SPACへの資金殺到が続く中、「市場はいつまで吸収できるのか」との疑問の声高まる

最近テクノロジー市場ではビッグニュースが続いたが、SPAC(特別買収目的会社)による上場方式は依然注目を集めている。SPACは資金を募って企業を設立、上場した後に未公開企業を買収し、結果的にそのスタートアップの上場を図る手法だ。事業目的を特定しないためSPACは白地小切手会社とも呼ばれる。一部の関係者はこの仕組に懐疑的になり始めているが、いわば「パーティーは始まったばかり」で会場には客が次々に詰めかけておりバンドは大音量で演奏している状態だ。なるほどパーティーはこれからますます盛り上がるのかもしれないが、誰かが部屋の隅でゲロ吐いているのではないか?

SPACがブームなのは確かだ。Facebookの(なにかと物議をかもした)共同ファウンダー、エドゥアルド・サベリン(Eduardo Saverin)氏が共同ファウンダーのベンチャーキャピタル、BCapitalは、SPACのための3億ドル(318億円)のSPACの上場を申請した。

フィンテック起業家のMike CagneyはSoFIのファウンダーで、最近ではホームエクイティとブロックチェーンの両方の分野にまたがるフィンテック企業、Figureを創立しているが、SPACのために2億5000万ドル(265億円)の資金を調達している。 マイケル・デルでさえ家族資産管理会社をつうじてSPACのために5億ドル(532億円)を調達することを発表した。

Renaissance Capitalよれば、最近16のSPAC企業が総額34億ドル(3600億円)を調達したという。上場にはSPACを利用したというパイプラインを通じて厖大ないキャッシュが流れこみ続けており、45のSPACが上場を申請している(従来方式の上場申請は10件だ)。 Yahoo Newsは「一部のSPAC投資家は火傷する可能性がある」という記事を載せていたが、理由があることだ。

INSEADのアシスタント・プロフェッサー、Ivana Naumovska(イバナ・ナウモフスカ)氏は、ハーバードビジネスレビューで「SPACバブルは間もなく崩壊する」と論じている。

Naumovska氏は「ある手法を採用するケースが増えれば増えるほど注目の度合いが高まり、正当化も進む。これによりその手法がますます普及することを示す研究がある」と指摘した。 しかし、一部の人が主張するようにSPACが問題ある手法なら、広く使用されるようになるにつれて外部の懸念と懐疑論も高ままる可能性もある。 つまりYahoo Financeの記事が生まれることになる。

重要だし、また納得できる点は、ネガティブな評価を受けてきた企業についてのSPAC上場の数が増えるにつれ懐疑的記事が増えてきたことだ。メディアがこうした逆買収による上場に注目すると同時に、規制当局も注目し、投資家、規制当局、メディアが互いにシグナルを送り合えばいかに盛大なパーティーでも急停止を余儀なくされる。

統計をとったわけではないが、現在のSPACに関する報道のほとんどは中立的だ。今のところ強く批判すべき状況にはなく、 たとえ記者個人がSPACに懐疑的であっても、電気トラックのスタートアップのNikolaニコラが詐欺で告発されたなどの例外的な場合を除いて、最終的な判断は保留している。

過去6か月間に資金調達を行ったSPACの多くは、特定の目標を発表していないため判断の材料がない(SPACSは、資金を調達してから目標とする買収を実行するまで2年の猶予がある。スタートアップの上場ができなかった場合は調達した資金は投資家に変換される)。

SPACの必要性を主張する議論は、企業評価額が10億ドルを超えるいわゆるユニコーン企業の多くは株式上場に適しているとする。これは非公開企業の市場に巨額の資金が流れこみきわめて肥大化していることを反映している。

一方、 2019年に上場された際、SPACブームの火付け役となった宇宙観光旅行企業、Virgin Galactなどの逆買収による上場は批判者の予想のような結果にはならなかった。

サー・リチャード・ブランソンは、2004年に低軌道を飛行して乗客に宇宙観光を体験させるためのスタートアップを設立し昨年SPAC経由で上場を果たした。しかしロケット動力による成層圏をわずかに超える弾道飛行の実行は、先週も含めて、何度も延期された。しかし1月以降、2倍以上になった同社の株価は、いわば成層圏上部にとどまっている。発表された決算によれば昨年の収入は事実上ゼロだったが時価総額は現在120億ドル(1.27兆円)だ。

もっとも他のSPACはそれほどうまくいっていない。健康保険のClover Healthは著名投資家、Chamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)が組織したSPACを通じて、 Virgin Galactとほぼ同様の仕組みで上場された。しかしForbsの綿密な調査報道によれば「事業の存続を脅かすいくつもの脅威」に直面しているという。

同社に対する調査行っているのは司法省、証券取引委員会(SEC)。また空売りを専門とするHindenburg ResearchはCloverが投資家を誤解させるような発表を行ったとして非難している。これに対してCloverは反論しているもの、Forbesの報道によれば、Cloverは株式公開に先立って司法省の調査を受けていることを公表しなかったとして少なくとも三つの集団訴訟に直面している)。

SPAC懐疑派の Steve Jurvetson(スティーブ・ジャーベットソン)氏は先月、私(この記事の筆者)との会話で「(SPAC狂騒曲は)まったく理解できないね」と言っていた。Jurvetson氏は著名なベテランのベンチャーキャピタリストであり、SpaceXの取締役でもあるが、「SPACで上場した中にも良い会社はある。誤解しないでもらいたいがSPACがすべて詐欺だとは言っていない」とかたった。だがSPACを利用するのはアーリーステージのスタートアップであり、SECが株式上場で要求する安定した事業見通しという要件を満たすことができない。つまりSPACは出資者にとって事業見通しを示さないでスタートアップを上場させる抜け道になっている。「事業目的を示さないSPACならそれができるる…そういう怪しげな仕組みに利用されている」のだJurvetson氏は指摘した。

Jurvetson氏と同じことを考えているベンチャー・キャピタリストもいるだろうが、今のところ公に言うことを躊躇している。一つにはベンチャー・キャピタリストというものはSPAC経由を含め、どんな方法であろうとポートフォリオ企業を上場させたたるものだからだ。今のところ自分でSPACを創立していなくとも、将来そうする考権利は保留したいだろう。

ニューヨークのBoldstart VenturesのEd Sim (エド・シム)氏は、ここ数ヶ月ではっきり意見を言った数少ないVCの一人だ。質問に対してSim氏は「正直言ってSPACには全く興味がありません。2年後に私やlBoldstartがSPACと関わっているのを見た文句言ってください」と笑った。

多くの投資家は、SPACに関し重要なのは「誰が何を上場させようとしているのか」という個別ケースだと強調している。ディズニーの元幹部でTikTokのCEOとして知られているKevin Mayer(ケビン・メイヤー)がそうだ。 昨日の電話で話したが、Mayer氏は「10年前に比べて現在は企業上場ははるかに少ない。だから上場のための別の方法を提供する必要があります」と述べた。

Mayer氏はSPACに強い利害関係を持っている。 最近、ディズニーで元同僚だったTom Staggs(トム・スタッグス)氏とともに、2社目のSPAC利用上場計画を発表した。2月初めに最初のSPACを使用してデジタル・フィットネスに特化したBeachbodyの新規上場を発表している。ただしMayer氏はすべてのSPACを同じ基準で判断すべきでいないとも主張している。

「これはひどい。ネコもシャクシもSPACに殺到している。この分ではすぐに…風がモミガラを吹き飛ばし、それぞれのケースの真価がわかることnなるんではないか?」といいうところだ。

未公開企業を上場させる引き込む永続的な方法になるにはSPACはさまざまなハードルを乗り越える必要があるだろう。

SPACは熱狂的な支持者を獲得しているが、次第に明らかになっきつつある数字は楽観を許さない。

たとえば先週、法律問題の専門メディア、Bloomberg Lawは、2019年1月1日以降のSPACとの合併による企業上場についての分析を発表した(合併1か月の後までのパフォーマンスデータも利用可能だ )。これによれば、24社中14社が合併完了後1か月の時点で企業価値が下落しており、企業の3分の対前年比で価値の下落を見せている。

「スタートアップの合併後にSPACへの投資家が起こした訴訟の数も増加している」とBloomberg Lawは指摘している。

ともあれSPACが現在作り出されている速度は驚くべきものだ。多くの人々が「いつまで続くのだ?」と考え始めたのは自然だろう。

しかしNaumovska氏はすでにはっきりした予測を抱いているようだ

画像:Axelle/Bauer-Griffin/FilmMagic / Getty Images

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(文:Connie Loizos 翻訳:滑川海彦@Facebook

急成長中の仮想通貨取引所Coinbaseが上場申請

米国時間2月25日午前、仮想通貨取引所のCoinbase(コインベース)がS-1申請書を提出した。同社は直接上場を想定している。同社の株式公開は、Bitcoin(ビットコイン)をはじめとするブロックチェーン資産を巡る最近の活動、物議を醸している政治との関わり民間取引市場における企業価値急騰のためもあって、大きな注目を集めている。

関連記事:暗号資産取引所Coinbaseが直接上場

Coinbaseの財務状況は2019年から2020にかけて急速に成長している。しかも、調整前収支でも利益を上げた。一般に急成長中のテック企業は、調整後利益などのより見栄えのする数値を使いたがる傾向がある。

2019年、Coinbaseは売上5億3370万ドル(約565億6000万円)で3040万ドル(約32億2000万円)の損失だった。2020年には、売上12億8000万ドル(約1356億5000万円)に対して1億2750万ドル(約135億1000万円)の純利益を計上した。

この仮想通貨ユニコーンは2020年に139%以上成長し、2019年の結果から大きく改善した。この会社の規模と成長は、なぜ非上場市場で1000億ドル(約10兆5960億円)もの価値をつける投資家がいるのかを理解する上で役に立つだろう。

Coinbaseの売上は変化が激しい。2020年第1四半期に1億9060万ドル(約202億円)だった売上が第2四半期には1億8640万ドル(約197億5000万円)に下がった。その後Coinbaseの売上は加速され、2020年第3四半期は3億1540万ドル(約334億2000万円)、第4四半期は5億8510万ドル(約619億9000万円)だった。

Coinbaseが、直接上場に向けて前進している理由は単純だ。つい最近最高の四半期を終えたところだからだ。

関連記事:社会正義のために行動することは企業使命から「気を散らす」ことにはならない

その並外れた第4四半期に、Coinbaseの経常利益は2億2660万ドル(約240億1000万円)、純利益は1億7680万ドル(約187億3000万円)だった。これは過去の四半期と比べて質の高い収益性の改善であり、魅力的な年末収支を会社にもたらした。

仮想通貨取引所であるCoinbaseは、売上のほとんどを取引手数料から得ている。Coinbaseには他に、比較すると地味な「サブスクリプションとサービス」売上カテゴリーがあり、2020年第4四半期の売上は2070万ドル(約21億9000万円)前後だった。

さらにCoinbaseは、営業キャッシュフローが2019年のマイナスから2020年は驚くべきプラスに転じた。ただし、Coinbaseが2020年生み出したプラスの営業キャッシュフロー30億ドル(約3718億5000万円)のうち「27億ドル(約2860億9000万円)は仮受保管ファンドの手数料に関わる現金」によるものなので、それを差し引けば理解可能な規模になる。

以上が初見の感想だが、Coinbaseは急成長中で利益を上げ直接上場に向けて準備万端整っているユニコーンだ。今投資家たちの頭にあるのは、歴史的に流動的な仮想通貨に対する市場の関心を反映しているCoinbaseの売上成長をどう評価するかだけだ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Coinbase新規上場仮想通貨

画像クレジット:Steve Jennings / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

IPOに先立ち国際送金のTransferWiseが「Wise」に社名変更

先週末に私の受信箱に飛び込んできたプレスリリースは「10年が経ち、TransferWise(トランスファーワイズ)は、Wise(ワイズ)になりました」と叫んでいた。最近未公開市場で50億ドル(約5282億5000万円)の評価を受けたこのフィンテック大手は、IPOに先立ち、リブランディングを行っている。
もちろん、同社は実際には上場には言及していない、規制上の理由から、公表を望んでいたとしてもおそらくそれが許されないのだ。だが名前の変更はより合理的なティッカーの役に立つ。それだけでなく、新しい名前はより広い意味で10年の歴史を持つ同社が、B2Cの国際送金だけではなく、今や「国境を越えた決済ネットワーク」と呼ばれるものを構築しようとしている動きを反映している。

関連記事:国際送金サービスを手掛けるTransferWiseの企業評価は5250億円、330億円のセカンダリーセールを受け

「2011年に個人向けの送金サービスとしてスタートした我が社は、国境を越えた決済ネットワークを構築するまでに拡大し、1000万人の個人ならびに法人顧客のみなさまに対して、より安く、より速く、より快適に国際的な銀行業務をご提供できるよう支援を行っています」とTransferWiseは説明している。

10年の年月が過ぎた同社の、初期の資金調達時の資料はここで見ることができる。今や同社は、毎月45億ポンド(約6660億円)の国際取引を行っており、旧来の銀行を利用した場合と比較して、年間約10億ポンド(約1481億円)の顧客の手数料削減に貢献していると主張している。

これまで銀行のフルライセンスの申請は予定していないと主張していたWiseだが、最近では、独自のデビットカードをはじめとするマルチカレンシー銀行口座のような消費者向け / ビジネス向け商品を発売していて、あたかもチャレンジャー銀行のような雰囲気を醸し出し始めている。

現在の製品ラインは以下のようなものとなっている。

Wise:世界で最も国際的なアカウントを達成している。国際的な送金や支払いを行い、55種類の通貨でお金を保持し、10種類の通貨で本当の口座番号を取得できる。顧客は現在、30億ポンド(約4440億円)以上をWiseに保持し、140万枚のデビットカードが発行されている。

Wise Business(ワイズ・ビジネス):グローバルに展開するためのビジネスアカウントであり、個人アカウントのすべての機能に加えて、銀行フィード、大金の支払い、マルチユーザーアクセスなどの追加機能を備えている。過去12カ月間に15万社以上の企業がWiseに参加している。

Wise Platform(ワイズ・プラットフォーム):Monzo(モンゾ)、GoCardless(ゴーカードレス)、Xeroといったプラットフォーム銀行や企業が、Wiseのインフラストラクチャを利用して、彼らの顧客に対してより安く、より迅速な支払いや国際的な銀行機能を顧客に提供している。Wise Platformは、4大陸10カ国の銀行と提携している。

Wiseの最高経営責任者(CEO)で共同創業者のKristo Käärmann(クリスト・カーマン)氏の言葉を引用しよう。「今回、ようやく私たちの名前が、私たちがすでにお取引をしていただいている方々、すなわちマルチカレンシーを使っている方々や企業の方々に見合ったものとなりました。私たちのお客様のコミュニティにはすでに銀行機能も含まれているのです。私たちは単なる送金以上の課題を解決するために進化してきましたが、Wiseを利用する上での核となる体験は何よりも速く、安く、便利であることに変わりはありません。私たちの使命は変わりません。私たちは今でも、そしてこれからも、国境を越えてお金を働かせるようにします」。

顧客はすでに、新しいウェブサイトであるWise.comにオプトインすることができる。「すべての顧客を対象としたWiseブランドへの最終的な切り替えは、2021年3月に行われます」と同社は述べている。

カテゴリー:フィンテック
タグ:WiseIPO

画像クレジット:TransferWise / Wise

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(文:Steve O’Hear、翻訳:sako)

マッチングサービスBumbleが1株43ドルでIPO

米国時間2月11日午後、マッチングサービスのBumbleはIPOの価格を1株あたり43ドル(約4500円)とし、1株あたり37ドルから39ドル(約3870円〜4080円)のIPO価格レンジを上回った。

Bumbleは2021年1月中旬に株式公開を申請し、2月2日に最初の株価レンジを提示したが、28ドルから30ドル(約2930円〜3140円)という価格レンジは結局、不足していた。Bumbleは今週初めに株価レンジを37ドルから39ドルに引き上げた

関連記事:マッチングアプリのBumbleが株式公開を申請

引受人オプションの可能性を考慮する前に、Bumbleは公募増資で5千万株を売却して21億5000万ドル(約2249億2000万円)を調達した。同社は明日の朝から取引を開始する予定だ。

Bumbleのデビューは、今週初めにMetroMileのSPAC主導で行われた公募増資を含む、他の多くの2021年におけるオファーの中でのことだ。他にもCoinbaseや、おそらくRobinhoodなど、有名な企業が2021年に上場すると予想されている。

Bumbleの株式公開は長い間、唯一株式上場が可能だと推測されていたMatchの後に行われた。しかしより小規模なBumbleの上場は、少なくともあと1社の上場の余地があることを証明した。

米TechCrunchはBumbleの決算をこちらの記事で詳しく紹介している。

関連記事:米国を中心に人気のマッチングアプリBumbleがIPOに向けて動き出したとの報道

カテゴリー:ネットサービス
タグ:BumbleマッチングアプリIPO

画像クレジット:Bumble

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:塚本直樹 / Twitter

中国版TikTokのライバル動画アプリKuaishouが上場初日に194%急騰、時価総額19兆円超に

中国以外ではあまり評価されていない中国の動画アプリ「Kuaishou(快手)」は、香港証券取引所で大規模な新規株式公開(IPO)を完了した。このアプリは、TikTok(ティックトック)の中国バージョンDouyin(抖音)の最大のライバルであり、広告やサブスクリプションで収益を上げている多くの欧米の動画プラットフォームとは異なり、チップビジネスを最大の収益源にしている。

Kuaishouの株式は中国時間2月5日、香港市場で1株あたり338香港ドル(約4593円)で取引を開始し、公開価格115香港ドル(約1563円)に対して194%高を付け急騰した。これにより、同社の時価総額は1兆4000億香港ドル(約19兆250億円)近くまで膨らんだ。今回の上場では、オーバーアロットメントオプションを除いた総株数は3億6521万8600株で、同社は約54億ドル(約5689億円)を調達した。

Tencent(テンセント)に支援されているKuaishouは、これにより成長投資のための財源を補充し、うまくいけば黒字化に向けてまい進することができるだろう。2020年の最初の9カ月間で、同アプリは2020年同期の18億元(約293億円)の調整後利益と比較して、72億元(約1173億円))の調整後純損失を計上していた。

Kuaishouの株式は2020年11月に終了した11カ月間で、4億8100万人の月間ユーザーを誇った同アプリの事情に精通している中国の機関投資家と個人投資家の両方で大ヒットとなった。同アプリは香港市場で過去最多の応募数を記録し、合計1648億ドル(約17兆3626億円)にのぼる個人投資家の需要を引きつけたとサウスチャイナ・モーニング・ポストが報じた。同社株は、Phillip Securities Group(輝立証券集團)が運営するグレーマーケットプラットフォーム上で322.8香港ドル(約4387円)、オンラインブローカーのFutu Securities(富途證券)で421香港ドル(約5721円)に達した。

Douyinと同様、Kuaishouも(GIFアプリとしての短い期間を経て)15秒の短い動画を作成して共有するためのプラットフォームとして始まり、後にライブストリーミングへも拡大していった。名を馳せたクリエイターはフォロワーとのさらなる交流を求めたいと考え、フォロワーはクリエイターへの忠誠心や愛情を表現したいと思うだろうから、この移行は自然なことだ。ライブストリーミングとバーチャルギフトは、そのようなニーズに応える。

Kuaishouには主に3つのマネタイズ方法があり、中でもライブストリーミングが収益の大部分を占めている。2020年11月に終了した11カ月間に、同アプリのユーザーのうち5800万人がライブ動画に毎月お金を費やし、平均すると1人の有料ユーザーにつき47.6元(約776円)の収入があったという。

同アプリは広告も販売しており、各ユーザーが71.4元(約1163円)のマーケティング収入をもたらしている。最後に、Kuaishouではクリエイターが商品を販売することもできる。GMV(Gross Merchandise Value、流通取引総額)はeコマース取引を測る上で緩く使われる業界指標だが、Kuaishouのプラットフォームを通じ直接購入につながったGMVは同じ期間中に3327億元(約5兆4200億円)に達したという。

ちなみに、Alibaba(アリババ)によるTaobao(淘宝、タオバオ)のライブ配信プラットフォームであるTaobao Live(淘宝直播、タオバオライブ)は、12月に終了した12カ月間のGMVで4000億元(約6兆5200億円)以上のGMVをもたらした

Kuaishouは増え続けるライブストリーミングからの収益を享受しているが、その背景には規制上のリスクが潜んでいる。中国政府は、18歳未満のユーザーがバーチャルギフトを購入することを禁止している。また規制当局はプラットフォーム運営者たちに対し、毎月ユーザーが購入できるバーチャルギフトの額に上限を設けるよう促しているが、今のところ上限を特定したり提案したりはしていない。

同社の目論見書には「バーチャルギフトにおいて最終的に課されるユーザー支出の制限は、バーチャルギフティングから得られる収益や業績に悪影響をおよぼす可能性がある」と記載されており、Kuaishouはそのリスクを認識している。

規制当局がバーチャルギフトの規制に踏み切るまでの間、Kuaishouは事業の多角化を図りながら、今後も成長を続けていくことになるだろう。

関連記事:中国の人気動画サイトKuaishouがたった6カ月で1060億円を失った経緯

カテゴリー:ネットサービス
タグ:KuaishouIPO中国

画像クレジット:Kuaishou

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

東証マザーズ上場の「QDレーザ」がメディアラウンドテーブル開催、事業内容や今後の戦略を紹介

東証マザーズ上場の「QDレーザ」がメディアラウンドテーブル開催、事業内容や今後の戦略を解説

QDレーザ」(キューディーレーザ)は2月5日、東証マザーズへの新規上場を果たした。調達した資金は、網膜走査型レーザーアイウェア「RETISSA Display II」(後述)事業拡大にともなう、量産のための製造費用にあてられる。

網膜走査型レーザアイウェア「RETISSA Display II」

網膜走査型レーザーアイウェア「RETISSA Display II」

同社は、2006年に富士通研究所のスピンオフベンチャーとしてスタートし、2009年に光通信用10Gbpsの光通信用量子ドットレーザー(QDL。Quantum Dot LASER)の量産化に世界で唯一成功(このQuantum Dot LASERが社名の由来)。光分野におけるイノベーションに贈られる国際的な賞「PRISM AWARDS Winner」を2017年、2019年と日本企業で初めて2回受賞した。現在では、独自のレーザー技術を用いて、通信・産業・医療・民生用の広い分野で新しい半導体レーザーソリューションを展開している。

同社は、先に触れた上場に合わせメディアラウンドテーブルを実施。QDレーザ代表取締役社長の菅原充氏が、同社「半導体レーザー事業」「レーザー網膜投影事業」の事業内容・今後の戦略などについて説明した。

QDレーザ代表取締役社長の菅原充氏

QDレーザ代表取締役社長の菅原充氏

菅原氏は、同社のビジネスモデル上の強みは、半導体レーザー業界唯一のファブレス体制にあるとした。半導体レーザーの要となるデバイス設計、結晶成長と完成品の評価のみ実施し、それ以外の工程は提携工場に委託している。加工向けやLiDAR向けなど任意のレーザー波長を提供できることから、新製品・新分野・新事業を興せる高い自由度を持つとした。

もう1点の強みは、量子ドットレーザーにあるという。原子レベルの精密結晶成長技術(秘匿技術)を持ち0.1秒刻みの精密制御が可能な上、20年を超える技術の蓄積により、量子ドットレーザーの量産に唯一成功している点を挙げた。100度以上の温度となる過酷な環境において高密度実装状態でも動作可能という。

原子レベルの精密結晶成長技術を支える、分子ビーム結晶成長装置。半導体レーザーおよび量子ドットレーザーに利用する結晶は、すべてこの装置による自社製造。宇宙空間同等の超高真空を実現しているそうだ

