SNS横断でフォロワーの属性も絞り込めるインフルエンサーのキャスティング基盤「iCON Suite」

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YouTube、Instagramなどのソーシャルプラットフォームで多くのファンを獲得し、大きな影響力を持つようになった「インフルエンサー」。YouTubeに投稿した動画の広告収入で生計を立てるYouTuberや、Instagramでリクエストに応じて商品を紹介することで収入を得るInstagrammerという名前も良く聞くようになってきたが、彼らは従来のメディアとは違うチャネルで顧客との有効な接点を見つけたい企業にとっても重要な存在となりつつある。

2015年1月にYouTubeクリエイターと広告主をマッチングさせるサービス「iCON CAST(アイコンキャスト)」を提供したTHECOO(ザクー)は8月25日、動画メディアを展開するC Channelの子会社でインフルエンサーマーケティング企業のYellow Agencyと業務提携。ソーシャルプラットフォーム横断でインフルエンサーを検索、キャスティングする「iCON Suite(アイコンスイート)」を開始した。

iCON SuiteはYouTubeに加え、InstagramやTwitter、Snapchatといったソーシャルプラットフォームに横串で対応。インフルエンサーの影響力やファンの属性(デモグラフィック情報)を機械学習と自然言語解析を用いることで分析可能にした。これにより、クライアントのニーズも高まるInstagramについても、従来利用してきたYouTube APIでは取得できなかった情報を提供。感覚ではなくデータに基づいたインフルエンサーのキャスティングを実現する。

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iCON Suiteでは、インフルエンサーをファッション・コスメ・ペット・ゲームなどのカテゴリと、ファンの性別・年代、ファン(フォロワー)数から絞り込むことが可能だ。サービス開始時は、全インフルエンサーの検索ができ、キャスティングはYellow Agency所属のインフルエンサーのみに対応する。

「iCON CAST提供から1年半、YouTuberと企業とのマッチングでは日本最大のサービスとすることができた。Google出身者の多いTHECOOでは、AdWordsの営業時代も含めて、クライアントがいかに効果を求めるものなのか、データの力がどれだけ大切かということにかけては、ノウハウがかなり蓄積されている。」とTHECOO代表の平良真人氏は語る。「iCON Suiteでは、対象をYouTubeから他のプラットフォームに広げても、実際に使っていただける企業・インフルエンサーの数で日本最大を目指したい」(平良氏)

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THECOOでは、iCON Suiteの利用企業を2016年内に100社以上、インフルエンサーではInstagramユーザーのうち5000人の利用を目標としている。また、アジアをはじめとした海外への展開も年内に予定。その際には、各国で主に使われている、日本とは異なるソーシャルプラットフォームにも対応していくという。

平良氏は「ソーシャルプラットフォーム上で、自分のアカウントできちんとファンとのコミュニケーションを取れる人をインフルエンサーと定義している」とした上で、日本ではゲームやファッション・コスメ、あるいは“やってみた”動画などに人気が偏るインフルエンサーのカテゴリについて、こう話す。「発展途上だが今後に期待できる。中国やタイでは、インフルエンサーがクルマやゴルフ、スポーツなど、自分の好きなことを突き詰めた結果、カテゴリとして成立するテーマが増えた。その結果、自動車業界やラグジュアリブランドなどにも、クライアントが増えている。誰でもインフルエンサーになれる時代だ」(平良氏)

左からC Channel代表取締役社長の森川亮氏、Yellow Agency代表取締役社長の平本誠二郎氏、THECOO代表取締役CEOの平良真人氏

左からC Channel代表取締役社長の森川亮氏、Yellow Agency代表取締役社長の平本誠二郎氏、THECOO代表取締役CEOの平良真人氏

「INFLUENCER ONE」はインスタの人気者に商品PRを依頼できるクラウドソースサービス

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Instagramで数万人のフォロワーがいるなら、もうちょっとした有名人と言っても良さそうだ。その影響力に乗せて商品のプロモーションをしたいと考える企業も多いだろう。本日ローンチした「INFLUENCER ONE」はインフルエンサーとそういったインフルエンサーにマーケティングの仕事を依頼したい企業や広告代理店をつなぐクラウドソースサービスだ。INFLUENCER ONEは、登録モデルに具体的なポーズやシーンの写真素材を依頼できるクラウドソースサービス「INSTAMODEL」を展開するレモネードが手がけている。

INFLUENCER ONEの仕組みは一般的なクラウドソースサービスとそう変わらない。インフルエンサー・マーケティングを依頼したい企業は対象ブランドの説明、案件内容、投稿日、報酬、入札単価といった情報をINFLUENCER ONEに掲載し、インフルエンサーを募集する。条件と依頼内容見て応募したインフルエンサーの中から企業は適任者を選定して依頼するという流れだ。インフルエンサーなら誰でもインフルエンサー側のサイトページからINFLUENCER ONEに登録できるが、案件に応募するには、各企業の承認が必要となる。インフルエンサーは依頼通りの写真や動画をInstagramに投稿した後、その証拠となるスクリーンショット画像とURLをINFLUENCER ONEにアップロードし、企業側がそれを確認して案件が完了する。INFLUENCER ONEは、依頼が完了した時点でマージンを得るビジネスモデルだ。

マーケティング事業者、インフルエンサーどちらのの手間も削減

レモネード代表取締役の石橋尚也氏は、2016年2月にローンチした最初のサービス、INSTAMODELを運営する中で、インフルエンサー・マーケティングへの需要と企業の抱える課題が見えてきたと言う。INSTAMODELでは、企業は登録モデルに具体的なポーズなどの写真の撮影を依頼することが可能だ。だが、企業からは写真に留まらず、商品のPRキャンペーンのためにインフルエンサー・マーケティングを依頼したいという要望が多く寄せられたと石橋氏は話す。石橋氏はこういった依頼にも応えようとしたが、「手動で行うのはしんどい」ことが分かったと話す。写真素材であれば適任のモデルに依頼をするだけで良かったが、インフルエンサー・マーケティングを実現するには、インフルエンサーのSNSアカウントのフォロワー数やどういう投稿が多いかを確認した上で適任者を探し、さらには案件の進行管理や報酬の支払いといった作業が発生する。INFLUENCER ONEでは、そういった作業を効率化するために開発したサービスと石橋氏は説明する。

これはインフルエンサー側にとっても仕事の効率化につながることが期待できるという。石橋氏がインフルエンサー・マーケティングを行ったことがあるモデルに聞いたところ、インフルエンサー・マーケティングの事業者や代理店とは案件の詳細をLINEや電話で何回も確認したり、共通して使用するプラットフォームがないために手帳にメモしたりと依頼の管理に時間がかかるのが課題という声があったという。また、管理がずさんな事業者や代理店も多いが、INFLUENCER ONEではプラットフォーム上で報酬や支払い期日を確認でき、やりとりも残るので安心して仕事ができるというレビューもあったと話す。

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INFLUENCER ONEのもう1つの特徴は、フォロワー数による課金と平均エンゲージメントによる課金の2つの入札形式を採用していることと石橋氏は言う。SNSでは一般的にフォロワー数が多くなるほどエンゲージメント率が下がる傾向にある。エンゲージメントを重視する企業のために、フォロワー数による従量課金のほかにエンゲージメントに応じた課金ができる選択肢を用意したそうだ。石橋氏は、広告代理業に10年携わってきてきた経験があり、リスティング、アフィリエイト、ソーシャル広告など色々な運用型広告で得た知見を活かしてサービスを提供していきたいと話す。

INFLUENCER ONEでは、まずはINSTAMODELの登録モデルに依頼ができるようになる。登録しているモデルの数はおよそ3000人だそうだ。3、4万人のフォロワーを持つモデルが多く、中には15万人以上のフォロワーを持つ人もいるという。INSTAMODELはINFLUENCER ONEと並行して、引き続き提供していくという。INFLUENCER ONEの方では、モデルの他に写真や動画のクリエイターを集めることに注力していく予定と石橋氏は話す。

Instagram、Storiesをリリース―24時間後に消えるスライド共有は「Snapchatのフォーマット」とCEO認める

LONDON, ENGLAND - MARCH 09:  Kevin Systrom arrives at a party hosted by Instagram's Kevin Systrom and Jamie Oliver. This is their second annual private party, taking place at Barbecoa on March 9, 2015 in London, England.  (Photo by David M. Benett/Getty Images for Instagram)

シリコンバレーにいないものといえば、他の人間のアイディアをコピーしたと認める起業家だ。ところがFacebookの本社―世界有数の巨大なビジネスが運営されている場所―でInstagramのファウンダー、CEOのケビン・シスストロムの発言は私を仰天させた。

シストロムはInstagramがリリースしたInstagram Storiesのデモを見せてくれた。この新しいプロダクトは24時間で消える気軽な写真共有サービスだが、あまりにもライバルのSnapchatに似ているので、シストロムの洒落れたオフィスでプレゼンのスライドを見せられながら私は笑いをこらえるのに苦労するほどだった。

シストロムはInstagramをFacebookに10億ドル近くで売却した、しかしどうやら彼自身はそこから想像されるような華々しい生活をしていないらしい。Instagramのフィードにあまり写真を投稿していない。Instagramは基本的に「生活のハイライト」の写真を投稿するサイトだ。10代のユーザーは投稿後数分で十分な数の「いいね!」が付かないと写真を削除してしまうことが多い。そのためInstagramにはSnapchatのような「なんでもない日常の情景」を写した写真が少ない。【略】

これがシストロムがInstagram Storiesを作った理由だ。

...including an interview with Instagram CEO Kevin Systrom where he says Snapchat "deserves all the credit"

記録を残すのか、体験を共有するのか?

24時間で消えるスライド共有がソーシャルメディア全般にどういう影響を与えるかはまだ不明だ。しかしInstagramという巨大なフィードに欠けていた部分を補うサービスなのは間違いない。Storiesは「大人向けSnapchat」だ。Snapchatの機能や画面への書き込みツールがInstagramにあったらいいと考えていたユーザーは多い。

Storiesのようなサービスに対する私の懸念は、日常の些細な場面を常にフィードするライフキャスティングが人々のポピュラーな行動パターンになりはしないかという点だった。美しい夕日が沈むの見ているときでも、あわててスマートフォンを引っ張りだして自分の体験を放り出し、記録を残さねばならなくなる。

しかしシストロムはそういうふうには考えていなかった。記録か体験かという問題を尋ねられるとシストロムは「なるほどネガティブな面もあるが、ポジティブなユースケースの可能性が圧倒的に上回ると考えた」と答えた。たとえばこれまで北朝鮮や難民キャンプでの日常がInstagramにアップされることはなかった。

「美しい夕日を見ているときに慌ててスマートフォンを引っ張り出すという側面と、世界の無数の人々とつながり、多様な生活を直かに見て新しい考え方、異る文化を理解するためのハードルが低くなる側面〔との比較だ〕。Instagramは世界を巨大な共時的存在と感じさせることに役立った。いつでも誰とでもつながることができ、自分自身は非常に小さいものでありながら多くの人々と共にあるという感覚だ」とシストロムは言う。【略】

テクノロジー・ビジネスで稀な正直さ

なるほどこれまでInstagramには「共有性が足りなかった」かもしれない。しかし私には Instagram Storiesは「共有が過剰」ではないかという思われた。しかしそれはともかくとしてシストロムのオフィスでデモを見た全員の頭上に”Snapchat”という口に出されない大きな疑問がずっとわだかまっていた。そこで私は率直に尋ねた。

「重要な点だと思うが、24時間で消えるライフキャストの共有というフォーマットはSnapchatがパイオニアで、実際、コンセプトから実装手法、細かい機能まで…」

「そのとおり。すべての功績はSnapchatのものだ」とシストロム

シストロムの言葉に私はのけぞった。

Facebookは以前にもPokeやSlingshotでSnapchatをまるごとコピーして失敗に終わったことがある。Facebookの「過去のこの日(On This Day)」は TimeHopというスタートアップをまるごとコピーしたものだ。ハッシュタグや話題のトピックの採用はTwitterのコピーだ。にもかかわらずこうしたプロダクトの責任者は「われわれのユーザーの行動を詳しく観察した結果だ」とか「他人の動向を気にしたことはない」とか述べるのが普通だった。

しかしシステムは大胆にも真実を口にした(強調は筆者)。

これはフォーマットの問題だ。新しいフォーマットをサービスに取り込んで、独自の性格をもたせることができるかどうかだ。【略】

誰もが周囲を見回して最良のフォーマット、最高の先進テクノロジーを採用しようとする

Snapchatで好評の顔フィルターは既存の顔認識テクノロジーを採用したものだ。スライドショーももちろん既存の技術だ。スライドショー作成はFlipagramがだいぶ前から提供している。シリコンバレーのおもしろいところはここだと思う。ゼロから新しいプロダクトを考えつくのは不可能だ。 しかし「このフォーマットはここがすごい」と見極めて、それを自分のサービスに適用することはできる。

Snapchatは非常にいい仕事をした。Facebookもいい仕事をした。Instagramもいい仕事をした。われわれはみないい仕事をしたと思う。彼らはあれを発明した。われわれはこれを発明した。そういう世界だ。

Gmailだって最初のメール・クライアントではない。Googleマップも最初のオンライン地図ではない。iPhoneが最初の携帯電話ではないのは誰もが知っている。重要なのは既存のフォーマット何を付け加えられたかだ。【略】

エンジニアリングの世界でこれは「正しいやり方(The Right Thing)」と呼ばれている。困難な問題を解決するために誰もが採用すべきベストの方法といった意味だ。テクノロジーのバックエンドに「正しいやり方」を採用したプロダクトには、「自分が発明したのではない」としても、標準に成長したものが多数ある。Amazon Web Services、Twilio SMS、各種のMySQL データベース、みなそうだ。

しかしシリコンバレーには病んだプライドが蔓延しており、本質的にはコピーであるにもかかわらず、見た目を少々変えるだけで独自性を主張する例が多い。

Instagram Stories vs Snapchat Stories

Instagram Stories(左)とSnapchat Stories(右)

しかしシストロムはプライドという病とは無縁のようだ。願わくば多くの起業家がシストロムを手本として、透明性を口に唱えるだけでなく堂々とコピーしたソースを名指せるようになってもらいたいものだ。

Instagram Storiesについてのわれわれの記事はこちら。:

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Instagramがいやがらせ撃退ツールを提供、コメントの完全お断りも可能

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ネット上のいやがらせ(ハラスメント, harassment)は深刻な問題だ。Pew Research Centerによると、インターネットの全ユーザー(個人)の40%が、何らかの形のハラスメントの経験を報告している。人気の写真共有サービスInstagramはこのほど、投稿数のとても多いユーザーがコメントをフィルタできる機能を提供した。すべてのコメントを完全に遮断する、という指定もできる。The Washington Postが、そう報じている。

コメントを完全に遮断しない人は、禁句のリストを作る。それらの語句のあるコメントは、表示されないようになる。もうすぐこの機能は、投稿数がそんなに多くない一般ユーザーにも提供される。

1か月近く前にInstagramは、企業ページのための コメント調整オプションを提供した。これもやはり、企業アカウントが悪質な語句のあるコメントをブロックできる機能だ。企業アカウントの場合の指定方法は、これだ(下図):

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なお、このようなコメントブロック機能は、2013年のJustin BieberのセルフィーアプリShotsが元祖だ。というかそのアプリは、コメントをすべて拒否した。Twitterにもこんな機能があれば、ホントにいいんだけどねぇ。いくら言っても無駄か。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

芸術写真フィルタアプリPrismaがAndoroid版をリリース

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Prismaの人気が続いている。iOSでの公開からほんの1か月余りでInstagramの多数の利用者の想像力をほとんど根こそぎにさらったAIベースの写真加工アプリケーションのPrismaが、ついにすべてのAndroidユーザーのために開放された 。これはGoogleのモバイルOS上でベータ公開されたわずか5日後のことだ。

このアプリはもちろんスマートフォーンのスナップ写真を「芸術作品」に変貌させる初めての製品ではないが、数多い「アートフィルター」を使って、印象的な速度と複雑な結果と共に、写真を異なるスケッチや描画スタイルへと変換する。アプリはすぐにApp Storeのチャートの上位へと浮上し、私たちが共同創設者兼CEOのAlexey Moiseenkovを取材した数日前には米国では10位となっていた。その勢いはその後少し落ち着いているものの、アプリはまだ17位の位置を保持している。

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これは間違いなく、App Storeにおける最新人気アプリにとっての分水嶺である。InstagramがAndroidバージョンをリリースしたわずか1週間後にFacebookに10億ドルで素早く買収されたことを業界人たちは忘れてはいない。買収の噂はすでにこのロシアの会社の周りに流れている − そして、なんと、同社の代表は図らずも私たちの取材前後でソーシャルメディアの巨人を訪れていたのである。

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Facebookはこの憶測に対しては言葉を濁しているが、Moiseenkovは謎めかして「現段階ではこの情報は何も明かせないのです。週の終わりまでに、私たちはより多くを議論することができると思います」と付け加えた。それが買収、資金調達または何か他のものを意味しているのかは、見守らなければならない。

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とりあえず今は、Google Playストアで何がそんなに騒がれているかを知ることができる。 アプリのAndroidバージョンには、3ダースほどの異なるフィルタが含まれていて、そのスタイルは現代風から古典そしてアニメにまで及んでいる。その中にはブレイキング・バッドスタイルさえ含まれているのだ。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

「iPhoneで撮影」キャンペーンにあなたの写真を採用させるコツ

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最近Appleのビルボード(大きな野外広告看板)の近くに行った事はあるだろうか。おそらく立派な写真の下に「Shot on iPhone(iPhoneで撮影)」という文字を見たのではないかと思う。あなたは写真家として羨ましさに苛まれたかもしれない。なぜあなたの写真があそこにあって世の中で見られていないのだろう?

Jordan IsonはAppleの最新のキャンペーンに採用された写真家の一人である。この世界最大のアート展示に彼の作品が採用された経緯を知るために彼の話を聞いた。

最初の接触

「沢山の写真を撮影していますが、それらの写真に対するスパムメッセージも同時に沢山受け取っているのです」とIsonは言う。「今回のケースでも、私は同じ代理店の2人の異なる人物からとても謎めいたメールを受け取ったのです。しかし、そのメールには何か引っかかるものを感じたので返信をしたのですが、今ではそうしてよかったと心から思います!」。

Appleが「iPhoneで撮影」キャンペーンに採用した写真

この新進気鋭の写真家がメールに返信したところ、次に代理店が行ったことは信じられないくらい厳しい内容のNDAを提示したことだった。それにサインしたことで、彼はいかなる理由であっても、誰に対しても、何も話せなくなった。実際Isonは代理店の名前を出すことさえ躊躇っていたのだ。

「どれくらい秘密主義が徹底しているのかきっと信じられないですよ」とIsonは笑う。「私たちは2016年のキャンペーンに採用された人たちのためのFacebookグループに参加しているのですが、参加者が代理店とコミュニケーションを行う際に、Facebookグループの中で絶対に名前を使わないんですよ。いつでも『my contact』と『the agency』が使われて、名前が使われることはありません」。

Isonが代理店の名前を明かすことは決してなかったが、ここで話題になっている広告代理店がTBWAであることは公然の秘密だ。TBWAは関連会社であるMedia Arts Labを使って写真家に接触しているのである。

選考過程

最初のiPhone 4を買ったときに、Isonの撮影の旅は始まった。

彼の写真を採用したサンフランシスコのビルボードの前に立つJordan Ison

彼の写真を採用したサンフランシスコのビルボードの前に立つJordan Ison

「iPhoneを買うまでは写真を撮ったことなんてなかったんですよ」とインタビューに持参したRolleiflex(iPhone とはずいぶん違ったタイプのカメラだ)のカメラストラップを弄びながら彼は語った。「でも写真を撮ってInstagramに投稿し始めたら、新しい趣味に目覚めたんですよね」。

当初からIsonは、Instagramに投稿する彼の写真に対して#shotoniphoneというハッシュタグをつけていた。それが最終的には世界中のビルボードに彼の写真を着地させることにつながる習慣の始まりだったのだ。

代理店が「iPhoneで撮影」キャンペーンの採用候補者に送ったメッセージはとても簡潔なものだった。「私どものお客様があなたの写真を、とある用途に使いたがっています」。メールは謎かけのようだった。その何かのプロジェクトはコードネームを知らされただけだったそうだが、Isonはその名前を私に教えることも拒んだ。まるでスパイ映画のようだ。

「プロセスは興味深かったですね。彼らは何の手がかりも与えてくれませんでした。本当の最後になるまで、それが「iPhoneで撮影」キャンペーンだということも言いませんでしたね」と彼は肩をすくめた。

「彼らは実際には、最初は別の写真について私と話をしたがったのです」、IsonはBonneville Salt Flatsの素晴らしい写真をiPhoneで見せながら話した。「それでも、もし他に見ることができる写真があれば見せて欲しいとも言ってきました。そこで彼らに半ダースほどの写真を送ったのですが、それが正解でした、最初の写真ではなくて、他の写真を使うことになったのです」。

Appleの広告代理店が最初に使おうとした写真

「彼らはInstagramの上のハッシュタグを使って画像を見つけたんですが」とIsonは説明した。「しかし、彼らは私のTumblrも見ていたんでしょうね。私はInstagramのアカウントではメールアドレスを公開していないので」。

更なる試練

「私が送ったそれぞれの写真に対して、代理店は中身をぎっしり書き込むアンケートに答えるように要求してきました。彼らは私がその写真を撮ると決めた事情やその裏にある物語を知りたがりました」とIsonは続けました。「写真のコンテキストは、彼らにとって本当に重要であるように見えました。誰が、なぜ、どこで、そして何を、について詳しく知りたがったのです」。

代理店はまた、写真家自身が著作権を所有していることへの誓約書と、写真を商用目的で代理店に使用させる許諾書への署名を求めた。写真家は画像の利用に対して支払いを受けるが、それはおそらく読者が想像するほど多額ではない。

目を引く写真を、世界中のポスターやビルボードで見ることができる。どれほど大規模な美術展だろう!

目を引く写真を、世界中のポスターやビルボードで見ることができる。どれほど大規模な美術展だろう!

「まあストックイメージに対して通常払われる金額よりは、随分良いペイでしたけどね」、正確な金額は教えてくれないながらもIsonはこう話した。

「2000ドル位ですかね?」と私は適当に尋ねてみた。

「それよりは少なかったですけどね」とIson。

「代理店は、まだ写真に対する選択と鑑定が続いていること、その中で私は候補の一つであることを仄めかし続けました。しかし同時にビルボードが仕上がる瞬間まで何も最終決定ではないということも念押ししていましたね」とIsonは謎に満ちた4か月のプロセスを付け足した。

結局ビルボードが世界中で公開される4日前まで、彼は自分の写真が選考を勝ち抜いたことを知ることはなかったが、やがて自分の写真があらゆる場所で使われていることを知ることになる。沢山の雑誌の中や、世界中の小さなビルボードとして。そして最大の栄誉は、サンフランシスコ、ミネアポリス、ミラノ、ベルリン、クアラルンプール、パース、広州に出現した壁画サイズのビルボードだった。

Isonは言う「キャンペーンに採用されることは素晴らしいけれど、少し屈辱的なところもありましたね」。しかしそのことが彼の写真のキャリアに対して与える影響に関しては現実的に捉えている。「このことで、私はより多くの注目を集めるかもしれませんが、そうはならないかもしれません。私にとって大事なことは、このことが写真を撮り続ける気持ちに拍車をかけたということですね。私の写真が、このようなキャンペーンに使われる目的に、十分良いものであることを知ったことは本当にやる気にしてくれます」。

Shot on iPhoneキャンペーンの写真家たちはFacebook上でお互いをフォローしていて、世界中の建物にあるお互いの写真をシェアしあっている。

「iPhoneで撮影」キャンペーンの写真家たちはFacebook上でお互いをフォローしていて、世界中の建物にあるお互いの写真をシェアしあっている。これは、グループのメンバーの一人が広州(中国)のショッピングモールの壁を覆うIsonの写真を見つけたときのものだ。

「iPhoneで撮影」キャンペーンに採用されるには

今年のキャンペーンは「色」と呼ばれた。それぞれの写真はほぼ単色のトーンだ。

今年のキャンペーンは「色」と呼ばれた。それぞれの写真はほぼ単色のトーンだ。

次の機会にはあなたの写真にスポットが当たり、採用され、ビルの側壁一面を覆いたいだろうか。それも世界中の国々で?

選択されるための魔法の弾丸は存在しないが、候補の山の頂上付近にあなたの写真を浮かび上がらせる可能性を増すための5つのヒントを紹介しておこう。

  • Appleが製造している最新のiPhoneで撮影する。 あなたがiPhone 5で素晴らしいショットを撮れるかどうかは関係ない – 彼らはただiPhoneの最新モデルを宣伝したいだけなのだから。
  • Instagramの写真にはマメにタグをつけること、そしてあなたのInstagramのフィードの残りの部分も、同様に高品質であることを保つこと。#shotoniphone#shotoniphone6sでタグ付けするのは良いアイデアだが、写真をテンコ盛りのハッシュタグでスパム化する誘惑には耐えること。
  • 元のファイルを保存しておくこと。 Appleは対象となる写真が、本当にあなたが撮影したものか、そして間違いなくあなたが使ったと主張している電話機(ここではiPhone6s)で撮影されたものかを確認する。
  • 連絡先を見つけやすくしておくこと。 代理店は何千人もの候補の中から選別を進めている。もしあなたに電子メールを送ることが難しいようなら、彼らは手間をかけることはしない。
  • メールから目を離さないこと − 肩をいつ叩かれるか、あらかじめ知ることはできないのだ!
  • 素晴らしい写真を撮ること 。まあおそらくこれが秘訣ナンバー1であることに間違いはない。

さあやってみよう!

原文へ

(翻訳:Sako)

Instagramの新アルゴリズムがライブに―いちばん興味を引く写真をトップに表示

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今日(米国時間6/3)、Instagramを開いたユーザーはいつもと違っていることに気づいたかもしれない。昔からフォローしている相手や親しい友だちの投稿が、それよりも新しい他の投稿を押さえてトップに表示されているはずだ。「ベストの写真を最初に表示する」というInstagramの新アルゴリズムがいよいよライブになった

TechCrunchでは以前からInstagramが表示順を変えようとしていること報じてきた。

3月に Instagramはそれまでの「厳密に投稿時刻の逆順(一番新しい投稿がトップ)」というアルゴリズムを捨てることを発表した。新しいアルゴリズムは「ユーザーと投稿者との関係や投稿のタイムリーさなどを考慮し、ユーザーがコンテンツを気に入る可能性の高さの順」となるとIInstagramは説明した。

この考え方がInstagramの親会社であるFacebookのニュースフィードの表示アルゴリズム」に似ていると考えるなら、それは正しい。だいぶ以前からFacebookは人々がいちばん見たがる投稿は必ずしも最新の投稿ではないことに気づいていた。ある投稿にどれほどの関心が寄せられるかは、それぞれのユーザーの状況によって異なる。

一方、どんな熱心なファンでも1日24時間サイトにへばりついているわけではない―睡眠時間も必要だ。そういうわけでわれわれは親しい友だちの投稿や重要なニュースに関する投稿を見逃しがちになる。海外旅行などで異なる時間帯にいる場合は特にこの傾向が強くなる。

Instagramが木曜日に発表した短い記事によれば、ユーザーは平均してフィードの70%を見ていないという。Instagramは今や月間ユーザー4億人の巨大サービスに成長した。それに伴って投稿される写真やビデオの数も増加しつづけている。そこでさらなる効率化のためにアルゴリズムのアップデートが必要になったわけだ。

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Instagramがアルゴリズムの変更を行うことを発表した当初、当然ながらInstagramのプロ・ユーザーやブランドの間には強い懸念が広がった。投稿が以前ほど頻繁にユーザーの目に触れなくなることを恐れて、通知機能を利用するようユーザーに頼むブランドも多かった。

ある意味でこの不安は正しいといえる。もしユーザーがブランドの投稿に興味を示さず、ほとんど見ていなかったとすれば、今後の投稿はフィードのはるか下の方に埋められてしまう。

しかしこれは同時に Instagramの広告ビジネスに好影響を与えるはずだ。

今週Instagramはまさにこの問題を解決するためのビジネス向けの新しいツールを発表した。どんぴしゃのタイミングだ。

このInsightsツールを使うことにより、ブランドはユーザーの性別、年齢、居住地などの人口動態情報や主としてアクセスする時間などのエンゲージメント情報を分析できる。ある投稿の人気が高いと判明すれば、ブランドはアプリ内で数回タップするだけで投稿をInstagram広告に変換することもできる。

すでに報じたとおり、新ツールは数ヶ月以内にまずアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドに導入され、今年一杯かけて世界各地に順次展開されるという。

ユーザー向けの新しいアルゴリズムはすでに導入が開始されている。もし読者のInstagramがまだ新しいアルゴリズムを採用していなくても、すぐにそちらに移行することになるだろう。「すぐ」というのはいつ頃かという疑問が生じるが、Instagramの広報によれば、世界のユーザーへのアップデートが完了するには「数ヶ月かか」るという。

〔日本版〕記事中にも既報へのリンクがあるが、Instagramのビジネス向けツールについては6月1日のTechCrunch Japanの翻訳記事を参照。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Instagram、近くビジネス向けにアプリ内広告ツールをリリース―投稿がその場で広告になる

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今朝(米国時間5/31)、Instagramはビジネス・ユーザー向けツールをリリースすることを公式発表した。これには新しいフォーマットのビジネス・プロフィール、アナリティクス、そしてInstagramアプリ内からの投稿をそのまま広告にする機能などが含まれる。

今回のローンチについてはしばらく前から情報が流れていた。全般的にみて新しいプロフィールアナリティクスを通して得られるユーザー情報などに関する事前の情報は正しかったようだ。

Instagramではツールの正式公開前に何百社ものベータテスターから広告プラットフォームに関するフィードバックを得ていた。ビジネス・オーナーからの各種の要望が新しいプロフィールやInsightsと呼ばれるアナリティクスになったものだろう。

Instagramのビジネスとブランド開発のグローバル責任者、James Quarlesは、今回のビジネス・ツール発表の背景をこう説明する。「われわれの広告のアクティブ・ユーザーは20万に成長した。その大部分はスモール・ビジネスや中規模のビジネスだ。それに加えて、Instagramのユーザーの50%はなんらかのビジネスをフォローしている。60%のユーザーはプロダクトやサービスに関してInstagramで情報を得ている」

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われわれが以前報じたとおり、ビジネス・オーナーは新しいプロフィールにアップグレードすると拡張されたビジネス・ツールを利用することができるようになる。これには消費者がビジネスに電話、メール、メッセージで問い合わせできる能力、所在地が簡単に分かるナビゲーション付の地図などが含まれる。

ただしInstagramaのユーザーが誰でもこの機能を使えるわけではない。すでにFacebookページを開設しているビジネス・オーナーだけが、このページをInstagramのビジネス・アカウントに変換することができる。

「この方法ならば、Instagramのアカウントを作成する際にわれわれはユーザーの身元や支払情報に関する情報を得ている。またユーザーが望む場合はFacebookページのビジネス名、住所、電話番号、ウェブサイトのURLなどを再入力せずに利用できる」とQuarlesは説明する。

さらにこの方式であればビジネスを運営していないにも関わらず、Instagramを利用して売名行為に走る困り者を排除できる。こういしたユーザーはInsights(アナリティクス)のようなInstagramのすぐれた新機能を利用できない。ただし機能の詳細は利用コミュニティーの拡大とともに多少変更される可能性がある。

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Insightsを利用するとビジネス・オーナーは投稿した広告のパフォーマンスを調べられるだけでなく、顧客の人口動態統計もモニターできる。既報のとおり、このツールでは閲覧者属性、閲覧者数、インプレッション数、エンゲージメント数などが分かる。またフォロワーの性別、年齢、居住地域に関する統計も表示される。

Insightsはモバイル第一主義でデザインされている。つまり大企業の場合、担当者が出先から手軽に利用できること、スモール・ビジネスの場合はモバイル・デバイスがInstagramの主要な利用手段になるということなどを念頭に置いている。

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また今回、Instagramは手軽なモバイル広告作成手段の提供を始めた。ユーザーは投稿のアナリティクスを調べ、人気の高い投稿をアプリ内から広告に変換できる。アプリはまたオーディエンスの反応と広告予算をベースに適切な広告方法を提案する。ビジネス・オーナーはこうした機能の数回のタップで利用できる。ただしFacebookが提供する本格的な広告ツールであるAds ManagerPower Editorと比較するとアプリからの出稿には機能面でやや制限がある。

たとえばFacebookのデスクトップの広告ツールの場合、ユーザーはターゲットとなるユーザーを指定するためにメールアドレスのリストを送信したり、ランディングページでFacebook Pixelなどの高度なトラッキング機能が利用できた。Instagramのアプリ内広告ツールはこうした機能が省かれているかわりに使い勝手とスピードとが大きく改善されている。

ただし、InstagramがFacebookグループの一員であるというメリットをフルに利用するためには、豊富なk情報が得られるFacebookのデスクトップ広告ツールを併用するのが効果的だろう。【略】

Instagramの新しいビジネス・プロフィールはこの数ヶ月以内にアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドで公開される。年末までには全世界で利用可能になるという。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Instagramのアナリティクスで閲覧者属性、投稿インプレッション、リーチなど様々なデータが分析可能になる

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Instagramが、同社のプラットフォームを利用する企業やブランド向けに新しいツールを発表する準備をしている。企業のプロフィールや問い合わせボタン、地図などへのアクセス機能に加え、ポスト関連の数値や広告経由の購買実績などを計測する分析ツールだ。リリース前テストを行った誰かから情報のリークがあったおかげで、Instagramの分析ツールが実際にどのような内容なのかを見ることができた。

新しい分析機能の詳細については、一番始めにInstagramの予約投稿機能についてLater.comのブログに投稿された。このブログは、発表間近の企業プロフィール機能の画像を暴露したのを同じサイトだ。

しかしながら、これらのスクリーンショットは、Instagramのユーザーインターフェースが青と白のデザインから白黒に変わったUI変更よりも前に撮影されている。つまり、この機能が広くローンチする時には、このスクリーンショットから見た目が少し変わっているかもしれない。しかし内容はそこまで大きくは変わらないだろう。

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スクリーンショットから分かるのは、Instagramの分析ツールは「インサイト」と呼ばれるものを提供してくれるようだ。そして、フォロワーの属性とポスト分析といった2つの大きなエリアにフォーカスしているということだ。

フォロワー分析のセクションでは、フォロワーの位置情報や年齢、性別などを含む詳細な属性を見ることができる。位置情報は国別、都市別で見ることができ、メジャーブランドから小さなローカルビジネスに至るまで有意義なデータとなる。ユーザーの大半がどの地域にいるのか知ることで、投稿するタイミングを決めやすくなる。しかしながらInstagramの新しいタイムライン表示アルゴリズムで、表示方法は時系列ではなくパーソナライズされた順序になるので、あまりこの役目は意味がないのだが。

このアップデート後のタイムラインは、多くのユーザーがすでに利用しているという話も聞いているが、Instagramによるとまだ徐々に公開範囲を広げている段階のようだ。

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性別や年齢のような詳細なデータを円グラフや棒グラフで見られることに加えて、フォロワー分析のセクションでは時間別、日別での新規フォロワー数の推移も見ることが出来る。これにより、例えばどのポストがフォロワー数増加にピンポイントで効果があったのかや、どのポストが広く拡散されたか、などを知ることができる。

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ポスト分析のセクションでは、投稿の内容とそのパフォーマンスにフォーカスしている。想像できるだろうが、ここではインプレッション数やリーチ数、ウェブサイトのクリック数などフォロワーの行動を見ることができる。インプレッション数は投稿が計何回閲覧されたかの数字で、リーチ数はその投稿を見たユニークユーザーの数といった具合だ。ウェブサイトのクリック数はプロフィールに載せてあるリンクをどれだけの人がクリックしたか、という数字で、企業のアカウントだと多くの場合はその会社のウェブサイトへのクリック数ということになるだろう。

「フォロワーアクティビティ」ではフォロワーが最も良くInstagramを使う時間帯を表示してくれるので、投稿するタイミングを決める時に役立つ。

別のパートでは、過去の週や月ごとにインプレッションの多い順にポストを見ることができる。ここは特に面白い。なぜなら、これがシンプルなチャートではなく、ポストのサムネイル画像の上にインプレッション数がそのまま表示されているからだ。これにより、どのポストがよかったのかを計測できるだけでなく、全ての画像を一度に見ることで実際にどんな内容のポストがよかったのかを視覚的に見ることができる。

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また、これによりそのポストの長期的なパフォーマンスも見ていくことができる。つまり、フォロワーやそれ以外のユーザーは一度戻って昔のポストも見直したのか、それとも最近の新しい投稿だけを見ているのか、ということだ。

私たちは、Instagramが企業プロフィールの開発と同様に分析ツールの開発も行っていることを知っていた。しかし実際にどのような項目が見られるのか、どういった動きになるのか、というのは今まで見たことがなかった。

数ヶ月以内と言われているInstagramの分析ツール正式ローンチによって、企業や広告主に対して提供する機能という点でInstagramがFacebookに近づいていくのが分かるだろう。

同社は最近になって動画の閲覧数カウントや長時間動画(例えば60秒動画など)の広告分野に力を入れている。これらの機能は、広告主がデジタルに移行していく中で、TV広告に費やされる広告予算を4億人のユーザーを持つInstagramのプラットフォームに移管することを目的としている。

しかしながらInstagramには、企業、言い換えれば将来の広告主が、Instagram上で会社情報などをシェアする公式アカウントとして利用したり、ツールを使ってフォロワーや投稿内容、リーチや伸び率などを分析するなどの分野で、サポートが足りていなかった。しかしそれも近い将来変わるだろう。

Instagramはこの新しい分析ツールを現在利用できるようになったユーザーは全体の何%かといったことは開示しなかったが、分析ツールの存在については認めた。「私たちは、数ヶ月以内にInstagramに登場する新しいビジネスツールをテスト中です」とInstagramの広報担当者は話した。

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(翻訳:Kana Shiina)

Instagramで変わるソーシャルメディアのビジネス利用と「俺通信」な20代のコミュニケーション

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編集部注:この記事はカイユリコ氏による寄稿である。同氏は東南アジア向けアパレルコマース事業ANELAでCEOを務めた後、現在はFacebookグループの「Instagramマーケティング勉強会」を主催して情報交換をしつつ、自らInstagramマーケティングプラットフォームの「PONY」を開発している。本稿ではそんなカイ氏にInstagramのビジネス活用、そしてInstagramのメインユーザー層のオンラインコミュニケーションについて語ってもらった。

2010年にサービスを開始し、2012年にはFacebookが買収した写真・動画共有SNSの「Instagram(インスタグラム)」。今では全世界で何百万というブランドがこのサービスにアカウントを持ち、自社の商品に関わる情報を発信している。

広告ビジネスも好調だ。同社が2月に発表したところによると、グローバルで月間20万社がInstagramに広告を出稿しているという。これはTwitterの月間13万社を軽く超える数字だ。

この勢いは海外だけの話ではない。日本国内でもすでにMAU1200万人を突破。ビジネスユーザーは1万社を超えた。筆者らが運営しているInstagramマーケティング勉強会というFacebookグループは2015年1月末に運用をスタートしたが、すでに1500人近くが参加しており、Instagramのビジネス活用に注目する人が急増していることを感じる。

なぜInstagramへの注目が高まっているか? 一番大きな理由は、そのインタラクション(投稿を見たユーザーによるいいね!やコメント、シェアなどの行動)の多さである。米hootsuiteの調査データによれば、フォロワーに対するインタラクションはInstagramが4.21%であるのに対して、Facebookは0.07%、Twitterに至っては0.03%。つまり約60〜120倍の数字を出しているのだという。ファッションやフードなど、写真との相性が良い“インスタグッド”な業界の投稿であれば、より高い数字になっているのだという。例えばニューヨーク・コレクション(New York Fashion Week)においては、期間中に獲得した1300万件のインタラクション(いいね、コメント、シェア)のうち97%はInstagramで、残りはFacebookが2%、Twitterが1%という結果が出ている。

インタラクションの高さは、Instagram経由でのアプリダウンロードやメディア訪問などのエンゲージメントにも繋がっている。親会社であるFacebookはInstagram広告の最適化を今後重視していくとしている。

Instagramをプロモーションに活用する2つの方法

では企業はInstagramをどのようにプロモーションに利用するのか?それは

  1. 自社アカウントを育てる(ルーティン型)
  2. インフルエンサーに依頼する(スポット型)

大きくこの二択しかない。もっと簡単に言えば、「自分で発信する」か「他者に発信してもらう」かである。それぞれの手法についてもう少し詳しく紹介する。

  1. 自社アカウントを育てる(ルーティン型)

Instagramを通じてファンとの関係を築き、継続的に運用するための基盤作りを目的にしている場合、企業のアカウントでは良い写真や動画を投稿することに注力するだろう。また、ハッシュタグを利用した写真コンテストなどを開催したりもする。

このように自社アカウントを販売・PRチャネルとして機能させるには、コンバージョン目標とエンゲージメントレートから逆算したフォロワー数(あるいは投稿が拡散した際の閲覧者数)が必要である。もちろん時間や運用する人のセンスが問われるが、ファンと継続的に関係を保つ上で有効な手法である。

こういった「ルーティン型」の運用を支援する国内のサービスの代表格は以下の通り。筆者も現在Instagram向けのマーケティングツールPONYのベータ版をローンチしたばかりだ。

マーケティングツール(無料):PONY

マーケティングツール(有料):Aista (notari)、 Social Insight (ユーザーローカル)、 hashlikes (ナナメウエ)

運用/キャンペーン代行:sharecoto(シェアコト)、monipla(アライドアーキテクツ)

  1. インフルエンサーを巻き込む(スポット型)

これも最終的に自社アカウントの育成に繋がるケースもあるが、基本的にはスポット的にキャンペーンを盛り上げたり話題を作ったりすることを目的としており、そのために有名人やフォロワーの多いユーザーに対して投稿やプロジェクト単位で広告を依頼するやり方である。国内のおもな関連サービスとしては以下がある。

インフルエンサーへの発注プラットフォーム:Instagrammer.jp(3MINUTE)、 Tagpic(タグピク)、Life-Instagrammer Network(トレンダーズ)、コムニコインスタグラマーズネットワーク(コムニコ)

1、2の施策ともに、どちらか一方のみ行うのが良いというわけではない。戦略と予算に応じて効率的に運用を行わなければユーザーを囲い込めない。前者はセンスと時間、後者はお金が必要である。

Instagramはプロモーションだけのチャネルか

前述のとおりで、そのエンゲージメントの高さからInstagramアカウントを運用してプロモーションに活用するという動きは多い。だがInstagramの底力はプロモーションだけではないと筆者は考えている。

あくまでファッション業界を中心とした動きではあるのだが、「インスタグラムは顧客との最初の接点として、製品がベストセラーになるかどうかを判断するのに使っている」という企業が増えているのだ。

例えばオンライン小売のエバーレーン(Everlane)は、2016年1月、Instagramで非公開のアカウント(@EverlaneStudio)を開設し、つながりの深い顧客で構成された一種のフォーカスグループをInstagram上に作り、新しい製品のデザインなどについて議論に関わってもらった。

オンラインファッション誌「フーホワットウェア(WhoWhatWear)」は2016年、米量販店のターゲット(Target)と協力して、はじめてのリテールブランドを立ち上げた。その際、彼ら短い動画を撮影し「@whowhatwear」のアカウントから160万人のフォロワーたちに、「クローゼットのなかにない服は何か」と尋ねた。 そのフィードバックから、若い女性にはファッショナブルで手ごろな値段のビジネスウェアの種類が少ないことを突き止め、その後の商品開発に生かしている。

ファッション業界をはじめとして、いくつかの業界において、顧客はすでにInstagram上に存在しており、コミュニケーションをとれる状態なのだ。上のように潜在的な顧客のニーズを聞いたり、商品デザインや画像のA/Bテストを行ったり、より良いものを作り伝えるためにもInstagramは使われている。

今後の国内Instagramマーケティングの動き

今後Instagramは、アートだけの世界ではなくなっていく。より多くの広告が入り、アルゴリズムによって表示順序が変わり、フォローしている人からは広告としての投稿が流れてくる。

ここで予測できることは2つある。ひとつは——もはや発生していることだが——InstagrammerがYoutuberのような「仕事」にもなるということ。たとえば海外だと、sponstaのような企業とInstagrammerのマッチングサイトがある。ここにはセレブリティだけでなく、数千人のフォロワーがいる一般人が登録しており、様々な広告案件を請け負っている。

また海外セレブリティについては、Instagramの投稿広告が高額で発注されている状況だ。ケンダル・ジェンナーカーラ・デルヴィーニュらのトップモデルのソーシャル上での一投稿の価値は約1530万円〜3700万円、カーリー・クロスミランダ・カーらの投稿は、約300万円〜615万円ほどの価値があることが判明した

国内においても、上記インスタグラマーネットワークではこうした投稿広告の発注が行われている。TechCrunch JapanでインスタグラマーであるGENKINGの記事が話題になったのも記憶に新しい。今後はセレブリティや著名人だけでなく数千、数万程度の一般ユーザーに対しても広がっていくだろう。

もうひとつは、Instagramの写真データとしての活用だ。

Instagram、あるいはInstagram APIを使うサードパーティが、写真という大量のデータの機械学習によって振り分けて最適化していく(これは写真・動画投稿SNSとしてユーザビリティを改善するだけでなく、ECサイトやメディアにおいてCVRの高い写真・動画素材としての活用かもしれない)ことが考えられる。FacebookはF8において、今後10年間で注力することのひとつにAI活用を挙げたが、もしかしたらこれにも関わってくる動きになるのではないか。

リテラシーの高い学生のコミュニケーションは“俺通信”が中心に

最後に、Instagramのメインユーザーでもある20歳前後の大学生たちに聞いた話を紹介したい。もちろんITリテラシーの高い人物が中心なので、これが「ごく一般的な大学生のリアル」とは言えない。しかしながら、10〜20代のコミュニケーションの質が変わり始めていることを感じられる体験だった。

これまでコミュニケーションアプリといえば、日本ならLINE、グローバルで見ればWhatsAppやViberなど、メッセージやスタンプを「送る」「受け取る」ことでやりとりをする、文字通り「コミュニケーションをとる」ためのアプリだった。

そのため、自分がメッセージを送ったときには相手からの返信を期待する。返信がなければ「既読スルー」に悩み、極端なところでは仲間内で作ったLINEのグループから外される「LINEいじめ」といわれるような現象が生まれるなど、コミュニケーションをとることの煩わしさも目立つようになった。

しかし筆者が話を聞いた学生のコミュニケーションは、その煩わしさからも解消されているというのだ。つまり、彼らのコミュニケーションは、もはや相手からの積極的なインタラクションすら期待していないというのだ。

彼らはFacebookやLINEで相手に連絡する手段は確保しつつも、日常ではInstagramやSnapChat、MSQRD(マスカレード)でただ自分の日常をアップデートするだけ。恋人でもない人やさほど興味のない相手が自分の報告を逐一メッセンジャーなどで送ってくることを「俺通信」と呼ぶことがあるそうだが、そんな俺通信と呼べるような発信こそがコミュニケーションの主軸になっているのだ。

俺通信を主軸にしたコミュニケーションとは具体的にはどんなものか? まず彼らは食事会や合コンで知り合った異性に対してLINEのID交換を求めるのではなく、Instagramのアカウントを教えあう。直接コミュニケーションを取るのではなく、Instagram上でお互いの発信する内容を見て人となりを知り、趣味を知り、話のネタを見つけて、仲良くなれるかを探る。そして 仲良くなれそうだと判断した時に初めてLINEやFacebookのアカウントを交換する。ここでやっと連絡手段を確保し、距離を縮めていくのだという。

そして何度か話したり、共通の友人が多いことが分かったりすると、今度はSnapChatアカウントを教え合うのだという。SnapChatのStory(Facebookのウォールのように、時系列で投稿を閲覧できる機能)で、近況をテキストやスタンプとともに投稿し、特定の友人とだけ共有したい話があるときだけ、直接メッセージを送り合う。

SnapChatやInstagramは、基本的に自分が送って相手が返信する、というコミュニケーションは求められていない。既読スルーもなければ、送受信の頻度も割合も気にかけなくて良い。全員が好きなタイミングで「俺通信」を送り、興味がある時にだけ連絡をする。それは「返信」ではなく「連絡」くらいの感覚だ。ITリテラシーの高い大学生にとっては、自分との関係を”推し量る”程度の距離感が心地いいようだ。

Facebookの国内アクティブユーザーは2500万人、92%がモバイル利用——10代ユーザーの割合は少ない?

Facebook Japan代表取締役の長谷川晋氏

Facebook Japan代表取締役の長谷川晋氏

Facebookの国内月間アクティブユーザー(MAU)は2500万人、その92%はモバイルからアクセスしている。InstagramもMAU1200万人まで成長——Facebook Japanは4月20日に東京・六本木で開催したプライベートイベント「Mobile Moves People」を開催。Facebook Japan代表取締役の長谷川晋氏がこんな数字を発表した。

モバイルの時代は「もう来ている」

イベントの冒頭に登壇した長谷川氏は、2015年7〜9月期に国内スマートフォンユーザー数は5080万人と5000万人の大台を突破したとし、あわせて人々が携帯電話やスマートフォンに接触する時間が10年で7倍に増加(これはテレビや新聞、ラジオなどの各種メディアのうち21%を占める数字だ)していると説明。スマートフォンがブランドと消費者、ビジネスと消費者を繋ぐ役割を担っていると語った。

この流れは若い世代ほど大きい。すでに10代、20代のファーストスクリーン(一番接触している「画面」)がスマートフォンになっており、20代女性の78%がスマートフォンで商品購入経験があるというデータも示した上で、若い世代にとって、スマートフォンがマーケットの窓口にもなっていると話した。

そんなスマホシフトした時代により重要度が増しているのが「動画」だ。長谷川氏は動画について「単独のトレンドで見るのではなく、モバイル上でのコミュニケーションという点で捉えるべきだ」と語る。つまり昔は携帯電話上でテキストによるメッセージが生まれ、携帯電話にカメラがついて写真でのコミュニケーションが生まれた。さらにカメラの品質が向上することで動画を撮影するようになった、と(Facebookがその次のコミュニケーションとして考えているのは「AR/VR」による体験の共有だが、今はまだ動画が台頭してきた段階だ)。

事実、Facebookでは毎日80億回の動画が再生されている。ユーザーの急増するInstagramも動画の割合が増えてきた。具体的な数字は公開されなかったが、過去6カ月での動画再生伸び率は40%だという。自分自身やペットの動画もあれば、イベントレポートや著名人の情報発信など、様々な利用シーンがある。こういった背景から長谷川氏は「あらゆるシーンで動画の重要度が上がっている」と説く。

動画の重要性は広告の世界でも同じだと長谷川氏は続ける。Facebookではすでに動画広告、カルーセル(複数の写真をスライドして表示する)、360度動画、キャンバス(全画面表示で動画、カルーセルを組み合わせた広告)など、各種の広告商品を展開すると会場に向けて語った。「モバイル化する時代が来る来ると言われて何年も経っているが、モバイルのプラットフォームを運営している立場からすれば『もう来ている』。人を動かすマーケティングが求められている」(長谷川氏)

Facebookの広告フォーマット

Facebookの広告フォーマット

 

イベントではこのあと、Facebook Japan マーケティングサイエンスリードの小関悠氏がFacebook広告の成功事例に関するプレゼンを行った。Facebook広告は、ブランド広告に求められる(1)狙った人に届く精度(ある会社(社名は非公開とのことだった)とのテストでは、Facebook広告によるターゲットへのリーチ精度が95%以上だったのに対して、その他のターゲティング広告でのリーチ精度が62%以下だった)、(2)記憶に残るフォーマット(広告接触者、非接触者を比較したところ、一般的な施策では6ポイント程度の広告認知が進むところ、Facebookで9ポイント、Instagramで18ポイント上昇したという)、(3)他メディアとの相乗効果(テレビとFacebook、Instagramは利用シーンが異なるため、相乗効果がある)——の3つの要素を実現している、といった話だ。

FacebookとInstagram、テレビの利用シーンに関する調査

FacebookとInstagram、テレビの利用シーンに関する調査

 

実は10代ユーザーは少ない? スライドに疑問

最後にちょっと気になったスライドがあるのでここで掲載しておく。これはその小関氏のあとに登壇したFacebook Japan クリエイティブストラテジストの田中徹氏によるプレゼンの一部だ。

田中氏は、プレゼンの前に広報ストップがかかって数字(世代ごとの割合)を削除したと語っていたのだが、これは冒頭に書いた2500万人の国内Facebookアクティブユーザーの世代ごとの割合を示した図だ。数字が非公開ということなのでなんとも言えないところではあるが、この図の「世代ごとの割合」自体が正しいとしたら、実は国内Facebookのユーザー層は30代、40代以上が半分以上の割合をしめており、一方で10代(とはいえ16〜19歳の数字なので、そもそも対象となるのが他の世代の半分以下ではある)は全体から見ると決して大きい割合ではない…そんなことも考えられるものではないだろうか。

Facebook Japan クリエイティブストラテジストの田中徹氏によるプレゼンの一部

Facebook Japan クリエイティブストラテジストの田中徹氏によるプレゼンの一部

北朝鮮がTwitter, Facebook, YouTubeへのアクセスをブロック

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エイプリルフールのジョークではなかったニュースによると、北朝鮮が今週から、同国内におけるTwitter, Facebook, YouTubeなどのWebサイトへのアクセスをブロックしている。

北朝鮮の首都平壌に支局のあるAP通信の報道では、政府はYouTube, Facebook, Twitter, Voice of America, およびいくつかの韓国のWebサイト、ポルノやギャンブルのサイトを、“一定の期間”ブロックするインターネットサイトのリストに載せている。さらに加えられている、とされる発表では、これらのサイトに“不正な”方法でアクセスしようとしたり、“反共和国的なデータ”を配布する者は処罰される。それがどういう刑かは、明らかでない。

北朝鮮はどう見ても、インターネットアクセスが一般的に普及しているところではない。同国は携帯電話のユーザーが200万人いるとされるが、インターネットアクセスは政府職員やその他の高い地位の者に限定されている。今度のブロック措置によって、この国の情報アクセスはさらに制限されることになる。

北朝鮮の唯一のモバイル事業者Koryolinkは2013年に、訪問者にモバイルによるインターネットアクセスを認めたが、– 一部に閉鎖のような現象があり、Instagramもときおり不調だった– にもかかわらず、それによって世界でもっとも孤立的な国からの画像や情報が、より幅広いオーディエンスにもたらされた。

そのときは、北朝鮮が一般国民にもインターネットアクセスを認める方向に動く、と期待されたが、これらのWebサイトをブロックしたことは、その期待に反している。北朝鮮からのすばらしい画像を共有しているアカウントの多いInstagramは、今のところはアクセス可能だ。

本誌TechCrunchは今、Twitter, FacebookおよびGoogleに、確認とコメントを求めている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Instagram、通知タブの追加でウェブ版インターフェイスをさらに強化

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Facebook傘下のソーシャル写真共有サイトのInstagramはもともとスマートフォン専用アプリとしてスタートした。しかしその後ブラウザ版にも力を入れてきたので現在はスマートフォンをいちいちポケットからひっぱり出さなくても利用できる。

今日(米国時間3/22)、Instagramはウェブ版アクティビティ・タブを追加した。

これはサービス内から通知を送るための機能で、モバイル・アプリ版の「通知」とまったく同じものだ。 投稿に対する「いいね!」、コメント、フォロー、タグ付けなどの状況が通知される。このウェブ版のアクティビティ・タブが今日から全ユーザーに対して有効になった。

新機能についての最初の報告はRob Poitrasからだった。モバイル・ファーストでスタートしたライバル、Snapchatも先月、重要イベントについてについてライブ・ストーリーという形でウェブ版に通知を送る機能が追加された。

Instagramがユーザー・プロフィールをウェブ版でタイムライン風に表示し始めたのは2012年だった。つづいて2013年に「いいね!」を含めたフィードやコメントがスクロールで閲覧できるようになった。そして昨年、ウェブ版でも検索が可能になった。

Instagramは今回の機能追加がウェブ版の強化への大きな動きの一部なのかどうかについては明らかにすることを避けた。つまり単発のバージョンアップという可能性もある。しかしInstagramのクロスプラットフォーム性の拡充は利用を増加させ、ネットワーク効果を強める効果があるだろう。
Instagramの城壁を厚くし、堀を深くして他の同種の写真共有サービスを寄せ付けないようにできるかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

アルゴリズム式フィードは、われわれに競争を強いる

Russell Crowe with sword in a scene from the film 'Gladiator', 2000. (Photo by Universal/Getty Images)

その写真、きれい?そのツイート、面白い?もしそうでなければ、InstagramとTwitterがアルゴリズムでフィードを並べ替えるようになった今、見てもらえないかもしれない。これは、マーケターには大きな問題となってふりかかり、われわれのソーシャルメディア生活をストレスの多いものにするかもしれない。

アプリを一貫して興味深いものにするために、特にノンストップでのチェックをしない人たちのために、InstagramとTwitterは、Facebookのニュースフィード風ランキングシステムに切り替える。

これまで、もしあなたがインスタかツイートする価値があると思ったものを投稿すれば、フォロワーはアプリを開きさえいれば見ることができた。自分の投稿が表示に値するかどうかを心配する必要はなかった。フォロワーは、保証された聴衆だった。選り分けられることのないフィードに、多くの記事を送りすぎて友達をスパム被害にあわせないことを注意するだけでよかった。

これからは、最高の写真か、一番気の利いた風刺だけを投稿しなくてはならない。さもなければ、記事は闇に沈み、人々が見るに値するとアルゴリズムが考えた記事の下に埋もれてしまうだろう。

同じことはFacebookニュースフィードの中のFacebookページですでに起きている。ページのオーナーは、たとえ自分のページを購読しているファンであっても、その多くにリーチすることができない。それは、読む時間の限られるニュースフィードのスペースに競合するコンテンツが多すぎるからだ。企業は、参照トラフィックの減少を恐れている。再びリーチする唯一の方法は、Facebookに料金を払って自社記事の可視性を高めることだ。

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似たような因果はInstagramとTwitterにも迫ってきている。もはやフォローだけでは十分ではない。質の高いコンテンツを投稿し、人々から次々といいね!をもらって、すべてのコンテンツを見てもらうようにする必要がある。

タダ乗りの時代は終った。もはや企業は、こうしたプラットフォームを無制限マーケティングチャネルとして使うことはできない。強引な売り込みは、真の楽しみに取って代わられて影を潜める。コンテンツ記事と直接的なマーケティングの混成よりも、個々のInstagramやツイートを魅力で飾らなければ、埋もれてしまう。

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一方で、平均的ユーザーはそうそう多くの写真や140文字の思いを発信することができない。もはや彼らは、自分の冒険のリアルタイム物語を投稿しても、全部を見てもらえるとは限らない。

もしあなたが、Instagramは既に人々の生活の成功物語のハイライト集だと思っていたなら、もっとぜい肉を削ぐ必要があるだろう。そしてTwitterの未読まとめ機能(While You Were Away)は、ツイートが最新であることを読まれるための鍵ではなくすことによって、できるだけ多くツイートするというユーザーの切迫行動パターンを変えるかもしれない。

今回の変更が両サービスを取っつきやすくすることは間違いないし、定着率も高まるだろう。頻繁にチェックしなくても、最後に見た後のベストコンテンツを見逃がさずに済む。これによって、ユーザーはハマりやすくなる。これは入会、退会、メンバー数成長に問題を抱えるTwitterにとって、特に重要だ。

アルゴリズムによるフィードは悪くないし、今Facebookとさほど変わらない ― あらゆるコンテンツが視聴者の目を奪い合う、権威ではなくスキルと戦略で勝ちとる場だ。

そして最終的にこの変更は、Snapchatをこれまで以上にユニークに感じさせることになるだろう。好きなだけ投稿して、何が友達の注目に値するかを決めるコンピュータはそこにいない。そして、投稿の嵐を浴びせかけて他人の記事を埋もれさせる心配はいらない。すべての投稿が1本のリストに連なり、友達はフィードに強制的にプッシュされるのではなく、自発的にプルして読むことができる。

他のソーシャルネットワークが、ユーザーに最高であることを求める中、Snapchatは、自分自身でいることだけを求めている。

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ブランドのためのInstagramは終わった

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【日本版編集部注:Steve Feinerは、東南アジアのオンライン生花配達サービス、A Better Floristのファウンダー・CEO。】

先週Instagramはニュースフィードのアルゴリズムを変更した。投稿は時間順には表示されず、「ユーザーの興味のあるコンテンツ、投稿者との関係、および記事の適時性に基づいて」並び替えられるようになった。

これがどういう意味かといえば、何をいつ見せるかは、Instagramが選ぶ ー 事実上Facebookのニュースフィードと同じになった。

この変更は、ユーザーのフィードを最適化する方法とされているが、実際には広告コンテンツを制御する力をInstagramに与えている。「平均して、ユーザーはInstragramフィードで約70%の記事を見逃している」とInstagramの共同ファウンダー・CEO、Kevin Systromは言う。「重要なのは、ユーザーが見る30%をできる限り最良の30%にすることだ」。確かにそれは真実だが、間違えてはいけない、Instagramはこれを収益化のために行おうとしている。

Facebookが気にする理由

Instagramの親会社であるFacebookは先日、Q4の売り上げ58億ドルを発表し、前年比51%の成長だった。Facebookの伸び率は40%以上が続いているが、この成長率を維持することは並大抵ではない。

Facebookの過去の成長率を当てはめると、次の四半期には20億ドル、1年後の四半期には30億ドルを上乗せする必要がある。

最近の決算会見でFacebookのCFOは、「Facebookの中核機能が売り上げを押し上げている」と語った。この成長は、ユーザー当たり平均売り上げの上昇によるものであり、ユーザー数の成長ではない。この成長を、Facebook本体で維持していけるのだろうか?

Facebookは来年の現四半期に、累積30億ドル以上成長する必要がある。ユーザー数の成長率を、過去の実績である13%とすると、ユーザー当たり平均売り上げは33%伸びなくてはならない。Facebookが2012年Q1以来、すでに、途上国で4倍、米国・カナダで5倍以上成長していることを踏まえると、Facebookにそれは可能だろうか?果たしてFacebookは、ユーザー当たり平均売り上げを、これも飽和状態になるまでにどこまで伸ばすことができるのだろうか?

そこで、Instargramのような新しい分野での収益化が重要になってくる。eMarketerによると、Instagramの売り上げは2015年に6億ドルに達し、2016年には149%成長すると予測されている。これがユーザー数の伸びによるものでないことは明らかだ。149%のユーザー成長は、来年だけで6億人の新規ユーザーに相当する。

ブランドへの影響

ここにInstagramが関わってくる。過去数年間、何千というブランドがInstagramに参入した。そこが最も消費者を引きつけるソーシャルメディアと気づいたためだ。Instagramが収益化を始めると何が起こるか?最も摩擦の少ない道はFacebookと同じ道をたどり、オーガニックなリーチを制限することだ ー これは以前Facebookで見てきたストーリーだ

では、Instagramの素晴らしいコンテンツを作ることに多大な投資をしてきたブランドはどうなるのか?主要ブランドは、かつて無料だったメディアに金を払う予算を持っているが、ブログショップなどの小さな店舗はそう恵まれてはいない。

もしあなたのビジネスが、チャンネルとしてのInstagramに強く依存しているのなら、顧客獲得には完璧に編集した写真だけではなく、べらぼうな値札がついてくることを覚悟したほうがいい。

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook

3ミニッツが動画中心のECサイトを4月にローンチ、インスタグラマーと連携した商品も

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InstagramやYouTube向けの動画プロダクションや動画メディア「MINE」の運営を行う3ミニッツが今度はファッションECに参入する。同社は4月28日にファッション動画コマースアプリ「GINI」を4月28日より提供する。

GINIの特徴は「動画」。これまでの3ミニッツのノウハウをもとにしてファッションアイテムを動画で紹介。そこからコマースへと誘導する。同社によると動画で商品購入できるスキームについての特許も出願中だという。年内約100ブランドが参加予定。また、同社がネットワークを持つインスタグラマーなどとコラボレーションしたオリジナル商品の企画も進める予定で、「他のECサイトでは手に入らないアイテムが並ぶのがポイント」(3ミニッツ代表取締役社長CEOの宮地洋州氏)なのだそう。

動画も自社で制作する。「スタイリング動画を手軽に制作できるフォーマットを用意しているので負担はそこまでない。既に動画メディア『MINE』でもノウハウが貯まってきている」(宮地氏)

ところで3ミニッツは設立(2014年9月)から間もなく動画プロダクションを行っているのだけれど、そのトレンドはすでに変化があるという。当初YouTubeへのニーズが高かったが、この1年でInstagramへのクライアントニーズが急増しているという。「Instagramの盛り上がりに合わせて、Instagram発のインフルエンサーがどんどん登場している」(宮地氏)。先日記事で紹介したGENKINGのような存在が増えているのだそう。3ミニッツはインスタグラマー事業と動画制作事業、動画メディア事業で月額受注売上高(2016年1月)1億円を超えたという。

ローマ法王フランシスコ、公式Instagramアカウント開設との報道

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ソーシャルメディアファンのローマ法王フランシスコは、既にTwitterで発信しているが、近々Instagramも始めるらしい。イタリアのニュース会社、ANSAは、Vatican Radioによる教皇庁報道官、Dario Viganòのインタビューを引用して、法王は3月19日にInstagramデビューの予定でアカウント名はFranciscusになると報じた。

フランシスコ法王は、「健全でオープンにシェアできる社会を作る」インターネットの能力を激賞しており、先月にはInstagramのファウンダー・CEO、Kevin Systromsが法王に謁見した(法王はEric Schmit、Tim Cookら他のIT幹部とも会った)。

メディアは、両者が法王の公式写真共有アカウント設定について議論したとは報じていないが、Systromは自身のInstagramで、画像が社会の境界を越えて人々をつなぐ力について話し合ったと、書いている。

バチカンは、既に認証Instagramアカウントを保有しており、7万8900人のフォロワーがいる。もしフランシスコ法王が実際に自身のアカウントを持つことになれば、写真共有ネットワークに氾濫する、少なくとも2件の「公式」を名乗るものを含む法王を語る偽アカウントを防止し、偽自撮りを撃退するのにも役立つかもしれない。

TechCrunchは、教皇庁とInstagramにメールを送り、追加情報を求めている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Instagramが表示アルゴリズムを一新―最新の投稿ではなくもっとも関心を引きそうな投稿がトップに

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平均的なInstagramユーザーはフィードに表示される写真の70%を見ていないという。たとえ大量に「いいね!」が付き、友達の間で繰り返し共有されているような評判の写真であっても見過ごしている可能性が高い。

そこで今日(米国時間3/15)、Instagramは写真が表示されるアルゴリズムを一新することを発表した。 これまでは厳密に時間の逆順(最新のものがトップ)で表示されてきた。Instagramによれば今後は「ユーザーがコンテンツに興味を示す可能性が高い順序」となる。写真の表示順序には投稿したユーザーとの関係や投稿のタイミングも考慮されるということだ。

新しいInstagramのテストは、少なくとも当初は、かなりゆっくりしたペースで行われる。「すべての投稿は従来どおりユーザーが閲覧可能だ。ただし別の色でマークされる」という。しかし将来は質が低い写真はフィードから完全にフィルターされて姿を消すことになるだろう。

つまりこういうことになりそうだ。友達が投稿した写真に「いいね!」をたびたび押していた場合、夜寝ている間に友達が投稿した写真がたくさんの「いいね!」を集めていたとする。ユーザーが朝Instagramを開くと、投稿が数時間前であっても、その写真がまっさきに目に入る。これは基本的にFacebookの投稿が表示されるアルゴリズムであり、最近Twitteもこの方式を有効と認めてニュースフィードの表示に採用している。

関連性の高さで表示が最適化されるとなれば、神経症的にすべての写真をチェックしていなくても、人気の写真を見逃す心配はなくなる。また関心のない写真の洪水に見舞われる心配も少なくなるので、今までよりも多くのアカウントをフォローすることができる。特に外国の友人の場合、寝ている間に投稿されることが多く、時刻がずれるために見逃す可能性が高かった。

ただし、こうした最適化により、Instagramのリアルタイム性は薄れることになる。最新の投稿が常にトップに表示されることがなくなるため、ニュース性にとっては不利となる。投稿者側から見れば、アルゴリズムに選んでもらえるような質の高い写真でないとどこか消えてしまいかねないという心配が生じる。Facebookページの表示の順序の変更と同様、企業やブランドにとってはマーケティングのチャンネルとしての有効性が低下するかもしれない。

写真がフィルターされるようになれば、ユーザーにとって退屈な写真な写真ばかり並ぶ事態が避けられ、サービスの利用率はアップするだろう。Instagramはすでにわれわれの生活に深く根ざしたサービスになっているので表示アルゴリズムが変更されたからといって利用を止めるユーザーはほとんどいないはずだ。同時にInstagramとTwitterが共に新しいアルゴリズムの採用に動いたことを見るにつけ、ソーシャルメディアで投稿を多くの人に見てもらうための競争はこれまで以上に激化していくものと思われる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Googleは使わない、SEO対策しているから——Instagram有名人のGENKINGが語った10代の「リアル」

GENKINGさん

GENKINGさん

3月3〜4日に福岡で開催中の招待制イベント「B Dash Camp 2016 Spring in Fukuoka」。初日午後には「次のビジネスを仕掛けるなら、Instagramに乗れ!」と題したセッションが行われた。Instagramで話題の芸能人GENKINGさんのほかフェイスブックジャパン代表取締役の長谷川普氏、セプテーニ・ホールディングス代表取締役社長の佐藤光紀氏が登壇。Supershipデジタルエージェンシー事業部事業部長の菅原健一氏がモデレートをする中、Instagramを積極的に利用する10代20代の実態、そしてInstagramを利用したマーケティングの現状が語られた。

TechCrunchの読者はGENKINGさんをご存じだろうか?今やInstagramでフォロワー84万人を誇るマルチクリエーター・タレント・モデルだ。同氏がInstagramを始めたのは約2年前。その頃はフォロワーは友だちだけだったという。インスタグラムを積極的に活用するきっかけとなったのは、美容室で髪の毛のカラーリングをした際の写真をアップしたこと。初めて知らないユーザーから「どこの美容院で染めたのか」なんて質問が来たのだという。そこから友人以外とのコミュニケーションが生まれ始めた。「この写真はどこのレストラン?」「この写真はどこの洋服?」見知らぬユーザーとそんなコミュニケーションを繰り返すウチにフォロワーがだんだん増えていった。

IT系にどっぷりの人間ならまだしも、SNSで見知らぬ人とコミュニケーションを取ることに抵抗はなかったのだろうか?「初めて使ったSNSはmixi。mixiでコミュニティ機能を使っていたから全く抵抗なかった」(GENKINGさん)。次第にどんな写真だとフォロワーやいいねが増えるかを意識するようになった。

「これはもしかしたらInstagramが仕事になるかも知れない」——そう考えるようになってからはInstagramに写真をアップするためにレストランに行く、ブランドの新作を買う、高級ホテルに泊まるといったアクションを起こしていく。その投稿は各種ブランドなどにも認知されていき、ラグジュアリーなパーティーに呼ばれるようになった。Instagramを始めて約半年。フォロワーが1万人ほどになったとき、韓国のファッションブランドからファッションショーに来て、ギャランティーを払うのでInstagramにアップしてくれないかという招待を受けた。ビジネスとしてInstagramを利用できることを確信したという。

こんなことを書くとインスタグラマーのシンデレラストーリーみたいだが、GENKINGさんはInstagramの利用について戦略的だし、10〜20代の利用動向についても詳しい。またファッションECサイトのアルバイトをしていたということで、ネットの仕組みだってちゃんと理解している。ここからはそのあたりの話をお伝えしたい。

1枚の写真のアップに「800枚撮る」

まずInstagram向けの撮影、そしていかに影響力の投稿ができるかについて。当然だがInstagramに求められるのは写真のクオリティ。GENKINGさんは1枚の写真をアップロードする際、ベストショットが撮れるまで何度も何度も写真を撮り直すという。「ひどいときには800枚くらい。1枚の写真だけれども、それが10枚、100枚と『その人』になっていく。なので写真の品質は徹底している。(後から品質がダメだと思うと)上げても落としたりする」(GENKINGさん)。撮影にはiPhoneを使うが、2台持ち歩いている。1台で撮影し、もう1台はライティングに使うのだという。

また海外戦略もしっかりしている。「今は海外でお仕事がしたい、受け入れられたいので、テキストをたまに英語にしてみたりしている」とのことだが、以前は韓国語での投稿に注力する時期なども作っていたのだそうだ(それが前述の韓国からのオファーに繋がった。「韓国や米国、1カ月くらいの間当てたいところ(ユーザー層)に当てていく」。国によって好みの写真も変わる。米国ならパキッとした原色が受け入れられる、韓国ならエフェクトが掛かっている方が受け入れられるといった具合だ。

大人がやっているInstagramは「ダサい」

Facebookの長谷川氏、セプテーニの佐藤氏はそれぞれプラットフォームの提供者、Instagram向け広告を手がける代理店として、ビジネス視点でInstagramというプラットフォームを見ている。佐藤氏からはInstagramに広告が入っていることについてどう思うかという質問が飛ぶ。

「リアルな話を言っていいですか? Instagramに合っているブランドさんと合っていないブランドさんががあると思っていて。あとは…写真がダサい」(GENKINGさん)

800枚撮影して、最高の1枚をアップロードするなんていう同士は、1枚1枚の写真に重要さがあると語る。だが今のInstagram広告はイケてないのだという。「せっかくお金を払っているのに、あれじゃ(クリックせずに)飛ばしてしまう。その1枚をクリックする写真に変えていかないといけない」これは単純なクリエイティブ品質だけではなく、ターゲットの話もあるそうだ。

「Instagramをやっているのは10〜20代。『大人っぽい』ものはクリックしないと思うんです。どの会社でも若い子がいて、そういう子の方が『リアル』を知っている。そういう子にSNSのマーケティングを任せないと『わー、大人がやってるんだな』と思ってしまう」

GoogleはSEO対策されていて「リアルじゃない」

では今10代20代のInstagramユーザーは、このプラットフォームを何に使っているのか?

「僕の友だちは雑誌を買わなくなっている。雑誌は作られていてリアルじゃないんですよ。Instagramは好きなモデルの私服を見られたり、すごくリアル。それ(モデルなどのアカウント)を見ることで、『このブランドの新作の鞄がかわいい』と発見できたり、レストランだって新しい情報がケータイで見れる。好きな子をフォローすると、好きな子の情報が全部入る。若い子、間違いなく10代はかわいい子や格好いい子を探して、Instagramで欲しい洋服を探している」(GENKINGさん)

長谷川氏も「旅行で行き先を見るだけでなく、旅の準備だってInstagramを見て決めるということがある」と語るが、GENKINGさんもそれに同意する。

面白いのは検索ツールとしてのInstagramの使い方だ。「例えばパンケーキ屋のハッシュタグで、その店で何が食べられているのか分かる。ディズニーランドに行きたいとなったとき、混み具合も分かる」。佐藤氏はそもそもこういった検索がTwitterで行われていたと指摘するが、GENKINGさんはInstagramで検索するのだという。

「Googleで検索すると文字が出てくるし、(検索結果は)SEO対策されている。あとはスポンサー(広告)とかが上がってきて…ネットってリアルじゃない。Instagramは検索することで言葉より画像が表示される」。もちろんInstagramにだって広告は入っているわけだが、これは確かに言い得て妙な話だ。

GENKINGさんは「昔の若い子の楽しみって買い物からおけ、今はセルフィーなんですよ。SNSに写真をアップするのがライフスタイルの1つになっている」と続ける。だから、ビジュアルで個人ユーザーがリアルに使っているモノが分かるのだと。「一昔前ならGoogleで検索して化粧品のランキングを見ていたが、いまは見ません。結果にウソが多いのも若い子は知っている。自分が使っている化粧品が良くなくても評価いいと『ウソだな』と思う。Instagramは個人がやっているからウソがない」——もちろんInstagramにだって広告は入っている訳だけど、SEOの件も含めて、すごく核心をついた話に聞こえる。

今後のトレンドは写真から動画に

長谷川氏はFacebookの戦略として、テキストから写真、動画、そしてAR/VRの領域で人と人のコミュニケーションを提供してきた。Instagramでも今は写真だけでなく動画もアップできるが、今後メディアフォーマットのトレンドはどうなるのかとGENKINGさんに尋ねる。

「今はSnapchatも流行ってきていて、来年には全部動く(動画になる)とも思うんすよ。今ってネットで洋服を買うとき、正面や後ろしか見えないけれどど、動画なら他の角度も見えます。メイクにしても、写真だと「コテがどちらに曲がっているかも分からない」。メイクだってごはんの作り方だって、どんどん写真から動画になっていくと語る。「僕はInstagramでも動画をどんどん上げていくと思う」

Instagram、広告主が20万社に急増

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Instagramは今日(米国時間2/24)、月間アクティブ〈広告主〉が20万社に達したことを発表した

比較すると、Facebookは1年前に200万社のアクティブ広告主がいると発表し、Twitterは14万 13万社と言っている。おそらくInstagramの数字で最も注目すべきなのは、このFacebook傘下の写真共有サービスに、6月にはわずか数百の広告主しかいなかったという事実だろう。

成長の大部分は海外だ ― Instagramの広告プログラムは5ヵ月前に全世界に拡大され、同社の事業開発およびブランド開発責任者、James Quarlesは、広告主の75%が米国以外であると私に話した。

例えば、Instagramによると、ドイツのスーパーマーケット、Reweは、キャーンペーンの結果、広告記憶が37%改善した。またブラジルのEコマース会社、PetLoveは、キャンペーンによる1インストール当たりのコストが、他のオンラインチャンネルより30%低かった。

Quarlesが、Instagramは広告主が消費者とつながりその行動に影響を与える最適な場所であると指摘するのは当然といえる。最近のユーザー調査によると、回答者の60%が商品やサービスについてInstagramで知ったと答え、75%がInstagramの投稿を見た後で行動を起こしたと言っている。

これは広告主にとって良い知らせだろうが、こうした広告の増加はInstagramのレギュラーユーザーにとってはどうなのか? 目に入る広告の数は増えるのか?

Quarlesによると、必ずしもそうではない ― 広告主が増えることは広告が増えることを意味するとは限らない。むしろ、大企業や多様な広告主が増えることでユーザー体験は改善されるかもしれない。なぜなら、自分の関心に合った広告が表示される可能性が高まるからだ。彼は、表示される広告の数は「Instagramで過ごす時間に比例」しており、Instagramは企業が「自身のビジュアルな声」を発見し、広告が高品質で効果的になるよう協力している、と言っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook