自動運転Motional CEOが示唆する物流業界の自律的な未来

Aptiv(アプティブ)とHyundai(現代自動車)の40億ドル(約4379億円)規模の合弁会社であるMotional(モーショナル)が、自動運転トラックや物流への関与の可能性を探っていることを、同社のCEOが米国時間6月9日開催されたTechCrunch’s 2021 Mobility Eventのライブセッションで語った。

TechCrunchのトランスポーテーション担当編集者であるKirsten Korosec(カーステン・コロセック)が司会を行うパネルで、Motionalのビジネスモデルをトラック輸送に拡大する意図について質問されたKarl Iagnemma(カール・インヤマ)氏は「もちろん、同じコア技術が複数のユースケースに適用できることがすばらしいことなのです」という。「それは似ています。同じではありませんが、似ているのです。そのため、他のユースケースも積極的に検討しているところです。この分野では、さらなる活動を行う予定です。今日は特に発表することはありませんが、この先たくさん出てきますよ」。

もちろんMotionalは、たとえばロボットタクシーモデルのように、人間を運ぶための自動運転という難しい技術的問題を解決することが、最大の経済的チャンスになると考えているのだが、インヤマ氏は、人間を運ぶ場合でも小包を運ぶ場合でも、自動運転の核心には知覚、計画、意思決定、ローカリゼーションといった同じ難しい問題が横たわっていると認識している。

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配送・物流モデルの何が最も魅力的なのかという問に対して、インヤマ氏は「現在開発中のものに、技術的な観点から最も近い位置にある優れたビジネスチャンスを探しているのです」と答えた。「本当に、それに尽きると思っています。こうした異なるユースケースは、場合によって、その周りにあるビジネスケースが大きく異なるため、機会も大きく異なるのです。そのことは、社内での順位付けにも役立っています。何がおもしろいチャンスなのでしょう?そしてまた、現在の技術開発の道筋に沿う形で、言ってみれば最小の労力増加で最大の機会増加につながるようにしようとしているのです。それが、Motional社内での戦略指針のようなものです」。

セッションのもう1人のパネリストだった自動運転車企業Aurora(オーロラ)の共同創業者でCEOのChris Urmson(クリス・アームソン)氏は、配車サービスや乗客輸送業における自動運転技術は、長期的には変革をもたらすビジネスであると同時に、トラック輸送を凌駕するビジネスになると認めている。Auroraは現在、ロボットタクシーではなく、貨物輸送アプリケーションに注力している。理由はいくつか挙げられるが、今すぐにでもスケールアップできるからというのもその1つだ。

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「ロボットタクシー市場は発展に時間がかかりますが、貨物・トラック輸送の市場はすでに存在しています」とアームソン氏はいう。

両パネリストとも、自動運転の世界には「安直に手に入る果実」は存在しないという点で一致している。自動運転車全体の課題を解決することは難しいが、都市の道路網の変動を考慮する必要のないトラック輸送であれば、もう少し簡単に解決できるのではないかとアームソン氏は主張する。高速道路はほぼ均一な性質を持っているため、そこを走行するための自動運転システムを構築することはより容易なのだ。

「ですから、運用が規定された設計領域で技術を成功させるという最初の難関を突破できれば、技術の拡大から運用の拡大へと展開が進んでいきます」とアームソン氏はいう。「それは、従来のビジネスのようなものにより近いものに見えます。このように、事業と運営の規模を拡大し、収益源を確保しておくことで、そのコア技術を応用して配車ビジネスに参入し、その分野でも刺激的なビジネスを構築することができる余裕が生まれると考えています」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Motional自動運転物流Auroraロボタクシー

画像クレジット:Motional

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

米空軍が地球規模のロケット貨物輸送プログラムを計画中、SpaceX以外の民間企業も選択肢見込む

米空軍が地球規模のロケット貨物輸送プログラムを計画中、SpaceX以外の民間企業も選択肢見込む

Gene Blevins / reuters

米空軍が、民間の航空宇宙企業の大型ロケットを使い世界のどこへでも貨物を輸送することを想定した小規模な開発プログラムを継続していると述べました。

米国防総省は”Rocket Cargo”と称するこの実験的プログラムはアメリカ宇宙軍(USSF)が主導することになると説明し「これまで陸送や空輸、船便では困難だった場所への貨物輸送を実現させるためにロケットの着陸能力や、大気圏再突入後に貨物を空中投下するための分離可能なポッドを設計し運用する能力を実証する」と予算案に記しています。

宇宙ロケットを使う輸送や旅行は2地点間を短時間で結ぶことを可能します。よりわかりやすく言えば、地球の裏側まで行くにしても、ほんの1時間ほどの時間で到着できる可能性があるということです。

この計画は2022年の予算案で約5000万ドルの要求と規模こそ小さいものの、昨年からのSpaceXとExploration Architecture Corporation(XArc)との契約による研究開発作業を継続します。

Rocket Cargoプログラムでは具体的には言及していないものの、30〜100トンの貨物を輸送でき、完全に再利用可能なロケットとしては、現在はSpaceXのStarshpが唯一の選択肢でしょう。

SpaceXはこれまでにStarshipのプロトタイプSN15を高高度まで上昇させ、地上に垂直着陸させるテストを成功させています(それまでにはいくつもの爆発がありましたが)。SpaceXはロケットを素早く再利用して再び宇宙飛行に送り出し、それを宇宙経由の定期便に発展させるという、これまでの使い捨てによるロケット運用とは全く異なるコンセプトの実現を目指しています。

ただStarshipプロトタイプであっても、まだ一度も軌道には到達できていません。また、空軍はこのプログラムにおける選択肢をより広くしたいと考えています。

米空軍でRocket Cargoプログラムのリーダーを務めるGreg Spanjers博士は、SpaceXの他にこのプログラムに対し潜在的にロケット供給が可能な民間企業として、NASAの月着陸船契約を競っていたBlue OriginやDyneticsの名を挙げました。さらにほかにもいくつかの企業と話をしており、まずはより多くの企業がこの分野に参入することを奨励するため、窓口とロードマップを整備するとしています。

(Source: CNBCEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:宇宙
タグ:安全保障(用語)XArc(企業)軍事(用語)SpaeceXDynetics物流 / ロジスティクス / 運輸(用語)Blue Origin(企業)米宇宙軍 / USSF(組織)

DHLが2022年までにLocus Roboticsのユニットを2000台配備する計画を発表

米国時間6月2日、DHLはマサチューセッツを拠点とするLocus Roboticsとの間ですでに進行しているパートナーシップを今後拡大すると発表した。2020年にDHLはLocusのロボットを1000台配備する計画を発表していた。この台数が2022年までに2000台と、2倍の計画になった。これによりDHLはLocusにとって他社に大差をつけて最大の顧客となる。

両社は2021年から共同でロボティクスの試験運用をしているが、コロナ禍でオートメーションに対する関心は大幅に高まった。その理由はたくさんあるが、中でもロボットは休業中も稼働し、世界的に感染が拡大していても感染を媒介する恐れが低いことが挙げられる。

DHLのグローバルサプライチェーンCOO / CIOであるMarkus Voss(マルクス・フォス)氏は、以下のように数字を示している。

これまでに500台以上のピッキング支援ロボットが米国、ヨーロッパ、英国のDHLの倉庫ですでに実際に使用されています。2021年末までにさらに500台のロボットを20カ所以上の拠点に追加する予定です。最新の倉庫業務において、共同開発しているピッキング技術の有効性と信頼性は明らかに実証されました。2022年にさらに配備する予定のロボットについても、導入拠点は具体的な実装ロードマップですでに決まっています。DHLの倉庫におけるピッキング支援ロボットの全般的な可能性はさらに大きく、我々はLocus Roboticsとともに設定した目標を達成できると確信しています。

LocusはDHLの複数のロボティクスパートナーの1社だ。DHLは2018年後半にこの分野に3億ドル(約329億円)を投資する計画を発表し、2020年時点では全米の倉庫に20万台以上のロボットを配備したと述べた。これはライバルであるAmazonのロボティクスの取り組みに匹敵する数字だ。

Locusはこの計画に加え、現金の調達でも問題はなかったようだ。2021年2月に同社は10億ドル(約1097億円)のバリュエーションで1億5000万ドル(約164億5000万円)のシリーズEを発表した。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:DHLLocus Robotics物流倉庫資金調達

画像クレジット:Locus Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

欧州の物流業界に一石を投じる貨物フォワーディング企業Sennderが約88億円調達、評価額約1100億円超えに

2020年のeコマースの大ブームに加え、新型コロナウイルスの影響から物の移動をより効率的に行うことが求められていることもあり、貨物フォワーディング(貨物利用運送事業。貨物をどのように、どこへ運ぶかを手配するプロセスであり、その作業を支える技術のこと)は物流業界の中でも特に重要な分野となっている。この分野における大手企業の1つが、現地時間6月1日、この機会を生かすための資金を調達したことを発表した。

欧州地域の貨物輸送(特にトラック運送)に特化したデジタル貨物フォワーダーであるSennder(センダー)は、8000万ドル(約88億円)の資金を調達し、評価額が10億ドル(約1100億円)を超えたと発表した。

ベルリンを拠点とするこのスタートアップは、2021年に入ってから資金調達を繰り返している。2021年1月には1億6000万ドル(約176億円)の資金調達を発表しており、今回の8000万ドルでシリーズDラウンドをクローズした。今回の延長シリーズDはBaillie Gifford(ベイリー・ギフォード)が主導し、Hedosophia(ヘドソフィア)、Accel(アクセル)、Lakestar(レイクスター)、HV Capital(HVキャピタル)、Project A(プロジェクトA)、Scania(スカニア)が前回のシリーズDから参加している。

今回のラウンドによって、3億5000万ドル(約384億円)を超える資金を調達したSennderは、貨物輸送業者の中でも最も資金力のある企業の1つとなった。現在この分野は注目を浴びており、欧州のZencargo(ゼンカーゴ)も5月に4200万ドル(約46億円)を調達したばかりだ。競合企業には米国のFlexport(フレックスポート)などがある。

Sennderは有機的に成長を遂げているが、規模を拡大するためにいくつかの買収も行っている。これは、市場の活性化だけでなく、細分化が進んでいることの表れでもある。5月にはCars&Cargo(カーズ&カーゴ)を買収し、フランスとベネルクスでの存在感を強めた。2020年にはUber Freight Europe(ウーバー・フレイト・ヨーロッパ)とEveroad(エバーロード)を買収し、イタリアの郵政公社であるPoste Italiane(ポステ・イタリアーネ)との合弁会社も設立。欧州に同社は全部で8つのハブを持つことになった。

Sennderによれば、同社は今後もこの種の買収を行う計画で、現在のトラック1万2500台におよぶネットワークを拡大するために、DAX30(ドイツ株式指数)のうち10社、Euro Stoxx(ユーロ・ストックス)50のうち11社と提携し、2021年にはトラック100万台分以上の輸送量を見込んでいるという。

「2020年から2021年に向けて、すでに1件の買収と複数の戦略的パートナーシップの締結を行い、その勢いを維持できていることを喜ばしく思います」と、Sennderの共同設立者であるCEOのDavid Nothacker(デイビッド・ノーサッカー)氏は、声明の中で語っている。「私たちは欧州における事業を拡大し、より多くの運送者や荷主をSnnderのプラットフォームに取り込み、SaaSなどのデジタルサービスを拡大していきます。買収や戦略的提携もこの戦略の一環であり、今回の追加資金は適切な機会に資本投下する柔軟性を当社にもたらします。Baillie Giffordは、革新的な技術を持つ企業を次々と支援してきました。彼らの支援は、我々のチーム、技術、ビジネスモデルに対する信頼の証です」。

Baillie Gifford European Growth Trust PLCの共同マネージャーであるStephen Paice(ステファン・ペイス)氏は、次のように付け加えた。「欧州の物流業界に一石を投じるSennderチームの旅に参加できることをうれしく思います。Sennderの技術は、非効率性や不必要な二酸化炭素排出に悩まされている業界で、出資者や社会に多大な価値を生み出す可能性があると確信しています。これまでの実績に加えて、特に印象的だったのは、目的意識を持った起業家精神が同社内に浸透していることです。これが長期的な成功のための重要な要素となることは間違いありません」。

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カテゴリー:その他
タグ:Sennder物流ヨーロッパ資金調達ベルリン

画像クレジット:sennder

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Alphabet傘下で2021年初めに解散したLoon元トップがロボット配達Starship TechnologiesのCEOに

自律走行ロボティクス会社Starship Technologies(スターシップ・テクノロジーズ)が、新しいCEOを迎える。同社は米国時間6月1日、ロボティクス配達サービスの拡大を追求する中でAlphabet(アルファベット)傘下のLoon(ルーン)の元CEOであるAlastair Westgarth(アラステア・ウェストガース)氏がStarship Technologiesを率いると発表した。

ウェストガース氏はこの前に、高高度の気球経由でブロードバンドを提供するというAlphabetの実験のLoonを2017年から率いていた。同社は2021年初めに解散した。解散を発表した最後のブログの中で同社は「商業化の実現可能性への道が思った以上に長く、リスクをともなうものであることがわかりました」と述べた。Loonで働く前にウェストガース氏はワイヤレスアンテナ会社Quintel Solutionsを率い、そして通信会社Nortel で副社長を、 Bell Mobilityではエンジニアリングのディレクターを務めた。

同氏はStarship Technologiesが事業を急拡大する中で同社に加わる。2020年初め、Starshipはいくつかの地域と大学のキャンパスで自律走行ロボット数百台を運用していた。同社は2021年5月、パンデミック以来、配達件数は4倍に増え、グローバルで150万回のマイルストーンを達成した、と明らかにした。

「自律走行配達は知っての通りロジスティックを変えていて、世界中の何十億という人にインパクトを与えています」とウェストガース氏は声明文で述べた。「Starshipのチームは2014年にロボット配達部門を創出して以来、何年もの間、テクノロジーとオペレーションを開発・洗練してきました。今回の機会はうれしいものであり、この業界をリードする便利で安全、そして環境に優しい配達サービスにより多くの人がアクセスできるよう、Starshipがキャンパスと地域で事業を拡大するのをサポートすることを楽しみにしています」。

Starshipの前CEOであるLex Bayer(レックス・バイエル)氏は同社を3年間率いた後、2020年12月に密かに社を去った。暫定CEOを務めた共同創業者のAhti Heinla(アーティ・ヘインラ)氏はCTOとなる。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:AlphabetLoonStarship Technologies自律運転ロジスティクスロボット配達

画像クレジット:Starship Technologies under a license.

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

インド物流市場システムのデジタル化を進める最大手DelhiveryがIPOに向け約304億円調達

インド最大の独立系eコマース物流企業であるDelhivery(デリバリー)は、年内のIPO申請に向けた最終となる見込みの資金調達ラウンドで、2億7700万ドル(約304億円)を調達した。

グルガオンに本社を置くこのスタートアップ企業は、規制当局への提出書類の中で、ボストンに本社を置く投資会社のFidelity(フェデリティ)が主導するラウンドで、2億7700万ドルを調達したことを明らかにした。この名称が特定されていないラウンドには、シンガポール政府投資公社(GIC)、アブダビの投資会社であるChimera(キメラ)、英国のBaillie Gifford(ベイリーギフォード)も参加している(最初にこの申請を報じたインドのニュースサイトEntrackrは、シリーズHラウンドであることを示唆している。しかし、Tracxnによると、DelhiveryにはシリーズGラウンドの記録はない。米国時間5月30日の時点で、このスタートアップはコメントを出していない)。

この新ラウンドで、創業10年目のDelhiveryの評価額は約30億ドル(約3290億円)となった。同社には、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)、Tiger Global Management(タイガー・グローバル・マネジメント)、Times Internet(タイムズ・インターネット)、The Carlyle Group(カーライル・グループ)、Steadview Capital(ステッドビュー・キャピタル)なども投資しており、これまでに約12億3000万ドル(約1350億円)を調達している。

Delhiveryは当初フードデリバリーの会社としてスタートしたが、後にインドの2300以上の都市と1万7500以上の郵便番号を対象としたフルスイートの物流サービスにシフトした。

同社は、貨物交換プラットフォームを通じて、物流市場の需要と供給のシステムをデジタル化しようとしている数少ないスタートアップ企業の1つだ。

調査・画像クレジット:Bernstein

そのプラットフォームは、荷主と取扱業者、そして道路輸送ソリューションを提供するトラック事業者をつなぐものだ。Delhiveryは、このプラットフォームによってブローカーの役割が軽減し、(同社にとって最も一般的な輸送手段である)トラック輸送などの資産をより効率的に運用でき、24時間体制のオペレーションを保証すると述べている。

このようなデジタル化は、国の経済を長年にわたって停滞させてきたインドの物流業界の非効率性に対処するために非常に重要だ。インドでは、需要と供給の計画や予測が不十分であることが、輸送コスト、盗難、損害、遅延を増加させていると、Bernstein(バーンスタイン)のアナリストは、インドの物流市場について2021年4月に発表した報告書の中で指摘している。

Delhiveryのウェブサイトによると、同社には10億件以上の注文を配送した実績があり「インド最大のeコマース企業や大手企業のすべて」と提携しており、その顧客の数は1万を超えるという。配送の最後の区間を受け持つ同社の配達員には、2平方キロメートルを超えることのないエリアが割り当てられているので、時間を節約しながら1日に何度も配送を行うことができる。

インドの物流市場のTAM(獲得できる可能性のある最大の市場規模)は2000億ドル(約22兆円)を超えると、Bernsteinのアナリストは述べている。

このスタートアップは2020年後半、新型コロナウイルス感染が流行する中、オンラインで買い物をする人が増えたことから、増大する注文需要に対応するため、2年以内に4000万ドル(約43億9000万円)以上の投資を行い、配達隊の規模を拡大することを計画していると語っていた。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Delhiveryインド物流IPO資金調達SoftBank Vision FunTiger Global Managementeコマース

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

SMITH&LOGISTICSが運送業向けに荷物の大きさを自動計測する装置を提供開始

SMITH&LOGISTICSが運送業向けに「荷物の大きさを自動計測する装置」を提供開始運送業や製造業にAIおよび数理アルゴリズムの技術を活用したソリューションを提供するTRUST SMITH(トラスト・スミス)グループ傘下のSMITH&LOGISTICS(スミス・アンド・ロジスティクス)は、5月30日、おもに運送業者向けに「荷物の大きさを自動で計測するシステム」の提供を開始したことを発表した。

このシステムでは、3Dカメラが荷物の形状を点群データとして読み取る。それを「ドライブレコーダーの個人情報を取り除くAI」の開発で培った画像認識技術や自動運転の研究開発で培った物体認識技術を活用して処理することで、その大きさを計測する。

このシステムには大きく次の2つの特徴がある。

  • 同社の画像認識技術による高精度な計測と高速計算アルゴリズムにより画像データ解析の時間が大幅に短縮される。
  • 導入業者の基幹システムでのデータ管理が可能なため、ラベル読み取り自動化システムと組み合わせるなど広範な活用が期待できる。

具体的には、さまざまな形状の荷物を扱う、荷物の積載率を把握して最適な積荷計算を行う、短い手作業時間で多くの混載を行うといった状況を想定して、運送会社の他、ECセンターの運営業者、食品や機材のメーカー、フォワーダーを対象顧客としている。

取り扱う荷物の種類や量、現場の明るさや広さに応じてカメラの台数などの調整が可能。

労働人口の減少による人材不足が深刻化するなか、新型コロナの小口配送の需要が増加する運送業界では、労働者の負担が大変に大きくなっている。物流現場では、さまざまな形状の荷物を正確に採寸する必要があり、手作業での測定の効率と精度の低下が心配されている。そこで同社は、持てる技術を活用した本システムの開発を思い立った。

親会社のTRUST SMITHは、東京大学の研究室の研究結果を事業化することを目的に創設されたベチャー企業のひとつ。SMITH & LOGISTICSは、「無人倉庫設立コンサルティング」を事業内容とする子会社として2020年10月に創設された。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:AI / 人工知能(用語)東京大学(組織)TRUST SMITH(企業)物流 / ロジスティクス / 運輸(用語)日本(国・地域)

物流や倉庫で使用されるロボット用コンピュータービジョンソフトのPlus Oneが約36億円調達

サンアントニオを拠点とするPlus One Roboticsは米国時間4月27日、3300万ドル(約36億円)のシリーズBを発表した。このラウンドは2018年に発表した830万ドル(約9億円)のシリーズAに続くもので、同社の資金調達総額は4000万ドル(約43億円)を超えた。今回のラウンドはMcRock CapitalとTransLink Venturesが主導し、既存の投資家にくわえてBMWi Ventures、Kensington Capital Partners、Ironspring Venturesが参加している。

2016年に設立されたPlus Oneは、物流や倉庫で使用されるロボット用コンピュータービジョンソフトウェアに主に注力している。多くの企業がバックエンドの自動化を目指す中で、この分野は明らかに注目を集めているカテゴリーだ。具体的にはこのシステムはさまざまなロボットアームやグリッパーに対応できるように設計されており、エンドユーザーの異なるニーズを満たすことができる。

Plus Oneは今回の資金調達により、急速に高まるロボット需要に対応するため海外での事業拡大を計画している。またこのシステムでは、最大50台のロボットを一度に制御するグループ管理も可能だ。

CEO兼共同創業者のErik Nieves(エリック・ニーブス)氏は「私たちは国内外の顧客とともに成長していくことに興奮しています」。と述べている。「この強力な組み合わせにより、Plus Oneは今後も国際的なインストールベースを拡大し続けることになります」。

今回のこのラウンドではMcRock CapitalのWhitney Rockley(ホイットニー・ロックリー)氏とTransLinkのToshi Otani(トシ・オオタニ)氏がPlus Oneの取締役に加わった。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Plus One Robotics物流倉庫資金調達

画像クレジット:Plus One Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

RFID位置特定技術のRFルーカスが3億円を調達、無人走行ロボットとの組み合わせで在庫管理のさらなる効率化を目指す

2021年4月26日、RFID(Radio Frequency IDentification)タグによる在庫・物品管理システム「Locus Mapping」を運営するRFルーカスが3億円を調達したことを発表した。引受先は安田倉庫と三井不動産だ。

そもそもRFIDとは何かというと、電波でデータを読み取る技術のことだ。これまで商品や備品の管理にバーコードやQRコードなどが使われてきたが、近年はそうしたものの代わりにRFIDの導入が進んでいる。RFIDなら個別に読み取らなくても、数秒で大量のタグをまとめて、しかも段ボールなどに入ったままでも読み取れるという利点がある。

ただ、まとめて複数のタグが読み取れるのは便利なものの、位置情報までは分からないのがRFIDの課題だったとRFルーカスの取締役COOを務める浅野友行氏は説明する。例えば、店舗で商品のRFIDタグを読み取れば、どの商品がどれだけあるかは確認できるが、個別の商品がそれぞれどの棚にあるのかまでは分からない。

RFルーカスは独自の「電波位相解析」により、RFIDタグの正確な位置特定を実現した。RFルーカスの位置を自動取得してデジタルマップ上に表示する「Locus Mapping」はこの技術を活用している。具体的なサービス内容についてはサービスローンチの記事に詳しく書いてあるので、そちらも参照して欲しい。

RFルーカスの技術を導入することで、店舗や倉庫での入出庫や検品、棚卸し、在庫の探索、ピッキングなど、これまで目視確認やバーコード読み取りで行っていた作業を大幅に削減できると浅野氏は説明する。

RFルーカスはこの技術の特許を日本、米国、欧州で取得済みで、現在アパレル業をはじめ、製造業や物流倉庫などで採用が進んでいるそうだ。

2015年8月に設立したRFルーカス。2018年4月にシードラウンドとしてSTRIVEから1億円、2019年6月にプレシリーズAラウンドとしてSTRIVE、りそなキャピタル、テクノスジャパン、AGキャピタル、みずほキャピタルから2億円を調達し、今回のシリーズAで累計調達額は6億円以上となった。

「これまで製品開発に注力してきましたが、ここからは本格的に拡販に入っていこうと考えています」と浅野氏は話す。今回調達した資金は拡販に向けた人材採用に加え、さらに付加価値の高い機能開発を進める考えだという。具体的には自動走行ロボットやドローンと組み合わせて、タグを無人読み取りする機能などを検討しているそうだ。今まで人がハンディリーダーでタグを読み込んでいたところを、自動走行ロボットが夜間に読み取って管理するような形で在庫管理にまつわる作業の自動化、効率化を進めていく。すでに技術的な検証を行っていて、今後プロダクトとして実装していく考えだそうだ。

自動走行ロボットによる無人読み取り

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:RFルーカス資金調達倉庫物流RFID(Radio Frequency IDentification)日本

画像クレジット:RFルーカス

荷降ろしロボットを手がけるMITのスピンオフPickleが約6200万円の資金を調達

この1年間がロボティクス業界にとって大きな分岐点となったことは間違いない。在宅勤務などの労働力不足が続く中、企業は事業を継続させる手段として、特に倉庫や物流の自動化を推し進めてきた。

MITのスピンオフ企業であるPickle(ピックル)は、新たにこの分野に参入したスタートアップ企業の1つだ。同社は限られた資金と小規模なチームで創業したが、最近はその片方を大きく変えた。ホットな投資のニュースが続く今週、同社は57万ドル(約6200万円)の資金を調達したと、TechCrunchに明かした。このシードラウンドは、Hyperplane(ハイパープレーン)が主導し、Third Kind Venture Capital(サード・カインド・ベンチャー・キャピタル)、Box Group(ボックス・グループ)、Version One Ventures(バージョン・ワン・ベンチャーズ)などの投資会社が参加した。

Pickleは、その「Dill」と名づけられた最初のロボット(明らかに狙ったネーミングに違いない)の性能について、かなり大きな主張をしている。同社によれば、このロボットは、トレーラーの荷台から1時間に1600個の荷物を拾い上げることができるという。この数字は「競合他社の2倍のスピード」にあたると、同社は謳っている。

CEOのAndrew Meyer(アンドリュー・マイヤー)氏によると、その鍵はロボットと人間の協業にあるという。「私たちは最初から人をシステムに組み込んで、特定の問題に焦点を当てました。それは、搬入口での荷物の処理です。私たちは、完全に無人で動作するシステムや、世の中にあるすべてのロボットの問題を解決できるシステムを作ろうという愚行には手を染めませんでした」。

トレーラーの荷降ろしを対象としたPickle最初の製品は、2021年6月に受注を開始し、2022年初頭の出荷を予定している。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:Pickle資金調達MIT物流ロボット

画像クレジット:Pickle

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

倉庫から歩道まで、Amazonに対抗するロジスティックス実用ロボットの最新動向

先回りしておくと、ロボティクスの分野には注目すべき動きや製品が多数ある。しかし現在、全員が熱中しているのは倉庫でのフルフィルメントをはじめとする物資移動業務だ。これはAmazon対大勢という構図になっており、多くの面でAmazonが一歩先を行っている。労働者の管理、処遇に関する問題はまったく別の話となる(それはそれで別に議論したい)。

フルフィルメントロボットのトップ企業の幹部を取材すると、概ね話は共通していることがわかる。「どうすればAmazonとの競争に負けずにいられるか?」だ。これはビジネスの存在を賭けた真剣さを含んでいたのでので単なるロボット関連記事にまとめてしまうのはためらわれる。しかし、とりあえず簡単な答えを出しておくなら「自動化の提供」だろう。

ともあれBoston Dynamicsの最新ロボットが倉庫用であるのは理由がある。2021年夏に登場する予定のSpotは同社にとって2番目の市販ロボットだが、多くの意味で同社として最初初の特定目的型ロボットだ。SpotはBoston Dynamicsが創業以来取り組んできた四足歩行ロボットを拡張したものだ。同社はSpotをプラットフォームと表現してきたがその用途は当然極めて広範囲なものとなる。

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画像クレジット:Boston Dynamics

StretchはHandleから進化し、HandleはAtlasから進化した。このシリーズのロボットは「箱を運ぶ」という非常に限定された目的を果たすためにデザインされた。もちろん倉庫作業にはさまざまな側面があり、Boston Dynamicsは将来、多様な作業に対応していくだろう。しかし今のところはトラックからの荷降ろしやパレット上に注文された品々がはいった箱を積み上げることに集中している。これは明らかに巨大な成長市場であり、Boston Dynamicsのような組織がどのように規模を拡大していくのか注目していきたい。この点でHyundaiからの大口の引き合いが実現するかどうかが重要だ。

このカテゴリでは、いくつかの注目すべき発表があった。我々は中国がフルフィルメントロボットの分野でも注目されていることを報じているが、さきごろ北京を拠点とするForwardX Roboticsが6300万ドル(約69億5000万円)を調達して話題となった。CDH、Eastern Bell、Dohold CapitalがリードしたシリーズBでは地元中国に加えて米国、日本、英国、ドイツを含む国際市場への拡大を目指している。

ファウンダーでCEOのNicolas Chee(ニコラス・チー)氏はこのラウンドについて次のように書いている。

当社にやってくる倉庫や製造に携わるユーザーは業務を改革し、これまで達成できなかった新しいレベルの効率性を引き出すことが目的だ。ForwardX Roboticsの柔軟な自動化プラットフォームは、サプライチェーンで働く労働者のパフォーマンスを向上させ、増大する人件費の圧力を軽減し、市場の変化に迅速かつ効果的に適応することを可能にする。

画像クレジット:Ambi Robotics

このブームを機にステルスからの脱却を図っているAmbi Roboticsにもそれなりの規模の資金資金調達ラウンドを実施している。カリフォルニア大学バークレー校の教授であり、TechCrunch主催のロボティクスのセッションのゲストににもなったKen Goldberg(ケン・ゴールドバーグ)氏が設立したこの会社は610万ドル(約6億7000万円)の資金を調達したことを発表した。この会社は、いわゆるピック&プレース型のロボットに特化しており、AmbiSortとAmbiKitという2台のマシンでスタートを切っている。この分野ではゴールドバーグ氏には熱心な支持者がいる。これは間違いなく注目すべき企業だ。

画像クレジット:Skycatch

TechCrunchは最近、Skycatchが2500万ドル(約27億6000万円)を調達したというニュースを報じた。我々はこのドローンを提供するスタートアップについて何度も取り上げてきた。現在、多数の企業が実用ドローンのビジネス化のために多大な努力を払っている。その中でもSkycatchはコンセプトの現実化で一歩先を行くグループに属する。同社の3Dイメージング用ドローンはすでに世界中の何千もの現場で活躍中だ。

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画像クレジット:REEF Technologies

もちろんロボットテクノロジー人間の配送要員に全面的に取って代わるような自体は当分ありえない。しかし多くの企業や都市が積極的にテストに取り組んでいる。そのスタートアップの1つがCartkenだ。ファウンダーは元Googleのエンジニアでマイアミでテストを開始している。この都市の宣伝文句は数えきれない。マイアミを推薦するWill Smith(ウィル・スミス)の歌さえある。

関連記事:元Googleのエンジニアによる自動運転ロボットがマイアミで料理配達業務を開始

画像クレジット:Toyota

一方Nuroは新たな投資家からの激励がなくても盛り上がりに欠けることはない。同社は2020年11月に5億ドル(約551億2000万円)のシリーズCを発表した。またトヨタ自動車が出資するWoven Capitalがこのラウンドに参加したことを発表し、詳細が明らかになった。Woven Capitaの投資・買収担当責任者であるGeorge Kellerman(ジョージ・ケラーマン)氏はTechCrunchに次のように語っている。

Nuroは我々の出発点として好適です。我々は乗客を運べる自動走行車の開発に焦点を当てているので、Nuroは地域におけるグッズの配送に焦点を絞り込んでいるので同社との提携は我々が多くのことを学ぶための第一歩となります。Nueoから学ぶべきことは多く、将来的には同社の世界的展開を支援することも可能性となります。

関連記事:トヨタの投資ファンドWoven Capitalが自動配送ロボティクスNuroに出資

カテゴリー:ロボティクス
タグ:フルフィルメント物流倉庫Boston DynamicsForwardX RoboticsAmbi RoboticsCartkenToyotaフードデリバリー

画像クレジット:Boston Dynamics

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(文:Brian Heater、翻訳:滑川海彦@Facebook

アマゾンがトイレに行く時間もなく「ペットボトルに排尿」を否定したツイートについて謝罪と釈明

Amazon(アマゾン)は、歴史的な労働組合結成の賛否を問う投票の終盤に展開したソーシャルメディアによる攻勢をわずかに後退させて、この週末の連休を迎えた。以前のコメントは、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏がより攻撃的な戦略を推し進めているときに出たものだと報じられている。

Amazon News(アマゾン・ニュース)のTwitter(ツイッター)アカウントは、Bernie Sanders(バーニー・サンダース)上院議員とElizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)上院議員に加えて、Mark Pocan(マーク・ポーカン)下院議員とも対決することになった。このウィスコンシン州選出の民主党議員は、Amazonの顧客部門でCEOを務めるDave Clark(デイブ・クラーク)氏のコメントに反応して、Amazonの従業員がトイレに行く時間もなく、仕方なくボトルに小便をしているという、過去に報道された話を引用した。

すると、Amazon Newsのアカウントは「ボトルにおしっこをするという話を本当に信じているわけではないですよね?もしそれが本当なら、誰も私たちのために働かないでしょう。真実は、世界中で100万人以上のすばらしい従業員が、自分たちの仕事に誇りを持ち、初日からすばらしい賃金と健康管理を受けています」と、ツイートした。

デイブ・クラーク

(労働組合結成に向けた投票を行っているAmazonの従業員に会うために、サンダース氏がアラバマ州バーミンガムを訪れるという報道に対し)サンダース氏をバーミンガムに歓迎し、進歩的な職場を求める同氏の姿勢に感謝します。私はよく、我々は雇用主のバーニー・サンダースだと言っていますが、実際には我々は進歩的な職場を提供しているので、それは正しくありません。https://businessinsider.com/bernie-sanders-visiting-amazon-workers-unionizing-alabama-2021-3

マーク・ポーカン

労働者に時給15ドル(約1660円)を支払っても、労働組合を潰したり、労働者にペットボトルに小便をさせたりしているようでは「進歩的な職場」とは言えないでしょう。

Amazon News

ボトルにおしっこをするという話を本当に信じているわけではないですよね?もしそれが本当なら、誰も私たちのために働かないでしょう。真実は、世界中で100万人以上のすばらしい従業員が、自分たちの仕事に誇りを持ち、初日からすばらしい賃金と健康管理を受けています。

議員の最初の反応は、簡潔で的を射たものだった。「そうです。私はあなた方の従業員の話を信じています。あなた方は信じていないのですか?」。

その後、これらの話をさらに強化する報道が続いた。ある報道では、Amazonのドライバーの間で排尿の問題が「広範囲に渡っている」としており、さらに「排便も問題になっている」と付け加えた。これらを受け、Amazonは米国時間4月2日「ポーカン議員に謝罪しなければなりません」と述べ、ある種の非を認めた。

だが、そこから先は少々様子が変わってくる。アマゾンの謝罪文では、労働者がボトルに排尿していたことを認めているが、それはドライバーに限ったことで、今回の大規模な組合活動の中心となっている配送センターのスタッフには当てはまらないと、暗に示しているように思われた。さらに、ドライバーがボトルに排尿するのは「業界全体の問題であり、Amazonに限ったことではない」と付け加えている。

同社は親切にも、ギグエコノミーの告発やブルーカラー労働者の扱いを非難するリンクやツイートのリストを掲載している。基本的にAmazonは、自社に問題の一部があることを認めつつ、その責任を明らかにシステムに欠陥のある業界全体に分散させようとしているのだ。

労働者がボトルに小便をするという話は、ドライバーだけでなく、倉庫で働く従業員も厳しいノルマをこなすために行っていたという報告もある。

Amazonは、この個人名が表記されていないスタッフによる投稿の中で「典型的なアマゾンのフルフィルメントセンターには、何十ものトイレがあり、従業員はいつでも自分の仕事場から離れることができます。もしフルフィルメントセンターの従業員が異なる経験をした場合は、上司に相談することをお勧めします。我々は解決に向けて努力します」と書いている。

同社のアラバマ州ベッセマー倉庫では、先週から労働組合結成に向けた投票が行われている。この結果は、Amazonと業界全体に広範な影響を与える可能性がある。

関連記事:Amazonの歴史的な労働組合投票がまもなく開票

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazon労働組合物流倉庫労働問題

画像クレジット:PATRICK T. FALLON/AFP / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Phantom Autoの遠隔操作フォークリフトがGeodisとの提携でフランスに到着、自動運転車から物流にピボット

世界的な物流企業であるフランスのGeodis(ジオディス)は、数百キロ、時には数千キロ離れた場所にいる人間のオペレーターが遠隔操作できるフォークリフトの導入を促進するため、スタートアップのPhantom Auto(ファントム・オート)と提携した。

Geodisによると、この技術を利用することで、オペレーターの疲労やそれによる怪我を減らし、倉庫内にいる人間の数を減らすことを目的としているとのこと。遠隔操作式フォークリフトの使用は、従業員に取って代わるものではなく、働く場所を置き換えるものだという。都心から離れた場所で事業を展開することが多いGeodisにとって、このようなディテールは魅力的だ。

Geodisの西ヨーロッパ・中東・アフリカ事業CEOであるStéphanie Hervé(ステファニー・エルヴェ)氏は、TechCrunchの取材に対し、遠隔操作のフォークリフトを使用することで、身体障害者を含む新しい労働者グループを獲得することができると述べている。この意図は、労働者を他国にアウトソースすることではなく、地域内でより多くの労働者を見つけることにあるという。

このパートナーシップの下、Phantom Autoの遠隔操作ソフトウェアがKION Groupのフォークリフトに組み込まれた。フォークリフトには双方向オーディオが搭載されており、Geodisが「デジタルドライバー」と呼ぶ遠隔オペレーターは、倉庫内の同僚とコミュニケーションを取ることができる。

画像クレジット:Geodis

Phantom AutoとGeodisは、2年以上前からフランスのルヴァロワとルマンでパイロットプログラムを実施し、協力関係を築いてきた。今回の発表は、Phantom Autoにとって有益になり得る、より深い関係の構築を示している。

当初はフランス国内での展開を予定している、とエルヴェ氏は語った。今のところPhantom Autoのソフトウェアは、最初のパイロットサイトであるルヴァロワとルマンでフォークリフトの遠隔操作に使用され、向こう1年の間にフランス全土に拡大していく予定だ。Phantom Autoの共同設立者であるElliot Katz(エリオット・カッツ)氏によると、初期の2つの拠点で働くGeodisの従業員は、すでにフォークリフトを遠隔操作するトレーニングを受けているという。

Geodisのフットプリントはフランス国内にとどまらない。同社は、120カ国に約16万5千の顧客を抱えている。世界各地に300の倉庫を所有し、Amazon(アマゾン)やShopify(ショッピファイ)など、他の何千もの顧客にもサードパーティロジスティクスサービスを提供している。

Phantom AutoがGeodisと提携したことは、同社が当初注力していた自律走行車以外のビジネスを模索していることの一例だ。2017年に設立された同社は、フォークリフトやロボット、トラック、乗用車などの無人車両のフリートを遠隔で監視して介入するための、車両に依存しないソフトウェアを開発した。

同社はAV(自律走行車)業界に隣接している。AV事業者が遠隔操作の必要性を公に語ることはほとんどないが、ロボタクシーを商業的に展開する際や、その他のAVアプリケーションに必要なサポートシステムとして捉えられている。しかし、自律走行車の開発者たちが技術を商業化するためのスケジュールを先送りにしたため、Phantomは新しい分野に進出したのである。

これまでに2500万ドル(約27億7000万円)を調達したPhantom Autoは、歩道、倉庫、貨物ヤードなど、今日、自律走行や遠隔操作が導入されている場所を対象とした物流事業を展開している。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Phantom AutoGeodis物流遠隔操作フランス

画像クレジット:Geodis/Francois Bouriand

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

ボストン・ダイナミクスの次期商用ロボットは退屈な倉庫仕事をこなす「Stretch」

Handleの後継機種のStretchは物流に活躍の場を見出す

Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)が、長い年月をかけてロボットの研究会社から、ハードウェアを製品化して販売する会社へと変遷してきた様子は、とても興味深いものだった。その過程では、結局世界のほとんどのロボットは、ありふれた仕事に使われることになるという、現実的な教訓を教える厳しいレッスンもあった

関連記事:MSCHFがSpotにリモコン式ペイントボール銃搭載、ボストン・ダイナミクスは嫌な顔

もちろん同社は、自社の技術の結晶がオールディーズに合わせて踊ってみせる、楽しいバイラルビデオを世間に向けて発信し続けるだろう。しかし、実際にロボットを販売するという話になると、そのターゲットは、人間がやりたがらない退屈で汚くて危険な(dull, dirty, dangerous、3D)仕事であるということは変わらない。あるいは、以前から私が言っているように、ロボットは、明らかにクールではないタスクを実行するための、クールなテクノロジーであることが多いのだ。

同社のSpot(スポット)は検査ロボットとして成功を収めている。この4脚ロボットは、油田や原子力発電所など、多くの人ができれば滞在時間を制限したいと考える場所に配備されている。3D仕事のうち、危険(dangerous)な部分はこれで片づいたが、同社の2台目の商用ロボットは、退屈(dull)な部分を狙っていると言ってもいいだろう。

画像クレジット:Boston Dynamics

運送・物流がいかに巨大な産業であるかについては、たくさんの統計を引用するまでもないだろう。また、多くの注文がオンラインに移行しているために、規模は拡大する一方なのだ。Locus(ローカス)、Fetch(フェッチ)、Berkshire Grey(バークシャー・グレイ)などの多くのロボット企業が、この種の自動化に事業全体を振り向けていることには理由があるのだ。LocusのCEOが最近語ったように、誰もがAmazon(アマゾン)とその強大なロボット軍団に対抗するための技術を探し求めている。

(現在はプロトタイプの)Stretch(ストレッチ)は、同社が4年あまり前にYouTubeの動画で紹介したロボットHandle(ハンドル)の商用化を目指したものだ。この車輪つきロボットは、動画で紹介された最初期型は滑走しながらバランスを保ち、さまざまな障害物を乗り越えることができる、非常に汎用性の高いロボットだった。またそのときは、100ポンド(約45kg)の木箱を拾うこともできた。当時はこれが将来の進化の基礎になるとは、ほとんど想像することはできなかった。

実際、Handleの箱持ち上げの歴史はもっと古く、同社のヒューマノイドロボットAtlas(アトラス)を使ったビデオにまでさかのぼることができる。Boston Dynamics のプロダクト・エンジニアリング担当副社長であるKevin Blankespoor(ケビン・ブランクスポーア)氏は、TechCrunchに対して「私たちはそこで、Atlasが箱を移動する様子を紹介しましたが、それには倉庫関係の方々からの大きな関心が寄せられたのです」と語った。「実際、Atlasに働いて欲しいという声が挙がりました。その声を受けて私たちは、倉庫での作業をこなすことのできる、もっとシンプルなロボットを設計できると考え、そこからHandleが生まれました。実際にその時点で、Atlasプロジェクトから分離したのです」。

ブランクスプール氏によれば、Handleは「車輪と脚を組み合わせたい」という同社の長年の願望から生まれたもので、倉庫内で物を移動させるためのロボットを設計するという初期の実験のための基礎になったという。

画像クレジット:Boston Dynamics

「私たちはHandleを倉庫に置いて、お客様と実験を始めました。そこでHandleはいくつかの異なるタスクをこなしました。1つ目はパレットからの荷下ろしで、これはかなり良い結果を出せました。2つ目の応用は、トラックからの荷下ろしでした。ここでHandleは仕事をこなすことはできましたが、それはかなり遅いものでした。狭い空間で、たくさんの操作をしなければならず、動作が遅すぎたのです」。

2019年に公開された「Handle Robot Reimagined for Logistics」と題された動画では、上部に取り付けられた大きなアームに、複数の吸盤で構成されたグリッパーを装備した、車輪型ロボットが紹介されている。その動画では、2台のロボットが連携して、1つのパレットから別のパレットに箱を移動させている。しかし、Stretchの画像を見ると、Boston Dynamicsが商業的実用化に向けて、ロボットをどれだけ劇的に見直したかがわかる。

真っ先に目につくのは、Handleの2つの大きな車輪がなくなったことだ。車輪があった場所には、大きくて黒い台がある。「移動の基盤となるのは、その底部です」とブランクスポーア氏はいう。「パレットの大きさに合わせて設計されているので、倉庫内でパレット置ける場所ならどこでも操作を行うことができます」。

本体にはまだ車輪が付いているものの、ほぼ目立たなくなっている。2つだった車輪は4つになり、底部の内側に隠されている。どの方向にも動けるので、移動範囲が広く、このサイズのロボットとしては比較的コンパクトな旋回が可能だ。また、アームの横には「パーセプションマスト」(知覚柱)があり、自律的な移動やピッキングを行うために、ロボットの目として効率的に機能している。

画像クレジット:Boston Dynamics

このロボットは、現在約100名のスタッフが働くBoston Dynamicsの倉庫部門で設計されたものだ。その中には、2019年にKinema Systems(キネマ・システムズ)の買収の一環として同社が雇用した従業員も含まれているが、Kinama Systemsの3D視覚技術が取り込まれて、Stretchのピッキング性能を向上させている。

関連記事:Boston Dynamicsが3D画像認識技術を擁する企業を買収、ロボット商用化にも注力へ

初期の応用例としては、トラックからの荷降ろしやオーダービルディング(商品を1つのパレットに効率的にまとめること)などがある。将来的には、トラックへの積み込みなどの応用も考えられているが、現在はまだ初期段階だ。システムの特性は、Berkshire-Greyのようなゼロから自動化を組み上げる企業のものよりも、よりプラグアンドプレイに近いものだ。また、他の倉庫システムとも互換性を持つことができるようにしている最中だ。

Boston Dynamicsは、この夏に最初のユニットを製造し、2022年にはStretchを販売する予定だ。価格についてはまだ公表されていないものの、ブランクスポーア氏は「普通工場で見かける、床にボルトで固定された従来のロボットシステムと、同等のものになるでしょう」と語っている。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Boston Dynamics倉庫物流

画像クレジット:Boston Dynamics

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)

長距離トラックの中継輸送から無駄な時間をなくすBatonが11.5億円調達

トラック業界では「休止と留置」の時間が効率と利益とドライバーの敵だ。トラックヤードで積替えのために過ごす休止時間と、スケジュールがずれた荷降ろしと荷積みの間に生ずる無駄な時間は、米国のトラック業界に年間20億時間あまりの損失を与えている。

8VCのインキュベーター事業から生まれたサンフランシスコのBatonは、このトラック業界の長年の問題を解決すると彼らが信じるビジネスを開発した。社名の「バトン」は、同社のビジネスモデルを表している。Batonは、混雑した都市部の郊外にドロップゾーンのネットワークを構築しており、パートナーから24時間設備をサブリースしている。長距離トラック運転手は、これらのドロップゾーンに荷物を積んだトレーラーを止めておくことができる。Batonは、クラス8の大型トラックを所有する地元の運送企業と契約して、そのトレーラーを届け先まで運ぶ。

Batonが開発したのは、トラックとドロップゾーンと倉庫と地元のドライバーを単一のAPIで調整するソフトウェアだ。顧客はそのAPIからの自動アップデートで、荷が届いたことをリアルタイムで知ることができる。

共同創業者のAndrew Berberick(アンドリュー・バーベリック)氏は、最近のインタビューで「長距離トラック輸送には無駄な時間がとても多い」と述べている。Batonの利点は、休止と留置で失われる大量の無駄な時間をなくし、さらに都心の渋滞で過ごす路上の時間も減らす。同社によると、米国のトラックドライバーの賃金は時間制ではなく距離制であるため、ドライバーの収入増にも貢献し、炭素排出量も減らす。

Batonの顧客は、CRSTのような長距離トラック輸送の企業だ。この非上場の運送企業は、Walmart のような米国最大の小売企業に荷物を運んでいる。また、さまざまな戦略的投資家たちも、Batonに投資している。最初の330万ドル(約3億6000万円)のシード資金は不動産企業のPrologisと8VCが2019年12月に投資した。そして現在はシリーズAでさらに資金と投資家を求めているが、そのラウンドをリードしているのは8VCとMaersk Growthだ。後者はロジスティクスの大手AP Moller-Maerskのベンチャー部門となる。

結局、BatonはシリーズAで1050万ドル(約11億5000万円)を調達し、共同創業者のNate Robert(ネイト・ロバート)氏とバーベリック氏によると、今の投資前評価額は5000万ドル(約54億6000万円)だったという。このラウンドに参加した投資家はPrologis、Ryder、Lineage Logistics、Project44のCEOであるJett McCandless(ジェット・マッキャンドレス)氏、KeepTruckinのCEOであるShoaib Makani(ショアイブ・マカニ)氏、Clarendon CapitalのオペレーティングパートナーJohn Larkin(ジョン・ラーキン)氏、I.S.Gの創業者Trace Haggard(トレース・ハガード)氏、そしてCooley LLCだ。

Batonのドロップゾーンはロサンゼルスに数カ所あり、同市における増設を計画している。ロバート氏とバーベリック氏によると、今後1年もしくは1年半で、アトランタとシカゴとダラスにも開設する予定だとのこと。

Batonの短期的な狙いは、人間が運転するトラック輸送の無駄の解消だが、ロバート氏によると、同社のビジネスモデルは、自動運転トラックにも適用できる初めてのアプリケーションになりうるという。「ただし、ハイウェイだけに限るべきだ。しかもそのためには乗り換えハブの全国的なネットワークが必要となる」とロバート氏は語る。

Batonはすでにこのアイデアのパイロット事業を行っており、ロバート氏はそれを「自動運転中継(autonomous relays)」と呼んでいる。この事業には、アリゾナとカリフォルニアの州境にある某自動運転トラック企業が協力している。

8VCのパートナーで共同創業者のJake Medwell(ジェイク・メドウェル)氏は次のように語っている。「ルートによっては、自動運転でしかも最終的には電動のトラックがスタンダードになるため、Batonのハブのネットワークとソフトウェアによる調整が中核的なインフラストラクチャーになるだろう。BatonによるDXで、トラック輸送業の自動化が可能になる」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Baton資金調達運輸トラック

画像クレジット:TSG Fleet Services

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)