アップルのWWDC20基調講演はYouTubeやApple TV、各種ウェブブラウザーで視聴できる

Apple(アップル)は同社が主催する開発者向けカンファレンスの初日に基調講演を行う。そこでは山ほどのソフトウェア・アップデートについて語られることが予想される。今年のWWDCはバーチャルイベントだが、例年と同じ数のニュースが、違う形式で提供される。太平洋夏時間6月22日午前10時(日本時間6月23日午前2時)から、ライブストリーミングで見ることができる。

噂によるとOSの新しいバージョンが発表されるらしい。iOS 14とiPadOS 14、macOSの新バージョンにwatchOS、tvOSのアップデートも発表が予想される。

そして今年一番の興味深い噂は、同社がMacのメジャーアップデートを発表する可能性があることだ。これまでのIntel(インテル)プロセッサーを自社製のARMプロセッサーに置き換えるかもしれない。そうなればMacで動いているサードパーティー製ソフトウェアには山ほど影響が出るだろう。しかし、バッテリーがiPad並に持続するMacBookを想像してほしい。iMacの新しいデザインや、Tile風の追跡デバイス(忘れ物防止タグ)などのハードウェアも出てくるかもしれない。

アップルはカンファレンスをYouTubeで中継するので、ライブストリーミングは該当ページで直接見ることができる。

Apple TVを持っている人は、TV用のApp StoreでApple Eventsアプリをダウンロードすれば、本日のイベンとだけでなく過去のイベントを見ることもできる。アプリのアイコンはイベントに合わせて数日前に変更された。

Apple TVを持っていなくて、YouTubeも使いたくない人は、アップルのウェブサイトにあるApple Eventsセクションでライブストリーミングを視聴できる。このストリーミングは、Safari、Microsoft Edge、Google Chrome、Mozilla Firefoxといった主要ブラウザーで見られるようになった。

もちろん、すべてを中断してビデオを見るつもりのない人は、 TechCrunchのライブブログ(英語版)を読むこともできる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

クレジットカード決済のSquareがスペインのP2P決済アプリVerseを買収

Square(スクエア)は、ヨーロッパで使えるスペインのピア・ツー・ピアの決済アプリVerse(ヴァース)を買収した(Squareリリース)。条件は非公開だ。Crunchbaseによると、VerseはSpark Capital、eVentures、Greycroft Partnersなどから3760万ドル(約40億円)を調達している。

SquareはCash Appで多くのユーザーを引きつけている。P2P決済アプリのCash Appではユーザーはスマホでお金の送受信が簡単にできる。ただしCash Appは、米国と英国でのみの提供だ。

Verseの買収は、ヨーロッパでSquareの存在感を高めるのにうってつけのようだ。VerseのチームはSquare内のCash App部門に加わる。

Cash AppとVerseの間には多くの類似点がある。Verseの主要機能は、モバイルアプリでお金を送受信できるようにすることだ。ユーザーは一切手数料を払う必要がなく、送受信はわずか数秒で完了する。

Verseのユーザーは電話番号でサインアップできる。つまりアドレスブックに電話番号がある人に送金が可能だ。もしあなたのVerseアカウントに十分な残高がない場合は、アプリはあなたのデビットカードに直接課金できる。そしてVerseアカウントからお金を引き出したい場合は、銀行口座に送金することができる。

また、Splitwiseのようなアプリからのグループ費用を追跡したり、貯蓄口座を開いたり、チケット発行機能を使ってイベントを準備したりできる。

直近では、Verseアカウントから直接お金を使えるVisaデビットカードをスペインで立ち上げた。為替手数料を払う必要はなく、毎月2回まで無料でATM引き出しができる。VerseはVisaの為替レートに準拠している。

Verseはしばらくユーザー数を公開していないが、App Annieによると、現在スペインのApp Store全カテゴリーでのダウンロード数ランキングで247位となっている。P2P決済は小さな企業が多数参入している。例えばフランスのスタートアップLydia(リディア)は、フランスにユーザー300万人を抱える。

「現時点で、我々の優先事項はVerseが引き続き欧州で成功するようにすることだ。Verseは今後も独立して事業を続け、さしあたって既存のプロダクトや顧客オペレーションに何ら変更はない」とSquareは発表文で述べている。

発表文の中で最も重要な表現は「at this point(現時点で)」だ。Squareは壊れていないものには手を加えたくない。しかしVerseが徐々に欧州におけるCash Appになったとしても驚きではない。

画像クレジット:Square

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(翻訳:Mizoguchi

会計事務所の仕事をクラウドサービスで現代化するSilverfinがシリーズBを調達

Silverfinは会計のソフトウェアだが、中小企業の会計経理事務を助けるというものではない。同社は大小の会計事務所のためのクラウドサービスで、いわば会計経理のSalesforceだ。

同社はこのほど、HgがリードするシリーズBの資金調達ラウンドを完了した。なおシリーズAはIndex Venturesがリードした。今回のラウンドの詳細は公表されていないが、情報筋によると調達額はおよそ3000万ドル(約32億円)のようだ。

Silverfinは、会計業務において最も時間がかかる部分、すなわちデータの収集を自動化して会計処理の生産性を上げる。同社はXero、QuickBooks、Sage、SAPなどクライアントが使っている会計ソフトにダイレクトに接続してそのデータをインポートする。

その後、Silverfinはデータセットを標準化し、ユーザーがデータを手作業で追加できるようにする。それによりSilverfinはユーザー企業のためのメインのデータリポジトリになる。

このようにデータがシステムに入ったら、次はその処理だ。Silverfinはユーザーが提供する構成とテンプレートに基づいて自動的に処理を行い、その間のデータの追加やコンプライアンスのチェックは会計事務所の誰でもできる。SalesforceなどのSaaSプロダクトと同じく、複数の人がこのサービス上でコミュニケーションでき、過去の編集や変更の履歴を見られる。

最後は財務データを視覚化し、報告書などを作成する。これにより会計事務所の仕事が、以前と大きく異なってくる。分析ツールやアラートシステムもあるので、会計事務所は顧客企業へのアドバイスサービスに注力することができる。

同社はベルギーのゲントで創業されたが、今ではロンドンとアムステルダム、コペンハーゲンに拠点がある。現在の顧客数は650社で、そこにはヨーロッパと北米の大手会計事務所が含まれている。

難しい要求を抱える顧客を最優先するSilverfinは、それらの企業が利用しているXeroやQuickBooksなどには手を付けない。まず最初に、それら既存のソフトウェアとの統合を行う。今後は、会計経理部門が非力な中小企業にも市場を広げたい、と同社は述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

魔法のように被写体を自動で切り抜いて背景を変えられるPhotoRoom

PhotoRoomは、フランスのスタートアップが開発しているモバイル写真ユーティリティアプリだ。コンセプトはとてもシンプルで、おそらくそれこそが過去数カ月間で膨大なダウンロードが行われた理由だろう。

写真を選択すると、PhotoRoomはその写真から背景を削除し、別の背景を選択できるようにしてくれる。写真の調整が終わったら、保存して別のアプリで開くことができる。

「もともとの着想を得たのは、私がGoProで働いていたときのことです」と共同創業者でCEOのMatthieu Rouif(マシュー・ルイフ)氏は語っている。「写真から背景を削除しなければならないことが多く、デザイナーが不在のときは、手作業で膨大な時間を費やしていました」。

そして多くの人びとが、編集した写真をカメラロールにできるだけすばやく出し入れできるシンプルなアプリを探していることがわかった。

例えばピアツーピアのeコマースプラットフォーム上で服やその他のアイテムを販売している人は、PhotoRoomを使用して写真を改善している。個人間売買サイトであるPoshmarkDepopで行われている出品リストを魅力的にするための、オンラインディスカッションやYouTubeチュートリアルでは、PhotoRoomはしばしば推奨されている。

ダウンロードが本格的に始まったのは2020年2月頃だ。PhotoRoomの月間アクティブユーザーは現在30万人。現在のところ、アプリはiOSでのみで利用可能だ。ツールを常用するプロフェッショナルなら、月額9.49ドル(約1040円)または年額46.99ドル(約5100円)を支払うことで、透かし(ウォーターマーク)を削除し、より多くの機能を利用することができる。

「サブスクリプションは、写真およびビデオ向けモバイルアプリを最高に役立つものにします」とルイフ氏は語る。

PhotoRoomは写真上のオブジェクトを識別するために、機械学習モデルを利用している。そして、彼らのビジョンとして背景の除去以上の機能も狙っている。

写真編集のリーダーであるPhotoshopが設計されたのは、数十年前に遡る。もしPhotoshopをプロのように使いこなしたいと思ったときには、険しい学習曲線が待ち構えている。レイヤー、レイヤーマスク、チャンネルなどを理解するのは難しい。

PhotoRoomは、Photoshopのメタファーやインターフェイスの要素を安易に借用することなく、モバイルファーストの写真編集アプリを構築したいと考えている。「写真の内容を理解できるとしたら、Photoshopはどのようなものになるでしょうか」とルイフ氏はいう。

現在のアプリはテンプレートに大きく依存してはいるものの、オブジェクトを追加したり、移動したり、シャドウを追加したり、要素を個別に編集したりして、画像を微調整することはできる。画像の構成は、ユーザーに100%任されている。

VSCO、Darkroom、PicsArt、Filmic Pro、Halideと同様に、PhotoRoomは写真やビデオの編集にさまざまな方法で取り組んでいるプロシューマーアプリ群に属している。ビジュアルソーシャルネットワークを使用して育った世代のユーザーが、これらのアプリの限界を押し広げている。初めて使用するときはシンプルに見えながら、それらで何ができるかを学ぶにつれて、非常に深いものが提供されるのだ。そして彼らは、スマートフォンがコンテンツの消費機械にとどまらず優れたコンピューターになり得ることを証明している。

ルイフ氏は、2016年にGoProによって買収されたパワフルな動画編集ソフトStupeflixの製品責任者だった。PhotoRoomは、2人のインターンを含めて4人しかアプリ製作に関わっていないため、まだ始まったばかりだ。

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(翻訳:sako)

Cowboyの電動自転車の新製品はベルト素材をゴム&ガラス繊維からカーボンに変更

電動自転車メーカーのCowboy(カウボーイ)が、新製品となるCowboy 3を発売した。比較的小さなアップデートだが、新規の顧客を開拓する効果はありそうだ。当初の注文分は7月の終わりには配送される予定。Cowboy 3の価格は、前任機からやや上昇して、2290ユーロ、または1990ポンド(約27万3500円)となっている。

Cowboy 3の外観は、昨年私がレビューしたCowboy 2(未訳記事)と比べて大きくは変わらない。フレームはアルミ製の三角形で、薬のカプセルのような形のライトを内蔵している。ハンドルバーは、相変わらずマウンテンバイクのように、完全にまっすぐなものだ。

前世代のモデルと大きく異なるのは、ゴムとガラス繊維でできていたベルトを、カーボン製ベルトに変更したこと。耐久距離は3万kmに延びている。

これまでのモデルと同様、モーターによるアシストをコントロールするためのギアやボタンはない。ペダルを踏み始めると、モーターアシストが自動的に作動する。

ただし、新しいバージョンではギア比が変更され、少し低くなった。つまり、信号で止まったりした後、楽に再スタートできる。その半面、最高速度の点では不利になるはずだ。というのも、モーターによるアシスト機能が働くのは法律に定められた一定の速度までで、それ以上のスピードは人間の足が頼りとなるからだ。

ホイールとタイヤも微妙に変更されている。これまでの既製品のPanaracerタイヤの代わりに、パンク保護層が入った特注のタイヤを採用した。リムも大きくなっている。

サドル、油圧ブレーキ、ブレーキパッドは変更されていない。Cowboy 3は、相変わらず取り外し可能なバッテリーを搭載している。これは、VanMoofや、最近登場したGogoro Eeyoなどの電動自転車はがいまだに採用していない特徴だ。総重量は16.9kgで、現状では、3色が用意されている。ブラックと濃さの異なる2種類のグレーだ。

既存のCowboyのオーナーも含めて、新しいアプリのダウンロードも可能となり、いくつかの新機能が利用できるようになった。たとえば、自動ロック解除をオンにしておけば、アプリを起動した状態でなくても、スマホを持って自転車に近付けば、自動的にロックを解除することが可能となる。

また盗難検出機能では、自転車が動かされると、すぐにユーザーに通知が届く。さらに衝突を検出すると、緊急連絡先に通知する機能や、空気の品質を計測して表示する機能も利用できるようになった。

関連記事:A bike lover’s take on the Cowboy e-bike

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ラズベリーパイ財団が8GBのメモリー搭載のRaspberry Pi 4を発表

ラズベリーパイ財団は、フラグシップモデルRaspberry Pi 4の新バージョンをリリースした。これまでの2GB、および4GBのメモリーを搭載するモデルに加え、新たに8GBモデルを投入したのだ。価格は75ドル(約8060円)で、これまでで最も高価なRaspberry Piとなる。

これまでどおり、トランプのデッキサイズのシングルボードコンピューターにまとめられている。ARMベースのCPU、数多くのポート類、Wi-Fi、Bluetoothを装備し、コンピューター愛好家の大きなコミュニティも擁している。新モデルの登場で、Raspberry Piをサーバーとして使用する場合も、デスクトップ・コンピューターとして使用する場合も、より多くのRAMを必要とするアプリケーションを実行できるようになった。

Raspberry Pi 4のすべてバリエーションは、RAM容量を除いてまったく同じ仕様となっている。ボード上の位置が異なる部品もあるが、それも含めて相違点はわずかだ。ちなみに、今年の初めにラズベリーパイ財団は、同じ価格を維持したまま、エントリーの1GBモデルのRaspberry Pi 4のメモリー容量を、2GBに増量している。

というわけで、現在のRaspberry Pi 4のラインナップは以下のとおりとなる。

  • Raspberry Pi 4・メモリー容量2GBモデル:35ドル(約3760円)
  • Raspberry Pi 4・メモリー容量4GBモデル:55ドル(約5910円)
  • Raspberry Pi 4・メモリー容量8GBモデル:75ドル(約8060円)

同財団はここしばらくの間、8GBモデルに取り組んでいたことを明らかにしたが、8GBのLPDDR4 RAMパッケージを、Raspberry Pi用に特別に設計する必要があったため、予想よりも時間がかかったのだという。

ソフトウェアについても述べておこう。同財団は、Raspberry Pi上で動作するように設計されたOSであるRaspbianの64ビットバージョンの開発にも着手している。現状のRaspbianは、相変わらず32ビットのカーネルを採用したものだが、8GBのメモリーを活用するには、64ビット版に切り替える必要がある。とりあえず、現状のRaspberry PiにUbuntuやGentooをインストールして使うことは可能だ。

ところでRaspbianは、RaspberryとDebianを合成して作られた名前だが、今後はRaspberry Pi OSと呼ばれることになった。とはいえ名前以外は何の変更もない。

関連記事:ラズベリーパイ財団がRaspberry Pi 4を発表

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

クラウドベースのコールセンターシステム「Aircall」が約70億円を調達

AircallがシリーズCで6500万ドル(約70億円)を調達した。このラウンドをリードしたのはDTCPで、Adam Streetも参加した。また、これまでに投資していたeFounders、Draper Esprit、Balderton、NextWorldも追加で投資した。Aircallの調達額の合計は1億600万ドル(約114億3000万円)になった。

Aircallは、電話に関するSaaS企業だ。例えばコールセンターの運営やサポート依頼の対応にAircallを利用して、営業チームのワークフローを改善することができる。

Aircallの共同創業者でCOO(最高執行責任者)のJonathan Anguelov(ジョナサン・アンゲロフ)氏は筆者に対し「我々は2年前に資金調達を実施し、エグゼクティブチームと強力なリーダーシップを確立して、この2年間でまさに自分たちがやりたかったことを成し遂げてきた」と述べた。

製品に関しては、Aircallは他社サービスと統合して従来のコールセンターのソリューションと差別化しようとしている。例えば、チームの誰かがすでにフォローアップしている見込み客がいれば、通話の情報をCRM内に表示することができる。あるいは緊急のサポート依頼を受けたときに、Zendeskから電話をかけることもできる。

最近では、要求の厳しいコールセンター運営に役立つよう、Chorus.aiやGongと統合した。これにより、会話を文字に起こして感情を分析できる。

この2年間でAircallの売上は4倍に、従業員数は2倍になった。同社はもともとフランスで起業したが、現在では売上の大半は米国であげている。ターゲットは従業員数が10〜1000人の中小企業だ。

Aircallは年間経常収益を明らかにしていないが、年間経常収益は過去2年間のキャッシュバーンの合計を上回っているという。2年前に2900万ドル(約31億3000万円)を調達したが、その資金はまだ使い切っていないとのことだ。

同社は2020年1月に投資家への働きかけを開始し、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大する中で調達を完了した。「我々の評価額は、前回のラウンドの3倍以上になった」とアンゲロフ氏は述べている。

現在の同社の従業員数は約320人だ。今回調達した資金で、開発者を増やし、営業チームを拡大し、オーストラリアに新たな拠点を開設することを計画している。

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(翻訳:Kaori Koyama)

長距離ライドシェアのBlaBlaCarが電動キックスクーターのVoiと提携、欧州でのサービスを拡充

長距離ライドシェアのスタートアップであるBlaBlaCarが、電動キックスクーターシェアリング事業に進出すると発表(BlaBlaCarのプレスリリース)した。しかし、同社は自社で電動キックスクーターを調達するわけでなはい。かわりにBlaBlaCarは、複数のラウンドで1億3600万ドル(約150億円)を調達した欧州の電動キックスクーターサービスのVoiと提携(未訳記事)する。

Voiは、パリ、マルセイユ、リヨンなど、ヨーロッパの数十都市で事業を展開している。今後数週間の間にVoiの電動キックスクーターには、Voi、BlaBlaCar、BlaBla Rideの3つのブランドが登場する。

既存のVoiのユーザーは引き続き同じアプリを使えるが、フランスではBlaBla Rideと呼ばれるようになる。なお、既存のBlaBlaCarユーザーはBlaBlaCarアカウントでログインできる。他の国のVoiユーザーは、アプリとサービスでVoiのブランドだけを見ることになる。

「BlaBlaCarは今回の提携は金銭的な取引ではなく、両プラットフォームのユーザーに利益をもたらす可能性のある提携」(AFP通信)だとしている。

BlaBlaCarはここ数年で、いくつかの新サービスをローンチした。例えばOuibusを買収し、BlaBlaBus(未訳記事)にリブランドしたこともある。またBlaBlaLinesとよばれる、自宅と職場間の毎日の通勤のための相乗りマーケットプレイスも運営している。

興味深いことにGrabやGojek、Uberとは異なり、BlaBlaCarは複数の異なるサービスにアクセスするためのスーパーアプリを構築していない。例えば、BlaBlaLinesはまだ別のアプリだ。そのため複数のサービスに興味を持っているユーザーにとってはいささか面倒になる。

同社は、BlaBla Rideがラストワンマイルの乗車に最適なソリューションになると考えている。バスや相乗りドライバーが市内中心部で降ろしてくれれば、その後は電動キックスクーターのロックを解除して目的地に到着できる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

フェイスブックはLibraのウォレットCalibraをNoviに改名し独立させようとしている

Facebook(フェイスブック)が、独自の暗号通貨プロジェクトであるLibraを発表した際、そこには2つの独立した要素が含まれていた。その1つはLibraアソシエーションで、Libraに関するすべてを監督する非営利団体だ。もう1つはCalibraで、こちらはLibraベースのウォレットを開発するフェイスブックの子会社となる。このウォレットは、WhatsAppやMessengerにも統合される。米国時間5月26日、フェイスブックはCalibraをNoviに改名すると発表した

CalibraをNoviブランドに変更することにより、フェイスブックはいわばLibraプロジェクトがフェイスブックのプロジェクトではないことを明白にしようとしている。フェイスブックは単なるLibraアソシエーションのメンバーであり、その点ではAndreessen Horowitz、Coinbase、Iliad、Lyft、Shopify、Spotify、Uberなど数十の他のメンバーと同じだ。

Libraのブロックチェーンはフェイスブックから独立して運営されることになるが、NoviはDavid Marcus(デイビッド・マーカス)氏が率いる、純然たるフェイスブックプロジェクトだ。同社によれば、Noviはラテン語で「新しい」を意味する「novus」と、「道」を意味する「via」に由来する合成語だという。

Novi最初の製品は暗号通貨ウォレットになるはずだ。独立したNoviというアプリをスマホにダウンロードできるようになるだろう。Noviのアカウントを作成するために、フェイスブックやWhatsAppのアカウントは必要ないが、MessengerとWhatsAppから直接アクセスすることも可能となる。その場合、ボタンをタップしてNoviメニューを表示し、Noviウォレット経由の送金や受け取りの操作ができるはずだ。

Noviではマネーロンダリングや本人確認規則についても、安心して利用できるものにしたいと考えている。Noviにサインアップする際には、公的な身分証明書の写真を撮影しなければならない。Noviでは、匿名による送金は受け付けない。

ただしNoviは、送金が即刻実行されることを保証し、国境を越える送金にも地元での支払いにも、「隠された手数料はない」ことを約束している。これはそもそも手数料が発生しないという意味なのか、発生する手数料を明確にするという意味なのか今のところは不明だ。

Libraアソシエーションは、最近になってホワイトペーパーを更新し、暗号通貨プロトコルに重大な変更を加えた。もはや同協会では、法定不換通貨と証券類のバスケットに紐付けられたグローバルなステーブルコインを開発しようとはしていない。

Libraが発行されると、複数のステーブルコインが流通することになる。それぞれ、USD(米ドル)、EUR(ユーロ)、GBP(英ポンド)、SGD(シンガポールドル)など、単一の法定不換通貨に裏打ちされたものだ。Noviのユーザーあるいは他のLibra対応ウォレットを利用するユーザーはLibraUSD、LibraEUR、LibraGBP、あるいはLibraSGDで送金したり、受け取ったりできるようになる。またNoviは法定不換通貨を暗号資産に変換したり、逆に暗号通貨を既存の法定不換通貨として現金化するための媒介としても機能する。

Noviは、Libraネットワークの稼働に合わせてウォレットをリリースする予定だ。当初はそのサービスにアクセスできる国は限られることになる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

フランスのスタートアップAngellがSEBと提携してGPSとSIM内蔵の電動自転車の製造を開始

フランスのスタートアップAngellは、SEBと広範囲のパートナーシップを締結した。SEBは、All-Clad、Krups、Moulinex、Rowenta、Tefalなどのブランドを傘下に持つ調理器具・家電メーカーグループだ。この契約の一環として、フランスのディジョンに近いIs-sur-Tille(イス=シュル=ティーユ)の工場で、SEBがAngellの電動自転車を製造する。

SEBの投資部門であるSEB Allianceは、Angellに出資もしている。契約条件は明らかにされていないが、AngelではSEBを含む投資家グループから、760万〜2170万ドル(約8億1400万〜23億2500万円)の資金調達を計画しているという。

「当初私たちは、2020年中に1500台の自転車を製造する予定でした」と、Angellの創立者であるMarc Simoncini(マーク・シモンシニ)氏は語った。「気が付くと、期待していたより多くの自転車を販売していました。現在では、1万台の販売を見込んでいます」。

Angellは、この6か月間で、2000件の予約注文を受け付けた。内訳は、フランス国内が75%、その他の国が25%となっている。しかし、フランスでのロックダウンの影響で、予約注文は劇的に増加した。5月の注文数は、これまでの月間平均の3倍になるとAngellでは見込んでいる。

当初Angellでは、独自に工場を建設し、自ら自転車を組み立てる計画を立てていた。SEBでは、すでに25人の従業員を生産ラインに割り当て、5月末にも製造を開始することにしている。これによって物事がはかどり、遅れがちだった生産計画も軌道に乗るはずだ。

関連記事:Angell is a smart bike with an integrated display

AngellがスマートEバイク(電動自転車)を発表したのは、2019年の11月だった。アルミフレーム、一体型ライト、取り外し可能なバッテリーを備え、2.4インチのタッチスクリーンを装備したもの。

CowboyVanMoofなど、他の「つながる」Eバイクと同様に、AngellもBluetoothを利用してスマホとペアリングできる。それによってAngellは、ロックとアラームシステムも統合する。内蔵のGPSチップとセルラーモデムにより、自転車が盗まれた場合には追跡も可能だ。

しかしAngellは、統合ディスプレイの装備によって、他社より一歩先を行っている。パワーアシストのレベルを選択したり、速度、消費カロリー、バッテリーレベル、走行距離、といった情報を表示できる。目的地までのナビゲーション機能も備えている。ハンドルが振動して、左折や右折のタイミングを知らせる機能まで統合したものだ。

同社は先日、2番目のモデルとなるAngell/Sも発表した。ステップスルーフレームを採用した、小型軽量バージョンだ。どちらのモデルも、同じバッテリー、同じモーター、同じ電子制御機能を備えている。価格も同じで2690ユーロ(約31万円)となっている。

Angellは今のところ、7月にEバイクの最初のバッチを出荷する予定としている。夏の終わりまでには、新たに注文しても、10日以内に受け取ることができるようになる。最終的には、フェンダー、荷カゴ、ミラーなど、アクセサリーもフルラインアップで提供する予定だ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

フランスでヘイトコンテンツの24時間以内の削除をプラットフォームに強制する法案が可決

フランスの下院議会は、論争の的となっていた法案を可決した。法案はソーシャルネットワークとオンラインプラットフォームにおけるヘイトスピーチに対抗するものだ。

画像クレジット:Stéphanede Sakutin / AF / Getty Images

私が既に2019年に説明したように、これでオンラインプラットフォームは、フラグが立てられた反社会的なコンテンツを24時間以内に削除しなければならなくなる。さもなければ、この法律に違反したとして毎回多額の罰金を支払う必要が生じる。

反社会的なコンテンツとは、どんなものを指すのだろうか? 基本的にオフラインの世界で違反行為あるいは犯罪と見なされるものは、今やオンラインプラットフォームでも、反社会的なコンテンツと見なされることになる。特に殺害予告、差別、ホロコーストの否定といったものは、まっ先に挙げることができる。

最も極端なカテゴリーとして、テロリストによるコンテンツや児童ポルノについては、オンラインプラットフォームは1時間以内に対応しなければならない。

オンラインのヘイトスピーチが手に負えないものになってきている一方で、多くの人は、オンラインプラットフォームによるコンテンツの検閲が、あまりにも性急なのではないかと懸念を抱いている。そうした企業は罰金が科されるリスクを冒したくないので、法律に違反していないコンテンツでも、確信が持てないために削除する可能性がある。

基本的にオンラインプラットフォームは、自分自身を規制する必要がある。その上で政府は、彼らが適切な仕事をしているかどうかをチェックする。「銀行に対する規制機関と同じようなものです。彼らは、銀行が効率的なシステムを施設していることを確認し、そうしたシステムの運営を監査します。これについても同じように考えるべきでしょう」と、フランスのデジタル大臣であるCédric O(セドリック・オー)氏は2019年のインタビューで私に述べていた。

罰金には複数のレベルがある。最初は数十万ユーロ(数千万円)だが、悪質なケースの場合には、上限としてその会社の全世界の年間収益の4%に達する可能性もある。視聴覚最高評議会(CSA、Superior Council of the Audiovisual)が、こうした案件を担当する規制当局となる。

ドイツは既に同様の規制を採択しており、欧州連合レベルでの議論も続いている。

関連記事:What does ‘regulating Facebook’ mean? Here’s an example

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

フランス政府が接触者追跡アプリのソースコードの一部を公開

フランス国立情報学自動制御研究所であるInriaは、フランス政府の接触者追跡アプリ「StopCovid」を動かすプログラムのソースコードの一部をリリースした。いくつかのGitLabリポジトリに分け、Mozilla Public License 2.0に基づいて利用できるようになっている。フランス政府は、すべてをオープンソースにすると発表していたが、実際にはそれよりも多少複雑な状況になりそうだ。

Inriaが発表資料に書いているように、このプロジェクトは現在3つの部分に分かれている。インフラに関する重要度の高い要素は、GitLabリポジトリとして利用できるようにはならない。その代わりInriaは、セキュリティ実装に関するドキュメントのみをリリースする予定としている。それも、ANSIAと、フランスのデータ保護に関する監視機関CNILが、この面でもある程度の透明性を確保することを促したからだ。

2番目の部分は公にリリースされる予定となっている。ただしInriaは、外部からの貢献は求めない。デベロッパー用語で言えば、プルやマージのリクエストには応じない。ここに含まれるのは、主にユーザーインタフェースに関するもので、接触者追跡プロトコルとは直接のやり取りのない部分となる。

3番目の部分は、接触者追跡プロトコルと、その実装を含んでいる。これについては、Inria自身と、StopCovidに取り組んでいる企業や研究チームのコミュニティが、外部からの貢献を求めている。プライバシーとセキュリティに関して、プロトコル自体を改善するためだ。

フランスでは、ROBERTと呼ばれる集約型の接触者追跡プロトコルを推進している。InriaとFraunhoferが、その仕様をリリースした際に、私は同プロトコルの長所と短所を分析した

それは、Apple(アップル)とGoogle(グーグル)による接触者追跡APIとはかなり異なっている。ROBERTは、中央のサーバーを使用して永続的なIDを割り当て、その永続的なIDに関連付けられた複数の一時的なIDも割り当てる。スマートフォンは、周囲にいる他のアプリユーザーの一時的なIDを収集しておく。誰かが新型コロナウイルスに対して陽性であると診断された場合、サーバーは、その人が接触を持った人たちに関連付けられたすべての一時的なIDを受信する。もし、ユーザーの一時的なIDの1つ以上にフラグが付けられると、そのユーザーは通知を受け取ることになる。

このような匿名のシステムを選択するということは、その実装が完璧なものであると、政府を信頼する必要が生じることを意味する。たとえば、サーバーと通信する際、アプリがありとあらゆる情報を送信するように作られていれば、サーバー側で永続的なIDに実名を関連付けることも可能になってしまうからだ。

Inriaによれば、すべてがうまくいった場合、StopCovidは6月上旬にもリリース可能であるという。フランスのデジタル大臣であるセドリックO(Cédric O)氏は、テレビのインタビューで、政府としては6月2日にStopCovidをリリースしたいと考えていることを表明した。

関連記事:Hundreds of French academics sign letter asking for safeguards on contact tracing

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

スピード重視の新しいタスクマネージャーKairnが登場

Kairnは、ステルスから抜け出したばかりの新しいスタートアップ。これまでの仕事の成果のプレビューを公開した。Wunderlistが閉鎖される中、Kairnとしては革新的なタスク管理サービスにはニーズがあることを証明したいと考えている。

「私たちは、スマートで、タスクのキャプチャに重点を置いたタスクマネージャーを開発しています」と、共同創立者でCEOのパトリシア・バーナスコニ(Patricia Bernasconi)氏は述べている。Kairnは、eFoundersの支援を受けている。過去数年にわたって、人気の高いサービスとしてのソフトウェアを開発するスタートアップを立ち上げてきたスタートアップスタジオだ。

Kairnは、とりあえずSlack、WhatsApp、Gmailという、3種のサードパーティのサービスとの統合を実現している。たとえばGmailで、電子メールの会話にスターを付けると、Kairnでタスクが自動的に作成される。同様にSlackでメッセージにスターを付ければ、そのメッセージがTo Doリストに表示される。またWhatsAppでは、メッセージをボットに転送することで、Kairnがキャプチャしてくれる。

「アプリを毎回切り替える必要はありません。いつもその場でタスクを作成できるのです」と、バーナスコニ氏は言う。

また、別のアプリを使っている最中でも、Kairnのクイック追加ウィンドウを表示してタスクを追加できる。ここで重視しているのは、タスクリポジトリ、この場合はKairnにタスクを入力するのは、できるだけ簡単であるべきだということ。

そうしてタスクを入力した後は、メインのKairnデスクトップアプリを開き、タスクの受信トレイをチェックして、何をすべきか確認できる。タスクのリストは、元のアプリケーションでフィルタリングすることもできる。また、タスクをクリックして、電子メールのスレッドや、Slackメッセージのコンテキストを確認することも可能だ。

Kairnでは、ここからタスクをメインリストの「My Day」に移動できる。これは、WunderlistやMicrosoft To Doとほぼ同じような感じで使える。1日に1回、タスクのリストを精査し、あとはそのリストに従って行動すればいい。

Karinは、この4月に開発を開始したばかりで、これはまったく新しい製品となる。ベータテストも数週間以内に開始する予定だ。更新が素早いのもウリの1つで、新機能も準備ができしだいリリースしていくつもり。

モバイルアプリもまだ開発中だし、タスクを追加する方法も、今後さらに追加していく予定だ。たとえば、ブラウザーに表示されるテキストの一部を選択し、そこからタスクを作成することなどが考えられる。

Karinは、時間をかけて、徐々に本格的なタスク管理サービスにしていきたいと考えている。やがて、選んだタスクを、複雑なプロジェクト管理シナリオとして利用することもできるようになるだろう。このスタートアップがどこに向かおうとしているのか、しばらく目を離さずにいるつもりだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

再生品デバイス市場を開拓するBack Marketが約128億円を調達

フランスのスタートアップであるBack Marketは、Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)、Aglaé Ventures(アグラベンチャーズ)、Eurazeo Growth(エウラゼオグロース)から、新規に1億2000万ドル(約128億円)の資金を調達した。同社はスマホや他の電子機器のリファービッシュ(再生)品の市場を運営している。

Back Marketは、自社でデバイスを再生しているわけではない。その代わりに認定販売者と提携して、同社が運営するサイトに商品を掲載してもらう。売り手を安心させ、このプラットフォームで販売してもらうために12カ月の保証も用意した。

現状で、Back Marketを利用して再生品を販売する認定販売者は1000を数える。言い換えれば、以前の再生品業界は分断化されたものだったが、Back Marketはその供給と需要を集約して単一のオンラインプラットフォームにまとめた。現在、米国、フランス、スペイン、ドイツ、イタリア、ベルギー、英国、オーストリアで事業を展開している。

今回の資金調達ラウンドの後でも、同社は多くの新しい国に事業を拡大しようとは考えていない。その代わり、米国、英国、ドイツといったコアな市場により力を入れていくつもりだ。

同社としては、品質管理チームを拡充させ、リファービッシュに関する新たなサービスを導入することにしている。それによって、この業界のより多くの部分をコントロールしたいと考えている。例えば販売者向けのスペアパーツの調達や、共通のテストプロトコルの導入などが考えられる。

スマホやガジェットの再生品は、今後数年に渡って大きなチャンスをもたらすだろう。まず第1にここしばらくの間、新しいスマホに対する需要は着実に減少している。既に持っているスマホが、かなり高速で、機能的にも十分なのに、新製品のスマホを購入することを正当化するのは難しい。

第2に、環境への負担を低減する方法について真剣に考えている消費者は多い。スマホメーカーはリサイクルプロセスを非常に重視しているものの、その点では、常に中古のデバイスの方が新品のデバイスよりも有利だ。

第3に、Samsung(サムスン)、Apple(アップル)、その他のスマホメーカー、ほとんどひと財産と思えるような価格で、超プレミアムなモデルを販売している。多くの人は、1000ドル(約10万7000円)を超えるようなデバイスを購入する余裕はない。そして、そうしたデバイスも、数年のうちにはBack Marketで安価に入手できるようになる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

フランス人研究者ら、接触追跡に関してプライバシー保護を求める書簡に署名

471人の暗号技術とセキュリティのフランス人研究者らが、接触追跡アプリが持つ潜在的リスクへの認識を高めるための書簡に署名をした。フランス議会では明日、ロックダウンの解除後に関するすべてのことが議論されるが、その議題には接触追跡アプリ「StopCovid」も含まれている。

署名を行った研究者のうち77名がフランスの研究機関、Inria(フランス国立情報学自動制御研究所)に在籍している。Inriaは、政府が後ろ盾となっている接触追跡アプリ「ROBERT」が使用する接触追跡プロトコルの開発に携わっている機関である。この書簡を確認すると、InriaがROBERTに対して問題意識を持っていることがわかる。

書簡には、「こうしたアプリはすべて、プライバシーや個人の権利の保護に関する重大なリスクを引き起こす。この大量監視は、個人のインタラクショングラフ、つまりソーシャルグラフを収集することで実行可能である。これはスマートフォンのオペレーティングシステムレベルで行われる可能性がある。アプローチによって多少の差異はあるものの、オペレーティングシステムメーカーや政府がこのソーシャルグラフを簡単に再構築することが可能である」と記載されている。

この書簡には、接触追跡プロトコルの中央集中型実装と分散型実装に関する徹底的な分析にも触れている。この分析には、「DP-3Tプロトコル」やROBERTを弱体化させる攻撃のシナリオが複数含まれている。

明日開催される議会での討論に先立ち、研究者らは「デジタルソリューションがもたらす健康上の利点について、専門家による徹底的な分析が必要不可欠である。引き起こされるリスクを妥当なものだとするには、重要な証拠がなければならない」と表明している。

さらに彼らは、すべての技術的選択を文書化し正当性を証明する、データ収集を最小限に留める、人々はリスクを認識し接触追跡アプリを使用するかどうか選択する権利を認める、などあらゆるレベルにおいてさらなる透明化を図ることを求めている。

欧州では、数週間前から複数の研究者グループが異なるプロトコルの開発に取り組んでいる。具体例を挙げると、DP-3Tはスマートフォンを利用して社会的交流を算出する分散型プロトコルの開発に取り組んでいる。ユーザーのデバイスに一時的なIDが保存され、ユーザーが中継サーバーにそのIDを共有することを承認すると、それがアプリユーザーのコミュニティーに送信される。

PEPP-PTは、中央サーバーで接触を照会するのにスードニマイゼーション(仮名化)を使用する中央集中型プロトコルをサポートしている。国家機関が中央サーバーを管理しているため、プロトコルが適切に実装されなければ国家による監視につながる可能性がある。ROBERTはフランスおよびドイツの研究者により設計されたPEPP-PTの一種である。

フランス政府は接触追跡アプリの利点について常に慎重な姿勢を見せているが、その実装方法についてはあまり議論されていない。フランス政府から正式な支援を受けているInriaとFraunhoferは先週、ROBERTプロトコルの仕様書を発表した。

多くの人々(私も含め)は、政府が一般市民にだまって不正な行為をしないと信じる必要があるため、設計について選択の幅が与えられることを要求している。中央集中型のアプローチでは、政府が人々の交流や健康に関する大量のデータを持つことになるため、エンドユーザーからの多大な信頼が必要となる。ROBERTでは確かにスードニマイゼーションが施されているが、その仕様書に記載されているにも関わらず、アノニマイゼーション(匿名化)は施されていない。

さらにROBERTは、AppleとGoogleが開発中の接触追跡APIを使用しない。フランスのデジタル経済大臣Cédric O氏はブルームバーグ社によるインタビューの中で、Appleに対しBluetooth制限を解除するよう求めていることを明らかにした。AppleとGoogleは分散方式で実装されるAPIを提供しているため、フランス政府からの圧力に屈するメリットはほとんどない。

4月26日、ドイツ政府は当初検討していた中央集中型アーキテクチャのプランを中止し分散型アプローチを取ることを発表。依然として中央集中型アプローチを支持するフランスおよびイギリスと袂を分かつ形となった。

フランスのデータ保護監視機関CNILはROBERTに関する慎重な分析を発表し、その中で当該プロトコルがGDPRに準拠している可能性があると述べた。しかしCNILは、StopCovidを確実に理解するには、プロトコルの実装に関するより詳細な情報が必要だとしている。

また、欧州データ保護監督庁(European Data Protection Supervisor:EDPS)もフランス議会が直面するこの議論は非常に重要であるとし、ツイッターで「この議論は直近の未来だけでなく、今後数年にわたり影響を及ぼすだろう」と述べている

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(翻訳:Drangonfly)

“新型コロナウイルス

VCファームPartechが100億円規模のシード期投資専門ファンドを立ち上げ

VCファームのPartech(パーテック)がシード期の投資を専門とする新たなファンドを立ち上げた。Partech Entrepreneur IIIという名称の新ファンドは同社にとって3つめのシード投資ファンドとなる。前のファンドのクロージングを発表したのは2016年12月のことだ。

PartechはプレシードからプレシリーズAまで、かなりアーリーステージにある企業を投資している。スタートアップのステージに応じて、わずか数十万ドル(数千万円)から最大数百万ドル(数億円)までの投資に応じる。そして同社は好調なスタートアップについては、その後に訪れるシリーズA、シリーズBでの再投資に積極的だ。

Partechは特に6つの分野にフォーカスしている。健康、労働、商業、金融、モビリティ、コンピューティングだ。かなり大雑把な分類だが、Partechはシード投資を専門とする投資家10人で構成するチームを有する。投資家らはパリ、サンフランシスコ、ベルリンに拠点を置いている。

過去にPartechは3つのシード投資を通じて22カ国で投資160件をクローズした。同社はフィードバックや紹介を行なったりポートフォリオの拡大を手伝ったりすることができる400人もの創業者のコミュニティを抱えている。そうした創業者たちの3分の1がシード投資のリミテッドパートナーだ。

投資160件のうち、スタートアップの17%で共同創業者の少なくとも1人が女性となっている。過去2年間でPartechが支援したスタートアップの29%のシード期に女性の共同創業者がいた。

Partechはここしばらく今回のファンドの立ち上げを展開していて、つまりファンドの一部を既に投資している。同社は新たなファンドを通じてスタートアップ40社以上に投資し、ここには新型コロナウイルス(COVID-19)による経済危機が始まってから投資を開始した10社が含まれる。

Partechが以前投資した企業には、Aiden.ai、Dejbox、Frontier Car Group、Pricematch、Streamroot、Alanなどがある。

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(翻訳:Mizoguchi

フランスの配信サービスMolotovが教育用ビデオを提供

フランスでは3月に学校が休校になった。そこでフランスのスタートアップのMolotovは、自社のテレビ配信サービスを利用して幅広い年齢の子供向けコンテンツを提供する。特に、ビデオや演習などのコンテンツを提供するSchoolMouvと提携する。

Molotov for School」と名付けた新しいセクションから、子供向けのビデオを視聴できる。France 4、Arte、TF1、M6といったフランスのテレビ局の教育関連コンテンツが集められている。

このようなキュレーションの取り組みに加え、ユーザーはSchoolMouvのビデオもアプリから見ることができる。中学と高校のあらゆる科目をカバーする約1000本のレッスンがある。SchoolMouvの利用料金は通常は30ユーロ(約3500円)で、現在は15ユーロ(約1750円)に割引されている。

MolotovはSchoolMouvのビデオを5月15日まで無料で提供する。インタラクティブな演習は利用できないが、SchoolMouvのビデオを2020年5月まですべて視聴できる。クレジットカード情報を入力する必要はない。

さらにMolotovは、歴史上の出来事や科学の話題に関するドキュメンタリーも提供する。保護者は子供が学習についていけるように多くの時間をかけて教員と連絡を取り合っているが、Molotovは忙しい保護者の役に立つかもしれない。

Molotovはこの機に、現在1000万人の登録ユーザーがいることを公表した。2019年、通信・メディア企業のAlticeがMolotovの過半数の株式を取得すると発表した際、Molotovの登録ユーザー数は700万人だった。Alticeは過半数の株式を取得したが、Molotovは独立した企業として事業を継続している。

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(翻訳:Kaori Koyama)

GoProが従業員20%相当の200人を解雇、事業モデルも見直し

アクションカメラ製造のGoProはかなりの組織変更を発表した。その柱が、従業員200人超を解雇するというものだ。これは従業員数20%減を意味する。

GoProは人員削減と併せて一部のオフィスを閉鎖する。5カ所のオフィスを閉鎖し、2020年に事業費を1億ドル(約107億円)削減するつもりだ。そして2021年には事業費をさらに2億5000万ドル(約269億円)減らすとしている。GoProはTechCrunchに対し、2021年は人員削減せずに事業費を抑制すると説明している。

その裏で、GoProはビジネスモデルに抜本的な変更を加えている。同社はカメラやアクセサリー、サブスクなどを販売しているが、メーンの販売店となるGoPro.comを活用して消費者直結型のモデルに切り替える。

同社は多くの小売店舗でのデバイス販売を取りやめるが、多く売り上げている一部の地域の選ばれた小売店とは関係を維持する見込みだ。

だが、GoPro.comでの直接販売が同社の未来であり、これは収益改善に貢献するはずだ。GoPro自身が小売になれば、小売店に手数料を払わなくてもいい。2019年にGoPro.comでの販売は欧州での売上高の20%超を、米国では20%近くを占めた。

「GoProのグローバル流通ネットワークは新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックで影響を受けていて、今後はより効率的で収益性のある消費者直結を中心に据えた事業に移行する」と創業者でCEOのNicholas Woodman(ニコラス・ウッドマン)氏は書いている。「チームの多くの有能な人を解雇せざるを得ないというのは悔しい。彼らのこれまでの貢献には今後も感謝する」

レイオフに加え、販売・マーケティングの支出も2020年以降カットされる。ウッドマン氏は年内、給料は受け取らない方針だ。役員会もまた報奨金は受け取らない。

GoProは第1四半期と2020年の決算ガイダンスの発表を見送ったが、売上高は1億1900万ドル(約128億円)、non-GAAP1株あたり利益は0.30〜0.40ドル(約32〜43円)の赤字を見込んでいる。取引開始前の執筆時点で、GoProの株価は15日終値より3%安い2.58ドル(約278円)で取引されている。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi

フランスの裁判所がアマゾンは必需品以外の注文を制限すべきと判決

フランス・ナンテールの裁判所は、Amazon(アマゾン)が今後数週間のうちに、フランス国内での注文を大幅に制限すべきだとの判決を下した。AFPある労働組合が入手した判決によると、アマゾンは食料品や衛生、健康関連商品の注文のみ受け付けられるという。

アマゾンは24時間以内に判決に従わなければ、1日あたり100万ユーロ(約1億2000万円)の罰金がかせられる。

フランスでは新型コロナウイルスによる大規模なロックダウンが始まって以来、アマゾンは既に非必需品よりも必需品を優先している。つまり、アマゾンでビデオゲームを注文した場合、自宅に届くまでに1週間以上かかる可能性があるということだ。

しかし、フランスにある6カ所のフルフィルメントセンターはすべて、米国時間4月14日現在も通常通り運営されている。3月にMediapartは、アマゾンの幹部が倉庫労働者を守るために十分なことをしていないと発言している音声記録を共有した。例えばソーシャルディスタンス(社会的距離)を尊重するのは特に難しい、といったものだ。

これまで、フランスでは少なくとも1人のアマゾンの従業員が、新型コロナウイルスに感染していると診断された。労働組合のSud Solidairesは裁判所命令に触れ、従業員を保護するために倉庫を完全に閉鎖するようアマゾンに求めた。

裁判所は、このような状況下ではアマゾンは通常通りの運営を続けることはできないと判断した。しかし、同社はまだ必需品の注文を受けつけることができる。今後さらに受注を増やすのであれば、業務の見直しが必要となる。

Le Parisienによると、この判決は新型コロナウイルス(COVID-19)に関連するリスク審査が終わるまで、最長1カ月間有効であるという。また、裁判所は制限の延長を決定することができる。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Yelpが従業員1000人解雇、1100人超を一時帰休に

Yelpの共同創業者でCEOのJeremy Stoppelman(ジェレミー・ストッペルマン)氏は社内電子メールで、同社が困難な時期に突入すると明らかにした。Yelpは経費を削減しなければならない。これはかなりの解雇と、さらなる措置を意味する。従業員1000人が解雇された。

米証券取引委員会に提出された書類によると、Yelpは2019年12月31日時点で5950人を雇用していた。つまり今日の解雇は全従業員の17%に相当する。

同社はストッペルマン氏の電子メールを同社のウェブサイトで共有した。解雇に加え、従業員1100人が一時帰休となっている。一時帰休の従業員は次の通知があるまで無給とされ(一部例外はある)、2週間分の給与と福利厚生を受ける。

解雇を検討する前に、Yelpはさまざまな方法でのコスト削減を試みた。同社はサーバー経費を削減した。これはモバイル、ウェブサイトの両方でトラフィックが減少していることを考えれば当然のことだろう。

多くのプロジェクトが「優先されず」、幹部たちは20〜30%の給与減を受け入れた。ストッペルマン氏は今年残りは給与も株の配当も受け取らない。

「フィジカル・ディスタンシング(接触を控え、距離を保つこと)や外出禁止令は感染拡大を抑制するために必要なものだが、その一方で我々のミッションの基幹である地域の事業にはかなりの逆風となっている」とストッペルマン氏は書いている。「最も人気のカテゴリーであるレストランへの関心は3月10日以来64%落ち込み、ナイトライフ部門は81%減だ。ジムは73%減で、美容室や美容業界は83%減となっている」

Yelpが、ユーザーの近所でのベスト事業をレコメンドするのにフォーカスしている事業であることを考えれば、ロックダウンはもろに響く。利用の減少は広告収入減をも意味する。レストランチェーンが閉店すればYelpでお金を使うことはなくなる。

Yelpは解雇と福利厚生にかかる費用として800万〜1000万ドル(約8〜10億円)を見込んでいる。Yelpの株は昨日の終値より0.46%アップの21.74ドル(約2360円)で取引されている。

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(翻訳:Mizoguchi