クラウドワークスが習い事マッチング「サイタ」を譲受、シェアリングエコノミー事業拡大へ

クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」などを提供するクラウドワークスは12月19日、クックパッドの子会社であるコーチ・ユナイテッドより習い事マッチングサイト「サイタ」事業を譲受することを明らかにした。

譲受日は2018年1月1日で、譲受金額は非公開。ただしクラウドワークスの発表では「今後の当該譲受事業の営業利益にて2年程度で回収可能な額」だという。サイタ事業のみの経営状況については、平成28年12月期の売上高が2億3400万円、営業利益が5400万円。平成27年12月期の売上高が2億3000万円、営業利益が300万円。なおコーチ・ユナイテッドが展開するサイタカメラ事業やSnapmap事業は譲受の対象にならない。

コーチ・ユナイテッドは現在エンジェル投資家として活躍する有安伸宏氏が2007年に創業。2011年より習い事のプライベートコーチと、受講者をマッチングするサイタ(当初のサービス名はCyta.jp)の運営を始めた。2013年9月にはクックパッドの子会社となり、引き続きサービスを継続。2016年2月に有安氏が代表を退任し、福﨑康平氏が代表取締役社長に就任している。

一方のクラウドワークスではクラウドソーシングサービスに加えて、個人がスキルや知識を売買できるC2Cサービス「WoW!me(ワオミー)」などを運営。個人取引を中心とするシェアリングエコノミーサービスを重点領域とし、強化してきた。

今回年間レッスン数が5万件を超え約176種類のジャンルを扱うサイタを譲受することで、クラウドソーシングで培ってきたユーザーマッチングのノウハウを活かしながら、スキルシェアサービスの利用者を拡大。シェアリングエコノミー領域でさらなる事業拡大を目指す。

なおスキルシェア領域では同じくクラウドソーシング事業を展開するランサーズが「pook」を提供しているほか、メルカリも新サービス「teacha(ティーチャ)」を2018年春にローンチする予定だ。

エウレカ出身者が採用管理システム「HERP」を発表、エウレカ共同創業者の赤坂氏と西川氏も出資

エウレカ出身者が創業したHR系スタートアップのHERPは12月19日、自動連携型の採用管理システム「HERP」を発表し、同サービスのティザーサイトを公開した。

また、HERPはエウレカの共同創業者である赤坂優氏と西川順氏の2人から資金調達を行ったことも明らかになっている。調達金額は非公開だが、数千万円規模の調達とみられる。同社はHERPのベータ版を2018年1月中旬より提供開始する予定だ。

HERPは、複数の既存求人媒体と自動連動するAIリクルーティングプラットフォームだ。採用担当が行う各種作業をシステムを自動化することで、採用担当は戦略的な採用活動そのものに注力できるようになる。

HERPには3つの構成要素がある。自動応募管理の「HERP ATS」、チャットアプリケーションの「HERP CHAT」、求人票一括管理の「HERP JOBS」だ(CHATとJOBSは現在開発中)。

HERP ATSは、複数の求人媒体に送られた応募をHERP上に自動登録し、一括で管理できる機能だ。新着情報がくるとSlackに通知が送られ、そこから候補者とのチャット画面に遷移できるようになっている。

各求人媒体に応募した候補者とHERP上でコミュニケーションを取るための機能がCHATだ。タブで複数の求人媒体を開いてコミュニケーションを取る必要がなくなる。また、各媒体に提出した求人の中身を変更する場合でも、HERP JOBSを利用することで一括更新を行うことができる。

現状、求人媒体との連携はHERPが採用担当者のログイン情報を保持するというかたちで連携が行なわれているが、同社は今後、それらの媒体との正式連携を進めていく方針だという。また、「SmartHR」など他のHR系システムとの連携もすすめる。Smart HRとの連携では、入社予定の候補者データをSmartHRへ簡単に移行できるような仕組みを整える。

HERP創業者の庄田一郎氏は、リクルートで新卒エンジニア採用などを担当したあと、採用広報担当としてエウレカに入社。そのうちの半年間は「Couples」の事業担当者も務めている。これらの経験を重ねるなかで採用現場の不合理さを目の当たりにしたことが、後にHERPを創業するきっかけになったそうだ。

「エウレカ創業者の赤坂さん、西川さんには毎月食事に行くレベルでお世話になり、経営者としての学び、Web業界への学び、人としての学び、たくさんの学びを得た。最後に背中を押してくれたのも彼らでした。そういった背景もあり、早期に株主として入って頂いています」(庄田氏)

HERPは現在、ティザーサイトにてベータ版のユーザー登録を受付中だ。

30分で40着以上売れることも――ライブコマース「PinQul」がプライベートブランドを開始

2017年に入り日本国内でも一気に知名度が上がったライブコマース。「TechCrunch Tokyo 2017」でもライブコマースに関するセッションを行ったが、やはり注目度は高かった。

10月のサービスローンチ時に紹介した東大発ベンチャーFlattも、この領域で事業展開をするスタートアップのひとつ。同社は12月19日、運営するライブコマースアプリ「PinQul(ピンクル)」にて、プライベートブランド「P.Q. by PinQul」の展開を開始したことを明らかにした。

TechCrunch Japanでは「Live Shop!」を提供するCandeeがプライベートブランド「TRUNC 88(トランクエイティーエイト)」を始めるという発表をつい先日紹介したばかり。ただPinQulは一足早く11月中旬からプライベートブランドの提供を開始。12月中旬までの約1ヶ月で、すでに数百万円の売り上げになっているという。

約30分で1万1800円のセットアップを43着販売

PinQulはインフルエンサーがお気に入りのファッションアイテムを紹介するライブコマースアプリ。主に20~30分間のライブ配信を通じて、商品の紹介やユーザー間のコミュニケーション、商品の売買までを行う。誰でも商品を売れるオープンなプラットフォームではなく、PinQulの運営が配信者を選ぶ。

プライベートブランドの構想はサービスローンチ前に取材した時から話がでていたが、ODMメーカーと組んでインフルエンサーが商品をデザイン、販売できるというもの。ただし個々のインフルエンサーが独自のブランドを持つわけではなく、デザインしたアイテムを「P.Q.」ブランドの元で販売する形をとる。

11月中旬より提供を開始し、12月中旬時点で3人の配信者がアクセサリーやセットアップといったオリジナルアイテムを計6回販売。売り上げは数百万円になっている。FlattのCCOを務める豊田恵二郎氏によると高単価の商品も売れているそうで、実施した回数はまだ多くないものの手応えを感じているという。

「代表的な例としては1万1800円のセットアップが1度の配信で43着売れた。ライブコマースは従来のテキストや画像、動画と比べて伝えられる情報が多い。ユーザーとのコミュニケーションやユーザー間のコメントなどリッチな体験を通じて商品を販売することで、購入率や購入単価をあげられるという当初の仮説が検証できてきている」(豊田氏)

実際に販売されているオリジナルアイテム。左のグレーのセットアップが43着売れた製品だ

売れる人の特徴は「ライブ慣れ」したフォロワーがいること

PinQulの正式ローンチから約2ヶ月半。豊田氏に直近の進捗について聞いてみると、「プライトベートブランドで予想以上の売り上げを記録したことが1番大きな変化」としつつ、合わせて売れる人の傾向がわかってきたという。

「実際に2ヶ月やってみて、人による差がものすごく大きいとあらためて感じた。たとえばフォロワー数のような単純な指標はあてにならない。影響が大きいのはライブ慣れしているかどうかということ。具体的には(配信者の)フォロワーがライブ慣れしているかが、商品の売れ行きに影響する」(豊田氏)

ライブが盛り上がることでより商品が売れるようになり、そのためには視聴するフォロワーのコメントが不可欠。ところがライブ慣れしていないフォロワーばかりだと肝心のコメントがつかないため、配信を頑張ってもなかなか売れないということもあるそうだ。たとえばセットアップを43着販売したインフルエンサーは、普段からインスタグラムでライブ配信をするなど自身もフォロワーもある程度ライブ慣れしているという。

とはいえ回数を重ねるごとにライブ慣れして成果があがることも多く、上述したインフルエンサーも1回目よりも2回目の方が販売数が増えたそうだ。

フォロワーが強力な売り子になることも

また視聴者であるフォロワーが売り上げに影響する例として興味深かったのが、1回目の配信で商品を購入したユーザーが「コアなファン」となり、2回目の配信で売り子のような存在を果たしたという話だ。

豊田氏によると「前回の放送でフォロワーになった人が、2回目の放送で他のユーザーに対して自発的におすすめのサイズなどアドバイスのコメントを行っていた」という。リアルタイムでのユーザー間コミュニケーションによって商品の売れ行きが変わるというのも、ライブコマースならではだろう。

ライブコマース領域に特化してサービスを運営する中で、Flattにはこのような双方向コミュニケーションに関する知見も蓄積されてきた。直近では配信者やコンテンツの数を増やしながらも、知見を共有することで配信者の育成にも力を入れていく方針だという。

なお10月のサービスローンチ時に、同社がフリークアウト・ホールディングス代表取締役社長の佐藤裕介氏や、ペロリ元代表取締役の中川綾太郎氏を含む個人投資家から資金調達を実施したことにも触れた。個人名や金額などは非公開ではあるが、現在までで個人投資家の数もさらに増えているということだ。

Googleアシスタントの責任者が語る、会話型UIの未来とGoogleの次なるプラットフォーム戦略

TechCrunchの読者にはお馴染みだろうが、最近Amazon Echo、LINEのClova WAVE、Google Homeといったコネクテッド・スピーカーが注目を集めている。コネクテッド・スピーカーは自宅のIoT製品、利用しているアプリやサービスなどと連携することで、ユーザーの依頼に応えるデバイスだ。スマホで、いちいちアプリを起動してタップしなければならなかったところを、例えば「音楽をかけて」「電気をつけて」「ニュースを読んで」とデバイスに声をかけるだけで、できるようになるのが特徴だ。

Brad Abrams氏は、Google Homeでも使われている会話型インターフェース「Googleアシスタント」のプロダクトマネージャーを務める人物だ。Abrams氏は11月16日、17日に開催したTechCrunch Tokyo 2017に登壇し、Googleが見据える会話型インターフェイスの未来について語った。

GUIから会話型インターフェイスへ

この10年を振り返ると、ほぼ全ての業界がモバイルの影響を受けたが、「今は、AIファースト、会話型インターフェイス時代の始まりにいます」とAbrams氏は言う。この10年で、私たちはスマホを使って料理の宅配を頼んだり、タクシーを呼んだり、家族や友人と連絡を取ったりするようになった。次の10年では、人間にとってもっとも自然なコミュニケーション方法を使う「会話型インターフェイス」が台頭するという。

その背景には、技術の発展とプラットフォームの普及があるとAbrams氏は説明する。ここ数年で、機械学習と自然言語処理が大きく進化した。コンピューターは聞き取った言葉を正確にテキストに変換し、その言葉の意味を理解できるようになってきている。テキストを音声に戻して、ユーザーに伝える部分の技術も進歩した。

こうした技術を利用できるプラットフォームもすでに人々の生活に浸透している。自宅にいる時はパソコンやコネクテッド・スピーカーから、移動中はスマホから、いつでもどこでも利用できる状態だ。この先、ユーザーは、より質の高いカスタマーサポート、より自然な会話型インターフェイスを求めるようになるだろうとAbrams氏は話す。

会話型インターフェイスのGoogle アシスタントは、すでにAndroid、iOSのモバイル端末、テレビ、ウォッチ、パソコンなど、1億以上のデバイスで利用できる。日本でもAndroid端末で利用できる他、2017年10月に発売したGoogle Homeから使うことが可能だ。

人は人と接するのと同じように機械に話しかけるものなのかと、疑問に思うかもしれないが、Google アシスタントのログを分析すると、ユーザーのリクエストの約70%は自然な会話文なのだという。これはGoogleがこれまで提供してきた「Google検索」との使い方とは全く異なり、「ユーザーがGoogleに向かって自然に話し、自然な言葉での回答を期待するようになっていることを示しています」とAbrams氏は説明する。

Google Homeに来るリクエストの半数近くは音楽に関連するもの(音楽の再生、停止など)で、ニュースの視聴にも頻繁に利用されているそうだ。スマホからだと、待ち合わせている人に遅刻を伝えるメッセージ送信のリクエストが多いが、最近では、食料品の注文や商品の購入にも使われ始めていると言う。

