Lyftが自動運転プログラムを加速、2019年の加州での走行距離は6.9万km

1年前、Lyft(リフト)は米国カリフォルニア州の車両管理局(DMV)に、2018年の自律走行車両テスト活動について1つの短い段落にまとめたレポートを提出した。

「Lyftはレポート対象期間中、カリフォルニアの公道で自律走行モードで車両を走らせていない」と書かれている。「よって、報告すべき自律走行モードオフ事案もない」とした。

しかし2019年のデータでは状況は異なる。今週初めにカリフォルニア州DMVが明らかにしたデータによると、Lyftは2019年にカリフォルニアの公道で自律走行車両19台を使ってテストを行った。レポート対象期間の2018年12月から2019年11月にかけて、19台は自律走行モードで4万3000マイル(約6万9200km)を走行した。

レポートは、Lyftがレベル5として知られる自動運転車両プログラムを加速させようとしていることを示す最新のサインだ。

州内の公道での自律走行車両テストを管轄するカリフォルニア州DMVは、自律走行車両の台数や総走行距離などのデータを含む年次レポートの提出を企業に求めている。そして「自律走行オフ」の報告も求めている。自律走行オフは自動運転車両が技術の不具合により、もしくはセーフティー・ドライバーが安全上の理由からマニュアル操作を行った時に自律走行モードをやめることを指す。

Lyftの自律走行距離は、83万1000マイル(約134万キロ)走ったCruise、145万マイル(約233万km)走ったWaymoのようなすでに確立した存在のAVデベロッパーには遠くおよばない。また、2019年に公道で自律走行テストを行った36社の総距離において微々たるものだ。

自律走行車両が走行した総距離は2019年に前年比40%増の287万マイル(約460万km)となった。BaiduやCruise、Pony.ai、Waymo、Zooxが大幅に距離を伸ばしたことによるところが大きい。テストの許可を取得した企業の数は2019年に60社に増え、うち58%の企業が実際に公道でテストを実施した。2918年にテスト許可を持っていた企業は48社で、テストを実施したのは62%だった。

LyftはAptivのような自動運転車両の開発会社と提携する以上の取り組みを行っていることをレポートは示している。LyftとAptivは2018年1月にラスベガスでロボタクシーパイロット事業を立ち上げた。LyftのライドシェアネットワークにAptivの車両が組み込まれているこのプログラムでは今月10万回超の乗車があった。常にセーフティドライバーが運転席に乗り込んでいて、駐車場やホテルのロビーエリアでは自動運転は行わない。

Lyftのレベル5プログラムは2017年7月に立ち上げられた。レベル5というのはSAE(米自動車技術協会)が定めている基準で、あらゆる状況で自動走行が可能であることを指す。現在Lyftは、レベル5プログラムで従業員400人を米国、ミュンヘン、ロンドンに配置している。

カリフォルニアの公道でのテストは、パロアルト在住のLyft従業員向けのパイロットとして2018年11月に始まった。Lyftのオフィスと通勤列車Caltrainの間といった決められたルートでオンデマンド乗車を提供した。

以来、同社はパイロット事業の対象やエリアを拡大してきた。2019年後半までに、四半期あたりの自動走行距離はそれまでの6カ月間に行ったものの4倍超となった。

Lyftはまた東パロアルトに2019年11月に開設した専用コースでもテストを行っている。「公道を走らせる前にソフトウェアをテストすることを目的に、この施設に交差点や信号、合流ポイントなどを設けることができる」とLyftはTechCrunchに話した。

画像クレジット:Lyft

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(翻訳:Mizoguchi

Googleとトヨタが新興都市の交通網をマッピングするWhereIsMyTransportに投資

新興都市では、人口の最大80%が非公式の公共交通機関、つまり民間のバスやタクシーに頼って移動する必要がある。ニューヨークやロンドンなどの先進市場の通勤者に適した乗換案内アプリは、新興都市ではうまく機能しない。例えば、Citymapperのようなアプリをナイジェリアのラゴスで起動してもさっと使うことはできない。モビリティは社会的、政治的、経済的成長の基本的な推進力だ。自由に移動できなければ国としての成長は見込めないため、新興都市にとってモビリティは非常に重要なものになる。

WhereIsMyTransportは、新興都市における公式・非公式の公共交通ネットワークのマッピングを専門としている。同社は、アフリカの34の都市でマッピングを終え、インド、東南アジア、ラテンアメリカの都市で現在マッピング中だ。同社の統合モビリティAPIには、新興都市の複雑な交通網向けに設計した独自のアルゴリズムや機能を含む。

同社はLiil VenturesがリードするシリーズAラウンドで750万ドル(約8億円)を調達した。既存投資家からGlobal Innovation FundとGoodwell Investmentsが、また新たにストラテジックインベスターとしてGoogle(グーグル)、Nedbank(ネッドバンク)、豊田通商(TTC)が参加した。

このプラットフォームには現在、39の都市で75万キロメートル以上のルートがあり、今回の資金調達が世界のさまざまな都市での掲載ルート拡大を促進する。

WhereIsMyTransportのCEOであるDevin de Vries(デビン・ド・フリース)氏は、次のように述べている。「当社は、公共交通機関に関するあらゆる種類のデータを収集し、データを最も必要とする人々と共有できる情報に変えることで、今見えていないものを見える化する。新興都市のモビリティエコシステムは複雑だ。非公式の公共交通機関の振る舞いは、正式な公共交通機関とは異なる。ロンドンやサンフランシスコでうまく機能するデータとテクノロジーのソリューションは、当社が関わる都市では同じようには機能しない。当社のソリューションは、こうした背景を持つ課題を克服するために特別に設計されている」

また、豊田通商自動車本部CEOの山波正人氏は「146カ国をカバーする当社自動車本部のグローバルネットワークは、人々が主に非公式の公共交通機関に依存している新興国に焦点を当てている。WhereIsMyTransportとの戦略的コラボレーションを通じて、社会的課題を解決し、新興国を中心とするさまざまな国の総合的な経済発展に貢献する、より効率的かつ効率的なモビリティサービスを確立する」と話した。

そしてGlobal Innovation Fundの最高経営責任者であるAlix Peterson Zwane(アリックス・ピーターソン・ズワン)氏は「非公式で、信頼性が低いことが多い交通機関は、貧しい人々が影響を受けやすい重大な問題だ。我々はWhereIsMyTransportと協力して、新興都市での公共交通機関をよりアクセスしやすく、効率的にすることを楽しみにしている」と述べた。

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(翻訳:Mizoguchi

ジュネーブ・モーターショーも新型コロナ感染拡大で急きょ中止

ジュネーブ・モーターショーが、新型コロナウイルスによる開催取り止めとなる最新事案となった。スイスで開催されるこのモーターショーは世界最大の車の展示会の1つで、例年さまざま々な国のハイエンドな自動車メーカーが、ニューモデルや斬新なコンセプトを発表する。他のモーターショーと同じくジュネーブ・モーターショーも展示するだけの場ではなく、一般の人も参加できる。

ジュネーブ・モーターショーの開催中止は、GSMAのモバイルワールドコングレス(MWC)、FacebookのF8カンファレンスといった大規模イベントキャンセルに続くものだ。今後予定されているニューヨーク国際オートショー(NYIAS)の主催団体はこれまでのところ、まだ中止は発表していない。NYIASはニューヨーク市で4月10〜19日に開催される。

これらのモーターショーは単に消費者向けに展示をするというものではない。自動車メーカーはショー参加や展示に大金を注いでいる。それぞれのショーで訴えるものを練るのに何年もかけていて、ショーがなければ自動車メーカーは最新モデルやトレンドを発表するために戦略を変更しなければならなくなる。

これまでジュネーブ・モーターショーは参加者らに病気の人を避けるよう呼びかけてきた。しかし最新のスーパーカーコンセプトを見るために人をかき分けなければならないような混み合ったホールでは、無理に近い。

「このようなことになり、残念に思う。しかし全参加者の健康が、我々そして展示者の最優先事項だ。これは不可抗力であり、ショー参加のために巨額の投資をしてきたメーカーにとって大きな損失だ。しかし彼らが今回の決断を理解してくれると確信している」と主催団体会長のMaurice Turrettini(モーリス・タレンティーニ)氏は声明文で述べた。

主催団体は中止作業と損失の計算を行っている。また「すでに販売されたチケットの代金は返金される」としている。

画像クレジット: Wikimedia Commons (Image has been modified)

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(翻訳:Mizoguchi

シトロエンが月額約2400円の2人乗りEV、Amiを発表

Citroën(シトロエン)のAmiは、都市向けモビリティに対する新しい提案だ。電動で価格は安く、ライセンスも必要ない。いわばクルマというよりも、2人乗りの電動スクーターにドアとヒーターがついているようなものだ。ジョークはさておき、このAmiから、モビリティの未来を垣間見ることができる。

Amiに技術的なイノベーションはない。シトロエンはAmiを都市向けのモビリティソリューションと位置づけている。狭い路地にもぴったりの広さで、価格も公共交通機関に負けていない。Amiは自動車に分類されていないため免許不要で、フランスでは14歳、他のヨーロッパ諸国では16歳から運転できる。

乗客は屋根とヒーターつきの車内に並んで座る。5.5kWhのリチウムイオン電池は床下に収納されており、標準的な220ボルトのコンセントで3時間充電すれば、最大70kmの走行が可能だ。最高速度は時速45km/hとなっている。

また、シトロエンらしさも健在だ。サイドウインドウは、クラシックな小型大衆車2CVのように手動で上に傾けて開く。

Amiにはいくつかのプランが用意されている。長期レンタル料は月額19.99ユーロ(約2400円、VAT含む)で、初回支払いは2644ユーロ(約31万4000円、VAT含む)。あるいはカーシェアリングサービスを通じて最大で1日間、毎分0.26ユーロ(約31円)でレンタルできる。さらに、Amiは6000ユーロ(約71万2500円、VAT含む)で購入できる。

シトロエンはAmiの注文を3月30日にフランスで開始し、数カ月後にスペイン、イタリア、ベルギー、ポルトガル、ドイツでも始める予定だ。初出荷は6月までに行われれる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Spinは電動スクーターを今春ドイツでローンチへ

電動キックスケーターを展開するFord(フォード)傘下のSpin(スピン)は、初となる米国以外でのローンチの準備を進めている。今年の春にはドイツのケルンを皮切りに、他のドイツの都市でもローンチされる予定だ。

Spinはまた、来月フランスにて電動キックスクーターの認可を申請する予定で、さらに英国でも電動キックスクーターのシェアリング事業の機会を模索する予定だ。

ここ1年ほどで、ドイツはマイクロモビリティのホットスポットになった。2019年12月の時点で、ドイツ国内の37都市では7社のスタートアップが事業を展開している。ケルンでは、SpinはBird、Lime、Circなどと競合することになる。

Spinの現在の車両はSegway(セグウェイ)のシェアエコノミー用キックスクーターに依存しているが、年内には初のカスタム車両を展開する計画だ。

Spinはシェア自転車のスタートアップとしてスタートし、2018年11月に約1億ドル(約110億円)でFordに売却された。これまでにSpinは、800万ドル(8億8000万円)の外部資金を調達している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

パナソニックがニューヨーク州でのテスラとのJV解消、バッファロー工場でのソーラーパネル製造から撤退

パナソニックは、米国ニューヨーク州バッファローのTesla(テスラ)工場でのソーラーパネル製造を中止し、4年間にわたった電気自動車メーカーとのジョイントベンチャーを終えることを発表した。

Nikkei Asian Reviewが、パナソニックはテスラとの生産契約を打ち切る計画であることを最初に報じた。その後同社はこの決定を説明する声明を発表した。テスラは同誌のコメント要求に応じていない。

パナソニックは、テスラ工場でのソーラーパネル製造工程を5月末までに終了すると語った。同社は9月までに工場を引き上げる予定だ。同社は同工場で約380名を雇用している。該当社員には退職手当が与えられる。両社は協力して、対象社員の中から有資格者を選別して雇用するを説明している。パナソニックによると、テスラは有資格候補者を雇用し、同社のバッファロー工場でソーラーおよびエネルギー製造工程に必要な職に就かせる計画だ。

パナソニックは2016年に、ニューヨーク州バッファローにあるテスラの「ギガファクトリー2」工場でソーラーセルを共同生産する契約を結んだ。同社は工場で必要とする機器のコストを折半すると約束していた。このジョイントベンチャーは2社間の関係を深め、両社はすでにネバダ州リノ近郊のテスラ工場でバッテリーセルを生産する提携を結んでいる。

同社が工場を去る決断を下した背景には、テスラが同社のエネルギー事業を拡大するとともに、州が費用支援する工場に要求される雇用を満たそうとしていることがある。

パナソニック撤退のニュースが伝えられると、テスラは同工場を監督するニューヨーク州の経済開発機関であるEmpire State Developmentに、同社が雇用義務数を超えたことを伝えた。

「テスラはバッファローにおける次期雇用義務数を満たしただけでなく超過したことを本組織に伝えた。本日現在、テスラはバッファローに1500以上、ニューヨーク州のその他の地域に300以上の職を提供している」とEmpire State DevelopmentのHoward Zemsky(ハワード・ゼムスキー)会長が声明で語った

「『パナソニックがグローバルなソーラー製品から撤退する決断を下したことは、テスラの現行の事業にも、バッファローおよびニューヨーク州に対する誓約にも影響しない』とテスラはコメントしている」とゼムスキー氏は語った。

同氏はこれからテスラのデータを検証すると語り、人数にはパナソニックの職は含まれていないことを付け加えた。パナソニックは州から一切の報奨を受けていないと同氏は続けた。

パナソニックはニューヨーク州を去ることになるが、テスラは別のジョイントベンチャーのかたちでネバダ州リノの巨大工場でバッテリーセルを製造する。同社はこの決定について「我が社とテスラのネバダ州における強固な提携関係に何ら影響を与えない」と声明で語った。「両社はテスラのギガファクトリーで行われる電気自動車用バッテリー製造を継続する」とパナソニックは説明した。

この数年、両社の関係がギクシャクしていることを示唆する報道が複数あった。2019年2月にテスラがMaxwell Technologiesを買収したことで、同社が独自のバッテリーセルを開発したがっているという憶測に拍車がかかった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Tier MobilityがCoupの電動モペッド事業を買収

Tier Mobilityはスクーターとキックスクーターのサービスを運営している。さらに同社は、現在は運営を停止しているスクーター(モペッド、ペダル付き原動機付自転車)サービスを提供していたCoupから資産を入手した。Coupは昨年末にサービスを停止したが、Tier Mobilityはこれを引き継いで独自のシェアモペッドサービスを始める計画だ。

念のために言っておくと、Coupは運営を終えているがそのモペッドは引き継がれる。今回の契約の一環として、Tier Mobilityは現在約5千台の電動モペッドと充電インフラを保有する。同社は5月にベルリンで独自のモペッドサービスを開始する予定だ。モペッドとキックボードのサービスは、Tierアプリから利用できる。

Coupは台湾の電動スクーターのGogoroと提携していた。将来的には塗装が新しくなるだけで、同じモペッドにアクセスできることが期待できる。「電動スクーターでは貴重な経験を積んできたが、電動モペッドの分野でもそれを有効に活用できるようになった。多くの顧客は、4〜10kmの中程度の距離を移動する、もう少し高速な車両を求めている。今後は彼らに、高品質な車両を提供できる」と、Tier Mobilityの共同創設者でCEOのLawrence Leuschner(ローレンス・ロイシュナー)氏は声明で述べた。

Coupは閉鎖前には、ベルリンやパリ、マドリードで運営していた。Tier Mobilityがこれらの都市でも、電動モペッドのサービスを開始しようとしているかどうかは不明だ。Tier Mobilityは現在、11カ国の55都市で事業を展開しており、ヨーロッパに注力している。なお、同社はベルリンを拠点としている。

Tier Mobilityがどのようにして顧客に電動モペッドのサービス料金を請求するのかは興味深い。なぜなら、ユニットエコノミクスがCoupの大きな問題だったからだ。Coupは閉鎖の際に、「自社はこの市場ではよく知られたブランドであり、定期的にサービスを利用する顧客基盤を持っているにもかかわらず、長期的な運営は経済的に不可能になった」と述べている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

フランスの電動スクーターサービスCityscootが約28億円を追加調達

フランスのスタートアップのCityscootは、Allianz FranceやDemeter、既存の投資家であるGroupe RATPとBanque des Territoiresから、2560万ドル(約28億円)の資金調達ラウンドを行った。またこのスタートアップはサービス展開の資金調達のために少なくとも650万ドル(約72億円)を調達している。

Cityscootはシェア形式の電動スクーター(電動モペット)だ。ユーザーはモバイルアプリを使ってスクーターを見つけ、ロックを解除することができる。

現在、Cityscootはパリ、ニース、ミラノ、ローマで展開されている。米国時間2月25日の資金調達ラウンドで、同スタートアップは2020年のバルセロナを皮切りに、ヨーロッパの2つの新都市にサービスを拡大する計画だ。Cityscootは8千台のスクーターを運営する予定となっている。

Cityscootはパリだけでも、日に1万5000回から2万5000回の乗車をこなしている。1回の平均乗車時間は15分間だ。1分あたりの料金が0.24ユーロ(約28円)から0.34ユーロ(約41円)だと考えると、Cityscootはパリだけでも毎日何万ユーロもの収益を上げていることになる。

ここ数カ月でCityscootはUberと提携しており、Uberのアプリからスクーターを見つけてアンロックできるようにする予定だ。ただし、この機能はまだ配信されていない。

Cityscootの主要ライバルであるCoupは、数カ月前にサービスを終了した。同社は当時、「Coupはこの市場でよく知られたブランドであり、定期的にサービスを利用する顧客の基盤を持っているにもかかわらず、長期的にサービスを運営することは経済的に不可だった」と述べていた。

Cityscootが最近値上げした理由は、ユニットエコノミクスによるものかもしれない。アカウントに入金しない場合、ユーザーは毎分0.24ユーロ(約28円)ではなく、0.34ユーロ(約41円)を支払うことになる。また、プリペイドのパッケージを買うと乗車料金は安くなる。これは、電動スクーターの使用を促進するための優れた方法になりうる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ヤマトが国際興業と埼玉初の客貨混載運行を飯能でスタート

宅配大手のヤマト運輸は2月25日、東京北部・埼玉南部で路線バスを運行している国際興業バスと共同で、客貨混載運行を開始することを明らかにした。

具体的には、埼玉県飯能市のヤマトの飯能支店から片道約30kmの地点にある名栗地区と、片道約10kmの地点にある中藤・原市場地区の顧客に対し、路線バスによる荷物運送を開始する。従来、当日午後到着ぶんの宅急便を配達するには、名栗地区では1台、中藤・原市場地区では2台のトラックが飯能支店へ荷物を取りに行く必要があったが、客貨混載により計3台のトラックの運行を止めることが可能になる。

実際の流れは、ヤマトが名栗地区、中藤・原市場地区の顧客に配達する宅急便を国際興業の飯能営業所に持ち込み、路線バスに積み込む。路線バスは乗客と荷物を乗せて飯能駅から運行を開始し、「尾長入口」「上赤沢」のバス停で、ヤマトの地区担当セールスドライバーに宅急便を引き渡す。セールスドライバーは引き渡された荷物を指定の住所に配送するというかたちだ。

ヤマトでは、トラックの運行を減らすことで二酸化炭素の排出量を削減できるだけでなく、セールスドライバーの労働時間削減にもつながる。一方で国際興業は、宅急便の輸送が新たな収入源となる。両社は今後も、高齢化や過疎化が進む地域等における課題解決と地域活性化に取り組んでいくとのこと。

なお今回の事例は埼玉県では初の試みとなるが、ヤマトではすでに全国16都道府県(京都、岩手、宮崎、北海道、熊本、兵庫、愛知、長野、奈良、和歌山、徳島、岐阜、大分、福井、群馬、東京)で運用中だ。

郊外の路線バスは赤字で運営会社の経営を圧迫しているケースも多い。便数の削減や停留所の廃止などでコスト削減を進めている会社もあるが、大都市に人口が集中して地域が過疎化すると乗客の絶対数が少なくなり、運賃収入だけでは事業を継続できなくなることは明らかだ。ヤマトの客貨混載の取り組みは、地方のバス路線維持、高齢者の足の確保という点でも重要な施策と言える。

なお都内を中心にタクシー事業を展開する日本交通や、同社をはじめ全国のさまざまなタクシー会社の配車手配をスマートフォンアプリで可能にするJapanTaxiも、客貨混載運行の施策をめる計画を持っている。議論や法整備が進めば地域のタクシー会社のドライバーが営業所からのラストワンマイルを担うセールスドライバーを兼務するかもしれない。

関連記事:「自動運転はタクシーから」Autowareが作り出す未来

Boomの超音速旅客機のテスト機XB-1はカーボンニュートラルの実現を目指す

航空機産業は通常、低炭素排出を志向していると見なされていない。ジェット燃料はグリーンとはいえないし、航空機は空を飛ぶ際、大量にそれを燃焼する。しかし超音速飛行のスタートアップBoomは、その超音速デモ機XB-1の試験開発事業で商業航空のそんなイメージを変えたいと願っている。同社の旅客機Overtureの開発のためにも、低炭素というイメージを持たれるが望ましい。

Boomの主張によれば、超音速デモ機XB-1のフライトは試験と認可の過程の冒頭から、持続可能性を達成できる初の商用OEM飛行となる。XB-1もOvertureもハイブリッドや全電動とは無縁だが、同社としては持続可能なジェット燃料とカーボンオフセットを併用して炭酸ガス排出量をゼロ、すなわちカーボンニュートラルにしたいと考えている。

Boomが使う燃料はパートナーのPrometheus Fuel製だ。同社は電力をソーラーや風力などの再生可能エネルギーから得て、二酸化炭素を減らそうとしている。Boomはすでに、地上テストでも同社の燃料を使っており、今後の地上テストと飛行計画でも使用できると判断している。

カーボンオフセットの意義については異論もあるが、しかしその事業から得たお金が適正な低炭素排出計画を支えるのなら、エコロジーに貢献すると言える。それにBoomのような、航空事業の経済的なインパクトをオフセットする試みが、商用の実機にも適用されるなら、一般的な航空業界がこれまで何もしなかったことと比べて環境に良いと言える。今後はすべての航空機開発事業で、このような風潮になるだろう。

現在、Boomが製造しているXB-1は、今夏にもFlight Researchとのパートナーシップのもとモハーベ砂漠のMojave Air and Space Port(モハーベ航空宇宙飛行場)でテストが行われる。その、パイロットはいるが旅客のいないテストから得られた情報は、将来超音速飛行の商用機となるOvertureの開発のベースになる。そのOvertureはすでにJALやVirginなど複数の航空会社から予約がある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Cruiseのカリフォルニアにおける自動運転車での乗客輸送に認可がおりる

Cruiseは最近、カリフォルニア州で自動運転車による乗客輸送の許可を受けた。カリフォルニア州公益事業委員会によるこの認可は、同州のAutonomous Vehicle Passenger Serviceのパイロットの一部となっている。

プログラムの一環として、Cruiseはあらゆる事故、乗客の走行距離、乗客の安全手順に関するデータとレポートをCPUCに提供しなければならない。Cruiseの車両にはセーフティードライバーが運転席に着席しなければならないが、一方で乗車料金はかからない。

現時点において、Cruiseはこのプログラムへの参加を認められた自動運転関連企業のうちの1社となる。他にはZoox、Waymo、Pony.ai、Aurora、AutoXなどがある。カリフォルニア州自動車局は、州内の66社に対して車両のテストを許可している。

Cruiseは当初、同社のロボットタクシーサービスを2019年にローンチすることを目指していたが、技術的な問題、車両プラットフォームの開発、そして配車アプリの開発などの理由から、2019年7月にその計画を中止していた。現時点において、Cruiseがどのようなタイプの公共サービスを展開するかは不明だ。

TechCrunchはCruiseに連絡を取っており、情報が入り次第続報をお届けする。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

欧州の電動スクーターレンタルTierがシリーズBで45億円を追加調達

欧州の11カ国55都市で操業している電動スクーターレンタルのTier(ティアー)がこの4カ月で2度目となる資金調達を行った。

ベルリン拠点の同社は、昨年10月時点で6000万ドル(約67億円)としていたシリーズBラウンドを1億ドル(約112億円)に引き上げた。追加分はモスクワのRTP Global、ロンドンのNovator、名称は明らかにされていない米国のデットファンドが提供する、エクイティとデットの組み合わせだ。シリーズBの第1段階はMubadala CapitalとGoodwater Capitalがリードした。

追加で調達する資金はさらなる効率アップと車両開発のためのR&Dに注ぐとしている。いわゆる「マイクロモビリティ」のスタートアップはまた、管理チームの強化も継続する。同社は最近、新CCOと新COOをリクルートした。そしてM&Aも追求する。

加えてTierは「欧州でより多くの人、より多くの町に持続可能なモビリティ」をもってくるために、展開する車両を拡大する。それらはおそらく新しいカテゴリーのマイクロモビリティプロダクトとなる。

一方でTierは1月に英国のスタートアップPushme Bikesを密かに買収していた。交換可能なバッテリーやモビリティ関連ハードウェアのメーカーだ。同社は“ラストマイル交通”のためのバッテリー交換ステーションのネットワークを構築中だと考えられていた。これは、Tierの従来のスクーターを交換可能なバッテリーを使った新スクーターに置き換える最近の動きと直接つながっているようだ。

WhatsAppでの短いコールの中で、Tierの共同創業者でCEOのLawrence Leuschner(ローレンス・ロイシュナー)氏は、Pushme Bikesの買収はデザインと開発の専門性に鑑みる人材獲得のためのものとした。同氏はこの買収が将来のハードウェア計画の推進力となるとみている。

同氏はまた、交換可能なバッテリーを搭載した電動スクーターへの移行は、80%完了したと語った。これは収益性アップに貢献する。なぜかというと、バッテリーが交換可能であれば通りにあるスクーターを回収して、バンに乗せ、充電とメンテの施設に運び、その数時間後にまた元の場所に戻す、ということをする必要がないからだ。それに引き換えその場でのメンテでは、新しいバッテリーに変え、空のバッテリーを回収し、カーゴ電動自転車に載せて中央充電施設または近くの充電ハブに運べばいい。

ほかの電動スクーターレンタル大手とは異なり、Tierは充電にギグワーカーではなく、サービスの質を維持するために一元的なシステムを使っている。同氏は、交換可能なバッテリーの技術はより価値の大きい一元システムを意味すると指摘したうえで「ギグエコノミーは(電動スクーターレンタルにおいては)死んでいる」と強調した。

もしかすると、Tierが古い電動スクーターを新しいものと取り替えた後それらをどうしたのか気になる人もいるかもしれない。この点について同氏はOkaiが製造したスクーターは個人向けにMyTierアプリを通じてドイツの消費者に転売された、と説明した。 ロイシュナー氏が以前、中古家電における欧州マーケットのリーダー的存在であるreBuyを設立していたことを考えれば、そう驚くことではないだろう。

RTP Globalのパートナーを務めるAnton Inshutin(アントン・インシュティン)氏の声明は次の通りだ。「我々はTierが資本効率やオペレーショナル・エクセレンスの向上について細部にわたって注力していることに感銘を受けた。彼らは業界をリードする収益性を手にし、この冬に収益を拡大させることができた。同社は引き続き拡大を続ける。この分野で無敵である優れたチームと提携することをとても楽しみにしている」。

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(翻訳:Mizoguchi

垂直離着陸エアタクシーを開発するドイツのVolocopterが10億円超を追加調達

空の自動運転技術を目指すVolocopter(ヴェロコプター)が、昨年9月のシリーズCラウンドの資金調達を実施した。同社はドイツを拠点する電動垂直離着陸機(eVTOL)メーカーで、当時5000万ユーロ(約60億5200万円)の資金調達を発表した。そのCラウンドでは、新たなリード投資家DB Schenker(DBシェンカー)により、8700万ユーロ(約10億5300万円)に調達額が増えた。Schenkerは、世界中で営業しているロジスティクス企業だ。

このラウンドには、三井住友海上火災保険グループとその親会社であるMS&ADホールディングス、およびTransLink Capitalが参加した。以前からの投資家であるLukasz Gadowsk(ルカシュ・ガドウスキ)氏iやbtovなども、この拡張ラウンドに参加した。

これでVolocopterの調達総額は(現在のドル換算で)1億3200万ドル(約147億2900万円)になる。新たに得られた資金は、同社が開発するVoloCity航空機で人を乗せるエアタクシーの実用認可のために使用される。認可が下りれば同社初の商用実用車となる。また、次世代機VoloDroneの開発継続にも資金が投下される。こちらは人ではなく荷物を乗せる航空機だ。同社は、VoloDroneをロジスティクスや建築業、都市のインフラストラクチャ、農業などの市場に広げたいと考えている。

すでにVolocopterは、John Deereなどの企業とパートナーしてVoloDroneのパイロットを確保する予定だが、実際の商用化は第2世代機からだとも表明している。VoloCityのほうは、シンガポールでデモ飛行後、東南アジアの主要都市でエアタクシーを展開する可能性についてGrabと一緒に実行可能性調査を行うと発表した。

この拡張ラウンドに伴い、このラウンドの9月の部分を仕切ったGeely Holding GroupのYifan Li(イファン・リー)氏と、DB SchenkerのCEOであるJochen Thewes(ヨチェン・テウェス)氏をVolocopterは顧問団に加えた。どちらも、同社から投資リターンだけでなくサプライサイドや商用化からの利益も得る戦略的パートナーだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

テスラCybertruckのラジコンカーがHot Wheelsから、割れた窓を再現するスタッカー付き

Tesla(テスラ)がレトロ的で未来的な台形デザインの電動トラックを実際にどこかへ納車するよりもずっと早く、おもちゃメーカーのHot WheelsがCybertruck(サイバートラック)を発売する。ラジコンカー版Cybertruckには、1/64モデルと1/10モデルの2種類があり、それぞれ20ドル(約2200円)と400(約4万4600円)ドルとなっている。

すでに予約販売をしているが、本物のTesla車と同じく、発表された商品がすぐ買えるわけではない。Hot WheelsのWebサイトによると、発売予定日は2020年12月15日、すなわち今年のホリデーシーズンだ。

これのラジコンカーはTeslaが2019年11月のイベントで披露したCybertruckを、きわめて忠実に表現しているようだ。大きな1/10モデルには、発表会のステージで起きた失敗を再現できる「割れた窓を表現する再利用可能なステッカー」が付属する。ただし、金属製のメディシンボールは自分で用意しなければならない。

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またCybertruckの1/10モデルは、点灯するヘッドライトとテールライトが搭載されており、「リラックスモード」(Chill)と「スポーツモード」(Sport)に対応。四輪駆動にもできる。さらに取り外し可能な後部座席のトノーカバーや、入れ子式で実際に動くテレスコピックテールゲートなどもある。

小さくて買いやすい1/64スケールモデルは全長わずか3インチ(7.5cm)で、Hot Wheelsのミニモデルとなる。数学が得意な友人に言わせると、その最大速度は時速800kmに相当するそうだ。

発売はアメリカとカナダのみだが、Cybertruckの人気から考えると、爆発的に人気を博しそうだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

電気自動車の保有車両管理は新しい巨大市場、Electriphiが約4億円調達

企業などの保有車両の充電の管理や電動車のモニタリングを行うソフトウェアを提供しているElectriphi(エレクトリファイ)が、現在米国で増加している電動車両にソフトではなくサービスを提供するスタートアップの競争仲間に加わった。

サンフランシスコ拠点は同社はこのほど、350万ドル(約3億9000万円)を調達した。投資家は、Wireframe Ventures、Urban Innovation Fund、Blackhorn Venturesなどだ。Lemnos LabsとAcario Innovationも、このラウンドに参加した。

Electriphiのピッチは学校の校区に受けている。同社はカリフォルニア州サクラメントのツイン・リバース統合校区を同社の顧客の好例として挙げている。

同校区の輸送サービス部長であるTim Shannon(ティム・シャノン)氏は 「ツイン・リバース統合校区は電動スクールバスが北米で最も多い。今後数年以内にすべてのスクールバスを電動にしたい。重要な事業であり、信頼できるパートナーを見つけ、技術的に最先端の充電管理とデータ収集およびモニタリングの支援を確保しなければならない」と語る。

電気自動車の車両管理については、すでに手掛けている企業がいくつかあり、彼らは支援してくれる企業と資本に恵まれている。例えば、EVConnectやGreenLots、GreenFlux、AmplyPowerなどはすべてElectriphiと競合する。

Electriphiの共同創業者であるMuffi Ghadiali(ムフィ・ガディアリ)氏は、これまでChargePointのシニアディレクターとして高速充電のインフラストラクチャのためのハードウェアとソフトウェアの開発を率いてきた。この経歴が顧客の信頼を獲得すると期待されている。もう一人の共同創業者であるSanjay Dayal(サンジェイ・デイアル)氏は、Agralogics、Tibco、Xamplify、Versata、そしてSybaseなど前歴が豊かだ。

車両管理の市場は巨大で複数の企業が勝者になりそうだ。Wireframe Venturesのマネージングパートナーを務めるPaul Straub(ポール・ストラウブ)氏は、「企業や公共機関などが保有する業務用車両は米国だけでも数百万台ある。すべての米国人が、交通やデリバリーやサービスの手段としてそれらを頼りにしている。多くが今、電動車への移行を検討し始めているのでElectriphiの前途には巨大な商機がある」と投資家としての見解をコメントした。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Tesla Model 3が米コンシューマーレポート2020年の「トップ10」に選出

Tesla(テスラ)のModel 3は、Consumer Reports(コンシューマー・レポート)誌が選ぶ2020年の自動車購入予定者人気トップ10に入った。非営利消費者組織であるConsumers Union(コンシューマーズ・ユニオン)は米国時間2月20日に今年の「トップ・ピックス」を発表し、Model 3は、トヨタjやスバル、ホンダ、韓国の起亜自動車、およびレクサスの車とともに選ばれた。

Model 3は、4万5000~5万5000ドルカテゴリーの3車種の1つとして、Lexus RX、トヨタ・スープラとともに選ばれた。同誌はModel 3の「スリリングなドライビング体験」を称賛し「スポーツカーを思わせる印象的な操作性と敏捷で正確なステアリング」と評した。全体的にやや「サスペンションが硬い」ことを指摘しつつも、長いEV航続距離と排ガスのないエコフレンドリーな特性が十分カバーしているとコメントしている。

さらに同誌はModel 3について、「オプションのオートパイロットシステムは、ドライバーの継続的な関与を必要としておらず、安全面の懸念を生んでいる」ことを特に指摘している。テスラは常にオートパイロットをドライバー支援機能と位置づけており、ドライバーにはいつでも制御を取り戻せるよう準備しておくよう要求しているが、実装方法そのものが、不注意運転につながる誤使用を誘発しているとの批判も受けている。

そうした懸念も、同誌がModel 3を2020年のトップ推奨車に選ぶ妨げにはならなかったようだ。テスラは、Consumer Reports 2020年ブランド・レポートカードでも33社中11位にランクされ、昨年から8ランク上昇した。このModel 3、そして生産能力をスケールアップしたテスラの迅速な改善が、消費者視点の非営利団体にアピールしたことは間違いない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Zero Motorcyclesから最高速度200kmのフルフェアリング型スポーツEV「SR/S」が登場

米国カリフォルニアに本拠を置く電動バイクメーカーのZero Motorcycles(ゼロ・モーターサイクルズ)に新たなラインアップが加わった。米国時間2月19日、ニューヨークにてフルフェアリングタイプのSR/Sがお披露目された。

同社のCEOであるSam Paschel(サム・パッシェル)氏は、昨年発売されたSR/Fのプラットフォームをベースにしたその二輪EVのカバーを取り去った。

新型SR/Sは、SR/Fと共通のバッテリーと駆動系を搭載し、スペックも近い。最高速度は時速124マイル(約200km)、走行距離は最大200マイル(約322km)、トルクは140ft-lb(約19.4Kgf-m)、充電時間は60分で95%と、パッシェル氏は発表会場でTechCrunchに話してくれた。

このZeroの最新型電動バイクはIoT対応だ。エンジン出力や操縦性など、全体的なパフォーマンスをデジタルライディングモードを通じて管理できる。

SR/SがSR/Fと大きく違う点は、フルフェアリングの追加、より楽なライディング・ポジション(バーとペグの位置を変更)、そして空力性能の向上により高速走行距離が13%伸びたことだ。

フェアリングによって、車重はSR/Fの約220キロに対して9キロほど可算された。価格は、SR/Sのベースモデルが1万9995ドル(約222万5000円)。SR/Fの1万9495ドル(約217万円)をわずかに上回る。SR/Sの最上位モデル(大容量バッテリー搭載)は2万1995ドル(約245万円)となっている。

SR/Sは本日から全世界のZeroディラー・ネットワークに出荷される。ディーラーは米国内で91カ所、その他の世界では200カ所あり、パッシェル氏によれば電動バイクのメーカーとしては世界最大とのこと。

SR/Fよりも、スポーツ・ツーリングに適したバイクとして位置づけられたSR/Sには、よりアグレッシブなライディング・ポジションになるが高速走行時の空力はやや劣るフェアリングのないネイキッドタイプも用意されている。

Zeroの最新エントリーとなるSR/FとSR/Sは、スタートアップ企業がオートバイ業界の電動化を進めるこの時期に投入されたものの、すべての新型モデルが売れるだけの十分な需要があるという確証がない。

米国のオートバイ市場は、この10年間停滞しているにも関わらず、数多くのEVメーカーがひしめく状態になっている。同国でのオートバイの新車販売台数は2008年からおよそ50%減少しており、特に40歳以下の所有者数は激減し、戻る兆しが見られないことを米モーターサイクル産業審議会の統計が示している。

2019年には、売り上げと若いライダーの興味を呼び戻そうと、大型バイクメーカーとしては初めて、ハーレーダビッドソンが公道を走れる電動バイクLiveWire(ライブワイヤー)を米国で発売した。これがハーレーの電気自動二輪生産ラインの先駆者となった。

ハーレーダビッドソン初の電動バイクLiveWire

ハーレーは、いくつもの電動バイク・スタートアップの失敗(Alta Motors、Mission Motors、Brammo)の後に参入を果たし、ZeroなどのEVベンチャーとともに市場で生き伸びている。その数は増加中だ。

イタリアの高性能EVメーカーEnergica(エネジーカ)は、スウェーデンの電動バイクメーカーCake(ケイク)と共にマーケティングとセールスをアメリカに拡大した。今年も、カリフォルニアを拠点とするLightning Motorcycles(ライトニング・モーターサイクルズ)が参入し、フランスとアメリカの資本で設立されたFuell(フュエル)が価格1万ドル(約110万円)で走行距離約240kmのFlow(フロー)を発売する予定だ。

Zeroには、ハーレーのLiveWireよりも有利な点があるように見える。価格がハーレーの2万9799ドル(約332万円)よりも100万円ほど安いのだ。だが、電動バイクの信頼できる売り上げ統計がまだ発表されていないため、2019年に両者がどれだけ奮闘したかはまだわからない。

Zeroは売り上げを公表していない(CEOのサム・パッシェル氏にダメもとで当たってみたのだが)。

ハーレーのLiveWireに対する価格での優位性は、Zeroの新型SR/Sにも引き継がれたが、発売が待たれるDamon(デーモン)のHypersport(ハイパースポート)が最大の強敵になるだろう。

バンクーバーに拠点を置く電動バイクのスタートアップDamonは、最高速度約320kmの電動バイクHypesportをデビューさせようとしている。価格は2万4995ドル(約278万円)で、ターゲットはTesla(テスラ)のオーナー。独自のデジタル安全技術と、人間工学的にポジションを調整できる機能を備えている。Zeroにはないものだ。オートバイ市場全体でも、これに匹敵するものは存在しない。

どのメーカーが、すべての電動バイクの中から市場に好まれ利益を獲得できるかは、時間とバーンレートと売り上げに掛かっている。

Zeroは財務状況を公表していないが、スタートアップの中では、同社はかなり抜きんでている。過去にベンチャー投資1億2000万ドル(約134億円)を調達し(Crunchbase調べ)、もうこれ以上調達する予定はないとパッシェル氏は話していた。

「必要ありません」と彼はTechCrunchに言った。また、2019年のベンチャーの最大の挑戦は、バイヤーの需要に追いつけるようSR/Fの生産速度を保つことだったとも語っていた。Zeroでは、そんなうれしい問題が2020年に新型SR/Sでも起きることを期待している。

関連記事:テスラオーナーをターゲットにした最高速度320kmで超安全な電動バイク

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(翻訳:金井哲夫)

VolocopterとGrabが航空タクシーサービス展開の可能性を東南アジアで調査

空飛ぶモビリティのスタートアップであるVolocopter(ヴォロコプター)は、オンデマンド輸送、食品配送、ペイメント企業のGrab(グラブ)と協力して、東南アジアの空飛ぶモビリティに関する調査を進める。この共同調査は、この地域のいくつかの都市でのエアタクシーサービスの展開の可能性を探るために両社が署名した覚書(MOU)の一部として実施される。

これは最終的に実際に試験飛行を実施し、エアタクシーサービス展開のためのルートを確立することにつながりうるパートナーシップの最初のステップであるが、どこまで提携が進められるかは調査の結果とその後の両社の意向によると思われる。

Volocopterはドイツのスタートアップ企業で、2011年から電気垂直離着陸機の開発/実証を行っており、すでにシンガポールで現地の航空当局と協力して機体の実証を行っている。また昨年10月には、市内で世界初とされる本格的なエアタクシー「VoloPort」を発表し、提携しているSkyportと協力して、これらの都市型エアタクシーステーションのスケーラブルな商業モデルを開発した。

GrabはVolocopterやその空飛ぶタクシーサービスを、同社がさまざまな交通手段を組み合わせるパズルの、潜在的なピースとして見ているようだ。「このパートナーシップにより、Volocopterは東南アジアの通勤者に適した都市型エアモビリティソリューションの開発が進められ、通勤者は予算、時間的制約、その他のニーズに基づいた、シームレスな方法で好みの移動方法を決定することができる」とGrab VenturesのCEOであるChris Yeo(クリス・ヨー)氏はプレスリリースで述べている。

Volocopterは昨年、シンガポールは商用サービスを開始し、オフィスを開設するのに最も競争力のある地域の1つになる可能性があると伝えた。同社は以前、ほかにもドバイやドイツなどで、商用サービス提供の可能性があると述べていた。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

イーロン・マスクの辛辣なツイートのせいで、ビル・ゲイツはテスラを絶対買わないだろう

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は歯に衣着せぬタイプだが、その辛辣なツイートのせいで客を1人失ったかもしれない。

その客とは、超有名人のBill Gates(ビル・ゲイツ)氏で、彼は最近、ビューワーが1000万以上いる人気ユーチューバーMarques Brownlee(マーケス・ブラウンリー)氏の動画に登場した。ゲイツ氏とブラウンリー氏は以前にも会ったことがあり、今回の動画の話題はBill & Melinda Gates Foundation(ビル&メリンダ・ゲイツ財団)の今年の計画だった。今年でこの財団は、創立20周年を迎える。

当然ながら会話は気候変動について触れ、その中で持続可能な輸送機関がちょっと話題になった。ブラウンリー氏はTesla(テスラ)を持ち出し「高級電気自動車がもっと安くなったら、いたるところで見かけるようになるだろうか」と質問した。

Teslaの悪口を言ったわけではないが、ゲイツ氏は「現在、高級車であっても10年後には同じスタイルと仕様で走行距離がちょっとだけ短いやつが、大衆車として出回るだろう」と答えた。 そして気候変動との関連では「自動車は気候変動対策に大きく貢献できる。1社だけ具体的に名前を挙げるなら、最も貢献する自動車メーカーがTeslaだろう」と述べた。

しかし、ゲイツ氏の発言は、マスク氏にとってうれしいものではないだろう。彼は初めて所有した電気自動車への興奮について語ったが、その電気自動車はTeslaではなかった。

「今やすべての自動車メーカーが、新しい企業も含めて電気自動車に殺到している。しかし最大の心配は、消費者の走行距離に対する不安を解消できるのか、という点だ。私はPorsche Taycanを持っているが、それは電動自動車だ。高級車と言うべきものだが、すごくクールだ。私にとって初めての電気自動車であり、とても楽しんでいる」とゲイツ氏は語った。

この会話を知ったマスク氏は、どうしてもツイートで応えたくなった。

具体的には、非公式のTeslaニュースレターの担当者が、「たくさんの人がこのインタビューを見て、ゲイツ氏の言葉をそのまま信じるだろう。そしてEVを検討すらしなくなるね。ビル・ゲイルが本当に頭の良い男だからだよ」とツイートした。これに対してマスク氏は「率直に言って、ゲイツ氏との会話はつまらなかったね」と応じた。(下図)

このやりとりがおかしいのは、どちらも億万長者の天才でしかも予想外の展開になっているからだ。

しかもいやらしいことに、ゲイツ氏は車のコレクターなのにTeslaを購入するということはなく、近々同社についてポジティブに語ることもなさそうだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ジャガー・ランドローバーが都市型のライドシェア用電気自動車を発表、2021年の試験運用を目指す

Jaguar Land Rover(ジャガー・ランドローバー)は、つい目を奪われてしまういつもとはずいぶん違う形状のコンセプトカーを発表した。それはProject Vector(プロジェクト・ベクター)という名の4輪の都市型電気自動車で、一般的な乗用車というよりは、空港で走っている低床のシャトルバスのようだ。

これは、ライドシェア用電気自動運転車が主流になるであろう将来を見据えた自動車メーカーの間で流行っているスタイルだ。たとえば、Cruise(クルーズ)は、これとよく似た直方体の車両を1月に発表している。決定的な違いは、Cruiseの車両は単なるコンセプトカーではなく、量産モデルという点だ。

外観上、ジャガー・ランドローバーのVectorはCruiseとよく似ている。前と後ろはほとんど見分けがつかないし、乗り降りのスペースを最大に取れるようスライドドアが真ん中から開くのも同じだ。床も地面に近い定位置にあり、同じように乗り降りが楽にできる。床に収められたバッテリーと駆動系で走る点も同じだ。

  1. Jaguar-Land-Rover-Mobility-Concept-1

  2. Jaguar-Land-Rover-Mobility-Concept-3

  3. Jaguar-Land-Rover-Mobility-Concept-4

  4. Jaguar-Land-Rover-Mobility-Concept-5

  5. Jaguar-Land-Rover-Mobility-Concept-6

完全な無人走行用のCruiseと違うのは、ジャガー・ランドローバーのほうには正面を向いたシートがあり、人が握るためのハンドルが備わっているところだ。ただし内装は「可変式」で、ゆくゆくは無人運転走行にも対応する。また、人を運ぶだけでなく、荷物の運搬用に変更できる柔軟性もある。

ジャガー・ランドローバーのこのコンセプトカーは、興味本位で作られたような代物でもない。イングランドのコベントリー市議会とウエスト・ミッドランズ合同行政機構と共同で、Vectorを使った試験運用サービスを、早くも「2021年後半」には開始する予定だと同社は話している。それは「コベントリーの街を走る未来交通の生きた実験室」になるという。

自分の街の道路が実験台になるなんて聞くと、大抵の人は嫌がるだろうが、逆に言えば、昔ながらの配車サービスよりも公共交通機関にずっと近い電気自動車による先駆け的なライドシェアはいいものではんだろうか。

GMとホンダが協業開発した配車サービス用電動無人運転車が登場(日本語訳)

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(翻訳:金井哲夫)