アマゾンがバージニア州に建設予定の第2本社ビルのコンセプト公開、「二重らせん」デザインで2025年完成予定

米Amazonが、バージニア州アーリントンに建設する予定の第2本社ビルの詳細を発表しました。そのデザインは22階建ての建物の外周部に二重らせんに触発された構造を採用し、屋根になる部分を緑地として扱うことで持続可能性をアピールするデザインになっています。

二重らせんといえばまず思い浮かべるのはDNAの構造。Amazonはそれ以外にも銀河の形状、気象パターンなど自然界で多数見かける構造だと説明しています。またこのビルはバージニア州のソーラーファームから電力を供給し、オール電化の全館冷暖房を完備するとのこと。

建物はシアトル本社と同様、週末ごとに一般向けの見学ツアーが行われるとのこと。駐車場や搬入口は地下に用意され、屋外のオープンスペースは公園や遊歩道、ドッグラン、1000台近くを置ける駐輪場、売店などが設置され、屋外ステージなども設置されます。

米Amazonは、新型コロナウイルスのパンデミックがこのビルの利用方法を想定と違った方向に導く可能性を認識しており、2025年の完成後も一部の社員は主にリモートでの勤務を選ぶと考えています。そのため、コラボレーション用の環境整備と従業員が自分でどこでどう仕事をするかを決められるエージェンシー制の導入を考えています。また、多めに取った共有スペースは他部門や社外の人々と仕事をする必要があるときに役立つと予想しています。

米Amazonの第2本社計画については、その地域自治体から税制上の優遇を得つつ、社員向けに2万戸の低価格住宅の建設のために20億ドル以上の資金を投入するとしています。Amazon支持者は第2本社が建設されることで、社内外に2万5000人と見込まれる雇用創出と、自治体の税収増加で地域が潤うと主張しています。しかしそれは一方で、地域の低所得者層の居場所を奪い、追い出してしまう可能性も懸念されています。

Engadget日本版より転載)

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Chromebookの2020年出荷数がコロナ禍の需要増により前年比2倍以上に

Chromebookの2020年出荷数がコロナ禍の需要増により前年比2倍以上に

2020年の春は、パンデミックにより在宅勤務や自宅学習が一般化するのに伴いPCの需要が急造。日本でもノートPCが品薄になるなどの影響が出ていました。これは世界的なものだったようで、とくにChromebookの需要が急増し、2019年から倍増するほどの勢いだったことが市場調査の結果から明らかになりました。

市場調査会社のCanalysによると、2020年の全世界でのChromebook出荷台数は3060万台で、2019年の1470万台から倍以上に急増したとのこと。もっとも出荷を伸ばしたのはSamsungで、その数は実に前年比の4倍です。ただし、数値自体は190万台とこちらは控えめです。このほか、Lenovoも2.8倍となる680万台と、好調でした。

いずれのメーカーも、出荷台数を大幅に伸ばしたのは第4四半期。この期間に限れば、Lenovoの出荷台数は前年同期比で1766%と驚異的な数値になっています。

これは、パンデミックの第2波により、多くの国や地域で遠隔学習が余儀なくされた結果だとCanalysでは分析しています。Chromebookは米国や欧州で教育向けデバイスとして人気が高く、また、多くの政府が、学生1人に対して1台になるよう目指しているとのことで、2021年もChromebookの需要は続くだろうと予想しています。

なお、タブレットもChromebookほどではないものの需要が増加。こちらも第4四半期に急増しており、iPadの出荷台数は1920万台に。これは2014年第4四半期以来の高水準だったとのこと。

こちらはSamsungやLenovoも第4四半期に順調に出荷台数を伸ばしていますが、トップ5では唯一、Huaweiのみが出荷台数を減らしています。

2020年全体では、タブレットの出荷台数は1億6060万台。市場が大きく、成長率こそ低くなっているもののその数はChromebookの約5倍で、身近なデジタルデバイスとしてはまだまだタブレット人気が強い様子がうかがえます。

Engadget日本版より転載)

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1回の接種で済むジョンソン・エンド・ジョンソンの新型コロナワクチンは米国で3月に配布開始の見込み

Johnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン)の子会社であるJanssen Pharmaceuticals(ヤンセン・ファーマシューティカルズ)が作った単回接種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを配布開始する準備がほぼ整った。同社は第Ⅲ相試験のデータに基づく有効性報告書を発表したばかりで、この新しいワクチンが新型コロナ感染症の中等度から重症化の予防には全体で66%、重症化の予防には85%の有効性があることを明らかにした。

これらの数字は、すでにFDA(米国食品医薬品局)の緊急使用承認を受けて配布が始まっているModerna(モデルナ)やPfizer(ファイザー) / BioNTech(ビオンテック)が開発したワクチンの報告されている数字(どちらも90%以上の有効性が報告されている)に比べると印象的ではない。しかし、ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンは、2回の接種が必要なく、1回の注射で済むため、はるかに簡単かつ早く配布することができるはずだ。このワクチンはまた、接種後28日目には、試験参加者の入院や死亡を100%防ぐ効果を示しており、これは新型コロナウイルスが保険資源に与える影響を考える上で重要な指標となる。有効性は地域によって異なるが、米国では中等度および重度の症例では72%の有効性が証明されたのに対し、世界全体では66%だった。

Johnson & Johnsonの第Ⅲ相試験が、英国や南アフリカで確認された変異種のように、より感染力の強い新種のウイルスが出現している中で行われていることも重要だ。ModernaやPfizer / BioNTechが試験データを発表した時点では、これらの変異種はまだ見つかっていなかった。

Johnson & Johnsonのワクチンは、改変した風邪ウイルスの一種(アデノウイルス)をベクター(運び手)として使用し、人の体に、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)が人の細胞に付着するために使用するスパイクタンパク質の複製を構築する指示を出す遺伝子情報を送達する。この改変されたアデノウイルスは、人間の細胞内で複製することはできず(病気にならないという意味)、免疫反応が起こるだけで、これが後に新型コロナウイルスの感染を抑える抗体を作り出す。このアデノウイルス法は、現在使用されている他のワクチンが採用するmRNA法と比べると、人での使用という点では、はるかに実績がある。

つまり、ModernaやPfizerのデータと比較すると、数字の上では物足りないように見えるものの、ジョJohnson & Johnsonの報告は、実際には非常に勇気づけられるものであるということだ。同社によると、2021年2月にはFDAに緊急使用承認(EUA)の要求を提出する見込みで、翌月2021年3月には配布が可能になると予想されるという。世界的な感染と戦うための武器が、また1つ加わることになりそうだ。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルが新型コロナワクチンプログラムに助成金と施設を提供

Google(グーグル)は米国時間1月25日、米国での新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン配布を支援するために、助成金の提供やワクチン接種プログラムへの施設の開放など、いくつかの措置を講じていると発表した。なおAmazon(アマゾン)、Walmart(ウォルマート)、Starbucks(スターバックス)、Microsoft(マイクロソフト)などの大手テック企業も、ワクチン接種を増やすために地方自治体や医療機関に支援を約束している。

Googleはワクチン教育を促進するために、保健機関や公衆衛生機関に総額1億5000万ドル(約155億7000万円)相当の広告助成金と資金提供を約束した。また建物や駐車場など同社の施設を利用できるようにすることで、ワクチンの配布を支援するという。

GoogleはOne Medicalや公衆衛生当局と提携し、カリフォルニア州ロサンゼルスとサンフランシスコのベイエリア、ワシントン州カークランド、ニューヨーク市にワクチン接種施設を開設し、ワクチンが入手できれば米国内でさらに多くの施設を開設する計画だという。Intelligent Vaccine Impact Platformを含む同社の技術は、ワクチン配布のロジスティックスを支援するために利用される。

助成金では約1億ドル(約104億ドル)がGoogleのAd Grants Crisis Reliefプログラムの一部として、CDC Foundationや世界保健機構どの非営利団体に寄付される。さらに5000万ドル(約51億9000万円)が「公衆衛生当局と協力して、ワクチン関連のコンテンツや情報が十分に提供されていない地域にリーチする」ために投資されるという。Google.orgは、Morehouse School of MedicineのSatcher Health Leadership InstituteやCDC Foundationなど、有色人種や農村地域の人々がワクチンを利用できるようにする組織に、約500万ドル(約5億2000万円)の助成金を約束している。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

モデルナが既存の新型コロナワクチンも変異株に効果ありと発表

Moderna(モデルナ)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こす新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異型に対しても、同社のワクチンが引き続き有効であるようにするために、行っているステップの詳細を説明した。そこで説明されている内容は、既存の新型コロナワクチンを使って、3回の接種でどのようにブースター効果を得るかの検証方法や、英国と南アフリカで初めて確認された新しい変異ウイルスの、スパイクタンパク質を標的とするようにデザインされた、系統特異的なワクチンの開発についてだ。

Modernaはプレスリリースの中で、こうした手段を「念には念を入れて」追求していると語っている。なぜなら初期の研究では、既存のワクチンがこうした新しい系統に対しても(南アフリカで確認されたB.1.351系統に対しては多少有効性は損なわれるものの)、変わらず有効であることが示されているからだ。とはいえ、同社がウイルスの変異に対して迅速に対応していることは心強い。なぜなら今後、現在のパンデミックが一度収束したとしても、新型コロナウイルスを長期的に制御下に置き続けるためには、すばやい対応を続けていくことが必要になるからだ。

さらにModernaは、同社の次のワクチン候補や既存のワクチンが、市場に出回っている「すべての主要なワクチン候補」と組み合わせて使用されることによって、追加の免疫導入能力を提供できるのではと述べている。つまり、同社は自社のワクチンを、オックスフォードやPfizer / BioNTech(ファイザー / ビオンテック)のワクチンと組み合わせて、免疫力を高めるために使用することができると考えているということだ。このことによって自社もしくは他社のワクチンが不足した際に、ブースター効果をタイミングよく与えるための緊急需要を満たすことができる。

もちろん、この中で最もすばらしいニュースは、Modernaが現在世界中の人々に提供しているmRNAベースのワクチンが、この先もSARS-CoV-2ひいては新型コロナウイルスに対する保護を、引き続き提供できることを示唆する証拠が出てきたことだ。特に英国の変異株に対しては、ワクチン接種を受けた患者の免疫力の低下は見られないという研究データが出されている。南アフリカの変異株については、その有効性の低下は、主に注射によって提供される免疫がより早く減衰していることに起因している可能性がある。つまり、単に追加の注射を、予定されていた期間よりも短い間隔で行えば良いだけなのかもしれない。とはいえ少なくとも初期段階では、これは世界的なワクチン接種アプローチに大きな変更を強いるものではないだろう。

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(翻訳:sako)

Cloudflareが新型コロナワクチンを配布する世界中の保健当局・機関にデジタル待合室を無料提供

ウェブインフラ企業Cloudflare(クラウドフレア)は米国1月22日、新型コロナウイルスワクチン接種を提供する世界中の保健当局・機関に公正で公平、そして透明性のあるデジタル待ち列を維持する方法を供給すべく、完全無料の新しいツールを発表した。同社のProject Fair Shot initiative(ワクチン公正接種プロジェクト)が、要件を満たした組織に無料で新しいCloudflare Waiting Room(Cloudflare待合室)を提供する。今後ワクチン接種を受ける人が登録し、接種待ちの列のどのあたりに自分がいるのか常にアップデートされる透明性ある情報を得る手段となる。

「オースティンのオフィスに勤務する当社幹部の妻が、新型コロナワクチン接種プログラムに両親を登録しようとしていました」と同社のCEOであるMatthew Prince(マシュー・プリンス)氏は電子メールで説明した。「登録サイトはクラッシュし続けました。そして彼女は夫にこういいました。『なぜCloudflareは、ワクチン接種のサイトをサポートする順番待ち機能を構築しないの?』。そうして当社はまさにその機能の開発に取り組み始めました。2月初旬に立ち上がる予定です」

世界中の人がウイルスの脅威に直面しているなか、可能な限り早くワクチン接種を展開しようと試みるときに起こる、多くのインフラの問題を軽減するのに役立つツールの緊急の必要性を認識し、同社はリリース時期を変更して追加のリソースをプロジェクトに注いだ。

「チームには、Waiting Room機能の予定されていた立ち上げを前倒しするよう話しました」とプリンス氏は付け加えた。「チームは昼夜休むことなく取り組みました。というのも、ワクチン接種の展開のサポートがいかに重要かを認識していたからです。こうしたプロジェクトは真にチームを駆り立てる種のものです。幅広い問題を解決するのに当社のテクニカルな専門性とインフラを使い、ポジティブな影響を与えられるのです」。

テクニカル面に関しては、同社によるとCloudflare Waiting Roomの実装はシンプルで、同社の既存のデリバリーネットワーク上で構築されているあらゆる予約登録ウェブサイトに追加できる。エンジニアリングやコーディングの知識は不要だ。サイト訪問者はそこで登録ができ、順番待ちの列に加わったという確認を受け取る。そして順番が回ってきた時、ワクチンを管理する組織のサインアップページに誘導するフォローアップを受け取る。追加の設定オプションで Waiting Room運営者は、予想待ち時間や順番が近づいてきたときのアラーム(今後のアップデートで導入される見込み)を登録者に提供することもできる。

プリンス氏が言及したように、Waiting RoomはすでにCloudflareのプロジェクトロードマップにあったもので、実際には需要が多くて供給配分が限定的な他のアイテムへの活用が意図されていた。絶対に手に入れたいコンサートチケットや注目の最新スニーカーの発売などだ。しかしFair Shotプログラムは必要とする組織に完全無料で提供され、商用プロダクトとはならないはずだ。ワクチン接種待ちに関心のある人はCloudflareの登録ページでサインアップできる。

「当社はFair Shotプロジェクトで、接種対象者全員が公平に新型コロナワクチンにアクセスできるようサポートする用意がいつでもできています。他の人々と同様、この病気を乗り越えるのを楽しみにしています」とプリンス氏は説明した。

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画像クレジット:Malte Mueller / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

中国の配車サービスDidiが新型コロナワクチン接種支援で10.4億円の基金を設立

世界中の国が新型コロナウイルス対策としてワクチン接種を準備している中、テック企業は率先して死に至ることのあるウイルスとの戦いをサポートしようとしている。中国の配車サービス最大手Didi Chuxing(滴滴出行)は米国時間1月22日、中国外の13のマーケットでの新型コロナワクチン接種の取り組みを支える1000万ドル(約10億4000万円)の基金設立を約束した。

この多目的基金は乗客がワクチン接種場所に行くのにかかる料金と、ヘルスケア分野で働く人たちがワクチン接種会場に移動するのにかかる料金を減額するのに使われる。また、各国政府と引き続き協業し、サービスを展開する現地のニーズに基づいた今後の対策も支援すると述べた。

同社がどのように資金を十数のマーケットに配分するかはまだ明らかではない。同社が事業を展開しているマーケットはブラジル、メキシコ、チリ、コロンビア、コスタリカ、パナマ、ペルー、ドミニカ共和国、アルゼンチン、オーストラリア、日本、ロシア、ニュージーランドだ。

「ワクチン接種の開始と各マーケットでのサポート計画が確定し次第、さらなる詳細を明らかにします」と広報担当は述べている。

他のテック企業同様、Didiは救済措置を提供することで新型コロナ流行にすばやく対応した。これまでに医療最前線のヘルスケアワーカーに600万回超の無料または割引乗車と食事を、そして600万超のマスクと消毒キットを中国外マーケットのドライバーや提携配達人に提供した、と述べた。

中国内でもDidiは同様の取り組みを展開してきた。ここには感染が確認されたり隔離されたりしたドライバー向けの保険といった財政的援助も含まれる。

「ワクチン接種サポートイニシアチブは、世界中の回復に向けた取り組みにおいて重要なステップです」と同社の会長Jean Liu(ジアン・リュー)氏は述べた。

「複雑なモビリティシナリオ向けに構築された安全システムとともに、驚くほどのコミットメントとDidiチームの臨機応変さは、この困難な時期における人々の保護と必要不可欠なサービスの確保において重要な役割を担います。当社は都市が再び前に進むよう、引き続きパートナーやコミュニティに寄り添います」。

乗客やドライバーの安全を確保するために、同社は2020年に中国や他のマーケットで車内カメラを使ったマスク検知テクノロジーを取り入れた。

ソフトバンクが支援するDidiは、2018年に起きた2件の乗客殺害事件を受けて人気かつ儲けの多い相乗りサービスを一時停止したときに打撃を受けた。同社は中国で最も価値の大きな非上場のテック企業の1社で、IPOを計画しているという噂が何年もある。

Didiはアジア太平洋、南米、ロシアでタクシー配車、プライベートカー配車、ライドシェア、バス、自転車、電動自転車などを提供し、ユーザー数は計5億5000万人だ。最近では年間に100億回超の乗車に対応している。中国外ではユーザー2000万人超、それから280万人のドライバーと配達人を抱えている。

同社にはソフトバンクの支援を受けた新しい自動運転部門もあり、積極的に自動運転車両の開発とテストを進めている中国の新興AI企業群の1社だ。また、中国の電気自動車(EV)メーカー大手BYDと共同で配車サービス向けモデルのデザインも行っている。

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画像クレジット:STR/AFP/Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

アマゾンがバイデン新大統領の新型コロナワクチン接種公約に同社リソース提供で協力

Jos Biden(ジョー・バイデン)氏が第46代米国大統領に就任したことを受けて、Amazon(アマゾン)は新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンの提供に向けた政権の目標達成に対して支援を行う。TechCrunchに送られた声明中で、Worldwide Consumer部門CEOであるDave Clark(デイブ・クラーク)氏はバイデン大統領とKamala Harris(カマラ・ハリス)副大統領を祝福する一方で、「最初の100日間で1億人の米国人にワクチンを接種するというあなたの政権の目標を達成するために、支援を提供します」と約束した。

この覚書は、バイデン大統領が2020年12月の記者会見でパンデミック対策チームのメンバーを紹介した際に掲げた誓約に言及している。同大統領は「最初の100日間では、新型コロナウイルスウイルスは終息しないでしょう。それは約束できません」と述べた。「私達はこの混乱にすぐに陥ったわけではなく、またすぐには抜け出せないでしょう。それには時間がかかります。しかし100日間で病気の経過を変え、米国の生活をより良いものに変えることができると、私は確信しています」。

最近では、新型コロナウイルスの疫学者タスクフォースのメンバーであるMichael Osterholm(マイケル・オスターホルム)氏がこの目標を「野心的であり実行可能である」と発言し、その取り組みを強化するには時間がかかるだろうと付け加えている。

クラーク氏は声明の中で、倉庫や他の労働者が必要不可欠な労働者として数多く雇用されたように、このウイルスに対するAmazonの対応について詳しく説明している。提供されているリソースには、オンサイトでワクチンを投与できる医療提供者との契約が含まれる。

「私たちはAmazonの施設でワクチンをオンサイトで投与するために、認可された第三者の労働衛生ケア提供者との契約を結んでいます」とクラーク氏は述べている。「私達はワクチンが利用可能になったときに、迅速に対応できるように準備しています。さらに当社の業務、情報技術、コミュニケーション能力および専門知識を活用して、政府の予防接種の取り組みを支援する準備ができています。私たちのスケールは新型コロナウイルスとの戦いに対して、即座に意味のある影響を与えることを可能にし、この努力を支援する準備ができています」。

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画像クレジット:Photo by Mark Makela/Getty Images / Getty Images

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

在宅新型コロナ検査キットで知られるEverlywellが182億円のシリーズDに続きHealthQuestから78億円調達

在宅健康検査キットのスタートアップEverlywellは、12月に発表した1億7500万ドル(約182億円)のシリーズDに続き、7500万ドル(約78億円)を調達した。今回の資金調達はHealthQuest Capitalからのもので、ファンドの創設者でありマネージングパートナーのGarheng Kong(ガルヘン・コン)博士がEverlywellの取締役会に加わる。同社はこの資金調達で得た資金を既存の投資家に流動性を提供するために使用する予定で、12月に発表された13億ドル(約1351億円)の評価額はまだ維持されている。

HealthQuest Capitalの投資ポートフォリオは診断事業の商業化に重点を置いており、同社の親会社は病院や医療費支払者を含むパートナーとのネットワークを持っている。どちらの点も、Everlywellが企業向けのビジネスを拡大していくのに、戦略的に非常に有用なものとなるだろう。

テキサス州オースティンを拠点とするEverlywellは、甲状腺の問題、アレルギー、食物に対する過敏症など、さまざまな健康上の懸念を対象とした家庭用検査キットを開発している。同社はまた、2020年に自宅で使用可能な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査サンプル収集キットを追加し、その結果、新型コロナウイルス検査と他の製品群の両方から大きな成長を遂げたと、シリーズDの調達のために12月に話を聞いた際、Everlywellの創業者兼CEOであるJulia Cheek(ジュリア・チーク)氏は語った。

HealthQuestのベンチャー部門をパートナーとして迎えることで、同社の消費者向けDTC事業にテコ入れするとともに、補完的な企業向けの活動をさらに発展させることができるだろう。同社はすでに一部の雇用者や健康保険プランと提携しているが、2021年以降のさらなる成長に向けて、今回の提携がそのビジネスの側面を加速させるのに役立つことは間違いない。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:新型コロナウイルス 資金調達

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(翻訳:Dragonfly)

メンタルケアアプリのemolが「国内メンタルヘルステックカオスマップ 2021年版」公開

  1. メンタルケアアプリのemolが「国内メンタルヘルステックカオスマップ 2021年版」公開

AIが心に寄り添うメンタルケアアプリ「emol」(エモル。iOS版)を運営するemolは1月18日、「国内メンタルヘルステックカオスマップ 2021年版」を公開した。

emolは、国内メンタルヘルステックの傾向として、「コロナ禍におけるメンタルヘルスケアサービスへの需要の増加」「ニューノーマルにおける人々の行動の変化」の2点を挙げている。

emolによると、2020年版に比べ、一般向けサービスが増加かつ多様化が進んだという。この1年間で運用を終了したサービスもあったものの、特に「AI」「カウンセリング」「マインドフルネス」「CBD(CannaBiDiol。カンナビジオール)」の分野でサービスが多く立ち上がったとしている。

また、同カオスマップでは非医療領域のものが多数を占めているが、「ストレスと健康・全国調査2013-2015(世界精神保健日本調査セカンド)」によると心に悩みを抱えている中で専門機関に受診をしていない人は多く、気軽に利用できるサービスへの需要は高まっているとした。

世界精神保健調査(World Mental Health Surveys)は、世界保健機関(WHO)およびハーバード大学医学部が進める、世界28ヵ国のこころの健康についての疫学調査。2002年~2006年、日本において世界精神保健調査の一部となる世界精神保健日本調査(World Mental Health Japan Survey。ファースト)が実施され、この10年後の調査として世界精神保健日本調査セカンドが実施された。

メンタルケアアプリのemolが「国内メンタルヘルステックカオスマップ 2021年版」公開

人々の行動の変化としてemolは、コロナ禍においてオンラインシフトが進んだ影響から、メンタルヘルスケアの領域でも新たな体験が求められていることを予想。

従来は、医療機関への受診や対面でのカウンセリングなどオフラインでのメンタルヘルスケアのソリューションが主流となっていた。しかしオラクルによる調査では、78%の人がコロナ禍においてメンタルヘルスの悪影響を感じており、メンタルヘルスのサポートに関して人よりもロボットに頼りたいという回答は82%だったという。

メンタルケアアプリのemolが「国内メンタルヘルステックカオスマップ 2021年版」公開

オラクルは2020年10月8日、日本を含む11ヵ国(米国/英国/UAE/フランス/イタリア/ドイツ/インド/日本/中国/ブラジル/韓国)、1万2000人以上(日本での調査対象は1000人)の従業員、マネージャー、人事部門リーダー、経営幹部を対象とした調査結果を発表。

同調査では、コロナ禍によって職場でのストレス、不安、極度の疲労(燃え尽き症候群)が増加し、人々が人よりもロボットに支援を求めたいと考えていることが判明したと明かされている。国別では、インド(92%)、中国(89%)、韓国(87%)、UAE(86%)、ブラジル(86%)、日本(82%)、米国(75%)、イタリア(71%)、ドイツ(70%)、英国(69%)、フランス(68%)との結果となった。

その理由として、ロボットは「ジャッジメント・フリー・ゾーン」(無批判区域、決めつけのない環境)を与えてくれる(34%)、問題を共有する上で先入観のない感情のはけ口を提供してくれる(30%)、医療に関する質問に迅速に回答してくれる(29%)が挙げられている。

emolは2020年12月25日、メンタルヘルスケアアプリ「emol」の正式版リリースとともに、アプリ上でのデジタルセラピーの提供を開始。同サービスでは、個人のメンタルヘルスに関連する課題を、カウンセラーや産業医などの「人」ではなく、「AI」と会話することで解決していく。

サポートAIの「ロク」とチャットで会話をすることで、CBT(認知行動療法)やACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)に基づいた簡易のカウンセリングやコーチング、雑談などを行える。感情記録や睡眠時間記録などのライフログ機能も搭載しており、メンタルセルフケアのトータルサポートを行う。

メンタルケアアプリのemolが「国内メンタルヘルステックカオスマップ 2021年版」公開

同社によると、一般的なマインドフルネスアプリではオーディオガイダンスのみのものが多く、実施者の理解の促進が難しいという課題があるという。一方emolでは、しっかりした実践のため、実施者が自分の悩みを明確にしていけるようAIが一緒に、また導きつつ進行するという。これにより、「なぜ?」「どうやって?」「これって(自分が実践)できているの?」という疑問を解消しながら、心のケア方法の理解を深めつつプログラムを体験できるとしている。

専門家との連携によるメンタルヘルスケア機能拡充、会話AIの継続的な改善はじめ、医療機関向けの展開も進めており、クリニックに通われている方がAIとの会話を通じてカウンセリングの質の向上や症状の改善に活用してもらう機能などの導入も予定。

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カテゴリー:ヘルステック
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欧州医薬品庁が不正に操作された新型コロナワクチンデータのリークを警告

欧州医薬品庁(EMA)は、2020年12月にサイバー攻撃で盗まれ、1月11日の週にオンライン上にリークされた新型コロナウイルス(COVID-19)関連薬剤とワクチンの情報について、リークされる前に「ワクチンの信頼を損なうかもしれない」ように手が加えられた内容が含まれていると警告した。

薬剤の構造の図式と新型コロナワクチンの評価過程に関する内容を含む情報にどのくらい手が加えられたのかははっきりとしていない。

TechCrunchはEMAに問い合わせている。

Twitter(ツイッター)を介してリークについて懸念を表したセキュリティ研究者のLukasz Olejnik(ルーカス・オレイニク)氏は、リークされた内容にあるバイオテクノロジー関連の言葉は広く知られていないため、手が加えられたデータは「不信をまくのにうってつけだ」との考えを示した。

同様に、データを適切に解析するにはかなりの専門知識が必要なために、バイラル効果を制限することで手が加えられたバージョンがおよぼす影響を抑制することはあり得る。

しかしEMAが新型コロナワクチンへの信頼に関するリスクを懸念していることは注目に値する。

「EUの2件の新型コロナワクチン販売承認は、独立した科学的評価を経て2020年12月末と2021年1月初旬に認められました」とEMAはハッキングに関する最新のアップデートの中で書いている。

「EUの新型コロナ感染率が高い状況下で、EU市民になるだけ早くワクチンを提供できるよう、急を要する公衆衛生上の必要性があります。この緊急性にかかわらず、高品質の基準で妥協せず、ワクチンの安全性、品質、効果について確固たる科学的な証拠に基づくという点でEUの認識は常に一致していました」。

「EMAは欧州共同体(EC)やネットワーク内外の他の規制当局と絶えず対話しています。ワクチンのメリットがリスクよりも大きいという説得力のある証拠がある場合に承認が付与されます。科学的な評価の全詳細はEMAのウェブサイトにある欧州公開医薬品審査報告書(European Public Assessment Reports)で公開されています」と付け加えている。

この記事執筆時点で、サイバー攻撃の捜査はまだ続いている。

今回の攻撃はまだ特定のハッキンググループや国家主体に関連づけられておらず、手を加えた医学書類をオンライン上でばらまくことで新型コロナ関連の誤情報を埋め込もうとしたのは誰なのかわかっていない。

しかしながら2020年11月にMicrosoft(マイクロソフト)はロシアと北朝鮮が支援するハッカーが新型コロナワクチンの開発に取り組んでいる製薬会社をターゲットにしていると警告した。

欧州委員会もまた2020年6月、今後数カ月以内に新型コロナワクチンの偽情報が拡散するという懸念を提起していた。と同時に欧州をターゲットとした国家主体の偽情報キャンペーンの裏にいると確認された外国の実体として中国とロシアを挙げた。

つまり、疑いはいつもの「敵対的な容疑者」に向けられているようだ。

ロシアによる似たような「不正に加工したリーク」戦術は以前もあった。通常それは選挙絡みで、トップの公職の候補を汚すことで政治に干渉しようとする企てだ。

研究者らは、リークされた電子メールにこっそり不正操作されたデータを侵入させた、2015〜2016年の民主党全国委員会ネットワーク情報漏洩に関わったハッカーを特定した。この攻撃はロシアに起因した

一方、より直近のものとして、悪名高い「『Hunter Biden』 ラップトップ事件」があった。これはトランプ大統領のサポーターが2020年の大統領選挙で、ホワイトハウス奪還を目指す挑戦者(現在の次期大統領)に影響力を及ぼそうとしたものだった。

このケースでは、データキャッシュの発見やタイミングに関する多量の疑わしい主張が展開される中で偽情報の攻撃はなくなった

その前の2017年の事件では、フランス大統領のEmmanuel Macron(エマニュエル・マクロン)氏の選挙活動に関連する電子メールも投票直前にオンライン上でリークされた。大統領選をリードする人がケイマン諸島に秘密の銀行口座を持っているとする、インターネットフォーラムでひどく扱われた文書と一致するもので、マクロン氏の選挙運動はフェイクだという主張だ。

また、2019年にReddit(レディット)は英国の選挙運動の最中に起こった機密の英国・米国通貿易交渉のリーク・拡散に関与した疑いがあるとして、ロシアの政治影響オペレーションアカウントを指摘した。

リークされた貿易関連のフォルダが不正に手を加えられたかどうかは明らかではない。そしてもちろん、Jeremy Corbyn(ジェレミー・コービン)氏の労働党に圧勝的な選挙勝利をもたらさなかった。同党は選挙運動でリークされたデータを使用した。しかし、ロシアによる似たような先の操作は複数のオンラインプラットフォーム上での偽の書類のリークに関わった(そうした誤情報の操作は2019年5月にFacebookによって特定され、排除された)。

不正に手が加えられた新型コロナワクチンや治療に関する医療データのリークの出現は、他人にとって役に立たない結果を生むために偽のデータを武器とすることを模索する敵意のあるサイバー分散操作の厄介な進化のようだ。ワクチンプログラムの信頼性が過小評価されれば人々の健康に直接的なリスクがある。

以前にも医療データをターゲットとした国家レベルのハッキングがあった。とはいえ、それは現在ある公衆衛生の緊急事態を背景とするパンデミックに関連するものではなかった。

たとえば2016年に世界ドーピング防止機構は、数多くのアスリートのオリンピック薬物検査に関連する機密の医療データが、ロシアにつながっているサイバーハッキンググループ「Fancy Bear」によってリークされたことを認めた。このケースでは、データが不正に手を加えられたという報告はなかった。

関連記事:ロシアと北朝鮮のハッカーが新型コロナワクチン製造会社を標的にしているとマイクロソフトが指摘

カテゴリー:セキュリティ
タグ:新型コロナウイルスワクチンハッキング

画像クレジット:Dogukan Keskinkilic/Anadolu Agency / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

やはり新型コロナウイルスの影響が色濃く出たCES 2021

初のオールバーチャル開催となったCES 2021で、もちろん新型コロナウイルスは避けて通れない話題となった。結局のところ、CESの期間に関係なく、この話題が人々の頭から離れることはないのだ。感染拡大が起きてから1年近くが経過した現在も、プレゼンターは当然ながら常に存在する「部屋の中にいる象」に対処することを義務づけられているように感じる。ラスベガスのコンベンションセンターからMicrosoft(マイクロソフト)のバーチャル会場に移ったことは、そんな現象のわかりやすい一例だが、時にはもっと強引なこじつけに感じられるようなこともあった。

テクノロジーそれ自体についていえば、健康に関する様々な測定機能からリモートワークの設定まで、新型コロナウイルス感染拡大が今後何年にもわたってテクノロジー業界に大きな影響を与えることは間違いない。それはときに、テクノロジーを絶えず変化する世界に適応させるための純粋で有機的な進化でもある。しかし別のケースでは、「この不確実な時代」を論じるビールのコマーシャルのように、搾取的に感じられる「家電製品」もなくはない。

私は、このウイルス感染が今後のロボット工学やAIにどのような影響を与えるかについて、多くのことを書いてきた。要約するとそれは、世界中に蔓延する致死性と伝染性の高いウイルスで人間の労働力が限界にぶち当たった後、企業は間違いなくロボット工学やAIといった技術を受け入れることに、さらに熱心になるだろうということだ。

今回のCESでは、ロボット工学の反応も垣間見られた。この業界は一般消費者向け製品に比べてリードタイムが長くなる傾向にあるが、その中でも最もわかりやすく、即効性のある例が、紫外線消毒機能を搭載するロボットの増加だった。LG、UBTECH、Ava Robotics(アバ・ロボティクス)の3社が、このカテゴリーについての見解を私の受信箱に送りつけてきた。感染拡大時には消毒技術が強く求められることは明らかであり、ロボットはこのような退屈で反復的なプロセスを自動化する方法を提供すると同時に、潜在的な人間のウイルス感染を防ぐことができる。

画像クレジット:Razer

紫外線消毒はさまざまなかたちで登場した。携帯電話は数年前からこの技術のターゲットになっている。結局のところ、我々はTikTok(ティックトック)を見ているスマートフォンが、移動するペトリ皿であることを、新型ウイルスに改めて教えられたのだ。現象に先んじていた「PhoneSoap(フォンソープ)」がこれまで支配してきた領域に、カナダのスタートアップ企業であるGlissner(グリスナー)社の「CleanPhone(クリーンフォン)」などの製品が参入しようとしている。

Targus(ターガス)のキーボードは、今回のショーで最も広く報道されたUVソリューションかもしれない。キーボードの上に紫外線ランプが備わるこの製品は、少々異様な印象を与える見た目になっている。

マスクもこのショーに秘かに潜り込んできたウイルス関連製品の1つだが、2021年は本当に熱が入っていた。公共の場でマスクを着用することは、一部の国では明らかに新しい現象だが、東アジアのような地域では昔から、生活の一部として普通に行われてきた。ポートランドを拠点とするAo Air(アオエア)社はこのカテゴリーで独自の取り組みを行い、2020年に何度か大きな注目を浴びた。

Razer(レイザー)社のProject Hazel(プロジェクト・ヘゼル)は、今回のショーで間違いなく最も目立つマスクとしてデビューした(上の写真)。この大きくて派手なN95規格マスクは、ゲーム周辺機器を主に扱う会社にとって本業外ともいえるものだが、充電状態を示すLEDを搭載しており、暗い環境下でも着用者の顔が見えるようになっている。装着者の声がクリアに聞こえる技術も組み込まれている。しかし、今のところ、これは注目を集めるための製品を超えるものとして見ることは難しい。

私が本当に期待していたのは、リモートワークに関するものだ。このショーでは、Microsoft Teamsリモート会議機能を搭載したDellのモニターのような製品を見ることができた。マイクロソフトは新型Surface(サーフェイス)をリモートワークマシンとして宣伝していたが、率直に言って、他のポータブルなSurfaceの製品と比べて、特にこの分野をターゲットにしているようには感じられなかった。

企業が取り組んでいるイノベーションの多くは、間違いなくCES 2022まで待たなければならないだろう。来年はラスベガスでそれらを目にすることができるように祈っている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:CES 2021新型コロナウイルス

画像クレジット:MANDEL NGAN/AFP / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

2020年のビデオゲーム関連支出は前年比27%増、新型コロナが追い風に

もしあなたが過去12カ月、ゲーム分野あるいは大きくいうと世界状況をフォローしてきたなら、この記事は大きな驚きとはならないだろう。家に引きこもった人たちがゲームに慰めと気晴らしを求めた結果、2020年のゲーム関連支出は大きく増えた。これは他の消費家電業界の多くとまったく対照的だ。経済の不確実性によって必要不可欠でないものの購入が減っている。

NPDの最新のデータによると、ゲームのハードウェア、ソフトウェア、アクセサリーへの支出は2020年12月に前年比25%増となり、2020年を通しては同27%増だった。特にハードウェアはSony(ソニー)やMicrosoft(マイクロソフト)の次世代コンソールの発売が貢献し、2020年12月の支出額は同38%増の13億5000万ドル(約1400億円)だった。

この数字は、13億7000万ドル(約1420億円)を記録した2013年12月以来の水準だ。同年はXbox OneとPlayStation 4がリリースされた。2020年の新製品のリリースにもかかわらず(限定的な供給に妨げられた)、任天堂のSwitchは12月に再び売上トップになり、PS5とともに1位と2位を独占した。Switchの2020年はコンソールとして2008年のWii以来最も好成績となった。

2021年3月で発売3年を迎えるSwitchは、供給が限定的だったために出だしはスローだった。しかし家で過ごすことを余儀なくされた消費者が新しいソーシャルゲーミングを求める中、「Animal Crossing: New Horizons(あつまれ どうぶつの森)」のリリースのおかげでSwitchは瞬く間にトップに躍り出た。「あつまれ どうぶつの森」は2020年に最も売れたゲーム第3位だった。上位2つは「Call of Duty: Black Ops Cold War(コール オブ デューティ ブラックオプス コールドウォー)」と「Call of Duty: Modern Warfare(コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア)」だった(前者は2020年12月のランキングでも1位だった)。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Nintendo Switch新型コロナウイルス

画像クレジット:Taylor Hatmaker/TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

新型コロナワクチン接種のデジタル記録開発でテックとヘルスの企業がタッグ

新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン接種デジタル記録の基準を作ろうと、産業をまたぐ新たな取り組みが進んでいる。個人のワクチン接種を証明し、世界中で使えるデジタル記録を想定している。情報は暗号化で安全に守られ、内容の信頼性を追跡したり証明したりできる。「Vaccination Credential Initiative(ワクチン証明イニシアチブ)」と呼ばれるこの取り組みには、ヘルスケア業界やテック業界のさまざまなビッグネームが関わっている。いくつか挙げると、Microsoft(マイクロソフト)、Oracle(オラクル)、Salesforce(セールスフォース)、Epic(エピック)、Mayo Clinic(メイヨークリニック)、Safe Health(セーフヘルス)、Change Healthcare(チェンジヘルスケア)、CARIN Alliance(カリンアライアンス)などだ。

この取り組みはSMART Health Cardsのようなデジタルヘルスケアプログラムですでに使われている基準を参考にしている。SMART Health Cardsの仕様は、プロバイダー間で相互運用できるデジタルヘルス記録で使うために作られた基準であるHL7 FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)に準拠している。イニシアチブが作ろうとしている最終的なプロダクトは「希望者がデジタルウォレットに保存するための接種履歴の暗号化されたデジタルコピー」だ。デジタルで持ちたくない、あるいはスマートフォンを使いたくない人のために、W3C基準の検証可能な証明情報を含むQRコードの印刷としてバックアップを取ることもできる。

ワクチン接種証明は、目新しいものではない。1700年代から何らかの形式で存在している。しかしその使用や歴史はまた論争や不公平だという非難から抜け出せずにいる。新型コロナではすでに、テスト結果が陰性だった場合のみ入国を許可するという対応を取っている国もある(だがそのような陰性の結果は、実際には個人が新型コロナウイルス持っていない、あるいは他人にうつさない、ということを保証しない)。

具体的には、ロサンゼルス郡の直近の取り組みでは、Appleのウォレット技術を活用し、Healthvanaとの提携を通じて個人にすでにデジタル接種記録を提供している。しかしHealthvanaのCEOで共同創業者は筆者に対し、その記録提供は個人の社会的活動や地理的なアクセスを抑制するのに使うための免疫証明の提供ではないと明確にした。そうではなく、最適なケアを受けられるよう患者に情報を提供しサポートするためのものだ。

今回のイニシアチブは新型コロナワクチン接種記録を文字通りパスポートとして使うためのもののようだ。今回に限り、名称にイニシアチブの文言が入っている(「Credential(証明書)」はかなり明示的だ)。協力している企業は少なくともそうしたプログラムの落とし穴の可能性を認識しているようで、非営利組織MITREの首席デジタルヘルス医師Brian Anderson(ブライアン・アンダーソン)博士は「我々はサービスを十分に受けられていない人々がこの証明にアクセスできるように取り組んでいます」と話し、「新型コロナが社会経済的地位に基づいて差別しないように、我々は記録への便利なアクセスがデジタル格差に阻害されないようにしなければなりません」と付け加えた。

この取り組みを率いるOracleとSalesforceは、「旅行の再開」「以前のような公共の生活」「コンサートやスポーツイベントの開催」などを含む社会・経済活動の再開のためのものであることを認めた。Safe Healthもまた「少なくとも部分的にブロックチェーン対応」の「プライバシーを保護している健康状態証明」ソリューションとなるようにサポートする、という。

安全な社会経済再開、そして現在進められている大規模な世界的ワクチン接種プログラムを管理する方法につながるソリューションの緊急性を考えると、現代のアプローチに歴史のあるワクチン接種記録システムのデジタル版が含まれるのは理に適っている。しかしそのようなプログラムは、新たな利便性とスマートフォンやインターネットによって可能になるモードをもたらす一方で、特にプライバシーや公平な扱いにフォーカスしている公共利益団体によって間違いなくかなり精査され、思わぬ危険やリスクに直面する可能性がある。

関連記事:Healthvanaの新型ワクチン接種デジタル証明書は免疫のパスポートではなくコミュニケーションツール

カテゴリー:ヘルステック
タグ:新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:Dogukan Keskinkilic/Anadolu Agency / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

レビューサイト最大手Yelpが店舗の新型コロナ対策に関するユーザーフィードバックを表示

これからYelp(イェルプ)ユーザーは、料理がおいしいか、クレジットカードが使えるか以外のことも質問されるようになる。レビューサイト最大手は、店員がマスクをしていたか、ソーシャルディスタンスを徹底していたかについてもユーザーがフィードバックできるようにする。

Yelpの消費者プロダクト責任者Akhil Kuduvalli Ramesh(アクヒール・クドゥバリ・ラメシュ)氏は、これは同社が地域事業者を支援する次のフェーズであると説明する。これまでにも同サービスは、バーチャル・サービスを大きく紹介したり、店舗が順番待ちリストを新しい規則に沿って管理できるようにしたり、店舗が実施している健康安全対策を紹介するなどの施策をとってきた。

もちろん、店舗がマスク着用とソーシャルディスタンスを厳格に適用していることを宣言していることと、それが真実である(かないか)を顧客に聞いて確認することはまったく意味が異なる。これはユーザーに特定の事業者を避けるよう警告するものではなく「消費者が地域事業とつながり、支援を続けることを推進する」目的の方が大きいとラメシュ氏はいう。

ユーザーが店のプロフィールページにアクセスすると、ソーシャルディスタンスが徹底されているか、店員がマスクを着用しているかを尋ねられる。その他の健康や安全に関する質問(およびプロフィールのEditボタンを押してもう少し詳しいフィードバックを送れる機能)も将来追加するかれしれないが、現在、ユーザーが最も気にしているのはこの2つだとラメシュ氏は語った。

画像クレジット:Yelp

Yelpが意味のあるデータを公表するために必要な回答数(正確な数は当然、明かさなかった)が集まったら、プロフィールの健康・安全セクションに「多数のユーザーによるとソーシャルディスタンスが徹底されている」というメッセージとグリーンのチェックマーク、あるいは「多数のユーザーによるとソーシャルディスタンスが徹底されていない可能性がある」とオレンジ色のクエッションマークが表示される。マスク着用についても同様だ。

回答の意見が割れたが、対策が実施されていないことを示す「有意」なフィードバックがある場合には、「most users(多数のユーザー)」の代わりに「some users(一部のユーザー)」によるというメッセージを表示する。

ラメシュ氏は、Yelpはこのユーザーフィードバックの収集をすでに行っており、本機能の開始時点で、数百万の登録店舗の中でオレンジ色のラベルがつくのは「数百」にすぎないと語った。「これは多くの事業者が正しい行動をしているという意味でもあります」。

画像クレジット:Yelp

複数の場所にある事業者の場合、健康・安全データは場所ごとに登録されると同氏は語った。また、ラベルは過去28日間のフィードバックに基づいているため、オレンジラベルのついた事業者であっても改善されればいずれはそれが反映されてプロフィールは改善されるはずだ。

さらにYelpは、事業者がプロフィールに新たなサービスや安全対策を追加できるようにすると語った。従業員の症状検査、使い捨てあるいは非接触メニュー、店外座席の暖房や雨除けなどの情報だ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Yelp新型コロナウイルス

画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uberと米製薬会社Modernaがなかなか進まない新型コロナワクチン接種の啓発、促進で提携

Uber(ウーバー)と製薬会社Moderna(モデルナ)は新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンに関してさまざまな取り組みを含む提携を発表した。さしあたって決定しているのは、新型コロナワクチンの安全性について信頼できる事実に基づく情報をUberの消費者向けアプリを通じてユーザーに提供することだ。しかし両社は、ワクチン接種予約プロセスにUberを通じた乗車のスケジューリングを直接組み込む「オプション」も検討した。

米国の新型コロナワクチン接種プログラムは、まだ初期段階ではあるが難題に直面している。ここには、ワクチンを最も必要としている人々にタイムリーにワクチンへのアクセスを提供することが含まれる。ワクチン接種プログラムはまた、ワクチンの安全性に関するソーシャルメディア上でのかなりの誤情報拡散とも戦わなければならない。Uberのような利用者が多いアプリは前向きなメッセージと正確な情報を多くの人の目に触れさせることができるため、この取り組みはいいニュースだ。

しかし効果的なワクチンキャンペーンを展開する上でかなり難題となっているものの1つはロジスティックであり、Modernaワクチンの1回目と2回目の接種の予約をとるよう促すことは多くの人が考えていた以上に大きな課題だ。筆者はHealthvanaのCEO、Ramin Bastani(ラミン・バスタニ)氏にロサンゼルス郡との取り組みについて聞いた。同社は患者にタイムリーな情報とワクチン予約についてのリマインダーを提供するためにApple Walletを活用してワクチン接種記録を作るという取り組みを展開している。だが、大半のユーザーがすでにスマホにダウンロードしているUberアプリに乗車予約サービスや予約リマインダーを直接組み込むことは、1回目と2回目のワクチン接種率を高めるのにかなり有効な別の方法となり得る。

Uberはすでに、実際に出かけてワクチン接種を受けるのにともなう壁を下げようと、無料あるいは割引運賃での乗車を提供している。プロダクトレベルの統合は、簡単でユーザーフレンドリーなアクセスを提供することでより効果があるかもしれない。前述の通り、これはまだ協議中のオプションの1つにすぎないが、もしUberとModernaが積極的に実行するとすれば、それは少なくとも両社が方法を見つけるのに真剣であることを意味する。TechCrunchは両社の動きをマークし、このコラボレーションの進展についてはフォローアップするのでご安心を。

カテゴリー:その他
タグ:UberModerna新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:Kirill Kukhmar/TASS / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Healthvanaの新型ワクチン接種デジタル証明書は免疫のパスポートではなくコミュニケーションツール

新型コロナウイルス(COVID-19)への反撃の準備が(多難のスタートながら)進む中、数多くの企業がワクチンの効果を高めようと、いろいろな支援を計画している。HIV患者のための患者情報をデジタルで提供する専門企業としてスタートしたヘルステックのスタートアップHealthvana(ヘルスバーナ)は、Apple(アップル)のウォレット技術を利用して新型コロナウイルスのワクチン接種証明書をモバイル機器に提供するというロサンゼルス郡の取り組みに協力している。この技術をざっと見た限りでは、それを導入することで、個人のワクチンの効果を手軽に証明できるようになると思われるかもしれないが、これは免疫を請け合うものではなく、技術自身もHealthvanaも、むしろ人々に個々の医療プログラムへの参加を促すことに重点を置いている。

「医療のほとんどが、見た目も使い勝手も、総じてWindows 95のようなものだと私は思っています」とHealthvanaのCEOで創設者のRamin Bastani(ラミン・バスタニ)氏はいう。「私たちのルック・アンド・フィールはInstagram(インスタグラム)です。どうしてそこにこだわるのかって?なぜなら患者は、自分が理解できるものに頼るからです。最も楽なのは、普段からコミュニケーションに利用している方法によるコミュニケーションです。つまるところそれが、より健康な結果をもたらすのです」。

バスタニ氏は、そのアプローチでHIVに関する患者教育とコミュニケーションに特化した会社を立ち上げ、そのソフトウェアを利用した場合、従来の方法で今後の治療に関する情報や次回の診察予約日のお知らせ受け取った人に比べ、7.4倍もの人が次の予約日に受診するようになることが証明できたと話す。同社は、単により良い医療を個々人にもたらすというだけでなく、誤解の払拭や、受診を続けるよう患者を追跡して説得するといった、労働時間を大幅に消費する大変な作業から医療や介護のスタッフを解放し、医療提供者のコストを削減することも視野に入れて、ツールやアプローチを構築している。

「実際に私たちは、医療提供者のコスト削減も実現しています。結果はどうだったか、理解できない、ログインできない、SARS陰性とはどういう意味かわからないといった1000件もの問い合わせにスタッフが対応する必要はなく、すべて私たちがシンプルに対処するからです」とバスタニ氏。「これで大きな違いが出ます。結局、患者の関心を惹き、彼ら自身が自分の健康問題に対して行動を起こせるようにすることが、あらゆる医療において重要な鍵になるだろうと、私は考えます」。

それはまた、新型コロナウイルス予防接種証明書で同社がロサンゼルス郡と協力して行っている取り組みの目標でもある。彼らは、同郡のワクチン接種証明書を確実に成功に導く極めて重要な役割を担っている。現在認可されている新型コロナウイルス用ワクチンは、どれもが2回接種を行うことになっている。1回目の予防接種に続き、少し間を開けて2回目で効果を高める。ロサンゼルスの住民への新型コロナウイルス予防接種、および2回目の接種が必要な人にはその旨の告知を徹底することが、この取り組みの第1の目標だ。そこに、患者の治療継続率を高めてきたHealthvanaの経験が活かされる。しかもこのアプリでは、新型コロナウイルスの治療に関する情報や、とりわけ便利な機能として、感染拡大の予防と感染を鈍化させる方法が提示される。

突き詰めれば、Healthvanaはメッセージ伝達の「最後の1マイル」だとバスタニ氏はいうものの、また適切な治療と予防のための正しい行動の判断にはそれ以外にも数多くのレイヤーが関わっているものの、彼らの実用価値のある情報を送り届ける方法は、すでにひとつの重要な手段である「接触者追跡」において大きな恩恵をもたらしている。一部の自治体では、Healthvanaは、検査で陽性になった人に、濃厚接触者のデバイスに匿名で直接知らせるよう促す取り組みを開始する。通知相手には、無料で受けられる検査の情報と、関連情報のリストも提供される。

「この広いロサンゼルス地区で2カ月以内にこれを成し遂げたのは、私たちだけです。すでに1万2000人以上の人たちにウイルスに曝露したことを通知しています」とバスタニ氏。「それぞれの人が、他の人や家族と同居している可能性が高いため、これが感染拡大を鈍らせる方法になります」。

Google(グーグル)とApple(アップル)は、珍しく協力して、最近のアップデートでiOSとAndroidのデバイスに曝露通知ツールを組み込んだが、その導入は比較的ゆっくりだった。その基礎となっている技術は確かなものであり、ユーザーのプライバシーにも特別な配慮を払っているにも関わらず、利用者数は世間の関心を惹くにはほど遠い。たとえばバージニア州の曝露通知フレームワークを使ったアプリでは、ローンチ以来この3カ月間に曝露を通知した人の数はわずか388人止まりだ。

Healthvanaは、その時々に即して個々人の必要性に応じた情報を、その人が一番よく理解している最も使い慣れた方法を通じて届けることに専念している。それはすでに、新型コロナウイルスとその地域感染の対策に大きな力を発揮できる潜在力を示した。同スタートアップは現在、米国国内の別の地域でも同様の取り組みを実施するための協議に入っている。これが米国国内のワクチンの効果を高め、ワクチンを手にした後の人々の新型コロナの対処法に大きな影響を与えることになるだろう。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Healthvana新型コロナウイルスワクチンロサンゼルス

画像クレジット:Healthvana

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(翻訳:金井哲夫)

テレワークスペース・シェアの「テレスペ」が「ワイン飲み放題付きテレワーク」プランを提供開始

テレワークスペース・シェアの「テレスペ」が「ワイン飲み放題付きテレワーク」プランを影響開始

テレワークスペースのシェアサービス「テレスペ」を運営するテレワーク・テクノロジーズは1月12日、パートナーズダイニング運営の「ワインバルESOLA 新宿店」において、12時〜20時までの日中を電源/Wi-Fi付きテレワークスペースとして利用できる「ワイン飲み放題付きテレワーク」プランの提供開始を発表した。飲み放題の付かないプランも用意している。

利用料金は、ワインセルフ飲み放題プランが1人1時間税込1000円から、飲み放題なしプランは1人1時間税込300円から。

緊急事態宣言により夜営業ができなくなった飲食店において、昼営業時間帯とランチ時間以降のアイドル時間帯を活用し新たな収益としつつ、テレワークを行うビジネスパーソンにワークスペースを提供することで、店舗の認知を高めて本業の飲食業へ集客する効果も期待できるとしている。

テレワークスペース・シェアの「テレスペ」が「ワイン飲み放題付きテレワーク」プランを影響開始

  • 利用可能日:1月11日より開始済み。当面継続して提供
  • 実施店舗:ワインバルESOLA新宿店(東京都新宿区歌舞伎町1-16-3 セレサ陽栄新宿ビル 5F)
  • 利用時間:12時~20時(お酒の提供は19時まで)
  • 利用人数:1名または2名
  • 利用料金:ワインセルフ飲み放題プラン1人1時間税込1000円から、飲み放題なしプラン1人1時間税込300円から
  • 提供内容:電源とWi-Fiが完備されたテーブル席を用意。ワインセルフ飲み放題プランは赤ワイン、白ワイン、スパークリングワインのセルフ飲み放題。店舗で追加料金を払うことでフード類も提供も可能
  • 利用方法:LINE上で「テレスペ」を友達登録およびクレジットカードを登録した上で、直接店舗へ来店。予約はできないため、来店前にテレスペで残り席数の表示を確認するとスムーズに利用できる

コロナ禍での飲食店、特に夜を主体とするワインバルなどのお酒業態は売上が回復しないためにランチ営業を行わざるを得ない状況となっている。しかしいきなりランチ営業を始めても、飲食客が「ランチ営業を行っていることの認知」を得るまでには時間がかかっているという状態が全国の飲食店でおきているという。

また、ランチとディナーの間のいわゆるアイドル時間も来客はまばらであり、ランチとアイドル時間を合わせた昼間時間の集客が、お酒業態では課題となっている。

コロナ禍でテレワークが急速に進んだことにより、多くのビジネスパーソンは在宅で仕事行っている一方、自宅での仕事は、ON/OFFの切り替えができずに難しい、家族やパートナーも在宅ワークで集中できない、小さなお子さんやペットなどに気を取られて集中できないなど、満足度は決して高いものではないとしている。

飲食店の昼時間をテレワークスペースとして提供することで、飲食店、ビジネスパーソン、それぞれが抱える課題を解決できるのではないかと検討した結果、店舗の本業であるワインバルの特徴を生かして、今回「ワイン飲み放題付きテレワーク」プランの提供に至ったという。

テレワークスペース・シェアの「テレスペ」が「ワイン飲み放題付きテレワーク」プランを影響開始

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:酒・アルコール飲料新型コロナウイルス(用語)テレスペテレワーク・テクノロジーズ日本(国・地域)

中国のUBTechが紫外線消毒ロボットを発表、新型コロナ蔓延を受けて

UBTechはおそらく名の知れていない中国のロボット会社だが、大規模な資金調達を行っている。米国でこのブランドを知っている人は、STEMや数年前のスターウォーズのStorm Trooperロボット(未訳記事)などのロボット玩具のためだろう(私自身、その時にこの会社を知った)。しかし同社は約9億4000万ドル(約980億円)の資金を得ており、製品の拡大という点では問題はなさそうだ。

UBTechは米国時間1月11日、開催中のCESで、消毒ロボット「UV-C」を発表した。2020年の(そして今年も続く)新型コロナウイルス騒動を考慮すれば、その必要性は明らかである。なお同社はUV消毒ロボットを導入する最初の会社ではなく、2020年に独自のソリューションを展開するLGが先駆けている。

LGと同様に、UBTechもすでにこの技術の試験運用を開始している。デラウェア州の教育省では、いくつかの場所にロボットを配備している。UBTechはAdibotのローリングタイプと固定タイプを含む数種類のモデルを生産しており、購入は今週から可能で、リースプランは1日15ドル(約1560円)からとなっている。

UBTechが指摘しているように、新型コロナウイルスの大流行時ではこのような機能の必要性が最優先されてるが、これは特定のウイルスに限った話ではない。疫学者たちは、このウイルスの蔓延が、私たちが生きている間の最後のものにはならないだろうと警告している。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:UBTech新型コロナウイルスCES 2021

画像クレジット:UBTech

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

米モデルナが季節性インフルエンザ、HIV、ニパウイルス向けに3種の新しいmRNAベースワクチンを開発中

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を止めるために、現在世界的に2種類のmRNAベースのワクチンが展開されている。そのうちの1つを開発しているバイオテクノロジー企業であるModerna(モデルナ)が、2021年には3種の新しいワクチン候補を中心に開発プログラムを進めることを発表した。それらはHIV、季節性インフルエンザ、ニパウイルスのためのワクチン候補だ。モデルナの新型コロナウイルスワクチンの開発と臨床試験は史上最速のペースで行われており、これまでのところ、その結果は非常に有望なものであり、初めてヒトの臨床への応用が行われるこの技術を用いた他の予防治療の有効性も大いに期待されている。

mRNAワクチンは従来の典型的なワクチンとは異なる。なぜならそれは体の自然な防御システムを起動するための特定のタンパク質を、どのように生産すればよいかという指示を人体に与えるものだからだ。そのmRNAによる指示は一時的なものであり、人体のDNAには影響を与えない。単に、ウイルスが細胞に取りついて感染する際に使うタンパク質の生産を、人体の細胞に対して促すだけだ。生み出されたタンパク質は、その後人体の自然免疫反応によって排除されるが、そのことによって、ウイルスが人間に取りついて感染するのを助けるタンパク質やその類似タンパク質を撃退する方法についての、永続的な教育が人体の防御系に対して行われることになる。

モデルナの新しいプログラムは、季節性インフルエンザだけでなく、通常のインフルエンザとCOVID-19を引き起こす新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の両者を対象とする複合ワクチンも目標とする予定だ。またAIDS Vaccine Initiative(AIDSワクチンイニシアチブ)ならびにBill and Melinda Gates Foundation(ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団)との協力のもとに開発されたHIVワクチン候補は、2021年中に第一相臨床試験が開始される予定だ。ニパウイルスは、呼吸器症状や神経症状を引き起こす致死性の高い病気で、特にインド、バングラデシュ、マレーシア、シンガポールで脅威となっている。

mRNAベースのワクチンは、その柔軟性とプログラミングが可能である点、また活性ウイルスや休眠ウイルスなどを使用しないために直接的な感染症を引き起こすリスクが低いという点から、未来のワクチン開発手段として可能性を長年期待されてきた。新型コロナウイルスのパンデミックが、この技術への多額の投資と、規制・健康・安全性への投資に拍車をかけ、モデルナ社による新しいワクチン候補試験を含む、他の分野での利用への道を切り拓いたのだ。

関連記事:米国がモデルナの新型コロナワクチン緊急使用を承認、ファイザーに続き2例目

カテゴリー:バイオテック
タグ:ModernaワクチンmRNA新型コロナウイルス

画像クレジット:NurPhoto / Contributor / Getty Images

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(翻訳:sako)