アップルは6月のWWDCをオンライン開催に、新型コロナ懸念で

米国時間3月13日、Apple(アップル)は他の大手テクノロジー企業の動きにならい、6月に開催される毎年恒例のWorld Wide Developers Conference(WWDC、世界開発者会議)の通常開催をキャンセルすることを発表した。近年サンノゼで開催されていたような大規模なイベントではなく、同会議をオンラインのみの形態にシフトする。アップルはこの決定の主要因として「現在の健康状況」を挙げている。

シニアVPのPhil Schiller(フィル・シラー)氏はニュースリリースの中で「私たちは6月のWWDC2020を、世界中の何百万人もの開発者のみなさまに、革新的な方法でご提供いたします。開発者コミュニティ全体に新しい体験をもたらすことになるでしょう」と述べている。「現在の健康が懸念される状況は、私たちにオンラインキーノートとセッションを含む完全なプログラムを提供する新しいWWDC 2020形式を求めています。もちろん世界中の開発者コミュニティ全体にすばらしい学習体験を提供いたします。今後数週間のうちに、完全な詳細を発表いたします」

2020年で31年目を迎えるこの会議は、その多くで新しいハードウェアの発表を行い、それに伴ってiOSやmacOSといったソフトウェアの最新機能を紹介する、開発者と消費者の両方にアピールする大きなイベントになっていた。現在公開されている公式グラフィックはMacBookがフィーチャーされているが、おそらく新しいノートブックの登場を示唆しているのだと思われる。冒頭の基調講演以外に、会議は開発者向けの数日間のワークショップで構成されている。これまでずっとアップルは、ライブストリーミングされたコンテンツを含むワークショップのビデオを、開催後に提供してきた。現段階での発表は、同社が6月にそれらにどのようにアプローチするつもりかを示すものだろう。

WWDCに関する発表は、新型コロナウイルスの世界的流行に伴って延期、再構成、キャンセルされた一連のイベント(MWCやGoogle I/Oなど)に続くものとなる。米国時間3月12日にカリフォルニア州のサンタクララ郡は、近くのサンフランシスコにならい1000人以上の集会を禁止した。最新のレポートによれば、サンノゼがあるサンタクララ郡では、48人の新型コロナウイルス感染症確定患者と1件の死亡が報告されている。

同郡は1週間前の時点で集会禁止を否定していた。だが、サンタクララ郡の保健局担当者であるSara Cody(サラ・コディ)氏は、今週始めの記者会見で「新しいデータによれば、5日前に明らかになったものよりも広範なコミュニティ内での広がりが見られるため、病気の広がりを遅らせ、公衆を保護するために、より多くの行動をとる必要がある」と述べていた。6月の状況を知ることはできないが、Appleの動きはすべての関係者にとって明らかに最も理にかなったものだ。Appleは、イベントのキャンセルにより失われた収益を補填するために、サンノゼに拠点を置く複数の組織に対して100万ドル(約1億1000万円)を提供することも約束している。

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(翻訳:sako)

5月19日〜21日開催のMicrosoft Buildもリアルなしオンラインのみ

5月といえば、大きなデベロッパーカンファレンスの月であり、Facebook F8とGoogle I/O、そしてMicrosoft Build(マイクロソフト・ビルド)は同じ2週間の中で行われることが多い。しかし、今年は違う。Facebook F8Google I/Oはすでに中止を発表してオンラインのイベントに切り替えたが、今度はMicrosoftが当然のようにその後に続いた。5月19日から21日まで予定されていたBuildのリアルイベントは中止となる。新型コロナウイルス騒動がその理由とされた。microsoft build logo

同社はThe Vergeに掲載された声明で「コミュニティの安全を最優先する。健康と安全に関するワシントン州の勧奨に基づき、デベロッパーのための例年のイベントMicrosoft Buildを、実演によるイベントではなくデジタルのイベントとして開催する。弊社のデベロッパーエコシステムがこの新たな仮想的形式に寄り集まって、学び、結びつき、そして共にコードを書くことを期待している。今後の詳しい続報をお待ちいただきたい」と述べた。

この発表に、意外性はない。むしろ最近では同社がいつそれを言い出すかが唯一の疑問であり、それが早すぎたり遅すぎたりしたときのみ意外に感じただろう。しかもワシントン州は新型コロナウイルスに相当やられているだけに同社も意思決定をせざるを得ないはずだ。現在、州の各郡は250人以上のイベントを禁じているが禁止期間はBuildの前までだ。

私がこの記事を書いている時点ではBuildのホームページは更新されておらず、チケットを買えるようになっている。でも私があなたなら買わないだろう。もちろん返金はあるが、そんな面倒を背負い込む理由もない。

関連記事
Google I/O 2020も新型コロナの影響で開催中止
Facebookも新コロナへの懸念でF8カンファレンスを中止

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インド・バンガロールのGoogle社員の新型コロナ陽性が判明

Googleは米国時間3月12日、同社のインド・バンガロール支社の社員が新型コロナウィルス(COVID-19)検査で陽性反応だったことを発表した。同社は同じオフィスで働く全従業員に対して、警戒のために在宅勤務するよう要請した。

「バンガロールオフィスの社員1が新型コロナウイルスに感染していることを確認した。本人はバンガロールの当社オフィスに症状が出る数時間前まで勤務していた」と広報担当者が声明で話し、当該社員と濃厚接触のあった社員には自らを隔離するよう依頼したことを付け加えた。

TechCrunchが入手した社内メールで、Googleのエンジニアリング担当ディレクターであるAnand Rangarajan(アナンド・ランカラジャン)氏は「当該社員は海外渡航した後にウィルスに感染した」と語った。

最近Googleは、北米、欧州、その他いくつかの地域で社員に在宅勤務を要請した。しかし、アジア諸国の従業員および請負業者には同様の対応が実施されていなかった。

インドのいくつかのスタートアップは、より先を見越した手段を講じている。同国最大の株式仲買業者でバンガロール拠点のZerodhaは3月12日に全社員に在宅勤務を命じた。

バンガロール拠点で小規模商店を支援するInstamojo、教育系スタートアップのUnacademy、モビリティー関連のBounce、リクルーティングのスタートアップのSpringworks、ソーシャルコマース系スタートアップのMeeshoも同様の方針を実施している。

現在までにインドでは74の新型コロナウイルス感染者が報告されており、先週から40人ほど増えた。新型感染症への注意を喚起するために、同国の通信事業者は、通話の前にユーザーに注意を促すメッセージを挿入している。3月11日にインドは、ウィルス感染のある国への渡航許可を大部分停止した。

3月12日にインドの株式市場は下げ相場に突入し、すでに停滞している同国経済の近い将来の展望への懸念を増加させた。NIFTY 50指数は8.3%減の9590.15ポイントで最近2年半で最低の終値だった。Sensexは8%下落し、3万2778.14ポイントという2年近くぶりの安値だった。

インドの株式指数がここまで暴落したのは、2008年の世界経済危機以来だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ハッカーが新型コロナのパンデミックに乗じてマルウェア拡散

パンデミックの最中に必ず起きることがあるとすれば、悪意のハッカーがそれに乗じることだ。

驚かないでほしい。大きなニュースや世界的イベントさらには税金申告シーズンのような定期的国内イベントでさえも、悪意のハッカーたちは無防備な標的を攻撃する好機と捉えて虎視眈々と狙っている。

もちろん新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックも例外ではない。

進行中の新型コロナのパンデミックを利用して犠牲者を騙しマルウェアを実行させようとする攻撃について、いくつものサイバーセキュリティー会社が警鐘を鳴らしている。現在世界の大部分がコロナウイルスの大流行による封鎖状態にある。世界保健機関(WHO)は米国時間3月12日の状況報告で、コロナウィルスによる感染者12万5000例、死亡者4613名を確認したことを発表した。

サイバーセキュリティー会社のFireEye(ファイア・アイ)によると、中国、北朝鮮、およびロシアのハッカーらによる標的型スピアフィッシング攻撃を使ったマルウェア配信が増加している。FireEyeの情報アナリストユニット・シニアマネジャーのBen Read氏は、同社が確認した攻撃はすべて、新型コロナウイルスを、餌に標的のコンピューターに侵入していたと語った。

Recorded Future(レコーデッドフューチャー)も、コロナウイルスを利用してさまざまなマルウェアを米国、欧州、およびイラン(中国以外でCOVID-19の影響を最も大きく受けている3地域)の標的に対して拡散するサイバー犯罪を複数確認した。 中にはWHOや米国疾病対策センター(CDCP)のような「信用のある」組織になりすまして標的に侵入する攻撃もあった。

そして先月コロナウイルスに便乗した偽情報の流布を発見したCheck Point(チェック・ポイント)が、今度はウイルスへの恐怖に乗じて標的のパソコンを完全にコントロールする強力なリモートアクセス型トロイの木馬をインストールする新たなマルウェアを見つけたと発表した。

しかし研究者によると、犯人はコロナウイルスをマルウェア配布の隠蔽に使っているだけではないという。

Eメールセキュリティー会社のAgari(アガリ)は、コロナウイルスを利用した初のビジネスEメール攻撃の証拠を発見したと本誌に伝えた。企業を騙して金銭を支払わせるしかけだという。

Agariは、複数のコロナウイルス関連メールがスパム配信、個人情報搾取、マルウェア配布などに利用されている一方、Ancient Tortoiseと名乗る犯行グループは、偽メールを使って被害者企業の顧客に、支払いを「コロナウイルス蔓延のため」別の銀行口座に振り込ませるという手口を使っていると語った。振込先は香港の偽口座だった。

政府や企業がパンデミックの抑制に緊急対応する中、セキュリティー研究者はマルウェア蔓延の現状を正確に理解し、検知しようと努力している。コロナウイルスの脅威が続くかぎり、ハッカーによるリスクも続く。

関連記事:WHOが新型コロナは「パンデミック」と宣言

画像クレジット:AlonzoDesign / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

3月12日はビットコインにとっても最悪の日

Bitcoin(ビットコイン、BTC)もかなりマズイことになっている。今月は暗号通貨(仮想通貨)だけでなく、あらゆる資産にとって試練の時だ。米国時間の3月12日、ビットコインの平均価格はわずか20分の間に15%も下落した。

画像クレジット:Chesnot/Getty Images(画像は編集済)

CoinGeckoのあちこちの取引所では、世界標準時午前10時30分には、1BTCは約7250ドル(約76万1400円)の価値があった。しかし同午前10時50分には、1BTCは6160ドル(約64万7000円)まで下がった。ビットコインの価格はその後回復せず、本稿執筆時点でも1BTCは6150ドル(約64万6000円)で取引されている。

これは単なる事故ではない。この1カ月の間、ビットコインは少しずつ下落していた。2月19日の時点では、1 BTCは1万ドル(約105万円)以上の価値があったのだ。

米国時間3月11日、WHO(世界保健機関)は新型コロナウイルス(COVID-19)の流行がパンデミック状態であることを正式に宣言した。米国は、新型コロナウイルスの拡散を防止するため、ヨーロッパから米国への入国制限を含む追加の対策を講じている。

多くの人は、暗号通貨は株式市場とは逆の相関関係があると信じていた。しかし、経済不安は暗号通貨をも傷つけることになった。現在の暗号資産の売却は不確実性から来るものだ。経済が新型コロナウイルスから回復できるかどうか不確かな状況では、リスクの高い資産の売買を続ける気にはなりにくい。

Ethereum、XRP、Bitcoin Cashなど、人気の高いほかの暗号通貨も、この24時間でそれぞれ28.3%、23.2%、31.1%下落した。言い換えれば、今はすべてが赤字で埋め尽くされている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ダウ平均が1987年以来最悪の暴落、ビットコインも例外ではない

まったく、最悪の日だった。

狂乱の売買が行われたその日、ダウ平均株価は10%近く下落し、1987年(市場があまりにも混乱したため、いっそうひどい暴落を未然に防ぐべく、一時的に取引を停止するサーキットブレーカーが発動された)以来、1日あたり最大パーセンテージの暴落だった。

トランプ大統領が新型コロナウィルスの蔓延を防ぐ政府の対策案を公表した翌日、主要インデックスはそろって急落し、連邦準備制度理事会(FRB)が1.5兆ドル近くを供給する緊急介入を行ったというニュースにも、投資家らは動かされなかった。

米国の主要インデックスを見てみよう。

  • ダウ平均株価は9.99%、2352.60ドル下げ、2万1200.62ドルで引けた
  • NASDAQは9.43%、750.25ポイント下げ、7201.80ポイントで引けた
  • S&P 500は9.5%、260.74ポイント下げ、2480.64ポイントで引けた

この1週間で、1日の高騰に対する3度目の大暴落だ。今や今週の火曜日(米国時間3月10日)が遠い昔に感じる。

関連記事:COVID-19 market turmoil tests NYSE’s shutdown circuit-breakers

大量売りの理由は?

投資家の売りが続いているのは、FRBによる暴落緩和策による短期的利益が米国(および世界)の短期的・長期的経済状態を改善できないと見ているからかもしれない。米国と世界の経済はもちろん驚くほど連動しているのだ。

「政府は積極的に行動し、中でも今中央銀行は市場が機能することに集中し、今後も十分な流動性を提供するであろうことを再度強調したい」と、Citi Research(シティ・リサーチ)のグローバル経済担当ディレクターであるEbrahim Rahbari(エブラヒム・ラバリ)氏がCNBCに伝えた。そして「しかし、強力なリスク回避策にも関わらず、信用懸念と健康への高まる懸念を踏まえると、こうした対策は市場の安定を維持するにはまだ不十分であると考えている」と続ける。

 

一方米国産業の大部分が、全米に蔓延する新型コロナウィルスの被害を緩和するための対応で麻痺状態に陥っている。ブロードウェイが閉鎖され、主要なスポーツイベントは中止になり、シーズン全体が中断している。航空および旅行業界は特に大きな打撃を受けており、米国時間3月12日にユナイテッド航空の株価は12.26%、デルタ航空は21%、アメリカン航空は17.28%下げて取引を終えた。航空会社は今後30日間、米国・欧州間の移動を禁止するという米国時間3月11日の夜にトランプ大統領が発令した大胆な決断を耐え忍ばなければならない。本日航空会社はフライトの欠航を開始した。デルタはオランダ、アムステルダムと、フロリダ州オーランド、オレゴン州ポートランド、ユタ州ソルトレイクシティ各地を結ぶフライト、およびパリ行きのオハイオ州シンシナティ発、ノースカロライナ州ローリー・ダーラム発、およびインディアナ州インディアナポリス発の各便を一時的に欠航すると発表した。

投資家が現在も身を潜めているのにはこうした背景がある。そしてこの国が新型コロナウイルス(COVID-19)の検査体制を十分に整えるのを待っている。

暗号通貨さえも、この暴徒の前には安全ではない。Bitcoin(ビットコイン)をはじめとする主要暗号通貨はすべて、投資家の大量売りのために数年来最悪の暴落に見舞われた。SaaS関連株は8%以上下げ、取引終了後に発表されたSlackの決算も投資家を引きつけることができず株は売りに出された。つまるところ明るい兆しを求めているなら、本日はその日ではないということだ(1カ月前に原油を空売りしていた人を除く)。

画像クレジット:Cloudytronics / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

2019年の5Gデバイスの売上は米国スマホ市場の1%未満

5Gは当然のように人気上昇中だ。率直に言って、調査会社NPDの店頭結果を見るかぎり、言えることはそれしかありえない。この調査レポートでは、5Gのハンドセットは米国における総売上の1%未満としている。

購入時の障壁もわかりきっている。価格が高いうえ5Gを使えるところが少ない。また2019年のほとんどの期間、店頭に並ぶ機種が少なかった。LGやSamsung(サムスン)、OnePlus(ワンプラス)などの製品が出てから増え始め、その年の後半は前半の9倍の売上になった。

知名度もかなり上がった。年の後半には、米国の消費者の10人中9人が5Gを知っていた。それは前半に比べて73%の増加だ。そして65%が買うことに関心を示した。しかし実際にどれだけ売れるかは未知数だ。

今ではQualcomm(クアルコム)などの低価格コンポーネントもあるから製造コストは下がる。また米国などの市場では年内に5Gの圏域が大きく増えるので、消費者の購買意欲を後押しするだろう。そしてもちろん、Apple(アップル)の最初の5G機のインパクトも見逃せない。

スマートフォンのメーカーは、5Gへの関心が増えればこのところ不振だったスマートフォンの市場がやっと盛り返すと大いに期待している。

もちろん、新型コロナウィルスの影響という新しい未知数もある。こういう場合、消費のそのほかの部分と同じく、スマートフォンも高級品を買う人は減るだろう。スマートフォンを買うことなどは、目の前のパンデミックに比べてどうしても影が薄くなる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国が欧州からの入国を禁止、例外的入国も11空港に制限

ヨーロッパからの外国人の米国への入国を30日間禁止するというホワイトハウスの決定により、すでに苦境にあった航空業界はさらに深刻な問題に直面することになった。米国市民および合法的永住権を持つ人々もCDC(米疾病予防管理センター)が承認した11空港以外は利用できない。当然ながら、このため多数の予約キャンセルが発生している。

CDCの承認を受けた空港は、アトランタ(ATL)、ダラス・フォートワース(DFW)、デトロイト(DTW)、ニューアーク(EWR)、ホノルル(HNL)、ニューヨークJFK(JFK)、ロサンゼルス(LAX)、シカゴ・オヘア(ORD)、シアトル(SEA)、サンフランシスコ(SFO)、ワシントン・ダレス(IAD)。これらはすべて主要なハブ空港であり、現在のところ中国からの直行便の受け入れも承認されている。ただし最近は多数の航空会社がこれらのハブに小規模な空港からの直行便を設定している。

米国時間3月12日、デルタ航空はアムステルダムとオーランド間、ポートランドとソルトレイクシティ間という都市間のフライトのキャンセルを発表した。またシンシナティ、ローリー/ダーラム、インディアナポリスからパリへのフライトも当面キャンセルされる。米国発のフライトは、米国時間3月12日まで運航され、3月13日に米国に戻るのが最終フライトとなる。

TechCrunchの取材に対してアメリカン航空は「状況が流動的なので事態を見極めるべく努力していると答えたが、CDCのリストにない空港へのヨーロッパ便は停止を余儀なくされる。 ルフトハンザなどほかの航空会社も、小規模空港へのフライトをキャンセルしている。この発表以前に、ルフトハンザのみで2万3000のフライトをキャンセルしたという。

アップデート:以下はユナイテッド航空の声明だ。

米政府による旅行制限措置に対応するため、我々はフライトおよび乗員のスケジュールを調整している。現在、変更手数料の規定を変更し、国内外の旅行客に対し、4月30日まで手数料を免除している。ヨーロッパから帰国する場合は、米国とヨーロッパ間の運賃に上限を設けている。

重要な点として、3月19日までヨーロッパから米国への定期便を引き続き運航する。20日以降はチューリッヒ、ブリュッセル、パリ、アムステルダム、マンチェスター、エディンバラへ毎日運航し、フランクフルトとミュンヘンへへは每日複数便を運航する予定だ。ロンドンへは每日往復18便、ダブリンへは3便、リスボンへも每日ではないが定期便を運航する。ただし需要の状況を注意深く観察している。

従来どおり、ユナイテッド航空は乗客、社員に最新の情報を提供し続ける。

画像: BERTRAND GUAY/AFP/Getty Images

【Japan編集部追記】新型コロナウィルス関連のニュースはこちら

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

新型コロナ対策でTwitterは全世界の全従業員に在宅勤務を義務化へ

今月はじめに、在宅勤務を「強く奨励する」という声明を出したTwitterは、米国時間3月11日に「新型コロナウイルス(COVID-19)の懸念のため世界中の全社員に在宅を必須とする」と発表した。発表の中で同社は「これが前例のない措置であることは承知しているが、今は前例のないときである」と説明している。

米国時間3月11日、世界保健機構は公式に新型コロナウイルスをパンデミックと宣言した。現在の報告されている患者数は114か国に約11万8000人である。世界の死者数は4000人を超えている。

Twitterは「時間給労働者や契約社員も含めて全社員のホームオフィスセットアップ費用を負担する」ことも明らかにしている。在宅勤務ができない契約社員や業者、および時間給労働者は、在宅勤務のポリシーが有効である間、標準の労働時間に対して今後も賃金が支払われる。また新型コロナウイルスのために通常のデイケアが閉まった場合、親のデイケア費用が増えるぶんをTwitterが負担する。

同社のInclusion and Diversityチームは、社員サポートプログラム「#FlockTalk」により、新型コロナウイルスに関するニュースのさまざまな影響について議論している。話題は学校やオフィスの閉鎖、健康に関する深刻な心配、コミュニティに対する人種差別などさまざまだ。

3月2日に同社は在宅勤務を強く奨励すると発表し、特に香港と日本と韓国では政府の規制もあり在宅を必須とした。そして本日の発表ではその方針を全世界に適用し「最上位のプライオリティはツイープ(Twitterユーザー)の健康である。コミュニティと弱者と、このパンデミックの最前線にいる保健医療関係者を支援する責任もある」と述べた。

AmazonやBox、Lyftなどのテクノロジー大手は、新型コロナウイルスに対応して在宅勤務を勧奨したりポリシーにしたりしている。MWCやE3などのビッグイベントは、中止または部分的にオンライン化された。

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(翻訳:iwatan、a.k.a. hiwa

ホワイトハウスがテック企業のリーダーにコロナウィルス対策の支援を要請

米国時間3月11日、米国最高技術責任者(CTO)のMichael Kratsios(マイケル・クラチオス)氏は、悪化するコロナウィルスの世界的パンデミックへの対策を講じるべく、IT企業最大手各社の代表を召集した。

The Washington Post(ワシントン・ポスト紙)によると、会議は電話とビデオ通話を使ったリモート方式で、IT各社とホワイトハウスがコロナウィルスの誤情報対策を調整し、可能であれば関連医学研究の分析や政府による旅行者追跡などの複雑なデータ主導作業の支援を行うためのブレーンストーミングという位置づけで実施された。

Politico(ポリティコ)紙とワシントン・ポスト紙によると、ホワイトハウスが協力を求めたのはGoogle(グーグル)、Facebook(フェイスブック)、Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Apple(アップル)、IBM、Cisco(シスコ)、Twitter(ツイッター)の各社。

各大手IT企業は、自らの従業員をコロナウィルス蔓延から守るために積極的に行動している。米国時間3月10日にGoogleは、北米の全社員に対して在宅勤務を推奨し、当初のワシントン州在住社員への指示を拡大した。同日、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、チャン・ザッカーバーグ財団がサンフランシスコ・ベイエリアの医療研究チームと協力して同地域のコロナウィルスの検査能力を4倍増にする取り組みを発表した

バーチャル会議終了後、クラチオス氏はこのコロナウィルス対策について「全員が総力を挙げた取り組み」であると説明した。

画像クレジット:Bridget Bennett/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

E3カンファレンスも新型コロナ懸念で中止

また1つ大型カンファレンスが新型コロナウィルス(COVID-19)の犠牲になった。先週からE3もキャンセルされるのではないかという噂が流れ、昨夜からは主催者に近い筋からの情報としてマスコミでも報道され始めた。

米国時間3月11日、主催者のESA(Entertainment Software Association)はイベントの中止を公式に発表した。TechCrunchが入手したESAの声明に以下のとおりだ。

メンバー企業と現在の状況について真剣な検討を加えた結果、ゲームファン、職員、出展者ほかE3の多年にわたるパートナーである多くの人々の健康と安全を守るためには、困難な判断ではあったが、6月9日から11日にかけてロサンゼルスで開催を予定していたE3 2020をキャンセルすることが決定された。

【略】

我々は全額払い戻しを予定しており、詳細については出展者、参加者に対して直接連絡する。

E3は当初、夏のロサンゼルスで開催される世界最大級のゲームカンファレンスだった。10年前の経営危機を経て、イベントは規模を縮小したもののトレードショーに再編され、多くの企業に参加の道が開かれた。ゲーマーの参加を促すという戦略も功を奏し、E3の収益は程度回復した。それだけに今年のキャンセルは今後のイベント運営に大きな影響を及ぼしかねない。

1月にソニーが今年のショーへの不参加を発表したものの、年内にPlayStationとXboxの双方が次世代バージョンを投入する時期に当たっており2020年は大きなイベントになるはずだった。

新型コロナウィルスは先月のMWC(Mobile World Congress)のキャンセル以降、次々と大型カンファレンスを閉鎖に追い込んだ。その長いリストにE3も加わることとなってしまった。任天堂は長年にわってウェブサイトで新しいプロダクトを発表してきたが、ほかのゲーム企業もこの方法を採用する可能性は高い。E3にとっての懸念はイベントをオンラインに移行した企業が2021年にトレードショーに復帰してくれるかだ。

ESAは、イベントのオンライン化に関して「さまざまなオプションを研究している」という。

画像:Christian Petersen / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

株式市場は荒れ模様が続き相場は再度下げる

ウォールストリートの株式トレーダーの間では「死んだネコがジャンプする」という表現がある。これは下げ相場の途中で一時的に上げ相場が現れる現象を指すのだという。

昨日(米国時間3月10日)の上げ相場はその一例だったかもしれない。米国、欧州にも新型コロナウイルスが拡大する中、サウジアラビア、ロシアの原油増産による石油価格の下落は米国のシェールオイル産業への逆風だ。こういうファンダメンタルズ(基礎的事項)は世界の投資家のマインドを否定的な方向に傾かせている。

TechCrunchの株式記事の読者なら、最近我々が日々寄り付き値、引け値を報告していることに気づくだろう。市場の値動きが激しくなり、これが他の経済活動に大きな影響を与えるようになったためだ。これまでは株価は単にアップする一方で、株トレーダーの仕事は退屈だったろう。ところが今の値動きは活気がありすぎてクレージーだ。例えば

  • ダウ平均:マイナス712.4ドル、マイナス2.85%
  • S&P 500:マイナス76.4ドル、マイナス2.65%
  • Nasdaq: マイナス208.1ドル、 マイナス2.49%

この1日で暗号通貨さえわずかに下げた(bitcoin、そのほかの小型株とも)。SaaSとクラウドの株は2.5%ダウン、カテゴリー全体と同じ値動きだ。

CNBCの報道によれば、消費者層とデジタル産業育成に影響力のある投資銀行、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)は「株価は今後さらに15%下落し、強気市場はまもなく終了する」と述べたという。ありがたくない見通しだ。市場の空気は「どうせこれも過ぎ去る」から「ここは通さないぞ(ダメかもわからん)に変わりつつあるようだ。

要約

市場のアップダウンに一喜一憂するのには飽きたという読者も多いだろう。どういうことになっているのかだけわかればいいというのは私も同感だ。 以下は主要株価指数の最近の高値からの差と、この1年間の値動きだ。

  • ダウ平均: 高値からマイナス17.8%、この1年はマイナス2.47%(CNBC
  • S&P 500:高値からマイナス17.3%、この1年はプラス3.35%(CNBC
  • Nasdaq:高値からマイナス17.0%、 この1年はプラス10.4% (CNBC

これだけ覚えておけば最近の株の値動きについて充分に事情通になったと考えていいい。

新規上場の目録見はほとんどない。 シリコンバレーでは未公開企業を買収して上場させることを目的とするSPAC(Special Purpose Acquisition Company、特別目的買収会社)が注目を集めている程度だ。しかしベンチャー支援のスタートアップで現実に上場手続きを始めているところはない。なるほど、ProcoreAccoladeは上場申請しているが、何がどうなっているのかわからない現状では誰も動こうとはしていない。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ニューヨークオートショーが新型コロナ懸念で8月に開催延期

2020 New York International Auto Show(ニューヨーク国際オートショー2020)は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大のため開催が8月に延期される。広域ニューヨーク自動車ディーラー連盟が主催するニューヨークオートショーは、ニューヨーク市のJacob K. Javits Convention Center(ジェイコブ・ジャビッツ・コンベンションセンター)で4月10日に始まる予定だった。

広報担当のChris Sam(クリス・サム)氏の発表によると、ショーは8月28日〜9月6日に開催される。報道機関向け発表日は8月26、27日だ。「出席者や出展者、そしてすべての参加者をコロナウイルスから守るために異例の措置を取った」とディーラー連盟会長のMark Schienberg(マーク・シェンベルク)氏は電子メールによる声明文で述べた。「120年もの間、『ショーの継続』は我々のDNAに深く刻まれてきた。ショーの開催延期は難しい決断だったが、我々の最優先事項はこの歴史あるイベントに関わるすべての人の健康だ。すでに多くの出展者やパートナーと連絡を取っており、新しい日程で開催される今年のショーは成功すると確信している」とシェンベルク氏は語った。

電気自動車スタートアップのLucid Motors(ルシード・モータース)、そしてFordやGMといった大手OEMなど、多くの自動車メーカーがこのショーで車をデビューさせようと計画していた。新型コロナウイルスのためにキャンセルされたり延期となったイベントがこのところ相次いでいて、ニューヨークオートショーもこのリストに加わる。新型コロナウイルスは過去に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)のウイルスに近いもので、政府や企業は世界中でテックやビジネス、自動車関連イベントなどをキャンセルしている。

キャデラックも3月9日、ロサンゼルスで来月開催する予定だったスペシャルイベントでの電気自動車の発表を中止することを明らかにした。ジュネーブ国際モーターショーや、バルセロナのMWC(モバイル・ワールド・コングレス)、テキサス州オースティンのSXSWフェスティバルも中止された。

画像クレジット:Mercedes-Benz

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(翻訳:Mizoguchi

Y Combinatorがデモデーを3月16日に1週間前倒し、ビデオプレゼンはなしに

先週、Y Combinatorは「新型コロナウイルスに対する懸念」を理由として、今年冬学期のデモデーをオンライン化すると発表した。 当初、サンフランシスコのピア48ビルで2日間にわたって実施されるはずだったが、3月23日にオンラインでホストされるということだった。

昨夜、さらに予定が変更され、YCはデモデーを1週間前倒しして開催は3月16日(日本時間3月17日)となった。

Y CombinatorのCEOでパートナーのMichael Seibel(マイケル・サイベル)氏の発表によれば、これは「投資家の動きが速まってきた」ことによるものだという。サイベル氏は次のように書いている。

この数日、投資家の多くが起業家への働きかけを加速している。投資決定を行うことが急がれており、Y Combinatorは投資家のこのようなペースに合わせてスケジュールを1週間前倒しすることとした。YC W20イベントはオンラインのデモデーとして3月16日(日本時間3月17日)に開催さる。

3月16日にYC Demo Day Webサイトが公開される。これは投資家と起業家がこれまで5年間利用してきたサイトを改良したバージョンだ。このサイトを通じて投資家はスライド1枚の事業サマリー、簡単なチームの背景、メンバーの略歴を知ることができる。またチームを事業内容や本拠地でソートすることもリスト化してスプレッドシートに出力することもできる。

これまでデモデーでは参加チームがステージ上でプレゼンテーションを行っており、Y Combinatorは当初、このプレゼンを「事前に録画して、すべての投資家に同時に公開される」と述べていた。今回の発表では「事業の概要スライド、チームの背景、略歴」だけになるようだ。スケジュールの前倒しに合わせて内容が修正されたのだろう。

TechCrunnchの取材に対して、Y Combinatorはオンラインのデモデーにはビデオプレゼンテーションは含まれないと確認した。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

市場の荒れ模様は続いているが株価水準は回復、SaaSが遅れる

トランプ大統領の「今年中は給与税をゼロにする」という大盤振る舞いの約束はビジネスにバラ色の楽観的なメガネをかけさせる効果があったようだ。

米国の株式市場は売り一色の惨状から一転して回復基調となった。主要インデックスは引けにかけて軒並み上昇した。昨日の下落を帳消しにするほどの値上がりではなかったが、右肩上がりに慣れていた市場にとっては正常への復帰に近かった。

値動きが平常なときであれば驚くべき上げ幅だが、今日はダウ平均が4.89%、1167.1ドルもアップし、S&P 500は4.94%(135.7ドル)、Nasdaqは4.95%(393.6ドル)とそれぞれ上げた。

ところがBessemer-NasdaqのCloud Indexによると、SaaS・クラウド株は3.1%しか戻していなかった。つまりNasdaq全般のアップに遅れを取っている。SaaS、クラウド関連株の昨日の下落(率)が他カテゴリーよりもよりも大きかったうえに、回復も遅れている。 SaaS・クラウド株はここしばらく新しいソフトウェア企業の代表として株式市場でリーダーを務めてきたが、ここにきて株価の調整が入っているかもしれない。SaaS・クラウドプレミアムは低下する可能性がある。

しかし乱高下は広い範囲で続いており、bitcoinは底を打ち、石油も急上昇した。それでも株式市場は高値までは回復していない。ダウは15%安で、今日回復する前に52週の安値を付けている。 S&Pも最近付けた52週の高値と比べて15%以上ダウンしている。Nasdaqはこれよりわずかに大きくダウンし52週の高値から15.2%安だ。

急落を完全に回復するには本日ぐらいの値上がりがさらに数回必要だ。しかも頭上には次のような暗雲が垂れ込めている。ニューヨーク州ニューロシェルに新型コロナウィルスのために検疫隔離施設が設置された。石油、天然ガス企業の債務はひどいものだ。また政府の救済策も具体性を欠いている。

米国時間3月11日の取引では乱高下が収まり、TechCrunchでも我々(WellcomとShieber)が速報を出すのを止めることができるようになることを期待したい。

ちなみにApple(アップル)とMicrosoft(マイクロソフト)はそれぞれ1兆ドル企業だ。そのためこの大混乱の中でもテクノロジー株は全体としてはほとんど損失を被っていない。ともあれNasdaqは対前年では12.6%上っている。

画像:monsitj / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ゲイツ財団やMastercardが新型コロナ対策医薬品開発に約130億円の出資を約束

ビル・ゲイツの慈善財団であるBill&Melinda Gates Foundation、英国の医療慈善団体であるWellcome Trust、大手クレジットカード企業のMastercardは、共同で新型コロナウィルス(COVID-19)に対する新たな診断、治療法の開発、普及を目指すテクノロジーを支援するイニシアチブを発表した

ゲイツ財団の発表よると、「COVID-19 Therapeutics Accelerator」(COVID-19治療法アクセラレータ)プログラムは、当初まず新型コロナウィルスの患者を治療し、将来はほかのウイルス性感染症を治療することを目的として、既存薬剤のリポジショニングや新たな抗ウウイルス・バイオ医薬品の研究開発や評価を支援する。このイニシアチブについてパートナー3社は、「プロダクトを誰でも利用できる低価格に設定し、公平なアクセスを確保する」と表明した。

まさにこの「公平なアクセスが確保できる低価格」が現在最大の問題となっている。新型コロナウィルスの流行の突発に対応すべき公的機関はそのようなノウハウやリソースを欠いており、民間部門に依存しなければならない。公的ヘルスケアシステムは診断キット、治療薬など民間企業が開発する高コストな手段に頼ることになる。

このイニシアチブの直近の目標は、新型コロナウイルスの治療に役立てるための新たなバイオ医薬品の開発やドラッグリポジショニングを支援、加速させることだ。ゲイツ財団によれば、現在新型コロナウイルス流行を抑制するために有効な抗ウイルス薬やワクチンは存在しない。

ゲイツ財団とウェルカム財団はそれぞれがプログラムに最大5000万ドルを寄付する。ゲイツ財団が2月に発表した新型コロナウイルス対応のための1億ドルの資金が同財団の今回の寄付に利用される。

ゲイツ財団のCEOであるMark Suzman(マーク・スズマン)氏は「新型コロナウイルスのようなウイルスは世界に急速に拡大するのに対して、ワクチンや治療法の開発はスピードがはるかに遅い。新型コロナウイルス流行の拡大から世界、ことに最も立場の弱い人々をを守るためには、研究開発を加速する方法を見つけねばならない。これには政府、企業、慈善団体が迅速に行動して研究開発に資金を提供する必要がある」と述べた。

発表によれば、、このプログラムはWHO、政府、規制当局、議会、民間慈善団体など政策決定と資金提供に関連するあらゆる組織と協力し、医薬品の研究開発から製造、生産、流通に至るパイプラインのすべてに焦点を当てるという。

ゲイツ財団にとって、組織横断的、学際的アプローチの有効性は2014年にエボラ出血熱の流行を封じ込めることに成功したことから得た成果の1つだったとい。声明によれば、プログラムは資金提供3社の共同主導し、3つの異なる戦略を追求する。 1つは感染の治療、拡大防止に役立つ医薬品の発見と評価、2つ目は医薬品業界のパートナーとの協力、3つ目は治療を現場で役立てるための規制当局などの公的機関との連携だ。

Wellcom Trustの責任者、 Jeremy Farrar(ジェレミー・ファラー)博士は声明で「このウイルスは前例のないレベルでの世界的な脅威であり、迅速な診断と治療、、あたワクチンの開発のために国際的な協力を推進する必要がある。 COVID-19に対して医学、薬学など関連分野において驚くべき努力が払われているが、この流行に先んじ、封じ込めるためにはさらに多額の資金が必要だ。また多数の研究の共同と調整を確保することも重要だ。われわれのアクセラレータ・プログラムは治療、予防に役立つ研究、開発、評価、製造の過程全体をサポートする。 COVID-19への挑戦は困難な課題ではあるが、国境を越えて協力することで新たな感染症に取り組むことができることが証明されている」と述べた。

画像: Mark Lennihan/AP

【Japan編集部追記】ゲイツ財団のサイトによればMastercard Impact Fundが最大2500万ドルの寄付を約束している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Googleが新型コロナ拡大で在宅勤務を北米全社員に推奨

先週Googleは、新型コロナウイルス(COVID-19)拡大のリスクを抑制するため、ワシントン州拠点の従業員にリモートワークを推奨するメモを送った。そして3月10日、ウイルス感染拡大を受け、その対象が大幅に広げられた。同社が出したメモでは同様の措置を北米の社員に推奨している。

同社の広報担当者は、職務が許すのであれば北米の社員に家から働くよう勧めている事実をTechCrunchに認めた。また、別の地域でも同様のガイダンスを案内したことも明らかにした。例えば、現状欧州では在宅勤務を強く推奨している。他の地域は実情に応じて異なる対応となる。

先週の措置は、ワシントン州で最大のGoogleのオフィスがあるキング郡、シアトル、カークランドを含む太平洋北西部でコロナウイルスの感染が拡大している初期のレポートに基づいている。新型コロナウイルスの感染例は瞬く間に全米に広がった。最新の情報では、米疾病予防管理センター(CDC)が把握している感染者数は647人、死亡者は25人だ。ニューヨーク州の患者数が最も多く170人超となっている。

ウイルス拡散抑制のために同じような行動を起こしているテック企業は増えつつあるが、Googleはそのうちの1社だ。Microsoft、Box、Lyft、その他企業は従業員への影響を懸念し、自宅から勤務することを推奨したり求めたりしている。労働時間が短くなっても従来と同じ賃金を維持しているケースすらある。健康への懸念から大規模なテックショーがキャンセルされているが、Googleが例年春に開催するカンファレンス「Google I/O」もそこに含まれる。

Googleはまた、世界中の一時雇いの従業員やベンダー向けの新型コロナウイルス基金の設立も発表した。「米国においては移行期にある。世界中のあちこちにあるギャップを埋めるために、Googleは弊社の世界中の一時雇いの従業員やベンダーが新型コロナウイルスの症状がある場合、あるいは隔離されているために出社できない場合に有給で休めるようにする基金を設立する」とGoogleの職場サービス担当ディレクターAdrienne Crowther(エイドリアン・クラウザー)氏は書いている。「我々はパートナーとともに働いており、外部の労働者もそうした理由で職場に来ることができない場合、この基金から通常勤務時間分の保障を受けられる。我々は状況を注視していて、今後も引き続き必要な措置を検討していく」

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(翻訳:Mizoguchi

SaaS株も8%安で弱気領域に近づいたが、まだパニックには及ばない

株式市場は内外ともさんざんだったという記事を先ほど書いたところだ。新型コロナウイルス、COVID-19の脅威が続く中で原油安というダブルパンチを受けて米国の主要経済指標はすべてダウンした。しかしテクノロジー系企業に強いNasdaqの下げ幅は最小で、7.29%下げの7950.68ドルにとどまった。

ただ留意すべきポイントがある。テクノロジー業界は全体としては他の米国の株式指標ほど下落しなかったが、肝心の部分、つまりSaaSおよびクラウド企業の株価の下げ率はダウ平均やS&P 500を上回った(Bessemer-Nasdaq指数)。

実際、クラウド企業をバスケットにしたBVP Nasdaq Emerging Cloud指数は8.28%下げの1134.51ドルで引けた。これは2019年10月の水準に戻ったことを意味する。 バスケットの揺れを考えても、この指数は過去52週の安値をわずか7%上回るに過ぎず高値から21%も下げている(Financial Timesによる過去52週のデータ)。

伝統的基準でいうと、弱気相場と分類するためには最近の高値から20%下落していなければならない。SaaSとクラウドの株はまだここまで達していないが「調整(correction)」の局面には入っている(最近の高値からの10%の下げを「調整」という)。他の主要な指数は弱気相場をわずかに上回っているが、明日、3月10日にはほぼ間違いなく弱気相場になっているだろう。残念ながらここに落ち込んだのはSaaSが最初だ。

ただし(まだ)慌てる必要はない

SaaS株の値動きが警戒すべき領域に近づいたのはわずか3日前だ。私の記事(Extra Crunch)にはTwitterでかなりの反発があった。SaaSの成功に賭けている投資家には私がこのカテゴリー自体をディスっているように感じられたようだ。実際はその反対で、SaaS企業の株価は依然として十分に高い。投資家が他業種の株以上にSaaS株を売るということも考えられない。

このカテゴリーの企業が史上最高値をつけたのは2月中旬頃、わずか数週間前だが、今はSaaS株の見通しに対して、(少なくとも)短期的な楽観主義は減じた。しかし、今日の暴落は広範囲に及んだものの、株価売上高倍率(PS Ratio)を見ると、さほど悪くなってはいない。たとえば、

  • Atlassianは7.87%下げたが、株価売上高倍率は23倍もある(YChartsによる)。
  • Slackは6.13%下げたが、株価売上高倍率は21.24倍だ(これもYCharts)。

だからといって、SaaS企業が今日受けた打撃がなくなるわけではない。多くのSaaSスタートアップは、このカテゴリーのリーダー企業の株価が下がったことを見て深刻な痛みを感じたに違いない。しかしSaaSのトップ企業の運営は順調であり、その地位がゆらぐ気配はない。カテゴリー全体を見渡しても株価は十分高い水準にある。なるほど調整が入ったことは確かだが、今のところそれだけだ。もちろん今日のような下げが何度も続くようなことになれば心配し始めねばならない。

画像:Getty Images

【Japan編集部追記】YChartのPS比では、IBMは1.381、Oracleは3.986、Microsoftは8.634となっている。

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滑川海彦@Facebook

キャデラックが新型コロナ感染拡大で初EVの発表を中止

Cadillac(キャデラック)は新型コロナウイルス感染拡大の懸念から、ブランド初の電気自動車(EV)となる中型SUV「Lyriq」の発表を中止した。

GMのラグジュアリーブランドであるキャデラックは、4月2日にロサンゼルスで開催するイベントでLyriqを披露する予定だった。

過去に流行を引き起こしたSARSやMERSウイルスの仲間で、コロナウイルスの一種である新しいウイルスが原因の病気COVID-19をめぐっては、政府や企業が世界中でテックやビジネス、自動車関連のイベントの中止を余儀なくされている。ジュネーブ国際モーターショーやバルセロナのMWC、テキサス州オースティンのSXSWフェスティバルなどが中止となった。

「十分に注意を払うために」イベントは中止される、とキャデラックは声明文で述べている。

声明文は以下の通りだ。

ご存知のとおり、米国でのCOVID-19(新型コロナウイルス)をめぐる状況は悪化し続けている。いくつかの州は緊急事態宣言を出し、感染者の数は増え続けている。

十分に注意を払うために、4月2日のカリフォルニア州ロサンゼルスでのキャデラックLYRIQ披露を中止するという難しい判断を下した。我々は現在、今後の計画について検討中で近くアップデートする。最優先事項はメディアの招待客や従業員の安全だ。GMのメディカルセキュリティと連携を取りながら状況を注視しており、米疾病予防管理センターや世界保健機関(WHO)の勧告に従っている。

Lyriqは、GMが今後2年以内のマーケット投入を計画しているEVの1つだ。GMは新しい電動アーキテクチャを使って製造・販売するEVの包括的な計画を3月4日に発表している。新アーキテクチャは Buick(ビュイック)、Cadillac、Chevrolet(シボレー)、GMCを含む同社の全ブランドのあらゆるプロダクトに使用される。一連のEVには、コンパクトカーから産業用トラック、大型のプレミアムなSUV、高スペックな車両まで含まれる見込みだ。

この「Ultium」と呼ばれるモジュール式のアーキテクチャは19種のバッテリーとドライブユニット構成、容量50kWh〜200kWhの400Vと800Vの電池パック、フロント・リア・全輪ドライブ構成に対応する。

1月に発表された電動自動運転車でシェアリング用のCruise Originは、今後発表される新しいEV戦略における初の製品だった。その次にキャデラックのLyriqが公開され、5月20日にGMCのHummer EVが続く予定だった。現在のところHummerのイベントは中止になっていない。

画像クレジット: GM

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(翻訳:Mizoguchi

新型コロナ対策にもなるImmutouchは手が顔に触れようとすると振動するリストバンド

新型コロナウイルスの時代、我々は顔に手を触れる誘惑に耐えなければならない。ウイルスはそうやってドアノブやその他の場所から、人の粘膜に移り感染させるからだ。幸運にもSlightly Robot(スライトリー・ロボット)というスタートアップが、別のタイプの有害な接触を防止するリストバンドをすでに開発していた。「抜毛症」と呼ばれる体毛を引き抜く衝動に耐えられない病気のためのリストバンドだ。

そこで先週、Slighly Robotはそのウェアラブルデバイスを改造し、Immutouch(イミュタッチ)という顔に手を触れると振動するリストバンドを開発した。加速度センサーが1秒に10回手の動きを検知する。初期設定で行ったキャリブレーションに基づき、Immutouchは指が目や鼻や口に近づくと振動して知らせる。専用アプリを使えば汚れた手を下ろす努力の進捗を追跡することができる。

最終目標は、振動を避けるために顔に触りそうになった手を下ろすパブロフ反応を養成することだ。脳が振動という負のフィードバックを学習し、顔に手を触れたいという欲求を無視するように嫌悪条件を訓練する。

「COVID-19のような大きな問題に対しては、全員が大小を問わずそれぞれの役割を果たす必要がある」とSlightly Robotの共同ファウンダー、Matthew Toles(マシュー・トールズ)氏は言う。「我々3人は、たまたまこの問題への取り組みに適した資質があったので、最低でも挑戦してみることが義務だと感じた」

Immutouchリストバンドは今日から50ドル(約5200円)で売り出され、すぐに出荷する準備ができている。顔に触れる可能性が高い方の手首につけるか、抑止効果を最大にするために両手につけてもよい。

「これで儲けるつもりはありません。商品は材料や組み立て出荷作業など、ほぼ原価で販売しています」と共同ファウンダーのJustin Ith(ジャスティン・イス)氏は言う。投資家へのリターンを生むことを義務付けられているベンチャー支援企業と異なり、Slightly Robotは2016年にワシントン大学から受けた少額の助成金で設立されそれ以来自己資金で賄われている。

Slightly Robotの共同ファウンダーたち。左からJoseph Toles(ジョセフ・トーレス)氏、 ジャスティン・イス氏、マシュー・トールズ氏

Immutouchを創業したのは、我々ならすばやく開発できるとわかっていたので、やる義務があると思ったからです。3人ともシアトルに住んでいるのでこの大流行に対するみんなの反応を、深い懸念と恐怖をもって見てきました。父は自己免疫疾患のために免疫抑制剤を服用しなければなりません。60代後半で免疫不全を抱える父のためにも、父と我々家族周辺のコミュニティを清潔で安全にすることに全力を尽くすつもりです」とイス氏は話してくれた。

Immutouchリストバンドの校正方法

ウェアラブル警告デバイスを使って抜毛症の症状を軽減する研究によると、Immutouchの使用は効果が期待できるという。ミシガン大学の研究者らは、振動によって長期的および短期的な抜毛行為が減少したと報告している。イス氏は、利用者が実際に警告を聞き入れて我慢することで自らに正しい習慣を植えつける必要があること、また横になっているときには有効ではないことを認めている。ImmutouchはかつてのPavlokのような喫煙やFacebook中毒をやめさせるために電気ショックを与えるデバイスほど過激なことはしない。

いずれAppleなどのメーカーが、すでに持っているウェアラブルデバイスを使って自身を訓練する安価あるいは無料のアプリを開発するかもしれない。しかしそれまでの間、イス氏はImmutouchが少しでも注目されることで「大量生産することで価格を下げ、もっと手に入りやすくする」ことを願っている。

Twitterなどの迅速に情報を共有する近代テクノロジーであれば、20秒間の手洗いといった適切な注意喚起を出すことで新型コロナウイルス蔓延を遅らせられる。しかし、トイレに行く前、最中、行った後に触り続けているスマートフォンを顔に押し付けるような行為は、過去の世紀のパンデミックにはなかった感染経路を作り出しかねない。だからこそ、流行の原因を取り除くために誰もが自分の役割を果たすことで、我々の医療システムの崩壊を防ぐ必要がある。

最後にイス氏は「このような大流行は、各個人がどのように地域社会に影響を与えるのか、また自分が感染者にならないことの責任を改めて認識させるものだ」と言っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook