アマゾンのマーケットプレイス出品者に売上金を毎日支払うInstaPay、支払いサイトの長さを改善

Amazon(アマゾン)のマーケットプレイスの売上を支えているは、サードパーティの売り手だ。全売上の58%を占めており、今でもシェアは伸びている。ご存知にように新型コロナウイルスのパンデミックはアマゾンにとっては追い風となりネットで買い物をする人が増え、第1四半期の売上を前年比で26%も押し上げた。

しかしながら、サードパーティの売り手にとってアマゾンとの決済条件は便利とはいえない。アマゾンの売り手に対する支払いサイト(売上金が支払われるまでの期間)はほぼ2週間のうえ、返金に備えて相当額を預託させられる。そのため、財務体力のない企業は成長と在庫の積み増しのために十分な投資ができない。

この支払いサイトの長さを解決するためにPayabilityというスタートアップは、アマゾンのマーケットプレースの売り手に融資するサービスを提供している。なお、手数料はアマゾンからの受取金額ではなく総売上をベースに計算する。

今回紹介するInstaPayは、パンデミックの影響で売り手が苦しんでいるのを見て編み出された新しいサービスだ。需要が短期的にどれだけ増えても、アマゾンからの売上金の支払い日は短縮されないので、需要増に対応した仕入れができない。さらに売り手は仕入れ先に前金で払うため、2週間のタイムラグでキャッシュフローのギャップが生じる。InstaPayの新しいプロダクトはこの問題を解決し、売り手は売上金を毎日受け取れるようになる。

もちろん、InstaPayへの手数料の支払いは必要だが、同サービスは売上の50〜80%を融資し、売上の1〜2%の手数料を徴収する。アマゾンからの支払いがあると、InstaPayは自動的に未決の勘定を控除する。これなら小規模な売り手でも手元資金を使って在庫の積み増しができる。

InstaPayのCOOを務めるSam Bokher(サム・ボカー)氏は声明で「グローバルなロックダウンのために人々はオンラインの買い物が増え、多くの企業がアマゾンなどのeコマースプラットホームに集まっています。InstaPayの新しいサービスにより、売り手にアマゾンのマーケットプレースとともに成長する機会を提供し、2週間の支払いの遅れを排除しています」と語る。

このプロダクトは意外な業界からヒントを得ている。これまでInstaPayは、運送業とトラック企業に運転資金を提供し、定率の売掛金融資と当日支払いを行っていた。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Amazonとライフが生鮮食品のオンライン販売・配送を大阪府でも開始

Amazon ライフコーポレーション 生鮮食品 配送

Amazonとライフコーポレーション(ライフ)は7月16日、ライフが取り扱う生鮮食品や惣菜のオンライン販売・配送サービスを関西でも開始したと発表した。

同サービスは、Amazonプライム会員向けとしたもの。対象エリアの顧客は、ライフの実店舗で扱っている合計数千点の商品をPrime Nowの専用アプリ(iOS版/Android版/Amazon appstore版)を通じ購入できる。

Amazon ライフコーポレーション 生鮮食品 配送

顧客が注文次第、ライフ店内の専門スタッフが品質をチェックしながら商品を選び、Amazonの配送ネットワークで配送する。配送時間は当日または翌日の12:00~22:00。2時間単位のお届け時間を指定可能。

  • 取り扱い商品: 生鮮食品、惣菜など
  • 配送時間: 12:00~22:00(配送時間は2時間単位で指定可能)
  • 最低注文金額: 2000円以上
  • 配送料: 6000円未満の注文の場合は440円。6000円以上1万円未満の場合は220円。1万円以上の場合は無料

同サービスは、東京都では、従来の23区に加えて7月14日より4市(狛江市、調布市、三鷹市、武蔵野市)が配送エリアに新たに対象となった(一部エリアを除く)。

7月16日からは、関西でも同サービスの提供を開始。大阪府大阪市の16区(阿倍野区、生野区、北区、城東区、住吉区、大正区、中央区、鶴見区、天王寺区、浪速区、西区、西成区、東住吉区、東成区、福島区、港区)で利用できるようになった(一部エリアを除く)。今後も関東、関西において配送エリアを順次拡大していく予定。

Amazon ライフコーポレーション 生鮮食品 配送

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顔認識のプライバシー侵犯でマイクロソフトやグーグル、アマゾンがイリノイ州住民に告発される

イリノイ州の2人の住民が一連の訴訟で、テクノロジー大手3社が州法に違反して個人の生体認証データを許可なく使用したと主張している。イリノイ州住民のSteven Vance(スティーブン・ヴァンス)氏とTim Janecyk(ティム・ジェーンサイク)氏は「IBMの「Diversity in Faces」データベースに二人の顔が両人の同意なく登場しており、それらがAmazonとMicrosoftと、Googleの親会社Alphabetの顔認識システムの訓練に使われた」と申し立てている(CNET記事)。

3社とも米国西海岸の企業だが、訴訟はこれらのテクノロジー大手がイリノイ州のBiometric Information Privacy Act(BIPA、生体認証情報私権法)に抵触していると告発している。訴訟の原告は両氏だが、イリノイ州の「同じ状況にあるすべての個人」を代表する集団訴訟の資格も求めている。この訴訟で2人の原告は、違法行為1件につき5000ドル(約53万円)の賠償金と、これらの企業がイリノイ州住民の「生体認証識別子」(顔の画像など本人が分かる情報)を使用することを禁じ、保存されている関連の顔データを破壊する裁判所命令を求めている。

ちなみに訴状のマイクロソフト宛ての告発文では、次のように述べている。

その顔認識技術を改良する取り組みにおいて被告であるマイクロソフトは、イリノイ州の生体認証情報私権法に違反し、中でも特に、原告ヴァンスとジェーンサイクおよびそのほかすべての、同じ状況にあるイリノイ州居住者及び市民(以下「集団訴訟の原告」と呼ぶ)の生体認証識別子と情報を、不法に収集し、取得し、保存し、使用し、処理し、利益を得た。

訴訟が依拠している法律は10年以上前に制定され、イリノイ州住民を彼らの生体認証データが明示的な許可なく収集および保存されることから保護することが目的だ。顔認識が一般化し議論の的ともなっている今日では、BIPA関連の訴訟が一定の頻度で発生している。米国にはプライバシーを保護する国の法律はないが、イリノイ州の法が米国人から無断でデータを取り出していた企業に有意な障害を課している。

今年の1月にはFacebookが、BIPA関連の訴訟で5億5000万ドルを払った(未訳記事)。その訴訟はイリノイ州住民を原告として2015年に提訴され「Facebookがユーザーの画像からユーザーへの開示なく顔認識データを収集した」と申し立てられた。そのときは、SnapchatとGoogleとShutterflyも同様の訴訟に直面した。

2019年には連邦控訴裁が、顔認識データは生体認証データに含まれないとするFacebookの主張を退け、「ここで申し立てられているように、同意なくして顔認識技術を利用し顔のテンプレートを開発することは、個人の私事と具体的な関心を犯すものである」と声明した。

これらの企業が顔認識システムの訓練に利用したIBMのデータセットも、それ自身が議論を招いている。昨年NBC Newsが報じたようにIBMは「Diversity in Facesデータセットは『純粋に学術的研究が目的』であり、同社の商業的関心には奉仕しない」と主張した。そしてそのIBMのデータセットは、クリエイティブ・コモンズのライセンスを伴う1億あまりのFlickrの画像から集めたもののようだ。その決定も、企業がオープンライセンスの画像を、フォトグラファーとその被写体である人びとの同意なく利用することが許されるのか、という顔の画像の利用をめぐる独自の倫理的疑問を惹起した。

関連記事: Facebook will pay $550 million to settle class action lawsuit over privacy violations(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ライブスビデオでインフルエンサーマーケティングを強化するAmazon Live

Amazon(アマゾン)がスタートさせたAmazon Liveはソーシャルメディアのインフルエンサーが商品を紹介することによって手数料の配分を受けることができる新しい方法だ。現在の同社のインフルエンサープログラムでは、アマゾンで販売されているお気に入りの商品をFacebook、Twitter、Instagram、YouTubeなどに投稿してファンに紹介することでコミッションを得ることができる。

アマゾンがインフルエンサープログラムをそっとデビューさせた(未訳記事)のは2017年だった。これはインフルエンサーマーケティングの進展に応じてアマゾンもこの方式を採用したものだ。インフルエンサープログラムはアソシエイトプログラムの強化版で、参加には承認が必要だが承認された場合、アマゾンから独自のURLが提供される。インフルエンサーはこのURLを利用して商品の紹介とデモができる。

アマゾンは従来のインフルエンサープログラムでもビデオに対応していたが、今回はライブストリーミングに力を入れ、インフルエンサーがAmazon Liveを利用できるようにした。このサービスはビデオをショッピングサイトに直接ストリーミングができるもので、テレビショッピングチャンネルのQVCのアマゾン版だ。マーチャントが消費者を引き付ける助けとなるようアマゾンはこのサービスを昨年スタート(未訳記事)させていた。

Amazon Liveではテレビのホームショッピングチャンネルと同様、ビデオで商品を紹介し、デモをすることができる。ビデオの下に左右に動かせるカルーセルが表示され、消費者は気に入った商品があればここから購入ができる。

アマゾンはこれ以前にもライブビデオを実験していた。最初のライブストリーミングはStyle Code Liveという番組(未訳記事)で、専門家が美容とファッションについてのヒントを紹介するものだったが、短期間で止されてしまった。

しかし今回のAmazon Liveのテーマは美容とファッションという狭い範囲に限られておらず、料理、フィットネス、ベビー用品、ホーム機器、自動車、電子ガジェット、おもちゃ、ペット、流行、テレビ番組、ビジネスなど多様なカテゴリをカバーする。またテレビのショッピングチャンネルとは異なり、Amazon Liveにはテーマに応じて多数のチャンネルが存在する。

Amazon Liveでビデオストリーミングを配信する際に、クリエイターやインフルエンサーはAmazon Live CreatorのiPhone用アプリを使ってファンにデモを見せ、チャットできる。Amazon Liveのホームページではファンはライブビデオの横のTwitch的なサイドパネルを通じてホストとチャットできる。

Amazon Liveはすでにアーリーアダプターのインフルエンサーが利用している。例えば、ファッションのMirror & Thread,、メークアップのBeauty by Carla、ガジェットのセールのThe Deal Guy、任天堂Switchを中心としたBrickinNickなどのストリーミングをAmazon Liveで見ることができる。

新しくAmazon Liveでライブストリーミングを始めるインフルエンサーは、Amazon Liveと同時に自分のサイトにもストア専用ページが提供され、ビデオを配信できる。インフルエンサーはファンが増えるにつれて、ライジングスター、インサイダー、Aリストとレベルアップする。

 

こうした階層をアップするにつれてメリットも大きくなる。ストリーミングから購入が行われた場合、「ライジングスター」はアマゾンのオンサイトアソシエイツプログラム,を通じてコミッションが提供される。さらに上のレベルでは、商品を詳しくを紹介するためにビデオを独自の販売ページに配信できる。同社によれば「Aリスト」にランク付けされると、優先サポートおよびAmazon Liveが開催するスペシャルイベントへのアクセスも提供されるという。

Amazon Liveのディレクターを務めるMunira Rahemtulla(ムニラ・ラヘムトゥラ)氏は声明で「アマゾンはカスタマーに対話的で楽しいショッピング体験を提供することに力を入れている。同時にインフルエンサーがアマゾンでビジネスをする手助けもしたい。ライブストリーミングは創造的であり、人々をつなげ、インスピレーションを与える。ビジネスのアイディアは無数に生まれるだろう。Amazon Live Creatorアプリをインフルエンサーに提供できることとなって嬉しい。インフルエンサーがアマゾンのカスタマーのために何ができるか大いに期待している」と述べた。

現在ソーシャルメディアのセレブがブランドから利益を得る方法は極めて多様だ。例えば、YouTubeではBrandConnect,、Facebookでは Brand Collaborationsなどのプログラムがある。 TechCrunchではインフルエンザがストリーミングからどのような報酬を受け取ることになるのか詳細を知りたいと考えてアマゾンに取材を申し込んでいる。まだ同社からは回答がないが、何か明らかになればアップデートしたい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アマゾンが従業員向け医療施設を倉庫近くで試験的に運営

Amazon(アマゾン)は米国時間7月14日朝に、Crossover Healthと提携しアマゾンのフルフィルメントセンターの近くに従業員用の健康管理施設を建設すると発表した(Amazonリリース)。計画はまだ試験段階だが、同社は企業クライアントのためのクリニックを構築するCrossover Healthのサービスを採用する。このスタートアップはApple(アップル)やFacebook(フェイスブック)向けにも同様の施設を建設しており、数年前にはアップルによる買収の潜在的なターゲットであると噂されていた(CNBC記事)。

アマゾン初となるNeighborhood Health Centerはテキサス州のダラス・フォートワースに開設され、最大2万人の従業員にサービスを提供する可能性があり、その半数はアマゾンの業務に従事している。同社によると、最初の段階では5つの都市に20カ所のNeighborhood Health Centerを開設する予定であり、これにより合計で11万5000人の従業員をカバーする計画だ。その他の都市はフェニックス、ルイビル、デトロイト、カリフォルニア州のサンバーナーディーノ・モレノバレーとなる。順調にいけば、さらに多くの都市が追加される予定だ。

「米国では、プライマリケアの医師に容易にアクセスできない患者の数が増加しており、代わりとなる緊急または緊急ケアのオプションの利用は患者にとって高価なだけでなく、重要な予防ケアの機会を失うことになる」と、同社の人事担当VPのDarcie Henry(ダーシー・ヘンリー)氏はリリースで述べており、米国におけるヘルスケアの大きな体系的問題に対処する。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが4カ月以上止まる兆候が見られないため、米国内のリソースはさらに逼迫している。そんな中、必要不可欠な労働者に指定されているアマゾンの倉庫従業員は特に危険にさらされている。同社は新型コロナウイルスへの対応の議論のために非常に苦労しており、またその対応について労働者や政治家、メディアから非難を浴びている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Amazonが購入品を自ら識別するスマートなショッピングカート「Dash Cart」をテスト

Amazon(アマゾン)は米国時間7月14日、最新のスマートストア技術であるAmazon Dach Cart(ダッシュカート)を披露した。これは食料品スーパー用のショッピングカートで、中に入れた商品を識別し代金を請求するというものだ。このカートはまず、2020年中にカリフォルニア州ウッドランドヒルズに開店予定のAmazonの食料品スーパーに導入される。

今のところこのカートは、カート一杯に商品を積み上げるようないつもの買い物には向かず、ショッピングバッグ1つか2つの少量から中量の買い物に対応するとAmazonは説明している。

これは、カートに入れられた商品の識別に関する技術的な制約によるものだ。

Amazon Dash Cartは、コンピュータービジョンアルゴリズムとセンサーフュージョンの組み合わせでカートの中の商品を識別すると、Amazonは話している。そして店内のDash Cart専用レーンを抜けるとセンサーがカートを識別し、Amazonアカウントに登録したクレジットカードで精算が行われる。

カートを使用するには、まずAmazonアプリで示されるQRコードをカートのリーダーに読み取らせる。そしてカートにショッピングバッグを1つまたは2つセットすれば、買い物を始められる。カートに商品を入れたら、ピーという確認音を待つ。確認に失敗するとカートがオレンジ色に光るので、そのときはやり直す。

センサー技術に加えてこのカートの上面には、自分のAlexa(アレクサ)買い物リストにアクセスできる画面もあり、そこでリストに印を付けたり、現在の合計金額の確認ができる。クーポンのスキャナーも備えているので、買い物をしながらクーポンを使うことも可能だ。

Amazonが提供している動画(非常にざっくりした内容だが)によると、商品のバーコードをカートに見せる必要があるようだ。例えばこの動画には、買い物客が商品をカートに入れる前に、指でバーコードが見えるようにしている場面がある。また、買い物客はバーコードを自分とカートの画面に向けてからカートに入れている。

別の場面では、野菜など「バーコードのない商品の入れ方」も示されている。この場合は買い物客が画面でPLUコードを入力して、重さを確認している。

Amazonのウェブサイトではバーコードの読み取りに関する詳細は説明されていないが、カートが「コンピュータービジョン」と「センサーフュージョン」を利用していることが書かれている。それは、このカートがAmazonの既存の技術を一歩先に進めたものであることを示唆している。「Just Walk Out(そのまま店を出られる)」というのがAmazzon Goストアの売り文句だ。だがJust Walk Outの店舗には、商品の陳列棚に組み込まれたセンサー技術とカメラを搭載したシステムからのデータをコンピュータービジョンで処理し、商品を取ったり戻したりを認識している。それに対してDash Cartは、Amazon Goストアではなく一般の食料品スーパーでのテストが予定されている。

このカートが単なる車輪付きのバーコードリーダーではないことは明らかだが、Amazonはそのバーコードの読み取り技術を完全には明らかにしていない。

この新技術の仕組みついてAmazonに問い合わせたところ、実際にカートは「素早く商品を特定するために、最初にバーコードを探す」のだと教えてくれた。

買い物客の手でバーコードが隠れて読み取れない場合などは、コンピュータービジョンのアルゴリズムが商品の特定を試みるという。

コンビニ程度の広さのAmazon Goストアと違い、Just Walk Out技術を一般の食料品スーパーに持ち込むのは大変な困難がともなう。食料品スーパーの商品点数は多く、すべてを識別できなければならない上に、新しい商品がどんどん入ってくるからだ。

2020年3月にAmazonは、「レジなし」ストアの技術を他の小売店に販売すると発表した。スマートカートの技術がテストを重ね改良されたなら、この技術にも同様の計画が進められるかも知れない。そこを聞いてみたが、Amazonは将来の計画については何も話さなかった。

画像クレジット:Amazon

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(翻訳:金井哲夫)

Amazon Fire TVにYouTube Kidsアプリが登場

YouTubeのファミリー向けバージョンで、ペアレンタルコントロールと子供向けコンテンツを備えたYouTube KidsがAmazon Fire TVに対応した。このアプリは、Google(グーグル)とAmazon(アマゾン)が相互の利益のために合意した結果、昨年YouTubeがFire TVに入り、Amazon Prime VideoがChromecastとAndroid TVに登場したのに続くものだ。

両社の合意は、YouTube TVやYouTube KIdsなどほかのYouTubeアプリもFire TVプラットフォームに対応することを意味していた。しかし、昨年9月にYouTube TVがFire TVに登場したあと、YouTube Kidsは2019年中という約束から大きく遅れた。

ともあれYouTube Kidsアプリが利用可能になり、多少リスクの小さいバージョンのYouTubeサービスを親に提供する。親は子供一人ひとりに個別のプロフィールを作り、年齢層ごとにカスタマイズして、未就学児童、低学年、高学年などに分けることができる。しかし、アプリのコンテンツは手動で選ばれるわけではない。何が年齢相応かをYouTubeの自動化システムが決定する。その結果間違いが起きることもあり、その場合は親がアプリ内のツールで通報できる。

もっとカスタマイズや管理の行き届いた選択を希望する場合は、子供が利用できるチャンネルを親が個別に選ぶこともできる。YouTube Kidsアプリは「米国時間2020年7月9日からFire TVユーザーに提供開始される」とアマゾンは説明する。Fire TV以外では、YouTube KidsはApple TVでも最近スタートした。Rokuではまだ利用できない。

YouTube Kids公開のほか、Amazonは7月9日に、米国および一部地域のFire TV Cubeユーザーが、地上波テレビの視聴とAlexa(アレクサ)を使ってチャンネルを変えることが可能になったことを発表した。ユーザーはそのために自分で地上波チューナーを接続し、Fire TV Cubeで設定する必要がある。設定が済むと、ユーザーはAlexaに頼んでチャンネルを番号や名前を使って変えることができる。

Fire TVは昨日にも、YouTuve TV、Sling TV、およびHuluライブTVという有力ライブストリーミングサービスを有力ライブストリーミングサービス(未訳記事)の追加を発表した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アマゾンがイランやシリアなどへの制裁違反の容疑について約1440万円で示談へ

米財務省は今週発表した声明で「Amazon(アマゾン)が13万4523ドル(約1440万円)で制裁違反容疑を示談で解決することになった」と述べている。その容疑とは、クリミアやイラン、シリアを住所とする人びとに物品とサービスを送ったことに関連していて、それらは2011年11月から2018年10月までの外国資産管理局(OFAC)による制裁の対象になっている。

財務省は声明の中で「アマゾンが『数百件もの』商行為を適切なタイミングで報告しなかった」と説明している。すなわち財務省は、

アマゾンはまた、同社のウェブサイト上で、キューバ、イラン、北朝鮮、スーダン、およびシリアに居住、またはこれらの国の外国使節団に雇用されている者のために注文を受け入れて処理した。さらにアマゾンは、OFACの特別指定国および阻止人物のリストに載っている人物で、麻薬取引制裁規則と大量破壊兵器拡散制裁規則、多国間犯罪組織制裁規則、コンゴ民主共和国制裁規則、ベネズエラ制裁規則、ジンバブエ制裁規則、グローバルテロリズム制裁規則、および外国麻薬組織中心人物制裁規則により阻止されている者からの注文を受け入れて処理した。

この示談による解決はもちろん、巨額な時価総額のアマゾンにとっては微々たる負担だ。しかもそれらの商取引の多くが少量の小売商品やサービスに関するもので、違反の総額は示談の清算額13万4523ドルの倍程度になる。

財務省は、制裁領域への販売をチェックしなかったのは何らかの悪意によるものではなく、アマゾンのシステムの欠陥と見ている。原因は1つではない。例えば、外国のイラン大使館に送るケースをサイトは見過ごしたのかもしれない。

アマゾンはこの件にコメントしないが、2016年に制裁が法制化されて以来同社は、目立つほど自己開示に努めてきた。The Wall Street Journalによれば、そのほかのテクノロジー大手も同じ問題で上げられている。昨年アップルは、同様の違反で46万7000ドル(約5000万円)の示談に応じた。

画像クレジット: Philippe Lopez/AFP/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米アマゾンの出店者は2020年9月1日から名前と住所の表示が必須に

米国時間7月8日、Amazon(アマゾン)は米国の出店業者に通知を送り、近いうちに売り手のプロフィールページへの業者名と住所の掲載を義務付けることを伝えた。個人の場合は、自分の名前と住所を載せることになる。似たようなシステムは各国の法律のもとで、すでにヨーロッパ、日本、およびメキシコのアマゾンで実施されている。同社はこの変更について「プラットフォームに一貫した基準を設けることで、オンラインショッパーが情報に基づく購入判断をできるようにするためだ」と説明している。

もちろん変更の目的は、透明性だけではない。米アマゾンのマーケットプレイスは最古かつ最大で、全世界のアクティブ出店者220万店のうち、46万1000店が米国(marketplacepulseレポート)だ。全世界では860万件店の登録出店業者が存在し、毎年約100万件増えていることがMarketplace Pulseのデータからわかる。

しかもアマゾンのマーケットプレイスは、同社の売上の約半分を占めている(statistaレポート)。しかし、成長するにつれて、詐欺、偽製品などさまざまて問題に悩まされるようになった。同社は長年こうした問題を避けて通ってきたことを非難されてきた(Forbes記事)、最近になって問題解決に数十億ドルをつぎ込むことを誓約(Fox Business記事)した。同社はここ数年、詐欺業者や偽造品業者と法廷でも戦っており(未訳記事)、デザイナー(GeekWire記事)や、アクセサリーメーカー(未訳記事)、さらにはフェイクレビュー(未訳記事)経済に加担する連中(未訳記事)も相手にしている。

昨年、同社はブランドやメーカー向けに、先行して偽物を取り締まる取り組みである「Project Zero」の一環としてツール群を提供した(未訳記事)。

そして今年4月、ビデオ通話を使ってサードパーティー業者の身元を確認する新システムのパイロットテストを進めていることを発表した。これまでの対面による確認から新型コロナのために変更したものだ。このシステムを通じて同社は、売り手の識別情報が本人や申請時の書類と一致しているかどうかを検証する。

そして今、米国の出店者に対して2020年9月1日までに業者の名前と住所をプロフィールに記載しなければならないと伝えている。この変更によって、詐欺との戦いや偽物を巡る訴訟がやりやすくなる。消費者は、商品に問題があったり、売り手に連絡を取りたいとき、さらには自身で訴訟を起こす場合などにも住所を知ることができる。

新システムが有効になると、Amazon.comの売り手ページには、業者に関する詳しい情報が表示されるようになる。以下のMarketplace Pulseの画像で、英国と米国の出店者のページを比較してみることかできる。

画像クレジット:Marketplace Pulse

同社は声明で、この変更はシステムの一貫性を保ち、オンライン詐欺を防ぐためであると語った。「当社は過去数年にわたり、出店者が自らについてより多くの情報を公開する方法として、売り手のプロフィールページやブランドオーナーの『Store』(ストア)ページ、Handmade(ハンドメイド)の 『Maker Profile』(メーカープロフィール)ページを利用する方法を開発してきた」と広報担当者は語った。「こうした機能によって、買い手は売り手の事業や製品をもっとよく知ることができる。9月1日から、Amazon.comの販売者のプロフィールページには名前と住所を表示することで売り手情報の一貫性を保ち、顧客が情報に基づく購入判断をできるようにする」。

画像クレジット:Lisa Werner / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazonプライム・ビデオにユーザープロフィールが加わる、子供用含め最大6人ぶん

以前からストリーミング・ビデオの定番となっている機能、ユーザープロフィールがやっとAmazonプライム・ビデオに設定できるようになった。プロフィールが作れればプライム・ビデオのユーザーは自分のウォッチリストや個人向けにカスタマイズされたオススメにアクセスできる。またNetflixのような主要なライバルと同様、プロフィールで自分の視聴履歴を確認できるようになる

ユーザーはAmazonアカウントをベースにしたプライマリプロフィールに加え、子供用のプロフィールも作成できる。プライマリープロフィールと大人用、子供用を組み合わせて一世帯で最大で6種類のプロフィールが作れるようになった。

Amazonのプライム会員は新しいプロフィールをiOS、Android、Fireタブレット(Gen 10以降)、Fire TVで利用できる(他のWi-Fiデバイスのプライム・ビデオ・アプリでも利用可能)・

 

今年に入ってプライム・ビデオのプロフィールのテストが開始されたことはNDTVが報じていたが、今回は正式な機能として発表された。実はAmazonはこの機能もまずインドとアフリカで公開していたが、いよいよ米国を含む全世界のユーザーが利用できるようになったわけだ。

「子供向け」で設定されたプロフィールの場合、対象年齢を12歳以下としたにコンテンツのみ視聴できる。検索や候補もフィルタリングされ子供向けのタイトルだけ表示される。
また子供向けプロフィールからはコンテンツの購入はできない。

一方、大人のプロフィールではプライムビデオのタイトルやチャネル、ライブ配信コンテンツ加え、購入、レンタルを含めてすべてのプライムビデオコンテンツをプライマリアカウントから視聴できる。

両親がアカウントにペアレンタルコントロールを設定して、リビングのテレビなどの共有デバイスでコンテンツにアクセスできないようにしたいなら、そのような設定も可能だ。この場合、閲覧は制限されるが、両親は現在と同様、PINコードを入力してコンテンツを再生することができる。

両親はプライム・ビデオの設定で制限を有効にして子供たちが大人のプロフィールを使って購入するのを防止できる。この場合にも購入手続きの完了にはPINコードの入力が必要になる。

子供向けプロフィールの動作は、スマートフォンやタブレット端末などのモバイルデバイスでは異なる部分がある。モバイルのプライム・ビデオでは子供向けプロフィールからも大人のプロフィールのダウンロードにアクセスできる。これはデバイスがオフラインになった場合でもプロファイルの切り替えができるようにするための仕様のようだ。

さらに、AmazonプライムのAmazon Householdでウォレット共有を有効にした場合、プライム・ビデオは家族ユーザーのプロフィールを自動的に作成する。このプロフィールはプロフィールの管理から無効にできるが、一度オフにすると再度有効にすることはできないので注意。

2011年にスタートしたというのに,ユーザープロフィールが設定できなかったのはプライム・ビデオで最大級の欠陥だった。 多数のユーザーがこの機能の追加を要望していた。

現在、各種のビデオストリーミングサービスでは、ライブラリ、お気入り、ユーザーの視聴履歴に基づいたお勧めなど各種のツールを揃えてユーザー体験の向上を競っている。これまでプライム・ビデオはこうしたニーズを無視し、家族アカウントではメンバー全員が単一のアカウントを共有するしかなかった。つまりAmazonにとってプライム・ビデオはAmazonプライムのオマケであり、Netflix、Hulu、Disney+のようなストリーミング専門サービスのライバルとは考えていないのだろうとユーザーは感じていた。

今回のアップデートでついにこの問題が修正されたのは、最近リリースされたHBO Max、NBCU、また近く登場するPeacockなどビデオストリーミングの市場に多数の有力ライバルが参入してきたためだろう。

Amazonは「プロフィールl機能はまだ全ユーザーが利用できるようになっていない」と注意している。この機能は順次公開が進められているので現在利用できなくても数日で利用できるようになる。

画像:Amazon

【Japan編集部追記】7月9日早朝時点で訳者の環境では日本のAmazonプライム・ビデオではまだプロフィールは表示されない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Amazonプライムビデオに共同視聴機能「ウォッチパーティー」が登場

Amazon Prime Video(アマゾン・プライムビデオ)は、米国のPrimeメンバー向けに共同視聴機能を提供することを6月29日に発表した。”Watch Party”(ウォッチパーティー)機能は、Primeメンバーなら追加料金なしで利用可能で、同じ時間にホストのアカウントに同期して再生されるビデオを参加者が一緒に見ることができる。

共同視聴セッションのホストは、Watch Partyの開始、停止、一時停止が可能で、その操作は参加者全員のデバイスと瞬時に同期される。

1つのセッションには最大100人が参加できる。参加者もPrimeメンバーで、米国内で視聴している必要がある。

ビデオの再生中、ユーザーはチャット機能を通じて他の参加者と文字と内蔵の絵文字で交流できる。

Watch PartyはデスクトップのPrime Videoでまず提供され、Prime Video SVOD(サブスクリプション・ビデオ・オンデマンド)カタログにある数千タイトルに対応している。この中にはPrimeに入っているサードパーティー製コンテンツの他に、”Fleabag”、”The Marvelous Mrs. Maisel”、”トム・クランシーのJack Ryan”、”HANNA”、”ミンディ・カリングのLate Night”、”ドナルド・グローヴァーのGuava Island”、”Troop Zero”、”The Big Sick”、”The Boys”、”Homecoming”、”My Spy” などのAmazonオリジナル作品も入っている。

レンタルまたは購入専用のタイトルは現時点ではWatch Partyで利用できない、とAmazonは言っている。

Watch Partyを使うには、Prime Videoのデスクトップウェブサイトで、映画や番組ページに新しく登場したWatch Partyアイコンをクリックする。するとリンクが表示されるので、友達や家族に送る。受け取った人はリンクをクリックしてWatch Partyに参加してチャットできるようになる。

Amazonはこの新機能を、Prime Videoのネイティブな体験として開発したと言っている。

Amazonはストリーミングサービスとして最後に共同視聴を提供した会社だ。共同視聴は新型コロナパンデミック禍で人びとの家で過ごす時間が増えたことで人気の高まった。

新型コロナによる都市封鎖で在宅を強いられた米国で、ブラウザー拡張機能のNetflix Party(ネットフリックス・パーティー)がバイラルに広がった。まもなく、あらゆるストリーミングサービスがこの方法を欲しがった。たとえばHBOはブラウザー拡張機能メーカーのScenerと提携して、最大20人と共同視聴できる「バーチャル・シアター」体験を提供した。

その後Hulu(フールー)が、独自の共同視聴機能をHulu.comの “No Ads”(広告なし)メンバー向けに提供した。ストリーミングサービス運営のPlexa(プレクサ)も共同視聴機能を同じ頃に提供開始した。

実はAmazonは、一部のPrime Videoタイトルを共同視聴する方法をすでに提供している。同社のゲーム・ストリーミングサイトであるTwichは、70本以上のPrime Videoタイトル向けにWatch Partyを今春導入した。今回Prime Videoがネイティブに対応したことで、多くのタイトルを利用できるようになり、将来他の市場でも展開する可能性が生まれた。

AmazonはWatch Partyの将来計画についてコメントしていない。今後のロードマップについて聞かれた同社は、顧客に提供できる状態になったら機能を提供する、とだけ答えた。

画像クレジット:Amazon

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AWSのAIによるコードレビューとパフォーマンスツールのCodeGuruが一般公開へ

AWSは米国時間6月29日に、コードレビューツールであるCodeGuru一般公開を発表した(Amazonリリース)。2019年12月に開催されたAWS re:Inventでプレビューをローンチした(未訳記事)。このツールセットは、機械学習を利用してバグを見つけ、また最適化のアドバイスを行う。

CodeGuruを構成する2つのツールであるReviewerとProfilerは、その名のとおりのツールだ。AWSのチームはReviewerを作るために、GitHub上の1万あまりのオープンソースプロジェクトのコードと、Amazon(アマゾン)自身の内部的なコードベースのレビューでアルゴリズムを訓練した。

今回の発表で同社は「アマゾンのような大きな企業でも、毎日書かれるコードの量は膨大であり、コードレビューに十分な時間を割ける経験豊富な開発者を確保することは難しい。しかも経験を積んだレビュアーでも問題を見逃すことがあり、アプリケーションが顧客の目の前で動き出してからバグやパフォーマンスの問題が現れることもある」と述べている。

CodeGuruを使う開発者は自分のリポジトリに継続的にコードをコミットするが、そのリポジトリはGitHubやBitbucket Cloud、AWS自身のCodeCommitなど何でもよい。CodeGuru Reviewerはそのコードを分析してバグを見つけ、見つかったらバグフィックスを提案する。この過程はすべてコードリポジトリに対して行われるため、例えばCodeGuruはGitHubのプルリクエストを作り、それにバグやフィックスに関する情報をコメントとして付けたりする。

機械学習のモデルを訓練するためにユーザーはCodeGuruにフィードバックを送れるが、それは主に「よい(thumbs up)」と「だめ(thumbs down)」だけだ。

CodeGuru Application Profilerは、目的がやや違う。それはコード中の非効率と思われる部分や、無駄なコードを探し出す。このツールはAWSのLambdaやFargateのようなサーバーレスのプラットフォームもサポートする。

最初に発表されたCodeGuruに後から加わった機能の1つとして、Profilerは最適化されていないコードに対して、その損失をUSドルの金額で表示する。

Amazon Machine Learningの副社長であるSwami Sivasubramanian(スワミ・シバスブラマニアン)氏は、発表で次のように述べている。「顧客は常に大量のアプリケーションを開発して動かしており、それらには何百万行ものコードが含まれている。それらのコードの品質と効率性を確保することは極めて重要だ。バグやほんの数行の非効率なコードでも、とても高くつくことがある。しかし今日ではコードの品質を見分ける方法には時間もかかり、手作業で行われているため大規模で行うとエラーも多くなる。CodeGuruは、Amazonの長年のアプリケーション開発とデプロイの経験に機械学習の専門的能力を組み合わせて、ソフトウェアの品質を改善しアプリケーションのパフォーマンスの向上と、無駄なコードの排除でお客様に喜んでいただけるだろう」。

AWSによると、すでに多くの企業がプレビューの期間にCodeGuruを使い始めている。AtlassianやEagleDream、DevFactoryなどの企業も含まれている。

Atlassianのエンジニアリング、テックチームのトップであるZak Islam(ザック・イスラム)氏は、次のように語っている。 「私たちの開発チームが行うコードレビューは、バグの未然の発見では良い仕事をしているが、強いストレスがあるときや、複雑な構造のデータを管理するときのシステムの振る舞いの予見をいつでもできるとは限らない。私たちのように毎日複数のデプロイが行われているところでは、なおさらだ。しかし完成コードに異変が生じたときでも、Amazon CodeGuruの継続的プロファイリング機能があれば、調査に要する時間を数日から数時間へ、数分へ減らすこともできる。現在では弊社のデベロッパーたちはエネルギーを、他社製品との差別化に注ぎ込むことができ、問題の調査に費やす時間をかなり減らすことができた」。

画像クレジット:AWS

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ドイツのアマゾン倉庫作業員が新型コロナをめぐってストライキを実施

ドイツのAmazon(アマゾン)の倉庫労働者は今週、従業員の間で新型コロナウイルス(COVID-19)の感染を起こしている状況に抗議するため、48時間のストライキを実施する(Reuters記事)。ストライキは米国時間6月29日月曜日に6カ所の倉庫で始まり、火曜日の終わりまで続く予定だ。

労働者の新型コロナウイルスの感染率を公表しなかったことで、アマゾンは国際的な批判を浴びているが、ベルリンを拠点とする労働組合Verdi(Vereinte Dienstleistungsgewerkschaft/German United Services Trade Union)の代表は、中央ドイツのBad Hersfeld倉庫の「少なくとも30から40人」の労働者が新型コロナウイルスに感染したと認識していると語った。

他にもコブレンツ、ライプツィヒ、ラインベルク、ヴェルネなどの工場でストライキが行われる。ドイツはアマゾンにとって最大の非米国市場であり、労働者の抗議行動でもかなりの割合を占めている。ストライキは2018年と2019年のPrime Daysに計画されたが、新型コロナウイルスの大流行は同社にとって新たな課題となっている。

関連記事:アマゾンの社員が新型コロナ下における労働条件でさらなる抗議活動を計画

最近の他の批判と同様に、アマゾンは労働条件が安全ではないという指摘を否定し、新型コロナウイルス関連の様々な取り組みを表明した。

「当社の従業員の大多数は参加しておらず、顧客の注文に影響はない。ドイツにいる1万3000人以上の正社員のうち8000人以上が5年以上在籍しているという事実は、当社が公正な雇用者であることを証明している」と、広報担当者はTechCrunchへの声明で述べた。「労働組合が要求するすべての条件は、すでに実施されている。同等の仕事に支払われる賃金の上限、キャリアに関する機会、安全な労働環境などだ。実際には2020年6月末までに、新型コロナウイルス関連の取り組みに世界で約40億ドル(約4300億円)を投資し、顧客に製品を届け、従業員の安全を確保している」。

米国ではアマゾンは新型コロナウイルスへの対応でメディアや政治家から批判を受けており、その中には同社の政策に批判的な複数の従業員の解雇も含まれている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

最新のモバイルアプリには変革が必要だ

1週間の振り返りニュースへようこそ。先週、私はApple(アップル)のApp Storeに対する論争について取り上げたが、今週はアプリが将来は基本的にどのように見えるかについて、アップルのWWDCの発表が投げかけた材料をもとに再び議論したい。

大いなる変革

今月アップルのApp Storeに関しては、開発者たちがアプリの収益化方法の変更を要求するという論争が起きていた。一方先週アップルがWWDCでそのオペレーティングシステムの次のバージョンを詳しく説明したことによって、サードパーティのアプリ自身が根本的に変革される余地があることを、同社が確信していることが明らかとなった。

先週のWWDCで、アップルはApp Clips(アップ・クリップス)を発表した。これはサードパーティアプリのアイデアをわずか1つまたは2つの機能にさくっとスケールダウンするというコンセプトだ。ユーザーは、URL、NFCタグ、またはビジュアルコードを介して、App Clipsを素早く呼び出すことが可能で、適切なコンテキストが発生したときにダウンロードされる。多くの点で、これは開発者により多くの制限を課すことになる、また別の通知タイプに過ぎないが、その背後に横たわるのは、オペレーティングシステム自体の内部へ、サードパーティ統合を推進するというアップルの継続的な関心に従う考えだ。

私たちは個々に独立したアプリのパラダイムを長い間使って来たものの、アップルがARグラスなどの将来のプラットフォームについて考えている中で、グリッドに並べられたアプリがあまり効率的でないことが明らかになった。同社はこのことを、Apple Watchを通してかなりゆっくりと学習したが、サードパーティのエクスペリエンスが専用の独立したプラットフォームとして与えられるよりも、定番アプリを補助するもののように感じられたほうがずっと良い場合がある。Apple Watchにとって、コンプリケーション(時計フェイス上にアプリを配置する機能)は極めて重要なものだが、このことが改めて明らかにしたのは、スクリーンの大きさが限られているデバイスの上で、アプリ開発者がデバイスメーカーと競い合うのは不利だという事実だ。

アップルは、アプリの販売方法や発見方法だけでなく、アプリの基本的な動作方法を決定する、大きな裁量の余地を持っている。同社がiOSの内で、コンテキストにより柔軟に対応したサードパーティエクスペリエンスに興味を持っていることは明らかだ。iOS 10のiMessage内に埋め込まれた内部アプリストアの登場は、これを最も積極的な形で実装したものだったが、その動きに対するフォローアップは、極めて軽いままだった。これを他の定番アプリに拡張して、サードパーティの調整によって製品を強化することもできたはずだが、そうするためには同社は自分が十分満足していないエクスペリエンスを出荷することに対する抵抗を乗り越えなければならなかっただろう。

ホーム画面上にグリッド状に並べられたアプリケーションのアイデアは、ユーザーにとって必ずしも効率的であるとは限らない。App Storeが同社にとっての莫大な収益である一方で、アップルはそのエクスペリエンスを合理化する方法について、ずっと考え続けていることは明らかだ。Widgets(ウィジェット)とApp Clipsは、ユーザーをアプリの実際の機能に集中させることになる。そして、私はそれが開発者にとって本当に良いことなのかどうかに興味がある。私の想像では、ユーザーがこうしたひと口サイズのエクスペリエンスの利用に費やす時間が長くなるほど、ユーザーがこれらのアプリを本当にクリックする時間は短くなり、持続可能なプラットフォームを構築する開発者の機会を減らすことになるのではないかと思う。

こうしたミニチュア体験は、中国で長年支配的だった手法に対して、アップルが開発者を促すことになる。WeChatのミニプログラムネットワークは、米国に存在するものとはまったく異なっている。その意味でWeChatは長い間、欧米の企業に影響を与え、その興味を引きつけてきた。モバイルにおけるサードパーティ統合の形式を再考する努力は、何年にもわたって行われてきたものの、アプリストアからダウンロードされたアプリのコア機能を置き換えることに成功したものはほとんど存在していない。

アップルがこの道を進もうとしたときに、大いなる脅威に晒されるかどうかは不明だ。Facebookの場合は、Cambridge Analyticaの余波で開発者プラットフォームの野望を大幅に縮小してしまい、おかげで開発者が大きな被害を被ってしまったので、何かをすぐに始めるには、Facebookは不利な立場にいるようだ。例外はFacebook Messengerだが、そのチームは数年前の失敗したチャットボットの取り組みを乗り越える必要がある。今月初めに、SnapはSnapchatのチャットセクションに軽量アプリを統合することを発表した。この機能は、ほんのひと握りのサードパーティのエクスペリエンスで開始され、Snapchatがミニゲームのランチャーを提供する場所と同じセクションに統合された。

App Clips、Widgets、Siriサジェスチョン、さらに多くのより細かい機能は、アプリのエクスペリエンスを、デバイスの中心に近付け、アプリグリッドの外に引き出して利便性の核に近付けるための、より積極的な取り組みのビジョンを描き出している。アップルが、サードパーティの統合へのアクセス方法の最前線のコンテキストを支配する中で、同社はどれくらい開発者たちを遠ざけることなく、将来のビジョンへと駆り立てることができるだろうか?

関連記事:アプリの一部機能をオンデマンドで提供するiOS 14のApp Clipsはダウンロードという高いハードルを取り去る

amazon zoox

トレンド

AmazonがZooxを買収
Amazon(アマゾン)は自動運転自動車業界に参入した技術大手の最新企業だ。同社は米国時間6月26日に、自動運転車のスタートアップZooxを買収することを発表した。同社はこれまでに約10億ドル(約1070億円)を調達しており、Financial TimesによればAmazonは同社を12億ドル(約1290億円)で手に入れたと報じられている。

MicrosoftがMixerを閉鎖(未訳記事)
アマゾンのTwitchを打ち倒す競争は、今週Microsoft(マイクロソフト)がゲームストリーミングレースから身を引き、TwitchのライバルであるMixerを閉鎖したことを発表したために、ますます興味深いものとなった。このサービスは後発ではあったが、同社が世界のトップゲーマーの独占ストリーミング権利を取得することで、遅れを挽回することを目指していた。どうやら、それだけでは不十分だったようだ。

FacebookがOculus Goを殺す
先週私は、Facebookが自身で販売している、最も安価なVRデバイスである149ドル(約1万6000円)のOculus Goヘッドセットを、どのように殺そうとしているかについて書いた。このデバイスはすでに数週間売切れ状態だが、Facebookがこの先アップデートがあることを以前の声明の中でほのめかしていたことを思うと、この2歳のデバイスを廃止したことは驚きだ。

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(翻訳:sako)

アマゾンが配車サービス向け自動運転のスタートアップ「Zoox」を買収

Amazon(アマゾン)は、米国時間6月26日に2014年創業の自動運転スタートアップZoox(ズークス)を買収することを発表した(Amazonリリース)。Zooxはこれまで約10億ドル(約1070億円)を調達し、配車サービス向けのフルスタックソリューションを提供するために、車両を含む自動運転技術を開発することを目指してきた企業だ。

アマゾンの発表によれば、Zooxは独立したビジネスとして存続し、現在のCEOであるAicha Evans(アイシャ・エバンス)氏もCTOで共同創業者であるJesse Levinson(ジェシー・レビンソン)氏とともにその役割を継続する。リリースノートにはまた、彼らの会社の全体的な使命も同じだと記されている。 Financial Timesの報告によると、この取引は12億ドル(約1290億円)相当で行われたという

The Wall Street Journalは2020年5月末の段階で、アマゾンはZooxを潜在的な買収ターゲットとして検討しており(未訳記事)、その取引がより進んだ段階に達したと報じていた。

Zooxは、自動運転業界で最もお金がかかる道の1つを選択した企業だ。自動運転機能を提供するためのソフトウェアやAIとともに、目的に合った自動運転の乗用車をゼロから構築することを目指している。Zooxはこの1年間でいくつかの目立ったコスト削減を行っており、2019年初めにインテルからCEOのエバンス氏を迎え入れた(未訳記事)。これは彼女の経験を商用化に向けた動きに役立てたいという思惑からだろう。

アマゾンのような資金に余裕のあるオーナーを得たことで、Zooxはその主たるライバル である Waymo(ウェイモ)に遅れを取らないような力を得ることができるに違いない。ちなみにWaymoは、Google(グーグル)の自動運転車プロジェクトとして始まり、現在ではGoogleのオーナーであるAlphabet(アルファベット)がオーナーである。

アマゾンは、独自の自動運転車両技術プロジェクトに取り組んできた。これには、小さなパッケージを顧客の家に運ぶようにデザインされた6輪の歩道走行ロボットのようなラストマイル配送ロボットなども含まれている。 同社は自動運転のスタートアップ企業であるAurora(オーロラ)にも投資しており(未訳記事)、また自動運転貨物車のスタートアップEmbarkの自動運転トラックのテストも行ってきた

アマゾンによれば、今回のZooxの買収は特にスタートアップの「自動運転配車のビジョンの実現」を支援することを目的としているため、アマゾンの荷物配送業務に直接焦点を当てていないようだ。しかしZooxがゼロから開発した技術、例えば特に自動運転利用のために開発されたゼロエミッション車などの技術は、アマゾンの業務に簡単に転用することができる。

その一方で、Zooxが本気で配車サービスに留まり続けた場合は、アマゾンはまったく新しい市場を開く可能性が出てくる。自動運転技術が成熟した暁には、UberやLyftと真っ向勝負を行う存在になるだろう。

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(翻訳:sako)

アマゾンがスタジアムを「Climate Pledge Arena(気候の誓いアリーナ)」に改名、環境への無関心さ非難を受けて

おそらく最も邪悪なテック企業の筆頭格であるAmazon(アマゾン)は、業界を統合する利益追求マシンとしてのイメージを回復させるに、長い道のりが必要だ。

そのための大胆な取り組みとして、アマゾンは米国時間6月25日にシアトルで現在再開発中の老朽化したスタジアム「KeyArena」の権利を購入すると発表(Instagram投稿)した。アマゾン創業者でCEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は、このスタジアムを「世界初のネットゼロカーボン認証を受けたアリーナになる」と豪語している。

「気候変動対策の必要性を定期的に思い起こさせるために、Amazon Arenaと呼ぶのではなくClimate Pledge Arenaと命名した」と、ベゾス氏はInstagram(インスタグラム)に投稿している。

他にも、気候問題に関する説明責任の欠如に抗議してアマゾンの従業員がストライキをしたり(npr記事)、石油・ガス会社(Gizmodo記事)との親密な関係や、一日に何度もアマゾンの配送車が同じブロックで荷物を降ろしているのを見ることは、気候対策が緊急であることを定期的に思い知らせてくれる。

アマゾンはこれまでの環境問題に対する無関心さへの批判を受けて、環境に優しい広報活動の一環として、同社の膨大な二酸化炭素排出量を削減するための持続可能な取り組みに20億ドル(約2100億円)の投資を行うことを今週初めに発表した(未訳記事)。

ベゾス氏自身も2020年2月に、個人資産のうち100億ドル(約1兆1000億円)を気候変動対策基金に投資すると発表したが、これは労働者や環境、その他のものを犠牲にして、普通の人には理解できないほどの富を蓄積した中でできることでも、おそらく最低限の活動だろう。

関連記事:ジェフ・ベゾス氏が1.1兆円の気候変動対策基金を設立

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

AWSのノーコードツール「Amazon Honeycode」はなぜ生まれたのか?

米国時間6月24日、AWSはAmazon Honeycode(アマゾン・ハニーコード)を リリースした。これはAmazon(アマゾン)クラウドサービスへのちょっとした迂回路を提供する、スプレッドシートのようなインターフェースを中心に構築されたノーコード環境だ。

結局のところAWSの目的は、開発者にアプリケーションを構築するために必要なすべてのツールを提供することだが、最終的には開発者がすべての要素を組み合わせなければならない。

一方でHoneycodeは、基本的な業務アプリケーションを開発したい非プログラマーにアピールすることを目的としている。もしスプレッドシートの操作方法を知っていて、それをアプリにしたい場合には、Honeycodeが要求に応えてくれるだろう。

このサービスの背後にあるAWSの動機を理解するために、AWSのVPであるLarry Augustin(ラリー・オーガスティン)氏とAWSのゼネラルマネージャーであるMeera Vaidyanathan(ミラ・ベイディアネイサン)氏に話を聞いた

「私たちにとって、これはAWSのパワーをお客さまの中のより多くのユーザー方々に拡大することなのです」とオーガスティン氏は説明する。「私たちはお客様から、常に解決したい課題があるのだという声を聞いています。そうしたお客様は、ご自身のITチームや、アウトソーシングを含む他のチームに対して、その課題を解決するアプリケーションの開発を任せたいとお考えです。しかし、問題はそれを解決できる開発者の数よりも、カスタムアプリケーションへの要求数の方が、とにかく上回っているということなのです」と続ける。

画像クレジット:Amazon

そうした点ではHoneycodeの背後にある動機は、Microsoft(マイクロソフト)がPowerAppsローコードツールで行っていることとそれほど異なっているわけではない。PowerAppsも結局のところ、Azureプラットフォームを必ずしもフルタイムの開発者ではないユーザーに開放するものなのだ。しかし、AWSはここでは少しだけ異なるアプローチをとっていてHoneycodeのノーコードの部分を強調している。

「Honeycodeに対する私たちの目標は、ビジネスの中心で基幹業務に関わる人、ビジネスアナリスト、プロジェクトマネージャー、プログラムマネージャーといった人たちが、自分たちの問題を解決できるカスタムアプリケーションを、コードを書く必要なく、簡単に作成できるようにすることでした」とオーガスティン氏は語る。「それが重要な要素でした。コーディングは必要とされていないのです。そこで私たちは、出発点として多くの人々がなじみのあるスプレッドシートのようなインターフェースを提供することで、それを実現することを選択しました」。

多くのローコード、ノーコードツールたちは、開発者に「コードに逃げ込む」(オーガスティンの言葉)ことも許すが、それはここでは意図されていない、例えばHoneycodeからコードをエクスポートして他の場所に移動するためのメカニズムは存在していない。

「Honeycodeを開発しているときに、私たちの心をよぎったのは、ああ、もし人々にやりたいことがあって、私たちが彼らにコードに逃げ込むことを許すことでそれ実現できるようになるのならという考えでした。私たちは何度も振り出しに戻って『うーん、じゃあどうやってコードに逃げ込むことを強制せずにそれを可能にできるのだろう』という問に答えようと努力し続けたのです。そこで私たちは、コードに逃げ込むことなく、大きな力を人びとに与えたいというマインドセットへと、自分たちを真剣に追い込んだのです」と彼は述べた。

画像クレジット:Amazon

とはいえ、経験豊富な開発者が他の場所からデータを取り込むためのAPIは用意されている。オーガスティン氏とベイディアネイサン氏は、企業たちがプラットフォーム上のユーザーのためにこれを行うか、AWSパートナーがこれらのインテグレーションを作成することも期待している。

ただし、こうした制限があったとしても、かなり複雑なアプリケーションを作成できるとチームは主張している。

「私たちはAmazon内で、さまざまなアプリを構築している多くの人々と話し合ってきました。そして私たちのチームの中でさえ、私は正直に言えば、まだ不可能だと思える事例に出会ったことはありません」とベイディアネイサン氏は言う。

「複雑さのレベルは、あなたがビルダー(構築者)としてどれくらいの専門家であるかどうかに本当に依存していると思います。アプリの中でデータを特定の形式で表示しようとすると、(スプレッドシートの中に)非常に複雑な式が現れることがあります。そして、決して作り話ではありませんが、入れ子に入れ子がひたすら重なって30行にも及ぶ複雑な式を書く人を見たこともあります。ですから、それはビルダーのスキルに依存していると私は本当に思っています。また、一度Honeycodeでビルドを開始すると、私自身もそうですが、単純なものから始めてだんだんと野心的になって、このレイヤーを追加したい、そしてあんなこともしたい、という具合になることに気が付きました。それは本当に私が目にしてきた、ビルダーたちの進歩の旅なのです。たった1つのテーブルと2、3の画面から始めて、意識しないうちに、ニーズに合わせて進化し続けるはるかに堅牢なアプリが得られるのです」。

Honeycodeを際立たせるもう1つの機能は、スプレッドシートがユーザーインターフェイスの中央に配置されることだ。そうした点からは、このサービスはAirtableのように見えるかも知れないが、その先それぞれのスプレッドシートがまったく異なる方向へ向かっていくことを考えると、見かけ上の比較は意味がないと思う。Retoolも比較の観点からも眺めてみた。こちらの方がより意味のある比較だと思う。しかしRetoolが相手にしているのはもっと高度な開発者であり、コードを隠すこともしない。とはいえ、これらのサービスがスプレッドシートを中心に構築されたのには理由がある。それは、誰もがそれらの使用方法に精通しているからだ。

「人びとは何十年もの間スプレッドシートを使用してきました」とオーガスティン氏は語る。「誰でも良く知っています。また、非常に複雑で、深く、非常に強力な式を記述して、とても強力なスプレッドシートを作成することができます。Honeycodeでも同じことができるのです。人びとがその比喩に十分に精通していることを私たちは感じたので、それをアプリに変える能力とともに、そのフルパワーを彼らに与えることができたのです」。

チーム自身もHoneycodeのリリースを管理するために、そのサービスを利用しているということを、ベイディアネイサン氏は強調した。そして製品名を投票するためにも用いたことも(ベイディアネイサン氏とオーガスティン氏は他にどんな候補があったのかは明かしてくれなかったが)。

「AWSの力を引き出し、それをプログラマーではない人びとの手に渡せるという点で、私たちはある意味、本当に革新的な製品を手に入れたのだと思います」とオーガスティン氏は語った。

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(翻訳:sako)

倉庫搬送ロボ開発の中国Geek+が約210億円調達

Amazon(アマゾン)のKivaに似た倉庫搬送ロボットを製造する、北京拠点のスタートアップであるGeek+は、米国時間6月18日の木曜日、シリーズCの資金調達ラウンドで2億ドル(約210億円)以上を調達したと発表した。

これにより、5年前に設立された同社がこれまでに調達した資本金の総額は約3億9000万ドル(約420億円)となった。新ラウンドは2回に分けて行われ、2019年夏にはGGV CapitalとD1 Capital、そして今年初めにはV Fundがリードした。他の出資者にはWarburg Pincus、Redview Capital、Vertex Venturesが含まれている。

同社は物流にあわせたロボティクスソリューションの開発、サービスとしてのロボットの収益化モデルの強化、パートナーシップの拡大を今後も進めていくとしている。

Geek+は中国のロボットソリューションプロバイダーとして、世界で1万台以上のロボットを展開しており、20カ国以上の300社の顧客とプロジェクトにサービスを提供している。

先月、Geek+は北米で事業を展開するオーダーフルフィルメント&ディストリビューションセンターシステムインテグレーターであるConveycoとの提携を発表(未訳記事)し、同社の自律型移動ロボット(ARM)を北米大陸で販売すると発表した。この事業を率いるのは、以前にはアマゾンでKivaロボティクスシステムの機械工学を監督した、米国地域担当COOのMark Messina(マーク・メッシーナ)氏だ。

Geek+の野心的な海外進出は、中国のテクノロジー企業のボイコット(米国務省プレスリリース)を求めるトランプ政権からの継続的な圧力の中で起きた。同社の地元では、Geek+はAlibabaSuning(いずれもGeek+のプレスリリース)のような小売大手と密接に連携し、倉庫での人力によるピッカーの代わりを務めている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アマゾンは倉庫で働く従業員の社会的距離確保にARを利用している

少なくとも外から見るかぎり、Amazon(アマゾン)の新型コロナウイルス(COVID-19)対策はちぐはぐだった。いろいろな報道に登場する同社は、ウイルスの拡散を抑えるためにあらゆる努力をし、特に同社にとって欠かせない労働力である倉庫の従業員たちの罹患防止に努めているはずだ。しかし一方で、各州の司法長官や上院議員、その他の議員たちは同社の労働条件や感染率、そして複数の内部告発者の解雇について詳しい情報を要求している。

最近の同社は、新型コロナウイルス対策として倉庫の中で行われていることを少しずつ開示している。米国時間6月15日朝、同社は倉庫の労働者たちがWHOの指定する6フィート(約182cm)のソーシャルディスタンスを維持するための「Distance Assistant(ディスタンスアシスタント)」というシステムを披露した。

すでに一部のフルフィルメントセンターで導入されているこのARシステムについて、アマゾンの副社長でロボティクスのトップであるBrad Porter(ブラッド・ポーター)氏が説明した。「このスタンドアローンのユニットは、機械学習モデルを利用して人々とその環境を区別する。奥行きセンサーも利用して、メンバー間の正確な距離を測定する。人がカメラの前を通ると、モニターにはメンバーたちがそれぞれ6フィート以内にいるか、いないかが視覚的にオーバーレイで表現される。他の人と6フィート以上離れている人にはグリーンの円が付き、近すぎる人には赤い円が付く」。

画像クレジット:Amazon

このシステムは、50インチのモニターに表示される。センサーの反応は触覚型ウェアラブルのように瞬間的ではない。システムの目的は、円の色によって従業員たちが正しいソーシャルディスタンスを意識し、維持してくれることにある。

ウェアラブルデバイスやカメラによる追跡には、プライバシーのトレードオフがつきものだが、初期テストのフィードバックが好評だったため、今後数週間以内にアマゾンのさまざまな建物に数百台を導入するとのことだ。

「これは、過去数ヵ月間に出てきたさまざまなアイデアのひとつだ。私の同僚たちは熱心なので、これが最後ではないでしょう。社員の健康と幸福がほど重要なものはありません。これからも従業員の安全をできる限り保つためのイノベーションに励みたい」とポーター氏はいう。

画像クレジット:Amazon

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトは警察には顔認証技術を売らないと公言

Microsoft(マイクロソフト)は、IBMAmazon(アマゾン)との協議を通じて、少なくともより厳しい規制が設けられるまでは、顔認証技術を警察が利用することに反対する立場を固めた。

今朝、ワシントンポストのライブイベントで行われたリモートインタビューで、マイクロソフト社長のBrad Smith(ブラッド・スミス)氏は、同社のテクノロジーを適切に使用するための「原則的立場」を、同社はすでに取っていると話した。

「私たちが導入した原則に従い、私たちは顔認証技術を、現在の米国の警察署には売らないことにしました」とスミス氏。「しかしこれは、もっとよく知り、もっとよく学び、もっと行動せよと私たちが呼び掛けられている時期なのだと、私は強く思っています。それを受けて私たちは、人権に基づいてこの技術を管理できる国法が制定されるまで、米国の警察署には顔認証技術を販売しないことを決断しました」。

さらにスミス氏は、この技術を「他のシナリオ」で使用する場合の管理に用いる新しい「審査要素」を追加するとも話していた。

ワシントンポスト・ライブ:マイクロソフト社長ブラッド・スミス氏は「人権に基づく」国法が制定されるまで、同社は顔認証技術を今の米国の警察署には売らないと語った。

George Floyd(ジョージ・フロイド)氏殺害を受けて発せられたこうしたコメントは、米全国、そして全世界での抗議活動を招き、人種間の平等や法執行に関する幅広い議論を促す結果となった。

マイクロソフトの立場は、より厳重な規制が施行されたときにこの問題を再検討することを示唆したアマゾンの立場に似ている(ただし、どちらの企業も民主党議員が提出した「警察の正義」法案が警察署によるこの技術の使用を制限できるかに関して、明言は避けている)。双方とも、顔認証技術の販売を全面的に取り止めると発表したIBMほど踏み込んではいない。

ACLU(アメリカ自由人権協会)北カリフォルニア支部のテクノロジーおよび人権担当弁護士Matt Cagle(マット・ケイグル)氏は、このニュースに対して次の声明を発表をした(以下は抜粋)。

「顔認証の開発企業ですら、危険だとの理由でその監視技術の販売を拒否した今、政治家はもう、それによる私たちの権利と自由への脅威を否定できなくなりました。全国の議会と規制当局は、警察の顔認証の使用を速やかに禁止しなければなりません。そしてマイクロソフトなどの企業は、人権コミュニティーと(敵対するのではなく)協力して、それを実現させるべきです。これには、警察の顔認証の使用を合法化し全国の州に広めるための法律の制定を推進する取り組みを中止することも含まれます」。

「これらの企業が、ほんのわずかにせよ、またずいぶん時間がかかったにせよ、ようやく行動に出たことを私たちは歓迎します。私たちはまた、これらの企業に、黒人や有色人種のコミュニティーに不条理な危害を加える監視技術を含む、彼らを過剰に監視する卑劣なアメリカの歴史に永遠に幕を閉じるための努力を強く求めます」。

一方、アムネスティー・インターナショナルは、大量監視のために警察が顔認証技術を使うことを全面禁止するよう訴えている。

関連記事:アマゾンが顔認識技術を地方警察には1年間提供しないと表明、FBIへの提供についてノーコメント

画像クレジット:Riccardo Savi / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)