TikTokのファクトチェック、米国でのIPO、中国の所有権、そして5000億円超の税金

さまざまな噂が渦巻く中、TikTokの中国の親会社であるByteDance(バイトダンス)は9月21日の朝に声明を発表(ByteDanceプレスリリース)し、ここ数週間で世界的に注目を集めている現在進行中の取引を明らかにした。

ByteDanceが引き続きオーナー

中国のByteDanceは、「信頼できるテクノロジーパートナー」であるOracle(オラクル)と「商業パートナー」であるWallmart(ウォルマート)にTikTokの株式の20%を売却した後、残りの80%を保持することを明らかにした。

しかし、私の同僚であるJonathan Shieber(ジョナサン・シーバー)氏が主張したように、この取り決めは多くのオブザーバーの懸念の核心に対処するものではない。「この取引は、米国の消費者とTikTokのアルゴリズムや米国内の世論に影響を与えるために使用される方法について、実際にセキュリティ上の懸念を持っている人々以外のすべての人に利益をもたらす」と主張している。

TikTokの取締役会のメンバーはByteDanceの現在のメンバーだが、ByteDanceの創設者であるZhang Yiming(チャン・イーミン)氏以外は中国人ではない。ウォルマートCEOのDoug McMillon(ダグ・マクミロン)氏は、最近の取締役会メンバーに加わった。

TikTokは米国でのIPOを目指す

TikTokは「コーポレートガバナンスと透明性をさらに強化するために」、米国での新規株式公開(IPO)を模索していることを確認した。動画アプリは明らかにIPOを希望しており、これにより多くの世間の目にさらされることになるが、中国が起源であることに起因する国家安全保障上の脅威への懸念を和らげることができるかもしれない。

注目すべきは、ByteDanceが声明の中で動画アプリを「TikTok Global」と表現している点だ。これは、このアプリが米国とそれ以外の地域に分割されることはないことを示している。法廷文書で明らかにされたように、TikTokは世界中で毎月約7億人のユーザーがいると主張している。そしてそのユーザーのうち1億人は、現在の本社がある米国に住んでいる人々だ。

アルゴリズムは転送していない

以前の報道によれば、ByteDanceはTikTokのアルゴリズムや技術をオラクルに引き渡すことはないとの主張していた。代わりに、米国のデータベース大手であるオラクルは「TikTokの米国ソースコード」のセキュリティチェックを実行する権限を得ることになる。

「ソースコードを公開することは、多国籍企業が直面するデータセキュリティの課題に対する普遍的な解決策です」とByteDanceは述べ、今回の決定を中国にあるマイクロソフトのTransparency Center(トランスペアレンシー・センター、製品に関する透明性をアピールする施設)や、Cisco(シスコ)がドイツのボンに設置した同様の施設と同一視しようとしている。

とはいえ、コードの監視とユーザーデータ管理をオラクルを担うことで、TikTokのブラックボックス化されたコンテンツを中国政府がいじる可能性があることに対する懸念がどのように解消されるのかは、まだ明らかになっていない。

50億ドル(約5200億円)の税金

ByteDanceは、TikTokが今後数年の間に、事業で発生した所得税やその他の税金の合計50億ドル(約5200億円)を米国財務省に支払うことになると見積もっている。にもかかわらず、最終的な数字はTikTokの「実際の業績と米国の税制に左右される」と同社は述べ、税金は「現在進行中の取引とは何の関係もない」と強調している。

教育へのコミットメント

TikTokが米国で50億ドル(約5200億円)の教育基金を設立するとの報道に対してByteDanceは、そのような計画は認識していないが「パートナーや株主」と協力してAIやビデオを使ったオンライン授業を設計するなど、一貫して教育に力を注いできたと述べた。

中国ではByteDanceの教育分野への進出が広く報じられている。英語学習プラットフォーム「Gogokid」(ゴーゴーキッド)のような自社製品以外にも、伝統的な高等教育に挑戦するベンチャー出資の教育機関「Minerva」(未訳記事)など、さまざまな外部プレイヤーに投資している。

画像クレジット:Sheldon Cooper/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ギャング資本主義と米国の中国イノベーションの盗用、これは正しい道なのか

かつて、米国と中国の経済を見分けるのは「簡単」だった。一方は革新的で、他方はクローンを作っていた。一方は自由市場で、他方は政党とその指導者に賄賂を要求(The New York Times紙)していた。一方は世界のトップの頭脳を引き付ける働きをして、才能のある人たちを受け入れた。他方は、あなたを扇動罪で投獄する前に空港のバックルームに連れて行った(それはどちらもだが)。

これまで、このように比較はいつも簡単にできていて詳細がわからなくても少なくとも方向性は正確だった。

しかし今では、爆発するバッテリーを輸出した国は(The Atlantic記事)は量子コンピューティングを開発しているし、インターネットを開拓した国は空から落ちる飛行機を作っている

TikTokの成功にはさまざまな要因があるが、率直に言ってそれを標的にするには米国の恥さらしでしかない。何千人もの起業家と何百人ものベンチャーキャピタルがシリコンバレーやほかの米国のイノベーションハブに群がり、次の素晴らしいソーシャルアプリを探したり、自分たちで作ったりしている。

しかし、ユーザーの成長と投資家のリターンの法則は偶然にも中国・北京の海淀区(かいでんく)にある。中国のローカルアプリ「抖音」(Douyin)やTikTokのような海外アプリを通じたByteDance(バイトダンス)は、過去10年に消費者に多くのものを還元している(今シーズンのIPOがすべてエンタープライズSaaSであるのには理由があるのだ)。

これは国家の産業政策だけには頼れない勝利と言える。半導体やそのほかの資本集約型産業では、中国政府が数十億ドルのインセンティブを提供して開発を促進できるが、ByteDanceはアプリを構築しているだけで、それを世界中のアプリストアで配信している。Apple Developerアカウントを持つすべての開発者が利用できるのとまったく同じツールを使っている。TikTokのような消費者向けアプリを作って普及させようという「Made in China 2025」(米戦略国際問題研究所レポート)の計画はない、というよりも文字どおり消費者向けの成功のための計画は立てられない。むしろTikTokは、何億人もの人が中毒になるような完成度の高い製品を自ら開発したのだ。

中国がGoogle(グーグル)やAmazon(アマゾン)のような海外の競争相手から市場参入障壁を介して業界を守ったように、米国はいま、TikTokのような海外の競争相手から既存の既存企業を守ろうとしている。共産党が何年も前から要求してきたように、ジョイントベンチャーやローカルクラウドデータの主権を要求しているのだ。

さらにトランプ大統領はByteDanceに50億ドル(約5227億円)の納税を要求(Bloomberg記事)しているようで、若者の愛国教育に資金を提供すると表明している。もちろん大統領はいろいろと注文を付けているが、少なくとも50億ドルの価格は、Oracle(オラクル)のプレスリリースで確認されている(税収が実際に何に使われるのかは推測だが)。最近の香港の抗議行動を(Reuters記事)を長く追っていると、愛国的な若者の教育が2012年のデモのきっかけになったことを覚えているだろう。巡り巡ってくるものは巡り巡ってくると私は思う。

開発経済学者は「キャッチアップ」戦略、つまり中間所得層の問題を後回しにして、欧米との格差を縮めるために各国が選択できる戦術について話すのが好きだ。しかし、いま私たちが必要としているのは、米国の「遅れを取り戻す」戦略を説明してくれる先進国の経済学者だ。なぜなら、私たちはほとんどすべての面で遅れをとっている。

TikTokのここ最近の動向とそれ以前のHuawei(ファーウェイ)の問題が示すように、米国はもはや多くの重要な戦略市場においてテクノロジーの最先端を走っていない。中国本土の企業は、5Gやソーシャルネットワークなど多様な分野で世界的に勝利を収めているが、政府の直接の介入がなければ米国やヨーロッパのハイテク企業はこれらの市場を完全に失っていただろう。たとえ介入があったとしても、まだ失う可能性がある。台湾では、TSMCがIntel(インテル)をすで抜き去り、最先端の半導体製造で1、2年のリードを奪っている。

つまり、最近では中国の歴史や神話を盗み出してまともな映画にすることすらできないのだ。そして、後れを取る戦略は続いている。米国のイノベーションの最大の源泉を破壊しようとしている政権からの移民規制は、新型コロナウイルスの感染蔓延と相まって、留学生の移住者数は米国史上最大の減少につながっている(Axios記事)。

なぜそれが重要なのか?比較的最近のデータによると、米国では電気工学の大学院生の81%が外国人留学生であり、コンピュータサイエンスでは79%が外国人留学生であり、ほとんどの工学・技術分野では、その数は過半数を超えている(Inside Higher Ed記事)。

このような留学生がずっと家にいてくれれば「米国人もなんとか最先端の枠に入るれるだろう」という幻想を信じるのは素晴らしいが、実際のところはどうなのだろうか?イチゴ狩りや給食サービスの労働者に当てはまることは、電気工学を学ぶの大学院生にも当てはまるのだ。しかし、いわゆる 「米国人」 はこうした仕事を望んでいない。これらは大変な仕事であり、報酬面では実入りの少ない仕事であり、米国の労働者や学生が一般的に持っていない粘り強さを必要とする。これらの産業では大量の外国人労働者が従事しているが、それはまさに国内の誰も外国人労働者の役割を引き受けたがらないからだ。

才能があればあるほど、イノベーションも生まれてくる。このような頭脳の源泉が米国のトップ・イノベーション・ハブに宿ることなく、それがどこに行くのだろうと考えているのだろうか。かつて、スタンフォードやマサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピュータ・サイエンティストになりたいと思っていた人は、窓際に座って地平線を眺めながら日が沈むのを待っていたわけでないのだ。まして、いまはインターネットの時代であり、彼らはどこにいても、どんなツールやリソースを使ってでも、夢に向かって出発できる環境が整っている。

シードアクセラレーターであるY Combinatorが主催するプログラムの最近の参加者を見ていると、将来の偉大なスタートアップ企業となりそうなグループ、ますます米本土以外の地域からやってくるようになってきていることがわかる。何十人もの賢くて優秀な起業家たちは、米国への移住を考えているわけではなく、むしろ自国の市場が自慢の大国よりも技術革新や技術進歩に対してオープンであることを正しく認識している。フロンティアは米国で閉ざされ、他の場所に移ってしまったのだ。

では、米国、そしてヨーロッパにはいったい何が残っているのだろうか?柔軟性に欠ける企業のトップが、世界最高の技術との競争を避けるために外部の技術革新をブロックするという視野の狭い政策が、経済的な災いのレシピではないのなら、私はそれが何なのか分からない。

しかし、少なくとも米国の若者は愛国心を持っているはずだ。

画像クレジット:Thomas Peter – Pool  / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

中国版TikTokのライバル「Kuaishou」はオンラインバザールとしても人気

中国では、ショートビデオアプリは単なるひまつぶしのために使われているわけではない。この種のサービスは、ユーザーは商品をよく観察したり、作物がどうやって育てられ、作られたかをライブセッションを通じて売り手に尋ねることができるオンラインバザールとして使われている。

TikTok(ティックトック)の中国バージョン(Douyin、抖音)の主要ライバルであるKuaishou(快手)は、2020年8月に5億件のEコマース注文を受けたことを発表した。これは同サービスがユーザーによる収益化に力を入れていることを示す明確な兆候であり、近々予定している上場の後押しにもなるだろう。

この発表の前に、Reutersは、TikTokクローンのZynn(未訳記事)の親会社でもあるTencent傘下のKuaishouが、早ければ2021年1月に香港で上場して最大50億ドル(約5200億円)を調達する計画であると報じた(Reuters記事)。Kuaishouはコメントを拒否したが、本件に詳しい筋はTechCrunchに詳細を明らかにした。

「5億件の注文」という主張にはいくつか複雑な点がある。というのも注文のキャンセルや返品が除外しておらず、Kuaishouは実際の販売件数を明らかにしていない。また同社はこの結果、自分たちはAlibaba(アリババ)、JD.com、Pinduoduoに続く中国で第4位のEコマース会社になったともいっている。

この期間の各社の売上について比較できる数値がないのでこの主張を検証するのは困難だが、得られるデータで考えてみよう。Pinduoduoは以前、2019年の前半6カ月間に70億件以上の注文を受けたと語っている(The Motley Fool記事)。これは1カ月平均11億6000万件にあたり、Kuaishouの2倍以上だ。

しかし、Kuaishouの数字は多くのユーザーが同社の動画プラットフォームを通じて購入したか、少なくとも購入を検討したこと表している。

このアプリはこの国独特の、ある意味で日常的なユーザーコンテンツが喜ばれていることで知られており(SAGE Journals記事)、1日あたりのアクティブユーザーが3億人であると豪語している。これはユーザーが8月中に1回以上注文したことを意味している。売られた製品の多くは、メンバーの多数を占める地方ユーザーが育てた野菜だ。同アプリは小さな町や遠隔地域で早期に地盤を獲得したが、その理由はコンテンツのアルゴリズムが「華やかさ」を優先していないからにほかならない。

Kuaishouは時間とともに、田舎の生活の率直な動画を楽しむ都会人の間でもユーザーを増やし、農産物を購入する人も増えてきた。地方の農産物を都市地域もたらすことは、中国の地域経済活性化政策とも一致しており、Kuaishouが「貧困緩和」といった用語をソーシャルメディアキャンペーンで使うことも珍しくなくなった。

コンテンツの傾向が「インフルエンサー」の洗練された動画に寄っているDouyinも、広告の収益分配と商品販売の両方でコンテンツクリエイターによる収益化を可能にしている。Kuaishouの2倍に当たる6億人のDAU(1日あたりアクティブユーザー数)をもつDouyinは、来年には800億人民元(約1兆2400億円)の収益をクリエイターにもたらすと約束した、とByteDance ChinaのCEOであるKelly Zhang(ケリー・チャン)氏がDouyinのクリエイターカンファレンスで最近語っている。

カテゴリー:ネットサービス

タグ:Kuaishou 中国

画像クレジット:Kuaishou

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

中国の5Gユーザーは1年弱で1.1億人超、世界最大のマーケットに

中国の通信当局である工信部傘下のシンクタンクである中国情報通信研究院(CAICT)の発表(New America記事)によると、同国ではこれまでに1億1000万人超が5Gプランを申し込んだそうだ。9月16日にあった産業イベントで明らかにした。

ユーザー規模でいうと中国は世界最大の5Gマーケットだとシンクタンクの会長は述べた。このマイルストーンは、中国の大手キャリアが5Gプランを消費者に提供し始めてから1年もたたず(Reuters記事)に、当局が商用利用向けの5Gライセンスを発行し始めてからわずか1年あまりで達成(未訳記事)された。

利用全体における1億1000万人という数字の割合はまだ小さい。6月時点で中国の国営通信企業3社は合計でモバイル契約者16億人を抱えていた。中国の人口は14億人だが、1人あたりのモバイルデバイス所有は1台以上と推察される。

中国の5Gに関する野心には、政府、通信キャリア、通信機器メーカー、デバイスメーカー、ソフトウェアデベロッパーが絡んでいる。議員たちは消費者に通信速度で目に見える改善を示す必要があり、そのために通信キャリアは5G基地局の設置を国中で積極的に進めてきた。7月までに46万超の電波塔が建設された。

中国は毎週、平均して1万5000カ所に5G基地局を設置してきた」(中国国務院情報局プレスリリース)と当局は7月に述べていた。政府はこの数字を2020年末までに60万カ所に引き上げ、全国の県レベルの都市すべてをカバーする計画を持っている。中国の5G推進で最も恩恵を受けているのはHuawei(ファーウェイ)だ。同社は5Gデバイスと次世代ネットワークを支えるインフラを製造している。

一方でHuawei、Oppo(オッポ)、Xiaomi(シャオミ)、その他のライバル企業は5G対応のデバイス導入を急いでいる。CAICTが発表した最新のデータによると、中国では今年これまでに9300万台以上のスマートフォンが販売され、8月のスマホ出荷の60%を5G対応デバイスが占めた。

中国の5Gへの急速なシフトはまた、集積回路(IC)のようなハードウェアパーツの需要も生み出している。当局が7月に明らかにしたところによると、中国では2020年上半期に1000億個以上のICが製造された。これは前年同期比16.4%増で、多くは5G関連プロジェクト需要によるものだという。

画像クレジット:Photo by Zhang Peng/LightRocket via Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

中国政府はTikTokの米国事業を売却せずに潰すかもしれない

世界中で人気を博しているショートムービーアプリTikTokの一部またはすべての事業を米国を拠点とする企業に売却することを強行しようとしていることで、中国のテックユニコーンであるByteDance(バイトダンス)の周辺が騒がしい。米国時間9月11日、中国政府がこの取引に反対する可能性があるとの報道を受け、売却話の先行きが不透明になりつつある。ロイターの報道によると、中国政府はTikTok事業を米国企業に売却するのではなく、米国事業を閉鎖することを望んでいる可能性があるという。

TikTokの売却の可能性は、通常のビジネス取引ではない。ドナルド・トランプ米大統領の執行権限で対外経済政策を指示しているため、この取引は米国政府によって要求されているものだ。トランプ大統領は、自身のビジネスセンスを生かして、最終的な売却価格の一部を政府が受け取れるように要求している。この考え方が合法かどうかは不明である。

米国と中国が経済的にも政治的にも覇権を巡って世界中で争う中、今回の取引は両国の間で企業が入り乱れていることが浮き彫りになっている。ByteDanceは、マイクロソフト、Wallmart(ウォルマート)、実現度の差はあるががOracle(オラクル)などの企業と一緒にこの争いに巻き込まれている。トランプ政権は取引成立のタイムラインを9月中旬に設定しているが、月日が経つにつれ、そのタイムラインに間に合うかどうか暗雲が立ちこめてきた。

ちなみにTikTokの事業売却は、インドが他の数十本の中国ベースのアプリを禁止したあとの話で、中国の影響力を抑制する措置を講じているのは米国だけではない。この取引は、中国の規制の変化からも圧力を受けている。中国の独裁的な指導者が輸出ルールを変更して、TikTokの取引を制限したり、売却を中止したりする内容が含まれる可能性がある。

ByteDanceにとって、この状況は悪夢のようなものだろう。主導権を握るマイクロソフトにとっては、この取引は気の進まないもので、完全に納得できるものではないかもしれない。一方トランプ政権にとっては、パワープレーの試みである。そして、権威主義化が進む中国政府にとっては、この取引は服従のように感じるかもしれない。このため、もし取引がなんとかまとまったとしても、それは予想外というよりも驚きの結果になるだろう。

画像クレジット:Sheldon Cooper/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

1本のバイラルな記事が中国フードデリバリー業界の狂乱にブレーキをかける

中国のフードデリバリードライバーは、毎日がアルゴリズムと交通警察と不機嫌な客との果てしない戦いように感じているかもしれない。

中国のフードデリバリー配達員の危険な労働環境に深く切り込んだ1本の記事が、米国時間9月8日にインターネットを駆け巡り、アルゴリズムが人間に与えている害が国中で槍玉に挙げられた。

中国の中心地に行けば、スクーターに乗った大量の配達員がスピードを出して警笛を鳴らしながら走るところを見ない日はない。中国のPeople誌の調査レポートによると、彼らの危険運転の主な原因は、配達の遅れを罰する厳しいアルゴリズムのためだという。しかも、コンピューターは天候や交通状況などの現状を完全には考慮しておらず、ドライバーの命が危険に晒されることも多い。記事は数時間のうちに10万ビュー以上を記録し、広くシェアされてWeChatメッセンジャーの上で議論された。

フードデリバリー業者が最新の機械学習を使って高速配達を益々謳うようになるにつれ、アルゴリズムがドライバーに課すゴールはエスカレートし、実現するためには交通規則を破って長時間働くしかなくなっている。注文する顧客は家の中でアプリをタップするだけで、危険な配達の旅とは無縁だ。悪いレビューや給料カットを避けるために、配達員はスピードを出し歩行者を警笛で追い払って時間内に届けようとする。

2019年前半の6カ月間に、上海では食品と小荷物配達ドライバーだけで325件の死傷者が報告された。Alibaba(アリババ)のEle.meとTencent(テンセント)傘下のMeituanというフードデリバリーの2大サービスだけで事故の70%近くを占めている。

「ほとんどの人は注文が2分早く届こうが10分遅れようが気にしない。業者は実際、ドライバーにもっと猶予を与えられるはず。みんなが思うよりも客は忍耐強い」と書かれたコメントには3万3000件の「いいね」がついた。

その一方にあるのが巨大な市場機会だ。中国のフードデリバリー業界は、2020年に6650億人民元(約10兆3000億円)に達すると推定されている(艾媒网記事)。2020年3月時点で中国インターネット利用者の45%近い3億9800人がオンラインで食事を注文したことがある。対して米国のオンラインデリバリーの普及率は2020年に約9%(Morgan Stanleyレポート)と推測されている。

数百万人のドライバーが中国のフードデリバリー経済を支えており、Meituanが2019年時点で400万人近く(新浪科技記事)、Ele.meが最新の集計で300万人のドライバーを抱えている。

中国がフードデリバリー配達員の安全性で課題に直面するのはこれが初めてではない。2017年に起きた一連の路上事故の後、中国警察はオンデマンド・プラットフォーム各社にドライバーの安全基準の改善を指示した(Reuters記事)。当時中国国営紙の論説記事は、テイクアウト業者にもっと「思いやりのある」経営を求めた。

Alibaba(アリババ)は最近の批判を認識している。記事が公開されてから約12時間後、Ele.meは顧客が自主的に待ち時間を5分または10分延長する機能を追加すると発表した。さらに同社は、評価が高く実績のあるドライバーには時折遅れても罰を与えないことを約束した。Ele.meの最大のライバルであるMeituanは、この広く出回っている記事が提起した問題に対してまだ反応していない。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ

タグ:中国

画像クレジット:Meituan via Weibo

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Qualcomm製品を搭載した中国の複合現実スタートアップNrealが42.5億円を調達

中国で最も注目されているMR(複合現実)のスタートアップであるNrealが、高名な投資家たちのグループからシリーズBで4000万ドル(約42億5000万円)を調達した。これにより同社のポータブル拡張ヘッドセット(未訳記事)の普及が、さらに進むと期待されている。

中国版TikTokのDouyinとライバルであるKuaishouがこのラウンドをリードしたことで、既存の投資家である中国のNetflixと呼ばれるiQiyiに続きNrealとの連携を確立するビデオプラットフォームがまた1つ増えた。世界中の他の主要な動画ストリーミングサイトと同様に、KuaishouとiQiyiは拡張現実コンテンツの制作に取り組んでおり、ハードウェアパートナーの確保は彼らの初期的な実験に役立つことは間違いない。

この他にも、国有金融持株グループのShanghai International Groupや中国の大手映画スタジオであるHengdian Groupを投資家とするGP Capital、国有通信機器メーカーのChina Electronics Corporationと国有の投資銀行である中国国際金融(China International Capital Corporation)が設立したCCEIF Fund、著名なプライベートエクイティ会社のHillhouse Capitalが設立したアーリーステージファンドであるGL VenturesやSequoia Capital Chinaといった、業界の豊富な資金力を持つ企業がこのラウンドに参加している。

2019年初めにNrealはXiaomi創業者のベンチャーファンドであるShunwei CapitalからシリーズAの1500万ドル(約15億9000万円)を調達した。当時、私が書いた(未訳記事)ようにAR、VR、MR、XRは、XiaomiのIoT帝国にとって重要なピースになることは間違いない。スマートフォンの超大手企業であるXiaomiが将来的にいずれNrealにスマートグラスを求めるであろうことは、火を見るよりも明らかだ。

創業3年の企業であるNrealにとって、その他の重要なパートナーはQualcommだ。このチップメーカーはは中国における5Gの展開に積極的に貢献し、中国の大手スマートフォンメーカーの次世代ハンドセットに採用されている(Qualcommリリース)。Nrealの軽量MRグラスに対してもクアルコムはSnapdragonプロセッサーを供給し、それらが容易にAndroidスマートフォンに接続できるようにした。

ARとVRに関するコンサルタントであるSeewan Toong(シーワン・トン)氏は「クアルコムと親密になったNrealは同社の顧客ネットワークにアクセスできるようになっており、その中には通信企業もいる」と語る。

それどころかこの複合現実技術を開発するNrealはすでに日本の通信企業であるKDDIと契約(KDDIリリース)し、韓国ではLGの携帯キャリアであるLG Uplus Corp(The Korea Herald記事)と提携している。

今回の最新ラウンドで、Nrealの総調達額は7000万ドル(約74億4000万円)を超え、同社によると5G時代における複合現実技術の大量採用が加速されるという。

Nrealがどのようにしてその約束を果たし、大規模でユーザーを確保し、大手テクノロジー企業の複合現実におけるのシンボルのような役割を超えていくのかは、今後の課題となっている。

これまでのところ、大手通信企業との取引はNrealと法定で争っていた(Engadget記事)Magic Leapの取引を思い出させるが、中国の企業はまだ現金を使い果たしていないように見える。その一方で、問題を抱えた米国企業は、消費者市場の開拓に失敗した後、エンタープライズ指向へと方向を変えている(未訳記事)。

「Nrealは忍耐づよく、大量販売ができることを示すために急いでいるわけではない。現在、同社はその技術にユーザーシナリオがあることを証明しようとしている」とトン氏はいう。

カテゴリー:VR / AR / MR

タグ:中国 Nreal 資金調達

画像クレジット: Nreal

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

中国物流大手YTOが海外展開強化へアリババから1025億円調達

eコマースは過去10年で中国に物流ブームをもたらし、小さな町の配達業者を複数の国で事業を展開する会社に変えた。業界をリードする1社であるYTOは長年のパートナーかつ顧客であるAlibaba(アリババ)から66億人民元(約1025億円)を調達し、国際展開を積極的に進めようとしている。

設立20年のYTOは今週、3億7900万株を1株あたり17.4人民元(約270円)でAlibabaに売ると発表した。新規株の取得によりAlibabaの持ち分は10.5%から22.5%に増える。YTOの創業者2人の支配持ち分は41%となる。

発表によると、新たな投資によりAlibabaとYTOはグローバル展開を強化する野心的な取り組みの一環として、配達、航空貨物、グローバルネットワークとサプライチェーン、デジタルトランスフォーメーションなどで提携を深める。

Alibabaの広報担当は、顧客サービス能力をさらに高めるためにデジタル化とグローバリゼーションにフォーカスしたYTOとの戦略的提携をさらに強化できることを当社は喜んでいる、と述べた。

中国のエクスプレス配達マーケットで14%のシェアを占めているYTOは、5大物流会社の1社だ。これら5社は中国東部に位置する浙江省桐盧県で創業された。ライバルのSTO、ZT、 Best Express、Yundaと同様、YTOの興隆もAlibaba抜きには語れない。Alibabaは AmazonやJD.comと異なり、自前でインフラは構築せず、サードパーティーの物流サービスに頼っている。

eコマース大手のAlibabaはこれまで桐盧県にルーツを持つ物流大手5社にさまざまな額の出資を行い、グループの物流部門Cainiaoを介して関係を維持してきた。Cainiaoは年500億個の荷物をさばくためにベンダーと配達業者をマッチングしている。

YTOとCainiaoはすでに海外進出で提携していて、合弁会社が2018年に世界で最も貨物取扱量が多い香港国際空港にデジタルロジスティックセンターの建設を開始した。中国国営の航空会社、中国航空集団もまた合弁会社に出資していて、センターは早ければ2023年にもオペレーションを開始する見込みだ。

2019年の時点で、YTOは世界中に18法人と53のサービスステーションを置き、150カ国・地域で配達サービスを展開している。積極的な海外展開は、世界中に鉄道や通信ネットワーク、その他のインフラを構築するという中国の大きな計画、一帯一路により生み出され得るかなりの輸出チャンスを取り込むというさらに大きな目標に合致するものだ。

画像クレジット: Visual China Group / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

インドが中国関連アプリさらに禁止、PUBGやBaiduほか100種以上に拡大

国境を接する2大国間の地政学的緊張が激化する中、インド政府は人気モバイルゲームアプリPUBGなど100種類以上をインドのサイバーセキュリティに対する脅威として禁止した。

9月2日インドのIT省は「インドの主権、統合、国防及び公の秩序に対して有害な影響を与える」ことを理由に118種類のアプリを新たに禁止した。この措置は「何千万ものインドのインターネットおよびモバイルネットワークのユーザーを守るためのものだ」という。

今回の措置は2カ月前にインド政府が、TikTok、Alibaba傘下のUCブラウザ、UCニュースなど59種類のアプリを禁止したのに続くものだ。インドはTikTok最大の外国市場だった。

今回禁止されたアプリには、検索エンジンのBaidu(バイドゥ)、企業向け共同作業アプリのWeChat Work、クラウドストレージのTencent Weiyun、ゲームのRise of Kingdoms、ユーティリティのAPUS Launcher、TikTok用VPNサービス、eコマースのMobile Taobao、ビデオホスティングのYouko、ニュースポータルのSina News、カードリーダーのCamCardなどに加えて、PUBGのライト版などが含まれる(禁止されたアプリのリストはこちら)。

今回禁止リストに追加されたアプリの中ではPUBGが段違いにユーザー数が大きい。モバイルアプリの分析企業であるSensor Towerによれば、インドにおける7月の月間アクティブユーザーは4000万人以上だった。インドはPUBGの累計インストール数の4分の1を占めるという。PUGB自体の開発元は韓国企業だが、中国でのゲームの配信については中国のネット大手のTencent(テンセント)が手掛けている。

インドのエレクトロニクスおよびインフォメーションテクノロジー省は声明で「我々は多方面から繰り返しこの問題に関する指摘を受けていた。これにはAndroidとiOSプラットフォーム上のいくつかのモバイルアプリがユーザーデータを盗み、承認を得ないまま常習的にインド国外のサーバーに送信していたという複数の報告を含む。インドの主権とユーザーのプライバシーを害するこれらのアプリに対して厳しい措置を取るべきだとする公衆の意見が高まってていた」と述べている。

世界最大と第2位の人口を誇る両国間の緊張は今年に入って激しく激しさを増した。ヒマラヤの国境紛争地帯における衝突で20人以上のインド兵が中国軍に殺害されるという事件が起きた後、「中国ボイコット」がインドにおけるTwitterのトレンドのトップを占めるようになった。多くのインドのユーザーが中国製スマートフォンやテレビなどの製品を壊すビデオをソーシャルメディアにアップしている。

今年4月にインドは外国投資に関する規制を大幅に見直し中国の投資家に対し事前に政府の承認を得ることを義務付けた。これら中国の投資家は近年インドのスタートアップに対し数十億ドルの投資を行っていた。この後、インドのスタートアップエコノミーにおける中国投資家の地位は大きく後退している。先月アリババグループはインドにおける新たな投資を少なくとも向こう半年中止したと報じられた

8月31日にインド国防省は「先週末、両国の既存の取り決めに反し、国境地帯における領土拡大を図る中国軍によってインド軍が妨害を受けた」と発表している。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

中国のEVスタートアップXpengがニューヨーク証券取引所に上場、約1600億円を調達

中国の電気自動車スタートアップであるXpeng(小鹏、シャオペン)は、米国での最初の株式公開の結果、15億ドル(約1600億円)を調達した。米国と中国との緊張の高まりが懸念される中、投資家のEVとクリーンエネルギーへの興味がそれに勝ったかたちだ。

中国の広州に本社を置き、シリコンバレーとサンディエゴにもオフィスを構えるこの自動車メーカーは、9970万株を1株15ドル(約1600円)で販売し、およそ15億ドル(約1600億円)を調達したと書類には記されている。当初は、8500万株を11〜13ドル(約1170〜1380円)の公募価格で売り出す予定だった。

Xpengの株式は、ニューヨーク証券取引所で「XPEV」というティッカーシンボルで木曜日から取引が始まった。同社は、ウォールストリート・デビュー以前に受けた中国のeコマース大手Alibaba(阿里巴巴、アリババ)とXiaomi(小米科技、シャオミ)からの援助を含め、投資家たちから総計で17億ドル(約1800億円)を調達している。7月には、中国のテクノロジー好きな中流層を狙った電気自動車の新型車種を開発する目的で、およそ5億ドル(約530億円)をシリーズC+ラウンドで調達したことを発表した。

公開市場に移行したことで同社は、次第にEVメーカーが増えつつ中国市場での競争に必要なさらに巨額な資金に手が出せるようになった。Li Auto(理想汽車、リー・オート)、Nio(蔚来汽車、ニーオ)、WM Motor(威馬汽車、ウェルトマイスター・オート)、 そしてもちろん、2019年12月に新しい上海工場でのModel 3の生産を開始したTesla(テスラ)と競うことになる。

中国上海、2019年8月25日:中国の自動車メーカーXpengの上海のショールームで新車を下見する客たち(画像クレジット:Alex Tai/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

Xpengは、現在、G3 SUVとP7セダンの2車種を販売している。G3の生産は2018年12月に始まった。7月31日時点で、1万8741台のG3 SUVを顧客に納品したと同社は話している。

P7の出荷は2020年5月に開始された。Tesla Model 3の直接のライバルとなるP7は、7月31日時点で1966台が出荷されている。Xpengは、3つ目の車種も計画している。これもセダンタイプだが、2021年mp発売予定だ。

画像クレジット:VCG / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

米小売大手のウォルマートがマイクロソフトと組んでTikTok買収に参戦

ショートムービープラットフォームのTikTokに関するニュースの洪水は止む気配がない。

まず、100日前にTikTokにやってきたばかりの元ディズニー幹部のKevin Mayer(ケビン・メイヤー)氏がCEOを辞任したというニュースが飛び込んできた。

すでに売却をめぐるニュースは数多く報道されているがさらに米小売大手のWalmart(ウォルマート)もTikTok買収に参戦したことが判明した。 同社は複数のメディアの取材に対してMicrosoft(マイクロソフト)とチームを組んで買収を目指している(CNBC記事)ことを明らかにした。一方エンターテインメント関係ニュースのサイトでるThe Wrapは、Oracle(オラクル)がTikTok買収に200億ドル(約2兆1300億円)前後を提示したと報じている。

トランプ政権がTikTokを米国の安全保障に対する脅威として売却を命じて以後、同社はメディアの注目を一身に集めることになった。米国時間8月6日、トランプ大統領はTikTokの親会社である北京のByteDanceに対し「米国におけるTikTok事業の閉鎖を免れるためには45日以内に同社を売却する必要がある」とする大統領行政命令に署名した。この期限は後に11月中旬にまで延長された(The Verge記事)。

この命令はテクノロジー分野以外でも米中関係の緊張が大きく高まっている中で発せられた。対中国関係を悪化させた要因は、中国が治安維持を理由として香港に国家安全法を適用したこと ウイグルにおける数百万のムスリム住民の強制収容(New York Times記事)、関税、軍拡、南シナ海における領有権主張(ABC News記事)、さらには新型コロナウイルスの感染蔓延が中国発であることを否定したことなど数多い。

テクノロジー企業はこの2つのスーパーパワーの対立に巻き込まれた。TikTok問題の前にも米国政府は中国のファーウェイに対する制限を一段と強めていた(ロイター記事)。

大統領行政命令に対しTikTokは「命令には根拠がない」として裁判所に差し止めを申し立てるなど全力で反撃を始めている。一方米国のテクノロジー企業数社が買収に関してTiktokと話し合っていると報じられた。これにはマイクロソフトを筆頭に(未訳記事)、Twitter(Wall Street Journal記事)、Google(Wall Street Journal記事)、オラクル(未訳記事)が続いた。そして最新の参戦がウォルマート(CNBC記事)というわけだ。オラクルは8月27日午前中に「買収にあたって現金10億ドル(1060億円)とオラクル株式10億ドルぶんを用意し、買収後は同社の利益の半額を親会社のByteDanceに送金するという条件でホワイトハウスの了解を得られる見込みだ」(The Wrap記事)と報じられた。

TikTokアプリが米国の安全保障にとってどれほどの脅威になっているのか実際のところはまだ不明だ。行政命令はこの中国製のアプリが「合衆国の国家安全保障、外交政策及び経済活動に対する脅威」となっていると述べている。その根拠としてアプリが位置情報、インターネット閲覧履歴、検索履歴を含む米国市民の個人情報を収集していることを挙げている。批判者はTikTokは中国共産党による米民の個人情報の収集だけでなく、プロパガンダと検閲のツールとしても役立っていると指摘する。

TikTokアプリは最近米国で急成長を遂げ、ショートムービーの分野で驚くべきシェアを集めている。これは、例えば7月の下院司法委員会の反トラスト法公聴会でCEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が「Facebook は独占ではない」と主張したが、その根拠としてTikTokを挙げたほどだ。

アプリ情報の分析会社のSensor Towerによれば、TikTokは米国だけで19400万回近くダウンロードされている。これは中国版の抖音(Douyin)を含めて世界におけるダウンロード数の8.2%にあたる。また8億4000万ドルの総収入のうち米国は13%、1億1100万ドル占めているという。

同じくアプリ情報分析会社のApp Annieのデータによれば、TikTokは8月9日から15日までの1週間のアクティブユーザー数は5200万人だったという。アクティブユーザー数は上昇中で、7月15日から25日の週は2020年初めの数字と比較して75%もアップしていた。実際にTikTokはApp Storeの第2四半期で世界ベースで最大収入を得たアプリとなっている。利用時間の急増には新型コロナウイルスの感染蔓延で多くのユーザーが外出を制限されことが大きな影響を与えているのだろう。App StoreでもGoogle  PlayストアでもTikTokは常に5位以内を占めてきた。

アプリの利用時間も間違いなくアップしている 。2018年8月の月間利用時間が5時間4分だったのに対し、2019年12月には16時間20分へと急増している。

こうした大成功にもかかわらず当社の今後は予測しにくい。同社は訴訟に注力する必要があるし、同時に買収にあたって米国の規制当局から承認を得なければならない。また大統領選挙が激しく戦われている時期にあたってユーザーからの信頼を繋ぎ止めるのも重要だろう。TechCrunchでも新しい情報が得られ次第、記事をアップデートしていく。

画像:Lionel Bonaventure / AFP/ Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

BlackBerryは中国のスマートカーXpengのOSになる

一時期は先頭を走っていたものの、スマートフォン製造ゲームからずいぶん遠ざかってしまった(未訳記事)BlackBerry(ブラックベリー)だが、カナダの拠点でネット接続機器向けのソフトウェアを提供するための移行に忙しい。その機器の中に、スマートカーがある。現在、同社はその部門を中国に移している。

今週、BlackBerryは中国で最も多くの資金を調達した電気自動車スタートアップのひとつであり、中国におけるTesla(テスラ)のライバルでもあるXpeng(小鹏、シャオペン)のレベル3自動運転ドメインコントローラー開発にソフトウェアを提供することを発表した(BlackBerryリリース)。Xpengのインテリジェントコックピットには、QNXと呼ばれるBlackBerryのオペレーティングシステムが搭載される。これで、自動車メーカーの次世代モデル開発に参入したAndroid(アンドロイド)やLinux(リナックス)に対抗することになる(GlobeNewswire記事)。

BlackBerryとXpengの提携には、Aptiv(アプティブ)のような車載システムを総合的に扱う企業Desay SV Automotive(德賽西威汽車、デゼイエスブイ・オートモーティブ)が仲介に立っている。Desay SVは1986年に創設され、Siemens(シーメンス)を含む中国とドイツのジョイントベンチャーとして輝かしい歴史を持つ。恵州を拠点とする同社は、現在は中国をはじめ世界の自動車業界のティアワンブランドに部品を供給しつつ、OEM機器も提供している。

Xpengのドメインコントローラーのカネールには、NVIDIA(エヌビディア)の自動運転車用Xavier(ゼイビア)コックピットチップが使われているため、Xpengの新型車のソフトウェアとハードウェアのかなりの部分が外国の技術に依存している。

現在注目を集めているXpengの量産モデルは、P7と銘打たれた電気スポーツセダンだ。これには、「車の運転状況」の計算を行い「周囲の環境をリアルタイムでモニターし安全な運転判断を行う360度全方位の感知システムを提供する」処理ユニットが搭載される、と同社は発表の際に伝えている。

「Desay SV Atomotiveは、インテリジェントコックピット、スマートドライビング、ネット接続機器に豊富な経験を有しています。BlackBerry QNXの安全性に関する専門技術を加味することで、私たちはともに、有意義なトランスフォーメーションを推進する自動車業界の多様なニーズに対応できるようになります」と、BlackBerry Technology Solutions(ブラックベリー・テクノロジー・ソリューションズ)の上級副社長兼共同経営者であるJohn Wall(ジョン・ウォール)氏は声明の中で述べている。

「その目標にとって、BlackBerryの技術をXpeng Motorsの革新的な新型P7システムに導入できることは、まさに特権といえます」。

Alibaba(阿里巴巴、アリババ)とXiaomi(小米科技、シャオミ)の支援を受けるXpengは、今回の提携により、ニューヨークでの初の募集で11億ドル(約1170億円)の調達を見込んでいる。Li Auto(理想汽車、リーオート)とNIO(上海蔚来汽車、ニーオ)という中国のライバルも、米国でのIPOで同等の資金を調達している。

関連記事:BlackBerryが5GのAndroid端末として2021年復活、高セキュリティと物理キーボードをウリに無名企業が挑む

カテゴリー:モビリティ

タグ:BlackBerry Xpeng 自動運転 中国

画像クレジット:Xpeng P7 electric sedan

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(翻訳:金井哲夫)

米政府のTikTok、WeChatの排除命令の全文とその背景

トランプ米大統領が署名した、TikTokの親会社であるByteDance(バイトダンス)と、米国人・米国企業との取引を禁じる大統領行政命令(米政府リリース)、WeChatに関するほぼ同様の命令(米政府リリース)が公開されている。ホワイトハウスではTencent(テンセント)が運営する中国で広く利用されているチャットサービスのWeChatとの取引も禁じたと発表している。ただし米国ではTikTokに比べてWeChatの利用は極めて少なく、在住中国人コミュニティが中心だ。

これらの大統領行政命令は45日後に発効するが、最大の問題は文言が不明確なことだ。伝えられるところによれば、どのような行為が禁止の対象になるのかについてウィルバー・ロス商務長官でさえ現在は答えられず、今後45日間で検討するという。さらにこれらの命令が米国におけるTikTok、WeChatおよびTencent製アプリなどの中国系アプリの運営そのものに与える影響も明瞭でない。

命令の文言自体はTikTok、WeChatの運営そのものを直接に禁じていないが、政府はこれらを他の方法で間接的に禁じることができる。トランプ大統領は8月6日に「中国の信頼できないサービスを追放する」と発表した。 このクリーン・ネットワーク・プログラムはWeChatとTikTokの禁止が含まれるものと考えねばならない。

Tencentの広報担当者は「影響を判断するために大統領行政命令の検討しているところだ」と述べた。

TikTokは「この命令の根拠は誤っており、デュープロセス(適正な手続き)を欠いている。これは世界のビジネスに対し米国が法治主義であることを疑わせる危険がある」と反論している。

大統領行政命令は冒頭で国際緊急経済権限法(International Emergency Economic Powers Act)と国家非常事態法(National Emergencies Act)を根拠として挙げている。ここで「合衆国におけるアプリの運営」を安全保障上の脅威と認定しているのは極めて異例で、おそらくは適法性を巡って訴訟が予想される。ByteDanceはインド政府による禁止を解除させる努力(未訳記事)を続けている。インドは7月にTikTokと59のアプリを一括して禁止した。米国同様、インドもこれらアプリによる個人データの収集が国家安全保障に脅威となるとしている。

一方、Microsoft(マイクロソフト)はTikTok事業をByteDanceから買い取る交渉を進めていると発表した。交渉の期限は9月15日だ。大統領命令が発効するのはマイクロソフトが発表した交渉期限の直後だ。ByteDanceはTikTokの所有権をマイクロソフトに引き渡すことに原則的に同意している(ロイター記事)と報じられた。ただし少数株主の地位を求めているようだ。.

ByteDanceに関する大統領命令は「中華人民共和国の企業によって製造、所有されるモバイルアプリ利用の拡大は、米国の安全保障、外交政策および経済をは脅かしている。現時点では、これらのモバイルアプリ、特にTikTokによる脅威に対する措置が必要と認められる」と述べている。

これに続いて行政命令は、発表から45日以降、 米国の司法権がおよぶいかなる人物あるいは組織もByteDanceおよび一切の子会社と取引が禁じられるとしている。ただし「関連ある放棄によって特に許される場合」は除かれる。命令はTikTokの位置情報、閲覧履歴、検索履歴を含むよるユーザーデータへのアクセスについて「中国共産党による米国人の個人データおよび知的所有権を持つデータへのアクセスを許し、連邦政府職員並びに契約諸機関の位置情報ならびに個人に対する詳細情報を取得させ、 こうしたデータが脅迫、産業スパイ行為のために利用される危険がある」と認定している。

トランプ大統領は先月末、行政命令によって Tiktok の利用を禁止するつもりだと述べた。大統領とマイケル・ポンペオ国務長官を含む政府高官はこの数週間、TikTok が米国の安全保障に対する脅威であることで次第に強い表現を使っていた。TikTokは北京に本拠を置く企業、ByteDanceが開発、所有しており、Tiktok の中国版であるアプリ(Douyin)も運営している。これに対しByteDanceはikTokの運営をできるかぎり中国から遠ざけようと努力し、そのデータも中国国外に保存されているとした。

Tencentのアプリも全面禁止の可能性

トランプ大統領のWeChatを禁止命令は、 TikTok 禁止に比べればやや意外だったが、完全に驚きというわけではなかった。ポンペオ国務長官が今週大統領は近くTikTokに対して措置を取るとした発表の中で、対象としてWeChatその他の中国製アプリも挙げているからだ。 ByteDanceの場合と同様大統領はWeChatのデータ収集は中国共産党にユーザーデータへのアクセスを許す危険性があり米国の安全保障にとって脅威であると述べている。またこの命令の中でWeChat は中国政府にとって政治的に問題のあるコンテンツを検閲しているとも述べている。

命令の禁止範囲はWeChatだけにとどまらず、米企業に対してがTencent Holdingおよびその子会社との取引を全面的に禁ずるものとなっている。

商務長官が今後45日の間にどのようにして禁止される取引の具体的な範囲を決定できるのも大きな疑問の一つだ。Tencentが米国のテクノロジー企業、エンタテインメント企業に対して行っている投資を考えると、行政命令は結果としてこれらのビジネスに多大な不利益を与えるおそれがある。Tencentの米国における投資は広汎さや巨額さでソフトバンクの投資と比較されることがある。過半数株主は株式への配当以外にも取締役への特別ボーナスなど様々な方法で利益の還元を得ることが可能だ。

例えばTencentは長年、Spotify、Snap、Reddit, Tesla, Warner Music、Universal Music、reddit、Teslaなどの大企業を始め、Fortniteの開発元のEpic GamesやLeague of LegendsのRiot Gamesのような高収益のゲーム企業にも投資を続けてきた。

この点に関してLos Angeles Timesは、ホワイトハウス高官が「行政命令による禁止はWeChat に関連する取引のみに限定され、他のTencent Holdingsとの取引には関連しない」と説明(Los Angeles Times記事)したと報じている(。しかし命令の文言からこのように読み取れるかどうは不明だ。

TechCrunchの取材に対してマイクロソフトはコメントを避けた。TechCrunchはホワイトハウスにも取材を続けている。

画像:Costfoto / Barcroft Media / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

中国スマホメーカーはトランプ政権の規制策で米国アプリインストール不可に

世界のスマホ販売の3分の1以上が中国のメーカー3社、Huawei(ファーウェイ)、Xiaomi(シャオミ)、そしてOppo(オッポ)によるものだ。これらメーカーは中国のサプライチェーンのおかげでコスパの良い端末を提供して成長しているだけでなく、比較的オープンなモバイルエコシステムを享受している。ほとんどの国の消費者はGoogle(グーグル)やInstagram(インスタグラム)、WhatsApp(ワッツアップ)などに自由にアクセスできる。

そうした自由は、米国・中国間のテック対立が現実のものになるにつれリスクにさらされている。テック対立はどちらの国にも悪影響を及ぼしうる。

トランプ政権の5本柱から成るClean Network(クリーンネットワーク)イニシアチブは、中国のスマホメーカーが米国のアプリをプレインストールまたはダウンロードできないようにすることを目的としている。米国の制裁によりHuaweiはすでにGoogleの主要サービスへのアクセスを失い、これにより中国外でのスマホ販売は大打撃を受けている。もしクリーンネットワークが適用されれば、OppoやVivo(ビボ)、Xiaomi、その他の中国スマホメーカーもHuaweiと同じ苦しみを味わうことになる。

中国は何年もの間、Great Firewall(グレートファイヤーウォール)が西洋のサービスを規制するなどしてインターネットを取り締まってきた。往々にして検閲の理由が明示されることない。いま、米国は中国のアプリを米国のインターネットから遠ざけようとしている。

クリーンネットワークプログラムは「米国市民のプライバシーと米国企業の最も機密性の高い情報を、中国共産党など悪意ある輩による攻撃的な侵入から守る」トランプ政権の取り組みの一環として4月に発表(米政府プレスリリース)された。

中国政府は8月6日、米国による中国テック企業への制限に断固反対すると述べ(Weibo投稿)、米国が自国のテクノロジー覇権を守るためにそうした行動に出ていると激しく非難した。

中国のソーシャルメディアでは多くの人が、トランプ政権のクリーンネットワークを、中国の日常的なサイバースペース取り締り(Weibo投稿)と比較している。中国の当局はポルノ、暴力、ギャンブル、その他の「不法」な動きを一掃する一方で、米国のものは自由なインターネットに終わりを告げるものだとしている。

規制がいつ、どのように実施されるのかは明らかではない。クリーンネットワークプログラムはまた、「信用できない」中国アプリを米国のアプリストアから排除することも目的としている。TikTok (ティクトク)の禁止はMicrosoft(マイクロソフト)による買収検討でなくなりそうだが、他の中国アプリもまた米国で大きな存在となっている。WeChat(微信)やWeibo(新浪微博)のように、多くのアプリが国外に散った中国人コミュニティをターゲットとしているが、中国企業が所有するLikee(ライキー)やZynn(ジン)のようなアプリは地元のユーザーに利用されている。

中国企業はすでに、リスクを回避している。TikTokを含む一部の企業は海外にデータセンターを設置した。また別の企業は他国に企業登録を移して米国オフィスを維持する一方で人件費の安いエンジニアを中国に擁している。全てのアプリについて、中国とつながりがあるかどうか調査するのは純粋に不可能だ。

クリーンネットワークプログラムでは、China Mobile(中国移動通信)のような通信会社は米国の通信ネットワークに接続することは許されない。これにより、中国の通信会社は中国人旅行者に米国でのローミングを提供できなくなる。

クリーンネットワークプログラムではまた、米国企業はAlibaba(アリババ)、Tencent(テンセント)、Baidu(バイドゥー)のような中国のクラウドサービスに情報を保存することを禁じている。中国のクラウドプロバイダーは、Tencentが米国ユーザー向けに提供しているゲームのように、自社のサービスのためにデータを保存するときを除き、米国で多くの顧客を持つことはできない。

最後に、世界と接続している米国の海底ケーブルが「中国による情報収集に利用されない」こともクリーンネットワークプログラムは求めている。

プログラムが実行されれば、広範に及ぶ制限が中国からの報復を招くのは必至だ。しかし中国政府にとって交渉を有利にする材料は何だろうかApple(アップル)とTesla(テスラ)は中国での事業展開にかなり関心をもっている数少ない米国テック大企業だ。

画像クレジット:Jennifer A Smith / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

YouTubeが中国の多数のアカウントを「政治的スパム」として削除

YouTubeは中国のアカウント多数を組織的な政治的影響力の行使に従事していたとして削除した。この4月から6月の四半期における中国アカウントの削除は2596件と急増している。2020年の最初の四半期の削除は227件(Googleブログ記事)だった。

Googleは脅威分析の速報である「TAG Bulletin: Q2 2020」(Googleブログ記事)で、第2四半期の状況を「削除されたチャンネルがアップロードしていたのは主として非政治的コンテンツだったが、一部のコンテンツが中国の政治に関連していた。内容はGraphikaが最近レポートしているものに似ており、新型コロナウイルスが中国で発生したものでないなど、中国側主張に対する米国の反論に関連したものも含まれていた」と述べている。

Graphikaの「スパモフラージュ・ドラゴンの復活:中国擁護スパムネットワーク再び仕掛ける」と題したレポートはこちらで読める。それによれば中国の世界的なプロパガンダ攻勢の一環として今年の初め頃から多数のスパムアカウントがYouTube、Facebook、Twitterなどのソーシャルメディア上で活動を始めていたという。

スパムネットワークは中国政府を擁護するチャンネルでビデオ画像を大量に使っていた。また中国語、英語の双方で長文の非政治的記事を掲載していた。バスケットの試合や風景、モデル画像、TikTok動画など無害な非政治的コンテンツの間に政治的記事が埋め込まれていた。つまり政治的スパムをカモフラージュしようと意図した行動と考えられる。そこで「スパモフラージュ」と名付けた。

このスパムドラゴンの活動が「復活」と名付けられた理由は昨年の秋にも同様のスパム行為があったからだ。黒幕が誰であるにせよ、発見されても気にする様子はないようだ。利用されたアカウントは新規のものもあれば休眠アカウントを乗っ取ったり盗んだりしたものもあった。今回もこうしたアカウントを大量に使って前回によく似た手法のスパム活動に利用している。ただしグーグルが指摘するとおり今回はこれに新型コロナウイルス関連のスパムが加わっているのが新しい。

6月になると、スパムコンテンツにはGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏とBreonna Taylor(ブリオナ・テイラー)氏の殺害に端を発した人種的不公正に対する抗議活動が米全土で盛んになったことが含まれるようになった。

中国のキャンペーンはロシアやイランのものと同様マルチプラットフォームだとグーグルは指摘している。これはFacebook Twitter、サイバーセキュリティ企業のFireEyeも報告していた。

チャンネルの削除は4月に186件だったのに対し、5月に1098件、6月に1312件と急増してきた。これからすると夏には大量のスパムの発生がありそうだ。注意して観察したい。

画像:Jaap Arriens/NurPhoto via Getty Images 

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

マイクロソフトがTikTokの米国事業買収で中国のByteDanceと協議中

Bloombergの記事によると、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は大人気ソーシャルビデオアプリTikTokのオーナーである中国のByteDance対してに、同社からの売却を命じる計画を立てているようだ。このアプリは親会社が中国の企業であり、米国のセキュリティ上の懸念の対象になっている。

この報道に続いて話題になっているのは、米国などの国々でもユーザー数が多い中国のソーシャルネットワークサービスをMicrosoft(マイクロソフト)が買収する商談を行っているというBloombergThe NewYork Timesの報道だ。TikTokは中国では利用できず、中国のユーザーは代わりにByteDanceが所有する類似アプリであるDouyinを利用している。

この売却が何を意味しているのか、果たして大統領が関与しているのか、詳細はまだ何もわかっていないが、もし実現すればテクノロジーの世界に巨大な波がやってくるだろう。TikTokは、YouTubeやFacebook(フェイスブック)のような米国を拠点とするソーシャルネットワークにとって、唯一の規模などにおいても無視することができない外部の競争相手だ。

また、売却によってTikTokの米国事業がなんらかの形でスピンアウトするのか、それとも同社の幅広い国際的事業がそのまま残るのかもわからない。

TikTokは、米国におけるトラブルを承知している。米国のテクノロジー企業でさえ規制当局から攻撃される時代である現在、同社は中国の所有権に関する米政府の懸念を払拭しなければならないことを知っている。TikTokは2020年5月に戦略的な動きを見せ、Disney(ディズニー)の役員であったKevin Mayer(ケビン・メイヤー)氏を同社のCEOおよびByteDanceのCOOに迎えた(未訳記事)。

関連記事:Disney streaming exec Kevin Mayer becomes TikTok’s new CEO(未訳記事)

米国のテクノロジー大手がTikTokItを買収するとしたら、今は確かに奇妙なタイミングだ。米国時間7月29日には議会の委員会が、テクノロジー業界の最大の合併と買収を厳しく追及した。ホワイトハウスはTechCrunchに対して、記事へのコメントを拒否している。

7月29日水曜日にはApple(アップル)、Google(グーグル)、フェイスブックそしてAmazon(アマゾン)が4時間あまり議会で締め上げられたが、その中にマイクロソフトの姿はない。マイクロソフトはすでに以前、反トラストの嫌疑で米政府にやられたことがある。またマイクロソフトが消費者よりもエンタープライズにフォーカスしていることも、規制当局が見逃した理由だろう。しかしTikTokの一件は連邦政府からの特例でもないかぎり、議会や政府の新たな注意を招きかねない。

TikTokに対する政府の監視は最近ますます厳しい。ついに大統領までもが(未訳記事)、米国でのTikTokの禁止に関心を示している(The New York Times記事)。今週、Joe Biden(ジョン・バイデン)氏はキャンペーンでスタッフに対して仕事用でも個人用でも、自分のデバイスからTikTokのアプリを削除するよう求めた(The Verge記事)。

米国の一部の企業は、やはりオーナー企業が中国籍である懸念から、社員たちにこのアプリの使用を禁止している。

画像クレジット: Lionel Bonaventure/AFP/Getty Image

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

中国Kandiが米国で200万円台の格安電気自動車を販売開始

中国の電気自動車とパーツのメーカーであるKandi Technologies(康迪、カンディ・テクノロジーズ)グループは、その子会社であるKandi Americaを通じて電気自動車2車種を公式に米国で販売することになった。このニュースが流れると、その日の同社の株価は上昇した。

KandiのNASDAQでの株価は米国時間7月30日、3.38ドルで取引を開始し、16.51ドルに跳ね上がった。本稿執筆時点では9ドル弱で落ち着いている。

Kandiは、2年ほど前から米国で電気自動車を展開すると話していた。そしていま、まずはテキサス地区限定で早ければ2020年末に2つの車種が販売される運びになった。どちらも価格は、米連邦政府の補助金を入れない金額で3万ドル(約313万円)以下に設定されている。

画像クレジット:Kandi America

米国で発売される2車種のうちのひとつは、KandiのコンパクトカーであるK27。同社によれば、17.69KW/h(キロワット時)のバッテリーを搭載し、走行距離は最大100マイル(約160km)とのこと(EPA電費かどうかは不明)。K27の価格は2万499ドル(約214万円)からで、7500ドル(約78万円)ぶんの連邦政府の所得税控除の対象となる。これを加味するとK27の価格は1万3000ドル(約136万円)を下回ることになるが、思わぬ追加価格がかかる恐れもなきにしもあらず。

もうひとつ米国で販売予定なのが、やや大きめのK23だ。これは小型の電動SUVで、41.4KW/hのバッテリーを搭載し、走行距離は180マイル(約290km)を超えるという。K23の価格は3万ドル(約313万円)を少し切るところから始まる。これも米連邦政府の所得税控除の対象となる。

この2つのEVは、米連邦政府の補助金を入れなくても、Tesla(テスラ)のModel 3、日産のリーフ、現代自動車(ヒュンダイ)のIoniq(アイオニック)、KIA(キア)のKona EV(コナイーブイ)などなど米国で売られているどのEVよりも安い。

「ターゲットは、EVを選択肢に入れることが少ない米国の中流層だ」とKnadi Technologiesの会長Xiaoming Hu(胡暁明、フー・シャオミン)氏は声明の中で述べている。Kandi AmericaのCEOであるJohnny Tai(ジョニー・タイ)氏も同じ考え方を示した。

「電気自動車は、効率性、持続性、革新性において長年評価されてきました。しかし、高性能な電気自動車は欲しいが、理想の車を所有すれば、その他の現代生活のあらゆる快適性が往々にして犠牲にされてしまいます。Kandiは、多くの人のEVの購入体験に革命を起こすことで、それを変えようとしています」とタイ氏は言う。「Kandiの指名は、電気自動車をすべての人の手の届くものにすることです」。

この2車種は、明らかに入手可能な基準をクリアする。問題は、価格の他に、信頼性や性能などを含む、米国人が重要と思う項目のリストにチェックマークが入れられるかどうかだ。

これらの車は、Kandi Americaが拠点を置くテキサス州ガーランドの、Kandiの100%子会社のSC Autosports(エスシーオートスポーツ)から発売される。ダラスとフォートノースでの販売から開始される予定だと同社は話していた。

画像クレジット:Kandi Technologies Group

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(翻訳:金井哲夫)

インドと米国に続き日本でもTikTokなどの中国製アプリ禁止か

日本の一部の国会議員たちがインドや米国に倣って、TikTokなど中国の企業が開発したアプリの使用を制限しようとしている。インドはすでに中国のアプリを数十件もブロックしており、米国では政府による禁止が検討されているという話がある。

議員たちの動きを最初に報じたのは、日本の全国民的放送局NHKだ。弁護団は、米国とインドの政府職員と同じように国内ユーザーのデータが北京の手に渡るという懸念を共有し、使用制限の提議を早ければ9月にも日本政府に提出するつもりだ。

日本は海外のインターネット企業にとって難関と見なされていたが、TikTokは最初の成功例だった。同社の出来たばかりのローカライズチームは、日本の著名人ユーザーの獲得に努力した。

調査会社App Annieによれば、日本のiOSストアにおいてTikTokはエンターテインメントアプリの中で常にトップであり、本稿執筆時点で日本国内の全カテゴリーで5番目にダウンロードされたアプリだ。

日本からの批判を受けてTikTokの広報担当者はTechCrunchに対して、アプリは中国からの管理に対して距離を保っている、とおなじみの声明を繰り返している。

「TikTokに関しては間違った情報が多い。TikTokには米国人のCEOと数十年もの業界経験を持つ情報セキュリティの最高責任者(Chief Information Security Officer)がいます。彼は米軍と法執行機関での経験があり、弊社の米国チームは、業界で最上級のセキュリティインフラを鋭意開発している。親会社の5名の取締役の内4名は、世界で最も尊敬されているグローバル投資家が占めている。TikTok U.S.のユーザーデータは米国とシンガポールに保存され、従業員のアクセスは厳重にコントロールされている」。

中国のその他のテクノロジー大手も長年、日本を狙っている。BaiduのSimejiは、日本人に人気のある日本語入力アプリの1つだ。日本のメインのチャットアプリといえばLINEだが、中国とつながりのある日本企業ではWeChatが欠かせない。インドでの禁止は、急成長するインターネット市場を狙う中国の開発者にとっては不幸なことだが、しかしインドにおけるユーザー1人あたりの平均収入は欧米に比べると低いままだ。しかし日本は、はるかに儲かるマーケットだ。

関連記事:インド政府がTikTokなど中国企業の59のアプリを禁止すると発表

関連記事:インドで禁止された中国企業アプリへのアクセスを促す47アプリも禁止に

画像クレジット:TikTok JapanのTwitterより

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

深圳で犬へのマイクロチップ埋め込みが義務化、費用は行政負担

ハードウェアの世界的中心都市が、ペットのためのデジタル技術に取り組んでいる。2020年5月に中国南部の都市である深圳は、すべての犬はチップを埋め込まなければならないと発表(Global Times記事)し、英国(BBC News記事)、日本(The Japan Times記事)、オーストラリア(RSPCAリリース)などと並んで、現在、続々増えている犬のマイクロチップを義務化した国々の仲間入りをすることになった。

Shenzhen Urban Management Bureau(深圳都市管理局)からのソーシャルメディアへのポスト(Weibo投稿)は、今週、当市の行政は市に登録している動物病院に注入ステーションを設置する作業を開始したと報告している。

チップの寿命は15年以上といわれ、大きさは米粒程度、犬の首の皮膚の下に埋め込まれる。有資格者がそのチップをスキャンすると15桁のユニークな数値がわかり、そこからさらに犬の名前や犬種、オーナーの名前、連絡先などがわかる。これにより迷い犬の減少が期待される。そのマイクロチップは、電波による近距離の静的データ送信を行うRFIDチップで、犬の位置などの動的データは追わない。また、地元メディアの記事によると、行政がオーナーの個人情報を保存することはない(SHENZHEN CHINA記事)。

深圳を象徴するようなテクノロジー企業であるHuawei(ファーウェイ)は、米国の貿易制裁の中で外国の半導体部品の追放に躍起になっているが、市の調達部局はペット用チップを輸入した。前述の記事によると、それらは米国とスウェーデンのブランドだという。

深圳は今、ペットの人口が増加しているので、それらに対する監督力を強めたい行政は、すべてのチップとその埋め込み費用を市が負担することにした。2020年11月までに自分の犬にマイクロチップを埋め込まなかった者は罰金を払うか、犬を市に渡さなければならない。この人口2000万あまりの都市には、2019年現在の公式データ(深圳市リリース)で約20万の犬と猫がいる。同じ2019年に中国全土では1年間に犬と猫の人口が8.4%増加して10億頭近いと業界の白書(Pet Fairリリース)はいう。

画像クレジット:Angelo Merendino/Corbis / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インドで禁止された中国企業アプリへのアクセスを促す47アプリも禁止に

インドは2020年6月に、中国企業が開発したアプリ59本を国家安全保障上の脅威だとしてブロックし、さらに追加で47本を禁止した。

事情に詳しい関係者によると、米国時間7月24日金曜日の遅くに発表されたインドの電子IT省による新しい禁止令は、その前に禁止されていたTikTokやCam Scannerといったサービスへのアクセスを促すアプリを対象としている。新たに禁止されるアプリにはCam Scanner Advanceや、カスタマイズされたライトバージョンのHelo、ShareItなどがある。インド政府は禁止アプリの完全なリストを7月27日に発表すると予想されている。

なお、6月にヒマラヤ山脈での軍事衝突で20人以上のインド人兵士が殺害されたことで、インドでは反中感情が高まっている。主要なモバイル調査企業によるとTikTok、クラブファクトリー、UCブラウザと他のアプリをまとめたアプリは、5月の月間アクティブユーザー数が5億人を超えていたという。

インド政府は、さらにいくつかの中国のアプリやサービスへのアクセスを制限することを検討している。The Economic TimesやIndia Todayなどの地元メディアは月曜日(The Economic Times記事)、インド政府がByteDanceの音楽ストリーミングサービスことResso(未訳記事)やAli Express、モバイルゲームのPUBGなど、主に中国企業が開発した追加の275個のアプリを審査していると報じたが、まだ決定には至っていないという。

ここ数週間、中国の人気サービスが禁止されたことで生じた空白を埋めるためにインドのスタートアップが殺到している。InMobi GroupのRoposoとTwitterが支援するSharechatは、この7月に何百万人もの新規ユーザーを獲得したと述べている。

しかしKantarによると、インドにおける禁止令の最大の恩恵を受けたのはFacebook(フェイスブック)だという。調査会社の概算によると、7月初めにインドでReels機能をローンチした(未訳記事)フェイスブックの看板サービスであるInstagramも、ここ数週間でインドにおけるユーザーエンゲージメントが30%急増した。

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:塚本直樹 Twitter