フランスが新型コロナ抑制のためのBLEを利用した感染者追跡アプリの準備を正式表明

フランスの保健相Olivier Véran(オリビエ・ベラン)氏とデジタル相のCédric O(セドリック・オー)氏は、フランス政府が新型コロナウイルス(COVID-19)拡大を抑制するためのスマートフォンアプリに取り組んでいることを正式に明らかにした。「Pan-European Privacy-Preserving Proximity Tracing」(PEPP-PT)というプロジェクトにゴーサインを出すものだが、このアプリの今後については慎重姿勢を崩していない。

新型コロナを追跡するモバイルアプリを使うことは欧州ではセンシティブな問題だ。数十もの非営利団体が政府に対して人権を尊重するよう共同声明を出した。

非営利団体が恐れるのは、政府が規制に反する広範の監視手法を強行する機会として利用すること、新型コロナ危機後も使用することだ。個人情報を適切に扱わなければEU市民は感染者追跡アプリを信用しないと予想されることから、欧州委員会は各国政府に「適切なセーフガード」を講ずるべきだと釘を刺した。

だからこそフランス政府は、Stop Covidアプリをリリースする前に、予防的に人々を安心させようとしているのだろう。声明によると、デジタル省はテックベースのこの試みをうまく機能させるために、保健省、法務省、高等教育・研究・イノベーション省と取り組んでいる。

先週明らかになったドイツのフラウンホーファーハインリッヒヘルツ研究所(HHI)が主導するPEPP-PTプロジェクトは、複数の国にまたがる数十の研究機関が共同で実施する。フランスのINRIAはそのメンバーで、フランス政府はPEPP-PTの取り組みの一環としてINRIAに喜んで協力している。

彼らは感染者追跡アプリを開発するためにオープンの基準に取り組んでいる。そうしたアプリは、同じアプリを使っている他のスマホを特定するのにBluetooth Low Energyに頼ることになる。もしあなたが感染者の近くにいると、あなたに通知が送られる。

そしてフランス政府は、フランス国内に住んでいる人を追跡するためのアプリが登場すると話す。そのアプリはPEPP-PTプロトコルを使う。

感染者追跡アプリに賛成する人は、そうしたアプリを積極的なウイルス検査や自己隔離と組み合わせれば、感染の連鎖を断つのに役立つだろう、と言う。

ル・モンド紙とのインタビューでオー氏とベラン氏は取り組みの詳細を語った。フランスはこのアプリをインストールするよう人々に強制せず、「Stop Covid」はBluetoothを使うだけだという。プロトタイプに現在取り組んでいるが、開発には3〜6週間かかるとのことだ。

それでも、フランス政府はアプリをリリースしないかもしれない。「Bluetoothは人と人の間の距離を測定するようデザインされたものではないため、テクニカル的な問題を解決できるか定かではない。そうしたアプリの展開が役に立つのかどうか、後で判断する」とオー氏はル・モンド紙に語った。

プライバシーに関しては、アプリはオープンソースでフランスの監視団体CNILに発言権がある、とオー氏は話す。TechCrunchはCNILにコメントを求めたが「コメントするには時期尚早」とのことだった。

さらに重要なことに、フランスでのPEPP-PTプロトコル実行についての詳細はまだ詰められていない。プライバシー専門家がシステムのデザインについて問答している。一部の専門家は可能な限り分散化すべき、と主張する。スマートフォンはあなたの社会的関わりを記録し(セキュリティとプライバシー対策のために頻繁にIDが変わるEphemeral Bluetooth識別子を介して)、定期的に感染者のEphemeral  Bluetooth識別子を探すというタスクを実行する。

PEPP-PTプロジェクトは現在、集中型アプローチと分散化アプローチの両方をサポートしている。つまり各国政府はどちらを実行するか決めなければならない。集中型のシステムでは、サーバーは各ユーザーに匿名化された識別子を割り当て、あなたの社会的関わりについてのデータを集める。各ユーザーは関わった人が感染しているかどうかをチェックするために識別子の状態を確かめることができる。これは単一障害点を生み出す。誰かが匿名の識別子を個人の名前とマッチさせることができるのではないかというリスクだ。

デジタル省はまた、フランスが新型コロナ感染拡大の状況を把握し、新型コロナ治療を改善し、フランスでのロックダウンを終わらせるためにテック全般をいかに活用しているかについて詳細に語った。

現在取り組んでいるアプリに加えて、フランス政府は人々に情報を提供するために公式ウェブサイトを展開し、患者の診察に遠隔診療サービスを勧めている。また、人々が国内をどのように移動しているのかを理解するために通信会社提供の集合データを分析し、新型コロナ流行を予測するためのビッグデータに機械学習を用いている。

画像クレジット: Geoffroy Van Der Hasselt / AFP / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi

モバイル決済アプリのLydiaが医療機関などに寄付できる機能を導入

フィンテックスタートアップLydia(リディア)は本拠地のフランスで330万人ものユーザーを抱える、同国を代表するモバイル決済アプリだ。それゆえに同社は、当初2020年夏のデビューを予定していた機能のリリースにこの10日間ほど懸命に取り組んできた。その機能とは、チャリティーや病院への寄付を行うためのものだ。

Lydiaユーザーは米国時間4月6日、17のチャリティーから選んでお馴染みのLydia決済手順で送金できるようになった。友達や家族に送金するような流れだ。

寄付は0.5ユーロ(約59円)から可能で、そのつど完了する。定期的な寄付の設定やまとめた寄付は不可だ。

Lydiaはつい最近、少額融資や携帯電話保険、火災保険・公共料金支払いのための無料クレジットといった金融商品のマーケットプレイス「the market」を導入した。マーケットのメニューはプロフィールタブの中に埋もれていた。そして現在、同社はメニューをユーザーアカウントと決済履歴の横のタブに置かれており、その中に寄付のボタンが加わった。

別の方法で寄付することもできる。決済画面で金額を入力して「次へ」をタップするときに、いつもの受取手が並んでいるリストからチャリティを選んで送金することができる。この機能は現在Android端末で利用でき、間もなくiOS端末でも使えるようになる。iOSユーザーは目下、the marketのメニューからのみの利用となる。

Lydiaは17のチャリティを選んでいるが、今後さらに増える見込みだ。リストには公立病院(パリ、ナント、ストラスブール、グルノーブル、リール、ニース)、健康にフォーカスしているチャリティ、そして一般的な公益チャリティ(フランス財団、Fondation 101、世界の医療団、Epic、Action contre la Faim、フランス赤十字社、アベ・ピエール財団、対がん連盟、Réseau Entourage、La Maison des Femmes de Saint-Denis)がある。

もしあなたがLydiaユーザーでなくても、ウェブブラウザからクレジットカードやデビットカードでLydiaの決済を使うことができる(もちろんチャリティのウェブサイトから直接寄付しても構わない)。

また多額の寄付をし、所得税で控除を受けたい場合は、チャリティに直接依頼しなければならない。Lydiaは仲介するだけなので控除を受けるための書類を発行できない。

Lydiaは最終的にはチャリティに寄付する際、その額から手数料を差し引くつもりだ。しかし新型コロナウイルス(COVID-19)危機対応として6月30日まで手数料を免除する。

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(翻訳:Mizoguchi

ScalewayがマネージドKubernetesクラスターをローンチ

クラウドホスティング企業のScalewayが立ち上げたKubernetes Kapsuleは、ユーザーがScalewayのインフラ上でKubernetesのクラスターを管理するためのサービスだ。このサービスはScalewayの複数のインスタンスで利用でき、需要に応じてスケールする大きなクラスターを作ることもできる。

Kubernetesは、コンテナとそれらを支えるインフラストラクチャを管理するオープンソースのプラットホームだ。コンテナを利用するアプリケーションを作るときは、アプリケーションを複数のアプリケーションやサービスに分割し、それらを個々にデプロイしアップグレードできる。その際、メインのオペレーティングシステムと対話することはない。

そしてKubernetesを使うと、サーバーのノードやコンテナを増やしてインフラストラクチャをスケールできる。そうするとピークに対応した十分な量のリソースを常時確保できる。スケールダウンしてお金を節約することもできる。

ScalewayのマネージドKubernetesサービスは無料なので、使用するノード(サーバー)に対してのみ料金を払えばよい。Scalewayはユーザーのノードの稼働状態を15分ごとにチェックし、必要に応じてクラスターをスケールする。ユーザーには自分のクラスターをモニターするWeb上のダッシュボードが提供される。

同社によると、コントロールプレーンには多少冗長性があるので、ユーザーのコントロールプレーンがエラーになっても利用できる(99.95%のSLAだ)。一度に500のノードをサポートする。

KapsuleはScalewayのクラウドインスタンスとGPUインスタンス、ブロックストレージ、およびロードバランサーをサポートする。同社はまた、ユーザーのコンテナを保存するためのコンテナレジストリを提供している。クラスターの作り方を図解すると、下図のようになる:

KapsuleはCloud Native Computing Foundation(CNCF)のスタンダードに準拠しているので、既存のCNCFクラスターをScalewayに移行できるし、マルチクラウドのインフラストラクチャを作ることもできる。

マネージドKubernetesサービスによってScalewayは、エンタープライズや大企業の顧客を増やせるだろう。冗長性のために余分のクラウドホスティングプロバイダーを確保しておきたい、というニーズにはぴったりだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

暖房としても使えるコンピューターサーバーで7億円超を調達したQarnot

フランスのスタートアップQarnotは、資金調達ラウンドで650万ドル(約7億500万円)の資金を獲得した。同社はちょっと変わった機能を持ったヒーターとボイラーを製造している。それらはコンピューターを搭載しているのだ。そしてコンピューターを熱源として使う。さらにQarnotは、そうしたちょっと普通ではないサーバーの上でタスクを走らせて、そのコンピューティングパワーも活用する。

今回の資金調達ラウンドに参加したのはBanque des Territoires、Caisse des Dépôts、Engie Rassembleur d’Énergies、A/O PropTech、それにGroupe Casinoの各社だ。

データセンターを設計する際には、電気をコンピューティングリソースと熱に変換することになる。データセンターは、強力な冷却メカニズムとして熱を取り除くための巧妙な新しい機構を常に求めている。

Qarnotのデータセンターは、熱と戦うのではなく逆に熱を利用している。同社が最初に作ったのはコンピューティングヒーターだった。つまり、サーバー機能付きの電気ヒーターだ。同社はこうした機器を、新築の建物の暖房器具を探している建設会社に売り込んでいる。

こうした建物に住んでいたり、そこで働いている人たちはヒーターを直接操作したり、モバイルアプリを使って暖房をコントロールできる。現在、約1000戸の賃貸住宅がQarnotによって温められている。

コンピューティングパワーの利用についてはBNP Paribas、Société Générale、Natixisといった企業が、それぞれのニーズに応じてサーバーをレンタルしている。またIllumination Mac Guffでは、このプラットフォームを使用して、アニメーション映画の3Dモデルをレンダリングしている。

暖房は季節の影響を受ける。そこでQarnotはスケーラブルなボイラーシステムも設計している。このボイラーでは、CPUサーバーまたはCPUとGPUを組み合わせたサーバーを1つにまとめている。さらにQarnotはGroupe Casinoと共同で、コンピューターラックで倉庫を温めるベンチャーも創立した。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

古い写真を組み合わせてストーリーを作成するフォトライブラリアプリのZyl

フランスのスタートアップであるZyl(ジル)は、iOSとAndroid向けのモバイルアプリのメジャーアップデートをリリースした。このアプリの目的は、忘れがちになる大切なライフイベントの思い出をフォトライブラリで見つけることだ。

Zylはフォトライブラリをスキャンし、大切な写真を魔法のように見つける。 アプリが毎日、新しい思い出(新しいStoryl)の準備が出来ていると通知してくる。自動的に生成されたストーリーが、あなたをすぐに特別な日に呼び戻す。すべての写真はすでにつながっている。アプリはあなたを待っている。

本日のアップデートにより、Zylで過去同じ出来事に居合わせた友人や家族と思い出を共有できる。そうした人たちもフォトライブラリに自分の写真を投稿・追加もできる。

もちろん、ユーザー自身がストーリーの独自バージョンを作成するというアプローチもあっただろう。しかし、コラボレーティブなストーリーはより強力なものになる。何かを祝って数年後、Zylは今すぐあなたと友達の距離を近づける。

同社はその裏で、写真から読み取れるはずの感情を理解するために機械学習を利用したアルゴリズムに取り組んでいる。同社はプライバシー重視のアプローチをとっている。デバイス上の写真ライブラリをスキャンしても、Zylのサーバーにはアップロードされない。ユーザーアカウントを作成する必要もない。

Zylは、一度に大量のコンテンツを見せてユーザーを圧倒したくないと考えている。新しいStorylのロックを解除するには、24時間待つ必要がある。このスローペースのアプローチがInstagram(インスタグラム)とは一線を画している。Instagramでは、画面を一生懸命タップして可能な限り多くのコンテンツを取得する必要がある。

過去の思い出と同じように、新しい思い出のための場所を作り、最も大事な思い出を大切にしたいと思うはずだ。Zylは今後、古いStorylの一部を削除して、最も重要なStorylに集中できるようにする可能性がある。友人と共有しないなら、それほど重要ではないStorylもあるかもしれない。

同社は従来のコメント機能の代わりに、写真の上に意味のあるコンテンツを追加する方法にも取り組んでいる。Zylは再び感情に焦点を当て、良い雰囲気を醸し出している。筆者にとっては、ニュースサイクルを数分間忘れ去る素晴らしい方法だった。

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(翻訳:Mizoguchi

4眼カメラ+TOFセンサー搭載のHuawei P40 Pro+登場、Googleなしでやっていく覚悟か

Huawei(ファーウェイ)は米国時間3月26日、新型の旗艦スマートフォンHuawei P40、同P40 Pro、同P40 Pro+を発表した。高い性能を誇る美しいスマホだ。しかし、ほんの数分間使ってみただけで、どこか変だと気づくだろう。GmailもGoogleマップもGoogle Playストアもないのだ。

昨年に米政府は、米企業にファーウェイとの業務関係の継続を禁じた。そのためファーウェイは、Google抜きのスマートフォンしか発売できなくなったわけだが、みすみす黙っていたわけではなかった。同社は、いつものペースで最高性能の機種を発表し続けている。もちろん、いつかまたファーウェイにGoogleのサービスが戻ってくる日が来るかもしれない。

ファーウェイでは現在、Androidのオープンソース版を使っている。これにはGoogleのサービスにつながるコア機能は一切含まれていない。ファーウェイは独自のアプリストアを持っているので、Googleアプリの穴をファーウェイ製アプリで埋めようと考えだ。

いずれにせよ中国では、Googleのサービスは「万里のファイアーウォール」に阻まれて使えない。しかし、中国に住んでいないかぎり、P40の購入は個人的にはお勧めしない。AndroidもiOSも使えないスマートフォンなんて制約が大きすぎるからだ。

とはいうものの、ファーウェイはこれまで面白いスマートフォンを出してきたことでもあるし、一応、この新機種の紹介をしておこう。これまでのPシリーズと同様、ファーウェイは驚くべきカメラセンサーをこのデバイスに組み込んだ。

P40 ProとP40 Pro+は、ディスプレイが4つすべての側面に回り込んでいる。上側も下側もだ。去年発売されたP30には、上部中央に涙型のノッチがあった。今年は新しいホールノッチ・デザインに切り替えられた。左上の隅にそれは配置されている。どことなく、最近のSamsung(サムスン)のスマホを連想させる。

関連記事:HUAWEI P30 Proはやっぱりカメラがスゴイ

発表されたのは、P40とP40 ProとP40 Pro+の3機種だ。価格や発売時期は、まだファーウェイからは公表されていない。P40のディスプレイは6.1インチ、2つのProは6.58インチとなっている。リフレッシュレートは90Hz。

いつものとおり、ファーウェイは背面の仕上げにたくさんのオプションを用意している。iPhone 11 Proのようなマットなものもある。P40 Pro+では、白または黒のマットなセラミック素材も選べる。

チップは従来どおり、Kirin 990というファーウェイ独自のものが使われている。もちろん5G対応だ。昨年のモデルと比較すると、このチップに搭載された新システムではCPU速度は23%、GPUは39%アップした。

カメラはと言うと、P40 Pro+には4つのカメラモジュール(18mm超広角レンズ、23mm標準レンズ、80mmの3倍レンズ、10倍光学ズーム付きスーパーペリスコープレンズ)とTOFセンサーが搭載されている。このスーパー・ペリスコープレンズは、240mmレンズに相当する。

ファーウェイP40 Proには、超広角と標準に加えて、5倍ズームレンズ(125mm相当)という3つのカメラモジュールとTOFセンサーが搭載されている。

ファーウェイP40には、超広角(17mm)、標準(23mm)、3倍ズーム(80mm相当)の3つのカメラモジュールが搭載されている。

スマートフォンのカメラでは、いい画像を作るために大量のソフトウェア処理が施されるのが常だ。欧州の外出禁止令のため、私はまだP40を触っていないのだが、ファーウェイにはポスト処理が強すぎる傾向がある。カメラをマスターAIに設定すると、彩度がきつ目になるのだ。

だがファーウェイは、画像処理に関しては、HDR処理、ナイトモード、ハードウェアとソフトウェア両面の手ぶれ防止、ポートレート機能など、全体的に改善されると話している。P40では、ガラスの反射を取り除くポスト処理機能も備える。

また、AI Best Moment(AIベストモーメント)と呼ばれる新機能も搭載された。いつ写真を撮るか、スマホが自動的に判断してくれるのだ。例えば、全員が同時にジャンプしたときとか、バスケ選手がスラムダンクを決めたときなどを狙って撮ってくれる。

欧州では、P40は4月7日発売。メモリー8GB、ストレージ128GBで価格は799ユーロ(約9万6000円)。P40 Poは、メモリー8GBト、ストレージ256GBで価格は999ユーロ(約12万円)。こちらも4月7日発売。P40 Pro+は、メモリー8GBト、ストレージ512GBで価格は1399ユーロ(約16万7000円)。発売は6月が予定されている。

見ておわかりのとおり、P40 Pro+には、P30 Proよりも高速で高性能であることを示す要件がずらりと揃っている。サムスンのGalaxy S20 Ultraのように、ちょっとやり過ぎという感もある。もちろん、スマートフォンのメーカーが、毎年、パワフルな機能を詰め込んでくれるのは嬉しいのだけど。

だが、スマートフォン市場は転換点を迎えている。もう、高性能を競い合う時期は過ぎた。各メーカーは、新機種を買う動機となる新しい使用事例を示す必要がある。そこにハッキリとした目標とビジョンを持つメーカーが、他に抜きん出るようになるのだろう。

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(翻訳:金井哲夫)

新型コロナ対策で必需品を管理するマーケットプレイスがフランスでローンチ、仏政府も支援

フランス拠点のスタートアップであるMiraklはeコマースサイトと協力して、サードパーティーの販売者とマーケットプレイスを構築する企業だ。そして今回、同社は新型コロナウイルス(COVID-19)との戦いで必要不可欠な物資の需供を一元化させる「StopCovid19.fr」というマーケットプレイスを開発した。フランス政府がこのプロジェクトを支援している。

多くのフランス企業が医療従事者や一般の人々を保護するために、手指の消毒剤やマスク、手袋、その他の必需品の製造を約束しているが、それはまた多くのサプライチェーンの課題を生み出している。つまり、どのようにして最も物資不足が深刻な病院が、必要不可欠な製品を確実に入手できるだろうか?

