ツイッターがClubhouseに4400億円規模の買収を持ちかけていたとの報道

Bloombergの報道によると、Twitter(ツイッター)はClubhouseとの間で、このライブドロップインオーディオネットワーキングプラットフォームの買収に向けた話し合いを行ったという。買収額は40億ドル(約4400億円)程度になるとのこと。TechCrunchは、この話し合いに詳しい関係者からの情報も確認した。

買収交渉は過去数カ月わたって行われていたが、終了した理由はわかっていない。つい数日前、BloombergはClubhouseが40億ドル前後の評価額で新たな資金調達を目指していると報じたが、買収交渉の詳細を報じた記事によると、まずTwitterとの話し合いが決裂し、株式投資と引き換えに追加資金を確保する戦略に変更されたという。

TwitterにはClubhouseとよく似た独自サービスである「Spaces(スペース)」がある。Spacesは、ドロップイン式のオーディオチャットルーム機能で、数カ月にわたってユーザーベースに徐々に展開されてきた。一方、Clubhouseは、同社初となる収益化の取り組みである「Clubhouse Payments」をローンチしたばかりだ。この機能は、ユーザーがプラットフォーム上の他のクリエーターに直接支払いが行えるようを送れるようになるものだ。

関連記事:Clubhouseが同社初となるクリエイター用収益化機能をテスト開始

興味深いことに、Clubhouseのマネタイズは自ら収益を得るものではない。クリエイターはユーザーからの支払いを100%受けとることができる。ただし、わずかな手数料としてClubhouseがバーチャルチップを実現するために利用している決済プロバイダーStripeに直接送られる。

TwitterとClubhouseの交渉の詳細については明らかにされていないが、特にSpacesの進捗状況を考えると、40億ドルはTwitterがこのオーディオアプリに支払う額としては非常に高いように思える。Clubhouse初期の牽引力は否定できないが、その持続性についてはまだ多くの疑問が残っている。他のプラットフォームからもクローンが誕生しており、それが機能なのかプロダクトなのかという古くからあるスタートアップの疑問を投げかけている。

何が起きたにせよ、このタイミングで明らかになったことで、Clubhouseが調達しようとしているラウンドの目標評価額について、潜在的な投資家たちとの話に弾みがつきそうだ。いずれにしても、コンシューマー向けソフトウェアの分野が比較的低迷していた数年間を経て、このような活動、話題、注目が集まっていることは非常に喜ばしいことだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterClubhouse買収Twitter Spaces音声ソーシャルネットワークSNS

画像クレジット:NurPhoto / Contributor / Getty Images

原文へ

(文:Darrell Etherington、翻訳:Katsuyuki Yasui)

米最高裁がトランプ前大統領がTwitterの批判者をブロックしたのは違憲との判決を無効に

米国の連邦最高裁判所は、Trump(トランプ)前大統領がTwitter(ツイッター)で自身に反対する投稿をブロックしたことが合衆国憲法修正第1条に違反するとした過去の判決を無効にした。

2019年にマンハッタンの連邦控訴裁判所は、トランプ氏の行為が違憲であるとの判決を下していた。同裁判所は、トランプ氏がTwitterを「公務の遂行」と「一般市民との交流」のために使用していたことから、ユーザーをブロックするという同氏の決定が憲法修正第1条に反すると判断した。

「憲法修正第1条は、ソーシャルメディアのアカウントをあらゆる公務に利用している公務員が、その公務員に反対する意見を述べたことを理由に、その人物をそれ以外のオープンなオンライン対話から排除することを認めていない」と、3人の裁判官はこの判決で述べている

最高裁が先行判決を無効としたことは、まったく予想されていなかったというわけではない。トランプ氏はもはや大統領ではなく、現時点でTwitterのアカウントを永久停止されているからだ。

関連記事:Twitterがトランプ大統領のアカウントを永久停止(米議会議事堂暴動から追放までの経緯まとめ)

予想外だったのは、Clarence Thomas(クラレンス・トーマス)最高裁判事が出した付随意見で、それは問題の本質をはるかに超えて、大手テックプラットフォームに対する斬新な批判にまで及んでいた。

トーマス氏は12ページの意見書の中で、トランプ氏のTwitterにおける行動から離れ、TwitterやFacebook(フェイスブック)などのデジタルプラットフォームが持つモデレーションの力が本当の問題であるとの主張を展開した。「言論が妨げられないようにすることを目的とするならば、より顕著な問題は、支配的なデジタルプラットフォームそれ自体ということにならざるを得ない」と、トーマス氏は書いている。

さらにトーマス氏は、ひと握りの意思決定者によるデジタルプラットフォームの「集中管理」に対する懸念を示し、デジタルプラットフォームがモデレーションの決定においてあまりにも大きな力を行使していると主張。「通信事業者の場合と同様に、この集中によって一部のデジタルプラットフォームが言論に対して巨大な支配力を持つことになる」と書いている。

米国時間4月5日に発表されたトーマス氏の意見は、通信品位法230条によってデジタルプラットフォームに与えられている保護を、もっと狭義に解釈して「削減」するべきであるというこれまでの同氏の主張を反映したものだった。

民主党が議会で主導権を握る中、一部の共和党員は、ビッグテクノロジーに対する批判を、そのモデレーションの力から、それらのサービスが精神的な健康にどのような影響を与えるかといった別の問題へと移しつつある。しかし、トランプ大統領が就任してから4年の間に醸し出された一連の不満は、最高裁判事のクラレンス・トーマス氏の中で生き続けている。

2021年1月には、トーマス氏の妻であるGinni Thomas(ジニ・トーマス)氏が熱烈なトランプ支持者であり、米国連邦議会議事堂に暴力的に侵入したトランプ支持派の群衆を応援したことで、批判にさらされた。

トーマス氏の意見に他の判事は参加していないが、同氏がテックプラットフォームのモデレーション決定に言及したことは、この問題がまだ枯れていないことを示している。

「我々は近いうちに、デジタルプラットフォームのような高度に集中した民間所有の情報インフラに対し、我々の法理がどのように適用されるかを議論せざるを得なくなるだろう」と、トーマス氏は警告している。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitterドナルド・トランプ裁判SNS

画像クレジット:Justin Sullivan / Erin Schaff – Pool / Getty Images (Image has been modified)

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

信用できない大手ハイテク企業の自主規制、今、米国議会の行動が必要とされている

本稿の著者Arisha Hatch(アリシャハッチ)氏はColor Of Changeのキャンペーン担当副社長兼チーフ。

ーーー

2021年1月に起きた米連邦議事堂での暴動事件を受け、Donald Trump(ドナルド・トランプ)氏がソーシャルメディア界から追放されてから2カ月以上が経った。前大統領の憎悪に満ちたコメントや偽情報は収束しつつあるものの、これからも引き続き警戒が必要である。

今こそ、トランプ氏や同氏の支持者、その他のトラブルメーカーが将来的に過激主義を助長しないようにするためにはどうしたらいいかを見直すべきである。誤報、陰謀論、嘘は情報インフラを破壊し民主主義を脅かす。こうした問題に社会としてどう対処すべきかを考える時なのではないだろうか。

Color Of Changeのバイスプレジデントとして、私と私のチームはこれまでにFacebookやTwitter、Googleといった数十億ドル(数千億円)規模のハイテク企業のリーダーたちと数え切れないほどの会合を持ち、彼らのプラットフォーム上の憎悪に満ちた人種差別的なコンテンツや偽情報に対して常に声を上げてきた。私たちはさらに、これらの問題に適切に対処するため、何百万人ものメンバーが求めている要求を提起してきたが、こういったソーシャルメディア企業にはユーザーや黒人コミュニティの安全を守るための緊急性や責任感が欠如していることがあまりにも多いのが実情である。

白人国粋主義者や極右過激派による連邦議事堂の襲撃は、ソーシャルメディアのプラットフォーム上で拡散されてきたヘイトスピーチや偽情報を何年もの間放置し適切に対処してこなかったハイテク企業にも責任の一端がある。多くのソーシャルメディア企業は、極右過激派や白人至上主義者、国内テロリストに対してプラットフォームを開放し、民主主義の破壊に加担してきたわけだが、この責任を追及し、二度と起こらないようにするためには相当な努力が必要である。

知識の共有システムを回復させ、オンライン上での白人国家主義者の組織化を排除するために、ビッグテックはこれまでのような受け身で表面的なアプローチを捨て、私たちのコミュニティや民主主義に害を及ぼしているこの問題に本気で対処しなければならない。同時に、ハイテク企業の動き監視するために、連邦政府による介入が不可欠なのは明らかである。

私は6年間にわたって企業が説明責任を果たすためのキャンペーンを展開し、ビッグテック企業のリーダーたちと関わってきたため、ソーシャルメディア企業には、民主主義とコミュニティを守るためのポリシーを実施するだけの力やリソース、ツールがあると断言することができる。しかし、これまで巨大企業のリーダーたちは、利益と成長を犠牲にしてまで、プラットフォーム上での危険な誤報、特定の個人や組織を標的にした憎悪表現、白人主義者の組織化を食い止めようとすることはなかった。

その上、巨大なPRチームを駆使し、こういった問題にあたかも対処しているかのように振る舞うのだ。例えばFacebookなどのソーシャルメディア企業は、その時々の問題に対処するため毎度一貫性のないポリシー変更を発表するという受け身な対応を続けている。今回の暴動が起こる前、白人至上主義者や極右陰謀論者、人種差別主義者たちが、こういったプラットフォームを利用して暴力を組織化、勧誘し、扇動することの危険性について、我々Color Of Changeのような提唱者の警告にFacebookのリーダーたちが耳を貸すことはなかった。私たちが長年推奨してきたにも関わらず、トランプ氏を追放することも、より強力なコンテンツ・モデレーション・ポリシーを導入することも、アルゴリズムを変更して誤った情報を広めるFacebookグループの拡散を止めることも彼らは行わなかったのである。

このような脅威は、国会議事堂への襲撃のずっと前から明らかなものだった。Color Of Changeと支持者たちが2020年夏に「#StopHateForProfitキャンペーン」を推進し、1000社以上の広告主がプラットフォームから数百万ドル(数億円)相当の広告を引き上げたときにも、また、Facebookが当組織とメンバーからの圧力を受けて2018年にようやく公民権監査を実施することに同意したときにも、そして2017年、死者を出したバージニア州シャーロッツビルでの白人至上主義者のデモが行われた前からも、ずっと明らかだったのである。

ソーシャルメディア企業が行動を起こし、差し迫った要求に目を向けるようになったのは、すでに大きな問題が起きてしまった後からのことだ。トランプ氏のアカウントを停止したのも、投票集計に不正があったと主張したグループを削除したのも、また2020年の選挙で投票所での暴力を扇動する投稿や新型コロナウイルスの誤報を積極的に削除したのも、すべて事が起きてからの対応である。しかし現在でさえ、これらの企業はFacebook監督委員会というとって付けたような組織を適切なポリシー実施の代替として立ち上げ、問題に取り組んでいる姿勢をアピールしつつ、トランプ氏のアカウント停止といった問題の最終決定を曖昧にし、責任を回避しているのである。

Facebook、Twitter、YouTubeをはじめとする多くのビッグテック企業は、自社の利益や評判が脅かされると行動を起こすものの、彼らのビジネスモデルはサービス利用の最大化のみを目的として構築されているため、行動が実際に起こされるのは常に問題が起きた後となる。コンテンツが偏向的であればあるほど、エンゲージメントが高まり、コメントやシェアが多ければ多いほど我々の注目を集め、広告主にアピールすることができる。ビッグテックのリーダーたちは、積極的に自主規制を行う意志も能力もないことを証明し、だからこそ議会が直ちに介入しなければならないのである。

議会はビッグテックの巨大な力を抑制するための連邦規制を制定すべきであり、議員は私たちの日常生活に現実的な変化をもたらすような政策、つまり、黒人をはじめとする社会的に弱い立場にいるコミュニティをオンラインとオフラインの両方で保護するような政策を策定しなければならない。

企業の説明責任をないがしろにし、黒人のビジネスや労働者に影響を与える大手ハイテク企業の独占状態を打破するため、より強力な独占禁止法が制定されるべきである。私たちのデータから得られる利益が搾取を助長するために使用されないようにするために、包括的なプライバシーおよびアルゴリズムによる差別禁止法を制定する必要があり、また黒人や低所得者のコミュニティにおける情報格差を解消するために、ブロードバンドアクセスを拡大する他、インターネットサービスプロバイダーがコンテンツや機器によって異なる料金を請求できないようにしてネットの中立性を回復させるべきである。そして、第230条が公民権法の遵守からプラットフォームを免除するものではないことを明確にすることで、情報操作やコンテンツの適正化を図る必要があるのだ。

Color Of Changeをはじめとする活動家やアドボカシーグループからの圧力により、すでに多くの進展が見られている。2020年だけでも、Zoomなどの大手ハイテク企業は多様性の専門家を雇い、Googleは右翼団体プラウドボーイズのウェブサイトとオンラインストアをブロックする措置を取り、TikTokのような主要なソーシャルメディアプラットフォームは、憎悪に満ちたコンテンツを禁止するためのより強力なポリシーを採用し始めた。

しかし、巨大テック企業がソーシャルメディアのプラットフォーム上で煽られた誤報、憎悪、暴力に対処するため、これまでしておくべきだった対策を今更始めたところで、さほど褒められたことではない。我々は次のPR活動や白々しい声明、あるいはFacebookがトランプ氏のアカウントを復帰させるかどうかを決めるのを単に待つつもりもなく、またさらに多くの人の命が犠牲になるまで傍観するつもりもない。

連邦政府と規制当局は、ただちに政策変更を実施してビッグテックに説明責任を負わせるべきである。我が国のリーダーには、ビッグテックが民主主義や地域社会に及ぼしている害悪から人々を守る責任があり、ソーシャルメディアのプラットフォームを規制し、デジタル経済における危険な誘因を変革すべきなのである。連邦政府の介入なしには、ハイテク企業は歴史をひたすら繰り返すことになるだろう。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:ソーシャルメディアアメリカColor Of ChangeSNS

画像クレジット:Martin Barraud / Getty Images

原文へ

(文:Arisha Hatch、翻訳:Dragonfly)

Twitterがフェイスブックのような「ハート」や「顔」の絵文字リアクション導入を検討中

Twitter(ツイッター)が星マーク(「お気に入り」)をハートマーク(「いいね」)に変更した時の騒ぎを覚えているなら、Twitterユーザーがツイートへの関わり方にどれほど強い感情を抱いているかをご存知だろう。現在、Twitterは再び大きな反響を呼びそうな変更を検討している。同社は2021年3月、ユーザーにアンケート調査を実施し、Facebook(フェイスブック)で見られるような絵文字のリアクションを増やすことについてどう思うかと意見を求めている。

Twitterの広報担当者は、この調査について「Twitter上で行われている会話の中で、人々が自分自身を表現するための新たな方法を、私たちは模索しているところです」と述べている。

Twitterの調査で提案されているのは、ハート(「いいね」)、涙を流して笑う顔(「おもしろい」)、考える顔(「興味深い」)、泣き顔(「悲しい」)などの数種類のリアクション絵文字だ。

画像クレジット:@jdm0079 on Twitter

この基本セットに加えて「すごいね」という感情を、目と口を大きく開けた顔の代わりに炎で表現したり「支持する」をハグの顔ではなく万歳の手で表現したバリエーションを提案して、どちらが好みかとユーザーに尋ねている。

さらに議論を呼びそうなのは、ユーザーのツイートに対する一般的な「好き」と「嫌い」という感情の表し方に関して、親指を立てたり親指を下げたり、緑や赤の「100」で示したり、緑の上向き矢印や赤の下向き矢印で示したりして「賛成」と「反対」というかたちで示す方法を検討していることだ。これはReddit(レディット)の「賛成投票」と「反対投票」の仕組みを彷彿とさせる。

画像クレジット:WFBrother on Twitter

この調査による質問は、Twitterが、否定的な感情を意味する絵文字のリアクションを導入する際の難しさについて、認識していることを示している。同社はユーザーに、反対や嫌悪の感情を示すリアクションをどのように利用したいかと尋ねている。例えば、ツイートに返信する代わりにこのリアクションを使うのか、あるいは無関係なツイートや攻撃的なツイートに対して使うのか、ということだ。

さらにTwitterは、自分のツイートに反対や嫌いというリアクションが付けられた場合、それによって今後のツイートを控えるか、それとも自分の投稿に対する「建設的」なフィードバックとして受け止めるかなどをユーザーに尋ねている。

画像クレジット:@jdm0079 on Twitter

Twitterは、リアクションのセットの導入が、人々のTwitterコンテンツに対する関わり方に大きな影響を与える可能性があること、そして潜在的には人々が自分のツイートに「反対」のリアクションが付くことを過度に気にするようになれば、Twitterの利用が冷え込む可能性があることを明確に理解している。

もっとも、親指にしろ矢印にしろ「賛成」と「反対」を表現する仕組みは、ウェブ上の他の場所でも、コンテンツへの関わり方として一般的な方法だ。それはRedditのようなフォーラムサイトのみならず、YouTube(ユーチューブ)や、Imgur(イメージャー)、Pandora(パンドラ)などさまざまなサイトで使われている。一方「いいね!」を示すサムズアップのシグナルは、Facebookの先導によって人気が高まった。しかし現在では、矢印やハートのかたちが使われたり、あるいはAmazon(アマゾン)のユーザーレビューで「参考になった」と評価する際のように単なるクリックするボックスになったりしている。

2015年にFacebookが絵文字リアクションのセットを導入して以来、単なる「いいね!」だけでなく複数の感情も表すことができる拡張された絵文字リアクションの使用が一般的になった。LinkedIn(リンクトイン)のような他のソーシャルメディアも追随し、2020年にはTwitterまでもが、DM(ダイレクトメッセージ)に絵文字リアクションのセットを採用した。

そして今回の調査でTwitterは、絵文字リアクションをどのように表示するべきか、例えばネガティブなリアクション数を表示すべきかどうかなどについて、ユーザーに意見を尋ねている。

画像クレジット:WFBrother on Twitter

TwitterがTechCrunchに語ったところによると、リアクションの領域で行っている作業は探索的なもので、現在この調査を行っているのは、人々が交わしている会話にもっとニュアンスを加える方法を検討しているからであり、そうすることで、読者がその会話にまつわる追加的な文脈を、よりよく理解できるようになるのではないかと考えているからだという。さらに同社は、新しい絵文字のリアクションが「ハート」に取って代わるものではなく、追加的なものであることも強調した。

Twitterは、まだ絵文字リアクションのセットを構築したわけではなく、テストも行っていないが、どうやらその方向に向かっているようだ。

最近、あるユーザーから「ハートだけでなく、絵文字リアクションも試してみたい」という要望が寄せられた時、Twitterの最高デザイン責任者であるDantley Davis(ダントリー・デイビス)氏は「間もなく何かご用意できると思います」と答えている。

TwitterもLinkedInやFacebookのように、ハートだけではなくいくつかのリアクション絵文字を提供すべきだと思い始めています。すべてをカバーする必要はありませんが、5つか6つの選択肢があるといいですね。

このツイートに絵文字を使って反応し、テストしてみましょう。

Arlan

間もなく何かご用意できると思います。

Dantley Davis

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterSNS絵文字

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マイクロソフトがゲームチャット「Discord」買収で交渉最終段階か、買収額は1兆円強規模

マイクロソフトがゲームチャット「Discord」買収で交渉大詰めか、買収額は1兆円強規模

MARTIN BUREAU via Getty Images

ゲームプレイ向けの低遅延なボイスチャットサービスDiscordが、買収に興味を持つ複数の企業と交渉に入っていることをGamesBeatなどが報じました。有力な交渉相手としてはマイクロソフトの名前が挙げられており、Bloombergは交渉が最終段階にあるとして、100億ドル以上の規模になると伝えています。

Discordは低遅延のボイスチャットがゲーマーなどに人気のサービスで、新型コロナのパンデミックによって人々の娯楽としてビデオゲームの人気が上昇したこともあり、2020年にはユーザー数が倍増、売り上げは1億3000万ドルに急成長しました。その企業価値は12月には70億ドルとも評価されていますが、まだ企業として利益を出すには至っていないとも言われています。

他に買収に手を上げている大手企業としてはFacebookの名前があります。ただ、FacebookはAmazon、Google、Appleなどとともに独占禁止法関連の調査を受ける立場にあり、いまの時点ではやはりマイクロソフトが最も有力な買い手ということになります。マイクロソフトは2020年末時点で1310億ドルの現金を保有するなど資金力は申し分ありません。今年初めにはゲームパブリッシャーZeniMax Mediaの買収を完了し、さらなるゲーム関連企業を買収すべく検討しているとうわさされていました。

Discordはすでに数百万のゲーマーたちが登録済みで、マーケティングやプロモーションを仕掛ける対象としても有望です。しかし、現在のDiscordの独立性もまた、ゲーマーたちに対する魅力の重要な部分といえるかもしれません。これが大企業によって買収された場合、その企業の関係するゲームやサービスにDiscordのサービスも偏っていく可能性があります。

DiscordのCEO、Jason Citron氏の以前の会社であるモバイルゲームソーシャルプラットフォームOpenFeintは、日本のGreeに買収されたものの、両社のサービス統合はうまくいかず最終的にOpenFeintが閉鎖されるに至っています。

(Source:GamesBeatEngadget日本版より転載)

関連記事
ゲームチャットDiscordが145億円調達、月間アクティブユーザーは1.4億人
チャットアプリDiscordの画面共有がiOSとAndroid端末でも可能に
ビデオチャットDiscordが約7280億円の評価を受け資金調達ラウンド完了へ
マイクロソフトがBethesda親会社を買収、Elder ScrollsやFalloutなどがXboxクラウドゲーミングサービスへ
評価額3700億円超のDiscordがビデオゲーム縮小の方針でさらに100億円超を調達
【次世代SNS編】米国SNSの最新事情とZ世代が新しい場所を求める理由(その3)
隔離生活で求められる自然発生的なコミュニケーションを生むソーシャルアプリ

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Xbox / エックスボックス(製品・サービス)SNS / ソーシャル・ネットワーキング・サービス(用語)ゲーム(用語)ZeniMax MediaDiscord(企業)買収 / 合併 / M&A(用語)ビデオチャット / ビデオ会議(用語)Microsoft / マイクロソフト(企業)

Facebookの監督委員会はすでに「少し不満を感じている」、トランプ氏のアカウント停止については判断を保留

Facebook監督委員会(FOB)は、Facebook(フェイスブック)のコンテンツモデレーションの決定を検討する際に、二者択一の選択を求められることにすでに不満を感じている、とメンバーの1人が語った。米国時間3月3日、オンライン上の表現の自由に関する調査を行っている英国貴族院委員会で証言した時のことだ。

FOBは現在、FacebookのDonald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領のアカウントに対する措置を覆すかどうかを検討している。2021年初頭、トランプ氏の支持者が米国の首都を襲撃したことを受けて、このテクノロジー界の巨人はトランプ氏のアカウントを「無期限に」停止した。

関連記事
Facebookの監督委員会がトランプ氏のアカウント停止に対するパブリックコメントを募集
FacebookとInstagramがトランプ大統領のアカウントを「少なくとも政権交代が完了」までブロック

米国時間1月6日に起きた混乱極まる暴動では、数人を死に至らしめ、トランプ氏が大手テクノロジープラットフォームを拡声器として利用し国民の分断と憎悪を煽っていたことについて、各社が抑止力を働かせることもなく黙認していたと、非難の声が広がっている。

しかし最終的に、Facebookはトランプ氏のアカウントを停止し、ほぼ同時にこの件を自ら組織し自ら命名した監督委員会の審査に委ねた。このことは、Facebook自身が立ち上げ、出資し、メンバーを決めた例外的な審査プロセスによって、トランプ氏への措置がすぐに覆される可能性があることを意味する。

英国の新聞社The Guardian(ガーディアン)の元編集長のAlan Rusbridger(アラン・ラスブリッジャー)氏は、委員として選ばれたFOB初期メンバー20人(人数は40人に倍増される予定)の一人だが、3月3日、審査が進行中であることを考慮しトランプ氏のケースについて直接言及することは避けたものの、初期段階での二者択一の選択肢は、自由に選択できるとは言え同氏が望むような繊細さを備えるものではないことを暗に語った。

「現在注目されているケースについてはコメントを控えるが、誰かを永久に追放するのではなく、『ペナルティーボックス』を用意して、再度何か問題を起こした場合には、その時点で追放するというのはどうだろうか」と述べ、代替案としてサッカーの「イエローカード」のような制度を望んでいることを示唆した。

「FOBは、その裁量を広げたいと考えている。単に追放か放置かだけでは、すでに少し閉塞感を感じている」と話し「もし、拡散を抑制したい場合はどうすればいいだろうか。何か枠をはめたい場合はどうだろうか」と続ける。

「そういったことは、いずれFOBがFacebookに要請することになるだろう。しかし、FOBは、まず自信を持って仕事に取り掛からなければならない。望む結果を得ることができる」。

ラスブリッジャー氏は貴族院委員会で「どのみちある時点で、アルゴリズムを見せてもらうことになると思う。それを見たときに理解できるかどうかは別問題だ」と語った。

多くの人にとって、Facebookのトランプ氏のアカウント停止は議論の余地がない。トランプ氏が暴動を煽るためにFacebookを使い続けることで、さらなる暴力を引き起こす危険性があるからだ。また、Facebookの規則に照らし合わせれば、Facebookのコミュニティ基準に対して明らかな違反が繰り返されている。

Facebookの元最高セキュリティ責任者のAlex Stamos(アレックス・ステイモス)氏は、このアカウント停止の支持者の一人だ。同氏は現在、スタンフォード大学インターネット観測所を通じて、オンラインプラットフォームの信頼性と安全性に関する幅広い問題に取り組んでいる。

ステイモス氏は1月初旬、Twitter(ツイッター)とFacebookの両社に「正当な公平性は失われた。レッテルを貼るだけではダメだ」と、すべてが始まる前にトランプ氏を排除するよう要請していた。

しかし最終的に、大手テクノロジー企業がほぼ一丸となってトランプ氏の口を封じたことを受けて、いくつかの国の首脳や議員が、大手テクノロジー企業の権力の誇示に懸念を表明した。

関連記事:トランプ大統領はこうしてプラットフォームを失った、テック業界にとって前代未聞の歴史的な1週間を振り返る

ドイツの首相は、Twitterがトランプ氏のアカウントを停止したことを「問題がある」とし、言論を妨害するプラットフォームの力について厄介な問題を提起したと述べた。一方、欧州の他の議員らは、この一方的な行動を重く受け止め、巨大テクノロジー企業に対するしかるべき民主的規制の必要性を主張した。

世界で最も影響力を持つソーシャルメディアプラットフォームが、民主的に選出された大統領(それがトランプ氏のように対立を生み不人気な大統領であったとしても)を黙らせたという事実は、あらゆる立場の政治家に不快感を与えた。

いうまでもなく、Facebookの予想に違わぬ反応は、この二面性のある難題をFOBの判断に委ねることだった。結局のところ、それがFOBを計画した目的そのものだ。FOBは、物議を醸す面倒なコンテンツモデレーションに対処するために存在する。

そしてそのレベルでは、Facebookの監督委員会は、Facebookが意図した通りの仕事をしている。

しかし、この私的な「最高裁判所」が、二者択一に限られる裁定を求められていることに対してすでに不満を感じているというのは興味深い(トランプ氏のケースでは、アカウント停止を完全に破棄するか、無期限に継続するか、ということだ)。

FOBの非公式な発言の意味するところは、与えられた手段があまりにも柔軟性に欠けるということのようだ。しかしFacebookは、FOBが出す可能性のある広範な指針の提案に拘束されるとは言っておらず、個々の審査決定に従うとだけ言っている(つまり、FOBがFacebookに対して一般的な批判を表明しても重要なところで影響力はないということだ)。

FOBが不満の解消に向けて、どれだけ積極的にFacebookに働きかけるかは、まだわからない。

「どれも簡単に片付く問題ではない」。ラスブリッジャー氏は貴族院委員会でそのように述べ、デジタル時代における言論の抑制の課題について、より一般的な見解を示した。同氏は、グーテンベルクが発明した印刷機によって生じた長期に渡る社会的混乱を例に挙げ、インターネットがもたらした発信の革命に対応するためには、実際には何世代にもわたる取り組みが必要になる可能性を示唆している。

もしFacebookの期待することが、FOBが知性を発揮しつつコンテンツモデレーションに絡む難しい(そして厄介な)問題を棚上げにすることであれば、ラスブリッジャー氏の証言が示すようなFOBの内部で行われている熟慮のレベルに、きっと満足していることだろう(もしかすると、自ら任命した委員らにアルゴリズムのブラックボックスの開示を求められることを、不愉快に思っているかもしれないが)。

St John’s(セントジョーンズ)大学法科大学院のKate Klonick(ケイト・クロニック)准教授も貴族院委員会で証言した。クロニック氏は、FOBが設立される過程を取材するためにFacebookから広範なアクセス権を与えられ、FOBの内部構造に関する記事を執筆した。その記事は、最近The New Yorker(ザ・ニューヨーカー)に掲載された。

貴族院委員会は、FOBの運営についてより精通すべく、FOBのFacebookからの独立性について何度か参考人に質問した。

ラスブリッジャー氏は「自分たちがFacebookのために働いているとはまったく思っていない」と述べ、この点に関する懸念を否定した。FOBのメンバーは、Facebookが設立した信託会社を通じてFacebookから報酬を得ているが、これはFOBをFacebook本体から独立した立場に置くためだ。貴族院委員会は、FOBがどれほど純粋に独立しているのかを問うために、躊躇なく報酬の問題に切り込んだ。

ラスブリッジャー氏は「非常に独立していると思っている」と答え「Facebookに友好的でなければならないとか、否定的でなければならないといった義務があるとはまったく思っていない」と述べた。

「FOBの良いところは、時には誰かが『しかし、もしそんなことをしたら、どこそこの国でのFacebookの経済モデルが台無しになる』と言ったとしても、『それは私たちの問題ではない』と答える。これはとても自由なことだ」と同氏は付け加える。

もちろん、FOBの現職のメンバーが、一斉に報酬を辞退するなどしない限り、独立性の質問には他に答えようがないだろう(誤解のないようにいうと、ラスブリッジャー氏は辞退していない)。

FOBのメンバーは1期3年で3回の任期を務められることが確認されているので、同氏はFacebookのために、今後10年近く熟慮を続けることになる。

一方、クロニック氏は、Facebookが準独立の監視機関をゼロから構築し、同社自身と自らが監視機関と称するFOBとの間に距離を置くという課題の難しさを強調した。

「監視機関としての制度を構築すること、つまり、制度構築への移行や、[FOBとFacebookの間の]しがらみの排除、そして膨大な難題、新しいテクノロジー、新しいバックエンド、コンテンツ管理システムなどとともに新しい人たちを組織することは、信じられないほど難しいことだ」と同氏は語る。

ラスブリッジャー氏によると、FOBの「研修期間」の間、Facebookの代表者が参加する広範なトレーニングプロセスを経たとのことだ。しかし、トレーニングの終了後、Facebookの代表者がまだ通話に参加していることに気付いたときのことを説明し、その時点でFOBはFacebookに退去を指示する権限を得たと思うと話した。

クロニック氏は「その状況を見ていて、これはまさに、起こるべきことが起こった瞬間だったと思う」と述べ「ある種の正式な決別が必要だった。背中を押されて巣立つ瞬間、FOBがトレーニングを終えた時点がその時であり、当然の成り行きだった」と付け加える。

しかし、FacebookがFOBの通話を文字通り盗み聞きしていないことを独立性の尺度とするならば、Facebookは、自らの監督者をプログラムするための長く複雑なプロセスにおいて、選ばれた意欲的な参加者をどれほどうまく洗脳したのか、立ち上げを監視するために入れた付加的な部外者も含めて、疑ってみなければならない。

貴族院委員会は、FOBがこれまでのところ、ほとんどの場合、モデレーターが削除したコンテンツの回復をFacebookに命じているという事実にも関心を持っている。

2021年1月、FOBが最初の決定を下した際、Facebookが削除した5つのコンテンツのうち4つを回復させたが、その中にはヘイトスピーチに関するものもいくつか含まれていた。この動きはすぐに、FOBの方向性に対する批判を集めた。結局のところ、Facebookのビジネスに対して広がる批判は、有害なコンテンツを削除することにあまりにも消極的であるというものだ。(例えば、Facebookはようやく2020年、ホロコーストの否定を禁止した)。そしてなんと、自称「監督委員会」がヘイトスピーチの削除を撤回する決定を下しているのだ。

関連記事:Facebookが方針転換してホロコースト否定コンテンツを禁止へ

真の意味でFacebookから独立し反抗する私的な「The Real Facebook Oversight Board(真のFacebook監督委員会)」は、即座に「衝撃的だ」と食いつき、FOBは「ヘイトを正当化するために全力を尽くしている」とこの決定を非難した。

クロニック氏は、FOBはFacebookの最高裁判所ではなく、本質的にはむしろ「ユーザーのための紛争解決メカニズム」に過ぎないという現実を指摘した。

もしこの評価が正しいとすれば(FOBにたどり着くユーザーの数が非常に少ないことを考える限り、実際、的を射ていると思うが)、本来ならばプラットフォームの標準機能であるはずの監督機能について、FacebookがどれだけPRできたかは、まったく疑わしい。

クロニック氏は、FOBの年初の取り消し決定は、コンテンツの削除に異議を唱えるユーザーの声を聞いた結果であり、ユーザーの不満に「共感」したからだと主張する。

「どのような規則に違反したのか、どうすれば再び規則違反を避けられるのか、どうやってその情報を得るのか、自分の言い分を伝えることができるのか、といったことが具体的にわからないという絶対的なフラストレーション」と、コンテンツ削除決定の見直しを申請したユーザーからFOBのメンバーが聞き、同氏に語った内容を列挙する。

「今回のFOBの決定は、何よりもまず、そのような状況を回復させようとするものだと思う」と同氏は示唆し「それはFOBがFacebookに送り返しているシグナルであり、正直にいうと、容易に解決できる問題だ。つまり、正確な規則を人々に伝え、事実に照らし合わせた分析や規則の適用を行い、目にしているものを読み取ってもらうことで、人々は何が起こっているのかをよりよく理解することができる」と続ける。

「あるいは少なくとも、検閲がブラックボックスではなくプロセスがあることを少しでも感じられればと思う」。

貴族院委員会の質問に対する回答の中で、ラスブリッジャー氏は、審査の意思決定にどのようにアプローチしているかを語った。

同氏は「ほとんどの判断は、なぜこの特定のケースで言論の自由を制限するのかを熟慮することから始まり、それが興味深い疑問を生む」と述べ、Brandeis(ブランディス)判事の「より多くの言論で悪い言論に対抗する」という見解に通づる、言論についての前述の自説を要約した。

同氏は「不快にされるか損害を与えられるかの境界線とは異なり、不快にされない権利がこの問題には関わっている」とし「この問題は、政治哲学者たちによって長い間議論されてきており、絶対に解決されることはないだろう」と続ける。

「しかし、もし不快にされない権利の確立が受け入れられれば、最終的にそれは、ほとんどすべての議論に大きな影響力を与えるだろう。そして実際、Facebookがあるコンテンツを削除した際、実質的にそのような権利を行使したケースが1つか2つあった」。

同氏は「不快とは異なり、被害は明らかに異なる扱いを受けるものだ」とし「そして、我々は幸運なことに、専門家を雇い、被害についての助言を求めることができる立場にある」と付け加えた。

ラスブリッジャー氏は、不快な言論と有害な言論の「境界線」を設定しなければならなくなった場合にFOBが直面する課題や落とし穴について悩んでいるようには見えなかったが、専門家を(さらに)外部委託できることは恐らく助けになるだろう。それは同氏が、貴族院委員会のセッションの中で、(初めにFacebookが選んだ)現在のFOBメンバーに技術的な専門性が欠けていることも含め、他にもいくつかのオペレーション上の問題点を指摘していたからだ。

技術的な専門知識がなければ、Facebookのコンテンツ配信マシンを有意義な方法で分析することはできない。それでは同氏がFOBの要望であるという「アルゴリズムを調べる」ことはどうやって実現するのだろうか。

FOBには現在、技術的な専門知識が欠けているため、その機能についてさまざまな疑問が提起されている。また、アルゴリズムを利用した金儲けのための選定について、言い逃れやより深い精査の回避を容易にすることで、最初にトレーニングを受けたメンバーが、Facebookの利己的な観点から有用な愚か者として扱われていないかどうかも疑問視されている。

Facebookという機械が技術的、経済的にどのように機能しているのかを本当に理解していなければ、一体どうやって意味のある監視を行うというのだろうか(ラスブリッジャー氏は明らかにこのことを理解しているが、このプロセスがどのように進展していくかを見守ることに満足しているようだ。知力の発揮とインサイダーの視点が魅力的であることは間違いない。「今のところ、非常に高い関心を持っている」と同氏は証言の冒頭で認めている)。

同氏は「監督委員会があるとしても、アルゴリズムは、中毒性を高めるためにコミュニティを対立させるような感情的なコンテンツに報酬を与えることはよく知られていることだ、と人々はいう。それが本当かどうかはわからないが、FOBとしてはそういった問題に取り組む必要がある」と述べ「たとえそれが、プログラマーと何度もセッションを重ね、我々が理解できるように非常にゆっくり話してもらうことになったとしても」と続ける。

「FOBの責任は、Facebookのメカニズムがどういったものであるかを理解することだと考えている。モデレーションのメカニズムではなく、許容するメカニズムだ」とし「そのメカニズムの評価基準は何なのか」と述べる。

二人の証言では、もう1つの懸念が示された。FOBが行っている複雑で微妙なモデレーションの判断は、スケールアップできないのではないかということだ。これは、AIベースのモデレーションに供給する一般的な情報に比べて、あまりにも特殊すぎるということを示唆している。また、Facebookが現在運用しているスタッフによるモデレーションシステム(数千人の人間のモデレーターが驚くほど短い思考時間でコンテンツの良否を決定している)でも、必ず対応できるとは限らないだろう。

それにもかかわらず、Facebookの巨大なスケールと、コンテンツ帝国の端っこでくすぶる、同社が決めた限られた機能のFOBとの間の問題は、適切に議論されることもなく、貴族院委員会のセッションに不安を残す包括的なポイントの1つとなった。

ラスブリッジャー氏は「『このようなことは簡単に意思疎通できるのか』という問いは、良い質問だ。FOBのメンバーは少しずつそのことに取り組んでいる」と述べ、審査の仕事の要求に応えるだけの資格を自認できるよう、見慣れない「世界中の人権プロトコルや規範」を一通り学ぶ必要があったことを認めた。

このようなレベルのトレーニングを、現在Facebookがコンテンツモデレーションを行うために雇用している何万人ものモデレーターに拡大するには、当然のことながら目のくらむような費用がかかる。また、Facebookから提供されるものでもない。その代わりに、非常に高価でトレーニングを受けた40人の専門家からなる精鋭チームを抜擢して、極少数のコンテンツ判定に取り組ませている。

ラスブリッジャー氏は「FOBが下す決定は、人間のモデレーターが理解できるものであることが重要だ」と言い「理想的にはAIでも理解できるものだが、あるケースの事実について、[Facebookのコミュニティ基準、Facebookの価値観、『人権フィルター』]の3つの基準に準拠し、特定の方法で決定することがあるので、そこには葛藤がある」と語る。しかし、AIがあるケースと別のケースの微妙な差異を理解するのはかなり難しいだろうということは承知の上で、次のように話した。

「だけど、これはまだ始まったばかりさ」。

関連記事:Facebookの監督委員会がプロジェクトが成功すれば「他ソーシャルネットワークの参加も歓迎」

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookSNSドナルド・トランプ

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

フェイスブックとインスタグラムが「最も個人情報をかき集めるアプリ」トップに、第三者と多くの個人データ共有

フェイスブックとインスタグラムが「最も個人情報をかき集めるアプリ」トップに、広告主と最も多くの個人データ共有

SOPA Images via Getty Images

アップルは2020年末から新規およびアップデートするApp Storeアプリに、収集しているプライバシー情報(プライバシーラベル)の表示を義務づけています。FacebookGoogleなどは何らかの事情から遅れていましたが、ようやくトップアプリのほとんどが表示を実装しています。

そのプライバシーラベルに基づいて、スイスのクラウドストレージ企業pCloudがユーザーから最も多くの個人データを集めて第三者と共有する「侵略的な」アプリのランキングを発表し、InstagramとFacebookの2つがトップに位置づけられました。

InstagramとFacebookアプリはサードパーティ広告主(第三者)と最も多くのデータを共有しており、購入や位置情報、連絡先の詳細やユーザーコンテンツ、検索履歴から閲覧履歴まであらゆる情報を対象にしているとのこと。その事実は別のメディアが確認しており、両アプリを運営するFacebookのプライバシーに配慮の薄い印象から言っても全く意外ではありません。

フェイスブックとインスタグラムが「最も個人情報をかき集めるアプリ」トップに、広告主と多くの個人データ共有

pCloud

しかしInstagramは個人データの79%を収集し、Facebookは57%と数値化されると、やはり圧倒的ではあります。それに続くのはビジネスSNSのLinkedInとUber EATSで50%と並んでいます。また本調査はGoogleがGoogle検索アプリとChromeのプライバシーラベルを公開する前に行われましたが、それでもYouTubeとYouTubeMusicも43%を叩き出してトップ10入りを果たしています。

第三者との個人データの共有とは、たとえばYouTubeが動画を検索するたびにデータがアプリ外に送信され、他のSNSで個人をターゲットにしている業者などに販売されるということです。特にpCloudは、月間アクティブユーザー数が10億人を超えるInstagramが自覚のない人々のデータを大量に共有するハブ化していることに懸念を示しています。

かたや、ほとんど個人データを集めていないアプリの顔ぶれはSignalやClubhouse、NetflixやShazam、SkypeやTelegramといったところです。インストール時に「連絡先をぜんぶ吸い上げる」仕様を廃止したばかりのClubhouseですが、ログイン後の挙動はプライバシー重視だった模様です。

(Source:pCloud、via:MacRumorsEngadget日本版より転載)

関連記事
Chromeで「シークレットモードでも個人情報を収集」発覚、Googleが約5000億円の集団訴訟に直面
音声SNS「Clubhouse」が「連絡先をすべて吸い上げる」仕様を廃止、プライバシー侵害の指摘で
アップルのプライバシー対策にフランスのスタートアップのロビー団体が苦情
TikTokが欧州で消費者、子どもの安全、プライバシーに関する訴えを受ける
グーグルが「Cookie廃止後、それに代わる他のユーザー追跡技術を採用するつもりはない」と発言
フェイスブックがイリノイ州のプライバシー保護法をめぐる集団訴訟で約694億円支払う
フェイスブックのEU米国間データ転送問題の決着が近い
EUの主管プライバシー規制当局が行動監視に基づくターゲティング広告の禁止を求める
WhatsAppが新プライバシー規約を同意しないユーザーへの対応内容を説明
Appleのティム・クック氏がアドテックは社会の破滅をもたらすと警告、同社アプリトラッカーのオプトイン機能を擁護
アップルのApp Tracking Transparency機能はデフォルトで有効に、早春にiOSで実装
グーグルはCookieに代わるターゲット方式による広告収入はほぼ変わらないと主張するもプライバシー面は不透明
アップルがアプリのプライバシー方針を明らかにするラベルを全App Storeで公開
GDPRの執行力強化を切望するEU消費者保護団体の報告書、プライバシー侵害の懸念

カテゴリー:セキュリティ
タグ:広告 / アドテック(用語)Instagram / インスタグラム(企業)広告業界(用語)Google / グーグル(企業)SNS / ソーシャル・ネットワーキング・サービス(用語)Facebook / フェイスブック(企業)プライバシー(用語)

音声SNS「Clubhouse」が「連絡先をすべて吸い上げる」仕様を廃止、プライバシー侵害の指摘で

音声SNS「Clubhouse」が「連絡先を全部吸い上げる」仕様を廃止、プライバシー侵害の指摘で

aap Arriens/NurPhoto via Getty Images

すでに日本では最初のブームは過ぎた感もある、音声チャットサービスのClubhouse。専用アプリをインストールしてログインしようとすると連絡先へのアクセス許可が求められる、つまり連絡先データを全て吸い上げることがプライバシー保護的に問題視されていましたが、これを改めたと発表しました。

Clubhouse公式アカウントは、専用アプリの最新アップデートにて連絡先へのアクセス許可が必要なくなり、招待したい相手の電話番号を手動で入力できるようになったと報告しています。アプリの実験的機能を独自の方法で探し出すことで知られるJane Manchun Wong氏も、それが事実だと確認した上で、プライバシー保護が改善されて良かったと述べています。

これまでClubhouseがユーザーから提供された連絡先のデータをどう扱っているのかは不透明として、テック系ニュースメディアのOneZeroなどは注意を呼びかけていましたが、ようやく対応されたかたちです。

またClubhouse共同創業者のポール・デイビッドソン氏もThe Vergeに対して、ユーザーは前にアップロードした連絡先を削除するよう会社に連絡でき、手動で連絡先を削除できるツールもまもなく提供すると述べています。

ほか(こちらが本来Clubhouseとしては主題ですが)Clubhouseに参加するクリエイターが充実したトークを主催し、聴衆を集め、収益化を支援する「Clubhouse Creator First」プログラムも発表しています。3月31日までの期限付きで、20人のクリエイターを募集中です。

YouTubeが人気YouTuberで盛況となり莫大な収益を上げているように、才能あるクリエイターはSNSに多くのユーザーを集め、市場規模を拡大する原動力になります。日本でもClubhouseが提供が始まった当初は芸能人らが一斉に参加し、すぐに潮が引くように姿を消しているのは「いずれ収入源となると見越して、拠点を築いておくため」との憶測もありましたが、収益化が本格的になればまた戻ってくるのかもしれません。

(Source:Clubhouse(Twitter)、via:The VergeEngadget日本版より転載)

関連記事
グーグルが「Cookie廃止後、それに代わる他のユーザー追跡技術を採用するつもりはない」と発言
フェイスブックのEU米国間データ転送問題の決着が近い
Clubhouseのリバースエンジニアリング競争で高まるセキュリティ上の懸念
韓国の丁首相が話題のソーシャルオーディオアプリClubhouseに参加
ソーシャルオーディオアプリClubhouseが800万ダウンロード超え、2021年2月前半に急増
「Clubhouse」の音声データが中国当局に漏れる可能性が浮上、開発元はセキュリティ強化を実施
中国で人気が出すぎたClubhouseがつかの間の検閲回避を経て利用禁止に
Clubhouseと中国、ライバルアプリや生まれつつあるクローンそして政府による情報管理

カテゴリー:セキュリティ
タグ:Clubhouse(製品・サービス)SNS / ソーシャル・ネットワーキング・サービス(用語)プライバシー(用語)

Tiger Globalがインドの若いSNSに約190億円規模の投資を検討中

新しいソーシャルネットワークが生まれる余地はないと、誰が言っただろうか?

Tiger Global Managementは設立から7カ月のKutumbに1500万〜2000万ドル(約16億〜22億円)のラウンドを行うための交渉を進めており、インドの新興企業である同社の評価額は約1億7000万ドル(約190億円)になると、この件に詳しい4人がTechCrunchに語った。

米国の投資会社であるTiger GlobalはKutumbに条件を提示したが、シリーズAの取引はまだ終了していないと、関係者の何人かが匿名を条件に語った。いつものことだが、条件が変更されたり、取引が実現しなかったりする可能性もある。

ヒンディー語で「家族」を意味するKutumbは「文化、信条、信念、興味、職業」に基づいてコミュニティをつなぐ「Redditのようなプライベートソーシャルネットワーク」を構築している。

モバイル調査会社のApp Annieによると、このスタートアップの名を冠した6カ月前のKutumbアプリの月間アクティブユーザー数は1100万人を超え、2020年12月の約55万人から増加している(このデータは業界幹部がTechCrunchに伝えたものだ)。

Kutumbは2020年末にSequoia Capital IndiaのSurgeアクセラレーターから資金を調達した際、約1500万ドル(約16億円)の評価を受けた。調査会社のTracxnによると、同社はシードファイナンスラウンドで約250万ドル(約27億円)を調達した。

Tiger Globalはコメントを控えた。またKutumbの共同創業者の1人もコメントに応じなかった。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:KutumbTiger Global Management投資インドSNS

画像クレジット:Sanjeev Verma / Hindustan Times / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:塚本直樹 / Twitter

ロシアがTwitterの通信速度を制限、その意図は?

政府が自らコントロールできないオンラインコンテンツに攻撃を加える最新の事例として、ロシアは、Twitter(ツイッター)の通信速度を絞っている。同国のRoskomnadzor(ロスコムナドゾ、通信・情報技術・電子メディア・出版の政策立案および規制監督の総合機関)は、禁止されたコンテンツを削除していないソーシャルメディアに対応する措置を取ったと、現地時間3月10日に発表した。3000以上の違法な投稿が放置されていることを確認したと主張し、サービス全体のブロックを実施する可能性もあると警告している。

しかしながら、ロシアにおけるTwitterの全モバイルとデスクトップユーザーの50%の通信速度を遅くするというこの通信規制当局による行動は、ロスコムナドゾル自身のウェブサイトもしばらくの間、ダウンさせてしまったようだ。

また、ロシア政府のウェブサイトも、kremlin.ruを含め影響を受けたという報告も、ソーシャルメディア上を駆け巡った。

本稿執筆時点では、これらのサイトにはアクセス可能だったが、先程はロスコムナドゾルのサイトにアクセスすることができなかった。

ロスコムナドゾルがブロックしようとしたウェブサイトの代わりに、自分自身をブロックしてしまったことはいうまでもありません(しかし、このツイートから明らかであるように、もちろんTwitterはロシアでオンラインです)。

この件については@CodaStoryに書きましたが、あれからほとんど変わっていないようです。

ディープパケット検査技術でTwitterがブロックされたため、ロシア全体のインターネットの質が低下する可能性があります: https://t.me/itsmymedia/2345

ロシア国家機関とTwitter間の対立は、獄中の野党指導者Alexei Navalny(アレクセイ・ナワリヌイ)氏を支持する反汚職デモ参加者を、ロシアが取り締まろうとした時から始まっている。ナワリヌイ氏は、この数週間、デモ隊に街頭へ出て政権への圧力を強めるよう呼びかけてきた。

ロスコムナドゾルの声明では、政治的な反対意見を検閲するために国家が行っていることについては何も言及しておらず、Twitterの速度を制限したのは、未成年者の自殺、児童ポルノ、薬物使用に関連するコンテンツを削除していないためだと主張。したがって、それは「ロシア市民を保護する」ための行動であるとも主張している。しかし、政治的な反対意見を黙らせようとする言論統制法の厳しい適用は、Putin(プーチン)政権下のロシアでは何も新しいことではない。

ロシアの政権は近年、外国のソーシャルメディアサービスから気に入らないコンテンツを削除しようと何度も試みてきた。時には今回のように、技術的な手段でアクセスを制限しようとすることもある。

最も悪名高いのは2018年、ロシアがメッセージングサービス「Telegram(テレグラム)」へのアクセスをブロックしようとした時のことだ。このブロックが何百万もの(Telegram関連以外の)IPアドレスをダウンさせてしまったため、他のサービスまでも混乱に陥れ、現地のインターネットに大規模な巻き添え被害をもたらした。

2018年にはまた、Facebook(フェイスブック)傘下のInstagram(インスタグラム)が、ロシアからナワリヌイ氏によって投稿されたコンテンツを削除するように要請され、応じたこともあった。このことは現在収監されているナワリヌイ氏のツイートで明らかにされた。

関連記事:ロシアの圧力でコンテンツを削除、Instagramは応じたがYouTubeは見合わせ

ナワリヌイ氏は、2021年2月に執行猶予つきの刑の条件に違反したとロシアが主張したことにより投獄され、現在は獄中にいるが、この著名なプーチン批判者は、彼の公式Twitterアカウントを、汚職を非難するためのメガホンとして使い続けており、2020年自身が毒殺未遂にあったこと(この件はロシアのFSBが関与している)に続き、現在も不正に勾留されていることを訴えている。

ナワリヌイ氏のアカウントから投稿された最近のツイートには、ドイツの新聞社Bild(ビルト)が、ロシア国営メディアであるRussia Today(ロシア・トゥデイ)のドイツ語チャンネル「RT DE」への調査を強めたことなどが含まれている。Bild紙は、ナワリヌイ氏とその仲間を標的にしたドイツ人によるスパイ行為を非難している(当時、ナワリヌイ氏は毒殺未遂事件から回復するため、ベルリンにあるドイツの病院に滞在していた)。

BILDはRT DEがどのようにスパイ活動に利用されたかを伝えています。

この物語には続編があるのでしょうか?いつまでRTはドイツ語の放送局としてライセンスを保持していられるでしょうか?

Twitterのアクセス速度を低下させることは、ロシアがこのプラットフォーム上におけるナワリヌイ氏の批判的な発言にフタをしようとするための1つの方法だ。同氏による最近の投稿には、ロシア市民の税金が2021年の冬、プーチンと彼の取り巻きによって、ヨット、ウイスキー、モルディブの休暇のために使われたと主張する動画のリツイートも含まれている。

ナワリヌイ氏のアカウントはまた、最近数時間の間にツイートしており、ロシア国家が彼を毒殺しようとしたことに続いて、彼を刑務所に入れたことを糾弾し「この状況は殺人未遂と呼ばれるものだ」と言っている。

このような状況は殺人未遂と呼ばれるものです。

ノボシビルスク裁判所のナバルニー氏の入院に関する判決を不服として提訴

本稿執筆時点では、Twitterはロスコムナゾルの措置について、コメントの求めに応じていない。

しかし、2021年2月にインドでも政府に対する抗議運動(この場合は、市場の規制緩和撤回を求める農民によるもの)に関して憂慮すべき事態が発生した。Twitterはインド政府の圧力に屈して、反政府デモに関連したアカウントを含む500のアカウントを停止したのだ。同社また、特定の抗議ハッシュタグの可視性を低下させることにも同意した。

関連記事:Twitterがインド当局のさらなる警告を受け500以上のアカウントを停止

【更新】Twitterから以下の声明が届いた。

当社では、ロシアにおいて、コンテンツ削除の懸念から、Twitterが意図的に広範囲かつ無差別に速度低下の措置を受けているとの報道を認識しています。しかし、ここで明確にしておきたいのは、私たちは児童の性的搾取については、ゼロ・トレランス・ポリシー(一切寛容しない方針)を掲げていることです。自殺や自傷行為を助長したり、美化したり、奨励したりすることはTwitterの規定に違反します。非合法な行為や薬物の売買を含む違法行為のためにTwitterを利用することは認めていません。私たちは、世界中で開かれたインターネットを擁護するために尽力しており、オンラインにおける公共の会話をブロックしたり制限したりする試みが増えていることに深い懸念を抱いています。

関連記事:Twitterがインド政府からの「法的要求」を受け、同地の著名人アカウントを停

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ロシアTwitterSNS

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

「LGBTQの居場所をつくる」米国10代向けアプリweBelong、ミクシィ笠原氏などから約7300万円を調達

「本来の自分」というのは、なかなか晒け出せないないものだ。ネット上ではもちろん、家族や友人にだってカミングアウトできないことは誰にでもあるだろう。そんな人たちに「居場所」を提供するSNSアプリがある。HoloAsh,incが運営する、10代マイノリティ向けコミュニティアプリ「weBelong」だ。

同社はこの度、プレシードラウンド調達として、ミクシィ笠原健治氏、元メルカリ富島寛氏、エニグモの須田将啓氏など、複数のエンジェル投資家などから約7300万円の資金調達を実施。アカツキHeart Driven Fundなどからの出資を含め、累計の調達金額は約1億円になったという。

画像クレジット:HoloAsh,Inc.

weBelongは、米国に住む10代のマイノリティ(LGBTQや、ヒスパニック、黒人など)向けの匿名制コミュニティアプリだ。生年月日、性別、ジェンダー、趣味、悩みなどを登録すると、アルゴリズムが「自分に近い属性や関心を持つグループ」をおすすめしてくれる。ユーザーはそのグループ内で、互いの悩みや関心事をテキストでチャットできる。

例えば「自分がレズビアンであることを親に言い出せない」「摂食障害に悩んでいる」「自分の体型が恥ずかしい」など、アプリ内ではさまざまなトピックについて会話が交わされる。仲の良い友達や家族に相談しにくい悩みでも、weBelongのユーザー同士では打ち明けられる。自分と近い境遇にある人たちだからこそ、安心して話ができるのだ。

他人と比較しないSNS

「米国は多様性に満ちた国なのだから、LGBTQは社会で受け入れられているのではないか?」と思われる読者もいるかもしれない。しかし、必ずしもそうとはいえない現実がある。米人権団体のHRCが行った調査によると、10代LGBTQの76%が「自分の家で自分らしくいられない」と回答。また学校においても、70%は過去にいじめを経験しているという。

20代、30代でさえ「本当の自分」をカミングアウトするには勇気がいる。このような環境下で、まして10代となると「そもそも自分の性は何なんだろう?」「これを家族に言っていいのかな?」「友達になんて思われるだろう?」と、誰にも相談できないまま殻に閉じこもってしまうのは想像に難くない。

そんな「自分らしくいる」ことに難しさを感じる、10代マイノリティに焦点を当てたのがweBelongだ。このSNSアプリがおもしろいのは、フォロー・フォロワー数や「いいね」(同アプリでは「ハグ」と呼ぶ)の数を第三者からは確認できないという点だ。よって他のSNSアプリのように、ユーザーは「数字」を競い合うことがない。自分を良く見せようとしたり、アピールしたりするインセンティブが働かないからだ。

HoloAshのCEOである岸慶紀氏は想いを語る。「weBelongは『他人と比較しない』ことにこだわっています。他のアプリのように、一部の有名なインフルエンサーが圧倒的なパワーを持つという場所にしたくはなくて、どんな人にとっても居心地の良い空間をつくりたいと思っています」。

「感謝される経験」が支えになる

weBelongは2021年1月にリリースされてから、約20万件のコメントがなされ、毎日約200人が利用している。特筆すべきは、1日あたり35分〜40分におよぶユーザーの平均滞在時間だ。これは、同社が目指した「自分と同じ属性の人と繋がれる、居心地の良い空間」を演出できている証拠だろう。

現段階では収益化は行っていないものの、岸氏の頭の中にはアイデアはいくつもある。「ただの広告モデルにはしたくないと思っています。確かに、10代マイノリティ向けに商品を展開する企業の広告を出す、ということはすぐに思いつく方法です。ただ、僕たちが目指しているのは本当にそこなのかな、と少し違和感があるんです」。

同氏は、ユーザー同士でマイクロペイメントができる仕組みやアプリ内のバーチャルコインの活用を考えているという。例えば、ユーザーAがユーザーBの悩みを聞いてあげた時、ユーザーBはお礼として数ドルをユーザーAに支払う。その支払いに対して、weBelongが少額の手数料を受け取るという形だ。

岸氏は、自身がADHDを持つ身としてこう語る。「自分がまだ小さい頃に、歯磨きを学校の先生に褒められたことがあるんです。それがたまらなくうれしくて、それ以来いつも歯磨きだけは完璧にしていた(笑)。こんな些細な出来事でも、人生を生きる大きな糧になると思うんです。weBelongでは、いろんな不安や悩みを抱えた人たちがお互いを支え合う中で、『他人から感謝される』『他人に頼りにされる』という経験を経て、自己肯定感を強めていくきっかけになって欲しいと思っています」。

現代を生きるティーンエイジャーにとって、SNSは諸刃の剣だ。自分自身を世界中に発信できる一方で、数字に依存してしまうばかりに「心が疲弊」する場合もある。フォロワー数・いいね数を競わずに、10代マイノリティの助け合いに焦点を絞るweBelongは、現代のSNSシーンにまったく別の角度から一石を投じる存在になりそうだ。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:weBelong資金調達SNSマイノリティLGBTQティーンエイジャーHoloAsh,inc

世界的テック企業とやり合うEUの主任データ監督者は未だにLotus Notesを使っているという驚きの事実

Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、LinkedIn(リンクトイン)、TikTok(ティックトック)、Twitter(ツイッター)など、EU経済圏に存在する多数のテック大手を担当する主任データ監督者が、EUの重要規制である一般データ保護規則(GDPR)に基づいて申し立てられた苦情や調査の管理に今でもLotus Notes(ロータスノーツ)を使っていることが、Irish Council for Civil Liberties(ICCL)によって行われた情報公開請求によって判明した。

アイルランドのデータ保護委員会(Data Protection Commission:DPC)の2016年の年次報告書には、GDPR(およびePrivacy)の準備段階における主な目標の1つとして「新しいウェブサイトとケース管理システムの実装」をGDPRが施行される2018年5月までに完了することと記載されている。ところが、ICCLの情報公開申請に対する回答によると、5年近く経過した今でも、この情報通信技術のアップグレードプロジェクトは完了していないという。

アイルランドのデータ保護委員会スタッフは、世界最大手のテック企業に対する調査でLotus Notesを使用している。ICCL @ICCLtweetの調査により、@DPCIrelandがGDPRを執行できるようにするための情報通信技術の全面的な見直しが数年遅れていることが判明した。

内部文書(現在は公開されている)によるとプロジェクトの締め切り遅れは何度も繰り返され、2020年の10月までには、DPCの情報通信技術のアップグレード費用は当初の予定の2倍以上、少なくとも61万5121ユーロ(約7890万円)にまで膨らんでしまった(この数字には2016年以降のプロジェクトの人件費は含まれていない。また、アイルランド政府の司法省で生まれた時代遅れのLotus Notesシステムの保守費用も含まれていない)。

欧州の大半のテック大手を担当する主任データ監督者が、このような「前世代」のソフトウェアを使用して申し立てを処理しているという事実が判明したことで、DPCはかなり恥ずかしい思いをしているが、それだけではない。DPCの上層部の能力も疑問視されている。

DPCはテック大手に対する規制執行のペースが遅いという批判を浴び続けているが、それとGDPRのワンストップショップメカニズム(1国のデータ保護機関から承認を得れば他国の当局からの承認は不要となる制度)が相まって、膨大な数の未処理ケースが溜まっており、それがGDPRの弱点になっている(この点は欧州委員会も認めている)。そのため、自身の情報通信技術システムのテコ入れに時間がかかり過ぎているという事実が判明したことにより、規制当局が目的を果たしていないという批判はいっそう強くなるだろう。

問題はそれだけに留まらない。大半のテック大手は人々のデータから莫大な利益を獲得し、その利益で大勢の社内弁護士を雇い、規制介入されるリスクから自身を保護している。そうしたテック大手と、適切な最新ツールもなしにユーザーの権利を保護するという責務を課された、ちっぽけな資金不足の公的機関の間には、資金的にも技術専門知識という点でも大きな開きがある。

アイルランドのDPCの場合、内部の情報通信技術の全面改革にどれくらいの時間を要するかによって、リソースの管理状況に注目が集まる。2015年あたりから、GDPRの施行に合わせてDPCに割り当てられるリソースが増え、予算と人員が補強されている状況ではなおさらだ。

ICCLはアイルランド政府に対し、検査官の2人増員を検討するよう要請している。現在の検査官は、2014年に就任したHelen Dixon(ヘレン・ディクソン)氏1人だけだ。

ちなみに、アイルランドの法律では検査官を3人まで任命できる。

「FacebookとGoogleが我々ユーザーについて知っている情報を乱用しないよう監視する役割を担っている人たちが、あまりに時代遅れのシステムを使用しているので、前スタッフの1人が『そろばんを使って給与支払い処理をやろうとしているようなものだ』と言っていた」と、ICCLのシニアフェローJohnny Ryan(ジョニー・ライアン)博士はTechCrunchの取材に答えて語った。

「DPCは、テック大手の監視という使命を遂行する体制が整っていない」と同氏は指摘する。「今回の調査結果から、DPCは、自組織内の極めて重要なテクノロジープロジェクトさえ実施できていないという事実が明らかになった。そのような組織が、世界最大手のテック企業によるユーザーデータの使用を監視することなどできるだろうか。これはDPCだけでなくアイルランド政府についても深刻な問題を提起している。我々はアイルランド政府に対してGDPRを実施できない場合の戦略的経済リスクについて警告した」。

DPCにコメントを求めたところ「ケース管理システムは機能しており、目的に適ったものだ。このシステムは過去数年にわたって新しい機能(統計や管理レポートの生成機能など)が追加され最適化されてきた」という回答があった。

だが、このシステムは「時代遅れ」で「機能的にも制限されている」ため、新しいDPCウェブサイト、ウェブフォーム、およびEUデータ保護機関とのIMI(情報システム管理)共有プラットフォームに組み込んで使えるようにするため、どの程度まで改良できるかという点については、DPCも簡単ではないと認めている。何しろ、このシステムはLotus Notesのテクノロジーをベースにしているのだ。

「システムの仕様とコアモジュールの構築についてはかなりの作業が終わっている」と副長官のGraham Doyle(グラハム・ドイル)氏はいう。「一部遅れが生じているのは、セキュリティとインフラストラクチャ要素の仕様が更新されたためだ。他にも、DPCからの要請を受けて、EU各国のDPA(データ保護機関)の間における最終判定プロセスの相違の解消に必要な時間を考慮し、作業を意図的に遅らせている要素もある。そうしたプロセスには、GDPRの第60条に述べられている、異なる監督機関の間における協力と一貫性に関するメカニズムに関連したものなども該当する」。

「EDPB(欧州データ保護会議)はGDPRの第60条の運用化、さらには第65条に基づく紛争解決の仕組みの運用化に関する内部ガイダンスの作成に取りかかったばかりだ。これらは、EU各国のDPA間をまたいだ作業の重要な部分であり、システム間のハンドオフ(受け渡し)が必要になる。また、EUは当初の採択予定からほぼ3年経過しても、新しいePrivacy法をまだ採択していない。さらに、DPCは、EU各国のDPAと協力して、GDPRの手続き面と運用面の詳細な実施方法について検討を進めている段階であり、未解決事項もまだ残っている」。

ドイル氏は次のように付け加えた。「新しいケース管理システムに対する投資も継続中だ。新しいシステムの『初期コアモジュール』を2021年の第2四半期にはリリースしたいというのがDPCの意向だ」。

今までのところ、アイルランドのDPCが国境を越えたGDPR申し立てに対して下した判定は、Twitterが2019年1月に公表したセキュリティ侵害について、2020年の12月、同社に55万ドル(約5790万円)の罰金を課した1件だけだ。

このTwitterのケースは、最初の規制執行を巡ってアイルランドと他のEU諸国のDPAとで意見の相違があったため、決定プロセスが数カ月延びることになり、DPCが提示した罰金は最終的に、多数決により最大で数千ユーロ増額されることになった。

このケースへの対応は決して順風満帆ではなかったが、Facebookによる国境越えデータ転送に関する別の(2013年の)申し立て(Schrems II)の審理に、GDPRの施行前から始まって7年以上を要していることを考えると、比較的短期間で解決に至ったといえる。

Facebookの件では、DPCは、Facebookが標準契約条項(Standard contractual clauses:SCC)を根拠に、自らのデータ転送が合法だと主張する申し立てに対して判断を下すのではなく、データ転送のメカニズム自体の合法性を疑問視して法廷で争う選択をした。この件はその後、欧州司法裁判所に送られ、EU最高裁は最終的に、EUと米国間で締結された重要なデータ転送協定を無効とする判断を下した。

法廷での争いに持ち込んだ結果、EUと米国間で締結されたPrivacy Shield(米国への個人データの越境移転を認める法的枠組み)は無効とされたものの、DPCはFacebookによるEUからのデータ転送に関する問題から手を引いたわけではない。2020年9月、DPCは予備一時停止命令を発行した。これに対しFacebookは司法審査を介して即刻控訴した(この審理は一時停止されている)。

2020年、DPCは自身のプロセスに対する司法審査(Facebookに対する告訴人、Max Schrems[マックス・シュレムズ]氏が申し立てたもの)に対して示談に応じ、Facebookに対する申し立てを迅速に決着させることに同意した。判定はまだ数カ月先だが、いよいよ2021年中には最終判定が下されるはずだ。

関連記事:フェイスブックのEU米国間データ転送問題の決着が近い

DPCは規制執行が遅いという非難に対して、法的な異議申し立てに対抗できるように適正な手続きを踏む必要があるとして自己弁護を図っている。

しかし、DPCに対する批判が続く中、自組織の重要な内部情報通信技術のアップグレードが、最優先事項であると明言してから5年近くもダラダラと長引いているという事実が判明するようでは、批判者を黙らせることなど到底できない。

先週、欧州議会の人権委員会はアイルランドに対して「GDPRを適切に執行していない」とする侵害訴訟を開始するようDPCに要請するドラフト動議を発行した。

同ドラフトには、GDPRは2018年5月に施行されているにもかかわらず、GDPR違反だとする多数の申し立てに対してアイルランドDPCは未だに決定を下していないとする「深い懸念」が記されている。

LIBE委員会は、Facebookによるデータ転送に関するケースSchrems IIを取り上げ「アイルランドデータ保護委員会はGDPR第58条に従って自らの権限の範囲内で申し立てに対する決定を下すことが本分である。しかし、このケースは同委員会自らによって開始された」ことを懸念していると書いている。

また、EU全般のプラットフォーム規制(デジタルサービス法とデジタルマーケット法)を更新する同委員会の最新の計画で、強制執行のボトルネックを回避する提案がされていることも注目に値する。具体的には、1つの加盟国の規制当局が要因で、欧州市民全体のデータ権利が国境を越えて執行できなくなるというリスクを避けるために(これはGDPRで実際に起こり続けていることだが)、テック最大手のプラットフォームに対する重大な規制執行はDPCの組織内で処理すべきだとほのめかしている。

もう1つ、アイルランドDPCには情報公開法が全面適用されず「DPCの一般管理」に関する記録についてのみ適用されるという奇妙な規定もある。つまり「監督、規制、専門家による助言、申し立て処理、調査といった各職務については(ケースファイルも含め)同法に基づく公開要請の対象から除外される」(DPCのウェブサイトより抜粋)ということだ。

2020年TechCrunchが実施した情報公開要請(DPCがGDPRの権限を行使してデータ処理の一時的または完全な禁止を課した回数を尋ねたもの)は、この奇妙な規定に基づいて規制当局により拒否された。

DPCによると、侵害を行っている企業に対して個人データの処理を中止するよう指示したことがあるかという問い合わせに対する回答を拒否したのは、情報公開法が部分的にしか適用されないという理由からだという。DPCは次のように述べている。「一般管理とは情報公開対象組織の管理に関係する記録、具体的には人事、給与、採用、アカウント、情報技術、設備、内部組織、事務手続きなどに関する記録を指す」。

しかし、たとえアイルランドの情報公開法によってDPCの活動の詳細な調査が禁止されていても、同規制当局の規制執行の記録がすべてを物語っている。

関連記事:GDPRの執行力強化を切望するEU消費者保護団体の報告書、プライバシー侵害の懸念

カテゴリー:その他
タグ:EUGDPRSNSソーシャルメディア

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

インド政府がソーシャルメディアやストリーミングサービス企業に厳しい新規制を発表

インドは現地時間2月25日、ソーシャルメディア企業、ストリーミングサービス、デジタルニュースアウトレットを規制するための抜本的な新ルールを発表し、アジア第3位の経済規模を誇るこの国を重要な海外市場とみなすFacebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Google(グーグル)、Netflix(ネットフリックス)などの巨大企業に新たな課題を投げかけた。

インドの法務相兼電子情報技術相のRavi Shankar Prasad(ラヴィ・シャンカール・プラサッド)氏は、記者会見で、ソーシャルメディア企業は違法、誤報、暴力的なコンテンツに対する削除要求を24時間以内に受け入れ、15日以内に完全に矯正することが求められることになると述べた。露骨な性的コンテンツのようなデリケートなケースでは、24時間以内に削除することが要求される。

また、これらの企業は法令を遵守することを約束し、現実的な懸念に効果的に対処するため、接点となる連絡窓口と常駐する苦情担当者の名前と連絡先を、インド政府と共有することが求められる。また、企業はインドに現地事務所を設置しなければならない。

この新しい規制は、政府が2018年から取り組んできたものであり、それが発表される数週間前には、インド首都で農民の抗議運動が起きた際、Twitterがインド政府の命令の一部を遵守することを拒否するという出来事があった。インド政府は当時、Twitterは裁判に訴えたり、不遵守を正当化することはできないと述べていた。

関連記事
Twitterがインド当局のさらなる警告を受け500以上のアカウントを停止
インド当局がTwitterによる同国農民の抗議運動に関するツイートのブロック解除に警告

プラサッド氏によれば、ソーシャルメディア企業は、不快なコンテンツの発信者を開示しなければならなくなるという。「我々はコンテンツを知りたいわけではありませんが、企業は誤報やその他の好ましくないコンテンツを広め始めた最初の人物が誰なのかを教えることができる必要があります」と、同氏は語った。WhatsApp(ワッツアップ)は以前、すべてのユーザーのエンド・ツー・エンドの暗号化セキュリティを損なうことなく、このようなトレーサビリティの要求に応じることはできないと述べていた。

また、企業は月ごとに法令遵守報告書を公開して、これまでに受けた要求の数を開示し、実施した措置を明記することも求められる。アカウントの確認を希望するユーザーには、任意選択権を提供しなければならない。

2011年に制定された法律に代わるこの新規則は、小規模な企業には直ちに適用されるが「重要」なサービスには、通達された日(それは「早急」に通達されることになるだろうと、プラサッド氏は述べている)から3カ月の猶予期間が与えられる。

インド政府がこれらのガイドラインをまとめた理由は、市民が「苦情に対処するためのメカニズム」を長い間求めてきたからだ、とプラサッド氏は述べている。インドは2018年から中間業者を対象とした法律に取り組んでおり、2020年にはストリーミングサービスやオンラインニュースの発行にまで対象範囲を拡大した。草案の最終版はこちらで読むことができる。

「インドは世界最大のオープンなインターネット社会であり、政府はソーシャルメディア企業がインドで運営を行い、事業を行い、また利益を得ることを歓迎しています。しかし、彼らはインドの憲法や法律に対し責任を問われることになります」と、プラサッド氏は述べた。

GoogleやFacebookなどの企業が次の10億人のユーザーの獲得を急ぐ中、インドは過去10年の間に米国企業や中国企業の重要な戦場として浮上した。しかし近年、Narendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相の政府は、米国企業に影響を与えるいくつかの規則を施行または立案している。また、2020年にはサイバーセキュリティの懸念を理由に、ByteDance(バイトダンス)のTikTok(ティックトック)をはじめとする200以上の中国製アプリを禁じた。

関連記事:インド政府がTikTokなど中国企業の59のアプリを禁止すると発表

プラサッド氏によると、WhatsAppはインドで5億3000万人のユーザーを獲得しており、同アプリにとって最大の市場であるという。YouTubeは4億4800万人、Facebookは4億1000万人、Instagramは2億1000万人、Twitterは1750万人のユーザーを同国で抱えていると同氏はいう。

Facebookはこの新ルールについて検討しているところだと述べている。Netflixはコメントを拒否した。

ソーシャルメディア企業やその他の中間業者のためのガイドライン全文(出典:インド政府

「この新しい規則の義務化は、インターネットプラットフォームがコンテンツを過剰に検閲し、危険で実証されていないAIベースのコンテンツ規制ツールを必要とし、政府に引き渡すために膨大な量のユーザーデータを保持し、サイバーセキュリティと個人のプライバシーにとって重要なエンド・ツー・エンドの暗号化を弱体化させる結果を引き起こすだろう」と、Access Now(アクセス・ナウ)のアジア太平洋政策ディレクターを務めるRaman Jit Singh Chima(ラマン・ジット・シン・チマ)氏は述べている

ストリーミングプラットフォームに対しては、このルールは「コードの遵守と個守」のための3段階の構造を概説している。これまで、Netflix、Disney+ Hotstar(ディズニー+ ホットスター)、MX Player(MXプレイヤー)などのオンデマンドサービスは、インドではカタログの多くを検閲されることなく運営されていた。

インド政府は2020年、テレビのコンテンツを規制するインド放送省が、今後はデジタルストリーミングプラットフォームも監督することになると発表。これを受けて、国際的な大手を含む人気ストリーミング企業17社が、自主規制コードを考案するために団結した。だが、Prakash Javadekar(プラカシュ・ジャバデカール)情報放送大臣は、業界から提案された解決策は適切ではなく、コードの完全な遵守を保証するために政府による監視機構を設けることになるだろうと述べた。

関連記事:インドの情報放送省がNetflixなどの動画配信サービスやオンラインコンテンツの規制に乗り出す

ストリーミングサービスは、タイトルにコンテンツのレイティングも付与しなければならなくなる。「OTTプラットフォームは、このルールにおいてはオンライン上のキュレーションされたコンテンツのパブリッシャーと呼ばれ、コンテンツを5つの年齢ベースのカテゴリーに自己分類することになります。U(ユニバーサル)、U/A 7+、U/A 13+、U/A 16+、A(アダルト)です。プラットフォームは、U/A 13+以上に分類されたコンテンツにはペアレンタルロックを、Aに分類されたコンテンツには信頼性の高い年齢確認メカニズムを実装することが求められます」とインド政府は述べている。

「オンライン上のキュレーションされたコンテンツのパブリッシャーは、各コンテンツまたは番組に固有の分類されたレイティングを、コンテンツの性質をユーザーに知らせるコンテンツ記述子とともに、目立つように表示しなければなりません。また、ユーザーが番組を視聴する前に、十分な情報に基づいた意思決定ができるようにするため、すべての番組の冒頭で視聴内容に含まれる描写について(該当する場合は)忠告しなければなりません」。

ジャバデカール氏は、ストリーミングサービスを規制するためのパブリックコンサルテーションを行っていません。ストリーミングサービスのための自主規制コードはすでに存在しています。

政府はストリーミングサービスを規制するための法的根拠を持っていません。政府はIT法やケーブル&テレビ法の下でオンラインコンテンツの規制を行うことはできません。

業界の幹部は、インド政府がこの変更について彼らに相談していないと述べ、新たに提案された規制に懸念を表明している。インドのほぼすべてのオンデマンドストリーミングサービスを代表する強力な業界団体であるIAMAIは、ガイドラインに「当惑している」と述べ、政府との対話を求めている。

記者会見でジャバデカール氏とプラサッド氏は、業界と協議する場を設ける予定はあるのかと尋ねられたが、大臣はすでに業界から十分なインプットを受けていると述べた。

今回のインドの動きと並び、世界中のいくつかの政府は、これらのテクノロジー企業が自国の民衆や産業に与える影響を詳細に調査している。Facebookは2月中旬、オーストラリア政府によるニュース使用料の支払いを義務づける法案に反対し、同国でニュース記事の共有・閲覧を禁止したが、その後に同政府との合意に達したとしてニュース記事を復活させた。オーストラリアのScott Morrison(スコット・モリソン)首相は、ソーシャルメディア企業が政府を「いじめる」ことを防ぐ方法を探るため、インドのモディ首相と会談した。

関連記事
フェイスブックが豪州ユーザーのニュースリンク共有・閲覧を禁止へ
Facebookがオーストラリア政府と合意、ニュースコンテンツ共有の再開を発表

インドはオーストラリアの決定について何か思うことはあるかと尋ねられると、ジャヴァデカール氏は、その件について話すには適切な日ではないと答えた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:インドSNSソーシャルメディアFacebookTwitterWhatsAppGoogleNetflix

画像クレジット:Sanjit Das / Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Sentropyがソーシャルメディア上の攻撃から人々を守るツールをローンチ、Twitterを皮切りに展開

2020年、米国大統領選挙キャンペーンが特に激しさを増していた中、人々をオンライン上の会話に集結させるソーシャルメディアや企業に向けてAIベースのプラットフォームを提供するSentropyというスタートアップが現れた。

Sentropyは自然言語処理と機械学習を利用して一連のアルゴリズムを構築し、これらのプラットフォーム上で暴言や嫌がらせなどの有害なコンテンツが出現してきたときにそれを検知し、問題になる前に対処できるように支援している。

同社が米国時間2月9日、コンシューマー向けの新製品を発表した。

Sentropy Protectは、同社のエンタープライズプラットフォーム用に開発されたものと同じ技術を使用した無料のコンシューマー向け製品だ。個人のソーシャルメディアのフィード上で有害なコンテンツを検出し、ダッシュボードを介してそうしたコンテンツとそれを生成する人々を適切に制御できるようにしてくれる。

当初はTwitterからスタートし、徐々にソーシャルフィードの数を増やしていく計画で、初期段階ではSentropyとソーシャルフィードを統合するためのAPIを提供するサービスをベースに展開する(すべてのソーシャルメディアがそういったAPIを提供しているわけではない)。

SentropyのCEOであるJohn Redgrave(ジョン・レドグレイブ)氏は、コンシューマー向け製品のローンチは方向転換ではなく同社が構築しているものの拡張であると述べている。

Sentropyは今後もエンタープライズ顧客と協働していく考えで、同分野では2つの製品を展開している。Sentropy Detectは、APIベースの悪用検知技術へのアクセスを提供する。Sentropy Defendは、モデレータのエンドツーエンドのモデレーションワークフローを可能にするブラウザベースのインターフェースだ。

しかし一方で、コンシューマー向け製品であるProtectは人々に新たな選択肢を提供する。Sentropyが特定のプラットフォームで利用されているかどうかに関わらず、制御を握り、ハラスメントのグラフを実質的にコントロールできるようにしてくれるというものだ。

「私たちはエンタープライズをスタート地点として一貫して追い求めていく強い信念を持っていましたが、Sentropyはそれ以上のものになっています」と同氏はいう。「サイバーセーフティには企業向けとコンシューマー向けの両方のコンポーネントが必要です」。

何百万もの人々に影響を与える可能性のあるサービスを構築し、かつ個人の自己決定の要素を維持しようとする姿勢のあるスタートアップの誕生は実に爽快である。

単に「サービスXを利用するかしないかはあなた次第です」ということだけではない。特に人気のサービスにおいては、プラットフォームがユーザーの最善の利益を常に考慮してくれているという期待感だけでなく、ユーザーにも自身でコントロールできるようなツールを提供すべきだという概念が重要なのだ。

これは消えつつある問題ではなく、複雑なコンテンツを処理する方法を模索し続けている現在最もホットなプラットフォームだけでなく、新興のプラットフォームにも共通する問題といえるだろう。

関連記事:TikTokがコミュニティガイドラインを拡張、「ウェルビーイング」の新機能を展開

例えば、Clubhouseの最近の人気はソーシャルプラットフォームにおける新たな領域として注目されているが、Clubhouseは会話のための「room」をベースとし、やりとりのためテキストではなく音声に依存する新しいモデルであるため、嫌がらせやハラスメントの問題にどう対処しているかという点を浮き彫りにしている。いくつかの注目すべき例は、これまでのところ、問題が大きくなる前に対処する必要があることを示している。

Protectは現在無料で利用できるが、Sentropyはその有料化の方法と可能性を検討中だとレドグレイブ氏は語っている。考えられるシナリオとしては、強化されたツールを備えた「プロ」サービスを持つ個人向けの無料限定版製品となるフリーミアムの層と、1人または複数のハイプロファイルの個人に代わってアカウントを管理する企業向けの層で提供される可能性がある。

もちろんTwitter、Reddit、Facebook、YouTubeなどのサービスはここ数年(特に最近)、より多くのルール、モデレーター、自動化されたアルゴリズムを導入し、トラック内の不正なコンテンツを特定して阻止したり、ユーザーがコンテンツを入手する前にレポートして阻止したりできるようにすることで、大きな成果を上げている。

しかし、もしあなた自身が定期的あるいは時折ターゲットにされたりするような経験を持っていれば、それだけでは十分ではないと感じるだろう。Sentropy Protectもそのような考え方に基づいて構築されているようだ。

実際、レドグレイブ氏によると、同社は当初からコンシューマー向け製品のロードマップを作成していたが、2020年6月にエンタープライズ向け製品を発表して以降その戦略は加速したという。

「私たちは『オンラインで虐待を受けています。御社のテクノロジーにアクセスするにはどうすればよいですか?』という人々からの問い合わせを受けるようになりました」。同氏はSentropyが企業のリストを精査して顧客として彼らを勝ち取り、製品の統合を成功させるだけでは解決できない問題があることに気づいたと振り返る。

「私たちは難しい決断を下しました。100%の時間を企業のために費やすのか、それともチームの一部を使って消費者のために何かを作り始めるべきなのか」。同社は後者の道を選んだ。

エンタープライズ分野では、Sentropyはソーシャルネットワークをはじめ、ゲーム体験や出会い系アプリに接続されたメッセージボードなど、人と人の交流をホストする企業との提携を続けている。現時点では顧客名を公表していないが、大手の有名プラットフォームではなく、主に小規模で急成長中の企業だとレドグレイブ氏は説明している。

Sentropyのプロダクト担当バイスプレジデントであるDev Bala(デヴ・バーラ)氏(アカデミックな経験を持ち、Facebook、Google、Microsoftで働いていた)は、より大きなレガシープラットフォームもSentropyの範疇外ではないと説明している。しかし大抵の場合、そうした企業はより大きな信頼と安全戦略に取り組み、少数のエンジニアを社内に配置して製品開発に取り組んでいることが多い。

大手ソーシャルネットワークがサービスの特定の側面にサードパーティーの技術を導入することもあるが、それらの契約が完了するまでには、たとえオンライン上での不正行為に対処しなければならないような緊急性の高い場合であっても、通常は長い時間がかかる。

「虐待や嫌がらせは急速に進化しており、Facebook、Reddit、YouTubeやその他の企業にとっては実存的な問題になっていると思います」とバーラ氏はいう。「これらの企業は、信頼と安全だけを考えている1万人の組織を持つことになり、世界はそれを実行しないことの弊害を目にしています。外部の人々にはあまり明らかにされていませんが、彼らは多数のモデレーターとあらゆるテクノロジーを持つポートフォリオアプローチを採用しています。すべてが社内で構築されているわけではありません」。

「Sentropyには大きな企業にとっても価値があると信じていますが、私たちのような製品を使っている企業の周りには多くの世論が存在していることも認識しています。ですから、対象となっている企業がFacebookではなく、あまり洗練されていないアプローチを採用していない場合、より先に進むチャンスがあると考えています」。

市場の潮流とセンチメントの変化の兆候である。虐待やコンテンツへの取り組みがビジネスコンセプトとして真剣に受け止められ始めているようだ。このビジネス機会に取り組んでいるのはSentropyだけではない。

Spectrum LabsL1ghtという2社のスタートアップも会話が行われているさまざまなプラットフォームを対象としたAIベースのツールセットを開発しており、これらのプラットフォームが有害性、ハラスメント、虐待を検知し、より適切な事例を検出できるようにしている。

関連記事:有害コンテンツと戦うAIプラットフォーム開発のSpectrum Labsが1000億円超を調達

もう1社のBlock Partyは、さまざまなソーシャルプラットフォームでユーザー自身が有害性への接触をコントロールできるようにしたいと考えているが、Sentropy同様、まずTwitterにフォーカスしている。

関連記事:SNSでのオンラインハラスメントや虐待に対抗するBlock PartyがTwitterでサービス開始

Protectを使用すると、コンテンツが検出されてフラグが設定された後、ユーザーは特定のユーザー(Protectを使用してミュートすることも可能)またはテーマに対してより広範で恒久的なブロックを設定したり、フィルタリングされた単語を管理したり、悪用の可能性があることを示すフラグが自動的に設定されたコンテンツを監視したりできる。これらのフラグを無効化して「信頼できる」ユーザーを作成することも可能だ。身体的な暴力の脅威、性的な攻撃、アイデンティティ攻撃などのように、Sentropyによって捕捉されたツイートにはラベルが付けられる。

機械学習プラットフォームをベースにしているため、Sentropyはフラグの付いたツイートを含むすべてのシグナルを収集し、Protectにそれらを使って将来のコンテンツを識別させている。このプラットフォームは他のプラットフォームでのチャットも常時監視しており、それが検索結果やモデレートに反映される。

Twitter自体の不正利用防止策を知っている人なら、Twitterが提供するコントロールよりもこれがさらに一歩進んでいることが分かるだろう。

ただし、これはまだ初期バージョンに過ぎない。今のところ、Protectではタイムライン全体を見ることはできず、実質的にはProtectとTwitterクライアントを切り替えることになる。面倒だと思う人もいるかもしれないが、一方でバーラ氏は、Sentropyの成功の兆候はバックグラウンドで動作させて人が常にチェックする必要性を感じなくなることだという。

レドグレイブ氏はまた、ダイレクトメッセージをフィルタリングする機能など、他の機能を追加する方法についてもまだ検討中だと語っている。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Sentropyハラスメント機械学習SNSソーシャルメディア

画像クレジット:Towfiqu Photography / Getty Images

原文へ

(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

ソーシャルオーディオアプリClubhouseが800万ダウンロード超え、2021年2月前半に急増

ソーシャルオーディオアプリClubhouse(クラウブハウス)はまだ正式リリース前で現在は招待制であるにもかかわらず、世界のダウンロード数が800万回を超えた。モバイルデータ分析会社App Annieが2月18日に発表した新たなデータで明らかになった。推定によると、Clubhouseの世界のダウンロード数は2021年2月1日時点で350万回だったが、2月16日には810万回に達した。この急激な増加は、Tesla(テスラ)とSpaceX(スペースエックス)の創業者Elon Musk(イーロン・マスク)氏やFacebook(フェイスブック)のCEO、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏など何人かの有名人がゲスト登場したことによるものだ。

App Annieはまた、260万回超のインストールが米国でのものだったと推定している。この数字はClubhouseが世界にアピールしていることを強調するものだ。

画像クレジット:App Annie

一方、Clubhouseは公式のダウンロード数や登録ユーザー数を公開していないが、CEOのPaul Davison(ポール・ダビソン)氏は2021年1月にClubhouseの週アクティブユーザー数が200万人に成長したと明らかにした。つまり、月間アクティブユーザー数や登録ユーザー総数はそれよりも多いことを意味する。Clubhouseの登録ユーザー数は600万〜1000万人という推定もある。

App AnnieのレポートについてClubhouseにコメントを求めたが、ユーザー数は公開しなかった。

アプリのインストール数は通常、登録ユーザー数を表すものではない。多くの人が往々にしてダウンロードしたアプリを立ち上げたりサインアップしたりしないからだ。しかしClubhouseの場合、アプリをインストールする人は参加する気があり、この2つの数字はかなり近い。Clubhouseは一般公開されていないため、アプリをインストールしようとしているユーザーはClubhouseの招待を受けているか、すでに利用している友達か親しい人から招待されることを目指しているかだ。

レポートはまた、Clubhouse現象がアプリエコシステム全般に対して、いかに影響をおよぼしているかも指摘した。独自のソーシャルオーディオ体験を提供しているClubhouseの各地域のライバルたちのダウンロード数もこのところ増えている。ライバルには中国、米国、エジプト、サウジアラビア、トルコでユーザーを引きつけているDizhua、Tiya、Yallaなどがある。

たとえばDizhuaは17万4000回のダウンロードがあり、Tiyaは600万回、Yallaは3450万回だったとレポートにある。なかでもYallaは2016年からサービスを展開しており、Clubhouseの人気がYallaのダウンロード数を押し上げている。

これらひと握りのライバルだけでなく、SonarLocker RoomQuiltYoni CircleRoadtripSpaceCapiche.fmYacCappuccinoなどのアプリを含め、ソーシャルオーディオ体験は爆発的に増えている。一方、TwitterはSpacesというClubhouseのライバルを構築中で、同社は米国時間2021年2月17日に3月までにAndroidにサービスを拡大すると明らかにした。FacebookもClubhouseのライバルとなるものを計画しているとの報道もある

関連記事
遠隔地の同僚との親密さを声で取り戻すデジタル音声メッセージングサービスのYac、Slackが出資しAPIも連携
Snapchatの初期メンバーが女性のためのソーシャルストーリーテリングアプリ「Yoni Circle」を開始

そして現在、みんなの心に浮かぶ疑問は、この成長がどれくらい持続可能なのかということだ。Clubhouseは「長々と話すことで会話を独占する傾向がある人に合う」「そうした会話の多くは退屈なだけ」「Clubhouseは取り憑かれた『ハッスルカルチャー』をサポートするもの」といった懐疑論者は指摘する。また一部の人は、ソーシャルオーディオアプリが新型コロナウイルス後の世界でどのくらいやっていけるのかを疑問視している。コロナ禍後はやることが多くあり、そこには従来のネットワーキングイベントの復活も含まれる。

しかしこうした懸念は、ソーシャルオーディオが、ポッドキャストの視聴やオーディオブックといったモバイルでの話し言葉によるオーディオアクティビティに取って代わることでマーケットを開拓する可能性があることを考慮していない。もちろん、まだパンデミックは続いており、そしてアプリが完全に一般公開されていないことからClubhouseの未来についての疑問の答えを得るのは時期尚早だ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ClubhouseSNS

画像クレジット:Freepik / Kristina Astakhova / Getty Images

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

米国では未成年への電子タバコ「VAPE」販売にTikTokが使われている

TikTokは電子タバコVAPE(ベイプ)をめぐる問題に直面している。2019年に米国の法律で21歳未満の顧客への電子タバコの販売が禁止されたにも関わらず、使い捨て電子タバコやVAPE(フレーバーつき電子タバコ)の宣伝動画がTikTokアプリ内で今でも比較的簡単に探し出せる。ノリの良い人気の音楽が流れ、現在は(米国で)販売が禁止されているフルーツフレーバーやミントフレーバーなどの香りや味つきカートリッジを宣伝しているそれらの動画が、10代をターゲットにしていることは明らかだ。いくつかの販売業者は「用心深い」梱包サービスをウリにしている。彼らが購入者へ出荷するVAPE製品は、保護者による監視の目をすり抜けられるように詰め物の下に隠されたり、化粧ポーチやふわふわのスリッパなど、他の製品の内部に梱包されていたりする。

とりわけ未成年や若年層への訴求力が高いフレーバーつきの使い捨てVAPEへの関心が高まり、それがFDA(米国食品医薬品局)によるJuul(ジュール)取り締まりへの引き金となった

2020年2月、FDAは未成年者をターゲットにしている製品やタバコとメンソール味以外のフレーバーを提供する製品を含む、違法販売された電子タバコに対して、最初の執行措置を取った。Juulを取り締まる目的があったのは明らかだ。

その結果、バブルガムやピーチ、ストロベリーといったフレーバーを欲する若者たちはPuff Bar(パフバー)のような使い捨てVAPEへと走った。使い捨てVAPEは安価で簡単に見つけることができ、コンビニエンスストアやガソリンスタンドでも継続して合法的に販売されていた

それだけでなはい。TikTokにも使い捨てVAPEが溢れており、支払いさえできれば、誰でもすぐに手に入れられる。

もっといえば、それらの違法コンテンツがTikTokに報告されても、すべてが削除されるとは限らない。

TechCrunchは、TikTokでVAPEを販売している業者たちが顧客と連絡を取るのにアプリ内の動画とコメントの両方を活用していることに気づいた。さらに彼らは、TikTokの閲覧者を違法運営と思われるウェブサイトに誘導している。また、彼らのTikTok動画には、未成年者が好むフレーバーつきPuff Barのような使い捨てVAPEをはじめとするVAPE製品の在庫状況が頻繁に表示される。

要するに、販売業者たちはFDA規制の執行後もVAPEへの興味を失わなかった若年層の観客に対してVAPEを宣伝するための無料かつ効果的な広告手段として、TikTokを利用しているのだ。

タバコに関する規制のための非営利団体Truth Initiative(トゥルース・イニシアティブ)の最新調査によると、2019年から2020年にかけてJuulの使用量は減少したが、それでも10年生から12年生のVAPE愛用者の41%がJuulを好み、この年代が最も好む電子タバコブランドとなっている。調査結果から、同時期にPuff Bar(8%)やSmok(スモック、13.1%)といった使い捨て製品の売り上げが伸びているのが見て取れる。

2020年9月にTruth Initiativeは次のような声明を出している。「2020年のNational Youth Tobacco Survey(NYTS。全米若者のタバコ使用に関する調査)新しい電子タバコの売上統計データを合わせて見ると、現行の連邦法によってミント味の製品が市場で禁止された際に、若者たちがすばやくメンソールの電子タバコ(特にJuulのメンソールポッド)へ移行したこと、そして、Puff Barのような低価格のフレーバーつき使い捨て電子タバコの人気が急騰したことは明らかだ」。

同団体によると「綿菓子やバナナアイスのように子どもたちが思わず手を出したくなるような名称を使うことにより、使い捨て電子タバコ市場は2019年8月から2020年5月までのわずか10カ月間で2倍に成長した」という。

さらに、TikTokがこの問題に大きく加担している。

Statista(スタティスタ)に発表された第三者機関による推定によると、現在、米国内のアクティブなTikTokユーザーのうち32.5%は10代の若者が使用するアカウントだと想定される。また、TikTokが2020年公表した数字によると、米国にはTikTokの月間アクティブユーザーは約1億人いる。

一方、VAPEや電子タバコの人気ブランド名や関連するキーワードがタグづけされたTikTok動画は数億回のビュー数を稼いでいる。

たとえばVAPEブランドの代名詞であるJuulのハッシュタグ「#juul」がつけられたTikTok動画のビュー数は、本記事の執筆時点で6億2390万回に上っている。

中国初の使い切りVAPE製品メーカーであるPuff Barのハッシュタグ「#puffbar」がつけられた動画のビュー数は4億4980万回だ。他のブランドも多くのビュー数を獲得している。たとえば「#njoy」は5530万回、「#smok」は4010万回、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの「#Vuse」は500万回のビュー数となっている。

これらのビュー数はあくまで単語1つのハッシュタグに対するビュー数なので、その単語が別の単語と組み合わされたハッシュタグが無数に存在する。たとえば「#puffbars」「#puffbarplus」「#puffbardealer」などのハッシュタグがあり、順にそれぞれのタグが6680万回、960万回、890万回のビュー数に達している。

これらのハッシュタグがすべてVAPE製品や電子タバコの販売業者に結びついているわけではないが、電子タバコに関連するかなりの量のコンテンツがTikTokアプリ内に存在していることは確かだ。例を挙げるなら、「#juulgang」(ビュー数5億9040万回)のようなタグは、VAPE関連のコンテンツに対抗するハッシュタグとしてVAPE嫌煙家のコンテンツ作成者たちが愛用している。

このようなトレンドは憂慮すべきものだ。TikTokを使用する若年層の多さを考えると、特にそうだといえる。実際のところ、米国のTikTokユーザーの3分の1はおそらく14歳以下だと思われる。

米国のApp StoreではTikTokの使用に際する年齢制限を12歳以上、Google PlayではTikTokのコンテンツに対する推奨年齢を「Teen(13歳以上)」としている。TikTokは若年層アカウントのプライバシーに関するデフォルト設定を変更し、過去に物議を醸し出したハッシュタグ(米大統領選での陰謀論のような)などはすばやく排除したが、その反面、VAPE製品に関するコンテンツへのアクセスはまったく制限されていない。

TikTokにおける電子タバコ喫煙に関するハッシュタクの普及に加えて、多数のVAPE販売者が「@puffsonthelow」や「@PuffUniverse」「@Puffbarcafe」などのわかりやすいアカウント名を販売時に使用していることをTechCrunchは突き止めた。それらのアカウントのページには、大胆にも現在販売している在庫一覧を含むVAPE関連動画が並び、「#puffbarchallenge」「#puffplus」「#vaperticks」といったVAPE関連用語でタグづけされている。

あろうことか、動画に「#kids」やその他のトレンドタグをつけていたVAPE販売者もいた。

ターゲット層の大部分が10代のVAPE愛好家であることを熟知しているため、販売者が投稿した動画の多くに、保護者に見つからないよう他の製品の中にVAPEを同梱する映像や、詰め物で隠して包装した状態で配送できることを伝える描写が含まれていた。キャンディの下、化粧ポーチの中、靴下の中、他の大きい製品の下などにVAPEを隠して梱包している動画がいくつも見つかった。

アカウントのプロフィールで公表されているリンクや、動画上に表示されるリンクを通して、TikTokのユーザーは販売者のウェブサイトや、ポップアップでの年齢確認のみで済むDiscordのチャンネルへ、自動的に転送されてしまう。

多くの場合、製品を買い物かごへ追加し、そのまま支払い手続きをすることによってすぐに購入できる。大半の販売者は、通常のクレジットカード支払いの代わりに、PayPal(ペイパル)やVenmo(ベンモ)またはCash Appなどを使って決済するよう顧客を誘導している。

米国で、特に若者の喫煙を減らす運動をしている非営利団体として有名なCampaign for Tobacco Free Kidsによると、これらの行為はすべて違法である。

Campaign for Tobacco Free Kidsの代表者であるMatt Myers(マット・マイヤーズ)氏はTechCrunchに次のように語った。「21歳未満の未成年に電子タバコ関連製品の販売をすることはもちろん、ダイレクトに訴求する行為も違法です。そして、年齢確認をせずに実際の販売手続きを行うことも違法行為です」。

画像クレジット:TikTokのスクリーンショット

さらに、マイヤーズ氏は、ウェブサイトで「私は21歳以上です」というボタンをクリックするだけでは、電子タバコ製品を販売する際の法的に有効な年齢確認にならないことをつけ加える。

FDAは未だにオンライン販売に際しての具体的なガイダンスを発表していないが、未成年者への販売を防止するため、小売業者による販売時の身分証明書(ID)確認が必須であることは、法律で明確に定められている

FDAはまた、オンラインの小売販売者からの電子タバコやその他タバコ製品の購入を減らす目的で、米郵便公社や他の宅配業者を通してこれらの製品を配送することについて米国議会が最近、新しい規制を制定したことを、TechCrunchに思い起こさせてくれた。

だが、マイヤーズ氏は現行のFDAガイドラインのせいで、「ソーシャルメディアを通した」VAPE販売を取り締まることが必要以上に難しくなった、と指摘する。

「ソーシャルメディアでVAPE販売のために使用される画像、インフルエンサーの使用、販売広告はFDAによって連邦基準に沿って統制されます。しかし、FDAの連邦基準は非常に広範で概括的です。FDAは、明確かつ具体的なガイドラインを提示していません。そのために、すべての人がまるで常に『もぐら叩き』ゲームをしているような状態です」とマイヤーズ氏は語る。

大抵の場合、FDAによる介入があって初めて取り締まりが行われるが、マイヤーズ氏によると、そのような介入は「非常に稀」だという。

「現在見られる態度、行為、製品すべてが、電子タバコに関する前述の法律に違反しています。それにも関わらず、先の政権下で導入された取り締まり体制は嘆かわしいほどに弱く、不十分です」とマイヤーズ氏はいう。

画像クレジット:TikTokのスクリーンショット

事態を複雑にしている別の要因として、Campaign for Tobacco Free Kidsのような公共的な健康支援団体が、他のソーシャルネットワークとの間で築けている適切な関係を、TikTokとは築けていないことがある。

過去数年にわたり、100以上の公共的な健康支援団体が団結してFacebook(フェイスブック)やInstagram(インスタグラム)、Twitter(ツイッター)、Snapchat(スナップチャット)などの代表的なソーシャルネットワークに対し、タバコに関連したコンテンツや販売においてインフルエンサーを利用することを厳しく取り締まるよう依頼してきた。そのような努力が実を結び、FacebookやInstagramは、ソーシャルメディアのインフルエンサーたちがタバコ関連製品を宣伝することや、それらのコンテンツを抽出するアルゴリズムの開発を禁止する新しいルールを制定した。

全体的には、健康支援団体は代表的なソーシャルメディアのプラットフォーム上でのタバコやVAPE関連コンテンツが減少したと発表しているが、TikTokはまだその中に含まれていない。

TikTokは比較的新しいアプリであるため、Campaign for Tobacco Free KidsはTikTokに関する包括的な調査ができていないことをマイヤーズ氏は認めている。だが、同団体がこれまで観察してきたところによると、TikTokに対する懸念は高まり続けている。

「インフルエンサーを起用する、TikTokに惹きつけられる若年層に対して直接販売を持ちかけるなど、TikTokには、今まで見た中でもかなり悪質な販売手法があふれています。そして、TikTok側がそれらの行為に対して何らかの措置を講じた形跡は確認できていません」とマイヤーズ氏は続けた。

TikTokが、この問題を認識していなかったと主張することはできない。

画像クレジット:TikTokのスクリーンショット

あるVAPE販売者が「身分証明書(ID)確認不要」と恥知らずにも宣伝したことがアプリ内の報告システムによって検知された際、TikTokのコンテンツモデレートチームは、「このコンテンツはTikTokのガイドラインに反していない」と述べた。別のVAPE販売者が報告された時も、同様の対応が取られている(下記参照)。

TikTokは、このようなことは起きてはならないと主張する。同社は、VAPEや電子タバコのコンテンツを掲載しているアカウントは見つけ次第削除し、タバコやVAPE関連の外部ウェブサイトへリンクするアカウントのプロフィールをリセットするとTechCrunchに述べた。

TikTokはまた、TikTokコミュニティガイドラインで、未成年によるタバコの保持または消費を提案、描写、模倣、推奨するコンテンツや、未成年を対象としたタバコの売買、や交換方法に関するコンテンツを禁止しているという。そして、同ガイドラインではタバコの広告も許可されていない。

画像クレジット:TikTokレポートのスクリーンショット

TikTokに関するこの問題を認識しているかどうかについてFDAのコメントを求めたところ、FDAの広報担当者は、コンプライアンスや法執行に関する具体的な措置は検討していないと回答した。

ただし、FDAは小売業者、製造業者、輸入業者、販売代理店による連邦タバコ規制のコンプライアンス遵守を厳重に監視し、違反が起きた際には是正処置を取ると述べた。加えてFDAは、インターネット上のものも含め、タバコのラベルや広告、その他の販促活動に対して常時モニタリングと監視を行っていると続けた。

事態をさらに複雑にしているのが、フレーバーつきVAPEの販売許可申請をFDAが受けつけていることだ。Puff Barなのか、別の会社なのか、どの会社が申請中なのかは公表されていない。つまり、健康支援団体はFDAがどの製品の販売許可を検討中なのかわからないのだ。

だがFDAは、販売許可申請書を提出したかどうかに関係なく、どの製品もその製造会社が「若年層がその製品を利用できないようにするための適切な方策を取っていない」場合は販売を許可することはないと、TechCrunchに述べた。

それならば、オンラインのPuff Bar小売店やTickTokでの販売活動も含まれるということだ。

FDAは先に、Puff Barに対して具体的な行動を取ったことをつけ加えた。

販売許可を受けるに達していない、低品質で不正表示された製品を販売していたことについて、FDAは2020年7月にCool Clouds(クール・クラウズ。正式名はCool Clouds Distribution, Inc. d/b/a Puff Bar)に対して警告を発している。

2021年1月には、FDAと米国税関国境保護局が、Puff XXLやPuff FlowをなどのPuff Barブランドに似た使い捨てのフレーバーつき電子タバコカートリッジを含む3万3681箱の電子タバコ関連製品を差し押さえたという。

TikTokはTechCrunchがこの記事に記してきたような行為がTikTokのガイドラインやポリシーに違反していると追認したが、ポリシーがあるのにそれを実践できていない理由については説明しなかった。

TikTokの広報担当者はTechCrunchに次のように語った。「私たちはTikTokコミュニティの安全性と健全性に対して責任があります。未成年者のタバコやドラックの保有、消費を誘発するもしくは描写するコンテンツは厳重に禁止しています。VAPE製品の販売促進に使用されていると確認できたアカウントは排除しますし、VAPE製品の広告は許可しません」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TikTokVAPEアメリカSNSFDA

画像クレジット:

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

話題の次世代写真SNS「Dispo」創業者デビッド・ドブリック氏インタビュー、完璧な世界から抜け出して今を楽しもう

【Japan編集部注】本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説する「Off Topic」の投稿の転載だ。Off Topicでは、最新テックニュースの解説やスタートアップについてポッドキャストYouTubeも配信している。ぜひチェックしてみてほしい。

はじめに

米国時間2月12日あたりからシリコンバレーや米国のテック業界でバズり始めた次世代写真SNSアプリ「Dispo(ディスポ)」のベータ版だが、2月14日、日本からの大きな関心が集まりTestflightの利用可能人数である上限の1万人を超えてしまった。

今回は、Off Topicの宮武がDispoのCEOであるDaniel Liss(ダニエル・リス)氏とChief Fun OfficerのDavid Dobrik(デビッド・ドブリック)氏に直接Zoom上でDispoの創業物語、サービスが描いているカルチャー、そして日本に対しての思いについて話を伺った(Testflight版ではアプリのスクリーンショットの共有をしないようにユーザーにお願いしているが、今回は特別に許可を得てスクリーンショットを共有している)。

デビッド・ドブリックとは何者か?

Dispoを理解するにはまず人気YouTuberでDispo創業者のデビッド・ドブリック氏を理解しなければいけない。彼は元々Vineで人気になり、上手にYouTubeへ移行し、Vlog形式で現代版のシットコムを作った。メインチャネルだけで1880万人の登録者がいるが、コロナの影響で2020年4月25日以降、YouTubeに投稿していない。デビッド氏の動画スタイルは外に行って友達の人生を見せることでもあるため、新型コロナ期間中は動画を出せないと発表している。

しかし、彼の魅力はYouTube動画の制作だけではない。Off Topicでもたびたび「クリエイターが次世代ブランドである」と発言しているが、デビッド氏はこの仮説の理想的な事例である。デビッド氏は、YouTube動画以外にもInstagram、TikTok、Twitch、ポッドキャストなどのSNS以外にも、グッズ販売、テレビ番組の司会者、香水ブランドの立ち上げ、パズル商品の開発、ピザ屋、そしてアプリ開発の展開をするというマルチビジネスを行うクリエイターだ。

そんな中、デビッド氏は2019年6月から使い捨てカメラだけで写真を撮るInstagramアカウントを立ち上げた。

画像クレジット:davidsdisposable Instagram

この使い捨てカメラを使う理由は、後ほどDispoのアプリ展開に繋がるストーリーだとデビッド氏は語る。

LAのパーティーで使った使い捨てカメラ、「この瞬間を楽しむこと」の重要性

新型コロナ前にLAの友達のパーティーによく参加していたデビッド氏(Vlog撮影のため)は、ある行動が頻繁に行われていることに気づいた。それは、パーティーの途中にInstagram好きの女の子たちが50個ぐらいの使い捨てカメラを持って、「写真をとりあえずたくさん撮って!明日の朝に集めに行くね」とパーティー参加者に伝えてた。みんな飲んでワイワイして、翌日の朝に女性たちがいろんな場所に置いてある使い捨てカメラを回収して、その写真を参加者全員に送る流れがあった。

デビッド氏はこの話をしているときに、特に強調したのはパーティー中の使い捨てカメラの使われ方だ。スマホのカメラだとどのフィルターを使うか、ライティングの調整、顔の角度などを気にする人たちが、使い捨てカメラだと確認できないので撮ってすぐにみんながワイワイしている現場に戻ってくる。これは、彼が言う「Living in the moment(この瞬間を生きる)」が本当に実現されている瞬間だった。この瞬間、友達との楽しい時間を満足できるのはすぐに映えた写真が撮れるスマホではなく、使い捨てカメラなんだと気づいた。

同時に、映画「The Hangover(ハングオーバー!)』のエンディングで主人公たちが1つのデジタルカメラの周りに集まって、その日の夜の写真を一緒に振り返るシーンがデビッド氏の頭に残っており、その結果、この非同期の写真現像コンセプトが生まれたという。

デビッド氏は仮説として、写真を撮った瞬間その写真を見て「Instant gratification(瞬間的な満足)」よりも「Delayed gratification(待ってからのお楽しみ)」の方が強い感情を抱けるのかと考えた。そして「今」を失わない、邪魔しないことが大事だと話した。そこで生まれたのがアプリ「Dispo」だ。

「Dispo Beta」リリースまでの道のりとチーム体制

2019年末にリリースした「David’s Disposables(後にDispo)」はソーシャルアプリではなく、使い捨てカメラアプリだった。UIとしては使い捨てカメラと同じで、小さいカメラレンズ、常に点灯するフラッシュ、そして自撮りをするためのフロントカメラへの切り替えが使えないようになっている。特定のフィルターしか使えず、写真は使い捨てカメラっぽく少しレトロで色合いが粗くなる設定になっている。さらに使い捨てカメラと同じく、その瞬間では写真を見れず、次の日の朝9時に写真ができ上がるのを待たなければいけない仕組みとなっている。

画像クレジット:Tubefilter

ローンチしてからすでに260万回ダウンロードされたアプリだったが、デビッド氏はアプリを進化させたいと考え、アプリをSNS化できるチームと資金調達を行うことを決めた。

2020年10月初旬に新しい体制と400万ドル(約4億2000万円)の資金調達をWall Street Journalなどで発表した。デビッド氏と彼のアシスタントのNatalie Mariduena(ナタリー・マリドゥエナ)氏を含めて6名体制のチームは、元VCファンドを立ち上げFabFitFunのCo-CEOのコンサルを行っていたDispo CEOのダニエル・リス氏、写真編集ツールのAdobe Lightroomの作ったデザイナーの1人であるBriana Hokanson(ブリアナ・ホカンソン)氏(通称、Bhoka)元Twitterの機械学習エンジニアのRegynald Augustin(レジーナルド・オーガスティン)氏、そして動画系のスタートアップで経験があるiOSエンジニアのマローン・ヘッジズ氏となる。デビッド氏は「Chief Fun Officer」として加わり、アシスタントのナタリー氏は「Treasurer」の役割だ。

チームの写真もDispoらしく、少しレトロなイヤーブックっぽい写真にした。

画像クレジット:Business Insider

そして、ショート動画SNSプラットフォームのByteの創業デザイナーであるMichael S.(マイケル)氏もジョイン。

Dispoの400万ドルの資金調達は、元Reddit創業者で現在、Seven Seven Sixファンドを運営しているAlexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏がリードした。その出資額を活用して既存のDispoアプリにソーシャル機能を追加した結果、今回の「Dispo Beta」が誕生した。

そのため現在、Appleのアプリストアには「Dispo」というアプリは存在するが、このアプリはソーシャル機能が搭載されていない以前のカメラアプリとなる。今回、シリコンバレーや日本で話題になったのは、ベータ版を簡単にユーザーに試してもらえる招待制の「Dispo Beta」というアプリとなる。

Dispo Betaの使い方

アプリを開くと元のバージョンと同じくカメラ機能の画面が表示される。Dispo Betaでは、アプリ外で撮った写真以外をアップロードすることはできず、Dispo Betaカメラで撮影した写真だけがプラットフォーム内で使うことができる。

写真を撮ると、Dispoのオリジナルアプリと同じく、次の日の朝9時まで待たなければいけない。


プロフィールを開くと、下のような画面となる。ここで重要なのは、写真を単体ではなくRoll(アルバム)で表示していること。Dispoのダニエル氏とデビッド氏いわく、何かしらのテーマやイベントをRollとしてグルーピングして、そのテーマやイベントに参加している仲間たちを特定のRollに入れて、お互いRollに写真を追加する「共同アルバム機能」がRollとなるという。

このRoll機能は、Dispo Betaの最も象徴的な機能だ。Rollsを作った人がRollのモデレーターとなり、アルバムに参加している人や写真を取り除くことができる。Public(公開)Rollの場合は参加しているメンバーは誰でも他の人にそのRollに参加する招待を送ることができる。Private Rollの場合は。Rollを作った本人のみが招待を送ることができる。

Rollは、デビッド氏がLAのパーティーや「ハングオーバー!」のエンディングをアプリで再現しようとしている機能だ。友達同士が1つのイベントに対していろいろな角度や思い出を投稿し、それをみんな次の日の朝9時まで待って、同時にすべての写真を見ることができる。離れていても一緒の時間帯で写真を見るということは、今までにない強い体験でもあり、当事者全員を同じ時間軸とタイムラインに合わせる役割を果たしている。全員で一斉に開くからこそ、ダニエル氏とデビッド氏はこの瞬間を「クリスマスプレゼントを開ける時」に似ていると発言している。

さらにRoll内には。ソーシャル機能がある。それが「Scoreboard(スコアボード)」。スコアボードでは、各Rollのスコアボードで誰が最も写真を撮ったのかがわかる。


そのほかのRollについての質問や招待枠についての質問は、こちらのスレッドをご覧いただきたい。

イースターエッグが隠されてる楽しいUI/UX

このように、Dispoは「今、この瞬間を生きる想い」と「楽しく、良い人であること」を抱えながら「ある程度のスピードを持って開発する」という3つが同社のモットーとなっている。

画像クレジット:Dispo Notion

特に最初の棒線が引いてある2つ、「Don’t be evil」と「Move fast and break things」はGoogleとFacebookのモットーであり、Dispoは今までの「硬い、魂のない」大手企業とは真逆の楽しいUI/UXの設計を考えている。実際にDispoのアプリを見ると、いろいろな小さな評価されるべきUIやイースターエッグが隠されている。

まずはDispo Betaアプリを立ち上げた時のこのアニメーション。

また便利な機能として、自分のプロフィール概要欄に「Twitter」や「Instagram」の後にユーザー名を入れるだけでDispo Betaが自動的にアカウントへリンクしてくれるというものもある。


さらに、まだ知られていない機能もある。上記写真の「 」はSnapchat内で連続で特定の友達とSnapを送り合う機能と似ているとダニエル氏は話すが、どう計算されているかは教えてくれなかった。すべてのアイコンや機能がわからないのがアプリのおもしろさでもあるという。

Off Topicとして一番気に入ったイースターエッグは、アプリの設定画面を開くと「Baby Animals」というタブがあり、それをタップすると癒される、かわいい動物の写真が待ち構えているというものだ。


まだ見つけられていない機能やイースターエッグが隠されているとダニエル氏は言う。それを見つける楽しみも含めて、Dispo Betaは今までとは違う、若手層に合ったポジティブなメッセージやサプライズを組み込んだアプリ設計をしている。

日本市場への思いとリスペクト

ダニエル氏とデビッド氏に聞くと、アプリデザインへのこだわりは日本を参考にしているとのこと。デビッド氏は元々富士フイルムのカメラを愛用していることもあって、昔から日本が好きだという。オンボーディングで評判の高かったアニメーション自体も日本のモノやデザインからインスピレーションを受けたとダニエル氏は語る。

日本に対するリスペクトがあったものの、今回の日本からの需要にはかなりびっくりしたと2人とも話していた。LA時間の朝1時から2時の間に大量の日本ユーザーが入ってきてビックリした、と。ただ、それは非常にうれしいもので、今後も日本のユーザーがアプリをどう使うか気にしているという。2人は、日本は文化、デザイン、そしてSNSの力が強いと認識しているため、日本ユーザーへの期待値は高いとのことだ。

Off Topicからの感想

ダニエル氏は他社との比較はしたくないと語っていたが、個人的にはDispo Betaは今のZ世代とミレニアル世代にピッタリなサービスに見える。Instagram美学が求める理想的な世界からバーンアウトしているミレニアル世代に対して、少し昔を思い浮かばせるような使い捨てカメラを提供することによって、Dispo Betaはより自分らしい表現の仕方、友達とのプライベートな時間(世の中からの評価を受けなくていい)、そしてノスタルジアが組み込まれたアプリになっている。

Z世代では、「完璧な世界」を壊す動きがすでにTikTokやYouTube上で行われている。TikTokは変わった自分を表現しバズれるプラットフォームであり、YouTubeではスッピンでリアルな自分を見せるEmma Chamberlain(エマ・チェンバレン)氏が流行っているのは、このトレンドを証明している。だからこそ、Off TopicではDispo Betaのようなサービスを「次世代版Instagram」と呼んでもいいのかと感じる。

フェイク、ありえない映え、フォロワー集めではなく、友達や知り合いと一緒に何か1つの体験やイベントに没頭しながら、後で一緒に思い出を振り返るアプリこそ今流のSNS。プライベートとパブリックをうまく組み合わせて、リアルな自分をポジティブな面で見せられる。Dispo Betaはまだ新しいアプリだからこそいろいろなユースケースが生まれる。元々予想されていた何かのイベントや家族ディナーでの写真をまとめたRollもあれば、学生同士が学校のプロジェクトのメモを集めるユースケースもある。ダニエル氏いわく、インターンの採用もDispo Betaで決まったらしい。

Dispo Betaにはまだたくさんの課題があり、これからどうスケールするか、どう進化するかは定かではない。ソーシャルグラフやディスカバリー機能もまだ改善できるポイントではあるし、同じフィルターがどこまで流行るのかは疑問点としてある。ただ、新型コロナ後でも十分伸びることができる、ミレニアル世代とZ世代にフィットするアプリであることは間違いない。SNS上で大量のコンテンツを目にする中、今、この瞬間を楽しむことをプッシュするDispo Betaは特にZ世代の思いに響くはず。そしてDispo Betaは、何よりVine、YouTube、TikTok、Twitchなど数々のSNSプラットフォームを理解したZ世代のデビッド・ドブリック流のアプリである。彼は過去2〜3年ほど、Z世代の中で好きなオンラインのパーソナリティーの調査をすると、必ず1位になる人でもある。

画像クレジット:Piper Sandler

Off Topicは、今後もDispo Betaがどのように使われて、どう成長するかをウォッチしていきたいと想う。

最後に

ダニエルさん、デビッド氏、本当にインタビューさせていただき、ありがとうございます。サービスが進化するのを楽しみにしています!

Fortune favors the brave.

Written by Tetsuro (@tmiyatake1) | Edited by Miki (@mikikusano)

カテゴリー:ネットサービス
タグ:コラムDispo BetaSNS

(文:Tetsuro / @tmiyatake1、Miki / @mikikusano

AWSから追放された極右が集うソーシャルネットワークParlerがオンラインに復活

極右の人々に支持されているソーシャルネットワークで、そのユーザーベースが暴力を推奨する傾向があるためにAWS(アマゾンウェブサービス)から追放されたParler(パーラー)がオンライン上に戻ってきている。その復活は「ビッグテック」が望ましくない存在をオフラインにできるという概念に疑問符をつけているが、Parlerの復活は完全なる勝利ではなく、新CEOは原理における変更をそれほど示していない。

関連記事:AWSが警告どおり米保守系が集うParlerへのクラウドサービス提供を停止

ユーザーは現在、ウェブでParlerにログインできるが、古い投稿やコンテンツは削除されている。これが、サイトを最初に苦境に陥れたコンテンツに関する焦土作戦となった、2021年1月のAWSからの急な退場の結果なのかどうかは不明だ。

幸い、バックアップをとるという冷静沈着さを持っていた人がいたが、復元の意図はなかった。@donk_enbyは後世のために何百万もの投稿やメディアファイルをサイトから削除した。それらは、たとえば議事堂暴動があった日に特定のユーザーがどこにいたのかを示すために研究者がファイルを使った際にすでに役に立っていた(@donk_enbyは新しいParlerのウェブ展開にともなうさまざまな問題を指摘している)。

新しいサイトは「持続可能で独立したテクノロジーを使っており、オペレーションでいわゆる『ビッグテック』に頼っていない」と声明にある。新しいホストはOVHcloudのリセラーと思われるSkySilkで、同社が一般的だが具合的でない脅しや暴力を禁止している規則の適用を計画しているのか、筆者は尋ねた(規則違反の詳細は、AmazonにParler復活を強制しようという試みの中で公になった)。

関連記事:愛国者の拠点となったソーシャルメディアParlerのAWS復帰要求を裁判所が却下

部分的に、Parlerはモデレーションゲームをいきなり展開することで自らが格好の的にならないようにすることを目的としている。ことを荒立てるかもしれないコンテンツを監視するために、サイトはAIと人間の両方によるモデレーションを使うと考えられる。ただし、このアプローチをFacebookは何年もの間、試しているがまだ完全にコツをつかんでいない。

ParlerがまだGoogle Play StoreやiOS App Storeで禁止されていることを考えると、モデレーションはそれほど難しくないかもしれない。ソーシャルネットワークの大部分はモバイルユーザーが占めるため、活動は大いに減衰する。そのためサイトが2021年1月初めに十分にモニターできなかったコンテンツの洪水は滴り落ちるものへとスケールダウンするかもしれない(この点について、そして他の問題についても筆者は同社にさらなる情報を求めた。もし返事があればアップデートする)。

関連記事:保守派が集うアプリParlerがGoogle Playで削除、AppleのApp Storeも削除予定と報道

一方、John Matze(ジョン・マッツェ)氏が役員会に追放された後、Parlerのオペレーションは新暫定CEOが監督している。この役割を担っているのはTea Party Patriotsの創業者で、オバマケアに立ちはだかった強敵、そして新型コロナウイルス治療で効果がないことが証明されたヒドロキシクロロキンの大ファンであるMark Meckler(マーク・メクラー)氏だ。このグループは悪名高い「America’s Frontline Doctors」イベントの後ろ盾でもあり、議事堂暴動につながったMarch to Save Americaの組織者の1つだった。

関連記事:Twitterがトランプ大統領の息子のアカウントを制限、新型コロナ誤情報の共有で

メクラー氏の経歴は、モデレーション改善の主張にもかかわらず、Parlerが改心していないことをうかがわせる。「ビッグテック」との意図的(そして明らかに不可避の)別れと定義されたが、彼は自制心を失っていた以前と同様の質を具現化するCEOであり、その就任は内省と素直な妥協というよりも頑固な反抗であるように思える。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ParlerSNS

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

「Clubhouse」の音声データが中国当局に漏れる可能性が浮上、開発元はセキュリティ強化を実施

「Clubhouse」の音声データが中国当局に漏れる可能性が浮上、開発元はセキュリティ強化を実施

Rafael Henrique/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

日本でもにわかに話題となり、あっという間に一部の人々に浸透した感のある音声チャットサービスClubhouseですが、その会話データが中国政府に流れている可能性が浮上し、セキュリティ対策の強化が行われています。

問題を発見したスタンフォード大学の研究者によれば、Clubhouseの開発者Alpha Explorationはサービス提供のために上海を拠点とするソフトウェア企業Agoraのサーバーをバックエンドとして利用しており、さらにユーザーごとにユニークなClubhouse IDとチャットルームIDが平文でやりとりされることから、Agoraが生の音声データにアクセス、保管できる可能性が高いことがわかったとのこと。

IDが平文で流れているということは、Clubhouseのトラフィックを眺めていれば、どのチャットルームに誰が集まっているかを簡単に知ることができます。また会話のメタデータがすべて中国に流れてから中継されていることで、中国当局がこれを国家安全保障上の脅威だと見なせば、中国の法により音声データを含むすべてを複製し政府に提供させることができてしまいます。

当然ながらAgora側はこの報告を否定し、データを保存することもなければ、音声データそのものが米国内にあれば中国政府がそれを入手することもできないと反論しました。Alpha Explorationもサービスを開始の際「プライバシーの取り扱いに関する事情を考慮し、中国ではサービス提供をしないことを決めた」と説明しています。

しかし、中国国内のユーザーがClubhouseアプリの入手方法を見つけ出し、中国政府が先週、アプリの使用を禁止したことは、それが中国でも利用できていたことを意味します。

音声データが仮に中国国内の他の企業を介していたとすれば、当局がそれを手に入れることもできるはずです。ただ、研究者らはAlpha ExplorationがAgora以外の中国企業を利用しているとの証拠はないとしており、いまのところ中国政府には会話内容が渡るようなことはない模様です。

ただ、Alpha Explorationは中国国内でのサービス使用に成功したユーザーについても保護するとしており、「アプリが中国国内のサーバーに情報を送信しないよう、暗号化措置を追加する」と述べました。暗号化はサードパーティーの企業に依頼し72時間ほどで完了するとしており、中国からユーザーに関する情報やデータを取得することは難しくなるはずです。

ただ、サービスを提供していない中国国内でそれを利用できたユーザーは、おそらく都心部に住む富裕層と考えられ、中国当局の監視の標的になる可能性があります。いまはまだ招待制で、端末が比較的高価なiPhone向けにしかリリースされていない状況ですが、サービスが収益化を見据えて成長を続け、あらゆる人が安心して利用できるようにするためには、暗号化対策を追加し安全性の高さをユーザーにアピールするのは重要なことです。

(Source:Stanford Internet ObservatoryEngadget日本版より転載)

関連記事
Appleのティム・クック氏がアドテックは社会の破滅をもたらすと警告、同社アプリトラッカーのオプトイン機能を擁護
サードパーティーがユーザーデータを知らぬ間に収集する副次的監視の時代を終わらせよう
中国で人気が出すぎたClubhouseがつかの間の検閲回避を経て利用禁止に
Clubhouseと中国、ライバルアプリや生まれつつあるクローンそして政府による情報管理
プライバシーポリシーへの懸念で欧米で人気のSignalとTelegramは中国国内でも(いまのところ)拡大中
プライバシーがテック企業の新たな競争の場に
Zoomがセキュリティを巡る「虚偽」主張問題で連邦取引委員会と和解
Zoomが待望の無料ミーティングのためのエンドツーエンド暗号化を開始するが機能制限多数
人気の無料VPNではプライバシーは保護されていない
TikTok、WeChatをめぐる騒動と、米中間で広がるデジタル格差
TikTokのファクトチェック、米国でのIPO、中国の所有権、そして5000億円超の税金
中国が考える「データセキュリティの世界標準」が明らかに
TikTok禁止を予期して世界中でVPNの人気が急上昇、なぜ?
インド政府がTikTokなど中国企業の59のアプリを禁止すると発表
Zoomが中国政府の要請で人権活動家のアカウントを一時停止したことを認める

カテゴリー:セキュリティ
タグ:暗号化(用語)SNS / ソーシャル・ネットワーキング・サービス(用語)音声Clubhouse(製品・サービス)中国(国・地域)VPN(用語)

Twitterが描く分散化の未来、包括的なオープンスタンダードに向けた展望はインターネット極右を追い詰めるか

2021年1月中旬、Twitter(ツイッター)のCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、Donald Trump(ドナルド・トランプ)元大統領をプラットフォームから追放するという同社の決定についてついに公式に回答を述べた。同氏は、Twitterは「看過できない異常事態に直面した」のであり、あの決定を「誇らしい」とは思っていないと記している。同氏はその投稿で、Twitterが提言して始めた「Bluesky(ブルースカイ)」と呼ばれる新しい構想について時間をかけて説明した。ブルースカイが目指すのは「ソーシャルメディアのためのオープンな分散型標準」の構築であり、Twitterはその一部となるにすぎないという。

ソーシャルウェブの力関係を根本的に変える可能性がある、まだ初期段階の構想について、ブルースカイに関わる研究者たちがTechCrunchに明らかにしてくれた。

ブルースカイが目指すのは「耐久性のある」ウェブ標準の構築だ。最終的には、インターネット上で発言力を持つユーザーやコミュニティを決める上で、Twitterのようなプラットフォームに責任が集中しないようにすることを目指している。これは、社会的被排除集団の言論を保護する一方で、昨今のモデレーション手法やオンラインでの急進化防止の取り組みを根底から覆す可能性も持っている。

ブルースカイとは

Bitcoin(ビットコイン)に統制のための中央銀行がないように、分散型ソーシャルネットワークプロトコルは中央の統制機構なしで機能する。これはTwitterがブルースカイ上に構築された自社のアプリのみを統制し、プロトコル上の他のアプリは統制しないことを意味する。システムはオープンで独立しているため、アプリケーションはその標準規格全体のコンテンツを表示したり検索したり互いに通信したりできる。Twtitterはこのプロジェクトが既存のTwitter APIの機能を超越することを期待している。目指すのは、さまざまなインターフェイスやキュレーション手法アルゴリズムのアプリケーションを開発者が作成できるようにし、さまざまなモデレーションツールやアイデンティティーネットワークへのプラグアンドプレイアクセスについてTwitterのようなプロトコルを介してエンティティに支払いを行えるようにすることだ。

広く採用されている分散型プロトコルではソーシャルネットワークがより広いネットワークにモデレーションの責任を「移譲」できるが、ブルースカイの初期プロジェクトに関わったある人物は、ユーザーからのアクセスをブロックするアカウントやネットワークをプロトコル上の個々のアプリケーションが決定できるようにすることを提案している。

Parler(パーラー)やGab(ギャブ)のようなソーシャルプラットフォームは、理論的にはブルースカイでネットワークを再構築することで安定性やオープンプロトコルによるネットワーク効果といった恩恵を受けることができるだろう。関係する研究者はまた、このようなシステムが政府の検閲に対抗する効果的な手段となり、世界中の社会的被排除集団の言論を保護することにつながるだろう、と明言している。

関係者がTechCrunchに語ったところによると、ブルースカイの現在のスコープは研究フェーズに限定されているという。分散型テクノロジーコミュニティのさまざまな派閥に属する約40~50名のアクティブなメンバーがソフトウェアの状況を調査し、プロトコルの完成形についての提案をまとめている。Twitterは、今後数週間のうちにプロジェクトマネージャーを雇い、プロトコルそのものの構築に着手する独立したチームを結成したいと考えていることを初期のメンバーに明かしていた。

この動きについて、Twitterの広報担当者からはコメントが得られなかった。

ブルースカイの初期メンバーは2020年初めにTwitterのCTOであるParag Agrawal(パラッグ・アグラワル)氏によって招へいされた。このグループは後に、セキュアなチャットプラットフォームであるElement(エレメント)上でホストされたワーキンググループの参加者であるMastodon(マストドン)やActivityPub(アクティビティパブ)といった、より認知度の高い分散型ネットワークプロジェクトの代表的な人々とも対話の道を開くことにした。

分散型ソーシャルプラットフォームHappening(ハプニング)の創設者であるJay Graber(ジェイ・グラバー)氏は、「Twitterがエコシステム内の既存のオプションを評価するのを支援」するために、Twitterから報酬をもらって分散型ソーシャルエコシステムのテクニカルレビューを書いたとTechCrunchに語っている。

「もしこれを設計したいと(Twitterが)思っていたなら、社内で人を集めてその仕事を割り当てることもできたはずだ。しかし、このちっぽけなブルースカイのグループがTwitterよりも優れている唯一の点は『Twitterではないこと』だ」と、グループの他のメンバーで、プライバシー中心の市民参加型ソーシャルネットワークciv.works(シーアイヴィーワークス)の共同創設者であり、Postmates(ポストメイツ)のシニアソフトウェアエンジニアとして働くGolda Velez(ゴルダ・ベレス)氏は話す。

グループはプロジェクトのスコープについてTwitterの幹部と何度かやり取りを行った後、Twitterが承認したこの構想の目標をまとめた文書を完成させた。この文書では、ブルースカイプロトコルが取り組むべき課題の詳細だけでなく、標準規格に基づいて構築を行うアプリケーション作成者がどのような責任を負うのが最善かという点についても説明されている。

画像クレジット:TechCrunch

関係者の正体

上記の文書をTechCrunchも閲覧したが、そこに列挙された課題には、Twitterの最大の欠点のいくつかが要約されている。それには「拡散メカニズムを悪用した論争や暴挙を防ぐ方法」に加え、モデレーションのための「カスタマイズが可能なメカニズム」を開発したいという願望が含まれているが、同文書は、「コンプライアンス、検閲、削除などの最終的な責任を負う」のはプロトコル全体ではなくアプリケーションであると述べている。

「アルゴリズムの問題の解決策はアルゴリズムを除去することではないと思う。投稿を時系列で並べ替えるのもアルゴリズムの機能だ。解決策は、さまざまなアルゴリズムを試して適合性を確認したりおすすめのものを使用したりできるようにして、つけ外し可能なオープンなシステムにすることである」と、ワーキンググループの別のメンバーであるEvan Henshaw-Plath(エバン・ヘンショープラット)氏は述べている。同氏はTwitter創業初期の従業員の1人で、Planetary(プラネタリー)と呼ばれる独自の分散型ソーシャルプラットフォームを構築してきた。

ヘンショープラット氏のプラットフォームはSecure Scuttlebuttプロトコルがベースとなっており、ユーザーはオフラインでも暗号化された方法でネットワークを閲覧できる。ヘンショープラット氏によると、プラネタリーは当初、企業投資とCEOのジャック・ドーシー氏からの個人投資を取りつけるためにTwitterと交渉していたが、プラットフォームの競争力の高さからTwitterの弁護士の間で懸念が生じ、結局、Twitterの共同創業者であるBiz Stone(ビズ・ストーン)氏のベンチャーファンドであるFuture Positive(フューチャー・ポジティブ)からの投資を受けることになったという。ストーン氏はインタビューの依頼には応じなかった。

目標に合意した後、Twitterはより広範なチームがいくつかの共通のコンセンサスに至るものという期待を当初、抱いていたが、グループ内で意見が真っ向から対立したため、Twitterはメンバーからの個別の提案を受け入れることにした。既存の標準を全面的に採用するか進化させるようTwitterに圧力をかける者もいれば、標準規格の相互運用性を早期から追求してユーザーの自然な動向を見るためにブルースカイを推す者もいた。

ブルースカイを標準に組み入れることを望んでいるグループの開発者の1人にマストドンのクリエイターであるEugen Rochko(オイゲン・ロチコ)氏がいる。彼はTechCrunchに、ソーシャルメディアプラットフォームがグローバルに機能するためには大きな変革が必要だと思っていることを話してくれた。

「トランプ氏を追放したのは正しい決断だったと思う。むしろ、少し遅すぎたかもしれない。同時に、この状況は、こういったことを決定するのが米国の一企業であってはならないということを示していると思う」とロチコ氏は本誌に語った。

関連記事:トランプ大統領はこうしてプラットフォームを失った、テック業界にとって前代未聞の歴史的な1週間を振り返る

ロチコ氏も、グループの他のメンバーと同じく、ブルースカイプロトコルに対するTwitterの動機について時おり懐疑的な見方をしてきた。ドーシー氏が2019年に最初の発表を行った直後、マストドンの公式Twitterアカウントは痛烈な批評をツイートし、次のように書いた。「これは車輪の再発明の発表ではありません。Twitterが発表しているのは、GoogleがAndroidをコントロールするように自分たちがコントロールできるプロトコルを構築しようとしているということです」。

今日、マストドンは間違いなく最も成熟した分散型ソーシャルプラットフォームの1つだ。ロチコ氏は、分散型ノードのネットワークに230万人以上のユーザーがいて、数千台のサーバーに広がっていると主張している。2017年の初め、このプラットフォームがTwitterで話題になったことにより、ロチコ氏が寄付ベースモデルの支持を拒否したことに強い関心を示した潜在的投資家と並んで「数十万人」の新規ユーザーが流れ込むことになった。

画像クレジット:TechCrunch

潜在リスク

ロチコ氏が集めた注目が、すべて歓迎されたわけではない。2019年、右派過激派が支持するソーシャルネットワークであるGabは、マストドンプラットフォームのオープンソースコードとの統合を行った後、そのプラットフォーム全体をマストドンネットワークに持ち込んだため、マストドンは大量のウェブユーザーを一気に抱え込んで、最も望ましくない責任を負わされる羽目になった。

ロチコ氏はすぐにそのネットワークを否認して、マストドンプラットフォーム上の他のノードとの関係を断ち切り、アプリケーション作成者にも同様の行動をとるよう説得する方向に舵を切った。しかし、右派過激派の温床となることがこの種のプラットフォームの最初の「サクセスストーリー」になってしまったことで、分散化支持者が最も恐れていたことがときを経ず顕在化することとなった。

関連記事:AWSが警告どおり米保守系が集うParlerへのクラウドサービス提供を停止

この恐れの余波は先に、分散型コミュニティにまでおよんだ。米国議会議事堂での暴動の前後にサイト上に暴力的なコンテンツが浮上した後、アプリストアの所有者やネットワークが別の右派ソーシャルネットワークであるParlerをウェブから排除したことで、一部の開発者は自分たちの分散化標準がParlerのアジトにされるのではないかと恐れている。

「ファシストは間違いなくピア・ツー・ピアテクノロジーを利用する。すでにそうしており、その傾向はますます強まる【略】もし主流のインフラストラクチャから追放されたり、人々の綿密な監視を受けたりすれば、そうしようとする動機はますます高まるだろう」と、分散型ネットワーク上での過激派の出現について研究しているEmmi Bevensee(エミ・ベベンシー)氏はいう。「おそらく、極右が悪であると考える人々によって排斥される前に、極右はピア・ツー・ピアで強力な足場を固めることになるだろう」。

最も懸念されているのは、ブルースカイのような取り組みを通じて分散化プラットフォームがコモディティ化されることで、現在のプラットフォームから追放された過激派がその支持者をつなぎ留めておく道を見いだし、一般的なインタネットユーザーに過激化への道をいたずらに提供することになるのではないかということだ。

「今のところ、ピア・ツー・ピアテクノロジーは、全体的に見れば敷居が高いものだが、一部ではそうではない。たとえば現在Cash AppでBitocoinを買うことができる。これはどちらかといえば、このテクノロジーが今後より主流になって、導入の敷居が下がることを証明している」と、ベベンシー氏はTechCrunchに語った。「この脱Parlerの風潮によって、ParlerはIPFSにあまり乗り気ではない支持者を大量に失いかけている。Scuttlebuttは本当にクールなテクノロジーだが、Twitterのように容易に導入できるものではない」。

過激派がプライバシーと強力な暗号化を促進するテクノロジーを採用しようとするのは今に始まったことではないが、Signal(シグナル)やTelegram(テレグラム)のような暗号化チャットアプリは、近年そのような論争の的になっている。ベベンシー氏は、極右の過激派ネットワークが分散型ネットワークテクノロジーを採用するようになったせいで初期の開発者コミュニティの「士気が極めて低下」したこと、さらにその同じテクノロジーが「世界各地の社会的被排除者たち」に利益をもたらす可能性があり、実際にそうなっていると指摘している。

ブルースカイの初期の取り組みに関係する人々は、プロトコルの開発と採用までの道のりはまだ長いと見ているが、Parlerとトランプ大統領に対する最近のプラットフォーム排除によって、他の利害関係者が最終的にこの標準規格との統合にコミットするようになるのではないかと期待している。

ペレス氏は次のように述べている。「現時点で、エンドユーザーだけでなくプラットフォームにとっても、採用する理由はたくさんあると思う。厄介なモデレーションの問題を抱えているのはTwitterだけではない。みんな今が正念場だということをわかっていると思う」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitter分散型ソーシャルネットワークSNSMastodonParler

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:Dragonfly)