独立系書店がカムバック中―町の本屋を殺したのはそもそもAmazonではない

一見不思議なことが起きている。独立系の書店がカムバックしつつある。その理由が興味深い。電子書籍の台頭が書店に打撃を与えたという話は毎日うんざりするほど見聞きする。しかしここでは別の要素が働いているようなのだ。

下のグラフはAmerican Booksellers Associationのデータなので独立系書店だけの動向を見るにはやや不向きだが、全体像を理解するには便利だ。過去10年間でみると、2005年くらいまで独立系書店は憂慮すべきスピードで減少を続けた。ところがその後減少は底を打ち、やがて上向きになって、2010年ごろから増加に転じている。

しかしこのデータを見ただけでも書店を殺した犯人がAmazonではないことが分かる。実は小規模な独立系書店を殺したのは大規模書店チェーンだった。そもそもKindleが最初に登場したのは2007年で、書店数の減少が底を打った後だ。The Digital ReaderのNate Hoffelderはこう書いている。

重要なのは1995年から2002年にかけて書店の減少が急激だった時期にAmazonはこれというほどの規模になっていなかったという点だ。つまり独立系書店を殺したのはAmazonではない。その栄誉は〔この時期に拡大を続けていた〕Burns& NobleやBordersのような大型チェーン店に帰せられるべきものだ。

私は印刷物を売る書店はまだ泥沼を脱してはいないが、将来に十分な希望があると考えている。レコード音楽の登場がコンサートを殺さなかったのと同様、著者も読者と直接コミュニケーションができる場所が必要だ。書店は地域の本好きな人々のコミュニティーのハブとなれるし、著者との交流イベントの舞台ともなれる。また書店がeブックの販売から何らかの利益を上げる方法があれば(私はあると信じている)それも助けになるだろう。

現在多くの書店は「本も売っているコーヒーショップ」になっている。これは便利だし、書店というエコシステムの活性化に重要な役割を果たしている。そして最近の巨大書店チェーンの破綻は、本の選択やアドバイスに優れた能力のある独立系の書店の成功のチャンスを大きく広げるものだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


スキャナー機能内蔵でエクストルーダ8基搭載の3DプリンタLionheadがKickstarterで資金募集中

ぼくは、あの高貴な大型猫(lion)も3Dプリントもどちらも好きだから、Lionheadは気になる。この1600ドルの3Dプリンタは3Dスキャナー機能を内蔵している。本格生産を始められるために今、Kickstarterで6万ドルの資金を募っている。

このLionhead Bunnyを作っているRadiant Li社は、2011年にオールインワンの3Dプリンタを発想し、今年の10月にベータ製品を出せるまでにこぎつけた。この機種はプリントベッドがプリントされたオブジェクトを乗せるだけでなく、スキャンされるアイテムを回転させる。二つのLEDとレーザが物理オブジェクトをスキャンし、そのデータをユーザは編集でき、エクストルーダ4基のプリントヘッドが二つあるので、最大8色でプリントできる。スキャナのない単なるLionheadは2400ドルだが、こちらはプリントベッドのサイズが100x200mm、対してBunnyは150x150mm だ。

スキャナの精度は2mmだから、ちょっと粗いが(下図)、研磨努力などによって.25mmのプリントに仕上げられる。

3Dのプリンタとスキャナのセット製品ではこれがベスト、とは言えないまでも、プリントヘッドが複数あって1600ドルはお買い得だ。お値段の点では既存のメジャーな製品を引き離している。ストレッチゴール(拡張目標額)の12万ドルを達成したら、botObjectsのプリンタのように一つのオブジェクトを多色でプリントできるようになる。なお、現状は悪魔でもベータ製品なので、まだ最小限の機能しかない、と考えた方がよい。ただしエクストルーダ8基は、最初から実装される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


最後のナノメータ問題: 光→電子変換の不効率を一挙に解消するグラフェン感光素子

われわれシロウトの知識では理解できない未来の科学技術を、本誌もときどき取り上げるが、今回のもその一つだ。それは、グラフェンによる感光素子(光センサ)。

高速なデータの多くが今は光ファイバのケーブルで送られるが、それにはつねに、“最後のナノメータ”という問題がつきまとい、最後には光信号を電子のパルスに換えなければならない。そのためには光検出器というものを使って光を検知し、信号の変換を行う〔光回路と電子回路がそれぞれ別〕。そこにグラフェンが登場するとどうなるか。

六角形が並んだ形の単層の炭素原子を使って、ウィーン工科大学の研究者たちは、光子を電子に変換するための超微細で超高速で超効率的な方法を作り出した。これまでの光検出器は大きくてかさばっているものが多いが、この方法では約1平方センチのチップが最大2万の入力を受け取れる。これならコンピュータは、メモリとのデータのやりとりを光で行えるし、メモリの、光で動作する“スイッチ”〔ビットの1←→0書き換えスイッチ〕も可能だ。一つのUSBポートで2万ポートのルータを使える、と考えてもよい。

“光を電気信号に換える素材はたくさんあるが、グラフェンは特別に速い”、と研究者の一人Thomas Müllerが、ニュース記事の中で言っている。“この技術はデータの長距離伝送に重要なだけでなく、コンピュータ内部のデータ伝送が光で行われることが、今後はますます重要になる”。

非常に特殊な変換技術だから、部品間が光で結ばれたPCが登場することはないだろう。でも大型のメインフレームなら、銅線による接続が光に換わるかもしれない。Ethernetやシリアルポートは、絶滅種になるのだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


現在の音楽シーンを支えるドルビー・システムを生み出したレイ・ドルビーの追悼ビデオ

お聞き及びかもしれないが、うっかり見逃してしまった人のために記事を掲載しておこう。「ドルビーノイズリダクションシステム」を生んだレイ・ドルビー氏が、2013年9月12日にこの世を去った。享年80歳だった。アルツハイマー病を患い、最期は白血病と診断され、サンフランシスコの自宅で息を引き取った。

ドルビー氏は1966年、レコーディングスタジオおよびレコードレーベル向けに、よりクリーンでクリスプな音声録音システムを提供し始めた。この技術により、それまでの録音につきものだったヒスノイズやハムノイズを大幅に軽減することに成功したのだった。プリエンファシスやデエンファシスと呼ばれる変調技術を用いてテープノイズを削減し、録音ないし再生時に発現するノイズを大幅に減らすことができたのだった。

尚、サラウンドシステムの創始者としても知られている。現在ではシアターのみならず家庭でも5.1ないし7.1チャネルのサラウンドシステムが広く普及している。

ドルビー氏が生まれたのは1933年のこと。ティーンエイジャー時代にオーディオ関連企業のアンペックス社でアルバイトをした。スタンフォードに進んで電子工学にてBSを取得後、ケンブリッジで物理を勉強した。卒業後しばらくしてドルビーラボラトリーズ社を設立して、そこでいろいろなミュージシャンの録音実験などを行ったが、生まれてしまうノイズのせいで、どうしても満足することができなかった。そこでノイズリダクション技術を生み出し、テープスピードに関わらず、ノイズを大幅に抑えることに成功した。後には映画産業向けのマルチチャネルオーディオ技術も開発し、1980年には家庭用DVDなどにおいてもサラウンドサウンドを実現する技術を開発した。

ドルビーラボラトリーズ社は、当初ロンドンに設立されたが、後に本社をベイエリアに移すこととなった。そこで高音質およびサラウンド技術などを育んで頭角を現すこととなった。そして「ドルビー」の名前は「高品質サウンド」と同義として捉えられるようになった。ドルビー氏は、誰にも真似ができないくらいに物事を進化させていこうとするパイオニア精神を体現した人だった。また主要な戦いの場として位置づけた高品質サウンド分野では、大いなる知名度を獲得して、誰もが知るブランドとして発展することとなった。ひと言で言えば、生きる伝説となったのだった。

ドルビー氏の追悼動画が公開されているので掲載しておく。

サラウンドシステムのテスト用動画も掲載しておこう。

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(翻訳:Maeda, H)


ブラウザ上でコンパイル, テスト, エラー報告もやってくれるArduino用IDE CodeBender.CC

Arduinoは今や至る所で見かける、とってもクールなマイコンボードだが、その公式IDEでコードを書いてアップロードするのは一(ひと)苦労だ。その、ネットワーク接続のないスタンドアロンのアプリケーションは、ルックスも良くない。でも、ブラウザ上にArduinoのIDEがあって、コードを共有できたり、プログラムをアップロードできたら便利ではないかな? それをまさに、CodeBender.ccがやってくれるのだ。

ブラウザ上のIDE CodeBenderを使えば、どんなArduinoボードでもアップロードできる。サンプルコードのコピー、ほかのユーザがアップロードしたコードの閲覧、それに非公開のコード片を保存することもできる。それは基本的にはコラボレーションの場なので、だれかのコードを自分のプロジェクトに利用したり、またコード片のリストから目的のコードを見つけることもできる。

Vasilis GeorgitzikisとAlexandros Baltasが創ったこのサイトは、ヨーロッパのシードファンドLAUNCHubから生まれた。Georgitzikisは曰く、“ふだんは最新の先進的な開発ツールばかり使っていたから、そういうツールのないArduinoは使い辛かった。世界各地のハッカー集会でArduinoのインストラクターもしたが、わずか3時間のワークショップで2時間半をいろんなもののインストールに費やさなければならない”。

“このWeb IDEと並行して、ネットワークに接続しているArduinoをプログラミングしコントロールするツールも作った(Arduino Ethernetなど)。これもブラウザ上で使い、HTML5の技術(WebSocketなど)だけで作られている。それを使うと、IoT(Internet of Things, 物のインターネット)デバイスをリモートでプログラミングできる”、と彼は言った。

このシステムはコンパイルとエラー報告を行うので、最終的にはプロジェクトの完動コードをアップロードできる。Circuits.ioのようにプロジェクトをシミュレートするだけでなく、Arduinoを使ったハードウェア全体をブラウザから完全にコントロールできる。Arduinoになんとなく近寄り難(がた)かったぼくみたいな人間も、このIDEがあれば、いろんなことを積極的に試してみる気になるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


TechCrunch Disrupt SF 2013ベストハードウェア賞は店内コミュニケーションガジェットEstimote Beaconへ

製造とロジスティックスの大手PCH InternationalとハードウェアインキュベータのHighway1は、小売店が顧客と対話するためのツールを作っているEstimote社が、今年のTechCrunch Disrupt San Franciscoでベストハードウェア賞に選ばれたと発表した。

Highway1のVP Brady Forrestは、“AppleのiBeacon技術にいち早く飛びついて位置サービスを開発する企業が現れたことは、とても嬉しい”、と述べている。“Estimoteは最近の新種のスタートアップに属し、ハードウェアを利用してユニークなデータセットを作り、Webサービスの課金を行う。彼らは賞品の深圳旅行を契機に、自分たちのサプライチェーンを大きくした方がよいだろう”。

Estimoteが売っている小さなデバイスはBeaconと呼ばれる。小売店にこれがあると顧客のスマートフォンと対話でき、タッチレスの支払いや、携帯へのディスカウント情報のプッシュなどができる。

ファウンダのJakub Krzychによると、このデバイスはフィジカルな世界のためのOSを作ったのだ、という。“われわれが作った小さなビーコンが個々のお店固有のデータをスマートフォンへブロードキャストする。距離は最短2インチ、最長160フィートだ。顧客の入店時間や商品との距離などによっていろんなアクションをトリガでき、商品に触ることや服の試着などもおすすめできる。店内の各所にBeaconを置けば、さらに多様な情報を提供できる。店内のもっともきめ細かい超近距離位置アプリを作るためには、しかし、Beaconを全店で数十個も使えば十分だ”、と彼は言う。

同社はこれから5日間の深圳旅行で、メーカーやアクセラレータや流通業者などに会う予定だ。

関連記事(未訳)。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


10月の発売を控え、カラー3DプリンターのBotObjectが新たなビデオを公開

BotObjectsは、カラーフィラメントを使って層状のカラープラスチックモデルを作る「フルカラー」3Dプリンターの会社だ。Makerbot等と同じく、ProDesk3Dはプラスチックを層状に射出するため、カラーは帯状にプリントされ、作品上の特定の「点」に色を付けることはできない。

彼らはプリンターが実際に動作しているビデオを新しく追加した(ここに埋め込むことはできなかったが、恐らくそのように作られているのだろう)。

ここ一ヵ月ほどこの会社を追っているが、多くの3Dプリンターメーカーがこの製品に懐疑的だった。ベーパーウェアは山ほど見てきたが ― 私はゲーム機のPhantomを最初に否定した何人かの一人だ ― 少なくともこの連中は、聴衆を喜ばそうという意志がある。このプリンターは、ビデオにもあるように、〈厳密には〉フルカラーでプリントしていない。実際には作品に帯状に色を付けることしかできない。しかし、プログラムによって、狙った点に色を付けることは可能かもしれない。

実物をこの目で見てはいないのだが、動作中のモデルを見る限り、数週間のうちに出荷できると思われる。

これは本当のカラー3Dプリンターなのか? 現行品の明らかな制限を受け入れるなら、このテクノロジーを使って美しく色付けされたプラスチック作品を作ることには全く問題がない。しかし、もしもっと精細なものを求めるなら、Shapewaysのようなサービス を使ってフルカラーのサンドストーンをプリントする必要がある。私は慎重だがBotObjectのProDesk3Dに関しては楽観的だ。実物を見ずに私が言えるのはそれだけだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


ChargeKeyは、キーチェーンに付ける非常用充電ケーブル

1年前、Nomadは、iPhoneおよびmicro USBデバイス用の小型ポータブルUSBケーブルを発売した。その彼らが今度はChargeKeyを作った。デバイスをUSBポートで充電するための超小型「ケーブル」だ。

ChargeKeyは、文字通りキーチェーンに通すことができ、どのUSBポートにも差し込める。USBパワーでスマートフォン等のデバイスを充電し、完了したらChargeKeyはキーチェーンに戻せばいい。

この新製品は、TechCrunch Disrupt in San Franciscoで発表された。

同チームは、この充電ケーブルを25ドルで予約受付中で、11月30日に出荷する予定だ。製作者たち、どのUSBポートにでも繋いで充電が可能なこの製品を、自動車用「バッテリーケーブル」になぞらえてている、。開発メンバーのNoah Dentzelがわれわれに話してくれたところによると、彼はバーでテレビの裏側にあったUSBポートで自分のスマートフォンを充電したという。持ち主が充電している間に電話も充電できるのはちょっとクールだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Webの画面上で電子回路を設計/試運転できる123D Circuits, あのAutoDeskが提供

ハードウェアハッキングには、初心者をびびらせる要素がいろいろある。そこで、123D Circuitsが真価を発揮する。仮想のArduinoボードとブレッドボードを使って電子回路を勉強するから、コンデンサが爆発することもなければ、作業台の上のはんだごてで火傷(やけど)することもない。

CADソフトの老舗AutoDeskが作った123D Circuitsは、同社の“sandbox”シリーズの一環で、ほかにも、シンプルな3Dシミュレータや3Dプリントアプリケーションなどのツールを初心者やベテランユーザに提供して、同社の、メーカー運動への参加と支援の姿勢を表明している。

ぼく自身は、ブレッドボードを使って回路を作った経験がほとんどないし、Arduinoもまだ身近な存在ではない(Raspberry Piには慣れたが)。でも、回路を作ったり電子回路の設計をコラボするための入門用システムとしては、これはかなりよくできているようだ。このアプリケーションで設計したPCBを実際にプリントすることもできるし、Arduinoをプログラミングするためのエディタまである。

このサービスは無料だが、月額12ドルや25ドルの上級プランもある。低料金のプランでは、PCBのお値段が5%引き、公開回路は無限、非公開回路は5つまでだ。25ドルのプランでは、非公開回路も無制限になる。

このアプリケーションはブラウザの中で動き、さまざまな部品や既製の設計やチップを使える。部品をライブラリからドラッグ&ドロップしてきて回路を構成し、それらを動かしたり、自分が設計した回路中の電気の流れを見ることもできる。簡単に言うとこれは、自分のラップトップの上にRadioShackがあるようなものだ。公開回路は、誰もがそれらを試してみることができる。

2012年にできたCircuits.ioも、類似サイトの一つだが、こういう仮想的なArduinoツールを使って電子工学に入門すると、感電のおそれもなくハードウェアハッキングに挑戦することができるから、とても便利だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


自動化スーヴィードシステムAnovaを使ってみる…Appleが調理器具を作ればこうなるか

スーヴィード(sous vide, 真空調理)はたぶんいちばんハイテクな料理法だと思うが、ハイテクといっても化学の学位は要らないし、事故で人が死ぬほどの危険性もない。だからぼくも、Anovaはすばらしいと思った。スーヴィード用の自動加熱循環機で、最初冷たかった鶏肉も、約1時間でジューシーなご馳走に変身するのだ。

スーヴィードは特殊な茹で方だ、とぼくは思う。肉や野菜を真空密閉したポリ袋に入れて、沸騰していない低温のお湯が循環している鍋でゆっくり煮る。たとえば、Anovaでお湯を循環させながら密封した鶏胸肉を煮ると、肉汁は一滴も失わないし、肉に焦げ目もつかない。お湯から取り出したら表面をちょっと炙(あぶ)る。すると、これまでで最高の鶏料理の完成だ。

Anovaはとってもシンプルな機械だ。必要なものは、お湯を入れる大きな鍋と、電源コンセントのみ。肉は必ず、真空密封すること。Ziplocなどよりも、真空加熱シーラーを使った方がよい〔参考ページ〕。そして、温度と時間をセットする。たとえばぼくの場合は、鶏肉を60℃で45分煮た。そのあと、塩で味付けし、フライパンで炙った。

温度調整は25℃~99℃のあいだでできる。お湯の循環能力は毎分12リットルだ。なお、材料は水から入れるよりは、最初からお湯の中に入れた方が結果は良いようだ。

ファウンダで制作者のJeff Wuは、家庭用の安価なスーヴィードシステムはこれが世界初だ、と言う。オープンソースのDIYプロジェクトは、前からいくつかあるが、デザインが良くて使い方が簡単なApple的製品は、これが初めてかもしれない。Wuは大学で生物化学とコンピュータ科学と金融学を専攻した。今の彼の本業は、製薬会社や化学企業のためのハードウェアの制作だ。

“ぼくが作る製品は主に、新薬の研究や医学研究、あるいは新素材の開発に関連している”、と彼は言う。“毎日のように、博士たちやノーベル賞受賞者など、エライ人たちに会う。スーヴィードを知ったのも、その人たちのおかげだ”。

“4年前にボストンの名門大学を訪ねたとき、研究室で数名の院生たちが鶏肉をスーヴィードしていた。実験用具の攪拌機をお湯を循環させるために使い、ホットプレートで表面を炙っていた。興味を抱いたぼくは、同じことを会社の実験室でやろうとして、大失敗した。2009年の当時は、ぼくはスーヴィードについて完全に無知だった。鶏肉を入れた袋が実験機械のシリンダに巻きついてしまって、たいへんだった”。

そんな苦労をしてまで、挑戦する価値があるのか? ある! スーヴィードは、一度食べると誰もがやみつきになる。ぼくも、そうだ。Anovaはわずか199ドルだし、真空加熱シーラー(と大きな鍋)は70ドルぐらいだ。高級レストランのジューシーな肉や味の落ちてない野菜の料理は、どうやって作るのだろう、といつも不思議だったけど、今ではその秘密が分かる。しかもスーヴィードは準備がほとんど要らないから、セットしたらあとは忘れてもよい(火事や黒焦げ事件は起きない)。低温での調理時間は最大72時間だから、簡単な煮豆でもそんじょそこらの煮豆とは違う最高の風味の煮豆ができる。

まあ日常の調理器具に199ドルは高いかもしれないが、スーヴィードを試してみたい人にとっては、これがたぶん、ベストのデバイスだ。ネット上には加水オーブンなんかも売ってるが、400ドル以上もする。しかもAnovaは、ほぼスタンドアロンのモデルで、真空ヒートシーラー以外にはほかの機器が要らない。しかも使いやすいしデザインもエレガントだ。

スーヴィードは本来、とても高度な料理テクニックだが、世の中にはつねに、Wuのようなナードがいて、Anovaみたいなクールな物を作ってくれるのだ。

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大量のDVDを自動リッピングする自作ロボットJack The Ripper

DVDは好きだけど棚の空きスペースも好き、という矛盾する趣味を抱えている人のためのプロジェクト。このJack the Ripper(切り裂きジャック)と名づけられたシステムは、Raspberry Piで動き、左に積まれたDVDの山から一枚ずつ取り上げてリップ(rip, データ吸い出し)し、リップが終わったDVDを右の山に積んでいく。この行為を、無限に繰り返す。

Andy Ayreがこのシステムを作ったのは、自分のDVDコレクションを全部リップする時間が自分にはない、と気づいたときだ。優秀なハッカーでもある彼は、モーターとマイクロプロセッサと古いラップトップを使用する完璧なソリューションを、自分で設計し自分で3Dプリントした。

ダウンロードしたい人はここから。あるいは彼のWebサイトで詳しいドキュメンテーションを読み、ゼロから自作してもよい。こんなものが欲しい人は、今ではあまりいないと思うけど、DVDのリッピングを自作のロボットにやらせるなんて、ちょっとクールだよね。その次は、ロボットに何をやらせたらおもしろいだろうか?

出典: 3Ders

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


KindleのDRMを1ページずつ外していくレゴ・ロボット

「レゴを通じて体制に抵抗する」シリーズの新しい事例として、われわれはKindle本を1ページずつめくり、コンピューターにeインク画面の写真を撮るよう指示してOCR処理を行い、完全DRMフリーのテキストを作るロボットを紹介する。早い話、これは知能的複写機であり、理論的には、完全に合法だ。

ウィーン工科大学のPeter Purgathoferが作ったこのプロジェクトは、実用的技術というよりはアート作品なので、この計画がThe Pirate Bayに登場することを期待してはいけない。Purgathoferは、本の貸し借りや転売に関するAmazonの当初の約束は破られ、出版業界もAmazonと歩調を合わせるように著作権法を強化していると信じている。「このDIY Kindleスキャナーは、Jeff Bezosが一度は守ったが、後に取り上げたわれわれの権利の消滅を反影したアート表現だ。これはまた、DRMの無益さを訴える声明でもある」とPurgathoferは書いている。

「これは私がプライベートな時間に個人として行ったプロジェクトであり、私の個人的見解を反映したものであることを留意していただきた。これはウィーン工科大学における私の仕事ではないと考えている」。

このプロジェクトは、公正使用の原則の下にコンテンツの撮影を許しているDMCAの「アナログ・ホール」と呼ばれるカテゴリーに属すものだ。撮った写真をコンピューターに入れた段階で少々怪しくなるが、デジタル著作権法では合法だ。それにほら、レゴだし。
via BB

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(翻訳:Nob Takahashi)


TC Disruptのステージに本物のタココプターが登場―メキシカンファーストフードの空中配達に成功

Skycatchのミニチュア・ヘリが美味しいタコスを空から届けてくれることになるのならロボットが世界を征服するというのも悪いことばかりではなさそうだ。去年評判になったTacoCopterはもちろんジョークだったが、このTacocopterは本物だ。

ロボディクスとセンサー・テクノロジーに関するパネルディスカッション中の息抜きにわれわれのAnthony Ha記者がこの愉快なデモを紹介した。

このロボットはクアドコプターの下に自動的に開く箱を取り付けたもので、Skycatchの社員が操縦し、7mの上空からのタコスの投下に成功した。ファウンダーのChristian Sanzはレーザーポインターの光の跡を追って飛んだり、完全自律飛行ができたりするロボットコプターのプロトタイプを開発している

空中配達ロボットの実用化が待たれる!

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


2万ドルのBitcoin用ATM、RoboCoin、予約受付開始

Bitcoinを他の通貨と両替できるキオスクマシン、RoboCoinが、予約受付を開始し「2013年秋」に出荷される。あなたが近所のBitcoin銀行になろうと決める前に言っておくと、機械の価格は2万ドル(早割1万8500ドル)で、現在はBTCと米ドルのみ両替できる。

実質的にこのデバイスは、生体認証式タイムロックとプライバシー保護タッチスクリーン付のATMライクな機械の強化版だ。現金の入出金が可能(「国際通貨対応」)で、Wi-Fiおよび3Gを塔載している。

ブログ記事によると、開発チームはこれでBitcoinの購入、販売の方法を変える準備が整ったと言っている。

「RoboCoinはビジネスオーナーにとって有力な投資対象である。これを使えば、取引金額に応じた手数料が得られ、Bitcoinの忠誠度の高い顧客ベースを呼び込めるだけでなく、Bitcoin初心者のためにかつて類をみない使いやすさを提供する。さらに、Robocoinが市場に出回るとど、Bitcoinの流動性と利用が増し、このデジタル通貨の値値、認知度、および正当性を高める圧力になる」」と彼らは書いている。

Robocoinが最初に発表されたのは、サンノゼのBitcoinカンファレンスで、直接のライバルには、Lamassu Bitcoin VenturesのBitcoin ATMがある。Robocoinは、Mt. GoxあるいはBitstampというBitcoin両替サービスと直接接続して、その場での支払いを可能にしている。

リアルな、実際に使えるATMの存在は、Bitcoin市場に多大なエネルギーを注入するだろう。これらの機器は高価に違いないが(安価なATMは、3000ドル程度からある)、重要なのは箱ではなくバックエンドだ。例えば、ハッカーのカンファレンスに1台持ち込めば、大量に利用されてBitcoin全般の地位を向上できるだろう。BTCから他の通貨への両替が当たり前になれば、暗号通貨にとって戦いのチャンスは益々大きくなる。

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(翻訳:Nob Takahashi)


ワシントン大学の研究チームが世界初の人間での「脳波直接通信」に成功

ワシントン大学の研究者、Rajesh RaoとAndrea Stoccoは非侵襲的遠隔脳波インタフェースを開発し、RaoがStoccoの指を「思考」によって動かしてキーボードのキーを打たせることに成功した。

「これまでインターネットはコンピュータを結びつけるネットワークだったが、これからは人間の脳と脳とを直接結ぶつけることが可能になる。われわれは脳から知識を直接取得して他の脳に伝えようと努力している」 とStoccoはプレスリリースに書いている。

Raoは「脳から脳へ」のコミュニケーションを10年にわたって研究しており、ハツカネズミでは脳に装置を埋め込む手法ですでに成功している。今回の実験では、発信側被験者にモニタに映る画像を見せ、脳波測定器で脳の活動を捉えて、それをコンピューターで解析した上で、TMS(経頭蓋磁気刺激装置) を利用して受信側被験者の脳内に微弱な誘導電流を発生させた。受信側被験者はこの脳内電流に応じて発信側被検査者の動作を真似ることができたという。

現在のところ、研究チームは単純なビデオゲームの動作を送信することに成功している。発信側のユーザーがゲームをプレイするとセンサーが脳波を読み取り、手の動きを解析する。信号は受信側ユーザーの脳を刺激する。受信側ユーザーはその刺激に応じて発信側ユーザーの動作をなぞることができた。

ただしこれはSFによく出てくるようなマインド・コントロールではない。受信者は自由意思で指を動かすのであって、意思に反する強制は一切ない。またお互いに「思考内容」を読み取ることもできない。インターネットを通じて指を動かしたくなるある種のショックが脳内に伝えられると考えてよいだろう。

研究チームは今後さらに複雑な動きが送信できるようにし、また被験者の範囲も広げていく計画だという。

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旧デバイスは死なず。但し去りゆきもせず堆積してゴミとなる

Network Worldに面白い映像スライドショーが掲載されている。私たちの「新しいもの好き」が、どういう状況を招いているかを示すものだ。掲載しているサイトが、ふだんは新しいものを紹介しているサイトである点はまあ置いておこう。「新しいもの好き」の招来する問題点を垣間見せてくれる面白いスライドショーに仕上がっていると思う。

スライドショーには、リサイクル工場の様子が数多く出てくる。2012年まで現役として使われながら、今や数十万台単位のゴミと化したミニテルの写真もある。ちなみにスライドショーに出てくる機器類の中では、きっとミニテルこそが最も大きな成功を収めたものだと言えるのではなかろうか。誕生から消滅の時まで、多くの人に使われ続けたデバイスだった。

ある意味ではミニテルとは反対に、ライフサイクルの中途にて膨大なe-無駄問題(e-waste)を引き起こしたのはAppleの30pinからLightningへの変更だろうと考えている。製品が大人気となって、したがって無駄の範囲が広がってしまったのは、もちろんAppleの責任ではない。しかしAppleのスペック変更により、価値を失ったアクセサリが数多く誕生してしまった。新しい機種にアップグレードすることにより、古くなってしまった(しかしまだまだ使えるはずの)iPodドックなどがゴミになってしまったのだった。

多くの人に見受けられる「新しいもの好き」な傾向は、あるいはかつてのニューヨークを襲った馬糞問題に似ているとも言えるのではなかろうか。進化し続ける技術が、何らかの解決策を生み出してくれるのではないかと期待してもいる。ただ、今のような流れが続けば、結局問題を先送りにすることにしかならないのではないかとも考えている。

読者のみなさんもスライドを見てみて欲しい。そして「定期的アップデート」を行う必要があるのかどうか、考えてみるのも大切なことなのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H)


Owletは、赤ちゃんの呼吸をスマートフォンで教えてくれる靴下。クラウドファンディング実施中

新しい親たちの生活はストレスで一杯だが、愛するわが子が息をしているかどうかを知る苦労はこれで軽減される。Owletは、赤ちゃんが寝る時にはく小さな靴下だ。これが心拍と呼吸の状態を伝え、モバイル機器を通じて子供をチェックできる。私は3人の親として、恐さと好奇心をもって静かに眠る子たちをのぞき見たことを思い出す。

早期ユニット予約のプレッジは159ドル(売り切れた後は199ドルに値上りする)。目標調達資金は10万ドルで、現在までに2万5000ドル集まっている。

センサーは、心拍数、酸素濃度、呼吸を測定し、寝返りを打つとアラームを発信する。体温も測定できる。Bluetooth LTEを利用しており、近くならスマートフォン、遠くからはインターネット接続されたパソコン経由で赤ちゃんをチェックできる。

似たようなツールは他にもあるが、ウェアラブル・デバイスとしてここまでうまく収めたものはない。赤ん坊のベッド用センサーは何ら新しいものではないが、親や小児科医に役立つ重要な情報を得られることは、実に重要だ。

ここで予約注文できる。11月には正式発売される予定だ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


I Forgot My Phone ― 話題のショートムービーを見てみた

あちこちでかなり話題になっているようだ。今の「コミュニケーション時代」を客観的に見る面白い内容で、ある種のショックを感じる人も多いのではなかろうか。このショートムービーの主人公はスマートフォンを持っていない女性だ。時代にそぐわない人物設定かもしれない。しかし、ほんの少し前までは常に携帯デバイスを身につけているということもなかったのだった。今や、私達の現実はレンズとスクリーンによって代替されつつある。少し前まで、テレビ画面の近くに座っていると癌になると言われていたりしたものだ。しかしいまやいつでも手元に画面がある。いつまでもいつまでも、際限なく画面を見続けることが普通になっている。

コミュニケーションを支えるテクノロジーが「Glass」の形をとろうとしていることは偶然ではないだろう。現実世界はテクノロジーが作る窓(ガラス)によって切り取られて、認知されるようになってきているのだ。

デバイスを通じてしか外部との関係を保てない状況を変えるにはどうすれば良いだろうか。必要なのは「デジタル・デトックス」ではあるまい。「デジタル」は仕事や、あるいは生活の隅々にまで浸透し、もはやなくてはならないものになっているのだ。必要なのは、ネットワークやコンピューターを介しての「体験」というものが、実際のものとは違うという当たり前のことを再認識することだろう。何かを排除する「デトックス」ではなく、実際の世の中の素晴らしさを再発見することが大事なのだと思う。

世の中が変わっちまったのさと、ビールを飲みながら愚痴るのも良いかもしれない。しかしそれでは時代に流されてしまうだけだ。たまには落ち着いて座ってみて、何もクリックせず、もちろん画面のタップなどせず、もちろん「おや、このシーンをVine化したら面白いぞ」などということも考えずに過ごす。目の前に広がる現実と直接に向き合うということを「意図して」行うことが、「現実」を取り戻すための手段になるだろう。

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(翻訳:Maeda, H)


Facebookを長時間使いすぎている人にショックを与えて警告するPavlov Poke

あなたは、Facebookで過ごす時間が多すぎる、と思ってるかな? そんな人には、たとえばニュースフィードをクリックする回数が多すぎたら死なない程度のショックを与えるのはどう? MITで博士号準備中Robert R. MorrisとDan McDuffの二人が、どちらも毎週Facebookで50時間以上を消費していることに気づき、おもしろくて、しかも意味深なプロジェクトを立ち上げた。

McDuffが言うには、“ショックは不快だけど危険ではない”。ただし、痛い! そのシステムはユーザのアクションを監視して信号をArduinoのボードに送り、そしてそいつが、特性のキーボードレスト(リストレスト)からショックをトリガする。すると徐々にあなたはFacebookを避けるようになり、部屋のすみですすり泣くようになる。

だろうか?

“分からないね”、とMorrisは言う。“苦痛の回数と、正しい条件づけが効果を左右するだろう。ぼくたちの場合は、インストール直後に装置を取り外してしまったけど、Facebook時間はやや減ったと思うね”。

AmazonのMechanical Turkを利用して見知らぬ人に電話をかけさせる、という方法も検討した(下のビデオ)。結果は、びっくりするし笑ってしまうが、ショック療法のように痛みはない。電話をかける人は、あらかじめ用意された台本を読み、Facebookを使いすぎているユーザを叱責するのだ。

プロジェクトの全容はここで見られるし、台本はダウンロードできる。Morrisによると、Facebookはタバコと同じぐらい有害だそうだ。彼は、こう書いている:

人びとは、特定のテクノロジを、自分がそれを使いたいし、使えば自分の利益になる、と信じて使う。でもその想定は、そのテクノロジの本来の目的や機能に必ずしも即していない。Facebookのようなサイトは、エンゲージメントを定量化しようとする。そのために、毎日のアクティブユーザ数を数えたり、ユーザのサイト滞留時間を計ったりする。でも、それらの測度は幸福の大きさを計れない。だから、エンゲージメントの計測値がものすごく大きなサイトも、ユーザの幸福にとっては極度に有害なことがありえる(ちょうど、タバコがそうであるように)。

スーパーに多種類のジャンクフードを売ってるように、インターネットの上にはFacebookのようなジャンクネットがある。それはわれわれにとって有害であり、快適ではあるがなんとなく物足りない。短時間楽しくても、そのあと一日中人を不快にする。この、禁酒ならぬ禁FBプロジェクトは、半分冗談で言うなら、われわれ全員が日常のインターネット生活で直面している重大な問題の解決を目指しており、さらにもっと重要なのは、そもそもわれわれが数時間おきに必ず、Zuckerbergの巨大なゴミ捨て場を訪れるのはなぜなのか、それを再検討するための良い機会である。

“このプロジェクトはジョークだけど、コミュニケーション技術の設計~デザインについては、真剣な議論が必要だと思う”、とMorrisは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


人気の法律知識サイトGroklawがSnowden効果で閉鎖へ

すでに10年以上と歴史の長い、人気の“法律知識大衆化サイト”Groklawが、メールが調べられる危険性が迫っているとして閉鎖を決定した。サイト主宰者のPamela Jonesは彼女の最後のポストで、“Lavabitのオーナーはメールの使用を停止した。似た立場にあるわれわれも停止すべきである。メールが使えないならGroklawの存続は不可能である。これは、難しい決断である”、と述べている。

JonesはNSAのやり方を、通信の窃盗行為であると呼び、Groklawは読者からのメールによる質問に答えるという形式なので、今後はとくにオープンソース運動に関連した法律情報を伝えることが難しくなる、と言っている。このサイトは“法律家とギーク”が、プログラミングやネットワークやFOSSソフトウェアに関して話し合う場である、とみなされていた。

彼女は次のように書いている:

どうすべきか? 二週間あまり、それを考えていた。そして、これ以上Groklawを続けることはできない、という結論に達した。とても悲しいことだ。でも、現実的であることは良いことだ。そして単純な事実として、記事や投稿の収集選別においてわれわれがいかに善意で、そして“クリーン”であったとしても、それらに対して今後何をされるか分からないという今の雰囲気の中では、Groklawを継続することはできない。

—中略—

今のところ、強制的な情報開示を断る方法はない。上のかっこの中で述べたことはテロとは無関係だ。でも、メール、とくに合衆国の国境を越えて行き来するメールでは、いつも、検閲の可能性に備えた書き方をしなければならない。つまり私たちの通信の自由は、なくなってしまった。いちいち、見知らぬ人に読まれることを意識しながらメールを書くなんて、そんな窮屈なことは続けられない。

反応は、彼女を聖人化するものからシニカルなものまでさまざまだ。でも、あれほど良質で心に響くサイトが、こんなに早くなくなるのは惜しい。でも、Snowden以後のインターネットは、意思決定が迅速で、しかも奇妙だ。

〔余計な訳注: 某UNIXベンダにLinuxが訴えられたときも、そしてJavaに関してOracleがGoogleを訴えたときも、このGroklawサイトはとっても勉強になりました。別の形での復活を、絶対的に希望します。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))