Boston Dynamicsの小型4足歩行ロボがシンガポールの公園をパトロール中

Spotを商用化する発表して以来、Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は建設業からテレカンファレンスまで、さまざまな応用方法を公開した。2020年4月に同社は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者を遠隔訪問するプラットフォームに興味を持っている地元の病院と提携すると発表した。

世界的なパンデミックが、この優れた技術を持つ4足歩行ロボットの驚くべきイノベーションに、拍車をかけていることがわかった。中でも意外なのは、シンガポールが4足歩行ロボットのSpotを使って公園をパトロールし、市民同士がソーシャルディスタンスを保つよう警告するために使用することだ。このパイロットプログラムは米国時間5月8日から開始され、オフピーク時の時間帯に2週間実施される。

シンガポールのビシャン・アンモキオ・パークでは、遠隔操作でロボットを操作(これもソーシャルディスタンスの一貫)し、2マイル(約3.2km)をパトロールする。そしてSpotからは、ソーシャルディスタンスを保つように促す録音メッセージが再生される。また、集会を監視するためのカメラも搭載されているが、政府は顔情報の追跡や個人情報の収集には使用しないと主張している。

リリースによると「Spotには安全センサーが搭載されており、ルート上の障害物や人を検知する」としている。「衝突を避けるために、1m以内にある物体や人物を検出するアルゴリズムが組み込まれている。テスト期間中、Spotには少なくとも1人の公園職員が同行する」。テストが順調なら、ロボットはピーク時にもパトロールをするようになる。

新型コロナウイルスのパンデミックがテクノロジーの世界にもたらす魅力的な波及効果の1つは、ロボット工学と自動化への関心の高まりだ。新型コロナウイルスがどのように業界の将来を形作るのかについては、TechCurnchのベンチャーキャピタル調査を参照してほしい。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ボストン・ダイナミクスがOTTO Motorsと提携して倉庫自動化ビジネスに参入


技術系ロボティクスの最大手Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は、倉庫の無人化とロジスティクス技術を開発する OTTO Motors(オットー・モーターズ)と新たな共同事業を行うことを発表した。

この1年間、 Boston Dynamicsは自社のロボットであるHandleや、コンピュータービジョンシステムのPickを通じて、不気味な動物ロボット制作から、より実用的な倉庫オートメーション技術の開発へとシフトしてきた。

米国時間3月3日、同社はOTTO Motorsと提携してロジスティクス分野を自動化する概念実証をビデオで紹介した。

これは、画期的なロボティクスのイノベーションを生み出すだけでなく、収益を生むことに焦点を当てる、という全社的取り組みの一環であり、1月に新たなCEOを指名したことに続くものだ。

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「実質的にほとんどの社員は私が雇った。積極的に会社を成長させることが今の大きな課題だ」とBoston Dynamicsの新CEOであるRob Playter(ロブ・プレイター)氏は当時TechCrunchに語った。「経営チームに新しい人材を入れることが2019年の主要な目標だった。同時に、設定した目標を達成するために技術チームに貪欲な競争心を与えることにも力を入れた。そのためには、最先端のロボティクス技術を磨くだけでなく、ロボットを製品化し販売、サポートができるような組織に変える必要がある」

ロボットを製品にして販売することは、OTTOとの提携の中核をなすものだと製品技術担当副社長のKevin Blankespoor(ケビン・ブランケスプール)氏はいう。

「異種ロボットの集団で配送センターを構成することで、倉庫オートメーションのより柔軟なソリューションを提供する、という概念実証のデモをつくった」とブランケスプール氏が声明で語った。「我々の顧客が期待する能力に応えるために、倉庫アプリケーション向けにHandleの機能を拡張し、OTTO 1500など他のロボットとの相互作用を最適化した」

OTTO Motorsのような倉庫の自動化やロジスティクス技術を長年開発してきた会社にとって、Boston Dyanmicsとの提携はきわめて自然な動きだ。

「Boston Dyanamicsのような最先端ロボティクス会社といっしょに仕事ができることを大いに喜んでいる」とOTTO MotorsのCTO・共同ファウンダーであるRyan Gariepy(ライアン・ガリエピー)氏は語った。「それぞれの分野のリーダーとして、我々は持っている技術をまったく新しいアプリケーションの世界に応用することができる」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Boston Dynamicsが四脚ロボ「Spot」のSDKを発表

この1年はBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)にとって1992年の創立以来、最も重要な節目の年だった。オーナーがGoogle(グーグル)からソフトバンクに変わり、商用化をアグレッシブに追求する姿勢となった。小型の四脚ロボットであるSpotを市販すると同時に大型の2輪ロボットのHandleの発売も準備している。すでに報じたように新しいCEOも就任したところだ。CEOの交代は創立以来これが最初だ。

新しいマーケティングの一環にはBoston DynamicsがGitHubにアップロードしたSpotのSDKが含まれる。SDKは1月24日からダウンロード可能になる。これはSpotの普及に向けて非常に大きな一歩だ。同社では以前から好評していたとおり、近々Spotプラットフォームを利用して商用プロダクトを発売するという。

同社のバイスプレジデントであるMichael Perry(マイケル・ペリー)氏はTechCrunchに以下のようなコメントを寄せた。

このSDKはロボティクス専門家でない人々でもSpotのソフトウェアを容易に開発できるようにする。これによりユーザーのニーズに適合したカスタムアプリケーションが多数開発される、Spotが有益なミッションを果たすことを助けると期待している。デベロッパーは我々のEarly
Adopter Programに参加し、ロボットのリースを受ける必要がある。ただしSDKの閲覧は自由だ。既存のアーリーアダプターも開発したソフトウェアをオープンソース化できる。Early
Adopter Programに参加したデベロッパーはSDKを利用してロボットの動作をカスタマイズできる。またセンサーから取得したデータの分析ツールも提供される。新たなペイロードを実装することによりSpotプラットフォームの有用性は一段と高まる。

我々のクライアントの1社であるHoloBuildeでは、SDKを用いてSpotを同社の既存のアプリに組み込むことに成功した。これにより、建設現場の技術者はスマートフォンからSpotに移動の道筋を指示する。Spotは指示に従って歩き、周囲を360°撮影する。他の応用例では、カスタマーはVRテクノロジーを利用しSpotを操縦する。

Boston DynamicsではこれまでにもTechCrunchの例年のRobotics+AIカンファレンスで多数の応用事例をデモしてきた。応用例には上でも触れられている建設現場での工事のモニタリングがある。障害物を乗り越え階段を登り降りし、自らドアを開けるなど他のツールにはないSpotのユニークな能力はこうした場面で極めて役に立つことが実証されている。別のビデオで州警察がSpotを訓練に利用している。


Boston Dynamicsの創業者で元CEOのMarc Raibert(マーク・レイバート)氏は私の取材に対して以下のように語った。

「ロボットが職を奪うとか軍事利用されるとか叫びたがる人々がいるが、我々はそういう説には断固反対する。我々はロボットの兵器化などには興味ないし、捜査機関からは不審物を検査するためにロボットが非常に役立っているという報告を得ている。これは警察官の生命に関わる問題であり、我々が強い関心を抱いている分野だ。.いずれにせよ(さまざな利用法がありえるのは)すべての新テクノロジーに共通することだ。我々は(人類の福祉を増進する)良き目的に役立つよう開発を続けtいる」。

Boston DynamicsがSpotのソフトウェアのSDKを発表したことでそうした良き目的を実現するのが大きく効率化された。


アーリーアダプターの一人が人気番組「怪しい伝説」のホストを長年務めたAdam Savage(アダム・サヴェッジ)氏だ。昨年のクリスマスにはSpotを屋外でテストし、子供のようにはしゃいでいる動画を公開した。

サヴェッジ氏はSpotを収めたケースに腰掛けて登場する。以前からSpotをテストしてきたというが、このビデオではケースを開いてSpotを起動し、屋外のテストに連れ出している。石の山や階段などを作った大掛かりな実験で、見ているほうではロボットを壊してしまわないかとハラハラした。Spotのサイズは大きめの犬程度だが価格は自動車1台ぶんくらいするのだ。サヴェッジ氏は今後もSpotについての計画を持っているようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Boston Dynamicsのロボットの警察演習映像に関し市民団体が情報請求

4月に米国カリフォルニア大学バークレー校で開催されたTechCrunchのロボットイベントで、Boston DynamicsのヘッドであるMarc Raibert(マーク・ライバート)氏が、現実社会を想定した場面で同社の「Spot」というロボットが動く映像を披露した。救急隊員や警察官などの「ファーストレスポンダー」として対応する場面や建設現場など、同社をフォローする人や自動化一般に精通している人にはおなじみの映像だ。

ところがマサチューセッツ州警察の演習の中でロボットがドアを開ける映像はまったく異なる印象を与える。テロリストと対峙したり人質を救出する状況で、人間の警官の危険を減らすためにロボットがどう役に立つかを示した短い映像だ。

この映像が公開されてから数カ月、住民の自由に関わる市民団体の間でいくつかの疑問が提起された。アメリカ自由人権協会(ACLU)マサチューセッツ支部による公共記録の開示請求はその1つ。請求は、州警察がFacebookに投稿した今年7月のイベントの様子について「州警察がロボットの使用をどのように検討しているか追加の情報を請求する」という内容だ。

ACLUマサチューセッツ支部の「自由のためのテクノロジー」プログラムのディレクターを務めるKade Crockford(ケイド・クロックフォード)氏はTechCrunchへの声明で開示請求について補足した。

このロボットシステムが現在マサチューセッツ州でどのように、どこに配備されているか我々は詳細を知らない。テクノロジーの進歩に社会的、政治的、法的システムの対応が追いつかないことはよくある。政府機関は早急に透明性を確保し、新しいテクノロジーの検証と配備の計画についてオープンにすべきだ。人工知能の時代に市民の自由、公民権、人種的正義を守るため州全体にわたる規制も必要だ。マサチューセッツ州は、安全対策が技術革新に遅れを取らないよう、やるべき事が多数ある。ACLUは地方や州レベルの職員と協力し、法律が技術に遅れないようにする解決策を見つけ実行していく。

どんな新しいテクノロジーにも言えることだが、こういった質問を多く尋ねることが重要だ。Boston Dynamicsの映像には、大きくて恐ろしいロボットに対する不信感と、法執行機関に対する(おそらく当然の)不信感を同時に増幅する負の相乗効果がある。そんな映像を見れば誰でもディストピアのウサギの穴を簡単に降りて行ける。

Boston DynamicsはTechCrunchに、マサチューセッツ州警察がロボットを配備する方法について同社から明かすことはできないが、事業開発担当副社長であるMichael Perry(マイケル・ペリー)氏が、貸し出すロボットの使用方法に関するガイドラインを設けたと説明した。

「現在、当社は契約を結ぶパートナーを選べる規模にある。パートナーを選ぶ際に、ロボットの配備と使用の方法に関して当社と同じビジョンを持っているか確認する」とペリー氏は述べた。「例えば、人を傷つけたり脅迫したりするような使い方はしないことやロボットができることとできないことについて現実的な見方ができることだ」

ペリー氏は、Boston Dynamicsの想定はロボットが法執行機関ではなくファーストレスポンダーの役割を担うことだと説明した。世の中の懸念の多くは前者に関するものだ。ロボットによる爆弾敷設や危険物の取り扱いではなく、警察行為の可能性が懸念材料になっている。特にACLUは「電子メールを含む文書で、ロボットの兵器化に関する議論や参照を含むもの」の開示を請求した。 

ペリー氏は、ACLUの懸念は妥当だが、Spotは人間のファーストレスポンダーが使っている既存のテクノロジーから大きく逸脱するものではないと説明した。 「新しいテクノロジーが採用される時には、複数の利害関係者がテーブルにつく必要がある」と同氏は述べた。「ACLUが具体的に提起した問題は、ロボットだけでなく、すでに展開されている新しいテクノロジーにも当てはまる。 当社がテーブルに持ち込むものが、すでに存在するものと大きく違うのかどうかはわからない」。

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(翻訳:Mizoguchi)

Boston Dynamicsからイヌ型四脚ロボが登場、お値段は高級車程度

4脚ロボットの開発を続けてきたBoston Dynamicsだが、同社のロボットを身の回りで見かけるようになる日はまだ遠いと思っていた。しかしBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は小型で高機能なロボット「Spot」の市販を開始した。実は一部のユーザーはすでにリースで利用中だという。価格は明らかでないが「高級車程度」という情報がある。

Boston Dynamicsはロボットをテーマにした昨年のTechCrunch SessionsでSpotをお披露目した(このときはSpotMiniという名称だった)。今年5月の同じカンファレンスではBoston Dynamicsとして初の商用を目指すプロダクトが登場した。障害物の多い環境でも踏破でき驚くほど多機能だった。このプロダクトがSpotというモデル名でついに販売が開始された。

Boston Dynamicsのビジネス開発担当バイスプレジデントを務めるMichael Perry(マイケル・ペリー)氏はTechCrunchにインタビューに対してこう語った。

Spotは現在すでに実用に使われている。先月、から アーリーアダプタープログラムのパートナーにロボットを届け始めている。こうしたパートナーには「Spotが役に立つのはどういう場面ですか?」と尋ねている。もちろん我々自身の考えはあるわけだが、なんといっても重要なのは現実のユースケースだ。

現在アーリーアダプタープログラムはリースをメインとしているが、ストレートな買い切りでSpotを所有したいという希望が殺到しているという。オプションなどによって価格は大幅に変わってくるが、数万ドル(数百万円)のレベルらしい。もちろんこれはホビーロボットではない。

「アーリーアダプタープログラムについていえば、費用総額は自動車と同じくらいのレベルだ。ただし自動車といってもいろあるので(簡単に言えない)」とペリー氏は語る。

つまりあるユーザーはいちばんシンプルな骨格部分だけを必要とし、必要なセンサーなどを搭載したいというが、別のユーザーは既存のオートメーションの流れに組み込めるようなフル装備を必要とする、ということらしい。

どちらの場合でもカスタマー側にそれなりのエンジニアリング能力があることが前提だ。残念ながらSpotはスイッチを入れるだけで石油のパイプラインや精製施設を検査できるプロダクトではない。Spotは強力、多機能なロボットだが、Boston Dynamicsは特定の作業をただちに実行できるようなターンキー・サービスを提供する会社ではない。Perry氏はこう説明する。

ロボットと一緒に技術者を10人つけなくてもいい段階まで来た。ロボットを人間の近くで作業させたいケースも多い。安全性を確保するためには人間を検知、認識し、動作を変更する必要がある。我々のロボットではこれが完全にできるようになった。我々はGitHubのレポジトリに誰でもアクセスできるようにしている。しかし誰かかがプログラムを書いてロボットに組み込みたいというなら、現実として何ができて、何がまだできないかデベロッパーはよく理解している必要がある。

とはいえ、「何をさせたいか」を逐一列挙したホワイトペーパーを用意する必要はない。多くの企業はGitHubのレポジトリからプログラムをダウンロードしてしばらくテストしてみる程度でうまくいっている。条件があまり複雑でない特定のオペレーションを実行させたいのであればBoston Dynamicsに相談してみるといいだろう。

ペリー氏によれば「問い合わせのメールが殺到している。中にはペットにして冷蔵庫からビールを取ってこさせるのに使いたいというメールもある。それは楽しそうだが、我々のプロダクトはまだそこまで行っていない」という。

今のところ台の上にジャンプできる2脚ロボットであるAtlas(下の動画)の購入可能性についてはいまのところ情報がない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ヒューマノイド型ロボAtlasが床運動のルーティーンをこなす

Boston Dynamics(ボストンダイナミクス)は、手持ちのロボットを鍛え直してきた。2足歩行のヒューマノイド型ロボAtlas(アトラス)に、体操の床運動のルーティーンを教え込んだのだ。前転からの逆立ち、側転やジャンプツイストまで、驚くほどエレガントな動きを見せる。このようなレベルのアスリート魂(ロボットが「アスリート魂」を持てるかどうかは別として)は、見ているだけで感動的だ。なにしろ体重が330ポンド(約150kg)もあるロボットなのだ。2013年に初めてプロトタイプが開発されたときには、「やっと歩ける」程度の動きしかできなかった。

このルーティーンでAtlasが見せる動きは、信じられないほど人間的なもの。人間を超えた動きさえ感じられる。特に、最初の前転の前にカメのような姿勢を取るところはどうだろう。Atlasがパルクールのスキルを披露したのは今回が初めてではない。しかしBoston Dynamicsによれば、現在では、このような運動をプログラミングするプロセスを簡略化するための、新たなテクニックを採用しているという。細かな動きの記述を、実際の動作に自動的に変換するもので、新たに開発した最適化のアルゴリズムも適用している。それにより、ロボットは自分の可動範囲の制限を考慮した上で、目的の動作を実現できる。

その結果、以前よりもはるかに素早く、新しいルーティーンを作成できるようになった。だいたい8割程度は、狙った通りのルーティーンを完成させることができるという。これは人間の体操選手と比べても、非常に高い確率だ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ブロックを積み上げた飛び石の上を自分の判断で歩くロボ

ロボットを歩かせるためのプログラミングは、平らに整地された地面の上だけでも十分に難しい。しかしフロリダにあるIHMC(Institute for Human and Machine Cognition=人間と機械の認知研究所)は、二足歩行ロボットに、起伏に富んだ地形の上を確実に歩かせるという高度な課題に取り組んでいる。同研究所は、この分野における研究成果を2016年からデモしてきた。その最新のビデオ(Engadgetによる)によって、進化を確認できる。

この新しいビデオには、Boston DynamicsのAtlasと、NASAが開発したValkyrieというクールな名前のヒューマノイドロボットを使って、IHMCの自律型歩行立案プログラムが動作する様子が収められている。ロボットは、建築用ブロックを積み重ねて作った飛び石や、細い経路の上を歩いていく。足を運べる場所の選択肢が限られているので、かなり難度の高い歩行となる。

IHMCの方式では、基本的にロボットにスタートとゴールの2つの地点を指定するだけで、高度な歩行動作が可能となっている。それらの間をつなぐ足の運びは、1歩ずつすべての可能性を探って決められる。1歩ごとにコストを評価して、最終的に最善の経路を通ってゴールに到達できるようにするのだ。現在のハードウェア上では、このような判断も比較的高速に処理できる。

こうしたロボットは、環境の変化や経路上の障害物などにもすばやく対応できる。それもIHMCの成果だ。さらに、両足を1本の直線を踏むように動かす綱渡り的な歩行も可能となっている。もちろん、実際にロープの上の歩くわけではなく、直線状に狭く並べたブロックの上を歩くのだが。

やるべきことはまだ残っている。IHMCのチームによれば、狭く並べたブロック上の歩行の成功率は、まだ約50%だという。しかし、起伏のある地形上での歩行は、上記のロボットとソフトウェアの組み合わせで、それよりずっと高い90%の成功率を達成している。そして、平らな地面での歩行は、ほとんど完璧な状態となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

TechCrunchセッション「Robotics + AI」に登場したロボットたち

4月18日に米国のUC Berkeley(カリフォルニア大学バークレー校)で開催された、TechCrunchのイベント「Sessions: Robotics + AI」。会場はロボットだらけで、メインMCを務めたTechCrunchの記者であるBrian(Heater)もロボなんじゃないかと一瞬、疑ったほどだ。

TechCrunchのハードウェア・エディターを務めるBrian Heater

すべてではないが、会場やステージなどで披露されていた、ユニークなロボットたちを画像や動画で紹介したい。

SpotMini(Boston Dynamics)

まずは、説明不要だとは思うが、Boston DynamicsのSpotMini。当日は創業者でCEOのMarc Raibert氏が登壇し、犬型ロボットのSpotMiniを紹介した。詳しくはBrianの記事を参考にしてほしい。

同セッションでは、同社が大量生産する予定のSpotMiniが登場したが、ぱっと見は従来のモデルと同じ。何が違うのだろうか。

Reibert氏いわく、より信頼性のあるプロダクトにするため幾つかの構成部品を再設計、そして、倒れた際などを想定し、より強固なスキンに更新した。同機にはカメラが前後左右に配置されていて、全方位を見ることが可能だ。

SpotMiniは7月に発売予定。Raibert氏は近い未来、デベロッパーたちが専用アプリを作ることで、SpotMiniが「ロボティクスのAndroid」になることを期待する、と述べていた。

同日、イベント終了後には会場の外でデモが行われ、多くの人たちが集まっていた。

Brianいわく、彼はBoston Dynamicsの従業員以外でSpotMiniを操縦したことのある、数少ないラッキーなロボットオタクだという。

だが、当日の会場では、Raibert氏に声を掛けられた小さな女の子が、SpotMiniの操縦をちょっとだけ体験していた。父親は終始「マジかよ」って顔をしていたが、彼女が大人になった時、有能なロボット開発者になっていることを期待したい。

Kiwibot

会場の外を走り回っていたのは、小さくてかわいらしい、お弁当配達ロボットのKiwibotだ。

このKiwibotはUC Berkeleyの構内でも食事を配達している。生徒たちは学校のキャンパスからアプリを通じてランチなどを注文し、Kiwibotが配達してくれるのを待つ。

当日のセッションで登壇したKiwibotのCEOであるFelipe Chavez Cortes氏は「これまでに3万5000件の注文に対応した」と述べた。同社のSasha Latsenia氏は、KiwibotはUber EatsやGrubhubと比べると配達の効率がはるかにいいと説明。注文を受けロボットに食事を入れるスタッフ1人につき、1時間に15回のデリバリーに対応することが可能だという。

Cortes氏は、来年までに、全米の30もの大学がKiwibotを導入し、毎日、合計500台ものロボットが数千食を配達している状態を目指す、と話していた。

Terra(iRobot)

お掃除ロボのRoombaなどでおなじみのiRobot。当日登壇した同社のCEO、Colin Angle氏がステージに連れてきたのは今年の1月に発表された芝刈りロボットのTerraだった。

The iRobot Terra

Terraは2019年中にドイツで販売、 米国ではベータ版プログラムとして提供開始される予定だ。Angle氏いわく、お掃除ロボに次いでリクエストが多かったのが芝刈りロボット。

Roombaの登場から17年後に発表されたTerra。Angle氏は、開発にあたり一番大変だったのは、Roombaと違い、強力な「刃」が必要だったことだと話した。Roombaは比較的「安全」なロボットだったのに対し、Terraには草を狩る刃がある。この刃を「ロボットフレンドリー」にするため、岩などに当たった際に「引っ込む」ように設計されている。

右がTerraに搭載された刃を説明するAngle氏

また、Roombaのような動きだと芝の模様が「ゴッホの絵画」(Angle氏)のようになってしまうため、また、芝生の中に花や木が植えられている可能性もあることなどから、「アウトドアナビゲーションシステム」を開発した。

LOOMO(SEGWAY ROBOTICS)

Kiwibotとともに会場の外に展示されていたのは、SEGWAY ROBOTICSのLOOMO。SEGWAYの上にロボットが乗っかっているような見た目。パーソナルモビリティーとパーソナルロボットのいいとこ取りといった感じだ。

公式サイトによると、最大時速は、ロボットモードで4.3mph (8km/h)、乗り物モードでは11mph (18km/h)。一回の充電で22 miles (35km)ほど走行できる。カメラが付いているので動画を撮影することも可能だ。

会場の外では走行デモが行われていた。

ロボットモードではLOOMOが後ろを付いてきてくれる。

Boston Dynamicsが4本足ロボの商用生産に先立ち新利用例をお披露目

昨年のTC SessionsのRoboticsイベントで、Boston Dynamicsは4本足ロボのSpotMiniを商品化する意向を発表した。それは秘密主義の同社にとって大きな一歩だった。世界で最も洗練されたロボットを四半世紀にわたって作り続けてきた後で、同社はついに商用化の世界に足を一歩踏み入れた。これで彼らの四足のロボットが、そのデバイスを必要とし、資金もある人たちの手に入るようになる。

今週私たちが開催したイベントに、CEOのマーク・レイバート(Marc Raibert)氏が、Boston Dynamicsがこの12カ月の間にどのような進歩を遂げたのかを語るために再び登場してくれた。それはSpotMiniに関わる話題と、より市場指向を意識したその多くの製作物に対する、同社のより大きな意向についての話題である。

同社にとって重要な買収を行ってから、Boston Dynamicsの姿勢は熱いものになっている。実際、Kinemaは同社の歴史の中で最初の大きな買収だった(疑いなくその親会社であるソフトバンクの潤沢な資金に助けられたものだが)。ベイエリアを拠点とするKinemaのイメージング技術は、Boston Dynamicsの改良型ホイール式ロボットハンドの重要な構成要素だ。新しいバージョンのシステムを得て、これまでの2本の腕が、複数の吸引カップを使ったグリップ装置に置き換えられた。

同社が最近発表した動画では、箱を棚からベルトコンベアに移動するために展開できるシステムの、効率性と速度が示されている。ステージ上でレイバート氏が指摘したように、このHandleと呼ばれるロボットは、Boston Dynamicsが作製してきたものの中で「特定目的ロボット」に最も近付いたものだ。すなわちある特定のタスクを実行するためにゼロから設計されたロボットということである。DARPAから資金提供を受けていた初期のプロジェクトを過ごしたあと、同社は新しい目標へと狙いを移したようである。それは主として世界で最も洗練されたロボットを作りたいという願望が原動力となっているようだ。

「私たちは、世界中で毎年約1兆立方フィート(約283億立方メートル)の箱が移動すると見積もっています」とレイバート氏は言う。「そしてそのほとんどは自動化されていません。そこに本当に大きなチャンスがあるのです。そしてもちろん、この私たちのロボットは素晴らしいものです。なぜならバランスをとるロボットとしてのDNAを持ち、ダイナミックに動き回り、長い距離に手を伸ばすことができるように、バランスウェイトを備えているからです。なので、ある意味では、私たちが何年もかけて開発してきたロボットと変わらないのです。また一方では、箱を認識することができて、綺麗に積み上げることができるようなタスクを行えるように、物を掴むという動作に焦点を当てています」。

同社は、その他の点でも歩みを進めるだろう。たとえばヒューマノイドのAtlasのようなロボットは、商用への応用がすぐに始まるとは言えないが、同社の仕事の重要な部分を占めることになるだろう。

だが、ショーにおける真のスターはSpotMiniだった。今回同社は、実際の量産が行われるバージョンのロボットをお披露目した 。一見したところでは、そのロボットは私たちがステージ上で見たバージョンと非常によく似ていた。

「信頼性を高め、外装の機能を高め、落下した場合に保護できるように、多くのコンポーネントを再設計しました」とレイバート氏は言う。「前面に2台、それぞれの側面に1台、背面に1台のカメラを搭載しています。このためすべての方向を見ることが可能です」。

私にはロボットを操縦する機会が与えられた。Boston Dynamics社外の人間でこうした機会を持つことができた者は少ない。SpotMiniは自律移動に必要な技術を、すべて備えているものの、特定の状況ではユーザー制御が可能であり、その方が望ましい場合もある(そのうちのいくつかを、すぐに説明する)。

このアニメーションGIFはオリジナルのものよりも若干スピードアップされている

コントローラーはOEMによるデザインで、中央に細長いタッチスクリーンを備えたXboxコントローラのように見える。ロボットはタッチスクリーンを使って直接制御することができるが、私はジョイスティックのペアを選んだ。SpotMiniを移動させることは、ドローンの操縦によく似ている。一方のジョイスティックでロボットを前後に動かし、もう一方のジョイスティックではロボットを左右に回転させる。

ドローンと同様に、慣れるのには多少時間が必要だ(特にロボットの方向に関しては)。ある方向がロボットにとっては常に前方を意味するが、操縦者にとってはかならずしもそうではない。画面上のボタンをタップすることで、ジョイスティックの機能が腕(または利用者の認識によっては「首」)の操作へと切り替わる。これは標準的ロボットアーム/グリップ装置のように動かすことができる。このアームはロボット本体が激しく移動している間は、邪魔ならないように固定しておくことができる。

一度コツを掴んでしまえば、とても単純だ。実際、ビデオゲームの経験がテトリスの頃でピークだった私の母も、イベントのバックステージにいて、Boston Dynamicsから喜んでコントローラーを受け取り、ほとんど問題なくロボットを操作していた。

Boston Dynamicsはこれまで以上にカーテンをめくって見せている。会話の途中で、レイバート氏はコンポーネントテストの舞台裏映像を披露した。それはロボットの様々な部位が実験室のベンチ上に広げられた様子が示された、必見のサイトだ。これは私たちが今までに見たことのないBoston Dynamicsの側面である。何体かが自律的にあたりを巡回している、多数のSpotMiniがいるテスト用囲いの映像も同様に披露された。

Boston Dynamicsは、未来がロボットにとってどのように見えるかについてのアイデアを、まだ他にも持っている。レイバート氏はSpotMiniをさまざまなテストシナリオを利用しているマサチューセッツ州警察の映像も紹介した。例えばロボットにドアを開けさせることができれば、人質事件やテロリスト事件の際に、人間の警官を危険から守ることができるかもしれない。

また別のユニットは、ストリートビュースタイルの360度カメラを装備して、東京の建設現場を自律的に巡回するようにプログラムされていた。すなわち建築の進捗をモニターすることが可能になる。「これを使うことで、建設会社は自社の現場の進捗状況を評価することができます」と彼は説明する。「おそらく、つまらない仕事のように思うかもしれません。しかし、こうした企業は何千もの現場を抱えているのです。そのため、彼らは進捗を知るために、週に2、3度は巡回を行わなければなりません。こうした用途にSpotMiniを使えることを期待しているのです。そのため、さまざまな段階のテストとシナリオの概念実証を行うために、10数社の企業が順番を待っている状態です」。

レイバート氏は、Spot Mini の7月の出荷は、今の所問題なく開始できる予定だと語った。価格についてはまだ発表できる段階ではないが、第一弾としておよそ100体が製造される計画である。

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(翻訳:sako)

ボストン・ダイナミックスの開発製品版4本足ロボがデビュー

昨年のTCセッション、ロボティクスカンファレンスでBoston Dynamics(ボストン・ダイナミックス)は、SpotMiniが商業展開する初の製品になると発表した。改良されたバージョンに至るまで、同社は基本的に事業所内をパトロールすることを目的にしているこの4本足ロボの開発に数十年費やしたかもしれない。

今日のイベントで創業者でCEOのMarc Raibert(マーク・レイバート)氏は電動ロボットの製品版をデビューさせた。昨年言及したように、同社は今年100モデルを生産する計画だ。レイバート氏は、同社が7月か8月に生産を開始することを目指していると語った。いくつかのロボットがすでに組み立てラインにあるが、それらはベータテストに使われる。そして同社はまだデザインに手を加えている。価格は今夏発表される予定だ。

生産が近づいたSpotMiniについての新たな情報としては、SpotMiniが転倒したときに、ロボットそのものと、全方位が見えるように前後や左右に取り付けられたカメラを守ることができるよう、しっかりとしたスキンにするために再設計された構成部品がある。

SpotMiniはまた、アームを持っているが(よく頭に間違われる)、異なるアプリケーションに応じてフレキシブルであるよう、他のパーツが動こうともアームは同じ場所に位置する。

レイバート氏は、ナビゲーションソフトウェアや、デベロッパーがゆくゆくはロボットのコントロールと相互作用することができるアプリを書くことで、SpotMiniがロボティクスのAndroid(あるいはアンドロイドのAndroid)になることを願っていると語った。

SpotMiniは、Boston Dynamicsがリリースしようとしている最初の商業ロボットとなる。しかしすでにわかっているように、当然のことながらSpotMiniで終わりではない。同社は、車輪のついたHandleロボットをロジスティック分野に売り込もうとしている。ロボティクスにおいてこの分野は現在かなりホットだ。特にAmazonは最近、コロラド拠点のスタートアップのCanvasを買収して配送センターロボット部門の傘下に収めた。

Boston Dynamicsも今月初めに同社初となる買収を行っている。Kinemaの買収で、この分野で重要な部分を担うより高度なビジョンシステムを開発ロボットに搭載できる。

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(翻訳:Mizoguchi)

Boston Dynamicsが恐竜的2輪ロボットで倉庫業務をデモ

Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)がHandleロボットの最初のバージョンをデビューさせたのは2年前になる。しかしその後は横置き2輪で移動できるHandleは脇に置かれ、同社はもっと華々しい2脚、ないし4脚で移動するロボットの開発に力を入れる方向に向かった。

エンジニアリングの見地からはHandleleは同社の他のロボットに決して見劣りするものではなかったが、同社が発表するビデオはほとんどがAtlasとSpotないしSpot Miniだった。

しかし米国時間3月28日、Handleのバージョン2が活躍するビデオが公開された。もっとも、環境はやや地味だ。このビデオでは倉庫の設定でHandleロボットのパッケージ処理能力がデモされている。当初のビデオでHandleは45キログラムの荷物を運ぶことができたが、新しいバージョンは現実のロジスティクスに応用した場合が検討されている。

アップデートされたHandleは一見してオリジナルと大きく異なる。まずオリジナルよりずっと小型化され、2本のアームの代わりに先端に吸引カップを装備したグリッパーが恐竜の首のように延びている。今回のモデルでは持ち上げられる最大重量は14キロ程度で、ビデオで扱っている箱は5.5キロほどだという。それでもこのロボットの器用さ、作動範囲、自立性の高さは驚くべきものだ。

Boston Dynamicsによれば、「HandleはSKU(販売商品単位の箱)をパレットからピックアップし、移動して別のパレットに積み上げるなどの動作を自立的に遂行する。Handleにはカメラが搭載され、人工知能によるコンピュータービジョンでパレットのマーキングを読み取って箱を適切な場所に移動することができる」という。

去年TechCrunchがバークレーで開催したロボティスクス・イベントで、Boston DynamicsはSpot Miniロボットを商用化する計画があることを発表した。これによれば、同社のロボットは今年後半には一般に購入可能になるという。これは親会社がGoogleからソフトバンクに変わったこともあり、ロボットのビジネス化に力を入れていくという努力の一環なのだろう。

Handleのようなハイスペックなロボットの価格は一般的な倉庫で働かせるためには高価すぎるだろうし、このビデオはBoston Dynamicsがプロダクトの商用化を目指す動きとはいちおう別に考えたほうがいいだろう。そうではあっても、現在、倉庫で利用されているロボットはルンバのような動く台車にすぎないのに比べて、倉庫の棚から荷物をピックアップし、自分で所定の位置に運んでいくHandleの能力は驚くべきものだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Boston Dynamicsのロボットのパルクールを見よう――2足歩行ロボットが段差を軽々ジャンプ

5年前にBoston Dynamicsから2足歩行ロボット、Petmanが登場したとき、安全のために頑丈なケージで囲んでおくこと が必要だっった。2年前のAtlasは平地を歩くときでもテザリングワイヤーが接続してあった

ところが、最新のロボットは人間でも苦労するような障害物でも難なく飛び越え、駆け上がってしまう。

今朝(米国時間10/11)、Boston DynamicsはAtlasの最新のデモを撮影したビデオを公開した。

Atlasは小走りにやって来るとまず丸太を飛び越える。続いて40センチの段差を3度続けてジャンプして1メートル20センチの高さの台に上る。

人間サイズの重いロボットに2足歩行をさせることができる会社は少ない。そのロボットにパルクールをさせるとなれば途方もない難事業だ。Atlasは踏み切ってジャンプするときに重心を巧みに移動させて勢いを維持し、顔面制動したりする気配もみせず、滑らかに次のジャンプに続けていく。これは非常に高度な制御技術だ。

真後ろから写したビデオを見ると、箱は横にずらせて設置してあり、ジャンプの際にAtlasは前だけでなく横にも移動しなければならない。9秒以降のスローモーション動画を見るとよくわかるが、Atlasは腰と脚を微妙に曲げてこれを達成している(Boston Dynamicsが以前公表した数字によるとAtlasの体重は80キロだ)。

以前は「おやおや、ロボットが人間みたいに走ろうとしている」と笑っていたのが、今は「私にはあんなことはとても無理だ」に変わってきた。

さてBoston Dynamicsが次に目指しているのはどんなことだろう? われわれは数ヶ月前にバークレーで開催したロボティクスに関するイベントで、Boston Dynamicsのファウンダー、Marc Raibertにインタビューしていろいろ聞いた。その模様は下のビデオで見られる。


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滑川海彦@Facebook Google+

「サービスとしてのロボット工学」で新ビジネスモデルを開拓するinVia Robotics

inVia Poboticsの面々は、ロボットを大量に販売するための、新しいビジネスモデルを構築する目指して会社を立ち上げたつもりではなかったのだが、それはまさに、彼らが今、行っていることなのかも知れない。

サザンカリフォルニア大学のロボット工学プログラムを卒業したLior Elazary、Dan Parks、Randolph Voorhiesの三人は、即座に人の注目を集められるアイデアを模索していた。

「私たちの目標は、すぐにでも経済的な意味を生み出せるものを立ち上げて、運用することにありました」と、同社の最高技術責任者Voorhiesはインタビューに答えて言っていた。

鍵となったのは、彼らが見てきた過去のロボットメーカーの失敗から教訓を学ぶことだった。

iRobotは早くから成功していたが、人と一緒に仕事を行う一般消費者向け、または協働ロボットは、大きな市場からの興味を惹くまでに至っていない。

 

 

ロボット工学業界のリーダーたちによって設立された伝説の企業Willow Garageは、Voorhiesとその仲間たちが卒業するころに事業を停止してしまった。有名なロボット研究企業のひとつ、Boston Dynamicsは、同じころグーグルに買収された。この検索エンジンの大手企業は、6カ月の間に浮かれ騒ぐように8つのロボット工学企業を買収している。

「その最中に、その様子を見ていた私たちは、おい、失敗したロボット工学企業がこんなにあるぞ! と話していました。そして、どうしてこんなことになるのかを、自分たちに問いかけました」とVoorhiesは振り返る。「私たちが見てきたハードウエア企業の多くは、こんな計画でやっていました。ステップ1:すごくクールなロボットを作る。ステップ3:アプリのエコシステムが発展して、人々がたくさんのアプリを制作するようになり、ロボットがめちゃくちゃ売れる。しかし、ステップ2をどうやるか。それは誰も知りませんでした。つまり、ロボットの商品化です」

そこで3人の共同創設者たちは、いち早く市場に打って出るためのアイデアを探した。

そして得られた考えは、高い移動で品物を運べるロボットの開発だった。「私たちは、移動式の6自由度のアームを開発しました」とVoorhies。

しかし、アームの製造は複雑で、部品代は高く、ロボットが使われる環境によっては、その順調な稼働を妨げる要素の種類が多すぎた。結局、彼らは、ロボット工学は、整備された特定の環境でこそ、大成功が叶うのだと気がついた。

「環境はあまりにも予測不能で、それに対応するには、やるべき仕事が手に負えないほど膨大になることが、すぐにわかりました」と彼は言う。

Parksがそこで、協働ロボットがもっとも楽に働ける、整備された環境を分析して、ホワイトペーパーを作成した。それを見れば、そうした環境は倉庫以外にないことが明らかだった。

 

 

2012年3月、アマゾンも同じ結論に達し、Kiva Systems7億7500万ドル(約850億円)で買収し、Kivaのロボット軍団を、世界中のアマゾンの倉庫と配送センターに展開した。

「Danは、Loiと私のためにホワイトペーパーをまとめてくれました」とVoorhiesは言う。「そして大きく見えてきたのは、eコマースの物流です。床はたいていがコンクリート張りで、傾斜もほどんどなく、そこで主に人が行っている作業は、品物を棚から下ろして、別の場所に置くというものです」

アイデアが固まると、技術者のVoorhiesとParks、そしてすでに2つの企業を経てきた筋金入りの起業家であるElazaryの三人は、プロトタイプの製作に取り掛かることにした。

アマゾン以外の倉庫や配送施設のほどんどは、品物の保管と回収を自動的に行う自動倉庫システムを利用していると、Voohriesは言う。その自動化システムとは、外観も機能も巨大な自動販売機のようなものだ。しかし彼によると、こうしたシステムには多額の埋没費用が掛かっていて、柔軟性も適応性も低いという。

しかも、これらの古いシステムは、ランダム・アクセス・パターンや、eコマースを成功に導くための、主に出荷と梱包からなる複合的な命令に対応するようには作られていない。

ところが、埋没費用があるために、倉庫はモデルの変更に積極的にはなれない。そこで、Voorhiesたちが考え出した革新的なアイデアは、流通業者が埋没費用を気にせずに済む方法だった。

「私たちは先行投資をしたくなかったのです。ロボットを設置するだけでなく、それを作る企業を立ち上げる場合でもです」とVoorhiesは話す。「自分たちの力でできることをしたかった。それを有機的に成長させて、一刻も早く勝利を収めたかったのです。そこで私たちは自動倉庫システムに目をつけ、その作業を行う移動型ロボットを作ろうじゃないか、という話になりました」

当初、彼らは、いろいろなロボット開発方法を試した。最初にあったのは、いくつもの異なる品物を運べるロボットと、回収を専門に行うロボットだった。

同社が最終的に決めた形状は、テーブルを上下に動かすシザーリフトを備えた移動式の円盤型の装置だ。テーブルの一端には前後に伸び縮するアームがあり、アームの先端には吸引ポンプが取り付けられている。このポンプで品物の箱を吸着してテーブルに載せ、梱包担当者のところまで運ぶ。

「最初は、品物を個別に積むことを考えていました。しかし、実際に倉庫の人たちの話を聞くうちに、どんな品物も、とにかく特定の箱に入れているということがわかってきました」とVoorhies。「それならもっと楽をしよう。その箱さえ掴めればいいんだからね、と」

この最初のロボットを自力で作ったことで、inViaは、そのビジョンを実現するための2900万ドル(約32億ドル)の資金調達を行った。最近では7月に、2000万ドル(約22億ドル)の投資ラウンドを成立させている。

「eコマース業界の成長が、その要求に応えるための倉庫の自動化をいう需要を、どんどん生み出しています。そうした自動化の需要を満たせるのは、作業の流れに応じて規模を調整できるよう、AIを採り入れた柔軟なロボットです。inVia Roboticsへの投資は、AIがサプライチェーン業界において重要な役割を果たすという我々の信念の現れです」と語るのは、Point72 VenturesのAI投資部門共同責任者のDaniel Gwakだ。Point72 Venturesは、ヘッジファンドで名を馳せた投資家スティーブ・コーエンが設立したアーリーステージの投資会社だ。

配送や物流を行う企業の苦しい現状を考えれば、ロボット工学や自動化技術がきわめて重要な戦略的投資の対象になることや、ベンチャー投資が市場に流れ込んでくることは理解できる。この2カ月間だけで、倉庫や店舗の自動化を目的としたロボットメーカーは、7000万ドル(約77億ドル)に近い新規の資金供給を受けている。これには、フランスのスタートアップExotec Solutionsがつい最近獲得した1770万ドル(約19億円)や、食料品店向けのロボットを開発するBossa Novaの2900万ドル(約32億円)の投資ラウンドも含まれる。

また、Willow GarageやLocus Roboticsの血統を受け継ぐFetch Roboticsなどの倉庫に焦点を絞ったロボットメーカーは、物流サービス会社Quiet Logisticsとつながっている。

「ロボット工学への投資は、当然な流れとして、過去数年に比較して驚くほど伸びています」と、市場調査会社IDCのCommercial Service Robotics(商業サービス・ロボット)研究部長John Santageteは声明の中で述べている。「投資が伸びているのは、その技術を受け入れた市場の作用です。その技術分野は、市場の要求に見合うまでに成長したのです。そしてその将来の展望には、柔軟な自動化技術が含まれているに違いありません。今日の倉庫では、消費者の要求に追いつくために、品物はより速く、より効率的に移動しなければなりません。自動化された移動型ロボットは、スピードと効率性と柔軟性のある自動化を、費用対効果の高い形で実現します」

inViaは、ロボットを販売するだけでは十分ではないと気がついた。倉庫が、inViaのロボットによって実現できる経費節約の可能性を確実なものにするためには、ソフトウエアのプレイブックのページを開く必要がある。道具を売るのではなく、ロボットが行う作業を、サービスという形で提供するのだ。

「お客様は、ロボットの価格はいくらかと聞きますが、それは見当違いです」とVoorhiesは言う。「そいういうことを、考えずに済むようにしたいのです」

inViaと物流企業との間で交わされる契約は、行った作業ごとの単位となっている。Voorhiesはこう説明している。「注文ラインはひとつ(の最小管理単位)です。数に関係なく注文できます。……私たちは、ロボットが品物を取って人のところまで運ぶごとに料金をもらいます。作業を高速化して、使用するロボットの台数が減れば、それだけ私たちは儲かるのです」

大きな違いはないように聞こえるかも知れないが、倉庫ではこうした効率化が重要になると、Voorhiesは言う。「ある人が、35個のパレットを載せられるカートを倉庫の中で押しているとしましょう。私たちがやれば、その人はじっと立っていればよいのです。使えるカートも1台だけではありません。35どころか、一度に70の注文に応えることが可能です」と彼は話す。

楽天物流では、すでにinViaのロボット導入により利益を上げていると、楽天スーパーロジスティクスCEOのMichael Manzioneは話している。

「発送センターで実際に(ロボットが)使われ出したのは、ごく最近です」とManzioneはインタビューに応えて話している。「2月の下旬にこの製品を初めて見て、3月下旬には稼働していました」

Manzioneにとって大きなセールスポイントは、先行投資の必要もなく、ロボットが即座にスケール調整できることだった。「年末休暇のシーズンの計画では、収益が上がる予定です」とManzioneは言う。「去年は人員を2倍に増やしましたが、今年は増やすつもりがありません」

Voorhiesが指摘しているが、倉庫環境で作業員のチームが効率的に働けるように訓練するのは、容易ではない。

「問題は、新らしい人間を入れにくいという点です。倉庫では、本当に真面目な専門家チームが頑張っていて、フォークリフトで品物を運ぶことに喜びを感じています。シフトの中で汗を流して得られるものに、とても満足しているのです」Voorhiesは言う。「そうした専門家チームにも対処できないほど処理量を増やす必要が出てきたとしても、その仕事が熟せる人間を探すのは困難です」

この記事は、inViaの最高責任者Lior Elazaryの名前の綴りを修正して更新しています。

  1. inVia

  2. inVia-at-Hollar

  3. inVia-Robotics_1

  4. inVia-Robotics_1

  5. inVia-Robotics_2

  6. inVia-Robotics_3

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(翻訳:金井哲夫)

Boston Dynamicsが犬のようなロボットSpotMiniを2019年に発売する

今年で創業26周年を迎えるBoston Dynamicsが、ついにそのロボットを売ることになった。ファウンダーのMarc Raibertによると、同社の犬に似たロボットSpotMiniは今、2019年の商用化に向けて準備を進めている。発表は、UC Berkeleyで行われた本誌TechCrunch主催イベントTC Sessions: Roboticsで行われた。

“SpotMiniの開発動機は、オフィスで仕事をするロボットだった。身近にさまざまなビジネスアプリケーションのある環境で、ロボットは何をすべきか。そして最終的には家庭用も想定した”、とRaibertはステージで述べた。

Boston DynamicsのSpotMiniは昨年後半に登場し、同社の“ビッグブラザー”四足ロボットSpotのデザインを踏襲していた。同社はこれまでも、さまざまなロボットの高度なデモをしてきたが、SpotMiniだけは最初から商品化を意識しているようだった。

Boston DynamicsのWebサイトでは、SpotMiniが“これまででもっとも静かなロボット”と強調されている。重さは約30キログラム、一回の充電で約90分動く。

[SpotMiniが#TCRoboticsにやってきた]

同社によると、計画では今年後半に複数の契約メーカーに、商用目的で最初の100台を作ってもらう。そしてその体制をスケールした上で、2019年にはSpotMinisを発売する。まだ価格については何も述べられなかったが、SpotMiniの最新のプロトタイプは製造コストがこれまでの1/10だった、という。

昨日(米国時間5/11)Boston Dynamicsは、肉と血でできた動物の好奇心に応えて、SpotMiniが自動走行モードで走るビデオを投稿した。

  1. TC Sessions: Robotics 2018

    TC Sessions: Robotics 2018
  2. TC Sessions: Robotics 2018

    TC Sessions: Robotics 2018
  3. TC Sessions: Robotics 2018

    TC Sessions: Robotics 2018
  4. TC Sessions: Robotics 2018

    TC Sessions: Robotics 2018

同社の高度なロボットのデモは、おそろしい陰謀理論や、ロボットが地球と人類を支配する日、などを連想させてきたが、その歴史はなかなかおもしろい。

同社は、MITからスピンオフして創業したのが1992年だ。最近はしばらくGoogleの持株会社Alphabet Corp.の傘下にいたが、昨年SoftBankに買収された。SoftBankのVision Fundはかねてからロボットを重視しており、しかし同社が2015年に発売したヒューマノイドロボットPepperは、Boston Dynamicsのロボットほど高度なものではない。

下のプレゼンテーションビデオには、最新のSpotMiniのデモも含まれている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Jeff Bezosが完全招待制のロボット・カンファレンスでAmazonロジスティクスの未来を模索?

今日(米国時間3/19)から、Amazonが秘密秘密と大声で言っていた例年のMARS Conference(火星会議)がパームスプリングスで行われる。その意味は二つある:

  1. あなた(人間)は招待されていない。
  2. これから数日間、Jeff Bezosが彼の最愛のロボットたちと歩き回っている写真が大量にメディアに配信される。

昨年、このロボットが大好きな億万長者は、重量1.5トンのメカスーツに搭乗して現れ、その恐ろしげな出で立ちでインターネットを騒がせた。そうやって自分をEllen Ripleyに擬した彼なら、地球上の全生命の終わりを告げる黙示録的未来の大氷河を破れるだろう。しかし今年の最初のショットはやや穏やかで、Bezosが“新しい愛犬”を散歩させている。それはBoston Dynamicsの最新の四脚ロボット、SpotMiniだ。

もちろんそのロボットは、Bezosに飼われるまでは、芝生の上で昼寝するしか、やることがなかった。しかしBezosとその仲間たちは、着実にAmazon Roboticsを立ち上げ、ロジスティクスの自動化のために買収するつもりだったが、Boston Dynamicsは今年初めに、GoogleからSoftbankへとオーナーを変えてしまった

しかしこの完全招待制のカンファレンスには、ほかにもたくさんのロボットが、億万長者の歓心を買うべく集まっている。Bezosは瓶投げゲームでロボットアームに挑戦し、さらに、配達ロボットPiaggio Gita2台が、BezosのSpotMiniBezos自身を追う。おまけに、空にはドローンが飛んでいる。

もしもあなたが、Amazonの億万長者オーナーなら、あなたも、月曜日の朝の散歩を愛犬ならぬ愛ロボと一緒にしているはずだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Boston DynamicsのSpotMiniが人類に代わって地球を支配したらこんな光景か?

Black Mirrorのワンシーンのようなこのドキュメンタリーふうビデオは、Boston DynamicsのSpotMini
の大集団が地球上を覆い尽くす未来を描いている。もちろんフィクションだが、でもBoston Dynamicsのロボットに対する唯一の防御策として、エンジニアにホッケーのスティックを持たせることしかないのなら、このシーンはやがて現実になるかもしれない。

Boston Dynamicsのロボットは、技術もデザインも着実に進歩していて、その最新作、黄色い皮膚のSpotMiniはドアを開けることもできる。このビデオでは、何千台ものSpotMiniが地表を自由に動き回っている理由や経緯が分からない。充電はどこでするのか? リーダーはいるのか? 砂塵が吹き荒れているようだが、どうやって自分を洗うのか? ロボットの大公たちに、訊きたいことは山ほどあるね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ロボットに虐待やいたずら対策を実装するより人間のマナー向上が先…その深遠な理由

おぼえておられると思うけど、先週はBoston Dynamicsの最新ロボット、細身で黄色のSpot Miniが、自分でドアを開けられるようになった。でも、それぐらいでロボットを怒らせたいとは、誰も思わない。でもロボットたちはやがて、人間個人を見分けるようになるだろう。そして、ロボットの停止ボタン勝手にを押した人を見つけると、自分のやるべきことをやらせてくれないロボット虐待の罪で、そいつを罰するかもしれない。Spot Miniもやがて、紐に繋がれていない自由な‘生き物’になる。

でも、ロボットを複雑で混みあった環境の中を歩かせるときには、このような、‘妨害に遭ったときにどうするか’というテストが欠かせない。意図的な妨害でも、あるいは事故や偶然による妨害でも、そんなときロボットはどう反応すべきか。もちろん、ロボットには妨害から立ち直る能力が必要だ。想定外が生じたとき混乱するだけなら、仕事はできない。

どんな場合でも、対応できずに途方に暮れるロボットを見るのは辛(つら)いだろう。ぼくなら、辛いね。まじめに仕事をしているのに、自分の部品を外してしまったいたずら人間を怒れないなんて、まさにロボット虐待ではないか。

たぶんロボットは、ドアを開けられるだけでなく、超人的な忍耐力(我慢する能力)を持つだろう。ぜひ、そう願いたい。ぼくは、招待されてBD社にSpot Miniを見に行ったとき、一度だけ彼を蹴ったことがある。この記事を読んでいるマシンのみなさま、ごめんなさい

画像提供: Boston Dynamics

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Boston Dynamicsの新型ロボットはひとりでドアを開けられる

いつかこの日が来ることはわかっていた。Boston DynamicのスリムになったSpot Miniが、今度はドアの開け方を覚えた —— 使っているのが腕なのか顔なのかは、見る人次第。

チームがGoogleからSoftbankに代わったあともバイラルなロボットマーケティングは健在だ。あのスリムデザインのSpot Miniのデビューから3カ月、新たに制作された予告編ビデオでは、ヘッドマウントアームを装備したもう一匹がドアを(比較的)すばやく操作して仲間を部屋に通す。

ビデオを見てすばらしいと思うのは、アームの機敏な動きに加えて、かなり重そうなドアを開きながらバランスを維持しているところだ。

これはまさしく「クレバーガール」だ。

前回のビデオと同じく、この予告編でもすでに発表済みのロボットのミツバチ色バージョンの新機能について詳しい説明ない。

この技術は高度な自動制御システムの可能性を感じさせるが、ビデオが短すぎて誰かが画面の外からロボットを操作しているのかどうかはわからない

もし、Spot Miniが実際に自分でドアを開けて友達を自由にできるようになったら、そろそろ心配し始める時だろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

世界でもっともキモ悪いロボットを作ったBoston Dynamicsが久々に新製品

Boston Dynamicsは、Googleの不調なロボット部門からお金持ちのSoftBankに移籍して以降、あまり音沙汰なかったが、その間この最先端のロボット企業は何をやっていたのか。それが分かるのが、同社がこのほどリリースした24秒の予告編的ビデオだ。ここでは、同社のこれまでの製品にくらべるとずっとすっきりしたデザインの電動式ロボットSpotMiniを見ることができる。

本誌は同社にこのプロジェクトの詳しい情報を求めたが、いつものように、あまり喋らないことで同社らしさを固持している。そして同社の得意手としては、いつものように、とことん、ビデオが口コミで広まることに賭けるのだ。でも、今のところわれわれに与えられたのは、このアップデートされたロボットが刈ったばかりの芝生の上でお馴染みのしぐさを繰り返し、一瞬カメラを見つめ、そして壁の向こうへのろのろと消えていく、短いビデオだけだ。

ざっと見たところ、そのハードウェア本体は同社の初期の完全電動四足ロボットとほとんど同じようだ。しかし外見は相当改造され、これまでの同社の製品の中ではずば抜けて洗練されている。それは、Pepperで掲げたロボットの商用化というSoftBankの目標に合わせた形だ。けっこう可愛くなったSpotちゃんだが、でもWalMartの店頭でお客さんにご挨拶するのはまだ早いかな。

このロボットの胴体と上腕は、蜂のお腹(なか)のような色に塗られている。メカを覆うプラスチックのコーティングは、Kill BillのUma Thurmanをおもわせる。そしてカメラを一瞬凝視する様子からは、Kinectのような3Dカメラをペアで装備していることが伺われる。同社の最近の求人リストには、ステレオカメラとLIDARの経験のある“Senior Perception Software Engineer”があった。もちろん、このロボットの自動走行を目指しているのだろう。

でも、このビデオのキャプションは情報量が貧しい。Stay tuned(今後にご注目ください)というメッセージがあるだけだ。つまり、じっと待つしかないのである。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

SoftbankがAlphabetのロボット企業Boston DynamicsとSchaftを買収

【抄訳】
意外な展開になってきた。あの仲良しロボットPepperを作っているSoftbankがさきほど、Googleの持株会社Alphabetのロボット企業2社の買収を発表して、いよいよロボットに本気であることを示した。その2社とは、Big Dog(上図)を開発しているBoston Dynamicsと、二足歩行ロボットのSchaftだ。買収の価額等は公表されていないが、分かり次第お伝えしよう。

Alphabetにとってはこれは、Google時代に大量にやってきた買収や戦略的投資を整理する努力の一環だ。買収はしたけどその後、本体のビジネスにあまり貢献しなかった、という企業が整理の対象になる。

SoftBank Group Corp.の会長兼CEO Masayoshi Sonは、声明文の中でこう述べている: “今日なお、人間の力では解決できない問題が数多くある。知能化ロボットは情報革命の次の段階を推し進める重要な力となる。MarcとBoston Dynamicsの彼のチームは、先進的な動的ロボットにおける、誰もが認める技術的リーダーだ。彼らをSoftBank家に迎えて、その今後の前進をサポートできることは、きわめて喜ばしい。彼らはロボットという分野をさらに継続的に前進させ、人類の幸福に資する数々のアプリケーションを探求してくれるだろう”。

それは、人材引き抜きではなく全社的な買収のようだ。Boston DynamicsのファウンダーでCEOのMarc Raibertは、こう声明している: “Boston Dynamicsの全員が、SoftBankの大胆なビジョンと、同社が作り出しているテクノロジーの次の革命に参加できることに、感激している。そして、技術の進歩は人類の利益のためであるべき、というSoftBankの信念を、われわれも共有する。SoftBankと共にロボットにできることの限界を打破し、より知能的でより接続された世界にふさわしい、有益なアプリケーションを作っていける日を、待ち望んでいる”。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))