昨年は日本でもついにパンダアップデートが導入され、SEO業界大激震の日々でした。米国では2年前に既にパンダアップデートが登場し、様々なサイトが順位下落の憂き目に会い、順位改善の努力を行ってきたわけですが、今回はそんなパンダアップデートの被害に会った主要サイトの今日の順位状況をパンダアップデート登場前と比較してみよう、というSEOに関わる人なら誰もが気になる記事をやっぱりサーチエンジンランドから。 — SEO Japan
(編集者による注記: これは、2011年2月24日に導入されたグーグルのパンダアルゴリズムアップデートのその後に注目したシリーズ記事の第一弾である)
2年前の今日、グーグルは、パンダアルゴリズムのアップデート(日本語)を導入し、SEO業界だけでなく、オンラインパブリッシング業界全体に衝撃を与えた。
もともと、このアップデートは、グーグルが主に「コンテンツファーム」をターゲットにしていため、「ファーマー」アップデートと呼ばれていた。「コンテンツファーム」とは、質の低いコンテンツを大量に作成するサイトの総称であり、このタイプのコンテンツはグーグルの検索結果に上位にランクインすることがあった。このアップデートが立ち上げられた際、グーグルはコンテンツファームを具体的に狙ったとは明言していないものの、ウェブスパム対策を統括するマット・カッツ氏は、当時、次のように述べていた: 「私達が話題にしているサイトのタイプは、何となく伝わるでしょう」
実際に、十分に伝わった。
そして、グーグルのターゲットは、ローンチの数日後にさらに明白になっていった。複数の検索および検索ソフトウェア会社が、勝者と敗者 – グーグルのアルゴリズムの変更によりダメージを受けたサイト、反対に恩恵を受けたサイト – をリストアップし始めたためだ。
もちろん、検索結果でのビジビリティを失った敗者がいる一方で、ビジビリティを獲得した勝者が存在した。しかし、パンダがローンチされてから2年が経過するものの、恩恵を受けたことを発言するサイトは皆無に等しい。
これから説明していくが、20を超える敗者の中で、パンダが行われる3週間前のSEOのビジビリティの状態に戻ることが出来たサイトは、たった2つだけである。その他のサイトは、今も尚検索のビジビリティを取り戻すことが出来ていない。
パンダの打撃を受けた後、回復したサイトは他にも存在するものの、全てのサイトが完全に回復したわけではなかった。この点に関しては、この記事の後半で詳しく説明する。まずは、背景を確認しよう
背景: パンダの勝者と敗者
たった2日間で、パンダアップデートの勝者と敗者(日本語)が判明した。サーチメトリクス、Sistrix等のサービスが、それぞれのツールやデータを駆使して、グーグルの検索結果でビジビリティを失ったサイト、そして、得たサイトを発表した。こういったレポートは、公式のレポートではないものの、打撃を受けたサイトの多くは、最終的に自ら影響を受けた点を認めた。
初期の勝ち組の中には、ユーチューブやウィキペディア等の巨大なコンテンツサイト、そして、eBayやアマゾン等の大規模なブランドが含まれていた。その他にも、多くの様々な規模のサイトが、敗者がいる一方で、ビジビリティを高めていった。先程も申し上げたように、グーグルの検索結果から、あるサイトが漏れる一方で、別のサイトがその位置を埋めているのだ。
パンダの初期(日本語)の負け組に関するレポートでは、大勢のサイトをリストアップしたが、以下にその他のレポートでも名前が挙げられていたサイトを幾つか挙げていく:
- EzineArticles.com
- HubPages.com
- AssociatedContent.com
- Mahalo.com
- Examiner.com
- Suite101.com
- Buzzle.com
- Squidoo.com
- Buzzillions.com
ディマンドメディアのサイトがリストアップされると思った方もいるかもしれないが、ディマンドメディアは、基本的に負け組み入りを免れていた。この件に関しては、後ほど詳しく説明する。
パンダの負け組の現状
簡単に言うと、いまだに負け組から抜け出せずにいる。
事実、敗者の一部は、もはや存在せず、また、名前/ビジネスモデルを完全に変更したサイトもある。この件は明日のエントリで詳しく取り上げる。
先日、私はサーチメトリクスに2年前のパンダの敗者のリストを振り返り、再び敗者に対する「SEOのビジビリティ」レポートを実施してもらった。 先週、サーチメトリクスはレポートを実施し、多くの情報を提供してくれた(ちなみに、Sistrixにも同じ作業を要請したものの、この記事にデータを掲載するための期限内に返事をもらえなかった)。
サーチメトリクスは、22サイトのパンダの敗者に注目し、3つの時期で、グーグルの検索結果でのビジビリティを比較した:
- パンダが行われる前(2011年2月11日)
- パンダが行われた後(2011年3月13日)
- 現在(2013年2月17日)
その結果、22サイトのうち、パンダが行われる前のビジビリティを取り戻したサイトは1つもなく、また、パンダが行われた後から現在に至るまでにビジビリティを改善したサイトは、2つのみであった。
以下にサーチメトリクスから提供されたスプレッドシートを掲載する(クリックすると拡大する):
(注記: 数字はサーチメトリクスの「SEO ビジビリティ」スコアを反映しており、失ったトラフィックの量の予想値ではない。これは、同社が計測した無数のキーワードにおけるグーグルの検索結果において、当該のドメインのビジビリティのレベルを表している)
上のイメージ内で、右側のカラム – HとIに注目してもらいたい。このスプレッドシートは、- 例えば、Suite101.comは、パンダアップデートが行われる前と比べ、ビジビリティを96%落とし、パンダが行われた後と比べ、81%落とした – と読む。
カラム Iを上から下に目を通していくと、プラスのデータを得ているサイトは2つしかない点に気づくだろう。MerchantCircle.comとBusiness.comは、共に十分に回復を遂げ、現在のSEOのビジビリティスコアが、パンダが行われた後のスコアよりも高くなっている。しかし、カラム Hが示しているように、共にパンダが行われる前と比べると、ビジビリティは低く、この傾向はその他の20のサイトにも共通する。
Business.comのSEOのビジビリティの表は非常に興味深い。
2011年2月のパンダの影響は明白であり、同サイトのビジビリティはまるでノコギリのように変動している。2011年の年末、または2012年の年始にビジビリティを回復させている。それぞれ、パンダ 9、パンダ 10が行われた時期と一致する。その後、何度か回復を経験し、現在は、パンダアップデートが行われた直後と比べると若干好転しているものの、アップデートの前には遠く及ばない。
ディマンドメディアのサイトのその後
ディマンドメディアのサイトは上のレポートには含まれていない。もともとパンダの敗者としてリストアップされていなかったことが要因だ。
ディマンドメディアを代表するサイト、eHow.com – 「コンテンツファーム」を連想させるサイト – は、パンダがローンチされた際、実はビジビリティを増やした(日本語)と報じられていた。しかし、この状況は長続きせず、数ヶ月後、グーグルがパンダ2.0を導入した際に打撃を受けていた。サーチメトリクスの表には、2011年2月、eHowはビジビリティを獲得したものの、2011年4月、ビジビリティを失っている(日本語)事実が反映されている。
このサイトのビジビリティは、2012年9月に若干改善されているものの、パンダが行われる以前のレベルと比べると、63%下回っている。
別のディマンドメディアのサイト、Livestrong.comは、昨年、1年間通じて、パンダから徐々に回復していった。
サーチメトリクスによると、同サイトのSEO ビジビリティは、パンダが行われた数週間で35%落ちているものの、その他のサイトと比べると傷は浅かった。しかし、下の表にも記されているように、Livestrong.comは2012年に回復を遂げただけでなく、少なくとも2012年の後半までは、パンダが行われる前のビジビリティを超えるレベルに達していた。
1年間を通じてビジビリティを再び獲得した後、Livestrong.comは、11月下旬に行われたパンダアップデート 22の打撃を受けたようだ。それ以来、ビジビリティは下がり続けている。現在、Livestrong.comのビジビリティは、パンダ以前よりも約13%下回っている。
パンダはディマンドメディアに確実にダメージを与えている: 1年前、ロサンゼルスタイムズは、ディマンドメディアが、2011年の第1四半期に640億ドルの減益を出した要因をパンダだと報じていた。
しかし、先週、最新の業績報告書の中で、同社は、2012年、ディマンドメディアが所有/運営するサイトのページビューが(2011年と比べ)24%増加し、- 主にeHowとLivestrongのトラフィックの増加を要因と挙げていた。報告書の中で、リチャード・ローゼンブラットCEOは、同社が「2012年にコンテンツの質を改善」し、「現在、2013年のコンテンツへの投資を大幅に増加する準備を進めている」と述べている。
ローゼンブラットCEOは楽観視しているものの、ディマンドメディアのサイトは、パンダ後の回復に関しては、現時点では、必ずしものんきに構えている状況ではないように思える。
しかし、少なくとも1つのサイトは好調を維持している。
MotorTrend.com: パンダ危機から完全復活を遂げる
Motor Trendは、長年に渡って刊行されてきた雑誌であり、ウェブサイトは信頼されているようだ。また、毎年恒例の「Car of the Year」は自動車業界では権威ある賞として浸透している。私はMotor Trendの読者ではなく、また、MotorTrend.comのウェブサイトを実際にじっくりと目を通したこともない。そのため、パンダの打撃を受けるに値するサイトであったかどうかは断言することは出来ない。しかし、実際に、下の表にも示されているように、同サイトはパンダの影響を受けていた:
MotorTrend.comは初回のパンダアップデートの衝撃を受け、その後、パンダ 5がリリースされた2011年7月に回復している。パンダ 7の導入によって再びビジビリティを失い、その後、以前の記事の中でも取り上げたように、数週間後のパンダ 8のリリース時に再びビジビリティを取り戻すことに成功していた。
現在、MotorTrend.comのビジビリティは、サーチメトリクスのスコアを参考にする限り、安定しているように思える。実際に、パンダ以前のビジビリティを上回るスコアを獲得している。同サイトのパンダ対策に関する記事を読んだ記憶はないが、あるなら是非読んでみたい(同サイトが、5ヶ月間のビジビリティの下落に気づいていると仮定して)。
MotorTrendがパンダの打撃を受け、その後、回復した点において皮肉だったのは、パンダにターゲットにされたウェブマスターに対して、グーグルが挙げた質問の中の一つに、その記事は、印刷版の雑誌、百科事典、または書籍に掲載されていてもおかしくないですか?と言う質問があったことだ。
恐らく、グーグルはこの質問に対する答えが「はい」であった点に気づいたのだろう。
これは、導入後2年目を迎えたグーグルのパンダアップデートに関するシリーズ記事の第一弾である。
(ストックイメージは、ライセンス契約の下、Shutterstock.comのコンテンツを利用している)
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Google Panda Two Years Later: Losers Still Losing & One Real Recovery」を翻訳した内容です。
パンダアップデートの登場から度重なる更新と共に多くのサイトが順位改善&下落の激震の日々を送っていたことがよく分かる記事でした。しかし一度順位にダメージを受けたサイトの多くが順位改善できていないんですね。最も、パンダアップデート登場以前は、質より量で低品質コンテンツでも特定のキーワードフレーズに特化したページであればサイトのドメインさえ評価が高ければ、それなりに順位が上がっていた時代です。
そういったサイトが低品質のコンテンツを整理し順位改善したとしても、単純に以前よりコンテンツ量が少なく、結果現状のコンテンツの順位が高いとしても以前までのトラフィックは得られないケースは普通にあると思います。なので、パンダアップデート以前よりトラフィックが少ないからといってパンダアップデートから回復できていないとは必ずしも言い切れないことには注意したいです。
日本では余りこの種の順位比較調査は行われてきませんでしたが、悲喜こもごもな状況は様々あるのでしょうね。 — SEO Japan [G+]