アシスタントアプリのプラットフォーム

Googleは会話型コンピューティングの時代を見据え、Google検索、YouTubeに次ぐ新たなプラットフォームの確立を目指しているとAbrams氏は説明する。「Google検索はパブリッシャーと読者をつなぐプラットフォーム、YouTubeはクリエイターと視聴者をつなぐプラットフォームです。新たに立ち上げた『Actions on Google』はサービス事業者とカスタマーをつなぐプラットフォームです」。

会話型インターフェイスが普及すれば、消費者と企業との関わり方においても会話が重要になる。そこで、Googleは「Actions on Google」を通じ、企業や開発者が会話型インターフェイスのアプリの開発と登録ができるプラットフォームを提供するということだ。

Actions on Googleでは、アプリ開発を支援するDialogflowやActions SDKといったツールを提供していて、これまでGoogleが培ってきた音声認識、自然言語処理といったテクノロジーを活用できるとAbrams氏は説明する。さらに開発のハードルを一段と下げるためのアプリテンプレートなどもあるそうだ。Googleでは今後も開発者コミュニティーの育成に力を入れていくとAbrams氏は話す。

「10年前、モバイルに早くから対応していれば、今頃もっと発展できていたと思うかもしれません。会話型UIでも同じことが起きようとしています」とAbrams氏は最後に伝えた。

トヨタ、2025年までに全車種を電気化へ

自動車メーカーの電気化のトレンドをキャッチアップしてトヨタもついにロードマップの詳細を明らかにした。同社は電気自動車の市場ではプリウスでリードを保っているものの、これまで主としてハイブリッドと水素燃料電池車の開発に力を入れていた。今後は一段と電気モーターのみで走るEV車に力を入れていくここになる。

トヨタが明かした計画によれば、2020年以降バッテリーのみで駆動する車種10シリーズの発売を予定している。また2025年の終わりまでに、全車種をハイブリッド電気車ないし全電気車に置き換えるという。

こらの計画はトヨタが月曜に東京で行ったプレス会見で発表された。トヨタはこれより前、EV車の市場として中国を重視し、2020年までにトヨタのEV車を導入する計画を明かしていたがこれについても説明があった。トヨタは純粋は電気車を日本、インド、ヨーロッパ、アメリカでも販売する。

これを実現するために、トヨタはパナソニックと提携した。これには現在のリチウムイオン電池の改良と新しい次世代バッテリー・バッテリー・テクノロジーの開発が含まれる。EV車市場での主導権を握るため、2030年までに133億ドル〔1.5兆円〕がバッテリー開発計画に投じられる計画だ。

トヨタは2030年までにEV車(ハイブリッドを含む)の販売台数を550万台以上にするという数値目標を掲げた。

トヨタの発表はここ1、2年強まっていた自動車の電気化への流れを加速させる最新の例といえるだろう。自動車メーカーは脱内燃機関と車種の電気化に向けてアクセルを目一杯踏むと宣言している。トヨタには電気化のトレンドに「乗り遅れている」という批判が出ていたが、この発表はトヨタも他のライバル・メーカーと同様の道を進むと宣言したものだ。

画像: Tomohiro Ohsumi/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

葬儀やお墓など、“終活”に関する情報のポータルサイト「終活ねっと」が8300万円調達

葬儀やお墓、仏壇など人生のエンディングにまつわる情報ポータルサイト「終活ねっと 〜マガジン〜」などを運営する終活ねっとは12月19日、ジェネシア・ベンチャーズと花房弘也氏など数人のエンジェル投資家を引受先とした第三者割当増資を実施した。調達金額は8300万円だ。

同社はシードラウンドで1700万円を調達しており、今回を含む累計調達金額は1億円となる。

終活ねっとは、葬儀やお墓など人生のエンディングにまつわる様々な情報を配信するメディア「終活ねっと 〜マガジン〜(以下、終活ねっとマガジン)」、そして葬儀事業者などを集めた比較サイトの「終活ねっと」を運営するスタートアップ。同社代表取締役の岩崎翔太氏は、22歳の現役大学生だ。

現在、終活ねっとマガジンには約20人の編集チームがおり、同メディアには1日5〜6記事ほどが掲載されている。PV数などは開示していないが、終活ねっと代表取締役の岩崎翔太氏によれば「1日数万PVほど」だという。主な読者は40〜50代が中心だということで、両親の終活のために検索される例が多いそうだ。現在のところ、同メディアでの広告収入が同社の主な収入源となっている。

前述したとおり、終活ねっとは葬儀関連事業者を集めた比較サイト「終活ねっと」も運営している。ただ、正直こちらのサービスはまだ発展途上といったところだ。例えば東京都の事業者を検索すると864件の検索結果(記事執筆段階)が表示されるが、今の段階では、口コミや価格などの情報は掲載されていない。

もっとも、公平を期すために言えば、この業界は価格だとか口コミだとか、リアルなデータの開示に関してとてもセンシティブな業界であることは確かだ。上場企業の鎌倉新書が運営する「いい葬儀」というポータルサイトでも、都市部こそ価格の開示が進んでいる印象を受けるが、地方の葬儀社になればなるほど価格の欄には「ご相談ください」と書かれているだけだ。

今回のラウンドでリード投資家を務めたジェネシア・ベンチャーズの河野優人氏も、「ライフエンディング業界は高齢化の進む日本において、市場としての注目度はもちろん、人々にとっての重要度も高まっていると感じています。一方で、依然としてユーザーとサービス提供者間の情報の非対称性が大きく、多くの課題が残される領域だ」と語る。

鎌倉新書の「いい葬儀」で青森県の葬儀場を検索した例

岩崎氏は終活ねっとを起業した理由について、「『食べログ』や『ゼクシイ』などは社会インフラとして機能するサービスだと思う。そのようなサービスを作りたかった。結婚式をしない人は増えていますが、葬儀はそうではない。そこで、誰しもがいつかは直面する“終活に関する悩み”をすべて解決できるような情報サービスを作ろうと思いました」と話す。終活にまつわる悩みの解決が岩崎氏が目指す目標だ。

個人的には、このサービスの買い手と売り手との間に存在する“情報の非対称性”こそがこの業界の問題であるとするならば、それを解消することが本当の意味での社会的課題の解決につながるのではないかと思う。TechCrunch Japanの記者である僕は、それを可能にするのがスタートアップのディスラプト精神なのだと信じたい。

ランサーズがパーソル、新生銀行から10億円を資金調達——派遣や融資など、働き方を広げる新サービスも

クラウドソーシングサービスの「Lancers」などを提供するランサーズは12月18日、総額約10億円の資金調達と資本業務提携の締結を行ったことを発表した。第三者割当増資の引受先はパーソルホールディングス(旧テンプホールディングス)と新生銀行

米UpworkとFreelancers Unionの発表によれば、2017年現在の米国のフリーランス人口は5730万人で、2027年にはフリーランス人口が過半数を超えると予測されている。また、ランサーズの調査では、日本のフリーランス人口は1122万人。前年比で5%の増加を示しているという。

ランサーズでは、雇用・非雇用の境界が曖昧になり、両者の間を自由に行き来する時代が今後来る、として、ネットによる請負業務のマッチングを行うLancersから、スキルのシェアリングやより専門性の高いタレントの準委任契約などへサービスの範囲を広げている。今回のパーソルグループとの業務提携により、この動きをさらに推し進め、派遣契約や雇用契約の仕事を含めた多様な働き方の選択肢を提供していく、としている。

また、働き方の選択肢が広がることで、働き手に「信用力の担保」や「金銭面の安定」などの課題が生じるとして、新生銀行との業務提携により、まずは金融ニーズに応える融資サービスを開発・提供していくという。ランサーズにおける仕事の実績と評価データによるスコアリングを行い、与信情報を生成。設備投資や学習費用などの投資に対応した融資サービスを提供し、フリーランスの活動を費用面でサポートしていく考えだ。

さらに今後の展開についてランサーズでは、タレントスコアによる個人の評価経済を構築し、横断的な働き方の実現につなげていく、と述べている。タレントスコアを活用して”個人の信用力”の査定を行うことで、経済圏モデルの展開へ繋げ、自由な働き方が選択できる土壌を作る、としている。

メンバーの目標・評価を一元管理する「HRBrain」が総額2億円を調達

従業員の目標・評価管理サービス「HRBrain」を提供するHRBrainは本日、シリーズAラウンドとして総額2億円の資金調達を発表した。既存株主のジェネシア・ベンチャーズとBEENEXTの追加出資に加え、新たに本田圭佑氏が率いるKSK Angel Fund、みずほキャピタルらがラウンドが参加した。また、同時に社名をモスキートーンからHRBrainに変更したことを発表している。

HRBrainは、メンバーの目標・評価を一元管理するためのサービスだ。四半期や半期ごとに行うOKRやMBOでのメンバーの評価や面談内容をHRBrainに記録することで、会社は人事評価を分析し、従業員の評価設計や配置転換など人事戦略に役立てることができる。

HRBrain20171月に正式ローンチし、現在有料プランの導入企業数は150社を超えたとHRBrainのファウンダーで代表取締役を務める堀浩輝氏は話す。導入企業はインターネット企業をはじめ、家事代行、飲食、流通、人材派遣、アパレル、建設、医療・介護など多岐に渡る。企業のみならず、専門学校のような教育機関で生徒の目標管理を行うのにHRBrainを活用している例もあるという。

また、サービスの退会した企業はまだないそうだ。高い継続率を維持できている理由について堀氏は同社のサポート体制がうまく効いているためと説明する。「HRBrainではカスタマーサポートチームが、クライアント先でのサービスのセッティングから運用までサポートしています。導入してみたけど現場でHRBrainを使いこなせないという問題が少なく、それが高い継続率につながっていると思います」。

導入企業の反響としては、マネージャーもメンバーにおいても目標に対する意識が高まったと言う声を聞いているという。HRBrainを導入することで、メンバーはこれで自分の評価が決まることが分かり、しっかり目標を書くようになる。一方のマネージャー側もこれまでブラックボックスになりがちだったメンバーに対する評価とフィードバックがオープンになるので、しっかりとしたフィードバックを残すようになる。これにより組織内で好循環が生まれていると掘氏は話す。

今回の調達した資金は、目標・評価管理におけるサービスの機能拡充と評価結果などのデータを可視化するアナリティクス機能の開発に充てるという。また今後、HRBrainシリーズとして、社員のエンゲージメントなど人材のパフォーマンスと関連する新サービスを展開することも検討していると話す。

HRBrain20163月に創業。スタートアップアクセラレーター「TECH LAB PAAK」の第5期の参加企業だ。201711月開催のTechCrunch Tokyo 2017スタートアップバトルにも登壇している。

HRBrainのファウンダーで代表取締役を務める堀浩輝氏

収納サービス「サマリーポケット」運営が住友商事から5億円の出資、物流とマーケティング面でも協力

サマリーは、ユーザーの荷物を預かり、ユーザーは預けたものをアプリやブラウザで管理できる収納サービス「Sumally Pocket(サマリーポケット)」を提供している。本日、サマリーは住友商事より総額5億円の出資を受け、住友商事と共同でサマリーポケットを展開すると発表した。

サマリーポケットは、ユーザーが専用ボックスに預けたい洋服や本を詰めて送ると、品物を1点づつ撮影し、アプリから荷物を閲覧・管理できるようにする。荷物が必要になった時は、ユーザーはアプリから必要なものを指定して自宅に返送することができる。荷物の保管と取り出しだけでなく、預けている品物をサマリーから直接クリーニングに出したり、ヤフオクに出品したりするサービスも提供している。

サマリーポケットは2015年9月にリリースし、現在インストール数は約10万、預かっている箱数は数万単位になっているとサマリーの代表取締役を務める山本憲資氏は言う。「サービスを10倍、100倍にすることを目指すフェーズに来ています」と話し、今回の調達資金は、ユーザーの認知度を高め、サービス規模を拡大していくのに充てるという。

欲しいものや持っているものを登録できるSNS「Sumally (サマリー)」

さらに先の展開として山本氏は、「預かっているものをどう活用するかの部分をやっていく」と話す。サマリーは、収納サービスとは別に、個人が欲しいものや持っている「モノ」を登録してリスト化できるSNS「Sumally(サマリー)」を運営している。SNSのサマリーとサマリーポケットを連動させることで、預けたもののC2Cでの売買や貸し借りができるプラットフォームに進化させたい考えだ。

今回出資した住友商事は資金面のみならず、物流やマーケティング面でもサマリーと協力する。住友商事は不動産事業やジュピターショップチャンネルなどの通販事業で得た消費者との接点に加え、物流やマーケティングのノウハウも持っている。こうした資源をサマリーの事業展開に活かしていく予定だ。

レシピ動画の「クラシル」が1000万ダウンロード突破、サービス開始から2年弱

レシピ動画サービス「kurashiru(クラシル)」を運営するdelyは12月15日、同アプリのダウンロード数が12月で1000万ダウンロードを突破したことを明らかにした。

クラシルの事業開始は2016年の2月。その後同年5月にiOSアプリ、7月にAndroidアプリをリリースしている。1000万ダウンロードまではアプリリリースからだと約1年半、事業開始からでも2年弱というスピードだ。ちなみにフリマアプリの「メルカリ」は創業から2年で(サービスリリースからは約1年半)、ニュースアプリ「SmartNews」はリリースから2年弱で1000万ダウンロードを突破している。

delyはもともと2014年2月の創業後、当初はフードデリバリーサービスを展開していた。そこから2015年に入って女性向けのキュレーションメディア事業へのピボット。2016年初からは料理や美容などの動画コンテンツに取り組み始め、後に「料理レシピ動画」へ注力している。

2016年11月下旬から12月上旬にかけて、クラシルはApp Store ランキングのフード部門で約2週間連続で1位、総合ランキングでも5日連続5位を記録。2017年3月には無料カテゴリにて総合1位を獲得するなど注目を集めた。同じく2017年3月には30億円の資金調達も実施し、4月からは女優の木村文乃さんを起用したテレビCMを開始している。

dely代表取締役の堀江氏によると「デジタル広告への出稿やテレビCMなどに過去のベンチャーにないレベルで投資をしてきたこと」「分散型メディアとして始まっているのでSNSでのリーチ数が多く、合わせてオーガニックでもユーザーを獲得できたこと」が1000万ダウンロードの大きな要因だという。

初期は若いユーザーが多かったが、ダウンロード数が増えるに連れて幅広い世代に使われるようになるなどユーザー層についても変化があったそうだ。「記事と画像ベースに慣れているユーザーさんが、1年かけて動画慣れしてきたのではないかと考えている」(堀江氏)

9月には広告配信プラットフォームの提供を開始するなど新たな取り組みも始めているが、今後もまずは基礎的な部分に注力してサービスを磨いていく方針だ。

「まだまだ市場は立ち上がり始めたばかりであり、やれることは無限にあるが未だに基礎的なことが大切なフェーズ。しっかりと世界で一番料理の作り方が分かりやすいサービスを作ることにフォーカスしていきたい」(堀江氏)

サービス開始から約1年でエグジット、マーケ支援のベーシックがフォーム作成サービス「formrun」を買収

ライトウェイトなCRM機能が付いたフォーム作成サービス「formrun(フォームラン)」。同サービスを提供するmixtapeは12月15日、マーケティング支援ツールなどを展開するベーシックに全持分を譲渡し、同社の完全子会社となることを発表した。買収金額は非公開だ。formrunのサービスローンチは2016年12月。ローンチからエグジットまで、わずか1年という“スピード婚”となった。

写真左より、ベーシック代表取締役の秋山勝氏、mixtape共同創業者の堀辺憲氏

サービスローンチ当初からTechCrunch Japanでも紹介してきた「formrun」は、専門知識がなくてもWebサイト上に設置するフォームを作成できるサービスだ。フォーム作成サービスというとGoogle Formsが思い浮かぶ読者が多いと思うが、formrunの特徴は、ユーザーがフォームに入力した顧客情報を管理するCRMツールとしての側面も持つことだ。

Trelloを彷彿とさせる“かんばん方式”が特徴のCRM機能では、「対応中」や「至急対応」などのステータスごとに顧客を管理できるだけでなく、社員が入力したメモやメール履歴などを会社全体で共有することができる。formrunは、例えばSalesforce.comのようなリッチなツールまでは必要ないが、顧客情報は活用したいという中小事業者を中心に受け入れられ、リリースから1年で2700社の企業ユーザーを獲得した。

formrunのCRM機能

使いやすく、拡張性も高いツールを

一方、mixtapeを買収したベーシックは、オールインワン型マーケティングツールの「ferret One(フェレットワン)」などを提供しているほか、マーケティングメディアの「ferret(フェレット)」なども運営している。今回の買収に至った経緯について、ベーシック代表取締役の秋山勝氏は以下のように語る:

「ferret Oneはオールインワン型のマーケティングツールだが、顧客獲得とCRMの分野については十分な機能を提供できていなかった。じつは、UI/UXが優れているformrunを目標に、ferret Oneのフォーム作成機能とCRM機能を『formrun化しよう』と社内で話していたこともある。だから、mixtapeから事業売却の話を頂いたとき、買収の判断は即決だった。両社がともに共通の世界観を持っていたことも大きい」(秋山氏)

では、その共通の世界観とは何か。秋山氏によれば、ferret Oneが目指すのは巨大なマーケティングプラットフォーマーと中小企業の間にあるギャップを埋めることだという。「マーケティングツールを利用している中小企業が抱える問題には大きく分けて2つある。ツールを使いこなせる人材が不足しているという“人の問題”と、各ツールがシームレスにつながっていないという“環境の問題”だ」(秋山氏)

だからこそベーシックは、それぞれのツール群はライトウェイトで扱いやすいように工夫しながらも、それぞれをシームレスにつなぐことができ、必要に応じて機能を拡張できるferret Oneを開発した。この「ライトウェイトで扱いやすいツールを提供する」というのが、ベーシックとferretがともに目指すゴールだった。

一風変わったスタートアップ

いま思えば、mixtapeの起業スタイルそれ自体も“ライトウェイト”なものだった。mixtapeは共同創業者の多田雅斗氏と堀辺憲氏の2人が2016年1月に創業した。formrunはこの2人にエンジニアを加えた3人で運営している。そして何より驚きなのは、創業から現在まで、メンバー全員がパラレルキャリアであり、企業運営はすべて自己資金だけで賄ってきたという点だ。TechCrunch Japanではシリコンバレー型のVCモデルを取り上げることが多いから、ある意味mixtapeは僕にとっても異色の存在だった。

今回の買収について、堀辺氏はこう振り返る:

「サービスが順調に成長していくにつれ、私たち3人だけでは成長に追いつけなくなり、mixtapeの今後について選択をしなければならなくなった。外部調達をして自分たちで大きくしていくか、それとも事業を売却して他社の傘下で事業を加速していくのか。最終的に、共通の目標をもつベーシックの傘下に入る方がビジョンへの到達スピードが早くなると考え、事業を売却することにした」(堀辺氏)

と、ここまでがmixtapeの創業からエグジットまでの一風変わったストーリーだ。

個人的にはこの起業のカタチがあってもいいと思っている。もちろん、すべてを投げうってイチから事業を立ち上げ、カップラーメンをすすりながらも成功を収めるというスタートアップ物語はカッコいい。その方がリターンも大きいし、社会に与えるインパクトも大きいだろう。普段TechCrunch Japanが追いかけているのも、このタイプのストーリーである。

でも、mixtapeが2700社から必要とされるサービスを生み出したことは紛れもない事実だ。もしかするとmixtapeが事業譲渡によって得た金額は少ないのかもしれない。しかし、「起業のアイデアはあるけど、踏み出せない」という読者がもしいれば、mixtapeのストーリーを参考にしてみてもいいだろう。

キュレーションアプリ提供のグノシー、東証一部へ市場変更を発表

ニュースのキュレーションサービスを提供するGunosy(グノシー)は、12月21日付けで東証一部へ市場変更することを発表した。

Gunosyは2012年11月設立。キュレーションサービス「グノシー」や自動で選定したニュースや情報を届ける「ニュースパス」などのサービスを展開している。マザーズに上場したのは創業からおよそ2年半の2015年4月だ。

Gunosyはその後も順調にユーザーを獲得し、収益の柱となる広告事業も伸びているようだ。2017年7月時点で「グノシー」のダウンロードは2000万を超え、2017年10月には「ニュースパス」も400万ダウンロードを超えた。

広告事業では、読者の興味関心に合わせたターケティング型広告「Gunosy Ads」と外部のパートナーメディアへ広告配信を行うアドネットワーク「Gunosy Ad Network」を提供している。2018年5月期の第1四半期説明資料によると、2018年5月期の売上高は24.1億円(前四半期比14%増)で、8四半期連続の増収となる。

ミクシィがヘルスケア事業を立ち上げ、ノウハウ生かして健康寿命の延伸へ

ミクシィは12月14日、ヘルスケア事業に参入することを明かした。2017年5月設立の子会社スマートヘルスを通じて、これまで自社サービスで培ってきたコミュニケーション設計のノウハウを生かした新しいヘルスケア業態の展開を目指す。

同社が主に取り組むのは健康寿命の延伸に関する事業だ。現在日本では社会保障給付費が増大し、国の財政を圧迫していることが課題となっている。厚生労働省が平成24年に公表した「社会保障に係る費用の将来推計について」では2015年度に約120兆円だった社会保障給付費が、2025年には約150兆円に増えるとされている。

スマートヘルスでは平均寿命と健康寿命のギャップに着目。「エビデンスに基づく最適な運動プログラム」と培ってきた「コミュニケーション設計ノウハウ」により、健康寿命を伸ばし社会保障給付費の削減を目指すという。

予防理学療法と栄養学に基づき身体の状態を評価した上で、利用者の体の状態に合う最適な運動プログラムを提供。そこに複数の利用者でチャレンジする目標の設定、利用者間コミュニティの形成などを通じて運動を継続しやすい環境を構築する。

とはいえ、現時点で具体的なサービスについては何も公表されていない。今後は研究機関との連携も視野に入れながら、サービスを提供する実店舗のオープンやヘルスケアアプリの提供、サービス利用者の健康情報を蓄積したデータベースの構築などに取り組む。

 

楽天が携帯キャリア事業参入を正式表明、2019年中のサービス開始目指す

楽天は12月14日、携帯キャリア事業へ新規参入を目指すことを表明した。同社では第4世代携帯電話システム(4G)用周波数について、総務省に割当の申請を行うことを決議。認められた場合には新会社を設立し、2019年中のサービス開始を計画する。

楽天ではこれまでコマースを始め旅行予約サイトやクレジットカード、オンライン銀行、決済サービスなど様々な事業を展開してきた。世界で12億人を超える会員基盤を持ち、日本国内においても楽天ID数は約1億、楽天スーパーポイントの累計発行額も1兆円を超える。

近年は楽天市場でモバイル端末経由の取扱高が6割を超えるなど、各サービスにおいてユーザーがモバイルシフトが進んでいる。同社でも2014年10月よりMVNO事業「楽天モバイル」を展開。2016年11月にはプラスワン・マーケティングからMVNO事業を買収するなど力を入れており、現在は140万人のユーザーを抱える。

今後は総務省が公表している予定に従って申請を進める方針で、承認された場合サービスの開始は2019年中を予定している。携帯電話基地局の設置工事など設備投資のために2019年に約2000億円、2025年に最大6000億円の資金調達を計画。1500万人以上のユーザー獲得を目指すという。

LINE、メッセージの「送信取消」機能を提供開始。24時間以内なら未読・既読問わず取り消し可能に

eng-logo-2015LINEが11月に発表していたメッセージの「送信取消機能」を公開しました。送信から24時間以内であれば、1対1でのトーク、複数名でのグループトークに関わらずメッセージを取り消すことが可能です。

取り消し方法は、誤送信したメッセージを長押しし、送信取消を選ぶだけ。未読、既読に関わらず送信者と送信相手、両方の端末から対象メッセージが削除されます。取消後には、その旨を示すメッセージがトークルーム上に表示されます。

対象となるのは24時間以内に送信したテキストとスタンプ、画像、動画、ボイスメッセージ、URL、LINE MUSIC、連絡先、位置情報、ファイル、通話履歴。

スマートフォン版、デスクトップ版の最新バージョンで利用可能ですが、Chrome版では相手が取り消したメッセージは反映されるものの、送信メッセージの取り消しには非対応とのことです。

またスマートフォンの場合、スマートフォン本体がすでに出してしまった通知表示は取り消せない点には注意が必要です。

LINEはリアルで即時性が高い日常のカジュアルなコミュニケーションを提供したいとの思いから、これまで送信取消機能を取り入れていなかったとのことですが、ユーザービリティの向上およびコミュニケーションの選択肢を拡大させるために送信取消機能の提供を決めたとしています。

なお、LINEは送信取消機能の発表とともにユーザーの誤爆体験を募集する『#LINE誤爆 Black FRIDAY』 キャンペーンを実施しており、この結果もこのほど発表されています。送信取消機能の実装で、このような悲劇(喜劇?)はもう起きなくなるかもしれませんが、そもそも取消機能を使わなくて済むよう、普段から気を引き締めておきたいものです。

Engadget 日本版からの転載。

シリーズAで国内過去最高の101.5億円を資金調達したispaceは月のインフラ構築に挑む

民間企業が月面着陸を競うGoogle Lunar XPrizeのファイナリストに選ばれ、日本で唯一残っているチームHAKUTO。世界初の民間月面探査を目指す、そのHAKUTOを運営するスタートアップispaceは12月13日、総額101.5億円という巨額の資金調達をシリーズAラウンドで実施すると発表した。第三者割当増資の引受先は産業革新機構、日本政策投資銀行、東京放送ホールディングス(TBS)など(記事末尾に出資社リストを記載した)。シリーズAとしては日本では過去最高額、また宇宙分野のシリーズAとしても世界過去最高額の資金調達となる。

ispaceは2010年9月設立。2040年を目標に、月の水資源を軸として宇宙インフラを構築し、地球と月をひとつのエコシステムとして持続的な世界を実現することを目指す、宇宙スタートアップだ。これまでに、エンジェル投資家や、独立系VCのインキュベイトファンドが運営する3号ファンドからも資金調達を行っている。

今回の資金調達でispaceは、独自開発の月着陸船による「月周回」と「月面着陸」の2つの月探査ミッションをスタートさせるという。Mission 0と位置付けられたGoogle Lunar XPrizeへの参加に続き、Mission 1として2019年末ごろに月周回軌道への月着陸船投入と軌道上からの月探査を、Mission 2として2020年末ごろに月面へ軟着陸して探査ローバーによる月面探査を行う予定だ。

月探査 Mission 1「月周回」イメージ

月探査 Mission 2「月面着陸」イメージ

ispaceでは2つのミッションを、月のインフラ構築に必要となる物資の月輸送と、資源を含めた月面探査の技術を確立する出発点としている。これら日本初の民間月面探査プロジェクトにより、物資の月輸送と、資源を含めた月面探査の技術を確立するための検証を実施。今後の月面データ提供サービスや輸送サービス構築を進めていくもくろみだ。

2009年、NASAの研究により水の存在が示唆されてから、月面の水資源には世界的に注目が集まっている。水資源は、生命維持に欠かせない要素であるほか、水素と酸素に分解することで燃料化が可能。月面での人間の生活に加え、月をベースとした宇宙開発も視野に入ることから、ispaceでは「月の水資源こそが宇宙へのヒト・モノの輸送の在り方を変え、人類が宇宙で生活する未来を速める重要な鍵」ととらえている。

ispaceのウェブサイトによれば、この後に続くMission 3以降では月の極域の水探査を中心とした、月の情報サービス/月輸送サービスプラットフォームの構築、Mission 10以降では安定的な月面開発を実現する産業プラットフォームの構築を目指しているという。

ispace代表取締役の袴田武史氏は、今回の資金調達について、こうコメントしている。
「今回の資金調達によりランダー開発に着手することで柔軟で定期的な月面輸送システムの構築し、小型宇宙ロボット技術の強みを活かし、月面での探査および開発をより一層促進していきます。日本のみならず、ルクセンブルクと米国の拠点を通して積極的にグローバルでの宇宙資源開発を先導していきます。さらに、今回投資していただいた機関投資家や事業会社の皆様の知識とネットワークを活用して、月面資源を軸にした民間の宇宙ビジネスシステムを構築し、その先にある人類が宇宙で生活できる持続的な人類社会の創造を目指します。」

[ispace シリーズAラウンド出資社一覧]
産業革新機構
日本政策投資銀行
東京放送ホールディングス
コニカミノルタ
清水建設
スズキ
電通
リアルテックファンド
KDDI
日本航空
凸版印刷
スパークス・グループ ※12月末時点の追加投資に参加

140文字で伝えきれない時はスレッドにできる、Twitterがツイートをつなぐ新機能を実装

ツイッターは140文字で「つぶやき」を投稿するSNSだが、140文字で思いの丈を伝えきれないこともあるだろう。そんな時、ユーザーはツイートにリツイートする形で続きを書くという方法を編み出し、ツイッターに投稿する工夫していた。ツイッターは今回、このようなユーザーの使い方に合わせた「スレッド機能」を追加する。

スレッドの作り方はこうだ。ツイートの作成画面で「+」ボタンを押すと、次のツイートの作成画面がでてくる。ツイートが完成したら「すべてツイート」のボタンを押すと投稿が完了する。

スレッド内の全てのツイートが見たい時は、「このスレッドを表示」をクリックすると表示される。また、自分が作成したスレッドの一番最後のツイートには「別のツイートを追加」ボタンがあり、このボタンからスレッドに新たなツイートを追加することが可能だ。

Twitterはブログで「このスレッド機能は数週間のうちにiOS、Android、およびTwitter.comへの提供が始まります。アプリの更新をお忘れなく」としている。

私の端末にはアプリのアップデートはまだ来ていなかったが、ウェブ版ではすでにスレッド機能を利用できるようになっていた。

どこよりも使いやすいEC運営支援ツールを――福岡発のPearが約3500万円調達

EC事業者向けの支援ツールを開発するPearは12月13日、BEENEXT大和企業投資F Venturesの3社を引受先とした第三者割当増資を実施し、総額約3500万円を調達したと発表した。今回の資金調達はPearにとってシードラウンドの位置づけで、同社初の外部調達となる。

写真中央がPear代表取締役の島井尚輝氏

福岡発のスタートアップであるPearは、複数のプラットフォームにまたがるEC運営の一括管理ツール「OMNI-CORE(以下、オムニコア)」を開発するスタートアップだ。

Pear代表取締役の島井尚輝氏が「使いやすさを重視した」と話すオムニコアでは、ITリテラシーが低いユーザーでも簡単に使いこなせるようにUI/UXを最適化している。同ツールを導入すれば、楽天市場やAmazonなど複数のECプラットフォーム間での在庫管理や注文管理、出品管理などを一括して行うことができる。

また、このような“管理”の機能のほか、簡単な質問に答えていくだけで自身のEC店舗が抱える問題点を明らかにし、それに対する解決策をタスクとして提案してくれるなど、“ECコンサルティング”の機能も備えていることが特徴的だ。

「EC運営を始めたばかりの人は、そもそもツールの使い方が分からなかったり、何から手をつけていいか分からなかったりするケースが多い。高度なコンサルティングを提供する事業者はいるが、このような初歩的な問題はシステムによるコンサルティングで解決することができる」(島井氏)

現在はベータ版を公開中のオムニコアだが、正式リリース後にはフリーミアムモデルでマネタイズを開始する。月商にして30万円以下のユーザーには前述したコンサルティング機能を無料で提供し、月商が増えるにつれて必要になる機能を有料で開放していく仕組みだ。高機能版の料金は月額2〜5万円程度になるようだ。

EC運営の一元管理ツールは、Hameeの「ネクストエンジン」やハングリードの「item Robot(アイテムロボ)」などが先行する分野だ。オムニコアはそれらの競合ツールに対し、独自のコンサルティング機能や使いやすさに注力することで差別化を図るという。

学生時代からWebサービス開発

Pearは2017年8月の創業。代表取締役の島井氏は学生時代から複数のWebサービス開発を手がけ、学園祭情報サービスの「学フェス」などをリリースした。これは、学園祭の実行委員がイベントをPRする場であり、学園祭を訪れたユーザーは、学フェスを使って学園祭内の催しモノや出店の場所を確認できるというサービスだ。登録ユーザーも2万人を超していた。

ただ、島井氏がこのサービスを持ち込んで東京のVCの前でプレゼンしたところ、「こんなんじゃ儲からない」と一蹴されてしまったそうだ。マネタイズする相手が学生だという点が気に入らなかったらしい。

学フェスでは出資を断られてしまったが、次にEC分野へと焦点を定めた島井氏は大学卒業後にオムニコアを自らの手で開発。チームメンバーも創業4ヶ月にして20人にまで拡大し、シードラウンドでの出資を勝ち取った。島井氏にとってある意味ではリベンジとも言えるオムニコアの正式リリースは、2018年春を予定している。

Kaizen Platformが5.3億円調達し、動画広告の改善サービス強化へ

WebサイトのUI/UX改善サービスなどを提供するKaizen Platformは12月13日、SBIインベストメント電通イノベーションパートナーズみずほキャピタルYJキャピタルを引受先とした第三者割当増資を実施し、総額5億3000万円を調達した。これにより、同社の累計調達金額は26.3億円となる。

Kaizen Platform代表取締役の須藤憲司氏

Kaizen Platformは、Webページのデザインを改善することで各種KPIを上げていくというサービスを提供している。一般のA/Bテストサービスでは、コンサルやSlerなどが専用のツールを利用してUI/UXの改善を目指す一方で、Kaizen Platformでは、「グロースハッカー」と呼ばれるスキルを持った個人から改善案を集め、その効果を比較しながら継続的に改善していくという、クラウドソーシングに近いモデルを採用している。

現在、グロースハッカーの人数は5000人以上。Kaizen Platformを利用する登録企業ユーザー数は300社を超える。前回の資金調達の際にTechCrunch Japanが取材した2016年2月時点では企業ユーザー数が170社ということだったから、Kaizen Platformはこれまでも順調に成長を重ねてきたようだ。

Kaizen Platformが今回の資金調達を実施した目的は、動画広告の改善サービス事業を強化することだ。同社は2017年6月、WebサイトのUI/UX改善のノウハウを動画広告に応用した「Kaizen Ad」を発表している。これは、従来のKaizen Platformと同くグロースハッカーたちから集めた改善案によって動画広告の配信から効果検証までPDCAを回していくというサービスだ。

Kaizen Adによる動画広告の改善例。写真はバンダイナムコのゲームタイトル「テイルズ オブ ザ レイズ」の北米向け広告

Kaizen Platformは電通デジタルと業務提携し、このKaizen Adを利用したソリューションパッケージ「P動CA」を提供していたが、これが一定の成果を得たことから資本業務提携を結び、動画広告を改善するクリエイティブ人材のマーケットプレイス事業を加速していくという。それにしても、「P動CA」というネーミングセンスは素晴らしい。一度聞いたら忘れられない。

Kaizen Platform代表取締役の須藤憲司氏は今後の展望について以下のように語る:

「クリエイティブ人材のパフォーマンスや実績を可視化し、付加価値を高めるクリエイティブ人材が健全に評価されるマーケットプレイスを広げていくことで、21世紀の新しい働き方と雇用の創出という当社のビジョンの実現に向けて邁進していく」。

メルカリがC2Cのスキルシェアサービス「teacha」を発表、2018年春にリリース

フリマアプリ「メルカリ」を提供するメルカリは12月8日、語学学習や習い事など個人が持つスキルや知識をシェアするサービス「teacha(ティーチャ)」を発表した。サービスの運営はグループ会社のソウゾウが行い、リリースは2018年春の予定。

また本日からティザーサイトを公開していて、ユーザーの事前登録受付とパートナー企業、地方自治体の募集を始めている。

teachaは語学学習、習い事などのスキルや、個人が持っている知識を教えたり、学んだりできるサービスだ。語学やプログラミング、資格取得などに加えて、料理やスポーツ、ハンドメイドといった趣味の領域も対象とし、1時間単位でスキルのシェアが可能。従来の習い事や講座に比べて気軽にチャレンジできるのが特徴だ。

メルカリでは各フリマアプリを通じて簡単にモノを売買できる世界の実現に向けて取り組んできた。teachaを通じてモノと同じく知識やスキルというサービスにおいても気軽にシェアできる「スキルシェア」領域の促進を目指す。

teachaに近しいサービスとしてはコーチ・ユナイテッドの「サイタ」やストリートアカデミーの「ストアカ」、グローバルウェイの「TimeTicket(タイムチケット)」などがある。また語学学習領域で外国人講師と学びたい人をマッチングする「フラミンゴ」はメルカリファンドの投資先だ。