コロナ禍でオンライン化が一気に進んだ英会話カフェのLanCulが1.2億円を調達

英会話カフェサービスを展開するLanCul(ランカル)は7月8日、京都に拠点を持つ栖峰投資ワークスが運用するイノベーションディスカバリー1号ファンドとエンジェル投資家を引受先とした第三者割当増資、および三井住友銀行からの借入により、総額約1.2億円の資金調達を完了したことを明らかにした。今回の調達は、2018年9月に発表した約5600万円の調達に続くものとなる。

コロナ禍でオンライン化が進んだLanCul

LanCulは2013年2月創業。カフェやバーと英会話を組み合わせた、いわゆる「英会話カフェ」サービスを展開する。直営店の下北沢以外では、現在、東京近郊で20店舗のカフェ・バーと提携し、空席をシェアする形で“英会話を楽しむ空間・コミュティ”を提供している。

サービスは、グループトークの「CONNECT」、マンツーマンの「MY CONNECT」とイベント参加型の「HANGOUT」の3種類。中核サービスのCONNECTでは、「メイト」と呼ばれる海外出身のスタッフとの会話を少人数グループで、各店舗またはオンラインで楽しめる。

CONNECTの料金体系は、いつでも通い放題のプランで月額1万9980円、平日夕方のみ通い放題のプランが月額1万2980円、平日午後のみ、または土日祝日のみ通い放題のプランでは、それぞれ月額9980円(いずれも税抜価格)。このほかに月4回・月2回利用可能なプランと、単発で1セッション(50分)だけ利用できるプランがある。月額制の通い放題各プランでは、規定の日時の範囲内であれば、何回でも、何時間でも利用が可能だ。

オンラインでのセッション機能は、新型コロナウイルス感染拡大を受けて4月1日から始まったものだ。LanCul代表取締役CEOの阪野思遠氏は「オンラインとオフラインの両方を、シームレスに体験できるようにした。通い放題も、オンラインとオフラインのどちらでも実現できるようになっている」と話している。

LanCulでは専用アプリまたはブラウザのマイページで、話したいメイトと場所・時間からセッションを選択して予約するのだが、オンラインセッションについても、店舗のセッションと同じ感覚でワンタップで予約が可能。この機能は、ビデオ通話の部分にはZoomを利用し、2週間で開発したという。来月からは、現在空いているセッション・メイトをリアルタイムで選択して、すぐに参加できるアップデートも予定しているそうだ。

今回、オンラインセッションを加えるために、アプリ・マイページのインターフェイスを改善したことで、「これまでLanCulが課題としていたことも、あわせて解決できた」と阪野氏はいう。「ユーザーは、全21店舗プラス、オンラインまで選べるとなると、何を選べばいいか選択肢が多すぎて迷ってしまう。そこで選択の流れをサジェストできるように、各ユーザーがフォローしているメイトや、よく行く場所を優先して表示できるようにした」(阪野氏)

以前から阪野氏は「コミュニティの濃さによる安心感がLanCulの特長」と話しているのだが、今回のUI/UX改善のメリットについても「よく知ったメイトやメンバーがいることで、ホーム感が生まれて、通うのがおっくうにならない」ことだと語っている。

調達でコミュニティの強化をさらに重視

コミュニティ重視という面では、2018年11月から提供されている、国際交流イベントの「HANGOUT」がある。カフェを飛び出して、メイトとアクティビティや文化を体験できる少人数のイベントだ。以前はカラオケやピクニックなどのイベントが行われていたが、外出自粛や緊急事態宣言の発令を受けて、現在はメイトが企画する異文化体験をオンラインで楽しむ形式で提供されるようになっている。

HANGOUTイベントのオンライン化を試みたLanCulでは、オンライン飲み会などを開催。これも「評判が良かった」と阪野氏はいう。

「コロナの影響もあるが、情緒的なつながりが僕らのサービスには求められている。利便性だけでなく、コミュニティ、居場所としてLanCulを使ってもらいたい。以前から、カフェには営業時間があるので、終了後にメンバーが『もうちょっと話したいね』ということでラーメンを食べに行くとか、自然発生的に場所を変えて話を続けることはあった」(阪野氏)

資金調達によって、こうしたコミュニティの機能を強化したいと話す阪野氏。そこで、これまで月額2980円の追加料金が必要だったHANGOUTを、CONNECTなどで月額通い放題プランを利用するマンスリーメンバーには、8月から無償で開放する予定だという。「当初はオプションサービスとしてHANGOUTを立ち上げたけれども、お金を取るものとしてではなく付加価値としてアドオンすることで、コミュニティとしての英語サービス、英会話が実現できるのではないかと思っている」(阪野氏)

前回調達時の取材で、中国出身の阪野氏は自身の経験から「カルチャーを受け入れて好きになること、知りたいと思う気持ちができたことで、友人もできるようになり、言葉もわかるようになった」「コミュニケーションの濃さ、モチベーションの高さが外国語を身に付けるには重要」と話している。

今回も「英会話で継続が大事というのはみんな分かっている。ただ、それをどう達成するかの方法論や環境がないだけ。そこで僕らが自然とモチベーションが上がるような環境を作れば、結果的に普通に勉強していたときよりも上達する、というのがLanCulのコンセプトのひとつ」と阪野氏は語る。

調達資金の使途として、阪野氏はさらに「データサイエンス、リコメンドのアルゴリズムの強化も図る」と話している。

阪野氏はLanCulがユーザーに喜ばれている点を次のように説明する。「英会話スクールで1人の講師に10回教わるとなると、新しい発見がなく、飽きてしまう。一方、講師と都度マッチングする英会話サービスは、10人の講師に1回ずつ、5人の講師に2回ずつといった形で当たることで、新たな発見はあるが、毎回はじめから自己紹介するようなもので、コミュニケーションが積み上がらない。LanCulでは、3人に3回ずつ当たるような位置づけで、複数のメイトやメンバーと複数回のコミュニケーションができるところが特徴になっている」(阪野氏)

その裏側で蓄積しているのがユーザーの行動データだと阪野氏は言う。「今までも、コミュニティに溶け込んだ人ほど、上達のハシゴを急速に登れていた。データとアルゴリズムで、この人ならこのメイト、この場所、このメンバーがおすすめという、リコメンドを強化していきたい」(阪野氏)

またエリア拡大にも投資していくと阪野氏。「オンライン化は進めたが、オフラインだからできることもある。対面の臨場感や、飲み物などを飲みながらリラックスして話せる環境はオフラインならではのもの」(阪野氏)

現在は東京・神奈川の21店舗でサービスを展開するLanCul。アパレルブランドJOURNAL STANDARDなどを展開するベイクルーズ運営のJ.S. BURGERS CAFEなどとも提携しており、「提携により関東のネットワークはこれからも広げていく」と阪野氏はいう。

「新型コロナの影響で、緊急事態宣言が解除された後も、飲食店は苦しい状況が続いている。純飲食の危うさは今回浮き彫りになり、店舗はコンテンツを求めているところ。LanCulはお店にコミュニティを根付かせるコンテンツになる。提携によって、店舗も我々もメリットを得ることができる」(阪野氏)

英会話以外でも好奇心を満たすサービスの展開図る

写真前列左端:LanCul代表取締役CEOの阪野思遠氏

「LanCulは『Language(言語)』と『Culture(文化)』を軸にしている」として、阪野氏は今後のLanCulの展開について、こう述べている。

「英語だけでなく、ほかの言語、さらには習い事や自己実現もサポートし、言語もそれ以外の領域もカバーしていきたい。データは蓄積しているので、次にユーザーが何をしたいかも分かってくるはず。コミュニティから生まれるつながりから、チャレンジを支援することで、自分らしさ、生き方を見つけるサポートをしたい」(阪野氏)

これは教育のトレンドでもある、と阪野氏。「IQからEQヘ、知能から感情へという教育の動きは、生産性から生き方の豊かさへの変化でもある。これからのデータ時代はさらに好奇心を尺度にした、CQになるだろう。好奇心が満たされるサービスを英会話の切り口からほかへも展開していきたい」(阪野氏)

また、これまでアプローチがあまりできていなかった無料登録ユーザーに対しても、アプローチしていくと阪野氏は言う。「ロイヤルティの高いユーザー中心に施策を打ってきたけれども、1.5万人いる無料ユーザーにもオウンドメディアやYouTubeなどのメディアを使って、新しい価値観を発信していきたい。ゴリゴリにサービスを利用していない人の生活にも変化を起こせたら」(阪野氏)

前回調達時から、マネジメントチームも成長し、組織も強くなったと語る阪野氏。エンジニアもチームの3分の1を占めるまでに人数を増やしているという。新型コロナの影響で、オンライン化が進んだことについてはポジティブに捉えている阪野氏は、「もともとオンラインの構想はあったけれども、コロナで踏み切れた。ほかに手がけることもなかったので、リソースをかえって集中でき、数週間でオンライン機能の追加もできた」と話している。

「今回は東日本大震災のときと違い、メイトは帰りたくても帰れない状況だが、一方でオンライン化が進んだことで、これまでにワーキングホリデーの期限やビザの関係で帰国したメイトともつながれるようになった。仲良くなったメイトとは、オンラインでの対話のハードルも低いし、今後、海外へユーザーが出かけられるようになった時には、現地でつながることもできる。これは我々が目指す世界に近い」(阪野氏)

TikTokは米国での禁止に直面し、中国政府の統制が強まる香港からの撤退を発表

世界で最も人気のあるショートビデオアプリが、世界中の政治家たちの標的になっている。

米国時間7月6日の夜、米国務長官のMike Pompeo(マイク・ポンペオ)氏はFox Newsに対して、北京政府による監視やプロパガンダの道具として使われる懸念があるため米国政府はTikTokの禁止を「確かに検討している」と述べた

米国での禁止が本当になったならば、最近、最大の市場であるインドをを失ったTikTokにとって、それに劣らぬ大きな打撃となるだろう。

ポンペオ氏の声明に続いて今度はTikTokが、国家安全保障法の公布により、北京政府から前代未聞の統制の波にさらされている香港から撤退すると発表した。

TikTokのスポークスパーソンは「最近の一連の出来事を踏まえて、私たちは香港におけるTikTokアプリの運営を止めることに決めた」と述べている。その後同社から、この決定に関するさらなるコメントはない。

声明は曖昧ため、多くの疑問が残る。ByteDanceは検閲を通ったバージョンのアプリを香港でローンチするのか、おそらくByteDanceの中国チームが運営している姉妹アプリであるDouyinに置き換わ置き換わるのではないかと考える必要がある。

中国の連続起業家であるZhang Yiming(張一鳴)氏が創業したByteDanceは、TikTokを中国人の所有権切り離し、北京の検閲とは無縁なものにしようと努めてきた。その努力の中には、TikTok用のデータセンターを海外に置いて中国当局の手が及ばないようにしたり、モデレーションのチェック過程に外部専門家を参加させたり(未訳記事)、アプリの新しいグローバルな顔としてディズニーのKevin Mayer(ケビン・メイヤー)氏を起用したり(未訳記事)といったことがある。

しかし香港の情況に対する同社の対応は、今やこのアプリを率いるトップであるメイヤー氏によってなされたと思われるが、欧米のテクノロジー大手の決定とは対照的である。Facebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)、Twitter(ツイッター)そしてTelegramなどは今週口を揃えて、香港政府からのデータ検査のリクエストを拒否または保留にするとしている。

彼らの態度は中国政府による検閲や監視に対する断固たる拒否と見られているが、香港における次のステップを考えるための時間稼ぎとも見られている。香港からの自発的撤退か、禁じられるまで現状続行か、あるいはこれは最もありそうにないが北京政府のルールに従うか。

TikTokによると、同社の香港のユーザー数は2019年9月現在で15万人であり、2020年4月に全世界で20億回ダウンロードされたアプリにとってはほぼ無視することができる数だ。TechCrunchはこのアプリが香港でとても小さなチームが運営していると理解しており、香港を去ることのスタッフに与える影響は、同社全体から見れば限定的であるようだ。

画像クレジット:JOEL SAGET/AFP / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

オリィ研究所が分身ロボット利用の新しい働き方を開拓するプロジェクト公開、パイロットを募集

オリィ研究所 AVATAR GUILD

オリィ研究所は7月7日、外出困難な人達が分身ロボットOriHime(オリヒメ)のパイロットとなり、新しい働き方を開拓するプロジェクト「AVATAR GUILD」(アバターギルド)を開始した。

AVATAR GUILDは、育児・介護、難病や障害など様々な理由で外出困難となっている人が、企業・自治体とともに新たな働き方の開拓を目指すプロジェクト。従来在宅での就労が困難だった意欲のある方が、分身ロボットカフェで就労訓練を受けることが可能。また企業への就労も支援する。

オリィ研究所は、就労経験がない、あるいは10年以上働けていないなどブランクがあっても、トレーニング、就労準備、就労定着まで従来以上にフォローする体制を構築。社会参加したい方が働ける事例を増やすとともに、 障害を持つ方の雇用を検討、あるいは慢性的マンパワー不足を感じる企業も支援する。

パイロット希望者は、公式サイトでのパイロットエントリー登録後、書類審査および面談(ビデオ面談)による合否を経る必要がある。審査を通過するとオリィ研究所公式パイロットとして登録される。オリィ研究所では、採用を検討している企業の募集も行っている。

オリィ研究所は、2012年より、外出困難な人々が外の世界への参加を実現する遠隔操作型ロボット「OriHime」(オリヒメ)、「OriHime-D」(オリヒメディー)を開発・提供。

2018年には、遠隔操作型ロボットがオーダー、給仕などの接客を行う「分身ロボットカフェ」を期間限定で開催。重度障害者を雇用するなど、分身ロボットを活用した新しい働き方の実証実験を実施。これを受け、従来困難だった重度障害者やテレワークでの雇用に関心のある企業・自治体からの問い合わせ、分身ロボットでの在宅就労を希望する外出困難者が増加したという。すでに過去1年間で、神奈川県庁、日本電信電話、日本マイクロソフト、共和メディカル、三菱地所ホームなどにおいて、難病や重度の障害などで外出困難な方々を紹介し、就労を開始している。

オリィ研究所 AVATAR GUILD

オリィ研究所は、PC・スマホから操作できる分身ロボットを使えば、入院中、重度身体障害があり首から下を動かせなない、あるいは育児や介護、感染防止などで外出が困難という場合でも、カフェ・受付での接客や案内、会議への出席、講師や秘書など、これまでテレワークでは困難だった業務を行えるとしている。

オリィ研究所 AVATAR GUILD

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大分県が高校生と連携・協働しシビックテックに挑戦する地元企業を募集

OITA TECH WAVE

大分県は7月7日、オートバックスセブン協力のもと、大分県立情報科学高等学校の高校生の感じる身近な生活課題に対して、高校生と連携・協働しソリューションの開発や展開に挑戦する地元企業を募集する「OITA TECH WAVE~2ndwave~」を発表した。

大分県では、県民・民間事業者が主体となり、テクノロジーを活用し地域の課題解決を図るCivic Tech(シビックテック)を推進するべく、「OITA TECH WAVE」(オオイタ テック ウェーブ)を展開。

今回の募集は、大分県立情報科学高等学校商業科3年生の授業「課題研究授業」において、高校生が提起した身近な課題に対し、提案者(地元企業)がITやIoTなどのテクノロジーを用いたソリューションの開発・展開を行うというもの。提案者(地元企業)は、高校生5チームが提示した課題の中から取り組みたいものひとつを選び、具体的な解決策を提案する。課題としては、「学校に行くとき、荷物が重く疲れる」、「道端のごみを減らしたい」、「電車やバス以外の移動しやすい手段を見つける」などが挙げられている。

  • 参加資格: 大分県内に事業所を有する事業者など
  • 課題:
    ・高校生チーム(5班)が示すものからひとつを選び、具体的な解決策を提案すること
    ・課題解決に向けたITおよびIoTソリューションを開発し、年度内にリリースすること
  • 条件:
    ・「課題研究授業」に月1回程度参加すること(毎週火曜日午前または金曜日午後)
    ・令和3年(2021年)1月末実施予定の発表会に参加すること
    ・課題解決にあたっては、情報科学高校の授業の中で、生徒達と意見交換・連携しながら進めること
    ・ソリューションは、県に納品し県が展開するわけではない点に留意すること。また、課題を解決するものであれば必ずしも開発が必要なわけではなく、既存技術の組み合わせでもよい
    ・次年度以降も、当面の期間(1年間程度)は、県民や県内事業者が無料あるいは廉価で使えるなど、県内の課題解決および普及拡大に向けた措置をとること など
  • 提案募集期間: 8月4日午後5時15分必着
  • 提出方法: 「『OITA TECH WAVE~2nd wave~』高校生との共創による新時代の課題解決推進委託業務企画提案協議のお知らせ」掲載の提出先に、直接持参または簡易書留郵便などにより提出
  • 採択: 予算額(250万円)の範囲内で採択

大分県立情報科学高等学校では、大分県とオートバックスセブンとが締結した包括連携協定のひとつ「女性活躍推進・青少年の育成」の一環として、2020年4月から日本初の民間企業による公立高校「常駐」という連携体制を実施。校内に最新ICT機器・技術に触れられるラボ「WEAR+i(ウェア アイ)コミュラボ」を開設している。地域の課題を地元高校生ならではの発想を生かしながら解決するプロセスを学び、地域社会との連携・協働により産業で必要とされるスキルを備える人材を育成する授業「課題研究授業」を展開している。

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2016年、市民により良いサービスを提供するために行政はいかに変わるのか

女性起業家を支援するために女性が設立したVictress Capitalが2つ目のファンドを組成

米国における起業の40%は女性によって行われているが、彼女たちが受け取っているベンチャー資金はわずか3%に過ぎない。このような極端な資金のギャップが、チャンスに悪影響をもたらす可能性があることを理解するためには数学の才覚は不要だが、もし自分が数学に関心があって、長年投資家を続けてきていて、しかもたまたま女性で、他の男性たちよりも特定の商品や提案をよく理解しているなら、役立つ場面もある。

これが2016年にボストン郊外でVictress Capital(ビクトレス・キャピタル)を創設した2人の女性、Lori Cashman(ロリ・キャッシュマン)氏とSuzanne Norris(スザンヌ・ノリス)氏はそう考えていた。Victress Capitalは消費者に目を向けたシードならびにアーリーステージファームで、その2つ目のファンドを2200万ドル(約23億7000万円)で組成したばかりだ。ファンドの目的は性別に多様性のあるチーム(すなわち創業者チームに少なくとも1名の女性がいるチーム)を支援することだ。

キャッシュマン氏はデューク大学の卒業生で、投資家としてのキャリアを重ねてきた。以前はオーナービジネス専門に投資を行うプライベートエクイティ会社のLinear Capital(リニア・キャピタル)を共同創業したこともある。一方、ハーバード大学から2つの学位を取得したノリス氏は、投資銀行アナリストや経営コンサルタントを務め、Kate Spade(ケイト・スペード)では、ほぼ4年に渡って副社長としてeコマースに注力した。

親しい知人だった2人が、自分たちの「認知の多様性」を高めるたちに協力したのが始まりだったとキャッシュマン氏は語る。2人は実績を打ち立てるために、友人や家族から200万ドル(約2億1500万円)をかき集めた。

最終的に彼女たちはそのお金を、10万ドル(約1100万円)から15万ドル(約1600万円)の資金として14のスタートアップに提供した。それらのいくつかは既に買収されている。無音で装着可能な搾乳器を販売するMoxxly(モクスリー)は、2017年に大手搾乳器メーカーであるMedela(メデラ)に買収された。2019年夏にその製品は終了してしまった(Crunchbase記事)が、キャッシュマン氏とノリス氏は、Randi Zuckerberg(ランディ・ザッカーバーグ)氏もその1人である投資家たちがお金を取り戻すことができて、当時非常に強力な戦略的パートナーのように思われていた会社に買収されたことは嬉しかったと述べている。2番目のポートフォリオ企業であるWerk(ワーク)は、シカゴを拠点とするスタートアップであるThe Mom Project(ザ・マム・プロジェクト)に非公開の条件で最近売却された(AmericanInno記事)。

その他の投資先には、これまでに投資家から4300万ドル(約46億円)を調達した消費者直送の有機食品デリバリービジネスのDaily Harvest(デイリー・ハーベスト)、これまでに400万ドル(4億3000万円)を調達したより暗い肌の色合いの女性に対応する化粧品会社であるMented Cosmetics(メンテッド・コスメティクス)、そしてこれまでに300万ドル(約3億2000万円)を調達したLAを拠点としたオーガニックベトナムコーヒーを製造する若いスタートアップのCopper Cow Coffee(コパ・カウ・コーヒー)がある(調達額はいずれもCrunchbaseによる)。

こうした経緯を経て、より大きなファンドの組成のアイデアが生まれた。Victressの若いポートフォリオが成熟するにつれ、若い革新的なスタートアップたちに投資するのはもちろん、ブレイクした成功企業たちに、より多くの投資をできるようにするためだ。実際、その目的に向けて、Victressはそのチームにここ数年資金を積み上げていたのだ(その最新の資金の大部分は家族から得たもだった)。そして2020年2月に、VictressにKate Castle(ケイト・キャッスル)氏が加わった。長年Flybridge Capital Partners(フライブリッジ・キャピタル・パートナーズ)のマーケティングパートナーを務め、後にXFactor Ventures(エクスファクター・ベンチャーズ)をパートナーとして共同創業した人物だ。2018年には以前Victressのインターンで、現在は副社長に就任しているハーバード・ビジネス・スクール(HBS)卒業生のMadeline Keulen(マデリーン・キューレン)氏も採用した(ノリス氏の経歴とネットワークにより、Victressはハーバード大学ならびにHBSとの間にある種の契約を結んでおり、普段HBSの学生をインターンとして受け入れている)。

チームや新しい資金を集めるのは簡単ではなかった。ノリス氏は冗談めかして、その2000万ドル(約21億5000万円)を、機関投資家の視点から「無人の土地」だと呼ぶ。ファンドの組成は終わったばかりだが、そのための資金集めは2018年の後半から始まっていて、新しい投資資本の25%に相当する資金が既に7つのスタートアップに投資されている。

そして、彼女たちは長期的な取り組みをしており、その過程で行った関係構築は将来報われると考えている。この2つ目のファンドをフォローしている機関投資家たちや、これまでに共同投資を行った国内のVCたちの両方から、多様性のある創業者チームを抱えるスタートアップを検討する際に、Victressに声がかかるようになったのだ。

もちろん、投資先の大成功も役立つはずだ。それが実現するかどうかを今知ることは不可能だが、現在チームはミネアポリスを拠点とする、あるスタートアップに対して特に関心を向けているようだ、Rae(レイ)という名のスタートアップは、精力増強ビーガンビタミンのマーケティングを行っているが、製品は消費者への直販を行うだけでなく、パンデミックの最中も営業を続けた大手小売のTarget(ターゲット)でも販売スペースを確保している

それは非常に貴重なスペースだが、Raeがその確保に成功したのは共同創業者でCEOであるAngie Tebbe(アンジー・テベ)氏が、過去12年にわたってTargetチェーンのビューティ&ウェルネス部門のプライベートラベル製品を監督する、マーチャンダイジングシニアディレクターとして勤めていたからだ。

Raeの製品は価格も手頃で、同社のビタミンは30日分で14ドル(約1500円)だが、これは多くの類似製品の約半分以下の価格だ。

これが、Victessがこのスタートアップにこれほど熱心な理由の一部だ。Victressは、テクノロジーを活用した消費者サービス、マーケットプレイス、デジタルネイティブブランドに焦点を当てている。しかし、最後発のスタートアップが注目を集めたいのならば、「本物で、大多数の米国人にとって手頃な価格帯」も備えたほうが良いだろうとキャッシュマンは語る。「それが私たちにとって重要なのです」。

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(翻訳:sako)

JAXAが国際宇宙ステーションで使う生活用品アイデアを募集開始

JAXA J-SPARC THINK SPACE LIFE

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月7日、 J-SPARCのビジネス共創プラットフォーム「THINK SPACE LIFE」プラットフォーム、また国際宇宙ステーション(ISS)での利用を目指す、宇宙と地上の生活の共通課題を解決する生活用品アイデアの募集開始を発表した。

JAXA宇宙イノベーションパートナシップ「J-SPARC」(JAXA Space Innovation through Partnership and Co-creation)は、事業意思のある民間事業者などとJAXAの間でパートナーシップを結び、共同で新たな発想の宇宙関連事業の創出を目指す新しい共創型研究開発プログラム。新規マーケット創出活動や異分野糾合のための場作りなど、事業化促進に資する活動を含めて約20のプロジェクトを現在進めている。

J-SPARC「THINK SPACE LIFE」プラットフォーム

THINK SPACE LIFEは、J-SPARCの事業化促進に資する活動として始動する、宇宙生活の課題から宇宙と地上双方の暮らしをより良くするプラットフォーム。

宇宙飛行士のパフォーマンス向上や宇宙旅行者の満足度向上につながるサービスの提供、将来的には月・火星での有人探査ミッションも見据えることで、地上における新たな生活様式やワークスタイルに向けたサービス創出、さらには健康や住まいに関するSDGs目標(持続可能な開発目標)達成など社会課題の解決も目指す。

暮らしやヘルスケア分野の新事業のタネを掘り起こし、研究開発やビジネス創出を後押しする取り組みとなっており、企業などに対しアイデアの企画から商品・サービス開発に至るまでのインキュベーション機能や、企業間・産学官連携を促進する横断的コミュニティ活動の場を提供する。

アイデア共創ワークショップや関連する分野の専門家によるメンタリングなどのアクセラレーション活動、地上での実証の場の提供などを通じ、事業アイデアの企画からサービス開発、そして実証までを加速させる。これらのインキュベーション機能にまつわる企画・運営、各種インキュベーション機能の機会提供については、同プラットフォームのインキュベーションパートナーとの協働で推進する。

JAXA J-SPARC THINK SPACE LIFE

国際宇宙ステーション(ISS)搭載に向けた、新たな生活用品アイデアの募集

JAXAは「宇宙での暮らし」に着目し、将来の有人探査ミッションや宇宙旅行者向けの生活用品の提供が持続的なビジネスとなるような将来を目指し、宇宙滞在用の生活用品を広く募集する。

合わせてJAXAは、公宇宙生活での課題や困りごと集「Space Life Story Book」を公開。宇宙生活の利便性向上および地上課題解決にもつながる課題テーマとその解決策案(新規生活用品などのアイデア)について、企業の強みを生かした提案を募集している。

JAXA J-SPARC THINK SPACE LIFE

募集・選定のプロセスとしては、まず応募アイデアの中から、宇宙飛行士の生活用品としての搭載を目指した開発に進むものを選定。選定企業での開発完了後、JAXAにて国際宇宙ステーション(ISS)搭載可否を総合的に判断を行う。ISSに搭載すると判断した製品は、JAXAが選定企業から別途調達し、ISSへ輸送する。

また、選定企業による開発着手後、宇宙で実際に使えるものであるかなどを確認するために、開発途中で宇宙飛行士と選定企業とで開発の方向性やプロトタイプの確認の場(1回程度)を設ける。

JAXA J-SPARC THINK SPACE LIFE

募集要項」では、選定企業とJAXAの役割分担について説明しており、それぞれ必要な経費を分担するとしている。開発費用は選定企業が負担し、JAXAは負担しない。JAXAがISS軌道上で使用する製品については、別途調達する。

また選定企業とは、宇宙飛行士のプロトタイプ確認や、搭載可能とされた場合の画像利用条件などの規定を含む覚書を締結する。

  • 応募締切: 9月4日17時まで
  • 応募資格: アイデアの事業化に取り組むことのできる、日本の法律に基づき適法かつ有効に設立され、かつ存続する法人
  • 募集内容: 宇宙およい地上での生活の課題解決や利便性を向上させることができる新規生活用品などのアイデア(課題テーマおよび解決策)
  • 主要スケジュール(予定):
    ・2021年5月 開発完了
    ・2021年6月 ISS搭載可否判断
    ・2021年6月以降 (搭載の場合)ISS搭載に向けた準備
    ・2022年度以降(予定) ISSに当該生活用品を搭載
  • 応募フォーム: 【エントリー】宇宙生活/地上生活に共通する課題テーマ・解決策アイデア募集

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新型コロナ給与保護プログラムの融資を受けた米テック企業のリストを中小企業庁が公開

米国時間7月6日、米国財務省は給与保護プログラム(PPP)で15万ドル(約1600万円)以上の融資を受けた企業を列挙したリストを公表した。この中にはBolt Mobility、Getaround、Luminar、Stackin、TuSimple、Velodyneといった話題のテック系スタートアップの名前も入っている。

15万ドル以上の融資を受けた中小企業の社名を掲載したこのリストは、同プログラムの透明性を求める圧力の結果生まれた。リストには、会社が受け取った資金で維持する予定の従業員数も載っている。

PPP融資は、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックにより、政府や自治体が発令した自宅待機と不要不急ビジネスの閉鎖指示の影響を受けた企業を支えるために提供された。議会を通過しトランプ大統領が署名した2兆ドル(約215兆円)のCARES Act(コロナウイルス救済法)には、中小企業が社員の給与を維持するための直接的インセンティブを与えるPPP融資が盛り込まれた。申請受付を担当した米国中小企業庁は、社員維持の条件を満たしていれば融資を認めた。

今回発表されたデータからわかるように、情報には不正確なものが含まれていた。BirdとIndex Venturesの2社は当局が提供した情報に反論する声明を発表した。

「BirdはPPP融資を申請した企業として誤ってリストに掲載された」とBirdが提供したメールの声明に書かれている。「当社は申請もしていないしPPP融資を受けてもいない。我々は中小企業や地域ビジネスから大切な資金を奪いたくなかったので、会社として申請しないことを決めた」。

6日にBirdのCEOでファウンダーのTravis VanderZanden(トラビス・ヴァンダーザンデン)氏は、Citi(シティ銀行)は同社が正式に申請するかどうかを検討している間に手続きを開始した。Birdは申請しないと決定したことをCitiに伝え、同行は仮申請を取り消したと同社に伝えた。

Index Venturesは、融資を申請も受け取ってもいないことを確認した。Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)もPPPデータに掲載されたが、申請も受取もしていないことをTecnCrunch宛の声明で確認した。

以下のスタートアップと企業のリストには、プログラムの資金を自社のため、あるいは投資先企業のために受け取ったベンチャー企業も掲載されている。本稿は今後融資を受けた企業を確認でき次第追記する予定だ。

融資額15万~35万ドル(約1600万〜約3800万円)

  • Stackin(スタッキン)はミレニアル世代とフィンテックスタートアップを結びつける企業であり、融資を申請した。注目すべきなのは、このフィンテック企業が1260万ドル(約13億5000万円)のシリーズBラウンドを2020年5月に完了していながら、リストに載っていることだ。CEOのScott Grimes(スコット・グライムス)氏はコメント要求にまだ応じていない。
  • OpenResearchは、かつての社名をY Combinator Researchといい、維持する予定の社員数はゼロだった。非営利の同組織は2020年5月に再ブランドを果たし、Y Combinatorから独立して運用し、財政的に関連がなくなることを発表した。社名変更の発表は、同社がPPP融資に申請した後だった。

融資額35万~100万ドル(約3800万〜約1億700万円)

  • Bolt Mobilityは都市内マイクロモビリティーの先進的スタートアップ。18人の社員を維持予定。

融資額100万~200万ドル(約1億700万〜約2億1500万円)

  • SquareFootはニューヨーク拠点の不動産スタートアップで、融資を受けた。The Informationによると、CEOのJonathan Wasserstrum(ジョナサン・ヴァッサーストラム)氏は、新型コロナウイルスによって不動産売買が減速する中、社員の解雇を避けるために100万ドル(約1億700万円)を受け取った。

融資額200万~500万ドル(約2億1500万〜約5億3700万円)

融資額500万~1000万ドル(約5億3700万〜約10億7400万円)

  • Getaroundは、ピアツーピアのカーシェアリングサービスで、448人の社員を維持する予定。TechCrunch宛の声明でGetaroundは融資を受けたことを認め、同プログラムのおかげでロックダウンと新型コロナウイルスによる制限のために「会社が受けた深刻な影響を軽減するために役立った」という。
  • LuminarはLiDARセンサーの企業で341人の社員を維持する予定。
  • Turoはピアツーピアカーシェアリングサービスで、維持する予定の社員数は未公表。
  • Velodyneは、ライダーセンサーの企業で450人の社員を維持する予定。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

神奈川県が新型コロナによる社会課題の解決に挑むスタートアップを募集開始

神奈川県 ビジネス・アクセラレーター・かながわ(BAK) かながわ・スタートアップ・アクセラレーション・プログラム(KSAP)

神奈川県は7月3日、新型コロナウイルス感染症の影響により生じた社会課題の解決などに取り組むスタートアップ企業などによるプロジェクトを募集し、「新しい生活様式」の実行・定着に資する新たなサービスの開発を支援すると発表した。7月14日14時~15時にオンライン説明会を開催する。

募集内容は、ビジネス・アクセラレーター・かながわ(BAK)による「新型コロナに係るイノベーション創出推進委託(オープンイノベーション型)」、かながわ・スタートアップ・アクセラレーション・プログラム(KSAP)による「社会価値型スタートアップ向けアクセラレーションプログラム(スタートアップ型)」の2種類。

審査・採択を経たプロジェクトに対しては、BAKまたはKSAPが開発・実証の支援を行い、社会課題の解決を図るサービスの早期事業化を目指す。

7月14日開催のオンライン説明会への申し込みは、「【BAK/神奈川県】新型コロナに係るイノベーション創出推進委託の公募に関する説明会」を参照。

新型コロナに係るイノベーション創出推進委託(オープンイノベーション型)

BAKの新型コロナに係るイノベーション創出推進委託(オープンイノベーション型)では、ベンチャー企業中心に複数企業などが連携し、新型コロナにより生じる課題の解決を行うなど、神奈川県において新しいビジネスモデルを構築するプロジェクトを募集を行う。

審査・採択したプロジェクトに対して、県が開発・実証にかかる費用を支援(最大1100万円)するとともに、県運営のBAKにおいて事業化を支援する。

「新しい生活様式」の定着・普及に資するプロジェクトの想定例として、地元店舗や大手物流などとの連携による自宅での買い物サービス、AR・VRなどを活用した大規模オンラインイベントや、在宅での買い物体験サービスなどが挙げられている。

想定例以外にも、新型コロナの収束後に成長・発展が見込まれる領域をテーマとしたプロジェクトなども対象としている。

    • 募集期間: 8月7日まで
    • 主な応募要件:
      ・「新しい生活様式」の実行・定着に資するサービスなどの開発・実装を行うプロジェクト(事業計画)であること
      ・ベンチャー企業中心に、複数企業が連携して取り組むプロジェクトであること(今後の連携見込みも含む)
      ・構成法人のうち、少なくとも1社は県内に本店・支店・営業所などを有すること
      ・令和2年度(2020年度)内にサービスなどのプロトタイプ開発を完了すること
    • 主な支援内容:
      ・ベンチャー企業と大企業との連携事例のマネジメント経験を有し、調整に長けたコーディネーターが事業化に向けた助言・調整など個別支援を行う
      ・採択プロジェクトのうち、特に有望なものは、3件程度×1100万円(上限額)の範囲内で開発・実証費用を支援
    • 応募方法などの詳細: 【公募】新型コロナに係るイノベーション創出推進委託(オープンイノベーション型)

神奈川県では、県内に拠点を持つ大企業と、質の高いベンチャー企業による事業連携プロジェクトの創出、オープンイノベーションに向けたコミュニティ形成を目的に、大企業・ベンチャー企業・研究機関・支援機関などが参画する協議会としてBAKを運営。

大企業の経営課題から導き出したテーマなど「テーマ」単位で、オープンイノベーションに向けたプロジェクト組成を支援するとともに、組成されたプロジェクトの事業化をコーディネーターが支援している。

社会価値型スタートアップ向けアクセラレーションプログラム(スタートアップ型)

KSAPによる社会価値型スタートアップ向けアクセラレーションプログラム(スタートアップ型)では、ビジネスを通じて社会の課題を解決するスタートアップを公募・選抜。4ヵ月にわたるアクセラレーションプログラム・メンタリングやネットワークによる支援などを通じ、社会価値の実現と事業拡大を支援する。

プログラム実施期間は、12月20日まで(WEWORKオーシャンゲートみなとみらい、またはオンラインでの開催)。ウィズコロナ時代に求められる新しいサービス・製品の開発に取り組む採択企業に対し、開発実証費用として最大税込み110万円の支援も行う。

想定例としては、リモートワーク支援、オンライン医療・教育、自宅でのバーチャル観光体験やオンラインフィットネスサービスなどが挙げられている。

  • 募集期間: 8月11日まで。7月23日までに応募した者に限り、応募事業について、運営事務局より事業成長に向けたフィードバックコメントをメールなどで送付する。フィードバックを受け、8月11日までに再提出することも可能
  • 主な応募要件:
    ・「新しい生活様式」の実行・定着に資するサービスなどの開発・実装を行うプロジェクト(事業計画)であること
    ・県内に本店を有するスタートアップ企業が行うプロジェクトであること(起業準備者については、支援期間内に法人登記を行うことが条件)
    ・令和2年度(2020年度)内にサービスなどの実証を完了すること
  • 主な支援内容:
    ・個別課題の解決に向けたメンタリングや資金調達に向けたベンチャーキャピタルとのマッチングなど、アクセラレーターと呼ばれる担当者が伴走型の支援を行う
    ・採択プロジェクトのうち、特に有望なものは、10件程度×110万円(上限額)の範囲内で開発・実証費用を支援
  • 応募方法などの詳細: エントリー / 募集要項(KSAPエントリー案内)

KSAPは、世の中の困りごと・解決しにくい社会の課題を、ビジネスを通じて解決するスタートアップを公募・選抜し、メンタリングやネットワークによる支援などを通じて社会価値の実現とスタートアップの事業拡大を支援するプログラムとなっている。

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独立記念日の週末にDisney+のアプリダウンロードが「ハミルトン」で74%増

かなりの期待が寄せられていたDisney+での「Hamilton(ハミルトン)」配信は成功したようだ。アプリストア分析会社Apptopiaの最新データによると、Disney(ディズニー)のストリーミングサービスは米国時間7月3日の「ハミルトン」世界デビューを受けて独立記念日(7月4日)週末のダウンロード数が大きく伸びた。7月3日から5日にかけて、インドと日本を除く全世界でDisney+モバイルアプリは75万2000回超ダウンロードされた。うち45万8000回が米国でのものだったとApptopiaは推定している。

6月の週末(金曜〜日曜)4回の平均ダウンロード数から46.6%増だとApptopiaは指摘した。しかしこのダウンロードの数字にはインドと日本は含まれていない。インドではDisney+は Hotstarを介して (未訳記事)、日本ではNTT Docomoとの提携のもとに既存のサービスを通じてストリーミングされている(The Hollywood Reporter記事)。

画像クレジット:Apptopia

独立記念日の週末のダウンロード回数はまた、米国においては6月にあった4回の週末よりも74%多かった。これは米国の購読者の「ハミルトン」へのかなりの関心を示している。「アメリカ建国の父」をテーマとしていることを考えると驚くことではないだろう。

特筆すべきは、これらのダウンロードは無料のトライアルではなく、有料購読者を意味していることだ。Disney+の1週間無料トライアルは6月に終了している(CNET記事)。

ApptopiaのライバルであるSensor Towerは少し異なるアプローチで「ハミルトン」効果を分析した。6月29日から7月5日にかけてダウンロード数は前週比64%増となったとYahooは報じた。7月3〜5日の全マーケットでのインストールは100万回となると予想していた。

画像クレジット:Apptopia

Apptopiaはまた、ダウンロード数において「ハミルトン」が2020年これまでのところ最高のコンテンツ立ち上げとなったことも指摘した。これは、消費者が新型コロナウイルス(COVID-19)によるロックダウン下にあったときにリリースされた「Frozen 2」を超えていることを意味する。また「Onward」「Artemis Fowl」をも上回った。

画像クレジット:Disney

もちろんモバイルアプリのダウンロード数は「ハミルトン」のためだけに何人の人が購読を申し込んだのか、その全体像を示すものではない。新たなDisney+購読者の多くはテレビですでにサインアップしていて、モバイルアプリを追加でダウンロードしたということはあり得る。

米国でもトップのストリーミングデバイスとテレビのメーカーであるRokuのオンラインチャンネルストアがランキングの「トップチャート」を提供していたら、Disney+の人気ぶりをそこで目にしていたかもしれない。しかしRokuのユーザーベースがDisney+アプリに、レビュー総数15万5006件で4.3のレーティングを付けているというのは指摘するに値する。参考までに、Netflixのレビューは367万5383件だ。これは、新サービスのDisney+がいかに急速にマーケットリーダーの座を奪いつつあるかを示している。

5月にDisneyは、ストリーミングサービスDisney+の購読者数が3月28日時点で3350万人だったのが、5月4日時点では5440万人に成長したと発表した(CNBC記事)。

Disney+は、Star WarsやMarvelといったDisneyのトップブランドをフォローする人にアピールしているが、新型コロナ感染拡大で子供を楽しませるためのコンテンツを必要とする家族のかなりの需要をも取り込んだ。新型コロナパンデミックでは、家族のこれまでのアクティビティは制限され、子供を家の中に閉じ込めることになった。月6.99ドル(約750円)、あるいは年間69.99ドル(約7500円)という価格設定は、利用可能なストリーミングサービスの中でもかなりリーズナブルなものだ。

画像クレジット:TIMOTHY A. CLARY/AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

日程調整自動化ツールTimeRexがZoomと連携、ビデオ会議の日程調整・実施準備を完全自動化

ミクステンド TimeRex

日程調整ツール「調整さん」運営のミクステンドは7月6日、ビジネス向け日程調整自動化ツール「TimeRex」とZoomとの連携を発表した。日程調整と同時にZoomミーティングを発行可能となり、オンラインミーティングまでの日程調整および実施準備の完全自動化を実現した。

ミクステンド TimeRex Zoom

この連携はTimeRexのアカウント設定、もしくはZoom App MarketPlace上から設定可能。詳細な連携手順は、TimeRexサポートサイトの「Zoom連携」ページを参照。

ミクステンド TimeRex Zoom

また連携の際は、TimeRexへのアカウント登録が必須で、TimeRexの全プランで利用できる。TimeRexと連携するZoomのアカウントは無料プランから対応している。

日程調整および実施準備の手順としては、TimeRexより打ち合わせ相手が日程を選択し、日程調整が完了したタイミングでZoomミーティングURLの自動発行が行われる。発行されたZoomミーティングは、TimeRexユーザーと打ち合わせ相手の両方に通知され、TimeRexユーザーの連携しているカレンダーにはZoomミーティングの情報が登録される。

新型コロナウィルス感染症の流行に伴いテレワークが積極的に推進される中、ビジネスにおける打ち合わせはZoomなどビデオ会議ツールによるオンラインミーティングが増加している。ミクステンドによると、TimeRexユーザーにおいても、2月以降はビデオ会議ツールと組み合わせた打ち合わせの日程調整を行うユーザーが今年2月から5月にかけて約5倍に増えたという。

しかし、従来はTimeRexでの日程調整後に、打ち合わせ相手に対しZoomミーティングを発行し、メールなどでURLを通知するという煩雑な作業が必要だった。さらに複数のサービスを渡り操作するため人為的ミスのリスクも課題となっていた。そこで、Zoomと連携により、日程調整と同時に自動でオンラインミーティングの準備を完了できるよう連携を実現した。

ミクステンド TimeRex Zoom

名古屋市が「Hatch Technology NAGOYA」参加スタートアップを募集開始

Hatch Technology NAGOYA

愛知県名古屋市が7月6日、先進技術を活用した社会実証を支援する「Hatch Technology NAGOYA」(ハッチ テクノロジー ナゴヤ)実施を発表した。名古屋市提示の行政課題や社会課題の解決策を持つ企業、また同市施設・サービスを社会実証フィールドとして活用・提供したい企業などの2種類を募集している。

課題提示型社会実証支援

課題提示型社会実証支援では、名古屋市庁内から集めた行政課題、社会課題(計10課題)に対して、先進技術を活用した解決策を企業などから広く募集。選定した実証プロジェクトに対する費用の一部負担、専門家によるマネジメントなどの支援を実施する。行政課題4件と社会課題2件とを選定する。

行政課題としては「日本語のわからない市民でも理解しやすい、スムーズな児童手当の申請手続きを構築したい!」、社会課題としては「東山動植物園・農業センターの駐車場データを解析して、来園者・地域・行政みんなの悩みを解決!」などが挙げられている。

概要は、以下のとおり。

  • 課題: 提示した10課題の中から、行政課題4件と社会課題2件とを選定
  • 募集対象: 先進技術を活用した解決策を持つ、スタートアップをはじめとする企業
  • 募集期間: 7月6日~7月31日
  • 選定された解決策に対する支援: 負担金支払(行政課題70万円、社会課題400万円を上限)、実証に必要な調整、広報PR、大学・研究機関における技術相談のあっせんなど
  • 事業説明会の日時: 7月17日16時~18時(オンライン開催)。キックオフ&説明会ページより申し込み
  • スケジュール: 実証期間は2020年10月~2021年2月、実証結果とりまとめ・報告は2021年2月~3月

フィールド活用型社会実証支援

名古屋市などの施設やサービス等を社会実証の場(フィールド)として活用・提供したい企業などを募集。

名古屋市および民間施設などを社会実証の場(フィールド)として活用するため、場の提供と課題の整理・解決を行うネットワークコミュニティ「Hatch Meets」(ハッチミーツ)を産学官で新たに立ち上げ、先進技術を有する企業などの提案や実証ニーズを実現する。今回の募集はHatch Meetsの立ち上げにあたり実施している。

  • 募集対象: 「名古屋市・民間部門提供のフィールドにおいて、自社の先進技術を活用した
    社会実証を実施したい、スタートアップをはじめとする企業など」、「自社施設・サービスなどを、実証のためのフィールドとして提供したい企業など」
  • 募集期間: 7月6日から随時
  • 実証に向けた支援: マッチングや実証に必要な調整、広報PR、アドバイザーによる伴走型支援など
  • 事業説明会の日時: 7月16日13時~14時(オンライン開催)。参加申し込みのステップは、Hatch Meets募集概要を参照

Plug and Play Japanが「Winter/Spring 2021 Batch」参加スタートアップの募集開始

Plug and Play Japan

グローバル・ベンチャーキャピタル/アクセラレーターのPlug and Play Japanは7月6日、次期アクセラレータープログラム「Winter/Spring 2021 Batch」の募集を開始した。同社では、約3ヵ月を1つのBatchとして、年に2回プログラムを運営している。

Winter/Spring 2021 Batchの募集期間は7月6日から9月7日。プログラム期間は2020年12月から2021年3月。Plug and Play Japanの企業パートナーとの連携を希望するスタートアップ、登記済みまたはプログラム期間中に登記予定のスタートアップ(すべてのステージのスタートアップが対象)。申し込みは、同社特設ページより行う。

同社のアクセラレーションプログラムは、「テーマ」を主軸として、国内外のスタートアップをグローバルレベルのスタートアップへと支援していくというもの。

同社では、1テーマ(領域)をVertical、1プログラムをBatchという単位で呼び、日本では東京で5 Vertical、京都で1 Vertical、合計6 Verticalを実施。​今回東京では「Fintech」、「Insurtech」「IoT」、「Mobility」、「Brand & Retail」を用意。京都では「Hardtech & Health」のプログラムを用意している。

Plug and Play Japan

スタートアップは、このプログラムを通じて複数企業パートナーとの連携の機会を得られる。また、成果発表会であるEXPOで優勝したスタートアップは、本社シリコンバレーでのピッチ機会が得られ、グローバルマーケットへのアクセスも可能。

Plug and Playは、革新的な技術やアイディアを持つスタートアップを大手企業とともに支援を行う、シリコンバレー本拠のグローバル・ベンチャーキャピタルおよびアクセラレーター。世界33拠点に展開し、日本は東京と京都の2拠点を構えている。

ベンチャーキャピタルとしては、2018年は222社へ投資し、2019年から日本でも投資を開始した。日本ではプログラムのテーマや採択実績に関係なく、投資を検討している。

アクセラレーターとしては、世界30拠点でテーマごとのプログラムを運営しており、年間1000社以上を採択。

Plug and Play Japanはその日本法人として2017年7月に設立。現在まで5回のプログラムを実施し、合計400社の国内外の採択スタートアップを企業パートナーとともに支援してきた(2020年7月6日現在、企業パートナー数は38社)。

Plug and Play Japan

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Facebookがインドでデジタルリテラシー教育を促進

インド国内で、他のどの国際企業よりも多くのユーザーに利用されているFacebookが、世界で2番目に巨大なインターネット市場の中で、さらにその触手を伸ばすチャンスをつかめる新しい分野を見出した。

Facebookは、インドの私立および公立学校の教育を監督する政府機関である中等教育中央委員会(CBSE、Central Board of Secondary Education)と提携(CBSEサイト)して、インド国内の学生や教育者たちに、デジタル安全性とオンライン上の健全な活動や、拡張現実(AR)を教える認定カリキュラムをローンチした。

FacebookとCBSEは、これらの科目を通じて、中学生たちを現在および将来の仕事に備えさせ、インターネットを安全に閲覧して「十分な情報に基づいた選択」を行い、自らのメンタルヘルスについて考えることのできるスキルを身につけさせることを目指している。

Facebookは、これらのトレーニングを、フェーズを追って提供すると述べている。最初のフェーズでは、1万人以上の教師がトレーニングされ、2番目のフェーズではその教師たちが、3万人の生徒を指導する。ARに関する3週間のトレーニングでは、発展しつつあるAR技術の基礎と、FacebookのSpark AR Studioを利用したAR体験を作成する方法について説明する。

「教師と生徒の皆さんに、2020年7月6日から始まるプログラムへ申し込むことを奨励します」と声明で述べているのは、インドの人材開発大臣であるRamesh Pokhriyal(ラメシュ・ポクリヤル)氏だ。

最近のFacebookは、同国内における同社のサービスの悪用に直面しているために(未訳記事)、テクノロジーの危ない側面についての意識を高めるための取り組みを強化している。昨年同社は、通信業界の大手Reliance Jio Platforms(リアイアンス・ジオ・プラットフォームズ)と提携し、最終的には57億ドル(約6100億円)を投資する予定で、国内初のインターネットユーザー向けに「これまでで最大のデジタルリテラシープログラム」である「Digital Udaan」を立ち上げた(未訳記事)。インドはユーザー数で見るなら、Facebookの最大の市場だ。

Jed FoundationならびにYoung Leaders for Active Citizenshipと共同で開発されたInstagramの「Guide for Building Healthy Digital Habits」(健康的なデジタル習慣を構築するためのガイド)は、若者たちが自分たちの活動する「社会感情的な空間」をよりよく理解し、健全な対話を行えるようにすることを狙っている。

「CBSEが『Digital Safety and Online Well-being, Instagram Toolkit for Teens and Augmented Reality』(10代の若者のための、デジタル安全性とオンライン上の健全な活動向けInstagramツールキット)モジュールを導入した、唯一の委員会であると発表できることを誇りに思っています。テクノロジーとデジタル安全性を学校のカリキュラムに組み込むことで、生徒はデジタル経済で成功するための知識を得るだけでなく、安全なオンライン環境で学習し、協力することができるのです」と声明で語るのは、CBSEの会長であるManoj Ahuja(マノジ・アフジャ)氏だ。

7月5日のこの発表は、サイバーセキュリティへの懸念を巡って、中国で開発された60近くのサービスがインド政府によってブロックされることで始まった、注目すべき週を締めくくるものとなった。インド政府の禁止命令を受けたサービスの1つであるTikTokは、アジアで3番目に大きいこの経済圏を、中国以外では最大の市場として扱っていた。

中国の巨人ByteDanceが運営するこのサービスは、インドの2億人以上のユーザーに利用されていて、そのほとんどは小さな町や都市に住んでいる。TikTok は昨年から、インドの多数のコンテンツ作成者や企業と協力して、教育用ビデオをその短編ビデオサービスを通じて投入し始めていた。

画像クレジット: MANJUNATH KIRAN / AFP

 

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(翻訳:sako)

13インチと16インチのMacBook Pro、どちらを買うべきか?

アップルは13インチMacBook Proの新モデルを5月4日に発表、5月上旬より販売を開始した。現行製品としては、MacBook Air、13インチMacBook Pro、16インチMacBook Proの3シリーズをラインアップしているが、13インチMacBook Proは第8世代CPUとThunderbolt 3×2の廉価モデル、第10世代CPUとThunderbolt 3×4の標準モデルを用意している。どのモデルを購入するべきか悩んでいる読者も多いことだろう。

今回は、第10世代インテルCoreプロセッサーとThunderbolt 3×4という構成の13インチMacBook Proを試用し、どのようなユーザーが購入すべきか、どのような用途に活用できるのかという点にスポットを当ててレビューしていく。

13インチMacBook Proは税別18万8800円から

最大の変更点はキーボードに「Magic Keyboard」が採用されたこと

13インチMacBook Proには下記の4モデルがある。

  • 第8世代Core i5(4コア、1.4~3.9GHz)、メモリ8GB、SSD256GB、Thunderbolt 3×2(13万4800円)
  • 第8世代Core i5(4コア、1.4~3.9GHz)、メモリ8GB、SSD512GB、Thunderbolt 33×2(15万4800円)
  • 第10世代Core i5(4コア、2.0~3.8GHz)、/メモリ16GB、SSD512GB、Thunderbolt 3×4(18万8800円)
  • 第10世代Core i5(4コア、2.0~3.8GHz)、/メモリ16GB、SSD1TB、Thunderbolt 3×4(20万8800円)

直販サイトから購入する際は、第8世代Core i5搭載モデルは第8世代Core i7(4コア、1.7~4.5GHz)、16GBメモリ、512GB/1TB/2TB SSD、第10世代Core i5搭載モデルは第10世代Core i7(4コア、2.3~4.1GHz)、32GBメモリ、1TB/2TB/4TB SSDにアップグレード可能だ。

そのほかの基本スペックはほぼ共通。ディスプレイは13.3インチのIPS液晶ディスプレイ(2560×1600ドット、227ppi、輝度500cd/平方m、色域P3、True Toneテクノロジー対応)を搭載し、通信機能はWi-Fi 5(11ac)とBluetooth 5.0に対応している。

外観上の大きな違いは、第8世代CPU搭載モデルがThunderbolt 3×2、第10世代CPU搭載モデルがThunderbolt 3×4となっていること。また第8世代CPU搭載モデルは1台の外部5Kディスプレイまたは2台の外部4Kディスプレイの映像出力に対応しているが、第10世代CPU搭載モデルはそれに加えて1台の外部6Kディスプレイの映像出力をサポートしている。

全モデル共通の最大の変更点はキーボードに「Magic Keyboard」を採用したこと。ファンクションキーとして機能するタッチ対応ディスプレイ「Touch Bar」、指紋認証センサー一体型電源ボタン「Touch ID」は継承しつつ、「esc」キーを独立。またキーボードの構造を、薄型化を追求した「バタフライ型」から、耐久性を重視した「シザー型」に戻している。

本体天面。カラーはシルバーとスペースグレイの2色を用意

底面は完全にフラットな構造。多くのWindows搭載ノートPCのように底面に吸気・放熱口は設けられていない

ディスプレイは「True Toneテクノロジー」対応。周囲光の色温度に合わせてホワイトバランスを調整し、どのような環境でも同じ色合いで表示してくれる

本製品のディスプレイの色域を実測して「P3(Display P3)」がベースにした「DCI-P3」と比較したところ、99.4%という高いカバー率を確認できた

シザー構造のMagic Keyboardのキーストロークは1mm。本体サイズと重さは、従来モデルが幅30.41×奥行き21.24×厚さ1.49cm、1.37kg、新モデルが幅30.41×奥行き21.24×厚さ1.56cm、1.4kgと、高さが0.07cm増えている

ディスプレイは机の上に置いたまま片手で開閉可能。排気口はヒンジ部に配置されている

インターフェースは、充電、DisplayPort、データ転送(Thunderbolt 3、最大40GB/秒、USB 3.1 Gen 2、最大10GB/秒)に対応。同梱される充電器は「61W USB-C電源アダプタ」で、どの端子でも給電可能だ

実際のアプリではCore i9+dGPU搭載機の約76~84%の処理能力を発揮

処理性能については、CPUベンチマーク「CINEBENCH R20.060」を実施し、「Lightroom Classic」と「Premiere Pro」で実際の処理時間も計測してみた。比較対象機種は筆第9世代Core i9(8コア、2.3~4.8GHz)、AMD Radeon Pro 5500M、メモリ16GB、SSD1TB、Thunderbolt×4という構成の16インチMacBook Pro(28万8800円)だ。

16インチは13インチの約1.82倍のCPUスコアを記録

16インチは13インチの約84%の処理時間でRAW画像の現像を終了

16インチは13インチの約76%の処理時間で4K動画の書き出しを終了

CINEBENCH R20.060のCPUスコアでは16インチは13インチの約1.82倍の圧倒的スコア差を叩き出した。しかし、実際のアプリの処理時間では、16インチは外部GPU「AMD Radeon Pro 5500M」を搭載しているにもかかわらず、それほどの差は開かなかった。

室温25.0℃の部屋でCINEBENCH R20.060を連続実行したときのキーボード面の最大温度は44.9℃、底面の最大温度は43.4℃だった

13インチと16インチのMacBook Proのどちらを買うべき?

もちろんほかのアプリで計測を実施したり、また16インチでプラス7万円で選択できるAMD Radeon Pro 5600M搭載マシンであれば結果は大きく変わる可能性が高い。しかし少なくとも今回のマシン、今回のアプリという条件であれば、両者に使い勝手を決定的に変えるほどの差はなかった。13インチと16インチのMacBook Proは画面サイズ、ボディーサイズの好みで選んで構わないというのが筆者の率直な感想だ。

角川ドワンゴN高が課題解決型学習を実施、JR東日本都市開発に高架下活用プランをプレゼン

角川ドワンゴ学園 N高等学校 ジェイアール東日本都市開発

角川ドワンゴ学園 N高等学校(N高)ジェイアール東日本都市開発は7月3日、N高通学コース課題解決型プロジェクト学習(PBL)「プロジェクトN」の授業において、高架下エリアを活用する商業施設プランを提案する「SMART×STREET開発プロジェクト」の実施を発表した。

授業内容は以下のとおりで、期間は9月30日までとなっている。

  • エリア開発について学習
  • 開発計画提案に向けたグループワーク(エリア選定・調査、来街者調査、ペルソナ設定、コンセプト開発、デザイン、デジタル施策研究、店舗候補選定など)
  • 仮想の誘致したい店のオーナーに向けた開発計画提案

近年、様々な人や物がインターネットを介したコミュニケーションで広くつながる一方、商業施設におけるデジタルコミュニケーションの場は、クーポンやチラシ、館内ガイドやインフォメーションなど、一方通行な情報提供にとどまっているという。

そこで、デジタルネイティブ世代の高校生がデジタルとリアルを融合させ、デジタル施策を通して、もっと楽しく、あるいは快適に過ごせる「行きたくなる商業施設」の企画提案に挑戦する。

9月25日には集大成として、JR東日本都市開発の役員・社員、デジタル分野に詳しい方を審査員としてプレゼンを行う。

今週の記事ランキング(2020.6.28〜7.2)

今週もTechCrunch Japanで最もよく読まれた5つの記事を紹介しよう。今週の1位は、Amazon Primeに大規模同時視聴の機能「ウォッチパーティー」が登場したというニュースだ。同時視聴に参加する人々は、それぞれAmazon Primeのアカウントを持っている必要があるが、離れたところにいる大勢の人々と一緒にリモートで映画を楽しむことができる。新型コロナの影響でいまだ外出を控える人も多いなか、こういった機能が読者のみなさんの心を掴んだのだろう。

2位は、iPhone SEのレビュー記事だ。この端末が発売されたのは4月なので「何をいまさら」と思われるかもしれないが、この記事では実際に最新のiPhoneを日常的に使っているライターが、コストパフォーマンスも含めて「買い換えるべきかどうか」という点に絞ってレビューを展開している。ぜひ読んでみていただきたい。また、Appleが大好きな読者のみなさんには、3位の「次期macOS Big SurでUI/UXはどう変わるのか?細かすぎて伝わりにくい部分も解説」という記事もおすすめだ。

では、また来週!

網膜に直接投影するメガネ型ディスプレイの500円レンタルがスタート

QDレーザ RETISSA Display

QDレーザは7月3日、同社ECサイトRETISSAショップにおいて、網膜走査型レーザーアイウェア「RETISSA Display」のレンタルサービスを開始した。

初代「RETISSA Display」のレンタル料金は、7泊8日500円。税込みおよび貸出送料込みの価格で、返送時のみユーザー側が送料を負担する必要がある。また同社は、税別価格9万9000円で、数量限定のモニター販売キャンペーンも実施。購入申し込みは、RETISSAショップにおいて7月23日午前0時より受け付ける。

QDレーザ RETISSA Display
第2世代にあたる最新機種「RETISSA Display II」は、家電・カメラのレンタルサービスRentio(レンティオ)を介して体験可能。3泊4日のレンタル料金は、税込み9980円。貸し出し時返送時とも送料無料。

QDレーザ RETISSA Display II

初代RETISSA Displayは、VISIRIUM(ビジリウム)テクノロジーにより高解像度・フルカラーの網膜投影を実現したウェアラブルディスプレイ。メガネ型フレーム内蔵の超小型プロジェクターから網膜に直接投影を行うため、視力やピント位置に影響されにくくクリアな映像を得やすいという。近視・遠視・乱視・老眼などがあっても、メガネなどの矯正手段を必要とせず、映像を視認可能。

QDレーザ RETISSA Display

最大解像度は1024×600ドット(WSVGA相当)で、水平視野角は約25度。駆動時間は100分間程度。入力端子としてはMiniHDMI端子を採用している(HDMI-MiniHDMIケーブル同梱)。サイズは、アイウェア部が161×44×195mm。コントロールボックス部が80×31×160mm。

最新モデルのRETISSA Display IIは、小型・軽量化とともに、映像の解像感の向上を実現。文字などの判読がしやすくなった。最大解像度は1280×720ドット相当で、水平視野角は約26度。駆動時間は約200分間。入力端子はHDMI端子。サイズは、アイウェア部が65×20×83.5mm。コントロールボックス部が74×29.3×150mm。

QDレーザは、富士通研究所と東京大学との10年以上にわたる産学連携による共同開発を基に、富士通からのスピンオフベンチャーとして2006年に設立。可視光領域から波長1300nm帯までの量子ドットレーザーをはじめ高性能の半導体レーザーの開発・製造・販売を実施している。さらに、長年培ったレーザー、光学の技術を基に網膜走査型レーザーアイウェアを開発し、視力障害向けの医療機器やヘッドマウントディスプレイの実用化を手がけている。

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欧州警察が暗号化チャットアプリ「EncroChat」にマルウェアを仕込み犯罪者1000人以上を逮捕

数百人以上に及ぶ麻薬ディーラーやその他の犯罪者が現在勾留されている。これは不法行為に関する情報交換に用いられていると報じられていた暗号化チャットシステムに、ヨーロッパの警察(EURPOL、欧州刑事警察機構)が侵入した成果だ。この一見安全な通信方法が完全に失敗したことで、犯罪に焦点を当てた技術を使う闇業界に、沈静化の影響が及ぶ可能性がある。

この「ベネティック作戦」は、さまざまな警察機関、主要な地方ニュースソース、そして特に影響を受けたグループ内の人々の声を広く引用しつつニュースメディアのMotherboardが活気に満ちたかたちで報じた(英National Crime AgencyリリースEURPOLリリースBBC記事Motherboard記事)。

この作戦には、フランス、オランダ、英国、およびその他の国の多くの機関で働く何百人もの警察官が関与した。これは2017年に始まり、2か月前にEncroChat(エンクロチャット)と呼ばれるサービスがハッキングされ、何万人ものユーザーのメッセージが警察の監視にさらされてフィナーレを迎えた。

EncroChatは、Signal(シグナル)やWhatsApp(ワッツアップ)などの暗号化されたチャットアプリに比べて、いくつかの点で強化されている。EncroChatは、かつてのBlackberry(ブラックベリー)のように、カスタマイズされたハードウェア、専用OS、および独自のサーバーをユーザーに提供し、1回の購入やダウンロードでお終いではなく、年間数千ドル(約数十万円)の費用がかかる高額なサービスを提供していた。

サービス上のメッセージはおそらく非常に安全で、後から会話を編集できるようにすることで否認能力が組み込まれていた。つまり理論上はユーザーは何かを言わなかったと主張することができる。MotherboardのJoseph Cox(ジョセフ・コックスは)氏は、この会社にずっと目をつけていて、その主張や運用についてはるかに詳細を握っていた(Motherboard記事)。

画像クレジット:EncroChat

言うまでもなく、犯罪者たちの期待は完全に正しいものではなかった。2020年初頭のある時点で、警察はEncroChatシステムに、ユーザーの会話や画像を完全に暴くマルウェアを注入することに成功したからだ。このアプリが信頼されていたおかげで、麻薬取引、殺人、その他の犯罪について公然と話し合っていた。おかげで彼らは、法執行機関から簡単に狙われる存在になったのだ。

この春の期間中、(彼らにとって)驚くほどの頻度で、犯罪行為が暴かれていたが、ユーザーとEncroChatが事態を把握できたのは5月になってからだった。同社はユーザーに警告し、アップデートを配信しようとしたが、秘密は暴かれてもう手遅れだった。作戦が広く知られたことを見て、ベネティック作戦チームは攻撃を仕掛けた。

これに関連して複数の国々で逮捕された。多数のサブ作戦があったが、フランスとオランダが主戦場で、人数は合計で1000人近くだが正確な数は明確になっていない。数十丁の銃、数トンの麻薬、数千万ドル(約数十億円)相当の現金が押収された。さらに重要なことに、今回押収された通信記録からは、通常の取り締まりでは押さえられないような上流組織の人物も特定されたようだ。

違法行為に焦点を当てた最も人気のある暗号化されたチャット会社が、国際当局によってこうも完全に破壊される可能性があるという事実は、この先おそらくその勢いに水を浴びせることとなるだろう。とはいえ、FBIが常に神経を尖らし続けている、暗号化に対する米国内の動きと同様に、こうした出来事は長期的にはツールの強化につながっていくだろう。

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(翻訳:sako)

TRUSTDOCKが福岡市の実証実験プロジェクトに採択、デジタル身分証による行政手続きを検証

TRUSTDOCK

TRUSTDOCK(トラストドック)は7月2日、福岡県福岡市の実証実験プロジェクト「Beyond Coronavirus」(ビヨンド コロナウイルス)において、同社提案の「デジタル身分証による行政手続き」が採択されたと発表した。

同実証実験では、行政手続きのオンライン化を促進することで、自治体窓口の三密緩和、事務方の業務効率化、同時に住民がリアルな身分証を持ち歩くことなくスマホだけで手続きが可能になることを検証する。Withコロナ時代のニューノーマルを形作る、デジタルガバメントにおけるデジタルアイデンティティの課題検証を目指す。

TRUSTDOCK

TRUSTDOCK

TRUSTDOCKは、オンライン本人確認が可能になるeKYC(electronic Know Your Customer)および公的個人認証に日本で唯一両対応するデジタル身分証アプリ「TRUSTDOCK」と、各種法律準拠のeKYCおよび本人確認APIサービス基盤を展開するスタートアップ。

同サービスでは、犯罪収益移転防止法をはじめ、携帯電話不正利用防止法、古物営業法、労働者派遣法、出会い系サイト規制法、民泊新法などに準拠したKYCをAPI組み込みのみで実現可能。これによりサービス事業者は、本人確認(KYC)用管理画面の開発や、オペレーターの採用や教育、24時間体制でのシフト管理を行うことなく、低コストでKYCを実施可能となる。

また犯収法改正対応のTRUSTDOCKは、施行規則六条一項の「ホ」「ヘ」「ト」「チ」をはじめ、公的個人認証による「ワ」などあらゆる本人確認手段を内包。運転免許証や運転経歴証明書、パスポート、マイナンバーカード、住基カード、在留カード、特別永住者証明書など幅広い本人確認書類に対応している唯一のデジタル身分証アプリとなっている。

TRUSTDOCK

福岡市と福岡地域戦略推進協議会(FDC)は、AI やIoTなどの先端技術を活用した社会課題の解決につながる実証実験プロジェクトを全国から募集。優秀なプロジェクトの場合、福岡市での実証実験をサポートする「福岡市実証実験フルサポート事業」を実施している。

Beyond Coronavirusとは、福岡市の官民協働型スタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」(FGN)の協力のもと日本全国からスタートアップ企業の実証実験を募り、現在進行させているプロジェクト。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって顕在化した、様々な社会課題を解決するための新しいサービスやプロジェクトの創出を目指している。

関連記事:TRUSTDOCKのeKYCサービスが国内でMastercard Awardを受賞、ドバイでの最終選考会へ

国が支援するコロナウイルスの偽情報がまともなニュース媒体の記事よりも速く広く拡散

オックスフォード大学のアナリストたちの調査によると、ロシアと中国とトルコとイランの国が支援している媒体からの、新型コロナウイルスに関するいかがわしい記事が世界中で、メジャーなニュース媒体の記事よりも広く共有されている。フランス語とドイツ語とスペイン語と英語の普通のニュースサイトは、ソーシャルなエンゲージメントが、これら外国起源の記事よりも少ない。

この調査は、Computational Propaganda Project(コンピューターによるプロパガンダ研究)というプロジェクトが今行なっているCOVID-19偽情報キャンペーンのモニタリングの一部だ。この調査グループは、Le Monde、Der Spiegel、El Paisのようなメジャーなニュース媒体に比べて、Russia TodayやChina Radio Internationalなどの、国が背後にいる媒体のコンテンツが、いくつかの測度で4〜5倍多く共有されていることを発見した。

彼らの初期の報告書は、このタイプのメディアの英語による共有を主に取り上げていて、それらは一般的に、「特定の記述を強調している事実もどき」、と呼ばれている。

彼らが繰り返し何度も発見したのは、主流的なニュース媒体は全体的なプレゼンスでは勝(まさ)っているが、国が支えるジャンクニュースは、一つのポストや記事あたりのエンゲージメントがはるかに多いことだ。最近の報告では、メインストリームの記事が一本あたりで平均25のエンゲージメントを集めているのに対し、国支援の記事は125だった。ユーザーやフォロワーの数は数百万もいるから、全体ではとても大きな差になる。

そのデータにはもっと細かいニュアンスがいろいろあるけど、一般的な傾向としては上のようなことが言える。偽情報はボットや通常の共有などによって広く拡散しているが、普通のニュースソースはアウトプットを増やし、初期のリーチを大きくすることで数を稼いでいる。どちらも、最初の到達数ではそれほど変わらない。しかしまだ分からないのは、英語以外のメディアでもそうか、ということだ。

さまざまなニュースソースから3週間にわたって集めたデータからは、確かに上記のようなことが言える。メインストリームのメディアは全体的なリーチは大きいが、国支援のメディアは一つの記事あたりのエンゲージメントが非常に高いことが多い。それは、国支援の媒体が論争的なネタや対立を煽るような記述を多用するからだろう。調査は次のように述べている:

  • ロシアの、フランス語とドイツ語の媒体は、ヨーロッパにおける弱い民主主義と市民の動乱を一貫して強調しているが、パンデミックに関してはさまざまな陰謀説を提供していた。
  • 中国とトルコのスペイン語の媒体は、自国のグローバルな指導性とパンデミックとの戦いを宣伝しているが、ロシアとイランの媒体はラテンアメリカとアメリカのスペイン語ソーシャルメディアのユーザーを狙った、二極分化を煽るようなコンテンツを生成していた。

もちろん、この種のクリックベイトはソーシャルメディア上で野火のように広がるが、軽率にシェアボタンを押してしまう人たちは、それがどこかの政府が支援するニュース機関が世界に不和の種を播くためにやっていることだとは、夢にも思わない。

しかし一方ではこれを、相手がやるからこっちもやる、という一種のフェアプレーと見る見方もある。

たとえば、中国の国が支援するニュースは、ウイルスが中国の生物兵器だとする、アメリカで盛んな陰謀説に対抗して、それはアメリカの生物兵器を中国でばらまいて中国に罪を着せようとしているのだ、という説を流している。

オックスフォードのKatarian Rebello氏が、ニューズリリースで次のように述べている。「これらの国支援の媒体の多くが、コロナウイルスに関する事実に基づいた信頼できる記事と、誤解を招く、あるいは偽の情報をブレンドしている。それらにより、COVID-19パンデミックを理解しようとしている一般大衆のオーディエンスの間に、大きな不安を植え付けてしまうこともある」。

ここで挙げた国が支えている媒体は、アラビア語の市場にも大きなプレゼンスがあり、研究者たちは今後の調査でそれらを含めたいとしている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa