超巨大なBitcoinマインの内部を見る

Bitcoinのマイニングはきれいな仕事ではない。専用のサーバが大量に要るし、文字通り専用でほかのタスクは動かせないし、冷却用に強力なファンやエアコンが要る。しかし、そんな大型サーバラックが何千も並んでいる光景は、‘きれいでない’を通り越して、もはや醜い。

Motherboardが提供している下のビデオは、中国のLiaoning Province(遼寧省)にあるbitcoinマイン(mine, 鉱山)を取材している。大きな廃工場を利用し、その中では蛇の巣のように大量のワイヤが群をなし、強力な…人が近づくと吸い込まれるという…ファンが回っている。巨大なサーバファームだが、あらゆるスペースにサーバとケーブルがあるでけで、極端に無駄がない。

このサーバファームは全ブロックチェーンの3%を管理している。超難解な問題にこんなに多くの計算機資源が投じられ、何千台ものマシンが一斉に動いている。でもそれらは、bitcoinのトランザクションのごく一部を扱っているだけなのだ。

 

〔訳注: 上のカット写真とこのビデオに写っているサーバファームとは、まったく関係ありません。こんな参考記事もあります。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Bitcoin送金サービスの起業入門

[筆者: Luis Buenaventura]

編集者注記: Luis Buenaventuraは、bitcoinの送金サービスを行っているRebit.phのファウンダでプロダクト担当。同社のオーナー企業はフィリピンのSatoshi Citadel Industriesだ。

国際的な送金業務の扱い額の総額は年間4300億ドルと言われているが、bitcoinがこの産業に与える影響についてはさまざまな議論がある。しかし暗号通貨の最大のメリットは、言うまでもなく、お金を送ることをメールと同じぐらい簡単にできることにある。

そのことが新興市場にもたらす効果は、とてつもなく大きい。たとえば、この市場を構成する国々がbitcoinの利用で実現する送金手数料の節約額は、それらの国の教育予算の額よりも多い。しかし、こんな大言壮語以上に重要なのは、まだほとんど未整備に近いbitcoin送金サービスの、実践的な実装だ。

数字

弊社はフィリピンで操業しているローカルな零細企業だが、フィリピンそのものは送金の額が世界で三番目に大きい国だ*。その額は2013年が260億ドル、2014年の推計が275億ドルで、毎年着実に10億から20億ドルぐらいずつ増加している。フィリピンに次ぐメキシコは2013年に230億ドルを送金したが、最近は合衆国の住宅市場の低迷により減少している。〔*: フィリピンは国外への出稼ぎ労働者がとても多く、出稼ぎ先から本国の家族など宛てに送金される。〕

メキシコとフィリピンは共に、アメリカ合衆国が最大の送金元国だが、全送金額の98%が合衆国からというメキシコに対し、フィリピンでは合衆国からの比率が30%強にすぎない。

詳しく言うと、合衆国からとされている送金額のうち10億ドル近くは、実際に合衆国からの送金ではなく、中東からの送金が合衆国にあるフィリピンのノストロ銀行勘定を経由して送られてきたものだ。250万あまりのフィリピン人が、そのための口座を保有している。さらに今では、カナダ、マレーシア、オーストラリア、日本、イギリスなど世界のおよそ40か国に、それぞれ1万人あまりのフィリピン人の銀行口座がある。

そこで、正確に言うと、メキシコはメキシコ合衆国間という単一の送金回廊に依存しているのに対し、フィリピン人は複数の国の複数の回廊に依存している。送金総額三位、四位のフィリピン、メキシコに対し、一位、二位はそれぞれインド(710億ドル)と中国(640億ドル)だが、この二国の送金状況もフィリピンに似ている。

前提

弊社のような小さなbitcoinスタートアップが、Western UnionやMoneyGram、あるいはRemitlyをすら打ち負かすことは不可能だが、市場の小さな特定部分に対して魅力的なサービスを提供していくことはできる。よく言われるようにスタートアップは、“問題を自分が解決できる最小の問題に絞り込む”ことが重要だ。

また、現時点では通貨としてのbitcoinは市場性があまり良くないため(Bitreserveは別として)、短時間決済というその利点にのみ注目すべきだ。多くのスタートアップは、複数の国に支社支店を持ったり、複数の国で事業を展開するために必要な法的要件や規制へのコンプライアンスを達成することが困難だ。しかしbitcoinが、そんな状況を飛び越えさせてくれる。

そして、送金を頻繁に行う移民〜出稼ぎ労働者などは、暗号通貨にもブロックチェーンにも、そして未来の金融革命にも無関心な人が多いと思われるが、簡単に迅速、安価に送金ができるサービスには関心を示すだろう。

以上を前提とした場合、どんなbitcoin送金ビジネスを構築すべきだろうか?

レシピ

フィリピンのRebit(弊社)やインドネシアのArtaBit、アフリカのBitPesaなどを、“ラストマイルの”*bitcoin送金サービスと呼ぼう。これらのサービスは海外からbitcoinを受け取って、ペソやディナールやシリングに換え、それを国内のさまざまな送金方法を使ってサービスの受益者に引き渡す。受益者は、そのお金がbitcoinで送られてきたことを知る必要はない。でも送金者が安い送金方法を使ったことは、察するだろう。お金を受け取る人はbitcoinの市場価格の変動リスクとは無縁だ。リスクにはサービス側が完全に対応する。〔*: ラストマイル, last-mile, エンドユーザに至近、エンドユーザに接している部分。エンドユーザまでの最後の1マイル。〕

こっちはラストマイルに特化しているので、ほかの国々のbitcoin起業家たちを招待することによって、非公式の回廊が築かれる。香港の顧客は香港ドルをbitcoinに変換してラストマイルサービスへ送りたい、と考える…香港現地の起業家はそのためのサービスを提供することによって、ほどほどの利益を得ることができる。

実は、こういうことはすでに、自然に起こりつつある。香港のBitsparkや合衆国のAlign Commerceなどを初期の例とする“オンランプ”(入り口)企業は、その国の法定通貨を窓口で受け取り、そのキャッシュをバックエンドでbitcoinに変換、そしてそれをフィリピンやインドネシななどなどのオフランプ(出口)〜ラストマイルへ送金する。

こんな地味なサービスのどこが“金融革命”だ?!、と思われるかもしれない。でも、ここで起きていることをよーく見てみよう。世界各国の小企業には、海外との正式なパートナーシップもないし、相互契約も信用関係もない。しかしそんな企業でも、自分たちの顧客のために、国境をまたぐ決済をリアルタイムでできるのだ。これまでそれは、ACH、SWIFT、PayPalといった中央集権的な仲介サービス(コストの高いサービス)がなければ不可能だった。

しかしこのように説明してしまうと、あまりにも単純な過程に見えるだろう。銀行の人ならすぐに、“HKD -> BTC -> PHP”(フィリピンペソ)を理解する。それは現在の標準である“HKD -> USD -> PHP”と何ら変わらない。ドルが、もっと身軽で現代的な通貨に変わっただけだ。

しかし実際には、ここにはもっといろいろな側面がある。

仕組み

基本的には、bitcoin送金スタートアップは要するにブローカーだ。

オンランプ(on-ramps)の事業では、大量のbitcoinにアクセスしてそれらを買わなければならない。bitcoinをオンデマンドで買うことが、変動リスクを避けるための唯一の方法だ。過去12か月の動向が実証しているのは、暗号通貨を備蓄することは健全な金融戦略ではない、ということだ。

ローカルに預金もできて手数料の安い取引所の存在が重要だ。合衆国ではCoinbaseとCircleが筆頭、ヨーロッパではBitstampとKraken、オーストラリアではCoinjarとIndependent Reserve、シンガポールはItbit、中東にはIgot、などなどがある。

オフランプ〜ラストマイルでは、bitcoinを法定通貨で買ってくれるバイヤーが、十分な数必要だ。bitcoinの相場が右上がりならそれは簡単に実現するが、ここ数年は逆方向に動いている。

毎日の送金額が数百BTC(500以下)ぐらいで、顧客に恵まれているブローカーなら、手早い店頭売りで、小さな利益をあげられる。あるいは、とんとんぐらいにはなる。しかしもっと大きな額を扱うようになると、自動化売買ボットで国際的な取引所と対話し、変動リスクを避ける必要がある。

多くの場合、オフランプの方がずっと難しい。オンランプは、良い銀行があり、bitcoinの流動性も良い先進国で営まれることが多いが、オフランプは往々にして、bitcoinのコミュニティが成熟していない国で必要とされる。でも根性のある人にとっては、これは問題というよりも機会だろう。なぜなら、ラストマイルの送金サービスは今後最大の成長が望める分野だからだ。今すでにフィリピンとインドネシアだけでも、50以上の司法単位(≒国)から送金を受け取っている。そういう個々の内向き回廊がオンライン化されるたびに、bitcoinの流入量も急増する。

またオフランプサービスは、その国のさまざまな送金方法に接続する必要がある。たとえばフィリピンは、ATMよりも質屋の数が多い。だから質屋の方が銀行よりも換金の場所として頻繁に利用される。インドネシアでは、銀行と郵便局の組み合わせが、人びとの好む方法のようだ。

インドには、地方の隅々にまで浸透しているハワラ(hawala)という非公式の送金システムがあるので、現金化は宝石店でも旅行代理店でもどこでもできる。インドのbitcoin送金ビジネスが今後、ハワラのブローカー的になるのか、それとも銀行や郵便局のようなフォーマルな形になるのか、見守っていたい。

法律

送金ビジネスは“Money Transfer Operator”(送金–または振替–事業者)に分類され、免許制になっている国が多い。免許取得の費用は国によってまちまちで、合衆国では州別の免許制なので50州全部取ろうと思ったらおよそ50万ドルの出費を覚悟しなければならない。CoinXは、自社の免許取得の現状を誇らしげにホームページのトップに置いている。そのほかの国を見ると、安いのは一部のASEAN諸国の数万ドル、対して中東は100〜200万ドルだ。

マネーロンダリング対策や顧客確認要件は国によって少しずつ違い、またそういう法律に適合するためのコンプライアンス費用が、エンドユーザが払う料金を左右することもある。顧客確認(KYC, Know-Your-Customer)を、クラウドサービスとして提供しているところもあり、それらの料金はかなりリーズナブルだから、コスト的に使いやすい(IdentityMindはbitcoinスタートアップにも力を入れている)。KYCの要件は、厳しい国、緩い国、いろいろだから、担当のお役所に相談するのがいちばんだ。

私たちは今、マラソンのスタートラインに立っている。そしてそのゴールには、全世界で420億ドルの送金手数料の節約がある。

どの国にも、お互いゆるやかに結びついて、互いにあらゆる面で相互運用性のあるbitcoin送金ブローカーたちがいることを、想像してみよう。そのそれぞれが、グローバルなネットワークの上でオンランプとオフランプ両方のサービスを提供しているなら、それはまさに、大型化して完全にリブートしたハワラだ。

そのために、これまでのような中央集権的な仲介業は要らない。各企業が自律的で、bitcoinによる決済をリアルタイムで行う。それでもWestern Unionはなくならないだろうが、bitcoinが無視できない存在になることは確実だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ビットコイン販売所運営のbitFlyer、リクルートやGMO-VPから1億3000万円の資金調達

ビットコイン販売所「bitFlyer」を運営するbitFlyerが、リクルートグループのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)である合同会社RSPファンド5号のほか、GMOVenturePartners、Bitcoin Opportunityを割当先とした総額約1億3千万円の第三者割当増資を実施した。

bitFlyerは2014年5月に立ち上がったビットコインの販売所。「bitWire」と呼ぶ即時送金機能を備えるのが特徴だ。メールアドレス登録だけでビットコインの送付が可能(ただし売買などはできない)なアカウントが提供されるほか、銀行口座や住所などを確認することで、売買や各機能を利用できるアカウントや、1日の取引額の上限を拡大したアカウントを得られる。2014年10月にはGMOグループのGMOペイメントゲートウェイと資本業務提携も実施している。

今回の調達をもとに海外拠点の整備や人材採用を進めてサービス開発を加速するほか、プロモーションを実施するという。割当先はいずれも国内外での投資を積極的に行っており(Bitcoin Opportunityは米国ニューヨークに拠点を置くビットコイン特化ファンドだ)、さらなるグローバル展開を狙っていることがうかがい知れる。


Coinbaseが州の規制に基づく”合法的な”Bitcoin取引所を営業開始

7500万ドルという巨額の資金調達を終えたばかりのbitcoin決済企業Coinbaseが、今週から合衆国で初めての、公的規制の下(もと)でのbitcoin取引所を開設する、と発表した。

先週、ニューヨーク証券取引所とUSAAを投資家に加えた同社は、Wall Street Journalの記事中で、ニューヨークやカリフォルニアなど重要な地域も含めて全米の半数の州から“州の規制下での営業”を認められた、と述べている。とくにニューヨーク州は、州の規制を受け入れないかぎり営業をさせない、と強硬に主張していた

Coinbaseはすでに、世界の19か国で取引所サービスを提供しており、これまで合衆国国内での営業許可や承認を得るのに5か月かかった、と言っている。ユーザは、同社の営業が許可されている州内でないと同社のサービスにサインアップできない。今、そのほかの州でも許可を得るべく、継続的に努力が行われている。

Coinbaseのサービスを利用して取引を行った場合、Coinbaseが0.5%の手数料を取るが、新規ユーザはサービスの使い方に慣れるまでの最初の2か月間、無料だ。

合衆国におけるbitcoinの合法性は、これまでずっと不明確だったが、今回のCoinbaseの新たな位置づけ…州の規制下に入る…により、明確化のめどが立ってきたと言える。

違法な品物なども扱う闇市場Silk Roadに警察の手が入ったため、そこでの決済に多く使われていたbitcoinに対する世間の悪評もやや薄らいだが、しかしそれでも、そのデジタル通貨としての不確実性は、一般大衆の心から消えていない。今月185ドルまで落ち込んだbitcoinの価格は、263ドルまで持ち直しているが、2013年には1000ドルを超えていたのだ。現時点で安定に達しているのか、それも定かではない。

CoinbaseのCEO Brian Armstrongは、途上国市場におけるbitcoinの可能性を探求したい、2015年内にはサービスの対象エリアを30カ国に拡大したい、と言っている。

大型小売企業が相次いでユーザになるなど、2014年はCoinbaseにとってビッグな年だった。今ではOverstockやDell、Square、Mozilla、Wikipediaなどがbitcoinによる支払や寄付を認めている。

P.S.: 本誌TechCrunchは、bitcoinに関するポッドキャストを始めた。実はその最新のテーマも、Coinbaseと同社の7500万ドルの資金調達なのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


2014年にうちが乗らなかった大物投資機会はBitcoinサーバと国産エネルギー

[筆者: Tom Carter]

編集者注記: Tom CarterはサンフランシスコのFountain Partnersのファウンダでマネージングパートナー。同社は、創業期、成長期、および拡張期の企業に、主に機器設備購入のための資金を投融資している。

昨年はベンチャーの分野で企業の信用リスクを評価したり引き受けたりを、めしのたねにしている者にとって、おもしろい年だった。AirbnbやUberやWhatsappなどが示した明確な商業的成功は、すでに肥沃で、人によってはバブルっぽいとも言われる合衆国のベンチャーキャピタルとシード段階のエクイティマーケットに、さらなる刺激を与えた。非公開企業への投融資を扱うマーケットでは、弊社Fountain Partnersもこのマーケットの一員だが、リスクという点でいちばんおもしろい分野が、bitcoinのマイニングとクラウドホスティング、モバイルメッセージサービス、合衆国産のエネルギー、そして大麻だった。

大麻/マリファナ
コロラド州とワシントン州では、マリファナのレクリエーション的使用が合法化され、ビジネスとしての大麻の生産と販売が急伸した。しかし投資の件数は非常に少ない。わが社Fountain Partnersでも、他社同様、連邦法が認めていない大麻ビジネスへの投融資は“ノー”と言わざるをえない。

エネルギー
国産エネルギーは、すでに多くの企業が相当な売上を達成しているから、安易な投資先だ。しかしまだ、石油も天然ガスも、今後の生産や需給に関する情報量が少なすぎて、思い切った投資はやりにくい。

職場も住居もサンフランシスコにある人間は、電気カーの普及の進展を毎日のように目にしている。その光景も、やはり、今後の石油関連の大きな投資をためらわせるに十分だ。むしろ、電気カーなら投資したくなるだろう。

モバイルメッセージング
2014年には、モバイルメッセージングシステムを評価するにあたり、次のように問うた: “ユーザ数9000万は、FacebookでもSnapchatでもInstagramでもない閉じたコミュニケーションシステムの臨界質量と考えてよいのか?” そして、“各ハンドセットメーカーのメッセージングシステムは広く使われるようになるのか?” 

クラウドホスティング
メッセージングに比べると、クラウドホスティングの方が、投機的リスクは少ない。企業が広く利用しているし、売上も安定しているからだ。しかしこの業態にも、今後の“供給過剰”というリスク懸念は残る。

マイニングとbitcoinの真実
しかし、あらゆる投資分野の中で、Fountain Partnersの立場から言っていちばん胸騒ぎがしたのは、bitcoinのマイニングを果たして投資家として支援すべきか?すべきでないか?、という問いだった。

2014年に弊社は、bitcoinのマイニングに向けて設計され最適化されているサーバの製造企業への数百万ドルの投資、という魅力的なお話をいただいたことがある。bitcoinをマイニングするために必要な専用のハードウェア、という新しい業態があること、それらの企業は、自分のためまたは、マイニングをしたがっているほかの企業のためにサービスとしてマイニングを行うこと、などをわれわれは知った。この、降って湧いた機会を評価するために、次のような疑問を掲げた:

  • bitcoinとブロックチェーンの技術はなぜ重要なのか、その効用は何か?
  • bitcoinの使用を取り巻く規制環境はどうなっているのか?
  • bitcoinの需給環境はどうなっていて、今後どう進化するのか?

それは、投資に関する正しい決定を、最小限の時間内に下さなければならない、という、ある種楽しめる案件でもあった。しかしbitcoinのマイニングに関しては、通常の投資案件以上に、調べること、理解すべきことが多かった。Satoshi Nakamotoのホワイトペーパーも読んだが、最終的には、実際に投資をするためには、以下の仮定項目が概ね真であると信じられなければならない、という結論に達した:

  • bitcoinのエコシステムは法による保護や規制がなくても効用があり、政府はその使用を今後とも妨害しない、
  • bitcoinの採用が十分な量にすでに達しているか、または今後達する見込みがある、
  • そのシステムは十分なハッキング耐性があり、また詐欺に対する保険の市場が今後発達する、そして
  • bitcoinを作るシステムは悪用できない。

以上が真であることに確信を持てたら、次の、需給関連の疑問に進んで、bitcoinのマイニングというサービスの経済性を評価できる。

そのきわめて低レベルの流動性と価格により、bitcoinのマイニングが儲からないことは自明だった。bitcoinの価格動向にはいろんなシナリオがありえるが、われわれの投資先のサーバやマイニング努力の価値が、そのほかの意欲的で資金状態の良い市場参加者によって継続的かつ急速に侵食されることは、容易に想像できる。

案件調査を開始した直後にある筋が、中国政府がbitcoinのマイニングに手を染め、しかも今後そのシェアを拡大するつもりだ、と言ってきた。国営マイニングではなく、民間への電気やサーバの費用の補助、という形でそれは行われる。しかし中国の補助政策があろうとなかろうと、ハードウェアや、何らかのハードウェア/ソフトウェアの組み合わせが今後進歩して、今のハードウェアが陳腐化することは想像に難くない。

Satoshiのホワイトペーパーには マイニングシステムの健全性は、“必ず誠実なノードがCPUパワーの大半をコントロールすること”、という条件に依存する、と書かれている。マイニングとトランザクションのパワーを一般大衆が手にするものになるのか、それは分からないが、可能ではある。

人間には、最新のものに飛びつきたいという心の偏りが自然にあり、bitcoinの成長を支援することに貢献したい、という強い気持ちもある。しかしもちろん、もっとセキュアな金銭的トランザクションであってほしい、と誰もが願う。法定通貨にも良からぬ操作や価値の低下があるときにはある。しかしそれでも、われわれはサーバへの投資を遠慮することにした。マイニングビジネスに固有のリスクがあるだけでなく、bitcoinのマイニングに使われるそのサーバがあまりにも専用機なので、それらを普遍的な価値(売買価値)のある資産として取り立てることができない。その点に、幻滅した。

われわれが投資を断わってから、bitcoinの価格の急落があり、bitcoin取引所Bitstampにおける不運なハッキングがあった。しかしそれでも、bitcoinのサーバへの投資を検討する機会は、今後のいろいろなブロックチェーンの実装やbitcoinの進化などをめぐって、われわれの心をワクワクさせた。2015年は、今の金融技術企業たちが、これまで築いた中核的な基盤の上でさらに成長し、2014年の不調な資金調達活動を恥じ入らせるような成果を上げるだろう。

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ブロックチェーンを利用する多様なアプリケーションのためのインフラやAPIを提供するBlockCypherが多方面からシード資金を獲得

Bitcoinの公開台帳、ブロックチェーンの利用を、どんなアプリケーションにも容易に導入できるためのサービスを提供するBlockCypherが、初めての資金調達として310万ドルを獲得した。

そのタイミングはたまたま、昨年来Bitcoinの価格が急落を続けてきた時期と一致する。そのため、市場の人気はいまいちだった。

しかしBitcoinの急落がBlockCypherに大きく影響することはないだろう。協同ファウンダのCatheryne Nicholsonによれば、同社の技術はどんな暗号通貨でも利用できるからだ。

Nicholsonは曰く、“うちがやってるのは要するにブロックチェーンのためのWebサービス、つまりブロックチェーンのアプリケーションを作るデベロッパのためのソフトウェア的インフラストラクチャであり、それが、アプリケーションの構築やモニタリング、セキュリティの確保などを支え、それらを容易にする”。

つまりBlockCypherを利用するデベロッパは、ゼロ地点から始める必要がない。カリフォルニア州サンマテオで創業された同社は、Nicholsonと協同ファウンダMatthieu Riouのそれまでの仕事から生まれた。

“うちはワレットというものを初めてインストールした企業の一つだけど、暗号通貨に関してはいろんな人たちがもっといろんなことに取り組んでいるはずだ、といつも考えていた。うちのワレットはとても使いづらかったから、それを何とかすることから始めるべきだ、と悟った。それが、インフラストラクチャの方に手を染めるきっかけになった”、そうNicholsonは語る。

同社の技術を使うと、デベロッパは暗号通貨のワレットを一日足らずで作れる。“うちはマルチシグネチャのAPIや決済のAPIを提供しているから、デベロッパはそれらを利用すればよいので楽だ。自分で作らなくてもよい。デベロッパは、アプリケーションの層だけ作ればよい。インフラは、うちが提供する”。

その最初のアプリケーションでは同社は、Bitcoinの処理に要するトランザクションの時間を短くする方法を考えた。そしてそのために、ブロックチェーンがトランザクションを承認するかを事前に予測判断するツールを作った。

Nicholsonはさらに述べる: “実際のデータスループットに対応したマイクロペイメントができるようになれば、そのとき初めてWebビジネスの収益化の未来を築くいろんなイノベーションが可能になる。したがって、アプリケーションの種類や数も爆発的に多くなる。収益化が足かせになっている現状は、決して、多様なWebビジネスが本格的に花咲いている状態とは言えない”。

Bitcoinのブロックチェーン上に起きていることを分析し洞察するCoinalyticsのような企業や、アジアの最速トランザクションプロセッサと呼ばれるシンガポールのBitcoin取引所CoinHako、それにフィリピンの送金サービスPalarinなどが、そういった新しいアプリケーションの先駆けだ。

“完全に信じているのは、決済や金融はそういう膨大な種類のアプリケーションの、氷山の一角にすぎないこと。うちを利用してヘルスケアの記録のためのレジストリを作っているデベロッパもいる。彼らはブロックチェーン上にハッシュの置き場を設けている。分散ホスティングを構築しているスタートアップは、それによってアルゼンチンの内陸部にあるサーバでも利用できる。ブロックチェーン上に法律文書を置くアプリケーションを、スリランカの人たちが作っている”。

Nicholsonの興奮した話しぶりは、人を惹きつける。Draper一族の三代にわたるVCの資金も、彼女の企業に吸い寄せられた。

このラウンドのそのほかの投資家は、Foundation Capital、New Enterprise Associates、Yahoo!の創業者Jerry YangのAME Cloud Ventures、Upside Partnership、Streamlined Ventures、そしてFenox Ventureだ。

Tim Draperの娘で通称Valley GirlのJesse Draper、それに通称Mrs.Brook ByersのShawn Byersも、このラウンドで投資した。

Valley Girl VenturesのCEO Jesse Draperはこう言う: “女性の起業家に投資をすることが、テクノロジ世界の女性人口を増やす最良の方法だ。女の子たちが、自分の役割モデルとして女性のファウンダを知ったら、彼女らもファウンダになる。BlockCypherが今ブロックチェーンでやってることは、世界を変える。それには、女性も関与すべきだ”。

実のところ、ブロックチェーンの技術は、今後暗号通貨にできるいろんなことの、道を切り開く先陣部隊だ。Foundation CapitalのがゼネラルパートナーCharles Moldowは、そういう言い方をする。

彼はこう言っている: “Bitcoinでいちばん将来性に富んでいる技術が、ブロックチェーン関連の部分だ。その上で今後、数々の重要なイノベーションが起こっていくが、BlockCypherは、それのエキスパートなのだ”。

BlockCypherにはさらに、Ben NarasinとTriplePoint Capital、YahooのCFO Ken Goldman、WSO2のCEO Sanjiva Weerawarana、VoyLét Capital、Granite Ventures、Boost VC、500 Startups、Crypto Currency Partners、Michael Liou、ヒップホップのアーチストNasなども投資している。Nasはどうやら、自分を代表するものとして、死んだ大統領以上のものを、探しているようだ。

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Mt.Goxの元CEOがドラッグの闇サイトSilk Roadの黒幕だった、という説が法廷に登場

この記事のタイトルを見て“えっ?”と思った人は多いだろう。Silk Roadの頭目といわれるRoss Ulbrichtは実は、このサイトの実のオーナーではなかった。Ulbrichtの弁護士によると、作者はMark Karpelesという人物で、昨年2月になんとなくお芝居めいた崩壊を遂げたBitcoin取引所Mt. Goxの、のちに失脚したトップだった男だ。

Motherboardの記事によると、そのことをついに認めたときのUlbrichtは、微笑んでいたそうだ。

Ulbrichtの弁護士Joshua Dratelは今日の法廷で、KarpelesががUlbrichtに罪を着せた、という説を主張したいようだ。.

Dratelは、“Silk RoadはBitcoinの価値を高めるための道具として作られ、Bitcoinとは一見関係のないサイトを作ってBitcoinの価値を操作しようとした”、と、国土安全保障省のエージェントJared DerYeghiayanのメールを読み上げながら言った。

DerYeghiayanは自分の証拠が強力であると信じ、2013年5月のKarpelesのメールを調べる許可を得ようとさえした。

裁判は今、判事Katherine Forrestにより休廷されている。彼女は、“被告らは午後おそくまでかけて、KarpelesがDread Pirate RobertsないしDread Pirate Roberts(DPR, Silk Roadの頭目の俗称)である、という絵を描こうとしていた。しかし彼らのその説は、作り物めいている”、と述べた。

Bitcoinはこれまでずっと、きわめて小さなグループがコントロールしてきたし、Silk Roadの全盛期においてもそうだった。しかし、あのKarpeles、完全に崩壊したBitcoin取引所の、どじなCEOが、ドラッグの巣窟の親玉だったって? それは、あまりにも、それらしすぎる話だから、Ulbrichtの裁判がますますおもしろくなるだけだ。

[ツイート訳: 弁護士の作戦はMt.GoxのMark Karpelesなどを本当のDPRに仕立てることのようだ。]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


今年のCESではBitcoinのブースは空だった…一般消費者への普及はまだまだ遠い先

 

よく知られているbitcoin取引所Bitstampは、ハッカーの犯行により500万ドル相当の暗号通貨を失ったが、先週のCESにはいなかったことが、かえって目立つ。ブースはあったが、同社とは別の出版社が雑誌をほそぼそと展示しているでけで、ほかは、何もない。ブースを空にした同社の連中は、ホテルに缶詰になってサービスの再開に備えていたそうだ。それは、金曜日(米国時間1/9)のことだった。

しかし彼らの苦労にもかかわらず、今年のCESではbitcoinへの関心も人気も盛り上がらなかった。木曜日(米国時間1/8)の午後になっても多くの人びとが、bitcoin ATMのデモや、この通貨で何かを買うこと、bitcoinをマインするときのコツを聞くこと、などを求めて展示会場を捜しまくっていた。

そのたびにここでは、“くそっ”の言葉が聞こえた。bitcoinをマインするために、独自に水力発電を使っている人の噂も、流れてきた。

Bitstampの19000bitcoinの被害は、Mt Goxの被害のでかさには及ばないけど、bitcoinに対する世間のイメージを損ない、その市場は今もずっと不安定だ。たしかに、すごく有望な技術ではあるが、多くの消費者の受け取り方としては、不安感や不審感が優勢だ。

CESのbitcoinブースで私は、Bitcoin業界の大物たちと話をした。一般消費者への普及に努力しているCircleや、企業やeコマース向けにbitcoinのPayPal化を目指しているBitpay、bitcoin ATMのRobocoin、bitcoin取引所Krakenなどだ。 KrakenはBitstampの被害と関連して、Mt Goxの一件を調べ、できるかぎりお金を取り戻す方法を研究している。でもまだ、その進捗に関する情報はない。最近やっと、着手したばかりだから。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Bitcoinが年明けから低迷

2015年はbitcoinにとって厳しい始まり方をした。この暗号通貨は2013年後期のピーク以降、急落を続け、今では300ドル以下に戻している。Blockchain.infoが計算したbitcoinの総取引額も、このところ落ち込んでいる。

価格の低迷に対する説明はいろいろあるが、bitcoin支持者たちのコミュニティも、意見が分かれている。取引量の減少は、Coinbaseのデータを見るかぎり、買方(かいかた)の関心の短期的な低下を示すのかもしれない。でも、それが新年の初頭に起きる理由はよく分からない。

下図のチャートは、上が価格:

そして下が取引量だ:

もちろん、bitcoinの強気筋は依然健在だ。

bitcoinの価格の短期的な高下(こうげ)はそれほど大きな問題ではないが、大型のマイナーたちは影響を受けるだろう。むしろ意外なのは、取引総量の急速な下降だ。2014年の大勢は、対ドル価格が乱高下しても総取引量は増える、という説だった。総取引量はbitcoinの重要な指標と見なされている。それが大きければ、bitcoinというコンセプトが破綻していない証(あかし)だからだ。

しかし、価格と取引量の両方の指標が不調だから、このデジタル貨幣のファンたちもそろそろ、その未来について再検討することになるだろう。

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Bitcoin 2.0とユーザ体験のトークン化

[筆者: Lisa Cheng]

編集者注記: Lisa ChengはVANBEXのファウンダで、同社はデジタル通貨とブロックチェーンプロトコル、および分散化技術に特化したマーケティングとリサーチの企業だ。

Bitcoinはまだ市場開発の初期段階だ。しかしわれわれは今、進化の次のステップのために必要なデータの集積を、徐々に実現しつつある。そのために私は、Bitcoinと、Bitcoinのブロックチェーン技術関連の仕事をこれまで継続し、アプリケーションとネットワークとユーザが均質に融合して、自律的で持続可能な宇宙を維持している未来の実現に向けて、貢献してきたつもりだ。

持続可能な技術によるこの未来の環境は分散的であり、リソースは循環性を持ち、さまざまな距離と、さまざまな依存関係にまたがって広がる。そしてそのベースとなるユーザは、さまざまなプラットホームやアプリケーションとのダイレクトな対話を通じて、自分の技術的ニーズを実現していく。このような次世代の進化相を、私は“ユーザ体験のトークン化”(tokenizing the user experience)と呼んでいる。

この進化を進めるトークンはBitcoin 2.0のエコシステムの一環であり、Bitcoinのブロックチェーンを使って作られる。それらはブロックチェーンのプロトコルのメタレイヤ(メタ層)に所在するから、“メタコイン”(metacoins)とも呼べる。Bitcoinコミュニティのメンバーの中には、それらがアプリケーション固有であるため、“アプリケーションコイン”(app coins)と呼ぶ人たちもいる。

MaidsafeStorjFactomなどは、分散アプリケーションと分散インフラストラクチャを暗号化トークンでサポートできることを示した最初の例だ。ブロックチェーンのオープンで透明な台帳を利用することに加えて、暗号通貨を使ってこれらのメタコインを作るプロジェクトは、グローバルな規模でトークンを容易に記録、利用追跡、および配布できる。すなわちどんな時点においても、プロジェクトはどれだけのトークンが使われているか、どのアドレスがそれらを保持しているか、どこがそれらの起源かを確認できる。それは新しい形のユーザとの対話であり、そこではトークンが、プロジェクトへの市場の関心や、ユーザの活動そのものを表現する。

セキュリティを確保するためにBitcoinは、一連のアルゴリズムを使って開発され、そのアルゴリズムはBitcoinやトークンを含むすべての暗号通貨に、情報が数学の法則に即していることを確認する能力を与える。オンラインのコマースでは、従来の決済方法が簡単に贋造されるため、本人性の確認がとくに重要であり、しかもそれが迅速容易であることが求められる。暗号通貨の利用は、それ自体が商業的対話の新しい形であり、マネーの贋造はそこに存在しえない。

このモデルは、国境や領土や言語を超えた多様なシステムの分散ネットワークを作るときに真価を発揮する。そしてネットワークトークンへのこのアプローチはまだ新しいので、トークンモデルを利用するプロジェクトが今後ますます登場し、新しい革新的なアイデアを数多く持ち込むだろう。そこで最近では、イデオロギーとコインが結びついているような政治的モデルのブロックチェーンを追求するプロジェクトも、現れている。

Storjのトークンは、同社のクラウドネットワーク上のストレージスペースを買うために使われている。逆に言えばユーザも、自分の余分なコンピュータのハードディスクスペースを、DriveShare(Storjネットワークのアプリケーションパート)に貸し出して、これらのトークンを稼げる。トークンはすべてほかのユーザへ転送可能であり、しかも、どのトランザクションでも追跡できる。トークンそれ自身のトランザクションのフローに基づいて、Storjのチームは、ユーザによるネットワークの使われ方を判断し、ユーザの活動に基づいてネットワークリソースの最適配分をすることができる。

ネットワークアクセストークンというコンセプトは古くからあり、いまでもRSAの形でセキュリティアクセスのために日々使われている。それはソフトウェアの購入者にライセンスキーとして与えられたり、ゲームのコードを事前に購入したゲーマーに配布されたりしている。それらはユーザのアクセスを許すための標準的な認証方法であり、ネットワークの許可証を与え、本人性を証明する。このような形での暗号化の利用は、ソフトウェア企業が従来から使ってきた購入証明にイミュータブル(immutable, 不可変)のトークンを組み合わせる。それによってアプリケーションは、円滑なユーザとの対話を積極的に進められるようになる。

ここで重要なのは、ブロックチェーン上のトークンからローンチするプロジェクトが、分散化とオープンソースによる開発と透明性を助長することだ。実質的にトークンは分散ネットワーク全体にわたって利用され、ユーザは複数のシステムやアプリケーションにまたがってコインを稼得/支出できるようになる。そのアドバンテージは、それが検証可能で贋作不可能なデータであることだ。このような、証明可能で転送可能なトークンはネットワーク資産のひとつの形としての価値があり、ユーザ間の交換/取引や、コモディティとしての稼得が可能だ。

オープンソースのプロジェクトがブロックチェーンを使う独自のトークンを発行するようになると、分散アプリケーション開発の新時代が訪れる。そこではシステム全体が自分自身の資産により稼働され、それによってネットワーク全体を保護し活力を与える。このようにしてトークンを利用するプロジェクトの開発は、ユーザ獲得とライセンシングの過程を自分が保有することからの利益を得る。クレジットカード処理の失敗や、銀行送金の遅れ、詐欺的なトランザクション、といったサードパーティの問題が、ユーザベースの成長の障害になることは、もはやない。

Satoshi Nakamotoという別名を持つ作者が書いていたように、Bitcoinは、フォールトトレラント(過失を許容する)なロギングによる分散システムと、グローバルに一貫性/無矛盾性のあるシーケンシングという特徴を持つ。Bitcoinのオリジナルのペーパーを書いた当人は予想していなかったと思うが、ブロックチェーンは、草の根のアプリケーション開発をサポートできるスケーラビリティと分散化のモデルとして提示されるようになったのだ。

このシステムによってわれわれは、ユーザの信頼がトークンで運ばれる様相を目撃している。それは通貨としてのBitcoinの理解を、プラットホームとしてのBitcoinとブロックチェーンへと連れて行く。暗号通貨の利用は単純なピアツーピアのトランザクションを超えて、検証可能なデータの積極利用へ向かう分散化のモデルに進化する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Bitcoinとバーニングマンと贈与経済


今年のBitcoinは散々な投資だったが、だからといってこれを受け入れる非営利団体は増える一方だ。Wikipedia、電子フロンティア財団、Khan Academy、ついにはBurning Manまでが、税控除寄付の手段としてBitcoinを採用している。

これで実際のフェスティバルへのゴールデンチケットがもらえるわけではないが、何の見返りも期待せずに何かを贈ることは、ネバダ砂漠で行われる毎年恒例のフェスティバルに宿る精神とカルチャーの一つだ。事実、Burning Manの十大原則の最初に挙げられている。

Burning Manは贈与行為に専心する。贈与の価値は無条件である。贈与は見返りや等価な物との交換を期待しない。

フェスティバルの準備や支給品には多額の金銭が費されるが、ブラックロック・シティの中では、メインテントで氷やコーヒーを買う時以外、実際のお金がやり取りされることはない。そこでは、ベガンアイスクリームから「特殊」マッサージまで、あらゆる物を無料で提供される。衣類でさえ寄贈される。ただし、新たなBitcoinの選択肢はフェスティバル以外の年中活動の資金として使われる。

いくつかの事情から、Burning Man the 501(c)3公益団体、およびBlack Rock City有限責任会社が存在している。実際のフェスティバル開催費用はチケット販売で賄われており、そこが営利部分だ。暗号化通貨による寄付は、Burning Manの非営利部門を助けて、「組織力」を高め、コミュニティーのプロジェクトを支援するほか、おそらくあの巨大なアートプロジェクトをプラーヤ(塩の平原)の中央まで運ぶ費用になっているに違いない。

CEOのMarian Goodellは会社の声明の中で、いずれBitcoinでチケッチを購入できるようにする可能性があると言っている。「Bitcoinによる寄付の受付は実験的第一歩として行っている。われわれは将来他の可能性も探求するつもりであり、Bitcoinによるチケット購入も視野に入れている」と彼女は言った。

Bitcoin用デジタル支払いシステムのCoinbaseがBurning Manと連携したことによって、寄付は容易になった。しかも、取引手数料なしで贈ることができる。このスタートアップはNGOからは手数料を徴収しない。RedditやWikimedia(Wikipediaの非営利部門)等他のオンラインサイトも、同じ目的でCoinbaseを使用している。

ロシアのバーニングマンたちは、Bitcoinを持ち続けていたいかもしれないが、暗号化通貨による寄付は、米国の人々にとっては賢い選択肢になるかもしれない。もし今年あなたのBitcoin価値が〈実際〉に上昇していればだが。Bitcoinは2014年の初めに1000ドル前後の水準を維持していたが、今日時点では318ドルまで下がっている。

上にも書いたように、Bitcoinによる寄付は税控除対象だ。政府は今春、Bitcoinを財産の一種と見なす声明を発行した。これによって、かつてキャピタルゲイン税の対象であったものを自由譲渡できるようになった。

このことは、慈善団体によるBitcoin採用を加速させる結果にもなった。米国最大の慈善団体で42.7億ドルの収益を持つUnited Wayも、9月にBitcoinの採用を決めた。

UNICEFは、カナダでは受付けているが(当地でも税控除)、米国では未採用だ(数年来要望している個人が何人かいる)。Crowdrise等のクラウドファンディング慈善サイトが、Bitcoinの採用が遅れている組織を手助けしている

これはBitcoinが国際的に認められる前兆なのか、それともBurnig Manプロジエクトへの寄付を誘うための単なる策略なのか? たぶん両方が少しずつだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Bitcoinで今何が起きているのか?

戻ってきたぜ、ベイビー! あと少しだ。先週末の急激な300ドル割れの後、Bitcoinが徐々に値を上げている。午前中に市場を爆発させた、あの興味津々な3万1000 BTCの売り注文があってからのことだ。

単独のBitcoinオーナーまたはグループが仕掛けたと思われる、この「壁」は、価格が300ドル前後をさまよい始めたあたりで出現した。この大量Bitcoinとその動きの速さから、いくつかの興味深い可能性が推測される。

まず、そのクジラが売り注文を300ドルに設定し、最終的に約930万ドルを持ち帰ったことは明らかだ。この種の投売りは投資戦略として全く健全であり、元々コインを買った価値がずっと低かった場合はなおさらだ。買い注文が殺倒したそのスピードは、以前の平均価格よりずっと下がってもよいという市場の意志の表れだ。Redditのユーザー、modelessはこう指摘する:

私には非常に明快だ。アーリーアダターの誰かが300ドルを限界値だと判断した。機会を逃がす前に自分の900万ドルを現金化したかった。そいつはこの種の大金を扱う経験に乏しい、なぜなら金持ちだったことなどなく、単に運が良かっただけだから。市場外で売るコネを持っていないので、知っている方法、必ずうまくいく方法を使うことにした。それが、Bitstampで相場以下の売り注文を出すことだった。より洗練された市場戦略を知っていれば、もっと儲けられたかもしれないが、知ったことではない。900万ドルを受け取り、どこかのビーチで余生を送る。
それがもし私がたった今3万BTC持っていた時にすることだ。みんなもそうに違いない。

別の見方をすると、クジラは市場をあふれさせることによって価格を下げ、その結果市場の信頼が危うくなったところで、コインを安値で買いたかったのかもしれない。現時点ではどの戦略が用いられているのか定かではないが、2~3日中に同じサイフから同じ量で買い戻しが起きない限り、何が起きたかはわかるだろう。今わかっているのは、価格は小刻みに上がってはいるが、まだ森林からは抜け出してはいないということだ。そして、別のクジラが出てこない限り価格は変動を続け、モグラ叩きのように上下する価格が、Bitcoin集団を翻弄し続けるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


大量のBitcoinが相場以下で売り出されると何が起きるかを見よ!

最近ある個人またはグループが推定3万単位のBitcoinを、300ドル/BTCで売り出した。背後に誰がいるのか、その動機が何なのかは定かでないが、これは引き金を引いた者に何百万ドルもの収益が発生することを意味する。300ドルという市場より低い価格で出回ったコインの数が膨大だったため、購入者が買い尽すまでにはかなりの時間がかかった。

この売りによって市場でが崩壊することはなかったが、これはコインが特定の価格で売られたためだ ― 事実上300ドルのみ。この売り出しを受け、Bitcoinの相場は上がった。現在、コイン当たり340ドル以上で取引きされている。

なぜ、300ドルでこれほど大量に? 流動性と価格安定。もし背後にいる人物あるいはグループがこれを市場価格で売り出していれば、価格バランスが崩れ、場合によってはBitcoinの価値を300ドル台以下に引き下げていたかもしれない。

そうではなく、彼らは独自の市場でディスカウントセールの限定品のように売り方をした ― 通常価格より安く買えたので市場は成立し、売り手は現金を手にし、おそらく全員が満足して帰っていった。

このセール品を買った人は、直後に10%以上の利益を上げたはずだ。

経理に詳しい私のある情報筋は、下のグラフや画像を見て、これは「露骨な市場操作」だと言った。

そもそもなぜ、何万ものコインを売るのか? もし、差し迫った財政的事情があれば、筋が通るかもしれない。あるいは、通貨に対する信用を失い手放したいなら。そうでなければ、例えば10万コイン持っていて、下落傾向から自分を守りたかったか。理由は何であれ、売り手は何百万ドルもの現金を手に入れ、Bitcoinの価格はこんなことになっている。

お楽しみあり。今までにこんな注文控え(order book)を見たことがあるだろうか。(画像:via Despair_Collector on Reddit, Imgur

そしてもし、この壮大な動きをリアルタイムで追いたい人は、下のビデオをチェックされたい:(Via Voogru on Reddit

ある人はこれを、まるで開択時代の西部が帰ってきたようだと評した。価格の変動とごまかしはもっとひどいが。祈るしかない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Bitcoin、300ドルを割る

400ドルの次は300ドル。

昨日の大量売りで、今日午前にBitcoinの価格は300ドルを割った。この暗号化通貨が400ドルの底値を切ってから約2週間後のことだ。

下に今日のBitcoinAverageのスクリーンショットを貼った。

急落のグラフがこちら。

(この直後、Bitcoinは最近維持し続けてきた300ドル台に戻した。現在の価格は300.51ドルだが、1分前は低かった。最新情報はこちら

次の疑問は、300ドルがBitcoinの新たな底値なのかどうかだ。つまり、Bitcoinにとって300ドルという値段が、これ以上沈むことはなく時には跳ね上がることもあるという価格なのか、また売る側にとっては、Bitcoinの最近の急落は続くのかどうか、注目に値する。

今Bitcoinが耐えているマイナスの勢いには、皮肉な側面がある。最近、小売店での採用が増え続けており,これはBitcoin信奉者たちが待ち望んでいたネットワーク効果に違いない。しかし、そんなサポート ― PayPal、等々 ― にも価格は上向かなかった。これは、Bitcoin取引量の短期的増加〈の可能性〉は、単価を押し上げないという、一つの理論なのかもしれない。

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PayPal、デジタル商品の販売にBitcoinを利用可能に

ウェブの重要な販売業者やプラットフォームにおけるBitcoinの勢いが加速している。

数週間前、PayPal傘下のBraintreeがデベロッパー向けに、Bitcoinベースの取引きを可能にした際にほのめかしていた通り、PayPalは、デジタル商品の売り手によるBitcoinの利用を可能にした

PayPalはかなり前からBitcoinに興味を示しており、eBayのCEO John Donahoeはかつて、Bitcoinは同社の将来にとって「重要な役割」を果たすと発言していた。今やOverstockからWikipediaまで、大物プレーヤーがこの暗号化通貨を取引きや寄付の手段として取り入れるており、PayPalも一歩踏み入れた形だ。

BitPay、CoinbaseおよびCoCoinとの提携によって、PayPalは同社の売り手がデジタル商品の取引にBitcoinを利用できるようにする。ただし、これは、PayPalのデジタルウォレットにBitcoinが加わるわけではなく、また当面は北米のみで利用できる。まだ、小さな一歩だ。

「デジタル通貨業界は非常に大きな支持を受けた」とGoCoinのCEO Steve Beauregardは言った。

PayPalは、紹介手数料の形で取引き売上を得る。これは支払いの世界ではよく見られる方式だ。

「PayPalは仲介者の役割を担うが、料金は売り手と支払い処理業者に任されている」と、PayPalの競合他社情報・経営戦略担当シニアディレクターのScott Ellisonは語った。

数週間前のTechCrunch Disruptで、BraintreeのCEO Bill Readyは、Bitcoinを支払い手段の一つとしてSDKに加える、と話した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


ビットコインの売買サービスcoincheck、ECサイトの決済手段としての普及狙う

ユーザーが自らの体験を投稿する「STORYS.JP」。すでに複数のユーザーの投稿が書籍化されることが決まっているらしいこのサービスを手がけるのは、スタートアップのレジュプレス。同社が次に始めるのは、これまでのサービスとはまったく異なる「ビットコイン」を使ったサービスだ。同社は8月19日、ビットコイン購入サービス「coincheck」の提供を開始した。

coincheckは、メールアドレスを登録してアカウントを作成の上、指定の銀行口座への入金をすれば、ビットコインの売買や送金ができるサービス。1日1万円以上の日本円を出金する際には本人確認書類の提出を義務づけている。同社では、(1)最短1時間で購入可能、(2)24時間いつでも売買可能、(3)誰でも使える簡単な操作画面——でサービスの優位性をうたう。

ただしこのサービス、実は裏側は既存のビットコイン交換所のAPIを利用しており、リテラシーの低いユーザーでも利用できるUIがウリなだけとも言える。また同社の売上となるのは1%の手数料のみ。正直なところ、たかが1%の手数料でマネタイズできるのかと思ったのだけども、同社が狙うのはこのcoincheckを使った決済サービスにあるそうだ。

同社では、ECサイト向けにビットコイン決済を導入できるサービス「coincheck for EC」を9月に提供する予定だ。同サイトでは利用を希望するECサイトの事前募集も開始している。このサービスを導入すると、ECサイトは基本利用料無料、決済手数料1%、外貨両替手数料0円でビットコイン決済を導入できるという。レジュプレスではcoincheck for ECをECカート事業者などと組んで提供することで、利用者の拡大を狙う。また将来的には、自ら取引所を立ち上げることも検討する。

グノシー代表取締役社長の木村新司氏やインキュベイトファンドが出資するBitflyerを始め、国内でもビットコイン関連事業者が登場している。しかし現状は投機目的の利用者が多い状況。レジュプレスでは「ビットコインの仕組み自体は、決済・送金に非常に優れた仕組みであり、低コスト手数料の実現・外貨両替手数料ゼロ・かんたんなモバイル決済などの利点がある」と説明。よりスマートな決済方法としてcoincheckを提供するとしている。


Bitcoinの価格と大衆の関心

Bitcoinの価格が急騰すると、印刷メディアはフル回転する。そしてBictoinが崩壊すると、新たな話題の群がやってくる。

しかし、今興味深いことが起きている ― 最近Bitcoin価格と世間の関心との間に乖離が見え始めている。要するに、Bitcoinの最近の急反発は、通貨に対する消費者の関心の上昇と一致しない。

消費者の関心度は、Google Trendsのデータで測定できる。Bitcoinの価格や急上昇と、一般市民の関心との相関は歩調を合わせてきた。ここでわれわれは、因果関係を確立しようとしていないことに注意されたい。単に、Bitcoinが上がると多くの人が注目する、ということを指摘している。ただそれだけだ。少なくとも今は。

下の長期Bitcoinチャートをご覧いただきたい(BlockChainより):

そしてこちらがGoogle TrendsのBitcoinチャートだ:

公正を期して言うと、Trendsの6月データ(フラットな部分)は途中経過だ。しかし、最近のBitcoin価格急騰はほぼ完全に5月中に起きたことなので、おそらく関係はないだろう。

しかし、Bitcoinの価格が一般大衆の等しい関心を伴うことなく反発したことは、実は理にかなっている。TechCrunchが 最近の反発の最中に報じたように、期間中Bitcoinの総取引回数は増えていない。しかし、Bitcoinの総取引高は増えた。つまり、人々は大きな単位で売買した。Google Trendsのデータを動かしていると思われる平均的な人々は、そういう単位の買い方はしない。

では、何が急上昇と大規模購入引き起こしたのか? 私にもよくわからない。しかし、もしかしたらわれわれは新たな局面を迎えているのかもしれない。

I画像:FLICKR USER HAMED AL-RAISI UNDER CC BY 2.0 LICENSE (IMAGE HAS BEEN CROPPED) 

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


ATMや1秒送金サービスも チャンスをうかがう国内ビットコインスタートアップ

ビットコインと聞くと、国内ではビットコイン取引所のMt.Goxにまつわる騒動を思い浮かべる読者も多いのではないだろうか。どうしてもネガティブなイメージがつきがちだが、関係者からは、「Mt.Goxの騒動はあくまで同社のシステムに由来する問題であり、ビットコイン全体の問題とは別だ」という声が聞こえてくる。その意見を裏付けるかのように、ビットコインは国内外を問わずに注目を集め続けている。では日本での動向はどのようになっているのか。

東京にはビットコインATMが登場

5月末には、米国製ビットコインATMの「Robocoin(ロボコイン)」が西麻布のVerandaと六本木のPink Cowという飲食店に設置された。Robocoinは、運転免許証スキャナー、手のひら静脈認証、顔写真撮影といった本人確認機能を備えるビットコインのATMだ。あらかじめデジタルウォレットを作成していれば、円紙幣でビットコインを購入したり、ビットコインを売却して、円紙幣を受け取ることが可能だという。

西麻布にRobocoinを設置したのは、2014年4月に設立したばかりの長崎のビットチェック。同社代表取締役の峰松浩樹氏は、これまでに長崎でシステム開発やビットコインの採掘(計算によってビットコインを得る作業)を手がけてきたという。

ビットコイン販売所のbitFlyerは国内VC2社から資金調達

時を同じくして5月末、国内のスタートアップであるbitFlyerが、ビットコインのオンライン販売所「bitFlyer」を公開した。bitFlyerは、買い手の希望する金額にマッチする売り手がビットコインを販売する取引の場となる「取引所」とは異なり、外貨への交換のように、固定価格でビットコインの売買ができる「販売所」となっている。これまでビットコインの取引所はあったが、販売所を提供するのは日本では初だそうだ。

bitFlyerを利用するには、同社のアカウントを作成する必要がある。手数料は2800円だが、現在は無料化している。アカウント作成に際しては、個人情報や銀行口座を登録したのち、同口座からbitFlyerの指定する口座に実際に入金をするなどして、本人確認を徹底している。

またbitFlyerでは、直近にも「bitWire」と呼ぶ送金機能を提供する予定だ。通常ビットコインを送金する場合、認証までに少なくとも10分、長ければ1時間ほどかかるそうだ。だがそんなに時間がかかってしまうのであれば、通常の店舗では利用が難しい。実際に海外での利用実態としては、認証を待たずにビットコインでの決済を受け付けるケースもあったそうだ。だが将来的に、認証途中に利用者が店舗を去ってしまって「認証できない(支払われない)」となって問題になるかもしれない。しかしbitWireを利用すれば、(仕組みについては教えてもらえなかったが)その処理を約1秒で終わらせることができるのだそうだ。

bitFlyerは2014年1月の設立。代表取締役の加納裕三氏は、以前に外資系投資銀行でトレーダーを務めていた人物。グノシー共同代表を務める木村新司氏は加納氏の古い友人だとのことで、創業時に個人投資家として出資している。

同社は6月6日、国内のベンチャーキャピタル2社(非公開)から約1億2000万円の資金を調達している。「ユーザーのビットコインは(取引時以外)コールドウォレット(ネットワークに繋がっていないデジタルウォレット)に保管しているので物理的に安全な措置をとっている。しかし万が一のトラブルに遭っても対応ができるような、信用できる状況を作りたい。今後はセキュリティにも注力する」(加納氏)

関連事業者への投資も進むが、まずは利用環境の拡大に期待

実は国内ベンチャーキャピタルが、bitFlyer以外のビットコイン関連サービスへの投資を予定しているという話も聞いているし、まだまだプレーヤーは増えてきそうだ。だが一方で、ビットコインを利用できる環境はまだまだ少なく、直近では投機目的の利用者が多くを占めている状況。また、ビットコイン自体を懐疑的に見る人間も多いのが実情だ。加納氏も「bitWireを提供することで手軽な送金を実現して、利用機会を増やしたい」といった話をしてくれたが、まずは安全に利用できる環境がどれだけできるかが普及のカギになりそうだ。


【書籍】通貨の未来が変わる?『ビットコインのからくり』

編集部:この記事は、本の要約サイト「flier(フライヤー)」と共同で選書したIT・テクノロジー関連書籍の要約を紹介するものだ。コンテンツは後日、フライヤーで公開される内容の一部である。

タイトル 暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり
著者 吉本 佳生、西田 宗千佳
ページ数 272
出版社 講談社(ブルーバックス)
価格 972円(税込)
要約者の評点 総合:4.0(5点満点、下記3点の平均値)
革新性:4.5、明瞭性:4.0、応用性:3.0

要約者によるレビュー

ビットコイン(Bitcoin)と聞くとどのような印象をお持ちだろうか。マウントゴックス(Mt.Gox)という当時最大規模の取引所の破綻や、投機対象として不安定なもの、将来有望な暗号通貨というような、さまざまな印象があるだろう。本書はその名の通り、ビットコインを客観的に評価しようという野心的な書籍であると言える。

マウントゴックスの破綻のニュースは多くの方に影響を及ぼしたため、それ自体はネガティブなインパクトを持つだろう。しかし、だからといってビットコインそのものの信頼性が揺らいだ訳ではない点に注意が必要だ。

今回の騒動はあくまでもビットコインの取引所側の瑕疵が起因となり発生した問題であって、ビットコインの暗号が破られて多大な損失を出したものではない。一般的に通貨を取り巻くシステムは、国家の軍事力、法的拘束力、中央銀行、金融機関、決済システムなど、多くの要素から成り立っており、日本国通貨である「円」に関しても盤石なものではないのである。

本書はビットコインを中心に展開されるが、その内容は通貨制度、暗号の仕組み、中央銀行の歴史、ウェブ上およびリアルでの決済手段など、多様な要素で構成されている。本書を読めば複数の視点から客観的にビットコインを評価できるとともに、ビットコインなどの暗号通貨に今後の可能性を見出すことができることだろう。金融機関に関わる方やウェブサービスの運営者はもちろん、ニュースに惑わされずその本質を理解しようという一流のビジネスパーソンこそ、本書を読む価値が十分にある。

 

本書の要点

・ビットコインは中本哲史と名乗る人物が提唱した論文を元に世界の技術者が構築した、画期的な暗号通貨である。

・マウントゴックスの破綻によりビットコインが持つ暗号の強固さが損なわれた訳ではない。資産を預かる取引所としてのマウントゴックスの情報システムに問題があったのである。

・ビットコインにはそれを支える中央銀行もなく、武力もない。暗号が破られないという「知力」が基礎になっている通貨だと言える。

 

【必読ポイント】ビットコインは通貨の未来をどう変えるか?

「知力のビットコイン」VS.「武力の国家通貨」

国家通貨を支える中央銀行は、通貨の信用の糧になるのだろうか。現在の中央銀行は、国内でもっとも安全なはずの金融資産である国債を大量に購入することで、その対価である現金を発行する。しかしその信頼は、将来の税収で財政を黒字化し、それまでの借金を返済するというストーリーがあってこそだ。

つまり中央銀行が現金を発行しているからといって、価値の裏づけがある訳でもないから、ビットコインにも中央銀行が必要だ、という議論も不毛なものだ。

中央銀行には「発券銀行」「銀行の銀行」「政府の銀行」という3つの役割が存在している。歴史的にはイングランド銀行にせよフランスの王立銀行にせよ、役割の3番目の「政府の銀行」としての役割として、発足しているものである。当初の中央銀行の目的は戦争継続のための資金を国家に提供することだった。中央銀行はその後、「発券銀行」、「銀行の銀行」という順番で役割を拡大していくことになる。

国家通貨の信用は「法的強制力」と「中央銀行の信用」によって支えられる。特に「危機時」および「国際決済」での信用が不可欠となる。国が滅んでしまえば紙幣の価値がなくなるので、究極的には外国からの侵略を防ぐ「武力」が必要になるのである。

一方で、ビットコインには中央銀行もなく、武力もないので、暗号が破られないという「知力」が基礎になっていると言える。「ビットコインVS.国家通貨」という構図は「ペンVS.剣」に近いのだ。

通貨制度の未来

「ある程度以上の人たちに通貨として信用されていれば、通貨」となるので、すでにビットコインは通貨として機能していると解釈できる。ビットコインも含めて通貨制度の未来を予想すると次の4つのシナリオが考えられる。

① 様々な国家通貨が使われている中で、並行して暗号通貨も用いられる。
② 円の国際化によって国際決済はほとんど円によってなされる。(日本が過去に目指した姿だが、今では夢物語にも見える)
③ 世界全体での通貨統合を米ドル、金、その他通貨のいずれかで実現する。
④ 暗号通貨は生き残らず、様々な国家通貨が用いられる。

これ以外にも様々なシナリオが予想されるだろう。現実的には暗号通貨が市民権を得て①のシナリオになるか、暗号通貨が消滅し④のシナリオになるのかのどちらかかもしれない。

これからの通貨に関しては、可能性を示すことはできるが確実な予想は難しい。今後どうなっていくか、本書を題材に読者自身でも予想していただければと思う。


SEC、Bitcoin関連のリスクをリストアップして投資家に警告

アメリカのSEC(連邦証券取引委員会)は以前からBitcoinの大ファンではないことが知られていたが、今日(米国時間5/7)、Bitcoinに関連して生じ得るリスクを長いリストにして発表した。なかなかインパクトのある文書だ。

SECはまずBitcoinが「通貨のように利用される」ことを述べた後、IRS(内国歳入庁)の「Bitcoinは通貨ではなく資産であり、その売買の損益は課税対象となる」という決定を引用した。これは実際、大きな暗雲だ

SECはまたBitcoin関連の投資に不利益になるような政府の規制が実施される可能性を挙げた。Bitcoinは法定通貨ではないので、アメリカあるいは外国政府はその利用、換金を禁止することができる。現に中国では厳しい規制が行われた

もっともSECの挙げた注意点の多くは「強引な売り込み営業、無免許業者に注意せよ」というようなもので、Bitcoinに限らずどんな投資にも当てはまる。しかしBitcoinに特徴的な問題も指摘されている。SECはMt.Gox問題を名指しで指摘している。

最近、Mt. Goxという日本のBitcoin取引所が破綻した。ハッカーが数千万ドル相当のBitcoinを盗み去ったと言われている。Mt. Goxはその結果、破産を申し立てた。同取引所のユーザーの多くは預け資産のほとんどを失った。

SECがBitcoinに潜在する大きな危険を正しく認識していることに注目すべきだろう。もっともBitcoinに好意的なベンチャーキャピタリストのSean Percivalの見解は少し異なっている。

(SECのBitcoin文書:長すぎて読んでない。とにかくスーパー・リスクがあるからスーパー楽しいんだ!)

ま、これにも一理ある。

ILLUSTRATION BY BRYCE DURBIN

〔日本版:SEC文書にはBitcoin投資と称するポンジ詐欺や誇大広告などの最近の例が挙げられている。〕

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+