F8カンファレンス:FacebookがMessengerのチャットボットのプラットフォームを発表

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FacebookはF8 2016デベロッパー・カンファレンスでMessengerを利用した企業のチャットボットのプラットフォームをリリースした。これにより、見込み顧客の質問へのの回答、カスタマー・サポート、eコマースの手続き説明など、あらゆる対話的なリアルタイム・コミュニケーションが可能になった。Facebookではデベロッパー・ネットワークとビジネス・エコシステムの巨大さにものをいわせて、MessengerをすべてのSMSを合わせたより大きな存在にしていく計画だ。

一方、KikLineTelegramなどライバルのチャット・サービスはすでに独自のボット・プラットフォームを展開している。

今回のF8カンファレンスでのFacebookの発表はTechCrunchが2月に掲載したFacebook、メッセンジャーをプラットフォームにするためチャットSDKを準備というスクープを裏付けることになった。われわれは先週、F8でFacebookはチャットボットとライブチャットAPIを発表する予定.だという記事でフォローしている。 [アップデート:このプラットフォームの正式名称は“bots on Messenger”となった。われわれが報じた“agents on Messenger”は発表以前の部内のコードネームだった]

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F8でFacebookはチャットボットの新機能にいち早くアクセスできる提携デベロッパーの長いリストを発表した。 たとえばMessengerで受け取り者の名前を入れたメッセージを1-800 Flowersに送るとその相手に自動的に花束がプレゼントされる。CNNはユーザーが要求した関心あるテーマについてMessengerで毎日記事の要約を送ってくれる。ユーザーは必要ない記事を大量に送りつけられて迷惑せずにすむ。

マーク・ザッカーバーグは、「人工知能と自然言語処理〔の発達〕と人力の補助により、ユーザーはMessengerボットに友達に話しかけるのと同じように話かけることができる」と説明した。.

Messengerボットの仕組

MessengerプラットフォームのSend/Receive APIを調べるとボットは単純な文字列だけをやり取りするのでないことがわかる。ボットは 画像、リンク、行動を起こすボタンを含むstructured messages〔構造化メッセージ〕を処理できる。ユーザーはボットとの会話を通してレストランを予約したり、eコマースでの購入履歴を調べたり、必要とあれば追加注文をしたりできる。カルーセル式に横移動するカタログをスワイプして目を通し、気に入った商品があればウェブ・ページに飛んで購入を完了するといった使い方が可能になる。

ただし注意すべきなのはボット・プラットフォームが現在支払機能をサポートしていない点だ。Messengerにクレジットカード情報を登録しているユーザーであってもボットを通じて支払を行うことはできない。

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新しいMessenger画面のトップに常に表示される検索バーはボットを探すのに便利だ。すでにSMSで顧客とコンタクトを取っている企業の場合、電話番号照合ツールで簡単にユーザーのMessengerアカウントにアクセス可能だ。これはTwilioとの提携によって可能となった。ユーザーに会話の主導権を保証するためにボットとの会話では画面トップに「ブロック」ボタンが常に表示される。このボタンを押せばボットを即座に黙らせることができる。

デベロッパーは単独でボットを開発することもできるが、Facebookのボット開発パートナーとなることもできる。またFacebookは自然言語処理のWit.aiを買収して得たテクノロジーを用いた独自のBot Engineによるインターフェイスを用意している。 これはFacebookが教室向けに提供しているシステムと同じもので、Bot Engineを用いたサンプル会話が配信される。またこのシステムは会話の進め方を独自に学習する機能がある。

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人海戦術は時代遅れ

チャットボットは突然テクノロジー界の最大のテーマとなった。ボットはそれぞれのユーザー別にカスタマイズされたリアルタム双方向コミュニケーションを容易にスタートさせることができる。現在のコールセンターや営業部隊と同じような機能を果たすが、はるかにスケールしやすく、コストも低い。

Facebook CNN Chatbot

ごく控えめな予測でもチャットボットが 1-800〔無料通話〕を置き換えることになるのは間違いない。人間が配置されたコールセンターには一定の営業時間があり、繋がるのを待つ時間があり、延々と転送を繰り返される。また担当者が調べ物をする保留時間や人間と会話する精神的ストレスなどもある。こうしたことはチャットボットには無縁だ。

Messengerその他のプラットフォームのボットが広く採用されることになると、セールスやサポートに関する企業活動が一変する可能性がある。ユーザーが自分からカタログの詳細をチェックしなくても、購入にあたってポイントとなる基準を伝えれば、ボットが即座に関連する情報を教えてくれる。ニュースサイトの場合も、大量の無関係な記事をより分けたりせず、興味ある記事だけがタイムリーに手元に届くことになるだろう。ボットは関連する情報やリンクも教えてくれる。

現在FacebookはWhatsAppを買収した状態のままなのシンプルなメッセージ・サービスにとどめている。しかしMessengerにおけるeコマースなどビジネス利用、チャットプラットフォームの導入などが成功すれば、FacebookはこれらをWhatsAppに導入しようと考えるかもしれない。

チャットボット・プラットフォームはもちろんビジネスの一環だ。Facebookは企業が「スポンサー・メッセージ」、つまり広告を送信することに課金す計画だ(このメッセージはMessengerでユーザーが自発的に企業にコンタクトを取ったときに限り送信が許可される)。また広告主は「クリックしてMessengerのボットに飛ぶ」タイプの広告をニュースフィードに掲載することができる。とどちらのタイプの広告もボットが大きな役割を果たし、効率化とコストの削減に寄与するだろう。

チャットボットに力を入れ始めたのはもちろんFacebookだけではない。しかし9億人というMessengerの膨大なユーザー数を考えれば、広告プラットフォームとしてのメリットは言うまでない。デベロッパー・エコシステムが順調に成長すれば、ビジネスにとってMessenngerはもっとも魅力的なボット利用プラットフォームとなるだろう。企業は見込み顧客数が最大となりそうな場所に引き寄せられる。現在Facebookより巨大なソーシャル・ネットワークは存在しない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebookでのメッセージのやり取りを、リアルタイムで暗号化するCrypter

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あなたがエドワード・スノーデンだったとしよう。ガーディアンのレポーターとメッセージング経由で情報を送りたくなったときにどうするか。あるいは、モスクワに見つけたCIAによってタリウムを盛られる心配がない喫茶店の情報を共有しようとする際に使えるサービスはあるだろうか。使える手段がFacebookしかないというような状況だったとすると、事態は完全に絶望的となってしまうだろうか。

そのような際に使えるのがCrypterだ。開発したのはサセックス大学の学生であるMax Mitchellだ。Facebookメッセンジャー経由で暗号化したメッセージのやり取りを可能とする。ChromeおよびFirefox版の拡張機能として動作し、事前に定めたパスワードを利用して、やりとりするメッセージの暗号化/復号化をリアルタイムで行う。

「やっつけられない対象を相手に喧嘩すべきではない、という発想でCrypterを作りました」とMitchellは言う。「Facebookという超メジャーなプラットフォームがあるなかで、独自のチャットプラットフォームを立ち上げることなどすべきではないと思ったのです。多くの人の習慣に逆らっても無駄なだけです」。

「Facebookを通じてメッセージのやり取りをする間、このCrypterは自らの姿を表に出すことなく、もくもくと仕事を続けるのです」とのこと。

まだ少々バグが残っているようにも思える。極秘メッセージのやり取りを担わせるのは、まだ若干の不安があるかもしれない。しかし友人などと実際の動作の様子を試してみるのは面白いかもしれない。暗号化/復号化の手間を意識しない、プラグイン形式の実装はなかなか面白いものだと思う。セキュリティに強いとは思えないFacebookが舞台であるのでなおさらだ。さまざまな面倒を嫌いつつ、しかし安全なメッセージのやりとりをしたいと考えている人も多いことだろう。友人と極秘レシピの交換をしたり、あるいはレポーターと命に関わる情報のやり取りをすることも可能となったのかもしれない。


 

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(翻訳:Maeda, H

Facebook Messengerのユーザーは8億人―2016年のその戦略を探る

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SMSを無用化するチャット・ボット・プラットフォームを分岐させる。友達とオフラインで会うのを助ける。人工知能を強化する。ユーザーを喜ばせる。こういったところが2016年のFacebook Messengerのロードマップのようだ。このチャット・サービスには今や8億人の月間アクティブ・ユーザーがいる。これは昨年6月の7億人から1億人もアップしている。 3月には6億人、214年11月に5億人だった。

この数字でも明らかだが、Nielsenの調査によると、Facebook Messengerは2015年でもっとも急速な成長を遂げたプラットフォームだった。iOSアプリとしてはFacebook本体のアプリに次ぐ2位のダウンロード数となっている。 やり取りされる写真は月間100億枚以上だという。

一部の市場ではすでに独占的な地位を獲得したFacebookのチャット・アプリは、ライバルを根絶し、デベロッパーを組織して強固なエコシステムを作り、これまでのチャットとは異なる総合的なメッセージング・サービスとなるべく動き始める準備が整ったといえるだろう。

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今日(米国時間1/7)発表された公式ブログの記事でMessengerの責任者、 David Marcusは2016年の戦略を概括している一方、私は昨日、Messenggerのプロダクトのトップ、Stan
Chudnovskyを取材する機会があった。下記はMessengerの戦略と私が取材で得た感触をまとめたものだ。

まず2015年のMessengerの実績は―

  • 処理速度の改善
  • ビデオ通話
  • 絵文字、ハンドルネーム、カラーテーマによる会話のカスタマイズ
  • Messengerを利用した顧客サポート
  • Messenger内での支払いと受け取り
  • コンテンツと表現のためのアプリ制作のプラットフォーム
  • ロケーション共有の改善
  • 発呼者/メッセンジャー ID
  • 友達でないユーザーとのチャット
  • Photo Magicによる写真の自動共有
  • バーチャル・アシスタント、M
  • 交通機関プラットフォームとなるUberアプリ

2016の計画と予測

計画: 電話番号を追放する

Messengerは、アメリカではメッセージアプリとして(Googleには悪いが)圧倒的に優位な地位を築いている。多少とも意味のある競争相手はSMS/iMessageだけだ。FacebookのMarcusは「SMSというのは昔の二つ折り携帯に適合したサービスだ。今やわれわれはスマートフォンの時代のチャットを必要としている。写真、スタンプ、絵文字、GIFアニメ、支払い、ロケーション、交通機関などありとあらゆるコンテンツの処理がチャットには求められている。SMSは多様なコンテンツをうまく処理できない。Messengerは人々にSMSを捨てるよう説得することができるだろう。

MessengerはFacebookのユーザーなら誰でも利用でき、誰とでもどんなメッセージでも交換できるので、相手の電話番号を知る必要さえほとんどなくなっている。 インターネットに接続している人間すべてを一つの巨大なコミュニティーにまとめ上げるのがMessengerにとっての「次の大きな飛躍」となるだろう。

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予測:ビデオ・メッセージの時代が来る

モバイル時代に入って最大のヒットはビデオの普及だろう。しかし通話にビデオを用いるのはまだ始まったばかりで問題も多い。Skypeは最低だしFaceTimeはAppleのiOSデバイスでしか動作しない。MessengerはすでにVoIPによるオーディオ通話、ビデオ通話通話を実用化しているが、知名度がまだ低い。私はMessengerが2016年にはグループ・ビデオ会話サービスをスタートさせてこの状態を大きく変えるのではないかと考えている。多人数によるミーティングや会議の処理となればSMSに勝ち目はないだろう。

計画:チャットのスレッドは新しいアプリだ

ユーザーが今まで電話で行っていたさまざまな作業がMessengerのスレッド内でできるようになった。検索がウェブの中心を占めていたのと同じような意味で、今やチャットがモバイル・サービスの中心だといってもいい。
Facebookはその力をもってチャットを通販やコンテンツ流通などのプラットフォームにしようとしている。

Marcusは「Messengerは企業やサービスからアイテムを購入する(おそらく繰り返し購入することになるだろう) 新しい方法だ。ユーザーはFacebook
Messengerwを使って、きわめてスムーズかつ快適に、車を呼び、飛行機を予約し、カスタマーサービスと話すことができるようになる」と書いている。

予測:カスタマー・サービスは音声の録音メッセージからテキスト・メニューに変わる

Facebookは企業がカスタマー・サービスをMessenger内で運用し、自社のFacebookページと統合することによって、専用アプルをメンテナンスする必要なしに、はるかに快適で効率的な顧客サポートを可能にするよう望んでいる。ほとんどすべてのビジネスは顧客とのコミュニケーションを必要とする。
Facebook Messengerを利用すれば企業はそうしたコミュニケーションを無料ないし圧倒的な低価格で提供できる。現在Messengerではカスタマー・サービスで利用するための実験を始めたばかりだが、近くFacebookではMessengerのスレッドにメニューを表示するフォーマットを正式に提供するだろう。あの延々と続く録音メッセージに応じて数字キーを押すという不快な体験が追放されることを望むものだ。

計画Messengerでソーシャル・スペースを作る

われわれは毎日、Messengerでビジネスや私生活の親しい友だちと会話をしている。Facebookの普及率を考えるなら、Messengerを他の種類の会話にも使えるようにしようと考えるのは自然だ。FacebookはWhatsApp,などのチャット専用サービスの例にならって、スレッドのカスタム化、個人化を図っている。チャットの責任者、Marcusは「〔Messengerでの会話は〕個人的な意味として社会における握手に相当する」と書いている。Facebookはユーザーが「第三の場所」、つまり家庭でもなくオフィスでもない、リラックスして息抜きができる社交の場でMessengerが活用されるように方策を講じていく。

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予測:オフラインでの集まりにMessengerが使われる

Facebookはユーザーの友達をほとんど全員知っている。Facebookにログインしているユーザーが少々退屈したとき、同時に 友達の誰がオンラインになっているかも分かっている。Facebook「近くの友達」の方式を拡張して、たとえば、付近の友達の誰とオフラインで会えそうか探してくれるようになるだろう。

2015年にGoogleは同好の士を探してくれるソーシャル・アプリ、Who’s Downを発表、Danny TrinhのスタートアップはFreeをリリースした。どちらのアプリもオフラインで会えそうな友達を見つけるのが目的だ。残念ながらどちらのアプリも大きな反響を得ていない。どちらもユーザーベースが普遍的というレベルに届かず、従って実用性も低いままだ。しかしこれをユーザー8億人のMessengerがやれなるなら話はまったく違うものになるだろう。

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計画: 人工知能の強化

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FacebookはMessengerを他のチャット・サービスとの明確な差別化を図っている。その膨大な資金力とエンジニアリングの資源にものを言わせて、昨年夏、パーソナル・アシスタントのMを作りあげた。人力と人工知能を組み合わせたMは、残念ながら展開が遅く、多くの資源を食うプロジェクトとなった。しかしMの経験からFacebookはユーザーがMessengerに単なるメッセージ交換以上にどういう機能を望んでいるかを教えた。また自然言語についても知るところを増やしたに違いない。こうした経験からFacebookはMessengerのインターフェイスにさらに自然言語、特に音声による自然言語を導入するようになるだろう。コマンドに従って自他のメッセージを音声で読み上げる機能はユーザーに歓迎されるだろう。

予測:チャット・ボット・プラットフォーム

ユーザーがチャット・サービスに対して望む新機能はさまざまだが、そうした個別機能の実現よりも、むしろFacebookはユーザーの希望に沿ったアクティブな応答をするチャット・ボットを制作するるためのプラットフォームの構築に力を注ぐものと思われる。Mはこうしたチャット・ボットのモデルないしフラグシップとしての役割を果たすことになる。今週私はFacebookはデベロッパーに対してチャット開発のSDKへのアクセスを密かに増大させていることを探り出した。このSDKを使うと、テキスト・メッセージでメニューを表示し、ユーザーの応答に対応して自動的にメッセージを返し、また支払い処理を行うボットが簡単に開発できる。サードパーティーのデベロッパーが企業のためにMessengerを用いた効率的な顧客サービス・システムを書けるわけだ、こうしたアプリは企業の顧客にとって便利であるだけなく企業にとってもコスト削減や新たな収益機会の獲得などのメリットがある。

計画: ユーザーを喜ばせる

Facebookは今年、Messengerに思い切って風変わりな機能を持たせる。たとえばスレッド内に雪やハートの絵文字を降らせることができるようになる。一見子供っぽい試みだが、ありきたりの退屈なSMSを使っているのではないことに気かせる効果がある。またユーザーはMessengerに少し人間らしさを感じ取るだろう。

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予測:Facebookは若い世代を惹きつけるために思い切った手を打つ

Facebookには「もうクールなサービスではなくなったのでは?」という懸念が長くつきまっている。しかし努力の重点がソーシャル・ネットワークによって社会的なつながりの場づくりから、メッセージ・プラットフォームづくりへ移るにつれ、Facebookには陳腐化を防ぐ新しいアプローチが必要になってくる。おそらくMessengerはアジアで圧倒的な人気を得ているメッセージ・サービスのライバル、LineやKakaoTalkから若者に支持されるためのヒントを多く得ているに違いない。

ライバルが提供している機能には、われわれ大人の目からすると、ばかばかしくトリビアルで子供っぱいものも含まれている。しかしこうした機能が遊び心をもつ若い層の支持の重要な源泉となっていることも確かだ。Facebookがスタンプを実装する際、社内には反対の声も強かった。しかし蓋を開けてみればFacebookのスタンプは圧倒的な支持を受けた。ユーザーが特定のプロダクトを毎日長時間使い続けるようになると、単に論理的であり機能性が高いというだけでは飽きてしまう。突拍子もないアイディアが歓迎される理由はそこにあるわけだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

クリスマスにはUberをFacebook Messengerから呼べる―近くLyftも加わる

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人気アプリ、Facebook Messengerがついに公共交通機関の手配の領域に進出してきた。FacebookはまずMessenngerでUber車の呼び出しを可能にするが、Lyftなど他のサービスも順次追加されるという。

Facebookの新機能の特色にはMessengerを利用することでスレッドを共有しているチャット仲間に本当に出先でUberを「捕まえた」ことが分かる点も挙げられる。パジャマ姿でベッドの中から「今タクシーに乗ってそっちへ向かっているとこだ」などといい加減なメールを送るというわけにはいかない。

メッセージ・アプリに共有乗車の手配機能が追加されたのはこれが初めてではない。たとえば中国などで人気のある通話、チャットアプリのWeChatからもやはり中国のDidiなどの車の手配が可能だ。しかしWeChatの場合、親会社のTencentが頻繁にUberをブロックしているという。これ中国における共有乗車サービスの激しい競争を反映したものと見られている。

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Facebookは、もちろんだが、WeChatからヒントを受け取ったわけではないとしている。 「われわれが(もっとも大きなヒントを得たのは)Messenのユーザーの利用のパターンからだ」とFacebook におけるMessengerのプロダクト・マネージャーのSeth Rosenbergは語った。

作動の仕組み

新しいMessengerには車のアイコンが追加された。何かメッセージを書いている途中でUberが必要になった場合は、3点…メニューから「交通機関を見つける」も選択すればよい〔日本版にはまだこれらの機能は追加されていない〕。 どちらの場合でもクリックするとすぐにUberの「配車手配」の画面が開く。ユーザーは通常どおり配車希望場所、目的地、希望する車の種類などの入力に進む。

Messengerの「公共交通機関」機能を利用したユーザー全員に20ドル分のUberポイントが付く。Uberが既存ユーザーに無条件にこうしたクレジット・ポイントを付与するのは非常に珍しい。Facebookが相当に説得力ある根拠を示したのだろう。

Facebook、Uberともに売上の分配の有無やその率については沈黙している。いずれにせよFacebookはMessengerにおける交通機関手配をさらに拡大していく構えだ。Rosenbergは飛行機のチケット予約など数多くの可能なユースケースについて触れた。「われわれはMessengerアプリから個人相手だけなく、交通機関にもメッセージを送れるんだという考えに早く慣れてもらいたいと期待している」とRosenbergはわれわれの取材に対して答えた。

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FacebookのMessenger強化はUberの強気な拡大戦略とちょうどうまくマッチした。Uberは多数のサービスにAPIを使った呼び出しプラットフォームでを提供中だ。Uberは今年初めにlデベロッパー向けプラットフォームを発表し、アプリ内に「Uberを呼ぶ」というボタンを実装したサイトに対し、これによる新規獲得ユーザー1人あたり5ドルを支払うというインセンティブを提供していた。

われわれはMessengerアプリから個人相手だけなく、交通機関にもメッセージを送れるんだという考えに早く慣れてもらいたいと期待している。

— Seth Rosenberg, Facebookのプロダクト責任者

LyftもSlackとほぼ同様の提携を行っているが、Rosenbergによれば、Messengerの交通機関手配の最初のパートナーとなったのはやはりUberだったという。

Uberが公開している「配車手配( Request Ride)」ボタンのAPIの利用規約ではライバル交通機関と関係あるパートナーを利用から除外することを定めている。しかしUberに取材したところでは「Messengerとの提携は個別のプライベートAPIを通じて行われている(のでMessengerがLyftのようなライバルをサービスに含めても)問題ない」とのことだった。

Facebookも、当然ながらUberも、Lyftとの関係について詳細は明らかにしなかった。しかし事情をよく知る立場の情報源によれば、Lyftからの配車手配は来年1月にもスタートするだろうという。KLM航空とはフライト予約を含めるための作業が行われているが、スタートややや遅れて、やはりこれも来年になる。

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MessengerはUberのカスタマー・サポートの主要チャンネルに

Ubeは Messengerの利用をリアルタイムのカスタマー・サービスの実験の一つと位置づけている。Uberはこれまでリアルタイムの カスタマー・サービスの能力が低いという批判を受けてきた。 UberのAPIと戦略的提携の責任者、Rahul Bijorは「リアルタイム・サポート機能をユーザーに提供する上で提供する上でこれ(Messenger)がわれわれが求めている最良の手段となるのかチェックしたい」と語った。

Facebookによれば、Messengerのユーザーは世界で7億人だという。同アプリからUberを呼び出す機能は今日、アメリカの主要都市で公開された。Uberの広報担当者がTechCrunchに語ったところでは、この機能はクリスマスまでに全米のほぼすべての地域に行き渡るだろうという。アメリカ人にとって今年のクリスマスパーティーへの行き帰りは楽なものになりそうだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook Messengerが読んだら消えるメッセージを実験中…人間の日常生活の会話を模倣

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Facebook Messengerが、読んだら消えるメッセージをテストしている。今はフランスの一部のユーザに提供されている機能だが、メッセージは送ってから1時間以内に消える。このニュースは、BuzzFeedが最初に報じた。本誌は今Facebookに、全面展開のスケジュールなど詳細を問い合わせている。

短命メッセージでMessenger自身も楽になるが、なにしろ今ユーザが7億もいるMessengerが、一時はFacebookが30億ドルで買うことを検討したと伝えられるSnapchatと、もろに競合することにもなる。Snapchat以外にも、上位のメッセージングアプリの一部が、蒸発するメッセージをサポートしている。

たとえばユーザ数2億1100万のLineは最近、隠れチャット(Hidden Chats)と名づけた暗号化メッセージを立ち上げた。これも一定の時間が経つと消滅する。中国最大のメッセージングアプリWeChat(ユーザ数5億)では、2014年からメッセージのリコールができる。

しかしFacebook Messengerの短命メッセージ機能は、ほかの人に知られたくない情報を送ることだけがねらいではない。本誌ライターのJosh Constineが触れているように、消えるメッセージは人間の実生活における会話の特性でもあり、それをMessengerは読了確認メッセージ(read receipts)や即席自撮りで再現しようとしている。

Facebookは前にも短命メッセージを実験したことがある。2012年の12月には、Snapchatが離陸した直後、FacebookはPokeをローンチした。これは、写真やビデオが消えるサービスだ。

当時Snapchat殺しと騒がれたFacebook Pokeは、しかしユーザが増えなかった。一方Snapchatは月間ユーザ数2億に達し、立派なエコシステムができて、単なる消える写真にとどまらず、Live Storiesのようなリッチな機能も提供するようになった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

FacebookアカウントなしでもMessengerが使えるようになった―普遍サービス実現への重要な一歩

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FacebookはこのSNSが嫌いな人々にもMessengerは使ってもらいたいと考えている。そこでFacebookはFacebookアカウントなしでMessengerにアカウントが作れるようにした。ユーザーはサインアップにあたってフルネーム、電話番号を入力するだけでよい。新しいサインアップはアメリカ、カナダ、ペルー、ベネズエラでは今日から利用できる。他地域にも順次拡大される。

Facebookは2012年にインドその他の地域でアカウントなしでのMessengerの利用をAndroid版アプリとしてテストしたことがあった。しかしこのテストは数ヶ月で終了した。私の取材に対してMessengerの責任者、David Marcusは「2年前のわれわれは〔モバイル化の〕過渡期だった。現在われわれはまだMessengerを使っていない少数の人々、いわば『ラスト・ワン・マイル』の層をMessengerに取り込む試みができるようになった。われわれはFacebookを使いたくない、あるいは事情によってFacebookが使えない人々にもMessengerを提供することにした」と語った。

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初めてMessengerを使おうとすると「Facebookでログイン」に並んで「Messengerにサインアップ」というボタンが表示される。Messengerでサインアップする際に、電話番号を入力すると、Facebookは他のMessengerの連絡先を検索し、その電話番号を登録しているユーザーをリストアップする。これが「FacebookアカウントなしのMessengerユーザー」にとってのソーシャルグラフとなる。

Marcusはこの新しい方針は中国に再進出するための布石ではないと強く否定した。中国政権はFacebookの所有する全IPアドレスをブロックしているので、Facebookアカウントの有無にかかわらず、Messengerも検閲にひっかかることは確実だという。

Messengerはどこへ向かう?

最近、Facebookはユーザー間の支払機能新しい位置情報共有専用ウェブ・アプリVOIPビデオ通話、画像や音声のメッセージをやりとりするためのアプリのプラットフォームMessengerゲームなどMessengerの機能を立て続けに拡張している。

Marcusは「Messengerの次のビッグ・プロジェクトはエンタープライズ向けのMessenger For Businessの開発だ」と語った。これはさまざまなバーティカル〔業種〕 に対応したシステムとなり、たとえば、オンライン通販会社は、手間がかかって効率の悪い電話やメールの代わりにMessengerを利用して顧客サポートができるようになるという。またMessengerのプラットフォームを利用してサードパーティーがアプリを開発する環境の整備にも力を入れていく。

成長、成長、成長

こうした努力の背後にあるのは何としても急成長を維持しなければならないという事情だ。

月間ユーザー7億人というMessengerはすでに巨大なサービスだが、SMS市場を制するためには全世界にあまねく普及する普遍的サービスとなることが必要だ。つまり「自分の知り合いは全員がMessengerを使っている」という状況を一刻も早く作り出さねばならない。そうなればユーザーはオンライン生活のすべてをFacebook圏内で済ませ、わざわざ外へ出ていくことがなくなる。

今回のMessengerだけでサインアップできるという方針は、Facebookの普及がすでに飽和点に近づいたアメリカやイギリスのような市場で、なんらかの理由でFacebookを使うのを止めてしまったり、もともと加わりたくないと考えていた人々をFacebook圏内に呼び戻すのが狙いだ。

一方でFacebookがまだ普及の途上にある多くの地域では無料SMSが急速に人気を高めている。そこでこうした市場ではMessengerは「Facebook.入門」の役割を期待される。

「こうした市場で〔普及を持続させるには〕FacebookのアカウントがないユーザーにもMessengerは使ってもらうようにすることが必須だ。われわれはFacebookプラットフォームに文字通り全員が参加するまで努力を止めない。友人、知人のすべてが参加すればプラットフォームのユーザー体験は比較にならないほどアップする」とMarcusは説明した。

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F8カンファレンスでプレゼンするMessengerの責任者、David Marcus

Marcusは「一部の人々はイデオロギー的理由などからわれわれに否定的だ」とFacebookを嫌う人々がいることも率直に認めた。もっともFacebookの過去についてMarcusに直接の責任はない。Marcusは昨年、PayPalのプレジデントだったときにMessengerの責任者にスカウトされた。Marcusの指揮の下でユーザーは2億人から7億人へと驚くべき急成長を遂げた。

MessengerはFacebookにとって「ドアの隙間に突っ込んだつま先」のようなものだ。Messengerのユーザーは連絡相手のFacebookプロフィールやその写真を見ることができる。好奇心を刺激され、やがてFacebookにサインアップしようと考えるユーザーも多く出るだろう。FacebookはMessengerで収益化を図っておらず、広告は本体のニュースフィードにしか表示されないから、Facebookユーザーが増えることは売上のアップに直結する。

要約すれば、Facebookは「Facebookやニュースフィードを嫌うユーザーがいてもチャットするのが嫌いなユーザーはいない」と考えてMessengerのサインアップを独立させたのだろう。おそらくは賢明な判断だ。.

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

FacebookのMessengerに最初のゲーム登場―スパム化を防止する舵取りが必要

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Facebook Messengerはついにゲームの世界にまで拡張された。今日(米国時間6/10)、私はMessengerプラットフォームのアプリのリストにDoodle Drawという ゲームを発見した。取材したところ、Facebookは「4月にプラットフォームがスタートして以来、これが最初の本格的なゲームだ」と確認した。

Doodle Draw

当初FacebookはMessengerプラットフォームに登録できるアプリをGIF化やサウンドメーカーなどコンテンツ加工系に限っており、ゲームは許可していなかった。

しかし私はプラットフォームのローンチ前に情報源から「Facebookはテストの結果がよければ、けっきょくゲームやユーティリティーなど広範囲なアプリを許可することになるだろう」と聞いていた。先月、The Informationは「FacebookはMessengerにゲームを導入することを前向きに検討している」という記事を載せた。

私の取材に対して、Facebookは「われわれはMessengerプラットフォームにもっとも適したアプリはコンテンツ加工とキュレーション系だと考えている。 しかしF8カンファレンスでMessenger Platformはすべてのデベロッパーに開かれていると宣言したことでもあり、もっと広い範囲のアプリも考慮することにした」と語った。

Doodle Draw(iOS版、Android版)をプレイしたゲームファンの中には何か見覚えがあると感じたものもいたはずだ。実はこのゲームは 2012年にいっときブームとなり、とんでもない高値でZyngaに買収されたDraw Somethingというゲームのデッドコピーなのだ。しかしDraw Something自体が昔からあるパーティーゲームのPictionaryのモバイル版だったのだから、あまり憤慨することもないだろう。デベロッパーの ClayのサイトにはDoodle Draw以外のゲームもたくさんある。

Doodle Draw is an obvious clone of this game, Draw Something

Doodle Drawの元になったDraw Something

Doodle Drawを開くとテーマが表示されるので、限られたツールと色でそれを描き、友達に送る。友達はそれが何かを当てなければならない。友達を招待したりプレイ回数を重ねたりするとプレイヤーにはポイントが付与され、そのポイントで新しい色を購入することができる。将来は色やツールをキャッシュでゲーム内購入できるようにするのだろう。

こうした売上からFacebookが手数料を徴収することになるのかどうかはまだ不明だ。UltratextというMessengerアプリは有料でフィルターを販売しているがFacebookは手数料を課していない。

Facebook Messenger Games

うまくいけばゲームはMessengerプラットフォームのエコシステムを急成長させるのに役立つが、反面、以前のFacebookゲームがそうなったように、ユーザーを騙して課金するアプリやスパムの温床になりかねない。Zyngaはプレイヤーが友達を誘ってゲームに参加させるとポイントが与えられるシステムを作り、ポイント欲しさのしつこい宣伝投稿でニュースフィードがひどく汚染されるという騒ぎになった。〔日本版:2009年にTechCrunchのファウンダーで当時の編集長、Micheal Arringtonは詐欺まがいが蔓延―ソーシャル・ゲームの邪悪のエコシステムは放っておけないという記事でZyngaのフラグシップ・ゲーム、Farmvilleなどが悪質な課金手法を取っていることを厳しく指摘し、Zyngaは謝罪した。〕

Facebookはニュースフィードの質の低下を恐れて、こうしたバイラル勧誘の仕組みに大ナタをふるい、大部分を禁止してしまった。これと、同時に進展したモバイル化のためソーシャル・ゲーム会社は大打撃を受けた。

Doodle Drawにもこうしたソーシャルスパムへの萌芽が見えるのが気がかりなところだ。ゲームをプレイするとゲーム内通貨として使えるポイントが与えられるという仕組みは、ポイント欲しさにつまらない絵が大量に送られる危険性を秘めている。 Facebookはこういうインセンティブの与え方に対して厳格な態度を取るべきだろう。

Messenger Game Spam

今後Messengerプラットフォームがどこまで拡大するかは未知数だが、Messengerの価値がゲームスパムで傷つけられることがないよう、Facebookの適切な舵取りが期待される。.

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

メッセージはFacebookの一人勝ち―Messenger、Google Playでのダウンロードが10億回に

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Google Playでダウンロードが10億回を超えた会社は2社しかない。そのうちの1社はもちろんGoogle自身だ。今日(米国時間6/9)、FacebookはSMSを代替するビジネスの市場がどれほど巨大かを実証した。Messenger部門の責任者、David Marcusが発表したところによると、MessengerのAndoid版のダウンロード回数が 10億回の大台に乗ったという。10億回超えのアプリはFacebook本体、WhatsApp、Gmail、YouTube、Google検索、Googleマップと極めて数が少ない。Messengerもついにこのエリートクラブに仲間入りしたわけだ。

最新のモバイル・デバイスの共有機能とスピーディーなテキストメッセージのやりとりを結合させるというMessengerの基本戦略は成功した。しかもFacebookはMessengerの機能を野心的に拡大中だ。VOIP通話、ビデオ会議、スタンプ、ボイスメール、ピア・ツー・ピア支払、ロケーション、サードパーティー向けアプリのためのプラットフォーム化等々、Messengerはユーザーのあらゆるコミュニケーションのニーズに一手に応えようとしている。 そしてそのユーザーはすでに6億人に上っている。

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シンプルなメッセージ・サービスに特化したWhatsAppを傘下に持つFacebookはメッセージ・アプリの世界の難攻不落の要塞を建設することに成功している。Snapchat とYik Yakもいくらかおこぼれにあずかれるかもしれないが、Facebookはすでにコミュニケーション・ユーティリティーとして次の展開を狙っている。

Facebookは現在、目立たないやり方でMessengerを本体にさらに緊密に組み込もうとしている。

たとえばグラフ検索で「xxの曲を聞いたことがある友達は?」のような検索をすると、そのユーザーのプロファイルではなくMessengerのリンクが表示される。友達の誕生日にFacebookは誕生祝いのメッセージを、ニュースフィードではなく、メッセージで送信するよう促すことがある。

Messenger In Facebook

先週、FacebookはMessengerの地図とロケーション機能をリニューアルした。これはGPS機能を利用した新たなロケーション機能導入のための準備だ。これまで、待ち合わせ場所の確認はFacebppl本体アプリのNearby Friendsが受け持っていた。

Facebookがライバルのチャットサービスに対して優位なのは、FacebookはMessengerで金を儲ける必要がないという点だ。広告を溢れさせたり有料のスタンプを売り込んだりする必要がない。Messengerの役割はユーザーをFacebookコミュニティーにしっかりと繋ぎ止めることで十分果たされており、その後はFacebookのモバイル広告が十分すぎるほどの売上をもたらす

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しかしここまでの道のりは必ずしも平坦ではなかった。Facebookはユーザーにメッセージを使うなら本体と別に新たなアプリをダウンロードするよう告げねばならず、少なからぬユーザーが反発した。しかしそれも無事に収まって新アプリが普及するに連れ、チャット・サービスに日が当たるようになり、エンゲージメントは着実に上昇し始めた。Facebook本体という巨艦から独立したことでMessengerは身軽になり、新機能の実装も素早くなった。

PayPalの元プレジデント、David Marcusをトップに、プロダクトのエキスパート、Stan Chudnovskyがナンバー2を務めるMessengerチームがこの半年で実施した主なアップデートは次のようなものだ。

一方で、メッセージ分野を制することができる資金と技術力をもったライバル、Googleはここ数年、彼らが言うところのムーンショット(野心的)プロジェクトに気を取られて失敗を重ねてきた。Googleハングアウトはビデオチャットで先行したにもかかわらず、それ以上に伸びなかったし、WhatsAppの買収にも失敗した。成功していれば二頭立てレースになったはずだが、現状はFacebookの一人勝ちという結果になっている。

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Facebookはメッセージ・アプリが今後モバイルでもっとも長い時間使われるようになると考えている。中国のWeChatはチャットをすべてのモバイル活動のポータルとするという戦略のパイオニアだが、Facebookも必要に応じてあらゆる機能をMessengerに移植できる態勢を整えている。

長年、シリコンバレーでは「何がFacebookキラーになるか?」という議論が続いてきた。結局、Facebookキラーを作り出したのはFacebook自身だったようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook Messenger支払いシステム、ニューヨークに到着。グループチャット内でも送金可能に

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Facebookは今日(米国時間5/27)、今年3月からFacebook Messengerに導入された新支払いシステムを、ニューヨーク市および周辺地域のユーザーにも拡大すると発表した。これはiOSとAndroidおよびデスクトップのFacebookメッセージングアプリを使って、金銭の授受を可能にする機能で、これまではシアトル、ポートランド、およびオースチン等少数の米国都市でのみ提供されていた。

ニューヨーク地区デビューと共に、支払いシステムのデザインには数々の改訂が加えられ今まで以上に支払いが便利になるとFacebookは言っている。

今年3月、Facebookは支払いビジネスに深く関わる意志を表明し、いずれはPayPalやVenmo等の人気支払いアプリをひっくり返す可能性のある行動を開始した。Venmoは、ユーザーが友達を探して支払う際にFacebookを利用しているソーシャルペイメントアプリだ。

Venmoは新世紀世代の間で特に人気のあるサービスで、レストランの割り勘やルームメートとの家賃分割などで便利に使われている。FacebookがVenmoや他の競合アプリの牽引力を見て、自らソーシャルペイメントに参入する決断を下した可能性はある。

Messengerに支払い機能を含めたことで、Facebookは他の支払い専門アプリだけでなく、昨年11月にSnapchatがSquare Cashを利用してスタートしたSnapcashサービスとも対決することになる。

Facebookはこの機能で、ユーザーがMasterCardまたはVisaのデビットカードをFacebook Messengerと結び付ける方法を提供し、”$”ボタンをタップするたけで友達に送金できるようにした(あなたのMessengerアプリに “$”ボタンがなけれは、まだ支払い機能が有効になっていないという意味だ。ただし、誰かがあなたに送金すれば、自分でも試せるようになる)。

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Facebookは今日、同機能が改善されいくつか新機能も加わったと言った。
Messengerの会話中に書かれたドルの数値は、自動的にハイパーリンクされ、タップするとメッセージ相手にその金額を支払う画面が出る。もちろん送り手は、誤ってクリックした場合に備えて送金前に確認できる。このしくみは、Messengerの文中に表れたメールアドレス、電話番号、URL等が既にリンクされているのと似ている。

さらに新機能として、支払いがグループ会話の中でも可能になる。以前、は一旦グループを離れて個人対個人のメッセージで支払わなくてはならなかったが、これからはグループの中で友達に送金できるようになるとFacebookは言っている。グループの他のメンバーはこの支払いを、誰が誰にいくら払ったかを含め、見ることができる。

Group Sends Flow[2]

現在支払いは個人に対してのみで企業相手には送れないが、将来Facebookがそれを可能にすることは十分考えられる。しかし、今日同社はこのツールを「商業目的利用」向けには作られていない、と言った。

Facebook曰く、ニューヨークはFacebook Messenger支払いを利用できる最初の大都市圏だが、「今後数ヶ月」のうちには広く全米に拡大するつもりだ。

現在6億人以上がFacebook Messengerを毎月使っているが、そのうち何人が既に支払い機能を利用できているか、あるいはこれまでに送金された合計金額についてFacebookは明らかにしていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、MessengerにチャットIDを導入―発信者情報の表示でビジネス利用も容易に

2015-05-22-facebookmessenger

メッセージが着信したが、名前に見覚えがない。どこの馬の骨? スパム? それとも昨日カンファレンスで会った好感のもてる人物だろうか? 新しいFacebook メッセンジャーはメッセージに応答する前に相手についての情報を与えてくれる。メッセンジャーは初めてメッセージを送信してきた相手の居住地域、肩書などの公開情報をメッセージ・スレッドのトップに表示するようになった。このアップデートはiOSとAndroidに対するもので、今日(米国時間5/21)から公開される。当面アメリカ、イギリス、フランス、インドのユーザーが対象となる。

友達以外の誰かからメッセージが届いたとき、メッセンジャーはその相手を、たとえば「フード・ブロガー」で「シアトル居住」であるというように表示する。すると記憶をたどって「最近シアトルに出張したときフィッシュ・マーケットで話をした女性だな」などと思い出すことができるわけだ。相手が実際に会ったことがある人間だと分かればメッセージに返事をしようと考える可能性が高くなる。また会話を「えー、どこでお会いしましたっけ?」というような気まずい文句で始めずにすむ。

Facebook Chat ID

またメッセンジャーはすでにFacebookで友達になっているが、過去にメッセージのやりとりをしたことがない相手についても情報を提供してくれる。たとえば、高校の同級生が最近あなたの町に引っ越してきて同じ業種の会社に勤めたとしよう。メッセージの冒頭に居住地と職種が表示されれば「高校の同級生のネイト? 何の用だろう?」という疑いは「おや、ネイトが町に引っ越してきて同業になったのか!」に変わるだろう。

友達以外でも友達でも、メッセンジャーが表示するのは一般に公開ないし受け手に対して公開されている情報だ。プライバシー設定に反するような情報が表示されることはない。

この新機能はFacebookが先月発表した発信者IDを表示するAndroid向けアプリ、Helloに似ているので、チャットIDと呼ぶことにする。発信者IDアプリは通話が着信すると相手の電話番号をデータベースと照合し、Facebookのユーザーの場合はその公開情報を表示し、既知のスパマーの場合は自動的にブロックするというものだ。

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チャットIDと発信元IDはFacebook友達だけでなく、ユーザーの生活におけるあらゆる個人的コミュニケーションをFacebookが仲介しようという戦略の現れとみることができる。これによってユーザーは自分のソーシャル・ネットワークを効果的に拡大することができる。同時に、特にビジネス面で、Facebookの役割がさらに高まるだろう。

これまでFacebookは友達以外との会話にメッセンジャーを利用することについては慎重な態度を取っていた。たとえば、友達以外からのメッセージの多くをスパムといっしょに「その他」のインボックスにまわしてユーザーの目に触れにくくしていた。一般のユーザーはめったに「その他」のインボックスをチェックしないので、用のないメッセージを見ないですむと同時に重要なメッセージを見るチャンスを失わせてもいた。私の友達は長年音信不通だった兄弟からのメッセージが「その他」に入っていたために長いこと見逃していたという。

私の取材に対してFacebookは「『その他』インボックスの扱いにはまったく変化がない。今までもメッセンジャーで友達以外とチャットできた」と語ったが、 今回のチャットIDの導入によって、メインのインボックスに振り分けられるメッセージは増えるに違いない。本来『その他』に分類されてはいけないビジネス上のメッセージが表示されやすくなると期待してよいのではないだろうか。.

若い世代のプロフェッショナルは以前ほどLinkedInを重視しなくなっている。モバイル化とメッセージ機能で遅れを取っていると感じられるためだ。Facebookがその間隙を埋めることになるかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、Messengerのモバイル・アプリに無料ビデオ通話を提供―iOSとAndroidをサポート

2015-04-28-facebook-messenger-video

出し抜けに人の家を訪問するのは礼儀正しいとはいえない。まずテキスト・メッセージを送ってからだ。Facebookがビデオ通話をMessengerアプリの機能として提供することにした理由はそれだろう。今日(米国時間4/27)、FacebookのMessengerのiOSとAndroidアプリに無料のVOIPビデオ通話機能が追加された。セルラー接続、WiFi接続の双方をサポートする。当面の提供地域はアメリカ、カナダ、イギリスなど15ヵ国〔日本は後日〕だが、すぐに拡大されるという。

Facebookの目的は、ユーザーが地球上のどこにいようと、どんなデバイスを持っていようと対面で会話できるようにすることだ。Messengerのビデオ通話なら、サンフランシスコで新しいiPhoneからLTEで接続しているユーザーがナイジェリアで安いAndroidから3Gの弱い電波をつかんでいるユーザーと顔を合わせて会話できる。下は短い紹介ビデオ。

Facebookは2011年にSkypeと提携してデスクトップのビデオ通話を提供したが、やがて独自のVOIPビデオのインフラを構築した。これがモバイルのMessengerアプリに拡張されたことでiOSデバイス同士でしか通話できないAppleのFaceTimeや今となっては古くさいSkype、普及度がいまいちのGoogleハングアウトには恐るべきライバルが誕生したことになる。

Messengerユーザーが6億人、Facebookユーザーが14億4000万人ということを考えれば、このVOIPビデオの規模がいかに巨大かわかるだろう。マーク・ザッカーバーグは先週のFacebookの決算発表の電話記者会見で、Messengerは世界のモバイルVOIP通話の10%を占めていると明らかにした。Facebookの高音質で信頼性の高いVOIP音声通話はすでに通常の通話にとって代わりつつあるが、これにビデオが加われば、このトレンドは一層加速されるだろう。

いかなる形にせよFacebookはMessengerを収益化する計画はないという。

Video call ringing[1][2][1] (1)

MessengerのFace-To-FaceTime

今日、iOSとAndroidのMessengerアプリにビデオ通話機能が追加されたのは、ベルギー、カナダ、クロアチア、デンマーク、フランス、ギリシャ、アイルランド、ラオス、リトアニア、メキシコ、ナイジェリア、ノルウェイ、オマーン、ポーランド、イギリス、アメリカ、ウルグアイの17ヵ国だ。今後数ヶ月かけて順次サポート地域を拡大していくとう。

ビデオ機能が追加されたユーザー同士でチャットを始めると、紹介ビデオにあるように、右上隅にビデオカメラのアイコンが表示される。アイコンをタップすると上の画像のように相手にビデオ通話開始のリクエストが表示される。相手が承認するとビデオ通話が開始される。カメラは自撮りモードでスタートするが、随時フロント・カメラに切り替えて周囲の景色を見せることも可能だ。

Screen Shot 2015-04-27 at 11.50.17 AM

Messengerは接続状況に応じて自動的に画質を調整する。サンフランシスコで私が見たデモの場合、LTEでタワーは2本立っている状態だったが、わずかにピクセルノイズが出た。音声のみのVOIPに切り替えることも簡単で、またビデオ接続を維持するのが困難な接続状態になるとMessengerはそのことを警告してくれる。Messengerの利用は一切無料だが、ユーザーのデータプランを大量に消費する可能性があるので注意が必要だ。できるかぎりWi-Fiを利用するのが賢明だ。

Messengerのビデオで巧みなアイディアは、通話者の一方がビデオ機能を切ることで、他方のビデオ画質をアップさせる機能が組み込まれていることだ。たとえばユーザーが自宅の居間でノルウェイのフィヨルドを航行している友達とビデオ通話している場合、居間の情景などには意味がないので、その送信を停止するとフィヨルドの景色が高画質で楽しめるというわけだ。【後略】

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

FacebookがHelloのテスト開始―着信の相手を表示、受信拒否、検索もできるスマート通話アプリ

2015-04-23-facebookhello

電話がかかってきたが、誰からだかわからない。そういうことがなくなる。Facebookが公開テスト中の新アプリ、Helloは受信、発信の際に電話番号とFacebookのプロフィール情報を照合し、電話の相手が誰かを教えてくれる。また迷惑電話として広く知られている番号からの着信を自動的にブロックしたり、レストランなどのビジネスを検索することもできる。

今日(米国時間4/22)、 アメリカ、ブラジル、ナイジェリアでHelloの公開テストが開始された。これらの地域のユーザーはこちらからダウンロードできる。テストの結果が良ければ、公開地域はここ数週間のうちにさらに拡大される。iPhoneユーザーには残念だが、このアプリはAndroid版のみだ(iOSはアプリが通話を処理するのを許さない)。

Helloの発信者情報には相手がFacebookで電話番号を公開している場合、その他の公開情報(名前、職業、プロフィール写真その他)が表示される。ユーザーは電話を受けるか無視するかを判断することができる。

Hello Feature Gif

Helloは簡単にいえば電話番号をキーにしてFacebookのソーシャルグラフ検索を自動的に実行するアプリだ。つまり個々のユーザーのプライバシー設定にはまったく影響しない。

似たような既存のアプリにはTrueCallerなどがある。

Helloのプロダクト・マネージャー、Andrea Vaccariは「毎日、アメリカだけでも10億回も電話がかけられている。ところが電話のユーザー体験というのは長い間まったく進歩していない。この分野には大きな進歩の余地が残されている」と語った。

下はFacebookによるHelloの紹介ビデオ。

いわばFacebook Phone 2.0

Dialer

ユーザーはHelloアプリをインストールした後、連絡相手情報を同期することを許可する。

Helloの機能はかなり豊富だ。以下、簡単に紹介する。

Facebook同期電話帳

写真を含むプロフィール情報が追加され、いわば機能強化版の電話帳として利用できる。

発信元ID

通話の着信があるとHelloはFacebookのデータベースで電話番号を検索する。相手がプライバシー設定で電話番号を「一般に公開」(デフォールト)にしている場合、そのユーザーが公開している情報が表示される。相手が「友達、友達の友達」などに公開を制限している場合でも着信側ユーザーがその公開範囲に含まれていれば、やはり表示される。

Search:Business

無料のVOIP通話

通話の後で、相手がFacebook Messengerをインストールしているかどうかの情報がポップアップする。インストールしていれば、タップ1回でその相手にはMessengerを利用した無料通話ができる。携帯電話の通話料が高い途上国の場合など特に有用な機能だろう。相手が通常の携帯網で電話をかけてきたときにその着信を無視し、MessengerのVOIP通話でかけ直すせばお互いに通話料がかからない。

ビジネス検索

BlockUnwantedCalls

Helloにはスマート検索機能も用意されている。通常のFacebookアプリの検索と同様、友達を検索できるが、Facebookはイエローページ情報をインポートして、多数の店舗の電話番号、住所、営業時間などを検索できるようにしている。「ピザ」で検索し、そのまま店に注文の電話をかけることができるわけだ。

受信拒否

Helloは個別番号に受信拒否を設定できる他に、着信した電話番号が広く受信拒否されていることも教えてくれる。もし非常に多くのユーザーによって着信が拒否されている電話番号の場合、Helloは着信音を鳴らさずに自動的に留守録状態に移る。ブロック設定は多くのオプションがあり、ユーザーは必要に応じて自分に適した設定を選ぶことができる。

オプトアウト

【原文を参照】

Hello広告?

プロダクト・マネージャーのVaccariは「現在、Helloに関する収益化プロジェクトは存在しない」と語ったが、広告による収益化の可能性はさまざまに考えられる。

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たとえば、ビジネス検索に広告を挿入するのは簡単だろう。ストレートな検索連動広告だ。「ピザ」と検索するとピザ屋の検索結果の横に近所のイタリアン・レストランの広告が表示されるような仕組みだ。

HelloはまたFacebookが近く公開するビジネス向けインスタント・メッセージとも連動させることが可能だろう(ショッピングした後で、クレームや交換などをMessengerで店に依頼することができるようになる)。もちろん、そうした収益化を一切しなくてもHelloはFacebookへのユーザー囲い込みを強化する役に立つだろう。

Hello Better

全体としてHelloは押し付けがましくなりすぎないよう、たくみにバランスを取って便利な機能を提供していると感じた。実際の機能(ソーシャルグラフ検索)は比較的シンプルだが、電話のたびにリアルタイムで手作業で実行するのは煩わしくて不可能だ。それを自動化するというのはスマートなアイディアだ。とくに通話後にMessengerの利用を促す仕組みにしたのは巧妙だ。長らく進歩が止まっていた電話のユーザー体験を改良する大きなステップになり得るアプリだろう。

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滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、eコマース機能を着々強化中―巨大ショッピング・ポータルが出現?

オンラインでショッピングするのが「いいね!」をするのと同じくらい簡単になったらどうだろう? たぶんわれわれはそのサイトでずいぶんたくさん買い物をすることになるだろう。そういうショッピング・ポータルになることに成功したサービスは単に手数料を稼げるだけではない。人々が何を買うかに絶大な影響力を振るえることになる。eコマースに関するFacebookの最近の動きはそのような方向を示唆しているかもしれない。

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Facebookは2014年のF8カンファレンスで eコマースをスピードアップすることを目標の一つに揚げた。

先月、Facebookはメッセンジャー内に支払い機能を導入した〔現在アメリカのみ〕。メッセージのスレッドに表示される“$”ボタンをクリックして金額を入力するだけでその金額が即座に友達に送金される。

便利な機能だが、これは手始めにすぎないと見るべきだろう。

このメッセンジャー送金機能で、Facebookはデビットカードとユーザーのアカウントを結びつけた。重要なのはクレジットカードやPayPalなどの従来の支払い手段と異なり、デビットカードではFacebookは一切手数料を取らないという点だ。パスコードによる保護や送金履歴などセキュリティー対策も十分に行われている。

Facebookはこの迅速・無料の送金手段を向こう数年の間に事業の新たな柱に据えていくだろう。.

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小売ビジネスも新たなチャンネルを熱望している

最近、Facebookはマーチャントとの関係の強化をはかっている。これまでのようにマーチャントを外部の企業として扱うというより、むしろFaceookの人間のユーザーに近い扱いをするようになってきた。

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Facebookは2014年にAuto-Fill機能を公開した。これはパートナーサイトでショッピングするときにAuto-Fillをボタンをクリックすると住所、氏名、支払情報などがFacebookのユーザー情報を利用して自動的に書き込まれるというもので、ユーザーは長々しい入力をしないですむ。

FacebookはまたBuyボタンの実験を行っている。これはFacebookを離れることなく、ニュースフィードに表示された広告から直接ショッピングができるというものだ。

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今年2月にFacebookはeコマース向けに新しくプロダクト・広告を提供し始めた。これまでの広告ではマーチャント全体か単一の商品しか広告できなかったのに対して、新しい広告ユニットでは複数のプロダクトを一度に広告できる。

またFacebookは先月、カスタマイズ可能なショッピング検索エンジンのTheFindを買収した。これによってFacebookはユーザーがどんなプロダクトに興味を持っているかより正確に知ることができるようになり、広告ターゲティングの精度向上に役立つはずだ。たとえばヒッピー的ライフスタイルに興味を示すユーザーにはヨガマットの広告が効果的だろう。

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Facebookの新しい複数プロダクト一括広告

そして数週間前、Facebookは小売業者を人間の友達のような親しみやすい存在にするためにきわめて野心的な手を打った。ユーザーが業者にメッセージを送れるようにする計画が発表された。F8デベロッパー・カンファレンスでプレビュー版が公開されたMessenger For Businessでは 、ユーザーはメッセンジャーを通じてショップに注文したり、発送の通知を受け取ったりできる。またメッセンジャーでさまざまなカスタマー・サポートを受けられる。

これらの動きはFacebookが総合的なショッピングポータルに一歩一歩近づいていることを示すものだ。

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ゼロフリクションのeコマースを目指して

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そしてさらに重要なのは、最初に述べたメッセンジャー内でのデビット・カードによる支払いとeコマースが統合されたらどうなるかという点だ。

上で見てきたように、Facebookはユーザーに代わってサードパーティーに対し支払いの認証を行い、ユーザー情報を入力する能力をすでに備えている。ユーザーは住所、氏名、電話番号、。クレジットカード番号等々を入力する必要がない。発注確認、レシート、発送ずみ通知、注文キャンセル、クレームなどはすべてメッセンジャーでやりとりできる。

こうなればFacebook自体が巨大なショッピング・モールになるだろう。ユーザーはFacebookを離れることなく必要なものをなんでも買えるようになる。

実現までにはそれなりの時間がかかるだろうが、Facebookがそのようなゼロ・フリクションのeコマースを提供するようになったところを想像してみよう。今までのFacebookのeコマースは次のようなステップを踏んでいた。

  1. ストア、あるいは単一のプロダクトの広告が表示される
  2. 広告をクリックし、ストアが表示されるのを待つ
  3. 商品を選ぶ
  4. 支払い情報、送り先情報などを手入力する
  5. 注文手続きを完了する
  6. メールでレシートを受け取る
  7. 変更や問い合わせがあればメールか電話を使う
  8. メールで発送ずみ通知を受け取る

それがこうなるだろう。:

  1. ユーザー向けにターゲットされた商品の広告が表示される
  2. “Buy”ボタンを押す
  3. 配送先など必要情報が自動入力され表示されるので確認ボタンを押す
  4. メッセンジャーに注文確認、レシート、発送通知などを受け取る。キャンセル、クレーム、問い合わせなどはすべてメッセンジャーから行う

このeコマースのフローは通常の物品だけでなくタクシーを呼んだりチケットを購入したりするのにも使える。F8カンファレンスに先立って私はFacebookがメッセンジャー・プラットフォームの上でサードパーティーがアプリを開発できるようにする計画についてレポートした。その後Facebookに近い情報源から、Facebookはこのプラットフォーム上で、オンデマンドタクシー・サービスのようなアプリの開発に興味を示していると聞いた。

eコマースではユーザーの手数か減れば購買量は増える。Facebookは単に広告を売るビジネスモデルからゼロフリクションのeコマースサイトへ自らを拡張していくかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebookの、Messengerプラットフォーム化計画


来週のF8 デベロッパーカンファレンスで、Facebookはサードパーティーが同社のMessengerアプリを通じて新たな体験を提供する方法を発表する、と複数の情報源が伝えている。Facebookは、Messengerをもっと便利にしたいと考えている。アジアのチャットアプリ、WeChatやLineが友達とのテキストメッセージの枠を越え、プラットフォームとして成功しているのを踏まえてのことだ。

まずFacebookは、サードパーティーがMessengerを通じてコンテンツや情報を流すやり方に注目すると思われる。初期の実験の成否によって、FacebookはMessengerの実用性をさらに高めることを熟考するかもしれない。

Messengerプラットフォームが今回のF8の主要な話題になることは、あらゆる情報筋が言っているが、サードパーティーによる具体的な統合方法は不明だ。これまでWeChatやLineがやってきたことを見ると、企業によるユーザーとの直接対話やコンテンツの共有する、友達同志のコンテンツ共有の強化等、数多くの可能性がある。

Facebookは限られたパートナーとだけ、ゆっくりとスタートするだろうが、いずれ多くのデベロッパーに開放されるかもしれない。Facebookはこの件についてコメントを拒んだ。

スパムの回避

Facebookは、初期のウェブプラットフォームの良いところを再現しつつ、同じ失敗を繰り返さない方法を探っている。

Facebookの「ウェブキャンバス」はユーザーの個人情報や友達を簡単にサードパーティーに渡せることから、ゲームと共に急成長した。そして同社のオープングラフ・プロトコルは人々のFacebookプロフィールをアプリと結び付けた。いずれも人気の理由は、デベロッパーが自分に興味のあるユーザーを見つけるのに役立つからだ。それはアプリストアが混雑し競争が激化する今のモバイル時代においては極めて困難だ。

Facebookのゲームスパム(2010年頃)

問題は、ウェブプラットフォームにゲームスパムが氾藍しすぎた結果、Facebookがバイラルを抑制しなければならなくなったことだ。結局、熱中の場が携帯電話へとシフトし、Facebookが困惑してモバイルへの移行に遅れているうちに、ブームは衰えた。オープングラフは、ニュース、音楽、ビデオ等の使用をニュースフィード・ティッカーに自動配信したことによって、シェアのやりすぎだという悪評を得た。

こうした経験に基づき、Facebookはこの比較的未開のMessengerアプリにスパムが紛れ込まないよう慎重になるに違いない。

アジアの一体型チャットアプリにインスパイアされる

これまでMessengerはほぼFacebook上のみの体験だった。ウェブサイトに、ユーザーが友達に直接URLを送ることのできる“送信”ボタンを埋め込むことはできるが、それを除けばMessengerは、テキスト、音声通話、写真、ビデオ、スタンプ、ボイスクリップ、そしてお金の送受信にいたるすべてを、Facebookの独自システムを通じて提供している。

Facebookは、F8カンファレンスでMessengerに関する発表があることを私に話し、同社チャットアプリに新たなデベロッパー向け機能が加わることをほのめかしていた。また、Messengerの責任者、Daivd Marcusは、昨年Wiredに企業と顧客が直接対話する方法に興味を抱いていることを話し、貧弱な体験の原因の多くは電話の番号案内と航空会社のカスタマーサービスにあると指摘した。以前Facebookは、ユーザーがFacebookのビジネスページ管理者に個別メッセージを送るための殆ど知られなかった方法を提供していた。

Messengerのプラットフォーム化に関して、FacebookはLineとWeChatに注目したと言われている。両社は頻繁に使われるインスタントメッセージアプリをモバイルインターフェースの中心に据え、一体型ポータルとして使うパイオニアだ。Snapchatも、最近プラットフォーム・アプローチを急速に推進しているメッセージアプリだ。

Lineのプラットフォームページ

日本のメッセンジャー、Lineには「その他」タブがあり、スタンプショップ、物理的店舗で買い物ができるLine Pay、Lineのファミリーアプリやゲームの一覧などを利用できる。アプリには、自分の顔を友達に送れるスタンプメーカーや、写真共有のLine Toss、お絵描きのLine Brush、グリーティングカードを送れるLine Card、コラージュを作るLine Camera、自撮り写真を飾り付けるB612、マンガを読むためのLine WebToon等がある。

Snapchat Discover

Lineでは、公式アカウントをフォローして、ポール・マッカートニー、The Walking Dead、マンチェスター・ユナイテッド、BBCなどの有名人やエンターテイメント、ニュース機関、ブランド等から直接コンテンツを受取ることもできる。FacebookやTwitterの公式アカウントで起きている投稿の集中砲火と比べると、Line公式アカウントは、ファンとの少数高密度の直接コミュニケーションが特徴だ。

Snapchatは、Discoverページでプレミアム豪華コンテンツ戦略を追求している。Comedy Central、CNN、Vice、ESPNといった主要メディアが、Snapフォーマットの写真、記事、ビデオを挿入広告として送り込める。一方、WhatsAppは、ユーザーがWhatsAppメッセージを通じて友達にURLを送れるSendボタンをサイトに埋め込めるようにして、大量のトラフィックをメディアサイトに誘導している。

Facebookは、上記のいずれからでも着想を得ることができる。例えば、、装飾を加えた写真等のリッチコンテンツを作ってシェアするためのアプリをサードパーティーが提供できるようにする。Facebookは既に、写真にスタンプを貼って友達に送れるコンパニオンアプリとしてStickered For Messengerを提供している。

あるいはFacebookは、ユーザーが公式アカウントをフォローしたりページを訪れたりできるようにしてもよい。そうすればニュースフィードで見落とした最新情報に遅れずにすむ。電話より効果的な方法で企業と直接連絡を取る方法も提供できるだろう。もう一つの可能性は、ウェブやモバイルのコンテンツ提供者が、Messenger経由でバイラルなトラフィックを獲得する簡単な方法をFacebookが提供することだ。Facebook本体のニュースフィードに、読んだニュースをMessengerに送り込むもっと良い方法が用意されてもいい。

Facebook Stickered For Messenger

中国のWeChatプラットフォームは、よりコマース寄りだ。ユーザーはメッセージアプリを使って、映画のチケットを買ったり、タクシー料金を支払ったりできる。

Facebookの当初のMessengerプラットフォームへの取り組みは、コンテンツが中心と思われるが、サードパーティーの体験に手ごたえを感じれば、いずれネット販売にも拡大するかもしれない。つい先週、Facebookはデビットカードを追加することで友達同志がメッセンジャーを通じて送金するしくみを無料で追加した。支払いシステムを内蔵したことによって、Messengerにはすでにインターフェースがあるので、販売機能の構築は容易だろう。

中国のWeChatはアプリ内で買い物体験を提供している。 Via Benedict Evans

5億人以上のユーザーを持ち、Facebook Messengerは今や世界で最も使われているアプリの一つだ。Facebookのメインアプリが実質的にウェブサイトを小さな画面に移植しただけなのに対して、Messengerはモバイルのために作られたアプリだ。Facebookアプリがさして目的もなく気楽に眺めるものなのに対して、Messengerは行動を起こして何かを成し遂げるために作られている。世界の一部の人々にとっては、MessengerがFacebookを使う主要な方法になっている。その中のコンテンツを改善することは、ニュースフィードにかじりついていないユーザーにとっては理にかなっているかもしれない。

Facebookにとって最近のMessengerのミッションは、このアプリを「より有用に、表現を豊かに、快適に」することだと、支払い機能のプロダクトマネージャー、Steve Davidは言っている。今度は、Hacker Way 1番地の外に協力を求める時だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Facebook Messengerには、支払い機能のコードが隠されている

FacebookのMessengerアプリは、友達同士で送金し合うしくみの準備を整えた。あとはFacebookがこの機能のスイッチを入れるだけだ。スタンフォードのコンピュータサイエンスの学生、Andrew Audeが、iOSアプリ解析ツール、Cycriptを使って撮ったスクリーンショットとビデオによる。

Messengerの支払いオプションを使うと、ユーザーは写真を送るのと同じようにメッセージでお金を送ることができる。そのためにデビットカードを登録するか、すでにFacebookに登録したカードを使える。アプリにはPINコードが導入され、支払いにかかわるセキュリティーを強化している。

FacebookがMessengerを収益化するために、少額の送金手数料を徴収するのか、この単体チャットアプリの利用を促進するために無料で提供するのかは不明だ。それは元PayPalのプレジデントで、新たにMessengerの責任者となったDavid Marcusの考え次第だ

これでFacebookがMarcusを引き抜いた理由がはっきりした。Facebook Messengerによる支払いは、Venmo、PayPal、Square Cashその他のピアツーピア送金アプリと競合する。。

FacebookのCEO、Mark Zuckerbergは同社のQ2 収支会見で、「いずれ、Messengerと支払いにはある程度重複する部分ができるだろう・・・支払い機能は、Facebook全体の成功を後押しするものであり、ユーザーがユーザー同士あるいは企業とやり取りするのにも役立つようにになる」と語った。しかし彼は、「必要な基盤作りのためにはまだ山ほど作業が残っている」のでまだ実施には時間がかかると語った。

彼は、アナリストや投資家に対して、これ[支払い機能]がすぐ来ると予想していたならFacebookの収益予測を修正するように、と促した。「もしみなさんの立てたモデルなどに、われわれがこれをやる計画が反映されているなら、修正することを強く推奨する。なぜなら、まだやらないからだ。われわれは複数年をかけて、正しいやり方を探していく」

Messengerのコードに支払い機能があることを先月最初に見つけたのは、セキュリティー研究者のJonathan Zdziarskiだった。Audeは本誌に対して、彼がCycryptを使って、自分のjailbreakしたiPhoneのMessengerアプリのコードに入り込み、支払い機能を有効にしてスクリーンショットとビデオを撮ったことを話した。FacebookにMessenger支払いについて問い合わせたところ、同社はコメントを拒んだ。

Audeはこの機能とコードをいじってみた。彼によると使い方は、ボタンを押して支払い機能を起動し、送金したい金額を入力して送るだけだという。送金取引情報は非公開で、ニュースフィード等には一切流されない。

Audeが解析したバージョンのMessenger支払いでは、デビットカードのみが利用可能で、クレジットカードや銀行口座は使えない。おそらく、デビットカードを利用した方が安上がりで認証手続きも楽だからだろう。Audeは、「デビットカードの取引でFacebookにかかる手数料は0.40~0.50ドル程度だろう。アプリには送金手数料への言及がなかったので、少なくとも当初は無料と思われる。いずれ1ドルの手数料を追加するかもしれない」と語った。しかし、それを確認する術はない。

Messengerの支払いオプションの中にPayPalをなかったが、Audeが発掘したコードの中にはPayPalについての注記があった。Facebookは、ユーザーがメインアプリでゲームまたは広告の支払い設定を行う際に、自動的に支払い方法のリストを表示する。

実際に資金が送られる方法について、Audeは私に、「送金のしくみは、まず一方の口座から引き出し、次に何かの魔法を使って受け手の口座番号とACH[自動決済機関]を割り出して振り込む。これはSquare Cashと同じだ」と言った。

今のところ支払いは個人対個人に限られるが、いずれはグループ支払いもサポートするであろうことが、コードから見てとれる:「当面は単一の支払いのみの添付をサポートする。複数支払いは将来サポートする」

Audeは、Facebookは同機能を数ヵ月以内に米国で有効にし、いずれその他の国でも公開するだろうが、このコードは早期段階の内部テストに向けたものだと考えている。一般公開までにはまだ時間がかかりそうだ。しかし、いつの日かFacebookは、外国人労働者が自国の家族へ送金する際に、10~20%に及ぶ法外な手数料を取っている送金業界に挑戦できるかもしれない。

現在メッセージングでは、Facebook/WhatsApp、Apple iMessage、TencentのWeChat、Line、KakaoTalk、Google Hangouts、Kik、楽天のViber、その他のサービスによる国際戦争が起きている。それぞれがスタンプやゲーム、コマース、ソーシャルネットワーキングなどで差別化をはかっている。

もしMessenger支払いが成功すれば、Facebookのチャットアプりを選ぶ全く新しい理由が増えることになる。友達に送金する、というのは月に何度もあることではないので、そのために専用アプリを使うのは理にかなわない。Facebookは、人々が毎日使うアプリに機能を組み込むことによって、Venmo等の専用アプリと争うつもりだ。

さらには、ピアツーピア支払いだけでなく、この機能によってFacebookはテビットカードやその他の支払い情報を集めることができる。その情報は、これもFacebookが取り組んでいる、ニュースフィードから直接Eコマース購入ができるBuyボタンにとっても非常に有用だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Facebook、数日中にチャット機能をMessengerアプリに全面的に切り替える

数日中にFacebookはiPhoneとAndroidアプリ内でのチャット機能を打ち切り、世界中のユーザーにスタンドアローンのFacebook Messengerアプリの利用を要求することになる。Facebookはさる4月にヨーロッパのユーザーに対してMessengerアプリのダウンロードを求め始めていた。ただし、デスクトップ、モバイル・ウェブ、iPad、フィーチャーフォン、Windows Phone、Paperでは従来どおり、FacebookサイトないしメインのFacebookアプリ内からチャットができる。

これまでユーザーはスマートフォンのFacebookアプリのメッセージ・タブからチャットするか、Messengerアプリをダウンロードし、メインアプリのメッセージ・タブは単に通知用にして、Messengerアプリに切り替えて実際のチャットを行うか選ぶことができた。

しかし、数日中に、iPhoneとAndroidのユーザーは選択の自由を失う。Messengerをダウンロードするよう促す通知を何度か受け取った後で、メイン・アプリ内のチャットは機能を停止するはずだ。またFacebookはユーザーにこの変更を説明するメールを送っている。

上の写真のようなMessengerへの切り替えを告げる時計をかざしたラッコはかわいらしいが、一部のユーザーは不満を感じるだろう。

メディアの注目を集めることを嫌ってか、Facebookはこの変更について公式ブログに記事を掲載せずユーザーに直接通知するという方法を選んでいる。私の取材に対してFacebookは次のように回答してきた。

ここ数日の間、われわれはユーザーに対し「Facebookメッセージを送受するにはMessengerアプリをダウンロードすることが必要になる」と通知を続ける。この変更によって、われわれはメッセージの改良に関する努力をMessengerアプリ一つに絞ると同時に、複数のメッセージ・アプリが存在することによるユーザー体験の混乱に終止符を打つ。Messengerアプリはすでに月間で2億人のユーザーによって利用されている。

Facebookはメインのアプリ内のメッセージタブを廃止し、その代わりに画面下部にMessengerアプリへのショートカットを設ける(左画面)。Messengerアプリのトップのバーをタップするとメインのアプリに戻る(右画面)。

この変更の理由は論理的ではあるが、ユーザーのすべてが納得はしないだろう。2つのアプリをインストールしてして使いわけるのを嫌う人々もいるだろう。またユーザーが何をしていてもチャットヘッドがポップアップする方式では、他の作業をしながらチャットができたので、専用アプリを起動する新たな方式はかえって不便になったと感じるユーザーもいるだろう。

しかしFacebookによれば、専用のMessengerアプリを利用することによってユーザーの送受するグループメッセージ、写真、ビデオ、スタンプ、音声クリップの数はいずれも大きく上昇したという。つまり専用アプリのユーザー体験の方が快適だということになるのだろう。専用アプリはすでに2億人が利用して毎日120億通のメッセージがやりとりされているという。Facebookとしてメッセージを専用アプリに一本化することで開発努力を大いに効率化できる。、

下のビデオではMessengerのデザイナーが新方式の必要性を説明し、作動のデモを行っている。

実際Messengerアプリはメイン・アプリ内のメッセージタブより使いやすい。またここ数ヶ月で機能が大いに改良されている。最近、カメラで録画した動画や自撮り写真の共有機能やSnapchat風の写真やビデオを簡単にやりとりできるボタンを追加した。Foursquareが普及を試みているが評判のよくないチェックイン・アプリのSwarmとは違ってMessengerは安定した高機能のアプリに仕上がっている。

しばらくすればユーザーも新方式に慣れ、Messengerの使用を受け入れることになるかもしれない。 そうなればCEOのマーク・ザッカーバーグがすでに語っているように、Messengerを支払い手段にすることでマネタイズを図ることもできるだろう。

しかしやはり今回の変更は「Facebookのやり方は強引だ」という反発を招く可能性はある。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Facebook MessengerがやっとiPadに登場―マネタイズ開始も近い?

FacebookがBelugaを買収してスマートフォン向けチャットアプリのMessengerをリリースしてから3年になる。今日(米国時間7/3)、やっとiPhoneアプリを拡大しただけではないiPad専用Messengerアプリが登場した。iPad版にはスレッドのリストと現在のスレッドを並行して表示するマルチウィンドウ機能が備わっている。Messengerには4月の時点で2億人以上のユーザーがいるが、これでiPadの広い画面でメッセーjジがやりとりできるようになった。

Messenger for iPadにはスタンプ、グループチャット、VoIP通話などiPhone版Messengerのほとんどの機能がある。わずかに欠けているのは最近追加された2画面自撮りカメラ長押しでビデオ撮影の機能だけだ。Androidタブレット版についての計画は明らかにされていない。

FacebookとMessengerの双方をiPadにインストールすれば、Facebookのメッセージ・ボタンをタップするだけでMessengerアプリに切り替わる。Messengerの画面トップのバーをタップすればFacebookに戻る。〔日本版:日本版のMessenger v7.0ではそのようになっていないようだ。〕

Messengerがサポートするデバイスを増やすことはSMSを改革してモバイル・チャット分野でも優位性を確立しようとするFacebookの長期戦略にとって重要なテーマだ。Facebookといえばニュースフィードとプロフィールを思い浮かべるのが普通だが、多くのユーザーは一般公開されたコンテンツを毎日丁寧に読むわけではない。むしろ特定のユーザー間の直接のメッセージのやりとりがユーザーの日常生活にとって重要な役割を果たすようになっている。

またメッセージはユーザーのソーシャル・グラフに深く関わっており、ソーシャル・ネットワーク活動そのものといえる。そのためFacebookはこの分野で優位に立つために全力を挙げている。実際チャットはそれ自身で巨大なソーシャルネットワークをいくつも生み出している。これがFacebookが190億ドルの巨額でWhatsAppを買収した理由だ。世界で5億人のユーザーを持つWhatsAppには、ステータスアップデート機能などを備え、単なる無料SMSアプリという以上の存在になりつつあった。Facebookがユーザーの限られたアテンションを奪われる恐れを感じたのももっともだ。

今のところFacebookはMessengerからは直接収益を上げていない。Facebookはこれをユーザーの囲い込みに利用しているようだ。サポートするデバイスが増えれば囲い込みはそれだけ有効性を増す。しかしMessengerアプリを利用した収益化の方法はいくらでも考えられるだろう。最近、FacebookはPayPalの社長、David Marcusを引き抜いて、メッセージ・プロダクト担当副社長に据えている。

この人事を発表した際、Facebookは「Marcusはこれまで数々のすばらしいプロダクトを作り上げると同時に、それらをすばらしいビジネスに育てる方法を見つけ出してきた」とコメントしているのは興味深い。これから察するに、Facebookは近くMessengerのマネタイズを図るのだろう。Lineのようにユーザーがスタンプを購入したり、自分のデザインしたスタンプを販売してりできるようにするのもよいだろう。また、最近のLegoMinifiguresパッケージのように、大手映画スタジオ、おもちゃメーカーなどと提携してブランド・スタンプを販売することもできる。

しかしそれよりももっと大きなビジネスチャンスは、まさにMarcusの専門分野である「支払」だ。Messenger上にP2Pの支払いネットワークを作って少額の手数料を得ることもできる。現在、世界中でオンライン送金の手数料は法外に高い。海外へ送金しようとすると、送金額の1.5%から最高で20%にもなる。現在有力な送金サービスはWestern Union、MoneyGram、Telegiros、Remit2Indiaなどだが、Facebookが参入すればこうした既存サービスを打ち負かすことは可能だろう。Facebookの参入で手数料が下げれば母国の家族に継続的に送金している出稼ぎ労働者などが大きな恩恵を受けるだろう。

もちろん、iPhone/iPadはこうした労働者には高価すぎるデバイスだが、サポートされるデバイスが増え、サービスのユーザーが増えればMessengerがネットワークとしてさらに有効性を増すことになる。

〔日本版〕 記事中にも注記したが、AppStoreで公開されている日本語版Messengerはv7.0にアップデートされているものの、Facebookとの自動切り替え機能などは現在サポートされていないようだ。iPadのFacebookアプリでメッセージアイコンをタップしてもMessengerアプリは自動的に起動しない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Facebookメッセンジャーがアップデート―自撮り写真が速攻で送れる

われわれはプライベートなコミュニケーションでも写真やビデオを使うのが好きだ。Snapchatがいい証拠だ。そこでFacebookはメッセンジャー・アプリにビデオ共有機能を追加し、カメラへのアクセスも素早くできるようにした。今日(米国時間4/28)、iOS版のアップデートが公開されたが、今週中にはAndroid版もリリースされる。

新しいメッセンジャー入力画面にはテキストだけでなく、カメラ、写真ギャラリー、ステッカー〔スタンプ〕、音声メッセージ録音のためのアイコンが並んでおり、ワンタッチでそれぞれの機能が利用できる。

Facebookではステッカーをバイラルに拡散させようとしており、誰かが送ってきたステッカーが気に入った場合はそれを長押しするとそのステッカーが属するパック全体をダウンロードすることができる。またメイン画面に常に検索バーとキーボードが表示されるのでチャットの相手を探すのが楽になった(「友達」画面では下にスワイプすると検索モードになる)。

これまでFacebook Messengerで添付できるのは写真だけで、ビデオは送れなかった。今回のアップデートでビデオの添付ができるようになったが、アプリ内での録画はまだサポートされていない。〔写真ギャラリーを開いてそこに保存された動画を選択する。長押しすると送信前にプレビューできる〕。

最近WhatsAppが発表したところによると、毎日1億本のビデオがやりとりされているという。このこともFacebookがメッセンジャー機能の強化を急いだ理由のひとつだろう。

アプリ内から即座に自撮り写真が送れる新しいシステムは親密感を高める効果が大きい。メッセージ作成画面の下部のカメラ・アイコンをタップすると、画面の半分がフロント・カメラのモニタに変わる。ここで「送信」をタップすれば即座に自撮り写真が相手に送られる〔リアカメラに切り替えることもできる〕。写真を撮ってから送る相手を選ばなければならないSnapchatよりこちらの方がずっと素早い。

新バージョンで下部にアイコンが追加されたため、テキスト入力スペースが多少犠牲になったものの、マルチメディアが速攻で使えるようになったのは大きい。Facebookの2億人のMessengerユーザーは今までよりも活発にコミュニケーションすることになりそうだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Facebookメッセンジャー、SMSキラーの「電話番号で連絡」機能を追加。iOS、Android共

SMSを叩き自分が唯一のメッセージングアプリになるための探求を続けるFacebookは、電話番号で連絡する機能をiOS版Messengerアプリにも拡張した。この機能は、10月末に一部のAndroidユーザーでテストされ、現在は一般ドロイダー公開されている。それがiOSにもやってきた。iOS版のアップデートは現在公開中で、レイアウトの改善や起動とナビゲーションの高速化も施されている。

目的は明白だ。先月私が書いたように、Facebookは、ユーザーが電話番号は知っているがFacebook友達ではない相手に連絡を取る時、SMSに切り替えてほしくない。Facebookは、電話番号に依存するWeChatやKakaotalkなどの新興メッセージングアプリが膨大なユーザー数を獲得するのを見てきた。今回の改訂によって、彼らを追い落とすことができるだろうか。遅すぎるかもしれないが。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Facebook、モバイルメッセージに「いいね!」ボタンを追加。ワッタッチで「了解!」


「OK」、「了解」、そして大いに嫌われている “k” に、ビジュアルなデザイン変更が施された。FacebookのiOSおよびAndroidアプリのメッセージに、ワッタップでサムズアップの「いいね!」ボタンスタンプを返信するボタンがついた。これは、これまで文字が入力されていない時にはグレイだった送信ボタンに代わる、極めて機能的な追加だ。地味だが、実に満足の行く機能だと私は思っている。

Facebookに確認したところ、私が呼ぶところのこの “Like Reply”[いいね!返信]ボタンが「最新アップデートの一部」であることを認めた。しかし、「最新情報」リリースでは触れられていない。これは、Facebookが時々新しいモバイル機能を追加しながら、発表しないか何回か後のアップデートでリリースノートに書く、という常々私が抱いていた疑惑とも重なる。今、Like ReplyはiOSおよびAndroidのFacebookアプリとMessengerアプリ、さらにはm.facebook.comでも利用できるが、デスクトップにはない。

アップデート:Path 3が最初にこの機能を付けていた。数ヶ月前のアップデートで追加された。Pathのデザインではチェックマークが使われていて、これはサムズアップに比べるとずっと曖昧に感じる。ともあれFacebookがスタンプもPathのすぐ後に追加したことを考えると、速攻フォローのトレンドが起こりつつあるのかもしれない。

濃縮コミュニケーション

スタンプは、モバイルメッセージングで感情を伝えるための速くて活気ある方法として急速に普及している。しかし、通常はメニューの奥から堀り起す必要がある。一方で携帯メールは効率が第一だ。コミュニケーションの中で最もよく使われるものの一つが「肯定」だ。今言ったことに同意。賛成。しぶしぶ承諾。

そこで “k” が生まれた。1文字肯定だ。しかし、これでさえ何度かのクリックが必要だ。メッセージボックスを開き、文字をタイプし、送信する。

しかし、いいね!返信ボタンはこれを1動作でやってのける。Facebookはいいね!ボタンのサムズアップスタンプも用意していて、適切な状況ですぐに使える。Androidの明るいブルーは特に鮮やかに見える。これで節約できるのは1秒。しかし、あなたを含む誰もが何百回も1秒節約すれば、かける毎月7.5億モバイルユーザー数だ。効率化には意味がある。

以前から私はテキストメッセージにこれが欲しかった。実際には、返信に限らずテキストよりも軽量なシグナルを送るために。私はそれを “nudge”[肘などで軽く押す]と名付けた。SMSよりもさらに弱い一言だ。もし私が10分以内に迎えに行くと言って、相手が11分後に nudge を受け取ったら、外に出ておいでという意味だ。友達と飲みに行く時、多勢に連絡したかったら?マスnudgeだ。「オレと飲みに行かない?寂しいから」よりもずっと煩わしくない。

これは、私の夢である〈明白に解釈可能なバイナリー・コミュニケーション〉への楽しみな第一歩だ。今度Facebookメッセージで何かにOKする時には、ぜひ試してみてほしい。果たしてこれが流行するかどうか注目したい。

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(翻訳:Nob Takahashi)