現代自動車がBoston Dynamicsを買収、ソフトバンクから80%の株式取得へ

正式に発表された。Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は現代自動車グループの一員になる(当然のことながら当局の承認次第ではある)。マサチューセッツ州ウォルサムに拠点を置くロボットメーカーの Boston Dynamicsは12月11日付けのプレスリリースで、韓国のテック企業が経営支配権を獲得すると明らかにした。Boston Dynamicsの企業価値を11億ドル(約1140億円)としたこのディールでは、現代自動車グループがBoston Dynamicsの株式の80%取得し、残り20%はソフトバンクが保有する。

この買収は、Boston Dynamicsにとってわずか7年の間に3回目の親会社変更となる。研究会社として四半世紀近く前に設立され(米国防高等研究計画局のような組織から資金援助を受けた)、2013年のGoogleによる買収で時のAndy Rubin(アンディ・ルービン)氏が率いる新しいロボティック部門の一部になった。

Google X Roboticsの大部分が解体された後、Boston Dynamicsは2017年に親会社が変わり、ソフトバンク傘下に入った。奇妙な組み合わせであり、ソフトバンクにとって厳しい年だったこともあって状況は改善しなかった。最も知られているロボットは人型ロボットPepper(ペッパー)であるソフトバンクに所有された後では、少なくとも現代自動車はBoston Dynamicsにとってより論理的な「ホーム」だ。

今回の買収についての初期の噂を報じる記事で指摘したように、現代自動車はロボット分野に大きな投資をしてきた。ここには、自動運転システム商業化のためのAptivとの合弁会社設立が含まれる。またUMV(ultimate mobility vehicles、脚を持つサイエンスフィクションのような乗り物)も発表した。

「繰り返しの作業や危険な作業を人間レベルのモビリティで自動で行うことができる最初のロボットをマーケットに投入し、Boston Dynamicsの商業事業は急速に成長してきました」とCEOのRob Playter(ロブ・プレイター)氏は買収に関するリリースで述べた。「当社と現代自動車はモビリティの変革力という視点を共有していて、最先端のオートメーションで世界を変え、引き続き顧客のために世界で最も困難なロボティクスの問題を解決する計画を加速させるために協業することを楽しみにしています」。

もちろんBoston Dynamicsはこの数十年、サイエンスフィクションと現実の境界線を曖昧にしてきた。しかし直近では、同社の高度な技術を商業化することに注力してきた。ソフトバンクのもとで、Boston Dynamicsはアイコン的存在のBig Dogを含め、何年もかけてロボティックのイノベーションに取り組み、四つ足ロボットSpotを立ち上げた。

Spotは昨年数量限定で発売された。現在は米国内で7万4500ドル(約770万円)という価格で販売されている。同社は、倉庫や仕分け作業関連目的のための車輪付きハンドルロボットの商業化も進めている。こちらは来年発売される見込みだ。ロボットの高度化と最終的な価格はかなりの懐疑論を巻き起こしたが、新型コロナウイルスによって企業が一時閉鎖を余儀なくされたことを受けて、投資家たちのロボットやオートメーションの企業に対する関心は高まった。

「現代自動車グループは、Boston Dynamicsがグループの製造能力やスケールメリットによる費用対効果にアクセスできるようにする戦略的パートナーとなります」とリリースにはある。「Boston Dynamicsは新たな資本、テクノロジー、関連顧客、そしてBoston Dynamicsのロボット製品の商業化機会を促進する現代自動車グループのグローバルマーケットへのアクセスの恩恵を受けるでしょう」

買収は来年6月までにクローズする見込みだ。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Boston Dynamics

画像クレジット: Boston Dynamics

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(翻訳:Mizoguchi)

水をベースにした超小型ロボットは光と磁気で動き仕事やダンスをする

ノースウエスタン大学の研究者たち(ノースウエスタン大学リリース)によって開発された新しいロボットは、見た目も動きも小さな水生動物のようで、移動したり、化学反応を触媒したり、治療薬を投与したりといったさまざまな機能を果たすことができる。この新しいソフトロボットは、率直にいってレモンの皮のようだが、柔らかい外側部分が90%が水の素材で、内側には外部の磁場に反応して形状を変化させるニッケルの骨格を持っている。

ロボットは非常に小さく、10セント硬貨ほどのサイズしかないが、平均的な人間と同じ速度で歩いたり、モノを拾って運ぶなど、さまざまなタスクをこなすことができる。柔らかな成分から水を取り込んだり、排出することで動き、正確な分子設計のため光や磁場に反応する。基本的に、その分子構造は光が当たるとそれを構成する分子が水を排出し、ロボットの「脚」が筋肉のように固くなるようになっている。

画像クレジット:Northwestern

強磁性のニッケル骨格が埋め込まれているため、磁場をかけて脚を動かすことが可能。また光と磁場を併用して、高精度な計算により、求める経路の上を非常に正確な移動することもできる。

この小さなロボットを開発した研究者たちは、さらに小型化された将来のバージョンを構想している。顕微鏡レベルのサイズになれば、体内の患部に正確に薬を届けることもできるだろう。また、理論的にはこのロボットを集団で動かすプログラムも可能であり、怪我をした箇所の縫合をロボットが行うといったより大きなタスクの処理へとスケールアップすることもできるだろう。

この種のアプリケーションを実現するには多くの研究と作業が必要だが、現段階でもこのロボットは注目に値する成果であり、今日の生産ロボットのような重くて大量の計算を必要としないソフトロボットとインテリジェントな材料から何が生まれるのか、そのヒントとなる。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:ノースウエスタン大学

画像クレジット:Northwestern University

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

家族型ロボット「LOVOT」のGROOVE Xが18億円調達、SOMPOホールディングス・日立GLSと資本業務提携

家族型ロボット「LOVOT」のGROOVE Xが18億円調達、SOMPOホールディングスおよび日立GLSと資本業務提携

ロボットベンチャーのGROOVE X(グルーブエックス)は12月9日、を主な引受先として、総額18億円のシリーズB3資金調達を実施したと発表した。主な引受先はSOMPOホールディングス日立グローバルライフソリューションズ(日立GLS)など。累計調達額は124.1憶円となった。

また、これからの高齢化社会やWithコロナ時代によるライフスタイルの変化に向けた新たなる社会的課題の解決、新サービスの共同開発に取り組むことを目的に、両社と資本業務提携を締結した。

家族型ロボット「LOVOT」のGROOVE Xが18億円調達、SOMPOホールディングスおよび日立GLSと資本業務提携

 

SOMPOホールディングスとの資本業務提携

GROOVE Xは、⾼齢化社会における介護や認知症に関わる社会的課題の解決に向け、これまでSOMPOホールディングス子会社で介護サービスを運営するSOMPOケアが運営する介護付きホーム「SOMPOケア ラヴィーレ駒沢公園」などの介護施設に家族型ロボット「LOVOT」(らぼっと)を導入。施設内でのコミュニケーションの活性化や入居者の方々の心身の状態の変化についての実証評価を実施。

