データで室内家庭菜園を管理する約1万円のMendel Air Sensor

Mendel Air Sensor(メンデル・エアー・センサー)は、私が朝一番に開くアプリだ。RedditよりもGmailよりもニューヨーク・タイムズよりも先に見る。ごろりと寝返りを打ってスマホを手に取り、植物たちの状態を確認する。私からこれほどの栄誉を与えられたアプリは他にない。

Mendel Air Sensorは、室内園芸の流れを変える。これは、植物の成育環境に欠かせない重要な情報を収集する複数のセンサーが組み込まれた洗練された製品だ。価格は99ドル(約1万600円)。この価格帯で、これと同等のデータ収集能力を備えた製品は、まず見つからない。

このMendel Air Sensorを開発した企業は、もともとは家庭用アクアリウム水槽のためにこのセンサー技術を開発していた。Mendel Air Sensorを開発し出荷するために、データ収集に詳しいグループと熟練の製造業者とが手を組んだのだ。

私には、屋内での植物栽培に関する知識はほとんどない。YouTubeでいくつか動画を見て、あれこれブログ記事を読んで、友だちにアドバイスを求める程度だ。それでも、私は地下室で小さな菜園を作り、トマト、ロメインレタス、ニンジン、それにいくつかの葉物を育てている。

数週間のうちに、私は植物を育てるにはデータが重要であると理解するようになった。気温、照明の種類や量、湿度、または、植物が湿度に対する反応を飽差(VPD)の計算から割り出すなど、考えなければならないことが山ほどある。

私はMendel Air Sensorを、ひとつの植物栽培テントの中で使っている。その緑色の小さなデバイスが、15分ごとに4つのデータポイントを収集し、ウェブアプリまたはスマートフォンアプリに表示する。これを参考にして、換気扇や照明の位置や湿度などを調整して、テントの中の人工的な環境を整えてやるのだ。

私も気付いたのだが、このデータを1日中監視していることが極めて重要だ。一度セットしたら後は放っておけるというレベルにまでは、私の菜園の環境は安定していない。だいたい1日に2回、Mendel Air Sensorのおかげで、私は植物栽培テントの微調整をしている。このデータがなければ、植物が危険信号を発するまで、何かが不足していてもわからなかっただろう。その信号に気付いたときには、もう手遅れだ。

99ドルという価格はお値打ちだ。競合製品はわずかしかない。しかもそのほとんどは、より完成度が高いように見えるものの、価格は2倍から3倍する。

CEOのNate Levine (ネイト・レビン)氏は、Mandelはもう1つの自己資金で創設されたサンフランシスコ湾岸地区の企業RapidLED(ラピッドエルイーディー)とのフィフティー・フィフティーのパートナーとしてスタートした、とTechCrunchに話してくれた。この企業は、数年前から室内植物栽培のための照明器具の販売をしていて、この分野では既に顧客ベースを確立している。だがレビン氏は当初、植物をモニターする製品を作ろうとしていたわけではない。彼は、アクアリウム水槽用のモニターFishBit(フィッシュビット)を作っていた。

2つの市場が類似していたことから、レビンとその仲間たちは、室内園芸の分野に飛び込むことができた。レビン氏がTechCrunchに話したところによると、顧客の要求はよく似ていて、アクアリウムと同じく、室内園芸の世界でも人々は自らの能力をもっと高める方法を探っているという。そこで彼らは、魚を生かすことから、もっとたくさんトマトを(またはカナビスを)収穫する方へと目を向けた。

アクアリウムと違うのは、室内園芸家は比較的金払いがいい点だが、今のところ、カナビスに関してはとんとんだとレビン氏は話す。ゴールドラッシュとまでは行かないが、とくにカナビス市場は、いくつもの企業が新製品を投入する絶好の場所になっていると彼は指摘する。

同社は、家庭園芸家や職業園芸家にも同じ製品を売り込んでいるが、そのためには今のウェブアプリが課題になると思われる。彼らの製品には強力な機能が欠けている。私のような小規模な園芸家なら問題ないが、プロの場合は、もっと細かい分析や、15分おきとはいわず、もっと頻繁なモニターサイクルによる詳細なロギングを欲しがるのではないかと思われる。

海外のユーザーに対応させようとすれば、USBによる給電方法を変える必要もあるだろう。

これは転換点ではない。少なくともレビン氏は転換点だとはいっていない。彼はTechCrunchに対して、もし起業のためのピッチを再び行うとしても、以前と同じFishBitのゴールを目指すと主張すると話していた。Mendelで学んだあらゆる見識を、FishBitに活かすともいっていた。目標は、屋内で生き物を育てるための、スマートなハードウェアとソフトウェアの総合的な製品ラインを築くことにある。

RapidLEDは、アクアリウムのカンファレンスでレビン氏とそのチームに接近し、レビン氏がソフトウェアを作るならハードウェアを作りたいと申し出てたそうだ。この2つの企業が手を結んでくれたおかげで、私の植物たちは幸せでいられる。

私は、Mendel Air Sensorにいくつかのことを教えられた。1つは、うちの植物育成ライトは想像以上に熱を発していたことだ。安い照明セットを外して、ブランド物のちゃんとしたセットを購入しなければならない。もう1つは、湿気が思っていたよりもずっと低かったことだ。そこで加湿器を置いた。最後にVPDのモニターは、計算を自動化すれば見た目よりずっと簡単にできるということだ。

植物を育てるのは難しいが、Mendel Air Sensorのデータがあれば、少し楽になる。

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(翻訳:金井哲夫)

MITの研究者が消化管を監視する消化型センサーを開発

MITの研究者らは長年消化型技術を研究してきた。ここ数年で様々な服用可能デバイスが開発され、その中にはブタの組織からなるバッテリー不要のロボットもある。特に同大学のKoch Instituteはこの分野に焦点を当てており、薬物摂取等を監視する消化可能センサーの利用を研究している。

研究チームが開発した新しいタイプのセンサーは丸めてカプセルに入れ飲み込むことができる。カプセルが溶けるとセンサーは胃の内壁に吸着して、消化器疾患の診断や食物摂取の追跡に使用できる。

装置が展開されたときの大きさは2 x 2.5 cmで、消化管と一緒に動く人間の皮膚に似た柔軟なポリマーで作られている。センサーは圧電性のため操作を受けると電圧を発生する。将来はこの性質を別のセンサーの電力源に利用し、内蔵バッテリー不要のシステムを作ってリスクを軽減できる可能性がある。

ブタを使って試験の結果、このセンサーは消化管の過酷な環境下で最長2日間問題なく動作した。

「著しい生理学的反応を起こすことなく消化管の中に留まれる素材は数多い」と研究員のGiovanni TraversoがTechCrunchのインタビューに答えて言った。「装置を埋め込むと著しい炎症反応を起こす。本研究で使用した電子回路は柔軟で、胃の中で広がって内壁に付着する」

将来のバージョンでは、医師が疾患の検出や患者の食物摂取の監視に使うことが期待されている。本研究はボストンのBrigham and Women’s Hospitalと共同で実施された。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

小型高精度のレーダーシステムを作るEchodyneが$29Mを調達、ドローンや自動運転車にレーダー能力を実装

自動運転車は自分の回りのものを検出して接触や衝突を避けるための、センサーを必要とうする。しかも車が高速で動いているときには、前もって、正確に、十分に早く、ものを認識して衝突を避けることが必要だ。

そのための既存のシステムの多くが、何らかの光測検出系とカメラを主に利用している。しかし、そういうLiDAR(レーザー光測装置)やカメラの効力は天候に左右される。彼らは霧や塵埃、悪天候の中では視力が落ちる。遠くの物も、苦手だ。そして、その多くが十分な堅牢性とコンパクト性を欠き、おそらくドローンなどでは使えない。

そこで投資家たちは今、軽量レーダーシステムのEchodyneに2900万ドルを投資しようとしている。その製品はまずドローン用からスタートするが、今後は自動車やボート、移動能力のあるロボットなどにも利用できる。これでやっと、自動運転車が十分な自律能力を持つかもしれない。

この新たなラウンドでEchodyneの総調達額は4400万ドルになる。このシリーズBのラウンドを仕切ったのはNew Enterprise Associates、これにBill Gates, Madrona Venture Group, Vulcan Capital, Lux Capital, The Kresge Foundationなどが参加した。

Echodyneのレーダーシステムはコンパクトで軽いから、たとえば送電線や農地などを点検監視する商用のドローンにも乗せられる。そのポケットサイズのレーダーのデモを、本誌も今月の初めに報じた。その記事には、LiDARや従来のセンサーとの違いも説明されている。

EchodyneのCEO Eben Frankenbergによると、これまで作ってきたのはドローン用のレーダーのみで、今それを組み込んだ製品を開発中のドローンメーカー(複数)の社名は明かせない。自動車用のレーダーシステムは、まだ‘開発途上’だそうだ。

今回の資金の用途は、生産能力の拡大(今の年産数百台から数千台のオーダーへ)と、レーダーのソフトウェアの改良と機能拡張に充てられる。

“わが社のハードウェアは、既存の商用レーダーよりずっと進んでいる。ジェット戦闘機のノーズコーンに収まっている、フェーズドアレイレーダーのような使い方も十分にできる。でもレーダーが捉えた像で何ができるか、というソフトウェア的可能性は、まだ十分に汲みつくしていない。たとえば、ある種の、コンピューター・ビジョンのようなソフトウェアも可能なはずだ”。

同社のレーダーはポイントクラウド(点群)と像の両方を作るので、コンピューター・ビジョンの場合と同じように、ニューラルネットワークやAIによる処理も可能だ。それにより自動運転車などは、自分の環境をより正しく認識分類できる、とCEOは語る。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ボールと選手全員にセンサーをつけてバスケの試合をリアルタイムで分析するShotTracker、ファン用アプリもある

今週のクールなスポーツハードウェアは、こいつだ:

カンザスシティーのShotTrackerが作ったチーム用のシステムは、バスケットボールの試合の最初から最後までの経過データをリアルタイムで収集分析する。そのデモが、今週カンザスシティーで開催されているトーナメントNAIA D1 Men’s National Championshipの、31の出場チームすべてに対して行われている。トーナメント戦用のリアルタイムの自動化データ収集システムは、これが初めてだ。

まず、各選手は自分の靴紐に小さなセンサーを結びつける。ボールの内部にも、センサーがある。そしてコートの周囲にも、垂木の高い位置にセンサー〔受信器?〕があり、ボール内と各選手のセンサーの位置を追う。10名の選手とボールがコート内にあるかぎり、それらの位置をリアルタイムで追い続ける。

そのデータから、各瞬間の選手とボールの位置と動きが三次元で分かるが、システムはそれらのデータをリアルタイムで分析する。そしてユーザーには、シュートチャートや、シュート試投、その成功、失敗、ターンオーバー、アシスト、スチール、リバウンド、などがいつどこで起きたか分かる。

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監督とチームはそれらのデータにリアルタイムでアクセスでき、観客のファンたちもShotTrackerのアプリで見られる。以前はデータの収集も分析も複数の人間による人力だったので、お金のないチームにはできなかった。

ShotTrackerが最初にローンチしたのは、アマチュアの選手がシュートのフォームを改善するためのハードウェアデバイスだった。そしてそのあと、今の、リアルタイムでデータを分析するチーム用製品に方向を変えた。

同社は最近、Magic Johnsonと元NBAのコミッショナーDavid Sternから500万ドルのシード資金を調達した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

建設現場の健康環境をモニタするSmartSiteのハードウェアは一般市販のセンサーを使って低価格を実現

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Y Combinator出身のSmartSiteが、建設労働者の労働環境をモニタするハードウェアとクラウド上のソフトウェアのペアをリリースした。

癌や呼吸器障害、皮膚炎などは肌や粘膜が危険物質に触れることで起こり、また過度な騒音や振動も健康被害をもたらす。これらの劣悪な環境にさらされることは、とくに建設労働者において多い。

アメリカ労働省のデータによると、建設労働者の労災死は最近増加傾向にあり、2014年には874名を数えた。

そこでSmartSiteのシステムは、ノイズのレベルと、空気中の微粒子、および紫外線をモニタする。

協同ファウンダーのMichael AndreaとJames Batstoneによると、SmartSiteのモニタリングハードウェアは一般市販のセンサーを使っており、それらは、マイクロフォン、レーザーによる微粒子カウンター、そしてUVセンサーだ。

SmartSite's system monitors particulates, UV rays and more on construction sites.

SmartSiteのシステムは建設現場の微粒子と紫外線などをモニタする。

一方彼らのソフトウェアは、完全に独自製品だ。それにより建設チームは、現場の安全な場所と危険な場所を見分けることができる。

AndreaとBatstoneが建設労働者の健康と安全に関心を持ったのは、彼らがロンドンのRoyal College of Art(王立芸術大学院)のプロジェクトでプロダクトデザイナーおよびスマートシティの研究者として仕事をしていたときだ。

そのとき知ったのは、建設企業は大も小も、環境の有害無害を、各現場の過去の情報や経験に基づいて評価していることだった。

ときどきは正確な測定を行うが、そのための装備は高価であり、また測定には長時間を要した。

SmartSiteのねらいは、建設現場を毎日正確にモニタすることだ。しかも、現場作業の邪魔をすることなく。またそのための器具等は、持ち運びや設置が極力簡単でなければならない。いろいろ、複数のものを持ち込む方式は、もってのほかである。

Andreaは語る、“結局、どの企業も労働者のために正しいことをしたいと思ってはいるけど、しかし実際に疾病等を見つけて誠実に対応していたら時間と費用を要し、訴訟に持ち込まれることもある。だから、積極的なモニタリングを、さぼりがちになる”。

今某社とパイロット事業を進めているが、その社名は明かせないそうだ。

SmartSiteはY Combinatorの今の学期の‘生徒’で、すでにこのアクセラレータから若干の資金をもらっている。そのほかの資金調達計画や、過去の調達額に関しては、ノーコメント、だそうである。

画像提供: SmartSite Inc.

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

服にワッペンのように縫い付けておける軽量薄型毒ガス検出器をMITで開発、当面は軍用を目指す

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MITの4人の研究者チームが、毒ガスを検知するウェアラブルセンサーを開発した。これとアプリによりスマートフォンなどのワイヤレスデバイスがユーザーに、危険を知らせることができる。

研究者たちが構想しているのは、送信機の回路も含めてクレジットカードよりも薄くて軽いバッジを作り、それを実戦用の軍服に縫い付けておくことだ。

“兵士はすでに大量の装備を身につけているし、その中には多くの通信機器もある”、とMITの化学の教授Timothy Swagerが、彼が中心になって書いたこのセンサーに関するペーパーで述べている。Journal of the American Chemical Society載ったそのペーパーは、ポスドクの学生Shinsuke IshiharaやPhDのJoseph AzzarelliとMarkrete Krikorianらが共著している。

“しかし今の兵士は毒ガスを検知するウェアラブルセンサーを身につけていない。検出装置はいろいろあるが、身につけて動き回れるようなものではない。われわれのセンサーは、紙よりも軽い”、とSwagerは語る。

簡単に言うとそのセンサーは、カーボンナノチューブを搭載した回路だ。カーボンナノチューブは筒状に連なった炭素分子で、細いワイヤーのように見える。

Swagerはこう説明する: “通常のワイヤー、たとえば電気のコードなどは、プラスチックで包まれて外界と遮断され、ユーザーを安全にしている。しかしカーボンナノチューブは、プラスチックなどで包んで絶縁を実現することができない。われわれの場合はナノチューブをポリマーで包んでいる”。

サリンガスのような毒ガスに触れると、ポリマーが壊れて絶縁がなくなる。そのためナノチューブが互いに接触して伝導性を持つようになり、信号がスマートフォンなどへ送信される。

信号の送信はNFCで行われるので、スマートフォンなどのワイヤレスデバイス側にもNFCの能力が必要だ。また、NFCはその名(near-field communication)のとおり、伝達距離が短い。ただし、インターネットがなくても通信できる利点がある。

センサーの反応は不可逆性なので、一定の量の毒ガスを検知し報告したら、その後空気中にガスが検出されなくても、検知〜報告量は下(さ)がらない。

“可逆的に反応するセンサーもある。そういうセンサーでは現在の検知量に応じて信号が変化(増減)する。しかしこのセンサーは違う。反応が不可逆的なので、総量が分かる”、とSwagerは述べる。

ウェアラブルのバッジと通信装置から成る毒ガス検出器は、労働者が毒性の化学物質に触れがちな各種の工場などで、民間の需要もありえるだろう。

Swagerによると、この製品を作り出す技術はすでにマサチューセッツ州ケンブリッジのC2Sense社にライセンスされている。商用製品の開発にも取り組んでおり、それには少なくとも1年はかかる、ということだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Sony若手チームが「物のメッシュネットワーク」でクラウドファンディング…”事前知名度”をねらう

昨年、シンプルなeペーパースマートウォッチをクラウドファンディングしたSonyが、またIndiegogoにプロジェクトを出している。どうもSonyにとってクラウドファンディングは、新しいアイデアの有効性を、宣伝しながらテストする試験紙なのかもしれない。

その最新のプロジェクトMeshは、すでに目標額の半分近い22000ドルを集めている。それはセンサを使うDIYのためのプラットホームで、複数のデバイス上のセンサはBluetoothで互いに通信し、またiPadのアプリとワイヤレスで対話する。それら物のネットワークの機能を、アプリのドラッグ&ドロップインタフェイスで構成する。その用途例は、Indiegogoのページの最初の方に書かれている。

MeshのセンサコンポーネントはTagと呼ばれ(上図)、LEDと動き検出センサとワイヤレスのボタンとデジ/アナ入出力用のGPIOなどが用意されている。システムはそこから、対象デバイス(照明器具、モーターなど)のセンサと対話することになる。

またソフトウェアのTagもあり、たとえば天気予報のサービスからアラートを送ったり、カメラやマイクなどタブレット上のハードウェアを使ったりする。

複数のMesh Tagが接続され、iPadアプリで構成される。アプリのインタフェイスがシンプルなので、複数のTagが接続されたプロジェクトを技術者でない人でも作れる。またMeshのSDKがあるので、デベロッパは独自のソフトウェアTagを作って、より高度なカスタムプロジェクトを作れる。

いわば複数の多機能なTag群をメッシュネットワークで接続して一つのプロジェクトを仕上げるのだが、具体的にはどんなプロジェクトだろうか? Sonyが例として挙げているのは、たとえば、ドアが急に開いたらその瞬間に、びっくり顔の自己像を撮る写真撮影システムとか、何かが持って行かれそうになったら通知をするシステムなどだ。あるいはゲーマーの動きをTagが感知して、それにふさわしい効果音を発する、とか。要するにいろんなTagを組み合わせた作った一つのメッシュネットワークが、特定の、ユーザやデベロッパが狙った機能を発揮するのだ。アイデアやニーズは、無限にありえる。

クラウドファンディングの目標額が得られれば、Meshのキットは5月にまず、合衆国と日本で発売される。Indiegogoの支援者なら、ベーシックなキットが105ドル、GPIO Tagはやや高くて、別途55ドルだ。

過去に類似製品として、ワイヤレスのセンサキットSAMや、デベロッパ向けにはrelayrのWunderBar、健康とフィットネス専門のBITalinoなどがあった。しかし何よりも興味深いのは、今回のように消費者電子製品の大企業が、クラウドファンディングに頼るスタートアップのような形で、社内の創造性を育てようとしていることだ。

MeshのチームはIndiegogoのページ上で、“Sonyの社内起業育成事業から生まれた熱心な技術者たちの小さなチーム”、と言っている。Bloombergの記事によると、Sonyは昨年から、既存の組織分けになじまないような新しいプロジェクトを見つけて、スピーディーにそれらを育てるための、新しい部署を作った。いわばSonyの社内の起業家的社員たちが、Sonyという名の社内VCにアイデアを売り込んで、必要な資金とともにゴーサインをもらう、という形だ。最初のアイデア売り込み大会は、昨年6月に行われたそうだ。

このMeshも、その最初のピッチ大会から生まれて、その後のプロトタイピング等により実現のめどが立ったので、今年の前半までに製品化できる、という確信を持ったのだろう。クラウドファンディングの目標額は5万ドルで、期限まであと53日ある。

でも、Sonyほどの有名大企業が、なぜクラウドファンディングを頼るのか。それは、このところ企業イメージがひたすらダウンしている旧タイプの古参企業が、スタートアップ全盛のこの時代に、そういう新しい世界の一員になって、AppleやSamsungに負けないフレッシュな企業イメージを確立したいからだ。言い換えるとクラウドファンディングを利用することによって、Sony自身からも体にたまった垢が落ち、自分自身も、若い熱心な技術者チームが引っ張る若い企業になれる。少なくともイメージ的には。

しかもクラウドファンディングには、資金が得られるだけでなく、コミュニティが形成されるメリットがある。そこでは彼らは、エリート企業のエリート社員ではなく、ふつうの若者として、コミュニティの一員になれるのだ。しかも、忌憚のないフィードバックが、無料で得られる。

“Meshをさらに良くしていくための、どんなアイデアでも歓迎します。あなたならどんなものを作るか、それを知りたいのです”、とチームはIndiegogのページのオーディエンスに語りかけている。

Sonyという老朽企業が、滝に打たれて若返るための、謙虚な修行の場。それが、彼らにとってのクラウドファンディングと、スタートアップ界隈のコミュニティだ。それは、世の中に対して教える企業から、世の中から教わる企業への、180度の変身だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


新型バイオセンサーは、皮膚の下から体液を採取して喉の渇きを検出する

ご存じの通り、植物(および人間)は電解質を必要としている。しかし、これまで私たちは、体が少し不調を感じた時、自分の感性を信じてペットボトル飲料を買いにいかねばならなかった。しかし、この新しいセンサーは、微小な針を使って貴重な体液を少しばかり盗み取り、あなたが補給を必要としているかどうかを見極めてくれる。

Sandia National Laboratoriesの研究者、Ronen Polskyのチームが作ったそのシステムは、腕時計に収まるほど小さく、皮膚の表面に置かれる。そして間質液 ― 細胞の間にある液体 ― を採取する。血液ではない。針は体のいかなる神経も活性化させないため痛みはない。装置は患者の電解質レベルを一定に保つ必要のある医師、および、いつ補給すべきかを知りたいアスリートの両方を想定して作られた。

わずかな変更によって、同システムは体内のナトリウムおよびカルシウムのレベルを測定することもできる。将来は、センサーによるフィードバックに基づいて、利用者が必要に応じて適切なミネラルと電解質の投与を受けることも可能になるかもしれない。非侵襲性かつ無痛で、血液自体を採取しないため、現在のバイオセンシング手法よりはるかに効率的だ。

「私たちは装置をウエラブルで非侵襲的にすることによって、リアルタイムに測定値を読み取り、通常なら検査質検査に出すようデータを、医師が連続して測れるようにしたい」とPolskyは語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


ハードウェア音痴が物のインターネットのアプリケーション開発を容易に試行できるWunderBarセンサモジュールキット

【抄訳】

ヨーロッパのスタートアップrelayrは、昨年の1月に創業され、今でもアクセラレータStartupBootcampの屋根の下にいるが、このほど、将来の市場が大きいと言われる物のインターネット(Internet of Things, IoT)のためのアプリケーション開発をデベロッパが容易に実験できるためのハードウェアキットで、クラウドファンディングによる資金募集を開始した。

たとえばそれは、オフィスのビール用冷蔵庫を誰かが開けたことを知らせてくれるアプリケーションでもよいし、センサのグローバルなネットワークから得られる気温データを共有するアプリケーションでもよい。ネットワークI/Oのうち、I、またはO、またはその両方が人ではなく「物」であるネットワークアプリケーションを物のインターネットと総称している。ちなみにここで例として挙げた二つのアプリケーションは、どちらもIだけが「物」だ。

Relayrは、どこにでも置けて、ワイヤレスでネット上に信号を送出するセンサ素子として、上図のような板チョコ状のブロックを考えた。これらの信号を受信して何かをするソフトウェアは、AndroidやiOS、あるいはNode.jsで動く。

このハードウェアキットはWunderBarと名づけられ、合計7つの‘板チョコ’から成る。資金提供額の大きい人には、このほかに、これらのセンサモジュールのためのケースも提供される。センサモジュールは、温度、近接性、光、色、湿度、動きの6種類、残る1つのモジュールはARMのプロセッサとWiFiチップを搭載したメインモジュールだ。

WunderBarの狙いは、IoTのアプリケーション開発を試行するデベロッパに、センサの取り付けや配線、ハンダ付けなどで苦労をさせないことだ。またこれらのモジュールの利用を前提としたアプリケーション開発のための、ライブラリやチュートリアルも提供される。

適当なセンサモジュールをどこかに置けば、すぐにそのためのソフトウェアを書き始めることができる、そんな簡便さがねらいだ。

relayrの協同ファウンダJackson Bondは次のように語る。“ハードウェアのレベルではいろんな“メーカー”指向のプロジェクトが出回っているが、われわれの調査によると、ハードウェアにすぐに対応して仕事ができるアプリケーションデベロッパはあまりいない。うちのハードウェアキットを使えば、ハードウェアのことを何も知らなくても仕事ができる。多くのソフトウェアデベロッパにとって、便利な環境を提供できると信じている”。

センサモジュールからのデータの転送やアップロードにはBluetooth Low EnergyとWiFiを利用し、すでに用意されているSDKとAPIを使ってデベロッパはふつうにプログラムを書ける。個々のセンサモジュールには、LEDライト、ボタン、そして専用の電池がある。なお、BLEはセンサモジュールとメインモジュール間の通信に使われ、WiFi機能はメインモジュール上にある。

類似製品として、医療用機器の開発試行を行うためのバイオセンサキットBITalinoがあるが、WunderBarは分野を特定しない実験用キットだ。なお6つのセンサモジュールのうち2つは、中に入れるセンサのタイプがクラウドファンディングにおける投票で決められる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))