学生の資質の多様性にうまく対応しなかったためカ州立大のオンライン教育実験が頓挫

世界最大の大学システムが、大規模公開オンライン課程(massively open online course(MOOC))の大胆な実験を中断した。学生たちの、結果があまり良くなかったからだ。今年の1月に、San Jose State University(カリフォルニア州立大学サンノゼ校)は、オンラインコースのスタートアップUdacityと提携して、大量の学生に対する補習コースをきわめて低費用で提供する、と発表した

しかしWall Street Journalによると、このコースの受講者の終了試験合格率は20から40%で、これまでの平均75%に比べて非常に低かった。大学とUdacityの共同声明によると、“今後の改善と調整により教育過程を大学のポリシーに完全に整合させ、また内部的および対外的なコミュニケーションと、議論や対話の機会を充実させる”、ということだ。密なコミュニケーションがなく、機械的に講座だけを提供していたということか。

明るいニュースとしては、同校はHarvardとMITの合同オンライン教育プロジェクトEdXの導入ではかなり成功している。オンラインとオフラインを組み合わせた科学のコースでは、合格率はオフラインだけの場合の55%から91%へと急上昇した。

補習課程の失敗の原因は、学生自身にもある。WSJの記事によると、“20%は高校生、学生の67%は同校の正規の学生ではない者、そして正規学生の全員が過去に数学の補習クラスで不合格を経験している者”だった。(過去に不合格だった正規学生の29%は合格した。)〔訳注: ここで補習課程と訳しているremedial courseは、大学で必要な教科…たとえば微積分…を高校で完全に習得していない者に対する、補強的治療的な教育課程のこと。〕

Udacityには気の毒だが、学生のタイプがこれだけ多様だと、一律に高い成果を望むのは難しい。たとえばK12(小中高)のチャータースクールでの成功例の一部は、最初から優秀な生徒だけを選んだ結果だ。逆に能力やモチベーションにおいて学生間の格差が大きいと、単一の一律的なカリキュラムで高い成果を得ることは、難しいだろう。

しかし、高等教育のオンライン化による低費用化はもはや不可避の流れだから、特定の一時的短期的な失敗例が、この流れを止めることはありえないだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


女の子(幼女)に技術者教育(!)を行うLEGOふう組み立てブロック玩具GoldieBlox

バービーちゃん、おどきなさい。あなたの次のスターが来るのよ。

サンフランシスコベイエリアのGoldieBloxが、小さな女の子たちにテクノロジに興味を持ってもらうための玩具を作り、玩具小売のナショナルチェーンToys ‘R’ Us(トイザラス)に売ってもらえることになった。製品は同社の看板製品、お話を作りながら組み立てるLEGOふうのブロック”GoldieBlox and the Spinning Machine“で、すでに全国のお店で29ドル99セントで売られている

GoldieBloxは、Toys ‘R’ Usとの契約を記念して、こんなかわいいビデオを作った。上の画像は、そのビデオの一こまだが、過激派の女の子たちが、女の子向けに売られているピンク色の玩具に埋め尽くされた玩具店の通路を襲撃する。

ファウンダでCEOのDebra Sterlingはスタンフォード大学の工学部卒で、GoldieBloxを開発した動機は、自分が子どものときこんなのがあればよかったなぁ、と思うような玩具を、今の女の子たちに与えたかったからだ。トイザラスとの契約は会社にとって大きなプラスだが、まだまだやるべきことは多い、とDebraは言う。“うちの製品はまだ、プラスチック製のピンクの王女様たちの海に浮かぶちっちゃな箱にすぎないわ。むしろ、これからがたいへんよね”。

GoldieBloxのコンセプトは簡単だ: エンジニアリングが未来の人間にとってメインの仕事になることは明白だが、今はその仕事の約90%を男性が占めている。一方でLEGOのような玩具が多くの若者たちにエンジニアリング的な思考を育んでいるが、これも主に男の子向けとして売られている。GoldieBloxは女の子が魅力を感じる玩具を作り、彼女らの心に物作りへの関心を植え付け育てたい。

Sterlingには昨年の秋にSpinning Machineについて取材したことがある。そのときGoldieBloxは、Kickstarterで資金募集中だった(目標額を大きく突破する28万5000ドルが集まった)。では、下のビデオを見ていただこう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


最先端のバイオテク実験室シミュレーションをゲームエンジンUnity3Dで実装のLabster, 実験教室と教育ゲームの抜本改革を目指す

教育ゲームが生徒たちの積極的で自主的な関心を引き出す、とはよく言われていることだが、でも2011年に創業され今日(米国時間6/28)ステルス状態から脱したバイオテクノロジ教育のLabsterはさらにその先を行って、実験室全体を仮想化した。これで学校や生徒は、高価な器材を買ったり、危険な実験を実物で行わなくてもすむようになる。

Labsterは先週、同社が“電子学習のためのビデオゲーム(eLearning video game)”と呼ぶ実験室シミュレーションソフトウェアを立ち上げた。登録したユーザは最初の三か月、無料で利用できる。その後の料金は実験の内容によって異なり、必要なコンテンツをiPadのApp Storeで買ってダウンロードする。

Labsterはそのソフトウェアのライセンスを大学や学校、あるいは企業の教育用にライセンスしている。現在の顧客は、スタンフォード大学と、香港とコペンハーゲンの大学だ。ソフトウェアは昨年、1万名以上の学生を対象にテストされた。

それでは、Labsterとは何か? 協同ファウンダでCTOのMichael Bodekaerはこう述べる: “要するに科学のビデオゲーム。ゲームを通じて、DNAシークエンシングのやり方などを学び、将来はバイオ技術者や科学捜査官などになっていただく。理論ではなく、実物で学習する。たとえば、殺人事件における法医学的分析なども行う”。

なかなかよろしいようだが、でもそれはディスラプティブ(革新性がある)か? ある、とLabsterは言う。なぜなら、実際に高価な器材を買い専門の実験室を作って教育できるところは、限られているからだ。ソフトウェアは、そんな状況をディスラプトする。

“学生やバイオに関心のある人たちが何十万ドルもするNGSマシンや電子顕微鏡やHPLCにアクセスできることはまれだ。でもうちのソフトウェアを使えば、1日24時間/週に7日間、3Dで描かれた仮想実験室で、そういうすごい機械を使えるし、pHテストやDNAの操作、酵素のシミュレーションなどの数学的シミュレーションを実際に行える。有能な仮想アシスタントがいるので、このクールな新型玩具の使い方を教えてもらえる”、とBodekaerは言う。ソフトウェアはWeb用とiPad用があり、とくに3D要素はUnity3Dを使って実装されている。

また、分子過程の可視化などは、実物でやるよりも3Dアニメによるソフトウェアシミュレーションの方が多数回できるそうだ。しかも実物では、結果は分かるが過程は機械の中にあるので分からない、ということも多い。というわけでソフトウェアによるソリューションは、安上がりというだけでなく、学習内容も濃いのだ。また、ソフトウェア自身が小テストや質疑応答なども行うので、これまた実物実験より学習効果が高いだろう。

それにまた、従来の実験教科では生徒が一定の手順に従うことを強制され、学ぶ者の好奇心が抑圧される。しかしLabsterのソフトウェアベースの教科では、生徒が自分のアクションを選び、いくらでも失敗が許される。失敗から学んだことは、忘れない。というわけで、すぐれたシミュレーションソフトで学んだ方が、実物を使う実験教室よりも良い、と同社は主張する。

競合他社としては、Bodekaerによると、LateNiteLabsとMcGrawHill LearnSmart Labsがメインだ。しかしLabsterが独特なのは、教育の“フロー”を従来の実物教室とは変えていることと、ハイテク器材を仮想化してアクセスを広げていることだ。

“うちの競合他社は、従来の科学教育のフローをそのまま仮想化しているだけだ。それはすでに、多くの学生生徒によって、きわめて非効率であることが実証されているやり方だ。うちでは、学習研究者たちや教授たちと協力して、学習のフローを改革し、科学教育を再発明した。生徒の心を引き込み、楽しくて現実的なシナリオ、対話的な3Dアニメーションなどにより、ナノレベルで起きていることでも説明できる。また、現代的な授業方法により、学習効果の向上と学習内容の保持に努めている”、とBodkaerは主張する。

“しかもうちでは、70万ドルもする次世代型DNAシークエンシングマシンなど最新かつ高度な研究器材を、うちの高度なシミュレーションエンジンを利用してソフトウェア的に実装し提供している。それに対して他社は、従来の学校教育で使われていたような、古くて単純な器材を(シミュレートして)使っている”。

また、プラットホームの違いも大きい。Bodekaerによると、他社はもっぱらFlashだが、LabsterはiPadにより学習をモバイル化した。“競合他社はどこも、死に行く技術であるFlashを使っているから、iPadなどの市場に入ってこれない。うちでは最先端の3DゲームエンジンUnity3Dを使っている。それはクロスプラットホームだからiPadにもAndroidにもMacにもPCにもiPodにすらネイティブにコンパイルでき、Webブラウザにも対応する”。

Labsterのもう一人の協同ファウンダでCEOのMads Bondeは、バイオテクノロジの教育経験がある。同社の現在の資金はは、100万ドルの研究補助金と非株式サポートだが、Bodekaerによると、今数社の投資家たちとシリーズAの可能性について検討している、という。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Light-Botはプログラミングの概念(if-thenなど)を使ってプレイするゲーム

Light-Botは2008年に登場したFlashゲームだが、今回iOSとAndroid向けに作り直されたバージョンは、子どもたちに、ループやif-then節などプログラミングの概念を実際にコードを書かずに学ばせる。

作者のDaniel Yaroslavskiは7年前からゲームを作り始め、今ではカナダのウォータールー大学の学部学生だ。彼はこのゲームを、学校〔高校時代?〕でもらった4000ドルの賞金を使って作った。

Light Botのこれまでのバージョンは700万回プレイされ、iTunesとGoogle Playのストアで五つ星を獲得している。しかしYaroslavskiが言うには、“合衆国やロシアの教師たちは初期のLight-Botゲームを教室で使ってプログラミングの概念の初歩を教えていた”。

“プログラミング教育の分野でサービスやプロダクトを制作提供している人たちの多くは、実際にコードや言葉を使ってプログラミングを教えている。でもLight-Botはビデオゲームだから、より参加性があり、しかも、これからコンピュータ科学を教えるぞ!、という緊張した感じにならない。コンセプトをゲームがマスクして、コードそのものよりもプログラミングのロジックに集中する”、とYaroslavskiは言う。ゲームの最初はQ-Bertに似ていて、小さなロボットにブロックの上を歩かせる。そして徐々に、問題を解決するためにはプログラミングの概念を使わなければならないように、なっていく。

“子どもたちがテキストの壁の前に座らなくてもプログラミングを体験できる、しかも完璧にね”、とYaroslavskiは語る。

ゲームを利用してプログラミング生活技術などを教えるサービス/プロダクトはいろいろある。しかしYaroslavskiがユニークなのは、学生が作ったこと、そしてFlashゲームとしてすでにファンが多いことだ。プログラミングを学ぶ方法としても楽しいし、子どものためのプログラミング言語LOGOに似た面もある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Microsoft、Bing For Schoolsをアナウンス。より安全かつ効果的な検索環境提供を目指す

Bingは、学校生徒世代に対するアピール力を高めようとしているようだ。発表されたのは、K-12を対象とするオプトインプログラムで、名前をBing For Schoolsという。年内にもスタートさせる予定となっている。Bingを学校向けに特化したもので、検索結果に広告は一切表示されず、プライバシー面での強化がなされており、そしてアダルトコンテンツのフィルタリングをより厳格にしたSafeSearchを提供する。

繰り返しになるが、Bing For Schoolsは学校側からの申込みによってオプトインにより適用される。つまり都合に応じて標準の、学校用に調整されていないBingを利用することもできるわけだ。オプトインに申し込むことにより、当該学校のネットワークを利用してBing.comにアクセスすると、生徒たちの利用に適した形に調整されたBingにアクセスするようになる。申し込むことにより、無料で利用することができる。

このBing For Schoolsプログラムで他にどのような内容が提供されるのかについて、まだ詳細は明らかになっていない(詳細は現在詰めているところであるようだ)。しかし学業目的でコンピューターを触っているときに、広告で気を逸らしてしまったり、あるいは情報を勝手に渡されてしまったりすることを防ぐことも主目的のひとつとしている。SafeSearch機能も厳格化し、利用に際して簡単に設定を変えたりできないようにもする。もちろん、既存サービスの「制限」を持ち込むことのみがプログラムの目的であるわけではない。クリティカルシンキングのための、デジタルリテラシーについての教材なども提供していこうと考えているそうだ。

プログラムは無料で提供され、何かしらの見返りを予定するものではない。ただ、このプログラムを利用してもらえれば、アメリカの教育機関におけるBingの利用率が高まることに繋がる可能性もあるわけだ。生徒たちをBingに親しませることにより、プログラムから離れてもBing等、マイクロソフトの提供する環境を使い続けるようになる可能性もある。つまり、このBing For Schoolsは、未来を担う子供たちへの投資となるという意味だけでなく、Bingを運営するMicrosoftにとっての投資となる意味もあるわけだ。

BingのライバルであるGoogleも、「Search Education」や「Google Scholar」など、さまざまな教育関連ツールを提供している。しかし今回発表されたMicrosoftの取り組みは、より早い段階からの学生取り込みに寄与することができるかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H)


56台のRaspberry PiをLEGOの棚に収めたPiCloud, クラウド環境を目の前の実物で学習

Raspberry Piにはできないことって、あるだろうか? ここにもまた、この35ドルのマイクロコンピュータの…それを56個重ねた…おもしろい実装がある。PiCloudと呼ばれるこの作品は、Pi用のおあつらえ向きの棚としてLEGOブロックを使っている。(PiとLEGOを組み合わせた作品は、ほかにもあった。)

この作品はグラスゴー大学のコンピュータ科学専科大学院(School of Computing Science)で教材として作られ、学生たちはこれをハックしながら、AmazonのAWSなどで使われているクラウドプラットホームのインフラストラクチャと、その技術(仮想化など)について勉強する。

PiCloudの56のRaspberry Piは、LEGOで作った4段の棚に収められ、16のEthernetラインで接続されている。内14がPiのネットワーク用、2つがスイッチ用だ。各PiボードがRaspbian Linuxを動かし、さらに3つのLXC仮想化コンテナがLinuxのインスタンスを動かす。

PiCloudが動かしているソフトウェアは、“シンプルなワークロード”と呼ばれるlighttpdなどと、実験用の“人工的なワークロード”と呼ばれるlookbusyなどだ。PiCloud上のそのほかの実験的なハッキングとして、libvirtdockerなどもある。Hadoopも動かしているが、これは目下ネイティブのLinuxインスタンス上のみで、LXCのインスタンスではない。

学生の一人が、PiCloudのAWSふうWebコンソールインタフェイスを作った(下図):

PiCloudの作者たちは、これは“永遠に未完の作品だ”と言う。教材としてはたとえば、“libvirtが使えるようになったら”ovirtなどの標準ツールも導入したい。やりたいことが、まだまだある。また教材以外に、これは研究材料でもあり、コラボレーションの素材でもある。詳しくは、プロジェクトのホームページを見てみよう。

PiCloudは、Piが利用者のさまざまな目的やミッションに奉仕することの好例であるとともに、いわゆる“メーカー”たち(参考記事)の人気者であることも示している。Raspberry Pi Foundationは元々、イギリスでもっと多くの子どもたちがプログラミングを学べるために、この低価格の超小型コンピュータを作った。PiCloudも今まさに、そのために役立っているのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


目に見えない電気をAR(拡張現実)で見えるようにするLightUpの電子工作教材

電子工学の習得は難しい。電気は目に見えないし、部品はよく分からないし、概念も難解だ。そこでLightUpが登場する。子どもたちに小さな電子工作のプロジェクトを作らせ、AR(拡張現実, augmented reality)を利用して部品の働きを理解させるのだ。

そのプロジェクトは磁石を使って組み立て、回路に通電するとLEDが点灯しブザーが鳴る。でもその回路を携帯で写真に撮ると、アニメのラインが現れて電気が今何をやっているのかを示す(下図)。電子回路としてはあまりにも簡単すぎるが。しかしダイオードの向きが逆だったり、トランジスタが動作していなかったりすると、そのことを教えてくれるのがいい。

99ドルのキットには、Arduinoマイクロコントローラと各種の抵抗器と光センサーとLEDが含まれている。39ドルのキットでは、モールス信号ブザーやライト、調光器、お弁当箱警報器などを作れる。ぼくなら、お弁当箱警報器を作って、自分のジェリービーンを子どもたちに食われないようにしたいね。

LightUpはすでに資金を調達済みだ。類似サービスとしてLittleBitsなどがあるが、ARの利用はこのキットの魅力だろう。単純素朴に実験をするのではなくて、LightUpでは電子の流れなどを“見る”ことができるから、科学教育の教材として優れている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


目に見えない電気をAR(拡張現実)で見えるようにするLightUpの電子工作教材

電子工学の習得は難しい。電気は目に見えないし、部品はよく分からないし、概念も難解だ。そこでLightUpが登場する。子どもたちに小さな電子工作のプロジェクトを作らせ、AR(拡張現実, augmented reality)を利用して部品の働きを理解させるのだ。

そのプロジェクトは磁石を使って組み立て、回路に通電するとLEDが点灯しブザーが鳴る。でもその回路を携帯で写真に撮ると、アニメのラインが現れて電気が今何をやっているのかを示す(下図)。電子回路としてはあまりにも簡単すぎるが。しかしダイオードの向きが逆だったり、トランジスタが動作していなかったりすると、そのことを教えてくれるのがいい。

99ドルのキットには、Arduinoマイクロコントローラと各種の抵抗器と光センサーとLEDが含まれている。39ドルのキットでは、モールス信号ブザーやライト、調光器、お弁当箱警報器などを作れる。ぼくなら、お弁当箱警報器を作って、自分のジェリービーンを子どもたちに食われないようにしたいね。

LightUpはすでに資金を調達済みだ。類似サービスとしてLittleBitsなどがあるが、ARの利用はこのキットの魅力だろう。単純素朴に実験をするのではなくて、LightUpでは電子の流れなどを“見る”ことができるから、科学教育の教材として優れている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


今年Khan Academyは学習の進捗診断とサイトの国際化に重点, Sal Khanが非営利教育の重要性を語る

Sal Khanの、無料の学習プラットホームKhan Academyは、今や各月600万人の人たちに利用されているが、彼自身は今でも、週に2本のペースで教材ビデオを作り続けている。

いちばん最近のテーマは何だと思う? 「第一次世界大戦」です。

Khanによると、ビデオを作るとき彼はまず、本をたくさん読む。第一次大戦なら、Armistice Day(終戦記念日)やLusitania号の沈没、などなどについて。そして、十分に勉強できたと思ったら、ビデオの制作を始める。

“歯医者の待合室で長時間待たされているときも、第一次世界大戦に関する本を読んでいたよ”、彼は最近のインタビューでそう言った。

最初は彼の親戚の子たちのための“家庭教師電話”だった。それがやがてYouTube上のチャネルになり、そして今のKhan Academyは、ユーザ数が7500万、レッスン総累計2億3000万件、世界各国の30000の教室からの10億の質問に答えている。

これまで、好評も悪評もさまざまだったが、非営利団体が手がけている類似のオンライン学習プラットホームの中では、ユーザ数が多すぎるとも思われるKhanのレッスンがいちばん学習効果が高い、というデータが出ている。

Khanは曰く、“現役の教師たちがあまり乗り気でないのも当然だ。彼らは毎日忙しすぎる。やることが山のようにある。慢性的に彼らは疲労しているから、彼らに新しいことを理解させ実践させるのは無理だ。個人によるオンライン学習のメリットを、頭では理解していてもね”。

今年の秋までに実現したい二つのプライオリティは、国際化と診断だ。Khan Academyは学習の効果を定量化して把握する方法でも先駆者だ。Khanのかつての名言、苦手な科目で生徒たちの脳が“スイスチーズ”(気泡〜空洞の多いチーズ)のようにならないためには、コンスタントな成果診断が欠かせない。

しかし彼も認めるように、Khan Academyは生徒たち一人々々への学習指導ができない。たとえば、この人は対数はよく理解したが、三角関数はぜんぜん分かってない、なんてことを、正しく把握し、その事態に正しく対応することが、これまではできなかった。

“また、どの教材ビデオから始めて、その後どう進めばよいか分からない”という声も多い。今年の夏までには良質な診断システムを完成させて、生徒一人一人が自分の学習の現状を理解できるようにしたい”、と彼は言う。

児童や学生生徒の成長と知力開発に関するCarol Dweckの理論というものがあり、Khanは彼女のその理論に関心を寄せている。最近マスコミに載ることが多くなった“子どもはほめて伸ばせ”説や、“成績の原因を生得の能力と努力の結果とに分けて考える評価の方法”などは、いずれも彼女の研究が起源だ。知識を、生得の能力によってではなく努力によって獲得する者の方が長期的にはよくできるようになる、と彼女は言う。Khanは、これまで導入してきたゲーム化とごほうび提供の仕組みの一部を手直しして、知識の定着性を良くしたい、と言っている。

試験という、伝統的な診断方法は、悪くはないけど限界がある、と彼は言う。

“試験そのものは、そんなにひどいものではない。ただし試験では、学習の成果のすべての次元を知ることができない。せいぜいそれが持つ測度は、一次元的〜二次元的だ。人間一人々々の学習とその成果には、もっと多面的多次元的な構成要素がある”。

彼がヴィジョンする未来社会では、入学審査官たちが高校の成績やSAT試験の結果だけではなく、失敗した科目でもどれだけ頑張ったかという、努力履歴(どれぐらい努力家か)を見る。Carol Dweck理論によると、努力する子は、今できなくてもやがてできるようになる可能性が高い。

“私が近未来の入学審査官なら、データが語っているものを見ようとするね。この中で、いちばん頑張った子は誰だろう、ということが気になるよ”。

彼によると、いわゆる成績だけでなく、今後ますます重要になるのは“クリエイティブな作品”である。たとえばKhan Academyでは、コンピュータ科学の教科で生徒たちに実際にプログラムを書かせる(これまで生徒たちが書いたプログラムは約10万本ある)。

また作文、作曲などでも、生徒たちはやはり自分の作品を作らされる。

今、インターネット上の学習プラットホームは、Courseraなどに見られるように、VCに支えられた商用化が進んでいる。しかしKhanがあくまでこだわるのは、非営利の活動によって教育の問題を解決していくことだ。非営利の唯一の問題は、有能な先生の確保だが、でもGoogleの最初の社員であるCraig Silversteinが来たたことが示しているように、それほど心配すべき状況でもない。

“教育には、有料の部分と無料の部分が必要であり、そのどちらにも、最高の内容が必要だ。投資家と話をするときには、彼らの子どもたちの学校のことも聞く。営利事業としての学校が悪いとは言わないし、そう言って自分が今やってることを正当化するつもりもない。でも、学習者の成績や能力をオフィシャルなデータとして評価するといった、慎重な扱いを要する問題は、非営利の部分でやらざるを得ないだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


センサーハッキングを通じて、データリテラシーを指導するSensors for Studentsが発進

今年のGoogle I/Oでは、会場のあちらこちらにセンサーデバイスが配置されていた。会期の間、さまざまな環境データを収集していたようだ。I/Oに限らずとも、あらゆるところに「センサー」が配置されているのが現代であるとも言える。私たちの使っているスマートフォンも「センサー」のひとつであるし、また「スマート家電」などもやはり「センサー」の中に含めることができる。そんな中、ManyLabsから「小さなうちからセンサーに慣れ親しんで欲しい」と考えるKickstarterプロジェクトが登場してきた。

プロジェクトの名前はSensors for Students。オープンソースのArduino基盤と、加速度計、電磁場検知機、カラーセンサー、自動水やり機(Bitponicsの自動水耕ガーデンでも同様のものが利用されている)などのGrove拡張基盤からなるセットを提供しようというアイデアだ。

ManyLabsというのは、Peter SandとElliot Dicusが組織したもので、科学と数学のハンズオンをローコストで提供しようとする非営利団体となっている。SandはMITからコンピュータサイエンスのPh.Dを取得しており、コンピューターによる認知工学、ロボット工学、そして教育分野で活躍している。

SnadとDicusの目的は、子供たちに、小さなうちからハードウェアに親しんでもらい、また、データリテラシーを身につけてもらうことだ。目的面を見ると、以前紹介したAdafruitに似ているともいえよう。こちらの方はニューヨークを拠点として、子供のうちから電子工作やDIY文化に慣れ親しませようとするものだった。

ただし、ManyLabsの提供するのはハードウェアのみではない。購入者に対して1年間にわたって実験方法や指導方法などのコンテンツも提供することになっている。キットの配布を今年夏にも開始したい心づもりで、価格は40ドルからだ。キットを単体でオーダーする場合で、最も高額なものは75ドルとなっている。Arduinoを自前で用意する必要があるが、それでも魅力的な価格であると言えよう。

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(翻訳:Maeda, H)