そんな中、⾼齢化社会における介護や認知症に関わる社会的課題の解決をさらに促進させるため、今回の資本業務提携を締結するに至ったという。

具体的な取り組みとして、高齢者の生活支援と認知症ケアを対象に、LOVOTを用いたソリューションの共同開発を開始。今後GROOVE Xは、SOMPOホールディングスが運営する、「人間」と「テクノロジー」の共生による新しい介護のあり方を創造するプロジェクト「Future Care Lab in Japan」と連携。見まもりをはじめ高齢者の生活支援におけるLOVOT活用、認知症の方を対象とするLOVOTを用いたケアの効果実証を行う予定。

Future Care Lab in Japanは、SOMPOグループがプロデュースする未来の介護プロジェクト。ICT・デジタル技術を積極的に活用した「人間」と「テクノロジー」が共生する新しい介護のあり方を創造し、より少ない負担で質の高い介護サービスを提供できる、持続可能な介護事業モデルの構築をめざす研究開発を行っている。

日立GLSとの資本業務提携

LOVOTは、あらゆるセンサーとAIを高度に組み合わせた「EmotionalRobotics」を搭載。利用者のデータ連携などにより、家庭における新しい接点として大きな潜在力を有しているという。

日立GLSは、日立グループにおいて顧客の暮らしと直接の接点を持つことを特徴とし、家電品、空調機器の販売、デジタル技術を活用したプロダクト・サービスを提供。最近では、大学の研究機関との連携により、高齢化など社会課題を解決し、人々のQoL向上を支えるソリューション開発にも積極的に取り組んでおり、そんな両社の想いが合致し、今回の資本業務提携を締結した。

今回の資本・業務提携によって、GROOVE Xは、日立GLSの事業基盤を活用し成長を加速させるとともに、同社技術を日立GLSの商品開発に活用する。

また、LOVOTやコネクテッド家電を通じて得られる生活者に関わるデータを活用し、複数の家電やデバイスが連動して快適な住環境を提供する新たなサービスを提供する。

Withコロナ時代で変化した、あらゆるライフスタイルに合わせた環境やサービスを提供するため、生活に潤いと安心を与えることが期待できるLOVOTの普及・活用に取り組み、生活者ひとりひとりにうれしい暮らしの提供に取り組んでいく。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:介護(用語)GROOVE X資金調達(用語)LOVOT日本(国・地域)

遠隔操縦宅配カートがロサンゼルスの食料品店で活躍中

ロボットはもはや、大学の研究室やeコマース大手やシリコンバレーでイケイケのスタートアップ御用達のハイテクツールではない。街の食料品店でも使えるようになった。

電動スクーターの遠隔回送で知られる設立1年目のシリコンバレーのスタートアップTortoise(トータス)は、その技術を宅配カートに応用した。同社は、地域の店舗や高級ブランドショップに電動カートを提供する目的で、オンライン食料品販売プラットフォームSelf Point(セルフ・ポイント)と提携した。地元の消費者に、遠隔操縦オペレーターの手で商品を届けるというものだ。

これら2つの企業は、すでにロサンゼルスの3社の顧客に製品を提供している。Kosher Express(コーシャー・エクスプレス)をはじめとする各顧客には、店から半径3マイル(約4.8km)以内の範囲で配達ができるカートを2台または3台が割り当てられている。歩道を自律走行する車両を運用する宅配業者のネットワークモデルとは異なり、食料品店は宅配カートをリース契約で借り受け、保管、充電、注文された商品の積み込みなどは自身で行うことになっている。

Self PointとTortoiseの初の事業は小規模なものだ。しかしこれには、ロサンゼルスの外に拡大できる素質がある。Tortoiseにとってこれは、遠隔操縦式の回送技術をさまざまに応用して水平的に事業展開するという大きなビジョンの検証するという重要な意味を持つものだ。

Tortoiseは、電動スクーターにカメラと電子回路とファームウェアを組み込み、遠く離れた場所からオペレーターがそのマイクロモビリティーを操縦して利用者の元へ届けたり、正規の保管場所に戻すという事業からスタートしている。その同じハードウェアとソフトウェアを利用して、今度は独自の宅配カートを作り上げたのだ。

Tortoiseの共同創設者で社長のDmitry Shevelenko(ドミトリー・シェベレンコ)氏は、同社の遠隔回送キットは、警備ロボットや掃除ロボット、さらに電動車椅子やその他の生活支援デバイスに応用できると話している。彼はまた、遠隔回送スクーターを作物の監視用に使えないかと農家から相談も受けている。

「現実的な観点から、一夜にしてあらゆる分野に乗り込むべきではないと考えていますが、技術的制約は1つもありません」とシェベレンコ氏は最近のインタビューに応えて話していた。

新型コロナウイルスの流行と、それが顧客の行動に及ぼした影響に動かされたTortoiseの第2幕は、宅配カートに決まった。

「現在は顧客の行動が変化する一世一代の時期なのだと、私たちは咄嗟に悟りました。あらゆるものがオンラインに移行し、人々はそれが自宅に配達されることを望んでいます」とシェベレンコ氏。Tortoiseは2020年5月にこの事業に着手してから、第4四半期には宅配カートの展開に漕ぎ着けた。それは、ハードウェアとソフトウェアと従業員の目的を変更できる、同社のリパーパス能力の賜物だ。

同社はいまも、マイクロモビリティーへの最初の技術適用に関して強気の姿勢を保っている。2020年初め、Tortoise、 電動スクーター配車サービスGoX(ゴーエックス)、技術系インキュベーターCuriosity Labs(クリオシティー・ラボズ)は、ジョージア州ピーチツリーコーナーズにて、ユーザーがアプリでスクーターを呼び出せるという6カ月間のパイロット事業を開始した。スクーターにはTortoiseの技術が搭載されている。利用者がスクーターを呼ぶと、何百マイルも離れた場所にいるTortoiseの従業員がスクーターを遠隔操縦してその人の元に届けるという内容だ。利用後、スクーターは安全な駐車場へ自動的に戻る。そこで、GoXの従業員がスクーターの充電と消毒を行い、適正に消毒されたことを示すステッカーを貼る。

Self Pointとの提携はTortoiseの次なる大きなプロジェクトだが、同社はオンデマンド宅配市場のほんの一切れに集中するだけだと、シェベレンコ氏は釘を刺した。

「速度が遅いので、温かい食事の配達には適しません」と彼はいう。Kiwibot(キウィボット)やStarship(スターシップ)などのスタートアップは、その市場に特化した小型ロボットを提供しているとシェレベンコ氏は補足した。Tortoiseの宅配カートは、大量の食品や酒などの商品の配達に特化している。

「食品産業には大きな間口があります」と話す彼は、自動化技術がいまだ開発途中である現在、遠隔操縦オペレーターと同社のキットの組み合わせを採用すれば、コストが削減できると指摘している。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Tortoise配達食品配達

画像クレジット:Tortoise

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(翻訳:金井哲夫)

「人型重機」開発・社会実装の「人機一体」が「人機プラットフォーム」知的財産サブスクを発表

 

 

「人型重機」開発・社会実装の「人機一体」が「人機プラットフォーム」知的財産サブスクを発表

力制御マスタスレーブロボット技術を中心に、先端ロボット工学に関するコア技術の知的財産を多数保有する立命館大学発ベンチャー「人機一体」は11月26日、福島県主催の「ロボット・航空宇宙フェスタふくしま2020」において出展・講演を行うと発表。

また、同展示・講演では、重労働・ロボット技術に関する課題を抱える事業会社に向けた、新しい「知的財産活用のサブスクリプション型サービス」として「人機プラットフォーム」を初公開する。講演は、11月28日14:20-15:40、演題「福島ロボットテストフィールドで人型重機を開発する」の予定。

ロボット・航空宇宙フェスタふくしま2020

  • 会期:2020年11月27日10:00-17:00
    2020年11月28日10:00-16:00
  • 会場:ビッグパレットふくしま 福島県郡山市南2-52
  • 主催:福島県
  • 入場:無料(要事前予約、当日受付不可)
  • 公式:www.robotfesta-fukushima.jp

産業用機械によって自動化省人化が進んでいるものの、土木、建築、保守・点検、工事・作業、災害対応など、まだまだ人海戦術で成り立っている現場は多くある。一方人機一体は、様々な外部環境で臨機応変かつパワフルに使える世界初のロボットを実現しうる独自コア技術と知的財産を多数保有。このニーズとシーズをつなぐ「人機プラットフォーム」に参加し、人機社とともに、社会課題を解決する革新的ロボットビジネスに取り組む企業を募集する。

同社は、機械メーカーや建築/土木、鉄道インフラ、倉庫、工場などの分野を対象に、社会課題としての「現場の重労働」を、機械化によって解消することを目標に掲示。

現場作業の機械化により、「非効率的な重作業が多く、機械化によって解決したい」「場の作業員の平均年齢が上がってきており、労働力不足を機械化によって解決したい」「人の現場作業による事故・労災リスクを機械化によって解決したい」「コロナ感染リスクを考え、人の現場作業を機械化したい」といった課題解決をするための知的財産サブスクリプションサービス「人機プラットフォーム」を提供する。

人機一体のロボット技術

人機一体の保有する独自コア技術は、従来のロボットが抱える以下の問題を、すべて解決できるという。

  • 自動・自律制御やAIベースでは、「未知環境(現場)での非定型作業」ができない
  • 単一の作業しかできない「専用機」になっている
  • 物理的な「力」を自在に操ることができず、外部との力の相互作用が困難である
  • 衝突・摩擦などの外部からのイレギュラーな衝撃・干渉に弱い

人機一体は、独自コア技術の知的財産を活用することで、これまで不可能と思われてきた、現場の「機械化」を実現するという。ロボット・航空宇宙フェスタふくしま2020において展示するロボットを構築している、同社独自コア技術の知財の提供を行うとしている。

MMSEBattroid ver.1.2。人機一体社の独自技術である力順送型バイラテラル制御の適用によって、従来の華奢なマスター装置ではなく、非常に高剛性・高出力で、繊細な感覚まで伝達できるマスター装置となっている

MMSEBattroid ver.1.2。人機一体社の独自技術である力順送型バイラテラル制御の適用によって、従来の華奢なマスター装置ではなく、非常に高剛性・高出力で、繊細な感覚まで伝達できるマスター装置となっている

零式人機(れいしきじんき)。最終的には4m級の人型重機ロボットになるという。大きなロボットでありながら、繊細な作業操作も可能としている

零式人機(れいしきじんき)。最終的には4m級の人型重機ロボットになるという。大きなロボットでありながら、繊細な作業操作も可能としている

人機回転駆動ユニット。強力で巧緻、緩急剛柔自在で安全な、位置/力制御を実現する

人機回転駆動ユニット。強力で巧緻、緩急剛柔自在で安全な、位置/力制御を実現する

人機並進駆動ユニット。自在に並進力を操ることができるという

人機並進駆動ユニット。自在に並進力を操ることができるという

2007年10月創業の人機一体は、金岡博士 代表取締役 社長の理念と先端ロボット制御工学技術をコアに、パワー増幅マスタスレーブシステムとしての「人型重機」を開発・社会実装することにより「あまねく世界からフィジカルな苦役を無用とする」ことを目指す立命館大学発リアルテックベンチャー企業。

フィジカルな苦役を無用とするためには「力学ベースのロボット工学技術」の社会における広範な利用が不可欠であり、またそれによって十分に解決可能と考えているという。しかし現状を鑑みると、ロボット工学技術が学術分野において膨大に蓄積されていく一方で、その社会実装は全く不十分としている。

人機一体は「人型重機の社会実装」というシンボルプロジェクトを通してビジョンを強烈に訴え、力学ベースのロボット工学技術の社会実装に突破口を開く。

カテゴリー:ロボティクス

リサイクルロボット企業AMP Roboticsが最大73.2億円を調達か

Sequoia CapitalやSidewalk Infrastructure Partners(AMP Roboticsリリース)などの投資家たちが支援する、リサイクルロボット技術の開発企業AMP Robotics(AMPロボティクス)が、最大7000万ドル(約73億2000万円)規模の新しい資金調達を行おうとしているようだ。この情報は同社の計画を知る複数の情報源からもたらされた。

この新しい資金調達は、AMP Roboticsのパイロットプロジェクトや、同社の展開を飛躍的に拡大できる新しいパートナーシップが、継続的に成功していることを証明している。

11月初めに、同社はごみの仕分けロボットならびにリサイクルロボットに対する過去最大規模の新規注文を受けたことを発表した。

廃棄物処理会社Waste Connections(ウエイスト・コネクションズ)に対して、機械学習式リサイクルロボットシステムを24セット納品したこの注文は、同社のリサイクル技術の有効性のショーケースである。

これは、2020年初めにトロントのアパート複合施設で行われたパイロットプログラムに続けてやってきた取引だ。このパイロットプログラムでは、アパートの借り手たちが、自らのリサイクル活動の改善のために、AMP Roboticsによってモニターされているリサイクル活動を、ビルの貸し手と共有することができるようになっていた。

AMP Roboticの機械学習式ロボットが持つであろう可能性は否定できない。同社の技術は、従来のシステムでは決して行えなかったやり方で、そしてほとんどの廃棄物処理施設よりもはるかに低いコストで、連続的に廃棄物を分類することができる。

TechCrunchが以前にもレポートしたように、この技術は高密度ポリエチレンとポリエチレンテレフタレート、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンを区別することができる。またロボットは色、透明度、不透明度、そして蓋、容器、折り畳み構造、カップなどの形状を分類することもできる。さらにはパッケージ上のブランドを識別することさえできるのだ。

AMPのロボットはすでに北米、アジア、ヨーロッパで配備されていて、最近ではスペインやカリフォルニア州、コロラド州、フロリダ州、ミネソタ州、ミシガン州、ニューヨーク、テキサス州、バージニア州、ウィスコンシン州などの米国全土でも導入されている。

今年の初めAMP Roboticsは、投資家のSidewalk Labsと協力し、トロントにある250ユニットを収容する1棟のアパートの入居者たちに、リサイクル習慣に関する詳細な情報を提供するパイロットプログラムを開始した。Sidewark Labsは、その廃棄物をCanada Fibers(カナダ・ファイバーズ)の材料回収施設に輸送している。この施設では、Canada Fibersの従業員とAMP Roboticsの両社がゴミを分類している。

廃棄物が分類され、整理され、記録されると、Sidewark は建物の住民に対して。彼らのリサイクル活動の結果がどのようなものであったかを報告する。

デンバーに拠点を置くAMP Roboticsが、その技術の早期商業化の資金を手にするために、Sequoia Capitalなどから1600万ドル(約16億7000万円)を調達したのは、ついこの間である2019年11月だ。

このときTechCrunchが報告したように、当時のリサイクル事業は(材料の品質に関わりなく)、一連の廃棄物を中国による買い上げに頼ることができていた。しかし約2年前、中国はもはや世界のゴミ捨て場として機能することをやめることを決定し(Yale大学リリース)、他の国から受け取ることができる原材料の種類に厳しい基準を定めた。

その結果、リサイクル施設での処理コストが高くなり、実際にゴミをより効率的に分別する必要が生じている。また当時は、失業率がゴミ仕分け施設での労働力を圧迫していた。この1年では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックが、リサイクル施設と廃棄物処理施設に「エッセンシャルワーカー」に分類されているにも関わらずさらなる圧力をかけている。

経済的現実を考慮した結果、リサイクル業者たちはAMPの技術に目を向けている。コンピュータビジョン、機械学習、ロボット自動化の組み合わせにより、施設での効率を向上させるのだ。

そして、ストリーム中の廃棄物を特定するAMPの技術力には、他の利点がある。最高経営責任者のMatanya Horowitz(マターニャ・ホロウィッツ)氏は2019年、TechCrunchに対して次のように語った。

「私たちの技術は、コーラ缶かペプシ缶か、スターバックスのカップなのかを識別することができます。それはリサイクル性を考慮した製品デザインを助けることができます。【略】私たちはそうしたデザインを行うひとたちからの関心が高い、レポート機能を構築しています」。

AMP Roboticsはこの記事へのコメントを拒否した。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:AMP Robotics資金調達リサイクル

画像クレジット:Alashi / Getty Images(画像修正済)

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(翻訳:sako)

AI・IoT・ロボット技術で睡眠の質に合わせ変形するベッド開発のAx Robotixが約1億円を調達

AI・IoT・ロボット技術で睡眠の質に合わせ変形するベッド開発のAx Robotixが約1億円を調達

世界初の変形し成長するベッド「Bexx」を開発するAx Robotixは11月24日、第三者割当増資による約1億円の資金調達を発表した。引受先はライフタイムベンチャーズ、インキュベイトファンド。今回の資金調達により、2021年末にローンチするロボットベッド「Bexx」に必要な開発メンバーの採用を強化する。

一般に、ベッド(マットレス)は購入後劣化していき、高機能化することはない。これに対してAx Robotixは、ベッドをロボット化(自在に変形可能)することで、使うほどユーザーの日々の睡眠の質、体調・体重増減などのデータを学習し最適化されていくサービスを提供する。横寝・仰向け寝、入眠時・熟睡時それぞれに最適と判断した形状に変形し、睡眠の質を従来の常識以上に引き上げるという。

同社は、「もっと精力的に働きたいのにコンディションの良し悪しに振り回されて悔しい思いをしている人」を救いたいとの思いから、睡眠の質を計測するIotセンサーと専用アプリを利用し、常に最適な形状を取り続け、毎日の睡眠の質を観測・向上させるソリューションを提供するとしている。これにより、人類の進歩を牽引するために寝る人すべてのパフォーマンスをさらに一段引き上げ、社会の発展に貢献していく。

AI・IoT・ロボット技術で睡眠の質に合わせ変形するベッド開発のAx Robotixが約1億円を調達

2019年4月創業のAx Robotixは、「快眠のその先へ」をコンセプトに、人類の進歩を加速させるロボットベッドを開発するエンジニア集団。開発中のベッド「Bexx」は、新機軸の変形構造とビッグデータを活用した睡眠ケアで、ひとりひとりの理想の睡眠を実現するまったく新しいタイプの寝具という。疲労回復のさらに先、人間の活力を呼び起こす眠りを目指している。

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タグ:Ax Robotix資金調達(用語)スリープテック睡眠(用語)Bexxロボティクス日本(国・地域)

AIを組み合わせてロボットのピック&プレースをこれまでになく高速化する研究

ロボットが得意とする仕事に、倉庫などでよく見る退屈な繰り返しの「ピック&プレース」作業があるが、いまはまだ人間のほうがその作業には優れている。カリフォルニア大学バークレー校(UCB)の研究者たちは、2つの機械学習モデルを組み合わせることで、ロボットが掴んだものを運ぶ道筋の計算をわずかミリ秒単位に縮めようと考えた。

人はモノを手で拾って、どこか別の場所に置くという動作をほぼ考えることなく行うことができる。それは長い間日常的に行ってきた訓練の賜物という以外に、私たちの感覚と脳がそうした作業によく適応しているためでもある。「このカップを手で持って、高く持ち上げて、横に移動して、ゆっくりテーブルに置いたらどうなるか」と頭で考える人はいない。モノを運ぶ経路は限られており、ほとんどの場合、実に効率的に決められる。

ところがロボットの場合、常識や直感で動くことができない。「当たり前」のソリューションが欠如しているため、モノを拾い上げて運ぶ経路を決めるには、数千とおりの可能性を評価しなければならない。しかもそれに必要な力、衝突の危険性、使用する「手」のタイプによってそれらに与える影響の違いなどの計算も同時に行う必要がある。

どう動くかが決まれば、ロボットは高速に行動できるようになるのだが、その決断には時間がかる。通常は数秒程度で済むもののの、状況によってはずっと長くなる。だがうれしいことに、UCBのロボティクス研究者たちは、それにかかる時間をおよそ99%まで短縮できる方法を編み出した。

そのシステムは、2つの機械学習モデルが交代で働く仕組みになっている。最初のモデルは、大量の移動サンプルを参考にして、ロボットアームの経路の候補を連発する。次に、その大量に生成された候補の中から最良の選択ができるようトレーニングされた2つめの機械学習モデルが、1つを選び出す。その経路は多少大雑把になる傾向があり、モーションプランニング専門のシステムによる洗練が必要になるが、このシステムは採用すべき一般的な経路の形状をあらかじめ用意して「ウォームスタート」されるため、ほんの一瞬の仕上げ作業で済む。

判断過程の模式図。最初のエージェントが経路の候補を生成し、2番目が最良のものを選択する。3つめのシステムが選択された経路を最適化する

モーションプランニングシステムが単独でこの作業を行えば、10秒から40秒の時間がかかる。だがウォームスタートすることにより、10分の1秒以上かかることは稀となる。

これはあくまで机上の計算であって、実際の倉庫で同じようにいくとは限らない。現実世界では、ロボットは実作業をこなさなければならず、時間的余裕はまったくない。しかし、現実の環境でモーションプランニングにかかる時間が2秒か3秒程度だったとしても、それをゼロに近づけるだけで、積もり積もればかなりの時短になる。

「1秒が重要なのです。現行のシステムでは、1サイクルの半分の時間をモーションプランニングに費やしています。そのためこの方式なら、1時間の尺度で見れば、劇的な高速化の可能性があります」と、研究室の責任者であり論文の筆頭著者であるKen Goldberg(ケン・ゴールドバーグ)氏はいう。環境特性の把握も時間のかかる工程だが、コンピュータービジョンの性能を改善すれば高速化できると彼は話す。

現在のロボットは、ピック&プレース作業の効率において人間の足元にも及ばない。だが、小さな改良を積み重ねることで人間に対抗できるまでになり、ゆくゆくは人間も敵わなくなるだろう。この作業は、人間にとっては危険で骨の折れる仕事だ。それでも、世界中の何百万もの人たちがそれに従事している。伸び続けるオンライン販売業からの需要を満たすためには、それしか方法がないからだ。

この研究の論文は、今週のScience Roboticsに掲載されている

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:カリフォルニア大学バークレー校機械学習

画像クレジット:UC Berkeley/Adam Lau

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(翻訳:金井哲夫)

Sequoiaが支援するリサイクルロボットメーカーのAMP Roboticsが最大数を受注

リサイクルロボットシステムのメーカーAMP Robotics(アンプ・ロボティクス)は、北米の廃棄物処理を行う上場企業Waste Connections(ウェイスト・コネクションズ)から最大規模の発注を受けた。

今回受注した機械学習に対応したロボットリサイクルシステム24基は、いくつもの資源回収施設で、容器、繊維、残留物の処理工程で使用されると同社は話している。

AMPのテクノロジーは、原材料処理用に再生されたプラスティック、ダンボール、紙、缶、紙パックなど、さまざまな容器やパッケージの回収に役立つ。

同社の技術は、高密度ポリエチレンとテレフタル酸ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンの違いを区別できる。またそのロボットは色、透明度、不透明度、さらに蓋、タブ、クラムシェルパック、カップといった形状による分類ができる。パッケージに記されたブランドの判別も可能だ。

現在、AMPのロボットは北米、アジア、ヨーロッパで展開され、最近になってスペインにも導入された。米国内ではカリフォルニア、コロラド、フロリダ、ミネソタ、ミシガン、ニューヨーク、テキサス、バージニア、ウィスコンシンで使われている。

パンデミック前の2020年1月、AMP Roboticsは同社に投資を行なっている都市開発企業Sidewalk Labs(サイドウォーク・ラブズ)と協力して、トロントの250世帯が暮らすアパート1棟の住民に、そのリサイクル行動に関する詳細な情報を提示する実験を計画した。

対象となったアパートと廃品回収業社の協力を得て、Sidewalk Labsは、廃棄物をCanada Fibers(カナダ・ファイバーズ)の資源回収施設に送り、Canada Fibersの従業員とAMP Roboticsとでゴミの分別を行なう。分類、仕分け、記録を終えると、Sidewalk Labsはアパートの住民に連絡をとり、リサイクルがどれほどできているかを伝えることにしている。

Sidewalkによると、電子メール、オンライン・ポータル、建物の掲示板を使って、3カ月間にわたり2週間に1度、住民にその情報を知らせるという。

住民からすれば、リサイクルできるものとできないものの理解を深めるよい機会であり、Sidewalk Labsはその情報が住民のリサイクル習慣を向上させると期待している。ゴミの中身を見られたり分類されたくない人は、実験に参加しなくてもよい。

Waste Connectionsのようなリサイクル業社には、業界の問題に対処してくれるロボットの商品化は大歓迎だろう。一時は安定していたこの業界も、貿易戦争と失業率の低下で状況が逆転してしまった。2年ほど前、中国は世界のゴミ捨て場としての役割を終わらせ(Yale Environment 360記事)、外国から受け入れる資源の種類に関して、厳しい基準を設けるようになった。その結果、リサイクル施設の経費は増大し、廃棄物分別のさらなる効率化が迫られることとなった。

同時に、失業率の低下により、リサイクル可能な資源とゴミとの分別を基本的に人の手で行わなければならない施設は、作業員不足に苦しんでいる。

AMP RoboticsはSequoia Capital、BV、Closed Loop Partners、Congruent Ventures、そしてAlphabet(アルファベット)のスピンオフであり、テクノロジーと新しい基盤整備計画に投資するSidewalk Infrastructure Partnersの支援を受けている。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:AMP Roboticsリサイクル

画像クレジット:Abdulla Al Muhairi Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(翻訳:金井哲夫)

ソニーがAIロボティクス領域のドローンプロジェクト「Airpeak」始動、2021年春に事業開始

ソニーがAIロボティクス領域のドローンプロジェクト「Airpeak」始動、2021年春に事業開始

ソニーは11月9日、AIロボティクス領域における、ドローンに関する新プロジェクト「Airpeak」(エアピーク)の開始を発表した。2021年春の事業開始に向けて準備を進め、近日中に、同活動に参画を希望するプロフェッショナルサポーターの募集を開始する予定。

同プロジェクト情報は「Airpeakウェブサイト」で随時アップデート予定。

同社は、イメージング&センシング技術や、リアリティ、リアルタイム、リモートの「3Rテクノロジー」を活用し、ドローンのさらなる発展や最高峰の価値創出に貢献するという志を込め、ブランドを「Airpeak」(エアピーク)と命名したという。

Airpeakは、映像クリエイターの創造力を余すことなく支援し、エンタテインメントのさらなる発展に加え、各種産業においても一層の効率化や省力化に寄与することを目指す。

また、これまでドローンの活用が困難だった環境においても最高水準の安全性、信頼性により安心して利用できるよう、プロジェクトを推進する。

ソニーは今後、プロジェクト関連情報を継続的に発信するとともに、Airpeakの体験機会を通じてドローンユーザーからフィードバックを得る共創活動を重ね、2021年春の事業開始に向けて準備を進める。また近日中に、同活動に参画を希望するプロフェッショナルサポーターの募集を開始する予定。
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カテゴリー: ドローン
タグ: AirpeakSony / ソニー(企業)日本

ヒュンダイがBoston Dynamics買収でソフトバンクと交渉中と報道

Boston Dynamicsのオーナーがまた変わるかもしれない。Bloombergの記事によれば「事情に通じた筋」がそう語ったという。

韓国の大手自動車メーカーHyundai(ヒュンダイ)がBoston Dynamicsの買収に成功すれば三代目のオーナーとなる。この7年間でGoogle(グーグル)、次にSoftBank(ソフトバンク)グループが同社を買収してきた。Boston Dynamicsは4脚のBigDog、人間型のAtlasなどを含め、先進的なロボティクステクノロジーで世界に知られている。

TechCrunchではヒュンダイ、ソフトバンク、Boston Dynamicsの各社にコメントを求めている。回答があれば記事をアップデートする予定だ。

Boston Dynamicsは25年の間、主に開発研究と軍事用の応用に集中していたが、2017年にソフトバンクグループの一員となって以後、ロボットの商用化を積極的に推進し始めた。例えば同社は2019年に四足歩行ロボットSpotの販売を開始したが、チェルノブイリの放射能汚染の除去(The Telegraph記事)、ニューヨーク市警察のパトロール(New York Post記事)、新型コロナウイルス(COVID-19)治療のための遠隔医療など極めて広い用途で利用されている。

同社はまた車輪で移動するアームを持つHandleをフルフィルメントセンターなどの倉庫におけるパッケージ処理向けに提供している。これはパンデミックによって人手不足が生じている中で注目を集めているプロダクトだ。しかしながら、こうした先進的テクノロジーを用いたロボットは複雑かつ高価となり、量産・販売には困難な課題がある。また利用者側にも、十分なノウハウと多額の投資に耐える体力が必要だ。オーナーのソフトバンクはWeWorkへの投資失敗などもあり、2020年は波乱の年だった。

ソフトバンクのロボティクスに対する取り組みは、Aldebaran Roboticsが開発したPepperロボットでわかるように比較的シンプルな応用を主としているのに対して、ヒュンダイのビジョンはBoston Dynamicsのこれまでの歴史に近いといえる。ヒュンダイが2019年に発表したコンセプトカーであるElavate(Business Insider記事)は通常は4輪で走行するが、必要に応じて4脚に変身してどんな悪路も走破できることを目標としていた。つまり非常に高度なロボティクスを利用するものだった。

ヒュンダイは、2019年から自動走行車とロボティクスのテクノロジーに関心を示し始めた。同社は自動走行車開発のためにAptivと持ち分50%ずつのジョイントベンチャーでMotionalを創立(未訳記事)した。新会社の目標はレベル4からレベル5の段階の高度な自動走行テクノロジーの開発で、Hyndaiはこうしたテクノロジーを最終的に量産に結びつけようと狙っている。同社は2022年までに自動走行車の量産だけでなく、これを利用したロボタクシーの運用も目標としている。

Aptivとヒュンダイのジョイントベンチャーへの投資総額(研究開発費用や知財の価値を含む)は40億ドル(約4200億円)に上る。両社は当初、完全自動走行テクノロジーのテストは2020年までに開始され2022年の商業化を目指すとしていた。

実はヒュンダイはこれまで自動走行車にはさして多額の投資をしていいなかった。2019年10月には、次世代移動テクノロジー開発のために2025年までに41兆ウォン(約3兆8600億円)を投資するという計画を発表した。この資金の大部分は同社の自動車ラインナップのEV化に向けられるものだが、自動走行を含む各種の次世代テクノロジーにも強い興味があると述べている。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:ヒュンダイBoston Dynamicsソフトバンクグループ買収

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ロボットと人との協働を効果的なものにするRobust.AIが15.7億円調達

Robust.AIが米国時間10月28日、Jazz Venture Partnersが率いるシリーズAのラウンドで1500万ドル(約15億7000万円)を調達したことを発表した。これまでのパートナーであるPlayground GlobalとLiquid2、Fontinalis、Jaan Tallinn(ジャーン・タリン)氏、およびMark Leslie(マーク・レスリー)氏らもこのラウンドに参加し、ベイエリアのロボティクスAIスタートアップの調達総額は2250万ドル(約23億5000万円)になった。

2019年の半ばに創業した同社は、そのCレベルエグゼクティブ(チーフ級の役員)にRodney Brooks(ロドニー・ブルックス)氏がいる。iRobotの共同創業者である彼はRobust.AIのCTOで、それ以前には将来性がありながら資金を賄えなかったRethinkの予期せざる閉鎖を経験した。Rethinkは世界に、画期的な作業ロボットBaxterとSawyerを与えた。iRobotのもう1人の共同創業者であるHelen Greiner(ヘレン・グライナー)氏もやはり最近、新たなベンチャー企業を立ち上げて注目を浴びている。一方Robust.AIのCEOであるGary Marcus(ゲイリー・マーカス)氏はGeometric Intelligenceの共同創業者でもあり、同社は2016年にUberが買収した。

Robust.AIの中核にあるものは「世界で初めての工業規格のロボット用認知エンジン」だ。それは強調的な複数のロボットに十分な問題解決能力を与え、人間との効果的な協働ができるようにする。

同社はまだとても新しいが、パンデミックが人間の労働力の大半を無力にしている中で、ロボティクスやオートメーションへの投資は急速に進んでいる。Robustの公式ミッションは、現在そういったマシンの多くを動かしているソフトウェアスタックをオーバホールして、複雑な環境でも良い仕事ができるようにすることだ。

「市場適性を見つけることが、他のプロダクトと同じくロボットやAIシステムにおいても重要だ。私たちが構築しているのは、多くのロボティクス企業がどうしても欲しくなる、と私たちが信じているものだ。現在のロボティクスの主流は、単一目的のツールが厳密に定義されている環境で動くというものだが、それを高度に役に立つシステムが、世界の複雑性と独自の事情を抱えたさまざまな場所で、動くようにしていかなければならない」とブルックス氏はいう。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:Robust.AI資金調達

画像クレジット:gerenme / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ハンバーガー店「ホワイト・キャッスル」がフライ調理ロボットを新型コロナでスタッフが少ないキッチンに追加導入

さらに多くのロボットがハンバーガーチェーンのWhite Castle(ホワイト・キャッスル)にやってくる。

カリフォルニア州パサデナを拠点とするMiso Roboticsとの提携を拡大し、White Castleの新規店舗約10店舗でフライ調理ロボットが導入されることになった。

両社の声明によると、今回の提携はMiso Roboticsが新たに設計したFlippyロボットのキッチンへの採用を加速させ、生産をスピードアップし、より多くのスタッフがフロントで顧客サービスを提供できるようにするものだという。

なお、取引の条件は明らかにされていない。

White CastleがFlippyのパイロット版を最初に発表(未訳記事)したのは、新型コロナウイルスが全米に広まり始め、キッチンスタッフと顧客の両方にリスクをもたらし始めていた2020年7月のことだ。

現在、レストランチェーンには調理時間を変えずに、スタッフの数を制限しなければならないという課題があり、その解決策としてMiso Roboticsのフライ調理ロボットが選ばれた。

White Castleの最高経営責任者であるLisa Ingram(リサ・イングラム)氏は声明の中で、「人工知能と自動化はWhite Castleがオペレーションを最適化し、チームメンバーにより良い職場環境を提供するために実験したいと考えてきた分野です」と述べている。「このパイロット版によって、私たちはその道を歩み始めました。Miso Roboticsとの提携を続け、ファストフード業界で最先端のテクノロジーをより多く採用する先駆けとなれたことは、この上ない喜びです」。

White Castleの声明によると、このロボットは従業員が働きたくないが、同社のターゲット顧客の多くが食事をしたがっている深夜シフトの時間で特に有用であるという。Flippyのロボットは、1日に最大360バスケットのフライを調理できる。

また声明によると、2020年9月下旬に試験的にロボットが導入されて以来、Flippyロボットは合計で約1万4580ポンド(約6600kg)の食品を扱い、9720バスケット以上を調理したという。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:White CastleMiso RoboticsFlippy

画像クレジット:TechCrunch / Bryce Durbin

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

「ごほうび」でロボットに正しいタスクのやり方を訓練する研究論文が発表

ロボット学習を積極的に追求しているロボット教師養成機関は、おそらく世界には存在しないだろう。しかしこの分野は、産業界に大きな可能性をもたらす鍵を握っている。この分野の注目すべき点の1つは、多くの研究者が、ロボットがゼロから本質的に学習できるようにするための秘密を解き明かすために、無数の異なるアプローチを取っていることだ。

ジョンズホプキンス大学が最近発表した研究論文は「Good Robot」(良いロボット)という楽しいタイトルが付けられており、正の強化による学習の可能性を探求している。論文のタイトルは、筆者のAndrew Hundt(アンドリュー・ハント)氏が自分の犬に、リスを追わないよう教えた経験に由来している。その説明は省略するが、代わりに以下の動画をご覧いただきたい。

この考え方の核となるのは、ロボットが何かを正しくやったときに「ごほうび」をあげる方法だ。間違っても、罰は与えない。ロボットのためのごほうびは、一種の得点方式だ。仕事のゲーム化と同じで、仕事を正しく行ったら点を与える。

博士課程中のハント氏によると、この方法で仕事の訓練時間を減らすことができたという。同氏は一般向けの配布文書で 「そのロボットは高い点を欲しがる。そして最良の報酬が得られるための正しい行動を迅速に学ぶ。これまでロボットが100%正確なタスクができるまで1カ月必要だったが、わずか2日でできた」と述べている。

積み木を積んだり、ビデオゲームをするといったまだ初歩的なタスクばかりだが、今後、さらに複雑な実際に役に立つタスクをこなせるようになるのではないか、と期待されている。

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タグ:ロボット
画像クレジット:Johns Hopkins University

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アウトレット店Sam’s Clubが導入した自律ロボットは床掃除だけでなく在庫管理も一緒に行う

これまでの半年間で多くの企業が人間の労働者をサポートまたは代替する方法を求めるようになり、それにともなってロボットや自動化技術の選択肢も急増した。大規模なパンデミックでオフィスや店舗の閉鎖が増えたのだから、これは当然の傾向だ。

Walmart(ウォルマート)の子会社である会員制アウトレットのSam’s Clubはかなり前から床掃除ロボットを利用しており、現在、多くの店舗でTennantの床拭きロボットT7AMRを導入している。しかし今週同社は、2020年中にさらに372台を導入すると発表(PR Newswire記事)し、これで全米599店すべてにロボットが導入されることとなる。

このロボットは人間も操縦できるが、Brain Corpのサービスを利用して自律させることもできる。Sam’s Clubのような倉庫型の店舗はなにしろ広いので大歓迎だ。おもしろいのは、ソフトウェアにより床拭きと店内在庫のチェックの2役を同時に行える点だ。

親会社のWalmartは、すでにロボットを使って店内の在庫を調べている。同社は2021年1月にBossa Novaのロボットをさらに650店に導入して、合計1000店になると発表した。TennantとBrain Corp.のシステムはまだパイロット段階だが、ピーク時以外に2役をこなすロボットはすでに大きな話題になっている。大きな店舗では、掃除だけでなく在庫チェック大変な仕事なのだ。

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カテゴリー:ロボティックス
タグ:Sam’s ClubTennantBrain Corp

画像クレジット: Brain Corp.

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

来年発売のBoston DynamicsのSpotはアームと充電用ドックがある

Boston Dynamicsの新CEO、Rob Playter氏によると、同社の精巧なロボットSpotは、先月Disruptに登場した時点でほぼ260台売れていた。この75000ドルのロボットは、商品としての魅力には問題があっても、さまざまな業界がそれぞれ自分なりにデプロイする方法を見つけて使いたいようだ。

Spotの多くの特長の中でとくに開発者やサードパーティが気に入ったのは、いろんなアクセサリーを後づけして、建設や遠隔医療など様々なアプリケーションを実現できる、プラットホームとしての位置づけだ。しかしBoston Dynamics自身も積極的にアクセサリーを開発して、Spotの用途を多様化しようとしている。

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同社が最近発表したのはロボットアームのアドオンで、ドアを開けたり物を持ち上げたりなど多様なタスクを実行できる。アームはすでに、数年前のSpot/Spot Miniのビデオにあるから、それを加えることは同社にとって容易だっただろう。同社の初めての商用製品でありながらアームがないことに、正直言って私はちょっと幻滅していた。

画像クレジット: Boston Dynamics

アームの発売は来年の早い時期になる。それは6つの自由度があり、ロボットと一緒に動く。同社によると、「ベースになるロボットと同じく、このアームも単なるハードウェアではない。直観的なUIがあり、タブレットから遠隔操作や自動運転の監視や制御ができる」、という。

アームとグリッパーは、開発者がAPIからアクセスできる。ドアを開けたり、物を掴んで引きずったりする自動化ができるアプリケーションは、そのベータがアームの出荷時に同梱されている。

画像クレジット: Boston Dynamics

Boston Dynamicsの発表では、このロボットにはエンタープライズバージョンがあって、それにはロボットが自分で自分を充電するためのドックがある。でっかい高性能なRoombaのように、Spotは自力でドックに戻り、充電をする。石油掘削の現場や放射能の危険のある場所など、人間がいない方がよい場所で、このロボットは理想的な仕事をする。

エンタープライズバージョンも、来年初頭の発売だ。どちらも、価格は未定である。

画像クレジット: Boston Dynamics

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

二足歩行ロボット開発のAgilityが約21億円を調達

米国時間10月15日、オレゴン州立大学からスピンオフし二足歩行ロボットのDigitとCassieを開発するAgility Roboticsは、2000万ドル(約21億円)を調達したと発表した。今回のラウンドを主導したのはDCVCとPlayground Globalで、Agilityのこれまでの調達金額の合計は2900万ドル(約30億5000万円)になった。ほかにTDK Ventures、MFV Partners、Industrial Technology Investment Corporation、Sony Innovation Fund、Safar Partnersも投資した。

Agilityのロボットは、筆者が近年見てきた中では洗練されているロボットのひとつだ。ダチョウからヒントを得たCassieは、その優雅な二足歩行の足取りでロボティクスに関わるコミュニティの想像力をまさにとりこにした。

2019年に発表されたDigitは、Cassieをベースにさらに進化し、階段などの地形を歩ける荷物運搬ロボットとなっている。これは、従来の車輪の付いたロボットでは難しいことだ。実は自動車大手のフォードがこの技術を気に入り、Digitの最初の顧客になると発表した。同社は自動運転の車と組み合わせてこのロボットを配送に使う計画だ。

Agilityは今回の調達で得た資金をもとに、ロボットを多様な用途に対応させる予定だ。共同創業者のJonathan Hurst(ジョナサン・ハースト)氏は、今回の調達に関する発表の中で次のように述べている。「今回の資金を投入して、物流業者やeコマースの小売店など、人間とともに働いて反復作業や肉体的負担が大きい作業、危険な作業を自動化するロボットを求める企業からの需要に応えていきます。我々はさまざまな業界にわたって、人間の作業を前提とした場所での業務を自動化するヒューマノイドロボットの開発と展開を加速することを楽しみにしています」。

ロボット業界の多くの企業がそうだが、Agilityも新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動停止で注目を集め、成長しているようだ。配送や物流に関わる多くの企業がサービスを自動化する新しい方法を模索している。Digitの現在の価格は25万ドル(約2600万円)と非常に高価だが、今後台数が増えれば価格は下がっていくだろう。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Agility、資金調達

画像クレジット:David Becker / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

分身ロボット「OriHime」開発のオリィ研究所がNTTと川田テクノロジーズから5億円を調達

分身ロボット「OriHime」開発のオリィ研究所がNTTと川田テクノロジーズから5億円を調達

遠隔操作可能な小型分身ロボット「OriHime」(オリヒメ)を開発するオリィ研究所は10月15日、第三者割当増資により総額5億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、日本電信電話(NTT)、川田テクノロジーズ。

調達した資金により、今後計画している新プロダクトの量産体制、ハードウェアおよびサービスの開発体制、営業・マーケティングの人材採用を強化し、外出困難者の就労支援事業の推進、分身ロボットOriHimeの普及、将来に向けた研究開発に注力する。

また、NTTおよび川田テクノロジーズとの強固なパートナーシップを構築することで、よりユーザーに求められるサービス・プロダクトを構築し、それらの社会実装を加速させる。

オリィ研究所は孤独の解消を理念とし「たとえ外出困難や寝たきりになっても、誰もが社会に参加できる未来をつくる」をコンセプトに、遠隔操作で自由自在に動かせるOriHimeを開発。

その他、視線入力システムによる意思伝達装置「OriHime eye+Switch」、遠隔操作での肉体労働を実現する「OriHime-D」の開発とそれを用いた分身ロボットカフェの実施、外出困難者の新しい働き方を開拓することを目的とした「アバターギルド」などの製品・サービスを提供している。

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カテゴリー: ロボティクス
タグ: オリィ研究所資金調達日本

モーションリブが模型用小型モーター使い固い・柔らかい物をつかんだ感触を伝送する技術を開発

モーションリブが模型用小型モーター使い固い・柔らかい物をつかんだ感触を伝送する技術を開発

モーションリブは10月15日、汎用力触覚ICチップ「AbcCore」により、低価格な模型用小型モーターを使い、硬いモノ・柔らかいモノなどをつかんだ感触など力触覚を伝送をする技術を開発したと発表した。

モーションリブは、機械が力触覚を自在にコントロールするために必要なリアルハプティクス(Real-Haptics)について、機械への実装を可能にするための研究開発から、キーデバイスである汎用力触覚ICチップ「AbcCore」の製造販売まで行う慶應義塾大学発スタートアップ。

リアルハプティクスとは、慶應義塾大学で発明された、アクチュエーターの力加減を自在に制御できる技術。同技術により、力センサーレスで力触覚を伴う「計測可視化・分析」「遠隔操作」「ロボット自動化」「感触の再現・VR」が可能となる。

AbcCoreは、力センサーや特殊なモーターなどを必要とせず、市販モーターを使って力加減や力触覚伝送の制御を実現できる点で技術的優位性を備えるという。モーターにかかる負荷力は推定アルゴリズムにより算出するため、力センサーも不要。AbcCoreは、すでに60社以上の企業に先行提供されており、共同研究や実用化が始まっている。

モーションリブが模型用小型モーター使い固い・柔らかい物をつかんだ感触を伝送する技術を開発

  • 力加減の制御: リアルハプティクスをモジュール化し、リアルタイムな力加減の計測と制御を実現
  • 力触覚を伝送: 力加減をデータ化し、遠隔地に伝送。双方向に力触覚を伝え合うことを実現
  • 力センサーレス: 独自の力推定アルゴリズムにより力センサーの設置が不要(力センサーの使用も可)
  • 高い汎用性: 市販のアクチュエーター・機器を使用して力の制御が可能。既存システムへの組込みも容易

リアルハプティクスによる力触覚を有する遠隔操作は、人間が入れない危険環境の作業代行や、職人による官能検査、あるいは製造・保守業務のリモート化など、産業用途において幅広く活用検証が進んでいる。

ただし、リアルハプティクスを適用した装置の構築は高価格なサーボモーターが必要で、装置製作が高コストになる傾向にあるという。

一方、今回モーションリブが開発した技術では、低価格な模型用小型モーターを活用できるようになり、力触覚を有する装置を低コストに構築することが可能となる。

これにより、目下応用研究開発が大きく進んでいる産業分野にとどまらず、家電・ホビー・エンターテイメントなど幅広い民生分野においても、低価格な普及型製品への適用可能性が広がるとしている。

なお、同技術は模型用小型モーターの力触覚制御をベースとしているため、モーター2台を使った力触覚伝送はもとより、モーター単体を使った力加減の計測・制御についても利用可能。

また同技術は、リアルハプティクス技術協議会の加盟企業との共同研究開発の中で提供を開始する。

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カテゴリー: ロボティクス
タグ: モーションリブ日本

大日本印刷が傷みやすい果物のピッキングロボット向けに伸縮自在な接触センサーユニットを開発

大日本印刷が傷みやすい果物などピッキングロボット向けの伸縮自在な接触センサーユニットを開発

大日本印刷(DNP)は10月9日、AIやセンサーなどを活かしてモノをつかむ「ロボットグリッパー」に対し、樹脂などの柔軟な部分にも直接装着できる、DNP独自の伸縮自在な配線構造を持つ「接触センサーユニット」を開発したと発表した。

このユニットにより、これまで人が行ってきた果物や野菜などのピッキング作業を、柔軟性のあるロボットグリッパーで自動化できるようになり、省人化を実現するとしている。

今回開発した製品は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究テーマ「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/フィジカル空間デジタルデータ処理基盤」の取り組みとして、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)および立命館大学と連携し、ソフトロボティクス分野における有効性の実証研究として開発したもの。

接触センサーユニットは、伸縮配線と感圧ゴムを組み合わせた構造を採用。一般的な接触センサーの方式には静電容量式と感圧式があるが、静電容量式の場合伸縮時の配線の容量変化を考慮して補正する必要があり、駆動回路が複雑化する可能性が高い。そのため今回の実証研究では、配線の容量変化を考慮、補正する必要のない感圧式を採用した。

全体の厚みは約2mmで、配線材料は銅を採用。130%までの伸縮動作を、食品ピッキングに必要とされる100万回程度繰り返しても、電気的・機械的特性が損なわれないことを確認しているという。

近年、労働力不足に対応するため、モノをつかんで移動させるピッキング作業を行うロボットグリッパーが、製造業をはじめ様々な分野で導入されている。特に、傷みが生じやすい果物や野菜などを扱う食品分野などでは、柔軟性のあるロボットグリッパーが用いられているという。

このロボットグリッパーには、モノを握って持ち上げる「把持(はじ)力」を検出する接触センサーを装着する必要があるものの、従来この接触センサーをつなぐ配線ケーブルがピッキング作業の邪魔になり、誤ってケーブルをつかむことで断線することがあった。また作業の邪魔にならないよう、ロボットグリッパーに直接ケーブルを装着した場合、伸縮性のないケーブルが断線するといった課題もあった。

こうした課題を解決するためDNPは、独自の「伸縮性ハイブリッド電子実装技術」を活用することで、柔軟性のあるソフトなロボットグリッパーに直接装着しても断線が発生しない、伸縮自在な配線の接触センサーユニットを開発した。

DNPは、縦・横の方向や曲面の形状で収縮する物の動きに対し、自由に追従できる電子回路基板の開発を進めており、この伸縮性ハイブリッド電子実装技術では、柔軟な基材を曲げ伸ばししても抵抗値が変わらない電極配線を可能としている。また、剛直な部品を電子回路基板上に実装しても伸縮時に断線しにくい工夫を盛り込んでいるとした。

伸縮性ハイブリッド電子実装技術は、接触センサーだけではなく製品化されているあらゆるセンサー部品に応用可能。一般的な電子部品製造プロセスを用いているため、産業界で実績のある量産性に優れた方法で製造できるとしている。

今後DNPは、NEDOおよび産総研、立命館大学との連携を通じて、把持力の検出だけではなく、ロボットのフィードバック制御や駆動においてもさらなる精度向上を図り、きめ細やかなロボット制御を実現し、労働生産性の低い産業への導入を目指す。

カテゴリー: ロボティクス
タグ: NEDO大日本印刷産業技術総合研究所(産総研)接触センサー日本

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