ディスカウントより寄付がマーケティングツールとして有効と主張するGivzに投資家たちも注目

Givzは、ブランドがディスカウントを寄付に変換するAPIの開発で、300万ドルのシード資金を獲得した。

EniacとAccompliceが、このニューヨークのスタートアップへの投資をリードし、これにSupernode VenturesとFine DayのClaude Wasserstein氏、Phoenix Club、そしてDylan Whitman氏が参加した。

Givzは2017に創業し、慈善のような寄付を一般人がもっと気軽に便利にできることを狙っている。パンデミック直前の2020年3月には、同社はB2CからB2Bに方向転換し、これまで構築してきた技術を利用して、今日のGivsが提供しているeコマースのマーケティングのためのプラットホームを作った。

同社は、顧客に「定価購入」ないし「正価購入」を勧めて、ディスカウントがあればその差分をお気に入りのチャリティーに寄付する。

今回の資金調達の前には、同社は80社のエンタープライズや中級店、小規模小売店、そしてH&MやTom BradyのTB12、Seedlip、Terezなどのブランドを顧客にして、4万あまりの個人ユーザーを累積していた。そしてCEOで創業者のAndrew Forman氏によると、昨年の転換以来、同社は1100団体のチャリティへの寄付のために100万ドルあまりを動かしている。

Shopifyにローンチしただけだが、Forman氏によると、それによりShopifyを利用してお店を出している170万のりテイラーにアクセスできる。Givzが主張する運用原則は「寄付をベースとするマーケティングは一貫してディスカウントよりも成績が良くて費用も少なく、企業のマーケティングに新たな魅力を加える」、という考え方だ。Forman氏は、こう説明する: 「私たちが作っているのはマーケティングの新しいカテゴリーであり、その過程で、最大の持続可能な慈善的贈与のプラットホームが作られている」。

Givzの使い方の例として、Tervisを取り上げてみよう。ここは顧客に、こんなオファーをしている: 「ショッピングで50ドルお払いになると、お好きなチャリティに贈る15ドルをもらえます」。

Forman氏によると、「同社はGivsの技術を利用して顧客が好きなチャリティを選べるようにし、何百ものチャリティに簡単に寄付ができるようにしている。これによってWebサイトのコンバージョンは20%上がり、このオファーのおかげで平均注文単価も17%増えている」、という。


画像クレジット: Givz

現在、Givzの社員は8名だが、来年は倍に増やしたいと言っている。今回の資金の主な用途は、したがって雇用と、自社のマーケティングだ。「私たちが集めている消費者のビヘイビアのデータの有効利用も探求したい」、とForman氏は言っている。

「短期的には、GivzはShopfy上のD2Cブランドの成長に注力したいと思っているが、大きなエンタープライズやエンタープライズ級のりテイラー、それに金融機関とのユースケースもうまくいっている。今後力を入れたいのはレストランとゲーム業界、それとグローバルな拡張だ。私の考えでは、個人化された寄付を利用して消費者のビヘイビアを刺激していくやり方には、特定の業種業界や地球上の地域に限定されない、無限のアプリケーションがありうる」。

EniacのパートナーであるVic Singh氏によると、今はさまざまなブランドが、社会的な意識のある消費者をターゲットにしていくいろんな方法を実験している、という。Singh氏は曰く、「Givzの寄付を契機とするマーケティングのプラットホームは、ブランドにとって、社会的意識のある消費者を惹きつけ、同時にブランドイメージを上げる最良の方法だ。従来の単純なディスカウントよりも、在庫の動きが良くなり受注単価も大きくなる」。

AccompliceのTJ Mahony氏によると、彼とSingh氏はどちらも、中小企業や中小店がマーケティングの新しいカテゴリーとして台頭してくると信じている、 AttentiveやPostscriptもそれを感じて早期から投資している、という。

「二人とも、Givzと同じ商機を見ているんだ。ディスカウントというマーケティングのよく使い込まれた筋肉があるが、それは今や、ブランドや利益や顧客の期待にとって有害だ。ディスカウントに代わるものとして、インパクトが継続するマーケティングが主流になり、マーケターたちは、心のこもった永続性のある贈与の戦略を軸に、チームと予算を組んでいくだろう」、とTJ Mahony氏はメールで言っている。

関連記事: Marketing in 2021 is emotional and not just transactional(未訳、有料記事)

(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: AnastassiiaGetty Images

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【コラム】即日配送サービスがパンデミック後に生き残るためにはスピードだけでは不十分

スピードと利便性を中心としたまったく新しいeコマースの時代が到来した。ビジネスリーダーたちは、より迅速な配送サービスのため、配送能力の強化を優先事項とする必要に迫られている。

PwC(ピー・ダブリュー・シー)が2021年6月、8500人以上の消費者を対象に実施した「世界の消費者意識調査」では、オンラインショッピングの最も重要な要素として「迅速で信頼できる配送」を挙げており、eコマースの世界では配送サービスがますます重要になっていくことが明らかになった。

消費者が即日配送(および同時間配送)サービスモデルに慣れてきた今、配送オプションに対する消費者の期待は高まる一方だ。

実際、モバイルアプリのインテリジェンスプラットフォームであるSensorTower(センサータワー)の最新レポートによると、2021年1月と2月、上位のフード配送アプリは成長を続け、インストール数は前年同期比で14%増加した。しかし、DoorDash(ドアダッシュ)、Uber Eats(ウーバーイーツ)、GrubHub(グラブハブ)は、ユーザー数が増加しているにもかかわらず、利益が出ていない。では、ビジネスリーダーは、どうすれば消費者の期待に応えるスピードと高い収益性を兼ね備えた配送モデルを構築できるのだろうか。

課題:配送アプリが収益性を高めるには、スピード以外の何かが必要だ

競争力を維持するために、配送アプリはサービスを見直し、提供するサービスの幅を広げている。

Uberの食料品・新分野担当グローバルヘッドのRaj Beri(ラジ・ベリ)氏は「アマゾンは『ネクストデーデリバリー(翌日配送)』を推進している。当社は、『ネクストアワーコマース(1時間商取引)』を推進する」と5月に述べている

しかし、配送プロセスの高速化が、必ずしも収益につながるとは限らない。さらに重要なことは、迅速な高速配送を実現しても、宅配サービス全体として優れた顧客体験を提供できなければ顧客のロイヤルティは獲得できないということだ。

配送アプリや、配送サービスを提供しようとしているeコマース企業が直面している主な課題は、顧客にとってのスピードや利便性だけでなく、顧客体験におけるすべての側面を考慮した基盤を構築することだ。例えば、食品を配送する場合、配送を担当する業者は、食品を安全に取り扱い、汚すことなく配送しなければならない。温かいもの、冷たいものにかかわらず、配送中の温度を維持し、注文どおりのものを届ける必要がある。

ソリューション:即日配送には高度なテクノロジープラットフォームが不可欠

あらゆるものが「Uber化」し、消費者の期待が劇的に高まっている昨今、配送ビジネスで利益を上げるためには、配送アプリとドライバーの集団だけでは不十分だ。即日配送サービスを確実に遂行するためには、注文を受けてから顧客の手元に届くまでの間に、いくつものステップが滞りなく行われなければならない。また、商品が複雑であればあるほど、配送プロセスも困難なものとなる。

即日配送サービスを実現すると同時に収益性を高めるためには、顧客の期待に応えるためのテクノロジーを考慮した配送アプリが必要となる。それは、単にユーザー数を増やすためにアプリをデザインするだけではない。優れた顧客体験を提供する即日配送モデルが真に成功するためには、カスタマージャーニーにおけるさまざまな側面を一元的に管理し、顧客の視点でシームレスに見せることができる高度なソフトウェアプラットフォームが必要だ。

収益性の高い配送サービスは、人工知能システムとロボット工学を駆使した自動化システムによって構築される。そのためには、アプリのデザインやユーザー数の増加よりも、まずテクノロジーが重要となる。それ以外の配送ビジネスモデルでは、本末転倒となってしまう。

Domino’s Pizza(ドミノ・ピザ)は、テクノロジーをビジネスモデルの中核に据えることで、配送プロセスを完成させ、全体的な顧客体験を大幅に向上させたブランドだ。その転機となったのは、同社が自らを「ピザを販売するeコマース企業」と定義した時だった。同社は、データ活用に力を入れ、ロボット工学テクノロジーに基づくプラットフォームを導入し、配送プロセスにスピードと効率をもたらす電子配送システムを実現した。そして2021年4月には、ヒューストンの一部の顧客を対象に、ロボットカーNuro(ニューロ)による配送サービスを開始した。

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グラブハブもまた、ロボット機能を配送プロセスに組み込むための取り組みを行っている。最近の報道によると、同社は、ドローンのようなロボットを配備した自動運転ユニットを導入し、大学生に食品を配送することを発表した。このプログラムは、今秋に米国の特定の大学キャンパスで展開される予定で、配送時間の短縮と、できればコストの削減を目指している。

このようにテクノロジーを重視することは、配送アプリの世界ではもちろんのこと、新たに台頭してきた「ネクストアワーコマース」の領域で競争しなければならない企業にとっても重要だ。アプリを開いて商品をクリックし、決済を行って配送の予約をするまで、そしてさらにその先まで、カスタマージャーニーのすべての要素をつなぐことができるテクノロジープラットフォームに投資することが、収益性の高いビジネスモデルを成功させる鍵となる。

即日配送:これから目指すところ

誰もが携帯電話でアプリを開き、何でも欲しいものを1時間以内に届けてもらいたいと願う世の中では、ビジネスリーダーは、自社開発であれ、他社との提携であれ、配送アプリそのものに注目したくなるものだ。しかし、アプリだけに注目するのは、即日配送モデルに対する近視眼的な見方といえる。

その代わりに、ビジネスリーダーは広い視野で、カスタマージャーニーのあらゆる側面を考慮する必要がある。顧客はどのように自社のビジネスに関わっているのか。顧客はどのように自社の商品を探し、どのように見つけているのか。注文を完了するには何が必要で、注文を届けるためにはどのような条件が満たされる必要があるのか。また、注文がスムーズに行われ、顧客の満足を得るためには、注文後に何が必要なのか。

配送アプリとの提携に成功している企業もあるが、これには自社のブランドの評判を、顧客と接する最前線の従業員の役割を果たす他社に委ねるというリスクがともなう。また、既存のeコマースモデルに配送サービスのオプションを追加している企業もある。その場合、既存のテクノロジースタックに統合できるサードパーティのソフトウェアを利用する。残念ながら、この方法には限界があり、複数のコンポーネントを含む規制対象のビジネスには適用できない。

即日配送サービスでシームレスな顧客体験を実現する唯一の方法は、テクノロジーをビジネスの中心に据えた独自のソフトウェアプラットフォームを構築することだ。そうすることで、主要なプロセスを自動化し、配送モデルにスピードと利便性を持たせることができる。また、注文を迅速化するロボットシステムの統合、ビジネスの成長を促進する人工知能プロトコルの組み込み、ビジネスの拡大に合わせた配送モデルのスケーリングも可能となる。

新時代のeコマースで成功するために

「ネクストアワーデリバリー」というキャッチーなフレーズが消費者の支持を得ることは間違いないが、それが利益の向上につながるかどうかは不透明だ。即日配送サービスを中心に収益性の高いビジネスモデルを構築してきた企業のCEOである筆者は、配送システムを支えるテクノロジーに自動化、人工知能、あるいはロボット工学が欠けている場合「ネクストアワーデリバリー」というサービスが収益を向上させるかどうかについては懐疑的だ。

確かに、企業は即日配送での競争を余儀なくされるだろう。しかし、パンデミック以降に明らかになったもう1つの確かな事実は、この新しいeコマースの時代には、スピードだけでは満たされない、消費者の期待の高まりがあるということだ。顧客の満足度は、アプリで注文した商品が顧客のもとに届くまでの時間だけで決まるものではない。

配送サービス市場で成功するには、ビジネスリーダーはいくつかの観点で自問自答してみることだ。即日配送を実現するためには、自社のビジネスのどの部分が必要か。注文方法は直感的か。顧客は注文や配送の状況を確認できるか。届けた商品が正しいことを確認できるか。顧客の期待に応えているか。

そして、最も重要なことは、そのビジネスが、商品の検索、購入から即日配送、さらにその先まで、カスタマージャーニーと配送モデル全体をサポートできるテクノロジープラットフォームの上に構築されているかということだ。これらの質問に「イエス」と答えたビジネスこそが、パンデミック後の世界で成功すると信じている。

編集部注:Cary Breese(ケアリー・ブリーズ)氏は、デジタル薬局NowRxのCEO兼共同創業者。

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画像クレジット:Henrik Sorensen / Getty Images

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(文:Cary Breese、翻訳:Dragonfly)

電動キックボードシェアの「Luup」が森トラストやESG特化型ファンドなどから約20億円調達

電動キックボードシェアの「Luup」が森トラストやESG特化型ファンドなどから約20億円調達

電動キックボードや小型電動アシスト自転車など「電動マイクロモビリティ」のシェアリングサービス「LUUP」(ループ、Android版iOS版)を展開するLuupは8月17日、合計約20億円の資金調達を発表した。引受先は、森トラスト、Open Network Lab・ESG1号投資事業有限責任組合(DGインキュベーション)をはじめとする新規の投資家、VC・事業会社を含む複数の既存投資家。また今後のさらなる事業拡大に向けて、複数の投資家候補との協議を継続する。

調達した資金により、持続可能な社会の構築に向けマイクロモビリティ事業の開発を強化する。プロダクトが持つデータをより活用し、素早い仮説検証ができる開発体制の構築、LUUP開発の加速にとどまらないマイクロモビリティ事業の研究開発を進めるという。

Luupによると、東京・大阪エリアにおいて多くのポートを獲得し、街なかでLUUPを見つけるチャネルが増えたものの、機体をシェアして利用することや、電動キックボードの走行は概念が新しく、まだハードルが高いのが現状という。今後はよりスムーズに走行できる機体の開発や、利用者が不安のない状態でLUUPの利用し始めらえる体験の構築に注力するとしている。

また、LUUPの存在が利用者の移動のハードルを下げ、これまで気づいていなかった街の魅力に気づくきっかけとなることを目指すという。そのため例えば、グループ走行への対応や、目的地に合わせて最も効率のよいポートを推薦する機能にも挑戦する。

海外には路上で貸し出し・返却をするモデルが多くある一方、Luupは路上ではなく決められたポートを利用するモデルを採用している。特に都市部では人々の移動に偏りがあり、時間帯によって機体の配置密度に偏りが生まれることから、今後は、需給データのさらなる分析を通して、機体の最適配置・最適充電のためのオペレーションモデルの構築やダイナミックプライシングなどの構築を行うという。

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AirbnbとDoorDashの株価が決算発表後に下落、新型コロナの実体経済への影響が重しに

民泊大手のAirbnbとオンデマンド配達のDoorDashが米国8月12日の取引開始直後に四半期決算を発表した。

両社とも新型コロナウイルス感染症のかなりの影響を受けた。Airbnbの2020年の売上高は初期のロックダウンで崩壊し、同社はかなりの資金を調達して難局に備えることになった。その後復活し、同社は新規上場を果たした。

それとは対照的にDoorDashは、人々が家に閉じこもり、配達を利用したために2020年の業績は目を見張るものだった。ちょうど2社の四半期決算が同じ日に発表されたので、新型コロナが業績にどのよな影響を及ぼしたのか分析してみよう。

Airbnbの第2四半期

Airbnbの第2四半期の売上高は13億ドル(約1425億円)で、前年同期の3億3500万ドル(約370億円)、2019年同期の12億1000万ドル(約1325億円)を上回った。成長率をみると、前年同期から299%、2019年同期からは10%の成長となった。

アナリストは2021年第2四半期の売上高を12億3000万ドル(約1350億円)と予想していた。

2021年第2四半期の損益では、諸経費を含めて6800万ドル(約75億円)の損失を計上した。かなり修正されている利益、調整後EBITDAは2億1700万ドル(約240億円)、営業利益は7億9100万ドル(約870億円)だった。今後の展望として、Airbnbは収益見通しについて次のように述べた。

2021年第3四半期の売上高は過去最高のものになり、調整後EBITDAと粗利益も最多となると予想しています。

調整後利益を増やして純損失を抑制し、巨額の現金を生み出した予想を上回るAirbnbの成長、そして第3四半期の売上高予想を市場はどのようにとらえたのだろうか。Airbnbの株価は時間外取引で4.5%ほど下げた。

困惑したかもしれない。投資家は同社が決算書のガイダンス部分に盛り込んだ以下の指摘について心配しているのだろう。

短期的には、新型コロナの影響とデルタ株を含むウイルスの新たな変異株の発生・拡散が、宿泊予約とキャンセルの頻度や時期を含め、旅行に関する全体的な動向に引き続き影響を及ぼします。その結果、宿泊や体験プログラム、グロスブッキングの前年との比較は今後も変動が大きく、安定しません。

Airbnbにとって2021年第3四半期は有望である一方で、将来の成長は現在も続くパンデミックのおかげでアップダウンがあったり、後ろ倒しになったりする可能性がありそうだ。旅行率の低下を指摘する指数があり、これはAirbnbに影響を及ぼすかもしれない。

同社の第2四半期決算結果と第3四半期の予想は、1年前に比べると素晴らしいものだ。しかし、それは新型コロナという危機から完全に脱したことを意味しない。

DoorDashの第2四半期

2021年第2四半期に新型コロナによる業界への追い風は全般的に少なかったにもかかわらず、DoorDashは注文数、注文代金で過去最多を記録した。6月30日までの3カ月で、オンデマンドフードデリバリーの同社の注文価格(マーケットプレイスGOV)は104億6000万ドル(約1兆1460億円)で、売上高は12億4000万ドル(約1360億円)となった。マーケットプレイスGOVの値は前年同期比70%増、売上高は同83%増だった。

投資家は売上高10億8000万ドル(約1180億円)を見込んでいたため、DoorDashはあっさりと予想を上回った。

DoorDashの収益性はどうだったのか。同社は1億200万ドル(約110億円)の純損失を計上し、全体として赤字だった。調整後EBITDAでは、1億1300万ドル(約120億円)の黒字だった。Uberがフードデリバリー事業で黒字を確保できなかったことを考えると、さほど悪くない。DoorDashの当期純利益は前年同期より減少したが、調整後EBITDAでは改善した。

DoorDashの株価は時間外取引で3.5%ほど下げた。

なぜか。はっきりとはわからない。DoorDashは「第3四半期のマーケットプレイスGOVは93億ドル〜98億ドル(約1兆190億円〜1兆740億)、調整後EBITDAは最大1億ドル(約110億円)」と予想している、と述べた。たしかに第2四半期のGOVからわずかに減少しているが、投資家らは第3四半期の売上高が前期よりも少なくなるのではと懸念している。読者のみなさんはGOV予想が控えめなのではと思うかもしれない。

原因は新型コロナだろうか。同社の決算資料での新型コロナへの言及は、新型コロナのその後の影響、そして注文やデリバリーで同社を使っているレストランに救援金を提供するためのこれまでの取り組みに終始している。従って、そこから絞り出せる要素は多くはない。ただ、同社は決算報告の終わりに以下のように述べた。

オムニチャネルのローカルコマースに向けた幅広い世間のシフトが出現しようとしていると確信しています。しかしながら、ローカルコマースの規模や断片化は、解決すべき問題がより難しくなり、内部と外部の関係者間の調整がこれまで以上に複雑なものになり、競争上の脅威が増すことをうかがわせています。と同時に、消費者行動のペースはここ数四半期の並外れたものに比べて緩やかなものになると想定しています。

より簡単に言うと、こうだ。DoorDashは将来、緩やかな成長、これまでよりも複雑な事業環境、新規マーケット参入に伴う競争の激化を予想している。これは投資家を興奮させるような要因のミックスではなく、我々もそうだとは思わない。

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画像クレジット: TechCrunch

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

カーシェアリングのTuroがユニコーンになり秘かにIPOを申請

ピア・ツー・ピアのカーシェアサービスTuroが、秘密裏に米国証券取引委員会(SEC)にIPOを申請した。

このIPOの発行株数や価格範囲は未定、と同社は声明で述べている。TechCrunchにも、それ以上の情報は明かしていない。

創業11年になるTuroのマーケットプレイスはAirbnbと似ており、クルマのオーナーがTuroのアプリやウェブサイトで自分のクルマの貸出を公示する。現在、Turoのカーシェアを利用できる都市は米国、カナダ、英国の計5500都市あまりだ。Turoは元々、Daimler AGのカーシェア子会社Crooveの買収と投資から生まれたドイツの企業だが、今はドイツにはない。

同社は2019年7月にシリーズEで2億5000万ドル(約276億6000万円)を調達し、それが同社をユニコーンに押し上げ、CEOのAndre Haddad(アンドレ・ハダド)氏はブログで「評価額が10億ドル(約1106億3000万円)のラインを超えた」と言っている。Turoは2月に、そのフォローアップとして3000万ドル(約33億2000万円)の拡張ラウンドを調達し、調達総額は5億ドル(約553億1000万円)を超えた。

Turoはパンデミックの間に、BirdやGetaroundなど、その他の交通系スタートアップと同様、かなり苦しんだ。2020年の3月には従業員の30%、108名をレイオフしたと調査会社Layoffs.fyiはいう。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:カーシェアリングピア・ツー・ピアTuroIPOユニコーン企業

画像クレジット:Turo

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Uberがドライバーへのインセンティブ支払いによる第2四半期の赤字からの業績回復を計画

Uber(ウーバー)は第2四半期に予想を上回る損失を計上した。パンデミックによるドライバー不足を解消するため、4月に2億5000万ドル(約275億円)の大規模な刺激策を実施したことが大きな要因だ。

調整後EBITDAは5億900万ドル(約560億円)の損失だった。一方、Lyft(リフト)は前日、当四半期の調整後EBITDAを2380万ドル(約26億円)の黒字で計上した。Uberの損失は、アプリベースの配車業界が抱えるより大きな問題を指し示している。それは、ドライバー供給の遅延、ドライバーを集めるためのコスト、迫り来る新型コロナウイルスのデルタ変異株という3つの脅威だ。

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「ドライバーたちが道路に戻りたいと思う気持ちは強くなっています」とCEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は、米国時間8月4日の決算会見で述べた。「6月には、活動休止中のドライバーの60%が、1カ月以内に運転を再開するつもりだと回答しました。4月の40%から増加しました。また、90%のドライバーが9月までに運転を再開すると回答しています。さまざまな指標が複数の市場で上昇しながら通常の水準へと回復し、マイアミ、アトランタ、ダラス、ヒューストン、フェニックスでは待ち時間がほぼ正常に戻りました。しかし、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルスなどの大都市では需要が供給を上回る状態が続いており、遅い時間帯の価格は快適な水準を超えています」。

コスロシャヒ氏は、Uberがドライバーに対する「ポスト・パンデミック」のインセンティブを縮小したとしても、ここ数カ月で回復してきたドライバーの勢いは続くと予想していると語った。だが問題は、パンデミックはまだ終わっていないということだ。米国でのワクチン完全接種は人口の50%にとどまる。CDC(米疾病予防管理センター)によると、7月の最後の2週間で、感染力の高いデルタ型が米国内の新型コロナ感染者の80〜87%を占めた。多くのコンピュータモデルは、8月中旬〜9月上旬に感染者数がピークに達し、1日あたりの感染者数が45万人に達すると予測している。

ドライバー不足の原因はロックダウンだけではない。ドライバーらは、微々たる報酬で、パンデミック中に命をかけてまで働きたくないと考えている。Uberが損失を出しながらもドライバーを増やそうとしているのは、Uberがギグワーカーの働く権利を脅かす存在として再び注目されているからだ。Uberは、アプリベースの配車やオンデマンド配送を行う企業連合の一員であり、マサチューセッツ州で今週、ドライバーを従業員ではなく独立した契約者であると定義する投票法案を通すための請願書を提出した。2020年のカリフォルニア州での提案22号と同じことが起こっている。

2013年から運転しているジェイというUberのドライバーはTechCrunchに「私は、人を呼び戻すために使われたインセンティブを受け取りました。脳みそがあるドライバーならほとんどが同じことをしたと思います」と語った。「インセンティブがなくなったところで私は運転をやめました。今や運転をすれば持ち出しになってしまうからです。Uberが料率を大幅に引き下げたので、もはやUberで働くことは意味をなしません。Uberの車をつかまえるのが難しい理由はここにあります。途方もなく遠い存在である億万長者たちが、この会社を潰しつつあるのです」。

こうした状況にもかかわらず、コスロシャヒ氏は、同氏はおそらくジェイ氏がいう「遠い存在である億万長者」の1人だと思われるが、Uberが年内に会社としてEBITDA黒字化を達成する見込みだと投資家に請け合った。同社は「働き手の体験」と呼ぶものへの投資が、労働者のつなぎ留めに役立つと期待している。

「アプリの品質向上に力を注ぐことから、ターゲットを絞り個々人にあわせた関係再構築キャンペーン、安全に稼ぐという目的のためにこれまで以上に簡単かつ迅速になったオンボーディングフローの全面的な再設計、ロゼッタストーンを利用した無料の語学学習、ASU(アリゾナ州立大学)を授業料無料で利用できることなどのユニークなプログラムの展開まで、当社が提供する働き手のためのスーパーアプリは、世界中のドライバーや宅配業者に提供できる収益機会の深さと幅広さにおいて独自性があります」とコスロシャヒ氏は話す。

豪州のシドニーなどの都市での最近のロックダウンのように移動手段が打撃を受け続けることになっても、Uberは貨物、Uber Eats、宅配便などの他の事業に頼ることができるとコスロシャヒ氏は語る。同氏によると、乗車数が減るとUber Eatsや宅配便の注文が増える傾向にあるという。

Uberは2020年11月、オンラインフードデリバリーアプリのPostmates(ポストメイツ)を買収した。同社によると、買収により約500万人の利用者が加わり、16万人の宅配業者と2万5000以上の加盟店がPostmatesからUber Eatsに移行した他、ロサンゼルスとニューヨークでUberがカテゴリーリーダーとしての地位を確立するのに役立ったという。

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また、Uberは最近、食料品、コンビニエンス、アルコール類の配達など、新たな分野にも進出しており、6月の米国でのグロスブッキング(予約総額)は2020年12月の水準から約3倍、英国とフランスでは2倍に増加した。

「私たちが持っている差別化要因はオーディエンスとUberプラットフォームです」とコスロシャヒ氏は述べる。「私たちは、Uberブランド、マーケットプレイスマッチング技術、価格設定技術、ルーティングなどを基盤にデリバリー事業を立ち上げた、最も新しいプレイヤーの1社です。【略】私たちは、他の誰よりも大きなデータセットを持ちあわせています。これにより、マッチング、ルーティング、インセンティブ、マーケティングなど、より個々人に合わせたエンジンを構築することができますし、他の誰よりも優れた機能を備えています」。

「Uberはすべての市場にオペレーションチームを配置しているため、市場ごとに適切な在庫を把握することができます」と同氏は語る。

「その結果、顧客獲得コストの削減、ライフタイムバリューの向上、間接費の削減、技術力の向上が可能になります。これらが差別化につながるのです」。

第4四半期までにEBITDAの目標を達成することに加え、コスロシャヒ氏によると、Uberは会社全体のグロスブッキングが220億〜240億ドル(約2兆4200億円〜2兆6400億円)となり、調整後EBITDAは第3四半期の1億ドル(約110億円)の損失から改善すると見込んでいる。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Uber新型コロナウイルス労働問題

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

Uberの第2四半期は配車、配達事業の売上高は成長するも赤字幅は拡大

Uber(ウーバー)は米国時間8月4日、取引開始直後に第2四半期決算を発表した。前日には米国内でのライバルであるLyft(リフト)も同期決算を明らかにしていた

Lyftが調整後EBITDAで黒字をなんとか達成した一方で、Uberはそうではなかったのは注目に値する。しかしUberはDidiやAurora Innovationなど他社への投資のおかげで第2四半期に11億4000万ドル(約1250億円)の純利益を生み出した。

上から順に、Uberのグロスブッキング(取扱高)は計219億ドル(約2兆4015億円)で、前年同期に比べて114%増えた。売上高におけるグロスプラットフォーム支出は39億3000万ドル(約4310億円)となり、前年同期の19億1000万ドル(約2090億円)から105%増となった。

第2四半期の業績は、Uberが税引前で黒字化を達成するという目標に向けて順調に歩むに足るもので、決算発表によると、同社は第4四半期までに調整後EBITDAで黒字を繰り返す。

Yahoo Financeが集めたデータによると、アナリストはUberの売上高を37億4000万ドル(約4100億円)、1株あたり利益はマイナス0.51ドル(約55円)と予想していた。売上高はアナリスト予想を上回ったものの、調整後EBITDA損失額は予想よりも大きくなった。アナリストは、調整後EBITDAで3億2450万ドル(約355億円)の赤字を予想していたが、実際には5億900万ドル(約560億円)の赤字だった。

Uberの株価は時間外取引で8%超下落した。その後は持ち直したが、それでも6%超落ち込んでいる。

Uberの各事業の取扱高に目を向けると、配車部門は第2四半期にこれまでで最大の伸びとなる前年同期比184%増の88億4000万ドル(約9690億円)だった。取扱高全体のかなりの部分を占める配達部門は同85%増の129億1000万ドル(約1兆4155億円)だった。

消費者支出額で大きな差があったにもかかわらず、配達部門の取扱高における売上高の割合は配車部門のものよりも少なくなり、売上高は配達部門が19億6000万ドル(約2150億円)、配車部門が16億2000万ドル(約1780億円)だった。

Uberの中で最も売上高が少ないFreightは前年同期比64%成長し、3億4800万ドル(約380億円)だった。小規模ではあるが、同社はFreight部門をを拡大し、2022年末までに調整後EBITDAベースで収支が合うようにするための手段として戦略的買収や提携を行ってきた。

Uber Freightは7月にプライベートエクイティグループTPG Capitalから22億5000万ドル(約2470億円)でTransplaceを買収した。この取引にはUber株での7億5000万ドル(約820億円)が含まれ、残りは現金で支払われた。

Uberの主要事業である配車事業と配達事業はいずれも黒字ではなく、Uberを調整後の赤字から救うことはできなかった。しかし、同社の配車事業は調整後EBITDAで2020年同期を下回ったものの1億7900万ドル(約200億円)の黒字を達成した。その一方で、配達事業は調整後EBITDAで1億6100万ドル(約180億円)の損失と、またも赤字となった。

Uberの配車事業の調整後EBITDAは、同社の未割り当て費用に比べればわずかなものだ。調整後EBITDAは5億900万ドル(約560億円)の赤字で、赤字幅は前年同期から39%縮小した。それでも収支が合うようになるまでの道のりは長い。

しかしUberの第2四半期には、他からの収入という点で特筆すべきものがあった。同社の11億9000万ドル(約1300億円)という営業損失は、19億3000万ドル(約2115億円)もの営業外収入でかなり改善した。営業外収入の大半は、Didiへの投資での14億ドル(約1535億円)の含み益、Aurora Investmentsへの投資での4億7100万ドル(約520億円)の含み益など、計19億1000万ドル(約2090億円)が「債券と持株」からのものだっった。

Didiは第2四半期に上場した。

地域別業績に目を向けると、Uberの事業が最も早く立ち直ったのはAPAC(アジア・太平洋)地域で、同地域の売上高は前年同期の2億1700万ドル(約240億円)から227%増加し、7億900万ドル(約780億円)に達した。次いでEMEA(欧州・中東・アフリカ)地域の成長幅が大きく、売上高は前年同期の3億5800万ドル(約390億円)から159%増の9億2900万ドル(約1020億円)となった。米国とカナダの売上高は前年同期の11億3000万ドル(約1240億円)から76%増の19億8000万ドル(約2170億円)で、南米はより控えめな44%成長だった。

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(文:Alex Wilhelm、Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

ギグカンパニーが労働者の身分をめぐりマサチューセッツ州でも住民投票を画策

LyftやUber、Doordash、Instacartなど、アプリによるライドシェアやデリバリーのサービスを提供している企業の連合が、住民投票でギグエコノミーの労働者を独立の契約業者と認めるよう、マサチューセッツ州に請願を提出した。これまで同業界は、カリフォルニア州で同様の住民投票を主導して、勝った経験がある。

その連合の正式名であるMassachusetts Coalition for Independent Work(マサチューセッツ州独立労働連合)が今回住民投票を提案したその約1年前には、労働者の権利を擁護する団体とギグエコノミーの企業が対立し、業界側が数百万ドル(数億円)を投じた高価な宣伝活動により、カリフォルニアの有権者は、Proposition 22と呼ばれる同様の住民投票により、業界の主張を認めた

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LyftやUberなどからなるこの連合のメンバーには、地元各地の商工会議所も含まれ、彼らは米国時間8月3日に、2022年11月に行われる州政府選挙に住民投票の可否が含まれることを要求した。投票にかけられる質問は司法の審査を要し、また住民投票が政府選挙に含めること自体も、有権者の十分な数の賛成票を要する。

8月3日に行われたLyftの決算報告で、共同創業者のJohn Zimmer(ジョン・ジマー)氏は次のように述べている。「私たちの第1目標は、マサチューセッツ州で合法的な解決を見出すことです。私たちが一貫して主張してきたことは、圧倒的多数のドライバーが求めていることでもあり、それは私たちのプラットフォームが提供してきた柔軟性のある所得機会、それ加えて福利厚生です。また私たちは住民投票という方法を求めるだけでなく、マサチューセッツ州議会と緊密に協力して、法律に基づく解決も求めていきたい」。

同連合によると、提案されている住民投票の質問は、アプリを用いるライドシェアやデリバリーのワーカーを独立の契約労働者としながらも、健康保険料の給付など、新たな福利厚生を提供するものになっている。

連合の提案の中には、ドライバーやデリバリー労働者の最低賃金をマサチューセッツ州の最低賃金(同種のアプリベースの労働に対し2023年に、チップを除き時給18ドル、約1960円)の120%であったり、週の労働時間が15時間以上のドライバーへの健康保険料給付などがある。これらの計算にチップは含まれず、チップは全額ドライバーのものになる。また車の維持費や燃料費として走行距離1マイルにつき0.26ドル(約28.35円)以上が保証される。

労働運動家たちは、早くも反発している。NAACPニューイングランド支部やマイノリティ近隣社会組合、マサチューセッツ州移民難民連合など、さまざまな団体からなるCoalition to Protect Workers’ Rights(労働者の権利保護連盟)は8月3日に、住民投票方式には労働者を傷つける問題の文言があると反論した。

同団体によると、それらの文言には抜け穴が多いため実質賃金が最低賃金を下回ることが可能であり、また健康保険の内容が極めて貧弱である。さらにまた、反差別主義者に対する保護が取り去られたり、労働者の補償規則が排除されたり、また企業が何億項にものぼる州の失業対策をごまかすこともありうるという。

UberやLyftを軸とするこの幅広い連合は、労働者の独立契約業者化に関して、住民投票や法制化をロビー活動しているが、同時にまた、2020年提出された訴訟にも直面している。その原告であるマサチューセッツ州司法長官Maura Healey(マウラ・ヒーリー)氏は、賃金と労働時間に関する複数の州法に基づき、UberとLyftのドライバーは会社の従業員(被雇用者)である、と主張した。

州の司法長官事務所によると、UberとLyftは、ドライバーを独立の契約業者と認めるために必要な、州法が定める3つの要件を満たしていない。1つは、独立の契約事業者であるためには労働者は会社の指示やコントロールから自由でなければならない。ビジネスの通常のコースから外れたサービスでも実行できる。そして、同様の仕事を自分自身でやっていてもよい。

Uberは2020年以来、カリフォルニア州のProposition 22に似た州法をマサチューセッツ州でも成立させたい、と匂わせていた。UberのCEO、Dara Khosrowshahi氏は2020年の11月の決算報告で、アナリストたちとともに、同社は「Prop22のような法律を強力に推していく」と言明した。その後彼は「米国と世界のすべての政府と協力してこれを実現したい」と付言した。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ワークスペースシェアの「テレスペ」が「誰でも使える・誰でも提供できる」テレワーク個室専門予約サイトを公開

ワークスペース・シェアリングの「テレスペ」が「誰でも使える・誰でも提供できる」テレワーク個室専門予約サイトを公開

首都圏の緊急事態宣言が続き、テレワーク・リモートワーク用スペースの需要がますます高まると思われる中、ワークスペースのシェアリングサービス「テレスペ」を提供するテレワーク・テクノロジーズは8月3日、東京都内のテレワーク個室のための専門予約サイトを公開した。これは、東京都の緊急事態宣言中に期間限定された「テレスペ 緊急事態宣言限定プラン(都内)」に対応するもの。

基本的に同サービスは、以前から提供されている「テレワーク個室」サービスの特別版となる。テレワーク個室は、企業が法人契約をして、社員が1日単位で利用できるほか、個人でも月額会員制で利用できる。しかし、基本的に月単位の契約であるため、たとえば「学生さんがウェブ面接をするために1時間半使いたい」とか、会員になってない人が1日だけ使いたいといったニーズには対応していなかった。

「契約不要、初期費用不要、月額料金不要」で、料金は1時間990円(税込)から

そこでテレワーク・テクノロジーズは、「契約不要、初期費用不要、月額料金不要」で、個人も法人も、最短2分で行えるユーザー登録だけで利用できるサービスを開始した。料金は1時間990円(税込)。4時間では2200円、6時間では4999円となる(それぞれ税込)。目的に応じて1日から30日まで自由に予約が可能(1カ月以上の利用は別途相談)。支払いはクレジット決済のみ。テレワーク・テクノロジーズでは「少し高いけど安心の完全個室」と説明している。

専門予約サイトの運用は、東京都に緊急事態宣言が出されている間となっているが、その後の展望は未定とのこと。

部屋を貸したい人も、気軽に提供できる

このサービスは、誰でも利用できることともうひとつ、「誰でも提供できる」という特徴がある。つまり、部屋を貸したい人にとっても、気軽に提供できるサービスになっている。夜間営業の店舗で日中だけ貸したい、レンタルオフィスを開設したが予約が埋まらない、シェアハウスの個室が空いているなど、1人から6人程度で使える個室を貸したい人は、このサイトに出品しさえすれば、テレワーク・テクノロジーズが提供している、部屋のオーナーがレンタルスペース業務を丸投げできる「テレスペ丸投げ」サービスのノウハウを活かして、すべて代行してくれる。条件としては、最低1坪の個室で、1カ月以上貸し出せるところとなる。

現在テレワーク・テクノロジーズは、「富士通アクセラレーター for Work Life Shift」に採択され、大企業のオフィス分散を支えるサービスの実験を行っているという。テレワークを推進したい企業は、サービス利用とは別に様々な提案が可能なので相談してほしいと話している。

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UberがドライバーにRosetta Stoneの語学レッスンを無料で提供へ

Uber(ウーバー)は、配車を依頼するときに顧客が時々直面する言葉の壁をなくしたいと考えている。同社はDriverアプリを通じた無料の語学レッスンを提供するためにRosetta Stone(ロゼッタストーン)と提携したとThe Vergeが報じている。UberとUber EatsのドライバーはRosetta Stoneの24言語から選んで学習するのにこの機能を使うことができる。配車に関するよくあるシナリオのためにつくられた教材も利用できる。

この語学レッスンを利用するには、ドライバーは対象の国(北米・南米の大半、英国、インド、スペイン)でゴールド、プラチナ、ダイアモンドいずれかのステータスに達している必要がある。

語学レッスンは、他のキャリアイニシアティブとともに導入される。一部の国のドライバーは求職活動に使える成績証書をリクエストできる。

Uberは語学レッスンとキャリアイニシアティブについての論拠を公にしてきた。同社のドライバーの多くは移民か(ローカルの言語に通じていないことが多い)、言語とライドシェアの仕事をチャンスを広げるための鍵としてとらえている。Uberは、同社のサービスのための運転はキャリアパス上の「一時的な立ち寄り」にすぎないかもしれないことに気づいている。一時的な立ち寄りで労働者はワンランク上のステージに進むための良いチャンスを手にする。

Uberにとっては実用的なメリットがある。同社のドライバーがより多くの言語を話すほど、そうしたドライバーは高評価のレーティングを獲得しやすくなり、取引増につながる。キャリア・インセンティブも、より多くのドライバーに、たとえ最終的にドライバー業務をあまり行わないことになったとしても、まずUberに登録しようと思わせるかもしれない。

編集部注:本記事はEngadgetに掲載されている。

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タグ:UberRosetta Stone語学学習

画像クレジット:Getty Images

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(文:Jon Fingas、翻訳:Nariko Mizoguchi

P2P方式レンタカーのGetaroundがワシントンD.C.の司法長官から1.1億円の罰金

Getaround(ゲットアラウンド)は、ワシントンD.C.の司法長官事務所から、無免許営業などの違反行為に対して約100万ドル(約1億1000万円)の罰金を科された。同社がいう「政治的に動機づけられた申し立て」に対する和解の一環だ。

司法長官室は、Getaroundのプラットフォームに掲載されているクルマが盗難されたとの報告を受け、2020年初めから同社の調査を開始した。米国時間7月23日に発表された和解案では、Getaroundが市に95万ドル(約1億450万円)を支払うことに加え、プラットフォームに掲載していたレンタル車両が盗難や破損にあった顧客への賠償金の支払いなどの変更を実施することが求められている。

Getaroundは、2011年にDisrupt NYCで開催されたTechCrunchのStartup Battlefieldで優勝した企業で、個人の自動車所有者がウェブサイトやアプリを利用して、1時間または1日単位で自動車をレンタル貸しすることができる。このサイトは、競合他社のTuroや、家をレンタルするアナログのAirbnbとよく似た方法で仲介を行っている(そして上前をはねている)。同社は多くの投資家の関心を集めており、最近では1億4000万ドル(約154億円)をシリーズEで調達し、ベンチャー企業としての資金調達額は6億ドル(約660億円)に達した。

今回の和解は、いわゆる「自主的なコンプライアンスの約束」であり、罪を認めるものではない。和解文書では、Getaroundが消費者保護法や税法への違反を否定していることが明確にされている。

「ギグエコノミー企業は、実店舗を持つ企業と同じルールを守らなければなりません」とKarl Racine(カール・ラシーン)司法長官は声明で述べた。「特にサービスの安全性について、消費者に明確で正確な情報を提供しなければならず、他の人々と同様に自らが払うべき税金を公正に支払わなければなりません」。

司法省は、GetaroundがワシントンD.C.で無免許で営業し、サービス内容を偽り、レンタカーサービスの安全性について「虚偽または誤解を招くような表示」をしたと主張している。和解の一環としてGetaroundは、車両の損傷や盗難に関するユーザーからの苦情について、ユーザーが問題を報告する方法を含め、書面で方針を作成しなければならない。また「Enhanced Security」ソフトウェアなどの安全機能の限界を明確に開示しなければならない。このソフトウェアは同社のウェブサイトで、使用していないときに車を固定することができると説明されている。また、同社は保険の適用条件をより明確に示す必要がある。

司法省はまた、Getaroundが自社で所有・運営しているクルマの所有者プロフィールを偽装して消費者を欺いたと主張している。同社は今後、保有しているクルマをリストに明記しなければならない。

Getaroundの広報担当者はTechCrunchに対し、司法長官の申し立てに「断固として同意しない」と話した。

「司法長官が認めているように、安全とセキュリティに関しては、GetaroundがワシントンD.C.の特定の車両に影響を与えるセキュリティの問題について通知を受けた後、直ちに是正措置を講じました」と広報担当者は述べた。「Getaroundは、これまで通り損害賠償を請求した車の所有者に補償します。最後に、Getaroundはこの和解案に基づいて支払う租税債務に異議を唱えたことはありません。Getaroundは、ワシントンD.C.に対し、また事業を展開するすべての管轄区域において、適用される税金を引き続き支払います」。

広報担当者は次のように続けた。「司法長官は政治的なポイントを稼ぐことに集中していますが、Getaroundは安全、便利で手頃な価格の自動車を、生活や仕事に必要な地域住民と結びつけることに注力し続けます」。

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タグ:GetaroundワシントンD.C.P2Pレンタカーカーシェアリング

画像クレジット:Photo by Smith Collection/Gado/Getty Images / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

出張シェフが1食600円台で作り置き、シェアダインが急拡大で「年内に全国展開も視野」

出張シェフがユーザーの自宅に訪問し、家族の食事を作り置きしてくれるサービス「シェアダイン」が人気だ。シェアダインは、さまざまな料理に対応できる管理栄養士や栄養士、調理師、レストランシェフなどの「食の専門家」と、食の悩みを持つユーザーをマッチングするプラットフォームサービスとなる。

1度の訪問における合計の出費は、税込み7480円の「フリープラン(シェフの指名なし)」であれば、平均的な食材費3500円を加えて約1万980円で、12品(16食分)の料理ができ、1食当たり税込み686円で利用できる。4人家族であれば4日分、単身世帯であれば2週間ほどの食事量に相当する。

厚生労働省の調査によると、2020年における月間の平均食料消費支出は、2人以上の世帯で約8万円となっている。フリープランであれば、1回の食糧費3500円を加えても、月4回利用で約4万3920円。平均よりも安く消費支出を抑えながら「食の専門家」が作る料理を楽しむことができるのだ。

同サービスを提供するシェアダインは2017年5月に設立し、18年からサービスを始めた。子育てをする中で家庭の食卓に悩みを持っていた井出有希氏と飯田陽狩氏が共同代表を務めている。現在は毎月100人前後が出張シェフとして登録しているなど、急拡大するサービスについて、井出氏に話を聞いた。

出張シェフが無料の買い物代行も

会員登録は無料で、利用方法はシンプルだ。シェアダインのページで、最寄り駅やプランから出張シェフを選ぶことができる。幅広いプランが用意されており、妊活・産前産後や離乳食、生活習慣病、食育、筋トレ、ダイエット、介護、偏食、お弁当など、ユーザーは自身に合った料理を選べる。選ぶだけでなく、アレルギー対応や具体的な食の悩みについても事前にシェフに相談できる。

シェフは食材の買い出し代行も無料で行う。また、訪問した3時間の中で、調理した12品前後の料理について保存方法やアレンジ方法の説明、キッチン周りの片づけまでする。訪問後は、ユーザーからの料理に関する質問に答える他、簡単なレシピの共有にも応じる。

2019年4月からはサブスク型の提供も始め、月2(隔週)のプランで税込み1万4960円からとなる。料金設定はシェフが行っており、シェアダインは20%の手数料を取っている。サブスクは月2回、月3回、月4回とあるが、利用回数とシェフの設定料金を掛け合わせた金額が、月額の費用になる。

なお、どのプランでも食材費は別途かかるものの、買い物代行費や交通費などは表示価格に初めから組み込まれ、プラスされることはない。この他、単発での申込みやお試しプランなども用意している。

コロナ禍におけるシェフを支援

コロナ禍でいわゆる「おうち時間」が増える中、ユーザーとシェフの獲得に弾みがついた。2021年6月時点で、コロナ禍以前(2019年12月)と比べてユーザーは4倍に増えた。ローンチ当初は子育て世帯の利用がほとんどだったが、最近では単身世帯やシニアの利用も増加。単身世帯には家飲みのおつまみプランなどを打ち出した他、オンラインに手を出しづらいシニア向けには電話予約窓口を新たに開設し、新たなニーズの取り込みには力を入れてきた。

一方、シェフの獲得にも尽力してきた。2020年から複数回にわたり「飲食店料理人応援プログラム」を実施。コロナ禍で深刻な打撃を受けた飲食業の料理人が「出張シェフ」としてデビューできるように支援するプログラムを打ち出してきた。

「シェアダインに登録する食の専門家(料理人)は現在1600人に上り、2021年1月からは毎月100人前後が登録しています」と井出氏は語る。シェフ登録時には面談や実技試験、衛生研修などを行う。出張シェフ候補者は実際にシェアダインスタッフの自宅に訪問し、時間内に決められた品数を調理できるかなどを試験するという。

「我われが定めるガイドラインに則った衛生管理項目をクリアしているかなどの他、訪問前のチャットのやり取りも見ています。チャットについても、マニュアルを用意しています」と井出氏はシェフの質の担保には特に気を配っている。

また、サービス提供エリアも拡がっている。2021年6月時点で青森、新潟、東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、群馬、山梨、愛知、岐阜、三重、大阪、京都、奈良、兵庫、滋賀で利用可能。「チャレンジングではありますが、年内には全国47都道府県の展開も視野に入っています」と井出氏は自信をみせる。

「理解してもらえなかった」創業当初の悩み

シェアダインは法人向けサービスの展開も進めている。2019年10月から、従業員向けの食事セミナーや出張料理サービスを合わせた「シェアダインウェルネス」を始め、大企業から医療法人まで導入が進んでいるという。

また、コロナ禍で在宅勤務が増えている中、社員同士のコミュニケーション不足を課題に感じている企業向けに、オンラインクッキングを通じた新たなサービスも始めた。

井出氏は「直近では新しい社内懇親会のカタチとして、300人規模でオンラインのクッキングイベントをプロデュースしました。イベント前に300人の各家庭に当日に使用する食材をお送りし、オンラインでシェフと一緒に料理を作るという仕組みです。まず1つ事例ができたので、これからパッケージとしてどんどん売り出していく考えです」と説明した。

今後の展開について、井出氏はこう語る。「私と共同代表の飯田のように、家庭の食卓に悩みを抱える人は多いと思います。ですが、設立直後、シェアダインのサービスは理解してもらえませんでした。家庭の食卓はまだまだ『女性が考えるべき』といった風潮があり、そもそも話を聞いてもらえないということもありました。だからこそ、そのような悩みを解決策として『出張シェフ』というサービスを当たり前にしていきたい。社会課題として認知が進むようにしっかりと啓発活動も行っていきたいと考えています」。

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タグ:シェアダイン食事レストラン

グローサリー配達のInstacartが新CEOにフェイスブック幹部のシモ氏を指名

グローサリー配達のInstacart(インスタカート)は、わずか7カ月前に同社の取締役会に加わったFacebook(フェイスブック)の幹部Fidji Simo(フィジー・シモ)氏を新CEOに指名した。元副社長でFacebookアプリ責任者のシモ氏は8月2日にInstacartの創業者で現CEOのApoorva Mehta(アプアバ・メフタ)氏の後を継ぐ。Instacartの声明によると、メフタ氏は取締役会会長に就く。

Instacartはシモ氏に代わり、さらなるコメントの求めを却下した。

10億ドル産業の最前線にいる有色人種女性のCEOは、残念ながらまだ稀だ。シモ氏はプロダクトマネジメントに携わっている女性をサポートし、テック業界における女性のキャリアを啓発する非営利組織Women in Productの共同創業者だ。今回の同氏のCEOは就任は、Facebookが同社における数少ない女性のリーダーの1人を失い、Instacartが2021年に従業員数を50%増やすことを計画する中で新たなエネルギーを得ていることを意味する。

予定しているIPOを直前にしてメフタ氏が現役職から退くことは、その稀有さゆえに注目に値する。同氏は10年前にInstacartを創業し、Y Combinatorの2012年夏のプログラムの参加から、直近の評価額が390億ドル(約4兆2850億円)という企業に育てあげた。

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パンデミックによりInstacartは脚光を浴びた。世界中の何百万という人が隔離を余儀なくされ、グローサリーストアに買い物に行くことも含めた対面やり取りの制限に直面した。デリバリーによるサービスへの消費者支出の増大は、Instacartの数十万人という労働者の雇用や、アボカドだけでなく電化製品やスポーツ用品、処方箋薬などさまざまな種類の商品の同日配達の展開につながった。

成長には論争もともなった。InstacartはProposition 22の主要な支持企業としてUber、Lyft、 DoorDash、Postmatesの仲間に加わった。Prop 22はギグワーカーを独立請負業者として分類し、受けられる福利厚生の種類を制限するものだ。最終的に可決されたProp 22は、Instacartの幹部に恩恵があり、配達を行うショッパーにとっては有害だとみられていた。Prop 22の採決は何年にもわたる抗議、賃金をめぐる集団訴訟、ショッパーに不平等な取り決めのために厳しく調査されることになったチップに関するInstacartの大失敗を経てのものだった。

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シモ氏はFacebookに10年在籍し、議論を呼んでいる企業で働いた経験を明らかに持っている。Facebookの最高執行責任者Sheryl Sandberg(シェリル・サンドバーグ)氏はシモ氏の発表にFacebook上でコメントした。

「フィジー、これまでの10年間にあなたがFacebookにもたらした影響に対して非常に感謝しています。Facebookアプリを率いながら数多くの役割を担い、その間、テック業界におけるジェンダーの平等を啓発しました。あなたが進む方向を誇りに思います。あなたを応援しています」。

Instacartはシモ氏について「Facebookのモバイル収益化戦略」の原動力であり、Facebookの広告事業のアーキテクチャのリーダーと表現する。Facebookが従業員を1000人から10万人に増やし、上場企業となる中でシモ氏は同社の規模拡大をサポートした。上場した経験は、ゆくゆくは公開企業になるというInstacartの野心とぴったり合いそうだ。

シモ氏のCEO就任は、パンデミックが落ち着き、世界の一部が経済を再開し始める中でのものだ。Instacartが今後どのように事業を展開し、好調維持という点での新たな困難にどう立ち向かうのか、新章の幕開けとなりそうだ。

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タグ:Instacart人事Facebook

画像クレジット:Instacart

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

200万ユーザー獲得を目指す、モノの貸し借りアプリ「アルススタイル」のピーステックラボが22.7億円調達

200万ユーザー獲得を目指す、モノの貸し借りアプリ「アルススタイル」のピーステックラボが22.7億円調達

50万人が利用するというモノを貸し借りできるサービス「アリススタイル」(Android版iOS版)を運営するピーステックラボは7月7日、総額22億7000万円の資金調達を発表した。引受先は、HTG、SMBCベンチャーキャピタル、SBIインベストメント、SBSホールディングス、コロプラネクストなど12社以上。累計調達額は34億6000万円となった。

代表取締役社長の村本理恵子氏は、所得の格差、無駄の多さ、良い商品が埋もれている様子を見て、消費は所有からシェアに大きく変わる必要があると感じ、2016年にピーステックラボを設立。2018年に借り貸しアプリ「アリススタイル」をリリースした。個人同士、または企業と個人の間でモノを貸し借りできるこのサービスは、借りて使って気に入れば購入もできるフリマ機能「レントアンドバイ」が後に追加された。また不動産、マンション向けの家電品レンタル事業、ANAとのコラボによる旅先で旅行用品を借りて返せる「ANA TEBURA TRAVEL」(エーエヌエー テブラ トラベル)といった事業も展開し、貸し借りを基本としたプラットフォームによる循環型経済のエコシステム構築を進めている。
200万ユーザー獲得を目指す、モノの貸し借りアプリ「アルススタイル」のピーステックラボが22.7億円調達
今回の資金は、「マーケティング・プロモーション活動やプロダクト開発ならびに組織体制の強化」などに使われるそうだ。村本氏によると、「独自技術によるレコメンド機能の強化などのプロダクト開発により、200万名のユーザー獲得を目指します」という。

「アリススタイルが日本を代表するSDGsインフラとなるため、あらゆる業種の企業様やそのアセット、サービス、プロダクトとの連携により、ユーザーのライフスタイルに寄り添う多角的なサービスを展開し続けることで、モノの貸し借りによる体験の平等を実現し、豊かな社会を目指してまいります」とピーステックラボは話している。

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中国で配車アプリDidiがストアから削除、不正個人情報収集疑いで

中国はアプリストア運営事業者にストアからDidi(ディディ)のアプリを削除するよう命じた。このところ中国最大の配車事業者と中国当局の間では緊張が高まっていた。Apple(アップル)の中国App Storeを含むいくつかのアプリストアからDidiがなくなっているのをTechCrunchは確認している。

現地時間7月4日に削除命令を明らかにした中国のネット規制当局は、Didiが違法にユーザーの個人情報を収集していた、と述べた。

Apple、SoftBank、Tencent、Uberなどを投資家に持ち、2021年6月下旬に上場したばかりのDidiは中国のデータ保護規則を遵守するよう命令されていた。

この動きは、中国のインターネット規制当局が今週初めに「国家安全保障上」の懸念でDidiを調査すると発表したことに続くものだ。Didiは6月30日に米ニューヨーク証券取引所に上場した。米国で過去最大のIPOの1つとなり、同社は少なくとも40億ドル(約4440億円)を調達した。

Didiはさまざまなアプリストアからアプリを削除し「修正」を 開始した、と声明文で述べた。また、7月3日に新規ユーザー登録を停止したとも明らかにした。既存ユーザーはこれまで通りアプリを利用できる。

Didiのようにかなり浸透しているアプリがアプリストアから削除されるのは極めて異例だ。2021年3月までの1年間でDidiは年間アクティブユーザー4億9300万人にサービスを提供し、毎日4100万件の取引があると最近明らかにしていた。

Didiの2021年第1四半期の月間ユーザーは1億5600万人で、Uberの9800万人を上回る。中国の公式データでは、2020年12月時点で配車サービスを利用する人は3億6500万人だった。これはDidiがかなりのマーケットシェアを握っていることを示している。

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画像クレジット:Didi Chuxing

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(文:Manish Singh、Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

パリ裁判所がAirbnbに違法掲載で10.7億円の罰金

パリの裁判所が、民泊のマーケットプレイスとして人気の高いAirbnbに罰金を科した。裁判所によると、そのテクノロジー企業は同社のプラットフォームにアパートを載せるにあたってパリ市の規制に違反した。Airbnbはパリ市に960万ドル(約10億7000万円)を払わなければならない。

判決は確定までに数年を要している。世界中の大都市の多くと同じく、Airbnbはパリの住宅市場に何らかの影響力を及ぼしている。多くのアパートが住宅市場から姿を消し、Airbnbの常設のアパートになり、賃料が上がっている。

2017年には、パリの住民は自分の家をAirbnbに載せることがやや困難になってきた。たとえばアパートは、年間120泊以上貸すことができない。そこで家主たちは、常住のテナントからAirbnbの顧客に切り替えることを、ためらうようになった。

民泊プラットフォームは複数あるため、パリ市は登録方式を採用した。自分のアパートをAirbnbに載せたい人は、まず登録をする。するとAirbnbのようなプラットフォームは、登録番号を確認してから、1年で120泊位内までのキャパシティを載せる(市による泊数の管理ができる)。

当初市は、およそ1000件の不正登録のアパートを摘発し、それらの掲載中止を求めた。

2019年にパリ市は、今度はAirbnbを同じ理由で訴訟を起こした。規制はやや変更され、責任をホストとプラットフォームが共有することになり、本日の罰金につながる。

パリ市のIan Brossat(イアン・ブロサット)副市長は声明で「フランスで自治体がテクノロジー大手に勝訴したのはこれが初めてのことになります。ついにプラットフォームが有罪になりました。パリ市民にとってすばらしい勝利です」。

AirbnbはAFPの取材に対して、パリの2020年の掲載物件の95%は、120泊以下の予約だったと述べている。5%の物件が予約泊数の5%を超えていた。

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画像クレジット:Nelson Minar / Flickr under a CC BY-SA 2.0 license.

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

16歳〜22歳は無料使い放題、傘のシェアリングサービス「アイカサ」が「U22応援プラン」を開始

16歳〜22歳は1年間無料使い放題、傘のシェアリングサービス「アイカサ」が「U22応援プラン」を開始

傘のシェアリングサービス「アイカサ」(Android版iOS版)を運営するNature Innovation Group(アイカサ)は6月24日、丸井グループとの協業により日本全国の22歳以下の若者に向けアイカサ無料サービス「U22応援プラン」を開始すると発表した。若者(16歳〜22歳)に使い捨て傘の消費を削減してもらうことで金銭的負担を軽減する。また、使うだけでサスティナビリティを「自分ゴト化」できるアクションとなると同時に、雨の日の快適な移動、熱中症対策向けの日傘としても利用してもらうことで、健康被害の減少にも貢献する。

またアイカサは、今回の企画に賛同する全国の大学・大学ゼミを募集している。自校にアイカサを設置し、学生が無料利用可能なU22応援プランに興味がある学校関係者は、 info@i-kasa.com に連絡するよう呼びかけている。設置の諸条件があるため、詳細について問い合わてほしいとしている。

連携大学一覧

連携大学一覧

プラン概要

  • 16歳から18歳まではアプリ登録だけで使い放題
  • 18歳~22歳までの全員が(学生・社会人問わず)1年間無料でアイカサを使い放題。返却期限は3日間(1回の利用が0円で借りられる期間)。4日目からは通常料金(24時間70円)が発生
  • エポスカード加入で22歳まで無料期間継続にアップグレード(23歳の誕生日の翌月から通常料金に移行)
  • 2本まで同時レンタル可能

16歳〜22歳は無料使い放題、傘のシェアリングサービス「アイカサ」が「U22応援プラン」を開始

プラン適用方法

  • アイカサアプリをインストール(インストール済みの場合はバージョンv1.24.0以上にアップデート)
  • プラン選択画面で「U22応援プラン」を選択
  • 生年月日を入力
  • 必要情報(氏名・電話番号・メールアドレス)を登録し完了。18歳以上は決済登録が必要

アイカサは、2018年12月にサービスを開始した、日本初の本格的な傘のシェアリングサービス。突発的な雨にもビニール傘を購入せずに、アイカサを借りて利用し、雨が止んだ際には最寄りの傘スポットに傘を返却できる。

現在は、東京駅・新宿駅をはじめとする都内全域と関東・関西・福岡・岡山・愛知などでの展開を合わせて、スポット数約850カ所を展開しており、アイカサ累計登録ユーザー数は合計15万人超えを達成した(2021年6月1日現在)。

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空き家の維持管理・⽬視点検サービス「COSOJI」が上天草市および古⺠家再⽣協会と空き家の課題解決へ向け協定

空き家の維持管理・⽬視点検サービス「COSOJI」(コソージ)を提供するRsmileは6月25日、熊本県上天草市および古⺠家再⽣協会熊本と空き家などの適正な管理・発⽣抑制・利活⽤などを通じ、地域の⽣活環境の保全や雇⽤創出と地域活性化に寄与することを⽬的に、相互に連携・協⼒することに合意し、3者間で協定を締結したと発表した。

今回の協定においてRsmileおよび古⺠家再生協会熊本は、上天草市の空き家課題の解決において、経営資源・情報・ノウハウを活用したCOSOJIの推進、共同推進可能な事業の企画・推進を行う。「空き家の発⽣抑制や保全・再⽣」「空き家の保全を地域住⺠の⽅々で⾏うことによる雇⽤創出」「空き家の保全促進のための空き家バンクへの登録数増加」を推進し、地域活性化に寄与する。またCOSOJIを通じて、空き家の所有者が、空き家の点検や掃除を地域住⺠の方に依頼する仕組みを提供する予定。

空き家の維持管理・⽬視点検サービス「COSOJI」が上天草市および古⺠家再⽣協会と空き家の課題解決へ向け協定

熊本県中⻄部に位置する上天草市の⼈⼝は、1960年国勢調査の5万1349⼈をピークに年々減少の⼀途をたどり、2015年国勢調査では2万7006⼈となっているという。また2018年度の住宅⼟地統計調査によると、市の空き家は2920⼾、空き家率は23.3%とされ、人口減少とともに空き家が増加している。

このような状況を受け同市では、空き家の利活⽤の推進・移住定住の促進を⽬的に「空き家バンク制度」を2016年度より運⽤しているという。これにより空き家対策や移住者の増加が進む⼀⽅で、「移住者に紹介可能な物件が不⾜」「登録された物件の中でも成約しやすい物件としにくい物件があり格差が⽣じている」などの課題がある。今回の連携協定は、その解決を目指すものとしている。

またCOSOJIは、「不動産業界の軽作業」と「地域住⺠のライフスタイル」をつなげる、ワークシェアリングサービスとなっている(依頼者向け仕事依頼フォーム働き手向け仕事応募フォーム)。アパート・マンション・戸建てなどの所有者が不動産に関する軽作業(共⽤部清掃、⽬視点検、草むしりなど)を地域住⺠へスマートフォンで依頼可能だ。

COSOJIは3つの特徴として、「地域の不動産業務があつまるプラットフォーム」「スマホで全て完結」「不動産の『今』がわかる報告」を挙げている。空き家の維持管理・⽬視点検サービスは「リーズナブルな金額(1500円/回〜)」で利用でき、「タイムリーな写真報告」が得られ、「物件の問題点・改善提案を受けられる」点がメリットという。

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スキルシェアのビザスクがSMBCヒューマン・キャリアと社外取締役や業務委託などの人材マッチング領域で提携

知識・情報を必要とする企業と適切なアドバイザーとのマッチングサービスを提供するビザスクは6月23日、社外取締役や業務委託などの人材マッチング領域において、SMBCグループの総合人材サービス会社「SMBCヒューマン・キャリア」との事業提携を開始した。

2021年のコーポレートガバナンス・コード改訂をはじめ、企業においては、取締役会の機能向上を目的に独立社外取締役を1/3分以上選任することや、多様な中核人材の確保が求められているという。SMBCヒューマン・キャリアもSMBCグループ顧客企業に社外役員の紹介を行なっており、多様なバックグラウンドの社外役員を求めるニーズが高まってるそうだ。

一方ビザスクは、社外役員候補として、上場企業役員経験者や大手企業の幹部経験者(女性含む)、新規上場経験を有するスタートアップ人材など1000名超のデータベースを保有。社外役員マッチングサービス「ビザスクboard」、業務委託マッチングサービス「ビザスクpartner」を提供していることから、社外役員・業務委託としての活躍を志すアドバイザーから注目を集めているという。

今回の提携によりビザスクは、求職者データベースとは異なる知見データベースの強みを生かし、SMBCグループ顧客企業などの求人ニーズに対して高い専門性を持つ人材との出会いを提供するとしている。SMBCグループ顧客向けに人材戦略に通じた最適な人材配置、ガバナンス確立、多様な雇用形態を訴求するセミナーを共催で開催し、潜在的な人材ニーズについてもフォローアップする体制を構築していく。

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Uberが中南米の食料品配達スタートアップCornershopを完全子会社化

Uber(ウーバー)は中南米のデリバリースタートアップであるCornershop(コーナーショップ)の全株式を取得した。同社株の過半数を取得してからわずか1年後のことだ。現地時間6月21日、ライドシェアの巨人は規制当局への提出書類で、Cornershopの残る47%の株式をUber株2900万株と引き換えに取得すると語った。契約は2021年7月中に完了する予定。

2019年にUberは、Cornershopの過半数所有権を取得する計画を発表した。実際に契約が完了したのは2020年第3四半期になってからで、メキシコでは2021年1月に完了した。今回6月18日に合意に達し、6月21日に報じられた契約によって、CornershopはUberの完全子会社になる。これはUber-Cornershopの関係における当然の成り行きだと本件に詳しい筋が本誌に語った。

この取り引きは、Uberの拡大志向が衰えていないことを示すものだ。Cornershopを完全子会社化することで、パンデミック下に人気が高まっている食料品デリバリー分野を強化できる。Uberは2020年夏にPostmates(ポストメイツ)を企業価値26億5000万ドル(約2920億円)で買収した後、中南米、カナダ、および米国の一部の都市で食料品配達事業を開始した。UberのCEO、Dara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は声明で、同社の食料品および特定分野事業の年間予測取扱高が30億ドル(約3300億円)を超えたと語った。

「Cornershopのチームとのつながりを深め、世界規模への拡大を目指す同社のビジョンを支援するとを大いに楽しみにしています」と同氏は付け加えた。「両社一体となって、食料品の即日配達を世界中のUberプラットフォームで実現する戦略をいっそう強化していきます」。

Cornershopはチリに拠点を持ち、2015年にOskar Hjertonsson(オスカー・ヘルトンソン)氏、Daniel Undurraga(ダニアル・ウンドゥラガ)氏、Juan Pablo Cuevas(ファン・パブロ・クエバス)氏の3名が共同設立した。同社は事業範囲をチリ、メキシコ、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、ペルー、米国、およびカナダの南北8カ国へと拡大した。4回の調達ラウンドを通じて計3170万ドル(約35億円)を調達しており、Accel(アクセス)とJackson Square Ventures(ジャクソン・スクエア・ベンチャーズ)らの投資家が参加している。

Cornershopに目をつけていた食料品サービスはUberだけではない。元々Walmart(ウォルマート)に2億2500万ドル(約248億円)で買収されるはずだったが、メキシコの反トラスト規制当局の介入によって結局成就しなかった。今回の契約が同様なリスクの対象になるかどうかは不明だ。

Uberは食品小売業との厳しい戦いに直面しており、ライバルの多くはDoorDash(ドアダッシュ)やFavor Fleet(フェイバー・フリート)などのスタートアップと提携することで配達を行っている。

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画像クレジット:Cornershop

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook