Facebook、24時間でコンテンツが消える「Messenger Day」を公開

FacebookはSnapchat Storiesに対抗するMessengerアプリの新機能、”Messenger Day” を全世界で公開した。(例によって順次導入されるため全ユーザーが利用できるまでには時間がかかる)

ポーランドオーストラリア等での数百万人のユーザーによるテストを終え、iOSAndroidおよびデスクトップのメッセージ画面で木曜日(米国時間3/9)に公開された。新機能を使うとデコレーションを施した写真やビデオを友達や全ユーザーに公開することが可能で、内容は24時間後に消滅する。

Messenger Dayが軌道に乗ればMessengerが最近強化したカメラ機能と共に ビジュアル・コミュニケーションの推進にも拍車がかかるだろう。Facebookのメッセージング担当VP、David Marcusは、Dayには将来「おそらく」広告が挿入されMessengerで最大の収入源になるだろうと話した。

WhatsApp Status Instagram StoriesFacebook Storiesに続き、Messenger DayはSnapchatと競合する。IPOを果たしたSnapchatにとってユーザー成長が弱点だ。Messengerは既に10億人が使っている。Messenger Dayが発表された日にはSnapの株価がわずかに下がった。

今回の発表は、SnapchatはStoriesを発明したかもしれないが、コンテンツメディアとして自分たちはどこよりも大きいというFacebookの哲学が表われている。Facebookはコピーすることを恐れない。たとえどんなに批判されようと。重要なのはユーザーにとって価値があるかどうかだけだ。

なぜこれ以上シェアする場所が必要なのか、というのは当然の疑問でありおそらく必要はない。しかしもしMessengerがStoriesのスタイルに楽しみだけでなく利便性を加えることができれば、昔の思い出を消費するだけでなく新しい思い出を作るきっかけになるかもしれない。

Messenger Dayを使ってみる

Dayを見る

Messenger DayはMessengerのホーム画面のチャットスレッドの上方に表れる。 Instagram Storiesが5ヵ月に1.5億人のデイリーユーザーを獲得したのと同じスタイルだ。そこには名前とプロフィール写真だけでなく、友達の写真が並んでいる。

いいね!の数は表示されないが、Dayに対しては定型メッセージや絵文字で返信できる。

Snapchatにない特殊な機能がActive Now(オンライン中)だ。グリーンのドットが表示されているMessenger Dayは相手とすぐチャットできることを意味している。こうしてMessengerは孤独を解消するという、Down To LunchやFreeやFoursquareが失敗した目的を果たせるかもしれない。

シェアする

昨年12月に導入された大きなカメラボタンは、Dayの利用の促進するためだった。画面下の大きなシャッターボタンを押せばすぐに画像やビデオを追加できる。

デフォルトでは投稿は「全員」に公開される。しかしFacebookによると、アプリのトップにDayが表示されるのは、メッセージを送ってこられる相手だけだ。公開範囲を設定しておけば毎回指定する必要はない。友達に直接送信することもできる。送ったDayを見た人は投稿の下に表示される。

コンテンツにはお絵描きやテキスト、セルフィーレンズ等の効果を加えることができる。

カテゴリー別フィルターを使えば、「一緒にコーヒーでもどう?」「今晩映画に行く?」「一杯飲もう」「走りに行こう」等のアクションを付加できる。簡単にオフラインで友達を招待することができる。しかもFacebookで「誰か一緒にディナーを食べに行く人」を誘って誰も返信しないと悲しい思いをするが、Messenger Dayでは投稿はすぐに消滅し、返信はプライベートなメッセージで送られてくるので孤独だと思われる心配はない。

ちょうどいいフィルターがなければ、自由にテキストから作ることができる。

足りないもの

全体的に見てMessenger Dayは思っていたよりスムーズで反応も早い。Instagram Storiesと同じく、興味がなければ無視するのは簡単だ。友達がたまにしかDayを投稿しなくても問題ない。

それでも私が今すぐ欲しいと思った機能で欠けているものを以下に挙げる。

  • Dayの投稿全体をビデオとして保存してFacebookのフィードに流す(Snapchat)
  • スワイプで使えるカラーとライトのフィルター (Snapchat, Instagram)
  • 写真の表示される時間の指定
  • モノにピン止めできる3Dスタンプ(Snapchat)
  • フェイス・スワップ (Snapchat)
  • Bitmojiのようなカスタマイズ可能なアバタースタンプ (Snapchat)
  • 絵文字をスタンプとして簡単に使える (Snapchat)
  • キャプションの背景色 (Instagram)
  • 簡単なGIF作成 (Instagram)
  • お絵描きのブラシ (Instagram)
  • 友達を参照して、返信すればグループチャットを始められる(Instagram)

時間と共に上記のいくつかは実現されるだろう。世界展開のバージョン1としては十分よくできていてすぐに使えると感じた。

今のところDayのビジネス利用は許されておらず広告もないが、Marcusに尋ねたところ、「おそらく。今後テストしていくつもりだが、高速でやりとりされるメッセージの邪魔はしたくない。それが守られる範囲で良い広告の方法があれば効果は大きいだろう」という返事だった。

Snapchatを攻撃する包囲網

Messenger Dayの “Who’s Up For?” フィルターを使えば友達と会う約束をするのも簡単だ。

ビジュアル・コミュニケーションは未来だ。これに乗り遅れたチャットアプリの将来は暗い。しかし、MessengerはDayをスレッドの上に被せることによって従来の表示件数を減らすリスクを負っている。通常のチャットアプリとしてMessengerが成長するのを妨げてまで、積極的にソーシャルメディアへと参入する価値はない。Facebookは一般公開後に各地域のメッセージ件数が減らないかどうかを慎重に見極める必要があるだろう。

FacebookのStoriesスタイルへの参入は遅かったが、これで全アプリでSnapchatと戦う体制が整った。成功すればSnapchatの成長をさらに食い止めることができる。特に、MessengerやWhatsAppやInstagramをこれまで使っていなかった海外のティーン・ユーザーの取り込みも期待できる。Snapchatの熱心な既存ユーザーを乗り替えさせることはできないだろうが、新しいソーシャルネットワークに登録する必要がないことは説得材料になる。

手加減は一切ない。Facebookは臆面もなくSnapchatの良いところを盗み前面に押し出している。これはイノベーションに逆行しているようにも思える。少なくてもスポーツマンシップに反する。しかしFacebookのイデオロギーは常にスケーリングが中心でありオリジナリティーではない。最初のソーシャルネットワークではなかったが、誰もが使うようになった。Storiesは発明していないが、最初に作った者が報われるとは限らない。報われるのは誰もが使えるようにした者だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook Messengerがリアクションをテスト中。「イヤだね」ボタンも!?

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ついにFacebookがイヤだねボタンを作った。ただしみんなの思っていた場所にではない。

みなさんはマシンガンのような高速チャットの中で、どうやって個々のメッセージに返信しているだろうか? Facebookは、友達のメッセージにもニュースフィードの投稿と同じように絵文字を付けて欲しいと思っている。

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メッセージの上に指を置き絵文字をタップしてリアクションを送る

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リアクション・カウンター

TechCrunch読者のHoan Doのタレコミによると、一部のユーザーのFacebook Messengerにはリアクション・オプションが表示されている。友達が送ったメッセージに指を置くと吹き出しが表れて絵文字を選べる。小さなサムアップ(↑)のいいね!とサムダウン(↓)のイヤだねの他、目がハートや、うけるね、すごいね、悲しいね、ひどいねがある。スレッドに参加している全員が各メッセージの下のリアクション数を見ることができる。タップすれば誰がどのリアクションをしたかがわかる全リストも表示される。

Facebookはこの新機能について「われわれはMessengerをもっと楽しくしてずっと使い続けてもらうためにテストを続けている。これはメッセージに対する思いをいちばんよく表している絵文字を付けられるようにするちょっとしたテストだ」と本誌に伝えた。つまり今は全員が使えるわけではないが、もし評判がよければ全ユーザーにMessengerリアクションが公開されるかもしれない。

ちなみに、Messengerのリアクションがニュースフィードとは少々異なっていることに注目されたい。再三要望されては常に却下されてきた「イヤだね」ボタンが加わっている。これはFacebookでもっとも望まれてきた機能として知られているが、会社はニュースフィードにネガティブな感情が入りすぎることを嫌い導入しなかった。代わりに様々なリアクションによってユーザーはすばやく気持ちを表現できるようになり、イヤだねはコメント欄に任された。

Facebookはこれを、むしろ「ノー」ボタンだと考えていると本誌に告げた。Messengerをスケジュール調整等に使う人は多く、すぐに反応を見たり決を取るためにリアクションが使えるかどうかを実験しているという。Yes/Noボタンがあるのはそのためだが、当然のことながらイヤだねボタンにも見えてしまう。

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Messengerのリアクションは、最近iMessegeに追加されたTapback絵文字にも似ている。これはSlackが最初に導入した方式で、特に返信する間もなく次々とメッセージが送られてくる高速グループチャットで有効であることが証明されている。

例えばこんなスレッドを想像してみてほしい。

ボス – みんなランチはピザでいいかな?

同僚 1 – 移動屋台の方がいいという人はいる?

同僚 2 – 一緒に行く人がいれば寿司がいいんだけど。

あなた – はい。

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Slack offers a similar Emoji Reactions menu and emoji counter on messages

これではどのメッセージに反応したのか全くわからないが、「はい、屋台の方がいいです」と言うのも面倒だ。Slackは最終的にスレッド機能を導入する前、絵文字リアクションでこの問題に対応しようとした。Messengerのように気軽なソーシャルチャット・アプリに会話スレッドは必要ないかもしれないが、ニュースフィードのリアクションを転用するのは十分に理にかなったやり方だ。

Facebookがリアクションを導入したのはちょうど1年前で、それ以来3000億回以上使われ確実に人気を博している。もっともよく使われているのが「超いいね」で、リアクションの半分以上を占めている。メキシコ、チリ、スリナムはユーザー当たりのリアクション数が特に多い国々だ。そして今Facebookは、どの投稿が面白いか、どれをニュースフィードで目立たせるかの判定に、通常のいいね!よりもリアクションにやや重きを置くようになっている。

Slackの絵文字リアクションが成功していることを踏まえると、Facebookの企業向けコラボレーション・スイートであるWorkplaceのメッセージングシステム、Work Chatの強力な付加機能になるだろう。またこれはチャットボットとの会話にも有効だ。Facebookは今週、チャットボットにどう返信していいかわからない人のために常駐メニューを追加している。

FacebookはMessengerを便利にすればするほど、SnapchatやLineやGoogleの雑多なメッセージングアプリとの競争で優位に立てる。簡単に返信する方法を提供することで、たとえソーシャルメディアでのシェア習慣が他のアプリに流れたとしても、ユーザーをFacebookエコシステムに囲っておくことができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook Messenger、クリスマスを控えて最大6人のグループビデオチャットをサポート

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ティーンエージャーに人気のチャットアプリ、Housepartyに強力なライバルが登場した。Facebook Messengerが画面分割で最大6人が参加できるグループ・ビデオ・チャットをスタートさせた。参加者は分割画面に同時に表示され、Snapchat風のパーティー用セルフィー・マスクが着用できる。なお音声、テキスト、GIF、絵文字、スタンプなどを用いたパーティーなら50人まで参加できる。

この機能はMessengerを「仲間内で集まってリラックスできる場所」にすることを狙ったものだ。単に情報を交換するだけならテキスト、音声、写真などで足りるが、相手の顔を見ながらだべることもできるとなれば、Messengerでの滞留時間ははるかに長くなるだろう。Facebookでは「テキスト情報では不十分な楽しい時間を共有するのに最適」としている。

グループ・ビデオ機能はiOS、Android、ウェブで今日(米国時間12/19)、全世界でサポートが開始される。ただしAndroid版はMSQRDによるセルフィー・マスクがサポートされるまでに少々時間がかかる。デスクトップでは最後までサポートされないかもしれない。WiFi接続環境ではデータ量を気にする必要はないが、携帯網の場合、ビデオチャットのデータ量には注意が必要だろう。

われわれはMessengerが2015年に1対1のビデオ通話をスタートさせたときからグループ・チャットが必要だと考えてきた。Facebookでは約1年後に音声のグループ通話をサポートした。最近のデータでは毎月2億4500万人のユーザーがMessengeでビデオ通話をしているというから、グループ・ビデオ・チャットもあっというまに普及するだろう。

これでMessengerは中国などのサービスを除く西側発の有力チャット・アプリとして初めてリアルタイム・グループ・ビデオ機能を提供することになった。AppleのFaceTime/iMessage、Google Duo、Snapchatなどの上を行こうという狙いだ。チャット・サービスのパイオニア、中国のWeChat(微信)はグループ・ビデオを1年年ほど前に追加している。FacebookグループのWhatsAppは先月ビデオ通話機能を公開した。グループビデオはBooyahを通じて可能 [訂正:WhatsAppはネーティブのグループ ・ビデオ・チャット機能を欠いていた。]  GoogleのHangoutsアプリは2013年にすでにグループ・ビデオ通話機能をサポートした。しかしGoogleはHangoutsを放置しており、リアルタイム・チャット機能のメインの地位を占めることはなかった。Googleのコミュニケーション・サービスは分断がひどく、Hangoutsもテキスト・メッセージ機能を欠いたまま孤立ぎみだ。

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アメリカのティーンエージャーにとってライブ・ビデオ・アプリでいちばん身近なのは身近最近人気が急上昇したアプリ、Housepartyのフォーマットだろう。このアプリはMeerkatの製作者によって開発された。われわれの得た情報だと、Housepartyはすでに一日あたりアクティブ・ユーザーが120万人に上っている。これと同時に“livechill”〔ライブ・ビデ・オアプリにグループが集まってリラックスする〕が流行語になった。Facebook Liveなら大勢の人にライブでビデオを公開できるが、このようなパフォーマンスはテレビ放送的で実行すると非常に疲れる。Housepartyは一時 iOSアプリのトップ5に入るなど人気が急上昇し、Sequoiaがリードするラウンドで5000万ドルの資金を集めている

Messengerのグループ・ビデオはこれとは動作が多少異なるが、デザインは似ている。Housepartyの場合、ユーザーがログインすると自動的に自分のビデオ・ルームに入り、そのことがHousepartyに登録している友達に通知される。Messengerの場合は相手を個別にビデオ・チャットに招待する必要がある(既存のグループ・チャット・スレッドからでも可能)。

Messengerの場合、ログインした人数が4人までの場合、参加者は4分割された画面に同時に表示される(Housepartyの場合は8人)。4人から6人の場合、Messengerの表示はギャラリー・フォーマットに代わり、現在話しているメンバーが大きく表示される。他のメンバーは小さいサムネールで画面下部に表示される。ビデオ・チャットが可能なのは最初の6人までで、以降50人までの参加者は音声とスタンプなど従来のMessengerの方式で参加できる(ビデオ機能は利用できず、ギャラリーにも表示されない)。

グループ・ビデオのサポートでMessengerはますますフル機能のコミュニケーション・ツールとして機能するようになってきた。「オンライン中(Active Now)」などの機能と合わせてMessengerの方が次第にリアルタイム・ソーシャル・ネットワークの役割を果たし、Facebook本体は既存のコンテンツの拡散や消費に特化するようになるのかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、コメントのチャットウィンドウ表示をテスト中

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Facebookのコメントは時としてチャット状態になる。そこでFacebookは対応策を考えた。一部のユーザーのところでは、デスクトップ版Facebookでコメントスレッドがチャットウィンドウとして常時表示されるようになった。メッセージアプリでよく見られる形式だ。

TechCrunch読者のRussell Smithがこのスクリーンショットを送ってくれた。Facebookは、少数のユーザーでこの新機能をテストしていることを認めた。

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Facebookのコメントが、メッセージのスレッド形式で表示されているところのスクリーンショット。名前と顔のぼかしはTechCrunchによる。

Facebookの広報担当者から以下のコメントが寄せられた:

「ニュースフィードを見ながら、会話に参加しやすくする方法が欲しいという要望をユーザーから受けている。そこで、自分の投稿にコメントが付いたり、コメントに返信やタグが付けられたときに、別ウィンドウがポップアップする新機能をテストしている。会話ウィンドウは投稿のドロップダウンメニューから、いつでも非表示にできる。

新たなポップアップがうるさくなりすぎないように、以前コメントしたスレッドに誰かがコメントを付けただけの場合は、コメントウィンドウが最小化表示され画面を占有しない。それでも、ニュースフィードの閲覧に専念したい人はうるさく感じるかもしれない。

一方で、この巧みなグロースハックによって、Facebookのライブ感が増しユーザーを引き付けるる効果が期待できる。チャットウィンドウなら次々とコメントしやすいので、その結果通知を送られた同じスレッドにいる友達も誘われてやってくる。この機能を使えばSMS等のメッセージングアプリを使っていないユーザーでも、Facebook Messengerと同じ形式の会話が可能になるため、チャット分野でのFacebookのポシションが強化されるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

トップシェアであるからこそ、プラットフォームになり得る──LINE舛田氏が語ったグローバル戦略

LINE取締役CSMOの舛田淳氏

LINE取締役CSMOの舛田淳氏

11月17日から18日にかけて開催されたスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2016」。ここでは2日目のセッション「日米同時上場のLINE、その次の挑戦」の様子をレポートする。このセッションに登壇したLINE取締役CSMOの舛田淳氏は、米TechCrunch記者のHaje Jan Kampsとの質疑を通じてLINEのグローバル戦略について熱く語った。

まずLINEと他のメッセンジャーアプリの違いについて。舛田氏によれば、LINEは日常的なコミュニケーションに徹底的にこだわってきたという。「日常生活で会ったことのある、プライベートな関係。そんな人達を友だちリストに並べて、その中だけでコミュニケーションを取る。そんなリアルグラフに徹底的にこだわったのが開発当初のLINEの差別化のポイント」(舛田氏)

ユーザー数の伸びに意味はない

LINEは、日本や台湾・タイ・インドネシアなどアジア圏を中心に、2016年9月末時点で2億2000万人のMAU(月間アクティブユーザー数)を抱えている。一方で2016年6月末に比べるとほぼ横ばいと、ここにきて伸び悩んでいるのも事実だ。舛田氏は、グローバル全体のユーザー数の伸びについて、本質的な意味はないと切り捨てる。

「LINEが誕生した2011年から2013年頃まで、我々は『どこまでいけるんだろう』と考えていた。日本発のサービスが海を超え、アジアや欧州でどんどん普及していった。ユーザー数が毎週伸びていくなかで、世界中に足を運んで、現地のパートナーと手を結び、現地のコンテンツを調達してきた」

「ただある時、全体としてのユーザー数の伸びに本質的な意味はないことに気づいた。毎週毎週ユーザーは増えるが、全体的にユーザーが増えることには意味がない。これ(MAU)が3億になっても4億になっても5億になっても、我々の思い描いているLINEというサービスを成功させるためには、意味がないとわかった」

トップシェアである必要がある

米TechCrunch記者のHaje Jan Kamps

米TechCrunch記者のHaje Jan Kamps

「我々のサービスは、その国々においてトップシェアでなければならない。トップシェアであるからこそ、プラットフォームとなり、その先の事業がうまれる。当時を振り返ると、LINEは多くの国で使われていたが、シェアが3位・4位という国が山ほど出てきた。短期的な投資家の観点では、例えば我々がバイアウトを考えていた場合では、ある種の評価がされるのかもしれない。ただ、私達は私達のサービスを戦略的に成長させていきたいという思いがあり、戦略を切り替えた」

「もちろんグーグルやFacebookのように、世界中で使われるサービスもある。しかし、全てがグローバルなサービスになってはいない。日本のApp Storeのランキングを見ても、決してグローバルプレイヤーだけが並んでいるわけでもない。グローバルプレイヤーが勝っていないケースはたくさんある。LINEはまさにその中の1つ」

「ネクストグローバル」はローカルに

「それぞれの国やローカルエリアによって、ユーザーのニーズは違う。(世界で)画一的なサービスを提供しようというのが、少し前のインターネットの形。ローカルから始まってグローバルになったが、『ネクストグローバル』はローカルになった。そこで文化がきちんと意識されて、慣習に合ったユーザーの行動パターンが求められている。そこにうまく最適化したところが、ユーザーを掴むのだと思う」

「我々のグローバル戦略というのは、きちんと1個1個、日本をやって台湾をやってタイをやって、次はインドネシアだと。アジアのマーケットが我々の挑戦すべきフィールドで、そこを押さえることに今は注力している。つまり(各国の)ローカルのユーザーに愛していただくことが、我々の成長に繋がる、結果としてグローバルにチャレンジできるという考え方。2014年後半から4か国に焦点を絞り、アジアフォーカスとして戦略を動かしている」

「(日本できちんとしたポジションがあるから海外に出ていきやすいというのは)あまり関係ないと思う。日本で考えたことをそのままやるというスタンスでは決して無い。日本で作ったものは当然あるが、やはり現地のスタッフが最前線でその国の人達と触れ合い、そこで生まれるアイデアを吸収して、そこで事業を行う。我々の考え方は、その国その国で最も愛されるサービスを作ることだ」

プラットフォーム化に先行してチャレンジしてきた

インドネシアはLINEがフォーカスする地域の1つだ。しかし、BlackBerry Messengerが同国のメッセンジャーアプリのシェア1位を獲得。LINEは2位と後塵を拝している。その点について舛田氏はこう語る。

「インドネシアではBlackBerry Messengerが強い。これはメッセンジャー業界のミステリーだ。とはいえ、ユーザーの属性を見てみると、若いユーザーはBlackBerryではないものをアクティブに使っている。それがLINEだ。そこではニュースが読めたり、ゲームも楽しめる。メッセンジャーだけでなく、メッセンジャーをアクティブにするためのコンテンツやサービスがあったりする」

「バラバラなサービスではなく、例えばニュースを読もうとすると、メッセンジャーを必ず通過する。LINEが持っているメッセンジャーのユーザー体験、それによって我々はインドネシアに注力するのが遅かったにもかかわらず、シェアを2位にまで伸ばすことができた」

「今はスマートフォンを1人1台持ち始めているし、アプリケーションも使われている。ただ調査によれば、スマートフォンで日常的に使われているアプリは10個もない。これは世界中で同じ。世に出ている90%以上のアプリはゾンビ化していて、作っても使われない」

「その代わりにメッセンジャーがそのプラットフォームになってきている。今までOSが担っていたサービスのプラットフォームを担っていたが、今やメッセンジャーが最もユーザーを集めるゲートウェイになり、擬似的なOSとして振る舞い始めている。WeChatもFacebook Messengerもやろうとしている、メッセンジャーの可能性。そこへLINEは先行してチャレンジしてきた」

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Facebook、Messenger最新版で広告メッセージの利用を一般企業に公開

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本体であるソーシャル・ネットワークのFacebookとは独立にリアルタイムのコミュニケーション・チャンネルとしてMessengerが着実にユーザーを増やしている。今日(米国時間11/8)、FacebookはMessengerの新バージョンを発表した。これによりデベロッパーにとってMessengerを利用してコンテンツを拡散するためのツールが増えた。同時にFacebookとしてはMessengerに対して広告主からのトラフィックが増えることを期待しているようだ。

Facebookによれば、今日のアップデートで発表されたMessenger v1.3では、「スポンサー・メッセージ」が利用可能になるという。ほとんどすべてのFacebook広告主はMessengerプラットフォームを通じてユーザーに広告メッセージを送信できるようになる。TechCrunchでは6ヶ月前の記事でFacebookが一部のブランドとユーザーを対象にMessenger広告のテストを始めたことを紹介した。

今回のニュースは、ポルトガルのリスボンで開催中のWeb SummitカンファレンスでMessengerのプロダクト担当副社長, David Marcusがステージ上で発表したものだ。これは興味あるタイミングだった。直前にFacebook本体と傘下のサービスであるWhatsApp間でデータを共有する計画を当面停止することが発表されたばかりだった。Facookがこのような決定を行ったのはイギリスとデータ保護団体、ICOからの要請があったためだという。

WhatsAppとFacebook間のデータ共有についてはEUレベルでも批判がある。また多くのユーザーも不満を募らせている。というのもFacebookがWhatsAppを190億ドルで買収したときに、双方のサービスのユーザーを安心させるべく、両社はまったく独立した事業体として運営されると繰り返し約束していたからだ。

しかしこれは話が脱線したようだ。今年4月にFacebookの広告メッセージの実験について書いたとき、われわれはMessengerのユーザーは(通例)特定の友達からのメッセージのみ受信することを予期しているのに、未承諾で広告メッセージが送りつけられるようなことがあればユーザー体験を低下させる危険性があると指摘した。

Facebookではこの危険を避けるためユーザーにある程度の「オプション」を与えるようだ。当面、企業はユーザーに無差別にメッセージを送ることはできない。すでに企業の運営するスレッド内にいる相手にしか送信できない。ユーザーが過去に企業スレッド内に入ったことがあり、そのことを忘れているのに企業側から突然広告メッセージが送りつけられるというような場合も考えられる。こういうときユーザーはそのメッセージないし送り主をブロックすることができる。私はこのブロックの有効期間などの詳細をFacebookに問い合わせているので、情報が得られたらこの記事をアップデートするつもりだ。

さて企業はそもそもこの新ツールをどのように利用できるのだろうか? これにはいくつかの方法がある。企業が提供するボットをユーザーが利用した場合、ユーザーがすでに何らかのサブスクリプション契約に加入していた場合のアップデート、あるいはユーザーがニュースフィード広告になんらかの反応を示した場合などが考えられる。これにはユーザーがクリックすると企業にメッセージが送られる各種の場合が含まれる。こうした機能は広告のボス、Andrew “Boz” Bosworthが昨年9月のTechCrunch Disruptで紹介したものだ。今日、Marcusはこの仕組が一般広告主からも利用できるようになったことを明かした。Facebookによれば、ベータテスターにはAbsolut
Vodka、Tommy Hilfiger、Activisionなどの各社が含まれるという。

ニュースフィード広告をクリックないしタップしたときにMessengerにリンクさせることができるというのは興味ある仕組みだ。ユーザーがニュースフィード広告に関心を持ったとき、ユーザーはFacebookを離れて企業サイトにジャンプするのではなく、Facebook内に留まったままMessengerで企業との会話を続けることができるわけだ。このとき企業側で対応するのは人工知能を利用した何らかのボットになる場合が多いだろう。

今日、Facebookはこの他に、v1.3プラットフォームのボット関係のいくつかのアップデートを発表した【原文参照】。

取材中…

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

FacebookがMessenger上で遊べる「Instant Game」をテスト中

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Facecookは、Facebook Messenger用の”Instant Game”プラットフォームのローンチを予定しており、今後ユーザーはMessengerアプリ上で友だちとカジュアルゲームで遊べるようになる。TechCrunahは、キャンディークラッシュの開発元であるKing.comが、”Shuffle Cats Mini”と呼ばれるInstant Gameのひとつのテストをニュージーランドで既に開始していることを突き止めた。どうやらBig Vikingなど他のディベロッパーも、Instant Gameのローンチに向けて準備を進めているようだ。

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King.comのInstant Game “Shuffle Cats Mini”のFacebookページ

これまでFacebookは、AppleのiOSやGoogleのAndroidによって、ネイティブモバイルゲームの世界からは締め出されてしまっていた。しかし、Messengerをモバイルアプリのポータルとして利用してそこにゲームを盛り込むことで、Facebookは新たなプラットフォームをつくり出し、Messengerアプリにユーザーを引き付けることができるかもしれない。これが実現すれば、ユーザーはInstant Gameで遊ぶためにMessengerを利用し、友人との対戦もMessenger経由で行うことになる上、もしかしたらFacebookはゲーム内課金の売上の一部を手数料としてとることができるかもしれない。なお、Facebookは本件に関するコメントを発表していない。

本日のThe Informationの報道によれば、Facebookはユーザー同士が順番にプレイでき、必ずしも同時にゲームを開いている必要のないような非同期型ゲームのためのプラットフォームを開発している。Instant Gameは、チェスやバスケットボールサッカーといったFacebookが今年に入ってからMessenger向けに自社開発したミニゲームを、サードパーティも開発に参加できるように発展させたようなものだ。Facebookは開発キットか開発ツールを今月後半にもリリースするらしいが、ディベロッパーがゲーム内課金できるかについてはまだ分かっていない。

最初のInstant Game

The Informationはさらに、開発元となるスタジオの名前は明らかにしていないものの、Facebookが既にInstant Gmaeのテストをひそかにはじめたと報じている。TechCrunchでは、カジュアルゲームの大手King.comがShuffle Cats Miniと呼ばれるゲームのFacebookページ(注:既に同ページは閉鎖済み)を既に公開しているのを発見し、その説明には「Kingが開発した、カード投げがプレイできる洗練されたInstant Game」と記載されている。

Facebookページ上では、ニュージーランドなどいくつかの地域のユーザーをターゲットとしてゲームが宣伝されているが、アメリカで携帯電話から読み込もうとするとエラーメッセージが表示される。どうやらShuffle Cats Miniは一部がウェブ上で読み込まれるようになっており、小さな射的場で標的に向かってカードを投げるゲームであることが分かっている。しかし、ゲームをクリアしたり、友だちとスコアを共有して競い合うような遊び方はできないようで、これはMessengerのバスケットボールやサッカーゲームの仕組みと同じだ。

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Shuffle Cats Miniは限られた地域でしかプレイできないが、この画像からゲームの様子を確認できる。

もう少し調べてみたところ、先週始めのVentureBeatの情報を発見し、そこにはBig Vinkingというスタートアップが、「HTML5でできたどこでも遊べるゲーム」を開発するために2100万ドル以上を調達したと書かれている。

そこで私がBig Viking CEOのAlbert Laiに、同社のプランについて尋ねたところ、彼は「HTML5のテクノロジーを使えば、ボットが搭載されたメッセンジャープラットフォームを含み、基本的にどんな環境にも私たちのゲームを組み込むことができます。つまり、ユーザーはどんなメッセンジャープラットフォーム上でも、私たちのゲームで遊ぶことができるんです。これによって流通システムの力関係が大きく変わり、メッセンジャーさえあれば私たちは即座にゲームを配信できるようになります」と答えた。

しかし、私がBig VikingのゲームがFacebookのInstant Gameとしてリリースされるのか聞いたところ、急に彼は口を閉ざし「Facebook関連の業務についてはお話できません」としか答えなかった。これを見ると、Facebookは緘口令を敷いているようだ。

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galatron

メッセージアプリのKik上では、チャットボットを通じてGalatronVSが配信されており、ここからFacebook Messenger上でInstant Gameがどのような動作をするかについてのヒントが得られるかもしれない。

Big Vikingのウェブサイト上では、メッセージ機能付きの、宇宙を舞台にした縦スクロールシューティングゲームGalatron VSのお試し版が公開されている。ゲーム内では、コンピューターが操作するキャラクターからメッセージ機能を通じて、スコア目標1万ポイントといったチャレンジ内容が送られてくるようになっている。

このゲームは既にメッセージアプリKik上のゲームストアで配信されている。プレイヤーは、まずボットとのチャットを通じて”Galatron宇宙学校”に招かれ、ちょっとしたやりとりの後に、HTML5のゲームへのリンクが含まれたメッセージを受け取る。トーナメントモードでは、プレイヤーの機体のそばに他のプレイヤーの”ゴースト”が表示されるようになっており、これはInstant Gameの非同期型というアイディアに合致する。例えば、友だちがFacebook Messenger上でGalatron VSをプレイした後に対戦を挑んできた場合、プレイヤーは友だちの機体のゴーストを自分がプレイしているときに確認することができる。

Galatronのグラフィックはシャープで操作性もよく、特にHTML5ゲームとしては良くできている。そしてこのゲームから、HTML5の技術が、モバイルウェブがネイティブモバイルゲームと戦えるくらいの水準にようやく達しようとしていることが分かる。

Facebook Gamesの再来

昔々2009年頃に、FacebookはZyngaやEAなどのディベロッパーと組んで、デスクトップサイト用のゲームプラットフォームを開発し、このプラットフォームは大反響を呼んだ。しかし、Facebookはユーザーのモバイルプラットフォームへの移行についていくことができなかった。その結果、iOSとAndroidがモバイル・ソーシャルゲームの主要プラットフォームとなり、Facebookはゲーム内課金に対する30%の手数料の徴収も取りやめた。

さらに2011年にFacebookは、Project Spartanというコードネームが付けられたHTML5ゲーミングプラットフォームの開発に着手した。しかし、当時はHTML5がまだそこまで普及しておらず、ディベロッパーはパフォーマンスリミットをどのように越えればいいかというのを分かっていなかった。ゲームスタジオも、iOSやAndroidのネイティブゲームに対抗できるようなゲームをHTML5で作ることができず、結局この計画は失敗に終わってしまった。

Project Spartan

Facebookが2011年に着手した、Project Spartanと呼ばれるHTML5ゲーミングプラットフォームの計画は失敗に終わり、同プラットフォームは閉鎖されてしまった。

Facebookのデスクトップ時代が終りを迎えた2012年の第4クォーターに、同社は10億6000万人のユーザーから、ゲームを中心に2億5600万ドルの収益を上げていた。その後Facebookのユーザー数は17億9000万人に増加したが、ユーザーからの収益は1億9600万ドルに落ち込んだ。

しかし現在Facebookは再度ゲームに挑戦しようとしており、今週にはFacebook Gameroomが正式に発表された。これはデスクトップPC向けのゲーミングプラットフォームで、Steamのカジュアルゲーム版のようなものだ。そのかたわら、Facebookはモバイルの分野でも攻勢に出ようとしている。

いつでも遊べてライトユーザーが操作しやすく、しかもソーシャル

Instant Gameは、Facebookの何年にも及ぶ土台作りの集大成だ。同社が2015年4月に、ユーティリティアプリやさまざまなコンテンツのためのMessengerプラットフォームをローンチした後、Doodle Drawというちゃんとしたゲームが登場したが、このゲームがユーザーの人気を集めることはなかった。そして今年の4月には、ボット用のプラットフォームもリリースされた。どちらのプラットフォームも、Uberを利用した配車や写真編集から、ニュースの購読や買い物まで、ユーザーがMessenger上でチャット以外のことができるようにするためにデザインされていた。

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今年Facebookが公開した、自社開発のMessengerゲームのプロトタイプは大人気だった。

ゲーム機能は、当然Facebookのソーシャルグラフを利用することになり、さらには今後Messengerの可能性を広げていくかもしれない。複雑なものも多いネイティブモバイルゲームに比べ、Shuffle Cats MiniやGalatron VSのようなHTML5で出来た簡単なゲームが優れているのは、ゲームの経験があまりない人でもほとんど操作説明なしで、空いた時間にすぐプレイできるというところだ。このおかげでHTML5のカジュアルゲームは、どこでも遊べて、一般ユーザー層もとっつきやすく、結果としてバイラルに普及する可能性を持っている。

反対に、ひとりでプレイしているとすぐに飽きてしまうということが、カジュアルゲームの欠点として挙げられるが、その対策として、FacebookのInstant Gameは友だちと一緒に遊べるようになっている。ひとりで延々とカードを投げたり、小さな宇宙船で敵を撃ち落としたりしたいと思う人はそんなにいないかもしれないが、仲の良い友だちが出した新しいハイスコアを破るためなら、ユーザーは何度もFacebook Messengerに戻ってくるかもしれない。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

外国人宿泊客向けのチャットコンシェルジュ「Bebot」開発のビースポークが資金調達

ビースポークCEOの綱川明美氏

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訪日外国人向けの旅行サービスを手がける株式会社ビースポークは、アーキタイプベンチャーファンドを引受先とする第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達額は非公開だが、前回の調達(2000万円)を大きく上回るとしている。この調達資金をもとに、10月末にサービスを開始するインバウンド向けのチャットコンシェルジュ型サービス「Bebot」の開発を強化する。

ビースポークは2015年10月に設立。同年12月にはエンジェル投資家(非公開)から約2000万円を調達し、2016年4月には日本の穴場を紹介する訪日外国人向けサイト「LEVERT」を公開している。なお現時点では黒字化しておらず、本格的なマネタイズに向けた取り組みとして今年6月から、訪日外国人向けのチャットコンシェルジュ型サービスBebotの開発に取り組んでいる。

Bebotは、チャットボットを活用し、ホテルや民泊施設で人的リソースを使わずに24時間外国人宿泊客への対応を可能とするソリューションだ。背景には、インバウンドの増加でホテル従業員の多言語対応が求められている事情がある。ビースポークCEOの綱川明美氏は「英語ができる人は韓国語ができず、韓国語ができる人は中国語ができない」と説明する。つまり、従業員の多言語対応には人を多く雇う必要があり、Bebotでは従業員の代わりにチャットボットを活用するというわけだ。

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具体的なサービス内容はこうだ。外国人宿泊客がホテルにチェックインすると、ルームキーとともにBebotのアクセスコードが発行される。BebotはチャットサービスのFacebook MessengerおよびSlackで利用できる。宿泊客は「Wi-Fiのパスワードは?」「鍵の場所は?」「おすすめの観光地は?」「六本木周辺でおすすめのバーは?」といった質問を自身が使い慣れたチャットで行える。綱川氏によれば「まるで日本に詳しいコンシェルジュが同伴しているような安心感」を訪日外国人に与えられるといい、また、宿泊客の施設外での行動データを可視化できる点も大きな売りだとしている。

マネタイズは、外国人宿泊客1人につき数ドル程度のコンシェルジュ料をホテルや民泊業者から徴収する。10月末にサービス開始予定だが、すでに複数のホテルチェーンと契約。都内の宿泊施設におけるインバウンド率は高い場所で80%台、低い場所でも30%台だといい、収益が期待できるという。なお、あくまでもホテル向けのソリューションとして展開し、ビースポークが直接一般ユーザーへ提供することは想定していない。

Bebotに類似するサービスとしては、訪日観光客にチャットで情報を提供する「FAST JAPAN」がある。しかし、FAST JAPANが一般ユーザー向けにサービスを提供するのに対し、Bebotはホテル・民泊事業者向けのソリューションとして提供する点で違いがあるという。

使い慣れたチャットサービスを使ってさまざまな質問が行える

使い慣れたチャットで宿泊施設や観光に関して質問できる

起業のきっかけは一人旅

ビースポークCEOの綱川明美氏は、もともとフィデリティ投信で機関投資家向けの商品開発に携わり、次にデロイトで国内大手金融機関の海外進出支援を担当。その後マッコーリーで機関投資家向けの日本株営業を行うなど、投資銀行でキャリアを積んできた。

ビースポークCEOの綱川明美氏

ビースポークCEOの綱川明美氏

綱川氏もともと起業に興味はなかったが、趣味で一人旅をするうちに、Bebotの着想を得たと話す。「旅行先で現地に知り合いがいれば体験に差があるんです。1人じゃ辿り着けない場所にも連れて行ってくれます。誰も居なくても友だちがいるような体験をどうやって味わえるか… ということで、Bebotを思いつきました」(綱川氏)。起業の際には投資銀行での経験が特に資金調達面で役立ったという。

ビースポークは、今回調達した資金を元手にBebotの開発および販売を強化。10月末のサービス開始時点では英語のみだが、年内に複数言語に対応。さらに飲食店やタクシーの予約機能も順次追加していくという。

Facebook チャットボット経由の支払サポートへ―Messenger Platform v1.2発表

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TechCrunch Disrupt SF 2016カンファレンスに登壇したFacebook Messengerの責任者、David Marcusが大きな発表をした。FacebookはこれまでMessengerボットの機能の最大の穴だとされていた部分を埋めた。ユーザーを他のサービスに送り出すことなく、Messengerボットは内部で支払処理が可能になるという。

デベロッパーは商品購入が可能なボットの開発において、ユーザーがすでにFacebook本体ないしMessengerに登録してあったのクレジットカード情報をその場で利用できるようになる。Messengerでのこうしたボット開発は限定的なベータテスト中だが、デベロッパーはFacebookに参加を申し込むことができる。

Marcusは4月にスタートしたこのプログラムに3万4000のデベロッパーが参加し、3万のボットが開発されたことを明らかにした。5月にはデベロッパーが1万、7月には開発されたボットの数が1万1000だった。

Messengerを利用した支払を助けるため、Marcusによれば、FacebookはStripe、PayPal、Braintree、Visa、MasterCard、American Expressを始め、支払サービス業界における主要なプレイヤーすべてと協力して作業中だという。

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Disrutpでの壇上インタビューでMarcusはMessengerのユーザーが10億人に達したと述べた。もっともこれにはFacebookのメインのアプリからMessengerを独立させ、ユーザーにこのアプリのインストールを強制した効果があるかもしれない。またMarcusとCEOのマーク・ザッカーバーグが親密な関係にあることも影響しているだろう。200ヶ国で利用されるようになったチャットボットだが、リリース当初にはつまづきもあった。

FacebookがチャットボットののプラットフォームとしてMessengerに賭けていることを証明するために、Marcusはあらゆる種類のニュースフィード広告がチャットボットを利用でき、ユーザーはボットを友達と共有できるようになることを発表した。またまたボットを経由するやり取りがすべて文字列である必要はない。デベロッパーは自らのウェブサイトのページをチャットボットのインターフェイスに組み込むことができる。たとえば、フライト情報を表示してスクロールさせる、各種のメディアのコンテンツを見る、あるいはチャットのウィンドウを離れずに簡単なゲームをプレイすることもできる。

これらはすべての機能は今日(米国時間9/12)ローンチされたMessenger platform v1.2に含まれている。Marcusによれば「スレッド内でデベロッパーはユーザーの身元情報が利用できるだけでなく、取引、UI、ネイティブ機能を備えたボタンなどのインターフェイスを作成することができる。われわれはこうした能力をすべてMessengerのプラットフォーム上で関連付けた」という。

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またMarcusによれば、Messengerは非常に高速にWebViewをプリフェッチすることができる。これはここ数ヶ月で行われた一般ユーザーの目に触れない部分でのパフォーマンス改善の一つだ。これによりモバイルアプリの起動時間を始めとして多数の遅延が大きく低減された。

こうしたことはすべてFacebook Messengerがボットのプラットフォームとして当初の約束を果たすために必要だったという。Marcusはチャットボット・プラットフォームがスタートした当初は実際の機能が約束に追いついていない部分があったことを認めた。

「問題はあまりにも〔Messengerチャットボットの〕評判が先行しすぎたことだろう。あっという間にそうなってしまった。スタート時点でわれわれが提供したのは基本的な機能であり、これは日々利用されている従来のアプリを全面的に置き換えるレベルまで機能もインターフェイスも成熟していなかった」とMarcusは認めた。

またデベロッパー向け公開から一般ユーザー向けの本番スタートまでに十分な時間がなく、デベロッパーはチャットボットを成熟させる時間もリソースも不足気味だった。当初のユーザーの多くは従来のモバイルアプリやブラウザ内サービスと比べて、新しいボットはさして優れていない(それどころかはるかに劣る場合も多々ある)と感じた。

私はMarcusにデベロッパーがチャットボットの機能などの技術的詳細を教えられてから本番公開までにどれほどの余裕があったのか尋ねた。.「2、3週間」というのがその返事だった。「それは高品質なボットを開発するのに十分な時間だったと思うか?」とさらに尋ねられてMarcusは「たぶん〔時間は〕足りなかっただろう」と認めた。

しかしMarcusはMessengerボットのようなプラットフォームをリリースする際の困難を説明した。「実際そう簡単ではない。 時間がかかる。F8カンファレンスでわれわれが望んだのはデベロッパーが自身で独自のボットを開発するにせよサードパーティーのための開発を行うにせよ、3万4000人のデベロッパーすべてをプラットフォームに参加させることだった」。

その結果一部のボット―ニュース提供に目的を絞ったボットなど―は出来栄えがよかった。しかし他の分野のボットには完璧な体験の提供に遠い状態となった。

しかしWwebViewと支払機能の追加で、たとえばフライトとホテル予約のHipmunkの使い方は大きく変わるかもしれない。ユーザーはMessengerボット内で目的に合致したフライトを探しし、チケットやホテルを予約し、それらの支払を済ませるだけでなく、旅行日程を作成することもできるようになるだろう。

新機能の追加と同時に、デベロッパーはボット開発にあたっての基準を受け取ることになる。Marcusによれば、FacebookはデベロッパーがMessengerプラットフォームを利用して優れたユーザー体験を得るためのガイドラインも提供するという。


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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook Messengerでチャットしながらビデオを送れる

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FacebookにまたひとつSnapchatそっくりの機能が登場した。

Messengerはもちろん以前からビデオ通話をサポートしている。ただしFacebookも認めるとおり、ユーザーは何か特別の場合以外、ビデオ通話をあまり使っていない。そこでFacebookはMessengerのビデオにあらたなオプションを付け加えた。Messengerアプリのテキスト・チャットのタブ内からビデオ共有ができる機能だ。

新機能についてFacebookはこう説明している(デフォールトで音声がオフなのはSnapchatのユーザーにはお馴染み)。

あなたが友達にリアルタイムビデオを見せたい場合、使い方は次のとおり。iOS、Androidいずれの場合でもあなたたと友達、双方のMessengerが最新版だと確かめる。双方がMessengerのチャットの画面を開く。画面上部右側のビデオ・アイコンタップすると友達とリアルタイムのビデオの共有が開始される。音声はデフォールトではオフになっている。これは友達にある情景を見せたいだけで、音声は必要ない場合が多いためだ。しかし簡単に音声をオンにできる。ビデオはチャット画面の上部に表示される。ビデオを見ながら通常どおりテキストでチャットを続けることができる。友達はこのストリームを見ることができる。また必要に応じて友達からもビデオを送ってくることができる。

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この夏、Facebookはこれ以外にも多数の機能を追加している。

Snapchatそっくりと評されたInstagramのStory機能,や、 lティーンエージャーのみ対象のビデオ・アプリビジネス向けWhatsAppの準備FacebookのユーザーデータのWhatsAppでの利用などが記憶に新しい。またFacebook Liveのビデオ機能では複数地点のユーザーがビデオを公開する機能長時間連続ビデオ広告の挿入MSQRDの買収による自画撮りフィルターなどが新たにサポートされた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ボットで満ちた未来における人間の役割

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しかし、ボットが究極の利便性を提供するこのような近未来の世界でも、人間の助けはまだ必要とされるのだろうか?

FacebookのCEOマーク・ザッカーバーグは、最新のF8カンファレンスで、将来の商取引きにおけるボットの位置付けに関して大胆な発表を行った。(無料ダイヤル)1-800-Flowersを例として使い、将来販売プロセスにボットチャットが統合されることにより、顧客が実際に1-800-Flowersをダイヤルして人間に話をする必要はなくなると主張したのだ。理論的には、ボットのサポートをチャットで使用することにより、売り手と買い手のやり取りを簡単に済ませ、消費者をセールスに引き寄せることが可能になる。顧客は電話でのやり取りよりもチャットの方をはるかに好む、というザッカーバーグの主張は正しいかもしれないが、とはいえその好みがロボットとのチャットであるという結論に飛びつく必要はないだろう。

これまでもずっとそうであったように、人間とのやり取りこそが、高品質の顧客体験には不可欠だからだ。Facebookもこの考えを支援していて、チャットの最中にボットから人間への切り替えの支援を行ういくつもの会社と提携している。FacebookのCOO、シェリル・サンドバーグは「…単純に言って、私たちはボットが販売プロセスで人間を置き換えることができることを、実際に想像させ得るような技術を持っていないのです」と公の場で述べている。

では、ボットが支配する未来における人間の役割とは何だろう?

カスタマーサービスに電話をするたびに自動応答の声(IVR)を聞かされて感じたフラストレーションを覚えているだろうか?ボットチャットはこれと同じ立ち位置だ。そしてもし毎回ボットが失敗したらどうなるかを想像して欲しい、結局実際の生きている顧客サービス担当者と話すことになる − 振り出しに戻る、というわけだ。

私たちはこの先、ボット技術の指数関数的な広がりを目にすることになる。しかし顧客との良い関係を保つための人的資本の確保は避けられず必須である。

人工知能が長い道のりを歩んできたことは間違いないが、そこで達成された進歩にもかかわらず、チューリングテストをあらゆる点で満足するボットの実現からは程遠い。ボットは、人間との会話のかなりの部分を扱うことができるものの、間違いなく混乱したり失敗する場合がある(特にあるトピック/領域から別のものに切り替える場合に)。こうした状況では、取引を完了させるために、ボットから人間への引き継ぎが行われる。

現在話題が盛り上がっているものの、ボットは新しいものではない。AOL Instant Messengerが大流行した1990年代後半に、私はSmarterChildとチャットしたことを覚えている。SmarterChildの中核は本質的には初期バージョンのボットだった。学校や生活、そしてスポーツについて、まるで実際の友達と行うようなチャットを行うことができた。SmarterChildは(ほとんどの時間)素晴らしい仕事を果たして、とても洗練されているように見えていた。しかし、公平のために述べれば、チャットの大半は12歳の子供達の側が主導していたのだ。

なので、現在本当に問うべきは、ボットは真に未来を形作るものなのか、あるいは私たちが幼かった頃にあったものと同様の誇大宣伝に終わるものなのかである。

この問いに答えるためには、ボットの背後にある技術を理解することが重要だ。過去20年間で私たちはコンピュータ技術とソフトウェア開発に驚くべき進化と進歩を見てきたが、ボット技術は基本的には2つのカテゴリに分類される、シンプルなロジックツリー(SLT)に基づくものと、自然言語処理(NLP)または機械学習(ML)に依存しているものだ。

SLTに基づくボットは、情報を収集し利用者へと戻すために、旧来のロジックツリーを利用している。例えば、保険ボットは理想的なプランを決定するために、あなたにいくつかの質問を投げかける。もしあなたの答えが、ボットが予想していたものと一致した場合には、そこで得られる経験は引っかかりのないシームレスなものになるだろう。しかし、もしあなたの答が、ボットデータベースの中にあらかじめ予想され保存されているものと異なるものだった場合には、おそらくそこで行き詰まりになってしまうことだろう。もし運が良ければ、用件を完了させるために、その先は人間へと引き継がれることになるだろう。しかし、もしそうでなければボット地獄へ落ちて終わりだ。現在ほとんどのボット技術がSLTに依存している。

NLPとMLボットの場合には、特定の質問に対する直接の回答を必要とするのではなく、利用者からの入力に含まれるキーワードやフレーズをピックアップして、より話し上手な者のように振る舞うことが意図されている。理論的には、このボットカテゴリは良い選択肢のように聞こえる。このタイプのボットの例としては、AppleのSiriとAmazonのAlexaが挙げられる。

天気について答えたり冗談を言うような単純な仕事をSiriとAlexaはうまくこなしているが、複雑や機能や長い命令に対応するためには、まだ長い道のりを歩まなければならない。

相手をしているボットがSLTであろうとNLPであろうと、最後は実際の人間と話をする必要性がある状況に落ち着く可能性は高い。SLTのボットは多くの場合、私たちが現在の技術から期待するような複雑さを備えていない。一方、NLPまたはMLボットに必要な技術に関しても完全に利用することはできていない。

実際の人間による対応の価値は、とても重要なものとなり得る。

幸いなことに、顧客は実際の人間とのやりとりの効率性を好んでいる。最近は、長くてフォーマルな会話スタイルからは離れる傾向にあるものの、顧客はサービスに対する同様の品質をチャット(それが人間でもボットでも)にも求めているのだ。実際、アメリカン・エキスプレスによる最近の研究では顧客の78%が、低品質なサービス体験のおかげで、取引を諦めたり望み通りの買い物をできていなかったりしている。同じ研究はまた、実在の人物に話すことができなかったとき、顧客の67パーセントがフラストレーションから電話を切っていることを示している。それらのほとんどの場合、顧客はボットとの会話に耐えることを強いられていた。

日々の取引に私たちがボット技術を採用しようとする場合、おそらく業界には2段階の移行過程を見ることになるだろう。最初の段階は、ボットが扱えないものを全て実際の人間へと引き継ぐ、とても人間対話重視のものである。貧弱な顧客体験の危険性は、トップブランドにとっては単純に受け入れがたいものである。よってボットが扱えなくなった時に引き継がれる顧客コールセンターを充実させることは現実的な解である。

そして次の段階として、いつかはMLならびにNLPがボットをより知的にして、失敗率を極小にする時が訪れることは確実だと思われる。そうなったときに、取引の大部分がボットチャネルを通して行われると考えることは夢物語ではない。ボットチャネルが単独で成り立つのだろうか、そうではなくそれらが既存のチャネル状況に統合されるのだろうか?もしそれらが単独で成立するならば、他のチャネルには何が起きるのだろう?

優先される顧客対応がブランドのウェブサイトを離れ、Facebookメッセンジャーなどのボットチャネルに流れていくシナリオでは、規模に対する疑問も出されている。たとえボットの失敗率が低かったとしても、人間による対応は増えることが予想される、なぜなら取引量そのものの膨大な増加が予想されるからだ。

私たちはこの先、ボット技術の指数関数的な広がりを目にすることになる。しかし顧客との良い関係を保つための人的資本の確保は避けられず必須である。顧客の生涯価値と製品のマージンに応じて、実際の人間による対応の価値は、とても重要なものとなり得る。

より自動化された未来のための備えとして、私たちは物事を進める際の人間の役割について忘れないことが肝心だ。そして「スターウォーズ/新たなる希望」でR2-D2が偉大であったことと同様に、私たちはそのボットの中に人間がいたことを忘れてはならない。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

2016年前半のモバイルを制したのはソーシャルメディアアプリ(SurveyMonkey調べ)

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SurveyMonkey Intelligenceの最新レポートで、米国のiOSおよびAndroidのアプリストアで今年最も多くダウンロードされたアプリ、および最もよく使われたアプリ(*)のトップ30が公開された。
[*月間アクティブユーザー数による]

2016年前半、Facebook、Snapchat、Instagramをはじめとするソーシャルメディアアプリがモバイルゲームを押さえて上位を占めた。

ポケモンGOが米国で公開されたのは7月6日なので、この超人気タイトルはランキングに入っていない。ダウンロード数でトップ10に入った唯一のゲームはSlither.ioだった。米国で最もよく利用されたアプリトップ30にゲームタイトルの名前はなかった。

音楽アプリは常連のPandroaとSpotifyから新参のMusial.lyまで好調な結果を見せた。

デベロッパーの善意にかかわらず、ヘルス&フィットネスアプリはダウンロード数、利用数いずれのトップ30にも入っていない。

調査結果は、最多ダウンロードアプリが最も多く利用されてないことを例によって示している。

ダウンロード数トップ5は、Messenger、Snapchat、Facebook、Instagram、およびColor Switchで、最頻利用アプリのトップ5は、Facebook、YouTube、Messenger、Google Maps、およびPlay Storeだった。

最頻利用ランキングで、Facebook、Apple、Googleのいずれにも属さないアプリを見つけるためには、13位のSnapchatまで下らなくてはならない。

「最頻利用アプリの40%はオペレーティングシステムに組み込まれており、AndroidとiOSがGoogleとAppleにとっていかに重要であるかを浮き彫りにすると共に、この階層の奥深くへ入り込もうとするFacebookの強い意思が垣間見られる」。

ランキングの全順位は以下の通り。

Image Credit: Survey Monkey

Image Credit: Survey Monkey

Image Credit: Survey Monkey

Image Credit: Survey Monkey

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソーシャルメディア上のビジネスコミュニケーションはチャットボットが担うこととなる

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編集部注:本校執筆はCory Edwards@coryedwards

2000年代となって、さまざまなブランドがインターネットを使った顧客および未来の顧客との対話に乗り出した。多く活用された最初のプラットフォームは「ブログ」だった。そしてFacebookやTwitterなどといった、ソーシャル・ネットワークの時代に移った。それから利用法などについては洗練された面があるにせよ、ソーシャルメディアは「人対人」のコミュニケーションツールとして発展を続けてきた。

そこに介入してきたのがロボットだ。

入り込んできたのはロボットの中でも「仮想ロボット」のことで、すなわち「チャットボット」のことだ。人工知能(AI)のパワーを身にまとい、ブランドと顧客のつながりを進化させようとしているのだ。たとえばこの方向に初期段階から踏み出した企業のひとつとしてDominoがある。Dominoは@Dominos宛にピザの絵文字をツイートすることで、ピザのオーダーができるようにした。絵文字オーダーはボットが確認して、正式なオーダーであれば注文を処理するという流れになっていた。

もう少し新しい話をすれば、Taco Bellだ。Slack上でTacoBotの運用を開始したのだった。Slack上でのチャットしたり、もちろんタコスをオーダーしたりすることができたのだ。またFacebookのF8では1-800-Flowers、CNN、あるいは小売系スタートアップのSpringなどがFacebook Messenger向けのチャットボットをリリースした。チャットボットを通じた、Facebookプラットフォーム上での新しい買い物体験やニュース体験を実現しようとする動きだ。

それぞれに面白い試みだ。こうした試みの結果、消費者にとってどのようなメリットがあるのだろうか。また、ソーシャルメディアに参加する人々の行動に何か新しい影響を与えたりするのだろうか。

ビジネスツールとしてのチャットボット

企業が利用しようとするチャットボットは、SNSを最大限に活用して、企業自身と商品ないしサービスの利用者のエンゲージメントを強めるために利用される。

消費者はチャットボットを3つの方法で利用するようになる。すなわちコンテンツ消費、カスタマーサービス、そして販売状況や取引履歴確認などだ。これまでも、ソーシャルメディアを使った顧客との対話はなされてきてはいた。しかしたいていの場合、ソーシャルメディアはあくまでも企業側のサイトやブログ、ないし特別のチャネルに誘導することが多かった。いわばソーシャルメディアを「ポータル」として使っていたわけだが、それがチャットボットを介して直接に、欲しかった情報を受け取ったり、テクニカルサポートを受けたり、あるいは何か必要なパーツを購入したりすることができるようになるのだ。

カスタマーサポートはどのように変わるのか。サポートを求めるユーザーのうち3分の1以上の人が、電話でなくソーシャル・メディアを利用しているという現状がある。また、こうした利用者は1時間以内の返答を望んでいる(逆にいえば1時間は猶予を認めるということではある)とのこと。これは企業側にとって、かなり厳しい要求だといえよう。しかしチャットボットの導入で、そうした要求にも応じられるようになる。

ソーシャルメディアでのチャットボットの活用は広がっていく

従来の自動音声応答システムなどとはまったく異なったものだ。カスタマーサービスへの要求が高まる中、必然の流れということもできるかもしれない。また、利用者自身に問題を特定して用意したメニューに従ったプッシュボタン操作を強いるのでなく、ボット側で利用者の要求や問題を把握することになる。

個々の利用者に応じた的確なサポート

パーソナライズの面にも注目しておきたい。ここに、チャットボットがSNS上で発達していくと思われる理由がある。AOLのInstant Messengerでかつて導入されたSmarterChildの時代とは異なり、ボットにできることは利用者が支持したタスクのみでなく、個々の利用者の背景をも理解した内容に広がりつつあるのだ。たとえばFacebookとチャットボットが連動することにより、ボット側で利用者がデバイスを操作する間隔や興味の対象、あるいは大切な人間関係や今後の予定なども把握できるようになる。チャットボットは位置情報やその他のコンテクストに応じた情報やレコメンデーションを行えるようになってきているのだ。

これまでも特定の層で特定の地域に住む人などに限定したコンテンツ配信などは行われてきた。しかし配信内容やタイミングを完全にパーソナライズするような方法は開発されていないのだ。それがチャットボットの導入により変化することになる。もちろん、現状のチャットボットではまだまだ実力不足ではある。使ったことのない人にはぜひ試してもらいたいと思うが、現状は更新情報をプッシュ通知してくるだけの仕組みにしか見えないという人もいるはずだ。しかしチャットボットは人間と関わることで一層進化することとなり、利用者がどのような情報を、どのようなタイミングで欲しがっているのかを理解できるようになると考えられているのだ。

「未来」への流れは止められない

ボットがチャットの世界で大活躍するようになるのは間違いのないことだと思う。ただし、さまざまな企業の公式ツールとして活躍するには、さらなる進化を必要とするのも事実だ。「コンテクスト」を理解する能力を高める必要があるだろうし、情報発信のタイミングについても改善の余地は大きい。またチャットボットとの会話方式もわかりやすくする必要がある。

現状は欠陥だらけであるとは言えるのかもしれない。しかしAI(人工知能)は経験に基づいて賢くなるものだ。ブランド側および消費者側の双方が経験を重ねることで、ツールとしてのチャットボットは発展していくことになる。方向を間違えることにはなったが、Microsoft Tayも、AIの学習能力を示すことにはなった(おかげでチャットボット導入側は、不穏当で攻撃的な言葉を身につけたりしないような仕組みを考える必要も生まれた)。

ボットの進化がはじまり、主要な役割を占めるようになるのは間違いない。ただしそれまでには3年ないし5年の時間も必要となるだろう。言い方を変えれば、まだまだ人間が活躍する場が残っているということだ。しかしボットがテキスト化された情報をより深く理解できるようになるに従い、企業側も利用者側もボットの活躍を願うようになるはずだ。ボットは仮想現実や拡張現実をも利用しながら、利用者との結びつきを深めていく方向で進化する。「人間対ロボット」の話が改めて注目されている昨今ではある。現在のところは双方が共存するのがソーシャルメディアの世界ではあるものの、この状況も変わりつつあるところだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

Facebook Messengerに新しいイースター・エッグ―サッカーのリフティング・ゲームはやみつきになる

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この3月にFacebook Messengerに隠されていたイースター・エッグ、バスケットのミニゲームを覚えているだろうか?

新しいイースター・エッグが発見された。今回はサッカー・ゲームだ。簡単にいえば、サッカーボールのリフティングで、くたびれるて止めるか失敗するまでサッカーボールを空中に保持し続けるのが目的だ。

このベームを探しだす方法はバスケットのときと同じで、絵文字を使う。

プレイの方法

  • Facebook Messengerが最新の状態にアップデートされていることを確認する
  • Messengerを開いて友達(友達グループでも可)と会話を始める
  • サッカーボールの絵文字を送信する
  • サッカーボールをタップする

ポン! これでリフティングのミニゲームを始めることができる。バスケットのときと同様、システムはスレッドで達成されたハイスコアを記録している。

私のハイスコアは18だ。これは本物のボールで私ができる回数より17回ほど多い!

(もしゲームが作動しないようなら最初に戻ってMessengerが最新の状態か確認すること。アップデートすれば動くはず)

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、チャットの制覇に急ピッチ―Android版MessengerですべてのSMSメッセージが送受信できる

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Facebookの戦略は当初から「包囲して征服せよ」だったが、SMSについても同様らしい。FacebookはこれまでSMSのユーザーをMessengerに誘導しようと努力してきたが、今後はAndroid版のFacebook Messenger内から既存のSMSが読めるようになる。

ほぼ全世界にリリースされたこのSMA機能により、SMSを使う友達を持つFacebookユーザーはFacebookとSMSアプリの間を忙しく往復せずにすむようになる。

Facebookのプロダクト・マネージャー、Andrea Vaccariは私にインタビューに対して、「Facebookの外には非常に人気の高いSMSクライアントが存在する。カスタマイズに特化して成功しているプロダクトもいくつかある(GO SMS ProやQKSMSなどはカラーテーマなどを選べる)。一方、Facebookが提供しようとしているのは使いやすさだ」と語った。

SMSのスレッドをすべて一箇所で管理できることになれば便利だ。FacebookはMessangerでSMSが使えるという能力を強調することによってSMSのユーザーをFacebookの世界に取り込もうとしている。

Facebook SMSsenger

最初にFacebookがAndroid版MessengerにSMS能力をもたせようとしたのは2012年だった。これはユーザーのデフォールトのメッセージ・アプリに着信したSMSメッセージをMessengerでも表示できるようにしたものだ。しかしあまりユーザーを集めることができず、2013年にこのサービスは停止された。この頃からFacebookの戦略はMessengerの使える場面を拡大することに集中し始めていたようだ。 2016年の2月、MessengerMessengerから利用できるSMSの新バージョンを発表した。

SMS in Messenger

今日から世界中たいていの地域でAndroid版Messengerの「設定」を開くと「SMS」の項目が現れる。ここで「標準のSMSアプリ」オプションをオンにするととMessengerですべてのSMS会話がFacebook Messengerで処理されることになる。SMSのメッセージはMessengerでは紫色に着色されたスレッドとなる(Facebook内のチャットは従来通り空色表示)。この設定を行っても、Androidデバイスの標準メッセージ・アプリを含むSMSアプリでSMSメッセージを受信し読むことはできる。ただしメッセージの送信はMessengerからのみ可能となる。料金がかかる場合は従来通り。

SMSの受信側については従来通りで何も変更はない。すべてのプラットフォームのユーザーがSMSを受信でき、それがMessengerから発信されたのか他の標準アプリから発信されたのかを区別することはできない。ただしAppleはデベロッパーに対する制限が厳しく、
サードパーティーは標準のSMSクライアントを切り替えることができない。つまりMessengerでSMSを処理刷る機能はiPhoneでは利用できない。

既存SMSユーザーに巧みな誘い

AndroidデバイスでSMSアプリにMessengerを指定するとFacebookが提供するスタンプを送信できる。また写真、ビデオ、オーディオを添付ファイルにできる。ホームスクリーンその他に表示されるチャットヘッドにもSMSの着信が表示され、返信も可能になる。他のアプリを利用している最中でもチャットヘッドはその上に表示される。ただし、送金、GIF、VoIP通話、ビデオ通話の発信やサードパーティーのアプリを経由してUber、Lyftなどを呼ぶ場合にはSMSは利用できず、Messenger本来のFacebookチャットを利用することになる。

SMS in Messenger 2

Facebookの Messengerプロダクトの責任者、David Marcusは、「Androidのテキスト・アプリにはメッセージ・テクノロジーの進歩に取り残されているものが多い。そこでわれわれはAndroidで本当にベストとなるSMSクライアントを作ることにした」と説明する。FacebookはまたMessengerを通じたチャットは一切無料であり、必要とされるデータ量もごく少ないということも指摘する。 これに対して一部のキャリヤではSMS1通あたりかなり高額な料金を課している。

Facebook Messenger SMS

またユーザーのプライバシーを保護するため、FacebookのサーバーではSMSを処理することも保管することもしない。「〔SMSの〕データ自体はFacebookを経由しない」とVaccariは説明する。またたとえ同一の発信者からのメッセージであっても、SMSのスレッドとMessenger本来のスレッドは別個に扱われる。同じ相手から同時にSMSとFacebookチャットを受信した場合にはかなり困惑させられることになるかもしれない。

VaccariによればSMSとFacebookチャットを統合することは「将来はあり得るかもしれない。しかし当面われれわれはSMSの振る舞いに手をつけるつもりはない。SMSの機能に変更はなく、単にMessenngerが新しいクライアントとして追加される」だけだという。

そうであってもFacebookはSMSのユーザーに対し微妙な方法でFacebookチャットをプロモーションしている。新しいメッセージを送信しようとして宛先の名前をタイプすると、Facebookに登録しているユーザー名が電話番号の上に表示される。相手がFacebookのメンバーであればSMSを送信するよりFacebookのチャットを選ぶことになるかもしれない。

一方、FacebookがチャットについてMessengerアプリをユーザーに使わせようとする努力は猛烈だ。2014年にFacebookは本体のアプリからチャットのタグを除去し、チャットをするならMessengerアプリを使うよう仕向けた。さらに今月に入ると、モバイル・デバイスからm.facebook.comを通じてチャットすることが不可能になった。Facebookではチャットをソーシャルメディアの未来と見ており、一部のユーザーが反発することなどは気にしていないらしい。

Messengerには9億人のユーザーがいる。Facebook傘下のWhatsApp at overのユーザーは10億人を超える。Facebookは現代のチャット・ビジネスで圧倒的な地位を占めている。WeChat市場を独占している中国を別にすれば、Facebookのチャットには深刻なライバルは存在しない。ユーザーが昔ながらのSMSを使い続けることはあり得るが、気づいてみると使っているアプリはMessengerだったということになりそうだ。

〔日本版〕6/15朝の訳者の環境ではまだFacebookのAndroid版MessengerアプリにSMSのタグは表示されていない。なおSMSは2段階認証などに用いられており、利用頻度は高いものの設定方法はまちまちなのでデバイスごとに確認する必要がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Conversableは消費者と企業の関係を深めるチャットボット…ただ買うだでけでなくアレルギーの質問なども

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[筆者: John Mannes]
商業者と消費者の関係を強化する会話のためのチャットボットConversableが今日(米国時間6/7)、鶏の手羽先料理専門のレストランチェーンWingstopとのパートナーシップを発表した。これでユーザーは、Facebook MessengerやTwitterなどのアプリの中から、注文をしたり、アレルゲンについて問い合わせたり、最寄りのお店を尋ねたりできる。

デベロッパーにAPIを提供する方式ではなく、Conversableは同社自身のプラットホームでFortune 500社に力を与えようとする。そのプラットホームは、ほとんどどんなアプリケーションにもアドオンできる。最初のユーザー企業がWingstopだが、同社は、人びとの買い物や、航空券の購入、企業との対話などを変えていきたい、と言っている。

協同ファウンダーのBen LammとAndrew Buseyは、前にも二度、一緒に仕事をしたことがある。まずテクノロジースタジオChaotic Moonで成功し、次にゲームデザインのスタジオTeam Chaosを作った二人は、その後、自動化チャットボットで企業/商品/お店(広義に“ブランド”)へのアクセス性を向上させる、というアイデアに魅力を感じた。

“このアイデアが気に入ったのは、それによって企業の新しい会話ツリーが時間とともにどんどん増えていくことだ。モバイルアプリの構築に年月と巨費を投じなくても、ますますいろんなことに応答できるようになる”、とConversableのCEO Ben Lammは語る。“自分の消費者体験からも言えるが、消費者のブランド体験がますます良くなり、これまでできなかったことも、できるようになる”、とConversableが提供するユーザー体験を彼は褒めそやす。

200万ドルのシード資金は、15人のチームを養うのに当面は十分だ。今は、Fortune 500社の国内企業を、顧客としてつかまえようとしている。チャットソリューションの課金方式は定額の会費制だが、カスタム化のための専門サービスも提供できる。

私たちの多くが、応答性が悪くてお粗末な、劣悪なチャットボットを使わされてきた。Conversableは、バックエンドシステムの統合を強化することによって、この罠にはまることを避けようとしている。このチャットボットは、ユーザー体験とブランドエンゲージメントの改良を、機械学習やAIを使わずに実現することを、マーケティングの核にしている。

“機械学習やAIに関心はあるけど、でもブランドが求めるのは、質問や応答の個々のノードにおけるコンテキストの理解なんだ。企業はそれらの分析によって事業を強化し、人びとが何を求めているのかを理解できるようになりたい、と願っているのだ”、とLammは付言した。

今、このテキサス出身の企業が志向しているのは、Amazon Echoのような、大きな将来性がありそうなプラットホームとの深い統合だ。これからは、便利に自動化された会話友だちに、本格的なテキサス・バーベキューを注文できるようになるんだね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebook Messengerに会話の内容を変えられるバグがあった(現在は修復済み)

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Facebook MessengerのAndroidアプリとデスクトップの(Web上の)Facebookチャットに、バグが発見された。このバグを悪用するとチャットのテキストや画像やリンクなどのデータを変えたり削除したりできる。それによりMessengerの9億人のユーザーの一部が、不正行為の脅威にさらされることになる。

バグを発見したセキュリティ企業Check Pointの研究者たちによると、このバグを利用して会話の内容を変えたり、マルウェアを広めたりできる。Androidアプリとデスクトップではチャットのコンテンツを変えることができるので、会話に参加している人たちが実際に言ってないことを言ってるようにもできる。また、リンクを書き換えて(それをクリックすると)ユーザーがマルウェアに汚染されるようにもできる。リンクが書き換えられていることが分からなければ、クリックしてしまう可能性はとても大きい。

すでに知られているマルウェアやフィッシングサイトについては、Facebookがそれらの送付を以前からブロックしていた。同社はそういう情報を、Threat Exchangeの上でセキュリティの研究者たちと共有している。それは、デベロッパーのためのソーシャルメディアプラットホームだ。でも、新しい、まだ知られていないマルウェアはこの関門をすり抜けるだろう。

会話に加わっている者だけがこのバグを悪用できるので、信頼できる友だちだけが相手なら、たぶん危険はない。バグがあるのはMessengerアプリと、ブラウザー上で利用するFacebook.comのチャットだけだから、Messenger.comなどMessengerの他のバージョンなら正しい会話ができる。チャットがいじられていることが分かっても、Messengerの他のバージョンの上なら元のテキトにアクセスできる。

Check Pointでプロダクトの脆弱性の調査を担当しているOded Vanunuが、声明文の中でこう述べている: “この脆弱性を悪用するとサイバー犯罪者たちがチャットのスレッドの全体を、被害者に気づかれることなく変えられる。さらにまずいことに、ハッカーが自動化テクニックを実装して長期間セキュリティ対策を出しぬき、チャットの書き換えを続けることもできる。このたびFacebookが迅速に対応し、ユーザーのセキュリティを守ったことを賞賛したい”。

Check Pointにこのバグを報告されたFacebookは、5月にMessengerにパッチを当てた。Facebookには以前からバグ報告報奨制度(bug bounty program)があり、セキュリティの研究者や善人のハッカーたちからの問題報告を奨励している。Facebookのスポークスパーソンによると、この制度は“きわめて価値があった”。

Facebookはこのバグをブログで説明し、会話の変更は恒久的ではなかった、と述べている。“アプリケーションがメッセージデータをサーバーから再取り出しすると、Android上でコンテンツが自動的に修復されることを確認した。したがってそれは、恒久的には変えられていない”、と。

この記事は6月7日午後1時のアップデートにより、Facebookのブログ記事の詳細と、バグのデモビデオが加えられた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebookはモバイルウェブからメッセージ機能を削除して、Messengerを押しつけようとしている

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Facebookは、モバイルウェブサイトからメッセージング機能を削除しようとしていることが、ユーザー向けの警告メッセージでわかった。「あなたの会話はMessengerに移動されます」と書かれている。そもそもMessengerがイヤでウェブアプリに切り替えた私のような人々数百万人にとっては願ってもない迷惑な話だ。

現時点では、警告を無視してそのまま使うことができる。しかしこの夏には、警告が貫通不可能な壁に変わり、唯一の選択肢は公式Messengerアプリをダウンロードすることだけになる。

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私は少々心配している。なぜなら、モバイルサイトを使う多くの人たちには、アプリをダウンロードしない正当な理由があるからだ。公式クライントアプリを持っていない人や、OSを最新バージョンにアップグレードできない人は、ウェブ経由でアクセスする必要がある。

そして実際私にとって、これはかなり敵対的なやり方に感じる。以前メインアプリからメッセージ機能を取り去った時と同じだ。もしこの会社の全員がマントラのように、世界をつなぎたいと唱え続けているのなら、アクセス方法の多様性もそこに含まれるべきではないだろうか。

いつもFacebook広報から聞かされている言い訳。会社は可能な限り最高のメッセージ体験を提供したく、Messengerアプリは彼らがそれを提供するために選択したプラットフォームである ― よって混乱を避けるために全員をそこに集結させる(アップデート:実際その通りの声明を受け取った。「最高の体験」とまで言っていた)。

そんなたわ言を真に受ける人など一人もいないだろう。Messengerのように強力なプラットフォームを飾り立て、機能を充実させ、そしてもちろん、収益化するのが簡単なことは誰にでもわかる。一方テキストベースのチャットで、それはほぼ不可能だ。

言い換えれば、あるサービスはユーザーに有用な価値を提供するが、Facebookには価値を提供しない。そんなサービスはいらない!

デスクトップとモバイルではFacebook体験自体が大きく異なる ― それは問題ない。投稿の見え方が違っても、操作方法が違っても、一部の機能かなかったり使いにくかったりしても構わない。メッセージングについてもそうあるべきだ。ただのテキストチャットだけ使わせてくれればいい。ユーザーはそれで感謝するし、Messengerの成長を邪魔することもない。

もちろんMessengerを大きく宣伝すればいいし、テキストベースでは一部のコンテンツが使えないことも言えばいい。Messengerは機能満載だ。ビデオも、スタンプも、そうチャットボットだって使える。しかし、切り替える決断をするのはユーザーであるべきだ。その権利を奪うことは、Facebookが注意深く守るべき信頼を損うことになる。

この際もう一つ言っておきたい。Facebook Liteをダウンロードさせてほしい(ちなみにメッセージングはまだ可能)。いまいましい地域制限をなくすべきだ。ユーザーの中には機能の低い端末を持っている人もいて、彼らは公式アプリと呼ばれる大食らいアプリのペアを走らせたくない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Microsoft、MacとウェブでSkypeボットのプレビュー版を公開―Messengerボットより実用的か

2016-04-20-mac_botsearch_skype

Microsofは今年3月のBUILDデベロッパー・カンファレンスで Skypeにボットなどの新しいコミュニケーション・ツールを追加する計画を発表した。このツールはSlack、 Outlook、LINEその他のプラットフォームから利用できる。

今日(米国時間4/18)、MicrosoftはMacとSkype on the web向けのSkypeボットのプレビュー版をリリースしたと述べた。これらのボットはすでにモバイル・デバイスから利用可能な状態だ。iPhone、iPad、Android向けと最新のデスクトップ向けSkype for Windowsの各バージョンが存在する。

またSkypeのボットは種類も増えた。Murphyは自然言語だけで質問に答えられない場合に画像を検索して発見し、必要なら新しい生成する。Summarizeは忙しいユーザーのためにウェブページの内容を簡単に要約するボットだ。

これらのボットを使用するには、Macの場合はSkypeを開いて「連絡先」をタップし、メニューから「ボットを追加(Add Bot)…」オプションを選ぶ。Microsoftによると利用可能なボットを検索することも可能だという。

ウェブ版の場合は左側ツールバーで「ボットを検索(Discover Bots)」を選択し、リストを開けばよい。 またユーザーはボットのプロフィール・ページ(上のリンク先)を直接訪問し、「ボットを追加」を選択してもよい。

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ウェブボットが利用できるのは当面オーストラリア、カナダ、イギリス、アイルランド、インド、ニュージーランド、シンガポール、それにアメリカとなっている。

Facebookのボットがニュース、天気予報、eコマースでのショッピングなどをMessenger内で提供しようという野心的な(出来栄えには大いに改良の余地がある))ものであるのに対して、Skypeのボットはやや地味だが、実用性はもっと高そうだ。

たとえば、Skypeでは各種のBing検索のためのボットが利用できる。これはSkypeソフトウェア内からニュース、画像、音楽を検索できるツールだ。Getty Imagesのボットは同社の手持ちのすべての画像が検索できる。Facebookのボットが企業やブランドに対してまったく新しいMessengerの利用法を提案しようとするものであるのに対して、MicrosoftのボットはSkypeを便利にするユーティリティー・ツールという印象だ。

Microsoftはボットがプレビュー版であることを強調しているが、これはテストの初期段階の製品であり、バグその他の欠陥が含まれている可能性があることを意味する。こうした問題は後にリリースされる正式版では修正されているはずだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook MessengerとWhatsAppのメッセージ数の合計は全SMSの3倍以上

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今朝(米国時間4/12)の FacebookのF8デベロッパー・カンファレンスでは重要な発表がいくもあったが、メッセージ・アプリの人気と成長を示す興味ある統計も公開された。

CEOのマーク・ザッカーバーグによればMessengerとWhatsAppの双方を合算すると、伝統的なSMSの合計の3倍以上のメッセージが毎日やり取りされているという。具体的にいえばMessengerとWhatsAppでは一日あたり600億のメッセージが送信されているのに対して、SMSでは200億だった。

ザッカーバーグはまたMessengerのユーザーは昨年のF8開催時点で7億人だったのが9億人に成長したと述べた。一方WhatsAppはこの2月にユーザー数を10億人の大台に乗せている。

こうした統計は Messengerプラットフォームでチャットボットをサポートするというような重大なニュースと共に発表された。チャットボットはMessenger上で作動するユーティリティーで、カスタマー・サポートやeコマースなどの企業活動を助ける。ローンチ時点ですでに全国的なギフト花屋の1-800-FlowersやCNNのような有力企業と提携している。同時に天気予報アプリのPonchoやショッピングのSpring.ともパートナーとなっている。

当面チャットボットのサポートはMessengerに限定される。WhatsAppはシンプルにチャットだけを追求するようだ。チャットボットについては上記リンクの他に1月の記事参考になる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+