原子レベルの精密結晶成長技術を支える、分子ビーム結晶成長装置。半導体レーザーおよび量子ドットレーザーに利用する結晶は、すべてこの装置による自社製造。宇宙空間同等の超高真空を実現しているそうだ

半導体レーザー事業

半導体レーザーとは、レーザー光を発する小型素子のことで、5G基地局や、データセンター、スーパーコンピューター、自動運転LiDARなどに実装されている。半導体レーザーを導入することで、電力消費量削減率90%、処理速度100倍、実装面積100分の1の実現が可能になるという。半導体の最も進化した「半導体の最終形」と呼ばれ、これから社会実装されていく先進技術に対して必須となるとされる。

菅原氏は、同社の半導体レーザー事業のコアテクノロジーとして、材料・設計・制御にわたり、唯一領域を多数保有する最先端の半導体レーザー技術を挙げ、高い競合優位性を有するとした。

量子ドットの量産化を支える「半導体結晶成長技術」

半導体結晶を半導体基板上に1原子層ずつ成長させる技術で、QDレーザ製品の多彩な波長ラインナップを支えているという。世界で唯一量産化に成功した量子ドットや、超高歪量子井戸などの独自技術の基盤にもなっており、多数枚化、全自動化、独自ノウハウ蓄積により大量生産性にも優れるとしている。

世界最高温度の「量子ドット」レーザーの量産化成功

量子ドットレーザーは、レーザー光を発生させる活性層に、半導体のナノサイズの微結晶である「量子ドット」構造を採用した半導体レーザーのこと。従来の量子井戸を用いた半導体レーザーに比べ、省電力性・高温耐性・温度安定性などの優れた特徴を持つという。

QDレーザは、世界最高温度の量子ドットレーザーの量産化に成功。温度安定性に優れ、100度以上の温度でも特性劣化も少なく、専用設計により200度でもレーザー発振可能。また高歩留りで安定製造できる体制も確立・成功させた。CPUとメモリーなどを光通信で接続する際に利用可能な、世界最小のシリコン融合トランシーバーも実現している。

世界初の黄色・オレンジ半導体レーザーを商用化した「精密な波長制御技術」

同社は、レーザー内部に周期的な凹凸を形成するグレーティング(回折格子)形成技術を持つという。精密な任意波長制御を可能としており、後述のバイオセンシング機器(フローサイトメーター)に必要となる黄色・オレンジ半導体レーザーを世界で初めて商用化した。

網膜に直接投影する新技術「ビジリウム(VISIRIUM) テクノロジー」

ビジリウムは、RGB三原色の半導体レーザーと、高速で振動する微細な鏡(MEMSミラー。Micro Electro Mechanical Systemsミラー)とを組み合わせ、微弱な光を精密にコントロールするというレーザー網膜走査技術。これにより、超小型レーザープロジェクターとして、光で網膜に直接映像を投影可能とした。従来の小型ディスプレイ方式に比べて視力やピント調節の影響を受けにくく、違和感の少ないデザインを実現できる。

RGB三原色の半導体レーザーと、高速で振動する微細な鏡(MEMSミラー。Micro Electro Mechanical Systemsミラー)とを組み合わせ、網膜に直接映像を投影

RGB三原色の半導体レーザーと、高速で振動する微細な鏡(MEMSミラー)とを組み合わせ、網膜に直接映像を投影

また同社は、網膜走査型レーザーアイウェア「RETISSA Display」として、世界初の製品化に成功しており、TechCrunch Japanでも紹介している

モジュールの小型化

独自の光学・力学・熱解析技術と、YAG溶接、共晶・低融点半田、UV接着などの実装技術を駆使し、小型で高効率・高信頼性を有する光源モジュールを提供可能。同社は黄色・オレンジレーザーモジュールにより、Prism Awards 2014のファイナリストとなった。

レーザー設計

光通信技術を生かし、世界最速(10ps。10ピコ秒)の精密加工用半導体レーザーの設計が可能。ウェハー設計、半導体レーザー設計、モジュール設計を駆使した高付加価値な半導体レーザーを提供しており、半導体チップの光閉じ込め計算や光学シミュレーターを用い、また培ったノウハウをプラスして最適な設計を行っているという。

「シリコン回路」「センシング」「レーザー加工」の進化

また菅原氏は、これら同社コア技術を利用したレーザーデバイスにより進化する領域として、「シリコン回路」「センシング」「レーザー加工」を挙げた。

シリコン回路の進化という点では、100度以上で動作する量子ドットレーザーについて、デバイス回路内の情報のやり取りに光通信を利用する「シリコン電子・光集積回路」に必須の光源としており、シリコン電子・光集積回路が現実的になるという。用途としては、データセンター、LiDAR、5G基地局、スーパーコンピューターとしている。自動運転車用のLiDARなどへの展開も挙げていた。

すでに、量子ドットレーザーを基板上に搭載したシリコンフォトニクス(Slicon Photonics)用チップの累計販売台数は1万2000個(2018年3月~2020年11月)になっているそうだ。

センシングの進化では、組織培養した細胞の観察・解析の際に利用するフローサイトメーターなどのバイオセンシング機器をはじめ、マシンビジョンや顔認証領域などに関して、様々な波長の同社独自レーザーにより多彩な展開が可能とした。同社は、フローターサイトメーター市場82.7%を占める上位2社の認定サプライヤーのうちの1社となっているという。

レーザー加工では、超短パルス(10ps。10ピコ秒)による非加熱での高精細加工を実現。スマートフォン電子回路基板の加工に実際に利用され始めたという。超短パルスによる光を基板にあてると、金属・ガラスなど素材を問わず加工を行えるそうだ。

超短パルス(10ps。10ピコ秒)による非加熱での高精細加工が可能

超短パルス(10ps。10ピコ秒)による非加熱での高精細加工が可能

同社は、極短パルスレーザー世界市場(466億円)の22.4%を占める世界第2位レーザーメーカーに、認定サプライヤーのうちの1社として供給しているという。

レーザー網膜投影事業

QDレーザは、先に挙げたビジリウム(VISIRIUM) テクノロジーとして、独自のレーザー技術を用いた「レーザー網膜投影事業」を展開。

ビジリウムでは、瞳孔を通し網膜に直接映像を投影するため角膜と水晶体に頼らない視覚体験が可能で、近視・遠視・乱視・屈折異常でも鮮明な画像認識を行えるという。また網膜上で、肉眼で見ている風景と投影する画像両方に焦点を合わせて見ることができるという。これは、他ARグラスにはない特徴としていた。

さらにレーザー網膜投影では、網膜の広範囲部分でピントが合うため、網膜症の患者への適用が期待できるという(個人差あり)。大手航空会社と筑波技術大学において、網膜症の患者への適用可能性検証のための系統的実証実験を(機内や教室内などの環境下で)実施中としていた。

菅原氏は、これらの点を基にヘルスケアおよび医療領域にターゲットを定めたという。

現在、メガネやコンタクトレンズなどの外科的処置によっても「視力が0.05以上、0.3未満」の者は、世界保健機関(WHO)により「ロービジョン」と定義されている。ロービジョン人口は世界で2億5000万人、日本国内では145万人と推定されるそうだ。さらに2030年には、高齢化の影響などにより日本のロービジョン人口は200万人となり、視覚障害による経済損出は11兆円ともいわれているという。

同社は、すでに網膜走査型レーザーアイウェア「RETISSA」シリーズを展開しており、現在は民生福祉機器として「RETISSA Display II」(税抜希望価格24万8000円)、また視力障害向け医療機器(管理医療機器)として「RETISSA メディカル」(税抜80~90万円)を用意。2種類用意した理由としては、RETISSA メディカルは医療業界の認知を得て、社会的な安心感を得るためのもので、RETISSA Display IIは普及を狙ったものとしていた。

視力障害向け医療機器(管理医療機器)として「RETISSA メディカル」

視力障害向け医療機器(管理医療機器)として「RETISSA メディカル」

RETISSA Display IIは、強度近視(屈折力-11D)から中強度の遠視(+6D)の度数の範囲で、メガネを使わなくとも0.8の視力を得られるとしている。またRETISSA メディカルについては、メガネやコンタクトレンズを用いても十分な視力が得られないなど、不正乱視によって視力が障害された患者に対し、視力補正をする目的で使用される。

またRETISSA メディカルは、レーザー網膜投影による視力補正機器として国内医療機器製造販売承認を2020年1月に取得済みだ。EUおよびアメリカにおいても、各種申請への対応を進めているそうだ。

市場規模(屈折異常、角膜混濁)としては、日米欧合わせて最大9000億円規模と見込まれており、別途中国などへの市場展開も想定しているという。

民生福祉機器については、累計販売台数実績510台(2020年11月時点)としており、今回のIPOによる資金調達によりファブレス体制の稼働と原価低減を実現させるとした。

菅原氏は、数千台を製造することで原価を低減させ、最終価格を10万円以下を目指していると明かした。22年度には発売したいという。

メディア露出についてすでに開始しており、新プロジェクト「With My Eyes」を6社とともに発足。ロービジョン者向けのプロダクト開発を行っている。

ロービジョン者の生活を豊かにすることを目的に、「見えづらい」を「見える」に変えるというもので、その第1弾は、レーザー網膜投影技術を⽤いたカメラ型デバイス 「RETISSA SUPER CAPTURE」により、ロービジョン者が⾃らの⽬で写真撮影を行う。

また、メガネブランド「Zoff」(ゾフ)を運営するインターメスティックと業務提携を実施。半導体レーザー技術を援用した眼鏡処方プロセス刷新への取り組み、レーザー網膜投影による眼鏡型弱視支援器具および、次世代の眼鏡であるスマートグラスの共同開発・商用化に取り組んでいる。

富士通エレクトロニクスとは「RETISSA」シリーズの販売代理契約を結んでおり、視覚支援機器市場およびxR関連機器市場で世界展開を企図したものとしていた。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:ウェアラブル(用語)QDレーザ量子ドットレーザー日本(国・地域)

ロケットスタートアップAstraがSPAC経由でNASDAQに上場の予定、ステルスから現れて1年

昨年12月にアラスカからのテスト打ち上げで宇宙空間に到達したばかりのロケット打ち上げスタートアップAstra(アストラ)が、Holicityという特別目的買収会社(SPAC)との合併を通じNASDAQに上場することになった。最近のSPAC熱はすでに宇宙ビジネスセクターにまで及んでおり、Virgin Galacticがこの新しい波に乗って上場した企業の一つであることを見ると、宇宙船打ち上げについては前例があるが、NASDAQに上場するのはAstraが初めてとなる。

取引の条件は、Holicityが信託で保有する3億ドル(約315億円)と、BlackRockが運用するファンドからのPIPE(パブリック・エクイティへの私募投資)による2億ドル(約210億円)の注入を合わせて、Astraに5億ドル(約525億円)の現金がもたらされることが予想される。この取引によりAstraのプロフォーマ評価額は約21億ドル(約2205億円)となるが、これは同社の評価額から、SPAC合併によってもたらされる5億ドル(約525億円)の現金を差し引いたもの。Astraは、今年の第2四半期までに合併を完了し、その後はティッカーシンボル「ASTR」で取引される予定だ。

Astraはカリフォルニア州アラメダの施設で、小型の軌道上ペイロードを運ぶために設計された独自のロケットを製造している。これまでのところ、アラスカ州コディアックにロケットを輸送して飛行を実施しているが、実際の宇宙港施設ではほんの一握りのスタッフがロケットの搭載と打ち上げを担当した。チームの大部分は、カリフォルニアにあるミッションコントロール施設から遠隔操作で飛行を監督した。同社のモデルは、比較的安価なロケットを高い供給能力で生産することに重点を置いており、ニーズに応じてほぼどこでも出荷・打ち上げが可能だという。

12月のテストが成功したことで、Astraは、打ち上げモデルの構築と反復型開発の作業に何年もかけて取り組んできた成果を得ることができた。同社はもともと、衛星を迅速に打ち上げることを目指し、DARPA(Defense Advanced Research Projects Agency、米国防高等研究計画局)が資金提供して実施した技術開発レースを追求していたが、そのレースは賞金の該当者が出ることなく期限切れになってしまった。12月に行われたテストの成功により、Astraのモデルの実行可能性は証明されたが、実際にペイロードを届けるための軌道速度を達成するにはわずかに足りなかった。同社によると、これは比較的簡単に解決できる問題であり、ソフトウェアの微調整で完全に管理できるとのことで、今年の夏には最初の商業衛星を納品する予定だという。

Astraは、最終的には2025年までにペイロードを毎日のように打ち上げることを目標としている。SPACのニュースに伴うブログ記事の中で、Astraの創業者兼CEOのChris Kemp(クリス・ケンプ)氏は「宇宙サービスのプラットフォームを構築する」ことにも取り組んでいきたいと述べており、現在のロケット事業の域を超えた野心を示唆している。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Astra 新規上場 SPAC

[原文へ]

(文:Darrell Etherington、翻訳:Nakazato)

暗号資産取引所Coinbaseが直接上場

Coinbase(コインベース)は米国時間1月28日のブログで、直接上場により株式公開を計画していると発表した。

この仮想通貨取引所は2012年に設立され、ユーザーはBitcoin(ビットコイン)やEthereum(イーサリアム)のような分散型トークンの売買ができる。同社は非公開企業として5億4000万ドル(約564億3000万円)以上の資金を調達している。

2020年12月、Coinbaseは内密にS-1をSECに提出していたと発表した。

一般的にはまだその財務状況を確認されていないが、IPOプロセスからオプトアウトしたことがわかっている。最近、直接上場は人気となっており、しばらくのテック系IPO上場初日の暴騰ぶりを考えると、Coinbaseのような企業が公開市場への道を選ぶのは驚くに値しない。

この道を選んだのはCoinbaseだけではない。Robloxは2020年後半のIPO市場を観察した後、自社のIPOを延期し、代わりに直接上場を選択した。

直接上場により、企業は新しい株式のブロックを価格設定して売却する必要がなくなるため、従来のIPOの要素をスキップできる。その代わりに企業は、単にその株式を公開するだけで取引に利用できるようになる。もちろんすべての企業が、自分たちが魅力的であると証明するのに十分な知名度があるわけではないため、直接上場企業は新しい一次資本を調達する能力を失う。有名で裕福な企業なら、直接上場が最も魅力的だと感じるかもしれない。

ここ数カ月、テクノロジー企業のIPOには非常に好意的で、投資家たちはいわゆる「デジタルトランスフォーメーション」を支援できるテクノロジー企業を支援しようと躍起になっている。仮想通貨市場が一般公開市場と同じ水準になれば、Coinbaseは取引を開始したときにかなり有利な立場に立つ可能性がある。

消費者の仮想通貨への関心、取引量、Bitcoinの価格には、一般的な相関関係がある。Coinbaseはユーザーの取引から収入を得ているため、最近のBitcoin価格の上昇が同社の業績に貢献したと推測するのも無理がない。

Coinbaseの発表は、ソフトウェア会社のQualtricsが米国時間1月28日に株式を公開したのと合わせて実施された。同社の株価は同日の取引だけで50%近く上昇した。この仮想通貨会社がS-1の公開申請を提出した際には、さらに詳細が発表されることになる。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:CoinbaseIPO仮想通貨

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(文:Lucas Matney、Alex Wilhelm、翻訳:塚本直樹 / Twitter

ウェブサイト構築とホスティングサービスのSquarespaceが非公開でIPOを申請

ウェブサイトビルダーのSquarespaceが米国時間1月27日の午後、株式公開を発表した。このオンラインウェブサイトの作成とホスティングサービスは、2010年と2014年にそれぞれシリーズAとBのラウンドを調達したベンチャー企業だ。Crunchbaseのデータによると、これらの取引は合計で7850万ドル(約82億円)の価値がある。

Squarespaceが人びとの記憶に残るのは、2017年にGeneral Atlanticが幹事を務めた2億ドルという巨額なセカンダリーラウンドのためだ。セカンダリーラウンドとは外部の関係者が既存の株主から株を買うことで、新株は発行されない。一部の非公開企業は、新たな資本を必要としないが近々に(正規の)流動性イベントがないときにセカンダリーの取引を実行する。

2017年の取引は、同社の今懸案の2021年のIPOとうまく適合する。

当時TechCrunchは、同社の売上が約3億ドル(約313億4000万円)で黒字だ、と報じた。

最近、上場を狙う企業が増える傾向にあり、2020年の終わりにはC3.aiとDoorDashとAirbnbがそのリストに加わったが、Squarespaceもそれらの仲間になる。Coinbaseも上場を申請、RobinhoodはホットなIPO候補だ。そして今度はSquarespaceが、帽子をリングに投げ込んでいる。

Squarespaceの申請はプライベートなので、公開のS-1が見られるのは今後のこととなる。現状にたいして同社は、次のように述べている。

Squarespace, Inc.は本日、Form S-1による登録届出書草案を秘密裏に証券取引委員会(「SEC」)に提出した。本登録届出書はSECがその検査過程を完了したのちに有効となり、市場とその他の条件に委ねられる。

Squarespaceはソフトウェア企業であり、クラウド企業であり、eコマース分野でも手腕を発揮している企業であることから、申請、売出、および上場を行う際、投資家の関心が相当鈍いものと予想される。というのも一種の風刺でもあるが、実際にここ数週間私たちは、ソフトウェアのホットなIPOを見ていない。

しかしニュースが低迷するなか私たちを救ってくれたことには感謝する。私たちも、安心して昼寝ができるだろう。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:SquarespaceIPO

画像クレジット:Spencer Platt/Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

VCと創業者たちの2021年に対する見方の違い

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。準備はOK?ここではお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話などをお伝えする。

今週は、いつものようにバラバラなセクションを並べるのではなく、一連の大きなテーマやニュースに焦点を当ててお話ししよう。なぜかって?いつものフォーマットに収まりきらないものが多すぎたからだ。オリジナルレイアウトのファンだった方、来週は元に戻るのでご安心を。

今回は、Coinbase(コインベース)の成長、Juked.gg(ジュークドgg)がクラウドファンディングをいかに利用したのか、a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)のメディアゲームの話、Talkspace(トークスペース)のSPAC、VCや創業者の2021年の予測、そして会社を設立するのに適した場所はどこか、といった話題を取り上げる。

では、詳しく見ていこう。

IPOを控えたコインベースへの入金額が拡大

消費者の支出に関するデータを提供するCardify(カーディファイ)の親会社であるDrop(ドロップ)の、Kazim Rizvi(カジム・リズヴィ)氏のおかげで、米国の暗号通貨プラットフォームCoinbase(コインベース)の入金が、どれほど急速に拡大したのかを知ることができた。Coinbaseが株式公開を申請し、最終的なS-1の申請が期待されている中で、Coinbaseが人びとに対して購入支援を行っている資産への興味が、どれほど急速に高まっているのかについての方向性を知ることができたことには興奮を抑えられない。

それは急速に拡大している。2019年1月の第1週を基準にすると、2020年12月の最終週には、Coinbaseからの入出金額が1回あたり12倍以上になっていた。これは驚異的な成長であり、データは週毎に多少変動があるものの(私たちはそれを正確な数字ではなく、方向性を示すものとして扱っている)、これはBitcoin(ビットコイン)が再びブームとなって、その取引への関心と消費者の需要が高まる中で、Coinbaseのような企業がどれだけうまくいっているかを強調している。

Cardify提供

Cardifyのデータはまた、同時期におけるCoinbaseの新規顧客獲得が大幅に増加し、ビットコインの価格と並行して入金が拡大していることを示している。最近Bitcoinが3万ドル(約311万円)台を突破し、ここしばらくの四半期よりもさらに急激に上昇していることから、この価格上昇がCoinbaseの2020年第4四半期の堅調な推移を助けただけでなく、おそらく2021年第1四半期も、同様に熱狂的な道へと導いたのだろう。

このデータを見るまでの私たちのCoinbaseのS-1に対する興奮度を100とするなら、いまやその興奮度は120だ。

eスポーツのコンテンツに、エクイティクラウドファンディングで100万ドル(約1億円)を調達

eスポーツは超カッコいいし、同意できないというならそれは間違いだ。だがその設問の答えに対して、どちらが正しいのかはここでは関係がない。市場はほぼ、対戦ゲームは時間と注意と投資家のお金を投入する価値があると判断しているからだ。

eスポーツリーグやゲームなどの急増は、バラバラで無秩序な状態へと陥っている。これは伝統的スポーツの世界でESPNが提供してきたような、中央のハブのようなものを欠いているからだ。

しかし心配は無用だ。Juked.ggが、eスポーツのためのコンテンツハブを提供するために、資金調達を行った。これにより、私のような年寄りでもいつトーナメントが開催されるかを知ることができ、インターネット上で日時を探し回ることなく、「League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)」や「Starcraft 2(スタークラフト2)」のプロプレイを楽しむことができる。

Juked.ggは500 Startupsの卒業生だ(そのクラスについての詳細はこちら)。Republicプラットフォームで100万ドル(約1億円)を少し超える資金を調達したJuked.ggは、大きな計画を練っている最中だ。

Exchangeは、Juked.ggの共同創業者でCEOであるBen Goldhaber(ベン・ゴールドハーバー)氏に、同社のこれまでの業績についての話を聞いた。ゴールドハーバー氏によれば、Jukedのユーザー数は2019年後半のローンチ時の500人から、2020年12月には5万人にまで増加しているという。この先Jukedはジャーナリズム、ソーシャル機能、ユーザーが作成したコンテンツなどにさらなる投資を行うかもしれない。Jukedは現在2524人の投資家から100万ドル以上の資金を得たが、そのビジョンが実現していくにつれて、私たちもよりたくさんのものを目にすることになるだろう。投資家の一人ひとりが、分散しながらも成長するエンターテイメントカテゴリーを統一するのに役立つ適切な製品を、Jukedが開発してくれることに期待しているのだ。

A16zによるメディアプッシュ

ここで長々と話すつもりはないが、VCがコンテンツを作ることは新しいことではない。First Round Review(ファーストラウンドレビュー)が世に出たのはいつのことだったろうか?A16zが考えているように見えるものは、規模は違うものの、内容に違いはない。もし興味があるなら、私たちがEquityポッドキャストでこの件について話している。

Talkspaceのおそらく無謀ではないSPAC

少なくとも新進企業と関わることの多いSPAC(特別買収目的会社)をからかうことは楽しいが(12345)、SPACによるデビューがすべて愚かしいものというわけではない。期日の迫ったTalkspaceの取引に関してはここから読むことができる。

重要なのは、このチャートだ。

よく見てほしい!歴史的な収益拡大!粗利率の改善!粗利の上昇!

おそらく、Hudson Executive Investment Corpとの合併後の同社は、14億ドル(約1453億円)もの企業価値は持っていないのではと考える向きもあるだろう。だが、まあ、それは少なくとも本当のビジネスだ。

VCと創業者たちは2021年をどう見ているのか

シードVCのNFXが、先日VCと創業者たちにアンケートをお願いしたが、その中に紹介したいと思うものがあった。興味があればここで全文を読むことができる。

ここでは2つの点を取り上げる。

  1. VCは創業者たちよりも経済に対して強気で、創業者たちの約30%が個人消費は横ばいまたは減少すると予想しているのに対し、これに同意したVCは約17%に止まっている。
  2. そして、ベイエリアを離れるというテーマに対しても、これまた同様に、創業者の35%が考えることがあるとしているのに対して、投資家では20%だけが同じような傾向を示している。これは、投資家はベイエリアに家を持っているのに対し、ほとんどの創業者たちは家を持っていないからだと思う。しかし、金も才能もすべてが去っていくという懸念は和らげてくれるだろう。そうではなさそうだ。

どこで起業すべきか

Initialized Capitalは、創業者が会社を設立するのに最適だと考えている場所についてのデータをまとめた。2020年には、調査対象となった創業者の42%近くがベイエリアだと答えている。2021年にはこの数字は28%強にまで落ち込み、42%が分散型企業を選ぶべきだと答えている。

これはアーリーステージの創業者からよく耳にする話だ。彼らはしばしば、私がマイクロマルチナショナル(零細多国籍)と呼んでいるかたちのものを作ろうとしている。小さな企業が、ある国に数人、そして他の国にまた数人という具合に従業員を抱えていくのだ。このセットアップでうまくやっていけることが、人事ソフトのホットスポットになると思う。

それとは関係なく、ベイエリアでの創業要件は厳しい。そこで創業するメリットはこれからも長く続くだろう。

次回予告

来週のExchangeで紹介するのは:新しい5000万ドル(約52億円)ARR(経常収益)シリーズの最初のエントリーとしてAssembly(アセンブリー)、SimpleNexus(シンプルネクサス)、Picsart(ピクスアート)、OwnBackup(オウンバックアップ)などのインタビューを掲載予定だ、また1億ドル(約104億円)ARRのインタビューもいくつかお届けする。

では、今週はこのあたりで。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:BitcoinIPO

画像クレジット:Nigel Sussman

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(翻訳:sako)

Group NineのSPACが株式公開、約208億円を調達

Group Nine Media(グループナインメディア)は2020年12月、買収資金調達のためSPAC(特別目的買収会社)を設立したと明らかにした。

同社は現在、計画を進めており、米国時間1月14日にSPACのIPO価格を1ユニット当たり10ドル(約1040円)に設定し、合計2億ドル(約208億円)を調達したと発表した。現在はNASDAQでティッカーシンボル「GNACU」で取引されている。1月15日米国東部時間午後2時53分現在、株価は6.55%上昇した。(最終的にクラスA普通株式は、GNACとしてワラントはGNACWとして別々に上場される)。募集は1月20日に終了する予定だ。

Group Nine自体と同様、買収会社もCEOのBen Lerer(ベン・レラー氏、上の写真)がリードした。Imagination Capital PartnerのRichard D. Parsons(リチャード・D・パーソンズ)氏とRedditの最高執行責任者であるJen Wong(ジェン・ウォン)氏も取締役会に加わった。

Group Nineは、Discoveryの支援を受けてThrillist、NowThis、The Dodo、Seekerを合併して2016年に形成されたその後PopSugarを買収し、共同創業者のBrian Sugar(ブライアン・シュガー)氏がGroup Nineと現在のGroup Nine Acquisition Corpの両方の社長に就任した。

「白紙小切手」会社としても知られるSPACは、企業が公開市場から資金調達する方法として人気が高まっている。Group Nineは最初の申請書類で「合併、株式交換、資産買収、株式買収、再編、または類似の企業結合を実現する目的」で、資金を使用すると述べている。

関連記事:買収でデジタルメディアの整理統合を目指すGroup Nine Mediaが資金獲得のためSPAC設立

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Group Nine MediaSPAC新規上場

画像クレジット:Brian Ach / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ユニコーンの公開市場での高い評価、誰も何に価値があるのかがわからない

Exchange

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。

今週もまたユニコーンになったスタートアップが株式を公開し、評価額が急騰するのを見ることとになった。すでにIPO価格で注目されていたが、これほど多くのユニコーンが公開市場で高額な評価を得ているのを見ると、一体誰が誰の価格をつけ間違ったのだろうと疑問が湧いた

まあそれは好みの問題であり、言葉の定義上の議論であり、コップの中の嵐なのだが。それよりも重要なのは、正確にいえば、一体何に価値があるのかを知っている人が誰もいないということで、それが多くの人を金持ちにしたり、頭に血を上らせたりしている。

これは新しいテーマではない。私は何年もそのことに触れてきたが、私たちにとって今、大切なのは企業の評価に対しては3つの明確な区分があり、その間のギャップは縮まるようには見えないということだ。そうしたギャップが広がったという人もいるだろう。

区分1は民間資本群だ。これは、2020年9月のラウンドでAffirm(アファーム)を1株あたり19.93ドル(約2070円)と評価したり、2020年2月にはRoblox(ロブロックス)を40億ドル(約4152億8000万円)と評価したような一群だ。今ではAffirmには1株あたり116.58ドル(約1万2000円)の価値があり、Robloxには295億ドル(約3兆627億円)の価値がある。すごい話だ。

区分2は長期公共投資群だ。IPOの価格設定という文脈で重要な役割を果たす一群だ。彼らは民間資本の関係者よりも、より多くの資金をスタートアップに投下したがる。このグループにとってAffirmは、1株あたり20ドル以下では価値のないものだったが、わずか数カ月後には1株あたり49ドルの価値を持つものとなった。すごい話だ。

区分3は、/r/WallStreetBets(Redditの株式サブグループ)や、Twitterでミームストック(若者に人気の高い価格の不安定な株式)やフィンテック関連で暴れまわる連中のような個人投資家の一群だ。見ている分にはとても楽しいが、連中にはラスベガスで500ドル(約5万円)だって貸そうとは思わないだろう。彼らは、たとえばTesla(テスラ)のような特定の株式に、際限もなく資金を注ぎ込むことを良しとしている。それはしばしば保守的な公的資金よりもはるかに多くの額となる。個人投資家からの需要によって、需給曲線が完全に狂い、新規上場企業の価値が大幅に増幅することがある。Poshmark (ポッシュマーク)が公開初日に高かったIPOの評価額を2倍以上上回ったのはこれが理由だ。

現在、ほとんどの投資家たちはうまくやっている。区分3の価格を払う気のない区分1は、区分2を非難しがちだが、結局民間資本の人たちは単に儲けを他のグループと分け合うつもりがないので文句をいっているように聞こえる。

ともかく、誰が何に本当の価値があるのかを知っているのだろう?最近、投資経験を持つアーリーステージの創業者と、ソフトウェア企業(公開未公開は問わない)の価格と、それが意味を持ったり持たなかったりする理由に関してチャットを行った。彼がいうには、銀行の古い評価モデルでは、ソフトウェア企業の成長は時間の経過とともにゼロになると推定されており、SaaS企業が利益を上げることは稀だとされていたのだという。どちらのコンセプトも間違っていたので、価格が上昇した。

しかし、これまでなら翌年の収益の10倍で評価されていたであろう企業が、なぜ今は中央値で18.1倍の評価を受けることになったのかの理由を、私は誰にも説明してもらえていない。私が知っている、現状を説明するための理論のどれもが、これは正気の沙汰ではないし、誇大広告ではないレンズを介して理解できる価格ではないといっている。

(もし私が間抜け野郎だと思うなら、メールでの説明をお願いしたい。世界がまたまともに動き始めたら、評価に対する最高の説明をしてくれた人にコーヒーをごちそうしよう)。

マイルストーンとメガラウンド

重要なマイルストーンを見ると、いくつかの企業が未公開市場を離れて、新規公開クラブへの入会が行われたにぎやかな週だった。特に、高価格で取引が始まったAffirmとPoshmarkはそれを代表している。そしてBumble(バンブル)は株式公開を申請した。彼らはIPOの良いタイミングを狙っているようだ。

しかし、私の目に留まったマイルストーンなども含み、まだまだたくさんのことが起こっていた。フィンテックの多くのシナリオを1つのサービスにまとめるスタートアップのM1 Finance(M1ファイナンス)は、今週の運用資産残高(AUM)が30億ドル(約3兆1000億円)に達した。2020年2月に10億ドル(約1兆円)に達した同社のAUMは、2020年9月には20億ドル(約2兆円)に達していた。

なぜこれが気になるのか?同社は以前、AUMの約1%に相当する収益を得るように運用しているとTechCrunchに対して語っていた。もしその割合が2020年10月のシリーズCを経てもまだ続いたとするならば、同社は半年未満で、年間経常収益(ARR)として約1000万ドル(約10億円)を追加したことになる。この収益を生み出すペースは私の注意を引き姿勢を正させた(中西部のことに対して決して発信をやめないJosh Inglis[ジョシュ・イングリス]氏に感謝したい)。

しかし、私がM1 Financeのことを持ち出したのには、別の理由がある。私は特定の市場の深さにずっと驚かされ続けている。今なお成長を続けるネオバンクであるOKRソフトウェア市場の意外な深さ、そして多くの現職企業や資金力のあるスタートアップが存在する市場での、M1の残高獲得能力だ。

だからこそ価格が意味をなさないのかもしれない。もしTAM(獲得可能市場)の限界が見えないならば、どんなものでも価格が高くなってしまうのだろうか?

続いて、今週の重要なことについて、いくつか簡単に眺めておこう。

  • GitLabの評価額は現在60億ドル(約6232億円)になった、2020年の年間経常収益は1億5000万ドル(約155億8000万円)に達した。直近の四半期では、前年同期比75%増となっていると推定される。
  • フィンテックスタートアップのLendingPoint(レンディングポイント)が、非公開の評価額の下に1億2500万ドル(約129億8000万円)を調達した
  • ニューヨークに拠点を置くPaige(ペイジ)は1億ドル(約103億9000万円)を調達した。コンピューターを使った診断を支援する。

VisaとPlaidの契約破談にVCからひと言

Mercury Fundのマネージングディレクターでありテキサス州支持者である(Twitterハンドルより)Aziz Gilani(アジズ・ギラニ)氏が、Visa(ビザ)によるPlaid(プレイド)買収交渉が破談に終わった件について、投資家としての意見を記事として寄せてもらえた。この契約に対しては、米法務省が独禁法の懸念から訴訟を起こしていた。完全版はこちらで読める

記事の一部を以下に少し紹介しておこう。

PlaidとVisaの契約が破談になったことから得た大きな教訓は、2021年には何もかもがこれほど速く変化するのかということです。直接上場やIPOを上回るSPACの最大の利点は、これらの流動性の高いイベントをいかに早く完了できるかということです。評価額が週ごとに変化する世界では、米司法省による遅延は取引を台なしにしかねません。たとえ米司法省が最終的に法廷で敗訴したとしてもです。

私は哲学として政府が自分たちの意志を押しつけることは受け入れられませんが、現在のスタートアップ反乱軍の波が、世界のFAANG(ファング)たちに食い荒らされないことも個人的には願っています。ここ数年、多くのスタートアップ企業が「迅速なエグジット」というメンタリティの犠牲になっています。それはMint(ミント)があれほど早急にIntuit(インテュイット)に売却されたことにも象徴されています。迅速で安価な資本が自由に利用できることで、現在のスタートアップたちは大きく成長しているのです。

注目していく価値はあるだろう。

その他いろいろ

なんという1週間だったのだろう。ここでご紹介できるのは少しだけだ。いろいろと注意をそらされて、情報を入手できなかったアーリーステージラウンドもあるが、ひと通り紹介しておきたい。

  • Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)はMarcus(マーカス)にMarqeta(マルケタ)を選んだ。もしこの言葉の意味がわかるなら、これが重要なことだとわかるだろう。そうでないのであれば、気にせず人生を謳歌しよう。
  • Nayya(ナヤ)は、VentureBeatが「保険金給付管理プラットフォーム」と呼ぶものに対し、Felicis(フェリシス)からの資金も含めて1100万ドル(約11億4000万円)を調達した。
  • Minna(ミンナ)は、Tech.eu(テックeu)が「サブスクリプション管理アプリ」と呼ぶものに対して、1550万ユーロ(約19億5000万円)を調達した。
  • Muniq(ムニーク)は、血糖コントロールに役立つシェイクを販売するために、シリーズAで820万ドル(約8億5000万円)を調達した。
  • TechCrunchからはさらに2つのハイライト、素敵なCrossbeam(クロスビーム)ラウンドMoss(モス)へのさらなる資金提供が報告されている。

では今回はこのあたりで。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:IPO

画像クレジット:Nigel Sussman

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(翻訳:sako)

マッチングアプリのBumbleが株式公開を申請

デートとネットワーキングサービスのBumble(バンブル)が株式公開を申請した

IACが所有するTinder(ティンダー)の元共同創業者が創業した同社は、ティッカーシンボル「BMBL」でNASDAQに上場する予定だ。BumbleのIPO計画は2020年12月に最初に報じられた。

BumbleのCEOであるWhitney Wolfe Herd(ホイットニー・ウォルフ・ヘルド)氏は、Bumbleを始める前はTinderの創業チームにいた。同氏はセクハラと差別を理由にTinderを提訴している。これが女性を主役に据えるデートアプリを構築するという同氏の探求心に、少なくともある程度はインスピレーションを与えた。

ウォルフ・ヘルド氏は2019年、Blackstone(ブラックストーン)との30億ドル(約3100億円)の取引の際、後にBumble Groupに改名するMagicLabの指揮をとった。BlackstoneはMagicLabでのハラスメントスキャンダルを受け、Badooの創業者兼CEOのAndrey Andreev(アンドレイ・アンドリーブ)氏を解任した。

Bumbleは新規募集にはうってつけのタイミングで公開市場に向かう。投資家は2020年後半から2021年初めにかけ、ベンチャーキャピタルが投資している会社のIPOを歓迎している。以前はAirbnb、Affirmなどの未公開企業に対し公開企業に投資する投資家が進んで支払いに応じたため、企業の価値が上昇した。それがさらに多くのIPO申請を呼んだ。そうした投資家がいなければマーケットの様相は異なっていたかもしれない。

ここでBumbleのIPO申請書類が読める。TechCrunchは米国時間1月15日遅くにいつものように資料を分析する予定だが、読者の検討開始のためにいくつか重要な数字を抜き出した。

だがその前に1つ。同社の取締役会の構成、つまり70%以上が女性であるということがすでに賞賛を集めている。では数字を見ていこう。

BumbleのIPO申請書類の内容

Bumbleを利用量、財務実績、株主の3つの観点から見てみたい。

利用量の面では、Bumbleは人気がある。ご想像のとおり、出会い系サービスが公開するには必要な規模に達する必要がある。同社は、2020年第3四半期の時点で月間アクティブユーザー(MAU)が4200万だったと主張している。多くの企業は2020年第3四半期の好業績に基づいて公開しようとする。第4四半期と年度の決算終了には時間がかかるためだ。

4200万MAUが、2020年の最初の9カ月間で合計240万の有料ユーザーにつながった。有料ユーザーのMAUに対する割合は、240万を42で割ったものではなく、それよりも小さい割合となる。

数字に目を向けてみる。Bumbleは数年前にその大部分を売却したことを思い出してほしい。同社は所有構造のせいで財務実績が複雑になっている。この点も考慮する。

S-1書類によると、Bumble Inc.はIPO後、「持ち株会社となり、唯一の重要な資産はBumble Holdingsの支配持分になります」とある。では、Bumble Holdingsの実態はどうか。

同社のS-1は微妙な会計処理に溢れているため、自分たちで計算してみることにした。2019年の最初の9カ月で、Bumbleは次の結果をたたき出した。

  • 売上高3億6260万ドル(約380億円)
  • 純利益6860万ドル(約71億円)

そして、2020年同期間の同じベースでの実績を提示するために2つの列を足すと、Bumbleの業績は次のようになる。

  • 売上高4億1660万ドル(約430億円)
  • 純利益マイナス1億1670万ドル(約マイナス120億円)

以降の説明では「所有者・株主に帰属する純(損失)利益」ではなく、収益性を考慮して「純(損失)利益」を使う。「所有者・株主に帰属する純(損失)利益」はさらなる説明を必要とするが、TechCrunchは外観をシンプルにしたい。

Bumbleは2020年の第3四半期にかけて緩やかな成長を遂げ、GAAPベースでは損失が急増したが、調整後利益は同期間に成長した。GAAPから乖離した指標である調整後EBITDAは、2019年の最初の3四半期の8000万ドル(約83億円)から、2020年の同期間は1億830万ドル(約190億円)に拡大した。

調整後の指標に関しては、一般的に急成長中の企業にある程度の寛大さを認めることにやぶさかではない。だが、BumbleのGAAPベースでの損失とEBITDAとのギャップが、我々の思いやりをストレステストにかける。同社はまた、2019年の最初の9カ月はフリーキャッシュフローがプラスだったが、2020年の第1四半期にマイナスに転換した。

Bumbleの第1、第2、第3四半期の売上高を通年の数値に換算すると、2020年の売上高は5億5550万ドル(約580億円)になる。ソフトウェア業界にありがちな控えめなマルチプルを適用しても、同社はすでに議論したように30億ドル(約3100億円)以上の価値があると思われる。

ただ、2020年には急激に採算性が悪化したため、最終的なバリュエーションは低下する可能性がある。申請書類をさらに深く掘り下げれば、さらに深い情報が得られるだろう。

最後に、株主に関しては、同社の申請書類からデータが驚くほど抜かれている。主要株主のセクションは以下のような感じだ。

詳細が判明次第、共有する。それまでは、S-1を楽しくお読みいただきたい。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:BumbleマッチングアプリIPO

画像クレジット:Bumble

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(翻訳:Mizoguchi

中国最大級の顔認証ユニコーンMegviiが上海でのIPOを準備中

中国最大級の顔認証スタートアップであるMegviiは、上海での新規株式公開に向けて準備を進めている。中国時間1月12日に中国証券監督管理委員会が発表したところによると、同社はCITIC証券と協力して上場の準備を進めているという。

この動きは、顔認識プラットフォーム「Face++」で知られるMegviiが2019年8月に香港での株式公開を申請してから1年以上が経過してからのことだ。当時、ロイターは同社が5億ドル(約518億4000万円)から10億ドル(約1036億7000万円)を調達できるだろうと報じていた。しかし、香港での同社のIPO申請は非公開の理由で失効しており、現在は上海証券取引所ののSTAR Board(科創板)に焦点が当てられていると、この件に詳しい人物がTechCrunchに語った。

2019年、中国は長年にわたって米国に流出していた高成長で不採算の中国テックスタートアップを誘致するためにSTAR boardを設立した。一方、中国企業、特に政府との契約を頼りにしている企業や米中ハイテク競争に巻き込まれている企業にとっては、国内での新株発行がますます魅力的になってきている。

MegviiとそのライバルであるSenseTime、Yitu、CloudWalkは、その市場支配力と野心旺盛な投資家からの資金調達により、中国の「四大AIドラゴン」と総称されている。Megvii社の技術は、中国全土のスマートシティのインフラや、多くのスマートフォンやモバイルアプリの動力源となっている。創業以来10年の間にAlibaba(アリババ)、Ant Group、中国銀行などの投資家が、同社に約14億ドル(約1451億円)を出資している。

AIドラゴンズは、自国の市場以外ではあまり知られていない。2020年、Megvii、Yitu、SenseTimeは、中国西部のイスラム教徒少数民族に対する政府の大量監視を可能にする役割を果たしたとの疑惑で、米国の制裁対象リスト(エンティティリスト)に追加された。CloudWalkはその後、2020年に同じくブラックリストに追加され、米国のサプライヤーから切り離された。

中国の証券当局が掲示した通知によると、Megviiは米国の預託証券に似た、国内の投資家が海外の株式を保有できる中国預託証券(CDR)の発行を計画しているという。これは、北京に拠点を置くAIユニコーンが中国本土以外への上場を否定していないことを示唆している。

今週には、香港上場企業である世界トップPCメーカーのLenovo(レノボ)も、上海の科創板でCDRによる株式売却を計画していると発表した。

現在は申請前の段階でガイダンスを必要としており、Megviiの上場計画はまだ中国の規制当局の承認を必要としている。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:MegviiIPO顔認証

画像クレジット:Megvii

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(翻訳:Nakazato)

IPOを果たしたWishの投資家、ウルフソン氏は初日の株価を気にしない

Founders Fund(ファウンダーズファンド)がまだ非常に若いベンチャー企業だったとき、ジャスティン・フィッシュナー・ウルフソン氏を初代社長として迎え入れたことには、何の不思議もないだろう。スタンフォード大学から2つの学位を取得し、学校の学生団体に資産管理サービスを提供する組織のCEOとして2年間過ごしたフィッシュナー・ウルフソン氏は、ベンチャーファンドでためらうことなく自分の意見を述べた。実際、フィッシュナー・ウルフソン氏は、ファウンダーズファンドがSpaceX(スペースX)に対して当初計画していたよりもずっと大きな投資を行ったのは、同氏がスペースXへの投資を推し進めたからだと言っている。

フィッシュナー・ウルフソン氏は、Facebook(フェイスブック)の2012年のIPO以前にフェイスブックで働いていた友人のおかげでもっと良いチャンスを見つけるまでの3年間、ファウンダーズファンドに留まった。その友人たちは所有している株を清算する方法を探し始めていた。選択肢はあったが、同氏の中では適切な選択肢ではなかった。さらに同氏は、フェイスブックのような多くの企業がもっと長く未上場のままでいると予測していたと言っている。フィッシュナー・ウルフソン氏はファウンダーズファンドに別れを告げ、137 Ventures(137ベンチャーズ)を設立して、創業者、投資家、従業員から追加発行分の株式を取得した。

これは10年前のことで、同社は順調にいっているようだ。2019年、同社は4回目のファンドを2億5000万ドル(約259億円)の資本コミットメントでクローズし、運用資産は10億ドル(約1035億円)を超えた。1回の投資をおよそ10社から12社にしぼって行うという同社のアプローチも功を奏しているようだ。2020年9月末以降、同社の投資先企業3社(パランティア、エアビーアンドビー、ウィッシュ)が公開市場に参入した。

TechCrunchは、フィッシュナー・ウルフソン氏から長時間にわたって話を聞き、137ベンチャーズの事業の仕組みや、企業の選別方法から、従業員に既得ストックオプションを長く保有させている企業が及ぼす影響まで詳しく聞いた(「期限が切れようとしている膨大な量の株式を持っている人たちからの絶望的な電話がなくなりました。私は、このような電話がかかってこないことにすっかり満足しています。そういった状況にいる人たちにはとても申し訳なく思うからです」と同氏は語っている)。

私たちは、137ベンチャーズの投資先に含まれているスペースXの早期取引についても話した。

読者はこちらから会話全体を聞くことができるが、今回は、その会話からウィッシュを中心とした内容を抜粋して紹介する。ウィッシュはディスカウントeコマース企業で、2020年に行われたIPOは不発だったと言われている。

TechCrunch(以下TC):137ベンチャーズの投資先企業の2社(パランティアとエアビーアンドビー)は公開市場に参入し、非常にうまくいきました。これとは別に、ウィッシュは上場初日に株価が急落しました。ウィッシュのIPOをどう判断しますか。投資家はこの会社を誤解していると思いますか。

ジャスティン・フィッシュナー・ウルフソン氏(以下JFW):投資界が新規上場企業を理解するには長い時間がかかると思います。結局のところ、IPOは1日だけなんですよね。本当に重要なのは、その企業が今後10年、20年の間にどのように業績を上げていくかです。

私はMicrosoft(マイクロソフト)やAmazon(アマゾン)、もっと最近ではフェイスブックに注目しています。フェイスブックの株価は株式提供後の1、2週間で50%下落しましたが、素晴らしいビジネスを続けています。明日、明後日、市場がどうなるかはまったくわかりません。しかし10年にわたって拡大していく持続可能な優れたビジネスを構築できれば、最終的にうまくいきます。

ウィッシュはビジネスを拡大し、業績を向上させています。 共同創業者兼CEOのPeter Szulczewski(ピーター・シュルチェフスキー)氏は、私がこの業界で出会った中で最高の経営者の1人だと思います。そしてウィッシュはモバイルに関して多くのイノベーションを成し遂げてきました。ウィッシュのプラットフォームには多くの発見があります。店舗でのピックアップの仕組みは非常に革新的でした。ウィッシュは、何百万平方フィートもの倉庫を購入する必要がないアセットライトな方法を採用し、消費者が商品を迅速に入手できるように支援しています。

TC:米国とヨーロッパにある小規模店との間でウィッシュが開始したパートナーシップについてお話ししていましたね。このパートナーシップでは、収納スペースに余裕のある店がウィッシュの商品の引き渡し場所となり、購入者が商品を受け取りに来たときに、その店の客足が少し増えるということですね。これは、ウィッシュのかつての運営方法からの大きな転換です。以前のウィッシュはUSPS経由で中国から非常に安く商品を出荷していましたが、中国の経済状況は今は変わってきています。そうですよね。

JFW:その通りです。ウィッシュは中小企業の客足が伸びるように支援しています。客足は常に大切でしたが、現在の環境ではこうした種類の企業にとってさらに重要になるでしょう。またウィッシュはその地域の消費者が何を求めているかを把握しているため、企業がウィッシュのプラットフォーム全体に蓄積されたデータを活用し、より高い販売収益を上げられるように支援しています。また1か所に商品を出荷するため、非常に多くの人々からの注文を集約できます。これにより物流や出荷にかかる時間、コストが削減されます。消費者は、徒歩または車で5分から15分かけて店舗に出向き、ウィッシュから届いた商品を簡単にピックアップすることができます。こうした仕組みによりウィッシュは、時間は少々かかっても構わないので、商品をより良い価格で手に入れたいという価値観を持った消費者をターゲットにしています。

TC:ウィッシュは中国から安価な商品を手に入れられる場所として知られています。ウィッシュは、主力商品をより多く展開しようとしている今、市場での認識をどう変えていこうとしていますか。

JFW:ウィッシュはまだ市場全体に浸透していないと思います。ですから、その認識を変えるために、多くの取り組みが求められるかどうかはわかりません。率直に言って、ウィッシュのことを知らない人たちはまだたくさんいます。そして市場の進化を見ていると、小売業者がますます増え、小売業者と商品の両者の品質について顧客から返されるデータも増加していることがわかります。そうしたデータはすべて、ウィッシュの非常に優れたシステムで処理されるため、小売業者はそのデータを活用して商品の品揃えを改善し、顧客が求めるものを販売できるようになります。

TC:会社の収益が一定しないのは、サービスの品質にバラツキがあるからだと思いますか。ウィッシュは2018年におよそ57%の成長を遂げ、2019年には10%と成長が落ち込みましたが、今年の最初の9か月で再び成長が上向きました。このような成長の変動があったのはどうしてだと思いますか。

JFW:あらゆる企業は、こうした成長サイクルを経て、効率性に重点を置くようになります。成長だけを重視すると、成長を遂げた後に、それまでの取り組みを台無しにし、効率が低下してしまうという傾向があります。しかし、目を向ける必要があるのは、経営効率を上げる仕組みです。ですから基礎となる指標に注目すれば、2018年から今年にかけての、ウィッシュの成長サイクルにおいても経営効率が改善していることが確認できると思います。

TC:ウィッシュの株式は「急騰」しませんでした。一方、Snap(スナップ)の元幹部であるImran Khan(イムラン・カーン)氏がCNBCに語ったことによると、エアビーアンドビーやDoordash(ドアダッシュ)などが行った最近のIPO後の株価急騰は、株式を引き受けた銀行家の「言語道断な無能力さ」によるものです。これらの株が急騰したのは、銀行家の無能力さが原因だと思いますか、それとも単に市場の不安定性によるものだと思いますか。

JFW:この質問の答えを実際に知っている人はいないでしょう。このケースが示しているのは、結局のところ、初日の株価から有意義な情報は得られないということです。

TC:これらの企業への絶大な支持が流通市場の株価を押し上げているのでしょうか。どのように思いますか。

公開株価は確かに重要です。公開株価は最終的には非公開市場に影響しますし、その逆もまた然りです。非公開市場での評価と公開市場での評価が同時に大きく異なることはありません。ですから、市場が動けば、必ず投資尺度も変わります。ただ、こういったことは平均値で語られる場合がほとんどです。人々は1社または1つの尺度だけに注目しますが、必ずしもすべての企業について調べたうえでそうしているわけではありません。すべての企業に注目することは非常に難しいですからね。

しかし株価が法外な例は必ず存在します。同時に割安な例もあります。確かに投資家としては、より低価格の優良企業により多くの資金を投資したいでしょう。しかし焦点を当てるべきなのは常に優良企業です。長期的に事業を拡大しようとしている企業を見つけることができれば、投資尺度や評価額を気にし過ぎない限り、その企業は投資にうってつけの企業になるでしょう。

TC:現在どの企業を調査していますか。まだWebサイトに掲載されていない投資は何ですか。

JFW:Snapdocs(スナップドックス)です。同社は不動産業者が住宅ローンの処理やその他の文書業務をデジタル管理するのを支援する会社で、2020年10月に6000万ドル(約63億円)の資金調達をクローズしました

同社の創設者兼CEOであるAaron King(アーロン・キング)氏は、人々が本当に求めている製品を開発し、本当に素晴らしい仕事をしてきました。そして今が、同社の成長を大きく加速させる絶好のタイミングです。スナップドックスは2020年、優れた業績を上げました。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:インタビュー IPO

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(翻訳:Dragonfly)

マッチングアプリのBumbleがIPOに向けて動き出したとの報道

米国時間12月19日、人気のあるマッチングアプリスタートアップであるBumble(バンブル)が、非公開でIPOの書類を提出したとブルームバーグが報じた

バンブルがIPOを目指しているというニュースは驚きではない。TechCrunchは9月にこのニュースを取り上げ、ライバルのTinderが巨額の収益を上げていることに注目し、この2つのプレイヤーがビジネスを行うのに十分な規模の市場がありうることを示した。

バンブルが非公開で申請したということは、暗号資産のCoinbase(コインベース)と同じく、彼らもIPOの道を歩んでいることを示している。この2社がS-1申告書を公開した際には、市場は彼らの財務結果を目にすることになるだろう。

バンブルとCoinbaseは、Roblox、Affirm、Poshmarkに先んじてS-1申告書を公開する。今後数か月の間に、この5社はIPOを目指した手続きに進むことになるだろう。

GGVのハンス・タン氏(AffirmやAirbnbなどへの投資で有名な投資家)との最近のインタビューによると、2021年の第1四半期、第3四半期、第4四半期はIPOの活発な時期になる可能性がある。2020年の最終週にバンブルが参入することで、公開市場が史上最高値近くで取引される中、流動性を求める高価格の非公開企業にとって、年明けがいかに活発な年になるかが焦点となる。

TechCrunchは、今回の申請に関するコメントを求めてバンブルに連絡を取ったが、同社はコメントを拒否している。

ブルームバーグの報道によると、バンブルの評価額は60億ドルから80億ドルになる可能性があるという。これは事前の予想通りだ。この評価額に到達するために、市場がバンブルにどの程度の収益を求め、どの程度のペースで成長することを求めているのかは分からない。

しかし、同社は2020年初めに1億人のユーザーに到達したことを考えると、その評価額に達する可能性は大いにあるのだろう。

関連記事:恋人・友達探し、キャリア形成特化SNSのBumbleは「女性がいる限り存在する」とCEOが語る

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Bumble マッチングアプリ IPO

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(翻訳:TechCrunch)

2020年最後のIPO候補者事情

スタートアップとマーケットのニュースレター The Exchange(ザ・エクスチェンジ)へようこそ。ここではお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話をお伝えする。

みなさんこんにちは、お元気でお過ごしだろうか。これが2020年最後のThe Exchangeだ。来週ちょっとした休暇に入る前に、何本かコラムをお届けする予定ではあるが、ポッドキャストのEquityの方はこの忌々しい年が終わるまでエピソードの公開を続ける。

ということで前振りも終わったので、今週の2つのトピックをご紹介しよう。これから誰が株式を公開するのか、そしてスタートアップの中で特定の集団がどれほど早く成長しているのかという話題だ。

この2つのトピックは、特に関連性の高い話題ではないが、だらだらとIPOニュースばかり話して、私が話したかったことを台無しにするつもりはない。ということで、まずはSECの話題をやっつけて、それから楽しい話題に進むことにしよう。

実際のIPOはこれから

先週はIPO関連ニュースで溢れていた、Coinbase(コインベース、未訳記事)とUIPath(ユーアイパス)の非公開申請、Poshmark(ポッシュマーク、未訳記事)の公開申請、そしてBumble(バンブル、未訳記事)が非公開申請をしたのではと伝えられた。要するに、IPO控室の出席簿に新しく4社が加わったということだが、その出席簿の中には公開を遅らせている(未訳記事)Affirm(アファーム)とRoblox(ロブロックス)もすでに含まれている。

そして、Chime(チャイム)、Robinhood(ロビンフッド)、Expensify(エクスペンシファイ)やその他の企業も、すでに公開に踏み切るのに十分な規模となっている。2021年のIPOブランドは、今年にひけをとらない豊作となりそうだ。

公開の場に出ていこうとしているユニコーンたちのおかげで、公開市場は過去最高の高値を更新している。今後数カ月の間に大きな資金の流れを目にすることになるだろう。これは、ベンチャーキャピタルのDPI(実現倍率)とTVPI(投資倍率)のメトリクス(Allen Latta氏ブログ)の総計が、より高騰することを意味する。すなわち現在の利回りに飢えた世界で、アセットクラス全体が、これまで以上に魅力的なものになることを意味する。

物語は続く。

ソフトウェアビジネスは一体どのくらいの規模なのだろうか?

先週の初めにTechCrunchはRamp(ランプ)の新ラウンドを取り上げた(未訳記事)。2月にローンチ(未訳記事)したRampは、当時は一部の人たちからは、Brex(ブレックス)のクローンとして軽視されていた。RampとBrexは、Divvyや他のスタートアップたち(現在はさらに2つ以上)と競合していて、顧客企業がリアルカードとバーチャルカード、およびソフトウェアを組み合わせて支出を管理することを助けている。

Rampは、いくつかの新しいソフトウェア機能とともに、そのプレスリリースの一環として成長指標を発表した。似たような指標に関してDivvyに問い合わせたところ、同じく提供を受けることができた。Brexは数字の提供を拒否したが、まあそれは仕方がない。そうそう、Airbase(エアベース)やPlate IQ(プレートIQ)といったいくつかの競合企業に言及することを忘れていた。

2020年3月に拡大シリーズAで2350万ドル(約24億3000万円)を調達した(未訳記事)ときに取材したのでAirbaseは入れておくべきだった(新しい資本は3倍の評価額で調達されたので、率直にいってシリーズBと呼んでもいいだろう)。Airbaseが重要なのはRampやDivvy、Brexと競合しているからだけではなく、ライバルと同じような製品を提供している一方で、そのソフトウェアにも課金しているからである。

これは私の知る限りでは、多くの企業と契約し、取引から収益を上げることに重点を置いているDivvyやBrexやRampとは対照的なやり方だ(カードの処理に使われているソフトウェアに課金しないやり方は、セールスをやりやすくして、理論的には顧客の成長率を高く保つ方法だ)。

しかし、Airbaseは法人顧客にソフトウェアに課金しているにもかかわらず、ものすごい勢いで成長を続けている。AirbaseのCEOであるThejo Kote(テジョ・コーテ)氏からのメールによると、スタートアップの年間経常収益(ARR)は2020年に2.5倍に成長し、取り扱う支払い額は「年率換算で7倍に増加している」とのことである。

それらはとても素晴らしい数字だ。まだ取材したことはないがPlate IQも成功している企業のようだ。有名投資家のGarry Tan(ゲリー・タン)氏はTwitter(ツイッター)上で、同社は「年間取引で5億ドル(約516億6000万円)以上を達成し、利益を上げている」と述べている。対照的に、比較的若いRampは、管理している支払い額の合計が1億ドル(約103億3000万円)を超えたことを発表したばかりだ。

今回の一連のレポートからわかることは、特定の企業が勝つということではなく、特定の企業が明確なリーダーであるということでもない。それどころか、今週は1つのソフトウェアのニッチ分野を探ってみて、ソフトウェア市場がいかに大きいかを思い知らされた。

これらの競合するスタートアップ企業が、同時にこれほど急速に成長できる余地はどのように生み出されるのだろうか?その答えは、世界経済が巨大であり、ソフトウェアはいまもなお、その重要度をどんどん増している最中だということだ。私の予想では、ここでとりあげた5社のうち3社が上場できる規模まで生き残り、民間のライバルや公開されている巨人に買収されるのは2社にとどまると思っている。

どうなるかはやがてはっきりするだろう。なにはともあれ、VCのツイッターにはタレ込まないように。

マーケットノート

今回は、扱いやすくするために、残りの知るべきことを2つのグループに分けてみた。最初はラウンドに至らなかったもの。2つ目はラウンドに至ったものだ。では始めよう。

  • Slack(スラック)のベンチャーキャピタルファンドがさらに復活している(Slackリリース)。親会社が自己資金でプロジェクトを進めており、資本プールは倍増し5000万ドル(約51億7000万円)に拡大した。
  • StockX(ストックエックス)がIPO規模に到達した(未訳記事)。TechCrunchは先週、その資金調達ニュースを取り上げ(未訳記事)、その古着グッズのマーケットプレイスがIPO候補になっていると書いていた。ということで、内容を見てみた。予想通りに、IPO候補だった。
  • The Informationが今週、SoFi(ソーシャル・ファイナンス)が第3四半期に約2億ドル(約206億6000万円)の収益を上げ(The Information記事)、EBITDA(利払い前税引前償却前利益)がプラスになったと報じている。
  • Axios(アクシオス)がクリエーター経済の成長を報じている。びっくりしないでほしい。十分に真剣に取り組む価値がある分野なのだ、ぜひ取り組んでほしい。もしジョーク満載のポッドキャストがお好きなら、Equityでもこの状況についても話し合っている。
  • Crypto(クリプト)も再び話題にのぼるようになった。資産カテゴリの中での最近の価格上昇は誇大広告に基くものではない(未訳記事)。
  • Robinhood(ロビンフッド)には大変な1週間だった(未訳記事)。IPOを狙う同社の願いは現在の批判の中では実現しないだろう。最近の四半期で、何らかの法的問題がある中で公開を目指しているのは同社だけではない。だがともあれ、この株式取引会社が望んでいた週とはならなかった。そして そのライバル企業のPublic.com(パブリック・コム)はRobinhoodが罰金として支払わなければならなかった額と同じ位の資金を調達した(未訳記事)。やれやれ。
  • スタートアップの評価額は、少なくともシリコンバレーでは、COVID不況の対極にある(未訳記事)。

さて、大規模ラウンドたちを紹介しよう。

大規模で重要なもの

今回の「その他のことなど」コーナーはとてもその名前にはふさわしくない。ということで、今年最後の記事では名前を変えてみた。ご紹介するラウンドはいずれも大規模で重要なものだ。

  • ブラジルのCreditas(クレジタス)が2億5500万ドル(約263億4000万円)を調達した(未訳記事)。TechCrunchはこのラウンドを、ラテンアメリカに焦点を当てたフィンテックラウンドの大きなうねりの中に位置付けたい。
  • Microsoft(マイクロソフト)のご近所であるベルビューに拠点を置くZenoti(ゼノティ)は、1億6000万ドル(約165億3000万円)を調達しユニコーンとなった。何の会社かって? シアトル・タイムズ紙によれば、「スパやサロンを管理するためのクラウドコンピューティング・ソフトウェアを開発している」とのこと。笑っちゃいけない。産業特化型SaaSは巨大なのだ。理髪店業界に特化したSaaSプレーヤーのSquire(スクワイア)は先々週には2億5000万ドル(約258億3000万円)と評価されていた
  • さらにペイメントに焦点を当てたラウンドをとりあげよう。今回より多くの資金を調達したおかげでGoCardlessはほぼユニコーン(CNBC記事)に近付いた。
  • さらにフィンテックの話を続けよう。若い顧客向けに「すべてのファイナンスのニーズに対応するオールインワンプラットフォームを目指す」フランスのLydia(リディア)は、Tech.EUによれば、今週シリーズBを8600万ドルに拡大した(Accelがラウンドを主導した。Public最新のラウンドも同様に主導した同社にとっては多忙な1週間だった)。
  • TechCrunchは、ClickUp(クリックアップ)が10億ドル(約1033億円)の評価額の下に、1億ドル(約103億円)のラウンドをまとめたことを報じている(未訳記事)。同社は6月に3500万ドル(約36億2000万円)を調達した。なぜClickUpを気にするのかって?2020年にいくつかみられた2回ラウンドの一翼を担った企業だからだ。Ramp(ランプ)、Welcome(ウェルカム、未訳記事)、SkyFlow(スカイフロー)。リストはまだ続く。
  • インシュアテックの世界では、デジタル生命保険プロダクトのBestow(ベストウ)が7000万ドル(約72億3000万円)を調達した(fin Ledger記事)。インシュアテックは最近活況で、このスペースのプレイヤーであるAgentSync(エージェントシンク)は、今年だけで2回の調達ラウンドを実施している(未訳記事)。
  • 最後に、特にPayPalのための暗号化作業を請け負うPaxosが、巨大なシリーズCで1億4200万ドル(約146億7000万円)を調達した(Forbes記事)。暗号化ブームとしてこれを書き留めておこう。

さてそろそろJUUL(電子タバコ)の霧に巻かれつつ、Civ 6(シヴィライゼーション VI)の私の宿敵(Twitter投稿)に会いに行くことにしよう。ではごきげんよう。

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業務自動化のUiPathが新規上場のための書類を米証取委に非公開で提出
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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:新規上場 / IPO

画像クレジット:Nigel Sussman

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(翻訳:sako)

業務自動化のUiPathが新規上場のための書類を米証取委に非公開で提出

ものすごい勢いで成長しているロボットプロセスオートメーション(RPA)のスタートアップUiPath(ユーアイパス)が、今後予想されているIPOに先立ち、米国時間12月17日米国証券取引委員会(SEC)に非公開で書類を提出した。

同社は声明の中で「UiPath,Inc.は本日、米国証券取引委員会(SEC)にA種普通株式の公開に向けた登録届出書の草案を、非公開で提出したことを発表しました。A種普通株式の売出株式数および公開時の売出価格帯は未定です。UiPathは、SECによる審査プロセスの完了後、市場やその他の条件を勘案して、公募を開始する予定です」と述べている。

同社はこれまでAccel、CapitalG、Sequoiaなどの投資家から、12億ドル(約1240億円)以上の資金を調達している。これまで最大の調達額は70億ドル(約7230億円)という印象的な評価額で2019年4月にCoatueが主導した5億6800万ドル(約586億9000万円)だった(未訳記事)。2020年7月に評価額が102億ドル(約1兆500億円)に急騰した際には、Alkeon Capitalが主導して2億2500万ドル(約233億円)を調達した

7月の増資時には、CEOで共同創業者のDaniel Dines(ダニエル・ダインズ)氏は、IPOの考えを包み隠さず私に話した。

市場の状況を評価している最中ですし、漠然としたことはいいたくないのですが、この日に上場するという日はまだ選んでいません。市場の機が熟したときには自分たちの準備が整っているべきだというのが本心ですが、それがこれから12~18カ月後のことになっても不思議ではありません。

今回の動きは間違いなくその予想された期間の中に入っている。

RPAとは、企業が反復性の高いマニュアルタスクを取り込んで自動化する作業を支援する。たとえば請求書から数字を取り出して、スプレッドシートにその数字を記入し、買掛金としてメールを送信するタスクを、人間が触れることなく行うことができるようにするサービスだ。

企業が既存システム(レガシーシステム)を、崩したりリプレースしたりすることなく、自動化を活用することができるので、現在大きな魅力を持っている技術なのだ。同社は多くの資金を調達し、その評価額が急上昇してきたが、Airbnb、C3.ai、Snowflakeのような企業と同じように、好意的な市場の反応を得られるかどうかは興味深いところだ。

関連記事:評価額1.1兆円超に急増した業務自動化のUIPathがシリーズEで約241億円を追加調達

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(翻訳:sako)

AirbnbのIPO価格は67〜68ドルに、パンデミック初期の低迷から一転

WSJの報道によると、AirbnbのIPO価格は1株当たり67ドル(約6985円)から68ドル(約7089円)になる予想されている。同社は今週初め、IPO価格の目標(未訳記事)を44ドル(約4587円)から50ドル(約5213円)、そして56ドル(約5838円)から60ドル(約6255円)へと引き上げた。

まだ正式な価格は発表されていないが、AirbnbのIPO価格は上値予想と、直近のS-1 / A申請時の株式数6億244万8251株から計算すると、410億ドル(約4兆2743億円)の価値があるという。この数字は、既得権のある従業員オプションの行使により追加される可能性のある5000万株以上を含めると、大幅に上昇する。同社のIPO価格での完全希薄化後評価額は470億ドル(約4兆8993億円)になると計算されている。

Axiosによると、Airbnbは完全希薄化後の評価額で35億ドル(約3648億円)を調達したという。

会社をどのように評価するかにかかわらず、Airbnbの価値はパンデミック初期に底だった180億ドル(約1兆8763億円)から急上昇している。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が同社の事業に直撃した後、同社はスタッフをレイオフし外部資本を受け入れた。

第1四半期末から第2四半期初頭にAirbnbは復調(未訳記事)し、株式公開を申請し、これまでで最高の評価額を達成している。

同社の価格設定は、DoorDashとC 3.aiがそれぞれの値上げ幅を超え(未訳記事)、初日の取引で株価が急騰した後に行われた。したがって、いくらかの熱狂は予想外ではなかった。

Airbnbは米国時間12月10日の朝から取引を開始する。

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フードデリバリーのDoorDashとエンタープライズ向けAI開発のC3.aiがIPO直後に株価急騰

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter)

DoorDashとC3.aiがIPO直後に急騰

誰が何といおうとも、IPOは起きる。

DoorDashとC3.aiという、高い価値がつけられた米国テクノロジーユニコーン2社の株価は、米国時間12月9日の取引開始直後急騰した。

DoorDashの株価は約83%高の186.51ドル(約1万9477円)だ。昨夜、同社はIPO価格を1株当り102ドル(約1万652円)に設定(未訳記事)し、90~95ドル(約9399〜9921円)に引き上げたIPO価格範囲(未訳記事)をさらに上回った。

そしてこれを書いている現在、C3.aiの株価はさらに鋭く151%上がって105.58ドル(約1万1026円)になっている。同日設定されたIPO価格は1株当り42ドル(約4386円)だった。同社はIPO価格範囲を31~34ドル(約3237〜3551円)から36~38ドル(約3760〜3968円)へと引き上げた(未訳記事)。

どうやら大衆投資家は、選ばれたレイトステージ・ユニコーンの成長と利益の可能性に対する熱意が非上場市場の民間投資家よりも強いようだ。ちなみに今年DoorDashは評価額約160億ドルで4億ドルを調達している。

12月9日現在、「非希釈化」ベースで同社の時価総額は約590億ドル(約6兆1615億円)だ。この数値は、ストックオプションその他の報酬のかたちで生まれる可能性のある株を加えると急激に上昇する。

TechCrunchはDooDashのCFOおよびC3.aiのCEOと本日話す予定だ。

次に控える多くの会社にとって、この日の朗報は大歓迎だ。本日、この後価格を決めるAirbnbは1株当り株価を高く設定できるかもしれない。そしてAffirmとUpstartとRobloxとWishの最終IPO価格決定が近づく中、2社のデビュー直後の急騰は彼らにとっても後押しになるだろう。

なぜこの2社は急激に上昇しているのか? 読者と私の予想は同じだが、要因として考えられるのは大衆投資のブームと、もしかしたら発行済株数の少なさかもしれない。いずれにせよどちらの両社にとっても夢の1週間だ。まず、予想以上の資金を獲得した後、一般投資家から熱狂的な歓迎を受けたのだから。

この最新の評価額をどう理解すべきだろうか?何が起きているのかを完全に理解するには時期尚早だ。もっと多くの取引と多くの株が動きだせば2つの会社の安定した価値をはっきりと把握できるだろう。

それまでは、じっとしてYahoo Financeを見ることにしよう。

カテゴリー:その他
タグ:DoorDashC3.aiIPO

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook