チトセロボティクスが時給980円のロボット導入・運用サブスクを発表

Chitose Robot Services

チトセロボティクスは6月23日、ロボットによる自動化・省人化の提供を目的に、時給980円の「ロボット労働力」をうたうサブスクリプションサービス「Chitose Robot Services」の提供を7月1日より開始すると発表した。使用済み食器の洗浄業務というモデルケースの場合、使用時間6時間/日程度で月額料金は29万6400円(税別、リース費用含む)。

Chitose Robot Servicesは、ロボットの初期費用や消耗品費用の支払い、各種保険、メンテナンスなどの手続きをパッケージ化した月額定額サービス。制御用ソフトウェアを洗練させるとともに、ハードウェア費用を最小限に抑え、リースやレンタルの枠組みを用意することで、初期導入費用ゼロを実現した。Chitose Robot Services同社ロボットは、特許を保有する独自制御技術「ALGoZa」(アルゴザ)により、現場レイアウトやハンドリングする物品の種類に変更が発生しても、プログラムの再開発なしに自律的に動きを変更可能。

またロボットがより良い労働力となるために、稼働状況や不具合情報をネットワーク経由でリアルタイムで収集し、解析のもと動作速度・認識精度の向上などソフトウェアの自動アップデート機能を無料で提供する。現場にロボット運用のスキルがなくても遠隔メンテナンス機能による支援があるという。

チトセロボティクスは、食品・物流の現場における人材不足・労働生産性が低いという課題に対して、ロボット技術による解決を目指している。現在は、飲食業界の厨房作業・物流倉庫の仕分け作業・工場の複雑な組立作業など人手作業が多く残る現場に対して、ロボット技術による自動化ソリューションを提供している。

アップルのApp Storeに対して開発者によるアプリのリジェクトやルールへの異議申し立てが可能に

Apple(アップル)が、近く実施されるApp Storeのルール変更を発表した。これにより、このマーケットプレイスの運用が大きく変わる可能性がある。もうすぐ開発者は、アプリのリジェクトだけでなく、その根拠となったルールにも異議を唱えられるようになる。また、ルール違反のせいでバグ修正のアップデートが保留になることはない。

重要な追加事項にも関わらず、アプリと開発者の変更点についてのブログ記事は淡々としたものだ。

まず第一に、開発者はアプリがApp Store Review Guidelinesの特定のガイドラインに違反しているかどうかの決定に抗議できるだけでなく、ガイドラインそのものに異議を唱える仕組みがある。第二に、すでにApp Storeで公開されているアプリに関しては、法律な問題に関連するものを除き、ガイドラインへの違反のためにバグ修正が遅れることはなくなる。

App Storeのルールは、今週大きく報道された。それは、収益化をめぐる論争のせいであり、メールサービスアプリのHeyが、サブスクリプションの収入をAppleと共有することをためらった(未訳記事)からだ。

これは前からよくある問題であり、Basecampの共同創業者であるDavid Heinemeier Hansson(デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン)ともあろう人が、自分のHeyについてそれを知らなかったとは思われない。しかも、アプリに関するAppleの一方的で画一的なビジネスモデルが批判されたのも、これが初めてではない。

本誌TechCrunchとのインタビューでAppleのマーケティング担当上級副社長Phil Schiller(フィリップ・シラー)氏は、ルールを変えてHeyのようなアプリが収入をAppleと分けずにApp Storeで売られるようにするつもりはない(未訳記事)と語った。

関連記事:Interview: Apple’s Schiller says position on Hey app is unchanged and no rules changes are imminent

しかし、アップルは発表で直ちにルールを変更しないが、そのうち変えるかもしれない、と言っている。開発者からのフィードバックがどのように入手され処理され評価されるのか、それはわからないが、おそらく今週の多くの開発者セッションでさらに聴取を重ね、多くの提案を受け取ってから最終的に決まるのかもしれない。

2つめの変更は、Heyがそうだったようにビジネスの問題があるせいで、セキュリティアップデートもできなかった開発者をほっとさせるだろう。開発者との交渉が行き詰まることで、ユーザーを困らせることはアップルもしたくないだろうから、両者を分離することは完全に正しい。これによって、扱いにくい開発者に対してアップルが振るう鞭(むち)が短くなり、しかもユーザーなど他の関係者のリスクは少なくなる。

App Storeのルール変更は今夏に発効するため、それまでに詳細が決まるだろう。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

リーガルテックのSmaConが取引先と短時間・低コストで秘密保持契約を締結可能な「NDA統一標準規格」公開

SmaCon NDA統一標準規格

リーガルテックサービス運営のSmaConは6月23日、NDA(秘密保持契約)の統一標準規格を公開し、標準規格を用いた契約締結サービスの無料提供を開始した。従来の契約締結プロセスに「SmaCon標準規格」を組み込むだけで導入でき、契約締結のスピードとコストを低減できる。

今後は、業務委託契約、売買契約、賃貸借契約、ライセンス契約など、NDA以外の標準規格を順次公開し、主要な契約類型を網羅する予定。

SmaConは、企業法務専門の弁護士による監修のもと、全事業者が共通して使用可能なNDA標準規格を公開。電子契約サービスでの利用が可能なほか、ブロックチェーン技術を利用とした仕組みにより、同規格の永続性・安全性・改ざん耐性を担保している。

また利用者は、「SmaConが提供する標準規格に準拠する」と契約書に記載するだけでほとんどの契約条項の記載を省略可能となり、全文がA4サイズ1ページ程度に収まるという。またこれにより、契約書の作成・レビューが不要になり、その場で契約を締結してビジネスを迅速に進められるとしている。

SmaCon NDA統一標準規格

現在、各社が用いる契約書のひな形は「百社百様」の状態にあるものの、契約書のレビューにかかる労力は取引のリスクの大小にかかわらずほとんど一定であることから、低リスクな契約書に労力をかけすぎ、高リスクな契約書に十分なリソースが割かれないという状況が発生しているという。

そこでSmaConは、低リスク取引の契約書を定型化することで余剰リソースを生み出し、高リスク取引の契約書の作成・レビュー・交渉に割り振ることで、法務リソースの最適な配分の実現を目指すとした。

世界中の日本酒消費者・ソムリエと酒蔵をつなぐSakeistアプリをKhariisが公開

Khariis Sakeist

Khariis(カリス)は6月23日、世界における日本酒の消費市場拡大およびプロモーションを目的に、海外の消費者・ソムリエと日本の酒蔵がつながるアプリ「Sakeist」(サケイスト)のiOS版Android版を公開した。公開時のバージョンは日本語および英語のみサポートしており、2020年以内にフランス語版をリリース予定。

Sakeistでは、ユーザーが日本酒ラベルをスマホで撮影すると、お酒の画像がSNSのニュース・フィードのように表示される日本酒版SNS機能を用意。レビュー投稿可能なほか、世界中のレビューを閲覧できる(自動翻訳機能搭載)。世界中のSakeistユーザーが、自分が知らなかった日本酒に出合いやすくしている。

また日本酒自体については、ワインテイスティングを軸としたマトリックス「Tasting Matrix」によりどんな味わいなのかひと目でわかるようにしたほか、酒蔵公式の画像により造り手の歴史背景も解説。日本酒を扱うレストランの検索も行え、もし登録がない場合は、Sakeistユーザーが自分で新たに登録できる。

Khariis Sakeist

「日本酒クイズ」では、日本人をはじめ海外の消費者やソムリエが日本酒造りにおける手間のかけ具合がわかるよう、さまざまなクイズを用意。「用語ディクショナリー」では日本酒ラベルに記載されている「山田錦」「あらばしり」「袋しぼり」など、日本酒特有の専門用語を検索し学べるようにしている。
Khariis Sakeist

日本酒輸出市場は、和食が2013年にユネスコ「伝統的無形文化遺産」として登録されたことなどがあり右肩上がりに成長を続けており、2019年の輸出総額は約234億円に上るという。しかし、日本酒ラベルの多くは日本語のみが記載されており、「純米大吟醸」のような種別を表す用語の意味を理解できる消費者は海外では極めて少ない状況にある。そのため、海外における消費者数・消費量の拡大において日本酒業界は課題を抱えている。

Khariis Sakeist

さらに、海外ソムリエと消費者の多くは日常的にワインを愛飲しているため、ワイン目線での用語解説や味わいについての多言語での解説・紹介する情報源が求められているそうだ。世界のワイン業界では、ワイナリー(造り手)のストーリーが重要視されるものの、日本酒の酒蔵ごとのストーリーを英語などで紹介する例が少なく、課題となっていた。

これら状況の解決とともに、日本酒を「世界酒」として定着させることを目指し、消費者・プロフェッショナル(ソムリエ)・酒蔵が繋がる強固なコミュニティの育成も目指し、KhariisはSakeistアプリを2019年から開発したという。

関連記事
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グーグル社員が警察への同社技術の提供に抗議

TechCrunchの情報筋によると、テクノロジーを警察に売るなと要求するGoogle(グーグル)社員グループの人数が、1666名を超えてまだ増え続けている。

社員は、Alphabet(アルファベット)のCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏に宛てた書簡で次のように主張している。「グーグルが警察への販売をまだ続けていること、そして警察との結びつきを何か進歩的なことのように広告して、警察との関係を断ってその力を弱めることを願っている多くの人びとの側につくことなく、むしろ販売の拡大を求めていることに失望している。George Floyd(ジョージ・フロイド)氏の首をヒザで抑えつけた者のいる機関がさらに強力な組織になることを、なぜ支援しなければならないのか?それだけではなく、グーグルがサクセスストーリーとして広告しているその同じクラークスタウンの警察は、Black Lives Matterの組織者たちを不法に監視して何度も訴えられている」。

例えばグーグルは、クラークスタウンの警察がG Suiteを使って情報とデジタルの証拠を共有していることをリリースで採り上げている。一方でグーグルはシアトルの警察財団に寄付をしたり(The Guardian記事)、同社のベンチャーキャピタル部門GVが警察が使用する人工知能技術を開発しているスタートアップに投資したりしている(The Intercept記事)。

一方、グーグルのスポークスパーソンはTechCrunchに次のように語っている。「私たちは、構造的な人種差別との戦いに変化をもたらす事業に力を入れており、弊社の社員は最近数週間だけでも500あまりのプロダクトの提案を行なっており、それを検討している。今回の件に関して、弊社は何年も前に大企業として初めて顔認識を商用利用には提供しないと決めている。また弊社のAI原則は、技術の監視への利用と販売を明確に禁止している。GmailやG Suite、そしてGoogle Cloud Platformのような一般的なコンピューティングプラットフォームに関しては長年の利用規約があり、今でも国や地方の行政機関に提供されており、その中には警察も含まれている」。

書簡で社員たちは、自分たちが働いている会社に誇りを持ちたいと語っている。そしてその気持ちにグーグルが応えることを望んでいる。

「米国全土に浸透している警察の人種差別主義の伝統は、奴隷制とジェノサイドから得られた富を守るために警察力が必要とされたことにその起源がある。人種差別の遺産を一掃する努力はまだ先が長いが、まずその第一歩として、私たちは人種差別的な取り締まりで利益を得ているビジネスをすべきではありません。私たちは、Black Lives Matterを唱和しながら黒人を犯罪者扱いするビジネスをすべきではありません。私たちは、私たちはグーグル社員は、私たちの技術の警察への提供を止めるよう呼びかける」と書簡にある。

グーグルが社員たちの圧力で契約を取り下げた例が過去にある。国防総省の軍用ドローン計画Project Mavenは、社員たちの請願によりグーグルが契約の更新を行わないことになった。そして2018年10月にグーグルは、国防総省の大規模なクラウドコンピューティング契約であるJEDIの入札から下りた(未訳記事)。

警察などの法執行機関と契約しているテクノロジー企業は、グーグルだけではない。例えば、Salesforce(セールスフォース)は社員などからの抗議にもかかわらず長年、税関・国境取締局と契約している(未訳記事)。

最近では、ポジティブな変化もある。2020年6月初めには、IBMが警察と監視社会のツールになっている顔認識技術を販売しないと発表したMicrosoft(マイクロソフト)も最近、国の規制がない現状では顔認識技術を警察に売らないと発表し、Amazon(アマゾン)は同社の顔認識技術の警察による利用を1年間停止した。これらは、警察が丸腰の黒人であるジョージ・フロイド氏を殺害したことへの、直接的な反応だった。

フロイド氏の死に関してピチャイ氏は、社員宛てのメール(Googleブログ)で「米国の黒人コミュニティが傷ついている。私たちの多くが、自分たちの信念のために立ち上がり、愛する人びとに連帯を示す方法を探している」と述べている。

彼はまた、グーグルが反人種差別団体に1200万ドル(約13億円)を寄付するやり方を述べている。その後ピチャイ氏は、社内的には、2025年までに管理職レベルのダイバーシティを30%アップするなど反人種差別に対する同社の取り組みを詳しく述べた(Googleブログ)。

「私たちは、グーグルに人種差別をなくすための実効的な手段を講じて欲しいと願っています。私たちの社会は、Black Lives Matterを唱えてれば十分だった時代を、過去のものにしてしまった。黒人の命が他と同等に重要であることを、私たちの思想と言葉と行動で示していく必要がある」と同社社員は記している。

関連記事:テック業界はジョージ・フロイドの死をどう受け止めたのか

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

グーグル社員が警察への同社技術の提供に抗議

TechCrunchの情報筋によると、テクノロジーを警察に売るなと要求するGoogle(グーグル)社員グループの人数が、1666名を超えてまだ増え続けている。

社員は、Alphabet(アルファベット)のCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏に宛てた書簡で次のように主張している。「グーグルが警察への販売をまだ続けていること、そして警察との結びつきを何か進歩的なことのように広告して、警察との関係を断ってその力を弱めることを願っている多くの人びとの側につくことなく、むしろ販売の拡大を求めていることに失望している。George Floyd(ジョージ・フロイド)氏の首をヒザで抑えつけた者のいる機関がさらに強力な組織になることを、なぜ支援しなければならないのか?それだけではなく、グーグルがサクセスストーリーとして広告しているその同じクラークスタウンの警察は、Black Lives Matterの組織者たちを不法に監視して何度も訴えられている」。

例えばグーグルは、クラークスタウンの警察がG Suiteを使って情報とデジタルの証拠を共有していることをリリースで採り上げている。一方でグーグルはシアトルの警察財団に寄付をしたり(The Guardian記事)、同社のベンチャーキャピタル部門GVが警察が使用する人工知能技術を開発しているスタートアップに投資したりしている(The Intercept記事)。

一方、グーグルのスポークスパーソンはTechCrunchに次のように語っている。「私たちは、構造的な人種差別との戦いに変化をもたらす事業に力を入れており、弊社の社員は最近数週間だけでも500あまりのプロダクトの提案を行なっており、それを検討している。今回の件に関して、弊社は何年も前に大企業として初めて顔認識を商用利用には提供しないと決めている。また弊社のAI原則は、技術の監視への利用と販売を明確に禁止している。GmailやG Suite、そしてGoogle Cloud Platformのような一般的なコンピューティングプラットフォームに関しては長年の利用規約があり、今でも国や地方の行政機関に提供されており、その中には警察も含まれている」。

書簡で社員たちは、自分たちが働いている会社に誇りを持ちたいと語っている。そしてその気持ちにグーグルが応えることを望んでいる。

「米国全土に浸透している警察の人種差別主義の伝統は、奴隷制とジェノサイドから得られた富を守るために警察力が必要とされたことにその起源がある。人種差別の遺産を一掃する努力はまだ先が長いが、まずその第一歩として、私たちは人種差別的な取り締まりで利益を得ているビジネスをすべきではありません。私たちは、Black Lives Matterを唱和しながら黒人を犯罪者扱いするビジネスをすべきではありません。私たちは、私たちはグーグル社員は、私たちの技術の警察への提供を止めるよう呼びかける」と書簡にある。

グーグルが社員たちの圧力で契約を取り下げた例が過去にある。国防総省の軍用ドローン計画Project Mavenは、社員たちの請願によりグーグルが契約の更新を行わないことになった。そして2018年10月にグーグルは、国防総省の大規模なクラウドコンピューティング契約であるJEDIの入札から下りた(未訳記事)。

警察などの法執行機関と契約しているテクノロジー企業は、グーグルだけではない。例えば、Salesforce(セールスフォース)は社員などからの抗議にもかかわらず長年、税関・国境取締局と契約している(未訳記事)。

最近では、ポジティブな変化もある。2020年6月初めには、IBMが警察と監視社会のツールになっている顔認識技術を販売しないと発表したMicrosoft(マイクロソフト)も最近、国の規制がない現状では顔認識技術を警察に売らないと発表し、Amazon(アマゾン)は同社の顔認識技術の警察による利用を1年間停止した。これらは、警察が丸腰の黒人であるジョージ・フロイド氏を殺害したことへの、直接的な反応だった。

フロイド氏の死に関してピチャイ氏は、社員宛てのメール(Googleブログ)で「米国の黒人コミュニティが傷ついている。私たちの多くが、自分たちの信念のために立ち上がり、愛する人びとに連帯を示す方法を探している」と述べている。

彼はまた、グーグルが反人種差別団体に1200万ドル(約13億円)を寄付するやり方を述べている。その後ピチャイ氏は、社内的には、2025年までに管理職レベルのダイバーシティを30%アップするなど反人種差別に対する同社の取り組みを詳しく述べた(Googleブログ)。

「私たちは、グーグルに人種差別をなくすための実効的な手段を講じて欲しいと願っています。私たちの社会は、Black Lives Matterを唱えてれば十分だった時代を、過去のものにしてしまった。黒人の命が他と同等に重要であることを、私たちの思想と言葉と行動で示していく必要がある」と同社社員は記している。

関連記事:テック業界はジョージ・フロイドの死をどう受け止めたのか

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップル、独自プロセッサを搭載したMac miniを今週から開発者向けに提供

Apple(アップル)は開発者が同社のシステムオンチップ(SoC)ベースのMacへと移行するのを手助けしたいと考えており、開発者向けのハードウェアなどのリソースを数多く用意する。アップルの開発者向け移行キットには、A12Zプロセッサを内蔵したMac miniが含まれており、プレリリース版のmacOS Big Surが動作する。

開発キットのスペックとしては、16GBのRAMと512GBのSSDが含まれ、Xcodeがプリインストールされており、すぐにアプリ開発に取り組める。これはかなり初期段階のプレリリースキットで、アップル独自プロセッサを搭載した最初の市販Macは今年後半まで出荷されない。アップルのTim Cook(ティム・クック)CEOは、米国時間6月22日に開催されたWorldwide Developers Conference(WWDC)のキーノートで語った。

アップルはIntelベースのMacも引き続き販売する予定で、これには新製品も含まれる。完全にMacのラインナップが移行するには2年かかると伝えられている。一方、開発者キットは早ければ今週中にもプログラム承認された開発者向けに出荷されるとCook氏は語った。同社は開発者がスムーズに移行できるように、できるだけのことをするつもりだ。

今回のDeveloper Transition Kitにくわえて、アップルはQuickstartプログラムを作成し、開発者が新しいApple silicon上でアプリをユニバーサルかつネイティブに動作させるプロセスを支援する。具体的には、新しいSoCに関するサンプルコードフォーラムやドキュメントが提供される。ハードウェアを含むDTK自体の価格は500ドル(約5万4000円)で、キットは数量が限定されるため、既存のmacOSアプリケーションを所有している開発者が優先して入手できるという。

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(翻訳:塚本直樹)

アップル、デフォルトのメールやブラウザアプリの変更を許可

Apple(アップル)はひっそりと、モバイル版ChromeやGmail、Outlookのユーザーの生活を変える大きな発表をおこなった。同社はアプリのデフォルト設定に対する方針を変更し、ユーザーがメールアプリとブラウザアプリにサード製のアプリをデフォルトとして設定できるようにする予定だ。

アップルはこの変更がiPadOSとiOS 14で提供されると発表したが、これはおそらく、ユーザーがリンクをタップしたときにどのブラウザにリダイレクトされるのかを指定できることを意味する。同社が独自サービスのために何らかの機能を確保しているかどうかは、今後判明するだろう。キーノートではこの新機能は強調されず、数秒間表示された要約画面の下部中央にて示された。

これはアップルにとって大きな変化だが、ステージ上でこの点を強調しなかったのも当然だ。同社はサードパーティー製アプリをデフォルトとして使用するオプションをユーザーに提供することに、これまで消極的だった。ただし例外として、Google マップをアップルのアプリのデフォルトに設定できる設定は早い段階で導入された。

メールとブラウジングはモバイルデバイスの重要な機能で、今回のアップデートまでChromeやGmailのようなアプリをデフォルトに設定する機能がなかったのは驚くべきことだ。アップル自身が反トラスト法の議論の中心にいることの理由として、アプリのデフォルト設定が変更できないことは、同社が他社のサービスよりも自社のサービスを優先する手法として常に槍玉に挙げられてきた分野の一つだ。

この機能が具体的にどのようなものになるのか、どのようなサービスがサポートされるのかの詳細は不明だが、ベータ版が公開されれば多くの情報が得られるだろう。

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(翻訳:塚本直樹)

WWDC基調講演中に新OS、新機能の発表でアップル株価はどう動いたのか?

米国時間6月22日にApple(アップル)はWWDCで基調講演を行った。事前録画されたビデオで幅広いテック業界の人びとを説得しようとするバーチャルイベントだ。

TechCrunchはクパチーノ発の最新情報について山ほどの記事を載せているが、イベント中のアップル株価の動きにも注目した。これはTechCrunchの伝統であり、イベントの最中に同社株がはさほど大きく取引されることはないが続けている(未訳記事)。

しかしアップルには他の船(企業)を揺らす能力があり、2018年のハードウェアイベントでApple Watch Series 4が発表された後、Fitbit株が暴落したときに我々はそれを認識した。というわけで、この短い記事はアップル自身の株価だけでなく、他の誰が影響を受けるかにも注目する。

講演中の株価状況

WWDC基調講演が終わところで、この長尺のビデオ講演による株価の変化を時間とともに示した。

Data via Yahoo Finance. Annotations via TechCrunch.

ここから何を読み取ればいいのかわからなくても、心配ない。実際のところ、このグラフの分析は少々難しかったため、本誌はアップルの発表ごとにそのニュースが投資家にどう影響を与えたかを調べてみた。

それでは、アップルのイベントをライブブログで紹介する本誌の伝統にならって、TechCrunchは世界初のアップル基調講演「株価ライブブログ」をお送りする。さあ始めよう。

  • 12:18 ET:アップル株は2.12%高の357.13ドル。本日(米国時間6月22日)のアップル株は株式市場全体の上昇とともに値上がりしたが、これまでのところ上昇率はMicrosoft(マイクロソフト)とほぼ同じで、Alphabet(アルファベット)の約2倍だ。
  • 1:04 ET:株価は変わらない。WWDCが始まりCEOのTim Cook(ティム・クック)氏が会社のこと、今後起きること、パンデミック危機、構造的人種差別、国家の暴力などについて話している。
  • 1:07 ET:アップルが新しいiOS機能を紹介している。株価は動かない。
  • 1:15 ET:Siriのアップデートが登場し、アップル株は2.2%上がったが事実上変わらず。
  • 1:20 ET:メッセージ機能のアップデートでも株価は変わらず、アルファベット株にも影響なし。
  • 1:29 ET:App Clipsも株価を変えられず、2.15%高のまま、iOSアップデートもアップルの株価に何ら影響せず。
  • 1:42 ET:iPadのアップデートを詳しく紹介、キーボードは少々過大評価されているのでペンシルの利用が伸びると見ている。株価はほぼ不変の2.03%高。
  • 1:44 ET:アップルの大ヒット製品Air Pods Proの最新情報にも株価は変わらず+2.14%。
  • 1:51 ET:Apple WatchとwatchOS 7にも株価変わらず。
  • 1:54 ET:手洗いに役立つApple Watchアプリ、新型コロナウイルス(COVID-19)蔓延を心配する市場を動かせず、+2.16%で変わらず。
  • 2:00 ET:アップルのかなりのプライバシー改訂も株価を動かせず2.05%高。
  • ちなみにNasdaq(ナスダック総合指数)は再び10,000ポイントを超えた。
  • 2:13 ET:macOSアップデート、株価変わらず。
  • 2:19 ET:+2.16%で変わらず。
  • 2:25 ET:アップルがSafariについて話している。株価は+2.19%でほぼ平坦。
  • 2:31 ET:プロセッサーについて話し+2.28%。
  • 2:33 ET:Intel株も変わらず、今日の+0.38%を維持。
  • 2:41 ET:アップルのデベロッパー向け最新情報が続き株価は+2.34%とわずかに上昇。
  • 2:46 ET:アップルがアップル製チップへのデベロッパーの移行、Intelチップ版macOSの将来、本格的チップメーカーとして将来につい語る。株価はティム・クック氏が話を終えたとき2.30%増だった。

以上、ここまで。

アップルの発表が株価を変化させないことについて、この長々しく退屈なジョーク記事を書いたのには理由が2つある。第一に、投資家はアップルの発表の意味をまるで理解できていないことが明らかだから。第二に、この事実が効率的市場仮説の信奉者をからかっているからだ。投資家たちはその規模によらず、以前よりはるかに多くの情報を持っているが、彼らの見るところ、アップル株の価値は以前とまったく変わっていなということのようだ。

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iOS 14でマップにルートの最適化や急な坂を知らせる自転車用オプションを追加、まずNYや上海などで導入

Apple(アップル)のiOS新バージョンでは、マップに多くの新機能が加わる。その中の1つが、自転車ユーザー向けにルートを最適化したり、そのルートに勾配のきつい登り坂が含まれているかどうかを知らせたりする自転車オプションだ。

アップルはこの新機能を米国時間6月22日に開催された年次デベロッパー会議のWWDC 2020バーチャル版で発表した。

Apple Mapsはすでに公共交通機関や徒歩での移動ルートを案内している。だが、同社のシニアディレクターであるStacey Lysik(ステイシー・リシック)氏によると、自転車オプションのリクエストが最も多く寄せられていたという。

自転車オプションは、iOS 14でまずいくつかの都市を対象に導入される。差し当たってはニューヨーク市、サンフランシスコのベイエリア、そして中国の上海と北京だ。数カ月以内にさらに多くの都市が追加されるとのことだ。

「自転車で街を移動するのに使える、ものすごくいいサイクリングエクスペリエンスを構築した」とリシック氏は話した。

自転車オプションでは、かなり勾配がきつい坂を登ることになるのか、あるいは楽しい平坦な道のサイクリングになるのかなどを調べてユーザーに示す。また、ルートに静かな通り、あるいは賑やかな通りが含まれるのか、険しい道があるのか、自転車を担いで階段を昇らなければならないのかもわかる、とリシック氏は述べている。

階段は明らかに理想的なものではない。そのためこの機能では、階段を回避するルート設定も用意される。

画像クレジット: Apple

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(翻訳:Mizoguchi

アップルのARMベースMacは旧アプリをエミュレート、iOSアプリも動かせる

Apple(アップル)はMacの大きな方向転換を発表した。同社は将来、Intel製CPUをARMアーキテクチャーに基づくアップル独自のチップに置き換える。デベロッパーや特殊なエンタープライズアプリを動かしている人なら、今後どうなっていくのか気になることがたくさんあるだろう。

まず、アプリはIntelベースのMacとARMベースのMacの両方で動作するようにコンパイルできる。その両方の実行可能コードを含むアプリは、Universal 2と呼ばれる新しいフォーマットを使って配布される。Macをしばらく使っている人なら、アップルがPowerPC CPUからIntel CPUに切り替えた時にも同じ方式をとったことを覚えているだろう。1つのアプリに2つの実行ファイルが入る。

最適化されないソフトウェアもそのまま動作可能だが、性能はARM対応のネイティブアプリより劣る。アップルは、新しいMacで旧アプリを動かすためのエミュレーションレイヤーであるRosetta 2(ロゼッタ2)を提供する。

ARMベースのMacに古いアプリをインストールすると、システムがアプリを調べてARMプロセッサーに最適化しようと試みる。こうしてユーザーがアプリを開く前からある程度の最適化が行われる。

しかし、ウェブブラウザーや複雑なアプリなど実行時コンパイルする場合はどうなるのか?Rosetta 2は、アプリの実行時にもx86の命令をARMの命令へとリアルタイム変換する。

そして、サーバー上で動くコードを作っているデベロッパーのために、アップルはバーチャル化ツールも準備している。LinuxとDockerをARM Macで動かせる。

おまけとして、Macユーザーはこれまでになく大きなアプリライブラリーを利用できるようになる。「Macユーザーは初めて、iOSとiPadOSのアプリをMacで動かせるようになる」とアップルのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏は語った。

詳しくは語られなかったが、iOSアプリのmacOSへの移植を容易にするアップル自身のフレームワークであるCatalystを使うことで、デベロッパーがmacOS向けに最適化していないアプリでもユーザーはダウンロードして実行できる。

移行には時間がかかり、おそらく2年程度は必要だろう。最初のARMベースMacは2020年末に出荷される予定だ。ARM Macへのアプリ移植に興味のあるデベロッパー向けに、クイックスタートプログラムが用意される。ドキュメントとプライベートフォーラムに加えて、アップルはA12Zシステムオンチップ搭載のカスタム版Mac Miniを提供する。こうしてデベロッパーは実際にARMチップが載ったMacで自分のアプリをテストできる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple+向けアシモフの「ファウンデーション」の予告編初公開

2020年のオンラインWWDCではApple TV+はさほど大きくフィーチャーされていなかったが、キーノートで「ファウンデーション」の最初のティーザー予告編が公開された。

このシリーズはIsaac Asimov(アイザック・アシモフ)のSF古典をベースとしている。銀河帝国の崩壊とそれに続く混乱の期間をできる限り短縮するためにハリ・セルダンが発明した心理歴史学が重要なモチーフだ。

YouTubeなどオンラインで公開された予告編はWWDCのライブストリーミング版より長く、製作総指揮兼ショーランナーのDavid S. Goyer(デビッド・ゴイヤー)氏のコメントも収められている。TechCrunchでもアシモフの生誕100年を記念した記事を掲載しているが、ゴイヤー氏は「この50年、『ファウンデーション』の映画化が模索されてきた。アシモフのこのシリーズは『スター・ウォーズ』にも極めて大きな影響を与えている。史上最高のSFだ」と述べている。予告編にはゴイヤー氏をはじめとするクリエイターのチームがこの作品の映画化にどのように取り組んだか、ヒントもある。

原作は何世紀もの期間に及んでおり、主人公も作品ごと代わっている。動画ではJared Harris(ジャレッド・ハリス)がセルダン役を続けるように思えるが、途中で別の俳優に代わる可能性もある(Netflixの「ザ・クラウン」でハリスが演じたジョージ6世はすぐに消えてしまった)。

また、主要な登場人物には非白人の女性が含まれている。原作にはアクション場面が少なく会話が多いが、Apple TV+の動画版ははるかに視覚的に魅力的なスペクタクルとなっている。

「ファウンデーション」のリリースは2021年に予定されている。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

ついにwatchOS 7でApple Watchの文字盤カスタマイズ、共有が可能に

Apple(アップル)はWWDC 2020でカスタムウォッチフェイスの共有など、これまで強く要望されていた機能をApple Watchに追加すると発表した。

Apple WatchのApp Storeには2万以上のApple Watch用のアプリが登録されているが、お気に入りのアプリのデータをすべてWatchのメイン画面に集約する機能が欠けていた。watchOS 7に導入されるサードパーティーのウォッチフェイス(文字盤)をカスタマイズして共有する機能などによってこの状況は変わる。

watchOS 7ではデベロッパーはアプリごとに個別の機能を統合し、これを表示するカスタムウォッチフェイスをデザインできる。例えばサーファー向けウォッチアプリのデベロッパーは、ユーザーがお気に入りのビーチを登録すれば水温や波高、風速などを予測する「サーフィンウォッチ」の文字盤をデザインできる。赤ちゃんの両親向けの専用アプリであれば授乳時間のアラームを設定したり、成長を記録したりできる。Nike(ナイキ)社のNike Run Clubは、前回のランニングのペースや毎週のランニング目標などの情報を表示する。

アップルは「デベロッパーは新しいSwiftUIを利用して複雑な機能をデザインできるようになる」と述べている。

またwatchOS 7では、ユーザーはこうした複合的な機能を持つカスタムアプリを利用したお気に入りのウォッチフェイスを公開、共有できる。

watchOS App Storeでは、キュレーションされたサードパーティのアプリやウォッチフェイスを発見できる。また新しい共有機能を利用して、App Storeその他で発見したウォッチフェイスを家族や友人と共有することができる。

共有は簡単だ。表示されたウォッチフェイスを長押して、送信先を選択するだけでよい。デベロッパーはアプリから直接、事前にカスタマイズされた文字盤を提供することもできる。これは各種のソーシャルメディアに公開できるため、ウォッチフェイスがバイラルで拡散される可能性もある。

iOSなどアップルの他のプラットフォームと比べて、遅れ気味だったwatchOSにとってこうした新機能はエコシステムを活性化するのに役立つだろう。

Appleはまた、タコメーター付きの新しいクロノグラフや更新されたXLフェイスのアップデートなど、今後独自の複合機能の文字盤デザインを提供していくと述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルがARMベースのMac用独自プロセッサーの開発を正式発表

Apple(アップル)は、米国時間6月22日のWWDCでおそらく最も大きなニュースを発表した。Tim Cook(ティム・クック)氏は同社がデスクトップとラップトップ用の自前のプロセッサーを開発していることを正式に明らかにした。ここ数年噂されていたもので、Intel(インテル)のチップへの依存から脱却しARMベースの独自チップに移行する。

この動きは、ハードウェア生産のあらゆるポイントを可能な限りコントロールしたい同社にとって当然のステップであり、iPhone、iPadそしてApple Watchでの措置に続くものだ。同社はすでにこうしたモバイルデバイス向けに数世代のチップを手がけており、それをMacにも拡大することを決めた。

アップルは同社のSoC(System-on-a-chip)がバッテリーの持ちを犠牲にすることなくさらにパフォーマンスを向上させることができると主張する。本当であれば、かなり素晴らしい変更だ。またグラフィックのパフォーマンス向上とともに、オンボードもモバイルデバイスで提供されているようにセキュリティが強化される。

アップルによると、こうした取り組みにより同社のデバイスが同じプロセッサーアーキテクチャを使うことになり、クロスプラットフォーム操作で大きな利点となる。驚くことではないが、 iOSとiPadOSのアプリを箱から出したばかりのデスクトップで直接扱えるようになることを意味する。同社がmacOSのCatalystで展開してきたものを力強く前進させることにもなるが、ネイティブアプリ同様には機能しないと思われる。

ただ、こうした取り組みにも関わらず、デベロッパーが新旧のMacでアプリを開発しやすくなるように取り組んでいる、とアップルはいう。大半のユーザーがアップグレードするまでしばらく時間があることを考えると、重要な注意点だ。Microsoft(マイクロソフト)も含め、多くのデベロッパーがすでに新たなアーキテクチャを開発中だ。

移行をスムーズなものにするために、アップルはRosettaの新バージョンを投入する。RosettaはマイクロプロセッサーのPower PCからの移行をサポートするプログラムだ。Rosetta 2はアップグレードされていないアプリが新しいプロセッサー上でも作動することを保証する。これらは本日発表されたmacOS 11 Big Surの鍵を握るものとなる。

今回のWWDCでアップルはまた、デベロッパーが新Macに取りかかれるDeveloper Transition Kit(DTK)も発表した。DTKは、システムが実際に使えるようになる前に有利なスタートが切れるようにする強化されたMac Miniのようなものだ。ARMベースのチップを搭載した初のMacは2020年後半に発売され、完全移行には2年かかるとされる。つまり、Intelベースのシステムが今後も一部展開されることを意味する。

アップルはこれまでのモデルのサポートを継続するとクック氏は述べたが、新しいシステムがどのようなものになるかを確かめるまではアップグレードをしばし控えても良さそうだ。新たなシステムについての詳細は示されなかった。しかし、13インチのMacBook Proが新しいシリコンを搭載する初のモデルとなり、再設計されたiMacは2021年初めに投入されることが予想される。

その他にもまだ不明な点は多い。結局、WWDCは目まぐるしいスピードで駆け抜ける洗練されたキーノートだ。詰め込むにも限度というものがある。約束した新チップの処理能力の改善やバッテリーの持ち、実際にそれがどんなものなのかに関しては、アップルはプロダクト発表時に明らかにするようだ。

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(翻訳:Mizoguchi

台湾のスタートアップDeep 01がAI医療画像診断ソフトウェアで約3億円を調達

医師が脳のCTスキャンをより迅速に解釈するためのソフトウェアを開発する台湾のスタートアップであるDeep01は、米国時間6月22日に270万ドル(約2億9000万円)の資金調達を行ったと発表した。資金調達を主導したのはPCメーカーのASUSTek(エイスーステック)だ。

Deep01の製品は台湾と米国食品医薬品局(FDA)の両方から認可を得ており、同社は2月に約70万ドル(約7500万円)相当の最初の注文を受けていた。

他の投資家には、台湾の研究機関である工業技術研究院(ITRI)と情報産業研究所(III)が共同出資するデジタル・エコノミー・ファンドと、BEキャピタルが含まれる。

Deep01のソフトウェアは現在、台湾の2つの医療センターと4つの病院で使用されており、すでに2000件以上の脳スキャンに役立っている。

Deep01は救急科向けに開発されたソフトウェアで、急性脳内出血を93%〜95%の精度で30秒以内に検出できるという。

Deep01は創業者かつCEOのDavid Chou(ダビッド・チョウ)氏によって、2016年に設立された。チョウ氏はカーネギーメロン大学でコンピュータサイエンスの修士号を取得し、2018年から2019年の間にハーバード大学のマサチューセッツ総合病院の研究員として勤務していた。

ASUSのコーポレートバイスプレジデントかつAIoTビジネスグループの共同責任者を務めるAlbert Chang(アルバート・チャン)氏は声明にて「Deep 01はAI医療分野のリーディングスタートアップだ。今回のコラボレーションはヘルステック分野において有望である」と述べている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

【WWDC20速報】watchOS7は文字盤の共有が可能に、新型コロナ対策機能もあり

アップルは米国時間6月22日、開発向けイベントWWDC20の基調講演で、次期watchOSの新機能を発表した。iOSやiPadOSに比べるとやや小幅なアップデートという印象だ。

文字盤の共有

新watchOSでは、サードパーティーがデザインした文字盤を手軽に自分のApple Watchに着せ替えることが可能になる。サードパーティーは、SwiftUIと呼ばれるユーザーインターフェースデザイン用のプログラミング言語を使って文字盤をデザイン可能だ。

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マップ

「マップ」アプリには、iOS14と同様に自転車向けのルート検索機能が加わっている。勾配などを情報をApple Watchから得られる。そのほか、階段や徒歩でないと進めない道などもガイドしてくれる。

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ワークアウト

「ワークアウト」アプリでは、Apple Watchが内蔵する各種センサーの情報から腕や足の位置や負荷のかかり方などを深く解析して、カロリー消費量などをより正確に計算してくれる。

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Wind Down

iOSとの連携機能としてはWind Downがある。これは、アラームや音楽再生、HomeKit対応家電の操作といった操作をApple Watchに自動的に適用することで、質の高い睡眠を取ることを支援する機能。就寝時間に近くなると文字盤が変化する。

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Handwashing

新型コロナウイルス対策を意識した機能もある。手に付着したウイルスを手洗いで除去するには20回程度のもみ洗いが必要だが、新しいwatchOSはこの回数を自動的に数えてくれる。

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基調講演では詳しく触れられなかったがwatchOS7にはそのほか、翻訳、デバイス上での音声入力などの機能も加わる。

iPadOS 14ではアプリの操作性がmacOSのようになる

Apple(アップル)はiPadOSに加えるタブレット特有の新たなアップデートを発表した。iPadをラップトップの代替として使えるようにするソフトウェアを渇望しているユーザーの声に応えるものだ。

AppleのiPadアップデートは今年はかなり控えめだ。大きな変更は同社が展開するアプリがサイドバーやドロップダウンメニューを考慮してデザインされていることだ。つまらないように聞こえるが、明らかにより複雑でmacOS風のデザインをiPadにもたらし、スクリーンをこれまでよりもフル活用できるようになる。特に写真やファイル、カレンダーのアプリのデザインアップデートに注力した。

デザインの変更は、iPad操作に関してよく耳にする不満の1つを解決する。その不満とは、アプリがまだiPhone仕様になっているためにユーザーがiPadのパワーを存分に活用できないというものだ。新しいMagic Keyboardのトラックパッドのようなマルチタッチ外部入力をサポートするようになり、Appleのデザインニーズはシングルスクリーンに合う生産性を念頭に置いたインターフェースに向かっている。デベロッパーがこうした新テンプレートを使ってiPadデザインにどのように手を加えるかは今後明らかになる。

画面の操作性に関しては、iPadのホームスクリーンで使えるウィジェットが増える。現在ウィジェットは主にiPhoneで展開されていて、今後さらに多くのデベロッパーがサポートするようになることが予想される。

AppleはiPadOS発表のほとんどの時間をApple Pencilの新機能「Scribble」に費やした。ユーザーはApple Pencilでスクリーンのテキストボックスに走り書きができ、手書きの文字をすぐさまプレーンテキストに変換することもできる。つまり、ユーザーはSafari検索バーに直接書き込み、キーボードに触れることなく素早く検索できる。この機能でユーザーはよりフレキシブルに選択した入力モードを活用できる。

iPadOSは今秋リリースされる予定だ。

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タグ:Apple WWDC iPad

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(翻訳:Mizoguchi)

【WWDC20速報】AirPods Proは新ソフトウェアへの更新で顔や端末の方向を認識して音を出す

WWDC20では、AirPods softwareという耳慣れない言葉が登場した。このAirPods softwareとiOSやiPadOS、macOSなどのOS組み合わせることで、顔の向きや端末の方向に応じて音を最適化することが可能になる。これぞまさしく、ハードウェアとソフトウェアの両方を開発しているアップルにしか開発できない新機能だ。

3Dオーディオ

基調講演では、AirPods Proのソフトウェア(ファームウェア)を更新することで音の聞こえ方をユーザーの姿勢や端末の持ち方で自動的に調整できることが説明された。顔や端末を左に向けると、音が聞こえてくる方向が自動的に調整される。

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自動接続

マルチペアリングが可能なAirPodsシリーズでうれしい機能も加わった。iPhoneやiPad、MacなどにペアリングしているAirPodsを、それぞれの端末で利用する際に自動的に接続先を切り替えてくれるようになる。例えば、MacでAirPodsを使っている最中にiPhoneで電話した場合に、AirPodsは接続先をMacからiPhoneに自動的に切り替えるわけだ。

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カテゴリー:ハードウェア

タグ:Apple WWDC AirPods

アップルがデザイン一新した「macOS 11.0 Big Sur」を発表、新美学と再設計アプリを導入

ここ最近Apple(アップル)はその焦点をモバイル向けOSにシフトており、macOSには取り残されていた。昨年のCatalinaではSidecarを含むいくつかの重要な変更もたらされたが、最近のアップデートの多くはOSをよりiOSに似せたものにすることが中心だった。そして次期バージョンでは、カリフォルニアの最も美しいスポットから名前を拝借するという例が維持されている。今回は、中央海岸のBig Surだ。バージョン番号はライブデモによれば、macOS 11.0となっている。

アップルは新しいデザインのアイコンやサウンド、改善されたアニメーションなど、さまざまな美的要素を洗練させている。アプリの角はすべて丸くなり、ツールバーも改善された。全体的に色数が増えており、新しいキーカラーによってそれぞれの会社の製品が区別される。アップルのファーストパーティーアプリはすべて再設計され、メニューバーもiOS風の半透明デザインになった。

iOSにもあるControl Centerはモバイル版から借用した最新機能で、明るさを調整したり、ナイトモードに切り替えることができる。正直なところ、最近のmacOSの多くの再設計と同様に、Big SurはiOSからウィジェットや通知センターを含む多くの要素を借用している。いくぶん無機質だったメッセージアプリも大きく改善された。これにはMemojiの編集とメッセージのピン留めが含まれている。

デスクトップにiOSアプリを持ってくるためのCatalystでも、開発者向けのアップデートが発表された。実際には、Big Surに搭載されるメッセージとマップの最新バージョンで使用されている。

Safariにも今回大きなアップデートがあり、スピードが大幅に改善される。アップルによると、同ブラウザは頻繁に訪れるページをChromeより最大50%高速に開くことができるという。それ以外にも不要なアプリの追跡を監視するなど、いくつかの重要なセキュリティアップデートが提供される。またパスワードを監視し、データ漏洩と照合する。iOS同様、ブラウザに翻訳機能が組み込まれ、Googleと同様の機能が提供される。

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カテゴリー:ソフトウェア

タグ:Apple WWDC

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(翻訳:Tsukamoto)

【WWDC20速報】新iPadOSとApple Pencilで手書き文字認識が可能に、複数言語が混在してもOK

WWDC20で披露された新iPadOSには、Scribble、Shape recognition、Smart Select、Data detectors、Scratch to deleteなどの機能も搭載される。これらの機能はアップル純正のスタイラス(デジタルペン)であるApple Pencilで利用可能だ。なお、iPadOS側に搭載される機能なので、Apple Pencil自体を新しいものに買い替える必要はない。

Scribble

Scribble(落書き)機能は、Apple Pencilで書いた文字をテキストデータに変換してくれる。つまり、iPad上で手書き文字の認識が可能になるわけだ。Apple Pencilを使ってiPadで絵を描いている最中に調べ物をしたいという場合に、Apple Pencilでそのままキーワードを手書きすれば検索できて便利。

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Smart Select

Apple Pencilで書いた文字をオブジェクトとして認識してくれる機能。具体的には、手書き文字の色をあとから変更することなどが可能だ。

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Shape recognition

Apple Pencilで描いた図形や線を認識して清書してくれる機能。丸や四角をキレイな線で自動的に描き直してくれるほか、歪んだ線も綺麗な直線に変えてくれる。

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Data detectors

Apple Pencilで描いた住所や電話番号を認識してくれる機能。該当する手書き文字を選んで、地図を開いたり電話をかけたりすることが可能だ。

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Scratch to delete

Apple Pencilで書いた文字の上から取り消し線を書くと消せる機能。間違えて書いた文字を波線などで消すと画面から消去される。

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