StopCOVID19.frは手の消毒剤から始まり、他の保護用品へも拡大する予定だ。これは、企業と公的機関が互いに対話するのを助ける。例えば、化学薬品会社は大量の手指の消毒剤を保管するために、包装メーカーと連携しなければならない。同様に、公立あるいは私立の病院は、各メーカーに直接連絡を取る時間を無駄にしたくない。

これは、オープンなマーケットではない。医療施設や新型コロナウイルスの保護製品に特化した工業会社に向けたものだ。フランス政府は、現在マーケットプレイスに掲載されているすべての販売主を審査した。アカウントを作成するには、ウェブサイト経由でMiraklに連絡する必要がある。

総合的なマーケットプレイスは、長期的に国内の在庫を分析するためにも不可欠なサービスになるかもしれない。特に、全国にマスクを配布し、新型コロナウイルスのロックダウンの終了に備えておくのに役立つ可能性がある。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

フランスが新型コロナで打撃を受けるスタートアップ救済に約4780億円注入

フランスのデジタル経済担当国務長官であるCédric O(セドリック・オ)氏と公的投資銀行のBpifranceは3月25日、スタートアップ向けの包括的な支援計画を発表した。フランスの一部のスタートアップは今後数カ月のうちに売上高や資金調達の問題に直面することが予想される。

フランス政府は、借り換えや流動性で一時的に橋渡しを行うべく、43億ドル(約4780億円)の予算を組んだ。「スタートアップは経済成長を担っている。雇用という点では特にそうだ」とオ氏は声明で述べた。「スタートアップはまた、遠隔診察アポイントメントやリモートワークのソリューション・デリバリーなど、(新型コロナウイルス感染拡大による)ロックダウン時に特に役立つ刷新的なプロダクトやサービスに取り組んでいる」。

フランス政府ははすでに広範な経済支援策を発表している。売上高減の企業は納税や家賃、公共料金の支払いをスキップできる。そして流動性支援に3200億ドル(約36兆円)をあてる。この中で企業は国の支援のもとにローンを組みやすくなる。

さらに重要なことに、もしスタートアップが操業停止を余儀なくされた場合、国は解雇を回避するために短時間労働制度を用意している。従業員の給料の84%を国が補填するというものだ。

そうでなくてもスタートアップは常に破産と隣り合わせている。だからこそフランス政府はスタートアップに照準を当てた追加のサポート策に踏み込んだ。

その策とは第1に、新たな資金調達ラウンドの最中だったスタートアップは、BpifranceのPIAを通じて橋渡しの資金を調達できる。一部のVCは契約内容を撤回するかもしれず、また別のVCは投資ペースを緩やかにするかもしれない。この対策としてBpifranceは8670万ドル(約96億円)を注入する。プライベート投資家も同額を共同投資する。

第2に、政府はスタートアップ向けの流動性支援も用意している。他の企業と同じく、スタートアップも3200億ドルの流動性スキームの中で借入ができる。借入可能な額はフランスで雇用している従業員の給与2年分もしくは年間売上高の25%のいずれか多い方となる。この総費用として22億ドル(約2445億円)を見込む。

第3に、スタートアップは付加価値税の還付と研究開発投資の税還付を早く受けられる。総額は16億ドル(約1780億円)を想定している。

第4に、Bpifranceは公的支援の支払いを素早く実施する。スケジュール前倒しで2億7000万ドル(約300億円)を支払う予定だ。

画像クレジット:Ludovic Marin / AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

目に見えず簡単に消せない「透かし」を入れてウェブ画像を追跡するImatag

Imatagを紹介しよう。画像のウォーターマーク(透かし)に取り組んでいるフランスのスタートアップだ。デジタル画像のウォーターマーク自体は新しいものではない。しかしこの会社は、サイズを変更したり、トリミングしたり、さらに編集を加えたり圧縮したりしても検出可能なウォーターマークを開発した。

多くの写真家やブランドは写真にウォーターマークを入れている。それにより、写真がウェブやソーシャルネットワークに再アップロードされても、元のソースを確認することができる。しかし、それだけでは完璧ではない。例えば隅に小さなロゴを配置した場合、写真をトリミングすることでロゴを除外できてしまうのだ。

Getty Images(ゲッティイメージズ)やShutterstock(シャッターストック)といったオンラインの写真データベースは、写真の真ん中に巨大なロゴを配置することで、適切なライセンスを取得しない限り、実質的に使えないようにしている。

Imatagのアプローチは、少々違っている。写真にマークを入れる際には、画像全域に渡って個々のピクセルが変更される。オリジナルの写真と見比べても、違いに気づかないような巧妙な方法で。その写真を編集しても、一部のピクセルは変更されるが、すべてではない。そのため、その後でもウォーターマークを検出できるのだ。

「ピクセルの色を直接変更するのは、よい方法とは言えません。グレースケールの分析から始めるべきでしょう。私たちはそうしています」と共同創立者でCEOのMathieu Desoubeaux(マシュー・デサウボース)氏は述べている。「心理視覚的なマスクを適用しています。これは人間の目では見えません」。

Imatagは、個々の写真を処理してシグネチャを​​割り振ることができる。同じプロセスを適用することで、複数の写真のシグネチャを比較し、それらのソースが同じかどうかを確認できる。

同社はさらに一歩進んで、さまざまなユースケースに対してサービスを提供できるようにしている。Imatag Monitorというツールを使えば、ユーザーの写真がウェブ上のどこに出現したのかを監視することも可能だ。

ストック写真のエージェンシーのように、不正な使用に対抗するために利用するクライアントもいる。一方ブランドは製品のショットが、どこのソーシャルネットワークに表示されたのかといったことを確認できる。ブランドは人々にどんどん写真を共有して欲しいが、同時に新製品に対する反応を監視したいとも思っている。

またImatagは、スマホや自動車のメーカーとも協力している。公式発表の前にリークがあれば、それを特定できるようするためだ。スマホの新製品の写真をさまざまな小売業者に送信する際に、Imatagでタグ付けしておけばいい。それにより製品のショットがリークされた場合、その漏洩源を追跡できるようになる。

Imatagでは、大量の写真を扱う場合でもそのワークフローの中に、同社のウォーターマーク機能を統合する方法を提供している。それほど数が多くない場合には、Imatagのウェブサイトを利用すれば、画像にウォーターマークを付けるのも簡単だ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルが各OSをアップデート、iPadOS 13.4はトラックパッドをサポート

 

AppleはiPhone、iPad、Apple Watch、Apple TV、Mac用のOSアップデートをリリースした。最大の変更があったのはiPadだ。新しいiPadOSではマウスないしトラックパッドをiPadとペアリングし、ディスプレイ上のカーソルを動かせるようになった。

Appleは先週、新しいiPad Proを発表 したとき、iPadOSのトラックパッドサポートを発表した。またAppleはトラックパッドを内蔵した新しいMagic Keyboardの売り込みを図っているが、ユーザーは新しいiPadやアクセサリを買わなくてもトラックパッドを使うことができる。

トラックパッドをペアリングすると、画面に新デザインの丸いカーソルが表示される。カーソルを載せた対象によってカーソル形状が変化する(上のスクリーンショット参照)。ボタンをクリックしようとする場合、カーソルは消えてボタンがハイライト表示になる。Apple TVでアイコンを動かすときのような感じだ。

テキストカーソルは垂直のバーになる。Pagesドキュメントでテキスト領域のサイズを変更する場合は、背中合わせの矢印になる。トラックパッドを使用している場合、iPadOSはジェスチャーをサポートしており、アプリの切り替え、スイッチャーの起動、Dockやコントロールセンターのアクティブ化を行うことができる。

今回リリースされたiOSおよびiPadOS 13.4には、トラックパッドのサポート以外にもいくつかの機能が追加されている。iCloud Driveフォルダは他のiCloudユーザーと共有できるようになった。これはDropboxの共有フォルダとほぼ同様の機能だ。

Memojiステッカーに9種類の絵文字が追加された。ハートつきの笑顔、つないだ手、パーティーの顔などが登場している。メールアプリのアーカイブ/削除、移動、返信、作成、メール送信などを行うためのボタンのデザインが微調整された。

またAppleは、iOSだけでなくMac App Storeを含むすべてのApp Storeで単一アプリのバイナリをリリースする機能を追加した。つまりデベロッパーはMacとiPhoneの双方で有料アプリをリリースできるようになった。このアプリはどれか1つのストアで購入すれば他のデバイスでも利用できる。

また、macOS 10.15.4には利用時間を制限する機能が追加されている。これは、iOSにすでに存在する機能と同様で、 メッセージとFaceTime通話に時間の上限を設定できる。

watchOS 6.2ではチリ、ニュージーランド、トルコのユーザー向けに心電図機能のサポートが追加された。またApple Watchアプリのデベロッパーはアプリ内購入が設定できるようになっている。

アップデートにはバグの修正とセキュリティパッチが含まれる。ソフトウェアのアップデートを自動にしていない場合は、デバイスの設定を開いて手動でOSのアップデートを行うことができる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルが新しいiPad Proを発表、iPadOSでマウスカーソルが利用可能に

アップルは新しいiPad Proモデルを発表し、プレスリリースを発行した。内部仕様の強化に加えて、新しいMagic Keyboardも発表した。バックライト付きキー、トラックパッド、iPadの角度を自由に調整できるヒンジを備えたもの。

新しいiPad Proの外観は、従来のiPad Proとほとんど変わらないように見える。これまで同様、11インチと、12.9インチディスプレイのいずれかのモデルから選択できる。プロセッサとしては、8コアのA12Z Bionicシステムが搭載されている。以前のモデルでは、A12X Bionicシステムだった。

今回の新iPad Proは、デバイスの背面に、10MPの超ワイドカメラとLIDARセンサーを搭載している。LIDARセンサーは、拡張現実アプリなどで活用できる。標準レンズの12MPカメラセンサーも搭載している。内蔵マイクも改善されており、アップルでは「スタジオ品質」で録音できるとしている。

iPhone 11 Proと同様、Wi-FiとLTEも、それぞれわずかながら高速化されているはずだ。ディスプレイについては、以前のモデルと同様に120HzのリフレッシュレートとTrue Toneをサポートし、P3に対応した広色域をサポートする。

またアップルは、サーマルアーキテクチャの改善によって、負荷の重いアプリを、ピークパフォーマンスで長時間連続で実行できるようになったとしている。

ここで、トラックパッドについて話しておこう。以前に9to5macは、iOS 14ではマウスカーソルが完全にサポートされると報じた。これは実際には、この秋のiOS 14を待たずに実現されたことになる。

デフォルトでは、丸いカーソルを表示する。ただし、カーソルの形状は、何にカーソルを合わせるかによって変化する。たとえば、カーソルをテキストの上で移動する場合、縦棒の形のカーソルになる。またPagesのドキュメントで、テキスト領域のサイズを変更する場合には、左上と右下を向いた2つの矢印のカーソルとなる。つまり、デスクトップパソコンのカーソルと同じような挙動を示すのだ。

新しいトラックパッドはジェスチャをサポートし、アプリを直接切り替えたり、Appスイッチャーを開いたり、Dockやコントロールセンターをアクティブにしたりできる。サードパーティのアプリには、すでにトラックパッドをサポートしているものもある。しかしデベロッパーは、新しいAPIを利用して、さらにトラックバックのサポートを強化することも可能だ。

Magic Keyboardのキーボードは、セパレーションタイプの普通のキーボードのように見えるものとなった。USB-Cポートを備え、キーボードと、それに接続されたiPadの両方を同時に充電できる。これにより、iPadを充電しながら、iPad側のポートには別のアクセサリを接続して利用できるわけだ。

新しいMagic Keyboardは5月に発売される予定だ。価格は、iPad Proのサイズによって異なり、11インチ用が3万1800円、12.9インチ用が3万7800円となる。価格的には、かなり高価なキーボードだ。

iPad Proは3月25日に発売予定で、すでに注文を受け付けている。「仕上げ」は、シルバーとスペースグレーの2種類だ。128GBのストレージを搭載した11インチiPad Proの価格は8万4800円。同じ128GBのストレージを備えた12.9インチモデルは10万4800円となっている。いずれも1万7000円を追加すれば、Wi-Fiに加えてCellulerがサポートされる。さらに金額を追加すれば、256GB、512GB、1TBといったストレージ容量のオプションも選べる。11インチのWi-Fiモデルの場合、256GBでは9万5800円、512GBは11万7800円、1TBでは13万9800円となる。12.9インチのWi-Fiモデルの場合、それぞれ11万5800円、13万7800円、15万9800円となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Revolutが子供のお小遣い管理に役立つRevolut Juniorの提供を開始

英国のRevolutは、7歳から17歳の子供を対象とした新しいプロダクト、Revolut Juniorの提供を開始した。Revolut Juniorは保護者のRevolutアプリと直接統合される、新しいアプリでありサービスだ。

すでにRevolutを使っている両親または法的な保護者が、子供が使用するRevolut Juniorアカウントを作成する。アカウント作成後、子供はRevolut Juniorアプリをダウンロードし、Revolut Junior カードを入手できる。

同アプリには「アカウント」と「プロフィール」の2つのタブがあり、機能は限定的だ。子供は「アカウント」タブで取引の一覧をリアルタイムで見ることができる。「プロフィール」タブではカードの設定を変えられる。これだけだ。

一方、保護者はRevolutで子供の支出をコントロールできる。保護者はRevolut Juniorアカウントに、即座にお金を転送できる。残高と取引にアクセスできるほか、カードの機能の一部を無効にすることもできる。さらに、子供がカードを使った時に通知を受け取る機能もある。

Revolut Juniorは多数のユーザーの興味を集める可能性がある。Revolut自体が1000万人を超えるユーザーを抱えているからだ。すでにRevolutを使っている顧客にとっては、KardStepといったティーン向けのチャレンジャーバンク(モバイルアプリでサービスを提供する銀行スタートアップ)を使うより、Revolut Juniorを使う方が納得しやすいだろう。間違いなく、ティーン向けチャレンジャーバンクの最大のライバルは今も現金だ。

子供たちは何年もRevolut Juniorを使っていれば、成長した後にフル機能のRevolutアカウントに切り替える可能性がある。Revolut Juniorは顧客獲得のための優れたファネルでもある。

現在、Revolut Juniorを利用できるのは、英国内のプレミアムおよびメタル顧客のみだ。Revolutは今後、対象のユーザーと国を広げていくことにしている。

Revolutは、将来的にRevolut Juniorの機能を増やす計画だ。例えば保護者は定期的なお小遣いやお金の使い方の目標を設定できるようになる。子供には貯金のオプション、支出レポート、支出の制限などの機能が追加される。

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(翻訳:Kaori Koyama)

社員がフィッシング詐欺にあわないように偽メールを送り教育する「Riot」

Y Combinatorに現在参加しているRiotは、フィッシング詐欺を防ごうとしている。Riotは、偽のフィッシングをクライアント企業の社員に対して試みる。例えば「あなたのGoogleアカウントが無効になった」というメールを社員に送り、その通知メールの真偽を見分けられるかどうかを確かめる。

2ファクタ認証、シングルサインオン、アクセスポリシーのおかげで、プロダクトや社内ツールの保護はかつてないほど容易になっている。しかし大きな脆弱性として残っているのは人間だ。データ侵害の多くは、社員のアカウントの問題から始まる。

言い換えれば、企業のセキュリティは注意深さに欠ける社員によって左右されるということだ。だから今後は、セキュリティのリスクに関する社員教育が重要になるだろう。

Riotには現在、3つのモジュールがある。1つ目は社員に対して偽のフィッシング攻撃を仕掛ける。少なくとも1カ月半に1回はフィッシングのメールを受け取るなどと期間を設定し、テンプレートをライブラリから選ぶ。現時点でRiotから送信できる通知の種類はMicrosoft、Google、Dropbox、Slackのアカウントの停止、GoogleまたはDropboxの書類の共有、不明の相手からのボイスメールだ。

Riotの創業者でCEOのBenjamin Netter(ベンジャミン・ネッター)氏は筆者に対し「新しいボイスメールは、noreply.linkというドメインからのメールで通知される」と述べた。

2つ目は、管理者が社員のレベルをチェックできる使いやすいダッシュボードだ。社員がだまされなかったか、リンクをクリックしてしまった人はいないか、さらに悪い状況としてログインしようとしてパスワードを入力してしまった人はいないかを確認する。このダッシュボードで、時間の経過に伴う成長を見たり、一部の社員に対してさらに頻繁に訓練を実施したりすることができる。

そして3つ目として、社員が訓練にひっかかってしまった場合、企業は簡単なセキュリティトレーニングを提供できる。トレーニングはチャットのようなインターフェイスで、いくつかの質問が与えられる。デスクトップでもモバイルでも動作し、数分以内で終わる。メッセージを理解するには、退屈なウェブセミナーよりも短くて楽なトレーニングのほうが効果が高いだろう。

ネッター氏は「次のステップはCEOのトレーニングだ。これについてもいろいろ考えている。Amazonのギフトカードを10枚買ってきて欲しいというメールがマネージャーからアシスタントに対して送られるという話を、これまでにたくさん聞いた」と語る。

CEOに対する詐欺は、もっと深刻なことになりかねない。攻撃者は、多額の銀行振込を要求する請求書を経理部門に送ってくることもある。

ゆくゆくは、Riotは教育にとどまらないモジュールを提供する可能性もある。例えば、スタートアップは自社のRiotのデータに基づいて、サイバーセキュリティ保険商品の契約条件を保険会社と交渉できるかもしれない。

Riotを創業したネッター氏は、October(以前の社名はLendix)の共同創業者でCTOだった。Octoberはヨーロッパでトップクラスのクラウド貸借プラットフォームのひとつだ。ネッター氏はこの企業でリスク評価の経験を積んだ。

Riotはスタートしたばかりで、契約したクライアントはまだわずかだ。プランの価格は、社員50人以内の企業で、1カ月200ドル(約2万1500円)からとなっている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

3月12日はビットコインにとっても最悪の日

Bitcoin(ビットコイン、BTC)もかなりマズイことになっている。今月は暗号通貨(仮想通貨)だけでなく、あらゆる資産にとって試練の時だ。米国時間の3月12日、ビットコインの平均価格はわずか20分の間に15%も下落した。

画像クレジット:Chesnot/Getty Images(画像は編集済)

CoinGeckoのあちこちの取引所では、世界標準時午前10時30分には、1BTCは約7250ドル(約76万1400円)の価値があった。しかし同午前10時50分には、1BTCは6160ドル(約64万7000円)まで下がった。ビットコインの価格はその後回復せず、本稿執筆時点でも1BTCは6150ドル(約64万6000円)で取引されている。

これは単なる事故ではない。この1カ月の間、ビットコインは少しずつ下落していた。2月19日の時点では、1 BTCは1万ドル(約105万円)以上の価値があったのだ。

米国時間3月11日、WHO(世界保健機関)は新型コロナウイルス(COVID-19)の流行がパンデミック状態であることを正式に宣言した。米国は、新型コロナウイルスの拡散を防止するため、ヨーロッパから米国への入国制限を含む追加の対策を講じている。

多くの人は、暗号通貨は株式市場とは逆の相関関係があると信じていた。しかし、経済不安は暗号通貨をも傷つけることになった。現在の暗号資産の売却は不確実性から来るものだ。経済が新型コロナウイルスから回復できるかどうか不確かな状況では、リスクの高い資産の売買を続ける気にはなりにくい。

Ethereum、XRP、Bitcoin Cashなど、人気の高いほかの暗号通貨も、この24時間でそれぞれ28.3%、23.2%、31.1%下落した。言い換えれば、今はすべてが赤字で埋め尽くされている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルはシザー式キーボード採用の新MacBookをもうすぐ発売か

アナリストのMing-Chi Kuo(ミンチー・クオ)氏からの新しいレポートによると、Apple(アップル)は、シザー式キーボードを採用した新しいMacBook Proと、MacBook Airを発表する可能性が高いという。最初にこのレポートに目を止めたのはMacRumorsだった。TechCrunchも、それに関する考察メモを入手した。

アップルは昨年11月に、大きいほうのMacBook Proをアップデートした。ディスプレイのサイズは、15インチから16インチへとわずかに拡大されたが、全体的なサイズとしては特に意味のある変更ではなかった。ただしアップルは、物議をかもしてきたバタフライ式キーボードを破棄した。16インチのMacBook Proは、以前に使われていたシザー式キーボードを採用したのだ。

そしてクオ氏は、アップルが2020年の第2四半期のある時点でシザー式キーボードを採用する新たなMacBookを発売すると考えている。つまり近い将来に、MacBook Airと小さいほうのMacBook Proのアップデートが期待できるということ。またアップルは、この機会を利用して、13インチMacBook Proのディスプレイのサイズを拡大する可能性もある。

このようなマイナーながら重要なアップデートに加えて、アップルはすでにMacBookシリーズの大幅な変更を計画しているといううわさもある。同社が設計したARMプロセッサを搭載する最初のノートブックが、2020年の第4四半期または2021年の第1四半期に発売される可能性もあるのだ。

ただしこの変更は、デベロッパーに対する影響が大きい。ARMプロセッサ上で実行できるようにするために、アプリを再コンパイルする必要があるからだ。アップルは、ARMベースのノートブックを市場に導入する前にあらかじめロードマップを示し、サードパーティのデベロッパーが対応するための十分な時間を確保できるようにすることになるだろう。

2021年の第2四半期、あるいは第3四半期には、まったく新しいデザインのノートブックが登場することも考えられる。しかしクオ氏も、この点については歯切れが悪い。アップルの計画が変更される可能性もあるからだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

iPadにマウスカーソルが導入されるかもしれない

9to5macの最新記事によると、AppleはiOSおよびiPadOSの次期メジャーバージョンで、マウスカーソルを本格的に導入するらしい。記事はiOS 14とiPadOS 14の早期バージョンのコードを根拠にしている。

もしAppleがこの新機能を採用すれば、BluetoothマウスやトラックボールでiPadのカーソルを自由に操れるようになる。デスクトップパソコンのマウスとほぼ同じように機能することになるだろう。

Appleは現バージョンのiPadOSでも、外部マウスの基本機能に対応しており、アクセシビリティの設定で有効にできる。ただし、基本的に画面上にある指を模倣するだけだ。

全面的にカーソルをサポートすることで、たとえばリンクの上にかざしたときにカーソルの形状が変わることなどが想像できる。右クリックができる可能性もあるだろう。

このiOS 14の早期バージョンでは、マウスを動かすのやめてから数秒後にカーソルが消える。マウスを動かすと再び現れる。Macではテキストをタイプし始めるとカーソルは消える。

他にも、AppleがiPad用の新しいSmart Keyboard(スマートキーボード)やトラックパッドを開発していることを示唆する箇所が複数見られる。タップでクリック、2本指タップで右クリックなどなど。これらは、次期スマートキーボードにトラックパッドがつくかもしれないことを意味している。

iOSとiPadOSは同じコードベースを共有しているが、私はiPhoneがカーソルに対応するとは思わない。カーソル対応はiPadのような大きいスクリーンで特に意味があるからだ。最新のiPad Proは、USB-Cポートを使って外部モニターとつなぐこともできる。

2017年のiOS 11で、Appleは多くのデザインメタファーをMacからiPadに持ち込んだ。画面下のドックや新しいファイルアプリなどだ。それでもiOSはmacOSとはまったく別のオペレーティングシステムのように感じる。ともあれ、デスクトップの重要な機能の一部がiPadでもうまく働くのを見るのが楽しみだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

暗号通貨ウォレットのZenGoが貯蓄口座機能の提供を開始

ZenGoが暗号通貨資産を保持したり、送受信したりといったウォレットの基本的な機能を超えたサービスを提供する。利子を稼ぐために、暗号通貨資産を分けて保持できる。言い換えれば、ZenGoは貯蓄口座としても機能するようになった。

同社はこの新機能のために2つのDeFiプロジェクトと提携した。DeFiは「decentralized finance(分散ファイナンス)」を意味し、暗号通貨業界では今話題のものだ。DeFiプロジェクトは従来の金融商品と同じブロックチェーンで、たとえばお金の貸し借りができたり、デリバティブに投資したりといったことができる。

話をZenGoに戻そう。ZenGoのウォレットに暗号通貨資産を保有しているとき、ユーザーは貯蓄タブを開いてDaiのような資産を選び、保有する資産の何%を分けて保有するかを決める。

その後は、ただ待つだけだ。貯蓄“口座”の概要はいつでも見ることができる。そして稼いだ利子の総額もチェックできる。利子は自動的に再投資される。そしてユーザーはいつでも好きな時にDeFiプロジェクトのお金をウォレットに動かすことができる。

このサービスを提供するのにZenGoはCompound(複利計算)プロトコルを使っている。LendingClub(編集部注:P2Pの貸出プラットフォーム)のような仕組みだが、ブロックチェーンで提供する。流動性プールを確保するためにCompoundに送金するユーザーもいれば、プールからお金を借りるユーザーもいる。

利子率は需要と供給に基づいて変動する。だからこそ、CompoundにDAIやUSD コインを入れると現在より多くの利子がつく。

ZenGoはTezosをサポートするためにFigmentを使う。今回は貸出マーケットプレイスではない。ステーキングプロジェクトに金があれば、それは特定のブロックチェーンのオペレーションをサポートすることを意味する。プルーフ・オブ・ステークに基づく必要があるために、わずかなブロックチェーンがステーキングをサポートする。

エンドユーザーにとっては、CompoundやFigmentに頼っているときはいつでも貯蓄口座のように映る。Coinbase WalletArgentのように、DeFiプロジェクトアクセスできる別のウォレットアプリもある。しかしそれらは普通のユーザーにとっては複雑すぎるとZenGoは考えている。

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(翻訳:Mizoguchi

「Uberドライバーはフランスでは従業員」と仏最高裁判所が裁定

フランスの破棄院(Court of Cassation)は、「Uberドライバーは自営業のパートナーとしてではなく従業員として扱われるべきだった」と裁定した。破棄院は司法訴訟に関する最高裁判所であるため、Uberはもう上訴できない。

2017年6月、1人のUberドライバーがアカウントが凍結されたためにUberを相手取って訴訟を起こした。労働裁判所は当初この訴訟を「従業員と雇用主の間のものではないために扱うことはできない」と判断した。

そのため、パリの別の裁判所がこの訴訟を引き受け、UberドライバーとUberの間には雇用関係があったと裁定した。裁判所によると、Uberとドライバーの間には従属関係があった。別の言葉で言うと、ドライバーはUberの命令に従っていた。

パリの裁判所は、ドライバーが自前の顧客ベースを構築できず、価格も決められなかった点を指摘した。ドライバーはまた、「Uberが仕事を監督していて乗車の提供を3回断ると『まだ働いている?』というメッセージを受け取っていた」と主張した。

この裁判は結局、破棄院の判断を仰ぐことになった。「ドライバーがUberのデジタルプラットフォームでオンラインになると、ドライバーとUberの間には従属関係が生じる。これに基づくと、ドライバーは自営業としてではなく、従業員としてサービスを提供している」と破棄院は書いている。

破棄院はまた、「自営業の人はクライアントを自分で管理する、価格を設定する、タスクをどのように実行するかを決める、という3つのことができなければならない。Uberはこうした要件をクリアしていなかった」とも指摘した。

Uberはドライバーが乗車を引き受けてからでなければ行き先を明かさないので、ドライバーは行先によって乗車を引き受けるか断るかを決められない。もしドライバーが何回も乗車を断ったり、悪い評価を付けられたらドライバーはアカウントにアクセスできなくなる。

「ドライバーは管理された輸送サービスに参加し、Uberは一方的に運営条件を決めている」と破棄院は指摘する。たとえドライバーが「おとがめ」を伴うことなく数日間Uberの使用をやめることができたとしても、それは今回の訴訟とは無関係だ、という考えも示した。

Uberの広報は下記のようなコメントを出した。

今回の裁定は、Uberのアプリを2017年から使っていないドライバーに関係するものだ。なぜドライバーがUberの使用を選んだのか、その理由がこの裁定には反映されていない。働くための自立と自由だ。過去2年間、我々は手厚い社会的保護を提供するとともに、Uberの使い方についてより多くの裁量をドライバーに与えようと変更を加えてきた。

そして我々は振り出しに戻る。今度は労働裁判所がこの訴訟を担当する。今回の裁定に基づいて、前ドライバーが金銭の補償を受けるべきかどうかを決める。

他のドライバーも自分の訴訟に最高裁判所の判断を生かすかもしれない。Uberが何と言おうと、今回の裁定はUberと、フランスで自営業のパートナーとマーケットプレイスを運営している他の企業が従わなければならないものとなる。

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(翻訳:Mizoguchi

4億回ダウンロードされた音楽アプリの販売元MWMが約60億円調達

人気の音楽アプリの販売元であるMWMが、5000万ユーロ(約60億円)の資金調達ラウンドを完了した。Blisce/がラウンドを主導し、Idinvest Partners、Bpifrance(フランスの大規模ベンチャーファンド)、AglaéVenturesそしてXavier Nielも参加した。

MWMが提供するアプリにはedjing Mix、Beat Maker Pro、Drum Machine、Beat Snap 2、TaoMix 2、Guitar、Drumsなどがある。同社は制作から学習、ゲームそしてユーティリティに至るまで、音楽のより広い分野をカバーするために徐々に拡大してきた。

次の段階でMWMは音楽を超えて拡大し、クリエイティブな分野の新しい領域に取り組みたいと考えている。そして何年もかけて4億回を超えるアプリダウンロードを達成したMWMは、その成功を重ねることができる絶好の立ち位置にいるようだ。

クリエイティブな分野にはビデオや写真の編集といった、すでにかなり混み合っているカテゴリーもある。しかしMWMは、モバイルクリエイティビティアプリのためのAdobeのような存在になることを狙っている。

なお、このスタートアップはハードウェア製品も発売した。最新の製品Phaseを使えば、旧来のターンテーブルをデジタルDJコントローラーに変身させることができる。受信機をミキサーに接続したら、2つのターンテーブル上にセットしたレコードの中央に小さな送信機をそれぞれ置くだけでいい。

MWMの創業は2012年だ。これで合計6000万ユーロ(約72億円)の資金を調達したことになる。同社は現在、パリとボルドーにオフィスを構え、70人の従業員を擁している。

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(翻訳:sako)

Raspberry Pi 4が価格据え置きでメモリー容量を2GBに倍増

Raspberry Pi FoundationはフラッグシップモデルのRaspberry Pi 4をアップデートした。多数のコネクタを備えたシングルボードのコンピューターというコンセプトは変わっていないが、このエントリーモデルのデバイスは35ドル(約3,800円)のまま、メモリーが容量が1GBから2GBへと倍増した。

Raspberry Pi Foundationによると、最近はメモリーの価格が下がってきており、大容量メモリーを搭載したRaspberry Piデバイスを製造するほうが安くつくそうだ。なお、さらにメモリー容量が必要なら、55ドル(約6000円)で4GBモデルを購入できる。こちらの価格も変わっていない。

もし産業用に大量の1GBモデルを導入しているのなら、古い1GBモデルを35ドルで購入することもできる。そうすれば互換性の問題はなく、1GBモデルと2GBモデルを区別する必要もない。しかし、メーカーやホビーストは同じ値段なのだから、1GBモデルよりも2GBモデルを買うべきだろう。

Raspberry Pi Foundationは誕生から8周年が近づいており、同団体はRaspberry Piの進化を振り返っている。初代Raspberry Piも35ドルだったが、その性能は今では劇的にパワーアップしている。

この8年間でCPUのパフォーマンスは40倍、メモリ容量は8倍、入出力の帯域幅は10倍になり、Wi-Fiチップも搭載された。これは、ただの遊戯用の小型コンピュータではない。Raspberry Piにはさまざまな用途があり、ブラウザや簡単なタスクだけならコンピューターの代替にもなる。Raspberry Pi Foundationはこれまでに、3000万台のデバイスを販売している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter