日立が設備・サービスごとの再生可能エネルギー使用状況をスマートメーターとブロックチェーンで見える化

日立が設備・サービスごとの再生可能エネルギー使用状況をスマートメーターとブロックチェーンで見える化

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2021年1月17日~1月23日の情報から。

日立製作所(日立)は1月22日、再生可能エネルギー由来の電力で稼働する建物・設備やサービスなどの電力使用状況を、スマートメーターとブロックチェーン技術を活用し見える化するシステムの開発を発表した

また同システムを中央研究所内に導入し、設備やサービス単位での使用電力が100%再生可能エネルギーであることを「Powered by Renewable Energy」として証明するシステムの運用を2月1日より開始する。

同社が開発したシステムは、スマートメーターとブロックチェーン技術を活用し、個々の建物や設備等製造ラインごとの単位まで、再生可能エネルギーの使用量を見える化できるというもの。企業全体として再生可能エネルギーのみでの事業運営の早期実現が困難な場合でも、企業の環境意識の向上や再生可能エネルギー利用の普及に貢献できるという。ちなみにスマートメーターとは、電気使用量をデジタルで計測するほか通信機能を備える電力メーター。スマートメーターを導入することで自動検針と電気使用量のデータ通信が可能になる。

日立は、中央研究所内の「協創棟」と呼ばれる特定の建物やエレベーターなどの特定の設備に対して同システムを導入。使用電力が100%再生可能エネルギーであることを「Powered by Renewable Energy」として証明していく。

日立が設備・サービスごとの再生可能エネルギー使用状況をスマートメーターとブロックチェーンで見える化
同システムにより「Powered by Renewable Energy」を証明できることで、将来的には、個々の製品・サービスが100%再生可能エネルギーで稼働していることを訴求した付加価値の高いサービスが提供可能という。

例えば、再生可能エネルギーで100%充電された電気自動車によるタクシー事業者が、車両に「Powered by Renewable Energy」マークを表示させて乗車サービスを提供することで、環境価値を訴求したサービスの提供が可能になる。

国際的な地球温暖化対策「パリ協定」では、温室効果ガスの排出量を今世紀後半に実質ゼロにすることなどを目標に掲げている。これを受けて、世界の主要国政府および地域が2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするという目標の達成を掲げたカーボンニュートラルを宣言している。1月20日には、トランプから政権を引き継いだジョー・バイデン大統領によって、アメリカのパリ協定への復帰が表明され、注目を浴びている。

また企業や団体においては、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的環境イニシアチブ「RE100」(Renewable Energy 100%)に加盟するなど、脱炭素社会の実現に向けた活動が進みつつある。

日立は、同システムの提供により、事業者への再生可能エネルギーの導入を支援し、企業の脱炭素化を促進していく。今後は、様々な業界のパートナー企業と協力し合い、同システムおよび証明コンセプトを活用したサービスの提供に向けた検討を進め、脱炭素社会の実現への貢献を目指すという。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:SDGs(用語)カーボンニュートラル環境問題(用語)再生可能エネルギー(用語)スマートメーター日本(国・地域)

LayerXがエンタープライズ向けブロックチェーン基盤比較レポート[プライバシー編]を公開

LayerXがエンタープライズ向けブロックチェーン基盤比較レポート[プライバシー編]を公開

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2021年1月10日~1月16日の情報から。

ブロックチェーン技術などのテクノロジーを活用した業務プロセスのデジタル化を推進するLayerXは1月14日、代表的なエンタープライズ向けブロックチェーン基盤の分析結果について、同社独自のブロックチェーン基盤分析フレームワーク「LayerX Enterprise blockchain Analysis Framework」(LEAF。リーフ)とともに公開した。対象は、CordaHyperledger FabricQuorum。2020年6月公開の基本編に続くもので、今回はプライバシー編となっている。

同社によると、ブロックチェーンのエンタープライズにおけるユースケースは急速に増加しているという。複数組織間をまたがるデータ共有基盤としてのブロックチェーンの利用が進展しており、証券決済、サプライチェーン・ファイナンスクロスボーダー決済、トレーサビリティなど、国内外で多くの商用化事例が存在している。

ただ、ブロックチェーン基盤は基盤ごとに設計思想が異なる上、技術特性もそれに応じて変わってくるため、各基盤で充足可能なセキュリティ要件、適性のあるユースケース、プライバシーの要件、インターオペラビリティ実現の難易度には相違が見られるという。

そこで同社はLEAFを公開し、ユースケースに応じた基盤検討を行なう際の観点を明確化するとともに、各基盤の検討負荷を軽減し、ブロックチェーンの円滑な社会実装の推進に資することを目指すとしている。

また同社は、オープンソースソフトウェア(OSS)や先行するパブリックレポートなど、ブロックチェーンのコミュニティに蓄積されてきた優れた知見に基づきR&D活動に注力しており、LEAF公開を通じて中長期的にブロックチェーンコミュニティに貢献することも志向しているという。

LayerXがエンタープライズ向けブロックチェーン基盤比較レポート[プライバシー編]を公開

LEAFプライバシー編

ブロックチェーン技術は、データの真正性を複数の組織間で担保し、検証可能な形で共有可能なものの、同時にすべてのデータが全組織で共有されてしまい、機密情報も共有されてしまうという課題がある。

そのためこの課題の解決手段として、プライバシー保護技術に関する研究が盛んに行われている。LEAFのプライバシー編では、エンタープライズ向けブロックチェーンにおけるプライバシー保護技術に着目し、プライバシー保護技術の分類、プライバシー保護技術の比較軸の提案、そしてCorda、Hyperledger Fabric、Quorumが備えるプライバシー保護技術の分析及び比較を行った。

LEAFプライバシー編で提案するトランザクションフローの分析はCorda、Hyperledger Fabric、Quorum以外のブロックチェーン基盤にも応用可能としている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
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chaintopeが佐賀市ごみ発電の環境価値をブロックチェーンで記録・電子証書化するシステムを開発

chaintopeが佐賀市ごみ発電の環境価値をブロックチェーンで記録・電子証書化するシステムを開発

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2021年1月10日~1月16日の情報から。

chaintopeみやまパワーHDは1月12日、佐賀県佐賀市における「地域循環共生圏」構想の一環として、佐賀市内でのエネルギーなどの地域内循環を可視化し、ごみ発電電力の地産地消による環境価値を電子証書化するシステムを試作し、「地域循環共生圏」の具体化可能性の検証作業を行うことを発表した

2050年脱炭素社会の実現を推進する佐賀市は、2010年に環境都市宣言を行い「地域循環共生圏」を推進。「資源循環」「炭素循環」「人の循環」「経済循環」をキーワードに、地域の資源や可能性について再考・有効活用しながら環境・経済・社会を改善し、資源を融通し合うネットワークをつくろうと、市民と共に取り組んでいる。

みやまパワーHDとchaintopeは、このような地域循環共生圏内での価値の循環を、ブロックチェーン技術により可視化し、さらに多くの市民の行動変容を促し、脱炭素と地域経済活性化につながることを期待し、同検証作業の実施を行っていく。

chaintopeが佐賀市ごみ発電の環境価値をブロックチェーンで記録・電子証書化するシステムを開発

佐賀市は、ごみ処理を佐賀市清掃工場に集約し、清掃工場で生み出されるごみ発電による電気(再生可能エネルギー)の量を増やした。ごみ発電による再生可能エネルギーは、市内の公共施設に供給できるようになっており、「電力の地産地消」を行っている。ちなみに清掃工場で生み出される電力量は平成30年度実績で3203万kWh/年、そのうちの1568万kWh/年が佐賀市内の小中学校および公共施設112カ所にて利用され、1700万kWh/年は他に売却されたという実績をあげている。

また、同清掃工場は、ごみを焼却した際に発生する排ガスから二酸化炭素(CO2)のみを分離回収する設備を設置。回収したCO2を利活用する日本初CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)プラントという。CO2を野菜や藻類培養に利用する「炭素循環」も行っている。

再生可能エネルギーの発電・利用実績をブロックチェーンに記録し、電力が地産地消された証明として「資源循環証書」を発行

しかし、こうした活動によって生まれた環境価値は、誰が見ても正しいと認められる形で公開することが難しいのが課題という。そこで、Chaintopeが開発したブロックチェーン「Tapyrus」(タピルス)を用いて、誰もがその真正性を確認できる電子証書として公開する取り組みを開始する。環境価値を電子証書として公開することで、環境価値取引などの新しいビジネスの創造や、将来は地域通貨との連携による地域経済活性化につながることも見込まれるとしている。

chaintopeが佐賀市ごみ発電の環境価値をブロックチェーンで記録・電子証書化するシステムを開発
同取り組みは、第1段階として、佐賀市清掃工場でのCO2排出削減量の見える化、価値化から開始する。具体的には、清掃工場による再生可能エネルギー発電実績と公共施設での再生可能エネルギー電気供給サービス利用実績をブロックチェーンに記録し、佐賀市内にて電力が地産地消された証明として「資源循環証書」を発行する実証実験を行っていく。

またChaintopeは、資源循環証書の実証実験を足がかりに、将来的には、地域循環共生圏づくりにおける「炭素循環」「人の循環」「経済循環」の取り組みについてもTapyrusを利用した地域通貨の仕組みなどを使い、持続可能なまちづくりへの貢献を目指す。

「J-クレジット制度」との連携も視野

さらに、国家の新たな成長戦略として位置づけられたエネルギー・環境分野における「J-クレジット制度」との連携も視野に入れていく。J-クレジット制度は、再生可能エネルギー設備や省エネルギー機器の導入などによる、CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度。同制度により創出されたクレジットは、低炭素社会実行計画の目標達成やカーボンオフセットなど、様々な用途に活用できる。

エンタープライズ向けブロックチェーン「Tapyrus」(タピルス)

今回の取り組みで活用するブロックチェーンTapyrusは、Chaintopeが独自に研究開発をしてきたエンタープライズ向けブロックチェーンおよび、最先端のブロックチェーン関連技術を統合的に利用できるシステム開発プラットフォーム。同社はTapyrusをオープンソースとして提供しており、ソースコードはGitHubで公開している。

Tapyrusは、誰でもネットワークに参加でき自由に分散台帳を閲覧できる透明性を持つパブリックチェーンでありながら、複数法人で共同運営するコンソーシアムの方針に合わせて、新しい記録を分散台帳に書き込む際のルールを設計できる。また、開発者はTapyrusプラットフォームの各種サービス(特許技術を含む)を利用し、ブロックチェーンの複雑な要素技術を意識することなく、安全かつ高信頼のアプリケーションを開発できるという。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:オープンソース / Open Source(用語)環境問題(用語)再生可能エネルギー(用語)J-クレジット
Tapyruschaintope日本(国・地域)

Geminiがビットコインリワード付きのクレジットカードを発表

仮想通貨交換のGeminiBlockrizeを買収し、米国時間1月14日にBlockrizeの事業をもとにした新しいプロダクトを発表した。Geminiは2021年後半に、通常のクレジットカードと同様に使え、購入金額に応じてBitcoin(ビットコイン)のリワードがもらえるカードの提供を開始する。

Geminiの新しいクレジットカードは他のクレジットカードと同様に使え、米国の顧客は最大3%(念のため書くが「最大」3%だ)のビットコインリワードを獲得できる。他の仮想通貨を獲得することもできる。リワードはGeminiのアカウントにデポジットされる。

ビットコインリワード付きのクレジットカードを発表するのはGeminiが初めてではない。2020年12月にBlockFiが発表していた。BlockFiもGeminiもカードの提供はまだ開始していない。

BlockFiの方は、不換通貨での購入に対して1.5%のリワードを約束している。年会費が200ドル(約2万700円)かかるが、カードを使い始めてから3カ月で3000ドル(約31万円)以上使えば250ドル(約2万6000円)がバックされる。

このような新しいカテゴリーのクレジットカードは、交換をしないでゆっくり仮想通貨を獲得したい人にとっては興味深いかもしれない。また仮想通貨に熱心な人は、それを減らしたくないので仮想通貨のウォレットに紐づけられたデビットカードを使いたがらない。このような人たちは「HODL(使わずにそのまま保有しておく)」と考えている。

キャッシュバックがもらえるクレジットカードの代わりとしてこのようなカードを検討する余地はあるかもしれない。確かに、特典と交換できるポイントは獲得できない。しかし特に考えなくても仮想通貨を獲得できる。

Geminiの利用者は予約申し込みができる。Blockrizeはクレジットカードに取り組んできた。現在はGeminiに買収され、以前にBlockrizeに申し込んだ予約はそのまま有効となる。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Geminiビットコインクレジットカード暗号資産 / 仮想通貨

画像クレジット:Gemini

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(翻訳:Kaori Koyama)

行政機関への変形労働時間制用届出書類の自動作成・ブロックチェーンに記録するプロジェクトが開始

行政監督機関への変形労働時間制用届出書類の自動作成・ブロックチェーンに記録するプロジェクトが開始

スイス・日本のテクノロジーにおける産学連携の活動を行うアカデミック・シンクタンク「SEYMOUR INSTITUTE」(シーモア インスティテュート)は1月7日、変形労働時間制をデジタル化し労使協定と就業規則を自動作成するプロジェクト「Labors」(レイバース)の開始を発表した

同プロジェクトは、静岡県伊豆大川温泉で旅館を運営する「いさり火」の協力のもと、労使協定のデジタル化によって使用者(会社)が抱える課題を解決し、労働者が持続可能なより良い職場環境構築に取り組んでいく。

労働者と使用者間で取り交わされる労使協定においては、労働者にとって不利なことも少なくない。両者ともに理解ある労使協定の締結には、使用者の積極的な関与が必須となる。また、変形労働時間制の適用は、就業規則と労使協定に明記かつ行政監督機関への届出が必要になっている。その内容は、法律に則った内容かつ、使用者が任意に変更しないこと、協定内容通り運用されることが重要になる。

しかし、変形労働時間制を取る旅館や飲食サービスなどの中小企業は家族経営も多く、経営者もまた労働者的な業務を行うこともあり、労働に関する法の改正を追って調整する人材は少ない。法に則った就業規則の認知・理解、労使協定の適切な労働者代表の選任、変形労働時間制の正しい導入や運用が難しいのが現状という。

プロジェクトLaborsでは、こういった課題を解決するために、変形労働時間制導入の制度設計と労働者代表選任投票をアプリケーション化し、就業規則と協定書・届作成を自動化する。同アプリでは、画面指示に従い、必要項目の選択と数字の設定を行うだけで、自動的に行政監督機関への届出書類を作成できるという。作成されたデータ(書類)は、データを元にハッシュ値を計算しブロックチェーンに記録するため、その改ざんがほぼ不可能になる。

行政監督機関への変形労働時間制用届出書類の自動作成・ブロックチェーンに記録するプロジェクトが開始

伊豆大川温泉いさり火旅館の協力

伊豆大川温泉のいさり火は、従業員数約30名弱の小規模な旅館だが、早くからクラウドベースの予約・客室管理システムPMS(Property Management System)を導入し、デジタル化による効率的な旅館運営を行ってきたという。

今回の取り組みにおける協力の範囲は、変形労働時間制導入に伴うワークフローをデジタル化するための情報と、導入までの使用者と労働者のコミュニケーションと総合理解のステップの共有および検証を想定している。プロジェクト期間は、ビジネスモデル検証用プロダクト開発を2021年3月から9月までの半年を予定。

36協定における労働者代表選出の正当性をブロックチェーンで保証する技術

同プロジェクトで使用されるアプリは、すでにSEYMOUR INSTITUTEが2020年9月に発表している「36協定における労働者代表選出の正当性をブロックチェーンで保証する技術」を発展させたものという。

36協定とは、労働基準法36条に基づく労使協定であり、使用者は1日8時間・1週間で40時間の法定労働時間を超えて労働(残業)を命じる場合に必要となる届出。SEYMOUR INSTITUTEはこれらにおいても自動化を進めるなど、パブリックブロックチェーンに半永久的なデータの価値として記録し、行政機関での届出や公的証拠として利用できるサービスと枠組み作りを目指している。

これら情報については、厚生労働省「スタートアップ労働条件:事業者のための労務管理・安全衛生管理WEB診断サイト」において、ウェブ診断などで、労働基準法等の法令や労務管理等に関連する基本的な知識を学べる。また同サイトの「作成支援ツール(36協定届、1年単位の変形労働時間制に関する書面)」は直感的に操作ができ、中小企業にとって心強いものの、労使協定と就業規則作成は連動していないとしている。

行政監督機関への変形労働時間制用届出書類の自動作成・ブロックチェーンに記録するプロジェクトが開始

プロジェクトLaborsは、労使間で重要な従業員の合意をシステムで保証するアプリと、正当なプロセスで締結された協定、就業規則が改ざんされていないことの証明、データを労働者へデジタル閲覧を可能にすることにより、組織の透明性を向上させるとしている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:労働時間SEYMOUR INSTITUTE日本(国・地域)

ブロックチェーン証明書規格Blockcerts準拠発行サービス「CloudCerts」が新機能追加

ブロックチェーン証明書規格Blockcerts準拠発行サービス「CloudCerts」が新機能追加

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2021年1月3日~1月9日の情報から。

ブロックチェーン証明書発行SaaS「CloudCerts」(クラウドサーツ)を運営するLasTrust(ラストラスト)は1月7日、CloudCertsの管理者用画面「Manager」のローンチを発表した。学位証明書や資格情報、社員証などあらゆる「証明」をデジタル化できるサービスCloudCertsの新機能として、発行済み証明書を一元管理できるウェブ管理画面Managerの提供を開始する。

CloudCertsは、あらゆる「証明」をセキュアにデジタル化できるブロックチェーン証明サービス(オープンソースのブロックチェーン証明書規格Blockcertsに準拠)。紙の証明書やJPEG、PDFなどの画像データをセキュアなデジタル証明書へ変換できる。耐改ざん性を持つブロックチェーン技術で、教育機関等発行元の電子署名を含んだ「原本性を持ったデジタル証明書」の発行が可能。また、証明書の発行における業務フローの効率改善とコストの圧縮を実現する。

ブロックチェーン証明書規格Blockcerts準拠発行サービス「CloudCerts」が新機能追加

同社は今回、CloudCertsの新機能として、管理者向けにウェブ管理画面Managerを追加した。通常の証明書は、発行・封入・郵送など煩雑な手続きが発生するが、Managerではそれらの作業をウェブ管理画面からボタン操作で可能となり、作業効率の改善を実現する。証明書の発行から送付まで、全行程を非接触・非対面で行える仕様になっている。

ブロックチェーン証明書規格Blockcerts準拠発行サービス「CloudCerts」が新機能追加

Managerにて追加された機能は以下の通り。

  • 数百枚の証明書のメール一括送付
  • 管理画面上で証明書の内容を確認
  • 証明書の取り消し操作
  • 受取人が証明書を紛失した際の再発行

デジタル証明書のオンライン一括送付は、コロナ禍において窓口業務が難しくなった通常業務をサポートするというもの。また、学生など証明書を受け取る側は、証明書を採用担当者などへオンラインで提出可能なほか、PDF出力機能を使い、コンビニ発行も可能になるなど、証明書を受け取りのための不要不急の外出を低減できる。教育機関においても、接触機会を減らすことができ、緊急事態宣言下のクラスタ対策にも有効という。

ブロックチェーン証明書規格Blockcerts準拠発行サービス「CloudCerts」が新機能追加

CloudCertsは、学習者が主体的に自らの学びを社会にアピールできるよう設計されており、証明書はURLで表示可能で、メール添付による採用担当者への送付、ウェブやSNSなどのプロフィールページへの表示など、学習実績を訴求できるデジタルならではメリットがある。

また、CloudCertsのコア部分は、MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究機関Media LabとHyland Credentials(旧:Learning Machine)とが共同開発したブロックチェーン証明書のオープンスタンダード規格Blockcerts(ブロックサーツ)に準拠している。第三者機関による証明書発行システムの信頼性・透明性検証などにも耐えるなど、留学生向けに海外へ証明書を送る場合にも活用できるグローバル仕様としている。

2019年8月創業のLasTrustは、CloudCertsと、クレデンシャルの管理ウォレット「Skill Wallet」のふたつのプロダクトを提供するデジタルクレデンシャル専業のスタートアップ。

デジタルクレデンシャル(Digital Credentials。デジタル証明/認証)とは、修了証書、学習履歴、有資格証、社員証、人事評価、様々なプラットフォームでのレビュー評価など、ヒト・モノの社会的評価や属性を担保するデジタルデータを指す。

LasTrustは「個人の見えざる価値を可視化する」というビジョンのもと、個人が持つ多面的な実績・技術をデジタル化し、オープンなブロックチェーンに記録することで、個人の社会的資産として生涯利用できるようにするという取り組みを進めている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:オープンソース / Open Source(用語)デジタルクレデンシャルBlockcertsLasTrust日本(国・地域)

写真の完全性を確保するNumbers Protocolのブロックチェーンカメラアプリ「Capture」

オンラインでの誤情報やフェイクニュースの拡散は、公共の福祉に危険な影響を及ぼす。誤情報との闘いは困難で、大統領選挙前にPew Researchが実施した調査によると、米国人の73%は主要テック企業がプラットフォームの悪用を防ぐ能力についてほとんど、あるいはまったく信用していないという。ブロックチェーン技術を使ってオンラインコンテンツの信憑性を守るオープンソースのStarling Framework for Data Integrityが公開され、写真やビデオの「出生証明書」を作成して変更をすべて追跡できるようになっている。Startling Frameworkの共同作成者が台北を拠点に創業したスタートアップのNumbers Protocolは、この技術を商品化して幅広く普及するよう取り組んでいる。

Numbersは現在、CESの台湾テックアリーナパビリオンでブロックチェーンカメラアプリ「Capture」を紹介している。このアプリはApp StoreGoogle Playストアからダウンロードできる(訳注:本稿日本語記事公開時点で、日本のApp Storeでは未公開)。

ジャーナリズム、特に市民ジャーナリズムがCaptureアプリのユースケースであることは明らかだが、オンラインで共有されている画像は自分が作ったものだと証明したい人にとっても有効だ。Numbersはこのアプリにビデオカメラ機能などを追加していく予定だ。

台湾のスタートアップ、Numbers Protocolが開発しているブロックチェーンカメラアプリ「Capture」のスクリーンショット

Captureアプリケーションで撮影した写真には、ブロックチェーンで証明されシールされたメタデータが付加される(ユーザーが正確な位置情報を共有したくないときなどにはプライバシーの設定を変更できる)。その後は、誰かが編集ソフトで編集するなど写真に変更が加えられると追跡され記録される。

共同創業者のTammy Yang(タミー・ヤン)氏はTechCrunchに対し、Numbersはアプリにビデオ機能を追加し、また証明済みコンテンツを公開できるチャンネルを開設する計画で、情報産業を変えることを目指していると語った。

Numbersを始める前、ヤン氏はスタンフォード大学と南カリフォルニア大学ショア財団の取り組みであるStarling Frameworkに携わっていた。ショア財団は大量虐殺や大規模な暴力から生き延びた人々の証言を保存しており、Starling Frameworkのテクノロジーは写真とビデオの保護のために開発された。Starling Frameworkは2020年3月の米国大統領予備選挙の際に、ロイターのジャーナリストが写真の撮影、検証、保管をするのにも使われた(Starling FrameworkにはFilechain、Hala Systems、Protocol Labsも協力している)。

デジタル一眼レフカメラやAdobe Photoshopなどのソフトを利用しているフォトジャーナリストが多いため、Starling Frameworkはショア財団およびロイターと協力してそのテクノロジーを両者のワークフローに統合した。Captureアプリはこのテクノロジーを幅広く使えるようにするために開発された。

ヤン氏は、フェイクニュースや誤情報によって写真の完全性を確保する必要性が一般に認識されるようになったと語る。ブロックチェーン技術を使ってデータやコンテンツを保護する企業は他にもあるが、Numbersは撮影された時点で写真を証明しその後のすべての変更を記録し続けることに的を絞っている。

「我々はカメラそのものに着目しているので、写真を撮影した時点ですでに完全性が確保されています。カメラアプリで写真を撮影し、その写真がコンテンツプラットフォームにコピーされたら、出所を証明するのは極めて難しくなります。Facebookから写真を持ってきてブロックチェーンに登録しても意味がありません。Captureアプリで撮影すれば即座にブロックチェーンに登録される点がまったく異なります」とヤン氏は述べている。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Numbers Protocol写真CES 2021

画像クレジット:d3sign/Moment / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

ブロックチェーン・ネットワーク開発のToposWareがミロク情報サービスから7.5億円を調達

ブロックチェーン・ネットワーク開発のToposWareがミロク情報サービスから7.5億円を調達

ブロックチェーン・ネットワーク開発のToposWareは1月12日、第三者割当増資による7億5000万円の資金調達を発表した。引受先はミロク情報サービス(MJS)。累計調達額は約9.5億円となった。

調達した資金により、ToposWareはグローバル展開を見据えた製品開発および事業開発のための組織体制を強化していく。また、ToposWareとMJSグループは資本提携することにより、高度なブロックチェーン技術を活かした次世代の新たなビジネス・プラットフォームの構築を目指し共同で研究開発を行う予定。

ブロックチェーン・ネットワーク開発のToposWareがミロク情報サービスから7.5億円を調達

MSJは、全国の会計事務所と中堅・中小企業に対し、経営システムおよび経営ノウハウならびに経営情報サービスを提供。現在、約8400の会計事務所ユーザーを有し、財務会計・税務を中心とした各種システムおよび経営・会計・税務等に関する多彩な情報サービスを提供している。また、中堅・中小企業に対して、財務を中心としたERPシステムおよび各種ソリューションサービスを提供し、企業の経営改革、業務改善を支援しており、現在、約10万社の中堅・中小企業ユーザーを有しているという。

MJSグループは、ERPソリューションとデジタル・マーケティングを融合した新たな「統合型DXプラットフォーム」の構築を目指しており、顧客の生産性向上・競争力強化、DX推進によるイノベーションの創出を支援する、DX時代に相応しい総合的なソリューションサービスの提供を目指している。

ToposWareは、ブロックチェーン・ネットワークを開発する2019年1月創業のスタートアップ。ヨーロッパ、アジア、中東、北米などのグローバルな暗号学者やブロックチェーンエンジニアなどで構成され、東京を拠点として活動している。

同社は、高度な情報セキュリティを求める行政機関・企業・個人に向け、次世代のデータプラットフォームとなる相互運用性のあるブロックチェーン・ネットワークを開発。暗号資産の決済だけでなく文字列やファイルなどの多様なデータを対象に、改ざん耐性とデータプライバシー(秘匿性)を提供し、なかでも「ゼロ知識証明」という暗号理論を活用し、強固なデータ秘匿性を担保することに強みを持つという。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:暗号化(用語)資金調達(用語)ゼロ知識証明ToposWareミロク情報サービス日本(国・地域)

仮想通貨ビットコインが23%、イーサリアムが29%の大幅下落、それでも過去の価格を上回る

記録的な価格にまで上昇し、再び人々の注目を集め話題になった後、仮想通貨は米国時間1月11日に大幅に下落した。

最もよく知られている仮想通貨のBitcoin(ビットコイン)は米国時間1月8日に4万1000ドル以上(約427万3000円)でピークを迎えた。しかし11日には過去24時間で23%強下落した後、1ビットコインの価値は3万1800ドル(約331万5000円)程度になっている。

同様にEthereum(イーサリアム)ブロックチェーンのトークンであるEther(イーサ)は、1月10日に1300ドル(約13万6000円)を少し上回る額でピークに達した。しかし直近24時間で29%も急落し、今では約960ドル(約10万円)の価値となった。

仮想通貨は依然として過去の価格をはるかに上回っており、ビットコインは2021年1月に史上最高値を更新し、Etherも2018年初頭の史上最高値にほぼ到達している。2020年にBinance(バイナンス)が買収(CoinDesk記事)した仮想通貨市場を追跡するデータプラットフォームのCoinMarketCapによれば、すべての仮想通貨の価値は直近1日に22%強下落し、8324億ドル(約86兆7694億円)になったと報告している。

これが最近の下落を意味しているのか、あるいは仮想通貨の総額が最近1兆ドル(約104兆2400億円)を超えたという事実がより大きなニュースなのかどうかは、資産クラスに対する見方によって決まるだろう。

しかし、デジタルトークン市場に焦点を当てたスタートアップにとっては、2021年は幸先の良い始まりだった。米国のクリプトカレンシー取引所であるCoinbase2020年後半に上場を申請(未訳記事)したが、最近のビットコイン価格の上昇により、その取引量は記録的なものとなっている。これはCoinbaseやそのライバル企業にとって、有利な収入になる可能性がある。

そうなればベンチャーキャピタル市場は同分野の企業にとって魅力的なものとなり、2017年以降閉鎖されてる可能性のある仮想通貨プロジェクトに資金を提供することになる。

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タグ:仮想通貨BitcoinEthereum

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

日本発ステーブルコインはじめブロックチェーンが公正な社会を支える技術基盤に貢献、BCCC年頭所感

日本発ステーブルコインはじめブロックチェーンが公正な社会を支える技術基盤に貢献、BCCC年頭所感

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月27日~2021年1月2日の情報から。

ブロックチェーン推進協会(BCCC)は2021年1月1日、平野洋一郎代表理事による年頭所感を発表した。新型コロナウイルス感染拡大によりデジタルおよびバーチャルな「ニューノーマル」へのシフトが加速する中、ブロックチェーンは公正な社会を支える技術基盤としての貢献度が高まる1年になるなど、業界における所感を述べた。また、同協会が開発を進めている独自のステーブルコイン「ZENX」についても言及した。

日本発ステーブルコインはじめブロックチェーンが公正な社会を支える技術基盤に貢献、BCCC年頭所感

BCCCは、ブロックチェーン技術の幅広い普及推進を目指す業界団体。暗号資産など金融を起点に発展してきたブロックチェーンの健全な発展と普及のために、金融にとどまらず流通・製造・公共事業など幅広い分野での活用、ブロックチェーンの最新情報や技術者・企画者の育成、ネットワーク形成などブロックチェーン関連ビジネスを広く市場に告知し、様々なビジネスへの普及・推進を目指す。現在、ブロックチェーン業界のみならず、270社を超える様々な分野の企業が加盟している。

コロナ禍におけるニューノーマルの流れによって、BCCC会員企業においても金融のみならず電子契約、株主総会、貿易、ゲームなどの領域でブロックチェーンを使った新たな試みが展開される年になった。また、2020年は中国政府のデジタル人民元の実証実験、EUのデジタル通貨規制案、日本銀行におけるデジタル通貨発行に向けた取り組みの発表など、法定通貨のデジタル化やステーブルコインに関する議論も深まったとしている。

BCCCは、2021年は金融や決済のイノベーションにも通じるこの動きがさらに具体化し、実現への第1歩を築いていくと見ている。ブロックチェーン技術はますます進化を続け、フィンテックのみならず様々な領域の企業活動、そして社会インフラへと進化を遂げていくという。またさらに、ブロックチェーン技術が企業や社会のDXを支える技術として、「自律・分散・協調」を主軸とした公正な社会への進化に貢献していくと確信していると、年頭の所感を述べている。

日本円と連動した独自ステーブルコイン「ZENX」発行に向けた準備

ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)は2020年年末、GMOインターネットが設立したGMO-Z.com Trustが海外で発行を予定している日本円と連動した初のステーブルコイン「GYEN」を認可した。これにより、円ペッグのステーブルコインが話題になっている

所感では、BCCCも日本円と連動した独自ステーブルコイン「ZENX」の発行に向けた準備を進めていることに触れた。BCCCは、各国の動向をモニタリングしていきながら、法規制にマッチしたかたちでステーブルコインの早期発行を目指すことを明らかにした。

BCCCは、2017年7月に円と連動した暗号資産(仮想通貨)「Zen」の社会実験の第1フェーズを実施。まずは、BCCCの運営するプライベート版Ethereum上のERC-20準拠トークンとしてZenを発行し、取引所にて同一価格の買い注文を入れ続けることで価格を安定させる手法を実証。結果、取引に伴う価格変動率(ボラティリティ)を、一部オペレーションが間に合わず20%ほど変動したポイントがあったものの、ほぼ1ZEN=1円を維持できたという。ちなみにビットコインの価格変動率は2000%ほどになる。

ここで開発したスマートコントラクトのコードは、パブリック版のEthereumネットワーク上に配置することで、すぐに動作するよう設計されており、将来パブリックに展開できることになれば、日本円に対して価格が安定している暗号資産Zenを実現することもできるという。

またBCCCは、2020年2月に「ステーブルコイン部会」を新設し、社会実験の第2フェーズとして、グローバルに流通するステーブルコインの仕様を策定し、日本円や米ドル、欧州ユーロを含む各通貨とそれぞれペッグした複数のステーブルコイン「JPYZ」「USDZ」「EURZ」などを発行していくことを発表している。

さらに同部会は、米Facebookの「Diem」(ディエム。旧Libra)を意識し、これらの複数のステーブルコインを担保にした通貨バスケット型のステーブルコイン「ZENX」を発行する構想を公表している。同構想は実装期間を経て最大30社での企業間決済実験を実施する計画で、この実験を通じて日本発ステーブルコインの発行の実現に寄与していくという。

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日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンスの実証実験

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月27日~2021年1月2日の情報から。

日立製作所みずほフィナンシャルグループは2020年12月28日、みずほ銀行みずほ情報総研Blue Labと共同でブロックチェーン技術を活用した物流業界の輸配送代金の早期資金化に関する実証実験の開始を発表した。5社は2021年1月より、金流・商流・物流の一体管理およびサプライチェーンファイナンスの高度化を目指して共同実証実験を開始する。

現行の物流業界は万年のドライバー不足が大きな課題となる中で、労働環境の整備、煩雑な帳票管理の解決に向けて、見積・受発注管理、配車・運行管理業務、請求管理などのデジタル化が加速しているという。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響から運送会社の資金繰りが火急の課題となっており、輸配送代金の早期資金化は、物流業界の発展に寄与する重要なテーマになっている。

物流業界では、荷主からの受注後、物流経路などに応じて複数の運送会社に運送事業を委託する多重構造の商流が存在するが、同実証実験では、これら物流データと連携したファイナンス提供を行い、輸配送代金の早期資金化の実現を目指す。

実証実験では、関東圏の物流企業の営業所、運送会社が参加する。実際に物流の発注・納品・支払に関わるやり取りを、パソコンやスマートフォン上で操作する実証用システムを使い、業務フローイメージの具体化とともにその受容性を検証していく。ニーズ調査として、運送会社へのアンケートやインタビューも実施するという。

日立とみずほグループは、これまでもサプライチェーン領域におけるブロックチェーン技術の活用促進と新規事業の創出に向け、ブロックチェーンを活用し、リアルタイムでの真正性を確保した取引情報を基とする、高度なサプライチェーンファイナンスの実現を目指し、共同で検討を重ねてきた。

具体的には、顧客のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための日立のデジタル技術を活用したソリューション・サービス「Lumada」で開発を進める「サプライチェーン決済プラットフォーム」上で、みずほが開発する新たな「ファイナンス決済スキーム」を金融付加価値機能として提供していく。

また今後は、日立は同プラットフォームの開発を進め、金融以外の業種とのサービス連携も含め、幅広い展開を検討していく。みずほは、新たなファイナンス決済スキーム確立に向け、技術面以外にも、法律・会計などに関する整理を行い、物流業種以外の業種へのニーズ調査なども含めて、ビジネス化に向けて検証を実施していく。みずほは、2021年度内のサービス開始を目指す。

日立のサプライチェーン決済プラットフォーム

日立のサプライチェーン決済プラットフォームは、ブロックチェーン技術を活用して複数事業者間での決済取引を支援する決済プラットフォーム。事業者間で共有・活用するデータをトークンとして扱い、真正性かつ耐改ざん性を確保し管理していく。利用企業は取引情報を活用した金融サービスを享受でき、資金繰りの改善、運転資金確保ができるほか、金融機関は取引情報を分析し、各種金融サービスへの活用が可能になる。

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また同プラットフォームは、日立の「Hitachi Blockchain Service for Hyperledger Fabric」を活用。これは、非営利団体The Linux Foundationが運営するクロスインダストリー(異業種連携)共同開発プロジェクト「Hyperledger」によるブロックチェーン基盤「Hyperledger Fabric」の利用環境をマネージド型クラウドサービスとして提供するというもの。

同社は2020年10月、Hyperledgerが認定するベンダー資格を有する企業の1社に認定されている。

みずほの新ファイナンス決済スキーム

みずほの新たなファイナンス決済スキームは、サプライチェーンにおける川上企業が将来の売上見合い(将来債権)を川下企業の信用力で割引可能とする邦銀初の金融サービス。

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

新スキームでは、発注時点で将来債権をトークンとして表象させ、債権者は物流工程の進捗により判断される信用力によりトークンを割り引くことが可能となる。利用企業は、サプライチェーンの商流を裏付けとした将来債権の資金調達により、資金繰りの改善や迅速な運転資金確保が可能になる(特許出願中)。データ管理にはブロックチェーン技術を適用し、サプライチェーン内の債権・債務を一元管理する。

みずほは、物流と金流を連動させ、資金決済の事務負担となっていた照合管理業務などを省力化することも想定しているという。

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イーサリアムからの移行例も登場、LINE Blockchain開発者向けイベントレポート 導入事例編

イーサリアムからの移行例も登場、LINE Blockchain開発者向けイベントレポート 導入事例編

LINEは12月17日、ブロックチェーン開発者向けにオンラインイベント「LINE Blockchain Developers Meetup #1」を開催した。LINE Blockchain導入事例として複数サービスが紹介されたので、ここにまとめておこう。

LINE開発者による「LINE Blockchain Developers」を使った「dApp」(ブロックチェーンアプリ)開発デモについては別記事にまとめたので、そちらも参考にしてほしい。

韓国語、英語、日本語と順次多言語対応を計画、電子契約サービス「LinkSign」

導入事例での最初のセッションでは、LINE Blockchain基盤を使った電子契約サービスの「LinkSign」の紹介が行われた。LinkSignを提供するComakeのCEO Harrison Hyunmin Cho氏がビデオレターで解説した。

イーサリアムからの移行例も登場、LINE Blockchain開発者向けイベントレポート 導入事例編

LinkSignは、オンライン契約プラットフォーム。AI、機械学習、ブロックチェーン技術を使い、契約プロセスを作成・レビュー・電子署名・契約締結の4つに分け、これらをすべてLinkSignというひとつのサービスに統合している。

ビジネス従事者にとって契約は避けて通れないものの、契約というのは非常に難しい専門用語が含まれており、多くの人はその知識を有していない。これを同社はリーガルバリア(法的な障壁)と呼ぶ。

さらに、リーガルバリアを認識していても、多くの中小企業が法律事務所の正式なレビューを受けることができずにいる。中小企業にとって法律事務所のレビューは高額であるからだ。

また、紙ベースのレビューは長年にわたり様々な障害を抱えてきたという。レビューや交渉プロセスにおける記録、署名の信憑性などの課題を抱えつつ、先に挙げたプロセスを経て契約の成立となるが、そもそも原本の管理もまた、中小企業にとっては問題になっている。

これらがLinkSignの開発背景となり、ビジネスとして立ち上げたとCho氏は語った。

LinkSign概要

LinkSignでは、契約プロセスを作成・レビュー・電子署名・契約締結の4つのプロセスを契約ライフサイクルと位置付けている。作成とレビューのステップではAIおよび機械学習の技術を統合し、電子署名と契約締結のステップにはシステムのセキュリティー向上のためにブロックチェーン技術を統合している。

イーサリアムからの移行例も登場、LINE Blockchain開発者向けイベントレポート 導入事例編

LinkSignは、クライアントがアクセスすると最初に契約書の作成に誘導する。

一般的な契約書の作成では、契約書をイチから作ることはなく、たいていはGoogleなど検索サイトで似たような契約書のテンプレートを検索して探し、それを参考に作成することが少なくない。

しかし実は、これはリスクの高いアクションだとCho氏は指摘する。契約書で重要なのは、どちらが情報を受け取る当事者か、どのような条件で損害賠償が発生するのか、また契約条項に関して紛争が起きた際どこが管轄地になるかなど、一般的なテンプレートではカバーできない条件が多々ある。法律事務所はこういった問題を適切に提案できるため、高額な費用がかかると説明した。

LinkSignの契約プラットフォームでは、クライアントは正しいテンプレートを選択できるという。テンプレートはすべて法律事務所の上級弁護士がレビューしたものになる。テンプレートを選択するとAIインタープリターが起動されるという。

契約書の作成にはふたつのケースがあり、ひとつはLinkSignで作成してドラフトから契約を始めるもの。もうひとつは契約相手から契約書のドラフトを受け取ったケースという。契約書を受け取った場合は、クライアントは契約書をLinkSignにアップロードできる。

LinkSignは、契約書を判断し法律的なリスクがあった場合はクライアントに報告する。契約レビューシステムでは、抽出サマリー、文章や条項ごとの詳細レビューなどが行われ、最後に最終レポートとして1ページにまとめられるという。現時点では、これらはまだ韓国語にしか対応していないが、英語、日本語と順次多言語対応していくそうだ。

イーサリアムからの移行例も登場、LINE Blockchain開発者向けイベントレポート 導入事例編

詳細レビューページは、以下スクリーンショットにあるように、緑、黄、赤にハイライトされたセクションがある。緑は文章や条項が安全であることを意味し、黄色は標準的に使用される法律上のフレーズとは異なるが法律的には大きな問題にならない箇所、赤はシステムがこの契約を弁護士にレビューしてもらうことを推奨している箇所という。

イーサリアムからの移行例も登場、LINE Blockchain開発者向けイベントレポート 導入事例編

詳細レビューページの後は、最終レポートとしてすべての情報が1ページにまとめられ、契約書の作成は完了。ここからは両者が署名をする段階になる。

両者から署名を得るためにLinkSignでは、紙ベースの契約書を電子トランザクションに移行するだけではなく、ブロックチェーン技術を使い契約のセキュリティーを強化する。ブロックチェーン技術を使うことで他のプラットフォームに存在するような多くの問題を解決できるとした。

各トランザクションの透明性を担保し、また署名した契約や原本を改ざんできないという点においても、クライアントからの信頼を獲得できる。

なぜLINE Blockchain Developersなのか?

LinkSignが多くのブロックチェーンプラットフォームの中から、LINE Blockchain Developersを選択した理由は、LINE Blockchain Developersの技術が単に優れているだけではなく、容易に拡張できることがポイントという。例としてLINE PaymentサービスをCho氏は挙げた。

LinkSignは、契約プラットフォームをフィンテック領域にも拡張していく計画があるという。LINE Payによってクライアントは、1ヵ所で契約を締結したあとに支払いが可能になる。同社プラットフォームをLINE PayやLINE ID Passport(KYCプラットフォーム)に接続できると、次世代のものに進化させられるだろうとCho氏は語った。

現在、他社からも電子契約プラットフォームサービスは提供されているが、契約書のテンプレートから提供し、契約書のレビューサービス、電子署名、そして契約管理まで、これらすべてを提供しているサービスはLinkSign以外にないという。

またLinkSignは、グローバルな法律事務所の弁護士プールを抱えており、もしクライアントが新しいテンプレートを依頼したい場合や、既存のテンプレートのレビューを法律事務所に依頼したい場合は、LinkSignがグローバルな法律事務所ネットワークを通してつなぐことも可能という。

LinkSignには、もうひとつのビジネスモデルとしてSaaSモデルがある。SaaSでは、クライアントがモジュールベースで電子署名を提供したい場合は、そのニーズに基づき提供することも可能という。

リーガルITソリューションを目指すLinkSignのロードマップ

同社のロードマップでは、電子署名プラットフォームは第1ステップという。将来的には、リーガルITソリューションになること検討している。

リーガルITソリューションでは、同社のプラットフォームを使用した契約、ライフサイクル管理を提供し、eディスカバリーのサービス、さらに契約作成、レビュー支援を提供する。リーガルテックビジネスという点でも、法的な部分とテクノロジーを融合していくとした。

また、電子契約プラットフォームを利用することで、より多くのデータを収集できるため、情報を蓄積・活用しながらさらにAIプラットフォームも強化していくという。契約データを収集する際にはブロックチェーンシステムを使い、透明性を担保し、オープンにしていく。電子署名サービスは、一部無償で提供しており、より多くの人が試すことが可能という。

テクノロジーを融合させることにより、同社は、仕事でもプライベートでも法律アシスタントを提供するリーガルサービスも可能と考えているという。同社は、これを未来のAI弁護士と呼んでいるそうだ。特にクライアントのパーソナルな領域においても、法的な支援を提供していきたいと考えているそうだ。次世代の契約プラットフォームが我々のLinkSignで実現可能であるとして、Cho氏はまとめた。

クリエイターとファンをつなぐソーシャルメディア「aFan」(アファン)

続いてのセッションは、LINE Blockchain基盤を使ったクリエイターとファンをつなぐSNSおよび分散型アプリ「aFan」(アファン)。解説は、Common Computerブロックチェーンデベロッパー ソフトウェアエンジニアのLia Yoo氏。テーマは、。Ethereum(イーサリアム)からLINE Blockchainへの移行について明かした「Scaling Ethereum dApp to LINE Blockchain」。

イーサリアムからの移行例も登場、LINE Blockchain開発者向けイベントレポート 導入事例編

 

 

aFanは、最近EthereumからLINE Blockchainベースに拡張したという。今回は、aFanについて簡単に説明を行い、なぜブロックチェーンをLINE Blockchainに変更したのか、どのように変えたのか、そしてブロックチェーン上で新たに開発した機能を紹介する。

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aFanにおいてクリエイターとファンは、直接お互いをサポートしあい、共に成長できるようにしており、一般的なSNSアプリ同様、写真のアップやユーザー同士のフォロー、いいねやコメントをしあえる。

aFanの特徴は、「FANCO」(ファンコ)という暗号資産がエコシステムの中に組み込まれている点にある。クリエイターやファンは、好きな投稿に対してFANCOを贈ることができる。そのFANCOは投稿者に渡されるという。

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aFanはSNSアプリには珍しくポートフォリオ機能を搭載しており、aFanにはなくてはならないものだという。ユーザーは、ポートフォリオページにおいて、FANCOをどれだけ受け取ったのか、自分の好きなクリエイターへどれだけ贈ったかを確認できる。また、引き出し機能というものがある。ユーザーはaFanからFANCOを引き出し、自分のブロックチェーン口座に入金できる。また、FANCOをアプリに預けることもできる。

SNSのエコシステムに暗号資産を組み込むには?

当初、同社はFANCOをSNSのエコシステムの中に取り入れさえすれば、ユーザーが積極的に使うようになると考えていた。P2Pの報酬システムというものがすぐに受け入れられると思っていたという。aFanは、熱心にFANCOをクリエイターに贈り、作品をサポートし、クリエイターに対してよりよい作品を作ろうという刺激になると思っていたそうだ。

しかし開発を続けていく中で、そう簡単なものではないと気づかされたという。サービス提供者は、ただ単に報酬を与えるツールを提供するだけではなく、もっとユーザーフレンドリーにならなければならないと悟ったそうだ。

aFanの開発スタートは2年前のことで、テスト済みエコシステムを成長させられそうで、なおかつ比較的簡単に使えるブロックチェーンプロジェクトは当時少なかった。誰もがEthereumのスマートコントラクトでERC-20準拠のトークンを利用しているという状況だったという。

当時のEthereumデベロッパーコミュニティが活発だったこともあり、事例やドキュメントなども豊富で、インターネット上で簡単に探し出せた。そういった自然の流れで、FANCOはEthereumのERC-20準拠トークンとして発行・展開してきたそうだ。

同社は、ユーザーがFANCOを購入したり、交換したり、預けたり、引き出したりできるようにしたが、ユーザーの中にEthereumの仕組みを理解している人は少なく、SNSを利用していく中で、アドレスベースのシステムと取引速度の遅さに不満を持つようになったという。この仕組みを理解しているユーザーは10%未満にとどまる結果になった。

同社は、ユーザーがSNSを利用していく中で、そういったことは考えたくないのだと理解したという。そこで、ブロックチェーンをLINE Blockchainに変更した。LINE Blockchainは、多くのユーザーが慣れ親しんできたユーザーフレンドリーなプラットフォームがベースであり、またトランザクションの確認も数秒と非常に速く、ストレスがない。

LINE Blockchain導入のさらなるメリット

LINE Blockchain導入でトークンのやり取りが簡単になったことに加えて、同社はさらなるメリットとして、ユーザーに事前にトークンを送付できる点を挙げた。LINE Blockchainでは、ユーザーがBITMAX Walletについて知らなくても、またBITMAXと契約する前でも、トークンを送ることができる。

もちろんユーザーがトークンを受け取り、それを確認し、他のウォレットに送りたいのであれば、BITMAXとの契約(口座開設)は必要になる。しかし開発者側からすれば、ユーザーにトークンを渡すために、ユーザーにあらかじめウォレットの仕組みを説明し理解してもらい、使ってもらうよう説得する手間がはぶけることはメリットが非常に大きいという。

また、LINE IDをベースとするLINE Blockchainは、ユーザーがいったんBITMAX Walletに登録すると、自分のウォレット鍵が何かとか、友達のウォレット鍵が何かというようなことを考えずに、FANCOを友達に送ることができる。Yoo氏はこれが、LINE BlockchainでdAppを開発する一番のメリットと断言する。

aFanの将来について

現在、NFTとして開発中のファンカードは、クリエイターがファンのために作成できるクリエイター独自のバッジのようなものという。将来、各個別トークンがユーザーから「トークン」としては意識されない存在になると、ファンカードが独自性を持つと同社は考えている。

ファンカードは、よりパーソナルな意味合いがあり、共有したり、見せびらかしたりするようなものにしたいという。ファンカードには、クリエイター名や発行枚数、発行者、メリット、イメージ、ファンへのメッセージなどの価値を持たせることができる。同社は、これをNFTのメタデータに記録するが、これらは暗号化し、情報を圧縮し記憶する。

イーサリアムからの移行例も登場、LINE Blockchain開発者向けイベントレポート 導入事例編

メリットの事例としては、クリエイターが特別なLINEスタンプを作り、そのURLを埋め込むようなこと考えているそうだ。また、メリットは隠されており、解除条件などが設定でき、解除条件をクリアしたユーザーだけが見られる仕組みという。

クリエイターは、解除条件をファンカードに設定できる。条件としては、クリエイターに対して贈ったFANCOの数や、いいねの数、投稿コメントの数などを設定できるという。これらの条件や解除方法については、ファンカードを開発しながら、今後調整していくとした。

イーサリアム上で開発していたら、こういったことは不可能だっただろうと最後にYoo氏は語った。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:BITMAX Walletブロックチェーン(用語)LINE(企業・サービス)LINE BlockchainLINE Blockchain Developers(製品・サービス)

LINE Blockchainブロックチェーン開発者向けイベントレポート

LINE Blockchainブロックチェーン開発者向けイベントレポート

LINEは12月17日、ブロックチェーン開発者向けにオンライン(Zoomウェビナー)によるイベント「LINE Blockchain Developers Meetup #1」を開催した。

同イベントでは、ブロックチェーンに興味のある開発者や、「LINE Blockchain」(LINE Blockchain Docs)導入を検討している企業などを対象に、LINE開発者による「LINE Blockchain Developers」を使った「dApp」(ブロックチェーンアプリ)開発のデモなどが公開された。LINE Blockchainの今後の展開についても語られるなど、LINE Blockchain Developersの全貌が理解できるイベントとなったので、ここでその模様を紹介しよう。

LINE Blockchain導入事例として、dAppを開発した企業による自社サービス紹介や導入メリットの解説もあったので、別記事を参照してほしい。

オープニングセッション「LINE Blockchain概要」

オープニングセッションでは、LINEのBlockchain Engineeringチーム マネージャー 那須利将氏がLINE Blockchainの概要について解説。

LINE Blockchainは、スローガンとして「LINE Blockchain Designed for Everyone」を掲げている。その意図は、ブロックチェーン技術を我々の普段の生活に取り入れることを目指すというものだ。

LINE Blockchainブロックチェーン開発者向けイベントレポートLINEは2018年4月に「LINE Blockchain Lab」を設立し、7月にグローバル市場にて現在の暗号資産取引所「BITFRONT」の前身「BITBOX」をオープン。10月には暗号資産「LINK」をリスティング(上場)している。2019年9月には日本にて暗号資産取引所「BITMAX」をオープンし、国内においても2020年8月にLINKを上場。それと同時に「BITMAX Wallet」やLINE Blockchain Developersの提供を開始するなど、この3年間、トークンエコノミー構想実現のために、ひとつひとつブロックチェーンサービスやプロダクトをリリースしてきた。

LINE Blockchainブロックチェーン開発者向けイベントレポート

LINK(LN)はLINEが独自に発行した暗号資産。LINEサービス内において、ユーザーは貢献活動に対するインセンティブとして受け取れるなど、サービスの成長によりトークンエコノミーが拡大し、LINKの需要が増えることが期待されている。

ユーザーがインセンティブとして獲得したLINKは、様々なdAppやサービスで利用できるよう、現在LINEファミリーサービスやパートナー企業と準備を進めているという。すでにLINKは、BITMAXを通じて法定通貨に替えることも可能となり、トークンエコノミーの環境構築は準備できつつある状況にきている。

暗号資産LINKの利用を広げるためにLINEは、「LINK Rewards Program」(リンク リワード プログラム)も用意している。LINK Rewards Programは、LINEトークンエコノミーの各サービスが簡単に参加するための仕組みで、わかりやすくいうと、従来の各種ポイントサービスのように暗号資産LINKをサービス利用者に還元する仕組みとなっている。

そして、ユーザーがLINKを受け取る入り口として用意されたのがBITMAX Walletとなる。BITMAX Walletは、LINKやブロックチェーン上で発行されたデジタルアセットを管理できるウォレットサービスだ。LINE IDとひも付いており、LINEユーザーは誰でも利用でき、秘密鍵を忘れてアクセスできなくなるといったことがないよう設計されている。

BITMAX Walletは、8600万人のLINEユーザーがブロックチェーンサービスにアクセスするための入り口となる重要なサービスとなる。ちなみに暗号資産取引サービスのBITMAXとは異なるものなどで、注意が必要だ。

LINE Blockchainブロックチェーン開発者向けイベントレポート

LINE Blockchain Developersは、BITMAX Walletをユーザーのために開発したのと同様に、開発者向けに簡単にブロックチェーンに連動したサービスを開発できるように提供する開発ツールとなる。

LINE Blockchain Developersでは、APIやウェブUIを使って簡単にブロックチェーン上にトークン、NFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)を発行でき、サービスに連動できる。

また、ブロックチェーンの特徴として取引の透明化があるが、そのサービスが「LINE Blockchain Explorer」という。ユーザーやサービス内でどのようなトランザクションが発行されて、処理されているか確認できる。

これらすべてが、LINE Blockchainが提供するサービスの全貌だ。以上が、那須氏によるオープニングセッションとなる。

LINE Blockchain Developersを利用したdApp開発

続いてのセッションは、LINE Puls Blockchain Dev 1 Blockchain Developerの坂井隆一氏による「LINE Blockchain Developersを使用した簡単でスピーディーなBlockchain dApp開発」だった。

このセッションでは、トークンの設定やその発行までがすべてリアルタイムで行われた。本稿では非常に長い文章になっているが、サンプルのdApp(のコード)が用意されていたとはいえ、40分間のセッション内ですべて完了しており、ブロックチェーンサービスを簡単に開発を始められる点は指摘しておきたい。少なくともトークンの設定と発行については、エンジニアでなくとも手軽に行えることがわかった。

LINE Blockchainブロックチェーン開発者向けイベントレポート

またLINE Blockchain Developersでは、REST APIs、Console(ウェブUI)、Docsを提供している。

LINE Blockchainでは、直接ブロックチェーンにアクセスするのではなく、REST APIsを介してブロックチェーン機能が使用できるよう設計されている。エンジニアはブロックチェーンに関する詳しい知識がなくとも、REST APIsを使用することでdAppを開発できるわけだ。

ウェブUIにより操作可能なConsoleは、LINE Blockchain Developersを使ってdAppを開発する際に必要なブロックチェーンの設定を行えるツールとなっている。

さらにDocsでは、LINE Blockchainを使用するにあたり、サービスのチュートリアル、APIリファレンス、サンプルコードなどのドキュメント類が整理され用意されている。

ちなみにLINE Blockchainでは、これらのツールを使ってトークンを発行できる。このトークンは、大きく分けてサービストークンアイテムトークンの2種類が発行可能だ。サービストークンは、各サービス内の通貨という位置づけで用意されているもの(ERC-20に類似)。またアイテムトークンは、お金ではないものやアイテムをトークンとして扱う際に利用するもので、さらに代替可能なファンジブルトークンと、代替不可能なノンファンジブルトークン(NFT)に分かれている(EthereumのERC-1155規格に近い)。

デモ用dApp「LINE Blockchain Coffee」で見る開発の流れ

開発デモ用として紹介されたdApp「LINE Blockchain Coffee」は、バーチャルなオンラインコーヒーショップ。LINE Blockchainのテストネット「Cashew(カシュー) chain」上で動いくように作られている。LINE Blockchain Coffeeでは2種類のトークンを使用する。ひとつは、サービストークンのLBCC(LINE Blockchain Coffee Coin)。LBCCはサービス内で通貨として使用される。ふたつ目のトークンLBCR(LINE Blockchain Coffee Reward)はNFTとして発行し、コーヒーを購入した際のおまけとして使用するトークンとなる。

LINE Blockchainブロックチェーン開発者向けイベントレポート

LINE Blockchain Coffeeは、LINE PulsのエンジニアAlan Goo氏が開発したもので、すでにdAppのコードはAlan Goo氏のGitHubにて公開されている

セッションでのここからの解説は、LINE Blockchain CoffeeをベースとしたLINE Blockchain Developersを使ったdApp開発の手順になる。

ちなみにLINE Blockchainには、メインネットの「Daphne(ダフネ)chain」と、メインネットと同様の動作をするテストネット「Cashew(カシュー) chain」がある。まずはテスト段階のサービス開発に適した無料で提供されているCashew chainを使って開発を進め、本格的な事業やサービスを展開するにあたり、有料のメインネットを使用する流れになる。

メインネットは、その規模によって月額500ドル(約5万円)、2500ドル(約26万円)、4300ドル(約45万円)が用意されている。なお、テストネットのCashew chainは無料だが、使用するにあたり最初に申請が必要なので(1日程度で承認される)あらかじめ申請をしておくこと。Cashew chainでは、テストアカウントとして100アカウントまで登録が可能だ。

LINE Login channel

開発の際は、まずはブロックチェーンサービスのためのLINE Login channelを作ることから始めていく。

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LINE BlockchainのdApp利用者はLINEユーザーになるが、dAppはLINEユーザー向けのウォレットサービスBITMAX Walletと連携する必要がある。そのために必要になるのがLogin channelだ。

Login channelの作成にはLINEの開発者向けポータルサイト「LINE Developers」にアクセスする必要があるため、LINE Developersのアカウントが必要だ。LINE Developersアカウントは、LINEアカウントがあれば誰でも登録できる。

LINE Developersにアクセスしたら、次にConsoleで「Providers」を作成する。Providersは、GitHubのOrganizationのようなもの。プロダクト名のようなものと考えておけばよいだろう。LINE Developersでは、Providers以下にブロックチェーンサービスのためのLogin channelを作っていくので、ここで任意のProviders Nameを作成する。デモでは、Providers Nameは「LBD Meetup」とされた。

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Providersを作成したら、続いてChannelを作成する。LINE Developersでは、他のLINEアプリなども作成可能だが、ここでは「Create a Blockchain Service Channel」を選択しブロックチェーンチャネルを作成する。

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チャネルタイプはBlockchain Service、Providerは先ほどのLBD Meetupになる。ここでチャネルアイコンが登録可能だが今回のデモでは省略。続いて、チャネル名の登録になるがデモではProviderと同じ「LBD Meetup」とした。本来はチャネルディスクリプションの設定も可能だ。

次にサービスのカテゴリー、サブカテゴリーの登録となるが、今回はカテゴリーを「飲食店・レストラン」、サブカテゴリーを「カフェ・喫茶店」とした。カテゴリーは、プルダウンメニューから選択をする。

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続いてアプリタイプを指定。ここでは開発するアプリに応じて「Web app」「Mobile app」を選ぶ。ちなみに日本語版のコンソールでは「ウェブアプリ」「ネイティブアプリ」となっているので、「Mobile app」はスマートフォン向けのアプリと考えていい。ちなみにデモでは、両方選択した。

メールアドレスには、開発者のメールアドレスが入る。またオプショナルとしてプライバシーポリシー、利用規約が設定できるが、ここは用意したページのURLを任意で入力する。

以上を設定した上で、LINE公式アカウント利用規約など3種類の利用規約を確認した上で同意し、チャネルクリエイトボタンを押すと最初のステップは終了だ。

またこのチャネルは数秒程度で作成される。この後は自動でLINE Blockchain DevelopersのConsoleに移動し、次のステップとなる。

LINE Blockchain DevelopersのConsoleを通じdAppを設定

続いて、LINE Blockchain DevelopersのConsoleを通じて、ウェブUIを介しdAppの設定を行う。ここでは、ブロックチェーン上のサービスを作成し、サービス用ウォレットを作る。このウォレットは、トークン発行などdAppがブロックチェーンに対して何か操作する際に使用される。

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まずは「Create a Service」で、使用するチェーンを選択。テストネットのCashew chainを指定する。続いてサービスカテゴリーをプルダウンメニューから選ぶが、デモではCommerceとした。ターゲットカントリーは、日本、日本以外の国、または両方から選べるようになっており、今回は両方を選択した。

またLINE Blockchainは、ギャンブルへの使用を禁止しており、ここでその確認がある。ギャンブルに使用しない旨に同意し、クリエイトボタンを押す。

以上で、Create a Serviceの設定は完了し、サービスに関するAPI Key、API Secretのふたつのパラメータが作成される。これらのパラメータはdAppがLINE Blockchain DevelopersのAPIをコールする際に必要になる。

重要な点は、この後API Secretは一切表示されないことで、コピーしてどこかにメモをしておく必要がある。API Secretは、クリエイトをコンファーム(承認)する際に必要なので、大切に保管をすること。コンファームボタンを押し、API Secretを入力することで設定は終了となる。

続いて、Create a Walletの作業になる。

最初にWalletの名前を設定する。デモでは「Admin」としたものの、名前はわかりやすければ何でもかまわない。名前を設定しクリエイトボタンを押すと、Wallet Address Wallet Secretが作成される。このWallet Secretも1度しか表示されないので、しっかりとメモして保管しておくこと。コンファームボタンを押し、Wallet Secretを入力することで設定は終了となる。

ここまでで、準備は完了だ。

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サービストークンの作成(発行)

次は、Create a service tokenにてサービストークンの作成(発行)を行う。

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最初にトークンイメージが設定できるのだが、今回のデモでは割愛。次のトークン名を決めた。サービストークンの名前は、すでにLBCCに決定しているのでここではそのまま入力する。続いてトークンのシンボルを設定できるが、トークン名と同じものにした。

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続いてのInitial supplyは、発行枚数を指す。デモではいったん1000枚とした。LINE Blockchainでのトークンは、デシマル(小数点以下の桁数と考えてよい)が6桁固定になっているので、ここでの入力は1000を入力し、さらに0を6桁ぶん追加する必要がある。つまり「1」とだけ入力すると「0.000001枚」となることを意味する。

デモにおいても、実際に「1000」の入力後「000000」(6桁ぶんの「0」)を追加で入力した。しつこいようだが、「1000」という入力だけでは「0.001000枚」となってしまうので注意が必要だ。

次に、オーナーウォレットレシピエントウォレットを指定する。オーナーウォレットとは、このサービストークンを管理するウォレットだ。レシピエントウォレットは、イニシャルサプライとして生成されたトークンをどのウォレットに送るかを指定するものになる。

今回は、どちらも先に作成したウォレットadmin walletのアドレスを指定した。この指定の際に必要になるのが、先ほどメモをしたWallet Secretになる。

クリエイトボタンを押し、Wallet Secretを入力することで、これもまたわすが数秒でサービストークンが発行され、設定作業が終了となる。

画面上では、LBCCというサービストークンが発行されたことがわかる。

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続いて、アイテムトークンLBCRの発行を行う。

ここからは、画面上から該当するトークンのCreate Newを押して新たなトークンを発行していく。まずはアイテムトークンのCreate Newを選択する。

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Create an Item tokenでは、冒頭にファンジブルかノンファンジブルを選択する。LBCRはNFTで発行するので、ノンファンジブルボタンを選択する。

アイテムトークン名にはLBCRと入力。ここでもトークンイメージが設定できるが、今回は省略。サービストークンと同様にオーナーウォレットの指定が必要になるが、こちらもadmin walletを指定する。

クリエイドボタンを押し、Wallet Secretを入力することで、アイテムトークンが発行される。

以上で、トークンの設定も完了となる。画面上では、2種類のトークンが発行されたことが確認できる。

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dApp本体の開発と、dAppの起動

ConsoleによるdAppの設定が済んだら、いよいよdApp本体の開発を行っていく。ただし今回は、開発が済んでいるものとして、dAppを動作させる様子が紹介された。

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今回のdAppデモLINE Blockchain Coffeeは、バーチャルなオンラインコーヒーショップで1杯のアメリカーノコーヒーの価格が200LBCC、リワードとして1杯のアメリカーノコーヒーを買うとおまけとして1LBCRがもらえる仕様になっている。

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実際にdAppを動かすには準備が必要になる。まずdAppを起動するには、最初にパラメータを指定する。ここでは、LINE Login Channel IDやSecret、API Key、API Secret、オーナーウォレットアドレスなど、ここまで設定して得てきた情報を受け渡す(必要パラメータは画面参照のこと)。

LINE Blockchainブロックチェーン開発者向けイベントレポート2番目には、dAppがLINE Login Channelを通じたログインのコールバックを受けるためにコールバックURLをLINE Blockchain Developersに登録する。3番目にdApp上でユーザーを作り、4番目にその作ったユーザーをLINE Blockchain Developersに登録する。ユーザーを登録する作業は、テストネットのみに必要な作業になる。LINE Blockchainのテストネットではユーザー数を100人に限定しているため、登録ユーザーのみがdAppを利用できる環境になっている。5番目は、ユーザーが買い物をできるようにLBCCをユーザーのウォレットにあらかじめ送信しておく。ここまでが準備作業となる。

これで、いよいよdAppを起動することになる。デモンストレーションでは、無事にコーヒーの購入とおまけのリワードを受け取る動作を見ることができた。ここまで、40分のセッション内で実施された。

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2021年には、カスタムスマートコントラクトの導入、またBITMAX Walletのグローバルリリースを目指す

ふたたびLINEの那須利将氏が登壇し、LINE Blockchainが描く未来について語った。LINE Blockchain Developersの今後の大きな機能追加について、まず2021年にカスタムスマートコントラクトの導入、またBITMAX Walletも同じく2021年にグローバルリリースを目指していると明かした。

2021年には、カスタムスマートコントラクトの導入、またBITMAX Walletのグローバルリリースを目指す

コアとなるLINE Blockchainのメインネットでは、さらなる技術開発を進めている。スマートコントラクト用のバーチャルマシン、コンセンサスアルゴリズムの改善、プライバシー向上のためのHD Walletやミキシングなどの技術研究を行っている。これらは、ユーザーに直接影響を与えるものではないが、LINE Blockchain DevelopersおよびBITMAX Walletが一層使いやすくなるという。

カスタムスマートコントラクトは、すでにLINE Blockchain Developersにて提供しているサービストークン、ファンジブルトークン、ノンファンジブルトークンなどの機能と連動したビジネスロジックを実行したい開発者のニーズに応えるものという。新たなビジネスロジックを開発してもらい、それをLINEが用意するバーチャルマシンにデプロイし、実行可能にする環境を用意する予定。

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実行環境についてはWASMのランタイムを使用し、完全にサンドボックスとして提供していく予定とした。また、他のWASM実行環境と異なり、同社が提供する環境ではWASMのバイナリーをそのまま実行するのではなく、さらに実行するマシンコードにコンパイルし、よりパフォーマンスがよくなるよう提供していく。

カスタムスマートコントラクトは現在、開発言語としてRust(ラスト)をサポートしているが、将来的には一般的に利用されているプログラミング言語もサポートする予定という。

ちなみに、これらは今後、さらに調査を行い、より使いやすい方向になるよう調整中とのこと。

プライバシー関連の研究も進行中

また、同社はブロックチェーン業界全体の課題のひとつであるプライバシー関連の研究も進行中であることを明かした。まだPoCで研究している段階として、HD Walletという自分のアドレスを難読化させる技術と、ミキシングというトランザクションとアドレスの関係を難読化させる技術の研究を行っているという。

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HD Walletでは、自分の子アドレスを作り、それをトランザクションの発行者に使用したり、宛先に使用したりする。子アドレスは必ず親アドレスから作成されるので自分自身は子アドレスを知ることができ、周囲のものは子アドレスから誰が親なのかわからない仕組みという。それにより、トランザクションを発行すること自体は透明性を確保でき、子アドレスを使用することで使用者自身のトランザクション履歴のプライバシーを担保する。

そして、さらにミキシング技術を組み合わせることで、より難読化させていく。ミキシングは、ある程度のトランザクションを集め、各トランザクションをさらに小さなトランザクションにし、トランザクションの発行者と宛先を、アルゴリズムを用いて、ミックスする技術。ミキシングすることにより、たとえばAがBに10コインを送るという単純なトランザクションが、発行者や宛先、10コインといった量も含めて難読化される。

ちなみにここにセントラルミキシングとKYC認証を使うことで、トレーサビリティ(追跡性)を実現させる方法もあるという。この研究も行っているそうだ。

これらは、PoCであることから、まだどのようなサービスに利用されるかなどは未定であるとのこと。

LINE Blockchainに関しては、VRF(Verifiable Random Function)という疑似アルゴリズムの研究を行っているという。これらの研究は、現在LINE Blockchainはプライベートブロックチェーンで運用されているが、将来的には自分たちのネットワークだけで完結するのではなく、コンソーシアム型ブロックチェーンやパブリックチェーン型ブロックチェーンへの応用を考えた場合に必要になる技術であるとし、研究開発を進めている。

その他にも、インターオペラビリティ(相互運用)の研究、レイヤー技術の研究についても行っているという。

CBDCに対して応用が可能かを研究

また、CBDC(中央銀行デジタル通貨)についても触れた。那須氏は、CBDCについて、各国の中央銀行が何かしらのステートメントを出しており、この分野では大きく分けてふたつの研究が進んでいると指摘。ひとつは「ホールセールCBDC」で、これは金融機関間等の巨額な決済のためのCBDCにあたる。日本でいうと全銀システムになるが、これらはすでにデジタル化されており、取引が大きいため手数料もまた巨額になることも多い。これらをブロックチェーン化することでコストを大幅に削減できないか研究が行われているという。

もうひとつは「ディテールCBDC」で、一般決済CBDCとして日常の決済に使われるものとして研究されているという。那須氏は、併せて各国の取り組みなど現状のCBDCについて紹介した。LINE Blockchainのメインネットに関して、これらのCBDCに対して応用が可能かを研究しているという。

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開発者向けコミュニティの形成を目指す

今回のLINE Blockchain Developers Meetupは、開発を支援する場、情報交換ができる場として、開発者のコミュニティになればという思いで開催をしたという那須氏。今後、さらにMeetupを続け、様々なサービスの紹介やその成果について共有できる場にしていきたいという。

なぜLINE Blockchainなのかという点について同氏は、LINEのユーザーベースを基盤としたエンドユーザーに提供できることがメリットとして挙げた。また、使いやすさは、ユーザーと開発者の両者に必要な要素で、LINEはそれを目指していることも強調し、重要なポイントであるとしている。

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また那須氏は、LINEが用意したLINKリワードプログラムについて、サービスを活性化する手段として利用してもらえれば幸いであると述べた。今後は、ブロックチェーン技術が表に出ず、サービスやプロダクトが表に出るようなことになったらよいなと語った。そして、今年2020年は、ブロックチェーンサービスが普及するための土壌が作れたとし、LINE Blockchain Developers Meetupの幕は閉じた。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:BITMAX Walletブロックチェーン(用語)LINE(企業・サービス)LINE BlockchainLINE Blockchain Developers(製品・サービス)日本(国・地域)

トレードワルツと三菱商事など計5社がブロックチェーン基盤の貿易情報連携による電子化実証事業

トレードワルツと三菱商事など計5社がブロックチェーン基盤の貿易情報連携による電子化実証事業

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月20日~12月26日の情報から。

ブロックチェーン活用の貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz」を運営するトレードワルツは12月24日、三菱商事プラスチック、三菱商事、三菱UFJ銀行、東京海上日動火災保険の連携企業4社と提携し、2021年3月より三菱商事プラスチックと三菱商事のベトナム向け商流にて電子化実証を開始することを発表した。同実証事業は、経済産業省の「海外サプライチェーン多元化等支援事業」に採択されている

物流に付随する貿易業務のうち、複数の事業者や行政機関が介在する書類処理プロセスにおいては、いまだ紙媒体を利用した手作業によるデータ再入力作業、確認作業、修正などに膨大な時間とコストを要している。現在、それらがフルリモートワークを阻害する要因になっており、コロナ禍でも実務者の一部は週に数回程度、出社が必要という。

新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、出社ができない状況になった場合は貿易手続きが遅延し、サプライチェーンに影響を及ぼす可能性があることから、紙書類を電子化するニーズは大きな高まりを見せているそうだ。

日本政府もまた国内サプライチェーンの脆弱性が顕在化したことから、特にアジア地域における生産の多元化やデジタル化などによってサプライチェーンを強靭化するため、日ASEAN経済産業協力関係の強化を目的とする「海外サプライチェーン多元化等支援事業」における補助事業者を募集している。

ブロックチェーン技術の活用により、貿易業務を一元的に管理する「TradeWaltz」は、輸出系の標準書類の電子化実装を完了した。今回、そのうちの一部機能である「信用状(L/C)」受領機能から連携企業4社とシステム間連携し、3月より実商流を用いた実証を行う。信用状とは、貿易決済を円滑に運ぶ手段として銀行が発行する支払い確約書で、銀行が輸入者の支払いを保証するものという。

従来の貿易業務では、銀行が手形の買取りの前提として船積書類の内容が信用状に記載された内容と一致しているかの調査を行うなど、書類と現状を突き合わせる煩雑な作業がある。TradeWaltzによる今回の実証では、それらをすべてシステム統合し、システム上でチェックできる仕組みを目指すとした。

同実証事業は、経産省の令和二年度補正予算で措置された「海外サプライチェーン多元化等支援事業」(事務局JETRO)が募集するサプライチェーン強靭化施策の目的とも合致したことから第2回公募に応募、11月に採択が決定した。

TradeWaltzは、すべての海外国の信用状(L/C)を扱うことが可能だが、採択支援事業においては、ベトナム社会主義共和国を対象国とした。ベトナムは2020年のASEAN議長国であり、対日貿易額が約400億米ドルにのぼるなど、ASEANの中でも日本にとって重要な貿易相手国のひとつでもあることから、今回はベトナム企業との商流にて実証を行うとしている。

海外サプライチェーン多元化等支援事業は、「類型1(製品開発型)」および「類型2(バリューチェーン高度化型)」の2類型について、それぞれ実証事業および事業実施可能性調査の募集を行っている。すでに3回の公募が実施された。同社が採択された実証事業は、類型2で製品などの国境を越えた流通や生産プロセスの効率化、円滑化を図るシステムの導入に向けた実証事業等を対象としている。

トレードワルツと先行する連携企業4社は、ベトナムでの実証をはじめ引き続き連携し、ASEAN各国などの貿易業務の電子化にも貢献していく。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:サプライチェーン(用語)トレードワルツブロックチェーン(用語)ベトナム(国・地域)日本(国・地域)

Socios.comがプロスポーツを暗号資産で支援するcanowと提携、日本と東南アジアで推進

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暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月13日~12月19日の情報から。

トークン活用のデジタルマーケティング事業を展開するcanowは12月17日、ブロックチェーン基盤のファンエンゲージメントプラットフォームSocios.comとの業務提携を発表した

canowは、デジタルマーケティングパートナーとして、Socios.com提供のブロックチェーン基盤プラットフォームを日本および東南アジアにおいて推進。スポーツクラブと提携し、ファンの応援をチームへ届けるファンエンゲージメントを活用する機能を提供する。

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Socios.comのユーザー(ファン)は、ファントークンを使用して、スポーツクラブの決定事項を確定する投票に参加できる。また、ファントークンを所有することで、独自の報酬を受け取れるという。クラブサイドは、Socios.comを導入することで、新たな収益の拡大や、ファンとの強い絆を得られるなど、双方にメリットがあるとした。

今回canowは、Socios.comのアジア初のパートナーとして提携。日本におけるスポーツ・エンタテイメント分野で、ファントークンの浸透・活用を共同で推進していく。プロスポーツクラブやエンタテイメント分野での新しい収益源の創出、ファンとの新しいコミュニケーション手段として、エンゲージメント向上に寄与するという。

Socios.comのファントークンは、提携スポーツクラブごとにアレンジした暗号資産で、これまでユベントス、FCバルセロナ、パリ・サンジェルマンなどを含む、世界18の主要スポーツクラブがファントークンを立ち上げるためにSocios.comと提携している。

スポーツクラブは、Socios.comが提供するファントークンオファリング(FTO)というサービスを利用しトークンを発行。この発行はSocios.comが代行しており、ファンに向けてトークンを販売し出資を募る体裁を採用している。ファンは、Socios.com提供のアプリを通じて、トークンを用いたファン投票などのサービスを利用する。

Socios.comは、暗号資産Chiliz(CHZ)を基軸通貨としたブロックチェーンを活用し、CHZ-20準拠ファントークンを発行してきたが、先だってChilizがBinanceとの新戦略的提携を締結したことにより、ファントークンをBinance Smart Chain(BSC)基盤のBSC-20準拠トークンに移行することも発表している。BSCとの統合により、将来的には即時支払い、プリペイドギフトカード、デジタルサービスのためのマイクロトランザクションなどのサービスが提供できるようになるなど、ファンエンゲージメントプラットフォームのさらなる展開が進みつつある。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:canowスポーツ(用語)Socios.com日本(国・地域)

The Sandboxがイーサリアム基盤のデジタル不動産オークションによりユニセフ暗号資産ファンドに寄付

The Sandboxがイーサリアム基盤のデジタル不動産オークションによりユニセフ暗号資産ファンドに寄付

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月13日~12月19日の情報から。

中国・香港拠点のゲーム開発会社「Animoca Brands」(アニモカブランド)は12月18日、ブロックチェーンゲームプラットフォーム「The Sandbox」において、NFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)にあたるデジタル不動産を販売するチャリティーオークションを開催した

収益は、UNICEF(ユニセフ。国連児童基金)暗号資産ファンド(UNICEF CryptoFund)に寄付され、UNICEF Innovation Fundを介し子どもや若者に影響する可能性があるオープンソース技術・デジタル公共財への資金提供に使用される。

チャリティーオークションは、12月18日午後10時(日本時間)より3日間開催。The SandboxのユーティリティトークンSANDのみの入札に限定されており、最終的に70万SAND相当のデジタル不動産が落札された。落札時点のSAND相場価格で換算すると、落札価格は約3万2373米ドル(334万円相当)になる。

The Sandboxは、ブロックチェーン基盤のメタバース(仮想空間)にあたる、コミュニティ主導型ゲームおよびゲーム作成プラットフォーム。すでに過去に仮想空間内のLANDを販売する複数回のプリセールが行われており、The SandboxのLANDは人気のNFTとなっている。今回のチャリティーオークションでは、Animoca BrandsがNFTマーケットプレイス「OpenSea」(オープンシー)と提携し、12×12(144個)のLANDで構成されたエステート(土地)と呼ばれる区域を出品した。土地はThe Sandboxの中心にあたる人気かつ需要の高いロケーションが出品された。

オープンソース技術とデジタル公共財の開発を支援する、UNICEFの暗号資産ファンドおよびイノベーションファンド

今回のチャリティーオークションの収益はすべて、UNICEFの暗号資産ファンドに寄付され、UNICEF Innovation Fundを介して世界中の子どもや若者に影響する可能性があるオープンソース技術やデジタル公共財への資金提供に使用されるという。

UNICEFは暗号資産ファンドを2019年に設立。この2020年6月などにも新興国のテクノロジー企業に法定通貨と暗号資産による投資を実施しているものの、ブロックチェーン技術を基盤としたNFTを慈善事業に活用するのは今回が初の試みという。

UNICEF フランスのエグゼクティブディレクターSebastien Lyon氏は「UNICEFは暗号資産ファンドを持つ最初の国連機関であり、最先端の技術を活用し、慈善事業に役立てています。Animoca Brandsのようなパートナーと、世界中の子どもたちの生活を向上させる手段として、オープンソースで革新的なソリューションを生み出す暗号資産を利用できることを誇りに思っています」と語っている。

The Sandboxとデジタル不動産「LAND」

The SandboxのユーティリティトークンSANDは、Ethereum(イーサリアム)ブロックチェーン上で発行されたERC-20準拠トークンで、メタバースにて利用できる主要トークンとなる。暗号資産取引所BinanceのIEOプラットフォームBinance Launchpadを通じ、300万ドル(約3億1700万円)相当のSANDが販売され、すでに上場も果たしている。

これらによりThe Sandboxユーザー(コンテンツ制作者)は、アセットを使用しゲームを作ったり、他人の作ったゲームをプレイしたりできる(ゲーム体験)。また、所有する土地(LAND)やキャラクター、アイテムなどデジタルアセットについても、NFTとしてマーケットプレイスにて売買可能(収益化可能)となっている。

LANDは、Ethereum上で発行されたNFT(ERC-721)。The Sandboxにおけるデジタル不動産であり、プレイヤーはその上にエクスペリエンス(デジタルアセット)を構築するために購入できる。発行上限が16万6464LANDと決まっており、すでに多くのLANDがプレセールによって販売済みになっている。

より早くプレセールに参加してLAND所有権を得たユーザーは、The Sandbox内の限られたLANDの中でも人気のロケーションを確保可能。LAND所有者は、The Sandboxでゲームプレイに参加できるほか、自分のLANDにおいて他のプレイヤーに対して独自のゲーム体験を提供できる主催者になれる。さらに、LANDの一部を他のプレイヤーにレンタルをしてSANDを稼ぐことも可能という。

また、メタバースガバナンスに参加できるといった様々な権利を得られるほか、それら権利をNFTマーケットプレイスなどで売買できる。

プレシーズン0のリリース予定を変更、具体的な開始日を2021年1月に発表予定

なお、The Sandboxは現在開発中で年内にローンチ予定だったが、公式ブログにおいてプレシーズン0のリリースを2021年の初めに行うと、予定を変更した。具体的な開始日は、2021年1月に発表するという。

現在、The Sandboxはプラットフォームの一部として3Dボクセル(ブロック)アセットを作成できる「VoxEdit BETA」と、VoxEditで作成されたゲーム内アセットを取引できる分散型マーケットプレイスを公開。メタバース内で3Dゲームを作成できるビジュアルスクリプトツールボックスGame Makerのアルファ版も提供している。

プレシーズン0へのアクセスは、LAND所有者のみの限定公開となる。開始タイミングは事前登録をすることでメール通知を受けることができ、事前登録をしたLAND所有者に対して、順次アクセスを可能にしていくという。

プレシーズン0では15日間のイベントが開催され、プレイヤーは$SAND賞品のほか、NFTを含むその他の限定賞品を獲得できる。

また、ソーシャルハブ、派閥レベル、ギャラリーやGame Makerファンドで制作された「UGCゲーム」40以上が公開され、プラットフォーム制作、戦闘、謎解き、調査、探検、タイムアタック、収集など、ゲーム性を持った体験もプレイ可能という。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Animoca BrandsNFT(Non Fungible Token)オープンソース / Open Source(用語)The Sandboxブロックチェーン(用語)メタバースUNICEFUNICEF Innovation FundUNICEF CryptoFund中国(国・地域)

digglueが大林組推進の建設業界におけるブロックチェーン活用実証実験を支援

digglueが大林組推進の建設業界におけるブロックチェーン活用実証実験を支援

ブロックチェーンやAI、IoTを活用したDXを支援するdigglueは12月24日、大林組の建設現場で利用しているコンクリート受入管理システムの検査データを、ブロックチェーン上に記録するシステム(検査履歴管理システム)を開発したと発表した。同取り組みは、大林組が推進する建設業界でのブロックチェーン活用に向けた実証実験のひとつとして位置づけている。

近年、安全意識や環境意識の向上に伴い、他産業でトレーサビリティの取り組みが増えるなか、建設業では施工プロセスのさらなる透明性の確保が課題となっているという。大林組では、今までも改ざんを防止・検知する機能をコンクリート受入検査システムに実装していたものの、システムの脆弱性を突かれ外部からの攻撃によりデータを改ざんされるリスクがあった。そのため、新たにブロックチェーンの仕組みを利用し、建設現場での検査データの信ぴょう性をさらに高める取り組みに着手したとしている。

今回開発した検査履歴管理システムでは、建設現場のコンクリートを受け入れる際に、コンクリート受入検査システムの測定値や写真などの検査データを記録するとともに、検査履歴管理システムのデータベースへのアップロードを行う。この時同時に、データのハッシュ値をブロックチェーンに書き込みも実施する。

digglueが大林組推進の建設業界におけるブロックチェーン活用実証実験を支援

ここで、コンクリート受入検査システムのデータから再作成したハッシュ値とブロックチェーン上のハッシュ値を突合し、一致すれば改ざんがないことを証明できることになる。

一方、一致しなかった場合には、検査履歴管理システム上に記録された変更履歴とブロックチェーン上のハッシュ値を照らし合わせることで、改ざんが発生したタイミングを追跡することが可能となり、検査履歴の透明性の向上が期待できる。

検査履歴管理システム画面イメージ(信ぴょう性確認時)

検査履歴管理システム画面イメージ(信ぴょう性確認時)

今回の実証実験では、コンクリート受入検査システムを対象とした検査履歴管理システムの有効性が確認され、今後は建設現場内の様々なシステムのブロックチェーンとの連携も検討していくという。

また建設業界のブロックチェーン活用は、品質検査以外にも、複数社間をまたいだ取引情報のデジタル化に対しても期待できるとしている。digglueでは、同システム開発と並行し、大林組による、協力会社との取引における納品や返却などの情報の共有化・突合作業の簡素化など、現場業務の平準化を目指したブロックチェーンの活用検討も支援。今後も建設業界のデジタル化や業務変革をさらに進める取り組みを推進していく。

digglueは、「価値を発掘し、障壁を無くす」をミッションに、主に製造業に対して、ブロックチェーンやAI、IoTを活用したDXを支援。コンサルティングやシステム開発をはじめ、ブロックチェーンの活用事例やBaaS(Blockchain as a Service)の選び方を発信するメディア「BaaS info!!」を運営。ブロックチェーンの基本を学びたい方を対象にした無料のオンライン学習サービス「EnterChain」も提供している。

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Bitcoinが2万ドル超えの史上最高値を更新中

2020年11月30日(The New York Times記事)と2020年12月1日に過去の最高値を更新したBitcoin(ビットコイン)は、現在2万ドル(約206万9000円)を大きく超えて取引されており、前回の最高値を突破している。

ビットコインの価値はこの2カ月で急速に上昇した。CoinMarketCapによると、10月16日に1万1500ドル(約119万円)で1ビットコインを購入できた。

この記事を書いている現在、1ビットコインは2万775.72ドル(約214万9040.48円)で購入できる。これは米国時間12月15日の価格と比べて、7.27%上昇している。現在、1ビットコインはすべての主要な取引所で2万ドル以上の価格が付けられている。

2017年のビットコイン騒動を覚えている人もいるかも知れない。当時、ビットコインは2万ドルに届きそうになり、その直後に暴落した。いつものように、現在ビットコインが上昇しているからといって、今後も上昇するとは限らない。

しかし今回の上昇はビットコインに関する誇大広告があまりないことから、少し様子が違っているようだ。長期的な経済危機に突入する中、一部の機関投資家は代替資産を探しており、ビットコインもその1つだ。中には、暗号資産を長期間保有することを選択する人もいるだろう。

それでもSquareのCash App、Robinhood、Revolutといった、消費者向けフィンテックアプリでビットコインのほんの一部を購入した新規のビットコイン投資家はたくさんがいる。今後数カ月で市場がどのように変化するのかを見守ろう。

【Japan編集部】CoinMarketCapによれば、日本時間12月17日午前7時すぎ時点で、2万1253.91ドル(219万9354.61円)となっておりさらに上昇している。

画像クレジット:CoinMarketCap

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

不動産投資クラウドファンディング「大家.com」がSTOスキーム導入、運用期間中でも出資持分を譲渡可能

不動産投資クラウドファンディング「大家.com」がSTOスキーム導入、運用期間中でも出資持分を譲渡可能

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月6日~12月12日の情報から。

不動産や商業施設建築事業のグローベルス(旧社名:キーノート)は12月11日、同社運営の不動産投資型クラウドファンディング「大家.com」の第1号案件「Foresight南麻布」において、STO(Security Token Offering)スキームを導入すると発表した

これまで不動産事業や多種多様な商業施設のデザイン・設計・施工を行ってきたグローベルスは、「不動産特定共同事業法に基づくクラウドファンディング事業」を定款に追加し、8月4日付けで東京都知事より不動産特定共同事業の許可を取得。オンラインで手軽に不動産投資を行える不動産投資型クラウドファンディングサービスサイト大家.comを展開している。

従来の不動産投資は投資の最小金額の規模が大きく、最低でも数千万円超の投資額となってしまうことが課題だったが、大家.comは少額投資(1口1万円)を可能にし、誰でも気軽に「大家さん」になれるサービスとなっている。また当初のスキームでは、一度出資すると運用期間中は出資金がロックされてしまうため、運用期間終了まで出資持分を保有し続けなければならなかったが、不動産特定共同事業者向けSTOスキームでは、運用期間中であっても出資持分を譲渡することが可能となり、投資家の資金流動性リスクの軽減につながるという。

今回、大家.comに導入されたのは、LIFULLおよびSecuritize Japanが提供する不動産特定共同事業者向けのSTOスキームとなる。

不動産特定共同事業者向けSTOスキームを利用するには

不動産特定共同事業者向けSTOスキームを利用するには、投資家は大家.comに投資家登録をし、対象案件の成立前書面の確認を行う必要がある。大家.comにて出資した投資家は、出資持分の譲渡を希望する際は、グローベルスにセキュリティートークンの発行を依頼する。セキュリティートークンが発行された出資者は、ブロックチェーン上で持分の譲渡が可能となる(2021年3月下旬予定)。また、出資持分を譲り受ける第三者もまた、大家.comへの投資家登録、対象案件の成立前書面確認が必要となっている。

ちなみに、ここで発行されるセキュリティートークンは、不動産特定共同事業法第2条第4項に定める不動産特定共同事業(1号事業)にもとづく出資持分を表象したものであり、金融商品取引業等に関する内閣府令第1条4項17号に規定される電子記録移転有価証券表示権利等に該当するものではない(金商法第2条2項5号に定める有価証券から除外されている)。

大家.comの第1号案件「Foresight南麻布」では、12月14日(予定)より投資申込を開始し匿名組合出資持分を表象するセキュリティートークンの発行を受けることが可能になる。出資者は案件運用開始後、LIFULLおよびSecuritizeが提供するプラットフォーム上でのセキュリティートークン譲渡により、第三者への出資持分の譲渡が可能になる。

ちなみにForesight南麻布案件は、グローベルスが所有する港区南麻布に所在する収益ビルとなる。1992年3月築の建物で、2012年にグローベルスが取得。その後、エントランスの改修工事や各階の設備の更新・交換工事を行うことで、2020年12月現在は満室稼働となっているという。建物の管理・運営・入居者などの問合せ対応はグローベルスが行っている(一部外部委託)。

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アップル共同創業者ウォズニアック氏がエネルギー効率化投資を支援するブロックチェーン基盤サービス開始

アップル共同創業者ウォズニアック氏がエネルギー効率化投資を支援するブロックチェーン基盤サービス開始

Apple(アップル)の共同創業者であるSteve Wozniak(スティーブ・ウォズニアック)氏は、マルタ島において新会社EFFORCE(エフォース)を共同設立し、エネルギー効率化プロジェクトへの投資に特化したブロックチェーン基盤プラットフォーム「EFFORCE」を開始した。

アップル共同創業者ウォズニアック氏がエネルギー効率化投資を支援するブロックチェーン基盤サービス開始
EFFORCEは、ブロックチェーンと暗号資産(仮想通貨)WOZXを活用したウェブプラットフォームを介して、投資家が世界中のエネルギー効率化プロジェクトに対して投資・支援できるサービス。

同社は12月3日、WOZXが暗号資産取引所HBTC.COMに上場をはたし、上場後わずか13分でその時価総額を上場価格の10倍となる9億5000万ドル(988億円相当)に達したことを発表した。また、新たに12月7日にも取引所Bithumb GlobalでWOZXが上場をはたしたことを報告している。ちなみに両取引所におけるWOZXの取引は、いずれもステーブルコインUSDTでのみ売買可能。

企業がコストをかけずにエネルギー効率化対策に取り組めるようにする

EFFORCEは、企業がコストをかけずにエネルギー効率化対策に取り組めるようにし、その節約により生まれた流動性をより他の重要な業務に投資できるようにする。EFFORCEによって、エネルギー効率化市場は、小規模な個人投資家から大規模な投資機関まで国境を問わず参加可能となるという。投資家は、WOZXトークンにより譲渡可能になったエネルギー節約分を収益化できるとしている。

同社によると、エネルギー効率化対策における事業は、金融や規制上の課題が複雑に絡み合い資金調達が難しいことが課題となっており、経済成長のブレーキになっているという。

Wozniak氏がAppleを立ち上げた当初の目標は、より小さくて効率の良い機械(コンピューター)を作り、誰もが手に入れられるようにすることだったという。Wozniak氏はEFFORCEへの参加を通じて、引き続き効率性に焦点をあてて、エネルギー改善へのビジネスアクセスを広げ、エネルギー効率化投資への一般の参加を拡大させることを目標とするそうだ。

「世界のエネルギー消費量とCO2排出量は指数関数的に増加し、気候変動と環境への深刻な影響をもたらしている。私たちは習慣を変えることなく、エネルギー使用量を改善し、エネルギー消費量を減らせる。より多くのエネルギーを改善するだけで環境を救える」とWozniak氏。「私たちは、世界中のエネルギー効率化プロジェクトに誰もが参加し、資金的な利益を得るとともに、有意義な環境変化を生み出せる最初の分散型プラットフォームを目指し、EFFORCEを立ち上げた」と語っている。

エネルギー効率化対策に立ち向かう多くの中小企業は苦戦する中、EFFORCEのプロジェクトリーダーで共同設立者のJacopo Visetti氏は「EFFORCEを利用することで、事業主はエネルギー改善プロジェクトをウェブ上で安全に登録し、世界中の投資家から資金を確保できる。そうすることで、事業主はインフラ整備や雇用など、他の重要なプロジェクトに使える資金を増やせる」と発言している。

EFFORCEにより、資金調達やプロジェクトの実施プロセスを合理化

現在、エネルギー効率化プロジェクトの市場規模は、2500億ドル(26兆円相当)という驚異的な規模に達しているという。市場は民間企業が貢献しているだけでなく、様々な政府もエネルギー効率化に向け多額の投資・資金提供を行っている。しかし、国際エネルギー機関(IEA)の「効率的な世界シナリオ」の達成には、このセクターの投資規模を2025年までに2倍以上の5800億ドル(60兆円相当)に拡大させる必要があるという。

その実現において、エネルギーサービス企業(ESCO)と呼ばれる投資家グループは、エネルギー効率改善に向け多額の資金を用意する必要があるものの、従来の銀行チャネルに頼ることができないケースが少なくないという。銀行には、投資収益率を適切に評価する技術的な専門知識が不足しているためだ。

対照的に、EFFORCEのプラットフォームは市場を民主化し、それを補っていく。EFFORCEを使用することで、資金調達やプロジェクトの実施プロセスを合理化する。ESCO企業は、エネルギー効率化を目的としたプロジェクトをEFFORCEに登録し、それをEFFORCEチームが検証していく。

投資の必要性評価、予想されるリターンの計算など記載したエネルギー性能契約書(EPC)の作成

EFFORCEは、投資の必要性の評価、予想されるリターンの計算、企業と投資家のための節約量とリターンの期間を詳細に記載したエネルギー性能契約書(EPC)の作成など、企業と共にプロジェクトを開発する。その後に、プラットフォームは、クラウドファンディングに向けてプロジェクトをリストアップする。プラットフォームの参加者は、WOZXを使ってプロジェクトを購入できる。

EFFORCEは、ブロックチェーンに接続されたスマートメーターを通じて、これらのプロジェクトの省エネ性能を測定する。節約によって蓄積されたデータは、投資家が使用または販売できる投資家節約エネルギークレジットとしてプロフィールに利益として分配される仕組みを備えるという。

なお、EFFORCEについては同社よりホワイトペーパーが公開されている。詳細については、そちらを参照されたし。

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