貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz」運営のトレードワルツが9億円追加調達

貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz」運営のトレードワルツが9億円追加調達

ブロックチェーン活用の貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz」を運営するトレードワルツは8月26日、9億円の追加資金調達を発表した。引受先は、東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)、三井倉庫ホールディングス(三井倉庫HD)、日新、TW Linkの4社。累計調達額は30億円となった。

トレードワルツは、NTTデータ、三菱商事、豊田通商、東京海上日動火災保険、三菱UFJ銀行、兼松、損害保険ジャパンの7社の出資により2020年11月から事業開始したスタートアップ企業。改ざんが難しいデータ構造を有するブロックチェーンを採用したTradeWaltzを開発しており、貿易手続きに含まれるアナログコミュニケーションの完全電子化を目指している。

同社は、TradeWaltzの国内普及を進める上では、貿易DXを目指す物流会社の協力を得る必要性、またALL JAPANで貿易DXを実現するには官民に加え「学」が持つ知見を取り込み、産官学で貿易の未来ビジョンやデータを起点とした様々な付加価値サービスを考えていく必要があるとしている。

そのため、三井倉庫HD、日新、TW Linkといった物流会社を新たな株主として迎え、国内物流会社への普及と新たな物流DXサービスの検討に着手するという。また東大IPCを新たな株主として迎え、TradeWaltzに蓄積および許諾を得たデータを活用し、どのような付加価値サービスを生み出せるか、東京大学と検討する。

【コラム】深層強化学習は私たちが知る製造業を変革する

編集部注:Chris Nicholson(クリス・ニコルソン)氏は、深層強化学習を産業オペレーションとサプライチェーンに適用する企業であるPathmindの創業者兼CEO。

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通りを歩きながら、目に入るものすべての名前を大声で叫んでみたとしよう。「ごみ収集車!」「競輪選手!」「プラタナスの木!」  多くの人は、そんなあなたを特に賢いとは思わないだろう。一方で、例えば障害物コースを通るときに、一連の障害をうまく切り抜けて無傷で最後までたどり着く方法を示したなら、人々の評価は変わってくるはずだ。

ほとんどの機械学習アルゴリズムは、街中で名前を連呼するようなものである。人間が1秒たらずで行えるような知覚的な作業を実行する。しかし、もう1つのAIである「深層強化学習」は、戦略的なものだ。目標を達成するための一連のアクションを実行する方法を学習する。これはパワフルかつスマートな手法であり、多くの業界を変革しようとしている。

AIトランスフォーメーションの最前線にある2つの業界は、製造とサプライチェーンだ。物を作り、出荷する方法は、協働する機械群に大きく依存しており、その機械の効率性とレジリエンスは、経済と社会の基盤となっている。それがないと、生活や仕事に必要な基本的な物を手に入れることができなくなる。

CovariantOcado傘下のKindredBright Machinesなどのスタートアップは、機械学習と強化学習を用いて工場や倉庫での機械の制御方法を改変し、ロボットにさまざまな大きさや形の物体をビンの中から検出して拾わせるなど、極めて難易度の高い課題を解決している。これらの企業はまさに巨大な市場に挑んでおり、2020年には産業用制御および自動化市場は1520億ドル(約16兆7530億円)、物流自動化市場は500億ドル(約5兆5110億円)を超える価値を示した。

技術者としては、深層強化学習を機能させるには多くのことを行う必要がある。最初に考えるべきことは、どのようにして深層強化学習エージェントに、求めるスキルを実践させるかだ。これには、実際のデータを活用する方法と、シミュレーションを使用する方法の2つの手法のみ存在する。各アプローチにはそれぞれ独自の課題がある。データは収集して整理する必要があり、シミュレーションは構築して検証することが求められる。

いくつかの例を挙げて、これが何を意味するかを示そう。2016年、Google Xはロボットの「Arm Farm」を公開した。モノをつかむことを学び、他者にも同じことを教える、複数のロボットアームで満たされた空間である。これは、強化学習アルゴリズムが実際の環境で動きを練習し、動作の成功を測定するための初期の方法の1つだった。このフィードバックループは、目標指向アルゴリズムの学習に欠かせないものである。つまり、連続的な決定を行い、その決定が導く対象を把握することが必要だ。

多くの場合、強化学習アルゴリズムが学習できる物理環境を構築することは現実的ではない。複数の工場から数多くの小売店に商品を輸送する数千台のトラック群をルーティングするための、異なる戦略をテストすることを想定しよう。可能なすべての戦略をテストするには莫大な費用がかかるだけでなく、実行に失敗した場合、多くの顧客に不利益をもたらしかねない。

多くの大規模システムにとって、最適なアクションパスを見つける唯一の方法はシミュレーションを使用することである。その際、データ強化学習のニーズを生成するために、理解したい物理システムのデジタルモデルを作成する必要がある。これらのモデルは、デジタルツイン、シミュレーション、強化学習環境とも呼ばれるものだ。これらはすべて、製造とサプライチェーンの用途において、本質的に同じことを意味する。

物理システムを再作成するには、システムの動作を理解しているドメインエキスパートが必要である。このことは、単一のフルフィルメントセンターのような小規模システムでは困難な課題となり得る。というのも、システムを構築した人々が退職していたり、あるいは亡くなっている可能性があり、後継者はシステムの運用方法は習得しているものの、再構築は行っていないからだ。

多くのシミュレーションソフトウェアツールは、ドメインエキスパートによる物理システムのデジタルモデル作成を可能にする、ローコードのインターフェイスを提供する。ドメインの専門知識とソフトウェアエンジニアリングのスキルを同じ人物が兼ね備えることは難しいため、これは重要である。

なぜ1つのアルゴリズムにこれほどの労力がかかるのだろうか。つまるところ、深層強化学習は、他の機械学習や最適化ツールでは実現し得ない結果を一貫して生成するからである。DeepMindも当然ながら、囲碁の世界チャンピオンを倒すために深層強化学習を使用した。強化学習は、チェス、タンパク質フォールディング、Atariのゲームにおいて、画期的な成果を達成するために不可欠なアルゴリズムの一部となった。同様に、OpenAIは「Dota 2」で、最高水準の人間チームに勝利するための深層強化学習を訓練した。

Geoffrey Hinton(ジェフリー・ヒントン)氏がGoogleに、Yann LeCun(ヤン・ルカン)氏がFacebookに入社した後の2010年代半ばに、深層人工ニューラルネットワークがビジネス用途を開拓し始めたように、深層強化学習も業界に大きな影響を与えるようになるだろう。囲碁で見たのと同じように、ロボットの自動化とシステム制御の飛躍的な向上がもたらされ、我々の持っている中で最高の、しかも他と大きくかけ離れたものになることが大いに期待される。

その恩恵を受けて、製品の製造とサプライチェーンの運用における効率性とコスト削減が大幅に促進され、炭素排出量と労働災害の低減につながっていくだろう。明らかに物理的世界の難問や課題は、我々の周りに存在している。2020年だけでも、新型コロナウイルス(COVID-19)、ロックダウン、スエズ運河の崩壊、異常気象によって、社会は複数のサプライチェーンの混乱に見舞われた。

新型コロナに着目すると、ワクチンが開発され承認された後も、多くの国でその製造や迅速な供給が困難になっている。これらは、過去のデータでは対応できない製造やサプライチェーンの問題だ。何が起こるかを予測するシミュレーションと、危機が発生したときに最善の方法で対処するためのシミュレーションが必要だったと、Michael Lewis(マイケル・ルイス)氏は最近の著書「The Premonition」の中で指摘している。

まさにこのような、工場やサプライチェーンで発生する制約と新たな課題の組み合わせにこそ、強化学習とシミュレーションがより迅速な解決をもたらすのである。そして、我々は将来、その数々のブレイクスルーを目にすることになるだろう。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:機械学習深層学習強化学習コラム製造業サプライチェーン

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(文:Chris Nicholson、翻訳:Dragonfly)

産直プラットフォームのSecai Marcheが楽天ベンチャーズなどから1.5億円のシード資金を獲得

農家やレストランなどのフードビジネスは、同じ問題、つまり分断化されたサプライチェーンという問題に取り組んでいる。Secai Marche(セカイマルシェ)は、農業の物流を合理化し、フルフィルメントのコスト効率を高め、フードビジネス事業者がさまざまな農家の製品を1つの注文にまとめられるようにしたいと考えている。本社は日本にあり、マレーシアで事業を展開し、シンガポール、タイ、インドネシアへの進出を計画している。今週、レストラン、ホテル、その他の飲食ビジネスに販売する農家向けのB2B物流プラットフォームを構築するため、Rakuten Ventures(楽天ベンチャーズ)とBeyond Next VenturesからプレシリーズAで1億5000万円(約140万ドル)の調達を発表した。

このラウンドで、Secai Marcheの調達合計は約300万ドル(約3億3000万円)になった。資金は、倉庫のネットワークやコールドチェーンロジスティクスなどのフルフィルメントインフラを拡張し、エンジニアリングチームと販売およびマーケティングのためにより多くの人材を雇用するために使う。

Secai Marcheは2018年に杉山亜美氏と早川周作氏が創業し、現在130の農家と300以上の飲食店にサービスを提供している。同社を立ち上げる前、杉山氏はマレーシアでレストランやカフェを経営するなど、東南アジアで4年間働いた。その間、同氏は日本から緑茶の輸入を始め、マレーシアの顧客に直接販売しようとした。しかし、同氏はサプライチェーンの非効率性が需要に応えるのを難しくするだけでなく、あらゆる種類の原材料の品質確保の妨げになることにも気づいた。

一方、早川氏は日本で農場を運営し、農家が一貫した品質を維持する一助とするため、天候と作物の成長を予測する農業管理システムに取り組んでいた。

杉山氏・早川氏のいずれもコンサルティング会社のデロイトに入り、より効率的なサプライチェーンを構築し、日本の農業をシンガポールの飲食ビジネスへ輸出する方法を調べた。菅義偉首相の政権が実施した政策は、日本の農業輸出を2020年の9223億円(約85億ドル)から2025年までに2兆円(約185億ドル)、2030年には5兆円(約461億ドル)に増やすことを目指している

Secai Marcheの目標は、農家が国内や海外の外食産業に作物を簡単に販売できるようにすることだ。

「日本の農家だけでなく、東南アジアのすべての農家が現在のサプライチェーンに関して同じ問題を抱えていることがわかった」と杉山氏はTechCrunchに語った。「そこで私たちはデロイトを離れ、日本の農家だけでなく、すべてのアジア諸国の農家をつなぐために独自の事業を始めました」

Secai Marcheの物流管理技術が、他の卸売プラットフォームとの違いとなっている。早川氏によると、AIベースのアルゴリズムを使用して、消費動向、季節の商品、農家のお勧めに基づき需要を予測する。同社は独自の倉庫ネットワークを運営しているが、ほとんどの場合、フルフィルメントをサードパーティーの物流業者に依存している。プラットフォームが注文に対し最も効率的な輸送方法を割り当てる。

これにより、飲食ビジネスは農家からの注文を統合できるため、資金を使わずにさまざまな場所からより小さな単位で注文できる。Secai Marcheの商品の約30%は他の国に出荷され、残りは国内で販売されている。

Secai Marcheは顧客基盤を拡大したい農家に働きかけている。現在、製品の約30%は日本の農家から、50%はマレーシアから、残りは他のASEAN諸国からだ。杉山氏と早川氏によると、新型コロナウイルスのパンデミックが同社の拡張計画に影響を与えた。当初シンガポールへの入国を計画していたためだ。出張して、農家と会うことができなくなったため、減速しなければならなかったという。

一方、多くの農家は、Instagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)などのソーシャルメディアを介して消費者に直接販売を開始し、フルフィルメント、物流、再梱包、品質管理の支援を求めてSecai Marcheにアプローチしている。

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(文:Catherine Shu、翻訳:Nariko Mizoguchi

半導体不足がさらに深刻化し「危険水域」に突入か、MacやiPadの製造にも影響する可能性も

半導体不足がさらに深刻化し「危険水域」に突入か、MacやiPadの製造にも影響する可能性も

Nikada via Getty Images

昨今、あらゆる業界を悩ませていると言っても過言ではない半導体製造の不足。ここ最近は製造側の取り組みにも関わらず悪化の一途を辿っているといった状況ですが、リードタイム(発注から納品までの時間)が17週間にも及ぶことから、この問題では比較的影響の少なかったアップル製品にも、ついに影響が出る可能性があると報じられています。

この動向を報じているのは、米国Bloomberg。同誌の報道によると、サスケハナ・ファイナンシャル・グループはチップ製造の遅延(リードタイム)が3月時点での16週から4月では17週に延びており「ユーザーが供給の確保に必死になっていることを示している」と分析しているとのことです。

これは同誌が2017年にデータを追跡し始めて以来最も長い待ち時間であり、記事ではこれを称して「危険水域」と表現されています。

なお、さらに小規模な企業の場合はもっと影響が大きく、待ち時間が52週間を超えるほどの大問題になっており、製品の再設計や優先順位の変更さえも余儀なくされているとのこと。実際に最近は、日米の自動車メーカーにおいて一部のハイテク機能を省いて需要に応えているとの報道もありました

現状でのアップルは半導体メーカーにとっては最上級とも呼べる顧客である点や、ティム・クックCEOがサプライチェーンの構築や物流に長けた達人であるため、これまでは部品の供給不足に大きく悩まされたといった話はほとんどありませんでした。

しかし先日の第2四半期決算説明会では、幹部ら自らが今後MacやiPadが品薄になる見込みと警告していたほどです

特にアップルにとって重大と思われるのが、iPhoneのAシリーズチップやMacおよびiPad Pro用のM1チップを製造しているTSMCがある台湾が、目下危機的状況に置かれていることです。

台湾は新型コロナウイルス感染が再び拡大していることに加えて、雨期にほとんど雨が降らなかったために節水対策を強化するとも発表されており、こちらもチップ生産に影響するとの懸念もあります。

もっともTSMC側は今のところ「この措置が当社の事業に影響を与えるとは考えていない」との声明を出しています。

こうしたチップ不足が、今年のMacやiPadの生産や入手しやすさにどの程度の影響を与えるかはまだ不明です。またサスケハナは、リードタイムが長くなったことで各企業が在庫の積み増しや二重発注をするなど「悪い行動」に拍車をかけたようだも推測しています。

もしも今回のチップ不足が解消されても、その後の混乱は長引くのかもしれません。

(Source:BloombergEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:サプライチェーン(用語)TSMC / 台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(企業)半導体(用語)台湾(国・地域)

世界最大級の消費財・食品メーカーたちが持続可能サプライチェーンアクセラレーターに参加

世界最大級の消費財・食品メーカーたちが、ビールのBudweiser(バドワイザー)の親会社であるAnheuser-Busch InBev(AB InBev、アンハイザー・ブッシュ・インベブ)が運営する投資プログラムへの参加を決定した。この投資プログラムは、サプライチェーンの持続可能性を追求するアーリーステージの企業を支援するためのものだ。

アースデイ(4月22日)にタイミングを合わせて行われた今回の発表は、企業や消費者が、リサイクルプログラムがプラスチック廃棄物に関連する問題に適切に対処できておらず、そして現在の気候緊急事態に影響を与えている消費者の行動や工業製品の生産と流通に関わる幅広い問題に直面している中で行われた。

この「100+ Accelerator」という名のAB InBevのプログラムは、ウォーター・スチュワードシップ、循環型経済、持続可能な農業、気候変動対策における、サプライチェーンの課題を解決することを目的として、2018年に開始された。これらの課題は、AB InBevの新しいパートナーであるColgate-Palmolive(コルゲート・パルモリーブ)、Coca-Cola(コカ・コーラ)、Unilever(ユニリーバ)たちも熟知している。

声明によれば、アクセラレーターと投資プログラムの開始以来、AB Inbevは16カ国で36社を支援してきた。支援されるスタートアップ企業たちは、その後2億ドル(約216億3000万円)以上を調達している。

このアクセラレータープログラムは、パイロットプログラムへのファンド組成を行ったり、アーリーステージの企業たちが世界のトップコンシューマーブランドの経営陣と相談できる機会を提供したりしている。

プログラム開始以来、AB InBevはスタートアップたちと協力して、リターナブルパッケージプログラムの試験運用、コロンビアの醸造所での水とエネルギーの使用量を削減するための新しい洗浄技術の導入、アフリカと南米の小規模農場への保険の提供、ブラジルでの廃棄物の回収強化、中国での電気自動車用バッテリーのリサイクル、醸造過程で発生する穀物の廃棄物をアップサイクルして、栄養価の高い新たな食材の創出などを行ってきた。

外部の投資家や規制当局からの圧力が強まる中、企業は自社の各プロセスをより持続可能なものにするための方法に注目し始めている。

長い間懸案だった、このような大手企業同士の共同イニシアチブは、ビジネスから環境に対する影響の削減に大きく貢献できる可能性はあるが、その結果は、これらの企業が小さなパイロットプログラムを超えて、ソリューションを実際に展開していく、コミットメントの深さとスピードにかかっている。

直近のアクセラレータープログラム申込期限は2021年5月31日だ。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Anheuser-Busch InBevサプライチェーン持続可能性循環型経済

画像クレジット:NOEL CELIS/AFP via Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:sako)

Google、Intel、Dell、GMなどテックと自動車業界のCEOたちが世界的なチップ供給不足問題で米政府と討議

ITと自動車ビジネスのトップが米国時間4月12日にホワイトハウスに集まり世界的なチップ供給不足問題について討議した。

リモートで参加したのはGoogle、Intel、HP、Dell、 Ford、GMのCEOで、テクノロジーと自動車産業のバーチャルサミットとなった。テーマは世界的な半導体のサプライチェーンの維持についてだ。政権側からはJake Sullivan(ジェイク・サリバン)国家安全保障問題担当顧問、Gina Raimondo( ジーナ・ライモンド)商務長官が参加し、Brian Deese(ブライアン・ディーズ)国家経済会議委員長が議長を務めた。Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領も短時間顔を出した。

IntelのCEOであるPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏は、サミットに先立って、米国は半導体生産量を増やし、国内で販売されるチップの3分の1を米国産とすべきだと述べている。Intelは自動車メーカー向け専用チップを国内自社工場で製造することを検討しており、これによりサプライチェーンにかかる圧力を軽減できるとしている。

カーエンタテインメントシステムからスマートフォンまで、あらゆる機器に使用されている集積回路部品の供給不足が続いており、数カ月前からこれが消費者にも感じられるようになっている。ゲーム機やグラフィックカードの新製品は需要に追いつかず、発売後数カ月経っても品薄状態が続いている。しかも現在、あらゆる機器には半導体チップが組み込まれており、供給不足は自動車やゲーム以外の産業にも深刻な影響を与えている。

バイデン大統領は2021年2月に半導体チップの供給問題を解決するための大統領命令に署名している。この行政命令により、電気自動車に搭載される高度なバッテリーをはじめ、半導体やハイテク製品に必要なレアメタルや医薬品の原料などの経済に大きな影響を与えるサプライチェーンについて100日間でレビューを行うとこととされた。

バイデン大統領は「チップ不足により自動車の生産に遅れが生じ、米国の労働者の労働が阻害された」と述べた。また、パンデミックの初期にはPPE(マスクなどの個人用防護具)の供給不足が生じ多数の医療従事者が適切な保護具なしに働かざるを得い状況が生まれたことを指摘した。

またこの行政命令は、さらに長期的なサプライチェーンの見直しをも要求ししている。現在のサプライチェーンに関する問題を軽減するために、何が実行可能なのかを政府とビジネスリーダーが協力して検討することになる。

サリバン国家安全保障問題担当顧問がサミットに参加したことでも明らかなように、テクノロジー部品のサプライチェーンの問題は中国との緊張関係に大きな関連を持つものだ。バイデン大統領は重要ハイテク部品のサプライチェーンに大々的は見直しを行う理由の1つとして「長期的な国際競争力」の低下への懸念を挙げている。

Mark Warner(マーク・ウォーナー)上院議員(民主党、バージニア州)は、防衛技術における半導体の重要性を指摘し「半導体の供給不足は経済上の問題であると同時に国家安全保障上の問題としても重要」と指摘した。

ワーナー上院議員は、2020年夏にJohn Kane(ジョン・コーニン上院議員(共和党、テキサス州)と共同提出した半導体生産促進決議を例として、米国の自立と中国の影響力の抑制に向けた立法措置の必要性を強調した。

バイデン大統領は以前、「経済にとって重要な半導体の供給が不足している現状を打開するために努力し、現在直面しているボトルネックを解決するために生産量を増やすよう同盟国にも政治的に働きかけねばならない」と述べている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:半導体サプライチェーンジョー・バイデンアメリカ

画像クレジット:Mick Ryan

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:滑川海彦@Facebook

シスコ・NEC・アラクサラが重要インフラ向け機器サプライチェーンの真正性確認にブロックチェーン活用

シスコ・NEC・アラクサラが重要インフラ向け機器サプライチェーンの真正性確認にブロックチェーン活用

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2021年1月24日~1月30日の情報から。

アラクサラネットワークス(アラクサラ)とシスコシステムズ(シスコ)および日本電気(NEC)は1月29日、国内の重要インフラに向け情報セキュリティ対策における戦略的協業を発表した

製品の製造から実際に稼働するまでの一連のサプライチェーンについて、シスコから出荷された製品の真正性をアラクサラが強化・確認するセキュアサプライチェーンマネージメントにより安心・安全を担保。NECは、2021年4月以降順次ネットワークシステムとして顧客向けに販売を開始する。

現在、サイバー空間における脅威が深刻化している中で、重要インフラにおけるネットワークシステムは、サプライチェーンの信頼性の向上やサイバー攻撃などによる障害発生の低減など、インフラサービスの安全かつ持続的な提供が求められている。また、ネットワークシステムの運用・管理の効率性も重要という。

今回の協業は、この状況に対応するもの。シスコとNECは重要インフラを支える情報通信機器の提供を長年にわたって行っており、ネットワークの高信頼化・セキュリティ・運用管理技術を持つ国産ベンダーのアラクサラとも連携することで、より優れたソリューション提供を目指す。

具体的な協業として、シスコはグローバルに展開しているルーター製品をアラクサラに提供。アラクサラは、大規模WANアグリゲーション向けルーターCisco NCS 5500、560および540の真正性(Authenticity)確認や連携するソフトウェアを開発し、Cisco NCS 5500/560/540 Trusted by ALAXALAとしてNECに提供する。NECは、2021年4月以降順次ネットワークシステムとして顧客向けに販売を開始。当面はNECからの販売となるものの、その他のアラクサラの販売・保守パートナーを通じた販売も行う。ターゲット市場は、電力、道路・鉄道、政府・自治体、通信事業者といった重要インフラを担う企業や機関。

また、製品の製造から実際に稼働するまでの一連のサプライチェーンについて、シスコから出荷された製品の真正性をアラクサラが強化・確認するセキュアサプライチェーンマネージメントにより安心・安全を担保する。

アラクサラは、同社のセキュリティ・運用管理ソリューションについて、Cisco NCS 5500、560および540の基本ソフトウェアIOS XRのAPIを利用し連携させることで、ネットワークシステムの状況の把握・運用支援を可能にする。将来的には、3社の技術を連携させた、運用中のネットワーク機器の脆弱性を標的としたコードインジェクションによる不正命令実行・プログラム改変などを監視し、よりセキュアな運用管理ができるソリューション提供を目指す。

シスコとNECは2020年2月、安全保障領域や重要産業インフラ向けとして、ブロックチェーン技術を活用しサプライチェーン管理を強化したネットワーク機器を提供すると発表。機器固有IDやデジタル署名など複数の技術要素によってハードウェアとソフトウェアの両面から機器の真正性を確認するシスコ独自のTrustworthy技術、メモリー容量が少ない機器や遅延時間制約の厳しい機器向けのNEC開発による軽量改ざん検知技術、またNECのブロックチェーン技術を組み合わせ、製品出荷前・構築時・運用中の真正性を確認するプロセスの強化を開始している。

シスコ・NEC・アラクサラが重要インフラ向け機器サプライチェーンの真正性確認にブロックチェーン活用

この取り組みでは、両社の技術によって検査した履歴情報をブロックチェーンに記録。ネットワーク管理者は、出荷検査・ネットワーク構築・運用中の各タイミングで、シスコ機器の真正性を監視できるという。対応機器をネットワークシステム全体に拡大することで、サプライチェーン全体を通した真正性を管理できるよう、今回の協業に先駆け取り組みを進めてきた。

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米中貿易戦争の中、サプライチェーンの多様化需要に応える香港のスタートアップICW

米国の輸入業者にとって、困難なものになってきている。それは最近のサプライヤー探しは新型コロナウイルス(COVID-19)による渡航制限だけが理由ではない。米国政府によるエンティティリスト指定や人権関連の制裁、中国企業を対象とした貿易ブラックリストもまた、米国のサプライチェーンを揺さぶっている。

そんな中、世界中の企業の調達先探しを容易にすることを狙うInternational Compliance Workshop(インターナショナル・コンプライアンス・ワークショップ、ICW)という名の若い企業が、新たな資金調達のラウンドを完了した。この香港を拠点とするスタートアップはシリーズAラウンドとして575万ドル(約6億円)を調達したばかりだ。これによって資金調達総額は約1000万ドル(約10億5000万円)になったと、共同創業者でCEOのGarry Lam氏(ギャリー・ラム)氏がTechCrunchに語った。

ICWは、サプライヤーとバイヤーをつなぐマッチメーカーのような役割を果たすが、Alibaba(アリババ)のB2Bプラットフォームや国際的なトレードショーのような既存のオプションとは異なり、コンプライアンス、製品品質および認証に関しても、ICWがサプライヤーを審査する。同社は4万社以上(現在はそのうち80%が中国国内にある)のサプライヤーのすべての情報を、成長を続けるデータベースに集積し、個別のニーズに基づいてバイヤーに推奨を行う。

2016年に設立されたICWの現在の顧客リストにはRalph Lauren(ラルフ・ローレン)、Prenatal Retail Group(プリネイトル・リテール・グループ)、Blokker(ブロッカー)、Kmart(Kマート)、そして名前は公開できないが米国の大手薬局チェーンといった世界最大級の小売業者が含まれている。

ICWの最新資金調達ラウンドはInfinity Ventures Partnersが主導し、Integrated Capitalや既存の投資家であるMindWorks Capital、香港政府による20億ドル(約2094億円)規模のInnovation and Technology Venture Fundが参加した。

サプライチェーンのシフト

米中貿易戦争や中国内の人件費高騰などを背景に、中国以外への調達シフトが進む中で、ICWでもサプライチェーンの多様化を図る顧客が増えている。しかし、短期的な移行には限界がある。

「たとえばBluetoothデバイスやモバイルバッテリーといった特定の製品カテゴリーのサプライヤーを他国で見つけるのは、まだ非常に困難です」とラム氏は語る。「しかし、衣料品や繊維に関しては、すでに10年前から移行が始まっています」。

中国の製造業の多くの部分を置き換えてきた東南アジアでは、それぞれの国がある程度の専門性を持っている。たとえばベトナムは木製家具のサプライヤーが多いのに対して、タイはプラスチック製品で知られており、マレーシアは医療用品の良いサプライヤーだ、とラム氏はいう。

人権関連の制裁など、より扱いにくいコンプライアンスに関しては、ICWは第三者認証機関に頼ってサプライヤーのスクリーニングと審査を行っている。

「サプライヤーが企業としての社会的責任を果たしているかどうかを検証するための、(一種の)基準があります【略】たとえば工場が労働法を満たしているかどうか、最低限の労働権を満たしているかどうかや、給料を支払っているかどうか、などのすべてです」とラム氏は説明した。

ICWはこの新しい資金をコンプライアンス管理システム、製品テストプラットフォーム、B2B調達サイトといった製品の開発に使う予定だ。

カテゴリー:その他
タグ:International Compliance Workshop資金調達香港サプライチェーン

画像クレジット:STR/AFP / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:sako)

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンスの実証実験

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月27日~2021年1月2日の情報から。

日立製作所みずほフィナンシャルグループは2020年12月28日、みずほ銀行みずほ情報総研Blue Labと共同でブロックチェーン技術を活用した物流業界の輸配送代金の早期資金化に関する実証実験の開始を発表した。5社は2021年1月より、金流・商流・物流の一体管理およびサプライチェーンファイナンスの高度化を目指して共同実証実験を開始する。

現行の物流業界は万年のドライバー不足が大きな課題となる中で、労働環境の整備、煩雑な帳票管理の解決に向けて、見積・受発注管理、配車・運行管理業務、請求管理などのデジタル化が加速しているという。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響から運送会社の資金繰りが火急の課題となっており、輸配送代金の早期資金化は、物流業界の発展に寄与する重要なテーマになっている。

物流業界では、荷主からの受注後、物流経路などに応じて複数の運送会社に運送事業を委託する多重構造の商流が存在するが、同実証実験では、これら物流データと連携したファイナンス提供を行い、輸配送代金の早期資金化の実現を目指す。

実証実験では、関東圏の物流企業の営業所、運送会社が参加する。実際に物流の発注・納品・支払に関わるやり取りを、パソコンやスマートフォン上で操作する実証用システムを使い、業務フローイメージの具体化とともにその受容性を検証していく。ニーズ調査として、運送会社へのアンケートやインタビューも実施するという。

日立とみずほグループは、これまでもサプライチェーン領域におけるブロックチェーン技術の活用促進と新規事業の創出に向け、ブロックチェーンを活用し、リアルタイムでの真正性を確保した取引情報を基とする、高度なサプライチェーンファイナンスの実現を目指し、共同で検討を重ねてきた。

具体的には、顧客のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための日立のデジタル技術を活用したソリューション・サービス「Lumada」で開発を進める「サプライチェーン決済プラットフォーム」上で、みずほが開発する新たな「ファイナンス決済スキーム」を金融付加価値機能として提供していく。

また今後は、日立は同プラットフォームの開発を進め、金融以外の業種とのサービス連携も含め、幅広い展開を検討していく。みずほは、新たなファイナンス決済スキーム確立に向け、技術面以外にも、法律・会計などに関する整理を行い、物流業種以外の業種へのニーズ調査なども含めて、ビジネス化に向けて検証を実施していく。みずほは、2021年度内のサービス開始を目指す。

日立のサプライチェーン決済プラットフォーム

日立のサプライチェーン決済プラットフォームは、ブロックチェーン技術を活用して複数事業者間での決済取引を支援する決済プラットフォーム。事業者間で共有・活用するデータをトークンとして扱い、真正性かつ耐改ざん性を確保し管理していく。利用企業は取引情報を活用した金融サービスを享受でき、資金繰りの改善、運転資金確保ができるほか、金融機関は取引情報を分析し、各種金融サービスへの活用が可能になる。

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

また同プラットフォームは、日立の「Hitachi Blockchain Service for Hyperledger Fabric」を活用。これは、非営利団体The Linux Foundationが運営するクロスインダストリー(異業種連携)共同開発プロジェクト「Hyperledger」によるブロックチェーン基盤「Hyperledger Fabric」の利用環境をマネージド型クラウドサービスとして提供するというもの。

同社は2020年10月、Hyperledgerが認定するベンダー資格を有する企業の1社に認定されている。

みずほの新ファイナンス決済スキーム

みずほの新たなファイナンス決済スキームは、サプライチェーンにおける川上企業が将来の売上見合い(将来債権)を川下企業の信用力で割引可能とする邦銀初の金融サービス。

日立とみずほがブロックチェーン活用した金流・商流・物流の一体管理とサプライチェーンファイナンス高度化の実証実験

新スキームでは、発注時点で将来債権をトークンとして表象させ、債権者は物流工程の進捗により判断される信用力によりトークンを割り引くことが可能となる。利用企業は、サプライチェーンの商流を裏付けとした将来債権の資金調達により、資金繰りの改善や迅速な運転資金確保が可能になる(特許出願中)。データ管理にはブロックチェーン技術を適用し、サプライチェーン内の債権・債務を一元管理する。

みずほは、物流と金流を連動させ、資金決済の事務負担となっていた照合管理業務などを省力化することも想定しているという。

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カテゴリー:ブロックチェーン
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新型コロナで露見したサプライチェーンの脆弱性

パンデミック初期、程度の差こそあれ、世界中でロックダウンが行われそうなことは明らかだった。当然のことながら、トイレットペーパー(および、そこまでではないがペーパータオルとティッシュ)が飛ぶように売れた。店側は突然、人間が消費する最も基本的で便利なモノの1つが売り切れていることに気づいた。

このレベルまで人々が備えるというのはかつて見られなかったし、サプライチェーンの準備も整っていなかった。サプライチェーンは依然としていつも通りのスピードで動いていたため、需要と供給の間にギャップが生じた。

パンデミックがさらに進行すると、基本的な商品の供給というこの問題は、個人用保護具(PPE)の安全の限界を引き伸ばしていた最前線の労働者に移った。これにより需要の急変によるサプライチェーンへの影響が明らかになった。企業は自社の設備を保護具と手指消毒剤の生産に再利用し始めた。手っ取り早く利益を上げる目的の企業もあれば、サプライチェーンのニーズを満たす目的の企業もあった。

政府や企業は緊急に対応した。サプライヤー候補からの申し出をまとめるスプレッドシートがあったようだ。

この間、市場全体を概観することは困難だった。品質、仕入先の検索、価格変動があらゆるところで混乱を引き起こしていたからだ。製造元を追跡し、製造施設の品質管理に関するデータを入手することはほぼ不可能だった。市場は粗悪な製品や偽物で溢れかえっていた。サプライチェーンの構造に関する解説記事が初心者向けガイドとともに出始めた。

消費者は、現状のシステムがこういった激変のために構築されたものではないことを理解し始めた。

再考を促される企業の調達戦略

我々がはっきりと目撃したのは、企業はサプライチェーンをほとんどコントロールできないということだ。大半の企業は通常、直接の調達先に関して穏やかに機能するリスク計画しか用意していない。我々のほとんどがXbox Series XやPlay Station 5なしでこのホリデーシーズンを過ごさなければならない理由はこれだと察しがつく。そうしたゲーム機は1つの調達先からの部品で作られる製品ではない。1つのゲーム機を作るために多数の部品と材料が使われる。

外装材の仕上げ工程から、染色のための材料、各種プラスチック、低コスト国に生産拠点を設ける必要性といった要素すべてが、物事が正常に動かない場合には生産を遅らせる可能性がある。ゲーム機を分解すると企業、プロセス、材料、国からなる非常に複雑なマトリックスを見てとることができる。

もし我々が、ゲーム機の各部品の旅をすべての材料、関係する人間、企業、場所をわかりやすく表現し、直接可視化できれば、サプライチェーンの非効率性がどこにあるのか特定できる。

すべての材料と部品はサプライチェーンのどこかを通るが、その過程でストーリーは失われる。個別具体的なデータは入手できないため、企業と国のいずれも、サプライチェーンを混乱に陥れる世界的な出来事に備える効果的なリスク計画の作成に苦慮している。

現在、ほとんどの人が気づかぬところで革命が起こっている。分散型台帳技術(ブロックチェーン)により透明性をサプライチェーンにもたらすことが可能になりつつあるのだ。

脆弱性を特定する

企業が自らを守るためリスクの所在を把握しようとするなら、いろいろ掘り下げて考える必要がある。そのためには、直接の調達先やそのまた調達先をはるかに超え、流通施設や輸送ハブを含む完全なサプライチェーンのマッピングが必要となる。これは時間と費用がかかるため、ほとんどの大手企業は支出の大部分を占める戦略的な直接の調達先にのみ注意を向けてきた。

だが、サプライチェーンを詳しく調べるよりも、ビジネスを停止させる突然の混乱の方がはるかにコストがかさむ可能性がある。

マッピングプロセスの目標は、サプライヤーを低・中・高リスクに分類し、適切なリスク緩和戦略を練ることだ。ただしこのアプローチは、サプライチェーンの任意のポイントで異なるサプライヤーが生成するデータにアクセスできる場合にのみ可能となる。その場合はデータを信頼することができ、分析が可能になる。

目的は遅延や混乱を早期に警告し、調達先の多様化または主要な材料や品目の備蓄を可能にすることだ。もちろんこれはすべて不確実だ。トイレットペーパーがなくなってからわずか数カ月後にはワクチンが普及している。

パンデミック、ワクチン、サプライチェーン

我々がグローバルで自由な市場だと思っていたものが2020年試された。医薬品会社は、インドで生産された頭痛薬の有効成分など、いくつかの主要成分を調達できない事態に直面した。すべては自国で必要とされる商品を確保するための国同士の戦いになった。この傾向は、貿易におけるナショナリズムと保護貿易主義の高まりによっても強化された。サプライチェーンの管理と可視化の必要性は明白であり、民間部門だけでなく政府にとっても優先事項になった。

ワクチンの展開によりリスク、調達、プロセス管理という点だけでなく、品質と責任という点からも上記の問題が発生する。偽物からサプライチェーンプロセスの極めて特定のポイント(Reuters記事)を標的とするすでにアクティブなサイバー攻撃(ワクチンは特定の温度で出荷・保管する必要がある)まで、製造におけるすべてのタッチポイントのストーリーを伝える分散型物流システムの必要があろう。だがすでに見られるように(The Washington Post記事)、政府が自身のサプライチェーンに対するニーズを管理できないなら、こうしたことはそもそも問題にすらならない。

新型コロナウイルスのパンデミックから教訓を得ることは可能だ。企業と業界全体が政府と緊密に協力して、グローバルなサプライチェーンモデルを再考し変革する時が来た。1つ確かなことは、パンデミックがすでに多くの組織、特に原材料または完成品を世界中からの調達に大きく依存している組織の脆弱性を露呈したということだ。

幸いなことに、サプライチェーン全体の可視性を高め、リスクを軽減し、次のパンデミックという変動性に対処できるインフラを構築する新しいサプライチェーンテクノロジーが登場している。サプライチェーンに沿って提供されるデータの説明責任と信頼を確保するためのソリューションとして、分散型台帳テクノロジーが有用であることはすでに証明されている。デジタルサプライネットワークは、線形サプライチェーンモデルに徐々に取って代わり、機能別のサイロを分解し、エンド・ツー・エンドの可視性、コラボレーション、機動性、最適化を実現する。

これは将来に向けた朗報だ。家から働き、トイレットペーパーを備蓄し、更新ボタンをクリックしてまったく数が足りないゲーム機がカートに追加されているのを期待するような1年を過ごしてきた我々は皆、今やサプライチェーンロジスティクスの専門家だからだ。

【Japan編集部注】Jens Munch Lund-Nielsen(イエンス・ムンク・ルント・ニールセン)氏は、IOTA Foundationのグローバルトレードおよびサプライチェーンの責任者。

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(翻訳:Mizoguchi

トレードワルツと三菱商事など計5社がブロックチェーン基盤の貿易情報連携による電子化実証事業

トレードワルツと三菱商事など計5社がブロックチェーン基盤の貿易情報連携による電子化実証事業

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月20日~12月26日の情報から。

ブロックチェーン活用の貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz」を運営するトレードワルツは12月24日、三菱商事プラスチック、三菱商事、三菱UFJ銀行、東京海上日動火災保険の連携企業4社と提携し、2021年3月より三菱商事プラスチックと三菱商事のベトナム向け商流にて電子化実証を開始することを発表した。同実証事業は、経済産業省の「海外サプライチェーン多元化等支援事業」に採択されている

物流に付随する貿易業務のうち、複数の事業者や行政機関が介在する書類処理プロセスにおいては、いまだ紙媒体を利用した手作業によるデータ再入力作業、確認作業、修正などに膨大な時間とコストを要している。現在、それらがフルリモートワークを阻害する要因になっており、コロナ禍でも実務者の一部は週に数回程度、出社が必要という。

新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、出社ができない状況になった場合は貿易手続きが遅延し、サプライチェーンに影響を及ぼす可能性があることから、紙書類を電子化するニーズは大きな高まりを見せているそうだ。

日本政府もまた国内サプライチェーンの脆弱性が顕在化したことから、特にアジア地域における生産の多元化やデジタル化などによってサプライチェーンを強靭化するため、日ASEAN経済産業協力関係の強化を目的とする「海外サプライチェーン多元化等支援事業」における補助事業者を募集している。

ブロックチェーン技術の活用により、貿易業務を一元的に管理する「TradeWaltz」は、輸出系の標準書類の電子化実装を完了した。今回、そのうちの一部機能である「信用状(L/C)」受領機能から連携企業4社とシステム間連携し、3月より実商流を用いた実証を行う。信用状とは、貿易決済を円滑に運ぶ手段として銀行が発行する支払い確約書で、銀行が輸入者の支払いを保証するものという。

従来の貿易業務では、銀行が手形の買取りの前提として船積書類の内容が信用状に記載された内容と一致しているかの調査を行うなど、書類と現状を突き合わせる煩雑な作業がある。TradeWaltzによる今回の実証では、それらをすべてシステム統合し、システム上でチェックできる仕組みを目指すとした。

同実証事業は、経産省の令和二年度補正予算で措置された「海外サプライチェーン多元化等支援事業」(事務局JETRO)が募集するサプライチェーン強靭化施策の目的とも合致したことから第2回公募に応募、11月に採択が決定した。

TradeWaltzは、すべての海外国の信用状(L/C)を扱うことが可能だが、採択支援事業においては、ベトナム社会主義共和国を対象国とした。ベトナムは2020年のASEAN議長国であり、対日貿易額が約400億米ドルにのぼるなど、ASEANの中でも日本にとって重要な貿易相手国のひとつでもあることから、今回はベトナム企業との商流にて実証を行うとしている。

海外サプライチェーン多元化等支援事業は、「類型1(製品開発型)」および「類型2(バリューチェーン高度化型)」の2類型について、それぞれ実証事業および事業実施可能性調査の募集を行っている。すでに3回の公募が実施された。同社が採択された実証事業は、類型2で製品などの国境を越えた流通や生産プロセスの効率化、円滑化を図るシステムの導入に向けた実証事業等を対象としている。

トレードワルツと先行する連携企業4社は、ベトナムでの実証をはじめ引き続き連携し、ASEAN各国などの貿易業務の電子化にも貢献していく。

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インドネシアのロジスティクス事業拡大に向けてWaresixがTrukitaを買収

写真左はWaresix共同設立者・最高経営責任者Andree Susanto(アンドリー・スサント)氏、右はTrukita共同設立者・最高経営責任者Ady Bangun(アディ・バングン)氏

インドネシア最大級の物流管理スタートアップであるWaresixは、「ファーストマイル」に注力するTrukitaを買収した。この用語は、サプライチェーンのうち、港から倉庫まで商品が輸送される部分を指す。

Waresixのプラットフォームは、サプライチェーンとロジスティクスチェーンのあらゆる部分をデジタル化するが、現在はミッドマイルロジスティクスサービス、つまり倉庫から流通業者への輸送に注力している。Trukitaは1万台以上のトラックによるネットワークを所有しており、両社の組み合わせにより、「インドネシア最大のロジスティクステクノロジープロバイダーの1つとなりました」と、Waresixの共同設立者で最高経営責任者を務めるAndree Susanto(アンドリー・スサント)氏は述べている。WaresixとTrukitaはどちらも企業を荷主や倉庫に接続することで事業を展開しており、今回の買収により顧客のコストを削減することが可能になる。

Waresixは2020年9月、EV Growth、Jungle Ventures、SoftBank Ventures Asiaなどの投資家から2019年を上回る約1億ドル(約103億円)の資金調達を行った(PR Newswire記事)と発表した。同社は世界で4番目に人口の多いインドネシア全土で、375以上の倉庫と4万台以上のトラックを扱っており、現在は100以上の都市にサービスを提供している。

インドネシアは1万7500以上の島々からなる群島であり、そのうち6000の島々が人が住んでいる。そのため、インドネシアの地理はロジスティクス企業、特に大都市以外で事業を展開している企業にとって、他では見られない問題を生じさせる。商品が最終目的地に到着するまでに、サプライチェーンは複数の船やトラック、そしていくつもの倉庫をまたがって使用しなければならないのだ。物流コストの高さはインドネシア経済に大きな影響を与えており、政府は現在、より多くのインフラを整備したり、データベースを統合したり、輸出入ライセンスを簡素化するための取り組みを行っている(The Jakarta Post記事)。

インドネシアの複雑なロジスティクス事情はWaresix、Kargo、Ritaseのような物流スタートアップを誕生させた。これらの企業は、中間業者を排除し、リアルタイムで出荷を管理し、データ分析を利用して、サプライチェーンにおける非効率性を発見することに力を注いでいる。

Trukitaは2017年に設立された。その投資家にはAstra International、EverHaüs、Plug and Playなどが名を連ねている。

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タグ:WaresixTrukitaインドネシアサプライチェーン物流買収

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(翻訳:TechCrunch Japan)

サプライチェーンを分断の危機などから守るAltanaが約7.3億円調達

サプライチェーンは、かつてはApple(アップル)がデザインしたかのような資本主義の魔法のエレメントだった。それはそれで機能していた。ときどき野菜売り場でサルモネラ菌が大発生することはあっても、私たちはファストファッションの洋服やデジタルガジェットや医療用品がどうやって店の棚や家まで運ばれてくるのか、深く考えることなく日常の消費生活を送ることができる。

もちろん、この数年間でたくさんの変化があった。グローバル化に反対する声が政治を動かし、米国や英国などの政府は自由貿易協定の再交渉に向かった。貿易体制の崩壊により国内生産の気運が高まった。その一方で、新型コロナウイルスのパンデミックによってサプライチェーンは膨大なストレスを抱え、いつしか完全に断ち切れてしまったものもある。

つまり、サプライチェーンの管理者は、誰も考えたがらない重要な役割から、誰もが常に気にかける重要な役割へと突如として変化したのだ。

そうした管理専門家たちは、Oracle(オラクル)やSAPなどの企業が運営する巨大なプラットフォームを利用できても、サプライチェーンの分断が危惧される場所を特定しようとすれば、もっと多くの情報が必要になる。このサプライチェーンのリンクは、もしかしたら見た目よりも脆いのではないか?サプライチェーンに含まれるこれらの工場は、児童労働や環境基準違反の警告リストに載っていないか?もし政府が貿易政策を変更したら、港に積まれた製品のコンテナを眺めていなければならなくなるのか?

ニューヨークに本社を置くAltana(オルタナ)は、サプライチェーン管理者のための、データと機械学習で現代資本主義の複雑性に対応するインテリジェンスレイヤーになることを目指している。米国時間11月25日、同社は、ロンドンを拠点とするAmadeus Capital Partnersに所属するうAnne Glover(アン・グローバー)氏が主導する700万ドル(約7億3000万円)のシード投資資金の調達を発表した。

このスタートアップは、CEOのEvan Smith(エバン・スミス)氏、CTOのPeter Swartz(ピーター・シュワルツ)氏、COOのRaphael Tehranian(ラファエル・テラニアン)氏の3人によって創設された。全員が2006年に誕生したグローバルサプライチェーンのプラットフォームであるPanjiva(パンジーバ)でともに働いていた経験を持つ。このプラットフォームは10年前にBattery Venturesから資金援助されていたが、2018年の初めにS&P Globalに売却された(PR Newswire記事)。Panjivaの目標は、「グラフ」化したサプライチェーンの情報を管理者に提供することにあった。

そうした直接的な経験が、Altanaにビジョンを与えている。多くの点でPanjivaのビジョンと重なるのだが、最新のテクノロジーとデータ科学によって改良されているようだ。Altanaもまた、管理者に情報と強い回復力を与える、サプライチェーンのナレッジグラフの構築を目指している。

違いはデータの扱い方にある。「私たちがデータ販売の仕事をしていたとき、バリューチェーンの部分でいつも行き詰まっていました」とスミス氏。「顧客は、データに触れることを許してくれません。私たちのデータ管理を信頼していないからです。その他の独自データを扱う企業も、データの管理や転送を任せてはくれせん」。

そこで、あらゆるデータの中央リポジトリになることは考えず、すべてのデータソースの「下流で仕事をする」ことで、企業独自のデータと、彼らがアクセスできるあらゆるデータソースを使って、企業自身が独自にサプライチェーングラフを作れるようにした。

同社が売り込む先は、CFO(最高財務責任者)の管轄になっていることが多い調達部門だ。現在、Altanaの顧客の大半は、政府系クライアントが占めている。たとえば国境警備局だ。そこは「船が到着したときに藁の山から針を探し出すのが仕事です。安全な荷物の中から違法なものを抽出して、法に適った貿易を促進しなければなりません」とスミス氏は話す。

同社の会長はAlan Bersin(アラン・バーシン)氏。米税関および国境警備局の元長官であり、現在は、トランプ政権の対米外国投資委員会でも貿易問題に取り組んできた有名法律事務所Covington & Burling(コビントン・アンド・バーリング)の政策顧問を務めている。

Altanaでは単発の調査やシミュレーションも請け負うが、主要製品の目標は、事業に影響を与えかねない変化を見抜ける実質的な視界をサプライチェーン管理者にもたらし、リアルタイムの警戒態勢を整えることだ。たとえば年間労働監査や環境監査を待って問題点を見つけ出すのではなく、従来よりもずっと早く問題解決ができるよう予測能力を企業に提供したいとAltanaは考えている。

今回の投資にはAmadeus、Schematic Ventures、AlleyCorp、Working Capitalの他に、The Supply Chain Investment Fundも参加している。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Altanaサプライチェーン

画像クレジット:Suriyapong Thongsawang / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)