最大荷重約200kg、小型航空機のようなPykanoドローンで大農場の農薬散布を自動化する

現代の農業は、農地が圧倒的に広大なので、噴霧などの作業も非常に難しい。そこでPykaは、もっぱら人力に頼っていたその仕事を翼のある自動運転の電動航空機にやらせることにし、しかも規制当局からの認可まで取得した。

DroneSeedで見たように、噴霧などの作業を行うための飛行はとても危険だ。地表すれすれを飛ばなければならないし、しかも地面以外の障害物もある。しかしそれは、自動化に適した作業でもある。いくつかの飛行パターンを、何度も何度も繰り返す作業だからだ。

Pykaのやり方は、ドローンでよく行われている方法とは異なっている。ドローンを用いる場合、その方法は複数の回転翼による操縦のしやすさと離着陸の容易さを活かす傾向にあるが、しかしながら、ドローンは大農場に散布に必要な大量の農薬などを搭載できない(残念ながら)。

Pykaが作った航空機は、従来からある薬剤散布用の単座機に似ているが、コックピットがない。3枚のプロペラを持ち、内部スペースのほとんどは、荷物とバッテリーを搭載するために使われている(最大荷重約200kg)。もちろん自動飛行のために、一連のセンサーシステムとコンピューターも搭載している。

Pykaの平地離陸距離はわずか50メートルなので、わざわざ滑走路を作ったり、遠方から目的の農地までの長距離をフライトしてエネルギーを浪費することもない。面倒といえばバッテリーの交換だが、それは地上のクルーがやってくれる。地上クルーはフライトコースの決定も行うが、実際の飛行経路選択と一瞬の判断は搭載されたコンピューターが担当する。

人間の入力がなくても障害物を見分ける航跡の例

このEgretと呼ばれる飛行機の噴霧能力は、1時間約100エーカーで、ヘリコプターとほぼ同じだが、自動運転航空機なのでその精度は高く、より低空をフライトできる。難しい操縦を人間が行わないため、その点でも安全だ。

さらに重要なのは、国のお墨付きがあるということだろう。Pykaの主張によると、同社は世界で初めて、電動の大型自動操縦航空機の商用化を認められた企業だ。小型ドローンはあちこちで承認されているが、EgretはPiper Cubといった従来の小型航空機のサイズに近い。

ただし航空機だけに関してはそれで良いが、大規模展開については他の問題もある。航空管制や他の航空機との通信、それに関連した機体の認可条件、センサーの能力と回避能力の長距離化などがそれになる。しかしPykaのEgretは、これまでに試験農場で何千マイルもフライトしているため、特別に認可を取得することができた。なお、Pykaは同社のビジネスモデルや顧客、売り上げに関しては口をつぐんでいる。

同社の創業チーム、Michael Norcia(マイケル・ノルチャ)氏、Chuma Ogunwole(チュマ・オグンウォル)氏、Kyle Moore(カイル・ムーア)氏、そしてNathan White(ネイサン・ホワイト)氏らは、いずれも関連分野のさまざまな有名企業の出身。それらはCora、Kittyhawk、Joby Aviation、Google X、Waymo、Morgan Stanley(の元COO)などだ。

同社の1100万ドル(約12億円)のシードラウンドをPrime Movers Labがリードし、これにY Combinator、Greycroft、Data Collective、そしてBold Capital Partnersが参加した。

画像クレジット: Pyka

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土壌中のマイクロバイオームを分析して農家の生産性向上を目指すBiome Makersが4億円超を調達

農業は持続可能性の大きな問題に直面している。世界の人口は増え続けていて食糧の需要も増加しているが、それに伴い森林破壊や農薬、それに温室効果ガスの原因とされる一部の肥料の使用が増える危険性もある。農耕は炭素隔離の源でもあるが、でもどうやってそれを保護するのか?また、過剰耕作によって農地の質が劣化している。そして、これだけの問題を抱えながらも農業は他の産業に比べて、長年技術開発が遅れている。

農業と技術といえば、農作物に今起きていることを正しく理解するためには「マイクロバイオーム」(Microbiome)に注目することも重要だ。マイクロバイオームは、一定の微生物相(特定の環境に生息する微生物の総称)の中にある遺伝物質の全体のことだ。例えば、ここでは農耕という圏域内にある微生物の全集合が問題になる。通常マイクロバイオームといえば人間の腸内細菌を指すことが多いが、ここでは農場という圏域内の細菌だ。

土壌の中には何百万種類もの微生物がいて、そのどれもが作物の健康に対し重要な役割を演じている。だから、土壌中の微生物は重要な「バイオマーカー」(生体指標)だと言われる。したがって土壌中の微生物を理解することから、重要なアクションに結びつくデータが得られる。

米国時間8月2日、土壌中の生態系を高度なデータサイエンスと人工知能を使って分析し、農家にデータに基づく知見と行動指針を与えるテクノロジー企業であるBiome Makersが、Seaya VenturesとJME Venturesがリードするラウンドにより400万ドル(約4億2600億円)を調達した。このラウンドにはロンドンのVC LocalGlobeも参加している。同社は調達した資金を、今後の米国やヨーロッパ、中南米などへの進出と、対象作種の多様化、および農作物の評価システムの開発に当てられる。

同社を創ったCEOのAdrián Ferrero(アドリアン・フェレロ)氏とCSOのAlberto Acedo(アルバート・アセド)氏は、前にデジタルヘルスケアのスタートアップで成功し、優秀な科学者でもある。今回は同社の二度目の資金調達ラウンドだったが、前回も国際的な投資家グループから200万ドル(約2億1300億円)を調達している。その中にはDNA配列機器のトップメーカーであるIllumina(イルミナ)のVC部門Illumina Acceleratorと、米辱の指導的投資管理企業のViking Global Investorsがいた。

Indigo AgやConcentric、Pivot Bio、Marrone Bio Innovationsなども同様の技術で微生物の同定を行っているが、Biome Makersは「オープンなデジタルサービスで農家対象のポータルでもあるところは自分たちが唯一だ」と主張している。それはあくまでも微生物学的情報を民主化して、農家が日々の農業の実践に生かせるようにするためだ。

とくに土壌に関してはこれまで、土壌の物理的化学的分析を行う企業が多く、Biome Makersのようにマイクロバイオームに着目する分析企業はあまりメジャーではなかった。しかし同社の説では、それこそが土壌を見ていくための新しい方法であり、これまで農業の実践のために利用されてこなかった重要な情報を提供できるという。

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ドローン画像と機械学習を利用する果樹園精密農業は果樹の個体管理ができる

テルアビブ生まれのSeeTreeは、ドローンと人工知能を使って果樹園に精密農業を持ち込む。同社は今日(米国時間1/17)、Hanaco VenturesがリードするシリーズAのラウンドで1150万ドルを調達した、と発表した。これまでの投資家Canaan Partners Israel, Uri Levineと彼の投資グループ(iAngelとMindset)らも参加した。これで同社の総資金は、1500万ドルになる。

同社はカリフォルニアとブラジルにもオフィスがあるが、ドローンを使う精密農業はこれまで、果樹のような永年作物には合わなかった。SeeTreeのCEO Israel TalpazTheは次のように語る: “精密農業というコンセプトが生まれてからこれまでの20年間、その技術の適用も結果の計測(定量化)も、大きな成功を得られなかった。とくに、永年作物では、精密農業にある、とされた約束が、実現しなかったんだ”。

彼によると、精密農業の未来は、農園をもっと全体的に見ることから育つ。またこれまでのやり方ではデータの整備が雑だったので、永年作物の果樹園を経営している農家に具体的なアクションのリコメンデーションを提示できなかった。

そこでSeeTreeは、ドローンから得られた画像から果樹個体のデータを拾い上げ、それに機械学習を適用して分析する。それによりたとえば、この個体は元気がないから別の木にリプレースしよう、などの知見が得られる。画像から果実の大きさや、その成長過程などを見て、収穫の正しいタイミングも分かる。またそれらのデータを総合して、灌水や施肥の計画も立てられる。

Talpazは語る: “これまで大規模農家は、肉眼による小規模な試験で、直感的に意思決定をやってきた。だから、間違いも多かった。SeeTreeを使えば、重要な意思決定をデータに基づいて正確に行える。そして、やったこととその結果を、正確に知ることができる”。

ファウンダーのTalpazは、イスラエルの起業家の多くがそうであるように、国の諜報サービスで働いていた。また、以前my6senseを起業したBarak Hachamovと、画像処理と通信システムの企業でR&D担当役員だったGuy Morgensternも、SeeTreeの創業に参加した。

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精密農業スタートアップのTaranis、農業監視テクノロジーで2000万ドル調達

