NASAの2021年予算要求は有人月面着陸に約3625億円、月面資源開発に約472億円

米国時間2月10日、トランプ政権は2021年度予算要求を発表し、NASAの申請は予想通り12%増加した。これでNASAの総予算額は252億ドル(約2兆7677億円)となり、その半分近い123億ドル(約1兆3510億円)は、月面着陸の復活と最終目標である火星の有人探査に充てられる。

行政予算管理局が米国時間2月10日月曜日に発表した本予算要求の中で、33億ドル(約3625億円)が宇宙飛行士を月の公転軌道から月面に送るために使用される有人月面着陸システムの開発目的に使われる。これは、一連の計画が「維持可能な探求」の安全で信頼性の高いシステムを開発するために、「競争、産業革新、および堅牢な政府見通し」に依存していることを表している。

予算には、Space Launch System(SLS、宇宙打ち上げシステム)および宇宙船オリオンを継続開発するための40億ドル(約4393億円)も追加されている。この組み合わせは宇宙飛行士の地球から月への移動手段になる。予算案は、NASAがこの資金を使って「システムを完成し定期飛行計画を確立」することを具体的に求めている。

他には、1.75億ドル(約192億円)が月面で宇宙飛行士が使用する宇宙服に、2.12億ドル(約233億円)が移動に利用されるローバー(月面探査車)に充てられる。2.54億ドル(約280億円)が割り当てられている商用月面着陸サービス(CLPS)では、NASAが民間パートナーの要求を受けて、2024年の有人月面着陸に先立ち実験器具や貨物を月面に送り込む。

「月面イノベーション計画」には4.3億ドル(約472億円)の資金が用意されており、月面資源を活用した発電、宇宙飛行士の住居、探査ツールなどを利用したテクノロジー開発および実演に使われる。これらの技術はロボット、有人両方の月面探査に使用され、最終的に火星探査でも同様の利用に生かされることが提案書にかかれている。

5.29億ドル(約581億円)の「火星ロボット探査」予算には、火星の土壌を地球に持ち帰る初めてのミッションや、火星表面近くの氷をマッピングし最終的に有人探査に利用するミッションが計画されている。

他に本予算要求は、低地球軌道における米国の存在感を引き続き確立するとともに宇宙飛行士の訓練にも利用される「新宇宙ステーション」の開発支援も含まれている。本予算は超音速機X-59の飛行デモにも資金提供する。NASAが2022年の初飛行を目指して開発している同機は、将来の商用超音速旅客機の青写真となることが期待されている。

予算の削減が提案されている科学ミッションもあり、学校現場のSTEM教育を支援するOffice of STEM Engagementもそのひとつだ。STEM事業が窮地に追い込まれたのこれが初めてではないが、これまでのところ削減措置は免れている。

NASAは今回の予算要求および政権の計画における意味について米国時間2月11日の午後に概略説明を行う。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXはStarlinkをスピンアウトさせてIPOを目指す

SpaceXは、急成長を続ける衛星インターネットサービスのプロジェクト、Starlink(スターリンク)の事業をスピンアウトさせ、IPOによって株式を公開することを目論んでいるようだ。ブルームバーグによると、SpaceXのCOO兼任社長のGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏が、JPMorgan Chase(JPモルガン・チェース)の投資家会議で明らかにしたという。

SpaceXは、これまでに多くの衛星を打ち上げて、Starlinkクコンステレーションに追加してきた。最終的な目標は、全世界から接続可能な低コストで高バンド幅のインターネット接続を実現すること。Starlinkは、低地球軌道を回る小さな衛星をネットワーク化することで、これを実現しようとしている。そのためにSpaceXは、現在の申請内容によれば、最終的に2万5000基もの衛星を打ち上げることを目標にしている。

現在、約240のStarlink衛星が周回軌道上にある。また、2月中に予定されている5回目のStarlink打ち上げによって、さらに60の衛星が加わる計画となっている。今後もSpaceXは、2020年の間に頻繁な打ち上げを続け、最終的に年末までには顧客へのサービス提供を開始できるよう目指している。さらに2021年の間にコンステレーションを充実させ、サービスを提供可能な領域を拡張する計画だ。

ショットウェル氏はブルームバーグに「SpaceXは今のところプライベートな企業だが、のStarlinkは今後も成長し、株式を公開するのにふさわしいビジネスなのです」と語った。それも道理というものだろう。のStarlinkの運営がいったん軌道に乗れば、他のネットワーク事業者と同様、会員となった顧客から継続的に収益を得ることが可能な、伝統的な構造のサービス事業となる可能性が高いのだから。今のところSpaceXは、スピンアウトの具体的なスケジュールを定めていないという。これはまだ初期の検討段階の話であり、実際にスターリンクの株式が公開されるのは、数年先になりそうだ。

一方SpaceXは、当面の間は収益性はさほど重視していないように見える。これまでに、打ち上げに対して多額の現金を喜んで支払う顧客のために、Falcon9やFalcon Heavyのような繰り返し使える輸送ロケットを開発し、実証してきた。もちろん、再利用可能にすることで、打ち上げにかかるコストは低減し続けてきたが、同時にSpaceXは、Starshipと呼ばれる完全に再利用可能な、まったく新しい打ち上げシステムも開発してきた。その中には新たなSuper Heavy(スーパー・ヘビー)ブースターも含まれていて、開発プログラムには、かなり多額の継続的な出費が見込まれる。しかもその出費は、今後減るどころか、ますます増えることが予想される。

最終的にStarshipは、Falcon 9とFalcon Heavyの両方に取って代わって、SpaceXとして唯一の打上げ機となるだろう。それによって毎回の打上げコストを大幅に削減し、収益性の高い運用が確保できる。とはいえ、まだStarshipは開発の初期段階にある。またSpaceXのCEO兼創立者のElon Musk(イーロン・マスク)氏は、火星に到達して植民地化するという野心的な計画も持っている。その実現には、それなりの資本支出が必要だが、それは必ずしも株式市場の要望に沿うものではない。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

米トランプ大統領はNASAの2021年度予算を約3300億円増額提案へ

米国のドナルド・トランプ大統領は、会計年度の2021年に、NASAの予算として256億ドル(約2兆8000億円)を要求するつもりであると、米国時間2月7日にWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)が報じた。これはNASAの会計年度2020年の予算の226億ドルよりも30億ドル(約3300億円)近い増額となる。この増えた資金の大部分は、新たな有人月面着陸船の開発に充てられると言われる。

これは、この数十年間にNASAの予算について提案された最大の増額となるもの。そして、米国時間2月4日の一般教書演説で表明された、NASAの活動に対するトランプ大統領の新たなコミットメントを反映したものと考えられる。トランプ氏は議会に対して、「アルテミスプログラムに十分な資金を注ぎ込んで、月に到達する次の男性と最初の女性が、アメリカ人の宇宙飛行士になることを確実にする」ことを求めた。

NASAの長官、ジム・ブリデンスティーン(Jim Bridenstine)氏は、2024年までに最初のアメリカ人女性と次のアメリカ人男性を月面に派遣する、という目標を頻繁に繰り返してきた。これは現状のアルテミス(Artemis)計画に沿った目標だ。ブリデンスティーン氏は以前に、2024年までに再び月に到着するのにかかる費用を、200億から300億ドル(約22000億円〜33000億円)の間と見積もっていると表明していた。しかし長官は昨年の暮に、下院歳出小委員会によって、NASAの会見年度2020年の最終段階での16億ドル(約1750億円)の追加予算の要求について糾弾されていた。

WSJはまた、2021年の予算計画の一環として、NASAは月着陸船への入札を募るつもりだと報告している。これは以前の、アルテミス計画用の打ち上げ機に対しての取り組みと同様のもの。NASAは、すでに認定されたベンダーリストにある多くの商業パートナーと協力して、ロボットの無人月着陸船ミッションに取り組んでいる。2021年から、月面に実験装置や物資を届けるためのものだ。

NASAは、アルテミス計画用の有人着陸システムに関して、業界からコメントを募るため、昨年7月に広く告知している。また続く8月にはそれを改定し、20199月には公式な提案の要請を公開した。NASAの宇宙飛行士を乗せる有人着陸船については、2社が選ばれることになっている。NASAによれば、2024年の着陸に向けて1社が着陸機を完成させている間に、もう1社は2025年のミッションの準備をする。そうした賞を競い合う会社としては、ボーイングのような伝統的な会社だけでなく、SpaceXやBlue Originなど、新規参入の会社も含まれているという。

トランプ政権としては米国時間2月10日に予算を提出する予定となっている。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

NASAがアルテミス計画に向けて月面探査車のコンセプトを募集中

NASAは、将来の月面探査車をどのようなものにするかについて業界からの意見を求めている。その対象は、必ずしもこれまで宇宙事業に参入している企業とは限らない。自動車メーカーやIT企業なども含まれる。これは再び人間を、それも史上初の女性、そして米国人の男性を月面に送り込もうというAltemis(アルテミス)計画の一環だ。

画像クレジット:NASA

この問いかけには、2つの正式なRFI(Requests for Information、情報提供要請)が含まれている。1つは自動探査用に設計されたロボローバー(惑星探査車)についてのアイデア。もう1つは人間が乗るのに適したLTV(月面用車両)の開発につながる可能性のあるコンセプトとアイデアだ。後者は、加圧防護スーツを着たままの宇宙飛行士が乗車して、月面を走り回ることを想定したもの。必然的に屋根のないオープンなデザインの車体が求められる。

こうした車両に対するNASAの目標は、宇宙飛行士が着陸地点の付近以外の場所も探検できるようにすること。ちなみに、今後は月の南極近辺に着陸することになる。そこから、アクセス可能な地域を拡大して、実験やデータ収集ができるようにするわけだ。ロボット型の車両の目的も同様のものだが、さらに人間では行くのが難しいような場所にも到達できるのが理想だ。

RFIの説明によれば、NASAは、あらゆるタイプの車両の生産に関連する業界のプレーヤーからの専門知識を求めているという。たとえば、全地形対応車、電動車、あるいはその他の地上の乗り物だ。そこには、自動運転車の会社、革新的なモビリティ技術を持つスタートアップなども含まれる。

NASAは、さらなる情報を求めている企業のために、仮想の産業フォーラムを開催して質問に答える予定を組んでいる。質問の締め切りは、LTVローバーのRFIについては2月26日、ロボローバーのRFIについては、もう少し猶予がある3月6日に設定されている。

NASAでは、2018年にも商用のロボット月着陸船について、同様のRFIを発行した。それは、2019年2月に月面への商用輸送サービスの契約プログラムを発表するのに先立つものだった。それを考えると、今回のRFIも、最終的に将来のNASAの月面探査ミッションで使われる探査車に関する、何らかの商用パートナープログラムにつながる可能性がある。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

気球ネットワーク開発のグーグル系Loonとの無人航空機開発のソフトバンク系HAPSMobileが空飛ぶ基地局を実現

Google(グーグル)の親会社であるAlphabet(アルファベット)傘下のLoonは、成層圏上の気球にアンテナを乗せて、僻地にインターネットを届けようとしている。同社はこのほど、パートナーのHAPSMobileのための新しいペイロードの開発を完了した。HAPSMobileはソフトバンクの子会社で、高高度を太陽エネルギーで飛ぶ無人航空機を開発している。両社が協力して互いに適応させた通信技術により、Loonの気球がインターネットの通信を地球に送受し、それをHAPSMobileのドローンが利用してモバイルの空飛ぶ基地局になる。

そのための両社の戦略的パートナーシップは昨年4月に発表されたが、それはLoonの機能試験が初めて気球以外のプラットホーム上で行われるという意味でも重要だ。HAPSMobileが開発したHAWK30航空機は、成層圏を時速100kmあまりで飛ぶ。巡航高度は約2万mだ。しかしそれではLoonの気球よりも早すぎるので、ペイロードの方でそのスピードに適応することが必要だ。例えば、LTE接続を地上のデバイスへ送受するために使うアンテナの感度を高めて高速回転を可能にし、良質な接続を維持する。

LoonとHAPSMobileによると、両社の通信技術では700km離れていても1Gpbsの高速でデバイス間の接続を提供できる。HAWK30プロジェクトにおけるHAPSMobileの目的は、圏域を地上の基地局よりも大きくすることだ。なにしろ高高度だから、最も高い地上基地局と比べても、それがカバーする圏域は大きい。現在では全体をカバーするために何万本もの地上基地局が使われているが、この方法なら40機のソーラー航空機で足りると同社は説明する。それに地上基地局方式では避けられなかった、たくさんの細かい圏外域が減ることも期待できる。

Loonにとってこれは、運用形式の有意義な拡張であり、通信技術を互いに適応させることによって、今後いろんなタイプの航空機や送受信方式にも対応できれば売上の機会も増える。だからこれは、同社の商用パートナーシップの一例にすぎない。もちろん今の気球による展開そのものが、ユーザー企業との新たなパートナーシップを獲得することもありえるが。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

クリスティーナ・コック氏が女性宇宙滞在記録を更新して地球に帰還

宇宙飛行士のChristina Koch(クリスティーナ・コック)氏は、ESAのLuca Parmitano(ルカ・パルミターノ)氏、ロシアのAlexander Skvortsov(アレクサンドル・スクボルツォフ)氏とともに、国際宇宙ステーション(ISS)から地上へと帰還した。米国東部標準時2月6日午前0時50分(日本時間2月6日午後2時56分)にISSにドッキングしたソユーズ宇宙船に搭乗し、予定どおりカザフスタンに米国東部標準時午前4時12分ごろ(アルマトイ時間同日午後3時12分、日本時間2月6日午後6時12分)に無事着陸した。

コック氏が米国人宇宙飛行士としてISSに328日連続で滞在し、世界で2番目に長い滞在期間となったことは意義深いものだ。これは340日間宇宙で過ごしたScott Kelley(スコット・ケリー)氏に次いで2番目に長い。また米国人女性のPeggy Whitson(ペギー・ウィットソン)氏の289日間を抜いて、公式には女性として世界最長の宇宙滞在となった。

NASAが指摘しているように、コック氏の宇宙滞在には5248回の地球の周回が含まれており、またISSが軌道上を移動した距離に換算すると、その総距離は1億3900万マイル(約2.2億km)であった。同氏はISS船外でもかなりの時間を過ごし、同僚の宇宙飛行士のJessica Meir(ジェシカ・メイア)氏とともに、女性だけによる史上初の宇宙遊泳となった、3回の女性だけによる宇宙遊泳を含む6回の宇宙遊泳を達成した。

コック氏と帰還した宇宙飛行士は全員、着陸時には健康なようだったが、定められた標準的な健康診断を受けることになる。ただし彼女の科学ミッションはこれで終わりではなく、同氏はNASAのArtemis(アルテミス)計画を含む、月や火星を含む太陽系での宇宙開拓への道を開く、長期宇宙滞在に関するNASAの研究に参加している。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

Starlinerの二度目のエラーでNASAがボーイングのソフトウェア工程の見直しを要求

NASAのAerospace Safety Advisory Panel(ASAP、航空宇宙安全諮問委員会)は、12月に行われたCST-100 Starliner(スターライナー)の宇宙ステーションとの無人ドッキングテストで発見された二度目の問題を受けて、Boeing(ボーイング)のソフトウェア試験工程の見直しを推奨した。そのときStarlinerは計画どおりに宇宙ステーションと連結できなかったのだが、それは、ミッションのタイマーのエラーでカプセルが、多すぎる燃料を早すぎるタイミングで燃焼したためだった。

米国時間2月6日の会議でASAPのグループは、ミッションの過程でソフトウェアの第二の「異状」が見つかったことを明らかにした。Space Newsの記事によると、その異状はカプセルの飛行中に修正された。その問題が修正されずに見過ごされていたら、エンジンの誤噴射により「宇宙船の壊滅的な失態」に至っただろう、と顧問の一人Paul Hill氏がSpace Newsに語っている。

試験ミッションの間に起きた複数の問題を、今BoeingとNASAが調べている。両者が強調しているのは、その打ち上げはニューメキシコ州ホワイトサンズにおける大気圏突入と着陸に成功し、ISSに接続できなかったにもかかわらず、計画どおりの多くのテストを行えたことだ。

彼らの指摘によると、当時ミッションタイマーのそのエラーは、搭乗者に危険が及ぶものではなかった。しかしこの新たに発見されたエラーは、修正されなければ前のものよりも深刻だったと思われるが、カプセルの地球の大気圏への再突入の2時間前に修正された。

その結果顧問団は、Boeingのシステムエンジニアリングとソフトウェアインテグレーション、および検証試験の見直しを求めることになった。そしてそれが終了するまでは、有人無人を問わずいかなる本番打ち上げも試験飛行も行われない。12月の打ち上げに関して予定されていた次のステップも、すべてが延期になる。

顧問団によると、NASAはすでに「全社的安全性評価」を行うことを決めている。その評価は、昨年、同じく商用の有人事業であるSpaceXに対しても行われている。

そしてそのSpaceXは、顧問団によると、「近く有人飛行を行うことに関しては疑念のない段階に達しているが、正確な時期は未定」だそうだ。なかなか、心強いお言葉だ。なお、米国会計検査院が発表した、商用有人宇宙飛行に関する報告書は、最初の実用有人ミッションのためのCrew Dragonカプセルの納期が、最初のスケジュールよりも早くなった、と明かしている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

OneWebが34機のブロードバンド通信衛星の打ち上げをライブ配信

地球規模のブロードバンドインターネット衛星コンステレーションの配備を検討しているさまざまな企業のうちの1つが、宇宙における既存事業に34機の衛星を追加する。OneWeb(ワンウェブ)は米国東部標準時間の2月6日午後4時42分(日本時間の2月7日午前6時42分)、Soyuzロケットで衛星を打ち上げる。この新しい衛星は、昨年2月に軌道に投入された6機の衛星に加わる。

OneWebは、最終的には少なくとも650機の衛星を低軌道で運用したいと考えており、これにより地上の顧客にインターネットサービスを提供する。打ち上げサービスを提供するArianespace(アリアンサービス)は、OneWebのために2021年末までに最大19回のミッションを遂行し、今年中にもパイロットテスト用の接続サービスが開始され、来年には本格的な商用サービスを開始する予定だ。

OneWebは昨年、12億5000万ドル(約1400億円)の資金調達を行い、その総調達額を34億ドル(約3700億円)に引き上げ、大量生産と導入フェーズのコストをカバーする。なお、資金の大部分はソフトバンクから調達している。今回の打ち上げは年内の最初のテストを開始するのに大いに役立つだろうが、一方でSpaceX(スペースX)はすでに独自のStarlinkプロジェクトのために240機の衛星を打ち上げており、さらに60機の衛星を次々と打ち上げることから、衛星ブロードバンドインターネットサービスの競争は激化している。もちろん、SpaceXは独自の打ち上げ能力を所有しており、その展開を有利にしている。

一方、Amazon(アマゾン)は現在「Kuiper」という開発コードで同様のプロジェクトを進めているが、衛星の軌道投入はまだ始まっていない。OneWebは、海運、航空、企業、政府機関の顧客をターゲットにしており、Swarm TechnologiesやKeplerのような他の小さなスタートアップ企業も同様だ。これらの事業者がサービスを始める際には、市場投入のスピードが重要な要素となるが、潜在的な市場は巨大であり、複数の業界にまたがっているため、最終的に複数の勝者が生まれる可能性が高い。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

宇宙開発スタートアップのFireflyがあSatlantisと衛星群打ち上げミッションを契約

宇宙開発スタートアップのFirefly Aerospace(ファイアフライ・エアロスペース)は、地球観測と衛星運用のリモートセンシングペイロードメーカーであるSatlantis(サトランティス)と、新たな契約を結んだ。FireflyはSatlantisの小型衛星群を打ち上げる予定で、これは低軌道から地球の高解像度、あるいはマルチスペクトル画像を提供する。

Fireflyは同社初の「Alpha」ロケットと、宇宙船の開発とテストを進めている。同社は今年中にAlphaの初打ち上げを実施する予定で、米国時間2月4日にSatlantisとの間で結ばれた契約によれば2022年の打ち上げが予定されている。

Alfaは2段式ロケットで、機体には炭素複合材が使用されている。全長は約95フィート(約29m)で、約2200ポンド(約1トン)を低軌道に打ち上げられる。Rocket Lab(ロケット・ラボ)と同様にFireflyの目標は、相乗りミッションの予約に頼るのではなく、専用の打ち上げを行うための手頃な価格の選択肢を小型衛星の顧客へと提供することだが、実際にはそれ以上のペイロードも提供できる。

Fireflyは2020年初めに垂直状態でのエンジンの燃焼試験を実施したばかりだが、最初のテストに続く1月末の発射台でのテストは、出火により失敗した。同社は出火は燃料漏れによるものだと発表し、Alphaの改良を進めている。FireflyでCEOを務めるTom Markusic(トム・マルクシック)氏はKVUEに対し、この事故は今年半ばまでにロケットの初打ち上げを実施するという目標には影響しないと述べた。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

ドイツでトラックに代わるドローンによる社内輸送の試行を実施

ドローンのスタートアップであるWingcopterは、提携先である製薬会社のMerck(メルク)およびフランクフルト応用科学大学と共同で、新しいドローン輸送サービスの運用テストを完了した。物理的に離れた社内施設間で小型貨物を運ぶ際に、トラックやその他の路上輸送に代えてドローンを使うことの利点を示すことが目的だ。今回の初フライトでは、ドイツのゲルンスハイムにあるメルクの研究施設から約25km離れたダルムシュタットの本社まで顔料サンプルを運んだ。

この試行にはいくつもの重要な意味がある。現地は比較的密集した都市部にあり、送電線、鉄道、道路などの上を飛行しなければならない。またこの実験では、継続的な視界を確保せずに実施されたが、有視界飛行は現在ほとんどの商用ドローン輸送テストで必須だ。提携各社はこれが世界中で行われている同様のパイロットプロジェクトの参考事例になることを望んでいる。

今後、同プロジェクトはさらに輸送テストを重ね、実験結果をまとめて3月に報告する予定だ。トラックに代えてドローンを使用することは、時間(1日が1時間になることもある)、排出ガス、さらには重くて燃料を食う大型トラックを空で戻す無駄を省くこともできるなどのメリットがある。

WingcopterのCEOであるTom Plümmer(トム・プルマー)氏はプレスリリースで、さまざまな利用場面でのドローン配送の利点を「繰り返し実演」してきたことを強調し、救急救命医療品を遠隔地に届けたことにも言及した。米国では、Alphabet傘下のWingがFedExとの提携で実施した試験、UPSがMatternetと共同配送した例などがあるが、今回の商用試験は一般消費者の賛同を必要としない点で、短期的にはチャンスが大きいかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Wiskが空飛ぶタクシーのニュージーランドへの試験導入で合意

エアモビリティーカンパニーのWiskはニュージーランド政府との間で、同国Canterbury(カンタベリー)地区にてエアタクシーの試験運行を設定する協定に合意した。その目的は、空飛ぶタクシーのCoraが政府の航空当局によって認可され、後に乗客を飛ばすためである。Coraは2人乗りの電動垂直離着陸(eVTOL)機で、主に自律的に飛行するが、バックアップとして遠隔操縦士も存在する。

Coraはもともと、2018年に発表されたSebastian Thrun(セバスチャン・スラン)氏が創業したKitty Hawkによって開発されたプロジェクトで、最終的な飛行認証を目指して2017年にニュージーランドでひっそりとテストを開始した。Kitty HawkはこのプロジェクトでBoeing(ボーイング)と提携し、最終的に2社はより正式なジョイントベンチャーのWiskを形成。一方でKitty Hawkは電気駆動の空飛ぶ車であるHeavisideへと開発の焦点を移した。

機体には12個のローターを搭載して冗長性と垂直上昇能力を備えており、離陸後には大きな固定支柱が動作して時速約100マイル(約時速160km)で飛行する。当初の航続距離は25マイル(約40km)程度の短い移動を想定して設計されているが、ここで重要なのは、都市部や開発の進んだ地域で柔軟な移動手段を提供し、自動車などの地上輸送手段に取って代わることだ。

この試みが早くに始まれば、この種のモビリティとしては世界初の本格的な取り組みとなり、商業的な短距離向けの空飛ぶタクシーサービスへの大きな一歩として、航空業界やモビリティ業界の注目を集めることになるだろう。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXが衛星打ち上げライドシェア開始、料金1億円超で予約受付中

SpaceXが衛星打ち上げをウェブから予約できるツールを発表した。これはFalcon 9の打ち上げに際し、ペイロードに余裕がある場合、ライドシェア方式でミニ衛星を搭載できるというものだ。昨年SpaceXが発表したライドシェア式打ち上げは6000万ドル(約69億円)以上かけてロケット1機を丸々予約する必要がない(余裕がない)小型衛星の打ち上げたいカスタマーの市場を開拓するのが狙いだ。

衛星打ち上げのライドシェアのページによれば、料金は100万ドル(約1億1000万円)から、ペイロード重量は200kgからだ。200kgを超える場合、1kgあたり5000ドル(約55万円)の追加料金となる。

ユーザーはまず希望の軌道種類を静止、低軌道、極軌道などからを選び、衛星打ち上げ準備が整う一番早い日付として最速期日を入力する。本稿執筆時点では今年の6月以降が選択できる。次に打ち上げを希望する衛星の質量(重量)を入力すると推定料金が表示される。以後さらに詳細な情報の入力を求めるページが続く。搭載を計画しているのは15インチ(38cm)ポートか24(61cm)ポートか、今後SpaceXから発表される打ち上げ日程にける希望するロケットと打ち上げ日付などを入力する。

 ユーザーが入力できる要素にはこのほか、SpaceXの標準規格で衛星を搭載するためのポートアダプターの必要の有無と規格、衛星放出システムをユーザーが独自に用意するのか、SpaceXの標準システムを利用するか、衛星が独自の推進システムを装備する場合は打ち上げ直前の燃料注入、200万ドルまでの保険などがある。オンラインでTesla(テスラ)車を注文するのに似ているが、もちろんはるかに高価な買い物となる。

これは単に話題を呼ぶためのマーケティングツールではなく、本当に衛星を宇宙に送るためのページだ。オプションの入力が完了し、ユーザーが米国の国際兵器輸送規則(ITAR)に違反するなどの違法行為の疑いを受けていないことが確認されるクレジットカード番号が入力できる。この時点で5000ドル(約55万円)の予約金が引き落とされる。残金は3回払いとなるが、SpaceXが引受を確認後5日以内に初回かつ最大の支払いをする必要がある。

 SpaceXでは同時に、衛星ライドシェアについてのユーザーガイドを公開し、このプログラムの環境テスト、法的責任、技術的スペックなどの詳細に触れている。 しかしウェブサイトを開き、Tesla Model Yを予約するのとそっくりの手順で衛星を軌道に送り込むことができるというのはやはり驚きだ。

サイトはユーザーにわずかでも規則違反があったり、最低99万5000ドル(約1092万円)の残金支払いができなかったりすれば予約金は没収となると警告しているが、それにしても今のところ世界にこのページ以上に手軽な衛星打ち上げ予約方法はなさそうだ。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

NASAは北米の大気質を1時間ごとに計測するセンサー衛星を2022年に打ち上げ

NASAは、米国時間2月3日、Maxar 1300クラスの衛星に載せて、大気質予報の改善に寄与する観測機器を打ち上げる予定であることを発表した。Maxar 1300は、もともとインテルサット(Intelsat)の顧客に商用衛星用の通信機能を提供することを主な目的とする衛星だ。NASAの新しい大気質測定ツールは「TEMPO」と呼ばれる。これは、Tropospheric Emissions: Monitoring of Pollution(対流圏排出:汚染監視)の頭文字を取ったもの。オゾン、二酸化窒素、エアロゾルといったガスについて、北米の大気中の濃度を1時間ごとに測定できる。それによって相対的に大気質を把握し、情報を公開する。気象監視機関や、その他の組織は、そのデータを利用することで、より正確な大気質に関する最新の情報を、天気予報に組み入れて一般に提供できるようになる。

ただし、TEMPOツールの打ち上げは、Intelsat 40eと呼ばれるMaxar衛星が静止軌道に投入されることになっている2022年になる予定だ。NASAが、商用の通信衛星に科学的な観測機器を託すことは珍しくはない。そうすることで大型の静止衛星に同乗でき、カバーしたい領域を余裕でおさえることができる。もちろん、専用の衛星を打ち上げるのに比べて、絶大なコスト削減も可能となる。

NASA用にTEMPO機器を開発したのは、Ball Aerospace(ボールエアロスペース)だ。予定されている打ち上げの前までには、パロアルトにあるMaxarの衛星製造施設に輸送され、Intelsat 40eに組み込まれることになる。同じ衛星には、European Space Agency(欧州宇宙機関)の観測ツールや、韓国のGeostationary Environment Monitoring Spectrometer(静止環境監視分光計)なども積み込まれる予定だ。それらの組み合わせによって、北半球全体の大気質を、より包括的、かつ詳細に観測できるようになる。

NASAはすでにAQI(Air Quality Index、大気質指標)情報の改善に貢献しており、EPAが毎日発表するAQIの精度を最大38%向上させているという。この数字は、衛星からの3時間ごとのデータをAQIの算出に組み入れて、昨年8月に行われたテストの結果によるもの。このような測定の品質と精度を向上させ続けることは、地球上に住む生物であるわれわれにとって非常に大きな意味を持っている。人類が環境に及ぼす影響や航空機による汚染のせいで、大気質は悪化の一途をたどっているのだから。

TechCrunchでは2020年に初の宇宙専用イベント「TechCrunch Sessions:Space」を6月25日にロサンゼルスで開催する予定。チケットも発売中だ

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

3Dプリンタでロケットエンジンを作り廃プラ燃料で噴射に成功したSkyrora

ロケットの打ち上げ事業を展開している英国エディンバラ拠点のSkyroraは、小さな人工衛星用の新しい打ち上げロケットを開発中だ。同社はこのほどその新型ロケットエンジンの地上静止噴射に成功し、実際の打ち上げに向かって大きく前進した。

Skyroraのロケットエンジンは3Dプリンタを使ってる点で新しいだけでなく、その燃料が廃プラスチックから作られている点にも注目だ。その新種の燃料は「Ecosene」と呼ばれ、同社によると競合製品よりもグリーンで、エコロジー的にも健全だそうだ。

Skyroraがテスト中のロケットエンジンは、最終的に全長22mの打ち上げロケットであるSkyrora XLの最後のステージで力を発揮する。Rocket Labの全長17mのElectronに近く、SpaceXのFalcon 9の全長70mにはおよばない。しかし、複数のペイロードを地上から最大500kmまでの複数の軌道へ配達できる。これは小型の衛星ペイロードでよく使われる低地球軌道だ。Skyroraは、廃プラから独自の方法で得られたケロシンであるEcoseneと、通常のロケット燃料であるRP-1ケロシンの両方で噴射して燃料としての性能を比較した。

Skyroraによると、1000kgの廃プラからおよそ600kgのケロシンを作ることができ、温室効果ガスの排出量は競合製品よりも約45%少ないという。Ecoseneには冷凍保存をしなくていいという利点もあり、長期間タンクに入れておける。同社によるとこの性質は、同社が実用打ち上げを予定している彼らの母国であるスコットランドの宇宙船基地の条件に合っているそうだ。

今回の試験噴射だけで新燃料の可用性が決まるわけではないが、その結果は今後のさまざまなテストに向けて励みになる。そしてSkyrora XLロケットの英国からの最初の打ち上げは、2022年を予定している。

【編集部注】TechCrunchは、米国ロサンゼルスで6月25日に開催する「2020 – TechCrunch Sessions: Space」で初めて宇宙テクノロジー専門のイベントを企画している。チケットは、今からでも買える

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

イーロン・マスク氏が自作EDMをSoundCloudに本当にポスト

金曜日はたくさん新譜が出る日だが、この米国時間1月31日の金曜日には、ありえないソースからの曲がポストされている。それはElon Musk(イーロン・マスク)氏だ。SpaceXとTesla(テスラ)のCEOは、今週初めに「Don’t Doubt ur Vibe」という曲を書いた。曲は「Emo G Records」から発売される、と言っていた。しかし例によってそれは冗談かもしれないし、夜のインターネットのお遊びかもしれなかった。

ところが、彼は本気だった。しかもその曲を聴くために待つ必要はない。歌詞は、即興で一瞬で書けたのではないか。以下のフレーズを、無限に繰り返すだけだ。

Don’t doubt your vibe / because it’s true / don’t doubt your vibe / because it’s you

マスク氏によると、歌ってるのは彼自身だと言うが、加工されディストーションがかかっているので、まるで宇宙人の声のようだ。

EDM的にアレンジされた脈動感のあるアンビエントなもので、このジャンルの曲としては悪くない。聴いてご判断していただきたい。

マスク氏はこの曲を実際にレコーディングしているスタジオ内の写真をツイートし、最終テイクが完成するまでの過程は思った以上にたいへんだった、とシェアした。その曲作りのツイートの中で彼はフォロワーたちを教育して、コロナウイルスに関する不吉な予言がどんどん大げさになっていく理由を説明した。

アルバムが出るという話はないけど、テスラの決算報告も株価も絶好調だし、名誉毀損の裁判で勝ち、Starlinkプロジェクトも動き出した。それにSpaceXの商用有人飛行も前進、有人ミッション前の最後の試験飛行も成功という、マスク氏にとっていいことずくめの今日このごろだから、音楽をリリースするのもサマになってる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SpaceXがStarship次期プロトタイプ開発へ前進、燃料タンクが故障するまでのストレステストを完了

SpaceX(スペースX)は、Starshipの次期プロトタイプの開発に必要な重要なテストを完了した。米国テキサス州ボカ・チカにあるStarshipの開発施設で、燃料タンクが故障するまでのストレステストを実施したのだ。この試験は、同じタンクによる低圧力試験の直後に行われ、その結果破裂した溶接部が修正され、米国時間1月28日夕方の試験へとつながった。

同社はテキサス州にある同社の施設で、Starship宇宙船の第3プロトタイプの製造に取り組んでいる。同社でCEOを務めるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、「SN1」 と呼ばれるプロトタイプのStarshipは、現在の開発スケジュールによれば6月ごろに完成し、テストの準備が整うだろうと語っている。

同社が1月29日に完了したテストは、圧力タンクがどれくらいの圧力に耐えられるかを確認するためのものだ。マスク氏はTwitterにて、破裂前には最大圧力8.5バールを達成したと伝えた。これは、宇宙船の軌道飛行試験に必要な6バールの圧力定格を十分に超えているだけでなく、有人宇宙船に必要な8.5バールという数値に到達してる。

機体が損傷するまでのテストは、新しい宇宙船の開発にとって重要な要素だ。なぜなら、シミュレーションや理論だけでなく、実際の使用シナリオで必要となる宇宙船の現実的な限界が設定できるからだ。同社はタンクの圧力レベルを室温と超低温(宇宙空間で想定されるのに近い寒さ)の両方でテストし、マスク氏は超低温下にてスチール製のStarship機体の強度が高まると指摘している。

Starshipは外装にステンレス鋼が採用されており、マスク氏によるとこれはコストを削減すると同時に、優れた耐久性と再使用性を提供する。同社はStarshipでFalconシリーズのロケットを完全に置き換え、完全に再利用可能な宇宙船を提供する予定だ。これは大型のペイロード(あるいは火星行き)のためのSuper Heavyブースターと組み合わせることで、非常に大きな貨物を運ぶことや、あるいは異なる顧客からの小型のペイロードで構成される相乗りミッションも可能となる。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

宇宙スタートアップのXploreが民間宇宙企業のNanoracksと提携、宇宙船を月や火星、金星へ

私たちが商用目的の宇宙や、宇宙スタートアップについて話題にする場合、その中心は、地球周回軌道やせいぜい月程度までをカバーした、どちらかと言えば地球の周辺である。しかし、米国シアトルに拠点を置くスタートアップのXplore(エクスプロアー)は、月、火星、金星、小惑星帯などへの商用ミッション用に設計された、宇宙船とプラットフォームの開発を通じて、宇宙の民営化をさらに拡大したいと考えている。

Xploreが開発しているのは、小さなペイロード(約32〜68kg)を深宇宙の目的地に運ぶことができる宇宙船だ。これらには光学式カメラなどを含むセンサー群、温度やその他の宇宙の気象状況を測定するためのツール、ハイパースペクトルイメージングツール、またはさまざまな商用クライアントの依頼によって搭載される、他のより小型な宇宙船さえ含まれるだろう。同社は2017年にLisa Rich(リサ・リッチ)氏とJeff Rich(ジェフ・リッチ)氏が創業した。同社は、月に向けた最初の宇宙船の飛行を2021年以降に計画している。ちなにに2人は、VC企業のHemisphere Venturesも創業・管理している。

Nanoracks(ナノラックス)は、国際宇宙ステーション(ISS)から発射された、欧州宇宙機関、NASA、ドイツ宇宙機関などの顧客たちからのペイロードを搭載した小型衛星を含む、商用宇宙船の開発と展開に対する実績を誇る民間の宇宙企業だ。2016年にNanoracksは、民間企業が微小重力および宇宙空間での放射線被曝の中で実験を実施できるように、ISSの外部に設置された最初の商用テストプラットフォームをオープンした。さらに最近では、宇宙空間での構造用金属の切断技術を初めて披露すると発表した。これは、廃棄された宇宙船を、宇宙空間で利用し加工するために再利用するという、大きな機会を開くことができる技術だ。

Xploreの宇宙船は複数のペイロードを搭載できる。Nanoracksはその経験を活用してXploreの顧客の貨物の準備と統合を支援し、必要なリードタイムを短縮してより迅速かつ効率的に打ち上げることができる。

また、Xploreは地球軌道ミッションの飛行も計画している、これは基本的にペイロードのデザインを超えて、顧客のためにミッションパラメーター、宇宙船、および運用の観点から素早くすべてに対処できるようにするためだ。より多くの打ち上げプロバイダーとキャパシティが稼働を始めれば、ミッションロジスティクスとペイロード打ち上げサービスの必要性が確実に高まる。また、軌道外の目的地を設定することによって、Xploreはさまざまな種類のビジネスや商用研究への道を開く。興味深いサービスを提供することになるだろう。

原文へ

(翻訳:sako)

ボーイングはNASAのStarlinerミッションの再実行に備えて約447億円を確保

ボーイングは米国時間の1月29日、第4四半期の業績を発表した。その中には、Commercial Crew(商業乗員輸送)ミッションを再度実行する場合の費用をまかなうための4億1000万ドル(約447億円)の留保が含まれていた。昨年の12月のミッションが計画通りに遂行できなかったことを受け、NASAがもう1度無人打ち上げが必要だと判断した場合に対応するためだ。

この税引前の費用は、その四半期の全体的な営業利益の0.5%の減少に相当するとされる。ボーイングは、この資金を実際に支出するかどうかは、NASAの決断しだいだとしている。つまり、実際に宇宙飛行士が搭乗して飛行する前に、Commercial Crewに関する契約条件を満たすため、ボーイングはやり直しの飛行を実施する必要があるとNASAが判断するかどうかにかかっているわけだ。

「NASA​​は、もう1回無人打ち上げが必要かどうかを判断するため、2019年12月のミッション中に受信したデータを評価している」と、ボーイングの四半期報告書には記されている。

前回の打ち上げでは、完全に自動でISS(国際宇宙ステーション)にドッキングする予定だったがが、搭載されたミッションタイマーの誤作動によって、Starliner(スターライナー)カプセルは予期せず過剰な燃料を燃焼させ、最終的にISSへ計画通り到着することができなかった。やむなく、NASAとボーイングはカプセルを早期に着陸させることにして、ドッキングのデモを除く他のテストを完了させた。

Ars Technicaの最近の記事によれば、NASAはそのミッション中に、スラスターの性能についても懸念を抱いていたという。しかし、NASAもボーイングも、これまでのところ、実際に乗員をStarlinerに乗せる前に、もう1回の無人飛行が必要かどうかを判断するのは時期尚早だと言い続けてきた。

Commercial Crewプログラムへの参加者でもあるSpaceXは、昨年3月に「Demo-1」と呼ばれる無人のISSドッキングミッションを遂行した。自動ドッキングも、宇宙船を地球に帰還させることも計画通りに成功した。SpaceXも、昨年の静止噴射テストの際に、Crew Dragonが破壊されるなど、それなりに失敗を経験してきたが、今月初めに飛行中の中止テストが成功したことで、重要な乗員飛行のデモの前に必要となるすべての材料を揃えることができたようだ。乗員飛行は、早ければこの春にも実現したいとしている。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

SpaceXがStarlink衛星インターネットを60機追加打ち上げ

SpaceX(スペースX)は追加で60機のStarlink衛星を打ち上げた。これは衛星ブロードバンドにおける4回目の打ち上げで、今年だけでも2回目となった。打ち上げは米国フロリダのケープ・カナベラル空軍基地から米国東部標準時1月29日の9時06分(日本時間同日23時6分)に実施され、ブースターは2019年にSpaceXの2回のミッションで使用されたものだ。

さらに同社は、ペイロードがロケットの第2段から分離された後、Falcon 9のブースターを大西洋のドローン船に着陸させて再び回収した。同社のブースターを回収する能力はかなり信頼性が高く、56回のすべての着陸のうち48回成功しており、最後の失敗は2018年12月だった。

Starlinkの衛星の配備は計画通りに進んでいるようで、現在SpaceXはStarlinkにて約240機の衛星を運用している。同社は1月初めに前回の衛星群を打ち上げた後、世界最大の民間衛星オペレーターとなり、今回さらにリードを広げたことになる。

衛星群の打ち上げは続けられており、SpaceXのCOOであるGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏によると、今年中にも米国とカナダの顧客向けに衛星ブロードバンドサービスを開始する予定だという。また、今年末までに少なくともあと6回の衛星打ち上げを予定しており、合計24回の打ち上げにより、全世界でのサービスが提供される。

一方でSpaceXは、衛星コンステレーションが地球からの天体観測に与える影響について天文学者から批判されているが、それに関してStarlink衛星の地球側を暗く塗る処理の実験を含む、対策を講じていると述べている。本日同社は、前回打ち上げた前述のコーティングを施した試験衛星の結果を評価しており、結果を分析しアップデートを提供すると発表した。

十分な衛星数が確保されれば、Starlinkはこれまで高速インターネットにアクセスできなかった地域に、スムーズなビデオ通話とストリーミングを提供する。SpaceXによると、これは遠隔地だけでなくクルーズ船や飛行機も含まれるという。

今回の打ち上げでは、ロケットの打ち上げ時にペイロードを保護する2個のフェアリングの両方を回収する試みが行われた。これらはロケットが宇宙に到達すると地球に落下し、SpaceXは大きなネットを装備した「Ms.Tree」と「Ms.Chief」という2隻の専用船を用いて捕獲を試みた。パラシュートにより落下するフェアリングをキャッチすることで、同社は1回の打ち上げにつき600万ドル(約6億6000万円)を節約できる可能性があり、これはFalcon 9の第1段ブースターに加えて、さらに再利用可能なパーツを追加することになる。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXがStarlink衛星打ち上げでフェアリングの片方を捕獲

SpaceX(スペースX)は米国時間1月29日のStarlink衛星の打ち上げで使用されたフェアリングの半分を回収し、再利用可能な打ち上げシステムに一歩近づいた。なお、フェアリングの半分は回収用に特別に大きなネットを貼った回収船「Ms.Tree」により、大西洋にて捕獲された。

同社はフェアリングの両方を回収しようとしていたが、もう一方の回収船「Ms. Chief」では回収に失敗し、海へと落下した。しかし同社はは海上に「軟着陸」したと伝えており、残りの半分も回収しようとしている。回収船を利用する目的は、海からフェアリングを回収するという困難で費用がかかり、さらにフェアリングに損害を与える手順を避けることにある。

SpaceXが回収しようとしている主な理由は金銭的なもので、使用されたフェアリングを再使用することで、打ち上げ費用をさらに600万ドル(約6億50000万円)ほど節約できる。同社の全体的なアプローチは、ロケットと同じく再使用に焦点を当て1回あたりの打ち上げコストを削減することだ。

同社がフェアリングを回収しようとしているもう1つの理由は、Crew Dragonのにおける同様の回収システムの可能性を証明するためだ。同社CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は最新の業績発表で、Crew Dragonの飛行中での中断テストが成功したことについて話し、将来的にはこのような回収船を使って宇宙飛行士を乗せた宇宙船を捕獲し、洋上でのクルー回収や地上への着陸と比べてプロセスを簡易化できると語った。

SpaceXはこれまでに3個のフェアリングを回収しているが、Falcon 9の第1段ブースターと同じくらい信頼性の高いフェアリング回収の実現には至っていない。それでも成功率は上昇しており、これは良い兆候だ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter