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まず、投資の話から始めよう。
今週の投資案件
いろいろあったが、今週目立つのは新しいSPAC(特別買収目的会社)だ。ご存知のように、またSPACがやってくる。SPACの合併の発表の中には、実績のない若い企業が懸命に資本を求めるといったケースもあるが、今週のものは違う。
Volkswagen Groupが支援する固体電池企業のQuantumScapeが、特別買収目的会社であるKensington Capital Acquisition Corp.との合併に合意した。この合併によりQuantumScapeの事後の市場価値は33億ドル(約3500億円)になる。
QuantumScapeは、若いスタートアップではない。おおよそ10年前に創業し、早くからKleiner PerkinsやKhosla Venturesといった高名な投資家の関心を集めていた。Volkswagenが登場するのは2012年で、2020年の2億ドル(約212億円)を含めQuantumScapeに対して総額で300億ドル(約3兆1800億円)を投資している。
QuantumScapeには、電気自動車用の全固体電池を商業化するという資本集約的な目標がある。全固体電池は固体の電解質を使用し、リチウムイオン電池に見られる液状ないしジェル状の電解質を使わない。開発者たちによると、固体の電解質はエネルギー密度が大きく、軽量小型の電池でも航続距離を伸ばすことができる。また固体電解質は熱管理がしやすくて火災の危険が少ないため、今日のEVに見られる冷却システムを必要としない。
今週の(やや少なかった)そのほかの投資案件
Geely Automobile Holdingsは上海の公開株市場STAR Marketで200億元(約3100億円)を調達する計画だ。その資金は自動車の新しい車種と技術に投じられるとロイターは報じている。
インドのフードデリバリースタートアップであるZomatoが、Temasekから6200万ドル(約65億7000まねん)を調達し、2020年1月に完了する予定だった資金調達を再開した。シンガポールの国営投資企業であるTemasekは同社の子会社MacRitchie Investmentsからその投資を行ったと申請文書で述べられている。
関連記事:
・VWが支援する全固体電池開発のQuantumScapeが特別買収目的会社経由で上場へ
・インドのフードデリバリーのZomatoがシンガポールの国家投資部門から65.9億円を調達
今週の自動運転企業:Yandex
自動運技術となると米国の企業に話になりがちだが、他の国・地域の話題もある。ロシアの上場企業であるYandexは、検索サービスからスタートしたテクノロジー大手だが、同社も米国以外の自動運転車企業の1つだ。
Yandexには米国のGoogle(グーグル)と同じく、さまざまな分野に手を出してきた結果の1つとして自動運転車技術がある。2020年1月にラスベガスで開催されたCESで、運転席に人がいない自動運転車の公道デモに乗ったことがある。デモは技術上の問題を隠して行われることも多いため、私はいつも半疑って見ているがYandexのそれは違った。その車両は、積極果敢な運転で自信に満ちた走り方をした。路上に停まっているバスを避け、左折も駐車場への停車もできた。Yandex提供のこのGIF画像はモスクワ市内のものだ。
このような話をしたのは、今週、Yandexがその自動運転車部門をMLU BVからスピンアウトすると発表したからだ。MLU BVはライドシェアとフードデリバリーのジョイントベンチャーで、Uberとの共同経営だった。2019年は、YandexとUberがMLUのIPOを計画している、と報じられた(Bloomberg記事)。その際の評価額は77億ドル(約8160億円)とされている。
このスピンアウトの一環としてYandexは、その事業に1億5000万ドル(約159億円)を投資する。1億ドル(約106億円)が株式、5000万ドル(約53億円)が転換社債だ。この過程でYandexはUberの株の一部を買い取るため、スピンアウトした事業の73%を手に入れ、Uberが19%を持つ。残り8%はYandexの自動運転グループの役員と社員が手にする。Yandexによると同社はこれまでに、およそ6500万ドル(約69億円)をこの事業に投資してきたという。
TechCrunchのエディターであるIngrid Lunden(イングリッド・ランデン)が彼女の記事で述べているように、スピンアウトによってこの部門の経済性とMLU部門のコストベースが改善される。しかしYandexによると、スピンアウトは自動運転への投資をさらに本格的にするために行なった、という。
関連記事:ロシアYandexがUberとのJVから自動運転事業をスピンアウト、159億円を新会社に投資
電気自動車の関連技術
電気自動車そのものではないが、関連技術であるアプリの話題もあった。
アプリといえば、これまでにもいろいろなものが登場している。Teslaの人気に刺激されたもので、ドライバーがルートを調べたりするものが多く、ほとんどのアプリにソーシャルな機能がある。Tezlabは以前、TechCrunchでも採り上げたことがある。
今回ご紹介したいのは、Nikolaだ。このアプリはDavid Hodge(デビッド・ホッジ)氏のホビープロジェクトとして2018年にローンチした。ホsジ氏は公共交通機関のためのアプリEmbarkを制作し、Apple(アップル)が2013年に彼の会社ごと買収した。数年間、同社にいたホッジ氏は、その後Stripeへ移った。しかし、このアプリ「Nikola」で彼はまた独立している。
今週、ホッジ氏はNikola 2.0をローンチした。2.0は会員制のアプリで、TeslaのオーナーにTesla車の状態をモニタリングする。今後はTesla車以外にも拡張する予定だという。
画像クレジット:Nikola
現在、アプリはiOS版のみで、ユーザーにバッテリー残量や効率、エネルギー消費量、最高速度と平均速度、毎週の電力漏れ、運転と充電の履歴などを教えてくれる。データは税金や経費といったレポートでそのまま使える。バッテリー残量はApple WatchのNikolaコンプリケーションでもチェックすることができ、Nikola Fleet Statsで他のTeslaドライバーと比較することも可能だ。
Nikolaレポートと呼ばれる機能も興味深い。これはEVのオーナーが車を買いそうな人たちと共有するCarfaxレポートに似ている。このNikolaレポートのデータ収集は、始まったばかりだ。
関連記事:TezLabアプリはテスラ車のためのFitbitだ
そのほかの注目ニュース
ついに、今回のニュースレターも最終第4コーナーに入った。
Bay Area Rapid TransitことBARTは、個人用吊革を販売している。電車の中などで、どこにも触りたくない人はバーに簡単に取り付けることができる。
GMとFordはどちらも、政府と約束した人工呼吸器の総額数百万ドル(数億円)の契約を完了し、合わせて8万台を納品した。
GMと本田技研工業は、自動車の生産で北米地区における法的拘束力のない提携を結んだ(Detroit Fee Press記事)。これにより、長年協力関係にあった両社が生産の一部を共有する。特に両社は自動車の車両プラットフォームを共有し、それらの車は各自のブランドで販売される。また部品や資材の購入、研究開発、インターネット接続サービスでも協力する。
自動運転トラックのIkeは、今週ビッグニュースがあった。RyderとDHLとNFIがIkeを、彼らの自動運転技術のプロバイダーとして選んだのだ。規模を発表していない企業もあるが、3社合わせて、Ikeの技術によるトラックの最初の1000台を予約した。
Ikeの共同創業者でチーフエンジニアのNancy Sun(ナンシー・サン)氏が、10月6日と7日のTC Sessions: Mobility 2020のバーチャルステージに登壇する。サン氏の話をまだ聴いたことのない人は、きっと感動するだろう。イベントはかなり大きなものになり、まだご案内していない登壇者も多い。
Lucid Motorsは米国時間9月9日にLucid Airを披露する予定だが、そのラグジュアリーな電動車の情報を今も小出しにしている。今回のLucidの発表は、Airのクォーターマイル9.9秒説だ。Tesla Model Sより速く、現在、市場にあるほとんどの一般市販車よりも速い。
走行距離制の自動車保険を提供するMetromileによると、同社はFord Motorと提携して(Business Wire記事)、インターネット接続可能な車種のオーナーには個人化された自動車保険が提供される。
Teslaは多くの予想に反してS&P 500社にはならなかったが、ファンは米国時間9月4日にTwitter上で、EtsyやTeradyneやCatalanがS&P 500社に選ばれたことを嘆いた。
Torc Roboticsと親会社のDaimler Trucksは、自動運転トラックの合同公道試験を2020年9月にニューメキシコで延長し、アルバカーキ地区にテストセンターを作る計画である、と発表した。
米国政府は、国のどこでいつ誰が自動運転車をテストしているかを多くの人がわかるようにするオンラインツールを公開した。ツールの公式名はAutomated Vehicle Transparency and Engagement for Safe Testing Initiative tracking tool(安全な試験計画のための自動運転車の透明性および社会性追跡ツール)だ。単純明快なツールだが、情報提供は企業の自由意志であるため完全なツールではない。この国の自動運転車技術に関する情報が1カ所ですべてわかるような、充実したツールに成長して欲しい。
電動自転車のVanMoofが、米国内で3つ目となる店舗をシアトルにオープンする。店舗が増えるということは、同社が好調であることだ。VanMoofの米国における電動自転車の売上は、2020年3月以降前年比で85%も増えている。
Volkswagenが、近く発売される全電動のコンパクトSUVであるID.4の画像をちょい見せした。それは、最新のテクノロジーの世界と、昔ながらのトグル(切り換えスイッチ)やボタンの世界の両者を、うまく均衡させた設計かもしれない。これがEVの世界における「3匹のくま」になるのか?9月末にはわかるだろう。
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・VWのオール電化車ID.4は室内照明を使ってドライバーとのコミュニケーションを図る
カテゴリー:モビリティ
タグ:SPAC Volkswagen Group QuantumScape 自動運転 Yandex Tesla
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)