Taranisは、空中監視とディープラーニングを使って農作物の問題を見つけ出す農業技術(AgTech)のスタートアップだ。本日(米国時間11/6)同社は2000万ドルのシリーズBラウンドをViola Venturesのリードで完了した。既存投資家のNutrien(世界最大級の農薬メーカー)、Wilbur-Ellisのベンチャーキャピタル部門Cavallo Ventures、およびSumitomo Corporation Europeも参加した。

テルアビブ拠点のTaranisは、現在同社の空撮テクノロジーは、高速ドローンまたは有人飛行機に搭載されてアルゼンチン、ブラジル、ウクライナ、よび米国で使用されていると語った。このラウンドで調達した資金を使ってオーストラリアをはじめとする他の国々にも進出する計画だ。

この会社は2015年、Ofir Schlam、Asaf Horvitz、Eli Bukchin、Ayal Karmiの4人によって食料生産を増加するために設立された。Taranisのソフトウェアがターゲットにしているのは、トウモロコシ、綿花、大麦、大豆、サトウキビ、ジャガイモなどの大規模生産作物だ。害虫被害、栄養不足、病害などの問題原因を突き止め、農業従事者に(例えば)虫が作物を食べているところの詳細を写した高解像度の拡大画像を提供する。

Viola VenturesのパートナーZvika Orronはプレスリリースで、「デジタル農業産業を分析した結果、Taranisをこの分野で最初の投資先に選んだことを誇りに思っている。Taranisは農業デジタル化のリーダーになるために必要な要素をすべて兼ね備えている。広範囲な精密農業ソリューション、市場のスケールに対応し、市場進出するために必要な第一線業界パートナー、およびそれを実現させる情熱的なチームが揃っている」

従来の農作物監視は労働集約型であり、センサーを使って土壌品質や施肥量、害虫などの問題を追跡する場合であっても、必ずしも正確ではなかった。コンピュータービジョンとAI技術を使ってこのプロセス(「精密農業」と呼ばれる成長分野)を効率化しようとしている他のVC支援スタートアップには、これもテルアビブ拠点のProsperaArableCeres Imagingらがいる。

農業の巨人らも精密農業スタートアップを買いに動き始めている。たとえば、過去12ヶ月間に、DeereがBlue Riverの買収に合意し、ブラジルのスタートアップStriderがSyngentaに買われた

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作物/農地のスペクトル画像から適切な営農診断をするCeres Imagingが$25Mを調達

アグテック(agtech, 農業+テクノロジー)のスタートアップCeres Imagingは、コンピュータービジョンとスペクトル画像(spectral imaging, 分光イメージング)を利用して、作物に関するインサイトを農家に届ける。同社はこのほど、 Insight Venture Partnersが率い、Romulus Capitalが参加する投資ラウンドにより2500万ドルを調達した。同社の調達総額は、これで3500万ドルになる。

この前のシリーズAの資金調達以来同社は、対象作物をこれまでのブドウ園や果樹園から、大豆や小麦のような列状作物にも広げてきた。これらの作物は単位面積あたりの利益は低いが、同社の業容をスケールアップし、大規模な問題に挑戦する機会を与える。

Ceres ImagingのCEO Ashwin Madgavkarは、こう声明している: “われわれの画像技術により農家は、気候変動や人手不足、市場の低迷などの問題に前向きに対応できるようになる”。

上空からの画像で作況分析を提供するスタートアップは多いが、Ceres Imagingはドローンには固執せず、むしろ同社独自開発の機器を搭載した、人が操縦する航空機を利用して、自動化ではなく手作業的に画像データを集める。

そのようにして撮った画像データは、人間の肉眼に見える像からはほど遠い。それらのスペクトルデータを分析して、作物の水分や栄養分の状態が分かる。そのデータは被害の早期警報にもなり、アメリカとオーストラリアの顧客に、必要な肥料や灌水、農薬などの情報を提供する。

画像クレジット: @SelimAzad

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Smartsheetの共同ファウンダーが大転換。次のプロジェクトは石拾いロボット

エンタープライズ向けコラボレーションのスタートアップでIPOを申請したSmartsheetの共同ファンダーは、急ハンドルを切って農業ロボティクスの世界に向かった。Brent Freiは地面から岩石を取り除く自動化システムに取り組んでいることをGeekWireに話した。これは、少々予想外ではあるが、まちがいなく悪くないアイデアだ。

昨年Freiが子供たちとちょっとした農作業をしていたときのこと、大きな石を拾ってトラクター・トレーラーに載せるというあまり元気のでない作業をしながら思いついた。これこそは自動化プラットフォームが得意とするところではないか?

半自動化のソリューションはいくつかあったが、何エーカーかの土地に放り出して「この大きさ以上の石を全部取ってこい」と言うだけのシンプルなものはなかった。

この水撒きや栽培や収穫に使われているさまざまなテクノロジーをこれに応用できないだろうか? まずは少なくとも彼自身が使えるものを作ろうと、10月にTerraClearを設立して「石拾いのルンバ」を作り始めた。

まだプロトタイプにもほど遠い段階だが、これは、自由な発想さえ持ち続けていれば、世界はコンピュータービジョンやロボティクスの新しい応用ができるオープンなところであることを示す好例だ。

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AIとコンピュータービジョンを使って農地の点検と分析を行うProsperaがシリーズBで$15Mを調達…農学の広範な学際化を目指す

テルアビブのProsperaは、コンピュータービジョンと人工知能を利用して農地の様子をチェックする。同社はこのほど、Qualcomm Venturesが率いるシリーズBのラウンドで1500万ドルを調達した。ほかにCisco Investments, ICV, 以前の投資家Bessemer Venture Partnersらがこのラウンドに参加した。これで同社の調達総額は2200万ドルになる(シリーズAは2016年7月に本誌が取り上げた)。

新たな資金は、グローバル市場への参加の拡大と、農家と接する現場担当者の増員に充てられる。農家が収入を上げるためには、“インドアからアウトドアへの移行が必要だ。アメリカの土地の40%は農地だから”、と協同ファウンダーでCEOのDaniel Koppelは語る。

シリーズAを獲得してから同社は、ヨーロッパ、メキシコ、アメリカなどに新しい顧客を開拓してきた。顧客の中には、流通大手のWalmart, Tesco, Sainbury’s, Aldiなどに産品を納めている農家もいる。

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Koppelによると、同社の技術も、害虫や病害の自動検出から、“農業生産のあらゆる側面のチェック”へと進化してきた。それには、作物栽培学, 耕種学, 農地管理学などの専門的農業科学の分野が含まれ、また生産性を上げるための労働管理も無視できない分野だ。

今ではDJIAgribotixなどのドローン企業がアグテック分野に進出しているが、Prosperaの場合も、投資家のQualcommCiscoが、ドローンの利用を同社に導入しようとしている。

Koppelは、それらドローン屋さんたちをコンペティターとはみなさず、むしろ将来のパートナーと考えている。“ドローンは私たちの分析のための、価値ある新しいデータを提供してくれるだろう。データが一層充実すれば、われわれが顧客に提供できる価値も大きくなる”、と彼は語る。

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ディープラーニングで蜂たちを致死的な害虫から救う養蜂家作のアプリBeeScanning

Makoto Koike(小池誠)のディープラーニングによる胡瓜(きゅうり)選別機のことは、今では誰もが知っている。世界中のホビイストたちが、機械学習を利用して彼らの問題のソリューションをハックしている。先日は、スゥエーデンの養蜂家で発明家のBjörn Lagermanが、エンジニアたちと研究者たちのチームに助けられて、BeeScanningというアプリを作った。このアプリは、スマートフォンで撮ったふつうの写真に巧妙なコンピュータービジョン技術を適用して、蜂のコロニーに危険な害虫(ミツバチヘギイタダニ, Varroa)の兆候を見つける。

蜂に寄生して文字通りその命を吸い取ってしまうそのダニは、蜂と養蜂家の悪夢だ。放置すると、コロニー全体がやられてしまう。だから継続的な監視が必要だが、これまでのダニ発見方法は時間がかかってたいへんだった。でも早期に発見して退治しないと、彼らは指数関数的に増殖してしまう。

そこで、機械学習の知識と技術が役に立つ。蜂の背中の色は黒だが、ダニは赤い。オブジェクト認識のアルゴリズムを使えば、蜂の画像中に害虫を素早く見つけられる。

彼のグループは今、世界中の10000の蜂のコロニーから40000の画像を集めている。それらの画像でモデルを訓練したら、手作業で害虫の数を数えたデータと突き合わせてベンチマークする。その面倒で時間のかかる処理には、蜂をアルコールで洗ってダニを分離する作業も含まれる。

BeeScanningは養蜂家がダニを素早くチェックする方法だが、同時に研究者のコミュニティにとっては、その害虫を研究するための新しいツールでもある。Lagermanは、今の化学薬品を使う処置には長期的な持続性がない、抵抗性のある蜂を見つける方法も必要だ、と強い口調で語る。

BeeScanningはごく最近、Kickstarterに登場した。来月はとりあえず5000ドル、長期的には35万ドルの募金が目標だ。お金の最初の用途は、データベースを作って一般の関心を高めること。Lagermanは12月が締め切りのEuropean Innovation Programなど、サードパーティからのサポートも期待している。

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インドア農業にデータ分析と営農アドバイスを提供するAgrilystがシードで$1Mを調達

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Disrupt SF 2015のBattlefieldで優勝したAgrilystが今日(米国時間5/11)、インドア農業に同社が提供する分析サービスの育成のために100万ドルのシード資金を獲得したことを発表した。

ラウンドをリードしたのはBrooklyn Bridge Venturesで、これにMetamorphic Venturesやそのほかのエンジェル投資家とシードファンドが参加した。その中には、同じくBattlefieldでデビューし、のちにFacebookが買収したQuickFireの創業者たちもいる。

Agrilystの協同ファウンダーAllison Kopfによると、この投資ラウンドは投資希望者の数が予定より多すぎた。それだけの関心が集まった原因は、彼女によると、関心はあるけど彼らがよく知らない農業という分野と、従来からあるSaaSのビジネスモデルおよびデータ分析の両者が、組み合わさっているからだ。

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創業からほぼ1年になる同社は、現在の社員数が6名だ。昨年のDisrupt SFでデビューしたときには、やっとプロダクトのベータバージョンが完成した段階だった。

しかし今の同社はサービスの新しいバージョンを立ち上げるまでに成長し、その新サービスはとくに、野菜の生産向けに最適化されている。

またこのサービスには今ではワークフロー管理ツールや、在庫管理、作物の栄養管理と病疫や害虫管理の機能もある。今度のニューバージョンには、農業経営者が新規採用者を教育訓練するための機能もある。

ベータのときも今も、Agrilystはデータを利用してインドア農業の経営者に、営農管理の最適手法を勧奨する。今後は、作物をよりおいしくするための推奨事項も提供していきたい、という。

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Kopfによると、インドア農家の多くがまだセンサーを使っていない。使っている農家でも、そのデータは彼らのデスクトップにローカルにたまっていくだけで、オンラインへ行かない。でもAgrilystに任せれば、スプレッドシートのデータでも十分利用価値があるのだ。

しかし状況は徐々に変わりつつあり、Agrilystは今ではインドア農業でよく使われているセンサーシステムからのデータも利用している(CO2や土壌水分など)。でもまだ、データ入力の多くは手作業で行われている。しかしAgrilyst自身は、ハードウェア企業になるつもりはなく、むしろできるだけ多くのサードパーティ製センサーをサポートしていきたい、という。

Kopfによると、同社がローンチしたときは、マリファナ関連の企業だと思われたくなかったが、しかし蓋を開けてみると、今インドア農業で急速に成長しているのが、マリファナの栽培なのだ。そこで7月以降は、Agrilystはマリファナの栽培農家もサポートしていく。

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航空画像サービスのTerrAvion、定量データも提供開始

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精密農業にドローンを使用する話が誇大に語られているようだが、現時点では専用カメラを塔載した通常の飛行機の方が、広い範囲の土地をカバーするには依然として費用効率が良い。Y Combinator出身のTerrAvionは、精密農業のための航空写真で早い賭けに出た。何回かの収穫期を経て、このたび同社はサービスを拡大し、画像に加えて定量分析レイヤーを提供する。

現在TerrAvionは、カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州、およびグレートプレーンズ地帯を含む主要な農業地域をいくつかカバーしている。CEO・共同ファウンダーのRobert Morrisは、現在スペインのワイン用ブドウ裁培地域にも照準を合わせている、と私に話した。

Morris曰く、TerrAvion単独でドローン業界全体の100倍以上の範囲をカバーしており、ほぼ同じ解像度を同等(あるいは安い)価格で提供しているという。

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これまでTerrAvionは、裁培者に数多くの画像を提供してきたが、今回は同社自身の画像解析に基づく統計値レイヤーを追加する。「現在われわれは、殆どの裁培者が欲しがる統計データを大量に処理している」とMorrisは語り、通常であれば、処理するために社内の地理情報システム専門家を必要とするデータだが、現在TerrAvionは、Digestという名前のこの新サービスを無料で提供している、と説明した。

「基本的に、DigestはTerrAvionが最も得意とすること ― 裁培者に自分の農地で起きていることを示す包括的な最新画像を提供し、即座に行動を起こせるようにする ― に基づき、これを定量的世界に持ち込もうとしている」とMorrisは私に言った。

農家はこのデータを他の様々なサービスに再利用できる。「裁培者はIT技術者並みに洗練されている。このため、データの再利用やIT業者の選択肢については非常に敏感だ」とMorrisは言った。

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食材流通のプラネットテーブルが1億円の資金調達、サービス提供エリア拡大へ

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食材・情報取引プラットフォーム「SEND(センド)」を展開するプラネット・テーブルがサイバーエージェント・ベンチャーズ、セゾン・ベンチャーズなどから総額約1億円の資金調達を実施した。払い込みは2015年12月、バリュエーションや出資比率は非公開。なお同社は2015年3月にGenuine Startupsと個人投資家から3500万円のシードマネーを調達している。

プラネット・テーブルが提供するSENDは日本全国にいる特徴を持った農畜産水物生産者と、そんな生産者が手がけたこだわりの食材を使いたい飲食店の直接取引を実現するプラットフォーム。取引に関わるオペレーションや保管(東京・渋谷の同社オフィスには業務用冷蔵庫が並んでいる)、配送までを自社でカバーする。また生産者・飲食店間の取引データをもとに需給を予測。流通量の最適化を進めている。2015年8月にローンチし、これまで広尾や恵比寿、六本木など東京都心部の飲食店に限定してサービスを提供してきた。

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現在、約230の生産者(ただし季節により変化。常時数十の生産者が食材を販売)と約200の飲食店がプラットフォームに参加している。プラネット・テーブル代表取締役の菊池紳氏によると、「想定よりも速いスピードで成長している。単価もリピーターも増える傾向にあり、特に9月に畜産物の取り扱いを始めて以降は月額20万円を超える店舗もある」(菊池氏)という。ただしSENDでは流通量が多いものではなく、こだわりの生産物に特化する方針であり、「飲食店の仕入れのすべてを補うのではなく、全体3分の1程度をSENDを通じて提供したい」と説明する。

プラネット・テーブルでは今回の資金調達をもとに営業および開発体制の強化を進めるほか、食料生産支援に向けたサービスを提供していくとしている。また西東京や横浜、千葉など、提供エリアについても拡大する予定。パートナーシップによる地方進出も進めて、2016年度には飲食店1000店舗の利用を目指す。

ちょっと気になったのが提供エリアの拡大について。同社はこれまで、トラックを自社で保有し、配送までを行ってきたという。ではサービス拡大に伴って今度はトラックの数を増やして自ら「物流会社」になろうということなのだろうか? 菊池氏はそれを否定した上で、「例えば飲食店への配送は通常午後2時〜4時くらいが基準になる。その時間帯に稼働していない冷蔵倉庫やトラックも少なくない」とだけ語った。

ここからは僕の想像でしかないが、同社が狙っているのは——毎度おなじみのバズワードで恐縮なのだけれど——「シェアリングエコノミー」の領域だろう。先日ラクスルが発表した物流サービス「ハコベル」のように、リソースの余っている倉庫なりトラックなりをネットワーク化していくのではないか。このあたりは今後また話を聞いてみたい。

プラネット・テーブルでは、食に関するQ&Aサービス「FoodQ」を2015年6月にリリースしているが、こちらについても近くリニューアルする予定だ。

無洗野菜や遠隔制御の「植物工場」も、農業ITのファームシップが1億円の資金調達

farmship農業におけるITを活用したサービスを展開するファームシップが7月20日、みやこキャピタルリバネスなどから総額約1億円の資金調達を実施した。ファームシップは2014年3月創業で、東京の本社と静岡県富士市にある研究所を拠点に2015年6月から本格始動。ともに明治大学農学部出身で、農家の家系に育った共同創業者の北島正裕氏と安田瑞希氏の2名でスタートした同社は現在15名に成長している。

ファームシップが同社が提供するのは、「植物工場」、「農産物流通」、「農業データサイエンス」の3つの事業だ。

植物工場事業は、植物工場の建設や工場栽培に適す農産物の研究。研究開発拠点の富士Labにおいて、洗わないで食べれるほうれん草、生で食べてもえぐみの少ないケールなどを研究・生産している。

農業物流通事業は、工場生産の農作物流通や、既存農家の流通支援を実施している。国内向けの流通支援だけでなく海外向け販売にも力を入れており、長野のわさびをニューヨークやロサンゼルスに輸出している。

農業データサイエンス事業は、生産と流通に関する管理をビックデータを使って実施。生産管理については、人が直接手をかける事なく照明や気温制御を行え、遠隔での制御を一括で実施できるという。生産者が畑に通って農作物の世話する農業のイメージが、スマホやPCでの操作に置き換わりそうだ。

今回の資金調達を契機に、工場センサーの開発や生産物の研究、流通サービスの開発に投資するとしている。また日本だけでなくインドネシアでの海外植物工場の施工を予定している。

第一次産業関連のスタートアップとしては、鮮魚販売の八面六臂がある。八面六臂はネットを活かして生産者や産地市場から直接購入可能なECサービスを提供している。一方、ファームシップでは直接取引ではなく、間接的な流通業者や末端の路面店なども活用できるサービスの提供を計画している。FAXやメールを使う受発注が一般的な商習慣となっている中でサービスが成長するかは、生産者に使いやすいシステムを作れるかにかかっていそうだ。

農家の給水施設の水漏れをチェックするPowWowが$3Mを調達

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水漏れなどを検出して農家の適正な水利用を助けるPowWowが、300万ドルを調達した。

PowWowは航空写真や水利用の記録などを調べて、問題を見つけたら農家にテキストメッセージを送る。問題は、どこかに水漏れがあることに関連していることが多い。

アグリテックのスタートアップがVCの関心を惹くことはそんなに多くはないが、カリフォルニアではこのところ干ばつがひどくなっているので、VCたちにとってもアグリテックの魅力が増しているのかもしれない。同社の二つ目のプロジェクトは、農家の灌水計画の最適化を助け、また土壌成分を分析して過剰な施肥などによるコストの増大を防ぐサービスだ。

CEOのOlivier Jerphagnonによると、それは、“最初のよりもずっと大きなプロジェクトになるね”、ということだ。“農業スタートアップへの投資案件が少ないのは、カリフォルニアでも合衆国全体でも、今後20年間の農業に対する懸念があるからだ”。

今回の調達資金の中には政府の補助金も含まれていて、また資金の一部はカリフォルニア大学サンタバーバラ校やデイヴィス校に行く。エンジェル投資家たちが70万ドルを出資しているが、PowWowにとっては、本格的にスケールしていくためにはまだ足りない、という。

“今回の補助事業で、うちが20の農家ではなく、2万の農家にも十分サービスを提供できることを、証明しなければならない”、と彼は言う。“VCたちがアグリテックへの投資を渋るのは、スケール(規模拡大)が難しい業態だからだ。うちの場合もまだ、スケール能力は証明されていない。来年結果が出たら、またVCたちに売り込みたいね”、だと。

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企業集団Farm2050は農業スタートアップを資金と技術面で援助していく…Google会長Eric Schmidtも発起人

2050年には世界の人口が100億になり、その命を支えるためには食糧を今より70%増産する必要がある。しかし食糧増産技術に取り組んでいるスタートアップたちは、生産や試験のための十分な資金を欠き、苦労しているところが多い。そこでGoogleの会長Eric SchmidtのInnovation EndeavorsFlextronicsのLab IXは今日(米国時間11/20)、AgTech(農業技術)スタートアップを資金や技術面で支援する集団Farm2050を立ち上げた。

Farm2050のそのほかの構成員は、GoogleとDuPont、Agco、UTCのSensitech、そして3D Roboticsだ。FlextronicsのLab IXを率いるLior Susanによると、“農業をやることは今でもかっこ良くないと思われている。VCたちが色めき立つようなIPOもなければ買収もない”。そんな状況の中でFarm2050は、AgTechのエコシステムを育てていきたいのだ。

Farm2050は今、グローバルな食糧危機を解決するアイデアを抱えたスタートアップたちを、支援対象企業として募集している。

Innovation Endeavorsの専務取締役Dror Bermanによると、“起業家が挑戦すべき問題はたくさんあるが、その中の10%ぐらいに90%の起業家の関心が集中している”。農業は、その10%に入っていない。本当に重要な課題に起業家たちの関心が分散すれば、テクノロジ企業の数は今の100倍〜1000倍ぐらいにはなるはずなのだ。

農業には今すでに大きな市場があり、その規模は全世界で1200億ドルと言われる。しかしほかの産業に比べると農業は、その技術的進歩を加速するための支援構造を欠いている。でも、ここに突破口が開かれれば、本当に人間を救うことができる。

Bermanは語る: “100年前にはHaber-Bosch processが化学肥料の生産を可能にした。50年前にはコールドチェーン技術(長距離冷蔵輸送・貯蔵技術)により新鮮な農産物の長距離輸送が可能になった。そして今日では、ロボット工学と機械学習が農業を変えつつある”。

Farm2050は、食糧増産技術のアイデアなら何でも歓迎する。具体的には、中心となるのはロボット工学とデータサイエンスの、農業技術全般もしくは特定農産物への応用だ。

この集団が投資家の集団ではなく企業集団なのは、単にアイデアに金を出す、というのではなくて、AgTechのイノベーションに対する技術的支援がすぐさま可能になるからだ。Bermanによると、企業は自分たちの技術が役に立つと思ったら、即席でインキュベータを立ち上げたりスタートアップに投資することがよくある。Farm2050はそのようなリソースを育成して、新進企業を支援していく。この集団にはたとえば、サプライチェーンのエキスパートやセンサ技術の経験豊富な専門家がいる。

今では、個々の企業に直接投資するのではなく、社会的な課題への投資を介してスタートアップを育てるという、ソーシャルなベンチャー資本、Social Venture Capital(SVC)が萌芽している。Farm2050もその投資的な側面は、まさにSVCだ。Susanはこう言う: “われわれの子どもも孫も、この地球で生きていく。スタートアップに投資している連中が、そのことに貢献できないのなら、それは大醜態だ”。

最新のSF映画Interstellarには、地球規模での食糧不足の惨状がリアルに描かれている。読者の中に、AgTechをやろうかなぁと迷っている起業家がいたら、決心を固めるためにその映画と、今日のFarm2050の発表がきっとお役に立つだろう。確かに今の世界には、ソーシャルゲームや写真アプリ作ることよりもずっと重要な課題があるのだ。〔余計な訳注: SF映画なんか見るより、世界の最貧飢餓地帯を旅した方がよいね。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


農業専門のクラウドファンディングサイトAgFunder, 最初のプロジェクトOnFarmが資金募集に成功

農業や農業関連の技術をクラウドファンディングで育てるAgFunderが、その最初のプロジェクト、農家のためにデータと分析を提供するOnFarmへの、資金募集を成功裡に完了した。

OnFarmのCEO Lance Donnyによると、匿名の機関投資家1名を含む計6名の投資家が、同社の最初の資金調達ラウンドに対して80万ドルをコミットした。

カリフォルニア州FresnoのOnFarmは、家族の家業であるぶどう農園で育ったDonnyの経験が着想のベースになっている。

ソフトウェア企業で数年を過ごしたDonnyはその後農業へ回帰し、カリフォルニア州Oaklandで灌漑管理技術を売っているPureSenseのCFOになった。

PureSenseで仕事をしながらDonnyは、テクノロジやその関連サービスが農業にもたらす問題に気づき始めた。農業の役に立つと称するツールはたくさんあるが、すべてのデータを分かりやすい形で統合するツールがなかった。

そこで彼は、OnFarmを創業した。Donnyは曰く、“うちには農業のためのIoTプラットホームがあり、農場のさまざまなデバイスからの、それぞればらばらなデータを、一つのソフトウェアプロダクトへ統合している。そういう意味でうちは、農家のためのオペレーティングシステムのようなものだ”。

農業へのテクノロジの利用は、まだ萌芽期とはいえ、投資家たちからの注目を集め始めている。そして、すでに相当額の出口を獲得したところもある。

今月初めには、テクノロジで収穫量を上げるというサービスBioConsortiaが、Khosla VenturesやOtter Capitalから1400万ドルを調達した。またGranular(元Solum)は、Khosla Ventures、Google Ventures、Andreessen Horowitzらからの1700万ドルの初期投資に加えて、さらに420万ドルを獲得した。1月初めには、FarmlogsがDrive Capitalから400万ドルを調達した。中西部のVCであるDrive Capitalは、Sequoia CapitalのパートナーだったMark KvammeとChris Olsenが創業した。

またClimate CorporationがMonsantoに買収されたとき、その11億ドルという巨額の出口から、Founders Fund、Khosla Ventures、Google Ventures、New Enterprise Associates、Index Ventures、Atomicoなどなどの面々が大いに潤った。

Donnyはこう言う: “大農場はテクノロジをかなり採用しつつあり、ここ数年でそのROIも実証され始めている”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))