買取価格比較サイト「ヒカカク!」などを展開するジラフは4月2日、DGベンチャーズなどを引受先とした第三者割当増資および金融機関からの融資により総額約6.6億円を調達したことを明らかにした。
ジラフは2017年秋から2018年3月にかけて実施したシリーズBラウンドで約5億円を調達していて、今回の調達はそれに続くシリーズCラウンドという位置付け。同社では本ラウンドでVCなどから追加の調達も検討しているという。
今回ジラフに出資・融資した企業は以下の通りだ。
- DGベンチャーズ
- DK Gate
- オー・エル・エム・ベンチャーズ
- Donuts
- AG キャピタル
- 吉田正樹事務所
- みずほ銀行、りそな銀行(融資)
トレカのフリマ「magi」は月間流通総額が約1億円規模に
現在ジラフではヒカカク!のほか、匿名質問サービス「Peing-質問箱-」やトレカ専門フリマアプリ「magi」を展開している。特にここ1年ほどで力を入れてきたのが昨年4月にローンチしたmagiだ。
個人間でトレカの取引ができる同アプリのインストール数は現時点で約30万件ほど。直近では若干コロナウイルスの影響も受けてはいるそうだけれど、最高値としては月間の出品数が11万件、取引回数が7.2万件まで成長し、月間の流通総額も約1億円まで拡大しているという。
トレカ自体はこれまでもフリマアプリやオークションサイトなどを通じてオンライン上でやりとりされてきたが、magiの場合は細かいカテゴリごとにカードを検索できるのが1つの特徴。たとえば遊戯王やポケモンカードなどタイトルを絞るのはもちろん、モンスターの属性(ドラゴン、魔法使いなど)やカードの種別(モンスター、魔法、罠など)ごとに細かい軸でカードを探せる。
また「募集」カテゴリを通じて買い手側から欲しいカードを募集する機能を取り入れることで、出品者側の売れ残りの課題を解消するための仕組みを整備。カード特化のフリマアプリならではの取り組みとしては、水漏れや破損を防ぐべく梱包キットの開発・販売なども行なっている。
これらの施策とともに手数料の安さ(当初は無料で昨年10月から3%、この4月からは7%に変更)などもあいまって、序盤からユーザー獲得が進んだようだ。
「熱量の高いユーザーが多いことに加え、買い手と売り手が転換しやすいのがこの領域の特徴だ。平均単価が2000円ほど、1人あたりの月間購入回数も6件ほどとアクティブに使ってもらえていて、良い形で立ち上げることができた。ユーザーの増加に対してなかなか機能整備が追いついていない時期もあったが、そのバランスが取れてきたので今回の調達を機にさらに投資をしていく」(ジラフ代表取締役の麻生輝明氏)
直近ではコレクションニーズに応えるための取り組みとして、プロがカードの真贋鑑定を行う「あんしん取引」機能をリリース。特に遊戯王やマジック:ザ・ギャザリングなどの人気タイトルでは偽物が出回っていることも多いそうで、高価なものだとオンライン上で取引するハードルも高くなる。この機能ではプロの鑑定を挟むことで、高価なカードの流動性を上げていくことが目的だ。
麻生氏によるとリリースから約3週間であんしん取引機能を使って7度の売買が行われたそう。もっとも高額のものは1枚13万円だったという。
ヒカカク!とmagiにさらなる投資へ
創業事業であるヒカカク!はすでに単月黒字化を達成しており、月間利用者数はセッションベースで300万人、見積もり依頼件数は4万件を超える規模に成長。現在もジラフの収益の7割ほどを占める根幹事業となっていて、今後も引き続き強化をしながら伸ばしていく計画だ。
もう1つのPeing-質問箱-については、多くの新規ユーザーを獲得しにいくというよりは、いかに既存ユーザーに継続して使ってもらえるかを現在は重視しているそう。その中で新機能や有料機能・商品などを取り入れながら収益化に向けた取り組みにも力を入れるとのことだった。
今回調達した資金は特にヒカカク!とmagiに投資をする方針。特にmagiについては事業基盤が整ってきた中で、今後はユーザー拡大やマネタイズに向けた動きも進める。大きいところでは、トレカのみならずボードゲームやフィギュア、シールなどコレクターズアイテム領域に広げていく計画もあるようだ(すでに取り扱いがスタートしているものもある)。
直近では元モブキャストゲームス取締役CMOの松本晃宏氏が執行役員として参画するなど経営体制の強化も進んでいるそう。さらなる事業成長に向けて人材採用への投資も引き続き行なっていくという。