BtoB特化の事業用駐車場マッチングプラットフォーム「at PROT」を運営するランディットが7000万円のシード調達

BtoB特化の事業用駐車場マッチングプラットフォーム「at PROT」を運営するランディットが7000万円のシード調達

BtoB特化の事業用駐車場マッチングプラットフォーム「at PORT」(アットポート)などを手がけるランディットは10月13日、シードラウンドにて約7000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、インキュベイトファンド、mint、個人投資家。調達した資金は、主にプロダクト開発と組織体制の強化にあてる。

at PORTは、BtoB領域における駐車場を「貸したい」側と「借りたい」側をマッチングさせるプラットフォーム。デバイス1台で、借り手は検索・見積もり・予約・契約・決済・管理まで、貸し手は営業代行・顧客管理・契約管理・物件管理までが一括で可能になる。これまでアナログで行なわれていたこうした工程をデジタル化し取引を効率化することで、需要側・供給側のコスト削減、駐車場の稼働率向上に寄与するとしている。なお現在、at PORTアプリを開発中とのこと。

今後の展望としては、at PORTの開発、またat PORTの浸透を推進することで取引の非効率を解消し、顧客(借主・貸主双方)のコスト削減と駐車場の稼働率向上による売上向上に貢献するという。物件の借りる際の手間や物件を管理する際の工程に関して、自社開発ではコストのかかるソフトウェアを安価で提供し、業務の効率化に資するとしている。

また「マッチングプラットフォーム」と「業務効率化ツール」を土台に介在するデータとネットワークを活かし、「駐車場」の不動産価値を向上させる「不動産テック事業」や、車のIoTの進化・自動運転化を見据えた「モビリティインフラ事業」を進めているという。

BtoB特化の事業用駐車場マッチングプラットフォーム「at PROT」を運営するランディットが7000万円のシード調達

2021年5月設立のランディットは、「世の中を最適化し、豊かにする」をミッションに、建設業界・物流業界・モビリティ業界をデジタルによる仕組み作りによって支えるサービスを提供している。「事業用駐車スペースの確保にかかる手間」という課題は円滑な事業運営に影響を及ぼすことから、その解決ソリューション第1弾として、at PORTの提供を2021年6月より開始した。

フリーランス営業職・営業代行会社と企業をマッチングする営業代行プラットフォーム「カクトク」が資金調達

フリーランス営業職・営業代行会社と企業をマッチングする営業代行プラットフォーム「カクトク」が資金調達

カクトクは10月12日、J-KISS型新株予約権の発行による資金調達を発表した。引受先はVOYAGE VENTURES、セゾン・ベンチャーズのほか、既存投資家の朝日メディアラボベンチャーズ、コロプラネクストの運営するファンド。累計調達金額は4億円となった。

同社は、フリーランス営業職・営業代行会社と企業をオンライン上でマッチングする営業代行プラットフォーム「カクトク」を展開。1万人を越えるフリーランス・副業の営業人材と、600社以上の営業代行会社が登録しているという。企業側は、最短7日で新規開拓からクロージング、さらに営業戦略まですべての営業プロセスをアウトソースできるとしている。

今回調達した資金は、より適切なマッチングを提供するための機能改善や新機能開発、認知拡大のためのマーケーティングに活用する。

2016年に設立されたカクトクは、「誰もがプロフェッショナルとして活躍できる世界をつくる」をミッションに、営業力に課題を抱える企業と、営業フリーランス・副業の営業人材や営業代行会社とのマッチングをサポートすることで、営業戦術と働き方の新時代を作り出すサービスを提供するとしている。

カクトクのほかに、フリーランスや副業で営業を行なう際に役立つ情報を掲載する「kokoroe」、営業責任者向けの営業特化型メディア「SALES BRAIN」といったウェブメディアも運営している。

企業や個人事業主対象に融資・補助金による資金調達支援を行うSaaS「Scheeme」を手がけるScheemeが1億円調達

企業や個人事業主対象に融資・補助金による資金調達支援を行うSaaS「Scheeme」を手がけるScheemeが1億円のプレシリーズA調達

Scheemeは10月11日、プレシリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による1億円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、既存株主のジェネシア・ベンチャーズのGenesia Venture Fund 2号投資事業有限責任、またキャナルベンチャーズ。シードラウンドからの累計調達額は1億5000万円となった。

2016年9月設立のScheemeは、企業や個人事業主が資金調達を行う際に必要な計画書類・申請書類をクラウド上で作成できるサービス「Scheeme」を提供するスタートアップ。2020年4月のβ版ローンチから、2021年9月時点で利用社数は200社を超えており、売上も順調に推移しているという。調達した資金により、Scheemeのマーケティング施策と人材採用・組織体制強化を進めていくとのこと。企業や個人事業主対象に融資・補助金による資金調達支援を行うSaaS「Scheeme」を手がけるScheemeが1億円のプレシリーズA調達

同社SaaSでは、融資や補助金の申請に必要な「収支計画書・資金繰り表」や行政によって定められた補助金の申請書を作成・管理でき、資金調達がスムーズに進められるとしている。事業計画書を会計ソフトと連携して自動的に進捗状況を確認可能。さらに、融資や補助金について1000件以上が掲載されたデータベースにアクセスできるといった機能を備えている。

企業や個人事業主対象に融資・補助金による資金調達支援を行うSaaS「Scheeme」を手がけるScheemeが1億円のプレシリーズA調達

なお同社は、2021年2月26日に「経営革新等支援機関」として認定(登録番号:106613012612)されたほか、4月12日には「電子決済代行業」の登録が完了している(関東財務局長(電代)第83号)。

ヤプリがノーコードの顧客管理システムYappli CRM公開、ポイント・電子マネー発行やマーケ施策をワンストップで提供

ヤプリがノーコードの顧客管理システム「Yappli CRM」を提供開始、ポイント・電子マネーの発行やマーケ施策をワンストップで

アプリの開発・運用・分析をノーコードで提供するアプリプラットフォーム「Yappli」(ヤプリ)を提供するヤプリは10月11日、顧客管理、ポイント・電子マネーの発行、アプリマーケティング施策をワンストップで実現する「Yappli CRM」(ヤプリ シーアールエム)のリリースを発表した。

同社によると、Yappliは現在550社以上の企業に導入されているという。CRMについては、従来導入企業側で用意してもらっていたが、Yappli導入が広がる中、CRMを利用していないケースや、開発済みのCRMがいわゆる「レガシーシステム」(過去の技術や仕組みで構築されているシステム)となっており、拡張性や保守性に課題を感じているケースが増えていたそうだ。

この課題を解決するために生まれたサービスが、ノーコードでCRMを開始できる「Yappli CRM」としている。ヤプリでは、これまで顧客側の基幹システムとの連携を実現しおり、その知見をベースにモバイル時代に最適化されたCRMの開発に取り組んだという。

  • ノーコードの顧客管理システム:CRMに必要な、顧客の会員登録、認証、情報管理などをすべて搭載。アプリを軸に顧客管理システムを開始できる
  • ポイント・電子マネーの発行:ポイントカードと電子マネーを外部サービス連携なしで発行・管理可能。会員ランク別のポイント発行にも対応
  • 1to1の顧客体験を実現:顧客のタイミングに合わせた多彩なシナリオ設計によるプッシュ通知やクーポン・ポイント付与などの機能を提供
  • シームレスなサービス連携でアプリデータを活用:アプリの場合、顧客の購入データだけでなく購買後の行動データも多く取得できまる。それらデータを外部メールサービス、MA、CDPなどと連携させ、データドリブンなマーケティングに活用できる

デジタルサンプルとAI需要予測によりアパレル業界サプライチェーンの変革を目指すGOOD VIBES ONLYが5.5億円調達

デジタルサンプルとAI需要予測によりアパレル業界サプライチェーンの変革を目指すGOOD VIBES ONLYが5.5億円調達

GOOD VIBES ONLY(グッドバイブスオンリー)は10月8日、第三者割当増資および融資による総額約5億5000万円の資金調達を発表した。引受先はマルイグループ、SMBCベンチャーキャピタル、豊島株式CVC、Sun Asterisk、セレス、スタイレム瀧定大阪。

2018年4月設立のGOOD VIBES ONLYは、デジタルサンプルとAI需要予測を活用することで、アパレル業界におけるサプライチェーンの変革を目指すスタートアップ。アパレルにおける全商流を一気通貫させたビジネスモデルを構築し、自社D2Cブランドも6ブランド展開。他社のブランドプロデュースも多数請け負っているという。

調達した資金は、既存アパレル業界へのDX導入を加速させるためのデジタルサンプルプラットフォームの開発、中国、アジア圏内への展開を目的とした採用・マーケティング強化にあてる。来春には3Dデータを軸にしたアパレルのプラットフォームをスタートさせる。

デジタルサンプルは、サンプル費用の削減だけでなく、従来のサンプル生産方式から30日以上のリードタイムを短縮し、実物サンプルを生産することなくSNSなどでの訴求投稿、EC商品画像として活用することで撮影販管費の削減と効率化、サスティナブルな取り組みにもつながるという。

またSNSに投稿された画像は、AI需要予測により事前需要(予測点数)を可視化し、これまで人の感覚や前年比実績に基づく属人化された発注・生産体質を変革させ、シームレスに製品生産までを一気通貫したシステム提供を行うことが可能となるとしている。

 

農業を通じた地方創生事業を手がける静岡拠点のYui supportが2500万円調達、地産地消・国産原料キッチンカー事業展開

農業を通じた地方創生事業を手がける静岡県拠点のYui supportが2500万円のシード調達

静岡県浜松市にて地産地消を主とした食品卸売や商品開発、販路開拓を手がけるYui support(ユイサポート)は10月8日、シードラウンドにおいて、2500万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は敷島製パン、トレードトラスト。調達した資金は、「地産地消」「国産原料」をテーマにしたキッチンカー事業「七菜食プロジェクト」の新規展開といった活動資金にあてる予定。

Yui supportは「農×食×人を結び、新しい価値を創造し未来へつなぐ」というミッションを掲げる、静岡県を拠点とするスタートアップ。地産地消を主とした食品卸売や商品開発、販路開拓事業を通じて、生産者・販売者・消費者が地域の食に関わり協力・共存できる仕組みを作ることで、地域を発展させることを目指している。

今後も静岡県の魅力をさらに高めるような活動、地域課題解決への協力、次世代を担う児童に向けた地域創生を考える場の提供、安全で安心な地域作りを応援する取り組みなど、事業活動を通して継続的に推進するという。

また同社は、今回新たな取り組みとして、七菜食プロジェクトを展開する。

農産物は、生産計画を行っていても、天候などに左右され、農産物価格が下がる、またロス食材となることが起こりえる。それら農作物を農業生産者から購入し、加工・直売が可能なキッチンカーで取り扱うことで、農業生産者の販路開拓、価値向上支援事業を実施するという。

また子育て中のママなど、地域の消費者にキッチンカーを地域のコミュニケーションコンテンツとして活用してもらい、コロナ禍における不安解消の場づくりに取り組む。

七菜食プロジェクトは、コロナ禍に伴う「新しい生活様式」に基づき三密を避けて飲食のサービス提供ができるだけでなく、商品PR、マーケティングを行う場としても活用できるという。国産原料や、特色ある農産物を活用した新商品など開発時に活用することで、一次産業の活性化、一次産業の発展に寄与するとしている。

こうした取り組みによって、農業生産者・サービス事業者・消費者に愛される事業の展開、また地域の地産地消を通じた地域経済の発展に貢献するという。

ソフトバンクが支援する韓国EdTechスタートアップのRiiidがLangooを買収して日本での拡大を目指す

韓国に本社を置きAIを活用するEdTech企業のRiiidが、日本のディストリビューションパートナーであるLangooを買収して日本での事業拡大を目指す。

Riiidは直近のラウンドである2021年5月のシリーズDでソフトバンク・ビジョン・ファンド2から1億7500万ドル(約195億8000万円)を調達し、その後この買収を実施した。Riiidはこの資金で海外進出をさらに加速していくと述べていた。

関連記事:韓国のRiiidはソフトバンクの支援を受けてAIベースの学習プラットフォームをグローバルに拡大する

Riiidの日本でのパートナーであるLangooは、TOEIC対策アプリのSANTAを日本のiOSのApp Storeで提供している。SANTAの後継アプリであるRiiid Tutor(リドチューター)は、Riiidが日本のiOSのApp StoreとGoogle Playストアで公開している。Riiidによれば、Riiid Tutorアプリは韓国と日本で250万人以上のユーザーにダウンロードされたという。日本で公開された2019年4月に、Riiid Tutorアプリは公開から1週間でAndroidの教育アプリの売上トップになった。

Riiidの共同創業者でCEOのYJ(Young-Jun)Jang(チャン・ヨンジュン)氏は「Riiid Tutorを日本で成功させてきたLangooの卓越した能力が買収の主な理由です。Riiidの強みは、地域や言語、分野に関わらずあらゆるところで我々のテクノロジーを生かせるスケーラビリティと能力です。今回の投資によって我々は日本市場をさらに広く獲得していきます。この買収はRiiidのAIテクノロジーを世界のマーケットに広め、世界中の学習者を支援する無機的戦略の第一歩です」と述べた。

Riiidの広報担当者はTechCrunchに対し、日本は最大の教育市場の1つで旧来型の対面の教育システムに今も依存している日本のEdTech業界には大きな成長の可能性があると述べた。担当者はさらに、日本市場に浸透した後は中央アジアや東アジアなど他の海外市場へ進出していくと述べた。

矢野経済研究所のレポートによると、2020年の日本のリモート学習業界は前年比22.4%増の約2880億5000万円規模と推計されている。

Riiidは今回の買収を通じて日本のユニットを立ち上げ、日本におけるマーケティング、セールス、B2B事業開発を進めていく方針だ。日本市場でのリモート学習に取り組む。

同社は日本でTOEICや英会話指導のサービスを提供してカスタマーベースを広げていくという。

Riiidは米国の拠点としてシリコンバレーにRiiid Labsを開設し、2020年以降、グローバルマーケットに積極的に進出している。広報担当者によれば、ベトナムと台湾でもユーザーを獲得し、最近ではインドを拠点とするAIベースのEdTech企業と提携した。さらにカナダにも研究開発拠点を開設する予定だという。

TOEIC対策のモバイルアプリだけでなく、エジプト、トルコ、UAE、ヨルダン、サウジアラビアで2021年前半にConnectMe Educationとの提携でACT対策のモバイルアプリをリリースした。2021年にはKaplanとの提携でGMAT対策のベータ版を発表し、まず韓国市場をターゲットにする。2022年第1四半期には教員に形成的評価と学習のプログラムを提供するAIベースのソリューションであるRiiid Classroomをリリースする計画だ。Riiid Classroomの主な機能には、個人のパフォーマンスの分析、生徒1人ひとりの弱点に応じた授業の提案、ドロップアウトの分析、タスク管理などがある。

RiiidはK-12、高等教育、企業向けにAIベースのオンライン教育ソリューションを提供している。2014年に創業し、韓国、米国、英国、カナダ、ブラジル、ベトナムにおよそ210人の従業員がいる。

画像クレジット:Riiid / Riiid

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(文:Kate Park、翻訳:Kaori Koyama)

【スタートアップバトル】過去の出場企業紹介 6:STANDS

TechCrunch Tokyo 2021は、12月2、3日にオンラインで行うこととなった。そのメインとなる「スタートアップバトル」はもちろん2021年も開催する。

新進気鋭のスタートアップがステージ上で熱いピッチを繰り広げるピッチイベント「スタートアップバトル」には、例年数多くの企業が参加、熱戦が繰り広げられている。投資家や大企業の新規事業担当者も多く参加、スタートアップバトルをきっかけに出資が決まったり、優秀な人材の採用につながることも少なくなく、日本スタートアップ業界における登竜門ともいえる存在となっている。

ここでは、そんなスタートアップバトルにおいて、2020年にファイナルラウンドに進出したSTANDS(スタンズ)を紹介したい。

同社が提供する「Onboarding(オンボーディング)は、ソフトウェアのユーザー体験を変えLTV最大化を支援する、ソフトウェアサービス提供社のためのSaaS。Onboardingを導入すると、エンジニアの工数をかけずにノーコードでソフトウェアのユーザーインターフェース・ユーザーエクスペリエンス(UI/UX)を変えることができ、ユーザーごとに最適な体験を提供することで長期的な関係を築ける。

またユーザー属性や利用状況を分析し、データをもとにした施策を実行・改善といった、PDCAに必要な機能をワンストップで提供し最短でROIを実現する。

スタートアップバトルへの本登録は記事末のリンクで行える。出場登録締め切りは2021年10月11日(月)。

応募条件(詳しくはバトル応募ページに記載)

  • 未ローンチまたは2020年10月以降にローンチしたデモが可能なプロダクトを持つスタートアップ企業であること。
  • 法人設立3年未満(2018年10月以降に設立)で上場企業の子会社でないこと。

スタートアップバトルの応募はこちらから

日本のヘルステックBisuがアシックスなどから3.5億円調達、自宅でラボグレードの尿・唾液検査を可能に

マッキンゼーの報告書によると、2020年1月以降、遠隔医療サービスの導入は38倍に増加しており、パンデミックに後押しされブームとなっている。コンシューマーと臨床医の間の通信レイヤーを構築する企業が注目されている一方で、テレヘルス環境でモニターまたは対処できる内容を拡大するためのデバイスを開発する企業も増えている。

最近の動きとしては、東京に本社を置くヘルスケアスタートアップのBisu, Inc.(ビース)が320万ドル(約3億5000万円)の資金を調達した。Bisuは、自宅で使用できるラボグレードの検査機器を開発し、実用的な健康データに変換する診断を行っている。今回のシードラウンドは、簡単で正確な尿や唾液の検査を通じて、個人に合わせた栄養やライフスタイルのアドバイスを提供するポータブルホームヘルスラボ「Bisu Body Coach」の立ち上げに使用される。今回のシード資金により、同社の累計調達額は430万ドル(約4億8000万円)に達した。

今回の資金調達は、QUADが主導し、アシックスベンチャーズ株式会社、15th Rock Ventures、パシフィコ・インベストメンツ、SOSV Investmentsが参加した。スポーツシューズ大手のアシックスは戦略的に支援しており、健康・フィットネスサービスの取り組みでBisuと協業していく予定。Bisuは、フィットネス、ペットケア、バスルームなどの分野で他の企業との追加提携を検討していると、共同設立者兼CEOのDaniel Maggs(ダニエル・マグス)氏はTechCrunchに語った。

Bisuは2015年に設立され、2017年にHAXのアクセラレータープログラムに参加して事業を開始した。

Bisu Body Coachは、使い捨て型のテストスティックと、スマホアプリと連動するリーダーを使用する。これらのテストスティックは、マイクロ流体を活用した「ラボオンチップ(Lab-on-a-chip)」技術により、ユーザーがわずか2分でさまざまなバイオマーカーを測定することを可能にする。

マイクロ流体「ラボオンチップ」技術は、分光分析とリアルタイムのエンド・ツー・エンド測定を用いて、従来のテストストリップが抱える測定タイミングの問題を解消する。また、血液、尿、唾液、汗などのサンプルを微小な流路内で操作し、化学的または生物学的プロセスを実行する。

ラボオンチップ技術を採用している他の競合他社との差別化について質問されたBisuは、複数のバイオマーカーを同時に検査することで、ユーザーが医師の診察を受けることなく、食生活やライフスタイルを理解し、前向きに変化させることができることに焦点を当てていると答えた。競合製品は、新型コロナウイルスやインフルエンザなど、重要度の高い個別のバイオマーカーを検出して、ユーザーに医師の助けを求めるように誘導するものが一般的だ。

Bisuアプリは、水分補給、ミネラル、ビタミン、pH、尿酸、ケトン体などの主要な栄養指標に関するフィードバックを提供する。ユーザーの目標、プリファレンス、活動パターン、睡眠、体重などをもとに、Bisu Body Coachはパーソナライズされたアドバイスを表示する。Bisuは今後、亜鉛やビタミンBの測定機能を追加する予定で、犬猫用のペット健康診断キットの発売も見込んでいる。

Bisu Body Coachは現在、米国とEUでベータテストを行っている。2022年にこれらの市場での商品化を目指しており、2023年には日本や韓国などのアジア市場への参入も視野に入れて準備を進めていると、マグス氏は述べている。

同社の中核となる研究開発および生産チームは東京にあり、Bisuのソフトウェアおよびマーケティングチームは米国に拠点を置いている。

マグス氏によると、従来の在宅検査市場は、主に(何らかの疾患を持つ)患者が中心で、約50億ドル規模(約5580億円)と推定され成長を続けているという。

しかし、Bisuの在宅検査は、非患者、つまり、何か特別なことで医師などの治療を受けているわけではないが、自分の体の中で何が起こっているのか知りたいと思っている人たちにも市場を広げる可能性がある。マグス氏によると、非患者向けの在宅診断の市場は、現在約100億ドル(約1兆1160億円)と推定されている。

画像クレジット:Bisu / Bisu platform

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

精神疾患向けVRデジタル治療を手がけるBiPSEEが2.5億円調達、VRプロダクト開発や臨床試験に注力

精神疾患向けVRデジタル治療を手がけるBiPSEEが2.5億円調達、VRプロダクト開発や臨床試験に注力

精神疾患向けにVRを用いた新たな治療手法を開発しているBiPSEEは10月7日、プレシリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による2億5000万円の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家のBeyond Next Ventures、またANRI、Scrum Ventures。調達した資金により、うつ病患者向けのVRデジタル治療薬の開発および臨床試験を進め、VRデジタル治療の実現を目指す。

BiPSEEは、2017年に心療内科医が設立したMedTechスタートアップ。VR技術と医学的エビデンスに基づいた、精神疾患治療向け「VRデジタル治療薬」の研究・開発から製造販売までを手がけている。

このVRデジタル治療薬は、デジタルツールを用いて疾患を治療する「医療機器プログラム」(SaMD。DTxとも呼ばれる)の一種。既存の医薬品や医療機器と異なり、VRを用いることで患者の心理に対して働きかける治療アプローチを通じ、従来治療しきれなかった多くの疾患を治せる可能性を持った革新的な治療ツールという。とりわけ精神疾患は、他疾病と比べても薬物療法など既存の治療法のみでは奏功しにくい領域とされており、新しい治療方法が求められているとしている。

VRデジタル治療薬は、以下の点で特徴的という。
・患者の能動的な治療への参加を実現
・治療側の力量により治療効果や経過の差異が生じるメンタル領域において、世界中いつでも・どこからでも均一に質の高い医療サービスへのアクセスが可能
・医薬品や医療機器と比べて、高い費用対効果を実現できる

BiPSEEは、ネガティブな感情や事柄に対して繰り返し考えてしまう「反すう」という症状に着目。反すうは治療対象としてあまり注目されてこなかったが、うつ病をはじめとする疾患横断的な症状であり、増悪の要因ともなっていることが分かっているという。BiPSEEのVRデジタル治療薬は、VR空間での没入やインタラクションにより、反すうを抑制するために必要な自己肯定感を醸成することを可能とする。

現在、反すうを抱えるうつ病患者向けのVRデジタル治療薬について、高知大学医学部と共同研究を行い、同病院で臨床試験を進めるとしている。

77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達

77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達

工場DXのための現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を提供するものレボは10月5日、第三者割当増資による総額1億8000万円の資金調達を発表した。引受先はALL STAR SAAS FUND、京銀未来ファンドなど。

調達した資金は、製造業のサプライチェーンのデジタル化を推進すべく、ものレボの開発・販売、ものレボと連携する「サプライチェーンプラットフォーム」の事業化のための人材獲得にあてる。77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達

サプライチェーンプラットフォームとは、ものレボを活用し製造現場のデジタル管理を実現できた顧客と、少量多品種・短納期の調達ニーズを持つ企業のマッチングを図る仕組み。

現在ものレボは、2019年1月より国内外の77社130工場(2021年8月31日時点)の製造現場において利用されているという。77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達

多くの中小製造業は大手の系列からの下請けの仕事が多く、系列トップの業績に左右されやすく、安定した経営のための系列以外からも受注できるようにすることが課題となっている。同プラットフォームで受注することができれば、系列からの脱却、工場の稼働率アップと売上拡大が期待できるとしている。また発注側は、効率的に試作部品や治工具を調達することで事業のスピードが向上するという。77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達

消費者やニーズの多様化により、従来の大量生産大量消費ではなく少量多品種・短納期の要求が高まってきており、同社はこの要求にいち早く応えるためサプライチェーンプラットフォームを形成し、様々なニーズに応える体制づくりをサポートする。

オーティファイがノーコードAI利用ソフトウェアテスト自動化プラットフォーム強化で11.2億円のシリーズA調達

写真左からCEO近澤良氏、CTO松浦隼人氏、COO清水隆之氏(画像クレジット:Autify)

Autify(オーティファイ)のCEOで共同創業者の近澤良氏は、過去10年間、日本、シンガポール、サンフランシスコでソフトウェアエンジニアとして働く中で、ソフトウェア開発業界には「ソフトウェアテストに時間がかかりすぎる」という共通の問題があることに気づいた。

近澤氏と共同創業者の山下(サム)颯太氏は2016年にサンフランシスコで、ソフトウェアテストの自動化を開発し急速に変化する市場において開発者が高品質なソフトウェアを顧客に迅速に提供できるようにするために、Chaloを立ち上げた。

Chaloのソフトウェア・テスティング・オートメーションは、コード不要のプラットフォームを使って、人手不足と技術的困難の問題を解決する。

日本時間10月6日、Chaloはモバイル向けネイティブアプリテストのローンチやグローバル展開に向けた新製品開発のために、1000万ドル(約11億2000万円)のシリーズAラウンドを行ったことを発表した。

今回の資金調達によって、Chaloの調達額は1220万ドル(約13億6000万円)に達したと近澤氏はいう。完全なリモートカンパニーであるChaloは、全世界に30名の従業員を抱えている。

シリーズAを主導したのはWorld Innovation Lab(WiL)である。新規投資家としてUncorrelated Venturesと個人投資家のJonathan Siegel(ジョナサン・シーゲル)氏が参加した。既存の出資者であるArchetype Ventures、Salesforce Ventures、Tablyも今回のラウンドに参加している。

グローバルな同業他社の大半は、ローコードのテスト自動化ソリューションを提供しており、さまざまなコーディングスキルを持つソフトウェア開発者が作業を迅速に行えるようにすることを目標としている。しかし、日本を含むいくつかの国では、ローコードアプローチでは解決できない深刻な開発者不足の問題に直面していると、WiLのパートナーである久保田雅也氏はTechCrunchのインタビューで述べている。

久保田氏はTechCrunchの取材に対し「ローコードのソリューションは、技術に精通した企業では有効かもしれませんが、ノーコードは世界中のさらに大きなマスマーケットを獲得することができるでしょう」という。

「これまでソフトウェアのテスト自動化は、コードを書ける人しかできませんでしたが、ノーコードソリューションとしてのChaloを使うことで、誰でもテストを自動化できるようになるので、開発者にも非開発者にもメリットがあるのです」と近澤は続ける。

ウェブとモバイル向けのChaloの主な機能は、クロスブラウザかつマルチデバイスでの並行テスト、AIによる自動修復、ビジュアル回帰テストの3つだ。声明によれば、ChaloのAIは、ソースコード/UIの変更を検知し、実行に際してテストシナリオを自動的に修正する一方で、ビジュアル回帰テストでは変更を自動的に検知し、ユーザーがメンテナンスなしでテストを実行することを可能にするという。

世界の多くの企業でリモートワークが標準となりつつある中で、ソフトウェア開発者やQAチームは、手動テスト用のモバイルデバイスを準備・管理することがますます困難になっている。Chaloのモバイル用ノーコードテストシステムを使うことで、プログラミングの知識や自動化のスキルがなくても、ウェブブラウザ上でモバイルアプリを操作するだけで、誰でも簡単にソフトウェアのテストシナリオを作成、実行、自動化することができる。近澤はこのことで、OS、画面サイズ、ネットワーク事業者、ユーザーシナリオなどの異なる組み合わせの実際のモバイル機器を用意する必要がなくなるという。

今回ローンチされた「Autify for Mobile」は、モバイル・ネイティブ・アプリケーションのテスト効率を向上させるもので、ウェブアプリケーションとモバイル・ネイティブ・アプリケーションのテストを同一プラットフォーム上で管理することにより、QAの生産性を飛躍的に向上させることを目的としている。

近澤氏によれば、Autify for Webは2019年10月にサービスを開始し、日本、米国、シンガポールの他、欧州も含んで、Unity、DeNA、ZOZOなどの、B2CおよびB2BのSaaS顧客が多数存在しているという。

現在は、米国と日本の2つの市場に集中しているが、今後はさらにグローバルな展開を進めていく予定だと近澤氏はいう。

久保田氏はTechCrunchの取材に対し「Chaloは最初からそうしたグローバルビジョンを持っていて、それはよく考え抜かれた市場戦略に裏付けられています。グローバル展開が難しくなることが多い日本のユーザーだけに向けたソリューションをカスタマイズするのではなく、Chaloは本当の最初からグローバルスタンダードで設計を行うことにしたのです」と語る。

Global Market Insightsの調査によれば、ソフトウェアテスト市場は2027年までに600億ドル(約6兆7100億円)の増加が見込まれている。

近澤氏は「世界の企業の75%がソフトウェア開発のテストを手動で行っている中で、Chaloは自動テストのためのノーコードアプリケーションを提供することを通して、1兆3000億ドル(約145兆2800億円)規模の世界のテスト市場をディスラプトしたいと考えています」という。「『ノーコード』、『AI利用』、『カスタマーサクセス』という、テストの自動化に対するChaloの3つのアプローチは、労働力不足、高い保守費用、技術的な難しさなど、とても長い間テスト市場を悩ませていた課題の解決に役立ちます。何よりもすばらしいのは、Chaloが開発のどの段階でも製品の品質を犠牲にすることなく、問題に対処できていることなのです」。

久保田氏は「Chaloがテスト市場で勝てる理由は、開発者不足が日本だけの問題ではないからです。たとえば米国でも、労働統計局の発表によれば、2026年にはエンジニアの不足数が120万人を超えると言われています」という。

Chaloは、技術系企業だけでなく、技術者が十分にいないような地域や業界の企業でも、ソフトウェア開発の改善を可能にできると久保田氏は述べている。

Sensor Towerのデータを引用した同社の声明によると、モバイルアプリに対する世界の消費者支出は、2019年には前年比30%増で2020年には1110億ドル(約12兆4000億円)に達しており、市場は急速な成長を続けている。

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(文:Kate Park、翻訳:sako)

筑波大学発の宇宙領域スタートアップ「ワープスペース」が資金調達、累計調達額が約10億円に

筑波大学発の宇宙領域スタートアップ「ワープスペース」が資金調達、累計調達額が約10億円に

筑波大学発の宇宙領域スタートアップ「ワープスペース」は10月6日、シリーズAラウンドのファイナルクローズとなる、第三者割当増資による資金調達を発表した。引受先は、SBI 4&5投資事業有限責任組合(SBIインベストメント)、みずほ成長支援第4号投資事業有限責任組合(みずほキャピタル)など。創業からの資金調達総額は約10億円となった。

今回の資金調達をもって、民間として世界初となる商用光通信衛星であるとともに、世界初の衛星間光通信ネットワークサービス「WarpHub InterSat」を構成する最初の光通信衛星「WARP-02」の開発を加速させる。また、今回みずほキャピタルの運営するVCからの出資により、ワープスペースの株主に3大メガバンクすべての系列ファンドが揃うことになった。

筑波大学発の宇宙領域スタートアップ「ワープスペース」が資金調達、累計調達額が約10億円に

ワープスペースの「WarpHub InterSat」小型光中継衛星群(イメージ)

2016年設立のワープスペースは、前身の大学衛星プロジェクトを含め、これまで2機の通信衛星を打ち上げている。宇宙や人工衛星に関する高い専門性に加え、JAXAをはじめとする研究機関とのパートナーシップ、つくば研究学園都市が保有する豊富な実験・試験設備などを強みに、WarpHub InterSatの実現を目指している。

2023年の実現を目指すWarpHub Intersatは、世界初となる小型光中継衛星による衛星間の光通信ネットワークサービス。地上から500~800キロの低軌道では地球観測などを行う人工衛星の数が爆発的に増えており、WarpHub Intersatによって地上とこれら衛星との間での常時高速通信が可能になり、より多くの観測・センシングデータをリアルタイムに近い形で取得・利用できるようになるという。

【スタートアップバトル】過去の出場企業紹介 4:207

TechCrunch Tokyo 2021は、12月2、3日にオンラインで行うこととなった。そのメインとなる「スタートアップバトル」はもちろん2021年も開催する。

新進気鋭のスタートアップがステージ上で熱いピッチを繰り広げるピッチイベント「スタートアップバトル」には、例年数多くの企業が参加、熱戦が繰り広げられている。投資家や大企業の新規事業担当者も多く参加、スタートアップバトルをきっかけに出資が決まったり、優秀な人材の採用につながることも少なくなく、日本スタートアップ業界における登竜門ともいえる存在となっている。

ここでは、そんなスタートアップバトルにおいて、2020年にファイナルラウンドに進出、見事優勝した207(ニーマルナナ)を紹介したい。

物流業界におけるラストワンマイルのDXを目指す「207」。同社は配送状況の確認や配送員とのコミュニケーションが可能な荷物の受取人向けサービス「トドク」、自動生成の配達マップや受取人の在宅情報や荷物情報を管理できる配達員向けアプリ「トドク サポーター」、そして配送員や荷物を効率的に管理できる物流事業者(法人)向けサービス「トドク クラウド」、個人宅向けの宅配荷物の増加に合わせたギグエコノミーを活用した「働きたい人のスキマ時間で荷物をお届けする」配送ソリューション「スキマ便」を提供している。

スタートアップバトルに出場した207のその後の軌跡は、以下の記事から確認できる。また、スタートアップバトルへの本登録は記事末のリンクで行える。出場登録締め切りは2021年10月11日(月)。

2020年12月
スタートアップバトル優勝者、物流革命を目指す「207」が配送員や荷物の管理サービス「TODOCUクラウド」提供

2021年10月
物流ラストワンマイルのDX目指す207が5億円調達、サービスの機能追加や外部システムとの連携機能開発

応募条件(詳しくはバトル応募ページに記載)

  • 未ローンチまたは2020年10月以降にローンチしたデモが可能なプロダクトを持つスタートアップ企業であること。
  • 法人設立3年未満(2018年10月以降に設立)で上場企業の子会社でないこと。

スタートアップバトルの応募はこちらから

第一生命が欧州スタートアップとイノベーションを模索、その具体的な内容とは?

Dai-ichi Life International (Europe) Limited でHead of London Innovation Labを務める伊豆淳氏

少子高齢化が止まらない日本。あらゆる業界で国内マーケット縮小への対策が迫られている。生命保険事業を営む第一生命は2017年にイノベーション専門組織を設置、2018年に東京とシリコンバレーにラボ組織を設置するなど、テクノロジーの活用とグローバルなパートナーシップ構築に注力している。同社の取り組みをDai-ichi Life International (Europe) Limited でHead of London Innovation Labを務める伊豆淳氏、同London Innovation LabでInnovation Managerを努める米本兼也氏が語った。

本記事は、イントラリンク主催「第一生命がヨーロッパに目を向ける理由 〜現地スタッフが語る欧州スタートアップエコシステムの特徴とポテンシャル〜」のセッション内容を編集・再構成したものとなる。

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欧州という保険市場

伊豆氏によると、現在、保険業界はGDPの成長鈍化や人口減少などの外部環境踏まえて課題に対応すべき状況にあるという。また、スマートフォンユーザーが増え続けており、こうしたトレンドも取り込んでいく必要があるという。

「欧州と日本は似たような人口構成を持っていて、社会環境も類似しています。高齢化や、それにともなう医療費負担の増加など、日本と同じような課題を持っています」と伊豆氏。

ここで日本と世界の保険市場を見てみると、実は日本が米国、英国に次ぐ3番目の市場規模を持つ保険大国であることがわかる。しかし、欧州を1つの市場とみなすと、その市場規模は日本よりも大きい。

伊豆氏は「統計の取り方にはいろいろあり、こちらの統計では中国が含まれていないのですが、仮に中国が入ってきても日本が上位に入ってくることに変わりはありません」と補足する。

いずれにしても、欧州という市場は大きい。欧州の保険事業プレイヤーを見ても、ドイツのアリアンツ、フランスのアクサ、イギリスのアビバ、イタリアのゼネラリなど、大規模でグローバルな企業が目に入る。

欧州インシュアテック動向

こうした大規模保険事業プレイヤーはイノベーションにも注力している。

伊豆氏は「彼らはGAFAMと連携し、ラボを設立し、インキュベーター、アクセラレーターを立ち上げるなど、活発な活動を見せています」という。

大手はこのような動きを見せているが、スタートアップはどうだろうか。

伊豆氏は「欧州のインシュアテック企業は豊かな状況にあります」と話す。

欧州のインシュアテック企業の評価額は230億ユーロ(約3兆円)となっている。また、欧州インシュアテックへの投資額は右肩上がりで、2021年には42億ユーロ(約5409億円)の投資が見込まれる。一方の日本は、インシュアテックだけでないスタートアップ全般への投資額(2020年)が37億ユーロ(約4765億円)だ。インシュアテックに限定するとこれよりも投資額が低いことがわかる。

では、インシュアテックに関わるスタートアップと既存の保険会社は競合するのだろうか。

伊豆氏は「保険会社は保険の製造、販売、管理と、保険に関わるすべての機能を持っています。インシュアテックスタートアップでこうした『全機能』を備えているところは多くありません。彼らはむしろ、従業員の福利厚生、健康サポートや請求管理、自営業、中小企業向け保険など、保険会社のパーツの機能に特化して優位性を発揮しようとしています」と考えている。

最新欧州インシュアテック事例

こうした動向を受けて、保険の提供方法にも変化が訪れている。

例えば、パラメトリック保険。この形の保険では、気温、雨、風速などの潜在的な損失に関連するパラメータを契約書に明記し、保険会社が天気などのデータを監視し、データが損失発生の閾値に達したら自動的に保険が支払われる。

組み込み型保険というものもある。これは、例えばスキーを楽しみたい顧客が、スキー場のチケットをオンラインで購入する際、追加の保険の注文の有無をオンライン決済の中で顧客に確認することで、保険をプッシュするものだ。

また、AIの活用も見逃せない。自動請求サポート、カスタマーサポートのためのチャットボット、掛け金のダイナミック・プライシングなどを行うためのデータ分析、写真による請求処理など、保険のさまざまなプロセスの中でAIの活用が進んでいる。

その他にも、ブロックチェーンの活用や、テレメディシン(遠隔医療)など、インシュアテック企業のテクノロジー活用は枚挙にいとまがない。

伊豆氏は「当社は欧州で有望なスタートアップとのイノベーションを模索していますが、こういった状況で欧州のエコシステムにいきなり入るということは現実的ではありません。当社は現地のアクセラレーターにアプローチしたり、業界団体に参加したり、欧州のスタートアップと繋がりのあるコンサルティング企業のサポートを得たり、欧州スタートアップに投資するなどして、徐々にエコシステムに入るようにしています」と語る。

第一生命が欧州スタートアップとパートナーシップを構築する方法

米本氏は、保険事業で海外展開する難しさを指摘する。

Dai-ichi Life International (Europe) Limited London Innovation LabでInnovation Managerを務める米本兼也氏

「国が変われば商習慣が変わります。ですが、保険の場合、国の福利厚生とも関わるサービスですので、ある国で展開したサービスを他の国でそのまま横展開することができません。同じことは技術でも言えます。欧州で良い技術を持つスタートアップを見つけても、その技術が日本でそのまま活用できるかは別問題です。欧州のスタートアップを日本に紹介するときには、その技術が日本でどう役立つのか、勝ち筋を見据えてから紹介するようにしています。また、技術をサービスに反映するときにはできるだけスモールスタートして、撤退する必要が出てきたらすぐ撤退できるようにしておくことも大事です」と米本氏。

また同氏は欧州でコラボレーションするスタートアップを見つけ出し、日本の第一生命につなげる役割を果たしているが「ビジネス部門への気遣い」の重要性も訴える。

「私のいるイノベーション部門だけではイノベーションはできません。イノベーションを起こすためには、現業を持つビジネス部門の力が不可欠です。ですが、彼らには、今、この瞬間走らせているビジネスがあります。そのため、彼らに大きな負担をかけることは避けながら、新しい技術を導入することで得られる効果をアピールし、興味を持ってもらうように努めています」と米本氏は語る。

また、同氏は海外スタートアップとの連携で不可欠な英語に関しても言及した。

米本氏によると「問い合わせなどのコミュニケーションが英語だ」というところで日本側が構えてしまうこともあるという。

米本氏は「そういうときには、英語の翻訳や資料作りなども対応してくれるコンサルティング会社さんにプロジェクトの初期から入ってもらうなどして、日本側の負担や心の壁を小さくしていく工夫が必要ですね」と締めくくった。

社員主導型「スクラム採用」システムのHERPが9.5億円調達、HRテック領域の新規事業開発・人材採用に積極投資

社員主導型「スクラム採用」システムのHERPが9.5億円調達、HRテック領域の新規事業開発・人材採用に積極投資HERPは10月6日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資および融資による総額9億5000万円の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家のDNX Ventures、またDCM Ventures、マネーフォワードら。借入先は日本政策金融公庫。累積資金調達額は約15億円となった。

調達した資金により、人材採用プラットフォーム「HERP Hire」、タレント管理プラットフォーム「HERP Nurture」β版への事業投資に加えて、HRTech領域における新規事業開発とそれに伴う人材採用に積極的に取り組む。

HERP Hireは、同社が提唱する社員主導型の採用方式「スクラム採用」を推進したい経営者や、人事責任者向けの採用プラットフォーム。2019年3月の正式リリースから約2年半で累計導入企業数は900社を突破したという。IT系企業が利用する20以上の求人媒体からの応募情報の自動連携、Slackなどとの連携による現場メンバーへのスピーディな情報共有により、社員それぞれが積極的に採用に参画できる状態の実現をサポートする。

HERP Nurture β版は、企業の採用活動における潜在的な候補人材(タレント)の選考意欲およびアプローチを可視化し、最適なコミュニケーションを実現するスクラム採用向けタレント管理プラットフォーム。HERP Hireと合わせて利用されており、年内での正式リリースを目指しているという。

また、タレントに関する情報を企業が一元管理・活用できるようデータベース化したものがタレントプールと呼ばれており、HERP Nurtureは、2020年1月よりβ版としてタレントプール機能を提供している。

アマチュアスポーツ向け映像分析ツールのSPLYZAが約2.5億円調達、SPLYZA Teamsの機能追加や新製品開発・マーケ強化

アマチュアスポーツ向け映像分析ツールのSPLYZAが約2.5億円調達、SPLYZA Teamsの機能追加や新製品開発・マーケ強化

アマチュアスポーツにおける分析・改善の支援サービスを提供するSPLYZA(スプライザ)は10月4日、約2億5000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先はジャフコグループおよび栖峰投資ワークスがそれぞれ運営するファンド。

SPLYZAの主力製品である「SPLYZA Teams」(Android版iOS版)は、撮影したスポーツの映像をチーム内で共有することでメンバーの共通理解や分析力を向上させ、チーム内のコミュニケーションを活性化させるツール。ユーザーは学生からアマチュアチーム、プロのクラブまでと幅広く、サッカーやラグビー、バスケットボールなど20種類以上のスポーツ・600以上のチームに導入されている。ユーザー数は3万人を超えるという。

今回調達した資金は、SPLYZA Teamsの機能追加、新製品の開発、研究開発の強化といった開発体制をはじめ、営業およびマーケティング、カスタマーサクセスなどの販売促進活動と顧客フォロー体制の強化に充当。多様化するユーザーのニーズに応えるため企業としての総合力の向上を目指すという。アマチュアスポーツ向け映像分析ツールのSPLYZAが約2.5億円調達、SPLYZA Teamsの機能追加や新製品開発・マーケ強化

物流ラストワンマイルのDX目指す207が5億円調達、サービスの機能追加や外部システムとの連携機能開発

物流ラストワンマイルのDXを目指す207が5億円のシリーズA調達、サービスの機能追加や外部システムとの連携機能開発

物流業界のラストワンマイルのDXを目指す207(ニーマルナナ)は10月6日、第三者割当増資による総額約5億円の資金調達を発表した。引受先は、環境エネルギー投資、Logistics Innovation Fund、Headline Asia、DG Daiwa Venturesの計4社。調達した資金により、サービスの機能追加や外部システムとの連携機能開発、さらなる事業拡大・サービス成長にむけた採用活動の強化を行う。シードラウンドを含めた累計調達額は約5億8000万円となった。

同社によると、調達した資金は具体的には以下にあてるという。

  • 物流・配送利用者向けに再配達問題を解決する「TODOCU」(トドク)において、配送状況のリアルタイム確認を実現する機能追加
  • 配達員向け配送効率化アプリ「TODOCUサポーター」では、集荷関連業務すべてを一元集約し業務効率化を実現する機能追加
  • 物流・配送事業者向けの配送管理システム「TODOCUクラウド」において、物流会社および荷主のシステムとのAPI連携機能を開発

今後は、配送事業者・配送員の配送効率化をより高めるサービスを提供し、物流のラストワンマイル市場ですべての配送員が利用するようなインフラサービスへの進化を目指すという。2022年には日本全体の配達員の50%、10万人が活用するサービスを目指し、物流業界の人材不足などの課題解決に寄与したいとしている。物流ラストワンマイルのDXを目指す207が5億円のシリーズA調達、サービスの機能追加や外部システムとの連携機能開発

現在、コロナ禍によって生活者の巣ごもり需要が高まり、特にEコマース分野において顕著な変化が出ており、2020年の宅配便の取扱個数は約48億個と、前年度と比較し約11.9%増加しているという(国土交通省「令和2年度宅配便取扱実績について」)。

その中で物流業界では、人材不足や新人教育コストの増加、再配達問題、属人的管理作業の慢性化などをはじめ、以下のような課題が顕在化しているそうだ。

・​ドライバーは配送中に電話を受けるため都度停車する必要がある
・ドライバーが配送中に電話を受けることで気が散り事故の原因につながる
・ドライバーの配送状況を逐一確認しなければならない

207は、これら課題を解決すべく「いつでもどこでもモノがトドク世界的な物流ネットワークを創る」をコーポレートミッションに掲げ、2019年9月よりTODOCU、2020年2月よりTODOCUサポーターの提供を開始した。2020年5月には、人々の空き時間を利用して荷物を配達するシェアリング型宅配サービス「スキマ便」、同年12月にはTODOCUクラウドも提供している。

これらにより「配送状況をリアルタイムで一元管理可能」「ドライバーに土地勘がなくても視覚的に届け先を把握でき業務を効率化できる」「ドライバーが効率のよいルートで配送網を回れる」などが可能なことから、サービスローンチから約2年の現在、物流・配送事業者の従業員も含め1万5000名以上の配送員が利用しているという。

日米11以上のプロ球団が採用のシーン映像分析プラットフォームを手がけるRUN.EDGEが資金調達、累計調達額15億円に

日米11以上のプロ球団が採用のシーン映像分析プラットフォームを手がけるRUN.EDGEが資金調達、累計調達額15億円に

スポーツや教育分野で映像分析プラットフォームを提供するRUN.EDGE(ラン.エッジ)は10月4日、プレシリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資および日本政策金融公庫からの特別貸付(資本性劣後ローン)による資金調達を発表した。引受先は、慶應イノベーション・イニシアティブ(KII2号投資事業有限責任組合)、Sony Innovation Fund、三菱UFJキャピタル(三菱UFJキャピタル8号投資事業有限責任組合)、日本リビング保証。シードラウンドからの累計調達額は約15億円となった。

調達した資金により、プロユースで培った技術をアマチュア向けに展開し、選手の競技力向上に貢献する。また、オンライン教育向け・メディア向け・産業向けなど積極的に技術展開し、生活やあらゆる社会活動の中で、映像を「シーン」で使えるよう価値提供を進める。

RUN.EDGEは、富士通の事業から独立・カーブアウトし、スカイライトコンサルティングと共同で活動を開始。映像分析のSaaS型サービス・プラットフォームを提供している。野球向けサービス「PITCHBASE」(ピッチベース)は、日本と米国において11以上のプロ球団が採用。サッカー・バスケ・ラグビー他フィールドスポーツ向けアプリケーション「FL-UX」(フラックス)は、Jリーグクラブ、Bリーグクラブ、欧州リーグクラブをはじめとした国内外の50以上のトッププロ・アマチュアクラブに利用されているという。

日米11以上のプロ球団が採用のシーン映像分析プラットフォームを手がけるRUN.EDGEが資金調達、累計調達額15億円に

野球向けサービス「PITCHBASE」(ピッチベース)

日米11以上のプロ球団が採用のシーン映像分析プラットフォームを手がけるRUN.EDGEが資金調達、累計調達額15億円に

サッカー・バスケ・ラグビー他フィールドスポーツ向けアプリケーション「FL-UX」(フラックス)

また、プロスポーツで培った映像技術をオンライン教育向けに展開した「TAGURU」(タグる)は、コロナ禍の中で新しい教育を促進するために大学や塾で導入・実証が進められているそうだ。

日米11以上のプロ球団が採用のシーン映像分析プラットフォームを手がけるRUN.EDGEが資金調達、累計調達額15億円に

オンライン教育向けに展開したTAGURU」(タグる)

北海道スペースポートHOSPOがCAMPFIREと協定、「宇宙のまちづくり」のためクラウドファンディングによる資金調達開始

北海道スペースポートHOSPOがCAMPFIREと協定を結び「宇宙のまちづくり」のためクラウドファンディングによる資金調達開始

北海道の東部海岸に面する大樹町に位置する北海道スペースポート「HOSPO」(ホスポ)を推進する北海道大樹町とSPACE COTANは10月4日、CAMPFIREとの3者間パートナーシップ協定を結び、クラウドファンディングによる資金集めを開始すると発表した。

「宇宙のシリコンバレー」を目指して、スペースポートを中心とした地域づくり、町づくりを進めるHOSPOプロジェクトは、これまで企業版ふるさと納税で、25社から2億5330万円の資金提供を受けているが、個人でも支援したいとの声を受けて、数々のクラウドファンディングを実施することにした。第1弾は「【北海道スペースポート】HOSPO LC-1クルーとして共に宇宙を目指そう!」で、5000円を寄付するとリターンとしてHOSPOプロジェクトの仲間「HOSPO LC-1クルー」になれるというもの。集めた資金はHOSPOのPR・営業・観光などの商品開発、HOSPO関連事業に使われる。

このほかに予定されているクラウドファンディングは、北海道コンサドーレ札幌との限定コラボTシャツがもらえるコース(1万6000円)、大樹町の特産品がもらえるコース(2万円)、ロケット射場に名前が刻めるコース(3万円)、ホリエモンとの宇宙交流イベントに参加できるコース(5万円)、LC-1の竣工式でテープカットができる権利がもらえるコース(100万円)、さらにはインターステラテクノロジズのロケットZEROを打ち上げる権利がもらえる10億円のコースなどもある。

HOSPOは2021年4月から本格稼働し、すでに最初のロケット射場「LC-0」は、JAXAや民間ロケット企業、大学などの航空宇宙実験に利用されている。2023年には人工衛星打ち上げロケット用の射場「LC-1」が稼働し、現在ある1000m滑走路をスペースプレーン用に300m延伸する計画もある。