その道の専門家に一対一のビデオチャットで(何でも)教えてもらえるPopExpertが$2Mを調達

学生生徒とエキスパートをビデオチャットで一対一に結びつける学習マーケットプレースPopExpertが、Learn Capital率いるラウンドにより200万ドルを調達した。この投資には、Jeff Skoll、Ken Howery、Michael Chasen、Expansion VCらも参加した。

このサイトの仕組みは簡単で、ユーザは自分が学習したいことでサイト内を検索する。エキスパートたちは、“生活(人生)、仕事、遊び”の三大カテゴリーのサブカテゴリー: 瞑想、栄養、人間関係、生産性、キャリアモニタリング、言語、音楽、などなどで分類されている。

たとえば“ヨガ”で検索すると、エキスパートたちのリストが現れ、資格、経歴、一回のセッションのお値段などが記されている。ユーザはエキスパートを選び、セッションをスケジュールし、そして待つ。支払決済もPopExpertが代行するので、最初から最後までほかのサイトやページへ行く必要がない。

同社によると、一対一の学習はほかのどの学習方法よりも格段に優れている。

“知能指数よりも教育指数が重視される分野…瞑想、Excelのトレーニング、スタイリング、写真のテクニックなどなど…にうちは力を入れている”、とファウンダのIngrid Sandersは語る。“そして教育指数の向上のためにはエキスパートによる個人教授がもっとも効果的であり、しかも一対一の対話体験に勝る効率的な学習方法はほかにない”。

このサービスは今のところ、もっぱら招待制だが、ここで“授業料”を稼いでいる登録エキスパートは1000名あまりいる。エキスパートは、PopExpert自身が、インターネット上の情報や本などから探し出している。とくに、専門書を出しているか、ネット上のリビューで好評か、などが重視される。

PopExpertの収益は、各授業料から得られる小額のマージンだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


オンタイム学習プラットフォームのマナボがサイバーエージェント・ベンチャーズなどから3,800万円の資金を調達

主に中高生を対象としたオンタイム学習プラットフォームmana.boを運営するマナボがサイバーエージェント・ベンチャーズ(以下、CAV)などから3,800万円の資金調達を実施した。mana.boは昨年、KDDI∞Laboの第3期採択チームとしてインキュベーション・プログラムに参加、Infinity Ventures Summit 2012 FallのLaunch Padに出場したため、すでにご存知の方も多いかもしれない。

このサービスは生徒がわからない問題に直面した際に「いま聞けて、すぐに理解る」ことを目指している学習プラットフォームである。マナボのCEO三橋克二氏は予備校で7年間ほど講師を務めていたそうだが、その時に生徒から数式や図の写真がメールで送られてきて、答えを教えて欲しいと頼まれることが多かったそうだ。だが、英語などの科目は電話やメールで回答できるものの、数学や物理の問題は複雑な計算式、図を多く用いることがあり、解説が困難だったという。

mana.boでは講師がタブレット端末などを使い、画面に数式や図を書き込むと、生徒が保持している端末にもリアルタイムで反映され、上記のような問題を解決できるそうだ(記事下部にムービーを埋め込んでおいた)。

実際にデモを見せてもらったが、書き込んだ数字を認識する精度は高く、生徒・講師間でのタイムラグもあまり無くスムーズに講義が進められるように感じた。

生徒と講師がやり取りした共有画面はデジタルデータとして保存、エクスポートもできるため、復習も簡単だ。さらには、自分の復習用としてではなく、他のユーザーにも共有することで授業を使い回すことも可能となる。

収益化に関しては、mana.bo上で生徒と講師を集め、指導料の数十パーセントを手数料として取る他に、塾や予備校に導入してもらいアカウント数に応じて利用料金を徴収するそうだ。現在mana.boはクローズドβとして運用されているが、すでに「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」で有名なベネッセがトライアルを行っている。

一般公開に関してはプラットフォーム上に十分な講師を留保できた段階でするそうだ。

なお、今回マナボに出資したサイバーエージェント・ベンチャーズは子供向けアプリのキンダーパンを提供するファンタムスティックや、本誌でも取り上げたオンライン英会話のBest Teacherといった教育系スタートアップにも出資している。


子どものためのプログラミング言語Scratchがブラウザから使えるようになった

うちの3人の子はみな技術に強い方だが、でも残念なことにまだScratchを経験していない。Scratchとは、MIT Media Lab(メディアラボ)のLifelong Kindergarten Group(生涯幼稚園グループ)が作った、オブジェクト指向のすばらしいプログラミング言語だ。でもプログラミング入門のためのこの優れた言語がこれからは、完全にブラウザ上で使えるようになったから、うちの子たちの初体験も近いかもしれない。

Scratch言語のWebインタフェイスはこのページからだ〔日本語あり〕。新バージョンではWebカメラを使った対話もできるし、スプライトも作れる。ベクタ方式のグラフィクスもできるから、画像の精度も良い。もちろん自分でプログラムを書いたり、あとからそれを拡張することもできる。

このWeb上のインタフェイスは以前のデスクトップ版と似ているが、ややシンプルになり、自分のプログラムを自分のコンピュータに保存できるだけでなく、どこかにアップロードすることもできる。オブジェクトを“バックパック”に入れておいて、次に作るプログラムで再利用することもできるから、同じスプライトや背景を新しいゲームでも使える。あらゆることが、ブラウザ上でスムーズにできる。このページでいきなり初めてもよいし、あるいはScratchで作ったScratch 2.0の紹介アニメをまず見てもよい。

この言語とプログラミング環境は年少から年長まであらゆる年齢層の子どもたちに向いているし、キーボードのタイピングやMicrosoft Officeの使い方が中心だった従来のコンピュータ教育よりも、ずっとずっとベターだ。将来の子どもたちをオフィスの囚人(cubicle drone)にしたくない人は、ぜひお試しを。

〔参考書籍。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


AdafruitのLimor FriedがDisrupt NY 2013に登場–未来を開く鍵はオープンハードウェア

最近の消費者電子製品は、開放的ではなくますます閉鎖的になっていく傾向がある。しかしニューヨークのAdafruitは、その傾向を逆転して、人びとがデバイスの内部を怖がることなく、むしろ電子部品やそれらの動作原理などに、親しみをおぼえるようにしたい、と願っている。AdafruitのファウンダでCEOのLimor Friedが、今日(米国時間5/1)のTechCrunch Disrupt NY 2013のステージに来てくれて、同社がどうやってその目標を達成しようとしているのか、を語った。

同社は、そのミッション(会社の使命)を通じて収益を上げている。すなわち同社は、そのオンラインストアで、さまざまな電子部品や回路部品、DIYキット、オープンソースの各種製品などを売っている。Friedは曰く、電子工作ホビーは、なるべく若い〜幼いころに始めることがかんじんである。とくに子どもの成長期に必ずある、あたりのものや環境について何でも知りたがる年代をうまくとらえることが重要だ。

“その年代には、何でも自分で知ることによって納得したいのよ。たいていの子が、分解魔になるわね。いろんなものを自分で分解してみて、そこから学ぶのよ。ソフトウェアもそれと同じね”、と彼女は言う。たしかにソフトウェアも、人が書いたコードを分解ならぬ分析して、どこで何をどうしているのかを学ぶのだ。ハードウェアでも、同じことができるべきだ。

“子どもって、何でも開けてみたいのよ。それなのに、おもちゃも、タブレットも、スマートフォンも、今では開けてみるのが難しくなっている。だから、うちは、開けられるデバイスを売っているの”。何かを壊すこと、壊したものを修理すること、それを怖がってはいけない。しかも、8年も専門教育を受けなくても、壊れたコンデンサぐらい誰もが交換できるべきだ。

Adafruitは最近、幼児〜子ども向けの電子工学教育ビデオシリーズCircuit Playgroundを立ち上げた。また、電子工学/電子工作に関する絵本も、クリエイティブコモンズのライセンスのもとに出版している…ユーザ各自がプリンタで印刷して読む絵本だが。これらはいずれも、本格的で厳格な教育課程ではなくて、子どもたちが小さいころから用語や設計や部品の形状などに慣れ親しむことがねらいだ。そうすれば、その後の本格的な教育課程にも、すんなり入っていけるだろう。こうしてAdafruitは、次の世代が自分でものを作るメーカー世代になるための、タネを播いているのだ。

Adafruitは、教育企業だろうか、それとも製造会社か? Friedは、自分の会社は“教育と個人指導を行う会社”だ、と定義する。ただしそこには、ギフトショップが併設されているのだ。美術用品のストアと同じビジネスモデルだ、と彼女は言う。いろいろなものを売っているけど、実際に絵を描くのはお客さん本人だ、と。でも実際には、誰かが描いた絵を買う人の方が多い。今の電子工作ホビイストも、プリント基板を自分で作る人は少ない。むしろAdafruitで売っているような基板部品や回路部品を買って、目的の機能製品を組み立てる場合が多い。でも同社の力点はあくまでも、教育とオープンソースにある。

Friedがビジョンする次世代の世界では、ハードウェアがソフトウェアと同格に扱われる。ソフトウェアは今すでにオープンソースがきわめて強力だから、誰もがそれらを利用して自分の会社を始められる。ハードウェアも、そうやって“オープンハードウェア”が主流になれば、工学の教育/学習も、製造業の形も、ラジカルに変わるだろう。Adafruitは、まず子どもたち向けの早期教育に取り組むことによって、そんな時代の到来をより確実にしたいのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


StoryKidは、文学博士2人が作った子供がお話を作るためのアプリ

子供はごっこ遊びが大好きだ。今日Disrutpハッカソンで紹介されたStoryKidというアプリは、これに注目して子供に視覚的ヒントとして一連の絵を見せ、それに基づいてお話を作らせようという新しい試みだ。StoryKidのターゲットは2~5歳の、おしゃべりはできるが書くにはまだ早い子供たちだ。開発したのはコロンビア大学の比較文学博士ふたりで、その目標は子供たちが物語や文学の世界に進むのを助けることだ。そして共同ファウンダーのTianjiao Yuが私に言ったように、これは親たちが自作のお伽ぎ話を作るアイデアがなくなった時にも使える。

Yu(写真左)はこのアプリを作るためにコーディングを学び、もう一人の共同ファウンダー、Lu Xiong(右)は、デザインとユーザー体験を必死で勉強してビジュアル要素を担当した。これを作った動機は、ふたりが学んだことを高等教育の象牙の塔から外へ持ち出すためだった。

「ふたり共、文学が専門でこの知識を誰にでも利用できるようにしたかった。アプリを作ることはそのための理想的な方法だとわかった」とYuは言う。StoryKidは、ふたりにとって文学を人々が利用しやすくするために必要なアイディア3つのうちの1つだ。残る2つは、新しいもの作るのではなく、既存の文学を発見することに関わる。現在開発を手伝ってくれる3人目のプログラマーを探している。

実際のところ、ハッカソンの週末で作られたこのStoryKidも、本来の目標からすると初期段階にすぎない。今日のデモで使った絵は、ビジュアル検索エンジンのNiiceから取ってきたものだが、約1月半後にアプリが正式公開される時には別の情報ソースも用意する予定だ。

またこのアイディアは、ファウンダーたちの文学的知識の多くを物語に取り込むことにもなる。「物語の要素を分析することに関する理論はたくさんある。われわれはそれを使って、人々と場所の関係や、2人の登場人物のつながりを考える手助けをしたかった」とYuは語る。

彼らは音声、ビデオ等の録画機能の追加や、画像を保存して電子書籍のように後でもう一度お話をするのに使うことも計画している。さらにはEvernote等のアプリともリンクして、「子供たちが何を考えているかを親が知るために」ウェブで見たり読んだりしたものを記録することも考えられる。

アプリは小さな子供が自分でお話を作ることを目標としているが、字の書ける年長の子供たちがお話を考えて書き残すためにも使うことができるだろう。

これは楽しいアプリを装った学業のようにも感じるが、「主なアイディアは楽むこと、そして文学を面白くすること」だとYuは強調する。私自身、自分の子供にこの種のアプリを与えて何を考えているのか知るのが楽しみだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


非テック職種に必要なスキルをリストアップし、オンライン学習のための情報にリンクするMBAx.me

ゲストに記事を書いてもらって、その記事がそのままスタートアップ設立に繋がるようなことは、そうあることではない。しかし今回は記事の内容がそのままスタートアップ化することとなった。その記事とはGoogleのAditya Maheshが執筆したものだ。テック業界で働くことになったビジネスコースの学生たちが、スキル面でどのような準備をしておくべきかを記した記事だ。Googleで働き出す前に、Excel、HTML/CSSの基礎、ウェブ解析、フォトショップ、iMovieなどについて知識を得ておけば、より効率的に仕事を進めることができたのにという個人的な体験に基づく。「技術者」ではないので、コンピュータサイエンスの学位までは必要ないが、それでもこうした基本IT知識が大いに仕事をやりやすくすると感じたそうだ。

そしてその記事が、Mahesh自身の手によってスタートアップとして結実した。同じくGoogleのSaleh Altayyarと組んでMBAx.meを立ち上げたのだ。これは、職種によって必要なスキルを身につけるためのオンラインコースを発見するためのサービスだ。Google社内のみならずFacebook、Twitter、Ciscoなどの従業員にもインタビューを行なって、必要とされるスキルをまとめあげたのだそうだ。取り上げている職種はビジネスディベロップメント、PR、マーケティング、HRなど、テック部門以外の多岐にわたっている。

MBAx.meには、必要とされるスキルのリストにみならず、そうしたスキルを学ぶことのできる無料オンラインコースへのリンクも掲載されている。各コースは有用性やクオリティによってランク付けもされている。すなわちサイト利用者は、必要とされるスキルが何なのかを知るだけでなく、実際にそのスキルを身につけることもできるわけだ。

MBAx.meの目的等については、記事冒頭に掲載したインタビュービデオの中でも述べられているので、ぜひご覧頂きたい。

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(翻訳:Maeda, H)


嫌いな勉強をゲームで糖衣してもだめ, Recuriousは子どもの好奇心で進行するゲームを作る

子どもたちの好奇心というものを見直したい、と考えているゲームデベロッパRecuriousが、Greylock Partners(LinkedInのReid Hoffman)が率いる投資ラウンドにより150万ドルを調達したと発表した。

James Miaoが創業したRecuriousは、子どもたちのためのもっと良い教育的ゲームを作りたいと願っている。Miaoによると、子どものための良質なゲームデザインは、まだきわめて少なく、需要を満たしていない。現状は、子ども向けゲームのほとんどが教育にゲームという衣裳を着せているだけだ。それはまるで、子どもの嫌いなブロッコリをチョコレートでコーティングしてるようなもの。

彼の考えでは、子どもたちのゲームをもっとよく考えてデザインし、子どもたちの自発的なモチベーションで学習が進むようにすることが、重要だ。子どもたちが夢中になり、本物の好奇心が芽生え、好奇心が情報への飢えを喚起する…これが本当の学習の道だ。つまり、ゲームで遊びながら子どもたちが本当に学習するとしたら、そこに好奇心があるからなのだ。

同社の最初のタイトルDinoramaは、対象年齢が7〜12歳だ。子どもたちに恐竜パークを作らせ、そして経営させる。つまり、お金の面から見てパークが成功するために、子どもたちはゲームをしながら想像力と創造力を発揮しなければならない。

Dinoramaをプレイしながら子どもたちは、来園者のための演し物を考え、恐竜たちの世話をし、また暴風雨のようなネガティブな要因にも対応しなければならない。そのようにして子どもたちは、収入、支出、節約、修理費用、チケットの売り上げの上がり下がり、などを擬似体験しながら学習していく。

恐竜への給餌もするし、ツアーガイドを雇う、ポップコーンを作って売る、風船をふくらませる、来園者の写真を撮る、パークの掃除や修理をする、来園者を彼らの好きな恐竜のところへ案内する、などなど、いろんなことをする。子どもたちは恐竜に名前を付け、餌を与え、お金を投じてパークを作り、恐竜たちの生活環境を良くする、などのこともする。それはまるで、Farmville+Petsville+恐竜たちだ。

Miaoはこのゲームのねらいを、“子どもたちが自ら進んで、ああしたいこうしたいと思えるような環境を作り、その中で、自然に学習が進むこと”、と語る。子どもたちは、お金を持った起業家になる。そして次々と問題解決に取り組む(雨天対策、餌不足、バスの事故で観光客が来れなくなった、などなど)。

Miaoは前にも、thesixtyoneというゲームスタートアップを創ったことがある。そこでは、インディーの音楽を発見することとゲームの要素をブレンドした。彼はそこでゲームについて多くを学び、学んだことを子ども向けゲームにも応用できると考えた(彼はEAにいたこともある)。

Recuriousの次の課題は、子どもがクリエイティブにプレイできるゲームをさらにローンチするとともに、会社をもっと大きくしていくことだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


カリフォルニアの大学はオンラインコースを積極的に拡大, 学生の成績も向上

世界最大の大学組織カリフォルニア州立大学(California State University)は、その傑出して有望なパイロットコースにより、MOOC(Massive Online Open Learning, 大規模オンラインオープン学習)への実験的進出を精力的に拡大しつつある。近く同大学機構は、電気工学コースの反転(flipped)バージョンを提供する大学を、これまでより11増やす。これらの大学の学生たちは自宅でハーバードやMITの講義を視聴でき、また問題を自分で解く体験もする。その対象校の一つであるサンノゼ州立大学(San Jose State University)のパイロットでは、反転クラスにおける履修試験合格率が46%という異例の高率になった。これを見て学長のMohammad Qayoumiは、パイロットを終えて正式コースにしてもよい、と考えるまでになった。

その初等電気回路のコースは、ハーバードとMITのオンラインコースedXから提供された。edXは、大学内部の(正規の学生のための)授業方法論ではなく、無料の一般社会教育としてのMOOCの試みだ。

本誌がこれまで書いてきたように、オンライン教育への取り組みは大学の形を急速に変えつつある。その変容のペースは、教育学者たちによる研究を困難にするほどに速い。edXの理事長Anant Agarwal自身が、その状況を見て“とても信じられない”と言った。

サンノゼのedXコースの例は、大学が退屈で古い講義型の授業から対話的な授業に切り替えたときに経験する結果と同じものだ。たとえばカリフォルニア大学ロサンゼルス校の生物化学のクラスの実験では、講義を捨てた結果、履修証明合格率が約18%上がった

しかし、一度かぎりの実験における好結果は、それを本番化大規模化した場合の現実を反映しないことが多い。進取の気性に富んだパイロット事業が、あまり熱心でない教師と学生たちによる多人数の一般授業に移されると、良い結果をもたらさないこともありえる。

そこでサンノゼ州立大学は、MOOCのトレーニングセンター、Center for Excellence in Adaptive and Blended Learning(適応型混成学習高度化センター)を設置した。好むと好まざるとに関わらず、MOOCは普及していく。しかも、正しい形のオンライン教育は、今急騰している学生と大学の債務を抑制するための、唯一の方法だ。edXの発表の席でカリフォルニア州副知事のGavin Newsomは、こう言った: “率直に言って、これまでのような形の教育予算をこれからも維持していくことは、とうてい不可能だ”。教育をめぐる巨額な債務は、大学と学生だけでなく、行政にとっても、限界を超えた重荷になっている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


サンフランシスコの科学博物館「エクスプロラトリアム」は、精神障害と同性愛も探求する

新装なったサンフランシスコのおしゃれな3億ドルのサイエンス・ミュージアムは、子供たちに「何が正常か?」を問う大胆な行動に出た。エクスプロラトリアムの海岸沿いの一室に、光の屈析とレーザー光線の展示の間に隠れるように、精神医療に関する20世紀の地味な展示がある。精神相談の診断書には、今日では極めて正常であると考えられる行動(同性愛を含む)のために、収容されたり薬漬けにされた不幸な人々の治療について詳しく記されている。「正常とは変化し続ける景観」であると、共同キュレーターのPamela Winfreyが説明する。彼女は子供にも大人にも、人々の慣習を定めるために医療科学がどう役立ってきたかを理解してほしいと言う。

中でも最も興味をそそりかつ議論を呼ぶ人物が「Frank C」で、彼は医者たちが当時「同性愛パニック」と呼んでいたとされる理由で収容された。1942年に兵役を終えた後、彼はあるレストランの外で暴れだした。医者には「私は自分がキングスカウンティー病院にいることを知っている。私は病気ではない。フルトン通りで興奮してゴミをまき散らした。カッとなった。爆発した。怒っていた。バージニアのレストランで皿を割った・・・誰かが私を殺そうとしていると思った」などと話した。

彼の行動に対する治療は、こう説明されている「医師は彼が自身の潜在的同性愛要求を恐れていることを疑った。当時、このいわゆる「同性愛パニック」は妄想症を引き起こすと信じられていた・・・彼は静寂な環境下で薬物による治療を受けた」。

科学的に何が正常かの基準は、長い間精神科診断のバイブル、『精神障害の診断と統計の手引き』(DSM)によって規定されていた。賛否を呼んだ同書の第5版では、アスペルガー障害が新たな包括カテゴリー「自閉症スペクトラム障害」に編入された。「性同一障害」は現在「性別異和感」とされ「個人が体験あるいは表現する性と与えられた性との間に著しい不一致による精神的苦痛」を指す。

“Changing The Face Of What Is Normal”[何が正常であるかの形勢を変える]の展示でもう一つ重要なポイントは、精神障害はありふれていると共に、その多くが一過性であることだとWinfreyは主張する。例えば統合失調症のような疾患は、必ずしも患者を社会的に活動不能にするものではない。そして恐らく最も重要なのは、殆どの人々はいずれ精神障害を体験するか、精神障害患者と近しくなるということだ。「この展示は、こうした敏感な主題に安全な形で触れることのできる一つの方法」だと彼女は説明する。インターネット活動家、Aaron Swartzの自殺から間もない今、精神障害はタイムリーであり考えさせられる話題だ。

このミュージアム自体の影響力は軽視できない。国を代表する科学博物館として、全米の展示物の表舞台となっている。当局によると、同館はサンフランシシコ湾地区最大の教員開発組織であり、移動展示は1.8億人以上が閲覧している。

望まれるのは、エクスプロラトリアムのDennis Bartels館長も言うように、「実際に自分で考える人々」を生み出すことだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


30台のRaspberry Piがカメルーンの田舎の中学校でコンピュータ教育に使われる

マイクロコンピュータRaspberry Piは発売後の1年で、合計100万台がメーカーたちや、電子工作マニア、親たち、子どもたちの手に渡った。子どもたちをコンピュータ科学に入門させるための教育玩具として作ったものが、こんなに広い層に売れるとは驚きだ。Pi Foundationはとくに、イギリスの子どもたちがこれでプログラミングを初体験することを意図していた。でもPiの力は実際には、最初に考えた使命よりも大きい: カメルーンでは、Piが中等学校のコンピュータ教育で使われているのだ。

Pi Foundationのブログのゲスト記事で、ベルギーのボランティアが書いている。彼らは資金を募り、30台のPiをスーツケースに詰め込んでカメルーンへ行き、コンピュータ教室を作った。ディスプレイとキーボードとマウスは、ベルギー国内で買った。このPiを使ったコンピュータ教室は、まだ電気が来ていない田舎なので、自家発電を使っている。

その学校、Saint Marcellin Comprehensive Collegeは、カメルーンの北西部のNkambeに近いBinshua村にある。今現在は、Piを使ってオフィスソフトの使い方を教えているが、ねらいは子どもたちにプログラミングを教えることにある:

OSは12月時点のRaspbian〔Raspberry Pi用のDebian Linux〕で、その上にLibreOfficeとCUPSをインストールしている。今は子どもたちにOfficeの使い方の基本を教えているだけだが、先生にはすでにScratchによるプログラミングを教えたし、良い本もあげた。だから次からは、学校のカリキュラムにScratch入門が入って欲しいと思う。

このコンピュータ教室にはまだインターネット接続がないが、この状況もベルギー人たちが変えようとしている:

コンピュータはすべてネットワークに接続している。ネットワークの中心はルータで、それはWANのモデムに接続されるのを待っている。近い将来にはインターネットへの接続を提供したいが、そうなるとこの田舎に小さな革命がもたらされるだろう。インターネット接続のない今でも、この未開発地域に相当高度なコンピュータ教室を作った、とわれわれは自負している。この地方の子どもたちに、より良き未来を切り開く力と機会を与えた。それこそが、われわれの動機だったのだ。

この、小さくて安くて低能力なマイクロコンピュータは、開発途上国の人たちに初めてのコンピューティング体験を与えることができる。Piのハードウェアは多くの場合、携帯電話よりも安い。スマートフォンよりも、もちろん安い。スマートフォンはこれまで、“次の数十億人”に最初のコンピューティング体験を与える、と持て囃されてきた。またPiは、そのほかのLinuxベースのローコストコンピューティングプロジェクト(たとえばOLPCXO laptop)よりも相当安い。もちろん、周辺機器の価格も考慮に入れる必要はあるが。

下のビデオでは、教師が生徒たちにPiを紹介している。彼女はMicrosoftのWindows OSの名も挙げているが、その言及は同社の人たちを喜ばせないだろう: “この小さなボックスはWindowsオペレーティングシステムでは動きません。別のタイプのオペレーティングシステムで動きます。それはLinuxといって、とっても人気があり、しかも無料です”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))