フェイスブックが最も安いVRヘッドセットOculus Goの販売を終了

Facebook(フェイスブック)は、同社のバーチャルリアリティーヘッドセットで最小機能、最低価格のOculus Go(オキュラスゴー)の発売を終了すると発表した。発売からわずか2年しか経っていない。

フェイスブックのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が、2017年末に同製品を発表した。同社がスタンドアロン型ヘッドセットを販売したのはこれが初めてであり、VRは高価すぎるという消費者の認識と戦っていた。価格が199ドル(約2万1000円)からのOculus Goは、度重なる改訂を強いられながらも数年にわたり相当量ライブラリーを築いたSamsung Gear VRの販売中止を受けた代替品というのが主な位置づけだった。

関連記事:Oculus、イベントで199ドルのモバイルVRを発表

このエントリー製品は、消費者をVRの概念に引き込み、上位機器にアップグレードさせることが目的だった。しかしデベロッパーを呼び込むには市場が小さく、デベロッパーはRift SやQuestといった技術的に高度なプラットフォームに興味を示した。フェイスブックは2019年に399ドル(日本販売価格5万4780円)のOculus Questを発売し、Oculusの消費者戦略を進めるには位置追跡可能なヘッドセットが最良の選択であることがすぐに明らかになった。

フェイスブックはGoの発売を2020年中に終了するが、ウェブサイトではかなり前からすでに在庫切れだ。Oculusは同デバイスのバグ修正とセキュリティー修正を2022年まで継続するという。Oculus Goはフェイスブック最後の位置追跡のないヘッドセットとなり、同社は米国時間6月23日のブログ記事で「今後3DoF VR製品を販売することはない」と書いている。

ここ数カ月間、フェイスブックは同社のVRヘッドセット製品ラインであるGo、Quest、Rift Sの需要に応じることができず、長い間在庫切れが続いている。Goの販売が中止されたことで、類似の部品を利用するヘッドセットのサプライチェーンの整備が進むことが期待される。

Goの販売中止の発表とともに、Oculusはアプリエコシステムを開放しデベロッパーのアプリ配布を容易にする方法を検討していることを明らかにした。OculusがQuestを発売した際、Oculus Storeには承認されたソフトウェアのみを置き、実験的要素の強いアプリの拒否に力を注ぐ同社の閉鎖的な方針が議論になった。一部のデベロッパーは、非公式にダウンロードする「サイドロード」をユーザーに勧めたが、効果があったのはマニアに対してだけだった。

フェイスブックはOculus Storeのアプリ選出方法は変えないが、新たな配布方法について詳細の一部を発表した。

これでデベロッパーは、Questを所有しているユーザーへのアプリ配布が、Oculus Storeの認定を受けずに可能になる。まだ詳細を話すことはできないが、当社のストア経由でアプリを配布していない人たちを含め、多くのデベロッパーがQuestを扱えるためのプランを一部だけでも紹介したかった。

OculusのQuestアプリの承認プロセスは、自分のアプリを拒絶されたデベロッパーの間で不評だった。フェイスブックが3本の柱からなる製品ラインから柱のひとつを外したことで、デベロッパーにQuestのタイトルを扱いやすくする必要を感じたに違いない。Oculusは少なくなった製品を多くのユーザーに使ってもらわなくてはならなくなったわけで、アプリの配布方法に変更を加える必要を認識したことは当然だろう。

画像クレジット:JOSH EDELSON/AFP / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ParallelsがARMアーキテクチャ搭載Macに仮想環境を提供へ、ARM on ARMのWin環境が現実的か

macOS上でx64(x86)版のWindowsやLinuxなど利用可能にするホスト型の仮想環境「Parallels Desktop」などを開発・販売しているParallelsは、WWDC20のアップルの発表を受け、アップルと協力してARMアーキテクチャを採用するApple Silicon搭載Macにも仮想環境を提供する計画であることを明らかにした。

同社のエンジニアリング・サポート担当シニアバイスプレジデントであるニック・ドブロボルスキー氏はプレスリリースで「Parallelsはこの移行時に、アップルと緊密に連携しており、Apple Siliconを搭載した将来のMacへサポートを提供していくことを楽しみにしています」と述べている。

プレスリリースでは、なんの仮想環境を開発していくのかは明らかにされていないが、常識的に考えればWindowsが動く仮想PC環境を指すと考えられる。となるとWindowsには、インテルやAMDのプロセッサーで動作する64ビットのx64版と32ビットのx86版、ARMアーキテクチャ上で動くARM版があり、ARM版のWindows環境であれば元は同じARMアーキテクチャのApple Silicon搭載Mac、つまりARM on ARMを実現するのはハードルが低いと考えられる。

ARM版Windowsは、マイクロソフトの2 in 1 PCであるSurface Pro Xなどに搭載されているOSだ。x86アプリのエミュレーション機能を備えているので、ARM版Windows用アプリはもちろん、32ビットのx86版Windows用(Win32)アプリもエミューレションで動くため、Apple Silicon搭載Macでも十分な処理速度になるだろう。古いWindowsアプリをMacで動かしたいというニーズにも応えられる。

一方で、64ビットのx64版Windowsで動作する最近のアプリをApple Silicon搭載Macで使いたいというニーズを実現するのはハードルが高い。Parallelsがホスト型の仮想環境の開発を計画している場合、ARMアーキテクチャ上で動くmacOS上に、プロセッサのアーキテクチャが異なるx64版のPC環境を構築する必要があるからだ。Parallels Desktopなどのx64 on x64のホスト型仮想環境に比べて処理速度の低下は避けられない。

WWDC20の基調講演のデモでは、Apple Silicon対応のプロトタイプのParallels DesktopDebian Linuxを稼働させ、その上でApacheサーバを稼働させていたが、DebianARM版もあるのでプロトタイプがx64ベースなのか、ARMベースなのかは判別できない。

MacがPowerPCを搭載していたころ、マイクロソフトに買収される前のConnectix(コネクティクス)が開発したVirtual PCというホスト型仮想環境上のWindowsをものすごく遅いながらも頑張って使っていた1ユーザーとしては、技術的ロマンを感じるのはもちろんx64 on ARMの仮想環境だ。もちろん私だけでなく、当時はVirtual PCのアップデータが配布されると日本からのアクセスが集中してFTPサーバーが落ちたことがあるほど、日本のユーザーの関心は高かった。とはいえ、早期の市場投入と実用性を考えるとARM on ARMに落ち着くのではないか。

ちなみにVirtual PCはマイクロソフトに買収されたあとの「Microsoft Virtual PC for Mac Version 7」シリーズでPower Mac G5対応を果たし、CPUのアーキテクチャーだけでなくリトルエンディアンとビックエンディアンのバイトオーダーの壁も乗り越えていた(ものすごく遅かったけど)。

詳細はParallelsに問い合わせ中で、追って記事を更新する予定だ。

 

「抗議者を脅した」とTwitterが再びトランプ大統領のツイートを非表示に

Twitter(ツイッター)は米国時間6月23日、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領のコンテンツに対して新たなアクションを起こした。脅迫的な要素を含むとして、ツイートを隠し、警告ラベルを貼った。

トランプ氏の最新の攻撃的なツイート(Twitter投稿)は「私が大統領である限り、ワシントンD.C.に『自治区』ができることは決してない。もし自治区設置を試みるものなら、彼らは重大な力に直面することになる!」と宣言した。このツイートは、6月22日夜にホワイトハウス近くのラファイエット広場で抗議者たちと警察当局が衝突したことを受けてのものだ。

ツイッターはトランプ氏の別のツイートが、「悪態」という形で人々に危害を加える脅しを禁止する同社のルールに反したと指摘している。ツイートは削除されないが、「いいね」の表示や返信、コメントなしのリツイートなどユーザーの反応は制限されるとツイッターは説明した。6月22日に同社は、郵送投票に関して偽の主張を行い「RIGGED 2020 ELECTION」と記したトランプ氏の別のツイートに対応することを却下した。問題のツイートは選挙に関するツイッターのルールを明確に破るものではない、という判断だ。

ここ数週間、トランプ氏は抗議者が警察のいないエリアを作ることを許しているシアトル市を頻繁に軽蔑してきた。この対応はトランプ氏の政治に対する恐れや怒りを再びかき立てた。キャピトル・ヒル周辺の駅を警察が見捨てた後、シアトルの抗議者たちはこのエリアに流入し、「自治区」を宣言した。自治区そしてトランプ氏の最新の脅しは、ミネアポリスの警察が2020年5月下旬にGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏を殺害した後に、警察の残忍性や人種差別的な暴力に反対する全国的な公民権運動に発展した。

6月23日のツイートは、ツイッターが同プラットフォームのルールを大統領に適用してきた一連の動きの中で最新例となる。これまで同社は、トランプ氏を含め著名な米国の政治家からのツイートにポリシーを適用することはほとんどなかった(未訳記事)。

2020年5月から同社は政治家を対象としたモデレーションにより積極的なアプローチを取るようになった。5月下旬にツイッターは、カリフォルニアの郵送投票に関して偽の主張を行った大統領のツイート2件にフラッグを立てた。すると、数日後にトランプ氏は報復的な大統領令に署名した。ジョージ・フロイド氏事件の抗議の初期に、ツイッターはトランプ氏の抗議者に対する武力行使に言及した別のツイートも非表示にした。

画像クレジット: Justin Sullivan/Getty Images / Getty Images

関連記事:TwitterのCEOがトランプ大統領のツイートに警告を付けた理由を説明

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(翻訳:Mizoguchi

Twitterがビジネスユーザーの個人データ漏洩を発表

「Twitterで最後にデータ漏洩事故が起きた日から○○日」の札がゼロに戻そうだ。

Twitter(ツイッター)は米国時間6月23日、ビジネスユーザー(ツイッターサイトに広告を掲載している企業など)宛にメールを送り、セキュリティーに関わる過失のために各社の情報が漏洩した可能性があることを伝えた。

ソーシャルネットワークの巨人は、不手際によってビジネスユーザーの課金情報がブラウザーのキャッシュに残り、パソコン共有者などの他ユーザーがアクセスできた「可能性」があると語った。

そのデータにはビジネスユーザーのメールアドレス、電話番号、アカウントに関連付けられたクレジットカードの下4桁などが入っていた。

ツイッターは、問題に気づいたのは2020年5月20日だったとユーザーに伝えた。その1カ月前にツイッターは、Firefoxブラウザーのキャッシュにダイレクトメッセージなどのユーザーデータが誤って保存されるという類似のバグを公表していた(Twitterリリース)。

BBC Newsがこのニュースを最初に報じている

Twitter広報担当のLaura Pacas(ローラ・パカス)氏は、TechCrunchにこの事故があったことを認めたが、影響を受けた人数の公表は拒んだ。

「当社は、顧客がads.twiitter.comまたはanalytics.twitter.comで課金情報を閲覧した際、情報がブラウザーのキャッシュに保存された可能性があるという事象に気づいた」と広報担当者は話した。「本事象を発見した直後に、当社は問題を解決し、影響を受けた可能性のある顧客に事実を通知をするとともに今後の対策方法を伝えた」。

これはこの数年間続いている数多くの事故の最新事例にすぎない。

2019年だけでも、Twitterはある研究者が数百万のTwitterアカウントに紐付けられた電話番号を見つけたバグの調査を中止し、ユーザーがデータ共有を許可していない場合にもアカウントの位置データを提携企業に渡していたことを認め、広告パートナーに提供すべき以上のデータを誤って渡した(未訳記事)。さらにTwitterは2019年に、ユーザーが2要素認証のために提供した電話番号をターゲット広告に使用したことを認めた。

2018年にTwitterはパスワードを平文で保存したことを認め、数百万人のユーザーにパスワードをリセットするよう警告した。

関連記事:Android版Twitterアプリのバグで1700万件もの電話番号とユーザーアカウントが照合可能に

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

中国のコーヒーチェーンLuckin CoffeeがNASDAQから上場廃止を要求されていると判明

息をつく暇もないとはこのことだ。

スキャンダルの渦中にある中国のコーヒーチェーンLuckin Coffee(瑞幸咖啡)が、上場している米国の証券取引所から退場を求められていたことがわかった。米国時間6月23日付で米国証券取引委員会に提出された報告書に書かれている。

Luckin Coffeeの報告によれば、同社はNASDAQから次のような書面の送付を受けていた。

「この通知は【略】Luckin Coffeeが2019年12月31日を終期とする期間についての20-F様式による報告を提出しなかったことを示す追加書面である【略】同社がNASDAQへの上場を廃止すべきことを示す追加証拠であり【略】同社が5月中旬に公開した本委員会が送付した2通の通知に追加される(証拠である)」。

NASDAQは「送付した通知はいずれもLickin Coffeeが開示した情報が上場を維持するために不十分なものであることを示すものだ」と付け加えている。

Luckinの目覚ましい躍進とあっという間の墜落は、太陽に近づき過ぎて死んだイカロスの神話を思わせるほど劇的だった。中国を拠点とする同社は2019年4月に株式公開の意図を明らかにし(未訳記事)、大型上場で6億5100万ドル(約700億円)を得た(未訳記事)。当初はウォールストリートの証券会社も同社の米国市場参入を歓迎していた(未訳記事)。

しかし運命は逆転を始める。上場申請の約1年後、Luckinは収入と支出を数億ドル(数百億円)以上水増ししていた可能性があることを公表した。しかし2020年4月には「Luckin Coffeeが320億円の不正会計疑惑で内部調査を開始」と報じられることとなった。

NASDAQがLuckinに市場から出て行けと言い出したのは驚きではない。

不正会計の公表で株価が80%近く暴落した後、一部のユーザーがLuckinに殺到した(未訳記事)。これは経営の行き詰まりで、貯めていた割引ポイントやクーポンの価値がなくなることを恐れたためだ。ところが同社は、SECに対する経営報告の提出にあたってちょうどいいスケープゴートを発見した。新型コロナウイルス(COVID-19)だ。

社内トラブルの言い訳に世界的パンデミックを使った興味深い例として LuckinのSEC報告書は「新型コロナウイルスの流行により、財務諸表の準備が遅延し、以前に開示した内部調査も停止されたため当社は年次報告書を提出できなかった」と主張した。

ドラマはなお進行中だ。中国の有力なビジネスメディアのCaixin(財新)は、Luckinの会長であるLu Zhengyao(陸正耀)氏は同社の会計の実態に対する調査を妨害しているとして取締役会の一新を図っていると報じた。 陸氏は取締役会に会計を正常化するための特別委員会を設置するよう求めているという。

責任がなかったなら詐欺ではない。しかしドイツのフィンテック企業であるWirecardでは21億ドル(約2240億円)が行方不明となり、TechCrumchも報じたとおり、前CEOが逮捕されたばかりだ

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

BLEでIoT家電を制御できる最新スマートリモコンNature Remo 3が登場、カーテン開閉ロボmornin’ plusと連携

Natureは6月24日、同社が開発・販売中のスマートリモコンシリーズの最新版「Nature Remo 3」を発表した。本日から数量限定で特別価格8980円で先行予約を受け付ける。発売(出荷)は7月中旬~8月上旬を予定している。なお実際の操作には、iOS 12.0以上、Android 6.0以上に対応したiPhoneやAndroid端末が別途必要になる。

従来のNature Remoシリーズは、GPSと温度、湿度、照度、人感の各種センサーを搭載するNature Remoと、GPSと温度センサーのみを搭載するNature Remo miniなどがあった。新登場のNature Remo 3は、Nature RemoにBluetooth Low Energy(BLE)を搭載した高機能モデルとなる。デザインも刷新され、従来モデルに比べてコンパクトになったほか、採用部品の見直しなどで各種センサーの精度も向上させている。

BLEはその名のとおり、低電力で稼働する近距離無線通信の規格で、対応機器同士での各種無線通信が可能だ。具体的には、BLE搭載家電の遠隔操作などを実現する。BLEは赤外線などの光とは異なり指向性は弱いので、各機器との通信に死角ができくく、部屋の形状の影響を受けずに確実なリモート制御が可能になる。

BLE搭載の第1弾として、ロビットが提供するカーテン自動開閉ロボ「mornin’ plus」(モーニンプラス)」と連携する。mornin’ plusは専用のスマートフォンアプリで、カーテンの開閉やタイマー設定が可能だが、これをNature Remoシリーズの専用スマートフォンアプリ「Remote」で、ほかのIoT家電と一元管理できるようになる。

Nature Remoシリーズは、Amazon Alexa、Googleアシスタント、アップルのSiriを使った音声操作に対応しているので、対応スマートスピーカーを用意すれば、カーテンの開閉も音声で実行可能だ。

Nature Remo Eのスマートフォンアプリの操作画面

さらに同社は、各家庭に設置されている電力計であるスマートメーターと連動(Bルート通信)して電力量をリアルタイムに可視化できるIoTデバイス「Nature Remo E」とNature Remoとの連携強化も発表した。従来もNature Remoの専用スマートフォンアプリのRemote上で、Nature Remo Eがスマートメーターから取得した家庭内の消費電力量やソーラーパネルの発電量、蓄電池の容量などをチェックできたが、新たに消費電力量をトリガーとした家電の制御が可能になった。

  1. Nature_Remo_3_03

  2. Nature_Remo_3_04

具体的には「電力使用量が2000Wを超えたらエアコンを自動的にオフ」といったルール設定が可能になる。また、電力消費量が設定値を超えたタイミングでスマートフォンに通知する機能も新搭載する。

たった5分で普通のカメラを高画質のウェブカメラとして設定する方法

ビジネス会議にしてもソーシャルディスタンス中の社交的なビデオ通話にしても、最近では誰もがウェブカメラを必要としている。ほとんどの読者はノートパソコンの内蔵カメラや年代物の取り付け式カメラを使用していることだろう。そんな中、もしもあなたが大手ブランドによる優良カメラを持っている場合、ソフトウェアの力を少し借りるだけで、スタンドアロンのウェブカメラとして設定し、友達や同僚も羨む画像を手に入れることができる可能性がある。

照明、オーディオ、その他さまざまな設備を使用して作る、プロ並みの家庭用ウェブカメラソリューションガイドをこちらの記事で紹介しているが、デジタル一眼レフやミラーレスカメラをコンピューターに接続する作業は、想像するほど簡単ではない。

実際は100ドルほど投資すれば、カメラの信号をHDMIに変換するキャプチャカードやドングルを手に入れ、それですべてを解決することができる。しかしその行程を経ず、数分でこれを実現させたい場合の、ソフトウェアのみを使用したカメラとOSソリューションをご紹介しよう。

驚いたことに、ここ数年間にリリースされたカメラをコンピュータに接続して作動させようと思ってもだめなのである。今のところ、キヤノン、富士フイルム、パナソニックのみが少なくとも1つのデスクトップOSに無料のウェブカメラ機能を提供している。ニコン、ソニー、オリンパスの場合は、支払いが生じるか透かしが付くかのどちらかになる。

ここでは各ブランドのカメラを機能させるための最も簡単な方法を紹介する(スポイラー警告:Macの場合はほぼ全てのケースでCascableを使用することになる。読者は皆自分のカメラのブランドについて書かれている箇所までスクロールして、ここを飛ばして読んでいるだろうから、これについてはもう数回言及しようと思う)。

キヤノン:EOS Webcam Utility

キヤノンはほんの数週間前にこのソフトウェアをリリース。まだベータ版であるため問題はいくつかあるかもしれないが、同製品はWindowsとAppleの両方のマシンとさまざまなカメラ本体をサポートしている。マイクロサイトにはアプリの追加ドキュメンテーションやチュートリアルさえ用意されている。

互換性はかなり良好で、過去3〜4年間にリリースされたどのカメラ本体でも使用可能だ(Rebel T6-T7i、T100、SL2、SL3、5D MkIV、5DS、5DS R、6D Mk II、7D Mk II、77D、80D、90D、1D X Mark IIとMark III、M6 Mk II、M50、M200、R、RP、PowerShotG5X Mk II、G7X Mk III、SX70 HS)。ソフトウェアはここからダウンロードできる

問題が発生した場合は、以下に記載されている他のブランドのサードパーティ製アプリをチェックしてみて欲しい。それで上手くいく場合もある。

富士フイルム:X Webcam

富士フイルムのソリューションは簡単ではあるが、限定的である。人気のX100シリーズがサポートされていない上に、Macにも対応していない。しかし、同社の最近のレンズ交換式ボディとWindows10をお持ちの場合は幸運である。インストールして通常のUSBケーブルでカメラを接続するだけで完了だ。

X-T2、X-T3、X-T4、X-Pro2、X-Pro3、X-H1、GFX100、GFX 50R、GFX 50Sと互換性がある。ミディアムフォーマットの設定を正しく行わなければ、目元は焦点が合っても耳元はズレることになる。ソフトウェアはここからダウンロードできる

Macにおいては、さまざまな目的でカメラへの架け橋として機能するCascableがMacのソフトウェアとして便利である。同ソフトウェアの制作者はウェブカメラ機能を最近追加したところで、有線接続とワイヤレス接続の両方で幅広い互換性があり富士フイルム独自のソフトウェアよりも幅広い機能を提供しているが、これは無料ではない。しかし現在の30ドル(約3200円)という価格は、優れたウェブカメラを購入する場合と比べたら安上がりと言えるだろう。

コマンドラインを扱う自信がある場合、このチュートリアルが少しの作業とサードパーティ製ソフトウェアを用いて同社のカメラをMacで作動させる方法を紹介している。

パナソニック:Lumix Tether

パナソニックはLumix Tether Windowsアプリのウェブカメラ対応バージョンをリリースしたところだ。ドキュメンテーションの少なさから、これがかなり必要最低限なソリューションであることが見て取れる。ただし価格は適切だ。GH5、G9、GH5S、S1、S1R、S1Hに対応。同社はまた、OBSのようなストリーミングソフトウェアを使い始める方法を説明した、順を追った有益なチュートリアルを公開している。

Cascableは多くのパナソニックカメラで機能し、その上公式アプリよりも断然優れている。スーパーズーム機能で遊ぶのも楽しい。

ソニー

ソニーのカメラをウェブカメラに変えるための公式ソフトウェアは存在しないため、ワンストップソリューションが必要な場合はサードパーティ製を使用するしか他ない。Windowsに関しては、Sony Remoteを使用して画像をテザリングし、ストリーミングソフトウェアに無理やり転送するというような代替策がある。詳しくはこのビデオで説明されている。理想的とは言えないが、ひとつの手段ではある。

ここでもMacにおいてはCascableが最善策である。NEXシリーズやRX100 IIIなどのカメラ数世代分に対応している。Ecamm Liveもソニーと互換性が限定的にあるが、最新モデルしかサポートしていない。月額12ドル(約1300円)だが、試してから購入したい場合は無料トライアルもある。

オリンパス

Windowsに関してはここでも同じく、公式ソフトウェアが存在しない。しかしテザリングソフトウェアを使用してライブビュー画像を収集し、それをストリーミングソフトウェアに転送できる場合がある。

MacではCascableがStylusカメラやレトロなPEN Fなどを含む多くのモデルを有線でサポートしている。カメラもこのようなモダンな方法で使用されるとは思いもしなかっただろう。Ecamm Liveは最新モデル(E-M1 II、III、X、E-M5オリジナル、Mk II)と互換性がある。残念ながらPENシリーズはだめなようだ。

ニコン

最近ニコンは同社のカメラを使用したストリーミング方法に関するお役立ちページを公開したのだが、驚いたことにソフトウェア自体を開発することはなく、さまざまなサードパーティ製ソフトウェアを紹介している。

前述と同様に、CascableがニコンをMacで作動させるための最も簡単な方法のようだ。一方でWindowsにはSparkoCamが頻繁に推奨されている。

これからウェブカメラを設置する読者への注意点

上記で紹介した方法は簡単ではあるものの、問題点がないかと言ったらそうではない。

可能性としてはオーバーヒートがそのひとつだ。これらのカメラは主に静止画や短い動画クリップを撮影するために設計されている。長時間フル稼働することでカメラが熱くなりすぎて機能しなくなり、シャットダウンする場合がある。カメラ自体に深刻なダメージを与えることはないが、注意すべき点ではある。これを回避する最善の方法は、電源アダプターでダミーバッテリーを使用するということだ。簡単に手に入れることができ、過熱の緩和にも有効だ。

オーディオ機能は画像ほど優良でないかもしれない。本格的なビデオワークには通常外部マイクが使用されるが、これは誰にでもおすすめすることである。まともなマイクは50ドル未満で簡単に手に入れることができ、デバイスの内蔵マイクを大幅にアップグレードできることを考えると購入しない理由はない。

また、カメラの使用に際する最適な設定についてのフォーラムを確認することもおすすめしたい。数分後にカメラがオフにならないようにすることや、露出の選択などが確認するべきことの例として挙げられる。例えばここでは静止画を撮るわけではないため、解像度を心配する必要がなくワイドオープンで撮影できる。一方で、オートフォーカスが迅速かつ正確に機能していることを確認しておかないと、ピンボケ映像に終わってしまう可能性がある。いくつか異なる方法で設定してみて、最良な方法が見つかるまで試してみると良いだろう。

ここまでの準備が全て整ったら、次は背景を設置する方法を詳しく説明したガイドを読んでいただきたい。

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カテゴリー:ハードウェア

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(翻訳:Dragonfly)

無人カフェロボ「root C」運営が1.7億円を調達

需要予測AIを搭載した無人カフェロボット「root C」を開発するNew Innovationsは6月24日、DEEPCORE、THE SEED CAPITAL、社名非公開の事業会社(関係者によると金融系の大手企業とのこと)および個人投資家を引受先とする第三者割当増資により1.7億円を調達したことを明らかにした。

New Innovationsでは昨年7月にDEEPCOREとTHE SEED CAPITALから7000万円を調達したことを発表しており、今回のラウンドも含めた累計調達額は2.4億円となる。

同社が手がけるroot Cは専用のスマホアプリと連動したカフェロボットだ。アプリから自分の好みのコーヒーをオーダーして決済を済ませておけば、指定して時間にサクッとテイクアウトできるのが特徴。コーヒーの需要を事前に予測して抽出を開始する需要予測AIも搭載する。

昨年8月に大阪・なんば、今年3月には東京・丸の内(新東京ビル)にて実証実験を実施。主にオフィスワーカーがオフィスのデスクでコーヒーを楽しむ際の手段として利用された。

今回の調達はそこで得られたフィードバックなどを基にプロダクトの改良を行うためのものだ。アプリのUI/UXの一新やユーザーにあったコーヒーを提供するためのレコメンデーションエンジンの強化、サブスクリプションモデルの実装などを進めていくという。

New Innovationによると新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、直近では人を介さずにサービスを提供できる非対面販売ソリューションとしてのニーズも高まってきているそう。「現在すでに『root C』の設置に関する問い合わせに加えて、店舗の無人化などOMOソリューションについても複数の企業様からの引き合いをいただいています」とのことだった。

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カテゴリー:ロボティクス

タグ:New Innovations 資金調達 日本

VC業界のダイバーシティ推進は不況に負けてしまうのか

ベンチャーキャピタル(VC)企業による投資パートナーの採用は、本質的に排他的なものである。投資家がパートナーとしてファンドに参加するには自分の資本を投資することが法律で定められており、その額は数十万ドルのこともあれば、数億ドルのこともある。つまり、シニアパートナーになるには通常、それなりの額の個人資産が必要ということだ。投資業界の男女比は極めて偏っており、シニア投資家の84.6%が男性だというデータがある。VC業界も投資業界と非常に似ていて、Harvard(ハーバード大)やStanford(スタンフォード大)などの有名大学を卒業した特権階級の出身者が圧倒的多数を占める。そして、図らずも彼らは皆、白人だ

ここ数年は、VC企業に入る女性や自らVCを立ち上げる女性が増えたため、男女比の偏りは改善してきた。女性起業家の支援団体All Raise(オール・レイズ)が2月に発表したデータによると、2019年に米国企業が新たに採用した女性のパートナーまたはジェネラルパートナーの数は52人だった。ちなみに前年度は38人だった。有色人種の採用も徐々に増えてきているが、まだ十分ではない、という声が多い。Equal Venture(イコール・ベンチャー)のパートナーであるRichard Kerby(リチャード・カービー)氏によると、VCパートナー総数に占める黒人の割合はわずか2%だという。

最近、数々のVCが投資見込み企業のダイバーシティを向上させようとBlack Lives Matter(ブラック・ライヴス・マター)運動に寄付したり他の方法で参加したりして、ダイバーシティを推進する動きが再び活発になっている。非黒人VCがダイバーシティを向上させるには、黒人パートナーを雇用する、あるいは黒人創業者に投資するなどの方法があることを訴える、「Make the hire. Send the wire.(もっと雇用を。もっと投資を。)」というフレーズが生まれ、スローガンとして広く使われるようになっている。

しかし、新型コロナウイルスのパンデミックによって引き起こされる恐れがある経済不況のせいで、女性や黒人、過小評価されている他のグループのVC業界における地位向上を推進する動きが、ただでさえ遅々としていたのに、さらに鈍化する危険がある。ここ数年で遂げた進歩を台無しにせずにさらに発展させていくには、VC業界全体が意識的かつ意欲的に黒人の雇用を進めていく必要がある。

新世代VCが直面する新たな課題

設立して間もないVC企業は、ダイバーシティの面では名の通ったVCよりも進んでいる。VC企業に入るために「生涯資本家」である必要はない、とKleiner Perkins(クライナー・パーキンス)に入ったばかりの投資家Monica Desai Weiss(モニカ・デサイ・ワイス)氏はいう。デサイ・ワイス氏のように前職がオペレーターでも、場合によってはジャーナリストでもVCパートナーになることは可能だ。

しかし、長引く不景気のせいで、ベンチャー業界は比較的新しいVCが数多く失われるリスクに直面している。有名VCとは異なり、新しいVCには知識や勘を裏付けできる数十年にわたる実績がない。また、機関投資家との関係も確立されていない。機関投資家は密な関係を築くが同じような背景を持つ者どうしで固まることが多い。つまり、多様性を持つ企業に投資するために設立されたVCをはじめ、ここ10年ほどの間に出現してきた、より優れたダイバーシティを持つ新世代のVCが、やっとの思いで参入したVC業界というエコシステムから消滅する危機に瀕しているのだ。

ボストンを拠点とするAccomplice(アコンプリス)の元パートナーであるChris Lynch(クリス・リンチ)氏は、景気が早い時期に持ち直さなければVC業界内の「権力交代」は進まないと懸念し、「新しいボスも前のボスと何も変わらないことになる」という。

ベンチャー投資家として何らかの形で投資先を現金化し優れた手腕を持つことを証明するには8年から10年かかるため、新しいVCは難しい状況に直面する、とリンチ氏は指摘する。もし市場が今より保守的になったら、リミテッドパートナー(LP)は実績のない新しいファンドよりも、名の知れた老舗ファンドに戻っていくからだ。

そのような投資家(年金基金、大学、同族経営事業などの資産を運用している場合が多く、どの投資家や企業が資金を調達できるかは彼らによって決まる)はすでに、現在の景気では新しいファンドマネージャーに出資する可能性は通常より低くなると警告している。初心者プレーヤーに運用を任せずに、老舗VCなど、確実なリターン実績を持つVCに運用を託すことで資産を守ろうとしているのである。

そのようなリミテッドパートナーにとって、今のところダイバーシティはそれほど喫緊の問題ではないかもしれない。その理由の1つは、筆者の同僚であるConnie Loizos(コニー・ロイゾス)が最近指摘したように、公的資金を運用するLPには、出資金のうち一定の割合を多様性のあるスタートアップに投資するよう出資先のベンチャーマネージャーに要請する法的義務が課されているためだ。

そのような法的義務がなければ、LPが経済不況の中で革新的に動くことはないのではないか、とアコンプリスの元パートナーであるリンチ氏は考えている。「LPが運用するのは、従来型の組織から委託された資産だ。これまでの出資ポートフォリオが体に染みついている。そして変化を嫌う」とリンチ氏は語る。

テック業界のCEOやVC企業向けの人材を長年ヘッドハンティングしてきたJon Holman(ジョン・ホルマン)氏も、もし不景気が長引けば、新興ベンチャー投資家は苦闘を強いられることになり、VC業界への社会経済的な影響が最低でも5年間は続いた2000年の不況のときと同じような状況になると懸念している。

2000年の不況時、リミテッドパートナー(機関、年金基金、大学、生命保険会社)は、VCは投資リターンが少な過ぎて運用先の選択肢にはならないと考えていた。そのため、運用資金はVCから引き揚げられて不動産や金相場などに再投資された、とホルマン氏は回顧する。

「その頃、設立したばかりで足場が固まっていないベンチャーファンドで、まだリターンを出したことがないとなれば、2回目の資金調達は不可能だった。ベンチャー資本家の人数が劇的に減少した」とホルマン氏は語る。

そのため、もし不景気あるいは不況が長引いて米国経済が打撃を受けたら、ベンチャー企業による雇用そのものが停止する可能性がある。停止して動かないということは、前に進むこともできないということだ。

「Sequoia(セコイア)が、Accel(アクセル)が、あるいはAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)が廃業することはない」とホルマン氏はいう。

最悪の場合、黒人や過小評価されている人材に確実に投資しつつ、自社の人材のダイバーシティ化も継続するという責任がすべて有名VCの肩に置かれてしまう。VC企業はこれを言い訳にすることはできない。仮に強者だけが生き残るのであれば、その強者こそが使命を確実に果たすことを決意すべきだ。

Human Utility(ヒューマン・ユーティリティ)の創業者兼エグセクティブディレクターであるTiffani Ashley Bell(ティファニ・アシュリ・ベル)氏は6月5日にMediumに投稿した「It’s Time We Dealt With White Supremacy in Tech(仮訳:今こそテック業界から白人至上主義をなくすとき)」と題する記事の中で、VCが黒人投資家をサポートするためのさまざまな方法を紹介している。

「もしあなたが経営するVC企業に黒人のパートナーがいないのなら、2022年までに最低でも1人の黒人パートナーを必ず採用することを決意するだろうか。もし決意しないのなら、それはなぜだろうか。黒人パートナーは、あなたの知らない場所や分野に眠っている投資チャンスを発掘してくることだろう。ちょっと立ち止まって考えてみてほしい。VC企業に現在在籍しているパートナーは、白人であれアジア系であれ、はじめからずば抜けた運用能力を持っていただろうか、あるいはエグジットさせる能力をはじめから持っていただろうか。高い即戦力の有無は採用しない理由にはならない。もしあなたが非黒人投資家で、よりよい経営を続けていくことを決意しているのであれば、同僚たちにも説明責任を求めるだろうか。言うだけで行動がともなっていない同僚たちに、そのことを指摘できるだろうか。」

ベル氏はまた、黒人が経営するVCファンドのリミテッドパートナーになるよう投資家たちに勧めた。GVからスピンアウトしたPlexo Capital(プレクソ・キャピタル)は、多様な投資家が経営する企業とアーリーステージの創業者の両方に投資するハイブリッド型のVC企業として、この課題に取り組んでいる。

Cleo Capital(クレオ・キャピタル)の創立パートナーであるSarah Kunst(サラ・クンスト)氏は、「黒人の人材に投資することは、難しい問題でも、解決不能な問題でもない。ファンド側に、この問題を解決したいという意志が必要なだけだ」と指摘する。

「テック業界で黒人の人材を発掘し、雇用し、出資する方法は、他のグループの人材を発掘し、雇用し、出資する方法と何ら変わらない。そのグループに属する人たちと関係を築き、コミュニティの中でそれぞれの分野の第一人者を探し、そこから学んでいく。『このファンドには、これこれの分野の専門知識が足りない』と雇用担当チームと投資担当チームに話して、その足りない部分を埋めるだけだ」とクンスト氏は続けた。

関連記事:テック業界はジョージ・フロイドの死をどう受け止めたのか

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ 

タグ:差別 コラム

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(翻訳:Dragonfly)

独フィンテック企業Wirecardの前CEOが詐欺容疑で逮捕、約2240億円が不明に

ドイツ警察はミュンヘン拠点のフィンテック企業Wirecard(ワイヤーカード)の前CEOであるMarkus Braun(マークス・ブラウン)氏を詐欺疑いで逮捕した。ミュンヘンの検察当局が現地時間6月23日に発表した。

ブラウン容疑者は同日出頭し、Wirecardは同社が決算で報告した21億ドル(約2240億円)が不明になっていることを認めた。ブラウン容疑者は保釈金500万ユーロ(約6億円)で釈放された。

逮捕発表の3日前に、ブラウン容疑者は10年以上率いてきた同社のCEOを辞任し、4日前にはWirecardは監査法人Ernst & Youngから21億ドルが不明だと指摘されたことを発表していた。

同社は、ベルリン拠点のInfoGenie(インフォジニー)との逆さ合併を通じて2005年に上場し、当時はドイツ国内で高い評価を得ているフィンテック企業の1社だった。Wirecardはアジアマーケットへの進出の費用を賄うために、2019年4月にSoftbank(ソフトバンク)から10億ドル(約1065億円)の出資を受けた。ただ、Financial TimesのようなメディアはWirecardのアジア事業を疑問視していた

関連記事:SoftBank to invest $1B into German digital payments provider Wirecard in new fintech partnership(未訳記事)

2019年1月以来、Financial TimesはWirecardの胡散臭いビジネス手法について何回もスクープした

そしていま、Wirecardの監査委員会は「信託銀行口座にあるはずだった19億ユーロ(約2290億円)が存在しない」という事実に直面していて、Softbankは他社のスキャンダルにまたも引きずり込まれている。

WirecardはすでにCOOのJan Marsalek(ヤン・マーサレク)氏、そして2002年から同社でCTOとCEOを務めたブラウン容疑者を解雇した。

Wirecardの問題はFinancial Timesが報じるようになってから注目を集めていた。そして6月18日に同社は4回目となる2019年会計年度決算の非公表を明らかにした。監査人のErnst & Youngが不正会計を指摘し、KPMGによる独立監査調査でも結論が出なかったためだ。

Wirecardのオペレーションにはシンガポールに拠点を置くアジア事業部門が含まれる。Softbankの資金はアジア事業部門の拡大と、Citigroupのプリペイドカードサービス事業の買収を通じて取り組む米国事業に使われる予定だった。

事業拡大はWirecardの株価を大きく押し上げ、同社をドイツテック業界の寵児に仕立てた。しかし残念なことに、同社が計上した評価益はフィクションのようなものだった。

同社は循環取引で売上高を水増しした。不正取引は地元の監査人の精密な調査を回避し、正当なものと見せかけるためにドイツ国外で行われたようだ。Financial Timesの報道によると、同社はまたドバイとダブリンにある子会社の売上高と利益も水増しした。

これらすべてが明るみに出たことで、かなりの額だったWirecardのバリュエーションは急減した。かつて270億ドル(約2兆9000億円)もあった価値は6月23日時点で18億ドル(約1900億円)となった。

Wirecardの没落はまたもSoftBankと孫正義氏の評判を落とすものとなる。Wirecardへの投資はSoftBank従業員とアブダビの政府系ファンドMubadala(ムバダラ)が融通したコンバーチブルノートによるもので、この損失はSoftBankにとって新たな失策となる。

「この取引はすべてにおいて企業ガバナンスのお手本と呼べるものではない」とシンガポールのUnited First Partnersでアジア研究の責任者を務めるJustin Tang(ジャスティン・タン)氏は先週Bloombergに語った。「Wirecardの件はビジョンファンドの損失に対処している孫氏にとって最も避けたいものだろう」。

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(翻訳:Mizoguchi

トランプ大統領がITエンジニアも多く利用するH-1Bビザの新規発給を一時停止する大統領令に署名

Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は、高度な技術を持つ労働者のためのH-1Bビザのような就労ビザのプログラムを一時停止する大統領令に署名した(White Houseリリース)。これはすでに技術系人材の不足に悩んでいるテック企業にとって、外国人労働者確保の大事なソースを失うことを意味する。

米国内にいるビザ保持者やすでにビザを受け取った申込者は対象外となる。ビザ新規発給の規制は2020年末まで続き、米国の新会計年度が始まる10月に新規ビザを発行する政府の通常プロセスは混乱することになりそうだ。

トランプ政権の高官は、ビザ新規発給の一時停止は米国の雇用を守るためだとWall Street Journalに語った。しかしテック業界の幹部たちはビザの制限はテック業界における米国の競争力を損なうとこれまで再三警告を発してきた。テック業界は米国の経済成長のエンジンであり、戦略かつ財政面でも大きな存在だ。

移民の抑制によって、企業は高度なテック人材を獲得・維持するためにオペレーションを米国外に移さざるを得なくなるかもしれない、とテック業界の代表は指摘する。

「グローバルパンデミックの間も、テック業界はフードデリバリーサービスやテレヘルスケア、コラボ的なビジネスソリューション、家族や友人同士が連絡を取り合う方法を提供することで、米国人が互いにつながっていられるように取り組んできた」とテック業界団体TechNetの最高責任者Linda Moore(リンダ・ムーア)氏は声明で述べた。「今後もテクノロジーは経済再建で必要不可欠な存在であり続ける。大統領令は、企業が既存の労働力と新規雇用の従業員を最善の方法で展開する方法を決定する能力を阻害するものだ。これはイノベーションの停滞を招き、米国が前代未聞の出来事から復活するのをサポートしようというテック業界の取り組みを邪魔している」。

報道によると、当局はこうした新たな規制が2020年末まで続き、トランプ大統領が2020年4月に発効させた移住禁止を拡大する。移住禁止措置では米国市民の家族が移住できなくなり、米国への移住を模索する高度な技術を持つ労働者向けのビザの数を大幅に削減した。

Wall Street Journalに政府高官が示した予測では、移住規制の拡大の結果、約52万5000人が米国に入国できなくなる。ここには、4月以降米国入国を禁止されている17万人の永住権保持者も含まれる。トランプ政権の高官はこの措置について、失業している米国人に50万の雇用が確保できる「米国第一復興」だと表現した。

テック企業の経営者たちはこのビザ発給一時停止に対し反発している。「すべてのH-1Bビザの発給禁止は、私のようなCEOが移民を受け入れているカナダのような国にオフィスを開設し、雇用しなければならないことを意味する。今回のビザ発給停止は道徳的に間違っていて、経済的には馬鹿な行為だ」とテクノロジースタートアップSkyflowのCEOであるAnshu Sharma(アンシュ・シャーマ)氏はツイートした。

投資家らも今回の決定が米国の競争力に及ぼすインパクトについて憤慨している。

「トランプ政権が認識しているかどうかはわからないが、米国のイノベーションにとってかなり不利な状況を作り出している。我々のポートフォリオにある最もイノベーティブでインパクトのある企業や、そうした企業で働く従業員の多くがH-1Bビザ保持者としてスタートする」とテック投資ファンドUrban.usの共同創業者であるStonly Baptiste(ストンリー・バプティステ)氏は話した。「文字通り、H-1Bなしにはポートフォリオは築けなかった。しかも我々は移民にフォーカスしたファンドではない」。

また今回H-2BやJ-1、L-1のビザも規制の対象となる。H-2Bは短期の非農業季節労働向け、J-1はキャンプカウンセラーやオペア(外国にホームステイしながら子供の面倒をみる人のこと)向け、L-1は企業内転勤向けのビザだ。

「米国企業のための人材を制限することで、米政府は強固で防御可能な組織を構築する能力を阻害している」とヘルスケア専門のスタートアップElektra Labs(エレクトラ・ラボ)のCEOであるAndy Coravos(アンディ・コラボス)氏はTechCrunchに寄せたメッセージに書いた。「外国人労働者へのビザ発給を一時停止するというトランプ政権の大統領令は恐れがベースになっているだけでなく、我々のコミュニティ内で恐れを永続させるものだ。我々の社会にとって利益にはならない」。

ヘルスケアワーカー、新型コロナウイルス(COVID-19)研究者、食品供給業界ワーカーはビザ発給一時停止の対象外となる。

ビザ発給ルールの厳格化に反対しているのはテクノロジー業界の経営者たちだけではない。サウスカロライナ選出の重鎮の上院議員Lindsey Graham(リンゼイ・グラハム)氏、テキサス州選出の上院議員John Cornyn(ジョン・コーニン)氏を含む共和党の上院議員9人のグループは5月27日に共同声明を出し、噂のあった就労ビザ規制について再考するよう大統領に請願していた。

「外国人労働者は米国の雇用を奪っておらず、米国のビジネスを押し上げるために必要だ」と書いている。

画像クレジット:Alex Wong / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

アップルのiMessageにメンション、ピン留め、インラインでの返信などの新機能が多数追加

Apple(アップル)のiMessageプラットフォームが、iOS 14とmacOS Big Surのリリースで大幅にアップデートする。日本時間6月23日に配信されたWWDCのキーノートで、アップルはiMessageの次バージョンに、SlackやFacebook Messengerといったライバルのメッセージングアプリで人気の機能の多くを搭載すると発表した。インラインでの返信、ピンで固定、メンションなどだ。さらにグループチャットのカスタマイズ、ミー文字の拡張、検索機能の向上なども発表されている。

インラインで返信する新機能を使うと、iMessageのグループチャットに参加しているユーザーがスレッドとして特定のメッセージに返信できる。これはSlackなど人気メッセージングアプリの多くに搭載されているのと同様の機能だ。ユーザーは会話全体の中で返信を表示したり、独自スレッドとして表示したりすることができる。

グループチャット内の誰に対するメッセージかをわかりやすくするために、iMessageにメンションの機能が追加される。ただし、他のアプリやTwitterなどのソーシャルプラットフォームで「@」をつけてメンションするのとは異なり、iMessageでは相手の名前を入力するだけだ。記号を追加する必要はない。

送信相手の推測候補がポップアップし、タップして選択できる。テキストメッセージ中では相手の名前が青色で強調表示され、その相手に対するコメントであることが示される。

そして最高の新機能は、会話の中で自分にメンションされたときだけ通知するようにメッセージアプリを設定できることだ。通知をミュートしたくなるほど頻繁に会話が交わされるチャットでも、重要なメッセージを見落とさずについていけるようになるだろう。

グループチャットのデザインも変更され、直近でアクティブだった人のプロフィールアイコンが最も大きく表示される。

グループチャットのメインイメージを写真や絵文字でカスタマイズすることもできる。会話では、グループメンバーのプロフィールアイコンがメインイメージの周囲に表示される。

会話をピンで固定する新機能を使えば、最も重要なiMessageのチャットを常に画面の最上部に表示できる。こうしておけば、親友や家族のグループチャットなど、頻繁に参加する会話に簡単に戻れる。重要な相手、配偶者、子供など頻繁にメッセージをやりとりする人と素早く会話を続けることもできる。

グループチャットに新しいメッセージが届くと、画面上部に表示される。誰かがあなたへのテキストメッセージを入力中であることも、インジケーターでわかる。

この機能はいつも主にiMessageで会話をしていて、長い未読リストの中で重要なメッセージを見落としてしまうことが多い人にとっては特に便利だ。未読リストをスクロールして会話を追いかけなくても、1カ所を見れば急を要するメッセージを見落とすことがないので、画面を見る時間を減らすこともできる。

さらにアップルは、ミー文字もアップデートする。20種類の新しい髪型と被り物、マスク、年齢の選択肢に加え、ミー文字ステッカーにはハグ、グータッチ、照れの3種類が追加される。

Macのメッセージアプリでもインラインの返信やピンで会話を固定、メンションを利用できる。iMessageのメッセージエフェクト、ミー文字のカスタマイズ、新しい写真ピッカー、人気の画像やGIFを見つけてメッセージに追加する#imagesにも対応する。さらに検索機能が強化され、リンクや写真、一致する項目を見つけやすくなるとアップルは紹介している。

これらの新機能は、今秋のiOS 14とmacOS Big Surのリリース時に搭載される。

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(翻訳:Kaori Koyama)

複数のクラウドサービスに散らばるコンテンツを検索するCloudtennaのモバイル検索アプリ

いまどき自分のコンテンツは、さまざまなクラウドサービスに分散して保存しているため、いざというときに見つけるのが難しい。メールに添付したい「あれ」は、Slackの会話内にあるのだろうか、Boxの中か、DropboxかGoogle Docsか、それともOffice 365なのだろうか。Cloudtennaはこの面倒な問題解決に挑戦し、米国時間6月16日に250万ドル(約2億7000万円)の資金調達と、新たにモバイル用の検索ツールを発表した。

匿名の投資家が多いが主役はBlazar Venturesで、同社によるとこれまでの調達総額は650万ドル(約7億円)になるという。

Cloudtennaの共同創業者であるAaron Ganek(アーロン・ガネック)氏によると、CloudtennaはAIとドキュメントのメタデータを併用して、コンテンツの保存場所を見つけることができる。「私たちの本当の仕事は、企業のファイルのカオスに秩序をもたらすことだ」とガネック氏はいう。「ファイルはさまざまなクラウドのあちこちに、ばらまかれたような状態で存在している。私たちが開発したアプリケーションは、AIを利用してファイルを見つける。それらは、どこに保存されていてもよいい」。

同社はデスクトップ用の検索アプリケーションを2018年にリリースし、それと併用されるモバイル用の検索ツールである「Workspace」を発表した。ガネック氏によると、モバイルの特徴を十分利用するためにアプリはゼロから新たに制作したとのこと。

「検索のテクノロジーをスマートフォンとタブレットに持ち込んだ。はっきりさせておきたいのは、これがデスクトップ製品のモバイルバージョンではないことだ。人は外出しているとき、すなわちモバイル状態のとき、どのようなコラボレーションしているのか、徹底的なケーススタディを行なった上で設計した」とガネック氏はいう。

画像クレジット:Cloudtenna

AIの部位が、ユーザーの履歴に基づいてファイルがどこにあっても見つけ出す。これまで、誰とコラボレーションしていたかもわかる。最も身近でよく使うファイル、あるいは検索キーと最も関連性が高いファイルを優先して見つけてくれる。どこに保存されていてもいい。

ガネック氏によると、パンデミックのときに資金調達をするのは確かに奇妙な体験だったが、一般的にSaaSの利用が増えて、同社も上昇気流に乗っており、投資家たちにもそのことを理解していた。

同社は2016年に創業して、現在は9人の社員がいる。ガネック氏によると、現時点で人を増やす気はないという。そのため将来の社員の具体的な人数を挙げることもできないとのことだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

iOS 14でアプリの広告トラッキングの拒否が可能に、セキュリティとプライバシーをさらに強化

iOSの新バージョンには、セキュリティとプライバシーの新機能も多く含まれる。米国時間6月22日、Apple(アップル)はiOS 14に組み込まれる新機能を多数発表した。iOS 14は2020年後半、新しいiPhoneとiPadがリリースされる際に登場する見込みだ。

アップルは、ユーザーがアプリに対して正確な位置情報を共有するのではなく、「大まかな位置情報を共有」できるようにすると述べた。これによりアプリは正確な現在地を特定するのではなく、大まかな現在地を取得できるようになる。これは、ユーザーがどのタイミングで位置情報を提供するかということに続く新しいオプションだ。2019年にアップルは、ユーザーが位置情報の利用を一度だけ許可するオプションを追加し、このオプションを選択するとアプリがその人の動きをずっと追跡することはできなくなった。

iOS 14が動作するiPhoneでは、ステータスバーに「カメラとマイクの記録インジケーター」も表示されるようになる。これはMacでカメラの動作中にライトがつくのと似た機能だ。この記録インジケーターは、前面または背面のカメラを利用している場合、あるいはマイクが有効になっている場合にiPhoneの画面上部に表示される。

しかしアップルは、最も大きく変わるのはアプリ開発者自身だと述べた。iOS 14では、アプリがユーザーに対して「追跡されたいかどうかを尋ねる」ようになる。これは影響力のある大きな変更だ。ユーザーが追跡を拒否できるようになることで、アプリが収集するデータの量が減り、ユーザーのプライバシーが守られる。

アップルは、アプリがどのような許可を要求するかを自己申告するようアプリの開発者に今後求めていくことも説明した。これにより透明性が向上し、ユーザーはそのアプリを使うためにどのようなデータを渡すのかを知ることができる。収集されたデータがアプリ外でどう追跡されるかも説明されるようになる。

Androidユーザーはすでに何年も前から、アプリが求める権限をGoogle Playストアで確認できる。

アップルはプライバシー重視の姿勢を常に口にしている。今回の動きは、その姿勢の一環として広告業界に対してアップルが繰り出した最新の攻撃だ。

広告主、そしてデータをかき集めるFacebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)などのテック大手は、ターゲット広告で巨額の利益を得ている。その両者を巻き込む論争の中で、広告業界はこれまで頻繁にアップルの批判の的となってきた。2015年にアップルのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏は、シリコンバレーのライバルたちは「あなたについて知り得るすべてを食い尽くして収益化しようとしている」と述べた(未訳記事)。ハードウェアを販売して収益を得ているアップルは「そのようにはしないことを選択する」とクック氏は語っている(The Guardian記事)。

ターゲット広告がさらに広まる中で、アップルは自社のソフトウェアにプライバシー関連の新しい機能を追加することで対抗した。例えばインテリジェントなトラッキング防止技術や、広告とトラッカーを読み込まないようにするコンテンツブロッカーをユーザーがSafariにインストールできるようにする機能などだ。

2019年にアップルは、開発者に対してサードパーティ製トラッカーを使用する子供向けアプリはApp Storeで却下されると伝えた。

関連記事:オンライン広告をもっとプライベートするアップルの提案
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画像クレジット:Apple(ライブストリーミング)

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(翻訳:Kaori Koyama)

フェイスブックがOculusで最も成功した「Lone Echo」を開発したVRスタジオReady at Dawnを買収

Facebook(フェイスブック)はこの1年の間、ゲームスタジオの買い上げを続け、最も人気のあるVRタイトルを制作した開発者たちを買収してきた。

今もその傾向が続いていることは、Oculus(オキュラス)で最も成功したゲームシリーズの1つである「Lone Echo(ローン・エコー)」の開発会社であるReady at Dawn(レディ・アット・ドーン)の買収を見てもわかる。このスタジオは、ここしばらくパブリッシングパートナーとしてフェイスブックおよびOculusと密接に協力してきた。今回の買収により、「Lone Echo」の続編のリリースに向けて準備を進める同チームは、Oculusの仲間入りを果たす。なおフェイスブックは、「Lone Echo II」の開発状況に関するアップデートを提供しなかった。同作品は当初2019年と発表されていたリリース日から延期を重ねてきている。同タイトルは、2020年中にリリースされる予定だ。

フェイスブックはチーム全体を参加させるといっているものの、取引条件は明らかにされていない。スタジオは、カリフォルニア州アーバインとオレゴン州ポートランドにあるフェイスブックのオフィスから独立して運営される。

「Lone Echo」は、より洗練され革新的なVRタイトルの1つとして知られ、シングルおよびマルチプレイヤーによって繰り返されるプレーが、VRユーザーの間での高い評価につながっている。このシリーズは、仮想現実(VR)ゲームを常に受け入れるとは限らないeスポーツの世界でも採用されている。VRに本格的に取り組む前のReady at Dawnは「ゴッド・オブ・ウォー」シリーズのいくつかのライセンスゲームを含む、ゲーム機向けのタイトルを開発していた。

フェイスブックは以前、「Beat Sabrer」を制作したスタジオであるBeat Games(ビート・ゲームズ)と、Riftゲームの「Asgard’s Wrath」を制作したSanzaru Games(サンザル・ゲームス)の買収を発表した。フェイスブックの買収戦略は、より多くのVRスタジオたちが生き残りのために苦労することなく次のVRタイトルに投資し続けための多大な余裕を与える。

VR空間の進展は遅い。今回の自宅隔離(shelter-in-place)の動きの中で、使用量が少し上がったことに気が付いたVR開発者もいたものの、そもそもハードウェアの普及が不足しているために、成長度合いにはどうしても上限がある。他のVRハードウェアメーカーたちがゆっくりとこの分野を手控えてき、Magic Leap(マジック・リープ)のような没入型プラットフォームがコンシューマー市場を去る中で、高品質のタイトルを作成しようとするVR開発者にとって、生き残りはさらに困難になっている。

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(翻訳:sako)

自動野菜収穫ロボのinahoが実証事業・補助金プロジェクト3種類に採択

inaho RaaS

自動野菜収穫ロボット開発のinaho(イナホ)は6月23日、「労働力不足の解消に向けたスマート農業実証」「イノベーション創出強化研究推進事業」「ものづくりスタートアップ・エコシステム構築事業」と3カ月連続でプロジェクトに採択されたと発表した。AIを使った自動野菜収穫ロボットを開発するとともに、RaaS(Robot as a Service)として生産者に「派遣」し、日本の農業が抱える人手不足と経営課題を解決する。

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の「労働力不足の解消に向けたスマート農業実証」の事業概要は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う産地の労働力不足に対応し、強い生産基盤を構築するため、スマート農業技術の実証を緊急的に実施するというもの。inahoは、自動収穫ロボットをアスパラガス農家へ導入し、収穫作業の自動化・省力化を通じて労働力不足の解消を図る。

また、同機構の「イノベーション創出強化研究推進事業」の概要は、革新的な技術・商品・サービスを生み出していくイノベーションの創出に向け、「知」の集積と活用の場による研究開発事業の推進を目的に研究を委託するもの。inahoは、平畝(ひらうね)対応の自動野菜収穫ロボットが枠板式高畝栽培システムでも利用可能となるよう画像診断システムの改良などを行う。

経済産業省の「ものづくりスタートアップ・エコシステム構築事業」は、ソフトとハードの融合領域におけるスタートアップ(ディープテック系)のエコシステム構築を目的に、スタートアップが製品開発・量産化設計・試作の実証などを行う費用の一部を補助する。inahoの取り組み内容は、自動野菜収穫ロボットの開発において、安全性・環境耐性・コスト低減の実現に向けた量産化設計・試作としている。

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アップルのマップアプリでEV向けに充電ステーションも含めたルート検索が可能に

Apple(アップル)は、電気自動車のオーナー向けのルート案内機能をマップアプリに追加した。iOSの最新バージョンで利用可能になるEVルーティング機能は、アップルがマップアプリに加えたいくつかの改良のうちの1つだ

米国時間6月22日月曜日、毎年開催される開発者向けカンファレンスのオンラインイベントである「WWDC 2020」で、この新機能は発表された。

EVルーティング機能は、ルートに沿ってユーザーのEV(電気自動車)と互換性のある充電ステーションを表示することで、航続距離とバッテリー切れの心配を解消することを目指している。アップルでシニアディレクターを務めるStacey Lysik(ステイシー・リシック)氏によると、iOS 14のマップアプリは車両の充電状態を追跡し、標高や経路に沿ってルートに充電ステーションを追加するかどうかを決定する。

アップルはBMWやFord(フォード)などの自動車メーカーと協力して、簡単なルート設定をサポートする。リシック氏によると、近い将来にはさらに多くのメーカーが加わる予定だという。フォードはアップルと協力していることを認めたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。

またマップアプリには、渋滞やグリーンゾーンを表示し、必要に応じてこれらのエリアを避ける代替ルートを選択できる機能も追加される。中国のドライバーはiPhoneにナンバープレート番号を安全に保存できるようになり、その番号に基づいて混雑した都市の中心部に入ることができる日を、より簡単に知ることができるようになる。中国の政策では、ドライバーは特定の日にしか混雑区域に入ることができないのだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Safariはまもなくウェブページに埋め込まれたすべての広告トラッカーをブロックし暴き始める

Apple(アップル)は侵略的な広告トラッカーへの反撃を開始する。

アップルは米国時間6月22日に、同社のウェブブラウザであるSafariの新しいプライバシー機能を発表した。ユーザーが訪問するウェブページやサイトに埋め込まれた広告トラッカーのすべてを暴くものだ。

Safariの新しいトラッキング防止機能はブラウザ上部のアドレスバーの隣に表示され、ウェブを閲覧する際に侵略してくるトラッカーをブロックする。ユーザーはトラッキング防止機能を開いて、プライバシーレポートからページ上のすべてのトラッカーの詳細を閲覧できる。

例えば、TechCrunch USのページをチェックすると、200以上のトラッカーが存在していた。

FirefoxやBraveのようなライバルのブラウザには、すでにトラッキング防止機能が組み込まれている。

これは、ターゲティング広告とトラッキング業界の状況を一変させる最新の機能だ。ターゲティング広告が何年にもわたって侵略的なものになってきたため、アップルは同社のソフトウェアにインテリジェンストラッキング防止技術などの機能を導入し、Safariユーザーが広告やトラッカーの読み込みを防止するコンテンツブロッカーをインストールできるようにすることで対応してきた。

Safariの新機能は、2020年後半にリリースされる予定のmacOS Big Surの最新バージョンに搭載される予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

チトセロボティクスが時給980円のロボット導入・運用サブスクを発表

Chitose Robot Services

チトセロボティクスは6月23日、ロボットによる自動化・省人化の提供を目的に、時給980円の「ロボット労働力」をうたうサブスクリプションサービス「Chitose Robot Services」の提供を7月1日より開始すると発表した。使用済み食器の洗浄業務というモデルケースの場合、使用時間6時間/日程度で月額料金は29万6400円(税別、リース費用含む)。

Chitose Robot Servicesは、ロボットの初期費用や消耗品費用の支払い、各種保険、メンテナンスなどの手続きをパッケージ化した月額定額サービス。制御用ソフトウェアを洗練させるとともに、ハードウェア費用を最小限に抑え、リースやレンタルの枠組みを用意することで、初期導入費用ゼロを実現した。Chitose Robot Services同社ロボットは、特許を保有する独自制御技術「ALGoZa」(アルゴザ)により、現場レイアウトやハンドリングする物品の種類に変更が発生しても、プログラムの再開発なしに自律的に動きを変更可能。

またロボットがより良い労働力となるために、稼働状況や不具合情報をネットワーク経由でリアルタイムで収集し、解析のもと動作速度・認識精度の向上などソフトウェアの自動アップデート機能を無料で提供する。現場にロボット運用のスキルがなくても遠隔メンテナンス機能による支援があるという。

チトセロボティクスは、食品・物流の現場における人材不足・労働生産性が低いという課題に対して、ロボット技術による解決を目指している。現在は、飲食業界の厨房作業・物流倉庫の仕分け作業・工場の複雑な組立作業など人手作業が多く残る現場に対して、ロボット技術による自動化ソリューションを提供している。

アップルのApp Storeに対して開発者によるアプリのリジェクトやルールへの異議申し立てが可能に

Apple(アップル)が、近く実施されるApp Storeのルール変更を発表した。これにより、このマーケットプレイスの運用が大きく変わる可能性がある。もうすぐ開発者は、アプリのリジェクトだけでなく、その根拠となったルールにも異議を唱えられるようになる。また、ルール違反のせいでバグ修正のアップデートが保留になることはない。

重要な追加事項にも関わらず、アプリと開発者の変更点についてのブログ記事は淡々としたものだ。

まず第一に、開発者はアプリがApp Store Review Guidelinesの特定のガイドラインに違反しているかどうかの決定に抗議できるだけでなく、ガイドラインそのものに異議を唱える仕組みがある。第二に、すでにApp Storeで公開されているアプリに関しては、法律な問題に関連するものを除き、ガイドラインへの違反のためにバグ修正が遅れることはなくなる。

App Storeのルールは、今週大きく報道された。それは、収益化をめぐる論争のせいであり、メールサービスアプリのHeyが、サブスクリプションの収入をAppleと共有することをためらった(未訳記事)からだ。

これは前からよくある問題であり、Basecampの共同創業者であるDavid Heinemeier Hansson(デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン)ともあろう人が、自分のHeyについてそれを知らなかったとは思われない。しかも、アプリに関するAppleの一方的で画一的なビジネスモデルが批判されたのも、これが初めてではない。

本誌TechCrunchとのインタビューでAppleのマーケティング担当上級副社長Phil Schiller(フィリップ・シラー)氏は、ルールを変えてHeyのようなアプリが収入をAppleと分けずにApp Storeで売られるようにするつもりはない(未訳記事)と語った。

関連記事:Interview: Apple’s Schiller says position on Hey app is unchanged and no rules changes are imminent

しかし、アップルは発表で直ちにルールを変更しないが、そのうち変えるかもしれない、と言っている。開発者からのフィードバックがどのように入手され処理され評価されるのか、それはわからないが、おそらく今週の多くの開発者セッションでさらに聴取を重ね、多くの提案を受け取ってから最終的に決まるのかもしれない。

2つめの変更は、Heyがそうだったようにビジネスの問題があるせいで、セキュリティアップデートもできなかった開発者をほっとさせるだろう。開発者との交渉が行き詰まることで、ユーザーを困らせることはアップルもしたくないだろうから、両者を分離することは完全に正しい。これによって、扱いにくい開発者に対してアップルが振るう鞭(むち)が短くなり、しかもユーザーなど他の関係者のリスクは少なくなる。

App Storeのルール変更は今夏に発効するため、それまでに詳細が決まるだろう。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa