世界最大ECプラットフォーム「Shopify」、日本向けローカライズを経て“より優れたグローバルプロダクト”へ

Shopify Japan Country Manager マーク・ワング氏

世界175カ国の60万以上の店舗で利用されているカナダ発・世界最大ECプラットフォーム「Shopify」。昨年末に日本市場への参入を果たしてからこの国でも徐々に存在感を高めつつある。現在では靴下専門店「Tabio」や金沢カレーの「ゴーゴーカレー」を含む数千もの国内ショップに利用されるプラットフォームへと成長した同社だが、日本市場のニーズに応えるためのローカライズにはかなり手を焼いていたようだ。

Shopify Japanトップのマーク・ワング氏は「日本は非常に難しいマーケットだ」と述べた一方で「我々をより良いプロダクトへと成長させてくれる」とも語った。日本市場参入後から続けられている徹底したローカライズにより培ったノウハウは、グローバルプロダクトとしての更なる発展にも役立っているのだという。

ワング氏は、J.P. MorganやCitigroup、Global Entrepreneurship Programで企業戦略や起業家支援を担当。2016年にShopifyのHead of Internationalization、2017年に同社のJapan Country Managerに就任した。

TechCrunch Japanはワング氏に、日本市場参入前後からこれまでの経緯や戦略、そして同社が日本EC市場をどう見ているのか、詳しく話を聞いてきたのでその内容を読者の皆さんにも共有したい。

Shopify“日本市場参入”の持つ意味

Shopifyのウリは誰でも「手軽にネットショップをオープンできる利便性」だ。ワング氏はとても丁寧に笑顔で取材に応じてくれた。Shopifyもまた、利用者にとって“技術的に”フレンドリーなプラットフォームだ。

あらゆるショップ運営社がエンジニアやプログラマーを雇わなくても、たとえコードが一行も書けなくてもオンラインストアを開設でき、世界を相手に販売を行える。そのような“簡単さ”は日本市場では特に重宝されるだろう。

総務省が2018年5月25日に発表した「通信利用動向調査」によると、13歳~59歳の年齢層でインターネット利用が9割を超えているが。だが、ワング氏いわく日本貿易振興機構(JETRO)の調査によると、国内リテーラー(小売業者)の若干24%しかオンラインにチャネルを持たない。

だからこそ「日本ではマーチャント(出店者)たちに対し、オンライン販売を開始し利益を向上させるためにサポート・教育の体制を強化する必要がある」とワング氏は語った。

マーク・ワング氏

「(日本では)24%のみがオンライン販売を実施しており、その半分ほどしかグローバルな販売を手がけていない。私たちのプロダクトの特徴は、ショップ開設後すぐにドメスティックおよびグローバルな販売が開始できるという点だ」(ワング氏)

そういった意味で「日本はShopifyにとって重要な市場だ」と同氏は付け加えた。

確かに、Shopifyは150カ国の言語、他国通貨にも対応しているほか、多彩なデザインテンプレートが用意されているので、日本だけでなく海外にも通用するデザインの店舗をすぐに開設することができる。

同社いわく「国内向けと海外向けのECサイトは、偽替・発送・決済の関係から、サイトを個別に構築する必要があった」というが、Shopifyは国内外のECサイトをまとめて管理できる機能を搭載している。

日本市場へ向けた“ローカライズ”

ローカライズと聞くと、言語やカスタマーサービスの対応が真っ先に頭に浮かぶとかもしれない。だが、Shopifyの日本ユーザーに向けたプラットフォームのローカライズについて話を聞いていると、「確かに」と思いクスッとしてしまう細かい部分がいくつかあったので紹介しよう。

日本では海外と違い、会計時に個人情報を入力する際に、ファーストネームではなくラストネームにあたる苗字が先にくる。住所に関しても都道府県、市区町村、町域、丁目番地、建物名、号室、といった順番は海外と逆なので、それに対応する必要があったという。

また、日本ではオンラインショップで会計を済ませている際に郵便番号をもとに住所の大半を自動的に入力してくれるが、これは日本の消費者にとって「必要不可欠なユーザーエクスペリエンスだ」とワング氏は話した。この自動入力は日本に導入後、アメリカでも同じような対応ができるようにしたのだという。細かい部分であるが、こういった部分が世界最大ECプラットフォームをより良いプロダクトへとブラッシュアップしているのだろう。

決済に関しても、日本ではクレジットカードの他にコンビニ決済という独特な方法があるのでそれに対応した。現在、日本でサポートされている主要な決済方法はPayPalやAmazon Pay、コンビニ決済、Shopifyペイメントなど。

2018年5月にローンチしたShopifyペイメントに登録すると、VISA、Mastercard、American Expressからの支払いが直接Shopifyを通して可能となり、他の決済代行のアカウントは不要となる。さらに、Shopify Pay、Google Pay、Apple Payを使用して素早いチェックアウトを顧客に提供できる。ちなみにShopifyペイメントは仲介手数料が0%だ。

ワング氏いわく、今後は「キャリア決済や後払いなどの支払い方法の導入も予定している」とのこと。

ロジスティクスに関しては、2018年7月よりオープンロジとAPI連携。ECサイトと倉庫をシームレスに連携する商品の保管・国内外への発送代⾏サービスを実現した。⽇本国内のみならず海外への発送も取り込みボタン1クリックで簡単に連携できる。

ワング氏いわくShopifyはパートナーやデベロッパーとのコミュニティーやエコシステムの構築を重視しており、「自分たちがベストではない」領域に関してはオープンロジに限らず今後も外部との連携を強化していくという。

また、FacebookやMessengerとの連携に続き、Instagramアプリ内で商品を販売できるように、日本でもニーズが増えているというInstagramショッピング機能との連携を2018年6月にローンチしている。これらのインテグレーションが簡単なのもShopifyの特徴の一つだ。

日本国内競合との差別化、今後の展開

日本には「楽天市場」といったモールがあるほか、ネットショップを無料で簡単に作成でき、ショップ開設数が50万店舗を突破した「BASE」の存在感も増してきている。だが、BASEがフリーミアムモデルを採用している一方、Shopifyはサブスクリプションモデルで利用料金は月額29ドルから。Shopifyには「Basic Shopify」(29ドル)、「Shopify」(79ドル)、「Advanced Shopify」(299ドル)の3つのプランが用意されている。全てのプランにおいて商品数・ファイルストレージは無制限になっている。

米国ではAmazonとも連携をしているということもあり、ワング氏は特に国内の競合を意識していた。Shopifyは利用料金がかかるが「ショップの成長に伴い自由にカスタマイズできる」ことが同プラットフォームの強みだという。Shopifyアプリストアにある2000以上ものアプリを使うことで、ネットショップをさらにカスタマイズすることができる

「私たちは出店者がまだ規模も小さく苦戦している初期の段階から関係を構築し、カスタマイズが必要となる段階に至るまで共に成長していきたいと考えている」(ワング氏)

また、上でも述べた通り、Shopifyはグローバルなショップ展開をサポートする。ワング氏いわく、ユーザーはそれまでドメスティックな販売に特化していたとしても、Shopifyに登録後「存在するとは想像すらしていなかった」海外需要を開拓したりすることもあるそうだ。

同氏は「以前はローカライズに力を入れていた」が「現在はドメスティック・グローバルのどちらの販売においても最も優れたプラットフォームになることを目標にしている」と語った。

グローバルな販売を目指す日本のショップ・オーナーにとって、Shopifyは今後もますます魅力的なECプラットフォームとなっていくだろう。ワング氏は今年中にも大きなニュースをいくつかアナウンスする予定だ、と話していた。

履歴書作成ツール兼ポートフォリオサービス「Proff」正式公開——ロールモデルの提案ツール目指す

かつては「履歴書・職務経歴書といえば手書き」というのが常識とされてきたものだけれども、人材不足の折、必ずしも自筆の書類にこだわらない企業も増えているようだ。就活・転職サイトでエントリーシートのフォームや履歴書・職務経歴書の作成支援ツールを提供するところもあるし、フリーで履歴書作成ツールを提供するサイトもある。

コンセプトデザインやクリエイティブ制作を手がけるイキモノが8月20日、正式リリースした「Proff(プロフ)」は、そうした履歴書・職務経歴書を作成する機能と、LinkedInやWantedlyのプロフィール画面のようなポートフォリオ機能を持つ“スマート履歴書”サービスだ。

作成はPCからだけでなく、スマートフォンにも対応。ポートフォリオページは独自のURLを持つことができるので、就職・転職活動だけでなく、フリーランスのエンジニアやデザイナー、ライターがSNSなどでシェアして活用する、といった使い方もできる。

テンプレートデザインは現在6種類。エンジニア向け、スマホで見やすいシンプルなウェブ用などが選択でき、今後も追加を予定しているという。

「今までの形式にとらわれずに、自由度高くポートフォリオを作成できる」ことをうたっているProffだが、従来の履歴書フォーマットにも対応。それぞれPDFとして出力することも可能で、ファイルを共有したり、印刷して提出したりできるようになっている。

また1つのアカウントで複数のプロフィールが作成できるので、メインキャリアの実績を記載した自己紹介用ページと、副業用のポートフォリオページを分けて使うことも可能だ。

イキモノ代表取締役の古屋悠氏は、フリーランスと鎌倉のクリエイティブ企業カヤックでウェブ制作、エンジニアを経験。その後2012年12月にイキモノを設立した。イキモノではコンセプトデザイン、デザイン制作を受託するほか、クライアントとの共同事業も行う。自社独自の事業開発も行っており、自社プロダクトの第1弾として約1カ月前にProffのベータ版運営を始めた。

正直に言って、冒頭で述べたとおり無料の履歴書作成ツールは既にあるし、ポートフォリオに関しても既存サービスへの入力を充実させれば、それなりに完成度の高いものに仕上げられると思う。ここであえて新サービスとしてProffをスタートしたのはなぜか。古屋氏に尋ねた。

古屋氏によれば、履歴書作成・ポートフォリオサービスは入り口であって「最終的には人間の生き方のデータをレシピ化して、ロールモデルのような形で提供することが目的」という。きっかけとなったのは、10代の頃のドイツ留学での出来事だ。

「留学中、月に1度ぐらいの頻度でカウンセラーとの面談があって『将来こういうことがやりたいけれど、そのためにはどういう単位(科目)を取得すればいいだろう』ということを細かく相談することができた。今の日本だと、家族や先生などが知っている職業の知識の範囲でしかアドバイスが得られず、周囲の知識の限界が自分の限界になってしまう。僕はそれは良くないことだと思う」(古屋氏)

例えばエンジニアになりたい、というなら、小学生からでもできることがあるはず。何をすればよいのか、どういう傾向の人がエンジニアになるのか、といったことをデータから導き出せるよう、たくさんの人のデータを集めて、ライフスタイルデザインとロールモデル(キャリア)設計をする、というのが、古屋氏が目指していることだ。そのために「5年以内で100万ユーザーを集めたい」と古屋氏は述べる。

海外の履歴書・ポートフォリオのさまざまなサービスを見て、古屋氏は「日本の型の決まった履歴書フォーマットは、近いうちに崩れるだろう」と話す。それよりも「自分の履歴、経歴をちゃんと書くことが大事。紙のアウトプットである必要もない」と考えている。

またWantedlyやLinkedInなどの既存サービスについては、「キャリアがゴールになっているという前提がある」と古屋氏。「Proffでは中立の立場でサービスを提供することで、これまでやってきたことを整理して書ける場、1人1ポートフォリオ時代を支える場を作りたい」と述べる。

「実は『履歴書サービス』として打ち出すかどうかについては議論があった」と古屋氏は明かす。「ただ『ポートフォリオサービス』としてしまうと、フリーランスの人たちしかピンとこない。新卒や転職の人にもわかりやすく使ってほしかったので『スマート履歴書』としてスタートした」(古屋氏)

古屋氏は、ツールを経歴やスキルの整理のために使ってもらうのはもちろん、「これからやりたいことなども書いてほしいので、工夫したい」という。「ゆくゆくは、チャットボットでロールモデルについて相談できるような機能や、あるキャリア/ロールを目指す人に対して、その実績を持つ人の履歴書を個人が特定できない形にして売る、といったCtoCマーケットなども検討している」(古屋氏)

飲食店で余った料理とユーザーを繋ぎフードロス削減へ、「TABETE」のiOS版がリリース

廃棄されてしまう食品(食品廃棄物等)などのうち、本来であれば安全に食べられるにも関わらず捨てられてしまうものをさす「フードロス(食品ロス)」。環境省の発表によると平成27年度には日本で実に約646万トンのフードロスがあったという。

この問題を解決するためのひとつのアプローチとして、飲食店や惣菜店などで余ってしまった料理とユーザーをマッチングする“フードシェアリング”サービス「TABETE」を開発しているのがコークッキングだ。

2018年4月のWeb版リリースから現在までで約4万人のユーザー、約200店舗が登録するTABETE。より使い勝手のいいプロダクトを目指し、コークッキングでは8月20日に同サービスのiOS版をリリースした。

TABETEは閉店時間や食品の入れ替え時間などの問題で、まだ安全に食べられる料理を廃棄せざるを得なくなってしまった飲食店と、その「食べ手」を繋ぐサービスだ。

たとえば急なキャンセルなどで食事が余ってしまった場合、飲食店は任意の価格と引取期限を設けて食事の情報をTABETEに掲載する。ユーザーはTABETE上からエリアを検索し、自宅の最寄り駅周辺などで気になる店舗をリサーチ。オンライン上で決済を行い、期限までに店舗に行けば食事を受け取れる。

ビジネスモデルは食事が売買された際の手数料で、販売代金の35%がTABETEの収益となる仕組みだ。

ユーザーにとってのメリットは割引価格でお得にテイクアウトできること。中食ではパン屋や弁当屋、外食では焼き鳥屋やイタリアンなど様々なジャンルの店舗が登録されていて、コークッキングCOOの篠田沙織氏によると「料理をするのは疲れたけど、コンビニやスーパーにも飽きてきた」という女性の利用が特に多いそう。ユーザーの7割を20〜40代の働く女性が占めるという。

一方の店舗側にとっても、せっかく準備した食事を捨てずに済むことはもちろん、従来は捨ててしまっていたものを売って売上の一部を回収でき、新しい顧客との接点を作るチャンスにもなり得る。

コークッキングCEOの川越一磨氏は新卒でサッポロライオンに入社するなど、飲食店での現場経験のある人物。日本の飲食店が抱えるフードロスを削減するサービスを考えていたところ、フードシェアリングの仕組みに行き着いた。

この仕組みは欧州などでは広く浸透していて、TABETEのアイデアもデンマーク発の「Too Good to Go」がヒントになったそうだ。

コークッキングでは8月にSocial Entrepreneur2投資事業有限責任組合、伊藤忠テクノソリューションズ、SFCフォーラムファンド、NOW、オプティマ・ベンチャーズ、222パートナーシップから数千万円の資金調達も実施。

セールスや開発など組織体制を強化し、今回のiOS版アプリを皮切りに今後はエリアの拡大なども含めてプロダクトの拡充を図っていくという。

インフルエンサーマーケティング基盤のBitStarが13億円を調達、事業会社との戦略的協業を図る

写真右から3人目:BitStar代表取締役 渡邉拓氏

インフルエンサーマーケティングのプラットフォームを運営するBitStarは8月20日、第三者割当増資と銀行からの融資により、総額13億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

第三者割当増資の引受先は、既存株主であるグローバル・ブレインが運営するファンド、ABCドリームベンチャーズが運営するファンドのほか、コロプラネクストが運営するファンド、グリー子会社のWright Flyer Live Entertainment、INTAGE Open Innovation Fund、Makers Fund朝日新聞社名古屋テレビ・ベンチャーズの各社・各ファンドなど。

BitStarは広告・プロダクション・メディア制作の3つの領域で、テクノロジーを活用したインフルエンサーマーケティングのしくみ、インフルエンサーと企業とを結び付けるプラットフォームを提供している。

インフルエンサーマーケティングのプラットフォーム事業では、UUUMVAZ、THECOOが運営する「iCON CAST」、Candeeなど、ほかにもサービスがある。BitStar代表取締役の渡邉拓氏は「UUUMやVAZはプロダクション機能を、Candeeは制作を得意としている。BitStarは元々は広告領域に明るく、一番シェアもあったが、プロダクションや制作領域にも進出して3領域を垂直統合し、一気通貫で対応できる点が強み」と述べる。

同社がインフルエンサーと企業のマッチングプラットフォーム「BitStar」を公開したのは2015年秋のこと。以来、「スマホ時代にインフルエンサーが活躍できるインフラづくり」をビジョンに掲げ、約3年間テクノロジーを強化してきた、と渡邉氏は言う。

「インフルエンサーマーケティングを手がけるところでも、まだまだアナログなところが多い。BitStarはインフルエンサーの創出・発掘から育成、マネタイズまで、テクノロジーの力でデータを使って自動化や最適化を進めてきた」(渡邉氏)

例えば、創出・発掘ではYouTubeやInstagramなどの成長インフルエンサーを自動検知してスカウトできるクローリングシステム、育成支援では、YouTubeチャンネルをデータに基づいて分析し、配信方法を最適化するシステムを、またマネタイズ支援では、大量の企業からのオファーを効率的に実施するマッチングプラットフォームなどを提供している。

こうした施策もあって、キャスティングなども含めた同社の広告取引の累計案件数は約4000件となっているそうだ。

そして同社はBitStarのほかにも、昨年秋以降、プロダクション領域やメディア領域にも事業を展開。インフルエンサープロダクション「E-DGE」やインフルエンサーマーケティングのプランニング・分析ツール「Influencer Power Ranking」、ファンコミュニティサービスの「costar」といった、新サービスを追加した。またバーチャルYouTuber(VTuber)のグループ「アマリリス組」のプロデュースも始めている。

渡邉氏は「広告・プロダクション・メディア制作を垂直統合することで、各領域で重なる部分ができ、ナレッジやテクノロジーの共有が可能になる。この事業間の連携で、各分野が相互成長できる」と話している。

さらに3領域にわたって事業を展開することで「どのプレイヤーとも協業できるのも利点」と渡邉氏は言う。今回の資金調達では、事業会社の出資参加により戦略的協業を図ることも同社の目的のひとつとなっている。

例えばグリー子会社のWright Flyer Live Entertainmentは、先日VTuber専用のライブ配信プラットフォーム「REALITY」をリリースしたばかり。彼らとのタッグでBitStarはVTuber事業の推進を図っていく。

またインテージには、TVだけでは実態が捉えにくくなってきたコンテンツ視聴について、Influencer Power Rankingを通じて、SNS上の情報を提供。共同で商品開発も検討している。

朝日新聞社、名古屋テレビとは、YouTubeチャンネルなどのデジタルメディア制作で協業を図っている。今回追加投資を行ったABCについては、朝日放送グループ傘下のアニメ製作会社と組んでVTuberプロデュースも検討するという。

これらの動きについて渡邉氏は「YouTuberをテレビへ出演させるというデジタルからマスへの流れだけでなく、マスからデジタルへの流れを作っていくことも考えている」と述べている。

ほかにも「資本提携に限らず協業を図っていく」と渡邉氏は言う。8月10日には博報堂との戦略的提携を発表。「調達資金の一部をインフルエンサーマーケティングに関わるスタートアップへの出資や、M&Aに投資することも予定している」と渡邉氏は話している。

資金調達で「インフルエンサーが活躍できるインフラづくり、エコシステムの強化を図りたい」と渡邉氏は語る。

また渡邉氏は、MCN(マルチチャンネルネットワーク:YouTuberと提携してプロモーションや権利管理などをサポートする組織)への出資も行い、海外のインタラクティブエンターテインメント事情に精通するMakers Fundが株主として参加したことについては「海外の先端情報を取り入れ、グローバル展開につなげることも期待している」とも述べている。

BitStarは2014年7月の設立。これまでにシードラウンドでEast Venturesから、2016年8月のシリーズAラウンドでコロプラから、2017年6月のシリーズBラウンドではグローバル・ブレインから資金を調達している。また2017年10月にはTBS、ABC子会社のCVCから資金調達を行っている。今回の資金調達はシリーズCラウンドにあたる。これまでの累計調達額は約18億円に上るとみられる。

キャンセルした宿泊権利を売却できる「Cansell」が2億円調達

ホテル予約の売買サービス「Cansell」を運営するCansellは8月20日、DGインキュベーション、DK Gate、マネックスベンチャーズおよび個人投資家から総額2億円を調達したと発表した。

Cansellは、ホテルの宿泊予約をした人がやむを得ずキャンセルしなければいけないとき、その宿泊権利を他のユーザーに売却できるサービスだ。売却するユーザーは、通常通りホテルに宿泊代金を支払うが、Cansellを使って宿泊権利を売却して代金を受け取ることで、トータルで見た場合の負担額を減らすことができる。また、購入者は通常より安い料金でホテルに泊まれるというメリットがある。

Cansellは2018年3月に宿泊施設向けのパートナープログラムを開始したほか、宿泊代金を他の予約サイトと比較できる機能を追加するなどサービスのリニューアルを続けてきた。今回の資金調達は、そうしたサービス改善によってCansellが新しいフェーズに突入したことを意味する。

代表取締役の山下恭平氏は「今回のリニューアルで、一旦サービスとしての形が整った。これからはマーケティング施策にどんどん投資していくフェーズ」だと語る。広告など通常のマーケティング施策はもちろん、キャンセルを申し込んできた宿泊者に対してホテルから「Cansellというサービスがある」と紹介してもらうなど、ホテル側を巻き込んだ施策も展開していくという。

Cansellは2016年1月の設立で、2017年1月にはシードラウンドにて4000万円を調達している。

TechCrunchTokyoのお得な「学割チケット」発売中!学生さんにこそ来てほしい

TechCrunch Tokyo 2017に登壇したSlack共同創業者のCal Henderson氏

日本のスタートアップにもっと活躍してほしい。僕たちTechCrunch Japan編集部は日々そう願いながら記事を書いている。だからこそ、今年も11月15日(木)と16日(金)に渋谷ヒカリエで開催する「TechCrunch Tokyo」には起業家志望の学生やスタートアップに関心のある学生にもたくさん参加してほしい。今日はそんな学生たち向けに現在発売中の「学割チケット」についてお知らせしたい。

一般チケットは4万円(税込)だが、学割チケットは5000円だ。限定100枚となっているので興味のある学生は早めに申し込んでほしい。

TechCrunch Tokyoではスタートアップたちによるピッチバトル「スタートアップバトル」や展示ブース「スタートアップデモブース」を用意している。“スタートアップとは何か”を知るにはもってこいのイベントだと保証する。

また、国内外の著名ゲストによる講演も見逃せない。昨年は海外からSlack共同創業者のCal Henderson氏やWeWorkのChris Hill氏、国内ではマネーフォーワードの辻庸介氏ソラコムの玉川憲氏らに登壇していただいた。

学生にもスタートアップとはそもそも何か、どのように社会に影響を与えているのかを肌で感じてほしいと思い、学割チケットを用意した。

おっと、学割チケットをお買い求めの方は、当日受付にて学生証の提示が必要なので忘れずにお持ちいただきたい。

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弁護士が作るAI契約書レビューサービス「LegalForce」のオープンβ版が公開

法律事務所や企業の法務部門が日々担っている契約書のレビュー業務。従来はアナログな側面が強かったこの業務を、テクノロジーを用いることでスマートにしようとしているスタートアップがある。

4月にTechCrunchでも一度紹介したLegalForceがまさにその1社だ。森・濱田松本法律事務所で働いていた2人の弁護士が立ち上げた同社では、AI活用の契約書レビュー支援サービス「LegalForce」を開発。8月20日よりオープンβ版の提供を始める。

現在のLegalForceでできるのは「契約書の自動レビュー支援」と「契約書データベースの作成」の大きく2つ。これらによって契約書のリスクや抜け漏れを自動でピックアップすることに加え、社内に眠るナレッジを有効活用できるような環境を提供する。

自動レビュー支援機能はLegalForce上に契約書のワードファイルをアップロードした後、契約類型と自社の立場を選択すれば、リスクを抽出したり条項の抜け漏れを検出したりするものだ。

たとえば秘密保持契約書において「その他のアドバイザーに対して秘密情報を開示できる」という旨の記載があった場合。秘密情報を渡す側からすると比較的広い範囲の相手に開示されてしまう可能性があるため、そのリスクを自動でコメントしてくれる。

またLegalForceでは記載のある内容についてレビューするだけでなく、“本来は入れておいた方が望ましいけれど、現時点では契約書内に含まれていない内容”も抽出する。

「情報の抜け漏れのチェックはコンピュータが得意なこと。人間が全てきちんと抽出しようとすると、チェックリストを頭の中にインプットしておくか、Excelなどでリストを作って突合作業をする必要があった。ソフトウェアなら瞬時にできるので、抜け漏れをなくすと同時に作業時間の短縮も見込める」(LegalForce代表取締役の角田望氏)

現在対応しているのは秘密保持契約書のみだが、今後はニーズの多いものから順に類型を広げていく方針。またレビュー結果も現状はcsvでダウンロードする仕組みになっているが、9月末を目処にブラウザ上でそのまま表示できるようにアップデートする予定だという。

そしてLegalForceにはもうひとつ、契約書のデータベース機能が搭載されている。これは社内に眠っている契約書ファイルをアップロードすることで、各社独自のデータベースを作成できるというものだ。

LegalForceにアップした契約書は自動で条単位に分割されるため、キーワード単位で過去の条項を参照することが可能。たとえば「損害賠償」と検索すると、これまで作成した契約書の中から損害賠償に関する条項のみを探し出せる。

「契約書を作成していると、過去に作った契約書の条項を参考にしたい時がある。これを探そうと思うとエクスプローラーなどに溜まっているファイルをキーワードで検索し、その上でファイルをひとつひとつ開いて確認しないといけなかった。この手間を無くし、ダイレクトに欲しい条項にアクセスできるのが特徴だ」(角田氏)

LegalForceは4月からクローズドβ版の提供を開始。花王やサントリー、電通を始めとした複数の大手企業をプロダクトパートナーに迎え、実証実験を重ねてきた。

角田氏によるとすでに約1.5万件の契約書を分析しているそうで、今後はこれらのナレッジを蓄積しつつ、レビューやデータベースの検索精度を上げていくフェーズ。今回のオープンβ版を経て、2019年1月には正式版をリリースする計画だという。

なおAIを活用した契約書レビューサービスと言えば、こちらも以前紹介した「AI-CON」などがある。ただしAI-CONがスタートアップやフリーランサーも含めたエンドユーザーの利用も想定しているのに対し、LegalForceのターゲットは契約書をチェックする立場の法律事務所や企業の法務部門だ(角田氏によると、今のところエンドユーザーへの提供は考えていないとのこと)。

定型的な契約書レビュー業務を効率化することで、弁護士や法務部の担当者の負担を減らし、より高度な仕事にチャレンジできるようにサポートしていきたいという。

AIでアパレル業界に変革を、ファッションポケットが2.6億円を調達

AIを用いたファッションコーデの解析技術を活用し、トレンド予測やアパレル企業向けの商品企画サービスを開発するファッションポケット。同社は8月17日、東京大学エッジキャピタルや千葉功太郎氏らを引受先とする第三者割当増資により約2.6億円を調達したことを明らかにした。

今回のラウンドは同社にとってシリーズAにあたるものであり、シードラウンドからの累計調達額は3.5億円になるという。

ファッションポケットは2018年1月の設立。画像・映像解析に関連するAI技術を核に、ファッション領域において複数の事業を開発しているスタートアップだ。

たとえば8月からアパレル企業数社に提供しているAI MD(AIを活用したファッション商品企画)サービスでは、500万枚以上のコーデのデータを解析し、色や着こなしなどのトレンドを予測。その結果を商品企画に活用する。

「大企業と言われる所でも、ごく数名の担当者が何千点何万点もの商品企画を担っていたりする。業界ではヒット的中率が約50%などもとも言われ、仮に100点出せば定価で売れるのは40〜50点ほど。残りは値引きで販売するか廃棄する。大きな課題があるものの、これまでの仕組みでは解決できなかった」(ファッションポケット代表取締役社長の重松路威氏)

重松氏によるとAI MDサービスを活用して作られた洋服が2019年から実際に店頭に並び、販売されるそうだ。

また法人向けには画像・映像解析技術を用いた実店舗の顧客分析サービスも開発中。内装を気にする店舗でも設置しやすいように特別なハードウェア(カメラ)を含めたサービスで、顧客の顔や洋服、店内での行動から「どういうタイプの顧客が、店舗内でどのような行動をしているか」を解析してアパレル企業やデベロッパーに提供する。

そのほか2019年には消費者向けのサービスとして、AIを活用した新たなファッションECモールをリリースする計画もある。

ファッションポケットの代表を務める重松氏は、前職のマッキンゼー時代から様々な産業においてAIやIoTの活用、事業化の支援をしてきた。AIを商用化することで人々のライフスタイルを良くしたいという思いから起業を決断。多くの人にとって影響が大きい分野を探した結果、生活の必需品でもあり楽しさにも直結する“衣服”の分野を選んだのだという。

この半年間はビジネスサイドの体制を整えながら、CTOの佐々木雄一とともに独自で学習データの収集・仕分けを行い、同社の基盤となるアルゴリズムの開発に従事(なお佐々木氏はスイスの研究所でデータ分析を学んだ後、マッキンゼーを経て前職ではディープラーニングを製造業に提供する会社で研究開発センター長を担っていた人物)。アジア諸国を中心にデータ収集のためのネットワークも培ってきた。

ファッションポケットでは今回調達した資金を基に開発人材を中心に組織体制を強化し、学習データの整備を進める。合わせて上述したようなAIサービスの拡販、商用化に向けてプロダクト開発を加速する計画だ。

“病理医不足”をAI画像診断サービスで改善、九大発メドメインが1億円を調達

患者から採取した細胞組織を顕微鏡で観察するなどして、「がん細胞や腫瘍はないか」といった疾患の有無を判断する病理診断。この診断を専門に行う病理医が今、国内外で不足傾向にあるという。

そんな現状を「AIによる病理画像診断ソフト」を通じて改善しようと試みているのが、福岡に拠点を構える九州大学発ベンチャーのメドメインだ。同社は8月17日、 DEEPCOREとドーガン・ベータを引受先とした第三者割当増資により1億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

病理医が気づきにくい病気もAIが発見

そもそも病理診断に関してあまり馴染みがない人も多いかもしれないが、これは病院で大きな病気の疑いがあった際に実施される精密診断のこと。メドメイン代表取締役社長の飯塚統氏によると、「精密診断が必要です」と言われた時の精密診断とは病理診断を指すことが多いのだそうだ。

この病理診断を専門の病理医(病理専門医)が担当するのだけど、その数は日本国内で約2000人強。割合にすると医者全体のだいたい0.6%ほどしかいないという。

当然全ての病院やクリニックに病理医がいるわけではなく、通常は病理医がいる病院へ採取した細胞組織を郵送し、診断結果が出るのを順番に待つことになる。

「結果が出るまでにだいたい1〜3週間かかる。その期間が長くなれば患者の負担も増えるし、病気によっては進行してしまうものもある」(飯塚氏)

その問題を解決すべくメドメインが開発しているのが「PidPort (ピッドポート)」というAIによる病理画像診断ソフト。大量の病理画像をAIに学習させることで、細胞組織の画像をもとに高精度かつスピーディーに病理診断できる仕組みの構築を目指している。

たとえば他の病院に病理診断を依頼していた病院でも、画像データを用意すればPidPortを用いて1分ほどで診断結果ができるようになるという(その後病理医によるチェックは必要)。もちろん病理医がいる病院や病理診断を請け負っている検査センターでも、担当医の業務を支援するツールとして活用できる。

「病理医はキャリアの中でどれだけ病理画像を見てきたか、症例を見てきたかの積み重ね。その点ではある意味ディープラーニングに近いことをしている側面もある。(AI活用によって)短時間で膨大な量を学習できることに加え、病理医の先生が知らない病気に気づけることも特徴。PidPortが使われている他の病院で一度画像データを見ていれば、珍しい病気もAIが発見してくれる可能性がある」(飯塚氏)

まずは特にニーズの多い胃と大腸の診断を強化したα版を10月にクローズドでリリースする予定。複数の病院でテスト運用をしながら、β版を経て2019年10月を目処に正式版を公開する計画だ。

「将来的には今まで病理医の先生がやってきた病理診断をPidPortでもできるようにしたい。メディアなどで『病理診断をAIでやります』といった話題も目にするが、現状では胃ガンなど限定的なものも多い状況。(PidPortでは)全身、全疾患をカバーすることを目指していく」(飯塚氏)

九大起業部発のスタートアップ、医学部や大学病院とも連携

写真最前列の右がメドメイン代表取締役社長の飯塚統氏

メドメインは2018年1月の創業。九州大学医学部に在学中の飯塚氏を中心に、同大学の起業部から発足したスタートアップだ。現在はPidPortのほか、医学生向けクラウドサービス「Medteria (メドテリア)」も開発している。

飯塚氏自身がかつて病理診断を経験し、結果を待っている時間が長いと感じたことが根本にあるそう。医学部でデータ解析をする際などに学んだプログラミングスキルを活用して「他の人にも使ってもらえるサービス」「きちんとマネタイズして事業化できるもの」を検討した結果、現在の事業アイデアに決めたという。

医療領域で画像診断を効率化するプロダクトについては、以前エルピクセルが手がける「EIRL(エイル)」を紹介したが、人手不足などもあってAIを含むテクノロジーの活用に期待が集まっている。

ただし飯塚氏によると研究開発は国内外で進んでいるものの、商用化されたアプリケーションという観点ではこれといったものが国内外で生まれていないそうだ。

その理由の一つが「データ集めの難易度の高さ」にある。PidPortでいえば病理画像に当たるが、これらのデータの多くは病院が保有しているもので、一般企業が集めるにはハードルが高い。メドメインは九大医学部、九大病院と連携しているため、データ集めにおいては他社にない強みを持っていると言えるだろう。

アドバイザーという形も含めて10名程度の医師が開発に携わっていて、データのチェックや現場視点でのフィードバックも行なっているそう。加えてスーパーコンピューターを用いるなど、開発体制の整備も進めてきた。

メドメインでは今回調達した資金を活用してアルゴリズムの強化、組織体制の強化をしながら10月のα版、そして1年後の正式版リリースに向けて事業を加速する計画。

飯塚氏が「日本国内だけではなく、アフリカや東南アジアなど病理診断の土壌がない国にも展開していきたい」と話すように、世界各国の医療機関への提供を目指していくという。

TechCrunch Tokyoのデモブースチケット販売開始!スタートアップ向けお得チケットも

以前から告知しているとおり、今年も日本最大級のスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」を11月15日(木)と16日(金)に渋谷ヒカリエで開催する。今日はスタートアップの皆さんのために用意したお得な「スタートアップチケット」と会場でブースを出展できる「スタートアップデモブースチケット」の発売を開始したのでお知らせしたい。

TechCrunch Tokyoの主役は何と言ってもスタートアップの皆さんだ。僕たちTechCrunch Japan編集部はそんな皆さんと一緒にイベントを盛り上げていきたいと考えている。

TechCrunch Tokyoと聞くとピッチバトル「スタートアップバトル」を思い浮かべる人も多いと思うが、スタートアップが輝ける場所はステージの上だけに限らない。例年通り、今年もスタートアップのためのデモブースエリアを用意しているので、こちらもご検討いただきたい。

スタートアップデモブースチケットの価格は3万5000円(税込)。このチケットには2名分の2日通し券が含まれている。ただ、申し込み条件は創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップ企業のみだ。ブースの仕様など詳しい情報はこちらを参考にしていただきたい。

TechCrunch Tokyoには起業家や投資家といったスタートアップ業界のコア層のみならず、TechCrunch Japanの読者に多いアーリーアダプター層も多く集まる。潜在顧客やユーザーなど幅広い層にアピールするにはデモブース出展はうってつけだ。デモブースでの出会いから法人顧客の獲得に繋がったという話もある、と付け加えておこう。

また、スタートアップチケットは創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップでフルタイムで働いている方であれば申し込めるお得なチケットだ。価格は、9月18日まで発売される「超早割チケット」と同じ1万8000円(税込)だが、スタートアップチケットはイベント当日までいつでもこの格安料金で購入できる。

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チャットで旅行の相談・予約ができる「ズボラ旅」が当日予約、宿探しのみのメニューを追加

お盆休みも終わり、夏休みの思い出を胸に仕事に戻る人が多いことと思うが、まだこれから夏休みで「どこかへ旅行に行きたいけれど、まだどこへ行くか決めてない」あるいは「旅行プランを立てる時間もない」という人もいるだろう。

そんな人にピッタリなのが、漠然とした旅行の相談をLINEチャットで投げかけると、旅行プランを提案し、予約代行までしてくれるサービス「ズボラ旅 by こころから」だ。TechCrunch Japanでも何度か紹介してきたこのサービスに、新しいメニューが加わった。

ズボラ旅のサービスを提供するHotspringが8月16日、新メニューとして正式発表したのは、宿の手配に特化したメニューへの対応と、相談した当日の宿を予約できるサービスだ。

前者は、今までの「行き先が決まっていなくても旅行の相談ができる」というサービス内容から、「日程・行き先は決まっているが宿だけ探してほしい」というニーズを切り出してメニューとしたもの。

「そこまで決められるなら宿も予約すればよいのでは?」とも思うが、これまでの旅の相談では意外と「旅行先は決まっているけれど、どこに泊まったらいいのか」「こんな感じの宿に泊まりたいけど、どこの宿であれば条件を満たせるのか」という声が多かったそうだ。

宿を決めた上で「宿の近くにあるオススメのスポットを教えて」といった相談にも乗ってくれるということなので、メインの行き先は決めた上で、より有意義に旅先を満喫したい、といった時にも役立つかもしれない。

また後者は、これまで一部のユーザーに提供していた相談当日の予約サービスで「今日泊まる場所を探したい」というニーズに応えるもの。

Hotspring代表取締役の有川鴻哉氏によれば「もともとお客さまからご相談があれば当日予約の対応をしていた」とのこと。特に7月にリリースした「コンビニ後払い」への対応後は、多くの相談を受けていたという。

あらためてメニューとして明示した大きな目的は「ズボラ旅の売上を拡大するため」と有川氏は説明。「これまではズボラ旅のビジネスモデルを検証するフェーズとして『成約率』やベースになる『サービスの体験』にフォーカスして改善を繰り返してきたが、それぞれある程度の水準に達したものと判断して、少しずつ『売上』を作るフェーズへと移行することにした」としている。

とはいえ「もちろん利用者が増えても対応が追いつかなければ、売上拡大にはつながらないし、サービスの体験を損なって成約率を下げることにつながりかねない」とも有川氏は述べていて「ビジネス拡大に意識は向けつつ、『サービスの体験』を損ねないように気をつけたい」という。

「むしろ、もっと良い体験にできるように引き続き注力していくつもりです」(有川氏)

新メニューの「宿探しのみ」または「当日予約」を希望するユーザーの新規チャット受付時間は毎日11時〜18時、従来のズボラ旅の受付は毎日12時半〜15時となっている。

ズボラ旅では8月14日から、支払いに利用できるクレジットカードのブランドを、これまでのVISA、MasterCardに加えて、JCB、American Express、Diners Club、Discoverの合計6種類へ拡大済み。

こうしたさまざまな施策もあってか、ズボラ旅の夏休み期間の相談数、平均予約単価は、いずれも伸びているということだ。成約率(CVR)については2ケタ%超、平均予約単価も6月に発表された2万9536円から4万7119円へと大きく上がったという。

有川氏は好調の要因について「夏休みという季節要因だけでなく、新しくメニューを分けたことや、細かなオペレーションの改善、コンビニ後払い決済の導入など、ほかにもあると考える」と述べている。

さらに近日中に新しい取り組みを発表する予定があるというズボラ旅。有川氏は「今回のリリースも含めて、これまではズボラ旅をもっとスムーズに使えるように、もっとたくさんのお客さまが使えるようにするようなオペレーションの改善や機能追加を中心とする内容だった。今後はズボラ旅が旅行領域においてカバーする範囲を拡げるなど、新しい価値を提供することを予定している」として、「もっとたくさんの方に旅行を楽しんでいただくために、有効であると考えられることは何でも実行していくつもり。今後も期待してほしい」とコメントしている。

ライブコマースアプリ「PinQul」がクローズへ

配信者が視聴者とリアルタイムにコミュニケーションをしながら商品を売買する「ライブコマース」。新しいコマースの形として中国で普及し、日本でも昨年に入って続々と新たなサービスが生まれ、注目を集めてきた。

これまでTechCrunchでもいくつかのサービスを紹介してきたけれど、そのひとつでもある「PinQul」がクローズすることになったようだ。同サービスを運営するFlatt代表取締役CEOの井手康貴氏が8月16日に公開した自身のブログ記事で、背景なども含めてサービスのクローズを発表した。

井手氏はブログ内で「僕個人の目指すところとして日本を変えるために10年で1000億円、20年で1兆円規模の会社にならねばいけないというのは意識していました」とした上で、もともとPinQulではアパレルの委託販売を行うライブコマースのプラットフォームを作ろうとしていたこと、最適化を進めた結果、自社ブランドを自社在庫で売るアパレル屋になってしまったことに言及している。

既存の日本アパレル企業の多くがユーザーに向けてではなくバイヤーに向けた商売になっており、半分は在庫が残る前提での価格設定、同じOEMをつかって同じような商品を各ブランドが作り、売れ残りが生まれてはセールで売る、そういった現状に対して、KOLによるD2Cブランドは一定の解を示すことはできたし今後も増えていく流れなのではないかと思っています。 ただ、これだとアッパーとしては10年で300億くらいの会社を作るのが精一杯かなと感じました。(井手氏のブログより引用)

同社CCOの豊田恵二郎氏によると「数字としては悪くなく、(5月リリースの)Web版を出してからは当初の想定以上のMAUにもなっていた」とのことで、伸ばせる余地もあったという。

ただ最終的には事業の規模感(アッパー)が見えてしまったこと、そしてそれが自分たちが当初目指していた形ではないこともあり、サービスクローズを検討。シリーズAの調達を進める中で、株主とも相談し7月末に方針を決定した。

現時点で具体的な時期は言及されていないが、クローズは9月が目安になる模様。次の事業に関しても「(現時点では)完全に白紙」であるものの、また新たなプロダクトでチャレンジをしていくという。

なおPinQulの正式リリースは2017年の10月。運営元のFlattは2017年5月創業で、これまで11人の個人投資家から資金調達をしている。

SEERは人間のようにアイコンタクトできる――日本のアーティスト、ロボットで目の表情を精緻に再現

われわれはすでにロボットが蹴られたり邪魔されたりするのをみて見て気持ちをかき乱されてきた。たとえそのロボットがいかにロボット的な外観であってもやはりかわいそうだと思ってしまうのだから、ロボットの表情が人間そっくりでアイコンタクトを続ける能力があったらもっと厄介な事態になるだろう。ましてロボットをいじめるとそれに応じた表情をするのであればなおさらだ。そうは言ってもこれがわれわれが選んだ未来なのだから止むえない。

SEERは感情表現シミューレーション・ロボット(Simulative Emotional Expression Robot)の頭文字で、 今年初めにバンクーバーで開催されたSIGGRAPHで発表された。このヒューマノイド・タイプの小さな頭部の製作者は日本のアーティスト、藤堂高行(Takayuki Todo)氏で、 直近の人間とアイコンタクトをとり、その人物の表情を真似することができる。

それだけ聞くとさほど革命的には聞こえないかもしれないが、高いレベルで実行するための仕組みは非常に複雑だ。SEERにはまだ多少の不具合はあるものの、これに成功している。

現在SEERロボットには2つのモードがある。イミテーション・モードとアイコンタクト・モードだ。どちらも近くの(あるいは内蔵の)カメラの情報を利用し、人間をトラッキングし、表情をリアルタイムで認識する。

イミテーション・モードでは対象となる人間の頭部の位置、眼球とまぶたの動きを認識してSEER側で再現する。実装はまだ完全ではなく、ときおりフリーズしたりランダムに振動したりする。これは表情データからのノイズ除去がまだ完全でないためだという。しかし動作がうまく行ったときは人間に近い。もちろん本物の人間の表情はもっとバリエーションが豊富だが、SEERの比較的単純で小さい頭部には異常にリアルな眼球が装備されており、その動きはいわゆる「不気味の谷」に深く分け入り、谷を向こう側にほとんど抜け出すほどのインパクトがある。

アイコンタクト・モードではロボットは当初まず能動的に動く。そして付近にいる人間の目を認識するとアイコンタクトを継続する。これも不思議な感覚をもたらすが、ある種のロボットの場合のような不気味さは少ない。ロボットの顔の造形が貧弱だとできの悪いSFXを見せられているような気分になるが、SEERには突然深いエンパシーを抱かせるほどのリアルさがある。

こうした効果が生まれる原因としては、感情としてとしてはニュートラルで子供っぽい顔となるようデリケートに造形されていることが大きいだろう。また目がきわめてリアルに再現されている点も重要だ。もしAmazon Echoにこの目があったら、Echoが言ったことをすべて覚えていると容易に実感できるだろう。やがてEchoに悩みを打ち明けるようになるかもしれない。

今のところSEERは実験的なアート・プロジェクトだ。しかしこれを可能にしているテクノロジーは近い将来、各種のスマートアシスタントに組み込まれるに違いない。
その結果がどんな善悪をもたらすのかは今後われわれ自身が発見することになるのだろう。

〔日本版〕SEERロボットは東京大学生産技術研究所の山中俊治研究室で6月に開催された「Parametric Move 動きをうごかす展」でもデモされている。下のビデオは藤堂氏の以前のロボット作品、GAZEROID「ろぼりん」。



原文へ


滑川海彦@Facebook Google+

アップル京都店は8月25日朝10時オープン。京都生まれゲーム特集も

eng-logo-2015アップルが新宿に続く新たな直営店、Apple 京都を正式に発表しました。場所は京都市下京区 四条高倉の京都ゼロゲート1F。オープンは8月25日の午前10時。

アップルは京都の碁盤目を「アイデアと想像力が格子のように交わるところ」として、クリエイティビティの都たる京都に新たなインスピレーションを届ける店舗になるとうたいます。

アップル京都の正式発表にあわせて、App Store や iTunes では京都発コンテンツの特集も組まれています。

App Store の Today は「京都生まれのゲームたち」。京都・ゲームと聞いて誰もが連想する任天堂の Super Mario Run、どうぶつの森 ポケットキャンプ、ファイアーエムブレム ヒーローズに加えて、Hit-Point 京都開発室で作られた「ねこあつめ」や、京都にあるQ-Games の Eden Obscura も。

さらに iTunes Store では、京都ゆかりの作品を集めた「京都コレクション」も公開。映画のトップはよりによって「るろうに剣心 京都大火編」。

映画・ブック・ミュージックそれぞれ約25作品が選ばれています。なんとブックは6冊が無料!(著者は後白河天皇・藤原定家・菱川師宣・清少納言・紫式部など)

Apple 新宿の開店前、アップルが年内の新直営店オープンを予告していた画像はこちら。

アップル、新宿に続く2店舗を謎のロゴで予告。新ストアはどこになる?

Engadget 日本版からの転載。

TechCrunch Tokyoの目玉「スタートアップバトル」今年も登壇企業を募集開始

TC Tokyo 2017のスタートアップバトルで最優秀賞を獲得した、空 代表取締役の松村大貴氏

11月15日、16日に開催するスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2018」。今日はみなさんに、このイベントの目玉企画であるスタートアップバトルの応募開始をお知らせしたい。

スタートアップバトルは、創業3年未満のスタートアップがみずからのプロダクトやサービスをプレゼンするピッチバトルだ。壇上にあがる起業家たちの表情は真剣そのもの。投資家や大企業の新規事業担当者も多く参加するTechCrunch Tokyoでは、このピッチバトルをきっかけに出資が決まったり、優秀な人材の採用につながることも少なくないからだ。

例年、スタートアップバトルには100社以上のスタートアップから応募があり、その中から事前の書類審査を通過した約20社が本戦に進む。ファーストラウンドはイベント初日の11月15日に開催され、それを勝ち上がったスタートアップが2日目のファイナルラウンドでピッチを行う。もちろん、最終的に“優勝”という名誉を勝ち取れるのはたったの1社だけだ。

2017年のスタートアップバトルで優勝したのは、ホテル向け経営分析ツールを提供する空だった。彼らは今年7月には1億7000万円の資金調達も発表し、利用顧客数も1500社を超すなど、その後も順調に成長を続けているようだ。

ちなみに、空は7月の資金調達ラウンドでマネックスベンチャーズからも出資を受けているが、昨年のTC Tokyoで審査員を務めていたマネックスグループ代表取締役の松本大氏とイベント当日に話をしたことがきっかけになったのだとか。

正直、スタートアップが成功するための必要条件に「ピッチイベントでの優勝」が入っているかどうかは分からない。でも、スタートアップバトルへの参加によって生まれた“出会い”はあるはずだし、今年の出場を検討している画面の前のあなたにも、今日からそのチャンスの扉は開かれている。

みなさんの応募を心待ちにしている。

[応募資格]

  • 未ローンチまたは2017年10月以降にローンチしたデモが可能なプロダクトを持つスタートアップ企業であること。
  • 創業年数3年未満(2015年10月以降に創業)で上場企業の子会社でないこと。

[書類審査員]

  • 有安伸宏氏 起業家・エンジェル投資家
  • 今野穣氏 グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー、Chief Operating Officer
  • 澤山陽平氏 500 Startups Japan マネージングパートナー
  • 西田隆一氏 B Dash Ventures ディレクター
  • 田島聡一氏 ジェネシア・ベンチャーズ ジェネラル・パートナー
  • 和田圭祐氏 インキュベイトファンド 代表パートナー
  • 吉田博英 TechCrunch Japan 副編集長
  • 木村拓哉 TechCrunch Japan 編集記者
  • 菊池大介 TechCrunch Japan 編集記者

応募はこちらから

シェフと企業をマッチング、Green Dining運営がシードラウンドで2000万円を調達

企業向けに、会議やちょっとしたパーティーのためのお弁当やオードブルを届けてくれるケータリングサービス。古くは仕出し弁当として提供されてきたサービスだし、今では「ごちクル」のようにウェブでサービス展開するものもたくさんある。

そんな中で今日紹介する「Green Dining」は、料理を発注するというのではなく、料理人と企業やイベントをマッチングする、というプラットフォーム事業だ。

Green Diningを提供するグラアティアは8月13日、ゼロワンブースターSGcapitalほか複数の個人投資家を引受先とした約2000万円の資金調達を発表した。同社は2017年8月、ゼロワンブースターがキリンとともに運営する「KIRINアクセラレター2017」で優秀賞を受賞している。

グラアティアは2016年11月の設立と同時にGreen Diningの運用をスタートした。グラアティア代表取締役の竹内恵子氏はIBM、Microsoft、Amazonと外資系IT企業に所属してきた人物。同じく外資系IT企業を経験してきた共同代表取締役の新垣道子氏とAmazonで知り合い、「食」と「場」を提供するサービスを提供したい、とこの事業を立ち上げた。

竹内氏はGreen Diningのサービスについて「はじめから企業向けとして設定した」と話す。「家庭へシェフを呼ぶ、というサービスもあるが、家庭にはキッチンもあるし、サービスとして企業が間に入るメリットはあまりない。BtoBで大きな会をターゲットにすると、運営も難しいので需要があるし、(間に入ることで)特別感のある料理やイベントを提供することができる」(竹内氏)

大手企業で法人の顧客に相対してきた経験もあり、企業のニーズを捉えることにも長けていた、という竹内氏。「サービスを提供していく中で、企業がどうすればより使いやすくなるかもわかってきた」と話している。

また、マッチングする一方の先となるシェフのニーズも見えてきた、と竹内氏はいう。「フリーのシェフとして働いている人も多いが、中にはレストランをやっている人も。いずれも“店舗”にこだわらずに腕を振るいたい、プロの料理人だ。そうした人たちがビジネスをやりやすくするためのプラットフォームとしてサービスを提供していきたい」(竹内氏)

Green Diningが目指すのは、従来型の「ザ・ケータリング」ではない、と竹内氏。「企業にとって、社員のコミュニケーションやオープンイノベーションを生み出すような、料理と場を提供するのが我々のサービス。商談に使いたい、という企業や、食を使ったビジネス創出についても相談を受けるようになった」と話す。

これまでに累計約1万5000人が、企業のネットワーキングイベントや祝賀パーティー、社内イベントなどで、その料理を楽しんできているというGreen Dining。1回あたりの参加者数は30人から1700人と幅広い。「1000人を超すような会では、シェフ1人では回らないので、数名のチームを用意するなど、Green Diningでプロジェクトマネージメントも行っている」そうだ。

これまでの約1年半は、市場の需要を見ながらマニュアルで運営されてきたというGreen Dining。竹内氏は「今までは事業のベースづくりのため、いろいろと試しながらやってきた。資金調達を機に、エンジニア増強、プラットフォームシステムの構築を行っていく」と述べている。

濃紺スケルトンデザインのPS4 Proが8月24日に発売。全世界合計5万台限定の特別モデル

eng-logo-2015ソニー・インタラクティブエンタテインメントが、PS4 Proの特別デザイン・数量限定モデル「PlayStation 4 Pro 500 Million Limited Edition」を8月24日(金)に発売します。希望小売価格は4万9980円(税別)。

「歴代プレイステーションハードウェア世界累計実売台数5億2530万台突破に際して、多くの人々に感謝の気持ちを形にした特別モデル」とのこと。PS4で初となる濃紺色のスケルトンデザインを採用し、全世界合計で5万台限定、本体にもシリアルナンバーが入る仕様です。

初代プレイステーション(SCPH-1000)が1994年12月3日に日本で発売されてから、今年で24年目。ここでいう「歴代プレイステーションハードウェア」とは、シリーズであるPS2やPS3のほか、PSPやPS Vitaなどの携帯ゲーム機も含めた数字です。

その中で現世代のPS4(2013年11月15日発売)は、2018年7月22日時点で全世界の累計実売台数が8120万台を超えたとのこと。ニンテンドースイッチも発売から約1年半で累計販売台数1967万台を達成しましたが、現世代ゲーム専用機におけるPS4のトップは依然揺るぎないようです。

今回販売される500 Million Limited Editionは、濃紺色・スケルトンデザインの特別仕様で、本体起動時には電源ボタン周辺で鮮やかな青色ライトが発光し、内部構造を照らし出します。

また天面にあるPS4ロゴは、本体デザインにマッチしたマットな質感のブロンズカラー仕上げ。さらに前面には、1から50000までの番号が刻印された同色のプレートが配され、「世界でひとつだけのPS4 Pro」を強調している作りです。

さらに、同梱されるワイヤレスコントローラー(DUALSHOCK 4)やPlayStation Camera、縦置きスタンド、モノラルヘッドセットも、本体と同色を採用する特別仕様です。

また、本製品に同梱する「ワイヤレスコントローラー (DUALSHOCK 4) 500 Million Limited Edition」および「ワイヤレスサラウンドヘッドセット 500 Million Limited Edition」は、単品でも販売されます。
それぞれ数量限定で、国内では9月6日(木)より発売と報じられています。

また注目すべきは、これら周辺機器まで配慮されたデザインの統一性もさることながら、コストパフォーマンスの高さです。

標準版PS4 Proの実売価格は、ソニーストア(直販)で4万4980円(税別)で、本機に付属するPS Cameraは希望小売価格5980円(同)と、カメラをセットにすると既に標準版より安価に。さらに本機に内蔵されるHDDは2TB。通常版PS4 Proが1TBのため、特別デザインを抜きにしてもお買い得感があります。

PS4 Proで本格的にゲームをやり込む場合は、起動やロード時間短縮のためにSSDへの換装を推奨したいところではあるものの(とくに『モンスターハンター:ワールド』では劇的な効果があります)、このお買い得度は特筆もの。限定モデルとしてだけではなく、PS4をこれから始めるユーザーへのスタートアップキットとしても好適と言えそうです。

Engadget 日本版からの転載。

トークンエコノミー×グルメSNS「シンクロライフ」、トークンへの転換権を付与したスキームで資金調達

つい先日、グルメSNS「シンクロライフ」がトークンエコノミーの仕組みを導入することで、同サービスをさらにユニークなものにしようとしていることをお伝えした。

具体的には良質なレビュアーなど、プラットフォームに貢献しているユーザーが報酬として独自トークン(SynchroCoin)を受け取れる仕組みを設計。将来的に保有するトークンをレストランの食事券と交換したり、食事代金の支払いに使えるようにしたりすることで、独自の経済圏を作ろうという取り組みだ。

この構想の実現に向けて、シンクロライフを運営するGINKANは8月10日、セレスと元サイバードホールディングス代表取締役会長の小村富士夫氏を引受先とする第三者割当増資により、総額8000万円を調達したことを明らかにした。

セレスとは業務提携も締結。モッピーなどアクティブ会員が350万人を超えるスマホ向けポイントメディアの基盤を持つセレスとタッグを組み、メディア間のシナジーやブロックチェーン技術の実サービスへの活用に向けた研究開発を進める方針だ。

なお今回の資金調達はGINKANの子会社であるSynchroLife, Limitedが発行するトークンへの転換権を付与した形での、株式の第三者割当増資というスキームを採用。詳細については後述するが、これによって株式市場への上場や事業売却以外のエグジットも可能になるという。

AI活用で好みにあった飲食店をレコメンド

シンクロライフは、ユーザーがレストランでの食体験を投稿できるグルメSNSだ。

特徴のひとつがAIを活用したレコメンドシステムによる、パーソナルキュレーションの仕組み。ユーザーの投稿や観覧履歴を始めとしたアプリ内でのアクションを独自のアルゴリズムで学習・分析することで、使い続けるほど自分の好みに合った飲食店が見つかりやすい仕様になっている。

同アプリにはすでに17万件以上のレビュー、42万枚の写真が掲載。現在は日本語のほか英語や韓国語、中国語にも対応し、82ヶ国でユーザー登録、48ヶ国でレビュー投稿がされているという。

そして8月2日にβ版をリリースした新バージョンでは、ここにSynchroCoinというトークンの概念が加わった。冒頭でも触れた通り、良質なレビューや飲食店情報の登録、編集、翻訳といったプラットフォームに貢献したアクションに対して報酬が付与されるようになる。

コミュニティを加速する手段としてのトークン

ここでおそらく多くの人が気になるのが「良質なレビューとはどんなものか」「トークンを付与したところでどれほどの効果があるのか」といった点ではないだろうか。

この点についてGINKAN代表取締役CEOの神谷知愛氏に聞いてみたところ、各ユーザーが持つスコアや各レビューの性質、そしてそこに対する「行きたい」などの反応をスコアリングする仕組みのようだ。シンプルに言えば「そのレビューは誰が投稿したものか、そしてそれに対してどんな反応があったか」が基準になる。

もう少し補足をすると、そもそもシンクロライフには以前から「経験値」というゲーム要素が導入されていて、トークンのようなインセンティブはないものの同じようなシステムが回っていた。

ユーザーは投稿した口コミのサービス貢献度に応じて経験値を獲得でき、経験値がたまるごとに称号(初段〜神)がランクアップする仕組みを導入。例えばまだ誰も投稿していない店舗や投稿が少ない店舗のレビューを書いたり、他のユーザーの参考になる(「行きたい」が多くつくなど)レビューを書いたりすると経験値が貯まるようになっている。

ここですでにレビューをスコアリングする機能は実装されていて、しかもこのシステムがシンクロライフのコミュニティを拡大するのに大きな影響を与えてきたのだという。それは投稿数や写真枚数の増加はもちろん、店舗情報の追加や修正、閉店依頼といったアクションにも繋がったそうだ。

「実は以前からアプリ内通貨のような仕組みをやりたいという思いはあった。今まではレビューや情報提供を通じて飲食店やプラットフォームに貢献しても、それはボランティア的な位置付け。そこにトークンという経済的な要素を入れることで、ユーザーのモチベーションや継続率も上がるのではと考えた。トークンはもともと動いているコミュニティを、さらに大きく強固にするためのものだ」(神谷氏)

今までにないグルメコミュニティの可能性

シンクロライフでは報酬用として全体の20%となる2000万トークンをプールしていて、そこから1週間ごとに一定量を分配するように設計されている。つまり毎週スコアの集計が行われ、その値に応じたトークンがもらえるというわけだ。

現時点でトークン付与の対象になるのは飲食店のレビューと店舗情報の作成。今後は情報の翻訳や加盟店舗の紹介などに対してもトークンを提供したいということだった。

神谷氏いわく「レビューではなく、良質なレビューであることが重要」というように、とにかくレビューを書けばトークンがもらえるという仕様ではなく、トークンの付与はあくまでサービスへの貢献度が高いアクションに限定する。

その一方で「消費者が気軽に楽しめる環境を作ることがキャズムを超える鍵」とも話していて、加盟店舗で食事をした際に還元リワードとして一定割合のトークンが付与される仕組みを作る計画。この還元率を店舗が設定できるようにすることで、顧客を呼び込む集客ツールとしても機能するようにしたいという。

その先にはトークンをレストランの食事券と交換したり、食事代金の決済で利用したりできるようにする予定。もしこのサイクルが上手く回れば、今までとは違ったグルメコミュニティができる可能性もあるだろう(もちろん加盟店をどれだけ開拓できるかなど、超えなければならない壁はある)。

トークンへの転換権を付与したスキームによる調達

最後に今回の資金調達のスキームについても少し触れておきたい。冒頭でも紹介したように、今回はGINKANの子会社であるSynchroLife, Limitedが発行するSynchroCoinへの転換権を付与した形での、株式の第三者割当増資という形を取っている。

GINKANではこれまでエンジェルラウンドで小村氏らから3000万円を調達しているほか、昨年香港法人のSynchroLife, LimitedにてICOを実施。755イーサ(日本円で約5000万ほど)を集めた。

ただこのICOを取り巻く環境はまだまだ不透明な状況にある。今回は神谷氏に加えセレスの担当者にも話を聞くことができたのだけど「一部ではICOをしていると監査法人が監査契約を結んでくれないとか、投資家から出資を受けづらいといった話も聞く」のだという。

GINKANとセレスのメンバー。前列の左から2番目がGINKAN代表取締役CEOの神谷知愛氏

セレスではこれまで仮想通貨・ブロックチェーン領域の事業展開や、関連するスタートアップへの出資を推進してきたが、アプリケーションレイヤーへの投資はまだ多くないそう。シンクロライフについてはトークンエコノミーとの相性なども鑑みて出資をしたいと考えた一方で、ICOをしていることがひとつのネックになった。

「(セレスは)事業会社なのでそこまでエグジット、エグジットと言う訳ではないが、取締役会などで話をする際にはそのストーリーを話す必要はある。もし仮に監査法人がつかなかった場合にどうするかを相談した上で『だったらトークンへの転換権をつければいいのでは』という話が出てきた。ビジネスとしてきちんと成功すれば、その裏側にあるトークンは値上がりしていると考えられるためだ」(セレス担当者)

トークンへの転換権を行使することで、IPOやM&A以外でのイグジットも仕組み上は可能になり、これがスタートアップの新たなオプションにもなりうるというのが双方の見解。フレキシブルな資金調達の手段を作ることで、スタートアップ界隈へはもちろん「トークンエコノミーの発展にも寄与できれば」という。

GitHubのJulio Avalos氏がTC Tokyoに登壇ーーMicrosoftによる買収で変わるもの、変わらないもの

TechCrunchの読者にとってはおなじみの、ソースコードをホスティングするソフトウェア開発プラットフォームGitHub。同社のチーフ・ストラテジー・オフィサー兼ジェネラル・カウンセルのJulio Avalos(フリオ・アバロス)氏が、11月15日と11月16日に東京・渋谷ヒカリエで開催する日本最大級のスタートアップ・テクノロジーの祭典TechCrunch Tokyo 2018に登壇することが決定したのでお知らせしたい。

Julio Avalos氏

今年の6月にMicrosoftはGitHubを買収すると発表し、大きな話題となった。そんなタイムリーな同社からAvalos氏に登壇いただくことを僕たちTechCrunch Japan編集部は大変嬉しく思っている。どんな話が聞けるのか、イベントまでまだ3カ月ほどあるがすでにワクワクした気持ちだ。

Avalos氏は2012年にGitHubにジョイン。同社では経営陣および取締役会との連携を推進、ビジョンの定義および事業の管理運営を担うと同時に、法務や政策、人材、ソーシャルインパクト、戦略的パートナーシップを監督している。

先ほども述べた通り、まだ記憶に新しいと思うが2018年6月4日にMicrosoftはGitHubを75億ドル(約8200億円)相当の株式で買収する計画を発表した。GitHub共同ファウンダーのChris Wanstrath氏はCEOを離任し、Xamarinファウンダーで現MicrosoftコーポレートバイスプレジデントNat Friedman氏がそのポジションに就く予定だ。

GitHubは今後も独立の企業として運営され、オープンプラットフォームという形態はそのまま維持されるという。だが、買収によりMicrosoftと共にどのような変化を歩むのかーーAvalos氏には今後のGitHubの戦略について聞きたいと思っている。

Avalos氏は前職Yelpで法務顧問を担当。それ以前は法律事務所のOrrickおよびHerrington & Sutcliffeにおいて主にFacebookを担当し、サイバーガバナンス、オンラインプライバシー、知的財産、セキュリティ関連の問題に取り組んできた。

同氏は「テクノロジーとヒューマニズムを結びつける政策を立案し提唱することで技術革新を加速させ、ソフトウェアを我々の共通する未来において不可欠な要素として捉えること」を奨励している。

TechCrunch Tokyo 2018は先日よりお得な「超早割チケット」を販売している。一般チケットの値段は4万円(税込)だが、この超早割チケットは半額以下の1万8000円(税込)だ。販売期間は9月18日までなので、このチャンスを逃さないでほしい。

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要介護者ごとに適したリハビリプランを自動提案、介護事業所向けSaaS「リハプラン」が1億円を調達

介護事業所向けのリハビリ特化型SaaS「リハプラン」を開発するRehab for JAPANは8月10日、2017年2月から2018年7月にかけて実施したシードラウンドとシリーズAにおいて約1億円を調達したことを明らかにした。第三者割当増資の引受先となったのはIF Lifetime Ventures、キャピタル・メディカベンチャーズが運用するファンドなどだ。

リハプランはデイサービスに勤務する機能訓練指導員のリハビリを支援するサービス。身体状況や生活状況など要介護者ごとの基本情報を入力し目標を設定すれば、個々に合った訓練メニューをデータベースから自動で提案する。

短期・長期目標をテンプレートから選択することことでスムーズに目標設定ができるほか、1800種類以上、600セットの運動プログラムに対応。運動の結果をグラフ化する機能も備える。また社内に配置するリハビリ専門スタッフのカスタマーサポートも組み合わせることで、専門職が不在のデイサービスでも利用できる環境を整えた。

高齢化が進む日本の介護市場ではリハビリのニーズが高まっている。特にデイサービスを中心とした介護事業所では、要介護者の日常生活を支えるだけなく個々の目標や目的に沿ったリハビリを行い、生活機能の維持・向上をサポートする役割が求められるようになる。

一方で実際の介護現場では、その要望に十分に応えるだけのマンパワーと専門性の両立に苦戦しているのが現状なのだそう。そのような背景もあって「職種を超えたリハビリ介護」をコンセプトに、介護事業所のリハビリを支援するリハプランを開発したという。

同サービスは2018年2月に正式版をリリース。7月時点で導入事業所数は100件を突破し、関わる要介護者の利用者人数も約5000人ほどに拡大している。Rehab for JAPANでは今回の調達資金をもとに組織体制を強化し、リハビリに関連する介護施設1万件への導入を目指す。