現するためのツールとフレームワークを作り上げました」とクロウリー氏はブログで述べている。

「それに、12年はずいぶん長い時間です。私には作りたいものがまだたくさんあります。その多くは2021年のFoursquareと必ずしも一致しません」と付け加えた。クロウリー氏は家族との時間も大切にしたいと思っている。

クロウリー氏はWeb 2.0時代の象徴的スタートアップ・ファウンダーだった。彼は何千人というユーザーを集めることに成功した。彼が会社創成期に偉大なプロダクトCEOであったことは間違いない。そして今、会社は収益「も」生んでいる。果たして彼が次に何を作るのか、今から楽しみだ。

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タグ:Foursquare辞任

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アマゾンが毎月アナログレコードの名盤が届く新サブスク「Vinyl of the Month Club」を米国で開始

アマゾンが毎月アナログレコードの名盤が届く新サブスク「Vinyl of the Month Club」を米国で開始

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米Amazonが、新しいサブスクリプションサービスを静かに開始しています。この「Vinyl of the Month Club」サービスは、月額25ドルで毎月1枚、60~70年代のおすすめ名盤をユーザーのもとに届けてくれるという、どことなくデア〇スティーニ的なサービス。

俗にビニール盤とも呼ばれるアナログレコードは近年静かに復活を続けており、最近レコードプレーヤーを手に入れた人は、一枚また一枚とアナログ盤を入手してはその音やアートワークを愛でたい衝動に駆られていることでしょう。

そしてアナログ盤を楽しむのなら、それが全盛だった時代の音楽こそが最適。とはいえ当時をリアルタイムで知らない若い世代の人たちにとっては、数ある名盤からどれを選ぶべきかで悩んでしまうかもしれません。

音楽好きなら、どれを買うかを決定するプロセスも楽しみのひとつではあるものの、趣味も多様化している現代、専門家がセレクトした作品を毎月ひとつずつ楽しむという受身な聴き方もまた、限りある時間を効率的に使うという意味では良いのかもしれません。

Amazonの紹介ページには、マイルス・デイビス、レッド・ツェッペリン、フリートウッド・マック、アレサ・フランクリン、ピンク・フロイドというジャズ、ハードロック、ブルーズロック、R&B、プログレッシブロックという、60~70年代当時の英米ポピュラーシーンを代表するアーティスト、グループの顔が並んでいます。

アマゾンが毎月アナログレコードの名盤が届く新サブスク「Vinyl of the Month Club」を米国で開始

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もちろんこれら以外のアーティストの作品も届きます。たとえばこれまでには、ピンク・フロイドの『ザ・ウォール』があれば、パンクバンド ザ・クラッシュ の『ロンドン・コーリング』もありました。これらのアナログ盤は米Amazonでは47ドルおよび32.56ドルなので、月額費用と照らし合わせて考えれば、このサブスクはお得なアナログ盤入手方法と言えそうです。もちろん、届いた作品にまったく興味がわかなければ、ユーザーは(それが未開封のままなら)返品することができます。今日日、音楽を聴くだけならYouTubeでも各種ストリーミングサービスでも可能なため、もしも返品する可能性があるなら開封する前に中身の楽曲が好みかは確認しておくと良いでしょう。

このサブスクは1か月単位の契約になるため、数か月試しても気に入った作品に出会えずつまらなかったりすれば、すぐに契約をキャンセルできます。なお、残念ながらこのサービスは記事執筆時点では米国のみで提供されており、われわれの住む日本では利用できません。

米国では昨年、アナログレコードの販売が29%増え、その売上げは全体で6億2600万ドルに達しました。CDの売上げはストリーミングサービスの普及と共に減少を続けていますが、アナログレコードの伸びのおかげで物理メディア合計での収益は0.5%の減少にとどまっています。

ちなみに、アナログレコードが毎月届くサブスクリプションサービスはAmazonが最初ではありません。”Vinyl Me, Please“なるサービスはキュレーターのセレクトによるアナログレコードを2013年から毎月、世界40か国の会員に送りつづけており、その会員数は3万人にのぼっています。こちらは日本からでも利用することができます。

(Source:Amazon。Via Rolling StoneEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:アナログレコード(用語)Amazon / アマゾン(企業)音楽 / 音楽制作(用語)サブスクリプション(用語)

五輪前に米サービス「YouTube TV」が月額約2200円のアップグレード発表、4K対応とオフライン視聴を可能に

東京でのオリンピック開催まで1カ月を切った今、YouTube TVなどのコードカットサービスは、夏のスポーツ観戦を目的とした新規加入者を獲得しようとしていいる。しかし、Simone Biles(シモーネ・バイルズ)選手が重力に逆らう姿を見たいかどうかにかかわらず、YouTube TVの最新のアップグレードではオーディオとビデオの改良によりプロダクトが強化された。

米国時間6月28日、YouTube TVは、オフラインでのダウンロード、5.1ドルビーオーディオ、およびスポーツのライブ視聴を容易にする機能を備えた「4K Plus」アドオンパッケージを発表した。同社はこれらの機能を2021年2月に予告していた

YouTube TVはすでに高価なストリーミングサービスの1つで、月額64.99ドル(約7190円)であることを考えると、ケーブルTVの代わりにYouTubeを選択しても、あまり節約にはならないかもしれない。Hulu + Live TVは同価格だが、Disney+とESPN+を加えるアドオンオプションがあり、そうすると合計で月額72.99ドル(約8070円)になる。しかしこれからは、YouTube TVで映像の質(と毎月の請求書)をワンランクアップさせたい場合、月額19.99ドル(約2210円)の追加料金で4Kストリーミングを有効にできるようになり、月額の合計は84.98ドル(約9400円)になる。

また「4K Plus」アドオンパッケージでは、DVRで番組をダウンロードしてオフライン視聴することが可能になる。現在、月額64.99ドル(約7190円)のスタンダードパッケージではそれができない。サブスクライバーはこのパッケージを1カ月間無料で試すことができ、その後1年間は月額9.99ドル(約1100円)、そしてその後19.99ドル(約2210円)に値上げされる。これは、YouTube TVが何年にもわたって継続的に行ってきた価格の引き上げとほぼ同様だ。

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一方、5.1ドルビーオーディオ機能はすべてのYouTube TVメンバーに無料で提供される。この機能は、ユーザーからの「最大の要望」の1つだったと、同社はブログで述べている。今後数週間のうちに、これらのサラウンドサウンドオーディオ機能は一部のデバイスに導入される予定だ。

また、スポーツ番組のアップグレードも追加料金はかからない。その中の新機能では、DVR録画を見ているときやライブで追いつこうとしているときに、キープレーや特定のハイライトシーンにジャンプすることが可能になる。これにより、1時間遅れで視聴し始めた場合でも、試合中の重要な場面を見て、それからすかさずライブに切り替えることができる。また、YouTube TVでは特定のスポーツを検索してDVRに追加することができ、保存容量に制限はない。例えば、シモーン・バイルス選手の床運動を絶対に見逃したくないという場合にも、情報を逃さないようにすることが容易になる。また、五輪期間中はアプリ内で各国のメダル数を確認することもできる。

オリンピックが近づくにつれ、他のコードカットサービスもライブスポーツの提供を強化することが予想される。月額9.99ドル(約1100円)の「Paramount+ Premium」プランでは、サッカーの国際試合を幅広く配信しているが、オリンピックについての情報はまだない。それでも、このサービスはYouTube TVよりもはるかに安価で、すでに4K、HDR、Dolby Visionを提供している。YouTube TVは2020年10月時点で300万人の加入者がいたが、2021年第1四半期のアップデートは行っていない。Huluは2021年3月時点で、オリンピックも放送する予定の「Live TV」サービスに410万人の加入者がいた。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:YouTube TV動画配信サブスクリプション

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

eコマースEtsyが英Depopに続き「ブラジルのEtsy」ことElo7を約240億円で買収

若いユーザーをターゲットにしたソーシャル販売に足を踏み入れ、そして欧州での事業を本格的に拡大するためのDepop買収という巨額の取引に続き、Etsy(エッツィー)はまたもリーチを拡大する大きな取引を明らかにした。今回の対象は南米だ。EtsyはElo7を2億1700万ドル(約240億円)で買収すると発表した。Elo7はクラフトクリエイターに人気のマーケットプレイスで「ブラジルのEtsy」と言われている。

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Etsyはすでにブラジルで事業を展開しているが、ブラジルで最も大きな10のeコマースサイトの1つであるElo7はアクティブバイヤー190万人、アクティブセラー5万6000人、そして販売アイテム800万点を擁し、Etsyはブラジルでプレゼンスを大幅に高めることになる。

Depop(Etsyに16億ドル[約1770億円]で買収された)とReverb(Etsyが2016年に買収した楽器マーケット)と同様、Elo7は独立ブランドを維持し、現在の経営陣がブラジル・サンパウロの本社で指揮を取る。

今回のElo7買収はEtsyのCEOであるJosh Silverman(ジョッシュ・シルバーマン)氏が描く統合のシナリオを強調するものだ。シルバーマン氏はeコマース業界に長く身を置き、買収全盛期だった頃のeBayにも在籍した。

「Elo7は『ブラジルのEtsy』であり、目的やビジネスモデルは当社のものと似ています」とシルバーマン氏は声明文で述べた。「最近のDepop買収合意に続き、ユニークなマーケットプレイスをまた1つEtsyファミリーに持ってくることに胸躍らせています。この取引は当社にとって南米における足掛かりとなります。現在Etsyは南米でそれほど大きな顧客ベースを持っておらず、浸透が不十分なeコマース地域です。Elo7の優秀な経営陣と従業員をEtsyファミリーに迎え入れることを楽しみにしています」。

よりアグレッシブな成長モードに向かっているEtsyにとって興味深い動きだ。eコマース業界ではこれまで、企業はオーガニックではない形、特に同じ業界の企業あるいは新しく参入したい分野の企業の買収を通じて事業を拡大してきた。この手法はeBay、Amazon、Groupon、その他多くの企業がとってきたものだ。

おそらくeコマースが成熟してきたためかもしれないが、Amazonは巨大になりすぎて参入障壁が高くなっている。そしてそうしたモデルの「クローン」と呼べる企業に貼られた負のレッテルのようなものを世界のあちこちで目にするようになっている。

そのため、Etsyがこのケースにまさしく当てはまる買収を行うというのは興味深い。発表では、2社の事業モデルのシナジーによって囲い込みが簡単なものになると指摘した。これはElo7によって強調されるものでもある。Elo7はこれまでにAccel、Monashes、Insight Partnersといった投資家から1800万ドル(約20億円)を調達した。

「Etsyは我々にとって常にインスピレーションであり、参考にするものでもありました。EtsyのミッションやカルチャーはElo7のものとかなり近く、Etsyの一部として成長に向けた旅を続けることに興奮しています」とElo7で長らくCEOを務めてきたCarlos Curioni(カルロス・クリオニ)氏は述べた。「Elo7のマーケットプレイス、コミュニティ、チームがブラジルにおける我々の最大限の可能性を十分に引き出すために、Etsyのプロダクトやマーケティングの専門性を活用することを楽しみにしています」。

ブラジルはオーガニックでない買収戦略を展開するのに真に主要なマーケットだ。同国は人口、購買力、デジタルデバイス浸透度合い(特にスマートフォン)において世界で最も大きなeコマースマーケットの1つだ。多くの成熟したマーケットではeコマース成長は停滞に直面していて(パンデミックによる2020年の44%成長を除く)、米国のeコマース成長は15%程度とパンデミック前に比べて緩やかだが、ブラジルのeコマースは活況を呈している。浸透率はまだ低く、成長要因はそろっている。Etsyは2024年までにブラジルのeコマースが26%成長すると予想する数字を引用している。

「最近のDepop買収取引に続き、Elo7の買収を発表できることをうれしく思います。いずれもEtsyの資本活用のための高いハードルをクリアするエキサイティングな会社です」と同社のCFO、Rachel Glaser(レイチェル・グレイザー)氏は声明文で述べた。「当社の基幹事業Etsy.comマーケットプレイスの成長を引き続き促進するのに加え、DepopとElo7をEtsyファミリーに統合することに注力しています。Reverb、Depop、そしてElo7は今後も才能ある権限を委ねられた経営陣によって運営され、価値創出を加速させる方法でブランドにまたがる主要な機能をつなげ、個々の合計より全体の価値を高めます」。

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タグ:Etsy買収ネットショッピングブラジル

画像クレジット:Philippe Perreaux / Flickr under a CC BY-SA 2.0 license.

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

2021年夏頃発表予定の海外旅行予約アプリを開発するオンライン旅行代理店「令和トラベル」が22.5億円をシード調達

令和トラベルは6月28日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による22億5000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先はジャフコ グループ、ANRI、グローバル・ブレイン、千葉道場ファンド、アカツキ「Heart Driven Fund」、重松路威氏(ニューラルポケット代表取締役社長。社外取締役就任予定)、竹内真氏(ビジョナル 取締役 CTO。技術顧問就任予定)、染原友博氏(非常勤監査就任予定)、エンジェル投資家の高橋祥子氏、西川順氏、本田圭佑氏ら。また海外旅行予約アプリのティザーサイトを公開し、優先登録の受付も開始した。なお、サービスの発表は2021年夏頃予定。

令和トラベルは、2021年4月5日に海外旅行のDTA(デジタルトラベルエージェンシー。オンラインのみの旅行代理店)として創業し、第一種旅行業免許(観光庁長官登録旅行業:第2123号)を取得した旅行系スタートアップ。「新しい旅行を、デザインする」をミッションに、旅行体験のアップデートを目指しているという。代表取締役社長の篠塚孝哉氏は「時代にあったスムーズで使いやすいインターフェイス。驚くほどお得で、満足度の高いパッケージ旅行。旅慣れた方にとっても楽しい豊富なセレクション」を提供するとしている。

令和トラベルによれば、調達した資金の用途は「DX化への投資」「採用への投資」「マーケティングへの投資」という。

DXへの投資では、エンジニアリングを機軸に海外旅行ツアーの従来業務プロセスを高いレベルに改善する。採用への投資では、プロダクト開発を第一優先に、エンジニアファーストな環境作りのための設備や採用に用いる。高い技術や大胆な挑戦意欲をもち、プロダクト開発を推進できるエンジニアやプロダクトマネジャーなどの採用活動を加速させる。マーケティングへの投資では、日本における海外旅行マーケットの回復にあわせプロモーションや販促キャンペーンなどカスタマーバリューへの投資を行う。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:旅行 / 旅行業界 / 観光(用語)令和トラベル(企業)資金調達(用語)日本(国・地域)

フェイスブックが自動モデレーション機能などのグループ管理者向け新ツール発表

Facebook(フェイスブック)は米国時間6月17日、プラットフォーム上のコミュニティを適切に管理し、意見が対立して荒れるなどの状況を防ぐことを目的としたグループ管理者向けの新しいツールを発表した。特に興味深いツールは、機械学習を利用して、グループ内で不健全な会話が発生している可能性を管理者に警告する機能である。管理者がグループメンバーの投稿の頻度を制限して、白熱した会話のペースを落とす機能もある。

Facebookグループを利用するためにFacebookのアカウントを持ち続けるユーザーも多い。同社によると、現在、数千万のグループが存在し、世界中で7000万人以上のアクティブな管理者とモデレーターによって管理されているという。

Facebookは長年にわたり、グループオーナーのためのより優れたツールの導入に取り組んできた。大規模なオンラインコミュニティの運営には大き過ぎる管理責任がともなう。それに疲弊した管理者が仕事を放棄し、グループが管理されないまま放置され、誤った情報やスパム、不正行為の温床となってしまうことも多い。

2020年秋、Facebookはこのような問題に対処するために新しいグループポリシーを導入し、アクティブな管理者のいないグループを取り締まるなどの対策を講じた。同社はもちろん、グループの運営を簡単にできるようにして、グループが存続し、成長し続けることを維持したいと考えている。

米国時間6月17日、満を持して新機能が登場した。

新しいダッシュボード「管理者ホーム」には、管理者ツール、設定、機能が集約され、グループのニーズに合わせて役に立つツールを提案するヒントが表示される。

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もう1つの新機能「管理者アシスト」では、グループ内のコメントを自動的に調整することができる。グループ内で議論が白熱した際に、事後的にコメントや投稿を削除すると、問題が生じる可能性がある。「管理者アシスト」機能を使うと、管理者は(事後的ではなく)より積極的にコメントや投稿を制限することができる。

管理者は「管理者アシスト」機能を使って、Facebookアカウントを取得してから間もないユーザーや、最近グループのルールに違反したユーザーの投稿を制限することができる。特定の内容の宣伝(マルチ商法へのリンクなど)を含む投稿を自動的に拒否し、その投稿が拒否された理由を投稿者に自動的にフィードバックすることも可能だ。

管理者は、Facebookが推奨する条件を利用して、スパムを制限したり、対立を管理したりすることもできる。

画像クレジット:Facebook

注目すべきアップデートは「対立の可能性のアラート」という、新しいタイプのモデレーションアラートだ。Facebookによると、この機能は現在テスト中で、グループ内で論争や不健全な会話が行われている可能性がある場合に管理者に通知する機能である。管理者はこのアラートを見て、コメントを消す、コメントできるユーザーを制限する、投稿を削除するなど、状況に応じて迅速に対応することができる。

「対立の可能性のアラート」は機械学習を利用している、とFacebookは説明する。機械学習モデルは、返信時間やコメントのサイズなどの複数のシグナルを見て、ユーザー間の相互作用がマイナスな方向に進行していないか、あるいは進行する可能性があるかどうかを判断するという。

これは、現在多くの管理者が使用しているキーワードアラート機能を自動化、拡張した機能で、言い争いになりそうなトピックを探すことができる。

画像クレジット:Facebook

これに関連した新機能では、管理者は、特定のメンバーによるコメントの頻度を制限したり、指定した投稿へのコメントの頻度を制限したりすることもできるようになる。

この機能を有効にすると、メンバーのコメントは5分に1回に制限される。根底にあるのは、議論が白熱する中、ユーザーにいったん立ち止まって自分の発言を考えてもらうことで、より文化的な会話につなげるというアイデアである。この考え方は、他のソーシャルネットワークでも採用されている。例えばTwitterは、リツイートする前に記事を読むように促したり有害である可能性のある返信にプロンプトを表示して、投稿を再確認するように呼びかけたりしている。

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その一方で、Facebookは、たとえそれがポジティブなやり取りや体験につながらない場合でも、プラットフォーム上でのコミュニケーションを幅広く受け入れてきた。今回の機能は大掛かりなものではないが、健全なオンラインコミュニティを構築するためには、頭に浮かんだことをすぐに書き込んだりコメントしたりできないようにする必要もある、とFacebookが認めたことを意味する。

Facebookは、管理者が特定のグループメンバーの活動を一時的に制限できるようにするツールもテスト中である。

管理者はこのツールを使って、特定のメンバーが1日に共有できる投稿数(1~9件)と、制限を有効にする期間(12時間、24時間、3日、7日、14日、28日)を設定したり、特定のメンバーが1時間あたりに共有できるコメント数(1~30件、5件単位)と、制限期間(12時間、24時間、3日、7日、14日、28日)を設定したりすることができる。

また、より健全なコミュニティの構築に向けて「メンバーの概要」という新機能で各メンバーのグループでの活動状況を把握したり、投稿数やコメント数、投稿の削除やミュートの回数などを確認したりすることも可能になる。

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Facebookは、これらの新しいツールの活用法については言及していないが、管理者が詳細な「メンバーの概要」を利用して散発的にメンバーベースのクリーンアップを行い、議論を妨害してばかりいる悪質なユーザーを排除する、といったユースケースなどが考えられる。このツールで、グループの活動に貢献している無違反のユーザーを見つけてモデレーターに昇格させることもできるだろう。

さらに、管理者は、コメントと投稿にグループルールをタグ付けしたり、特定の投稿タイプ(アンケートやイベントなど)を禁止したり、グループの違反に関連する決定を再調査するようFacebookに「異議申し立て」したりすることができるようになる。

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ここまでのニュースに埋もれてしまった感があるが、以前発表された「チャット」の復活も興味深い。

2019年、Facebookは突然チャット機能を削除した。(Facebookは製品インフラの問題であるとしたものの、)おそらくスパムが原因ではないかと一部で推測されている。以前と同様、チャットには、アクティブメンバーと、チャットからの通知をオプトインしたユーザーを含めて、最大250人が参加できる。上限に達すると、チャットのアクティブメンバーが退出するか、誰かが通知を停止するまで、他のメンバーはそのチャットルームに参加することができない。

Facebookグループのメンバーは、Messengerを使用するのではなく、Facebookグループ内で他のメンバーとのチャットを開始したり、チャットを検索して参加したりすることができる。管理者やモデレーターも同様だ。

今回の変更が、評価額が11億7000万ドル(約1290億円)の新しいユニコーン企業であるIRL(アイアールエル)のようなメッセージングベースのソーシャルネットワークの他、Telegram(テレグラム)やSignal(シグナル)などのメッセージングアプリ、さらに非主流のソーシャルネットワークの成長を後追いしている、という点は注目すべきだろう。

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以上のようなたくさんの新機能の他にも、Facebookは管理者からのフィードバックに基づいて、いくつかの機能に変更を加えている。

現在、固定されたコメントと、重要なニュースをグループの(グループの通知を受信する設定になっている)メンバーに通知する「管理者からのお知らせ」という新しい投稿タイプがテスト中である。

また、管理者がグループメンバーを除外する際、フィードバックを共有できるようになる予定だ。

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これらの変更は、今後数週間のうちに、全世界でFacebookグループ全体に展開される。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookSNSチャット機械学習

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

リモートワーカー同士の「つながり・信頼・共感」を支援するGatheround

在宅勤務(リモートワーク)はもはや新しい話題ではない。新型コロナウイルスのパンデミックを受け、世界の多くの地域で1年以上前から実施されている。

大企業も小規模企業も、多様な対策を講じなければならなかった。初期の課題の多くは、ワークフローや生産性などに集中していた。しかし、それほど注目されてこなかったリモートワークシフトの要素がある。それは文化的側面だ。

新型コロナウイルスが猛威を振るい始めるかなり前からリモートワークの課題に取り組んでいた100%リモートのスタートアップが、今度は企業がリモートワークにおける「人」の課題に取り組むのを支援するサービスの需要の拡大を目の当たりにしている。同社はIcebreakerという名前でスタートしているが、これは一緒に仕事をする人たちとの間の「breaking the ice(雰囲気を和ませる)」という事業目的を反映したものだ。

「初対面の人同士をつなぐ手段として、いわばバーチャルスピードデートのようなものを、私たちは製品の初期バージョンとして設計しました」と共同創業者でCEOのPerry Rosenstein(ペリー・ローゼンスタイン)氏は説明する。「ですが、私たちは人々がそれ以上のことを行っていることに気づきました」。

同社のサービスは時間の経過とともに、最初の出会いを超えて人々が集う(「together」)のを支援するという大きな目標を盛り込んだものに進化を遂げてきた。それが新しい企業名「Gatheround」の由来だ。

「リモート企業が直面している重要な課題や問題は、物理的な空間を共有していない人々の間で、つながりや信頼、共感をどのように構築するかということです」と、共同創業者兼COOのLisa Conn(リサ・コン)氏は語る。「ミーティングの後に5分間の会話をすることも、食事を共有することも、カフェテリアを利用することもありません。そうした空間ではつながりが有機的に構築されます」。

リモート化が進むにつれて、業務のトランザクションが増え、従業員が孤立していくことを組織は懸念すべきだとGatheroundは主張する。人は主としてソーシャルな存在であることを無視することはできない、とコン氏はいう。

同スタートアップは、さまざまなチャット、ビデオ、1対1やグループ会話などのリアルタイムイベントを通じて人々をオンラインで結びつけることを目指している。さらに、文化的儀式の他、ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(受容)に関する全員参加のミーティングやワークショップのような学習と開発(L&D)活動を促進するためのテンプレートも提供している。

Gatheroundのビデオ会話は、Slackの会話を新鮮な形で補完することを目的としている。Slackはコミュニケーション機能を提供しているものの、ユーザー同士が直接会って会話するようなものではない。

画像クレジット:Gatheround

Gatheroundはその設立以来「Fortune 500」の28社、米国テック企業大手15社のうち11社、大学トップ30に名を連ねる26校、700以上の教育機関など、目覚ましい顧客基盤を地道に築いてきた。具体的には、Asana、Coinbase、Fiverr、Westfield、DigitalOcean、そして大学を始め、ジョージタウンのInstitute of Politics and Public Service(政治公共サービス研究所)、Chan Zuckerberg Initiative(CZI、チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブ)などの学術センター、非営利団体などが挙げられる。現時点でGatheroundは約26万人のユーザーを擁し、同社のSaaSベースのビデオプラットフォーム上で57万件もの会話が交わされている。

これまでの成長はすべて有機的なもので、そのほとんどが紹介と口コミによるものだった。そしてこのほど、前回の50万ドル(約5445万円)の調達に続く350万ドル(約3億8113万円)のシード資金を得て、Gatheroundは市場に積極的に進出し、その勢いを加速させようとしている。

今回の資金調達は、ベンチャーファームのHomebrewとBloomberg Betaが共同で主導し、StripeのCOOであるClaire Hughes Johnson(クレア・ヒューズ・ジョンソン)氏、Meetupの共同創業者Scott Heiferman(スコット・ハイファーマン)氏、Li Jin(リー・ジン)氏、Lenny Rachitsky(レニー・ラシツキー)氏などのエンジェル投資家が参加した。

共同創業者のローゼンスタイン氏、コン氏、そしてAlexander McCormach(アレクサンダー・マコーマック)氏は、自らを「経験豊富なコミュニティビルダー」と表現する。過去にはオバマ大統領のキャンペーンや、Facebook、Change.org、Hustleなどの企業で働いた実績がある。

3氏は、GatheroundがZoomやビデオ会議アプリと大きく異なる点として、同社のプラットフォームでは互いを知り、学び合うためのプロンプトや体系化された方法が提供され、イベントをカスタマイズする柔軟性もあることを強調している。

「基本的に当社はコネクションプラットフォームであり、単に楽しいというだけではない、有意義なリアルタイムイベントを通じて、組織が従業員を結びつけられるよう支援しています」とコン氏は語る。

Homebrewでパートナーを務めるHunter Walk(ハンター・ウォーク)氏によると、HomebrewはGatheroundの創業者の市場適合性に魅力を感じたという。

「政治的な行動主義の面で構築された経験に基づくコミュニティを持ち、優れたプロダクト、デザイン、運用スキルを兼ね備えた、実に興味深い創業者の組み合わせだと言えるでしょう」と同氏はTechCrunchに語った。「彼らがエンタープライズ製品や純粋な社会的バックグラウンドの出身ではないことは、ある意味特徴的な存在感を放っていました」。

同氏はまた、Gatheroundのプラットフォームがパーソナライズされていることにも惹かれたという。過去1年間で、仕事の未来を支えるソフトウェアには「感情的知性が必要」であることが明白になってきたからだ。

「2020年には多くの企業がリモートワークの生産性向上に注力するようになりました。しかし、人々がこれまで以上に求めているのは、同僚と深く有意義なつながりを築く方法です」とウォーク氏。「Gatheroundはどのプラットフォームよりも優れています。Gatheroundで行われている、質問をしたり、ストーリーを共有したり、グループとして学習したりするような人々のバーチャル上の集まりは、これまでなかったものです」。

Bloomberg BetaのパートナーJames Cham(ジェームズ・チャム)氏もウォーク氏の意見に同意し、創業チームの行動心理学、グループ力学、コミュニティ構築に関する知識が彼らに強みを与えているという見解を示した。

同氏は声明で「しかし何より重要なことは、彼らは世界が結束し、つながりを感じるのを助けることに関心があり、それを実現するための組織作りにキャリア全体を費やしてきたことです」と述べている。「ですから、Gatheroundを支援することはごく自然な決断でした。彼らが社会に大きな貢献をもたらすことを期待しています」。

14名で構成される同社のチームは、今回調達した資金で規模を拡大し、Gatheround製品の機能や細部の追加を支援していく予定だ。

「パンデミックが起きる前から、リモートワークは他の仕事形態に比べて速いスピードで加速していました」とコーン氏はいう。「今、それがさらに勢いを増しています」。

この分野への参入を試みている企業はGatheroundだけではない。アイルランドに拠点を置くWorkvivoは2020年1600万ドル(約14億4226万円)を調達し、2021年初めにMicrosoftは新しい「従業員体験プラットフォーム」であるVivaをローンチしている。

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タグ:リモートワークGatheroundビデオ会議チャット資金調達

画像クレジット:Gatheround

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

TikTokで黒人クリエーターたちがストライキ、創造性の搾取を訴える

気温が3桁を超えた(38℃以上)頃、Megan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオン)の新作ミュージックビデオが公開された。しかし、この曲は夏に向けて新しいTikTok(ティックトック)のダンスを流行らせるのではなく、ソーシャルメディアの成層圏でトレンドを無意味に生み出すことに疲れた黒人クリエイターたちの間で、非公式な抗議行動を引き起こしている。

「Thot Shit(ソット・​シット)」の動画が公開された2021年6月中旬、一部の黒人TikTokクリエイターは、搾取に注意するように呼びかけ、他のクリエイターにこのヒット曲のダンスの振り付けを拒否するよう促した。その運動の背景には、TikTokの黒人アーティストは過度な量のコンテンツや文化を生み出しており、その多くが白人の人気クリエーターや文化全体によって再パッケージ化され、収益化されているという考え方がある。

この曲が行動のきっかけに選ばれたことはおそらく偶然ではないだろう。Thot Shitのビデオは、遊び心がありながらも、社会に欠かせない仕事に従事する労働者への大事な賛歌となっている。映像では、食料品店や飲食店、清掃員などの労働者が挑発的に踊っているが、これは彼女たちの労働力を平気で搾取する裕福な白人社会への痛烈な批判だ。

Thot Shitは現在あらゆる場所で発売中。

この「ストライキ」では、クリエイターがTikTokを離れたり、アプリの使用を控えたりするわけではない。そうではなく、普段は話題の新曲のダンスを提供している黒人クリエイターたちが傍観し、自分たちがいないとどうなるのかを、指し示そうというものだ(予想通り、あまり盛り上がっていない)。

この曲のページでは、いくつかの動画は振り付けを予告しているものの、黒人クリエイターがこのアプリで正当な評価を受けていないことを訴える声明に変わっている。他の動画では、黒人クリエイターが空虚なぎこちないダンスをぞっとする思いで見ていたり、曲の歌詞が説明的であるにもかかわらず黒人ではないTikTokがそれを理解できないことを笑ったりしている。

非常にダンサブルな「Thot Shit」は、Megan Thee Stallionの最大のヒット曲になるかもしれないが、TikTokを見ているだけではそれはわからない。

この現象についてコメントを求められたTikTokは、黒人クリエイターがコミュニティの中で「重要で活気のある」存在であることを讃えた。

「私たちは、当社のプラットフォーム上における黒人クリエイターの経験を非常に大事にしており、コミュニティをサポートする環境を整えると同時に、クリエイターの創造的な貢献を称え、クレジットを付与することが当たり前の文化を浸透させるために、日々努力を続けています」と、TikTokの広報担当者は述べている。

ストライキに参加している多くのTikTokアカウントが引き合いに出しているのは、最近爆発的に増えた白人のTikTokkerが、黒人の身体を特に称賛しているNicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)の2016年の曲「Black Barbies(ブラック・バービーズ)」のクリップに合わせて、無頓着に歌っていることだ(「私はすてきな黒いバービー人形。かわいい顔に完璧な身体……」)。白人のTikTokkerは不可解にもこの曲に群がり、人気を高め、そして黒人のクリエイターたちを押し出した。

これは、黒人クリエイターがソーシャルネットワーク上で、搾取され、横取りされていると感じている長い歴史における1つの事件に過ぎない。黒人のTikTokダンサーたちは、長いこと冷遇されてきた。彼らが生み出したオリジナルのダンスは、爆発的な人気を得ると、黒人以外のクリエイターが真似し、彼らもまたそれによってクレジットを獲得している。

TikTokのストライキは、米国のポップカルチャーがいかに黒人からの盗用で成り立っているかを示すだけでなく、音楽業界がいかに音楽を収益化するためにこの窃盗とホワイトウォッシュのサイクルに依存しているかを示すという点で、本当にすばらしい行動です。

Bree Newsome(ブリー・ニューサム)

今回のストライキは、TikTokのようなプラットフォームから生み出される創造性の源泉で、誰がその利益を享受するのかという、継続的な議論に新たな一石を投じるものだ。さらに広く見れば、クリエーターの中には、YouTubeなどの他のメジャーなプラットフォームと比べても、TikTokは経済的に不利だと考える人もいる。ソーシャルメディアの世界では、クリエイター、特に有色人種のクリエイターたちが、自分たちの力を主張するために、集団行動や組合活動さえも起こすようになっている。

自分たちの作品が横取りされていることにうんざりしている黒人クリエイターにとって、TikTokの新しいホットなダンスを世界に提供することを集団で拒否する行動は、オンラインのエコシステムにおいて自分たちがいかに重要な存在であるかを示す1つの方法として有効であることは間違いない。それは活気のない「Thot Shit」の動画を見れば一目瞭然だ。

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タグ:TikTokストライキソーシャルメディア

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

AWSが米国家安全保障局お墨付きの暗号化メッセージングサービスWickrを買収

Amazon(アマゾン)のクラウドサービスであるAmazon Web Services(AWS)が、暗号化されたメッセージ事業に参入する。AWSは米国時間6月25日、政府や軍、企業向けのサービスを提供しているメッセージングアプリ「Wickr(ウィッカー)」を買収したと発表した。Wickrは、米国家安全保障局(NSA)が定めたセキュリティ基準を満たす唯一の「コラボレーションサービス」であると、同社では主張している。

AWSはWickrの運営をそのまま継続し、AWSの顧客にそのサービスを「事実上即座に」提供すると、AWSのバイスプレジデントで最高情報セキュリティ責任者(CISO)を務めるStephen Schmidt(スティーブン・シュミット)氏は、このニュースを報告するプログ記事で書いている。

短い発表の中で金銭的条件は開示されていない。調査会社PitchBook(ピッチブック)のデータによると、Wickrの資金調達総額は6000万ドル(約66億5000万円)に満たない(3000万ドル以下との評価額も記されているが、これはかなり古い推定値のようだ)。一方、アマゾンのクラウドエンタープライズ部門であるAWSは、電子商取引とオンラインサービスの巨大企業にとって強大な存在となっている。AWSの前四半期の売上は、前年同期比32%増の135億ドル(約1兆5000億円)で、純利益は81億ドル(約9000億円)だった。

アマゾンが、政府機関に安全なサービスを提供しているメッセージングプロダクトを買収したこのタイミングは、Microsoft (マイクロソフト)がTrump(トランプ)政権時代に米国防総省から獲得した100億ドル(約1兆1080億円)規模のクラウド契約「JEDI」をめぐる争いに引き続き巻き込まれている時期でもある。

この買収が、アマゾンが自社のサービスを充実させるために、より多くのインフラやサービスを構築しようとする取り組みの一環なのか、それとも、JEDIの契約獲得の有無にかかわらず、アマゾンが引き続き政府機関という市場に働きかけかけようとする兆候なのかはわからない。

また、この動きはアマゾンがメッセージング分野への進出を、これまで以上に推進している可能性も示唆している。これは同社に待望されていたことだという声もある。

AWSでは現在、Amazon Chime(アマゾン・チャイム)というコミュニケーションサービスを提供しており、組織でのミーティングやチャット、ビジネスコールなどを可能にしている。しかし、これはあまり知られていない製品で、ライバルサービスであるSlack(スラック)やMicrosoft Teams(マイクロソフト・チームズ)ほどの影響力を持てずにいる。また、Wickrのようなエンド・ツー・エンドの暗号化にも力が入れられていない。

アマゾンは、2017年にもメッセージング製品を開発中と報じられたが、それはより一般消費者に向けたものだったようだ。同社は多くのソーシャルメディア関連の特許も保有している。

2021年になると、メッセージングサービスには、暗号化やプライバシー保護機能など、2017年にはあまり重要な要素ではなかった考慮すべき事項が山ほどある。また、メッセージング全般においてますます高度化が進んでいる。

アマゾンが興味を持ちそうな分野については、特に以下の4つが上げられる。1. Wickrをビジネスサービスとして提供し、現在の使い方を継続する。2. 他のAWSサービスのように、他の企業が自社のアプリで利用できる「メッセージング・アズ・ア・サービス」を構築する。3. Wickrのインフラ上に消費者向けのメッセージングアプリを構築する。4. Echoに接続するサービスを増やし、より大きなソーシャルコマース/インタラクティブプレイに向けて機能を拡張する。あるいは上記のすべてを実行する。

今回の買収について、AWSのCISOであるシュミット氏は次のように述べている。「この種のセキュアな通信へのニーズは加速しています。新型コロナウイルス感染流行の影響もあり、ハイブリッドな就業環境への移行が進む中、企業や政府機関では多くの遠隔地をつなぐ通信を保護したいという要望が高まっています。Wickrの安全性が高いコミュニケーション・ソリューションは、企業や政府機関がこのような就業形態の変化に対応するために役立ち、AWSが顧客やパートナーに提供するコラボレーションや生産性向上のためのサービスが、ますます充実することになります」。

Wickrのウェブサイトに掲載された告知には、次のように書かれている。「10年前の創業以来、当社は世界中の幅広い業種の組織にサービスを提供するまでに成長しました。AWSとともに、当社のソリューションを、お客様やパートナーのために、次のレベルに引き上げることを楽しみにしています」。

2011年にサンフランシスコで設立されたWickrは、自らを「最も安全な」ビデオ会議とコラボレーションのプラットフォームと表現している。他ののコラボレーションツールでは、ユーザーのデバイスから企業のサーバーに送信されるメッセージは暗号化されるが、それらの通信は暗号化されない状態で保存される。Wickrはエンド・ツー・エンドの暗号化を採用しているため、会話の両端にいる人のみが暗号化を解除してメッセージを読むことができる。またWickrには、ユーザーが開封から数秒という短い時間でメッセージを自動消去できる「削除タイマー」を設定する機能も備わっている。

同社は最近、人々の大規模なオンライン・コミュニケーションへの移行にともない、企業向け展開にも大きく力を入れている。2021年2月には、企業や政府機関がネットワーク外部にいる業務上重要なパートナーとエンド・ツー・エンドの暗号化を用いて安全に通信できる「Global Federation(グローバル・フェデレーション)」という機能を導入した。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:AWS買収Amazonメッセージ

画像クレジット:Pedro Fiúza/NurPhoto / AP

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(文:Carly Page, Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

LinkedInがヘイトスピーチの削除に関するEUの行動規範に正式署名

Microsoft(マイクロソフト)傘下のLinkedIn(リンクトイン)は、欧州連合(EU)における同社のプラットフォームから違法なヘイトスピーチを迅速に排除するため、自主的な行動規範に正式に署名し、より一層の努力を約束した。

欧州委員会は現地時間6月25日の声明で、LinkedInがEUの「オンライン上の違法なヘイトスピーチに対抗するための行動規範」に参加したことを発表した。Didier Reynders(ディディエ・レンデルス)司法委員は、LinkedInの(遅ればせながらの)参加を歓迎し、行動規範は「デジタルサービス法によって確立された枠組みを含め、ヘイトスピーチに対抗するための重要なツールであり、今後もそうあり続けるだろう」と声明で付け加えた。

「オンラインの世界から憎しみがなくなるよう、より多くの企業に参加していただきたいと思います」とレンデルス氏は付け加えた。

LinkedInは、これまでこの自主規範に正式に参加していなかったが、親会社であるMicrosoftを通じて、この取り組みを「支援する」と述べた。

今回、正式に参加することを決定した声明で、LinkedInは次のようにも述べた。

「LinkedInは、人々がつながり、学び、新しい機会を見つけるために訪れる、プロフェッショナルな対話の場です。現在の経済状況や、世界中の求職者や専門家がLinkedInに寄せる信頼の高まりを考えると、我々は、メンバーのために安全な体験を作る責任を負っていると言えます。我々のプラットフォームでヘイトスピーチが許されないことは、あまりにも明白です。LinkedInは、メンバーのキャリア全体において、プロフェッショナルとしてのアイデンティティーの重要な部分を占めています。それは、雇用主や同僚、潜在的なビジネスパートナーからも見られる可能性があります」。

EUでは「違法なヘイトスピーチ」とは、人種差別的または外国人を差別する見解を支持するコンテンツ、または人種、肌の色、宗教、民族的出自などを理由に、ある集団に対する暴力や憎悪を扇動しようとするコンテンツを意味する。

多くの加盟国がこの問題に関する国内法を制定しており、中にはデジタル分野に特化した独自の法律を制定している国もある。つまり、EUの行動規範は、実際のヘイトスピーチに関する法律を補完するものだ。また、法的な拘束力もない。

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この取り組みは2016年に始まった。ひと握りの大手テック企業(Facebook、Twitter、YouTube、Microsoft)が、違法なスピーチの排除を加速させることに合意した(あるいは、そうすることで自社のブランド名をPRする機会とした)。

この行動規範が運用されるようになってから、2020年10月に動画共有プラットフォームのTikTok(ティックトック)を含め、他のテック系プラットフォームもいくつか参加した。

しかし、多くのデジタルサービス(特にメッセージングプラットフォーム)はまだ参加していない。そのため、欧州委員会は、より多くのデジタルサービス企業に参加を呼びかけている。

同時に、EUは違法コンテンツの分野でハードなルールを固めようとしている。

2020年、欧州委員会は、既存の電子商取引規則の大幅な更新(別名、デジタルサービスアクト)を提案した。これは、違法コンテンツや違法そのものの商品などの分野において、オンラインに関わる法をオフラインの法的要件と一致させることを目的とした運用上の基本ルールを定めるものだ。これにより、今後数年間で、EUは単なる自主的な行動規範ではなく、ヘイトスピーチの問題に少なくとも高いレベルで取り組む法的枠組みを得ることになる。

また、EUは最近、テロリストコンテンツの削除に関する法律を採択し(2021年4月)、来年からオンラインプラットフォームへの適用を開始する予定だ。

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しかし、興味深いのは、おそらくさらなる議論を呼ぶであろうヘイトスピーチの問題(これは表現の自由に深く関わる可能性がある)について、欧州委員会が今後の法規制と並行して自主規制という選択肢を維持したいと考えていることだ。レインダース氏の発言がそれを裏づけている。

ブリュッセルは、議論の焦点となっているデジタル規制の問題について「アメとムチ」を組み合わせることに価値を見出しているようだ。特に、言論規制という物議を醸す「危険地帯」においてはそうだ。

デジタルサービス法は、標準化された「通知と対応」の手順を盛り込み、デジタルプレイヤーらが違法コンテンツに迅速に対応できるようにしている。一方で、ヘイトスピーチの行動規範を維持することで、主要なプラットフォームが欧州委員会から法律の文言以上のことを約束するよう促される並行した導線が存在することになる。(それにより、議員がより拡張的な言論統制措置を法律に盛り込もうとした場合に、論争を回避することができる)。

EUでは、数年前から「オンラインの偽情報に関する行動規範」を自主的に制定している。また、LinkedInの広報担当者は、親会社であるMicrosoftを通じて、LinkedInがその開始時から署名していたことを確認した。

議会は最近、この規範を強化する計画を発表した。矛盾した表現だが「より拘束力のあるもの」にするためだ。

欧州委員会は6月25日、ヘイトスピーチの行動規範に関して追加の声明を発表し、2020年6月に行われた5回目のモニタリング演習で、企業は平均して、報告されたコンテンツの90%を24時間以内に審査し、違法なヘイトスピーチであると考えられるコンテンツの71%を削除したと述べた。

欧州委員会は、この結果を歓迎すると同時に、署名企業に対し、特にユーザーへのフィードバックや、報告と削除に関する透明性の確保に向けた取り組みを強化するよう求めた。

欧州委員会はまた、偽情報に関する行動規範に署名したプラットフォームに対し、プラットフォーム上で氾濫している「フェイクニュース」に対処するための、より一層の努力を繰り返し求めている。公衆衛生に関しては、欧州委員会が2020年「新型コロナインフォデミック」と呼んだものが含まれる。

新型コロナウイルスの問題は、デジタル領域を効果的に規制する方法という複雑な問題に議員らの心を集中させることに寄与し、EUの多くの取り組みを加速させたことは間違いない。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:LinkedInヘイトスピーチEU

画像クレジット:Ali Balikci / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

Next.jsのVercelがフロントエンドのクラウド化とサーバーレス化に向けて約113億円調達

Reactの人気フレームワークであるオープンソースのNext.jsを開発するVercelは米国時間6月23日、Bedrock Capitalが率いるシリーズCのラウンドで1億200万ドル(約113億円)を調達したことを発表した。このラウンドにはAccel、CRV、Geodesic Capital、Greenoaks Capital、GVなど既存の投資家も参加した。さらに、新しい投資家として8VCやFlex Capital、GGV、Latacora、Salesforce Ventures、そしてTiger Globalが参加した。これで同社の総調達額は1億6300万ドル(約181億円)になり、現在の評価額は11億ドル(約1219億円)である。

Vercelによると、同社は最近の数カ月の成長が著しくて、そのネットワーク上のすべてのサイトとアプリを合わせると、トラフィックは2020年10月の倍になった。Next.jsを使っているウェブサイトも世界最大の1万サイトあり、前年比で50%増加したという。

画像クレジット:Vercel

Next.jsフレームワークはオープンソースであり、ユーザーの全員がVercelの顧客ではないが、現在の有料顧客の中にはCarharttやGithub、IBM、McDonald’s、Uberなど有名企業もいる。

VercelのCEOであるGuillermo Rauch(ギレルモ・ローチ)氏は次のように語る。「私たちは、1人のフロントエンドデベロッパーからすべてが始まりました。そんなデベロッパーとチームに力をつけ、顧客のために楽しくて没入的なウェブ体験を作っていただくことが目標です」。

VercelでRauchと彼のチームはNext.js専用のサーバーレスプラットフォームを作り、デベロッパーがスケーリングとかパフォーマンスを気にせずにフロントエンドを作れるようにした。

ローチ氏によると、以前のソリューションではフロントエンドがクラウドプラットフォームとサーバーレスの技術から孤立していたため、デプロイとスケーリングをデベロッパーが面倒見なければいけなかった。一部のユーザーはヘッドレスのコンテンツ管理システムを使って満足するかもしれないが、ローチ氏の主張ではデベロッパーはますます、現在、多くの企業が使ってるような出来合いのソリューションよりも深いソリューションを作る必要に迫られている。

ローチ氏がさらに、デベロッパーがコードをエディットするたびに、サイトのフロントエンドのプレビューのURLを作ってくれるVercelの機能を彼らが本当に気に入っていることを明記している。「コードレビューにすべての時間を費やすのではなく、私たちはフロントエンドそのもののレビューや実体験に移行、それによって開発体験がもっとコラボレーション的になります。今ではこのフロントエンド制作のコラボレーションにデザイナーもITもCEOもみんな集まり、『その青はちょっとイメージと違うね』といったことが言えます」とローチ氏はいう。

Bedrockの創業者でマネージングパートナーのGeoff Lewis(ジェフ・ルイス)氏は次のように述べている。「市場の変化を追うのではなく、変化をVercel自身が引っ張っている。そこから私たちは、ウェブの付加価値の多くと、クラウドアプリケーションの開発の重点が、ユーザーに最も近い場所として真の体験が作られエンジョイされる、フロントエンドへ移りつつあることを、目撃している。ギレルモ(・ローチ)氏と彼がその革命の推進のために集めた最高のチームと一緒に仕事をできることは、とてもエキサイティングなことです。このラウンドを共同でリードできたこともうれしい」。

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タグ:Vercel資金調達

画像クレジット:Luis Alvarez/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

英国の競争・市場庁がアマゾンとグーグルのフェイクレビュー対応の調査を開始

英国の競争監視当局である競争・市場庁(CMA)がテック大企業に対する新たな調査を開始した。Amazon(アマゾン)とGoogle(グーグル)がどのようにフェイクレビューに対処しているかに的を絞ったものだ。

英国のCMAは2015年からオンラインレビューに関心を向けてきた。

CMAはまた、マーケットプレイスで横行しているとして、フェイクレビューの取引を取り締まろうと2019年にeBay(イーベイ)とFacebook(フェイスブック)に目をつけた。これらのプラットフォームに圧力をかけ続けた結果、CMAは両社からこれまでよりも対策に注力するとの約束を取り付けた。にもかかわらず、Facebookの場合、フェイクレビューを取引していた1万6000ものグループを取り締まったのは2021年4月のことだった。CMAはFacebookが意義ある行動を取るまでに1年以上かかったことに失望を表明した。

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そして現在、CMAはAmazonとGoogleをそのレーダーにとらえた。2社ともユーザーレビューを含むプラットフォームを運営している。これら2社がフェイクレビューから買い物客を守るために十分な行動を取らないことで英国の法律に反したかどうかを決定する証拠を集める、とCMAは話している。

消費者をミスリードする、あるいはミスリードから消費者を守る行動を取らなかった企業は、不正取引から消費者を守るための英国の法律に違反していることになる。

CMAはAmazonとGoogleの調査は2020年5月に開始した初期調査に続くものだと話す。初期調査ではいくつかのプラットフォームの内部システムとフェイクレビューを特定して対処するプロセスの評価にフォーカスしていた。

この調査により、テック大企業であるAmazonとGoogleが下記のことに十分に取り組んできたかどうか懸念が浮かび上がった。

  • フェイク、そしてミスリードするレビュー、あるいは疑わしい行動パターンを検知する。たとえば同じユーザーが似たようなプロダクトや会社を似たような時間帯にレビューしているもの、プロダクトや会社と関係がないもの、あるいはレビュワーが肯定的なレビューを書いて支払いやインセンティブを受け取っていることをうかがわせるものなど
  • 調査し、必要ならばすぐさまフェイクでミスリードするレビューをプラットフォームから削除する
  • フェイクレビューをなくすためにレビュワーや企業に十分な制裁を科す。ここにはこうした種のレビューを何回も書いたり公開したりした人物や企業が含まれる

当局はまた、Amazonのシステムがたとえば他のプロダクトより肯定的なレビューを組み入れるなどして「一部のセラーがプロダクトリストを操作するのを十分に防いだり抑止したりしてこなかった」と指摘した。

結局のところ、問題の販売アイテムとは明らかに無関係の製品特性に真剣に言及しているレビュワーによるプロダクトレビューだけに接しようと、Amazon上のプロダクトレビューをブラウズしたことがない人なんているだろうか。

ローカルビジネスを検索した後にたとえばGoogle Mapsに表示されるユーザーレビューは「スター5つ(あるいはスター1つ)の行動の「特殊なパターン」も表示する。

AmazonとGoogleがフェイクレビューの問題に十分に対応をとってこなかったという懸念を調査していることに関し、CMAのCEOであるAndrea Coscelli(アンドレア・コシェリ)氏は声明で次のように述べた。

我々の懸念はオンラインで買い物する何百万という人々がフェイクレビューを読んでミスリードされ、その後にそうしたレコメンデーションに基づいて金を使うことにあります。と同時に、自社のプロダクトやサービスを最も目立つようにするために一部の会社がスター5つのレビューをつけることができ、法を守っている会社が負ける、というのは純粋に公正ではありません。

我々はAmazonとGoogleが顧客や正直な会社を守るために十分にフェイクレビューを防いだり削除したりしてこなかったという懸念を調査しています。これらテックプラットフォームが責任を取ることは重要で、2社が十分に取り組んでいないことがはっきりすれば何らかの措置を取る準備はできています」

AmazonとGoogleにコメントを求めた。

Googleの広報担当者は次のような声明文をTechCrunchに送ってきた。

当社の厳しい規則は、レビューは実体験に基づくべきだと明白にうたっていて、規則違反を見つけた場合、当社は不適切なコンテンツの削除から、ユーザーアカウントの凍結まで、行動を起こします。ユーザーが関連する有用な情報をGoogleで見つけるのをサポートすべく、業界の先端をいく当社のテクノロジーとレビューのチームがいかに取り組んでいるか共有するために、引き続きCMAに協力することを楽しみにしています。

Amazonの広報担当は以下のように述べた。

顧客の信頼を得るために、フェイクやインセンティブが与えられたレビューがストアに表示されるのを防ぐのにかなりのリソースを注いでいます。顧客がプロダクトで得たエクスペリエンスがレビューに正確に反映されるよう、懸命に取り組んでいます。当社は引き続きCMAの問い合わせに協力します。当社の事業に対して何も結論は出ていないことを言い添えておきます。当社は絶え間なくストアを保護し、レビューを乱用しようとする人の規模やロケーションにかかわらずフェイクレビューを阻止するために行動を起こします。

2021年6月初めのブログ投稿で、おそらくCMAのこの問題に関する意図に気づいているAmazonは「当社のストアで本物のプロダクトレビューだけが許されるよう、絶え間なく刷新しています」と主張し、偽オンラインレビューの問題について語った。そして、実例の統計を示した(2020年だけで2億件超の「疑わしいフェイクレビュー」を顧客が目にする前に「プロアクティブな検出」を使用して阻止した)。

しかしブログ投稿はかなり守勢に立っていた。Amazon外で、特にソーシャルメディアサービスを通じてフェイクレビューを勧誘しようとする悪意ある行為が次第に増している」と述べるなど、フェイクレビュー問題の責任を拡大することを模索している。

Amazonはフェイクレビューを、調整された業界全体のソリューションを要する、業界にまたがる問題にしようとした。その一方で、(名指しはせず)「ソーシャルメディア会社」に矛先を向け、ソーシャルメディアがチェーン内の弱点であると指摘した。

フェイクレビューを促進するのに使われるているサービスを運用しているソーシャルメディア企業が積極的に詐欺やフェイクレビューの抑制に投資し、これらの悪行を阻止するために我々と提携し、消費者が自信を持って買い物できるようにサポートする必要があります。消費者と正直な販売パートナーを完全に守るには、絶え間ないイノベーション、そして業界と法執行当局間の提携が欠かせません。

Amazonのブログ投稿はまた「レビューを買う人やレビューを提供するサービスプロバイダー」などの「悪行」に対して訴訟を起こす既存の取り組みをサポートするために「世界中の」消費者保護規制当局の総合的な援助を求めた。

Amazonはまた、欧州でフェイクレビュープロバイダーに対する「何十もの」差止命令を勝ち取ったとTechCrunchに語った。加えて同社は法的措置を取ることをためらわない、とも付け加えた(例えば差止・強制命令を求めてAMZ Tigers、TesterJobというウェブサイトのオーナーに対する訴状を1月9日にロンドン商事裁判所に出したと同社は述べた)。

CMAの調査が行われていることを考えると、フェイクレビュー供給者に対する訴訟をサポートするよう規制当局の援護を求めるAmazonのブログ投稿は、CMAの視線をFacebookのマーケットプレイスに視線を向けさせようとする先制攻撃のようにみえる。

AmazonとGoogleに対する調査が、おそらく問題を悪化させているソーシャルメディアプラットフォーム上などでのレビュー取引グループの役割にも及ぶのかどうか、TechCrunchはCMAに問い合わせた。

CMAはこの点についてのコメントは控えた。しかしTechCrunchはAmazonとGoogleに対する調査は別物だと理解している。

今後何が起こり得るのかという点に関して、CMAは調査でAmazonとGoogleがさまざまな執行力を持つ英国消費者保護法を遵守しなかったかを考慮する。フェイクレビューの対処方法を変えるために正式なコミットメントを確保したり、必要に応じて裁判に発展させたりすることがあり得る。

しかし差し当たってAmazonとGoogleが法律を守らなかったどうか結論は出ていない。

CMAは予定されている英国の独占禁止法の刷新に準備するためにデジタルマーケットへ注意を次第に向け、テック大企業の規制で積極的に動いてきた。新たな独禁法では、競争を損なうプラットフォームのパワーに対処する体制を敷く模様だ。

CMAはテック大手に対し多くの調査を展開している。ここには、Googleが予定している閲覧追跡クッキーの廃止も含まれる。そしてCMAは最近、AppleとGoogleのモバイルエコシステムの独占に関するマーケット調査も開始した。

関連記事:グーグルのトラッキングクッキーのサポート終了は英国の競争規制当局が同意しない限り実現しない

CMAが主要プラットフォームにフォーカスしていること、そしてフェイクレビューに対して長らく注意を向けてきたことを考えると、Appleがこの問題に関して英国の調査に直面するかどうかを思索するのはおもしろい。

App Storeでのフェイクのレーティングやレビューに関する懸念は提起されている。

たとえば2021年初め、iOSアプリデベロッパーのKosta Eleftheriou(コスタ・エレフテリオ)氏は、App Storeが安全で信用できる場所だと主張することでAppleはアプリを制作するようデベロッパーを勧誘してきたが、デベロッパーの懸命な取り組みから利益を得る詐欺師たちから正当なデベロッパーを守らなかったと主張し、Appleを相手取って訴訟を起こした

CMAはすでにAppleのApp Storeについて取り調べている。Appleが不公正あるいは反競争的な条件をデベロッパーに課しているかどうかを調査すると3月に述べていて、CMAは今後App Storeを注視する。もし反競争的な条件を課していれば、これは最終的にはユーザーの選択肢が少なくなったり、アプリやアドオンに高い料金を払ったりすることになる。

しかし差し当たってCMAのフェイクレビュー問題での注意は公には他のところに向けられている。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

ファイナンシャル・アドバイザリーを再考するSmartAssetがユニコーンに

消費者とファイナンシャル・アドバイザーをつなぐマーケットプレイスであるSmartAsset(スマートアセット)は6月24日、シリーズDラウンドで1億1000万ドル(約122億円)を調達したと発表した。

Crunchbaseによると、この資金調達により、ニューヨークを拠点とするSmartAssetの価値は10億ドル(約1110億円)以上となり、2012年の創業以来の調達総額は1億6100万ドル(約1786億円)強となった。

TTV CapitalがこのシリーズDを主導し、Javelin Venture Partners、Contour Venture Partners、Citi Ventures、New York Life Ventures、North Bridge Venture Partners、CMFG Venturesも参加した。

SmartAssetが最後に調達したのは2018年6月、Focus Financial Partnersが主導した2800万ドル(約31億円)のシリーズCだった。それ以来、売上高を「10倍」に伸ばし、現在はARR(年間経常収益)が1億ドル(約111億円)に達しようとしているという。最近では、SmartAdvisorプラットフォームで100万組目の消費者とアドバイザーのマッチングが行われた。また2020年には、全米のファイナンシャルアドバイザーや企業のAUM(運用資産)100億ドル(約1兆1100億円)のクロージングに至ったという。

SmartAsset社は、Automated Financial Modelingソフトウェアを用いて消費者とアドバイザーを結びつけるだけでなく、パーソナルファイナンスに関するコンテンツやツール、「パーソナライズされた」計算機などを通じて、毎月1億人以上の人々にサービスを提供している、とうたう。

SmartAsset社を設立する前、Michael Carvin(マイケル・カービン)氏は金融業界で働いていた。同氏は、同社の投資家であるY Combinatorとのインタビューの中で、住宅購入や住宅ローンの組み方について、「有用で、正確で、偏りのない情報」を探す際に感じた不満が、Philip Camilleri(フィリップ・カミレリ)氏と共同でSmartAssetを設立するきっかけになったと語った。

「従来の計算機には明らかな誤りがありました。そして、コンテンツはすべて、できるだけ大きな住宅ローンを組ませたいと思っている人たちが書いているように思えたのです」と同氏は付け加えた。そこで2人はSmartAssetを立ち上げ、退職、税金、貯蓄、住宅購入、保険など、人々がより良い決断をするためのツールやコンテンツを提供することにした。

画像クレジット:SmartAssetのCEOで共同創業者のマイケル・カービン氏/SmartAsset

SmartAssetは、今回の資金調達により、新製品の提供、技術インフラ、データパートナーシップへの投資を行う。また、現在202人いる従業員を、今年中に75%以上増強する。

TTV CapitalのパートナーであるMark Johnson(マーク・ジョンソン)氏は、「同社は、消費者とファイナンシャル・アドバイザーの両方に非常に価値のあるリソースを提供することで、米国最大級の市場で急速にリードを拡大しています」と話した。

今回の資金調達とその華々しい評価は、成長を続けるユニコーン企業の世界においても、一定の重みを持っている。

SmartAssetによると、今回の資金調達により、共同創業者であるマイケル・カービン氏は、バリュエーション10億ドル(約1110億円)以上の企業の黒人創業者兼CEOとして3人目となるという。他にも、CompassのCEOで創業者のRobert Reffkin(ロバート・レフキン)氏は先日こちらで紹介したし、CalendlyのCEOで創業者のTope Awotona(トペ・アウォトナ)氏もこちらで紹介したばかりだ。

黒人主導のユニコーンが残念ながら少ないのは、黒人やアフリカ系米国人のスタートアップ創業者への資金提供が歴史的に不足していることの表れだ。Crunchbaseの試算によると、2020年には、ベンチャーキャピタルからの資金調達総額の1%、つまり10億ドル(約1110億円)が、この層の創業者に提供された。

カービン氏はTechCrunchの取材に対し、「成功した黒人創業者の姿を見ることで、より多くの有色人種が起業するようになり、いつしかこうしたことがニュースではなくなることを願っています」と語った。

昨年は、多くの黒人主導のベンチャーキャピタルが資金調達をクローズしており、上述の数字は変わる可能性がある。その中には、Collab Capitalの5000万ドル(約56億円)の投資ビークル、Harlem Capitalがクローズした1億3400万ドル(約149億円)のシードファンド、Cleo Capitalの2号ファンドの2000万ドル(約22億円)の目標額、MaC VCの1億300万ドル(約114億円)のデビューファンドなどが含まれる。

また、HBCUvcとGoogle for Startupsは今月、少数派出身のアーリーステージの創業者に希薄化しない資金を提供する2つの取り組みを発表した。

シリーズDを獲得したSmartAssetは、パーソナルファイナンスからバイアスを取り除くべく取り組んでいる。SmartAsset自身も、日常的にこのような現象に悩まされている見落とされがちな創業者がいかにして強力なビジネスをリードし続けているかを示すケーススタディとなっている。

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画像クレジットtwomeows / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi