サイバーエージェントの「藤田ファンド」が復活、投資1号案件はタイミー

サイバーエージェントは、2014年秋に凍結していた「藤田ファンド」を再開し、再開後の投資1号案件としてタイミーへの出資を発表した。具体的には、2018年12月28日にタイミーの第三者割当増資の引受を行った。出資額は非公開。今回は純投資を目的にしており、両社の連携については現時点では未定とのこと。

「藤田ファンド」とは、2013年10月にサイバーエージェント本体内に設置した投資事業本部で、同社代表取締役社長である藤田晋氏が自ら手がける投資。これまで、ウォンテッドリーやクラウドワークス、BASEなどへ投資していた。「藤田ファンド」の方針は経営者の魅力を重視した投資。今後はインターネット業界を中心にアーリーからミドルステージの企業へ投資し、若手経営者の応援とインターネット業界の発展を目指していくとのこと。

タイミーは、日本初のワークシェアサービスを展開するスタートアップ。同サービスを利用することで、ユーザーは面接などの事前交渉が不要でスキマ時間にすぐに働けるのが特徴だ。店舗側では、繁忙期にフレキシブルに人員を増やせるというメリットがある。タイミーは、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルのファイナリストでもある。

PayPayが考えるキャッシュレス決済浸透のロードマップ——#tctokyo 2018レポート

11月15日・16日の両日、東京・渋谷ヒカリエで開催されたTechCrunch Tokyo 2018。2日目には「モバイル決済界の“大型ルーキー”誕生、後発組のPayPayが考える勝機とは?」と題し、ソフトバンクとヤフーが6月に設立した合弁会社PayPayのキーパーソン2人を迎え、同社の展望や日本におけるスマホ決済の未来について聞いた。

登壇したのは、PayPay代表取締役社長/CEOの中山一郎氏と、取締役副社長/CTOのHarinder Takhar(ハリンダー・タカール)氏だ。聞き手はTechCrunch Japan編集部の菊池大介が務めた。

中山氏は今年6月より、PayPayの代表取締役社長に就任し、PayPayの舵取りを担う人物だ。タカール氏は、PayPayとの連携を発表したインドの電子決済・EC事業のPaytmに設立当初から参画し、2011年〜2014年まで同社のCEOを務めていた。2014年からはカナダのグループ会社Paytm LabsでCEOに就任。2018年6月からは、PayPayのCTOにも就いている。

PayPayが提供するスマホ決済サービス「PayPay」は、バーコードを活用した実店舗決済が可能。ユーザーがアプリを使って店舗のレジ付近などに提示してあるQRコードを読み取る方式(ユーザースキャン)か、アプリに表示されるバーコードを提示して店舗側がスキャンする方式(ストアスキャン)の2タイプで決済できる。ユーザーの支払はクレジットカードと電子マネーから選択できる。

会場で紹介されたデモ映像

ローンチから1カ月、PayPayの手応えは

キャッシュレスの波が日本にも寄せていることは間違いない。だが、日本での浸透はまだまだと言える。はじめに中山氏に、他国と比べたときの日本のキャッシュレス決済の状況について、考えを聞いた。

PayPay代表取締役社長/CEO 中山一郎氏

中山氏は「まずQRコードが使える店が少ない、ということが一番大きい」と述べる。「世界の人口の約3分の1を占める中国やインドでは、キャッシュレスが進んでいる。それは、使える店が圧倒的に多いから。キャッシュレス決済が進むには、使える店が増えることがとても大事」(中山氏)

そうした状況のもと、PayPayはソフトバンクとヤフーの合弁会社として誕生。ソフトバンク・ビジョン・ファンドの出資先でもあるPaytmの技術やノウハウを活用して、新しいモバイル決済サービスを構築しようとしている。

「私たちソフトバンクグループは、ご存じの通り情報革命を推進する企業。QRコード決済が世界の潮流となっている今、日本でもそれを推進したいと、グループを挙げて事業に取り組んでいる。合弁会社設立、Paytmとの連携については、それがユーザーにとって、ストアにとって一番いいサービスを提供できるだろうとの考えからだ」(中山氏)

浸透が遅れているとはいえ、LINE Pay、楽天ペイやOrigami Payなど、さまざまなモバイル決済サービスが登場している日本。この領域では後発となるPayPayだが、ほかの競合と違う点、勝負していく点はどういうところになるのか。

「QRコード決済自体が日本では、それほどまだ浸透していないので、先輩プレイヤーといっしょにやっていけばいい。後発であるということは、あまり気にしていない」と中山氏。

「狭い見方をすれば最後発かもしれないが、スマホで決済するということ自体、皆さんがそれほど使っているわけではない。競合とも仲間として(サービスの浸透を)これからやっていくのが大事だと考える」と言いつつも「ソフトバンクの営業力、ヤフーのユーザーリーチ、Paytmの技術が組み合わさっているのは、ユーザー、ストアにとって早く、良いサービスを提供するためには、アドバンテージではないか」と中山氏は自信を見せる。

10月5日にPayPayがローンチしてから、イベントの時点で約1ヶ月半。手応えはどうだったのだろうか。

中山氏は「順調に1ヶ月半、支えられてきた」と振り返り、「これからさらに使える場所を増やしたい。また、ユーザーが使いたくなるような機能を備えたい」と話す。

「我々は日常的に使える店があることが大切と考えており、12月頭にはファミリーマートで使えるようになる。日本では平均すると1日7〜8回、支払いシーンがあるという。コンビニエンスストアもそうだし、例えばコーヒーショップや自動販売機、ドラッグストア、スーパーなど、その支払いシーンの大部分にあたる店に対し、営業をがんばってかけていく」(中山氏)

また10月25日に中国で普及するモバイル決済「Alipay」と連携を開始したことについては、中山氏は「非常に良かった」と述べている。

「Alipayが使われている店には特徴がある。数字の面でも、訪日中国人のお客さんは平均数倍、日本人より使う金額が大きい。日本人のみならず、外国人も送客できるので、ストアにとっては新しいお客さんが来ることになり、PayPayの特徴になっているかと思う」(中山氏)

日本でユーザーやストアを増やすための戦略については「先月ローンチしたばかりなので、まだまだこれから」と中山氏。「僕たちがTwitterでユーザー、ストアの皆さまから、よく言われていることが3つある」として、それぞれへの対応について、このように語った。

「ひとつはPayPayという一風変わったネーミングについて。これは浸透させる努力をしなければ、と考えている。次に、使える店の数と、どこにあるのか分からない、という点。ストアの数については営業が日々開拓しているので、時間を追えば十分な数ができるだろう。店の場所の表示については、PayPayのアプリ内にある地図機能をバージョンアップしていくことで対応する。それから、PayPayを使う理由は何か、というツイートもある。これは利用で得られる直接のインセンティブ、ということだと思うのだが、これは今、どういうものにするか検討しているところだ」(中山氏)

インセンティブについては今日、PayPayでの支払いで、ユーザーに20%相当のPayPayボーナスが還元される「100億円あげちゃうキャンペーン」が12月4日からスタートすることが発表されている。

モバイルファースト選択がPaytm成長の理由

中山氏は、普段はカナダにいるタカール氏と毎日、テレビ会議でミーティングを欠かさないという。

「日本の朝、カナダでは夜の30分〜1時間ぐらい、ミーティングしている。もともと、テーマがあれば24時間以内に解決しようね、という約束があり、このミーティングで判断し、決断を行うことにしている。また、特にテーマがない日も顔を合わせて、家族のこととか昨日どこへ行った、とか、たわいもない話でもするようにしている。合弁事業、かつ国を超えてやっていく中では貴重な時間ではないかと思うし、充実感もある」(中山氏)

タカール氏も「プロジェクトを始めたとき、毎日必ず顔を合わせようと決めた。何かニュースがあればシェアし、私から何かアイデアが出ればシェアするといったことをやってきている。私たちは数多くの1対1のコミュニケーションを行うことで、この6カ月間でとてもよいビジネスパートナーとなれた。一緒に働くチームとして、(誰かの伝聞でなく)直接、共通言語で会話できていることは大切なことだ」と、毎日のミーティングの効用について述べている。

タカール氏がCEOを務めていたPaytmは、2011年に最初のサービスをローンチした。親会社のOne97は1999年創業。長年、通信業に関わってきて、その後マーケティングソリューション、電子決済、eコマース、銀行と、さまざまな産業へテクノロジーを適用し、効率化してきた会社だ。現在、Paytmはインド、カナダで事業を展開している。

PayPay取締役副社長/CTO Harinder Takhar(ハリンダー・タカール)氏

カナダ進出は2017年と最近だが「非常に調子がいい」とタカール氏は述べる。「消費者の要望やニーズがインドと異なるので、その理解が大変重要だ。何がビジネスの課題であるかを理解するために時間を取っている。例えばデジタルペイメントの受け入れ方など、インドや日本と比較しても悪くない。その地で何が実際に求められているのかを知り、解決方法を見出すことが大事だ」(タカール氏)

Paytmは現在3億人のユーザーを抱える。成長の秘訣について聞くと、タカール氏は「数多くのハードワークと幾夜もの眠れない夜によるものだ」と笑いながら答えた後、「この8年間でスマートフォンを誰もが使うようになったこと」を理由として挙げた。

「スマートフォンが100ドル、150ドル程度で買えるようになり、インターネットにも接続できる。生活がスマートフォンにどんどん最適化され、ユースケースがスマホに集まる。私たちは2011年から“モバイルファースト”と言っていたが、他社はそれをしていなかった。だからインドには我々ぐらいしかプレイヤーがいなかった。また私たちはモバイルファーストを選択したことで、非常に顧客中心のサービスになっていくだろう」(タカール氏)

日本よりキャッシュレスが進んでいるインドの決済事情について、タカール氏は「インドでは現金を持ち歩かなくても済む。銀行口座の開設もデビットカードの発行もすべてスマートフォンの中で完結できる」と説明する。

タカール氏は過去10年以上、現金を持っていないそうだ。「それによるトラブルはときどきある。特に日本では、食べ物や何かを買おうとすると現金が必要になる。そういうときは誰かに現金を出してもらって、電子マネーと替えてもらうことになるが、それでも、現金は持たないようにしている」(タカール氏)

タカール氏にとってキャッシュを持たないことは、「実はいいモチベーションでもある」とのことだ。「いろいろなトラブルも、現金なしで生活できるということには代えがたい。もうお金を無くす心配もない。それに何とかして問題を解決しようという(サービス改良の)原動力にもなっている」(タカール氏)

日本のキャッシュレス事情については、「インドに比べて遅れているが、日本にはすばらしいものもたくさんある」とタカール氏は語る。「やるべき仕事はたくさんあるが、PayPayはチャレンジング。そのポテンシャル、日本にキャッシュレスサービスをもたらすことが、仕事への大きなモチベーションになっている」(タカール氏)

PayPayに対してアドバイスはあるか、との質問に対し、タカール氏は以下のように答えている。

「ひとつは、テクノロジーは流動的で変化する、ということ。最初に使っていた技術が10日後にも使えるという保証はない。何世代もリデザインして、失敗を修正しながら進めることだ。5世代目で最適な利益をもたらしたとしても、6世代目でも同じとは限らない。次の世代、次の世代でベストになるようにPayPayでも取り組んでいく」(タカール氏)

また世界規模で仕事を進めるPaytmならではの助言として「多文化チームでの仕事の仕方」について、こう述べた。

「多文化の人材が揃うチームでは、多様なバックグラウンドを持つ人々が、異なるタイムゾーンに所属しながら働く。日本が眠りにつけばカナダが起きる、といった具合に24時間動き続け、チームで働くことでたくさんの課題が解決できる。たくさんの会話が1日の間に交わされ、チームレベルではいろいろなことが起きる。これは私たちのユニークな、スーパーパワーだ。誇りに思う」(タカール氏)

タカール氏はPayPayへPaytmが技術提供を行うことのメリットについて、「QRコード決済の仕組みは、その辺に売っているものを買ってきた、というものではない。自分たちで構築したものだ。だからこそ、既に経験してきたことをシェアし、起きた失敗は避けることができる」と述べる。

「他国で開発したソリューションのすべてを日本に持ってくる、というのは意味がない。ある国の問題は、特定のテクノロジーで解決される。だがその時に『他の国ではどうなっていたのか』をいろいろな国から来ている人たちと話せる環境があるのは、価値があることだ。違うオリジンを持ついろいろな人が1つの部屋に集まり、解決策を編み出すことには意義がある」(タカール氏)

戦略は「顧客をハッピーにすること。ほかはなくてもOKだ」

PayPayが競合に勝つための戦略についても2人に聞いた。タカール氏は、イベント前夜に中山氏と行ったミーティングの内容に触れて、こう語る。

「我々のゴールは何か、というテーマで話したのだけれども、中山さんの答えは実に明確だった。『我々の価値は、お客さまの問題を解決する、それ以外にはない』。ほかのことは重要ではない、お客さんを確実にハッピーにするんだ、と中山さんは言った。ほかのことはなくても、それでOKだ、と我々は本気で考えている」(タカール氏)

中山氏は「ありきたりだけど、自分がユーザーだったら一番快適なサービスを使いたいと思う。それを、あらゆる技術の力を使って実現していくという、地道な作業を毎日続けることじゃないか」とその意図を説明する。

「一番大切にすべきことは、ユーザー、そしてストア。これは徹底していて、そのことには2人ともブレがない。それを推進するのみ」(中山氏)

中山氏は「モバイル決済が浸透することで、現金を使うより便利な世界を作らなければ」と日本での事業展開による未来を語っている。

「繰り返しになるが、どこででもモバイル決済が使えることが一番大事。日本はキャッシュ・イズ・キングで、現金が使えないところはない。それと同じだけモバイル決済が使える店やシーンがなければ、使ってもらえない。モバイル決済で現金より便利な世界は、各国で始まっている。そんな中で使われなくなった機能なども分かってきている。我々は最短距離で便利な未来へ向かっていく」(中山氏)

タカール氏は「我々のやり方は、フラストレーションがたまる状況で『なぜ?』と自問すること」とも話している。

「例えば日本のスタンダードな取引では、なぜか、店などにお金が入ってくるまでが遅く、1カ月後になることもある。その1カ月で利子が稼げるわけでもない。お金が決済と同時に店に行く、それでいいはずだ。私たちはそれを実現しようとする。あるいは、日本のタクシーに乗れば、ステッカーで30種類ぐらいの支払い方法が表示してある。なぜそれが必要なのだろう。我々は、今のテクノロジーが実際に何を成しているのかをよく観察することで、より良いソリューションを実現するための力を得ている」(タカール氏)

PayPayがこれから備える機能についても、期待が膨らむところだ。中山氏は直近の新機能として「割り勘機能は間もなく実装できるのではないか」と明かす。また「それ以外にも都度、実装したい機能について話している。ロードマップはいっぱいあるので、それを順次作っていく。期待していてほしい」とのことだった。

日本発売間近!中国でもコピー不可能なSpireのヘルスタグとは——#tctokyo 2018レポート

左からEngadget中文版編集長のRichard Lai氏、Spire CEOのJonathan Palley氏

TechCrunch Japanは2018年11月15日から2日間、スタートアップイベント「TechCrunch Tokyo 2018」を都内で開催した。本稿ではDay2のFireside Chat「充電不要、洗濯可能——-Appleも認めるスゴいヘルスタグ」で語られた内容を紹介する。モデレーターはEngadget中文版編集長のRichard Lai氏が務めた。

本誌でも既報のとおり、各国のAppleストアを通じて「Spire Health Tag」の販売を開始している。日本でも数週間後となる12月からの発売を予定していることから、Spire CEOのJonathan Palley氏が当日15日に来日し、TechCrunch Tokyo 2018に登壇した。Palley氏は既存のウェアラブルデバイスを「1.0」と定義しつつ、「ヘルスモニタリングやウェアラブル1.0は期待どおりに提供されなかった」と語る。読者諸氏もご承知のとおり、人の活動をモニタリングするデバイスは数多く登場した。だが、充電や取り外し、見た目といった課題が山積すると同時に、センサーの低精度に伴う取得データの限定性や洞察の難易度といった課題がある。筆者も多くの腕時計型ウェアラブルデバイスを試してきたが、特に精度の問題から四六時中身に付けることを諦めてしまった。

これらの課題に対する回答が、Spire Health TagだとPalley氏は語る。「医者から(従来型の腕時計型ウェアラブルデバイスを)身に付けろと言われても患者は受け入れない。医者に言われるとやりたくなるのが人間だ。さらに(既存デバイスで取得できる)データの価値が低い。健康を維持するには歩数にとどまらず、呼吸パターンや睡眠、心拍数などメトリクス(測定基準)を持ったリッチなデータが必要だ。例えば呼吸の変化から病気を未然に防ぐといったソリューションに活用できる」(Palley氏)。さらに前述した”見た目の問題”に対しては、”見えないデバイス”という解決策を示した。「洋服1つ取っても皆異なるスタイルのため、スマートシャツでは毎日取り替えることは難しい。Spire Health Tagは男性なら下着、女性ならブラウスなどに取り付けるだけだ。そのまま洗濯機や乾燥機に入れても問題ない」(Palley氏)という。なお、Spire Health Tagは胸部の動きを測定するが、モデレーターの設置場所に対する疑問について、Spireは「腰につけても構わない。深く呼吸するときは腹筋が緊張する。このわずかな動きをセンサーで取得し、アルゴリズムで検知できる」(Palley氏)と回答した。

Spire Health TagからBluetooth LE経由で取得したデータは一度スマートフォン上のアプリで取り込み、その後クラウドにアップロードする。アプリは取得データを元に睡眠やストレス、心拍数や活動を可視化し、利用者に洞察や特定の活動を提示。このあたりはウェアラブル 1.0と同じだが、気になるのはバッテリー駆動時間である。「バッテリーの寿命は1年半から約2年。バッテリーが切れたらサブスクリプションの『Spire+Membership』加入者(10ドル/月)には無償でお送りする」(Palley氏)という。米国ではSpire Health Tag単体(49ドル)ではなく、8つ入りのフルパック(299ドル)を購入する利用者が多いらしいが、モデレーターの「複数のSpire Health Tagを検知した場合は」の質問にSpireは、「呼吸や心拍数をPPG(反射型光電脈波)で計測して判断する。例えば呼吸しているのに心拍数が計測されないタグは除外する仕組みだ」(Palley氏)。

Spireは本製品を通じて2つのビジネスモデル展開を目指している。1つは消費者だ。4年前に発売したSpire Stoneは日本のAppleストアでも販売中だが、Spire Health Tagも前述のとおり発売される。モデレーターがApple Watchとの競合について尋ねると、Spireは「我々とAppleは競合関係にはない。私の立場では推測の域を出ないが、腕時計型ウェアラブルデバイスとSpire Health Tagは相互補完の関係にある」(Palley氏)と、2014年にAppleがFitbitの販売を停止した例を引用しつつ勝算を語った。

もう1つはヘルスケア市場である。同社技術はスタンフォード大学における7年間の研究が基盤となり、「米国政府からインフルエンザの流行を予防するプロジェクトに参加した。150人前後の被験者に身に付けてもらい、就寝中の呼吸変化を測定して、その変化で感染したか否かを報告している」(Palley氏)。また、米最大規模の某ヘルスケア企業と協業し、研究や次の展開を進めているという。「日本でも先月の発表以降、数社からの関心をいただいた。新たな協業の可能性にワクワクしている」(Palley氏)。

Spireは「人々は病気のことを考えたくない。テクノロジーを活用して人々のあり方を変えたい」(Palley氏)と目標を語りつつ、今後も身に付けることを意識させないウェアラブルデバイスの実現に取り組むことを表明。最後にモデレーターが「類似品登場のリスク」について尋ねると、「我々が4年前に(Spire Health Tagの)アイデアを話すと『クレイジー』と言われてきた。だが、各分野のエキスパートによる知見を持ち寄り、Spire Health Tagを作り上げた。仮に中国の方が持ち帰って分析しても、同様のセンサー精度やバッテリー寿命を再現するのは無理。(Spire Health Tagの)強みはアルゴリズムにある」(Palley氏)と強い自信を見せた。

(文/写真 阿久津良和/Cactus

「TRAVEL Now」光本氏、「ズボラ旅」有川氏に聞く新型旅行サービス誕生のトリガー

写真右からバンク代表取締役/CEO 光本勇介氏、HotSpring代表取締役 有川鴻哉氏、プレジデントオンライン編集部 岩本有平氏

東京・渋谷ヒカリエで開催中のTechCrunch Tokyo 2018。2日目の11月16日には、今年注目の旅行分野サービスを提供するスタートアップ2社が登壇し、「2018年は新型旅行サービス元年だったのか、旅領域のキーパーソンに聞く」と題してパネルディスカッションを行った。登壇したのは「TRAVEL Now」を提供するバンク代表取締役/CEOの光本勇介氏と、「ズボラ旅 by こころから(以下、ズボラ旅)」を提供するHotspring代表取締役の有川鴻哉氏。モデレーターは元TechCrunch Japan副編集長、現プレジデントオンライン編集部の岩本有平氏が務めた。

Hotspringが旅領域における新サービス、ズボラ旅を発表したのは2018年5月のこと。LINEチャットで旅をしたい日付と出発地を伝えるだけで、旅行プランを提案、予約までしてくれるズボラ旅は、旅のプランを考えることすら面倒な“ズボラ”な人でも気軽に利用できるサービスとして注目を集めた。

そして6月には、即時買取サービス「CASH」でスタートアップ界隈をにぎわせたバンクが、旅行領域に進出することを発表。与信の手続きなしで、後払いで旅行に行ける新サービス、TRAVEL Nowをスタートさせた。

ほかにもメルカリが旅行業へ参入、LINEがTravel.jpとの提携でLINEトラベル.jpをスタートするなど、今年は旅行分野でさまざまな動きが見られる年だ。その大きな渦の中、2社が旅という分野に注目した理由はなんだったのか。なぜこのタイミングだったのか。

光本氏も有川氏もシリアルアントレプレナーとして、複数の事業を立ち上げてきた人物。その2人がなぜ、今、旅行に注目したのか、まずは話を聞いた。

光本氏は「旅行領域の市場はでかい。OTA(Online Travel Agent)には巨大プレーヤーが海外にも国内にも大勢いて、楽天とじゃらんだけでも1.5兆円の規模がある。でもこの市場はお金がある人のためのもの。旅行に行きたい人はいっぱいいて、来月、再来月にはお金があるかもしれない。そういう人に旅行に行く機会を提供すれば、下手をしたら今の市場よりでかい市場があるかもしれない。『市場を作ってみないとわからない』というなら、作ってみたいと思って」と話す。

また光本氏は「個人的には毎年テーマを作っている」として「去年はお金がテーマだったので、CASHだった。今年は旅行がテーマだと思って、TRAVEL Nowを作った」とも述べている。

「なぜかといった理由がロジカルにあるわけではない。世の中、いろんな業界があって、各業界のトッププレーヤーがそれを牽引して、それなりの規模のビジネスを5年10年やっている。つまり以前に作られたメイン事業としてずっと同じことをしているわけだが、世の中や消費者はビックリするぐらい変化している」(光本氏)

光本氏は「テクノロジーやデバイスの変化に比べて、トッププレーヤーのビジネスは大きく変わっていない。既存の業界の変化もフラットに進んではいるが、世の中は想像以上に進んで変化している。そのギャップができたとき、新しい仕組みにグルッと入れ替わるんだと思う」という。

「それが去年は金融、今年は旅行と思っていたら、やはり今の消費者や世の中、デバイスに合わせた新しい旅行を提案するサービスが出てきている。タイミングだったのかな」(光本氏)

TRAVEL Nowも「思っていた以上に需要がある」と光本氏。「もっと突っ込んでいく価値がある」とサービス開始から3カ月の所感として感じているそうだ。

ちなみにバンクの光本氏はつい先日、DMMからの独立(MBO)を発表したばかりだが、事業のスピード感を上げたい、と感じたのは、このあたりの感覚もあったのかもしれない。会場では、MBO発表時のプレスリリース以上のコメントは聞くことはできなかった。

一方の有川氏も「光本さんも話すとおり、消費者とサービス提供側に差分があると感じたことが、ズボラ旅リリースのきっかけになっている」と話している。

「オンラインで旅行を買っている人は、全体の35%。服とかなら試したい、というのはわかるが、旅行は試着も何も試せないし、オフでもオンでも変わらないはず。なのにまだ3割台なのは何でだろうと考えた」(有川氏)

有川氏は「オンライン旅行サイトを触ると、いきなり目的地や日にち、人数を入れなければいけなくて、それから探し始めることになる。でもその時には行き先は決まっていないのでは?」とその理由について考えを説明している。

「友だちと会話していて『来月ぐらい温泉行きたいねー』といった感じで、旅行ができればいいのに、と思った。OTAはそことのギャップが激しい。光本さんの言う、お金がなくて旅行に行けない、という人がいるのだとしたら、申し込みがめんどくさくて行けなくなった人も、メチャメチャいるのではないか。そこでLINEのチャットで簡単に『どこかへ行きたい』と言えば予約まで行けるといいな、と思ってズボラ旅を立ち上げた」(有川氏)

現在のサービスの手応えについて有川氏は「会話で、相手が何となく見えると相談を詰めていけるので、コンバージョンは高いのではないか」と述べる。「今はサービスフローが成立して、行けるな、と思っているところ。ズボラ旅はスタッフがチャットで対応するサービスなので、オペレーションが重要。スタッフがユーザーの旅行を作っていけるのかどうか、お客さんの数を絞って検証していた。これから、ようやく増やしていくぞ、というタイミング」(有川氏)

2人ともIT畑の出身。リアルの代理店から始まっているOTAと比べて、メリットや不利と感じる点はどういうところだろうか。

光本氏は「僕たちの強みは“ド素人”なところ」という。「どのサービスでもそうだと思っているが、これまでに手がけた金融(CASH)でもオンラインストア(STORES.jp)の時も、対象にしているのはド素人の方々。旅行のド素人がド素人の方のためにサービスを作れば、気持ちをわかって作ることできる。それが強み」(光本氏)

業界ならではの知識やネットワークなどの面で弱みはあるとは思う、としながら、「いろんな企業の力を借りたり、自分たち自身が学んでカバーしている」と光本氏は話している。

「TRAVEL Nowでも情報はそぎまくった。記入するのがめんどくさい部分は、業界の人がビックリするぐらい取っちゃった。提携先の旅行会社の人からは、当たり前のように『あの情報もこの情報もほしい』とフィードバックが来たが、本当に必要かと聞くと『あったほうがいいからです』みたいな理由で。なくても予約できるし旅行はできる。ユーザーとしてはない方がいいし、実は成り立つじゃん、ということになった」(光本氏)

光本氏は「みんなが思っている以上に、旅行をガマンしている人はいると思っている」と話す。「2万円、3万円ぐらいの旅行なら行けばいいじゃないか、とよく言われるが、そういうことを言ってくるのはお金を持っている人。全国的な観点でいったら、安い温泉宿へ行くというのでもガマンしている人がいっぱいいる。『結婚記念日だから』『子どもの誕生日だから』今月旅行に行きたい。来月ならお金はどうにかなるかも。そういう人がちょっとしたお金がないから、このタイミングに旅行するのをガマンするのは悲しいし、残念だ。そういう人が旅行に行ける機会を作りまくりたい」(光本氏)

CASHもTRAVEL Nowも性善説で運営し、後払いをサービスに取り入れているが、悪用するユーザーもいるのではないか、という懸念もある。危ない人が利用するケースは「ゼロではない」と光本氏も認める。だがこの性善説で提供するサービスの領域に「興味があってチャレンジしたい」と語る。

「人を疑うのはコストでしかない。想定以上にきちんと払ってもらえるなら、ビジネスとして成り立つし、我々は疑うというコストをセーブできる。性善説に基づいたマスのサービスは世の中にない。そこに可能性と面白さがある。今はいろいろと実験しているところ。もう少し突き詰めたい」(光本氏)

有川氏は既存の旅行市場は「特殊」という。「OTAはITサービスを15〜6年やっている。ITサービスとしては長い方だ。そこには技術的負債もあり、リニューアルはされているけれど、全く新しいものではない。そこへモバイルシフト、スマートフォンの台頭とかが起きている。今このタイミングで新しく参入するからこそ、今までになかったものが出せる」とその考えを説明する。

LINEを入口としていることで、ズボラ旅のユーザーには若い人が多いのかと思いきや、お客さんの幅は広いようだ。「OTAサイトが使えない、使い方がわからない人も多い。今までインターネットが触れなかった人、60代の方が子どもに聞きながら使う、ということもある」(有川氏)

認知の部分でもLINEをベースにすることで、クリアできているようだ。今は旅行メディアとの連携により、記事を読み終わったところで申し込みできる入口を増やしているところだという。

今後、2社が考える旅行サービスの展開はどのようなものなのだろうか。

光本氏は「ポテンシャルが大きすぎるので、直近数年のイメージだが」として「超カジュアルにハードル低く、旅行に行く機会を提供しまくってみたい」と言う。

有川氏は「手段はチャットであってもなくても、旅行の相談窓口であり、オススメ場所でありたい」という。「我々が提供しているのは“レコメンド事業”だと思っている。商品はたくさんあるので、それを合う人にマッチングしていく、というサービスだ。そこでデバイスは何でもいいし、音声アシスタントを使うという方法もあると思う。形は問わなくなっていくのかな」(有川氏)

ズボラ旅はイベントが行われた11月16日、サービスを大きくリニューアルした。ホテル・旅館の予約だけでなく、新幹線や特急券、航空券などの旅行手段、現地の公園や美術館などの施設のチケット、レストランなど、何でもLINEで相談すれば、まとめて予約することが可能になったのだ。

また、2019年初にも、海外旅行への対応を予定しているという。有川氏は「飛行機もホテルも現地アクティビティーもレストランも、全部日本語でLINEで会話するだけで予約して、行って帰ってこられるようになる」として「オペレーションは大変だけれど、やる価値はあると思っている」とサービスに自信を見せる。

来年にかけて、有川氏は「何も考えなくても、どこかへ行きたいね、というのがかなう世の中を実現するために、今ないものを作っていく。今、日本で1年あたりの旅行回数は2.6回と言われているが、旅行を簡単にして、その数字を増やしていくためにインパクトを与えたい」(有川氏)

光本氏のほうは、「金融」「旅行」に続いて、来年は「不動産」に注目しているという。「これもロジカルな理由はないが、単純にこれまで変わっていなかった業界。世の中が変わっている中で、今の世の中に合った新しい不動産サービスは出てくるべき。世の中と業界とのギャップが開ききるタイミングじゃないか。(自分がやるかどうかはともかく)新しい価値をもたらすような不動産サービスが、来年は出てくるような気がしている。もし本当にそうなったら、褒めてください(笑)」(光本氏)

Toyota AI Venturesが考えるモビリティーは3次元的なソーシャル——#tctokyo 2018レポート

Toyota AI VenturesマネージングディレクターのJim Adler氏

11月15日(木)に開始されたTechCrunch Tokyo 2018 Day1冒頭のFireside Chatは、Toyota AI Venturesでマネージングディレクターを務めるJim Adler氏の招いてのセッションとなった。同社は、2017年7月に設立されたトヨタグループのベンチャーキャピタルファンド。人工知能やロボティクス、自動運転、データ・クラウド技術の4分野においてスタートアップの発掘と投資を行っている。

登壇したAdler氏は、Toyota AI Venture設立時からのマネージングディレクターであり、またVoteHereという電子投票のスタートアップを創業した起業家でもある。同セッションでは直接的な言及は少なかったものの、参加者は多くのヒントを得られたハズだ。

人工知能やロボティクス、自動運転、データ・クラウド技術の4分野に注目しているといいつつも、会場に到着するまでにGPSシグナルが弱く、迷子になったエピソードを交えつつ、マッピングのローカリゼーションとデータサイエンスの重要性に触れた。例えば、ドライバーのクセとGPSシグナルを組み合わせたらどうなるのか。セッションは知見とヒントを散りばめたものだったともいえる。

まずToyota AI Venturesの方向性について。同氏は、TOYOTAのイメージであれば車となるが、モビリティー全体を見ており、あらゆる交通手段に関わると語った。車から見れば、ほかの交通機関の影響はあり、その逆でも同様だ。また車はソーシャルであり、その国の文化に応じた約束事の存在にも触れた。

同氏曰く「ソーシャルコントラクト」。自動運転の安全レベルを設計するにあたり、地域ごとの決まり事をAIに教えるにはどうしたらいいのか、歩行者によって配慮を変えなくてはいけない。親子の場合、自転車の場合、スケボーの場合で異なる。また自動運転の安全レベルについても、社会として答えを出す必要があり、コミュニティーで答えを出していけるのではないか、さらに安全とはなんだろうかといった疑問の提示もあった。またAdler氏はモビリティー全体に関わるため、テックに留まらず、パッケージとして考える必要があるとも語った。

そこにイノベーションが必要であり、スタートアップによるアクションをサポートしていくというのが、Toyota AI Ventureのスタンスになる。スタートアップを市場に投入して、反応/判断を得えて、また次のステップへ。Toyota AI Ventureは、投資だけでなく生産から安全設計までサポートをする。

投資基準はどうだろうか。Adler氏自身も起業家であった経験から、起業家の視点や気持ちがわかると踏まえたうえで、最終的には技術も大事だが、スタートアップチームの性能や社内文化を見ていると述べた。市場に投入したのちの市場反応を受け入れる姿勢だけでなく、一度社会文化が出来ると変更しにくく、フローを実行しやすい文化形成の推奨のほか、アドバイスとしてハードとソフトの入念なチェックや、競合のいる市場を選ぶといった話も出た。競合はライバルでもあるが、友人であるといった点であり、競合のいない市場はオススメしないそうだ。

最後に再び、社内文化の重要性を触れてAdler氏のFireside Chatは終了した。

(文/写真 林祐樹)

米国展開とメルペイに注力——上場後のメルカリの今、そしてこれから

東京・渋谷ヒカリエで開催中のTechCrunch Tokyo 2018。初日の11月15日には、メルカリ取締役社長/COOを務め、国内事業を率いる小泉文明氏が「上場を果たしたメルカリ、これから目指すもの」と題し、メルカリ上場までのストーリーや国内戦略、今後注力していく事業・サービスなどについて語った。聞き手はTechCrunch Japan編集統括の吉田ヒロが務めた。

米国メルカリの課題は「認知」

まずは上場前後の話から。6月19日に東証マザーズ市場に上場を果たしたメルカリだが、上場のタイミングはどのように決まったのだろうか。

小泉氏は「中長期戦略の中で、メルペイの準備を始めた時期だったことが大きい。今後ペイメントや新しいチャレンジを考えている中では、社会的信頼が重要になってくる。上場するにはちょうどいいタイミングだった」と答えた。

上場による調達資金をはじめとした資金の投下先について、小泉氏は「決算説明会の資料にもあるとおり、日本は黒字だがUSは赤字、ペイメントはまだ売上がない。日本での収益とファイナンスをUSとペイメントに投資している」と説明。「まずはビジネスを当てることが大事」と言う。

米国メルカリの立ち上がりは「やはりそんなに簡単じゃない」という小泉氏。「アメリカのスタートアップでもしんどいと思う。彼らも(収益の上がりやすい)B2Bサービス、SaaSへ移っていて、コンシューマー向けサービスを提供するところは減ってきている。資金力とユーザー滞在時間を呼び戻すのが、みんなの課題となっている」(小泉氏)

米国ではアプリDL数は4000万。小泉氏によれば「継続率は日本ほど良くなっていないので改善が必要だ。また認知率が課題で、日本のようにテレビCMで5億、10億投下したら何とかなるというものじゃない」と米メルカリの課題について打ち明けた。「認知率についてはSNS広告やビルボード(屋外看板)なども行っていたが、時間がかかっている」(小泉氏)

小泉氏は一方で「アプリ内の(ユーザー遷移などの)数値はかなりいい」とも述べている。「CVCとか、日本と変わらないぐらい。プロダクトの中は良くなってきたから、認知に投資して、認知率が上がれば数字(売上)は上がるのではないか」(小泉氏)

3月に「思い切り変えた」というUSメルカリのアプリUIは、赤がキーカラーの日本と違って、米国では青が基調。タイムライン上にアイテムがずらっと並ぶ日本のUIに対し、USではジャンルである程度見せるよう、縦と横で切り口が違う見せ方になっているという。

「ある部分、日本より進んでいる、アメリカにマッチしたUIに変えている」(小泉氏)

米国で展開する広告では「Selling App(売るアプリ)」をうたっているメルカリ。ラジオ広告やビルボードで『売るだけ』をフィーチャーしてあおっているとのことだ。小泉氏は先日乗ったUBERの運転手にも「知ってるよ、“売るアプリ”だろう? ラジオで聞いてた」と言われたそうだ。

米国でのメルカリの仕組みの浸透については、小泉氏もそれほど心配していないようだ。「中古マーケットではeBAYがあるが、PCベースでの利用が中心で、日本でYahoo!オークションがあったのと同じ。スモールビジネスの売り手がいるというのも、日本に近いんじゃないか。フリマアプリ領域での競合も減ってきた。女性向けアプリなどが残っているが、オールジャンルをカバーするものではなく、もともとフリルがあった日本と同じような構造がある」(小泉氏)

「日本で普通の主婦が使っているのと同じように、20代の女の子とかが普通に使うアプリになってきている。テクノロジーにフィーチャーさせない方がいいかと思って、全ジャンル対応したものにしている」(小泉氏)

小泉氏は「システムが受け入れられるには、スマートフォンでいかになじむか、が大切。米国ならではのチャレンジはあるが、新しいコンセプトが必要、という感じではない」と話している。

アメリカへの投資については「ここが取れるか取れないかで全世界への展開に影響するから」と小泉氏は述べる。「アジアへの進出もよく言われるが、まずはアメリカ。PLや企業革新(の速さ)が変わってくる。実現できないと次のステージに会社として全然行けない」(小泉氏)

休止サービスの見極め方とメルペイへの意気込み

上場によって社内で変わったことは「特にない」という小泉氏。どちらかと言えば上場というよりは「ペイメントが入ることで、お金を扱うサービスとして信頼性を高める必要があると認識されるようになった」という。

ほぼ全社員がストックオプションを保有しているメルカリだが、上場で辞めたという人もほとんどいないとのこと。「まだまだメルカリの可能性はあるとみんな感じている。楽しんでいる」と小泉氏は言う。

今年に入ってメルカリでは、5月に「メルカリ アッテ」を終了、「メルカリNOW」「teacha」「メルカリ メゾンズ」の3サービスを8月に終了し、年内に「メルカリ カウル」を終了すると発表している。

休止サービスについて小泉氏は「山田(代表取締役会長兼CEOの山田進太郎氏)も自分もそもそも、スタートアップをたくさん作ってきた人間。『新規サービスはそう簡単には当たらないよね』というのが合い言葉のようになっている。無責任にサービスを延命してリソースを取られるのは避けた方がいい。メルペイのような重要なところへリソースを配分し直す、という考えだ」と語る。

サービス休止の見極めは「初動を見て」行うとのこと。「大きなチャレンジがたくさん出てきている中で、数値、そして感覚で見極める。経営会議で担当役員や事業責任者の話を聞きながら、冷静に判断している」(小泉氏)

当該サービスを担当していた社員は辞めてしまうんじゃないかとも思えるが「全然辞めない」と小泉氏は言う。「サービスが好きか会社が好きかで言えば、会社と会社のミッション、バリューが好きという社員が多い。(サービス休止で)会社に貢献できるなら、それはいいよねと思ってもらっている。いろいろ思うところはあるとは思うけれども、みんな比較的次の仕事に邁進しているという印象だ」(小泉氏)

「サービスを閉じるにあたっては、『いいチャレンジだったね』として学びを得ながら、成仏させて次のチャレンジをさせるようにしている。そうした情報はメルカン(メルカリの社内の取り組みを伝えるメディア)でも共有して、リソースを配分している」(小泉氏)

一方で車のコミュニティ「CARTUNE」を10月に買収しているメルカリだが、取り入れるサービスの線引きはどこにあるのか。

小泉氏は「メルカリのカテゴリ戦略の中で自動車カテゴリは大きい。CARTUNEは短期間で熱量の高いコミュニティができあがっている。創業者(福山誠氏)としての優秀さと事業の魅力が際立っている。いいパートナーがいてくれたと思っている」とCARTUNE子会社化に至った理由について説明する。

「CARTUNEはメルカリとは別で持って行く(成長を目指す)。彼らのコミュニティをきちんと大きくしていく。メルカリのカテゴリをその過程で大きくすることはあるが、短期的にマージすることは考えていない」(小泉氏)

また、メルペイでサービス同士をつなぐ、という発想も「なくはない」という小泉氏。「リアルな店舗で使えるだけでなく、オンラインでも使えるようにしていく」と話している。

「カテゴリーに特化するためのM&Aは今後もあるだろう。(自社は)IPOで調達しているが、M&Aも否定せずにやっていく」(小泉氏)

休止したサービスと似たようなものをまたやる可能性もある、という小泉氏は「メルカリが1回目で当たったのは奇跡。メルペイにも大変なチャレンジが待っているはず。中途半端にやっても大きな山には登れない」と語る。

今後フリマ以外で注力したいのは「やはりペイメント。ペイメントはフリマアプリとあわせることで、エコシステムが生まれてくると思うから」と小泉氏は言う。

ペイメント系サービスに関しては、LINE Payをはじめ、さまざまな先行サービスがあり、今年に入ってからもPayPayなど新規サービスも増えている状況だ。メルペイはどのように勝負していくつもりだろうか。

小泉氏は「メルカリとメルペイの連携が非常に大事」と言う。「単純にペイメントサービスを使ってください、ではハードルが高い。手数料競争になっても意味がない」(小泉氏)

「メルカリはメルペイの強み。(メルカリでアイテムを売った)アカウントに対してお金が振り込まれたら、それが店舗で払えるようになっていく。LINEにもYahoo!にもそれぞれ良さがあるのと同じ。銀行口座やクレジットー度を登録させて……というよりは、すぐ店舗で使えるようにする。それがあれば、さらに『メルカリでものを売ろう』という動きにもなる。ユーザー活性化のモチベーションにもなっていく」(小泉氏)

シナジー、ということでいえば11月にアプリがローンチされた「メルトリップ」とメルカリとの連携はあり得るのか。

小泉氏は「今はそれぞれスタンドアローン」と言いながら、「将来的には連携も可能ではないだろうか」と話している。「メルペイのように近いサービスはいいが、新規サービスを作るときに既存サービスを意識しすぎると複雑化したり、重くなったりする。大事なところ以外をケアしなければいけない、ということはあってはいけないことだ。お客さまに親しまれるサービスにしてから連携しようと考えている」(小泉氏)

個人としては「ノーロジック」で投資

小泉氏には、個人投資家としての顔もある。直近では10月17日に、クラウドファンディングサービス「Readyfor」を展開するREADYFORへ個人として出資している。

メルカリの社長という激務の中で、個人投資家として活動する理由について、小泉氏に尋ねると「経営者としてやりたいことはいくつかあるが、身体は一つ。『こういう未来になってもらいたい』という夢を託すためにお金を投資している」という答えが返ってきた。

「ストラテジーがあって投資をする千葉さん(Drone Fundの千葉功太郎氏)と比べると、今までに投資しているREADYFORやファームノート(酪農農家向けIoTサービス)とかはバラバラに見えると思う。また、儲かる案件をスルーしていることもある。そういうのは僕じゃなくても誰か出してくれる人がいるだろうと思って」(小泉氏)

「(これまでに参画している)メルカリとかミクシィも個人をエンパワーメントする流れ。READYFORなどのクラウドファンディングとかはそういう感覚でいいと思う。ファームノートについては、僕が兼業農家の子どもで農家のことはよく見てきたから……。そういう感じで脈絡なく出資している」(小泉氏)

今後も比較的「ノーロジック」で投資していくだろう、という小泉氏。「(投資しませんかという)ディールはよく来る。期待されているな、ということはスタートアップからも感じる。普遍的に人やお金は大事だ。プロダクトについては事業をやっている人は一番考えていると思う。それに対して応援団として背中を押したい」(小泉氏)

SPORTS TECH TOKYOにかける思いとSports Tech最新事例——TC Tokyo 2018レポート

写真左からTechCrunch Japan編集統括の吉田博英、Scrum Ventures創業者の宮田拓弥氏、データビークル代表取締役/Jリーグアドバイザーの西内啓氏、日野自動車フューチャンプランアドバイザーの山下大悟氏

オリンピックはテクノロジーの見本市と呼ばれることもある。2018年に平昌で開催された冬季オリンピックでは、世界初の5Gの実証実験サービスが行われたり、Intelのドローン技術を用いたライトショーもあった。東京2020オリンピックでも、さまざまな最新テクノロジーを見たり体験することだろう。

テクノロジーは、スポーツそのものやスポーツビジネスにも進化や新たな価値を生み出している。11月15日、16日で開催中のTechCrunch Tokyo 2018では、今後注目がますます集まるであろう「Sports Tech」をテーマにしたセッション「スポーツ系スタートアップを支援する『SPORTS TECH TOKYO』が始動」を開催。日本や世界におけるSports Techの最新事例や、今後の課題、SPORTS TECH TOKYOにかける思いなどが語られた。

登壇したのは、Scrum Ventures創業者の宮田拓弥氏、データビークル代表取締役/Jリーグアドバイザーの西内啓氏、日野自動車フューチャンプランアドバイザーの山下大悟氏。モデレーターはTechCrunch Japan編集統括の吉田博英。

世界中からテクノロジーを持ってくる「SPORTS TECH TOKYO」

まずはセッションタイトルにもなっている「SPORTS TECH TOKYO」の概要について。SPORTS TECH TOKYOは、Scrum Venturesと電通が共同運営するアクセラレーションプログラムで、スポーツ分野(eスポーツも含む)で優れた技術や事業アイデアを持つスタートアップを世界中から募り、事業化のためのメンタリングなどを約1年間支援するというもの。

競技団体、プロリーグ、チームなどの関係者や選手を「スポーツアドバイザリーボード」に迎え、参加するスタートアップに対してネットワーキングやプレゼンテーション、実証実験の機会も提供する。プログラムは、アスリートの育成や競技に関するデータ解析などはもちろん、スポーツの観戦やファンの満足度、スタジアム体験なども含んでいる。開催期間は、2019年1月から1年間。

宮田氏はプログラムのネーミングについて、「Sports Techが進んでいるアメリカをはじめ世界中のテクノロジーを日本に持ってきてもらいたいと思い敢えて“TOKYO”をいれた」とその理由を説明。TOKYOという旗を立てることでテクノロジーが集まるチャンスを創出する。

また、日本のスポーツ産業がテクノロジーに注目しはじめていることを実感しており「日本が目覚めてきた」と語った。

アメリカの最新Sports Techと日本のテクノロジー活用

ここで気になるのは、宮田氏が進んでいるというアメリカのSports Tech事情だろう。宮田氏は最先端の事例としてアメリカンフットボールを挙げた。

「アメリカンフットボールのスタジアムにはセンサーが入っており、リアルタイムで選手の位置の把握やランのスピードを解析している。(そのデータを使って)視聴者に対して、例えば競り合っている選手のどちらが速いのかをリアルタイムで画面表示もしている」(宮田氏)。

2019年には、上記のデータトラッキング技術とAI技術が組み合わさることで「選手が今からどの方向にボールを投げるのかを予測した情報」なども表示されるそうで、「アスリートの考えをファンが見られるようになる。面白い進化が起きている」と語った。

一方、日本ではどのようにテクノロジーやデータが使われているのだろうか。西内氏はJリーグでのテクノロジーやデータ活用に触れる前に「サッカーは野球よりデータ利用の歴史が浅い」と語った。野球は何十年も前から打率の概念が存在していたが、サッカーは2000年代に入るまでパスの成功率の指標すら管理されていなかったそうだ。そこからスポーツデータの解析を専門におこなうデータスタジアム社の活用などがはじまり、現在に至る。

「Jリーグでは、画像解析ソフトやGPSを使って選手の位置の把握や、走行距離などをはかったデータ活用をしている。加えて、ここ1、2年で主要なクラブチームではチケット販売サービスとデータを共有してCRMのようなものができるようになってきた」(西内氏)。

山下氏は、「ラグビーでは、10年くらい前から選手にGPSをつけて位置の把握などさまざまなデータを取得し、選手の評価や改善に取り組んできた」と説明した。山下氏が監督をしていた早稲田大学ラグビー蹴球部でもGPSを使っていたそうだ。また、早稲田大学ラグビー蹴球部では選手の評価や、トレーニング内容、練習メニューなどさまざまな事柄にデータを活用し「ほぼデータだった」と振り返った。

eスポーツから学んでスポーツに展開する

登壇者3人は日本のスポーツにおける今後のSports Tech活用についてどのような課題があると考えているのだろうか。それぞれが見解を聞いたところ、西内氏と山内氏はそろって「若年層のデータ化」を挙げた。

サッカーもラグビーも、プロになってからのデータを取ることはできるようになってきているが、ユース選手のデータが少なく、ユースチームのコーチが選手個人のデータを持っていないという。

「1万時間の法則みたいな鉄板的なものをデータで見出してほしい。また、個人にカスタマイズしていくことが重要になってくのではないか」(山内氏)。

「データが取れたとしても、一方でプロでもデータを活用しきれていないところがあるので、分析をどう活かすかも課題になってくる」(西内氏)。

「選手とファンのエンゲージメントやコミュニケーションが今後のキーワード。また、eスポーツ的な見せ方をスポーツに導入するといった、eスポーツから学んでスポーツに展開することがあるのではないか」(宮田氏)。

SPORTS TECH TOKYOは今だからこそチャンスがある

最後に、観客の皆さんからスピーカーに直接質問できる「Q&Aコーナー」セッションの様子を紹介する。

Q.アメリカなどに比べてスポーツ関連の事業化が遅れているが、スポーツ系スタートアップが立ち上がることによって、どれくらいで挽回できそうか?予想と期待値を教えてください。

A.2019年に我々が開催する「SPORTS TECH TOKYO」や、2020年に開催されるオリンピックもあるので、「このタイミングしかない」と思っているし、まだまだチャンスはある。(宮田氏)。

NFLやメジャーリーグはすごく収入があるが、1980年代は日米で収入の差はそこまでなかった。この20年~30年のあいだでマーケティングなどによる差が広がった。逆に言えば、ちゃんとキャッチアップすればアメリカの市場価値まで日本も上がるのではないかと期待している(西内氏)。

Q.ウェアラブルデバイスがSPORTS TECHで普及していく条件は?

A.ハードウェア側として、もっと小さくて軽くすることをもっとやっていかなければならない。また、カッコよい、ストレスなく使えるなど、デザイン面でも突き詰めていく必要がある。ソフトウェア側は、取得してデータをどう活かすかが課題ではないか(西内氏)。

Q.東京2020オリンピックはSports Techにとってどのような意味を持つか?

A.オリンピックは、大勢のプレイヤーがやってきて、大勢の人が見る場。会場やテレビで見るだけではなく、スポーツとどうエンゲージするかが重要になってくる。ARやVRを使った表現や、例えばさまざま角度から競技をみることができるかもしれない(宮田氏)。

各国から選手やコーチが集まるので、ほかの国が使っていた技術を見れる機会でもあるので「いい技術があった」「この技術うちも使いたい」といったことが起こることも期待できる(西内氏)。

(文/写真 砂流恵介)

あと数年でドローンによる”空飛ぶクルマ”は実現——TC Tokyo 2018レポート

TechCrunch Japanは2018年11月15日から2日間、スタートアップイベント「TechCrunch Tokyo 2018」を都内で開催。本稿ではDay1のFireside Chat「空飛ぶクルマをどう実現するか、日米のキーパーソンに聞く」で語られた内容を紹介する。モデレーターはScrum Ventures創業者/ジェネラルパートナー 宮田拓哉氏が務めた。

左よりモデレーターを務めたScrum Ventures創業者/ジェネラルパートナーの宮田拓哉氏、Top Flight Technologies共同創業者/CEOのLong Phan氏、楽天AirMap代表取締役/CEOの向井秀明氏

Top Flight Technologiesは、新しいビジネスソリューションを提供するUAV(商用無人航空機)を手掛けるスタートアップとして2014年に米ボストンで創業。現在のドローンが抱えるバッテリー駆動時間や積載重量といった課題解決に取り組んでいる。同社の「Airborg H8 10K」は一般的な自動車と同じ8〜11km/リットルの燃費効率で、10kgの貨物で40分間の飛行を可能とする。本パネルディスカッションの主題である「空飛ぶクルマ」について同社は、「(我々のドローンは)空飛ぶクルマと同じ。全長 220cm、33kgと大きめだが、強風下でも高い安定性と正確な位置コントロールが可能だ」(Top Flight Technologies共同創業者/CEOのLong Phan氏)と語る。

一方で日本の楽天AirMapは2016年5月にPoC(概念実証)として、ゴルフ場のデリバリーサービスを千葉県御宿町のゴルフクラブで実施。その後も愛知県今治市による離島間配送PoC(2016年10月)や、静岡県藤枝市で個人配送を想定した実証実験(2017年3月)など「楽天ドローン」に取り組んできた。直近では、福島県南相馬市でドローンと地上配送ロボットを組み合わせた商品配送実験に成功(2018年10月〜2018年3月)。これらの取り組みを通じて同社は物流を見据えた「無料配送ソリューションの構築を目指している」(楽天AirMap向井氏)。中長距離間の配送は”空飛ぶクルマ”が担い、短中距離配送はドローンを活用し、「ラスト1マイルの無人化」を目標に掲げている。

昨今では多くの製造系企業やIT企業がドローンを”空飛ぶクルマ”として注目しているが、モデレーターの「実現可能か?」との質問に対して、楽天AirMapは「現在は信頼性が足りない。2016年末頃はもっと早く提供できると考えていたが、ドローンの運用は街上を飛ぶ危険な行為。安全性やトラックレコード、長時間のテストを求められ、(ビジネスの進捗)速度が遅くなる。信頼性という足枷(あしかせ)を踏まえて、スタートアップとトラディショナルが手を組んで進められるか。これが重要な課題だ」(向井氏)と指摘した。2018年11月に現代自動車と提携を発表したTop Flight Technologiesは、「シミュレーターなど多くのツールを使って開発を続けている。仮想現実内で(ドローンを)作り、現実世界でテストと試作を重ねてきた。ハードウェアとソフトウェアを組み合わせることで24時間テストのコスト低減、リスクの軽減と共に開発期間を短縮している」(Phan氏)と自社の開発姿勢をアピールした。

2018年11月中旬には、Alphabet傘下のWaymoが今後2カ月以内に世界初の商用自動運転車サービスを開始する予定だと発表したことは記憶に新しいが、モデレーターが本件に触れつつシミュレーションの限界について問うと、「現在は燃料や速度、信頼性といった課題がありつつも、3年先に”空飛ぶクルマ”は実現する」(Phan氏)と回答。ただし、最初に活用される場面は軍隊であるとTop Flight Technologiesは指摘した。「例えば戦場で傷を負った兵士に薬品を運ぶようなシーン。そこで(効果が)実証されれば、一般社会に広まっていくと思う」(Phan氏)。他方で日本国内ではドローンに関わる多くの規制が存在する。

この点について楽天AirMapは、「国の皆さんも協力的。空を使った配送や移動を実現しようと官民一体で考えている。ただ、人や国道、線路を越えて飛ぶことに高いハードルがあり、現時点では航空機のように飛行記録など完ぺきなアプローチが必要となり、コスト的に見合わない。安価なコストで(空飛ぶクルマを)社会実装できるかという視点が重要だ」(向井氏)と分析しつつ、危険性が少ない過疎地での運用や、プロによる整備記録の保持など、リスクベースアプローチに議論が進めば、ドローン運用が加速すると語った。

前述のとおりWaymoは米国アリゾナ州という限定地域でデータを取得し、規制問題をクリアしているが、「(過疎地運用も)需要があれば受け入れられやすい。東アフリカ・ルワンダではワクチンをドローンで運搬し、多くの人が助かっている。住民の利便性を証明することが必要だ」(向井氏)という。日本の規制に問題ついてTop Flight Technologiesは、「弊社に取って日本は可能性のある市場。将来的に人やモノの輸送方法を考えると、自動車や電車といった従来型手段を超えることが必要だ。私も(日本で)通勤通学混雑時に電車へ乗ったが驚くほど混雑していた。(この混雑も)新たな交通手段で解決できるだろう。例えば未使用空域。今足りないのは技術と活用能力、そして信頼性である」(Phan氏)と指摘した。

モデレーターが高人口密度化した都会で”空飛ぶクルマ”の運用リスクに恐怖を覚えると述べると、「私はアニメが大好きだが、(あの世界では)いろいろなモノが都会で飛んでいる」(Phan氏))と冗談めく一方で、「例えば5分以内に病院へ搬送しなければ、生命の危機に関わる心臓発作患者を救う唯一の選択肢は”空飛ぶクルマ”だ」(Phan氏)と必要性を強調した。他方で楽天AirMapも「日本は安全を優先するため、いきなり”空飛ぶクルマ”が都会を飛び交うことは難しい。ただ、自動車産業などで培った製造技術が大きい。資金と体力を持った大手企業が本気で投じれば、今の日本が注力すべき新たな産業になると思う」(向井氏)と新たな可能性を提示した。

続いて三菱重工の「MRJ」や本田技研工業の「ホンダジェット」など、製造業が航空機開発に取り組みつつある現状を踏まえて、製造プレーヤーが増加する可能性を尋ねると、楽天AirMapは「企業はルールが決まらないと製品を出したくないが、ルールが決まれば試作機を世に出せる。『(ルールを制定する政府側や参加プレーヤーの間に)一緒にルールを作ろう』というフットワークや価値観があれば、大手企業の参入も増えるだろう」(向井氏)と現状の課題を指摘する。ドローンが抱える課題について、Top Flight Technologiesは「適切な交通管理が必要。(ドローンは)どこでも飛べるが高層空域には規制が求められる。ただ、自動車が世に登場した頃は馬車がメインで、道路というインフラもなかった。時間と共に規制が生まれてきた」(Phan氏)と、”空飛ぶクルマ”の実用化に至るまでのジレンマを明示した。

5G時代は”空飛ぶクルマ”の位置や情報を地上で把握すれば衝突が減るとモデレーターの提案に、楽天AirMapは「我々の空域管理側システム『空域管理ダッシュボード』とドローンを操縦専用アプリ『AirMap』がそれにあたる。今後、無人化が進むと処理やルーティングも自動化されるだろう。このビジョンを前提に製品を開発してきた。人やモノを一定空域間で運搬する際はマルチモーダルで自動計算し、最適なルートを飛ぶ。空は立体空間なので((同社ソリューションが)大きなウェイトを占める」(向井氏)と回答。

最後にTop Flight Technologiesは来場者に向けて、「これから2年間はエキサイティングな時代。楽天さんを始めとする多くのプレーヤーが参入するだろう」(Phan氏)。楽天AirMapも「空のモビリティ活用は皆の利便性を高め、スマートフォンのように普及すると我々は考えている。2019年のどこからサービスを提供し、2020年には皆が驚く世界を迎えるように取り組みたい」(向井氏)と意気込みを語った。

(文/写真 阿久津良和/Cactus

TC Tokyoのライブ配信が決定!一部のセッションがPCやスマホで見られるぞ

11月15日(木)、16日(金)に開催される日本最大級のスタートアップイベントである「TechCrunch Tokyo 2018」。今年はより多くの方にスタートアップ業界の熱気を伝えるべく、一部のセッションをライブ配信で無料公開することが決まった。Video-Streaming PartnerのPR TIMES協力のもと、以下のセッションをライブ配信する予定だ。都合が合わずに会場に来られなかった方は、PCやスマホからTechCrunch Tokyo 2018にぜひ参加してほしい。

なお、15日と16日ではYouTubeのURLが異なるので注意しよう。

TechCrunch Tokyo 2018 11月15日(木)

11:50-12:20 Fireside Chat

空飛ぶクルマをどう実現するか、日米のキーパーソンに聞く
Long Phan博士(Top Flight Technologies共同創業者/CEO)
向井秀明氏(楽天AirMap代表取締役/CEO)

12:40-13:20 Product Update

猪瀬雅寛氏(ecbo執行役員)
大塚裕太氏(助太刀社長室室長)
島田寛基氏(Scouty代表取締役CEO)
緒方憲太郎氏(Voicy代表取締役CEO)

13:40-14:10 Fireside Chat

スポーツ系スタートアップを支援する「SPORTS TECH TOKYO」が始動
宮田拓弥氏(Scrum Ventures創業者/ジェネラルパートナー)
西内 啓氏(データビークル代表取締役/Jリーグアドバイザー)
山下大悟(日野自動車フューチャンプランアドバイザー)

14:30-15:00 Fireside Chat

ソフトバンク傘下のARMが6億ドルで買収、日本人によるアメリカ起業家
芳川裕誠氏(Arm IoTサービスグループ データビジネス担当バイスプレジデント/ジェネラルマネージャー)

15:20-16:00 Panel Discussion

今年もあと少し、スタートアップ投資業界のトレンドを知ろう
仁木勝雅氏(ディープコア代表取締役社長)
村田祐介氏(インキュベイトファンド代表パートナー)
千葉功太郎氏(Drone Fund創業者/代表パートナー)

  

TechCrunch Tokyo 2018 11月16日(金)

11:50-12:20 Fireside Chat

充電不要、洗濯可能ーーAppleも認めるスゴいヘルスタグ
Jonathan Palley氏(Spire CEO)

12:40-13:20 Product Update

渡辺良太氏(justInCase商品開発部)
西尾夏樹氏(リフカム営業部ゼネラルマネージャー)
松村大貴氏(空CEO)
藤原健真氏(ハカルス代表取締役)

13:40-14:20 Panel Discussion

2018年は新型旅行サービス元年だったのか、旅領域のキーパーソンに聞く
有川鴻哉氏(Hotspring代表取締役)
光本勇介氏(バンク代表取締役/CEO)
岩本有平氏(プレジデント社プレジデントオンライン編集部)

14:40-15:10 Fireside Chat

スタートアップの経営で学んだ教訓と“これから“
堀江裕介氏(dely代表取締役/CEO)

15:30-16:00 Fireside Chat

氷河期の創業、今年の上場、そしてこれから——将棋AIのHEROZが語る“次の一手”
林 隆弘氏(HEROZ代表取締役/CEO)

17:40-18:20 Fireside Chat

Periscope創業者が描くTwitterの新たな未来像
Kayvon Beykpour氏(Twitterプロダクトリード/Periscope共同創業者)

18:20-18:50 Startup Battle授賞式

 
TechCrunch Tokyoでは現在、一般チケット(4万円)、5人以上の一括申し込みが条件の「団体チケット」(2万円)、創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップ企業に向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、学生向けの「学割チケット」(1万8000円)も販売中だ。やっぱり現地でセッションを見たい、スタートアップ企業や投資家と話してみたいという方は、チケットの購入を検討してほしい。

チケット購入はこちらから

TC Tokyo 2018に登壇するゲストスピーカーへの質問を大募集

11月15日(木)、16日(金)に開催される日本最大級のスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2018」。すでに昨年を超える枚数のチケットが売れており、今年も2500人以上の来場者が見込まれる。

今回、一部のセッションでは観客の皆さんからスピーカーに直接質問できるQ&Aコーナーを特別に設けた。具体的には、スマホやPCから質問を投稿できる「Sli.do」というサービスを利用する。誰もが自由に質問できるほか、自分が質問したい内容がすでに投稿されていれば、その質問に「いいね」を押すことで賛同できる。当日は「いいね」の多いものを中心にスピーカーに質問を投げかける予定だ。

質問の投稿や「いいね」を押すには、sli.doのサイトで下記に記載した「#TC」で始まる番号を入力するか、リンクをクリックしてsli.doのページを該当ページを開こう。Q&Aコーナーは10分程度と時間が限られているが、ぜひみなさんの知りたいことをぶつけてほしい。

■11月15日(木)
#TC11
TOYOTAの投資ブレーンに聞くモビリティの未来
Jim Adler氏(Toyota AI Venturesマネージングディレクター)

#TC12
Nianticが考えるこれからのAR
川島優志氏(Nianticアジア統括本部長)

#TC13
空飛ぶクルマをどう実現するか、日米のキーパーソンに聞く
向井秀明氏(楽天AirMap代表取締役/CEO)

#TC14
スポーツ系スタートアップを支援する「SPORTS TECH TOKYO」が始動
宮田拓弥氏(Scrum Ventures創業者/ジェネラルパートナー)
西内 啓氏(データビークル代表取締役/Jリーグアドバイザー)
山下大悟(日野自動車フューチャンプランアドバイザー)

#TC15
ソフトバンク傘下のARMが6億ドルで買収、日本人によるアメリカ起業家
芳川裕誠氏(Arm IoTサービスグループ データビジネス担当バイスプレジデント/ジェネラルマネージャー)

#TC16
今年もあと少し、スタートアップ投資業界のトレンドを知ろう
仁木勝雅氏(ディープコア代表取締役社長)
村田祐介氏(インキュベイトファンド代表パートナー)
千葉功太郎氏(Drone Fund創業者/代表パートナー)

#TC17
上場を果たしたメルカリ、これから目指すもの
小泉文明氏(メルカリ取締役社長/COO)

■11月16日(金)
#TC21
モバイル決済界の“大型ルーキー”誕生、後発組のPayPayが考える勝機とは?
中山一郎氏(PayPay代表取締役社長/CEO)

#TC22
アジア市場における決済事業の未来
長谷川潤氏(Omise CEO)

#TC23
2018年は新型旅行サービス元年だったのか、旅領域のキーパーソンに聞く
有川鴻哉氏(Hotspring代表取締役)
光本勇介氏(バンク代表取締役/CEO)
岩本有平氏(プレジデント社プレジデントオンライン編集部)

#TC24
スタートアップの経営で学んだ教訓と“これから“
堀江裕介氏(dely代表取締役/CEO)

#TC25
氷河期の創業、今年の上場、そしてこれから——将棋AIのHEROZが語る“次の一手”
林 隆弘氏(HEROZ代表取締役/CEO)

#TC26
Periscope創業者が描くTwitterの新たな未来像
Kayvon Beykpour氏(Twitterプロダクトリード/Periscope共同創業者)

TC Tokyo 2018にAIが解析するスマートフットウェアプラットフォーム「ORPHE TRACK」の展示が決定

11月15日(木)、16日(金)に開催される日本最大級のスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2018」。そのフューチャーラウンジに新たな企業の出展が決まった。スマートフットウェアを開発するスタートアップ企業であるno new folk studioの「ORPHE TRACK」が展示されるのだ。ORPHE TRACKはすべての靴をAI搭載のIoTシューズにするためのプラットフォーム。

ORPHE TRACKの核となるモジュールである「ORPHE CORE」は、6軸モーションセンサー、気圧センサー、振動モーターのほか、STマイクロエレクトロニクス社の最先端のマイクロコンピューター「STM32L4+」シリーズを内蔵。リアルタイムで高精度の運動解析とフィードバックを低消費電力かつ高速処理で可能にしたという。また、ORPHE COREに搭載されるAI「ORPHE AI」は、足の動きのデータを機械学習して、ランニングフォームのコーチングや健康状態のアドバイスを行うそうだ。運動能力や健康状態と密接な関係にある「歩き」や「走り」を精密に記録して解析することで生活を変革していきたい、と同社は語っている。

また同社は、「ORPHE TRACK」プラットフォームに適合する靴をデザインするためのフレームワーク「ORPHE FRAMEWORKS」を靴メーカー向けに用意している。このフレームワークに沿って「ORPHE CORE」を内蔵できるようにデザインすることで、あらゆる靴が「ORPHE TRACK」プラットフォーム対応になるそうだ。

TechCrunch Tokyo 2018では現在、一般チケット(4万円)、5人以上の一括申し込みが条件の「団体チケット」(2万円)、創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップ企業に向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、学生向けの「学割チケット」(1万8000円)を販売中だ。

チケット購入はこちらから

TC Tokyo 2018のフューチャーラウンジにWEAR SPACEが展示されるぞ!

Shiftallが、パナソニックのデザインスタジオ「FUTURE LIFE FACTORY」と共同で開発した「WEAR SPACE」(ウェアスペース)をご存じだろうか。独創的なフォルムで集中力を高めるウェアラブル端末で、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)グループが運営する「GREEN FUNDING」を通じて現在クラウドファンディング中だ。

WEAR SPACEは、ノイズキャンセリング機能を搭載したヘッドフォンと視界を調整できるパーティションで構成されている。この機能とデザインにより、周囲の雑音を低減して不要な視覚情報を排除することで、オープンな空間にいながらも瞬時に周囲との境界を作り出し、心理的なパーソナル空間を生み出すという。

WEAR SPACEの試作品は、これまで国内外のさまざまな展示会やイベントなどにを出展。2017年には、国際的なプロダクトデザイン賞のひとつである「Red Dot Design Award(レッド・ドット・デザイン賞)」のデザインコンセプト部門において「Best of the Best Award(ベスト・オブ・ザ・ベスト賞)」を受賞している。

TechCrunch Tokyo 2018では、このWEAR SPACEをフューチャーラウンジに展示してもらうことが決まった。しかも、TechCrunch Tokyo 2018初日となる11月15日には、渋谷ヒカリエのBホールに設置されるTC LoungeでWEAR SPACEの開発担当者によるプレゼンテーションも予定されている。

TechCrunch Tokyo 2018では現在、一般チケット(4万円)、5人以上の一括申し込みが条件の「団体チケット」(2万円)、創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップ企業に向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、学生向けの「学割チケット」(1万8000円)を販売中だ。

チケット購入はこちらから

Startup Battle History——TC Tokyoで最優秀賞に輝いたスタートアップたち

11月15日(木)、16日(金)に開催される日本最大級のスタートアップの祭典である「TechCrunch Tokyo 2018」。その目玉と言えるのが、創業3年未満のスタートアップ企業が、未ローンチもしくはローンチ1年未満のプロダクトで競う「Startup Battle」だ。今年も100社を超える応募があり、書類選考を突破した20社がファーストラウンドに進出する。TechCrunch Tokyoは今年で8回目となるが、ここでは過去のStartup Battleで最優秀賞に輝いたスタートアップ企業を紹介する。最優秀賞を獲った後に資金調達や提携が決まった会社がある一方、異なるプロダクトで再出発を図った企業までさまざまだ。

2017 ホテル番付(空)
ホテル経営者向けに無料の経営分析ツール。ホテル経営者向け料金設定サービス「MagicPrice」と合わせて業界の価格最適化を進めるサービスだ。2018年に入り、ホテルニューオータニ系やベストウェスタンホテル系への導入が続々と決まった。

2016 小児科オンライン(Kids Public)
小児科に特化した遠隔医療相談サービス。平日の夜18〜22時、こどもについての質問や悩みをLINE、電話、Skypeで医師に相談することができる。料金は初週無料で、それ以降は月額3980円。これからは健保、保育園を中心にB向けにビジネスを推進。”受診すべきか”を医師なしで判断できる遠隔医療システムの浸透を目指していくとのこと。

2015 SmartHR(SmartHR)
社会保険・雇用保険といった労務手続きを自動化するクラウド型ソフト。提示されるフォームに入力し、「雇用契約書を用意しましょう」といったTo Doをこなすだけで、必要書類を自動作成できることをうたう。電子政府のAPIを使うことで、まもなくウェブ経由で役所へ書類を届け出られるようになり、面倒な労務手続きがオンライン上で完結する。フリーミアムプランで月額利用料は980円から。社労士に労務手続きを依頼する場合と比べて、手続時間も3分の1に抑えられるという。

2014 AgIC(エレファンテック)
最優秀賞と2つのスポンサー賞を獲得したのは、AgIC(エージック)。家庭用インクジェットプリンタで導電性をもった専用インクを「印字」して紙の上にも電子回路を打ち出せるプロトタイピング向けプロダクト。AgICを使うことで電子回路の試作に要していた時間を1週間から、2〜3分へと短縮し、コストも大幅に抑えることを可能とした。インクの技術を強みにするだけではなく、自社サイトでの回路図の共有などサービスを拡充することで、ユーザーの囲い込みを図っていきたいと意気込む。3Dプリンターだけではカバーできない部分を見事に解決したとして高い評価を得た。

2013 Ring(ログバー)
Ringはまったく新しいウェアラブルデバイス(入力デバイス)。名前のとおりリングの形状をしており、指にはめて利用する。Google Glassやスマートウォッチといったウェアラブルデバイスはディスプレイが付いていて、その上でアプリなどを動かすが、Ringは入力デバイスとして機能する。しかし、開発の遅れやデザイン面で問題が発生し、販売は終了。現在同社は、スティック型のオフライン翻訳機「ili(イリー)」の展開に力を入れている。

2012 WHILL(ウィル)
足が悪くて歩けない、遠くまで歩くのが辛い方のための乗り物。車イスやシニアカーは乗り物の中で唯一、乗っている人のステータスを下げてしまうという問題を解決するためのカッコよく、操作性を考慮した電動車イスだ。ハードウェアの製品ということでTechCrunch Tokyoの審査員も迷った点があったものの、イモーショナルに訴えかけ、将来性のあるプロダクトであることからWHILLを選んだ。昨年のTechCrunch 2017では招待出展としてWHILLがヒカリエにも展示された。

2011 Picotube(ヴェッテル)
Picotubeは、ビデオのTurntable.fmと言えばわかりやすい。このサービスはYouTubeのコンテンツを利用し、ユーザは自分のアバターを決めてから、ほかのユーザたちと仮想劇場でビデオを楽しみ、プレイリストを作り、ディスクジョッキーならぬ”ビデオジョッキー”たちが選んだビデオに[良い/だめ]などと格付けをする。サービスには英語版もあり、将来の収益化の方法としては仮想グッズの販売を考えていた。なお同サービスはすでに終了しており、同社は現在受託アプリ開発を中心に事業を進めている。

TechCrunch Tokyo 2018では現在、一般チケット(4万円)、5人以上の一括申し込みが条件の「団体チケット」(2万円)、創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップ企業に向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、学生向けの「学割チケット」(1万8000円)を販売中だ。

チケット購入はこちらから

Nianticが考えるこれからのAR、アジア統括本部長・川島優志氏がTC Tokyoに登壇

-o7qHqPg11月15日、16日の2日間、東京・渋谷ヒカリエで開催される「TechCrunch Tokyo 2018」。15日の朝9時40分から始まるセッションには、Niantecでアジア統括本部長/エグゼクティブプロデューサーを務める川島優志氏の登壇が決定した。

Nianticといえば熱狂的なファンが多い「Pokémon GO」や「Ingress」でおなじみの会社。しかも、スマートフォン向け位置情報ゲームであるIngressは、メジャーアップデート版である「Ingress Prime」がリリースされたばかりだ。Ingress Primeでは、開発環境にUnityを採用し、UIが大幅に改良されているのが特徴。また、レベル16以上のエージェントは「プレステージモード」が利用可能となり、「リカージョン」(生まれ変わり)により、「ファクションチェンジ」やレベル1からの再スタートが可能になるようだ。

川島氏には当日、地図/位置情報を使った技術のチームから生まれた会社がなぜゲームを出しているのか、ARでなにをしようとしているのか、なぜオフラインイベントにこだわるのか——などを話していただく予定だ。

TechCrunch Tokyo 2018では現在、一般チケット(4万円)、5人以上の一括申し込みが条件の「団体チケット」(2万円)、創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップ企業に向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、学生向けの「学割チケット」(1万8000円)を販売中だ。

チケット購入はこちらから

TC Tokyo 2018に登壇するゲストスピーカーへの質問を大募集

11月15日(木)、16日(金)に開催が迫っている日本最大級のスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2018」。すべてのスケジュールが確定し、あとは開催を待つばかりだ。すでに昨年を超える枚数のチケットが売れており、今年も2500人以上の来場者が見込まれる。

今回、一部のセッションでは観客の皆さんからスピーカーに直接質問できるQ&Aコーナーを特別に設けた。具体的には、スマホやPCから質問を投稿できる「Sli.do」というサービスを利用する。誰もが自由に質問できるほか、自分が質問したい内容がすでに投稿されていれば、その質問に「いいね」を押すことで賛同できる。当日は「いいね」の多いものを中心にスピーカーに質問を投げかける予定だ。

質問の投稿や「いいね」を押すには、sli.doのサイトで下記に記載した「#TC」で始まる番号を入力するか、リンクをクリックしてsli.doのページを該当ページを開こう。Q&Aコーナーは10分程度と時間が限られているが、ぜひみなさんの知りたいことをぶつけてほしい。

■11月15日(木)
#TC11
TOYOTAの投資ブレーンに聞くモビリティの未来
Jim Adler氏(Toyota AI Venturesマネージングディレクター)

#TC12
Nianticが考えるこれからのAR
川島優志氏(Nianticアジア統括本部長)

#TC13
空飛ぶクルマをどう実現するか、日米のキーパーソンに聞く
向井秀明氏(楽天AirMap代表取締役/CEO)

#TC14
スポーツ系スタートアップを支援する「SPORTS TECH TOKYO」が始動
宮田拓弥氏(Scrum Ventures創業者/ジェネラルパートナー)
西内 啓氏(データビークル代表取締役/Jリーグアドバイザー)

#TC15
ソフトバンク傘下のARMが6億ドルで買収、日本人によるアメリカ起業家
芳川裕誠氏(Arm IoTサービスグループ データビジネス担当バイスプレジデント/ジェネラルマネージャー)

#TC16
今年もあと少し、スタートアップ投資業界のトレンドを知ろう
仁木勝雅氏(ディープコア代表取締役社長)
村田祐介氏(インキュベイトファンド代表パートナー)
千葉功太郎氏(Drone Fund創業者/代表パートナー)

#TC17
上場を果たしたメルカリ、これから目指すもの
小泉文明氏(メルカリ取締役社長/COO)

■11月16日(金)
#TC21
モバイル決済界の“大型ルーキー”誕生、後発組のPayPayが考える勝機とは?
中山一郎氏(PayPay代表取締役社長/CEO)

#TC22
アジア市場における決済事業の未来
長谷川潤氏(Omise CEO)

#TC23
2018年は新型旅行サービス元年だったのか、旅領域のキーパーソンに聞く
有川鴻哉氏(Hotspring代表取締役)
光本勇介氏(バンク代表取締役/CEO)
岩本有平氏(プレジデント社プレジデントオンライン編集部)

#TC24
スタートアップの経営で学んだ教訓と“これから“
堀江裕介氏(dely代表取締役/CEO)

#TC25
氷河期の創業、今年の上場、そしてこれから——将棋AIのHEROZが語る“次の一手”
林 隆弘氏(HEROZ代表取締役/CEO)

#TC26
Periscope創業者が描くTwitterの新たな未来像
Kayvon Beykpour氏(Twitterプロダクトリード/Periscope共同創業者)

TC Tokyo 2018スタートアップバトルのファイナリスト20社を一挙紹介

11月15日、16日の2日間にかけて開催される「TechCrunch Tokyo 2018」。その中でも特に注目なのは、創業3年未満のスタートアップによるピッチイベント「スタートアップバトル」だ。今年も100社を超えるスタートアップから応募があり、厳正なる書類審査の結果、イベント当日にピッチを披露する20社が決定した。

チケット購入はこちらから

グループA

15日午前10時30分から行われるグループAの出場企業は、KURASERU、inaho、Yper、電脳交通、BrainCatの5社。

KURASERU

KURASERUは、要介護者を受け入れる介護施設と、退院後に要介護者を送り出す病院とをマッチングする「KURASERU」を提供する。テクノロジーにより病院と介護施設とのあいだに存在する情報格差をなくし、誰もが暮らしたい場所で“クラセル”世の中を作ることが彼らのミッションだ。2018年6月には500 Startups Japanなどから5000万円を調達している。2017年10月創業。

inaho

inahoは、画像処理とロボットアームの技術をベースにした農作物の自動収穫ロボットを開発するハードウェアスタートアップ。農作物のなかには、農家が目視で収穫可能か(収穫に適しているサイズか)どうかを判断する必要があるものもある。そこでinahoは、これまでは人の手でしか収穫できなかった野菜類でも自動収穫可能なロボットを開発。それをRaaS(Robot as a Searvice)として提供する。2017年1月創業。

Yper

Yperは再配達問題の解決とラストワンマイル物流の効率化に挑戦するスタートアップだ。玄関口に吊り下げるだけで宅配物を受け取れるアプリ連動型バッグ「OKIPPA(おきっぱ)」などを開発している。2018年5月にはニッセイ・キャピタルから5000万円を調達、東京海上日動とともに「置き配保険」なども開発する。2017年8月創業。

電脳交通

電脳交通は、タクシーの配車業務を効率化するバックオフィスシステムの開発、配車業務を代行するコールセンターを運用するスタートアップ。アプリで位置を指定するだけでタクシーを呼べる配車システムは近年増えている。だが、特に地方ではいまだに電話による配車依頼も多い。そうした電話を介する配車業務はアナログで無駄も多いが、それをテクノロジーのちからで効率化する。2018年6月には1億5000万円を調達。徳島県に拠点を置く地方スタートアップの1つだ。2015年12月創業。

BrainCat

日本には古くから、互助会という概念が存在する。メンバーがお金を持ち寄り、何らかの目的を達成するためのコミュニティだ。BrainCatはそうしたコミュニティをアプリで実現する「Gojo(ゴジョ)」を提供している。2017年11月にはメルカリ、GMO Venture Partnersなどから5000万円を調達している。2016年6月創業。

グループB

グループBに出場するのは、ムスカ、GVA TECH、NearMe、エアロネクスト、RESTARの5社だ。

ムスカ

ムスカの強みはずばり、旧ソビエトの時代から約45年の歳月をかけて選別交配を重ねたイエバエだ。通常は飼料と肥料の生成には数ヶ月の期間を要するが、ムスカのイエバエを活用すれば有機廃棄物を1週間で堆肥化することが可能だ。ムスカはこのテクノロジーにより、タンパク質の需要に供給が追いつかなくなる「タンパク質危機」の解決を目指す。こちらの過去記事も参考にしてほしい。

GVA TECH

GVA TECHは、AIによる契約書レビューツールの「AI-CON レビュー」や契約書作成支援サービス「AI-CON ドラフト」などを提供するリーガルテックスタートアップ。契約書の条文ごとに、それが自分にとって有利なのか不利なのかを5段階のリスク度で自動判定する機能などが特徴だ。本格的な法律業務をテクノロジーで効率化し、ビジネスにおける「法務格差」の解消を目指すという。詳しい機能などは、こちらの過去記事も参考にしてほしい。

NearMe

NearMeは、“タクシーの相乗り”で日本の交通インフラの改善を目指すスタートアップ。タクシーという日本の既存資産を活用し、ライドシェアとは違うやり方で問題解決を目指す。同社はこれまでにニッセイ・キャピタルなどから5000万円を調達している。最終的には、相乗りだけではく、さまざまな分野で「瞬間マッチングプラットフォーム」を展開し地域活性化に貢献することを目指すという。過去記事はこちらだ。

エアロネクスト

エアロネクストは、UAV(無人航空機)やマルチコプターの機体フレームのあるべき姿を追求するドローンスタートアップ。機体の軸がブレることなく飛行する重心制御技術「4D Gravity」を武器に、来たるドローン社会に求められる機体の開発を行う。2018年秋に開催されたB Dash Campピッチアリーナでは見事優勝を飾った。B Dash CampとTechCrunch Tokyoのスタートアップイベント2冠となるか、注目だ。

RESTAR

不動産事業者や金融機関向けに、投資用不動産の分析・評価ツール「REMETIS」を開発するのがRESTARだ。物件周辺の空室率や家賃状況など、これまでは複数の資料を参照する必要があったアナログな業務をテクノロジーで効率化しようとしている。三菱UFJフィナンシャルグループが主催する「MUFG DIGITALアクセラレータ」の第3期採択企業。

グループC

グループCの出場企業は、HiCustomer、JobRainbow、ワンディー、タイミー、Smart Tradeの5社だ。

HiCustomer

HiCustomerは、顧客の離脱兆候やアップセル(顧客単価の向上)の可能性検知を行い、受注後の売上最大化を目的としたカスタマーサクセス管理プラットフォームを提供している。2018年4月よりクローズドβ版を提供開始。これまでに上場企業含む数十社の導入実績を持つ。2018年7月には500 Startups Japanなどから6000万円を調達している

JobRainbow

LGBT求人情報サイトや企業や行政機関向けのLGBT研修・コンサルティングを行うのがJobRainbowだ。求人サイトは現在、月間約11万人が利用しているという。代表取締役の星賢人氏は、東京大学大学院に在学中に起業した学生起業家。Forbesが発表したForbes 30 under 30 in Asiaには日本人で唯一、社会起業家部門で選出されている。2018年7月にはジェネシア・ベンチャーズなどから5000万円を調達した

ワンディー

ワンディーは、歯科医療者が臨床知見や顧客から受けた相談内容をシェアするプラットフォーム「1D 」を運営するスタートアップだ。2018年7月ローンチ。これまでに、2000人を超える歯科医療者がサービスに登録、プラットフォーム上に掲載された症例は500件以上だという。

タイミー

タイミーは、“今すぐ働けて今すぐお金がもらえる”単発バイトアプリ「タイミー」を提供するスタートアップ。ちょっとした隙間時間と、店側の人手の足りない時間をマッチングする。ユーザーは応募も面接もなく働くことができるのが特徴だ。2018年8月のリリース以降、これまでに100社以上に導入されているという。また、同月には5600万円の資金調達も発表している。

Smart Trade

Smart Tradeは、株式のシステムトレードに利用するアルゴリズムのマーケットプレイスなどを提供するスタートアップ。ユーザーは、第三者の開発者が構築したアルゴリズムを購入して自身のトレードに利用できるほか、それらのアルゴリズムを利用した資産運用をSmart Tradeに委託することもできる。

グループD

グループDに出場するのは、Eco-Pork、POL、すむたす、HERP、アートローグの5社だ。

Eco-Pork

人口増加と中間層拡大により「世界タンパク質危機」という言葉が叫ばれるようになった。それをイエバエのちからで解決しようとするムスカ(グループB出場)に対し、“養豚×最新テクノロジー”で問題解決を目指すのがEco-Porkだ。世界で最も消費されている食肉である豚肉んも生産性を高めることを目指す。具体的には、農家の経営改善を支援する養豚経営支援システム「Porker」などを提供している。

POL

POLは研究者版LinkedInとも言える「LabBase」産学連携を加速する研究者DBの「LabBase R&D」などを提供するスタートアップ。東大工学部生の加茂倫明氏と元ガリバー専務取締役の吉田行宏氏により2016年9月に共同創業。2017年4月にはBEENEXTなどから5000万円を調達した。ICC KYOTO 2018内で行なわれたスタートアップコンテストでは準優勝を受賞している。

すむたす

すむたすはAIを用いた不動産査定サービス「すむたす買取」を提供するスタートアップ。オンライン査定で買取価格を即座に表示し、マンション売却後、最短2日間で入金可能なシステムを構築した。2018年10月には500 Startups Japanなどから5000万円を調達している。テクノロジーで「住まいに価値を足す」新しい形の不動産会社を目指す。

HERP

HERPは求人媒体と連動した採用管理システムの「HERP ATS」などを提供するスタートアップ。企業と候補者を中心に添えた新しい採用のかたち「採用2.0」を実現することがミッションだという。HERPの庄田一郎氏はリクルートとエウレカで実際に採用現場に携わった人物。2017年12月にはエウレカ創業者の赤坂優氏などから数千万円規模の資金調達も行った。

アートローグ

アートローグは、芸術領域のメディア「ARTLOGUE」やeコマース事業、シンクタンク事業などを展開するスタートアップ。「文化芸術を守るためにも、活かし、誰もが、いつでも、どこからでもアートを楽しめる世界へ」をビジョンにしている。2018年6月にはマネックスグループCEOの松本大氏や森美術館館長の南條史生氏らエンジェル投資家から資金調達を行っている。

TechCrunch Tokyo 2018のイベントページには当日のフルプログラムも公開されているので、ご確認いただきたい。チケットをまだ購入していない皆さんは以下のページから購入可能だ。

チケット購入はこちらから

TC Tokyo:2018年は旅行サービス元年だったのか、旅領域のキーパーソンに聞く

写真左より、BANK代表取締役の岩本有平氏、Hotspring代表取締役の有川鴻哉氏

スタートアップ界隈の人に「2018年はどんな年だった?」と聞けば、旅関連のサービスの盛り上がりを想起する人も多いことだろう。2018年5月には、キュレーションメディア「MERY」を運営していたペロリの創業メンバー有川鴻哉氏率いるHotspringが、旅領域における新サービスを発表した。「ズボラ旅 by こころから(以下、ズボラ旅)」と名付けられたその新サービスは、旅をしたい日付と出発地を伝えるだけで“外さない旅行プラン”を提案してくれるLINE@のチャットサービス。その名前の通り、旅のプランを考えることすらめんどくさいズボラな人でも気軽に利用できるサービスとして注目を集めた。

その約1ヶ月後の6月28日、即時買取サービス「CASH」が利用集中により公開後わずか16時間半で一時停止になるなど、スタートアップ業界に旋風を巻き起こしたBANKが旅行領域に参入すると発表。CASHの「与信を取らずに人を信じる」という概念を、高単価の旅行サービスにも適用できるか否かという壮大な社会実験が始まった。その新サービス「TRAVEL NOW」では、ユーザーはその時に手元にお金がなかったとしても、与信の手続きなしで後払いで旅行パッケージを購入できる。

それだけではない。日本のスタートアップ業界を牽引してきたメルカリも旅行業に参入した。メルカリの新規事業創造を担うソウゾウは、2018年7月に旅サービスの新規事業の構想を発表。2018年11月には旅行記作成サービスの「メルトリップ」を試験提供している。

モデレーターを務める岩本有平氏

このように、2018年のスタートアップ業界は旅行分野で大きな動きがある年だった。まだ年末までは時間があるけれど、今年のTechCrunch Tokyoではその大きな渦の中心にいるBANK代表取締役の光本勇介氏とHotspring代表取締役の有川鴻哉氏に登壇いただき、それぞれが旅という分野に注目した理由、なぜこのタイミングだったのか、そして今後の展望について聞きたい。

なお、本セッションのモデレーターを務めるのは、元TechCrunch Japan副編集長で現プレジデントオンライン編集部の岩本有平氏が務める。

そうそう、BANKの光本氏はつい先日、DMMからの独立(MBO)を発表したばかり。これについてどれだけ聞けるかは分からないが、それについても触れられればと思っている。

チケットは以下のリンクより購入可能なので、ぜひ検討いただきたい。

チケット購入はこちらから

TechCrunch Tokyo 2018スタートアップバトル、グループD出場企業を発表

11月15日、16日に開催する「TechCrunch Tokyo 2018」内で行われるスタートアップバトル・グループDの出場企業を発表しよう。グループDに出場するのは、Eco-Pork、POL、すむたす、HERP、アートローグの5社だ。

Eco-Pork

人口増加と中間層拡大により「世界タンパク質危機」という言葉が叫ばれるようになった。それをイエバエのちからで解決しようとするムスカ(グループB出場)に対し、“養豚×最新テクノロジー”で問題解決を目指すのがEco-Porkだ。世界で最も消費されている食肉である豚肉んも生産性を高めることを目指す。具体的には、農家の経営改善を支援する養豚経営支援システム「Porker」などを提供している。

POL

POLは研究者版LinkedInとも言える「LabBase」山岳連携を加速する研究者DBの「LabBase R&D」などを提供するスタートアップ。東大工学部生の加茂倫明氏と元ガリバー専務取締役の吉田行宏氏により2016年9月に共同創業。2017年4月にはBEENEXTなどから5000万円を調達した。ICC KYOTO 2018内で行なわれたスタートアップコンテストでは準優勝を受賞している。

すむたす

すむたすはAIを用いた不動産査定サービス「すむたす買取」を提供するスタートアップ。オンライン査定で買取価格を即座に表示し、マンション売却後、最短2日間で入金可能なシステムを構築した。2018年10月には500 Startups Japanなどから5000万円を調達している。テクノロジーで「住まいに価値を足す」新しい形の不動産会社を目指す。

HERP

HERPは求人媒体と連動した採用管理システムの「HERP ATS」などを提供するスタートアップ。企業と候補者を中心に添えた新しい採用のかたち「採用2.0」を実現することがミッションだという。HERPの庄田一郎氏はリクルートとエウレカで実際に採用現場に携わった人物。2017年12月にはエウレカ創業者の赤坂優氏などから数千万円規模の資金調達も行った。

アートローグ

アートローグは、芸術領域のメディア「ARTLOGUE」やeコマース事業、シンクタンク事業などを展開するスタートアップ。「文化芸術を守るためにも、活かし、誰もが、いつでも、どこからでもアートを楽しめる世界へ」をビジョンにしている。2018年6月にはマネックスグループCEOの松本大氏やマリ美術館館長の南條史生氏らエンジェル投資家から資金調達を行っている。

TechCrunch Tokyo 2018の開催までいよいよあと6日となった。イベントページには当日のフルプログラムも公開されているので、ご確認いただきたい。チケットをまだ購入していない皆さんは以下のページから購入可能なので、検討いただきたい。

チケット購入はこちらから

TechCrunch Tokyo 2018スタートアップバトル、グループC出場企業を発表

11月15日、16日に開催するスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo  2018」。なかでも注目の、創業3年未満のスタートアップによるピッチイベント「スタートアップバトル」の出場企業を紹介しよう。グループAグループBの出場企業はすでに発表しているので、過去記事を確認してほしい。

グループCの出場企業は、HiCustomer、JobRainbow、ワンディー、タイミー、Smart Tradeの5社だ。

HiCustomer

HiCustomerは、顧客の離脱兆候やアップセル(顧客単価の向上)の可能性検知を行い、受注後の売上最大化を目的としたカスタマーサクセス管理プラットフォームを提供している。2018年4月よりクローズドβ版を提供開始。これまでに上場企業含む数十社の導入実績を持つ。2018年7月には500 Startups Japanなどから6000万円を調達している

JobRainbow

LGBT求人情報サイトや企業や行政機関向けのLGBT研修・コンサルティングを行うのがJobRainbowだ。求人サイトは現在、月間約11万人が利用しているという。代表取締役の星賢人氏は、東京大学大学院に在学中に起業した学生起業家。Forbesが発表したForbes 30 under 30 in Asiaには日本人で唯一、社会起業家部門で選出されている。2018年7月にはジェネシア・ベンチャーズなどから5000万円を調達した

ワンディー

ワンディーは、歯科医療者が臨床知見や顧客から受けた相談内容をシェアするプラットフォーム「1D 」を運営するスタートアップだ。2018年7月ローンチ。これまでに、2000人を超える歯科医療者がサービスに登録、プラットフォーム上に掲載された症例は500件以上だという。

タイミー

タイミーは、“今すぐ働けて今すぐお金がもらえる”単発バイトアプリ「タイミー」を提供するスタートアップ。ちょっとした隙間時間と、店側の人手の足りない時間をマッチングする。ユーザーは応募も面接もなく働くことができるのが特徴だ。2018年8月のリリース以降、これまでに100社以上に導入されているという。また、同月には5600万円の資金調達も発表している。

Smart Trade

Smart Tradeは、株式のシステムトレードに利用するアルゴリズムのマーケットプレイスなどを提供するスタートアップ。ユーザーは、第三者の開発者が構築したアルゴリズムを購入して自身のトレードに利用できるほか、それらのアルゴリズムを利用した資産運用をSmart Tradeに委託することもできる。

チケットは以下のリンクから購入できる。現在、一般チケット(4万円)、5人以上の一括申し込みが条件の「団体チケット」(2万円)、創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップ企業に向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、学生向けの「学割チケット」(1万8000円)を販売中だ。

チケット購入はこちらから

TechCrunch Tokyo 2018スタートアップバトル、グループB出場企業を発表

11月15日、16日の2日間で開催されるスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2018」。昨日、創業3年未満のスタートアップによるピッチバトル「スタートアップバトル」のグループAに出場する5社を発表したが、それに引き続きグループBの出場企業を発表する。

グループBに出場するのは、ムスカ、GVA TECH、NearMe、エアロネクスト、RESTARの5社だ。

ムスカ

ムスカの強みはずばり、旧ソビエトの時代から約45年の歳月をかけて選別交配を重ねたイエバエだ。通常は飼料と肥料の生成には数ヶ月の期間を要するが、ムスカのイエバエを活用すれば有機廃棄物を1週間で堆肥化することが可能だ。ムスカはこのテクノロジーにより、タンパク質の需要に供給が追いつかなくなる「タンパク質危機」の解決を目指す。こちらの過去記事も参考にしてほしい。

GVA TECH

GVA TECHは、AIによる契約書レビューツールの「AI-CON レビュー」や契約書作成支援サービス「AI-CON ドラフト」などを提供するリーガルテックスタートアップだ。契約書の条文ごとに、それが自分にとって有利なのか不利なのかを5段階のリスク度で自動判定する機能などが特徴だ。本格的な法律業務をテクノロジーで効率化し、ビジネスにおける「法務格差」の解消を目指すという。詳しい機能などは、こちらの過去記事も参考にしてほしい。

NearMe

NearMeは、“タクシーの相乗り”で日本の交通インフラの改善を目指すスタートアップ。タクシーという日本の既存資産を活用し、ライドシェアとは違うやり方で問題解決を目指す。同社はこれまでにニッセイ・キャピタルなどから5000万円を調達している。最終的には、相乗りだけではく、さまざまな分野で「瞬間マッチングプラットフォーム」を展開し地域活性化に貢献することを目指すという。過去記事はこちらだ。

エアロネクスト

エアロネクストは、UAV(無人航空機)やマルチコプターの機体フレームのあるべき姿を追求するドローンスタートアップ。機体の軸をずらさずに飛行させる重心制御技術「4D Gravity」を武器に、来たるドローン社会に求められる機体の開発を行う。2018年秋に開催されたB Dash Campピッチアリーナでは見事優勝を飾った。B Dash CampとTechCrunch Tokyoのスタートアップイベント2冠となるか、注目だ。

RESTAR

不動産事業者や金融機関向けに、投資用不動産の分析・評価ツール「REMETIS」を開発するのがRESTARだ。物件周辺の空室率や家賃状況など、これまでは複数の資料を参照する必要があったアナログな業務をテクノロジーで効率化しようとしている。三菱UFJフィナンシャルグループが主催する「MUFG DIGITALアクセラレータ」の第3期採択企業。

明日11月7日にはグループCの出場企業を発表する予定だ。チケット購入をうっかり忘れていたという人は、下のリンクから購入できるから安心してほしい。当日、スタートアップバトルの会場は緊張、興奮、感動、喜び、悲しみなどが複雑に入り混じった独特な雰囲気で包まれる。その雰囲気をぜひ体で感じてみてはいかがだろうか。

チケット購入はこちらから