LiDARのスタートアップOusterが44.5億円を調達、セールスと製品の多様化を進める

LiDARのスタートアップであるOuster(オースター)は、競合ひしめく市場でシェアを勝ち取ろうと、数年にわたり製品ラインの拡大と改良を続けてきた。今、Ousterは4200万ドル(約44億5000万円)を調達したことを発表。この新たな資金を製品開発とセールスの拡大に投入する予定だ。

早い話が、逆風の中で生き残り戦を続けてきたこのサンフランシスコのスタートアップには、進歩の証がいくつか見られるということだ。今回の4200万ドルのシリーズB投資には、従来からの支援者であるCox Automotive、Fontinalis Partners、Tao Capital Partnersはみな参加したものの、新しい投資家の参加はなく、金額も前回の6000万ドル(約63億5000万円)を下回った。Ousterもご多分に漏れず、新型コロナウイルスの影響により従業員を10%削減したことを認めている。

とはいえ、この新型コロナの渦中でラウンドをクローズし、売上げ拡大を継続させようとするOusterの努力は注目に値する。しかも、新型コロナに関連する政府のシャットダウン政策により、サンフランシスコの工場が一時的に閉鎖されている状態にも関わらずだ。事業はこれ以上のレイオフを必要としない程度に伸びており、すべての従業員と臨時作業員の給料も満額支給されていると同社は話している。Ousterは本日までに、1億4000万ドル(約148億2000万円)を調達した。

Ousterは、収益の具体的な数値は公表していないが、12カ月の収益は62%伸びており、第3四半期の売上げは前年比で209%伸びたとのことだ。そのビジネスモデルと幅広い製品ラインを考えれば、この数値にも納得がいく。

LiDARとは、レーザー光線を使って距離を測定し、自動車の周囲の3Dマップを非常に高い精度で生成する装置だ。LIDARは、自動運転車技術業界のほとんどの企業が、ロボットタクシーやその他の自動運転車両の安全な運用には必須のセンサーだと考えている。Elon Musk(イーロン・マスク)氏や一部の企業は別かも知れない)。

しかし、Ousterの技術とビジネスのアプローチは、多くの競合他社とは違っている。

同社のレーザー発生器と光検知機は、集積回路を作るときの標準的な手法(詳しい人にはCMOSといったほうがわかりやすいだろう)によって2つのチップに印刷されている。それにより、個別のコンポーネントを上下に重ねる一般的な方法を使うことなく、目的のソリューションを実現できるという。このアプローチから作られるセンサーは比較的シンプルで、信頼性も高いとOusterは主張する。

「OusterのデジタルLiDARアーキテクチャーは、我々が製品を提供するすべての市場で顧客を勝ち取るという、根本的な優位性をもたらしてくれました。デジタルCMOSテクノロジーはLiDARの未来であり、OusterはデジタルLiDARを最初に発明し、製作し、特許を取り、商業展開した企業です。手頃な価格のこれらのセンサーの解像度階と信頼性を一度でも体験すれば、レガシーなアナログLiDARにはもう戻れなくなります」と、OusterのCEOであるAngus Pacala(アンガス・パカラ)氏は声明の中で述べている。

2020年1月、Ousterは第2世代のLIDAR製品ラインの発売を開始した。それぞれ128本のレーザービームを発する3モデルがあり、1つは都市環境や倉庫の中での自動走行など、さまざまな用途に対応できる。あとの2つは、計測範囲が120メートル、視野角45度の中距離モデルと、範囲が200メートル以上の高速自動運転用の長距離モデル。Ousterによれば、この3つのセンサーはいずれも出荷を開始しており、50種類の異なる設定が用意されているという。

同社のビジネスモデルも、他の多くの企業のものとは違っている。自動車メーカーやロボットタクシーの商品化を目指す企業をターゲットとはせず、より大きな網を投げて事業の多様化を図っている。このLiDARセンサーの販売先にはロボティクス、ドローン、マッピング、防衛、ビルセキュリティー、鉱業、農業などの企業も含まれる。1月に発売を開始した3つの128ビームの第2世代新型モデルの用途は広い。この第2世代は、64ビームの前モデルの発展形であり、解像度が改善されている。

その戦略は功を奏したようだ。Ousterは、2019年3月から顧客ベースを倍増させたと話している。同社によると、現在は15の市場で800の顧客を抱えているとのこと。そこにはKonecranes(コネクレーンズ)、Postmates(ポストメイツ)、Ike(アイク)、May Mobility(メイ・モビリティー)、Kodiak Robotics(コディアク・ロボティクス)、Coast Autonomous(コースト・オートノマス)、米軍、NASA、スタンフォード大学、MITも含まれる。idriverplus(アイドライバープラス)、WhaleAI(ホエールエーアイ)、Hongjing Drive(ホンジン・ドライブ)、qCraft(キュークラフト)といった中国の自動運転車企業への販売も、同社の成長を支えている。

こうした成長を遂げつつも、Ousterは規模の拡大のための資金を必要としている。LiDARセンサーのデザイン、製造、販売は大変な金がかかる仕事なのだ。Ousterは、グローバルなセールスと顧客サービスの能力を高めようとパリ、ハンブルグ、フランクフルト、香港、蘇州にオフィスを開設した。生産施設は2つある。2019年3月にオープンしたサンフランシスコの工場は、以前は新製品を発表する場として使われていたところだ。こちらの生産能力は低い。バリデーションを終えた製品の生産は、Ousterの契約製造業者である東南アジアのBenchmark(ベンチマーク)に渡されている。

現在、Benchmarkでは第2世代センサーを月間数万台生産していると、Ousterは話していた。

カテゴリー:ハードウェア

タグ:Ouster LiDAR 自動運転 資金調達

画像クレジット:Ouster

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(翻訳:金井哲夫)

砂嵐の中で行われたWaymo自動運転車のセンサーテスト

Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転車会社であるWaymo(ウェイモ)は、ここ数年に渡ってフェニックス郊外でのテストを続けている。天気のいい大都市は、自動運転車の技術をテストするのに理想的で簡便な場所のように思えるかもしれない。しかし時には、砂漠があらゆるドライバーにとって危険な場所になることもある 。それが人間であろうとコンピューターであろうと。

この砂漠地域における2つの大きな安全上の懸念は、鉄砲水を引き起こす突然の土砂降りと、砂塵の壁が1500〜3000フィート(約457〜914m)の高さに達し、多いときには100平方マイル(約259平方km)の地域を覆う砂嵐である。2011年7月に起きた記録的な規模の砂嵐は、517平方マイル(約1339平方km)以上におよぶフェニックス渓谷全体を覆い尽くした。

8月23日にWaymoは、フェニックスの砂嵐やサンフランシスコの霧の中を進む自動運転車に搭載されたセンサーが、オブジェクトを検出および認識する方法を示す2つのビデオを含む、ブログ記事を投稿した。フェニックスの車両は手動運転されていたが、サンフランシスコの霧のビデオは自律運転モードで行われた。

Waymoが言うように、このビデオのポイントは、このような非常に視認性が低い瞬間に、車両が物体をどのように認識するのか、そもそも認識できるのかを示すことだ。そして彼らはそれを示した。砂嵐のビデオは、センサーがどのように作動して、ほとんどまたはまったく見ることができない、横断する歩行者を識別するのかを示している。

 

Waymoは、Lidar(ライダー)、radar(レーダー)、そしてカメラの組み合わせを使用してオブジェクトを検出し識別する。霧、雨、あるいは砂埃は、そうしたセンサーたちの可視性を制限してしまう可能性がある。

Waymoは、特定の気象現象の影響を受けたセンサーを切り離すわけではない。その代わりに、霧や砂塵の中であまりうまく機能してないとしても、すべてのセンサーからデータを取り込み続けて、その総合情報を利用して対象物をより適切に識別する。

 

Waymoの最高安全責任者であるDebbie Hersman(デビー・ハースマン)氏はブログ投稿の中で、これは、自動運転車にとっての視界(人間のパフォーマンス上の最大の限界の1つ)を改善する可能性があると書いている。Waymoやその他の自動運転車企業がこの技術で成功することができれば、衝突事故の主要な原因の1つを減らすことになるだろう。米国運輸省は、米国で1年に起きる衝突事故の21%が、天候による影響を受けていると推定している。

それでも、自動運転車でさえ手に余る道路状況が発生することもある。自動運転車の展開を計画している企業にとって、状況が悪化した場合に、その状況を特定するだけでなく、最も安全な措置を取ることができるシステムを持つことが重要なのだ。

ハースマン氏によれば、Waymoの車両は、人間もしくは自動運転車が安全に運転する能力に影響を与える可能性がある、吹雪などの突然の極端な天候の変化を自動的に検出するように設計されている。

問題は次にどうすべきかだ。人間なら、砂嵐の間道路の脇に停車し、車のエンジンを切るだろう。濃霧に遭遇した場合も同様だ。気象条件が悪化して、自動車の安全な運転に影響を及ぼすと同社が考えているレベルに達した場合には、Waymoの自動運転車も同じことをする、とハースマンは書いている。

このビデオとブログ投稿は、テストの方法と場所を紹介するための、Waymoによる最新の取り組みだ。同社は8月20日に、フロリダの豪雨を同社のセンサーが取り扱う方法のテストを始めたことを公表した。フロリダでのテスト実施はデータ収集とセンサーのテストに焦点を当てていて、車両は今のところマニュアルで運転されることになる。

また、Waymoは、カリフォルニア州マウンテンビュー、ミシガン州ノービ、ワシントン州カークランド、およびサンフランシスコでも、その技術をテストしている(してきた)。同社の活動の大部分は、フェニックス郊外と、マウンテンビュー周辺で行われている。

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(翻訳:sako)

センサーデータのリアルタイムデータベースを提供するModeが$3Mを調達(上田学氏談話あり)

企業が、センサーのデータに瞬時にアクセスできるためのリアルタイムデータベースを提供しているModeが、True Venturesの率いるラウンドにより300万ドルを調達した。GigaOm(テクノロジーブログの老舗)のファウンダーでTrue VenturesのパートナーOm Malikが、このラウンドの一環としてModeの取締役会に加わった。

今では多くの企業で、車や携帯電話、各種器具・機器、医療器具、そのほかの機械類などからのセンサーデータがたくさん集まってくる。しかしこれらのセンサーをデプロイしている企業に、データの意味を〔時系列や統計分析などで〕理解するためのバックエンドデータベースがない場合が多い。

サンマテオに拠を置くModeは、企業が大量のデータをクラウドに置いて、彼らのデバイスをもっとよく理解し、次にやるべきことが分かるようにする。今Modeの顧客は、ソーラー、医療、製造業などの業種が多い。

Modeの協同ファウンダーでTwitterの技術部長だったGaku Uedaは語る: “データの収集にフォーカスするのは、共通的なインフラの問題をわれわれが担当して、顧客企業はデータの有効利用に専念してもらうためだ”。

Uedaと、同じく協同ファウンダーでゲーム企業50Cubesの技術部長だったEthan Kanは、長年の友だちだ。True VenturesのMalikによると、彼が投資家として同社に惹かれた理由の一つが、それだった。

そのMalikは言う: “企業は直線ではない。上がり下がりがある。でも、良い協同ファウンダーに恵まれていたら、何でも切り抜けられる”。

今回の資金調達でModeの調達総額は500万ドルになる。Kleiner Perkins, Compound.vc, Fujitsuなども同社に投資している。今回のシリーズAの資金は、クラウドにつなぐセンサーをもっと増やし、チームを拡張するために使われる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

自動運転車を生み出す資金潤沢なスタートアップたち

【編集部注】著者のJason Rowleyは、ベンチャーキャピタルであり、Crunchbase Newsのテクノロジーレポーターでもある。

未来のいつか、車に乗りながら子供が親たちに質問を投げかけるかもしれない。自動車を操縦するのにハンドルとペダルを使っていたのはどれ位前のことなの?と。もちろん、完全に自律走行を行う自動車の形での実現はまだまだ先のことだが、それにも関わらず、その未来を生み出そうと現在努力を続けている企業がある。

しかし、輸送の様相を変えることはコストのかかる事業であり、そのような野心的な目標を達成するためには、通常企業の支援や多額のベンチャー資金が必要となる。最近行われた、深圳に拠点を構えるRoadstar.aiによる、1億2800万ドルのシリーズAラウンドが、私たちCrunchbase Newsに1つの疑問を投げかけた。十分な資金を持つ自動運転車の独立スタートアップは一体何社存在しているのだろうか?

結論を先に言えば、想像されるほどは多くない。さらに調査をするために、私たちはCrunchbaseの“autonomous vehicle”(自動運転車)カテゴリーの中で、5000万ドル以上のベンチャー資金を調達した独立系企業群を選び出した。少しばかり手を動かして整理してみたところ、私たちはそれらの会社が大きく2つのカテゴリーに分かれることに気が付いた。1つは任意の自動運転システムに組み込むことを狙うセンサーテクノロジーを開発する企業、そしてもう1つはセンサーや機械学習ソフトウェアモデル、そして制御機構を、より統合された自律システムに組み込む「フルスタック」ハードウェア/ソフトウェア企業である。

フルスタック自動運転車開発企業

まずはフルスタック企業から始めよう。下の表は、現在市場に存在する独立したフルスタック自動運転自動車会社たちと、その重点分野、本社の所在地、およびベンチャー資金調達総額を示している。

上記にリストされた企業間の重点分野の内訳に注意して欲しい。一般的にこれらの企業は、より一般化されたテクノロジープラットフォームを構築することに集中している。おそらく将来的には大手自動車メーカーに販売またはライセンス供与することになるのだろう。一方自動運転車のテクノロジーを開発するだけではなく、オンデマンドタクシーやその他の移動サービスを展開したいと考える企業たちもいる。

自動運転車の目と耳を作る

センサー側を見た場合、以下の表から分かるように、1つの重点分野に集中する傾向が見られる:

センシング分野の中で最も多額の資金調達を行ったスタートアップのなかには、LiDARテクノロジーを開発するものもいる(LiDARは基本的に自動運転車に深さを検知する「目」を提供する仕掛けだ)。CYNGNはLiDARを含む多くの異なるセンサーを、そのハードウェアとソフトウェアに統合している。同社は以前Cyanogenという名の携帯電話のOSメーカーが大胆な方向転換をしたものだ。

しかし、これらのセンサー企業たちには、また別の問題領域がある、たとえば位置データを収集し、注意散漫な運転を検出するNautoのスマートダッシュカムや、車両間の通信を支援する、AutotalkDSRC技術などだ。(4月にCrunchbase Newsでは、オープンソースのダッシュカムアプリをリリースしたCommaによる、500万ドルのシリーズAについて報告している)。

前述のフルスタックプロバイダとは異なり、これらのセンサーベンダの多くは、自動車業界に対するベンダ関係を確立している。例えばQuanergy Systemsは 、自動車部品の巨人Delphiや、高級車メーカーであるJaguarやMercedes-Benz、そしてHyundaiやRenault-Nissanのような自動車メーカーを、パートナーや投資家として挙げている。Innovizは、同社のウェブサイトによよれば、そのソリッドステートLiDAR技術をBMW Groupに供給している。

レーダーは(そしてLiDARであったとしても)、今や古い帽子ではあるものの、センサーにおける革新は続いている。IEEE Spectrumに書かれたOryx Visionの技術プロフィールによれば、その「コヒーレント光レーダー」システムはレーダーとLiDARにハイブリッドのようなものであり、「前方の道路を照射するためにレーザーを(赤外線と共に)利用しているものの、レーダーのように反射した信号を粒子ではなく波として扱う」そうだ。その技術は、従来のレーダーや新しいLiDAR技術よりも、長い距離にわたって高解像度のセンシングを提供することができる。

スタートアップたちが、大企業の競合他社に対して対抗することは可能なのか?

潤沢な企業資金に裏打ちされた、自動運転車への取り組みは沢山存在している。Alphabetの子会社であるWaymoは、Googleが生み出す巨額の検索利益から補助を受けている 。Uberも、自動運転車への取り組みを行っているが、今年初めに起きた歩行者を死なせた最初の企業となった不幸な出来事を含む、法律上および安全上の課題を抱えている。

Teslaもその車両向けの、運転補助技術開発にかなりの資金を投入してきたが、そのAutopilot(社内自動運転ソリューション)の責任者が4月に辞任したことで、問題に突き当たっている。同社はまた押し寄せる自社の安全性に対する懸念にも晒されている。そしてAppleの自動運転車プログラムは、他のものよりは公表されていないものの、見えないところで開発は続いている。BaiduやDidi Chuxingのような中国の企業も、シリコンバレーにフルスタック型R&D研究所立ち上げた

従来の自動車メーカーたちもまた、争いに乗り込んで来た。2016年には、10億ドルという驚くべき価格での買収で、ゼネラルモーターズはCruise AutomationをそのR&Dの中に取り込んだ。そして、負けてはならじと、FordもArgo AIの大半の株式を、10億ドルで買収した

このことは私たちに疑問を提起する。先に挙げた資金潤沢なスタートアップたちでも、既存勢力たちから市場の優位性を奪うことは可能なのだろうか?あるいは少なくともいい勝負まで持っていくことが?おそらくは。

投資家の現金がこれらの企業に流入する理由は、自動運転車技術によってもたらされる市場機会が、想像を絶するほど巨大だからだ。それは単に車市場だけの問題ではない(2018年には8000万台以上の車が世界では売られると予想されているが)。それはコンピューターにハンドル操作を任せることによって生み出される時間と心の余裕をどこへ振り向けるかという問題なのだ。非常に多くの企業やその支持者たちが、そのパイの小さな断片でいいから手に入れたいと欲しているのは、不思議でも何でもないことだ。

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(翻訳:sako)

画像クレジット: Photo by Caleb George on Unsplash

カマキリに3Dメガネをかけさせて研究したら新しいよりシンプルな立体視覚が見つかった

イギリスのニューカースル大学の研究者たちが、カマキリの上で独自に進化した立体視覚の形を発見した、と考えている。研究チームは、この昆虫の中で起きる現象をできるかぎり精密に研究しようとし、そのために虫の目に3Dメガネを装着した。

上図のように、昆虫の目につけた3dメガネは二色で、蜜蝋で一時的に接着した。そしてチームは、餌食となる虫のビデオを見せ、カマキリはそれに向かって突進した。その点に関しては、カマキリの立体視像の処理は人間のそれとほぼ同じ、と思われた。

しかし人間の3D視覚をテストするために使うドットパターンを見せると、カマキリの反応は違った。彼らの発見は、こう記述されている: “二つの目にそれぞれまったく異なる画像を見せても、カマキリは、変わっている部分のある場所同士をマッチできた。人間にはできないような場合にも、それができた”。

同大によると、その立体視覚の発見によって、カマキリは昆虫の世界で独特であることが分かった。またそれは昆虫だけでなく、猿や猫、馬、フクロウ、人間などそのほかの動物の立体視覚とも違った。カマキリの立体視覚の特徴は、二つの目の間に感受した動きをマッチングさせており、人間のように明るさを使っていない。

Vivek Nityananda博士はこう語る: “これをするほかの動物を私は知らない。このような種類の3D視覚は、現在にも過去にも例がない”。Nityanandaはさらに加えて、この種の3D視覚が過去に理論化されたことはあったが、実際の動物の中に検出されたのはこれが初めてだと思う、と言った。

このシステムは人間の3D視覚よりもそんなに複雑でない過程を経て発達し、カマキリのあまり複雑でない脳でも処理できるようになった、と科学者たちは信じている。そのことは、Nityanandaによると、3Dシステムをなるべく単純で軽量なマシンに実装しようとしているロボティクスにとって良いヒントだ。

彼は曰く、“それはずっとシンプルなシステムだ。カマキリは、両方の目の適切な位置における変化を検出しているだけだ。ロボティクスでは、二つの目の視界をマッチングさせるときに処理する複雑な細部よりも、変化の検出の方がずっと容易に実装できる。必要な計算力も少ない。それなら、はるかに軽量なロボットやセンサーにも組み込めるだろう。

画像提供: Mike Urwin/Newcastle University, UK

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Vayyarが車内状況をモニターする3Dセンサーをローンチ、自動運転車両でも活躍が期待される

自動運転産業の部品サプライヤーたちによって開発されている多くのセンサーは、車両の外で何が起きているかに関する明瞭な画像を得ることに注力している。しかしVayyarの新しい3Dセンサーは、乗客に関する情報などを含む、車内の詳細な情報を提供する。この3Dセンサー技術はまた、光学画像キャプチャを使用しないため、カメラに比べてプライバシーの観点からも優れており、また結果的にどのような照明条件下でも動作することができる。

これらのエンベデッドセンサーは、他のセンシングソリューションに比べて小型で低コストであり、乗客のバイタルサインや、運転手がハンドルの前で居眠りしかけていないかなどの車内の様子を、リアルタイムにモニターすることができる。これはレベル2またはレベル3の自動運転の実現のために利用される可能性はとても大きい、なぜならこれらのセンサーは運転手の注意力をモニターし、車と路上を積極的に人間が見なければならない場合に、しっかりと通知が行われるように、補助をおこなうことができるからだ。

自動運転車はまた、この技術を、実際に車両に乗っている乗客とその位置に合わせて、適切にエアバッグを開くといった形で、安全性の最適化向上のために利用することもできる。未来の自動運転車における車内サービスも、こうした技術を利用することができる。たとえば車内ディスプレイ上に表示される情報内容を調整し、車内環境を調整するといったことだ。

Vayyarはまた、事故の際に、車内の生存者に関する情報の収集と送信も可能だということを指摘している。これによって救急隊に早期の情報を与えることができる。

車内状況のモニタリング以外にも、Vayyar社によって作られた3Dセンサーは、車両の直ぐ近くを監視し(同社によれば)「すべての死角を取り除く」アプリケーションを提供している。光の量に関わりなく、また霧や炎天下といった障害に関係なく動作する特性は、既に指摘したように、光学的センシングハードウェアよりも有利な点を持っている。

Vayyarのプロダクトを支える強力な専門的後ろ盾としては、元Intelのアーキテクチャグループの副社長でありWorldwide Mobile Wireless GroupのGMだった、CEO兼共同創業者のRaviv Melamedも控えている。

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(翻訳:Sako)

この伸縮する耐久性の高いセンサーは衣服に織り込むことも可能だ

もし私たちがIoTに関わらなければならないのなら、衣服もその仲間に入れないことには意味がない。しかし、衣服は着用され、洗濯され、束ねられ、折りたたまれなければならない。そうした扱いすべてに耐え得る電子機器を作るのは困難だ。それでも多くの試みが重ねられて来ている。その最も新しい試みの1つが、ハーバード大学ウィスインスティテュートによるものだ、これはシンプルだが効果的なレイヤー手法を用いて、耐久性がありカスタマイズ可能な、柔軟なセンサーを生み出すものだ。

これはとても基本的なものである、すなわちシリコンの充填物の上下を導電性の布地の層で挟んだ素材のサンドイッチだ。布地が伸びると、シリコーンは薄くなり、導電層が互いに接近して、それらの間の静電容量を変化させ、異なる電気信号を生成する。

液体シリコーン上に布を置くことで、加工を可能にし、層を物理的に固定化されたものにする。このため信号はより予測可能となり、布地はいつでも基本静電容量に戻ることができる。その一方、わずかな曲げや伸びがあっても、測定可能な変化が生じる。また、任意の大きさと形状の布片に細断しても機能する。

チームは複数の素材を組み合わせて作った手袋で、個々の指の微妙な動きが簡単に検知できることを示した。

この素材について説明した論文の、共著者の1人である大学院生のVanessa Sanchezは、ハーバードのニュースリリースの中で「センサの感度が高いということは、手全体を開いているか握りしめているかだけではなく、1本の指をわずかに動かすなど、小さな動きを区別する能力があることを意味します」と語っている。

これはスポーツからバーチャルリアリティまで、あらゆる種類の産業に対して恩恵をもたらすものかもしれない。身体追跡を行なうための現在の手段は、例えば拳に装着する外骨格のようなものや、運動着の内側に付けるストップウォッチサイズのトラッカーなどのように、硬く奇妙なものが多い。

とはいえ、この材料はまだ初期の段階だ。信号は非常にシンプルなので、慎重な工夫を凝らすことなしに、方向性を持たせることは基本的にはできない。つまり、システムは対象が曲がっていることは検知できるが、左右のどちらに曲がっているかを検知することはできないのだ。とはいえ、私は賢いエンジニアが、信号処理か、異なる切断方法を行って素材に貼り付けることによって、この問題を解決してくれると信じている。

チームはAdvanced Materials Technologiesの最新号作成手順を詳述している。もし自分で試してみたいと思っている人は、ハーバードのSoft Robotics Toolkitページでも詳細を読むことができる。

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(翻訳:Sako)

パナソニックはTeslaへのバッテリ供給だけではなく、自動運転技術での協業にも意欲

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パナソニックは、バッテリ事業でのTeslaとの協業関係が実りあるものになったことを受けて、Teslaとの更に近い協業関係を望んでいる。この日本企業は、Teslaにセンサの共同開発を提案することで、その自動運転システムの製造に食い込むことを考えている。

パナソニックの津賀一宏社長は、木曜日(米国時間19日)に配信されたロイターによるインタビューの中で、Teslaの自動運転技術への意欲を表明した。

「Teslaの自動運転システムに大変関心を持っています」と、津賀社長はロイターに語った。「私たちは両者の協働関係をデバイス、例えばセンサーの共同開発を通して、拡張していけたらと思っています」。

現在パナソニックは、Model SならびにModel Xを含む、Teslaの車載バッテリーを独占的に供給するパートナーである。同社はもうすぐ発売されるModel 3に対する供給も行う。Teslaはこのモデルを初年度に50万台売ることを目標にしているため、供給量の大幅な増加が要求されることになるだろう。

パナソニックはTeslaのGigafactoryの共同出資者であり、50億ドルの設備のうち16億ドル分を負担している。そしてこの先Teslaのソーラーエネルギー製品で、さらに緊密な協働作業を行う予定である。同社はまた、CMOSイメージセンサーも製造していて、現在は高速で移動する物体を、通常現れる歪を起こすことなく検知する新しいバージョンの開発に向けて、取り組みが進められている。

イメージセンサーは自動運転車の基幹部品の1つである、この精度が上がれば上がるほど、写真イメージ、レーダー、そしてライダー(LiDAR)センサー情報を統合して得られる統合センサー情報の質が向上する。

パナソニックとセンサー技術でチームを組むことで、テスラはその部分の技術を更に社内に取り込むことができるようになる、この動きは、より安いコストで高度な統合システムの構築を狙う、元Googleの自動運転車プロジェクトのWaymoの戦略に倣ったものだ。

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(翻訳:Sako)

Arduinoが本格的IoTキットを発表、Kickstarterで募集中

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かつてのハードウェアメーカーは、ただのハードウェアハッカーでは彼らの発明品を再現できないだろうという認識のもとで安心していた。ソニーからフィリップス、そしてLGからサムスンに至るまで、家電業界は固く閉ざされていて、そのケースにだれもヒビをいれることができなかった。あの厄介なArduinoキッズがやってくるまでは…。

今では、Arduinoのおかげで誰もがクールなハードウェアを作成できて、あなたのデバイスををインターネットに接続して外界からデータを取り込むことも、これまでになく簡単になっている。ESLOV IoT Invention Kitは、あなたのハードウェア製品にIoTの能力を加えてくれる、Arduinoの公式製品だ。サムスンを出し抜くようなネットワーク接続冷蔵庫を作ろうとしている?ESLOVを使おう。ソニーをその地位から追い落としたい?Arduinoボードの上にESLOVの1つを装着して、有名家電メーカーとの競争をリビングから始めよう。

ESLOVシステムのことは、筋肉強化剤を処方されたMindstormだと考えてみよう。この自称「プラグアンドプレイツールキット」は複数のセンサーと出力を接続し、様々なシステムの構築をさせてくれるのだ。以下の図は可能な組み合わせの一部を示したものだ。すべてはArduinoのオンラインIDEを介して制御されている。

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システムは様々なセンサと、1つのWi-Fiハブで構成されている。興味深いことに、各センサはArduino UNOにも搭載されているATmega328Pプロセッサで動作している。エントリーレベルの99ドルのキットには、WiFiとモーションハブ、ボタン、ブザー、そしてLEDが含まれている。499ドルのProモデルには、ホールセンサ、OLEDディスプレイ、そしてGPSなどの合計22モジュールが含まれている。とはいえ、中間の249ドルのキットには、始めるために必要なものは全て含まれているように見える。

同社は、Kickstarterで資金調達を試みているが、その予定額は50万ドルに及ぶ。これまでに集まったのは1万5000ドルだが、メイカーコミュニティからのささやかな愛に支えられて、予定は達成できると私は思っている。キットの出荷予定は来年の7月だ。

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(翻訳:Sako)

センサーで高齢者の転倒を予測する

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転倒は酷い出来事だ。それは高齢者に恢復できない被害をもたらし、そして転倒への恐れが、高齢者の動きを劇的に減らしてしまい、不幸な悪循環へと陥らせてしまう。このたびミズーリ大学の、Sinclair看護学校とエンジニアリングカレッジの研究成果によって、介護者が被介護者の転倒を最大3週間前に予測し、必要になる前にケアと援助を用意できるようになった。

システムはウェアラブルではなく、カメラを使って歩行速度と歩幅を評価する。研究者たちが発見したのは「歩行速度が毎秒5センチ遅くなると、その次の3週間で転倒する可能性が86.3%あること」である。さらに、歩幅が短くなることで「次の3週間で転倒する可能性が50.6%に及ぶこと」も分かった。これらの2つのデータを使って、介護者は手に負えなくなる前に、用意をすることができる。
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「高齢化という言葉が、成人である彼または彼女が突然独立性を失うこと、を意味するべきではありません」と、看護学の名誉教授であるMarilyn Rantzは語る。「しかしながら、多くの高齢者にとって転倒のリスクは、どれだけ長い期間独立したままでいることができるかに影響します。ある人に転倒のリスクがあることを予測することができれば、介護者に必要なケアを行わせ、高齢者が可能な限り長く独立していられることを助けることができます。

チームはミズリー州コロンビアの老人ホームTigerPlaceに彼らのシステムを設置している。その場所の周りにセンサーを設置し、「不規則な動きが検出されたとき」電子メールの警告が送られるようになっている。これはインテリジェントなテクノロジーの偉大な利用法のひとつであり、ウェアラブルを必要とせず、完全に受動的な目立たないシステムである。

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(翻訳:Sako)

Featured Image: Thanasis Zovoilis/Getty Images