NASAが火星の岩石サンプル採取に成功、初回の失敗ふまえPerseveranceローバーのカメラで慎重に確認

  1. NASAが火星の岩石サンプル採取に成功、初回の失敗ふまえPerseveranceローバーのカメラで慎重に確認

    NASA/JPL-Caltech

先月、火星で初の回収用土壌サンプルの採取に失敗してしまった探査ローバーのPerseveranceですが、先週トライした2回目の採取にはどうやら成功した模様です。NASAによれば、サンプルチューブの中には岩石からくりぬいた、さびた鉄のような色のサンプルが入っており、正常に処理して地球に回収する準備ができていることが確認できたとのこと。

NASAは最初のサンプル採取の際、処理上は完全に成功したと考えられたもののサンプル管の中には何も入っていませんでした。このことについて、科学者らはサンプルが砂状に砕けてしまったせいでサンプルとして採取するのに失敗したと述べていました。

今回NASAがサンプル管の中に明らかに何か入っているにもかかわらず、すぐに成功したと言わなかったのは、この前回の失敗を踏まえて確認作業をより確実にしたかった意図があると考えられます。採取作業のあと最初に撮影した画像の中には岩石らしきものが映っているのが見えましたが、日光の角度の関係で明確に成功というのは難しかったかもしれません。しかしその後、土曜日に撮影された新たな写真では、はっきりとサンプルが入っているのが確認できました。

アリゾナ州立大学のSteven Ruff氏は、自身のYouTubeチャンネルでそのサンプルがカンラン岩と水分が反応してできた鉄を含む物質である可能性が高いとを述べています。

Perseveranceはこのサンプルを密閉して、その場もしくは定めた場所に置いて次のサンプル採種に向かいます。地表におかれたサンプルは、あとから火星にやって来る予定の回収用ローバーがジェゼロ・クレーター近くの1か所に集め、最終的に地球に帰還するロケットに積み込まれる計画です。

ただし、ESAが準備する予定の回収用ローバーと回収ロケットはまだ設計段階で、影も形もありません。現在のスケジュールでは、この回収ミッションは2026年までに火星に向けて出発し、2028年に到着、地球への帰還は2031年と予定されています。

近年の地球外からのサンプルリターンといえば、これまでにJAXAがはやぶさ / はやぶさ2で小惑星からのリターンに成功しているほか、中国が2020年12月に嫦娥5号で月の土壌を持ち帰ることに成功しています。一方NASAは、探査機OSIRIS-RExが小惑星ベンヌからサンプルを持ち帰っている最中であり、これは2023年に戻ってくる予定です。

火星からのサンプルリターンはNASAと欧州宇宙機関(ESA)の共同ミッションで、Perseveranceが荷造りしたサンプルはESAのSample Fetch Roverが集めて火星軌道上に打ち上げます。そしてそのサンプルを収めたコンテナはやはりESAのEarth Return Orbiterがキャッチして、地球に戻ることを計画しています。これらESAの機器は昨年10月に仏Airbusが開発契約を獲得しました。

画像クレジット:NASA/JPL-Caltech

(Source:NASAEngadget日本版より転載)

Rocket Lab CEOインタビュー、宇宙開発のキャリアで学んだ教訓は「絶対にやらないとは絶対に言わない」こと

Peter Beck(ピーター・ベック)氏の一番古い記憶は、故郷であるニュージーランドのインバーカーギルで父親と一緒に外に立って星を見上げていたときに「その星の周りを回っている惑星にいる人たちが、お前を振り返って見ているかもしれないんだよ」と言われたことだ。

「3歳か4歳の子どもにとって、それは衝撃的な出来事で、私の記憶に刻まれ、それ以来、私は宇宙産業で働くことを運命づけられていたのです」と、Space Generation Fusion Forum(SGFF)で語った。

もちろん、後からなら何とでも言える。しかし、ベック氏のキャリアは、ロケットに一途に集中している。ベック氏は大学に行かずに貿易関係の仕事に就き、昼間は工具製作の見習い、夜はロケットエンジン作りに没頭していた。「これまでのキャリアで非常に幸運だったのは、一緒に仕事をしてきた企業や政府機関が、私が夜に施設を使って何かをすることを常に奨励してくれた─あるいは耐えてくれたと言った方がいいかもしれませんが─ことです」と彼はいう。

彼の腕前は経験とともに成熟し、ダブルワークが功を奏した。2006年、彼は宇宙開発会社Rocket Labを設立した。それから15年、21回の打ち上げを経て、同社は特別買収目的会社との合併により株式を公開し、7億7700万ドル(約853億3000万円)の資金を手に入れた。

スペースSPACの流行

Vector Acquisitionとの合併により、Rocket Labの評価額は48億ドル(約5271億5500万円)に跳ね上がり、宇宙開発企業の中ではElon Musk(イーロン・マスク)のSpaceXに次いで第2位の評価額となった。SPACは、多額の資金を確保したい宇宙産業企業にとって、上場にあたって人気のルートとなっている。ライバルの衛星打ち上げ企業であるVirgin OrbitAstraは、それぞれSPACの合併により上場しており、その他にもRedwirePlanetSatellogicなどの宇宙産業企業が存在する(一例)。

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ベック氏がTechCrunchに語ったところによると、上場はRocket Labが何年間にも渡って計画していたことで、当初の計画では、従来の新規株式公開を行う予定だったが、特にSPACルートが資本と評価を確実なものにした。SPACとの合併前に行われた3月の投資家向けプレゼンテーション(大いに半信半疑で見るべき資料だが)によると、将来は明るいとしている。Rocket Labは、2025年に7億4900万ドル(約822億7400万円)の収益を見込み、翌年には10億ドル(約1098億4600万円)を超えると予想されている。同社は、2019年に4800万ドル(約52億7200万円)、2020年に3300万ドル(約36億2400万円)の収益を報告しており、2021年は6900万ドル(約75億7900万円)程度になると予想している。

しかし彼は、収益を上げる前の宇宙産業スタートアップや、資金調達に失敗した企業がSPACを金融商品として利用することには、依然として懐疑的だ。「多くのスペースSPACが行われていますが、その品質には確実に差があると思います。民間市場での資金調達に失敗し、(SPACの合併が)最後の手段になっているものもあります。それは公開企業になるべき方法では決してありません」。

Rocket LabやSpaceXのような企業が衛星を軌道に乗せ、無数の新規参入企業がそれに加わろうとしている(あるいは、より楽観的にいうなら、主導権を握ろうとしている)現在、宇宙産業は比較的過密状態にあるが、ベック氏はその混雑は解消されると予想する。

「達成している会社、達成しようとしている会社がどれなのかは、投資家にとってすぐに明らかになるでしょう。今、私たちは興奮の渦中にいますが、結局のところ、この業界と公開市場は実行力がすべてです。使えるものと使えないものはあっという間に分かれてしまうでしょう」とベック氏はいう。

ElectronからNeutronへ

Rocket Labの収益は主に小型ロケットの打ち上げ市場からのもので、Electronロケットでトップの座を獲得している。Electronは、高さはたったの約17.98メートル、直径はかろうじて約1.21メートルと、現在宇宙に飛ばされている他のロケットよりもはるかにサイズが小さい。同社は、ニュージーランドのマヒア半島にある民間の発射場と、バージニア州にあるNASAのワロップス島施設(実際のRocket Labのミッションはまだ行われていない)の発射台の2つの場所から打ち上げを行う。

Rocket Labは、Electronの第1段ブースターを再利用可能なものに移行する作業を行っている。同社は、パラシュートを使ってブースターの降下を遅らせる、新しい大気圏再突入と海への着水プロセスを導入しているが、最終的な目標はヘリコプターを使って空中でキャッチすることだ。

これまでのところ、Rocket LabとSpaceXが市場を独占してきたが、これはすぐに変わる可能性がある。AstraとRelativityはともに小型のロケットを開発している。Astraの最新のロケットは高さが約12.19メートルで、RelativityのTerran 1はElectronとファルコン9の中間で約35.05メートルとなっている。

そのため、Rocket Labが待望の(そして非常に謎めいた)Neutronロケットで中距離ロケットに事業を拡大しようと計画しているのも納得がいく。当社はNeutronの詳細を明らかにしておらず、ベック氏はSGFFの参加者に、公開されているロケットのレンダリング画像でさえも「ちょっとした策略」であると述べている(つまり、下の画像はNeutronの実際の姿とはほとんど似ていないということだ)が、高さはElectronの2倍以上、約8000kgを地球低軌道に送ることができると予想されている。

画像クレジット:Rocket Lab

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「業界の多くの人々が、さまざまな方法で私たちをコピーしているのを目にしています。だから、私たちはもう少し先を行ってから、自分たちが行った仕事を明らかにしたいのです」と彼はTechCrunchに説明した。

Rocket Labは、エレクトロンとNeutronが2029年までに打ち上げられると予想される衛星の98%を搭載できると予想しており、追加のヘビーリフトロケットは必要ないと考える。

同社はNeutronに加えて、宇宙船の開発にも着手している。その名もPhotonで、Rocket LabではElectronロケットに簡単に組み込める「衛星プラットフォーム」として開発を進めている。Rocket Labでは、Photonを使った月やその他の場所へのミッションをすでに計画している。まず、NASAのCAPSTONE(Cislunar Autonomous Positioning System Technology Operations and Navigation Experiment)プログラムの一環として、月周回軌道に乗せる。

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2021年8月初めには、火星への11カ月間のミッションに2機のPhotonが選ばれ、ベック氏はPhoton衛星を使って金星の大気圏に探査機を送るという長期計画を公に語っている。

Rocket LabはPhotonの他にも、宇宙船製造のスタートアップであるVarda Space Industriesと契約を結び、2023年と2024年に打ち上げる宇宙船を製造している。

Neutronは、宇宙飛行士を運ぶための一定の安全基準を満たすように、最初から人間が解読できるように設計されている。ベック氏は「宇宙飛行の民主化が進む」と確信しており、Rocket Labが将来的にそのサービスを安定して提供できるようにしたいと考えている。また、Rocket Labが将来的に着陸機や有人カプセルなど、他の宇宙船の製造にも進出するかどうかについては、ベック氏は否定的だった。

「絶対にやらないとは絶対に言わないです」と彼はいう。「これが、私が宇宙開発のCEOとしてのキャリアの中で学んだ1つの教訓です」。

画像クレジット:Rocket Lab

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

Fireflyは初試みのロケットを打ち上げるも空中爆発、機体は完全に破壊される

Firefly(ファイヤーフライ)はカリフォルニア州のヴァンデンバーグ空軍基地から初のロケットを打ち上げた。ロケットには地球低軌道にのせる数多くのペイロードが積載されていた。ロケットは計画通り打ち上げられ、打ち上げ後はかなり順調なように見えた。だが、明らかな爆発があり、そして宇宙到達前にロケットは完全に破壊されるという「異常」事態となった。

米国時間9月3日に打ち上げられたロケットはFireflyのAlphaで、同社にとって初の試みだった。実際のところ、打ち上げパッドからの離陸は成功し、ロケットの破壊は「マックスQ」として知られる、大気圏内で最も動圧を受ける点を過ぎた後に起こったように見える。

Fireflyは、Everyday Astronautがホストするライブストリームで爆発の様子が流れてから程なくしてTwitterで声明を出した。このライブストリームにはFireflyが提供した音声と動画があった。Fireflyは、地上のスタッフがリスクを最小限に抑えるため、そして安全プロトコルに従って打ち上げパッドとその周辺を離れた、と付け加えた。

同社はAlphaロケットに何が起きたのか、なぜ機体を失ったのか、詳細を提供する見込みだ。発表があり次第アップデートする。

オースティン拠点の民間商業打ち上げ会社であるFireflyはもともと2014年の創業で、破産を乗り越えて2017年にFirefly Aerospaceとして生まれ変わった。同社のAlphaロケットは小型の完全消耗品であり、2200ポンド(約998kg)のペイロードを低軌道へと運搬できる。同社はまた1万7000ポンド(約7711kg)のペイロードに対応するBetaロケットも開発中だ。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

ヴァージン・ギャラクティック初の商用フライトは7月の事故原因調査のためFAAが飛行停止に

先の記事で、Virgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)初となる商用飛行は2021年9月だと報じた。

早とちりしてしまったのかもしれない。米国時間9月2日午後、米連邦航空局(FAA)は、7月11日に行われたVirgin Galacticの有人飛行に関する調査結果が出るまで、追って通知があるまですべての同社を飛行停止にすると発表した。

「Virgin Galacticが最終的な事故調査報告書を承認するか、事故に関する問題が公共の安全に影響しないと判断するまで、SpaceShipTwoをフライトに戻すことはない」とFAAは述べている。

7月11日のミッションは、同社の億万長者で創業者のRichard Branson(リチャード・ブランソン)氏を含むスタッフとクルーに負傷なく完了したが、最近になって、スペースプレーンが許可された空域外で軌道を逸脱していたことが明らかになっている。

飛行時にスペースプレーンのダッシュボード上の赤い警告灯が点灯し、計画軌道を外れたことをを示した。FAAの発表によると、スペースプレーンは合計1分41秒間、軌道を外れて飛行した。その航路逸脱はThe New Yorkerが最初に報じた。

さらに規制当局は「FAAには商用宇宙輸送の打ち上げと再突入操作の際に、一般市民を保護する責任を負っています。FAAはニューメキシコ州スペースポート・アメリカ上空で起きた7月11日のSpaceShipTwoの事故について、Virgin Galacticによる調査を監督しています。SpaceShipTwoはスペースポート・アメリカへの帰還時に、航空管制の許可を逸脱しました」。

調査が完了しその結果次第では、9月に予定されていた初の商用飛行は地上に留まるかもしれない。その飛行はイタリア空軍と全米研究評議会のメンバーを宇宙の端っこに送って、微小重力への移行が人体に与える影響を研究することになっている。しかしそれまでは、リチャード・ブランソン氏の超音速機企業は「地上待機」となる。

【更新】Virgin Galacticの広報はTechCrunchに対して、同社はFAAと協力して問題解決に努めてきた、と語った。声明の全文は以下のとおりだ。

以前もお話したように、私たちはFAAとのパートナーシップにより、宇宙船がUnity 22の飛行の間に、許された高度の下へ落ちた短い時間について調べている。私たちはこの問題を真剣に捉え、目下その原因を究明するとともに、将来のミッションにおける再発を防ぐ方法を模索している。飛行の最終的な軌道は最初の計画から逸脱したにもかかわらず、制御され意図された飛行経路によりUnity 22は、宇宙への到達と、ニューメキシコの私たちのSpaceportへの安全な着陸に成功した。この軌道の変化により乗客とクルーが何らかの危険に置かれた時間はゼロであり、宇宙船が人口密集地区の上空を航行したことや、一般の人たちに危害を及ぼした時間もゼロであった。その飛行の間にはFAAの代表者が機の制御室に同席し、飛行後の報告会見にも同席された。

画像クレジット:Axelle/Bauer-Griffin/FilmMagic/Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ヴァージン・ギャラクティックが初の商業宇宙旅行を9月下旬〜10月上旬に予定、イタリア空軍・学術会議と

初の有人船打ち上げを祝ってからわずか2カ月後、米連邦航空局(FAA)の調査を受けている最中のVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)は、再び宇宙に戻ろうとしている。

同社は9月下旬から10月上旬にかけて、同社の広大なSpaceport America施設から、ロケット搭載のスペースプレーン「VSS Unity」の23回目のフライトとなる同社初の商業ミッションを実施する予定だ。このフライトには、イタリア空軍とイタリア学術会議(CNR、Consiglio Nazionale delle Ricerche)から3名のクルーが搭乗する予定だ。それぞれの座席のために支払われた購入金額は公開されていない。また、Virgin Galacticのスタッフも1名搭乗する。

ミッションリードの役割を担うのは、イタリア空軍のWalter Villadei(ウォルター・ヴィラデイ)大佐、医師でもあるAngelo Landolfi(アンジェロ・ランドルフィ)中佐、イタリア学術会議を代表する航空宇宙エンジニアのPantaleone Carlucci(パンタレオーネ・カルルッチ)氏、そしてVirgin Galacticのチーフ宇宙飛行士インストラクターであるBeth Moses(ベス・モーゼス)氏である。スペースプレーンの操縦は、Michael Masucci(マイケル・マスッチ)氏とCJ Sturckow(CJ・スターカウ)氏が担う。

このミッションの目的は、微小重力環境に移行する際の「移行段階」における人体への影響を調査することで、そのために乗組員は生理的活動を測定するセンサーを装着する。そしてヴィラデイ氏はさらに、Virginが「イタリアのファッションスタイルとテクノロジーを取り入れた」スマートスーツを着用するとのこと。

今回の発表は、FAAが7月のVSS Unityの初有人飛行について調査していると発表してからわずか1日後のことである。このニュースはThe New Yorkerが最初に報じ、FAAが確認したもので、同社のスペースプレーンが「Spaceport Americaに戻る際に航空管制の許可を逸脱した」と航空規制当局は述べている。ジャーナリストのNicholas Schmidle(ニコラス・シュミットル)氏の報道によると、飛行中のUnityのコンソールには、予定していた軌道から逸脱したことを示す赤い警告ランプが点灯していたという。

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その後、Virgin Galacticはこの記事に反論する声明を発表し「フライトの最終的な軌道は当初の計画から外れましたが、それは制御された意図的な飛行経路であり、Unity 22は無事に宇宙に到達し、ニューメキシコ州のSpaceport(America)に安全に着陸することができました」と述べた。

「この軌道変更の結果、乗客や乗員が危険にさらされることはありませんでした」と同社は付け加えている。

Virgin Galacticの超音速飛行の安全性に関するニュースをシュミットル氏が明るみに出したのは今回が初めてではない。彼の著書「Test Gods」には、飛行機の翼に深刻な問題が発生する可能性があった2019年のテスト飛行について、これまで知られていなかった記述も含まれている(その件は同書の中で、Virgin Galacticの元社員によって確認されている)。

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画像クレジット:Virgin Galactic

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

米連邦航空局はヴァージン・ギャラクティックの何年にもわたる宇宙船降下時の異常事態について調査中

米連邦航空局(FAA)は、Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏を宇宙へと運んだVirgin Galactic(ヴァージンギャラクティック)のフライト中の異常について調査している。特定のフライトだけでなく、同社の何年にもわたる安全に関するさまざまな問題を論じている記事の中で、The New YorkerはVirginの宇宙船が降下中にコースを逸れ「エントリーグライドコーン警告」が出た、と説明している。宇宙船はグライドコーン法を使っていて、これは水が円を描きながら排水溝を流れるように着陸する。明らかにこのミッションのパイロットは本来の角度で飛行せず、システムが警告を出す事態となった。

FAAの広報担当はロイターに対して「Spaceport Americaに戻る際、宇宙船が航空交通管制の許可から逸脱」し、この事案を調査中であることを認めた。FAAは、商業航空機との衝突を回避し、事故が起こった場合に民間人の死傷者数を最小限にするためにVirginの宇宙船に指定空域を通る許可を与えている。VirginのUnity 22ミッションは、パイロットがコースを修正する前の1分41秒間、指定空域から外れて飛行した。

The New Yorkerの記事の筆者、Nicholas Schmidle(ニコラス・シュミドル)氏は、数年前にミーティングに出席した際、Unity 22フライトと同じパイロットが、エントリーグライドコーン警告の赤いライトは「縮みあがらせる」と語った、と書いた。明らかにそれは手遅れを意味し、最も安全な策は試みを中断することだ。しかし記事掲載後に出した声明文の中で、Virgin Galacticは記事中の「誤解を招く描写と結論に異議を唱えます」と主張し、フライト搭乗者が飛行偏差で危険にさらされることはありませんでした、と述べた。声明は次の通りだ。

宇宙船が高高度で軌道を変えた風に遭遇したとき、パイロットとシステムはミッションのパラメータ内にとどまっていられるようモニターしました。当社のパイロットはこうした飛行状況の変化に、まさに訓練した通りに、そして確立された手順に厳密に従って適切に対応しました。フライトの最終的な軌道は当初の計画からそれましたが、管理された意図的な飛行経路であり、Unity 22は無事に宇宙に到達してニューメキシコにある当社のSpaceportに安全に着陸することができました。この軌道変更で搭乗者とクルーが危険にさらされることはありませんでした。

同社はまた、宇宙船は想定していた高度を下回って飛行したが、宇宙空間の横方向の制限外には飛行しなかった、とも述べた。そして「今後のフライトの空域に対処するためにFAAと提携して取り組んでいるとも付け加えた。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者Mariella Moon(マリエラ・ムーン)氏はEngadgetの共同編集者。

画像クレジット:Virgin Galactic

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(文:Mariella Moon、翻訳:Nariko Mizoguchi

「エンド・トゥ・エンドの宇宙企業」を目指すRocket Labが大規模な部品製造施設の新設を発表

Peter Beck(ピーター・ベック)氏は、Rocket Lab(ロケットラボ)を単なる打ち上げ業者ではなく、宇宙船を製造してそれを軌道に乗せるまで自社で行う完全な垂直統合型の宇宙企業に成長させたいという意思を隠そうとしない。ベック氏が2006年に設立したこの会社は、米国時間9月1日、これまで以上に大規模な人工衛星の部品を製造するための新しい製造施設を開設すると発表し、その目標に向けてさらに大きく前進した。

この新施設では、人工衛星の重要な姿勢・安定性制御システムであるリアクションホイールを製造することになる。Rocket Labによると、この施設は2021年の第4四半期に操業を開始し、年間最大2000個のリアクションホイールを生産できる能力を備えるという。宇宙機には一般的に3個から4個のリアクションホイールが搭載されていることを考えると、ロケットラボの顧客はこれらの部品を受け入れる約500基の衛星を計画していると見ていいだろう。Rocket LabのCEOであるベック氏は「これらは複数のコンステレーションに大量に供給するためのものです」と、TechCrunchによるインタビューで語った。

Rocket Labの宇宙システム事業は、自社開発の宇宙機「Photon(フォトン)」ですでに多忙を極めており、2020年には大手衛星ハードウェア製造会社のSinclair Interplanetary(シンクレア・インタープラネタリー)を買収したことで、さらに勢いづいている。Rocket Labは、個々の用途に合わせてカスタムメイドしたPhotonを提供しており、宇宙製造業のスタートアップ企業であるVarda Space Industries(バルダ・スペース・インダストリーズ)と共同で、近々打ち上げ予定の機体を設計したり、2024年に予定されている科学ミッションでは2基のPhotonを火星に送ることになっている。

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これまで宇宙機の部品は、数十から数百という規模で生産されるのが普通だった。軌道に乗るまでのハードルが高かったからだ。しかし、Rocket Labのような企業の技術革新によって、打ち上げコストが下がり、より多くの企業が宇宙にプロジェクトを送れるようになった。つまり、より多くの衛星と、より多くのリアクションホイールが製造されるということだ。現在でも、Rocket Labが製造したリアクションホイールは約200個が軌道上にあるが、1年で2000個というのは大幅な規模拡大となる。

これはすべて、Rocket Labが目指す「総合的な宇宙サービス企業」を実現するための取り組みだ。顧客にとって垂直統合型の大きなメリットは、同社によると、製造リードタイムを短縮できることだという。Photonの製造を開始した当初は、リアクションホイールの納入に数カ月を要したため、軌道に打ち上げるまでのタイムラインが大幅に遅れてしまったと、ベック氏は語っている。

「宇宙経済が予測通りに成長するためには、これを解決しなければなりません」と、ベック氏はいう。「これは解決しなければならない根本的な問題です。宇宙のサプライチェーン全体は、小規模な事業を特徴としており、どんな規模であれ大量生産する能力には本当に欠けています」。

Rocket Labは、宇宙システム部門と新しい生産施設をサポートするため、16人以上の人材を採用する予定だ。高度に自動化が進んだこの施設では、生産ツールと環境試験用ワークステーションはすべて自動化され、金属加工は無人で行えるように最適化されていると、Rocket Labは声明で述べている。これらの技術は、Rocket Labの他の製造プロセスと非常によく似ていると、ベック氏はいう。自動化を利用して製品を迅速にスケールアップする能力の礎として、同氏はRosie(ロージー)と呼ばれる製造ロボットのことを挙げた。

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Rocket Labが製造しているスタートラッカーのナビゲーションツールのような、他の宇宙機部品も生産を拡大する予定があるかと尋ねると、ベック氏は口を閉ざした。しかし、ベック氏によれば、同社では新製品の投入を計画しているという。それがどんな物になるかは、明言しなかったものの、ベック氏が宇宙システム部門を起ち上げた当時、掲げていたその目的は「宇宙に行くものにはすべてRocket Labのロゴがついていなければならない」というものだった。

この目標は、Rocket Labのさらに大きなビジョンである、打ち上げサービスと宇宙機製造を組み合わせ、軌道上のインフラを構築できるエンド・ツー・エンドの宇宙企業になることにもつながる。

「これらを組み合わせれば、軌道上でインフラを整備し、最終的にサービスを提供するための非常に強力なプラットフォームになります」と、ベック氏は語っている。

しかし、どのようなサービスを考えているのかという質問に対して、ベックは胸の内を明かさず、代わりに競合他社の有名な例を挙げた。それは、SpaceX(スペースX)が自社で製造・打ち上げを行うインターネット衛星プロジェクト「Starlink(スターリンク)」だ。ベック氏は、Rocket Labがどのような事業展開を目指しているのかについては口を閉ざしたまま、垂直統合によって新しいビジネスモデルを試すことができるとだけ語った。

「私たちが実験するための限界費用は、非常に低く抑えられます」。
画像クレジット:Rocket Lab

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GITAI Japanの宇宙用汎用作業ロボットアームがSpaceXのロケットでISSに到着、10月に汎用作業遂行技術実証を開始予定

GITAI Japanは8月31日、宇宙用汎用作業ロボットGITAI(ギタイ)を載せたSpaceXロケットの打ち上げが成功し、国際宇宙ステーション(ISS)に到着したことを発表した。このロボットは、2021年10月頃からISSで汎用作業遂行技術実証を開始する予定。

アメリカ現地時間8月29日、SpaceXのFalcon 9ロケットによって打ち上げられたDragon宇宙船の23回目の商用フライト(CRS-23ミッション)にて、GITAI Japanの宇宙用ロボットアーム「S1」がISSに送り込まれた。この実証実験は、民間宇宙利用を促進するアメリカの宇宙サービス企業Nanoracks(ナノラックス)と共同で、同社がISSに設置した商用エアロックモジュール「ビショップ」内にて実施される。

このモジュールにロボットアーム「S1」を設置し、スイッチやケーブルの操作といった船内作業と、宇宙用パネル組み立てといった宇宙組み立て作業を行う。作業は、自律制御と、ヒューストンのNanoracks管制室からの遠隔操作との両方が試される(動画は、GITAI社内で撮影した、S1による宇宙組み立て作業模擬タスクの実施状況)。

GIATAI Japanは、「宇宙に安価で安全な作業手段を提供する」ことを目指す宇宙ロボットスタートアップ。2016年7月に設立し、宇宙ステーションの船外作業、衛星の寿命延長や宇宙デブリの除去といった軌道上サービスのためのドッキング・寿命延長・修理・メンテナンス作業、月面探査および基地開発作業を行うロボットの開発を行っている。

現在は、今回の実証実験に使用されるS1、宇宙船の内外や月面基地開発などに使用する汎用作業ロボット「G1」、宇宙のロボットを地上から操作するためのロボット操縦システム「H1」の開発に加えて、新たに月面作業用ロボットローバーの開発にも着手した。

「2040年には世界的な宇宙ロケット開発企業と対等なパートナーとして、月や火星に都市を建設したり宇宙コロニーを建設する安価で安全な労働力を提供しています」とGITAI Japanは将来を語っている。ロケット開発企業は輸送手段を提供し輸送コストを下げるのに対し、GITAI Japanは「作業手段」を提供し、作業コストを下げるとのことだ。

新型コロナウイルスの影響から液体酸素が不足、ロケット打ち上げ延期の原因に

新型コロナウイルス流行の余波は、宇宙飛行というおそらく最も似つかわしくない場所にまで及んでいる。米国時間8月27日、NASAは新型コロナウイルスの影響による液体酸素(LOX)の不足を理由に、9月の衛星打ち上げを延期するという予想外の措置を取ったが、今後も打ち上げの延期は続くかもしれない。

酸素の需要はデルタ変異株で高まる一方だ。多くの都市で入院やICUへの入室率が、新型コロナウイルス流行開始時の状態にまで戻ってしまった。酸素は人工呼吸器に使われるだけではない。宇宙産業では、LOXをロケット推進剤の酸化剤として使用しており、液体水素など他のガスと組み合わせて使用されることが多い(打ち上げ時に大量の蒸気が発生するのは、水素が酸素と反応して水になるためだ)。

Boeing(ボーイング)とLockheed Martin(ロッキード・マーチン)の合弁会社であるUnited Launch Alliance(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)とNASAは、Landsat 9(ランドサット9号)衛星の打ち上げ日を9月23日に変更すると発表した。

LOX不足の影響を受ける可能性のある打上げ会社はULAだけではない。SpaceX(スペースX)のGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)社長は、先週開催されたSpace Symposium(スペース・シンポジウム)のパネルディスカッションで「2021年は打ち上げ用の液体酸素が不足するため、実際に影響を受けることになるでしょう」と述べ「もちろん、病院で必要な酸素が確実に手に入れられるようにすることが大事です。しかし、どなたか余分に液体酸素をお持ちの方はメールでご連絡ください」と続けた。

SpaceXの創業者でCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、数日後にTwitter(ツイッター)でLOX不足について「リスクではあるが、まだ制限要因ではない」と発言した。

SpaceXのグウィン・ショットウェル社長、COVID-19による液体酸素の不足により、ロケット打ち上げの頻度が減ると語る。

ヴィンセント・ユー

リスクではありますが、まだ制限要因ではありません。

イーロン・マスク

実際に酸素の供給量が少ないだけでなく、新型コロナウイルスによる混乱がサプライチェーンに影響を与え続けているため、出荷の遅れが広まっていることも液体酸素不足を悪化させている。ULAのTory Bruno(トリー・ブルーノ)CEOはTwitterで、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地への窒素輸送を担当している業者が、フロリダ州でLOX配送を支援するために転用されたことを付け加えた。

9月16日の@ulalaunchによるSLC 3の打ち上げ予定時刻に関して、新たな情報はありませんか?

ムーン・トゥ・マーズ

VAFBに液体GN2を輸送しているUSGの業者は、フロリダでCOVIDの影響によるLOXの問題に協力しています。現在そのような状況で作業を続けています。

トリー・ブルーノ

LOX不足の影響を受けているのは、宇宙産業だけではない。NASAが打ち上げ延期を発表する少し前、フロリダ州オーランド市の当局は、住民に節水を呼びかける通知を送った。同市の水道処理にLOXが使われているためだ。

「当然ながら人命救助を優先するため、全国的に液体酸素の需要が非常に高まっており、OUC(オーランド市水道局)への供給が制限されています」と、オーランド市のBuddy Dyer(バディ・ダイアー)市長は、Facebookで述べている。「処理に必要な水の量を直ちに減らさなければ、私たちの水道水の水質に影響が出る可能性があります」。

非営利団体「Center for Global Development(グローバル開発センター)」は、2020年5月の時点で、新型コロナウイルスを、病院への十分な酸素供給に対する「警鐘」と呼んでいた。

画像クレジット:Heather Paul Flickr under a CC BY-ND 2.0 license.

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

上場ロケット企業Astra初の商業打ち上げは軌道に到達せず、ロケットは無事着陸

今や上場企業となったAstra(アストラ)は、初の商業打ち上げの際に問題が発生し(このミッションは、米国宇宙軍の宇宙テストプログラムの一環として契約したテストペイロードを搭載していた)、ロケットが軌道に乗ることはなかった。米国時間8月28日、同社のロケットはアラスカの発射台で離陸時にすべてのエンジンに点火したものの、直後に5つのエンジンのうち1つが故障したため、かなり異例のホバリングとドリフトを起こしたが、その後十分な揚力を得て、空に向かい上昇することができた。

驚くべきことに、ロケットは最初のふらつきと横方向の傾きにもかかわらず、最大高度約50km(約16万4000フィート)まで上昇することに成功した。その後、同社はシャットダウン指令を出し、ロケットは無事に地上に戻ってきた。これは、同社のターゲットとしていた、受託テストに関わるペイロード展開のシミュレーションのための軌道上の目的地に到達しなかったことを意味する。

Astraの創業者で会長兼CEOであるChris Kemp(クリス・ケンプ)氏は、今回の打ち上げに関するプレスリリースの中でこう述べた。「米国宇宙軍のミッション目標をすべて達成できなかったことは残念ですが、今回のテストフライトから膨大な量のデータを得られました。今回の試験で得た知見を、現在製造中のLV0007を含む将来のロケットに反映させていきます」。

Astraが最後に打ち上げを行ったのは2020年12月のことで、その時の試験打ち上げの1つは宇宙空間に到達したものの、軌道速度にはわずかに届かなかった。その際Astraは、軌道に到達するために必要なのは、ナビゲーションシステムのソフトウェアの調整だけだと確信していると述べていた。

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画像クレジット:John Kraus / Astra

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

日本の宇宙スタートアップAstroscaleが宇宙で軌道上デブリをつかまえて放すデモに成功

米国時間8月25日、Astroscaleは現在軌道上にある同社の宇宙掃除のデモ用衛星が、磁石を使ったシステムでクライアントの宇宙船をつかまえて放す作業に成功し、今後の前進に向けて重要な一歩を刻んだ。

2021年3月に打ち上げられたELSA-d(End-of-Life Services by Astroscale-demonstration)ミッションは、同社の軌道上のデブリ除去技術を検証することを目的としている。デモを行なうための装備等一式はカザフスタンからソユーズロケットで打ち上げられ、宇宙ゴミを除去する「サービサー」と、かんじんの宇宙ゴミを模した「クライアントという2つの宇宙船が含まれている。

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同社の説明によると「宇宙ゴミ除去と一般的な軌道上サービスにおける大きな課題は、クライアントのオブジェクトをドッキングしたりつかまえることです。今回のテストデモでは、故障した衛星などのクライアントをドッキングするELSA-dの能力の実証に成功しました」。

本日のデモンストレーションでは、Astroscaleの将来の製品の見本でもあるサービサーが、他の宇宙船を磁力でつかまえて放すことに成功した。

しかしELSA-dのデモのミッションはこれで終わりではない。Astroscaleがそれを完全な成功と呼べるためには、同じつかまえて放す課題をさらに3回クリアする必要がある。さらにその次には、サービサーは相当な距離から、クライアントを安全に放して再び捕捉する必要がある。その後、Astroscaleは同じ放してつかまえる過程を試みるが、今度はクライアントの衛星が、コントロール不能で転がり落ちていく宇宙のオブジェクトをシミュレートする。そして、同社が「診断とクライアント捜索」と呼ぶ最後の捕捉デモでは、サービサーがクライアントを至近距離で点検していったん離れ、また近づいてつかまえる。

画像クレジット:Astroscale

軌道上のデブリという問題に取り組んでいる企業は数社あるが、デブリ除去のデモミッションを打ち上げたのは同社が初めてだ。NASAによると現在、国防総省のグローバル宇宙監視センサーは2万7000ほどの軌道上デブリを追跡している。宇宙船の打ち上げと関連の費用が下がり続けているため、宇宙ゴミの量は今後増え続ける一方だろう。

以下の動画では、ミッションのオペレーションチームがテストのデモを説明している。

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画像クレジット:Astroscale

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ブルーオリジンが未来のNASA月面着陸技術のテスト機打ち上げをライブ配信中

前回のBlue Origin(ブルーオリジン)の打ち上げは、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏と彼の弟、Wally Funk(ウォーリー・ファンク)、Oliver Daemen(オリバー・デーメン)を準軌道スペースへと運ぶ、画期的な初の有人飛行だった。今回、人間は搭乗しないが、NASAが将来の月探査のための有人着陸システムの開発に使用する技術をテストするための重要なペイロードを搭載した打ち上げになる。

NS-17(New Shepard 17の略で、Blue Originの完全再利用型ロケットが離陸するのが17回目であることにちなんでいる)の打ち上げは、米国東部夏時間8月26日午前9時35分(日本時間8月26日午後10時35分)に、テキサス州西部にある同社の発射場から行われる。NASAのペイロードには、将来の月面着陸船が目標とする着陸地点の詳細を把握するのに役立つDoppler LiDAR sensorや、センサーデータの処理を行う降下着陸コンピュータなどの技術がテストされる。Blue Originは、2020年10月にもこのシステムの一部を飛行させており、その時のテストに基づいてすでに改良が加えられ、今回のバージョンに組み込まれている。

Blue Originのカプセルには、他にもNASAやフロリダ大学などの学術機関が開発した数多くの実験装置が搭載されている。打ち上げ計画には、離陸、カプセルの分離、ブースターの制御された帰還式動力着陸、数分間の準軌道スペース飛行の後のカプセルのパラシュート支援着陸が含まれています。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Katsuyuki Yasui)

Dawn Aerospaceが準軌道スペースプレーンのテスト飛行を5回完了

ロケット打ち上げの分野が急速に混み合ってきている一方で、準軌道宇宙飛行機を開発する企業はそうでもない。つまり、Dawn Aerospace(ドーン・エアロスペース)のようなスタートアップが成長する余地は大きいという意味だ。同社は、地表から最大60マイル(約96km)の高度を飛ぶために開発されたスペースプレーンMk-II Aurora(マークツー・オーロラ)のテスト飛行を5回完了した。

テスト飛行は、ニュージーランドの南島にあるGlentanner Aerodrome(グレンタナー・エアロドローム)で2021年7月に行われ、スペースプレーンの機体とアビオニクスが評価された。飛行機は高度3400フィート(約1km)までしか達しなかったが、テストでDawnのチームは「Mk-IIの能力に関する研究開発を進めるための幅広いデータ」を得ることができたとCEOのStefan Powell(ステファン・パウエル)氏が声明で述べている。

画像クレジット:Dawn Aerospace

Dawnのアプローチは、一般の空港で離着陸可能で、1日複数回宇宙と行き来できる飛行機を作ることだ。明白な利点は、垂直打ち上げよりも著しく資本集約的でないことだ。Mk-IIはサイズもコンパクトカー並みで長さは16フィート(約5.4m)以下、空の状態の重さはわずか165ポンド(約75kg)なので、さらにコストを下げられる。

名前から想像できるように、Mk-IIは同社の第2弾のスペースプレーンだが、Dawnはそこでやめるつもりはない。同社は2ステージで軌道に乗るスペースプレーン、Mk-IIIの建設を計画中で、科学実験や、気象観測、気象モデリングに使う大気データの採集にも利用できる。Mk-IIの積載量は3U、8.8ポンド(約4kg)以下なのに対し、Mk-IIIは最大551ポンド(約250kg)を軌道に運ぶ能力がある。

Mk-IIは最終的にロケットエンジンを搭載して超音速・高高度のテストが可能になる予定だ。

同社は2020年12月、Mk-IIを空港から飛ばすためにニュージーランド民間航空管理局から無人航空機運行許可を取得して、大きな節目を迎えた。さらに、オランダの南ホラント州からも、低出力感知・検出レーダーシステムをテストするためのRadar Based AvionicsおよびMetaSensingの許可を受けた。このデモンストレーションは2022年に予定されており、Mk-IIに小さな改造を加えたあと実施する、とパウエル氏がTechCrunchに伝えた。

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画像クレジット:Dawn Aerospace

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

日本の宇宙ベンチャーispaceが月の夜にも耐えられる大型月着陸船のデザインを発表

月面の経済発展でリーダーとなることを目指す日本の宇宙ベンチャー企業、ispace(アイスペース)は、早ければ2024年に月へ行く大型着陸機のデザインを発表した。

東京を拠点とするispaceによれば、この「シリーズ2」と名付けられた次世代ランダーは、同社が計画する3回目の月探査ミッションで使用される予定とのこと。このランダーは、同社の最初のランダー「シリーズ1」よりも全体の大きさとペイロード(貨物)積載容量が大きく、着陸脚を広げた状態で高さ約2.7メートル、幅約4.2メートルとなっている。月面には最大500キログラム、月周回軌道には最大2000キログラムのペイロードを輸送することが可能だ。2022年と2023年に打ち上げ予定のシリーズ1は、ペイロード積載容量が30キログラムしかない。

重要なのは、この新型ランダーが極寒の月の夜にも耐えられるように設計されていることで、月面には2週間の滞在が可能であるという。また、このシリーズ2ランダーは、極地を含む月の表側と裏側のどちらにも着陸できるように設計されている。

この着陸機には他にもいくつかの特徴がある。複数のペイロードベイを備えたモジュール式のペイロードデザインを採用していること、そして高精度な月面着陸を実現するための高度な誘導・航法・制御(GNC)システムを搭載していることなどだ。このGNCの技術は、宇宙産業で実績のあるエンジニアリング開発会社のDraper(ドレイパー研究所)から技術協力を受けている。ドレイパー研究所は、NASAのCommercial Lunar Payload Services(CLPS、商業月面輸送サービス)イニシアティブに選定された14社のうちの1社でもある。

ispaceの発表によると、このシリーズ2ランダーは基本設計審査を完了しているとのこと。次の段階となる製造と組み立ては、防衛・航空宇宙技術会社のGeneral Atomics(ジェネラル・アトミクス)と協力して行う予定であるという。

このシリーズ2ランダーをNASAのプログラムに参加させたいと考えているispaceにとって、鍵となるのがCLPS契約企業であるドレイパー研究所とのパートナーシップだ。ispaceの米国子会社のCEOであるKyle Acierno(カイル・アシエルノ)氏は「今後数カ月間はドレイパー研究所やジェネラル・アトミクス社と連携し、次のNASA CLPSタスクオーダーに向けて準備を進めていきます」と語っている。

ispaceは、コロラド州にある北米オフィスで次世代ランダーの開発を行っており、製造も米国内で行う予定だ。その一方で、2022年と2023年に予定されている1回目と2回目の月面探査の準備も進めている。同社によると、シリーズ1ランダーは、宇宙打ち上げ会社のArianeGroup(アリアングループ)が所有するドイツの施設で、フライトモジュールの最終組み立てを行っているという。最初のミッションの顧客積荷目録はすでに満杯だが、ミッション2のペイロード容量にはまだ余裕があると、ispaceは述べている。

今回のランダー発表の数週間前、ispaceはシリーズC投資ラウンドで約50億7000万円の資金調達を実施したことを発表している。この資金は同社が計画中の第2、第3のミッションに充てられる予定だ。

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画像クレジット:ispace

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

台湾TiSpaceは初の同国産ロケット試験打ち上げを2021年中にオーストラリアで予定

オーストラリアの規制当局は、創設5年目のロケット打ち上げ会社であるTaiwan Innovative Space(晋陞太空科技、通称TiSpace)に、2021年後半にオーストラリア南部の新たに認可された施設で商業打ち上げを行うことを許可した。

TiSpaceは、オーストラリア南部のホエーラーズ・ウェイ軌道発射施設で、2段式弾道飛行ロケット「Hapith I(飛鼠一號)」の試験飛行を行う予定だ。この飛行では、ロケットの推進、誘導、テレメトリ、構造の各システムの検証を行うと、TiSpaceはニュースリリースで述べている。宇宙インフラ企業のSouthern Launch(サザン・ローンチ)が運営するこの発射施設は、3月にオーストラリアの産業省から認可を取得した。

このニュースは、他国に比べて遅れをとっているオーストラリアと台湾で急成長中の宇宙産業にとって、潜在的に重要な意味を持つ。オーストラリアは2018年に国の宇宙機関が設立されたばかりだが、それ以来、新たな宇宙経済への参入方法について国家的な関心が高まっている。新たに認可された発射施設では、まずは最大3件の弾道飛行ロケットの試験打ち上げキャンペーンを支援することになっている。その目的は、この地域で起こりうる環境への影響に関するデータを収集するためだ。

「今回の打ち上げ許可は、オーストラリアの商業打ち上げ能力を確立し、国際的な宇宙分野においてオーストラリアが何を提供できるかを示す重要な成果です」と、Christian Porter(クリスチャン・ポーター)産業・科学・技術大臣は声明で述べている。「宇宙は世界的に重要な成長市場であり、大規模な投資、新しい技術、さまざまな産業分野における雇用拡大を通じて、オーストラリアの経済的未来を支えることになるでしょう」。

台湾でも自国の宇宙産業は発展が遅れていたが、2021年5月に立法院が国内の宇宙開発を促進するための「太空発展法(宇宙開発法)」を可決したことで、大きな一歩を踏み出した。最近では1月にケープカナベラルからSpaceX(スペースX)のFalcon 9(ファルコン9)ロケットで運ばれたキューブサット「YUSAT」や「IDEASSat」など、いくつかの衛星を軌道に乗せているものの、国内からロケットや宇宙船を打ち上げたことはまだない。

Hapith Iは台湾初の国産ロケットであり、TiSpaceは同国初の商業宇宙打ち上げ会社である。当初は台湾の発射場からHapith Iの試験打ち上げを行う予定だったが、場所に関する法的問題から中止となった。打ち上げだけでなく、TiSpaceは国外でさらなる事業の展開を始める可能性さえある。オーストラリア向けに発行されたプレスリリースによると、同社は「ロケットシステム一式の製造」を現地で行うことも検討しているという。

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画像クレジット:Australian Space Agency

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

SpaceXがStarlinkの端末10万台を出荷、今後の打ち上げにはStarshipを利用する計画

Elon Musk(イーロン・マスク)氏のStarlinkプロジェクトは、人工衛星のコンステレーションにより、グローバルなブロードバンド接続を提供する。当プロジェクトがこのほど、10万台の端末を顧客に出荷した。

10万台の端末を出荷した。

2019年の11月に衛星の打ち上げを始め、翌年2020年には一部の顧客に月額99ドル(約10870円)でベータアクセスの提供を開始したが、その1年後に端末10万台は資本集約型のサービスにとって驚くべきペースだ。SpaceXはこれまでに1700基以上の衛星を打ち上げており、出荷された10万台の端末に加えて、50万台以上のサービスの追加注文を受けている。

同社は衛星の打ち上げに自社のFalcon 9ロケットを使っているため、ペースが速いのも意外ではないかもしれない。今や時価総額が最大の宇宙企業である同社にとって、このような垂直的統合こそが中心的な戦略だ。

Starlinkのベータ版顧客の多くは、従来のブロードバンドへのアクセスが限られているか、存在しない遠隔地や田舎に住んでいる。Starlinkは499ドルの初期費用がかかるが、その中にはサービスの利用開始に必要なユーザー端末(スペースXは「Disy McFlatface」と呼ぶ)、Wi-Fiルーター、電源、ケーブル、三脚などのスターターキットが含まれている。

画像クレジット:Starlink

しかしStarlinkの急速な成長は同社の積極的な戦略を反映したものだが、プロジェクトとしてはまだ始まったばかりだ。SpaceXにいわせれば、これは本プロジェクトの始まりに過ぎない。同社は最終的に、約3万個のスターリンク衛星を軌道上に打ち上げ、ユーザー数を数百万人にまで拡大したいと考えている。米国時間8月18日に連邦通信委員会(FCC)に提出した次世代Starlinkシステムの申請書によると、コンステレーションの構成を2つに分けて提案しており、そのうち1つは、同社の次世代重量物打ち上げ用ロケットStarshipを使用する。

完成後のコンステレーションは総衛星数2万9988基となり、SpaceXの提案によると、同社のFalcon 9ロケットを使用する別の構成もある。しかしいうまでもなく、ペイロードの大きさで有利なのはStarshipだ。

「SpaceXは新しい打ち上げ機Starshipの進んだ能力を有効利用する方法を見つけました。同機はより多くの質量を速く、効率的に軌道へ運ぶ強化された能力を持ち、また上段の再利用性も増しているため効率性はさらに良い」と同社の修正申請書にある。

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画像クレジット:SpaceX

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Rocket Labの火星ミッションにNASAがゴーサイン

Rocket Lab(ロケット・ラボ)は、同社の宇宙機、Photon(フォトン)が次の科学ミッションに向けてNASAの承認を受けるための一歩を進めた。すべてが計画通りに進めば、2基の人工衛星は2024年に打ち上げられ、11カ月後に火星に到着し、赤い惑星の磁気圏を探査する。

このミッションはEscape and Plasma Acceleration and Dynamics Explorers(ESCAPADE、大気流出・プラズマ加速・力学探査機)と呼ばれ、去る2019年に小型衛星科学プログラムとして提案され、最終的にファイナリストに選ばれた。UC Berkeley(カリフォルニ大学バークレー校)の研究者らが科学部門を支える主要メンバーだ。

これらの人工衛星は質量180kg以下で単体で科学ミッションを遂行しなければならない。強力な商業産業連携のもとで遂行されるより軽量で期間の短いミッションを目指す新たなプログラムの一環だ。プログラムの発表以来いくつかのコンセプトが練られ、ESCAPADEはKey Decision Point C(重要決定ポイントC)を最近通過したところで、これはコンセプトを実現する準備ができたことを意味する。

このミッションは2基1組の衛星からなり、選抜されるのに貢献した特徴であることは間違いない。Rocket LabのPhotonプラットフォームの本来の目的は、軌道上の作業から今回のような惑星間科学ミッションまでさまざまな宇宙事業のために何らかのターンキーデザインを提供することだ。

Rocket Labがこのミッションの打ち上げに同社のロケットであるElectron(エレクトロン)を使わないのは興味深い。2基の衛星は「NASAが提供する商業ロケット」(選択はNASAに任せられている)に搭載される。おそらくそのときまでには同社も契約に名乗りを上げているだろうが、現時点でRocket Labは宇宙船だけを製造しており、ナビゲーション、方位、推進など、大部分の非科学機材部分を担当している。

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「ESCAPADEは、従来の何分の1かのコストで先進惑星間科学に手が届くことを示す革新的ミッションであり、当社のPhotonでこれを可能にしたことを誇りに思っています。NASAから飛行へのゴーサインをもらったことを大変喜んでいます」とRocket Labのファウンダー・CEOであるPeter Beck(ピーター・ベック)氏は節目の発表文で語った。

Rocket Labはすでに、Artemis(アルテミス)計画のためにCubeSat(キューブサット)をシスルナ(地球と月の間の)軌道に載せる契約を結んでおり、Varda Space Industries(バルダ・スペース・インダストリーズ)とは同社が2023年と2024年に打ち上げる宇宙船を製造する契約を確定している。

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微小重力の宇宙での製造業スタートアップVardaがRocket Labと宇宙船3機の購入契約締結画像クレジット:Rocket Lab

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ブランソン氏のヴァージン・オービットが約3513億円の評価額でSPAC上場へ、合併後はNASDAQで取引

Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)は、特別目的買収会社(SPAC)との合併により株式を公開する予定であることを発表した。この取引により合併後の企業価値は32億ドル(約3513億円)となり、Virgin Orbitは1億ドル(約110億円)のPIPE(上場企業の私募増資)を含む4億8300万ドル(約530億円)の現金残高を得ることになる。この取引が完了した場合、合併後の会社はNASDAQで「VORB」のティッカーシンボルで取引される。

このような取引が計画されていることは、CNBCが2021年6月に報じていた。最近では、SPACは民間宇宙ベンチャー企業のイグジットオプションとしてポピュラーな選択肢となっている。例えば、Rocket LabのSPAC合併は承認されたばかりで、8月25日に取引が開始される。Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏のもう1つの宇宙企業であるVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)は、ブームの先駆けとなった最初の大きなSPAC取引だった。

Virgin Galacticは人を軌道下飛行で宇宙に連れて行くことにフォーカスし、Virgin Orbitは同様の技術で小型衛星のペイロードを地球低軌道に運ぶことに重点を置いている。かつてこれら2社は1つの会社だったが、それぞれの市場により焦点を当てるために2つに分かれた。Virgin GalacticとVirgin Orbitは2021年、両社とも大きな進展を遂げ、Galacticでは初のフルクルー宇宙飛行、Orbitでは初の商業衛星ペイロード輸送ミッションなど、画期的なフライトを達成した。

関連記事:ヴァージン・オービットが初の商業ペイロード輸送の打ち上げに成功

Virgin Orbitは、特別仕様に改造したボーイング747旅客機の主翼からLauncherOneロケットを打ち上げており、このロケットは打ち上げシステム全体の第1段として完全に再利用可能だ。また、VOX Spaceという子会社を持っており、そちらは国家安全保障関連の打上げサービスを提供している。

Virgin Orbitが合併するブランクチェックカンパニーNextGen Acquisition Corp. IIはGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)の元パートナーが率いており、合併が成立した際には、信託財産から最大3億8300万ドル(約420億円)の現金を提供する予定だ。

画像クレジット:Virgin Orbit

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

ブランソン氏のヴァージン・オービットが約3513億円の評価額でSPAC上場へ、合併後はNASDAQで取引

Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)は、特別目的買収会社(SPAC)との合併により株式を公開する予定であることを発表した。この取引により合併後の企業価値は32億ドル(約3513億円)となり、Virgin Orbitは1億ドル(約110億円)のPIPE(上場企業の私募増資)を含む4億8300万ドル(約530億円)の現金残高を得ることになる。この取引が完了した場合、合併後の会社はNASDAQで「VORB」のティッカーシンボルで取引される。

このような取引が計画されていることは、CNBCが2021年6月に報じていた。最近では、SPACは民間宇宙ベンチャー企業のイグジットオプションとしてポピュラーな選択肢となっている。例えば、Rocket LabのSPAC合併は承認されたばかりで、8月25日に取引が開始される。Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏のもう1つの宇宙企業であるVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)は、ブームの先駆けとなった最初の大きなSPAC取引だった。

Virgin Galacticは人を軌道下飛行で宇宙に連れて行くことにフォーカスし、Virgin Orbitは同様の技術で小型衛星のペイロードを地球低軌道に運ぶことに重点を置いている。かつてこれら2社は1つの会社だったが、それぞれの市場により焦点を当てるために2つに分かれた。Virgin GalacticとVirgin Orbitは2021年、両社とも大きな進展を遂げ、Galacticでは初のフルクルー宇宙飛行、Orbitでは初の商業衛星ペイロード輸送ミッションなど、画期的なフライトを達成した。

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Virgin Orbitは、特別仕様に改造したボーイング747旅客機の主翼からLauncherOneロケットを打ち上げており、このロケットは打ち上げシステム全体の第1段として完全に再利用可能だ。また、VOX Spaceという子会社を持っており、そちらは国家安全保障関連の打上げサービスを提供している。

Virgin Orbitが合併するブランクチェックカンパニーNextGen Acquisition Corp. IIはGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)の元パートナーが率いており、合併が成立した際には、信託財産から最大3億8300万ドル(約420億円)の現金を提供する予定だ。

画像クレジット:Virgin Orbit

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

ブランソン氏のヴァージン・オービットが約3513億円の評価額でSPAC上場へ、合併後はNASDAQで取引

Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)は、特別目的買収会社(SPAC)との合併により株式を公開する予定であることを発表した。この取引により合併後の企業価値は32億ドル(約3513億円)となり、Virgin Orbitは1億ドル(約110億円)のPIPE(上場企業の私募増資)を含む4億8300万ドル(約530億円)の現金残高を得ることになる。この取引が完了した場合、合併後の会社はNASDAQで「VORB」のティッカーシンボルで取引される。

このような取引が計画されていることは、CNBCが2021年6月に報じていた。最近では、SPACは民間宇宙ベンチャー企業のイグジットオプションとしてポピュラーな選択肢となっている。例えば、Rocket LabのSPAC合併は承認されたばかりで、8月25日に取引が開始される。Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏のもう1つの宇宙企業であるVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)は、ブームの先駆けとなった最初の大きなSPAC取引だった。

Virgin Galacticは人を軌道下飛行で宇宙に連れて行くことにフォーカスし、Virgin Orbitは同様の技術で小型衛星のペイロードを地球低軌道に運ぶことに重点を置いている。かつてこれら2社は1つの会社だったが、それぞれの市場により焦点を当てるために2つに分かれた。Virgin GalacticとVirgin Orbitは2021年、両社とも大きな進展を遂げ、Galacticでは初のフルクルー宇宙飛行、Orbitでは初の商業衛星ペイロード輸送ミッションなど、画期的なフライトを達成した。

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Virgin Orbitが合併するブランクチェックカンパニーNextGen Acquisition Corp. IIはGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)の元パートナーが率いており、合併が成立した際には、信託財産から最大3億8300万ドル(約420億円)の現金を提供する予定だ。

画像クレジット:Virgin Orbit

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)