TechCrunchのCESハードウェア・バトルフィールド、いよいよ来週開催―マーサ・スチュワートの審査員参加が決定

来週火曜、水曜〔日本時間水曜、木曜〕にTechCrunchがCES会場で開催するHardware Battlefieldでは15チームのトップクラスのハードウェアスタートアップが5万ドルの賞金を巡って激突する。2014年の最優秀ハードウェアはどれになるのか?

われわれはこのイベントの準備に何ヶ月もかけてきた。いろいろなサプライズ企画も用意されている。通常のCESリポートとともにお楽しみいただきたい。

しかしここで特に発表したいのは、あのマーサ・スチュワート(Martha Stewart)がHardware Battlefieldの審査員に加わることになったというニュースだ。

知らぬもののないライフスタイルの女王であり、生活関連ハードウェアのグルであるマーサ・スチュワートは自身が優れたデザイナーであり、Martha Stewart Living Omnimediaのファウンダーでもある。その長年のクリエーターとしての、またブランド構築の経験をわれわれのイベントに役立ててくれることになったことをわれわれは大いに名誉に思い、興奮している。

イベントのスケジュールはこちら。TechCrunchで完全生中継する。今年はこれまでにないエキサイティングなCESになるだろう。

イベント専用のHardware Battlefieldページに随時最新情報を掲載する。読者は#cescrunchというハッシュタグでツイートを投稿できる。プレゼントやびっくり企画も用意しているのでお楽しみに。

ラスベガスに遊びに行く予定だがCESのチケットは持っていないという向きも寄っていただきたい。このコンペの観覧のためのスペースを準備している。来年は読者もこの競争に参加しているかもしれない!

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


金融イノベーションのイベント「FIBC」が来年も3月に開催、ただいま登壇者募集中

金融分野のイノベーションに特化したイベント、「金融イノベーションビジネスカンファレンス」(FIBC)が、来年2014年の3月に開催される。2010年に第1回が開催されたFIBCは、次回が3回目。主催は電通国際情報サービス(ISID)で、同社は金融向けソリューションやSI事業を手がけている。メガバンクのシステムなんかも作っているISIDの担当者が言うには、日本では構造的にイノベーションが起こりづらい環境にあるので、カンファレンス開催を通して、金融系ベンチャー企業、VC、そして金融機関の関係者を一堂に集めて業界を活性化させる、というのがイベント開催の狙いだそうだ。実際、キーノートスピーチやピッチ大会の後のネットワーキングの時間には、金融業界とかエンタープライズっぽいイベントと違ってほとんどの参加者が残るそうで、メガバンクの人が熱心にスタートアップの話を聞いたりするような場面が繰り広げられるのだとか。

FIBCでは毎年、先進的な金融サービスを提供するスタートアップ企業や個人などがデモを中心としたプレゼンをする「FinPitch」が行われる。ここでは、本誌TechCrunchでもおなじみの金融系スタートアップ企業をはじめ、まだほとんど世に出ていないサービスも登場するのだという。2013年の例でいえば、カード連動型クーポンの「Kanmu CLO」、手軽に使えるモバイル決済「Coiney」、みんなで作る次世代型クラウド家計簿「Zaim」、手書き領収書のOCRもある小規模ジネス向けファイナンスアプリの「bizNote」、全自動クラウド会計アプリ「freee」、スマフォ型クレジットカード決済リーダー「PAYGATE」、ソーシャルデータを投資判断に活用する「ソーシャルメディアbloomberg」、自分の信用力が10分で分かるクレジットレポート「マイクレジット」、郵送できる請求書管理サービス「Misoca」、家計簿・支出管理アプリの「ReceReco」などとなっている。

このFinPitchへの登壇者は、今もまだ募集しているようだ(1月7日まで)。「金融分野における先進的かつ革新的なサービスの提供者」が条件で、具体的には投資や保険、家計簿、決済、電子マネー、資産運用、与信判断などのサービス提供者が対象だ。登壇者は事業規模が問われないので、法人格のあるスタートアップ企業だけでなく、個人でも参加できる。おカネに絡んだ世界でイノベーションを起こしたいと考えている人は、詳しくはこのサイトを見てほしい。

≪FIBC2014開催概要≫
■イベント名:金融イノベーションビジネスカンファレンス FIBC2014
■日時:2014年3月3日(月) 13:00~19:00 (予定)
■会場:東京コンファレンスセンター・品川(東京都港区)
■主催:株式会社電通国際情報サービス
■参加人数:約200名
■参加費:あり(事前登録制、登録開始は2014年2月を予定)


「メーカー」時代の訪れとこれからのさらなる進化の予感

ハードウェア(ガジェット)の製造について、私たちは今、ターニングポイントにいると言えるのではないだろうか。ソニーやサムスン、あるいはLGというビッグカンパニーのイノベーション速度が大幅に低下してしまっているように感じる。こうした大企業の動向に基づくニュースを、今年はいくつ耳にしたことだろう。

もちろん年末である今は、新年早々に行われるCESに向けてさまざまな発表を控えている時期であるというのはあるだろう。しかしそのCESにても、大画面テレビや超薄型ノートパソコン、あるいは性能が向上した冷蔵庫などなど、「革新」とは呼べないレベルのモノたちが登場してくるに過ぎないのではなかろうかと想像している。実は、真のイノベーションは、これまでとは全く違うところで起こっているのだ。ソフトウェアを拡張していったところにハードウェアがあるような、ソフトウェアとハードウェアが完全に融合したところで新しいものが生まれてくるようになっている。現在、コンシューマーエレクトロニクスの進化を支えているのは、日々新製品を耳にする「スマートデバイス」なのだ。

少し前まで、TechCrunchチームはCESの会期になるとホールを動きまわり、発見したガジェットについての記事を書きまくり、そして最新情報を見つけるとそのアップデート情報を投稿するということを繰り返してきた。しかし最近ではその必要性も減じてきたように思う。Pebble3D scannerなどの面白い、そして革新的な製品はいずれも小さなデザインハウスから生まれてくる時代となった。3DプリンターなどはCESにてほとんどお目にかかることもないが、実際のところは現在の世の中で最もアツいプロダクトであると言って良いと思う。コンシューマー向けロボットプロダクトや、身体データ数値化(quantified self)関連プロダクトも大手企業からは低く評価されていた。ウェアラブルも革新的未来をもたらす可能性のあるプロダクトだが、大手ハードウェアメーカーはその扱い方を理解できないようだ。ウェアラブルについて正しく取り扱いを行っているのはGoogleと、そしてEric Migicovskyのみだと言っても過言でないかもしれない。

それではなぜ我々はCESに出かけるのか。定期的なライブブログを行う意味もある。これまでなかなかの好評を博しており、これは続けていきたいと考えている。しかし本当の狙いは、CESそのものではなく、その会場周辺で行っていることにある。たとえば昨年、私たちはTechCrunchで開設した自前のブースの中で90%の時間を過ごした。開設した場所はCES会場の駐車場だ。誰でも入ることができる場所で、CESの入場証も必要ない。また、CESに出入りする人の注目を浴びやすい一等地でもあった。そこで多くの人に注目してもらえるイベントを開催したわけだ。たとえばここでGtarZivix、そしてPebbleなどの紹介を行った。ヘッドアップディスプレイやチップデザイン、ないしウェアラブルデバイスなど、いろいろなものを持ち込んでくる人と出会うことができた。会場を見て回ることをせず、DropcamFitbitのCEOたちといろいろな話をしていた。駐車場にいれば未来を感じることが出来るのに、わざわざ「ちょっと進化したテレビ」などの紹介をすることもないと思ったのだ。

今年もまたCES「周辺」でのイベントに力を入れたいと思っている。Hardware Battlefieldでは、優勝スタートアップに5万ドルの賞金を贈呈する。ジャッジにはBre PettisSlava Rubin、そしてTrae Vassallo等を招いている。また、TechCrunchブースではインタビューも行う。またラスベガスのテックコミュニティから大勢の来訪者がある予定だ。

見てみようかとお考えの方は、ぜひ会場まで足を運んで頂きたい。大勢の人がきてくれるほど、私たちも嬉しく思う。繰り返すがCESの入場証は無用だ。いろいろとプレゼントも用意しておこうと思う。何かが貰えると、期待してお越しいただいて大丈夫だと思う。

ハードウェアというものの立ち位置が変わったのだと思う。大企業が先頭を切っていくという時代は去った。あるいはむしろ、大企業は各種イノベーションの後を追いかけるような時代になっているのではなかろうか。

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(翻訳:Maeda, H


大手量販店のTargetで史上最大級のハッキング被害―4000万人分のクレジットカード情報がまるごと流出

今日、アメリカ最大のチェーン店の一つ、Targetは「POSシステムに記録された約4000万人分のクレジットカードおよびデビットカードの情報が11月27日から12月15日の間に侵入者によって盗まれた」と発表した。

Targetの発表によれば、同社は不法アクセスに気づくと同時に捜査当局と金融機関に通報し、「適切な対処の準備を整えている」という。また外部の専門家に依頼して攻撃相手、侵入の範囲を調査しているということだ。

顧客の氏名、カード番号、有効期限、3桁のCVVセキュリティー・コードのすべてが盗まれた。被害に遭ったのはTargetの店舗でショッピングをした顧客に限られる。

Targetの反応は非常に遅かった。12月12日にBrian Krebsが漏洩の噂を最初に報じ、Krebsは「顧客のトラックデータのすべてが漏洩したらしい」と書いている。トラックデータというのはクレジットカードの裏面の磁気ストライプに記録されている情報だ。

Targetの広報担当、Katie Boylanは「当社はできるかぎりの資源を対策に注いでおり、捜査当局およびトップクラスの情報犯罪対策企業と共同で事態の解明に取り組んでいる。[そのため] 現在これ以上のコメントはできない」と述べた。

ハッキング被害そのものは珍しいものではないが、これほどの規模の信用情報流出となると非常に稀だ。2009年に支払サービスのプロバイダーが1億3000万人分のカード番号を流出させたことがあった。しかし想定される実害の程度を考えると今回のTargetの事件はは間違いなく史上最大級の漏洩だ。

磁気ストライプの全記録データの盗難が最悪なのは、これによって本物とまったく同一の偽造カードが作成できるからだ。カード番号、名義、有効期限、セキュリティー・コードがあればオンラインで不正注文がいくらでもできるのは言うまでもない。「クリスマスを控えたこの時期、最悪のタイミングで漏洩が起きた」とSophosのセキュリティー調査部門の責任者、James Lyneは語った。

Targetは顧客に対して、頻繁に利用状況をチェックするなどカードの不正使用に対して警戒するよう呼びかけている。

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Bitcoinはバブルだ―暴落は絵に描いたように予想通りの展開

Bitcoinはこの24時間で大暴落を喫した。主要な換金市場のMt.Goxで500以下に落ちた後、やや回復している。 TechCrunchのJohnBiggs記者が今朝書いたとおり、中国最大のBitcoin市場、BTCChinaが中国元での預託金の受け入れを停止したことがこの暴落に拍車をかけたようだ。

しかしBitcoinの値下がりはしばらく前から兆候が現れていた。中国市場の動向は大きなトレンドの一部に過ぎない。要するにBitcoinは勢いを失っている。

Bitcoinを1200ドルという高値に押し上げたのと全く同じ力が今は逆向きに働いている。流行、メディアへの露出、投機がブームを作って価格を上げた。ところが流行が下火になり、メディアの露出が減り、投機の思惑が外れた。その結果が暴落だ。

現在この記事の執筆時点でのBitcoinの価格は606ドルだ。Bitcoinは古典的なバブルである。下にMt.Goxの日ごとの値動きのチャートを載せておこう。

バブルが破裂してBitcoinの価格が元に戻るのに何の不思議もない。Bitcoinがバブルであることを説明した過去記事を振り返ってみよう。

歴史の教訓からこれだけは言える。現在のブームは作られた希少性、熱狂的な投資家層、トラック何台分もの楽観主義の産物だ。だからじきに熱は冷め、事態は平常に戻る。なにもかもオランダのチューリップ・バブルにそっくりだ。

そして、:


Bitcoinはバブルではない」としつこく主張し続ける人々がいる。 もちろんバブルに決まっている。Bitcoinは確実な資産価値のある何ものによっても担保されておらず、それ自身の利用価値が変化していないにもかかわらず、投機的動機による買い手によって突如何倍にも値上がりしている。これがバブルでなければ何がバブルか?

Bitcoinはこの記事を書き始めたとき606ドルだったが、今は621ドルまで上げている。しかしそんなことはバブルかどうかには関係ない。

もっとも重要なのは、上の引用でも指摘されているとおり、Bitcoinが「コンピューティング能力」というその本来をはるかに超えて値上がりしているという点だ。このことはFBIがBitcoinで麻薬取引を行っていた容疑でSilk Roadマーケットを閉鎖した後、いっそうはっきりした。 Bitcoinはそれが提供すると主張する価値に比べて過大評価されている。Bitcoin1枚で得られる価値は、投機的思惑を別にすれば、他の通貨ないし他の確実な金融資産によって得られる価値よりはるかに小さい。

投機的需要によって金融資産の長期的価値が維持されることはない。

しかもBitcoinはまだとても金融資産と呼べる代物ではない。

画像:Flickr

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日本の京都で行われたInfinity Ventures Summit: そのピッチ大会に出場した12社をご紹介

日本のVC Infinity Venture Partnersが今週前半京都で、Infinity Ventures Summit Fall 2013(IVS)(インフィニティ・ベンチャーズ・サミット2013年秋)というイベントを開催した。年二回行われるインターネット産業のためのイベントだ。

このイベントでは毎回、2日目(今日(日本時間12/4))に数時間をかけてスタートアップたちのピッチ大会“ローンチパッド”が行われるが、今回は12社がおよそ700名の来場者を前に自社プロダクトの紹介と売り込みを行った。

以下に、出場各社とそのサービスを簡単に紹介しよう。

優勝と準優勝4社

Capy [ENG/JP] (大賞受賞)

優勝したのはCapy、これは新種のCAPTCHAで、PCだけでなく携帯やタブレットでも使える。社名もCapy(合衆国企業)だが、ファウンダのMitsuo Okadaによると、今までのCAPTCHAは使いづらいだけでなく、ユーザの10%はギブアップして逃げてしまう。そこで彼が考案したソリューション(下図)は、文字を解読する従来のCAPTCHAと違って、ユーザが画面上で簡単なパズルを解く。Okadaによると、Capy方式のCAPTCHAは逃げる人が2%しかいない。Capyに関する詳しい記事がここにある。

NinjaPCR [ENG] (準優勝(1))

NinjaPCRはDNA増幅装置の名前で、この装置を使うとDNAのクローンを作るPCR(polymerase chain reaction)反応の費用を従来の90%まで節約できる。作者のShingo Hisakawaによると、そのハードウェアはオープンソースで価格は約1000ドル、今トライしている小型化に成功したら日本以外では来年発売する。この装置を駆動しコントロールし結果を出力するソフトウェアは、Google Chrome用のWebアプリケーションとして提供される。

planBCD [ENG/JP] (準優勝(2))

A/Bテストが簡単にできる(JavaScriptのコードを1行書くだけ)。安上がりなだけでなくマルチプラットホームであることが、planBCDの売りだ。提供する会社の社名は、東京のKAIZEN Platform Inc.で、このサービスの差別化要素の本命は、クラウドソースによるグロースハッカーたちがUIやUXの改善提案をユーザに提供してくれることだ。そのグロースハッカーたちのスキルによって料金が異なり、だいたい1000ドルから5000ドルまでぐらい。planBCDの詳細はこの記事にある。

flier [JP] (準優勝(3))

flierは忙しい日本人のために本を見つけてくれて、しかもその本の要約を提供してくれる。年会費250ドルを払うと、毎月20冊のよく売れてる本の要約をもらえる。それは、わずか10分で読めるそうだ。要約はプロの編集者が作り、それを出版社がチェックし、flierのユーザはいろんなデバイスからそれにアクセスできる。なお、個人だけでなく企業のための料金プランもある。来年は合衆国に進出して、同種サービスのマーケットリーダーgetAbstractに挑戦する。

Userdive [JP] (準優勝(4))

UserdiveはWebサイトの使われ方見られ方をPC、スマートフォン、およびタブレット関して調べ、サイト最適化の方向性を与える。ビジターのアクションはビデオに記録され、ユーザはダッシュボードからそれを見ることができる。マウスがどこでホバーしたか、クリックされたか、スクロールしたか、などのアクションだ。またスマートフォンでは、画面の方向(タテヨコ)の変更に関しても分かる。そしてそのビデオを見ると、言うまでもなく、UIやUXの弱点が分かるのだ。来年は、ネイティブアプリのチェックもできるようになる。

選外

以下は、入賞しなかったサービスの概要だ:

  • Recme [JP]は就活サービスの一種で、自分を撮ったビデオを求人企業に送る。合衆国のHire Vueに似ている(Recmeに関する英語の記事がここにある)。
  • Hairmo [JP]は、ヘアスタイリストに練習用のヘアモデルを紹介するiOSアプリ。そのアポイントのセットアップ費用は5ドルだ。
  • Virtual Cycling [JP]は、フィットネス用の静止自転車をもっと楽しく漕げるために、実際の路上走行、もしくは都市の上空の飛行を写したビデオを再生する。緩急等はペダルの速度に同期し、映像はクラウドから提供される。専用ハードウェアのお値段は40ドル、利用料を払う方式なら月額3ドルだ。詳しくは下のビデオを。

  • Eipontan [JP]は、Drecom製の言語学習用iOSアプリ。ソーシャルな要素とゲーム的な要素があり、同社のモバイル教育プラットホームSmacolo(スマコロ)上で使う。
  • Kodomo Mode [JP]は、子どもに安全なコンテンツ(悪質な広告やアプリ内購入や有害コンテンツのないもの)だけを見せたい親のためのAndroidアプリ。
  • Wonderport [JP]は、親がキャラクターになりきって幼児とコミュニケーションするスマートフォンアプリ(デモでは父親がかわいいサンタクロースの人形になっていた)。
  • vinclu [JP]は、GPSを利用するスマートフォン用アクセサリ(とそれ用のアプリ)で、距離的に離れている恋人同士などが光やそのほかのエフェクトを使ってコミュニケーションする。詳しくは下のビデオを。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


「最先端でなくていい、当たり前のことをやろう」古川享氏が若手プログラマーに檄

「(現代は)他人との関わりを自由にデザインできるのがいいところ。隣に座ってペアプログラミングしたり、リモートで仕事をしたり、ツールの支援もあるから自分で決められる。20世紀のように大部屋で一緒にやらなければならないということはない」

体験をなぞるだけでいいの?

そう話すのは、Rubyアソシエーション理事長で角川アスキー総合研究所の主席研究員も務めるまつもとゆきひろ氏。角川アスキー総合研究所が12月2日に東京・秋葉原で開催したシンポジウム「なぜプログラミングが必要なのか」での一幕だ。

「(プログラミングができることで)誰かが決めた世界じゃなくて、このソフトにこう関わるということを主体的に決められる」。まつもと氏によれば、この「主体的に決められる」ことがハッピーなのだという。「プログラミングの世界も経済的な報酬は十分ではないが、名声は十分得られるのではないか」

こうした思いは「(ソフトを開発する人とソフトを使う人で)世界は二極分化する」という持論から出てきた。「ソフトを使うだけの単なるユーザーは自分でコンピュータを操作できなくて、誰かが決めたプログラムを利用するだけ。プログラムを作った人の経験や体験をなぞるだけだ」。

もちろん体験をなぞるだけでハッピーなユーザーもいるが、最初から自分でやりたい人もいるし、そういう主体的な人であればぜひプログラミングにチャレンジしたらいいというわけだ。その結果、冒頭のように働き方も主体的に決められるようになる。

Rubyアソシエーション理事長で角川アスキー総合研究所の主席研究員も務めるまつもとゆきひろ氏

一方、シンポジウムに同席した慶応義塾大学大学院教授の古川享氏(元マイクロソフト会長)も「PCが8ビットのころは優秀なプログラマーの自負があった」という。だが16ビット時代は大学生のバイトに負けた。当時アスキーにバイトで入って来た中島聡さん(その後、マイクロソフトでWindows95、Windows98、Internet Explorer 3.0/4.0のチーフアーキテクトを務めた)が書いているコードが読めなくなった」のだ。古川氏いわく26〜27歳のころである。

確かに「相手が悪い」(まつもと氏)のも事実だが、当時大学生だった中嶋氏の待遇を大幅に向上させるよう、アスキーに働きかけたのは、古川氏である。「能力を知っているからこそ、もっと優遇しなくちゃいけない。中島さんにも3億円、本人は1億円ぐらいと言っているが、それだけ還元した。成果を共有するために報酬は重要だ。その采配を許してくれたアスキーには感謝している」(古川氏)。プログラマーとしては大学生に負けた古川氏であったが開発環境を整えるなどして「(プログラマーの)外側から楽しんでいた」(古川氏)。

まつもと氏が言うように世界が二極分化するのであれば「この壁を取り除く役割の人が必要」(古川氏)なのだ。「ソフトウェア技術者が社会をデザインするようになるのは必然。そうしたエンジニアのカタパルトになりたい」。

慶応義塾大学大学院教授の古川享氏(元マイクロソフト会長)

最先端じゃなくてもいいがチャンスは逃すな

そんな古川氏が不満げに話すのは最近の若手プログラマーや起業家のこと。「(プロダクトが技術的に)必ずしも最先端じゃなくてもいい。むしろ当たり前のことをなぜやらないのか。チャンスがあれば最初に手をあげるべきだ」。

引き合いに出したのはWindows黎明期のころの話。当時、Windowsネイティブのアプリケーションを作ってもらうべく、多くのソフトウェアベンダーに営業していた古川さんがある日、徳島からの電話を受けた。その会社は酪農家向けのプログラムを提供していたという。電話を切る間際に「いつか一緒にできるといいですね」と古川氏が伝えた。するとその1週間後に徳島から社長が古川氏を押し掛けて来たのだ。そう、ジャストシステムの浮川和宣社長(当時)である。結局それがきっかけになり、JS-WORD(一太郎の前進)が生まれたのだ。

電話の切り際、わずかな一言がきっかけになったケースだが、さすがにこれはレアケース。だが現在であればSNSなどを使うことで、もっとコミュニティーやパートナーを見つけやすくなっている。営業が苦手なら営業マンを探せばいいだけというわけである。

まつもと氏も「一歩踏み出せばいい。私自身も自分の作ったソフトを必要に応じて、デリバリーして説明をつけただけ。100人やったら100人が成功するとは思わないけど、100人やったら20人ぐらいは成功するんじゃないかな」と笑って話した。


市場規模も競合も知らなかったデンマーク発「Zendesk」がグローバルで成功したワケ

「市場規模も競合も、なんにも分かってませんでしたよ」。自分たちが参入しようとしている市場について、市場規模調査や競合分析など何もやらなかった――、そう語るのはのはZendeskの創業者で現CEOのMikkel Svane氏だ。

カスタマーサポートのためのヘルプデスクサービスをクラウドでB向けに提供する「Zendesk」。そのZendeskのMikkel Svane CEOが来日して、京都で始まったInfinity Ventures Summit(IVS)のセッションに登壇。デンマーク・コペンハーゲンの狭いロフトに30代後半の男3人が集まって2007年に起業してから6年、500人の社員と3万社の顧客を抱えるようになる今日までを振り返り、なぜ起業環境も良いといえないデンマークからZendeskのようにシリコンバレーで、そして多様な国の市場で成功する企業が出てきたのかを語った。

Svane氏は、イベント主催者のInfinity Venturesの共同代表パートナーである田中章雄氏の質問に答える形で成功の秘訣を少しずつ語った。Svane氏は、成功への過程で得た教訓を広くシェアするのは、自分が受け取ったものを次世代や次にやってくる人々へ受け継いでいく、「Pay it forward」のシリコンバレーの慣習だとして、起業の初期に学んだことをシェアしたいのだと話す。

Svane氏のスライドを元にZendeskのことを念のために説明すると、これは優れたカスタマーサービスのためのクラウドベースのソフトウェアで、企業がカスタマーサポート宛てに受け取るメールやツイート、チャットなど、顧客のやりとりを1箇所に集めることができるヘルプデスクをブラウザやモバイル端末向けに提供している。企業が顧客から受け取るメッセージは分析され、サポート担当者が注意を向けるべきメッセージをハイライトしたりもする。サポートチームでコラボレーションが可能なほか、サポートチームのパフォーマンス分析や同業他社との比較も行うといったサービスだ。現在、ZendeskはMicrosoft、Adobe、SAP、DELLといったシリコンバレーを始めとする北米の大企業から、Airbnb、Hulu、Uber、日本ならGengo、Sansan、Talknoteといったスタートアップ企業が使っている。

わずか5年程度で華々しく成長したスタートアップ企業に見えるが、船出は必ずしも順調でなかったようだ。

「コペンハーゲンで新しい企業を興すなんて普通じゃないですよ。誰もスタートアップがちゃんとした仕事だなんて思っていなくて、趣味のようなものだと考えているし、起業家精神もあまりないんです」

起業のキッカケは、目の前にひどい業務アプリのプロダクトがあって「これよりも良いプロダクトを作ろう」と思ったこと。Svane氏はZendesk起業以前はビジネスプロセスやカスタマーサービスのコンサルをしていたが、このときに見た業務アプリがひどかった。業務アプリはたいていひどいUI/UXだが、Svane氏が会場の聴衆に見せたカスタマーサービスのためのWebアプリはログ解析画面か何かに見えるひどいもので、会場から失笑が漏れるほど。

起業するなら30代後半で家庭や住宅ローンの心配がない今しかないと2人の仲間起業とZendeskを起業した。当初はロフトで3人の30代後半の男3人が働く、ひどい環境だったという。自己資本でやっていたので2年間は苦しい時期が続いた。成功の確率はとても低く、ほとんどのスタートアップは失敗に終わるのが分かっていたからだ。「自転車に乗って丘を越えていくようなもの。丘の向こうに何があるか分からない。1つ目を越えても、また次に丘がある。今でもそれは続いている。ただ、スタートアップにとって、とても素晴らしい瞬間というのがある」。

Svane氏が言う最初の「素晴らしい瞬間」は、シリコンバレーに拠点を移して投資を受けたときだ。米国に移ったのはクレジット・クランチの直後だったこともあり「資金調達はほとんど不可能だった」と振り返る。「外国企業に投資するというのも当時あまりなかったし、われわれ創業者の英語には訛りもある。ビザ取得も簡単ではなかった」。

ただ、人づての紹介でVCに会い、投資が決まってからは一気にトラフィックが伸び始めた。米国のVCから資金調達するというのは、「非常にいいマーケティング」だという。特に業務アプリ市場はクラウドへのシフトが起こっていて、ボトムアップで部署単位で導入が進むようになってきているからだ。「CIOなどによるトップダウンでソフトウェア導入が決定されていたのは昔の話。部署のリーダーレベルの人々がオンラインで1カ月、2カ月ぐらい試してから導入の意思決定ができる」。実際、AdobeでZendeskを最初に利用したのは、本社のあずかり知らないロンドンの拠点だったという。「企業向けソフトウェアにとって、ブランドがますます大切になっている。かつてはロックインが可能だったが、今や乗り換えがすごく簡単だからだ」(Svane氏)。

自社運用していた業務システムは、クラウドへのシフトが起こっている。「企業は莫大な予算をオンプレミスの業務システムに投資してきた。向こう5年は、これはクラウドへシフトする。スゴいチャンスだ」。Zendeskの成功は、このトレンドの波に乗れたことのほかに、最初から英語でサービスを提供したこともある。それはデンマーク市場が小さいこともあるが、たくさん使ってもらうための「直感」だったといい、その結果、日本やブラジルでも使われるようになったという。グローバル市場の攻略としては、英語で北米から普及が進んだこともあるが、Svane氏が挙げる教訓は、異なる国の市場であっても「類似性に目を向けること」という。どこの国でも似たような考えをもった企業はある。

ソーシャルメディアが台頭し、カスタマーサポートの意味が変わってきていることもZendeskの成功の背景にある。「ソーシャルメディアは複雑になっているし、顧客の声は今まで以上に大きくなっている。顧客サービスでしくじると、企業のブランドは大きく傷つく。企業は、良い顧客体験が必要だってことを理解し始めている」。

クラウド、モバイル、ソーシャルの波に乗ったことをZendesk成功の理由に挙げるZendeskのSvane氏だが、成功の本質はプロダクトが新しい市場を切り拓いたことがありそうだ。市場調査なんてやらなかったと言い切った後に、Svane氏はこうも指摘した。

「市場規模を何だかんだといって議論して、それで何になりますか? (Zendeskが取った市場は)それまでExcelやメールを使ってこれまでやってたんです。カスタマーサポートのための業務アプリに企業はそれほど投資なんてしていなかった。だから、(Zendesk登場で)突然市場が拡大したんです」


TechCrunch Tokyo 2013初開催のハッカソンに潜入してきた

編集部:先日の「TechCrunch Tokyo 2013」では、初の試みとしてハッカソンを開催した。そこで我々は、ハッカソンに設けたトークコーナーに登壇いただき、なおかつ2日間にわたって会場でハッカーと交流していたAppSocially社のiOSエンジニアである堤修一氏にイベントの模様を寄稿してもらった。

11月11日(月)・12日(火)の2日間にわたり『TechCrunch Tokyo ハッカソン』が開催された。TechCrunch Tokyo 2013の併催としてのハッカソンは今年初の試みであり、平日、それも2日間という長時間のイベントにもかかわらず、チケットは前日までに完売して満員御礼での開催となったという。

今回のテーマは、下記のAPIのいずれかひとつを使ってサービスを開発すること。2日目に1チームあたり3分間でプレゼンテーションをおこない、アウトプットには必ずデモを含める必要がある、というルールだ。

・Gracenote:音楽認識WebAPI
・トヨタ:IT開発センター車載API
・KDDIウェブコミュニケーションズ:TwilioAPI
・PUX(Panasonic 任天堂JV):顔認識API等
・ドコモ:知識Q&A API等

チームビルディングの様子

チーム参戦でなく1人で参加した人のために設けたチームビルディングの時間は、少しユニークな方法をとっていた。各テーブルにはスケッチブックが置いてあり、各々が自分の得意分野(プログラマー、デザイナー等)と、やりたいこと等を紙に書いていく。そして、全員を2組にわけて自己紹介した上で、声をかけあってチームをつくる、という方式だ。ちなみに全部で16組のチームが結成された。

その後のアイデア宣言では、チーム名しか決まっていないチームもあれば、つくりたいものがはっきりしているチームもあったが、とにかくどのアイデア宣言もユニークで一癖あり、会場は非常に盛り上がった。

アイデア宣言の様子

続いてハッキングという段になると、話し合いながらアイデアを練り上げるチーム、早々にコードを書き始めるチーム、API提供企業のブースで技術調査をおこなうチーム等、それぞれのやり方で2日間にわたるハッキングをスタートした。

2日目は、午前10時よりハッキングスタート。それぞれ家やオフィスで遅くまで作業していたのか、眠そうな姿が目立つ中、主催側からレッドブル、モンスターといったエナジードリンクの粋な差し入れもあった。

いよいよ成果発表。各チームの持ち時間はデモを含め3分。サービス内容を説明しきれないまま持ち時間がなくなってしまうチーム、ついさっきまで動いていたデモが本番で動かなくなるチーム等、トラブルもあったが、わずか2日間でつくったとは思えない完成度の作品や、芸人と見紛う程に鮮やかなプレゼンテーションもあり、会場は大いに湧いた。

そして最優秀賞は、Wondershakeチームの『Fuwari』。iPhoneで再生中の曲の「ムード」をGracenoteのAPIで判定し、Facebookフレンドとムードを共有することで、その人の今の気分を「ふんわりと」知ることができるというプロダクトだ。開発・デザイン共に高い完成度が評価され、見事最優秀賞の受賞となった。

準スポンサーであるAppSocially賞には、Team 6th Manが手がけた表情付きチャット『DoyaChat』が選ばれた。技術+アイデア+実用のバランスが良かった点と、コミュニケーションがコア機能となるスマホアプリなのでAppSociallyとの親和性が高い、という点が評価され受賞に至った。

最優秀賞に輝いた『Fuwari』

さて、TechCrunch Tokyoのハッカソンでは、ハッカー界の著名なエンジニアが講演する「TechTalk」という時間も設けている。初日のTechTalkでは、AppSocially社のiOSエンジニアである私(堤修一)より、“「スキルなし、実績なし」 32歳窓際エンジニアがシリコンバレーで働くようになるまで”と題し、私が32歳にして初めて自分で手を動かしてものをつくる立場になり、四苦八苦しつつもエンジニアとしての成功をつかむまでのターニングポイントとなった行動について話させていただいた。

この講演のスライドを後日、「slideshare」にて公開 したところ、非常に大きな話題となり、公開数日ではてなブックマークが1,000件を超えた。

ハッカソン2日目のTechTalkでは、ビデオメッセージングアプリundaの共同創業者である徳井直生氏が講演。有名なシードアクセラレータである “500 startups” より出資を受け、シリコンバレーに3ヶ月滞在しサービスを立ち上げる中で得た7つの気付きについて語った。ハッカソンも終盤にさしかかり、作業が佳境となる中、多くの参加者の興味を引き、講演後の氏のテーブルには名刺交換の行列ができていた。

2日間、という期間は、プロダクトをゼロからつくりあげる、という観点ではもちろん短いが、ハッカソンの期間という意味でいうと国内では珍しく長い方である。それもあってか、今回の各チームの作品は、半日や1日でおこなわれるハッカソンと比較するとレベルが高かったように思う。

また冒頭にも書いた通り平日開催にも関わらず多くの参加者が集まり、会場の雰囲気もよく、非常に盛り上がった。今年初めての試みとのことだが、筆者としては来年の開催にも期待したい。


「愛されよう、100人にだけでもいいから」–Airbnbのたった1つの海外戦略

Airbnbで北欧・アジア太平洋地域のマネージング・ディレクターを務めるOle Ruch氏

11月11日、12日に開かれたイベント「TechCrunch Tokyo 2013」のゲストの中でも最も急成長を遂げたのが、家の空き部屋を提供する人と、宿泊場所を探す人をマッチングするサービス「Airbnb」だ。

2008年に創業者が自分のアパートに人を泊めたことから始まったAirbnbは、現在までに全世界で累計900万人のゲストを宿泊させ、各都市に多くの利益をもたらした。

そんな成長企業で北欧およびアジア太平洋地域のマネージング・ディレクターを務めるOle Ruch氏が、Airbnbがどのようにして世界で使われるサービスになったかを語った。

「Airbnbはもともと非常にシンプルな形で始まった」とOle氏は言う。サンフランシスコに一緒に住んでいたジョーとブライアンという共同創業者が、家賃の支払いに困って、自分たちの家の一角を旅行者に貸し出したのがきっかけだった。

たまたまサンフランシスコで大規模カンファレンスが開催されていたため、周囲のホテルはすべて満室。彼らはエアーマットレスを買い込み、宿泊者を募集するサイト「エアーベッドアンドブレックファスト」を立ち上げた。

ユタ州から来た3児の父親、女性デザイナー、インドの大学院の学生という3人が最初の宿泊客だったそうだ。「この3人の宿泊者が、それまでの“人の家に泊まるという概念”を変え、創業者の考え方を変えた」とOle氏は語る。

創業者たちはこの3人をサンフランシスコのさまざまな場所に案内し、お気に入りのカフェに招待し、そして1000ドルの収入を得た。最後に宿泊客から「このようなサービスを他の都市でも使えるようにしてほしい」と請われた。それがAirbnbの始まりとなった。いまではアパートに1晩泊まるのはもちろん、お城に1週間でも、別荘に1カ月でもあらゆる条件の施設がAirbnbで予約できるという。

「これは非常にグローバルなコミュニティです。我々の信念とは、“最善の旅行体験は、ローカルな人と一緒に滞在すること”というものです。そのホストが街を案内し、どこに行くべきか、何をすべきかを教えてくれます。このAirbnbのようなシェアリングエコノミーが、この世界を転換しようとしています。どのように資産を持ち、そして消費をするのかという考え方が変わってきているのです」(Ole氏)

Airbnbは最初の宿泊客を迎えてからわずか1年後の2009年には、米国のほとんどの主要都市で知られるようになった。世界中から米国に集まってくる旅行者がAirbnbを利用し、また地元に戻った時に口コミで広げた。噂を聞いた旅行者が同じようにAirbnbで新しい旅行体験をするというサイクルがまわっていたという。

旅行者としてAirbnbを使うだけでなく、自分でホストになりたいと考える人も世界中に広がっていった。Ole氏はこう説明する。「たとえばニューヨークのホストがお気に入りのバーや公園、カフェなんかに案内してくれたとする。ゲストはそこで素晴らしい体験をし、そして旅行から帰った後、地元の街で自分たちのコミュニティを形成し始めたのです」。

このようにしてゲストとホストは急拡大。2012年には世界中に50万件もの登録物件を抱え、そして3万5000都市、192カ国で使われる国際的なサービスに成長した。Airbnbで予約可能な城の数はなんと500に上り、ボートといった変わった物件も登録されているという。

Airbnbで宿泊した累計ゲスト数は2011年1月には400万人だったが、2013年にはさらに400万人が増えた。そして現在では900万人に到達している。Ole氏は、「こうした膨大な数のホストとゲストは、そのコミュニティ自体に大きな影響を与えることになる」と述べる。

Airbnbで宿泊した累計ゲスト数の推移

「Airbnbの宿泊施設は都市の中に広く分散しています。そこで我々が調べたところ、Airbnbの利用者は滞在地域の中で消費をすることがわかった。近所でパンを買ったり、夜は近くのバーに行ったりする。これはローカルコミュニティとビジネスにとって非常に重要です。パリでは2013年は2億4000万ドルの経済活動に貢献した。シドニーでも2013年だけで2億ドル近くの貢献を行っています」(Ole氏)

一般人であるホストたちも恩恵を受けている。シドニーの場合、ホストは2013年に平均して4500オーストラリアドル(日本円で約42万円)の収入を得ることができたという。こうして収入を得て、自分たちの住宅ローンを払ったり、あるいは自分たちの事業を始める人もいるそうだ。

「でも最も重要なのは、そこで構築される関係だ」とOle氏は強調する。一緒に食事をし、時間を過ごし、宿泊することでもたらされる人間関係こそ財産であると言う。

Ole氏の初めてのAirbnb経験はコペンハーゲンでの出張の時だった。Airbnbで見つけたホストに対し、コペンハーゲンに出張で行くので止まらせてほしいとメールしたところ、ホストの5歳と7歳の子どもたちと一緒に過ごすことを条件に予約が取れたという。

「ある日、仕事から戻って、一緒に食事をしていると、子どもたちにいろいろな質問をされた。どんな仕事をしているのか、どこから来たのか、次はどこに行くのかと。私の話をしたら彼らは非常に喜びました」(Ole氏)

Ole氏は夕食の後、ホストである母親からお礼を言われたそうだ。そしてなぜAirbnbでホストをしているのか尋ねた。

彼女の答えはこうだった。「私は子供がいるのでもう旅行することができない。でも母親として子どもたちが異なる文化に触れる機会を作りたい。Airbnbによってゲストが世界中から家に訪ねてきてくれる。たとえば先週は香港からゲストがきた。来週はイタリアから人が来る。5歳と7歳の子どもにとっては世界中の人達と一緒にストーリーを共有できる素晴らしい体験になるんです」。

Airbnbが米国外から世界に展開しつつあった2011年頃、初めて競合他社が現れた。そこで彼らがとった戦略はアンバサダーマーケティング。つまり“伝道師”になることだった。

「競合他社の存在は不思議な感覚だった。我々はできるだけ最高の経験を子どもたちにも提供したいと考えていたが、競合はお金を儲けたいという意思だったようだ。だから我々はそこで長期的な戦略を選んだ。お金が目的の“傭兵”になるのではなく、“伝道師”になろうと考えた。やはり長期的には伝道師の方が勝つ」とOle氏は当時の選択を振り返る。

ゲストとホストを結びつけるためのサイトを提供し続け、旅行者と子どもたちに最高の体験を提供し続けることに集中したという。創業者が当時話していた言葉をOle氏が紹介した。

「何百万もの人にちょっと好かれるよりも、100人に本当に愛されよう」。

これがAirbnbのやり方だった。「その100人の心が掴めれば、彼らがアンバサダーになって、Airbnbの代弁をしてくれるわけです。だから我々の国際的な拡張戦略というのは、『すべての都市でAirbnbを大好きになってくれる人を見つけようということ』だけでした。これはかなり汎用なソリューションだと思う」とOle氏は語る。

日本でも伝道師として愛される存在になろうとしている。日本進出にあたってはさらに「ホスト保証」として8000万円を準備した。これはホストの自宅に何か起き場合、Airbnbが保証するというものだ。

「日本には素晴らしいチームもいる。彼らは本当にユーザーと実際に対面して、Airbnbを愛してくれる人を100人見つけようとしている。Airbnbはまだ日本で始まったばかり。とてもワクワクしている。日本の方々もグローバルな旅行の体験を得られると思う」(Ole氏)


TechCrunch Tokyo 2013:スタートアップバトル出場24社を紹介 – 優勝は指輪型デバイスのRing

3回目の開催となったTechCrunch Tokyo 2013は初の2日間を通してのイベントだった。今回は目玉企画のスタートアップバトルに予選から24社が登壇し、それぞれのプロダクトを紹介してくれた。

スマートフォンアプリ、Webサービスのみならず、ハードウェアや3Dプリンタを取り扱うサービスなどバラエティー豊かなスタートアップ達をイベントに来れなかった読者の皆さんにぜひご紹介したい。まずは決勝に進出した10社から。

Ring(株式会社ログバー):最優秀賞
スタートアップバトル最優秀賞に選ばれたRingは全く新しいウェアラブルデバイス(入力デバイス)だ。名前の通りリングの形状をしており、指にはめて利用する。Google Glassやスマートウォッチといったウェアラブルデバイスはディスプレイが付いていて、その上でアプリなどを動かすが、Ringは入力デバイスとして機能する。

例えば、テレビに向かって人差し指で「TV」と書くとテレビがONになったり、「$12」と書くと支払いが完了したり。会場では実際に電気をつけるデモを行ってくれた。

現在複数の企業とパートナーシップを結びプロダクト完成に向けて日々開発を続けている。2014年中の出荷を目指しており、1万円から2万円程度で販売する予定だそうだ。

planBCD(KAIZEN platform):審査員特別賞
planBCDはグロースハック系のサービスで、jsのコードを1行追加するだけで簡単にA/Bテストができる他、グロースハッカーのクラウドソーシングサービスとしても利用できる。

クラウドソーシングではKAIZEN platformが抱える200名以上のグロースハッカーが改善案を提出してくれる。それを実際にA/Bテストにかけて、効果があるか測定できる。βテストで20件ほど試したところplanBCDの提案は既存のデザインよりも71.4%の確率で改善したそうだ。スマートフォンに限ると今のところほぼ100%で改善できている。

年内にはグロースハッカーを500名にまで増やし、年明けには1,000人の確保を目指している。

flier(株式会社フライヤー):エボラブルアジア賞/kobo賞
flierは毎月20冊の本を選定し、要約文を送ってくれるサービスだ。毎年新たに出版される本の数は増えており、良書を見つけることは難しくなっている。flierから配信される要約文はA4サイズで5枚程度の分量で、ちょっとした時間で読み切れるようになっている。スマホやタブレットに最適化されており、雑誌感覚のインターフェイスとなっている。

すでに国内の大手出版社のうち17社と協業しており、コンテンツは全て利用許可を取っている。10月10日でのローンチ以降、IBMやJT、デトロイト・トーマツなどが採用しているという。書籍要約のニーズを持っているユーザーは世界で3,000万人以上と見込んでおり、平均単価1万円で3,000億円の市場規模があるそうだ。

Locarise Analytics(Locarise株式会社):アマゾンウェブサービス賞
先日のOpen Network LabデモデイFall 2013でも取り上げたLocariseは実店舗向けのGoogle Analyticsを提供する。来店客や店のウィンドウを見ている顧客の行動を取得/分析し、ウィンドウを見ていた人が店に入るコンバージョンレートや、店内の滞在時間、購入までの経路といった情報をダッシュボードにまとめて教えてくれる。

どのように情報を取得するのかというと、店舗側にセンサーを設置しておき、来店客が持っている端末のWiFi信号を定期的に受信している。この信号を処理することで彼らの行動をウォッチするそうだ。

WiFiをONにしているスマートフォン所有者だけの行動を分析するには偏りが出るのではないかという疑問もあるが、40%程度の顧客を分析できれば充分であるという。すでにサービスは稼働しており、数十店舗が利用している。

Ietty(株式会社ietty):KDDI賞
iettyは住みたい物件の条件をいくつか登録しておくと、ぴったりの部屋を教えてくれるサービスだ。賃貸市場の営業は店で来店者が来るまで待っている時間が長いため、人件費のうち1,200億円程度が無駄になっているという。iettyはこの1,200億円が投入されるようなプラットフォームを目指している。

ユーザーの条件を基に営業マンが最適な部屋を提案してくれるし、直接コミュニケーションを取れるため、わざわざ店に足を運ばずにすむ。6月から15社とβテストを開始しているが、他の賃貸情報サイトに比べると成約率は高いようだ。

xica adelie(株式会社サイカ):マイクロソフト賞
近年人間が扱うデータ量は増えてきた。Webサービスやアプリではもちろんだが、後ほど紹介するLocariseのようにオフラインでも様々なデータを取り扱うようになっている。しかしこれらのデータの統計を取り分析することは容易ではない。ツールの使い方を学習するにも時間がかかるし、専門家に外注するとかなりの費用がかかる。

そこでXICAはプロ向けではなく、素人向けの統計分析ツールを提供する。データを入力すると、重要なKPIに対してどのアクションがどのくらい影響を与えているのかを可視化してくれる。10日前に正式ローンチしてから5社が利用を開始し、さらに8社が利用することに決まっているそうだ。値段は1アカウント月額5万円となっている。

Money Forward クラウド会計ソフト(株式会社マネーフォワード):PR TIMES賞
マネーフォーワードは本誌でも何度か取り上げているし、クラウド家計簿サービスとして知名度は高い。昨年12月のローンチから月次平均43%で成長を続けており、数十万人のユーザー居るそうだ。

サービスを続けていく中でユーザーから多かった要望の1つが事業向けも使いたいとのことだったので、新しく事業向けのクラウド会計サービスを開発したという。基本的な会計機能の他に、レシートをアップロードすると自動で入力される機能や、これまでの収入/支出から将来のキャッシュフローを計算してくれる機能なんかもある。

マネーフォーワードとしては会計サービスとしてだけでなく、経営サポートツールとしても提供していきたいそうだ。

Rinkak(株式会社カブク):NTTドコモ・ベンチャーズ賞
Rinkakはもの作りを簡単にするためのプラットフォームだ。3Dプリンタが徐々に安くなってきたとはいえ、現状ではモノを作るためにはまだ大変な面も多い。商品の試作を作るのに高額な費用と時間がかかったり、製造時に最低ロット数を頼まなけらばならなかったりする。

Rinkakでは製造と販売と発送をサービス側が担当し、クリエイターはプロダクトをデザインすることだけに集中できる。3Dデータをアップロードすると、製造コストが自動で計算される。後はクリエイターは値段を設定するだけで商品を販売できるのだ。試作品は5,000円から1万円程度で作成できる。

すでにサービスは稼働しており、フィギュアやiPhoneケース、アクセサリーなどが集まっており、3Dプリンタでしか作れないデザインのものが多く販売されているようだ。

Virtual Cycling(株式会社キーバリュー)
Virtual Cyclingはエアロバイクを楽しくするサービスだ。フィットネスクラブに通ってもそのうち70%以上が退会してしまうそうだが、それは運動が単調でつまらなく、仲間が居ないからだという。

Virtual Cyclingはエアロバイクにデバイスを取り付けて、専用のゴーグルを使う。Google Mapsのストリートビューを使っており、自転車を漕ぐと世界中どこへでもいけるし、空を飛ぶことなんかもできる。デバイスの値段は2,000円から3,000円程度を予定している。

PlugAir(Beatrobo)
BeatroboはCDを新しいデバイス「PlugAir」に置き換えようとしている。CDは購入したらCDプレイヤーで再生できるように、PlugAirはスマートフォンのイヤホンジャックに挿して再生できるデバイスだ。

一昔前はCDプレイヤーやMDプレイヤー、そしてiPodなどのデバイスが音楽を再生するためのデバイスとして定着していたが、現在はスマートフォンが主流となっている。そこでスマートフォンに最適な楽曲供給源を目指そうとしている。

スマートフォンではiTunesなどから楽曲をダウンロードすれば音楽を聞くことはできるが、PlugAirではCDのように友達に貸しても聞けたり、CDジャケットのようにPlugAirをアーティストに合わせてカスタマイズしたりできる。友達にシェアした回数に応じて特典を設けるなど、独自の楽しみ方を模索中だ。第一弾としてはUniversal Musicと提携し、12月中に販売を開始する予定だ。

以下は予選に出場した14社。

ビザスク・フォー・ビジネス(株式会社walkntalk)
様々なビジネスの場で経験者のアドバイスが欲しいことは多々ある。そんな時にスポットで適切な人にスポットコンサルティングを頼めるサービス「ビザスク」のエンタープライズ版が「ビザスク・フォー・ビジネス」だ。こちらは秘匿性の高い案件なども発注できる。ビザスクは経済産業省から”多様な「人活」支援サービス創出事業」の委託先”として採択されている。

YAMAP(株式会社セフリ) 
このアプリは名前からも想像できるように、山(YAMA)のマップ(MAP)を提供する。単に山のマップを扱うだけではなく、登山では電波がないことも多いため、電波無しでも現在地を取得できる仕様になっている。登山人口は1,000万人ほど居るそうで、アウトドア市場全体を見れば3,300万人も居るこの市場に便利なツールを提供する。すでに1万ユーザーを獲得。

Relux(株式会社Loco Partners) 
100項目におよぶ独自の審査基準で宿泊施設を審査し、高品質な旅行体験を保証する宿泊予約サービス。チェックイン日と宿泊人数を入力すると最適な宿泊先を提案してくれる。現在のユーザーの予約単価は9万円ほどで、これは競合サービスよりも格段に高い。これまでの累計流通総額は1,500万円、年末までには4,000万円ほどを見込んでいる。

Dr.Wallet(株式会社Bear Tail)
このサービスに関しては本誌ではローンチ時KDDI∞Labo第5期採択時などにも取り上げたのでご存知の方も多いだろう。Dr.Walletはレシートをアップロードすると人力でデータ化してくれるクラウド家計簿サービスだ。8月19日のローンチ以降、10万ダウンロードを達成している。

StepUp.io(Benkyo Player LTD)
動画で何かを学ぼうとする人向けのツールを提供する。例えばダンスを学びたい時にパートごとに動画を簡単に切り分けてリピート再生することができる。料理や楽器といったカテゴリーの動画とも相性が良さそうだ。ビジネスモデルとしてはグループ機能や現在はYouTubeの動画に対応しているがユーザー独自のビデオをアップロード可能にする際に有料化を考えているという。

Cosmection(株式会社シンセレンス)
最も自分に合うコスメ商品を見つけてくれるサービス。化粧品は高評価のレビューの商品でも、自分の肌に合うとは限らない。Cosmectionではすでに使っている製品や同じ傾向にあるユーザーのデータを基に最適な品を提案してくれる。

PlayLife(株式会社プレイライフ)
遊びの体験を皆で共有し、より一層遊びを楽しくしようというのがPlayLifeだ。お気に入りの女子会スポットや、楽しかったプチ旅行の体験なんかを投稿して共有することはもちろん、サービス内で友達を遊びに誘うこともできる。

FunPicty(SODA株式会社)
FunPictyはドコモ・イノベーションビレッジ第1期デモデイに登壇した笑いがコンセプトのプラットフォームだ。面白写真アプリをいくつか保有しているSODAは短命で終わってしまうそれらの写真アプリからの画像を1つのプラットフォームにまとめることで新しい価値を生み出そうとしている。

・ゲームシスト(デジママジデ株式会社)
インディーズゲームの開発者向けのサービスで、一緒にゲームを作る仲間を集めて開発したり、ゲームをリリースできる。リリース後のマーケティングやアドバタイジングまでも面倒を見てくれる。

infogra.me Visualize Engine(インフォグラミー株式会社)
infogra.meは誰でも無料で簡単にインフォグラフィックを作るためのツールでデータを入力するとキレイなインフォグラフィックをすぐに作成してくる。インフォグラフィック作成サービスとしてはinfogr.amやvisual.lyなどが存在する。

Cumiki(Cumiki)
他人が書いたコードを読むのは大変である。途中からジョインしたり跡継ぎの人のためにノートを書くにしても面倒で更新に時間がかかってしまう。cumikiではコードをドラッグするとポストイットのようなポップアップが表示されそこへ簡単にメモできる。また、コードとメモが紐づいているので、元のコードがアップデートされた場合でも自動的に最新版を追跡して対応関係を保つことができる。

Revolver(株式会社リボルバー):レディー・ガガやオバマ大統領などは自らのための専用のSNSを構築している。最近では自分たち専用のSNSを作成する事例も増えてきているそうで、この需要に応えるべくRevolverは開発された。ユーザーは簡単に特定の人やテーマ、会社についての専用SNSを作成できる。

TSUKULINK(株式会社ハンズシェア) :東京オリンピックが決まり膨大な予算が投下される業界の1つである建築だが、現状はあまり明るくないようだ。賃金の低下や人手不足といった問題を抱えている。しかし、雪国では冬の間に雪の影響で仕事ができなく手が余っているなど地域や時期によって差があることも確かだ。そのような非効率な点をTSUKULINKではマッチングしてくれる。

cutty(株式会社アクトキャット)
美容師は約3年かけて技術を習得している。その技術を習得するためには練習が必要であり、そのためにカットモデルを探している。原宿や渋谷なんかで美容師がカットモデルを探しているのを見かけることは多いだろう。Cuttyではそんな悩みを解決すべくカットモデルと美容師をマッチングさせるサービスだ。全て無料で利用でき、美容室のクーポンなどでマネタイズする。


Mashup Award 9決勝戦レポート、最優秀賞は自動飲食店予約アプリ「1Click飲み」

TechCrunch Japanとリクルートとのコラボレーションによる日本最大級のWebアプリ開発コンテスト「Mashup Award 9」(MA9)が今年も開催された。改めてMA9について説明すると、インターネット上で企業や自治体など、さまざまな組織や個人が公開しているWeb APIを利用して、新しいサービス開発のアイデアを競うというものだ。今年で9回目を数え、8月30日から10月28日の募集期間に、400チームから460作品もの応募があった。

そして11月12日に、TechCrunch Tokyo 2013と併催されるかたちで、MA9の表彰式とMA9 Battle Final Stage(決勝戦)が実施された。そこでは予選を勝ち抜いてきた5作品と、部門賞を受賞した7作品を手がけた、合計12チームのマッシュアッパーがプレゼンテーションによって来場者にアピール。観客の投票によって決められる最優秀賞作品には、ガリとマチョが手がけた「1Click飲み」が選ばれた。

「1Click飲み」は、飲み会の参加人数を決めるだけで、店の選択から予約までを1クリックで行うアプリ。立ち上げると位置情報から周囲の飲食店を検索、評価や価格帯などを考慮して店を決め、自動的に電話を掛け合成音声によって予約を取ることができる。電話という古い技術と位置情報という新技術をマッシュアップしたアプリだ。

デモでは、「1クリックでお店を予約できる」というアイデアのユニークさと、それをAPIを駆使して高度な実装を行いながら、シンプルなユーザーインターフェイスを実現していることが目立っていた。コールセンターなどで自動応答になっているケースが増えて、ユーザーの立場からはよくあることだが、逆にユーザーから事業者サイドへの電話して、合成音声によって自動応答させるという、発想の転換に多くの観客が驚いていた。さらに、アプリを使ってお店に合成音声で電話を掛け、お店の店員が驚く様子を録音したものを流して、観客から大きな笑いをとっていた点も高い評価につながったようだ。

このほかに決勝に進出した11作品の概要と受賞部門は次の通り。

・来栖川電算 teamR「毎朝体操」(優秀賞)
ラジオ体操を推進するアプリ。アプリを立ち上げ、ラジオ体操にあわせてスマホを握って体操をすると、動きを検知して採点してくれるというもの。ソーシャル機能で友達と競ったり、APIで取得した海抜にもとづいてどれだけ高い場所でラジオ体操をしたのかを競ったりもできる。

・Drive Do「Quiz Drive(クイズドライブ)」(優秀賞)
車と連動し、位置情報や車の状態にあわせたクイズを出題することで、ドライブを楽しくするアプリ。位置情報からその場所にちなんだクイズを出題したり、渋滞に巻き込まれて暇をもてあました頃にクイズで同乗者のイライラを解消したりできる。罰ゲームでクイズに変化を持たせたりといった工夫もある。車のセンサーからデータを取得するため、まだ一部の車種でしか利用できない。

・浅部佑「SoundGuess」(U-18賞by Life is Tech!)
猫の鳴き声、水の音などが流れてくるので、その音の名前を当てるクイズ。出題される音は、ユーザーが録音してアップロードしたもの。時間制限があったり、ヒント機能があったりと、工夫がなされている。浅部さんは15才の高校1年生で、SoundGuessを普及させるために会社も設立した。

・河本健「Tempescope」(ハードウェア賞by gugen)
離れた場所の天気を再現する小さな「空の箱庭」のハードウェア作品。曇りや雨、雷などを再現するもの。APIで明日の天気予報や、離れた地域の天気を取得して、箱の中に再現する。玄関において天気予報を確認したり、Skypeで会話している相手のがいる場所の天気を再現して共感したりできる。設計図やアプリのコードはすべてオープンソースになっている。

・からくりもの「バスをさがす福岡」(Civic Hack賞)
福岡のバス路線を安心して使えるようにするアプリ。乗るバス停と降りるバス停を入力すると、乗るべき路線と、そのバスが今どこにいるかリアルタイムで教えてくれる。バスの位置をバス会社のWebから取得し、バス停の位置を国土交通省のデータから取得して作成している。

・求職者支援訓練モバイルクリエーター養成科チーム侍「SAMURAI AGGRESSIVE」(おばかアプリ賞)
ゲームプレイヤーにつきまとう不健康なイメージを払拭するために作成した、侍になって敵を倒すゲーム。スマホを振ることで攻撃、回避し、さらに必殺技も出せる。モーションセンサや地磁気センサで動きを検知し、アクションが大きいほど強くなる。「ダイエット応援ダンジョン」モードを利用すると、食事のカロリーが敵の強さになる。

・vinclu「vinclu(ウィンクル)」(優秀賞)
スマホの地磁気センサとGPSを利用した新しいコミュニケーションの形を提案するハードウェア。ペアでスマホに取り付け、もう片方がいる方角にスマホを向けるとvincluが光り、相手には音で知らせるというもの。離れた場所にいる恋人同士や家族が、相手の存在を確かめ合うことができる。

・Grashphy「Grasphy」(Students賞by Tech-Tokyo)
新しい形の英語の翻訳を実現するツール。辞書を使っての翻訳でもなく、機械翻訳による文章の生成でもなく、文構造の解析に着目し、主語や動詞、目的語などの構文解析を自動的に行い、プログラミング言語のように構造化して表示。英文の構造をユーザー自身が読解することで、内容理解を促すというもの。

・ANNAI「ANNAi Call -多言語対応クラウド・ソーシャルコール・サービス」(優秀賞)
海外からの電話にクラウドソーシングで対応するアプリ。海外からの電話をシステムで受け付けて録音、その外国語に対応可能なスタッフをアサインして、通話内容に対応する。リアルタイムで対応しないことで、低コストで多言語への対応が可能。地方の旅館やECサイトなどで活用を想定、日本と海外をつなぐことを目指したサービス。

・24-7「Mashup Vision」(Mashup賞)
日常生活を便利にするARアプリと、スマホをヘッドマウントディスプレイにするアダプタ。音声認識で道案内や天気予報の表示、顔認識によるFacebookフレンドの検索など、日常生活のシチュエーションに対応する多数のモードを用意。ARをさまざまな場面で活用することで、日常生活、暮らしを拡張する未来を先取りすることを目指したもの。

・Wonder Shake「Fuwari」(TechCrunchハッカソン賞by TechCrunch Japan)
決勝戦の前日と当日に行われたハッカソンで開発された、TechCrunchハッカソン部門賞の受賞作品。再生した音楽の「ムード」を解析、それによって人を繋げるアプリ。同じムードの人を見つけたり、友人がどんなムードの音楽を聴いているかがわかる。問題解決ではなく、近いムードのひととふんわりと共感することを目指したもの。

以上の決勝戦に残った作品は、どれもアイデアと工夫に溢れた作品で、どのデモンストレーションも、驚きや共感の声、ユニークさへの笑いを聞くことができた。最後に主催のリクルートホールディングス メディアテクノロジーラボ所長の前田圭一郎氏が今年のマッシュアップアワードを振り返り、「全国8カ所で10回にわたってマッシュアップバトルやハッカソンを開催したこともあって、多くの参加チームに恵まれて、作品に多様性が広がった。特に最優秀賞となった1Click飲みは、サービスサイドで見てしまいがちなAPIをユーザー視点でまったく新しい使い方をしているのに驚いた」と述べ、マッシュアップアワードが回を重ねてきたことで広がりを見せていることを強調した。

参加者全員記念撮影


「大事なのはメディアに載ることよりも諦めないで続けること」Weebly創業者が語る成功の3つの秘訣

Weebly創業者のDavid Rusenko氏

11月11日、12日に開催されたスタートアップに関する日本最大規模のイベント「TechCrunch Tokyo 2013」。イベントの目玉の一つは海外の注目スタートアップの創業者が語る「ファウンダーストーリー」だ。そのうちの1社はWebサイト構築サービス「Weebly」。CEOのDavid Rusenko氏がサービスのローンチからこれまでの歩みを語った。

WeeblyはWebブラウザから誰でも簡単に高品質なサイトを作れるサービス。英語圏で特に人気を集めており、Weeblyで構築されたサイトの数は1500万に上るという。

最近、日本でもWeeblyで自分のサイトを作っている人を見かけるようになり、一気に盛り上がったサービスと思われがちだが、その歴史は意外と長い。ローンチは2006年2月のことだった。

当時、創業者の2人はペンシルバニアにある大学に通っていた。1日あたりの新規ユーザーは最も多くて12人。8カ月後、ネット掲示板にポストしたり、友人に声をかけたりしたが、それでも月間の新規登録ユーザーは最大30人程度だったという。

ベンチャーキャピタル「Y Combinator」のプログラムに応募したのは、なんと締め切り1時間前だったという。「2時間前に気づいて、ギリギリのタイミングだった」とDavid氏は明かす。

その1カ月後、米TechCrunchにWeeblyの記事が掲載され、アクセスが跳ね上がった。1000人ほどが新規に登録してくれた。同時期にY Combinatorから合格を告げる電話があった。David氏は共同創業者と一緒にサンフランシスコに行こうと思い立った。「でもパートナーの回答は『お母さんに相談しなきゃ』だったんだ(笑)」。だが結局、揃って大学を中退し、サンフランシスコに移り住むことにした。

メディアに掲載されるとアクセス数のグラフは上がる。しかし時間がたてば落ち込んでいった。1日に50〜60ユーザーの時期がまた続いた。2007年1月、サンフランシスコで2部屋のアパートを事務所代わりに借りた。まさに1日中、24時間プログラムをしていたが、David氏は「デスクからサンフランシスコベイが見られて、悪くない環境だった」と淡々と話す。

この頃、Weeblyの同時ログイン数はほとんど3人しかいなかったそうだ。「しかもそれは自分たちのことだったんだ(笑)。その数字が『4』になった時は興奮した」と楽しそうに振り返る。そして再びTechCrunchに取り上げられた。一時的にアクセスが上がったが、やはり再びまた下がっていった。

2007年4月、サービス開始から14カ月後、銀行に100ドルしかないという状況に陥った。「どうすればいいかわからなくなった」とDavid氏は打ち明ける。しかし、まもなく資金調達に成功。65万ドルの資金を得た。

5月にはNewsweek誌に取り上げられた。「非常に大きな瞬間だった。紙媒体とオンラインの2回大きな波が来た。でもやっぱりまた落ちていった。15カ月たっても、結局うまくいっていなかった」。

8月、TIME誌で2007年のベストウェブサイトに選ばれた。多くのユーザーが訪れたが、また去っていった。「ほとんど人を引きつけられていない18カ月間だった」とDavid氏は振り返った。

「たぶん多くの人は2〜3カ月で諦めるだろう。でも私達は1年半が過ぎても諦めなかった。そうしたら20カ月目に突然、数値が上昇し始めた。マーケットにフィットする製品になったんだ」

2008年7月、初めてちゃんとしたオフィスに引っ越した。しかし12月にはまた問題が起きた。「銀行の残高のグラフは下がる一方だった。経済的に悪い状態に近づきつつあり、かなり厳しい状況だった。膝を突き合わせて、来月の給料をどうしようかと話した」。

幸運にもこの危機を切り抜け、1月は黒字に転換した。それ以来、良い方向に進んでいるという。2010年2月、数字は激しく伸びていた。2006〜2007年にTechCrunchなどのメディアに取り上げられたのは「ちょっとしたことだった」(David氏)と思えるようになった。当時のアクセスの急増はいまやただの誤差のように見える。

2011年3月、サービス開始から約5年後にベンチャーキャピタル「Sequoia Capital」と契約。そして2013年11月現在、毎月1億4000万人がWeeblyで構築されたサイトを訪問している。これは米国のインターネット人口の25%が使っている計算だ。

Weebly創業を通して学んだ3つのこと

2006年2月から7年半余りが過ぎた。David氏がWeeblyの創業を通して学んだことは大きく3つあるという。

  • 途中でやめてしまったら絶対に成功しない

「まず一番重要なことは、やめてしまったら成功にはつながらない。ローンチ後2カ月ほど経ってうまくいかないと、「やめてしまおう」となることが多い。私たちの場合もそうだが、やはり一気に成功することはない。多くの企業がそういう道のりを辿っていると思う。Pinterestの創業者がよく言っていたが、彼も創業前に何年何年もアイデアを出し続けてきた。最終的には成功したが、苦しい時期もあったそうだ。でも、やめてしまっては成功しない。もちろん悪いアイデアをずっと煮詰めても仕方ないが、やはり悪い時期があってもやめてはいけないということだ」

  • 人が欲しているものを作ること

「起業するときはマーケットにフィットしているかどうか、自分たちが作ろうとしている製品を本当に一般の人々が使いたいと思うかが重要だ。これができないと最大のリスクになる。法人化するとか、特許を申請するとかよりも、まず最初に重要なのは、ユーザーに出してみて、ユーザーの受けはどうかということ。私たちの場合も、調子のいい時もあれば悪いときもあったが、ユーザーからいろいろなフィードバックが出てくるので、それを改善していった。その作業を続けることで、ある時点で本当に気に入られて、一気に成功に向かっていくはずだ」

  • でもアドバイスは聞くな

「Gmailの開発者が、常々こう言っていた。『アドバイスというのは、一般論を大袈裟に言っているだけであって、ある意味、非常に限定的なものだ』と。私は常にこれを念頭に置いている」

Weeblyで制作したサイトの例


Dropboxのユーザーが2億人―新しいビジネス・クライアントを発表してエンタープライズ市場に本格参入へ

今日(米国時間11/13)、DropboxのCEO、Drew Houstonはユーザー数が7月の1億7500万から2億にまで増加したことを明らかにした。またユーザー個人のプライベートなファイルと業務で使用するファイルを単一のインタフェースか利用できるDropbox For Businessという新サービスを発表した。

新プロダクトはDropboxが個人ユーザー向けの便利なツールであるだけでなく、共有範囲の制限やモニタ機能など強固なセキュリティーを提供することによって本格的なエンタープライズ・サービスであることをアピールするものだ。Dropboxにはすでに400万のビジネス・ユーザーがおり、Fortune500の大企業の97%がユーザーであるという。

今回のプレス発表はビジネス・ユーザー志向だったが、前回のイベントはデベロッパー向けのプロダクトのリリースが中心だった。この際、2012年の11月に1億人だったユーザーが1億7500万に増加したことを発表した。このイベントでローンチされたDatastore APIはアプリのデベロッパーがメタデータ(ゲームのユーザーがクリアしたステージの数など)をクラウドに保存することを可能にした。またサードパーティーのアプリがユーザーのDropboxファイルにアクセスできるようにするDrop-Ins APIも発表された。

業務とプライベートの使い分けが面倒だった

Houstonは今日のイベントでDropboxをスタートさせるきっかけとなった出来事を語った。ある日、Houstonバスの中で仕事をしようとしてUSBドライブを忘れてきたことに気づいた。そこでUSBドライブを持ち歩くのを忘れないようにしたり、バックアップのためにファイルのコピーを取ったりする作業がいかに多いかに気づいたという

続いてHoustonはファッション企業のBCBGのCIO、Nader Karimiを壇上に呼び出し、Dropboxなしにデータを管理するのがいかに難しいかを説明させた。Karimiは法的文書を確実に共有するためにDropboxを利用する方法について詳しく語った。

Houstonは続いて、個人的な文書と業務上の文書を同一のユーザーが管理する場合のわずわらしさについて述べた。当初Dropboxではそういう場合には簡単にアカウントを切り替える機能を提供すればよいと考えていた。しかしアカウントの切り替えに15秒かかるとすれば、2億人のユーザーが1回アカウントを切り替えるだけで1000年分の時間がサーバー上で消費されてしまう。

「これまではユーザーは個人ユースのDropboxと業務ユースのDropboxを使い分けていた。これは馬鹿げている。一つのクライアントでどちらも処理できるようにするべきだ。しかしそうするにはDropboxを事実上、一から作り直す必要があった。しかし考えてみれば、われわれのところには世界的にトップクラスの人材がいる。それならやらせてみようじゃないか。そして今日、まったく新しいDropboxfor Businessを発表することできて大いに興奮している。われわれはすべてを作り直した」とHoustonは述べた。

Dropbox For Business

この新しいDropbox For Businessのユーザー・クライアントは来年早々に公開予定だ。現在すでに企業の早期予約を受け付けている。料金については5ユーザーあたり年間795ドル、追加1ユーザーごとに年間125ドルという現行体系を変更するという発表はなかった。

Dropbox For Businessを利用すると、ユーザーはプライベートなファイルのタブと業務用のファイルのタブを同じウィンドウで見ることができる。ユーザーがビジネス・アカウントとプライベートで使う個人アカウントを持っている場合、この新しいクライアントを使ってそれらを統合することができる。HoustonとCTOのArashFerdowsiはブログ記事で「いってみれば職場の鍵と家の鍵を同じキーリングにつけて持ち歩けるようになったわけだ」と説明している。

新しい通知バーはプライベートと業務の両方のアラート受け取るようにも、一方だけを選んで受け取るようにも設定できる。モバイル版のビジネス版Dropboxもウェブ版と一貫性を保つようアップデートされた。デベロッパー向けにはChooserとSaver APIが新設され、サードパーティー・アプリ内から両方のカテゴリーのファイルにアクセスができるようになっている。

また今回のアップデートではCIOとIT部門がDropboxの利用を厳密に管理できる能力が追加された。新しい共有監査ログを利用すると管理者はどのファイルを誰がいつ誰と共有したかを詳細にモニタできる。セキュリティ上の必要に応じて、特定のファイルの共有範囲を制限したり禁止したりできる。また従業員が個人のプライベートなファイルに会社のコンピュータからアクセスするのを禁止することもできる。

さらにもうひとつ管理機能にアカウント移動ツールが加わった。このAccount Transferを利用すると、社員が退職したり別組織に異動した場合に簡単にアクセスを取り消すことができる。また管理者は後任の社員を選んで、前任者のすべてのファイルを託すこともできる。 Remote Wipeはデバイスが盗難にあったり社員が退職したりした場合にデバイス上のデータを確実に消去する。

現在のDropboxに欠けているのは他のサービスで提供されているような共同作業のためのツールだが、モバイルおよびビジネス・プロダクトの責任者のIlyaFushmanは「われわれはまさにその点をロードマップに載せている」として現在対応中であると述べた。

Dropboxのエンタープライズ版のライバルはMicrosoft、Google、Boxなどだが、今日はAmazonが新しいWorkSpacesというバーチャル・デスクトップで新たに参入してきた。これまでDropboxには消費者向けプロダクトというイメージが強かった。しかし今日のDropbox For Businessの発表で、セキュリティーや共有範囲の厳密なコントロールなどエンタープライズ利用に必須の機能が整備された。

エンタープライズ・クラウド市場における主導権争いはますます興味深くなったといえるだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


「井口さん、Telepathyは本当に作れるんですか?」TechCrunch Japan編集長が自社イベントで切り込む

スタートアップに関する日本最大規模のイベント「TechCrunch Tokyo 2013」が11月11日から12日にかけて開催された。2日目のオープニングセッションに登場したのはメガネ型ウェアラブルデバイス「Telepathy One」を開発するベンチャー、Telepathy創業者の井口尊仁氏と、同社に投資したFirsthand Capital Managementの最高投資責任者であるKevin Landis氏だ。

Telepathyというデバイスが実現する世界観について、そしてウェアラブルデバイスの未来について、TechCrunch Japanの西村賢編集長が切り込んだ。

Telepathy Oneは「Google Glass対抗」としても注目を集めるウェアラブルデバイスで、井口氏いわく、コミュニケーションにフォーカスした設計が特徴とのこと。言ってみれば「コミュニケーショントースター」というべき存在なのだという。「トースターというのはそれを見たときに、何に使うものなんだろう?と迷う人がいない」と井口氏は語った。Telepathyもコミュニケーションというシンプルな目的のために使われるデバイスになるようだ。

井口氏は現在のスマートフォンについて次のような課題を感じている。「スマホの大部分はコミュニケーションやシェアのために使われているが、たとえばFacebookで写真を撮って、アップロードして、シェアするのに12〜13ステップくらいかかっている」。だがTelepathyを使えば、これらのステップを限りなくゼロに近づけられるという。

「何かを伝えて、わかりあう。そういう日々行っていることをゼロステップに近づけて、まさにテレパシーのような体験を作りたい」。Telepathyはこうした井口氏の思想が盛り込まれた製品だそうだ。

ただし、その製品自体のスペックについては多くが語られることはなかった。常に身につけてネットに常時接続するにはバッテリの課題があるが、それについては「どのようにバッテリをマネージメントするか頑張っているところ」と話すにとどめた。Telepathyを操作するUIはどのようなものになるかを聞かれると、「たくさん話したいが広報から止められている(笑)」。

アイウェア型デバイスは腕時計とは違う。メガネをかける習慣のない人が朝起きて、それを装着するのはかなりのハードルではないだろうか。

井口氏は「それを考えると夜も眠れないし、朝も起きれない」と漏らした。「モーニングプロブレムとイブニングプロブレムという2つの課題がある。モーニングは朝それを持って出掛けてもらうこと。イブニングは電源をチャージしてもらうこと。それをクリアするためにはデザインもテクノロジーもアプリもUIも全部優れていないといけない。それを考えるとなかなか大変な開発だ」

途方もないチャレンジのように感じられる。西村編集長も堪らず聞いた。「井口さん、これ本当に作れるんですか?いつ出るんですか?」

井口氏はこう切り返した。

「我々はスタートアップなので誰もが容易にできることにチャレンジする必要はないし、そこにイノベーションはない。開発が大変でよかった。厳しいチャレンジに挑戦することができてよかった。」

決して強がりではないようだ。「ウェアラブルデバイスは誰にとっても大変なものだ。キラーアプリとそれを気持ちよく使えるようにするUI、バッテリコントロール、アプリを動かすチップセット、ディスプレイの機能、それらを含めて決して簡単ではない。でも簡単ではないからこそやっている」と言い切る。

そんな井口氏に投資するKevin Landis氏は、当然ウェアラブルデバイスの未来に大きな可能性を感じている。「携帯電話がスマートフォンに移り変わり、いまやスマートフォンは電話以上の存在になった。この薄い板のようなデバイスで何でもできる。ウェアラブルデバイスはその次の拡張になるだろう」(Kevin)。

Kevin氏はすでに世に出ているウェアラブルデバイスのうち、FitbitやJAWBONEも成功するとみている。「IPOもうまくいくだろう。2014年から15年にはできる」と予想した。その理由は彼らが「健康」という1つのユースケースに絞った上で、大きな市場を狙っているからだという。

「同じようにTelepathyもフォーカスしている。Facetimeを使うときに、お互いがデバイスを覗きこまなくても済むようになり、体験を共有し、より感情をコミュニケーションに入れられる。人が製品を意識しなくなり、製品が消える。それがもっとも美しい姿だ。」(Kevin)

しかし、何でもできるスマートフォンはかなり汎用的な機器として成功したのではないか? 西村編集長は聞いた。

そんなことはないと井口氏は言う。「たぶん皆さん、相当記憶の彼方に忘れていると思うが、iPhoneの最初のキラーアプリはiPodだった。あれだってウェアラブルデバイスだ。それまでデジタルとつながっていなかったミュージックプレイヤーをネットにつなぎ、1000曲をポケットに入れた。そこに音楽をデリバリーするiTunes。それがエコシステムの土台になっている。我々もそういうものを作ろうとしている。ウェアする価値のある、デイリーに必要な、かつウェアラブルじゃないとできないような体験性を、まさにiPodが音楽の聴き方を変えたような形で提供したい」

ところで2013年に入って腕時計型デバイスが出揃ってきた。SamsungやSonyが製品を発売し、Appleも「iWatch」なるものを開発しているとされる。なぜTelepathyは腕時計型ではなく、アイウェア型なのだろうか。

「大きなチャレンジだが、ウェアラブルに最適化された最高なUIを実現したいからだ。Google Glassもそこに大きな予算と高いR&D能力をつぎ込んでいる。コンピュータが使われる新しいスタイル、OS、アプリケーション、エコシステムを、一度にパラダイムシフトとしてやれるチャンスが、いま目の前にある」(井口氏)

もう一度聞きたい。いつ出るのだろうかーー。

井口氏は答えた。「2015年になると競争のチャンスがなくなる。2014年に届けたい。まずは米国のマーケットに向けて出す」。


Twitter上場のベルを鳴らしたのは意外にもスタートレックのピカード船長とNPOリーダーの9歳の少女

ニューヨーク証券取引所でTwitterが取引開始されるときに慣例のベルを鳴らすのはファウンダーかCEOだろうと誰もが考えていた。事実、取引フロアにCEOとDickCostoloとBiz Stoneの姿があった。

ところが実際にベルを鳴らす人々が登場したとき、われわれは一瞬誰だかわからなかった。とうとう誰かがパトリック・スチュワートじゃないか?”と叫んだ。

その通り、スタートレック・シリーズのエンタープライズ号のピカード艦長だ。いっしょにベルを鳴らしたのはボストン市警の広報担当者、Cheryl FiandacaとVivienne Harrだ。この9歳の少女は、児童の奴隷労働を根絶するための運動、Make A Standの顔だ。Twitterはこの機会に重要な活動に携わっているユーザーにスポットライトを当てようとしたのだろう。

ベルが鳴った後、最初の値付けと最初の取引が行われるまでしばらく時間がかかった。私はHarrに感想を聞いてみた。

「今日は自由と希望のためにベルを鳴らしました。何かをするためには有名だったり権力があったりする必要はないんだとみんなに知ってもらいたいです。私だってできるのだもの」とHarrは語った〔ビデオでは1:55あたり〕。”

後では私はNYSEのエグゼクティブ・バイスプレジデントのScott Cutlerにインタビューした。Cutlerは最初の値付けまでかなりの時間がかかったことを認めた。

「これほど時間がかかったの10時17分になって取引が開始された2007年のVisaの上場以来だ。しかしわれわれは急いで取引を開始させる必要はない。需要と供給の自然なプロセスによってひとつの価格が決まる。大量の買い手が大量の株を買おうとするときにはある程度時間がかかる。その価格は時間外取引でも維持される」とCuttlerは語った。”

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現役CTOだらけの「CTO Night」、登壇者3人が決定、まだ参加CTOを募集中!

すでに告知させていただいている通りTechCrunch Tokyo 2013内のミニイベントとして11月11日月曜日の夕方6時から東京・渋谷で「CTO Night――現役CTOに直接聞きたい! スタートアップCTOに求められるモノとは?」というイベントを行う予定だ。

すでに申し込み人数は140人を超えていて、「東京近辺だけで、こんなにもCTOという肩書きを持つ人が多くいたのか」という感じになってきている。かなりよく知られたWeb系企業のCTOやエンジニアの方も混じっていて、手前味噌ではあるが、とても良い交流の場となるのではないかと思う。会場自体は数百人が入れる大ホールだし、CTOもしくは技術責任者の方であれば無料でお申し込み頂けるので、月曜日の夜にふらりと渋谷に立ち寄るというぐらいのつもりでも、是非遊びに来てほしい。申し込みは日曜日の18時まで。ちなみに、TechCrunch Tokyo 2013のイベントチケットをご購入の方であれば、職種に関係なくご参加頂ける。こちらのイベントチケットのほうは金曜日のお昼12時まで販売を行っている。ご検討頂いていた方にはお急ぎいただければと思う。

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さて、告知通りに「お兄さんCTO」を3名お呼びして、ステージに登壇して頂く予定だ。

1人目は「ビズリーチ」で取締役CTOを務める竹内真氏だ。ビズリーチは、求職者課金型という従来の転職サービスの常識を覆す会員制転職サイトとして知られる。このスタートアップ企業の創生期物語ともいえる著作『ともに戦える「仲間」のつくり方』(南 壮一郎著)によれば、ビズリーチのベータ版リリース前に参画した竹内氏は、それまでPHPで苦労しながら作りつつあったバギーなコードベースを全部捨てる決断を経営者に迫り、2カ月という短期間で1人でビズリーチのシステムをJavaベースで開発してしまったという逸話がある人物だ。ビズリーチや、そのアジア版であるRegionUp、ルクサなどのプロダクトの立ち上げと運用を通じて、オンプレミス・クラウドの使い分けやスケールアウトといった観点でお話しが頂けそうだ。

もう1人、「nanapi」のCTOである和田修一氏にもご登壇頂けることとなった。和田氏はnanapiの立ち上げ時から1年以上も1人で開発していたそうだが、もともとはDevOpsでいえばOps側のヒトだったという。初期にはサーバをどう組むかなど頭を悩ませてきたそうだ。スタートアップCTOとして、コスト的制約や経営者の視点を持ちながら、どう工夫をしてきたかという話などが聞けそうだ。和田氏の考えでは、CTOというのは「技術が理解できる経営者」だというから、技術指向とは違う視点で、オンプレミスとクラウドの使い分けの話などが聞けそうだ。nanapiではクラウドを使った継続的インテグレーションなども取り組みも積極的に行っているという。

登壇して頂く3人目のCTOは、「TheRealReal」の山路昇氏だ。TheRealRealは米国に拠点を多くベンチャーで、創業して2年。ブランド品の委託販売サービスとして、ビバリーヒルズのセレブ、女優、スタイリストなどに利用されているという。日本版のTheRealRealは初の海外進出先で、2013年8月にサービスリリースをしたばかりだという。山路氏は、前職のグルーポンでも現職のTheRealRealでも、マーケティングも担当しつつシステム開発に携わっているという、ちょっと異色かもしれないCTOだ。TheRealRealでは、現在30人強のスタッフがいる中でエンジニアは山路氏以外に2人だけ。むしろ、鑑定士や倉庫管理、カメラマンなどいろいろな職種がいて、こうした人々が使うための営業ツールや倉庫管理、発送・商品管理システムまで含めて手がけたという。モノの動きとデータの動き、倉庫の配置などシステム以外の面での設計も行ったという。人的、物理的なオペレーションの設計まで考えたシステム開発を少人数で行うというのは、O2OとかECサービスが伸びている今、スタートアップ企業のCTOに求められる経験なのかもしれない。開発者が少ないので、当初から売上10倍になっても同じ少人数で回るようにクラウドを駆使しているという。将来の自分がラクできるように、ということで、社内サーバは何とゼロ。VPNでクラウドと社内を接続し、カメラで写真を撮ると、それがそのままクラウドのストレージにアップロードされる仕組みを構築しているという。注文票や発送伝票も、クラウド側から社内のプリンタへと印刷されるという具合だ。

それぞれのCTOの方々に話を聞くと、それだけで1時間が経過してしまいそうな感じだが、CTO Nightでは、いくつかテーマを提示しつつ、ご意見や事例紹介を頂くという形で進行させていただく予定だ。会場からもハッシュタグ(#ctonight)で意見や質問を受け付けるほか、セッション終了後には懇親会もあるので、参加型イベントとしてCTOの方々に楽しんで頂ければと思う。

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本日公開のndroid 4.4 KitKat詳細レビュー―すべてのデバイスで動作可能、Googleの野心はフラグメンテーションの抜本的解消

今日(米国時間10/31)、Googleは長らく待たれていたAndroid 4.4 KitKatをリリースし、詳細を発表した。これまでKitKatについてはネスレと提携し、有名なチョコレート菓子をOS名に採用したということしか分かっていなかった。TechCrunchの取材に対し、Googleは「これは次の10億人のユーザーを目指す(Androidユーザーが10億人に達したと以前に発表している)OSだ。Googleの先進的機能をモバイル体験全体に行き渡らせつつ、次世代デバイスのプラットフォームを築くベースとなる」と述べた。

GoogleによればAndroidの成長は途上国で著しく、先進国の3倍のスピードにもなっているという。しかし途上国市場で主に利用されているAndroidOSはGingerbreadで、これは何世代も前のバージョンだが、途上国で一般的なメモリー512MBデバイスでも動くからだ。

Googleはこうした低スペックの古いデバイスでもKitKatを作動させようと決意したが、これは困難な挑戦だった。そのためにはOSが必要とする資源を大幅に減らすと同時に、各種のアプリもを新たな制限内で作動するようにアップデートさせる必要がある。

GoogleはトップデベロッパーだけでなくAndroidにアプリを提供しているすべてのデベロッパーを助けるために、KitKatに新しいAPIを導入した。これは対象デバイスでどれほどのメモリーが利用できるかをデベロッパーに知らせ、それに応じて適切なバージョンを選択してインストールできるようにするものだ。最初期の低スペックのAndroidデバイスでも最新のアプリケーションを動作させることができるようにすることが狙いだ。

Androidのボス、Sundar Pichaiは今日のプレスイベントで「通常OSの新バージョンは以前より多くのメモリーを必要とする。しかしKitKatはそうではない。われわれはエントリーレベルの古い製品を含めてすべてのAndroidデバイスでKitKatが作動するようにした。2014年にはたったひとつのAndroidOSがすべてのAndroidスマートフォンで作動するようになる」と述べた。”

KitKatの最大のセールスポイントがすべてのAndroidで動作可能という点にあることが明らかになった。KitKatはフラグメンテーションの抜本的な解消を目指すOSであるようだ。1年でOSのバージョンを一本化するというのはおそろしく野心的なプログラムだが、Googleが主張するとおりになるなら、その影響するところは甚大だろう。ただしKitKatを導入するかどうかはあくまでデバイスのメーカーの判断によるということなので、古いデバイスの相当の部分はKitKatにバージョンアップされずに取り残されるだろう。

以下にNexus 5向けに本日リリースされたバージョンのKitKatを詳しく紹介する。

ロック、ホーム画面

指輪物語ではないが、KitKatは「一つのOSが全てを統べる」ことを最大の目的として開発され。しかしGoogleはそれ以外にいくつもの新機能をもりこんでいる。たとえば、音楽を演奏しているときにはアルバムのジャケットがロック画面にフルスクリーンで表示され、いちいちアンロックしなくても曲を選択できる。アプリ・ランチャーも新しいデザインになり、ナビゲーション・バーとトップの通知バーが透明になった。

ホーム画面の空白部分を長押しするとランチャー画面が縮小表示され自由に順番を入れ替えることができる。フルスクリーン・モードをサポートしているアプリの場合、ナビゲーションと通知は隠され、完全なフルスクリーン表示状態になる。

新ランチャーは当面Nexus専用だが、今後各メーカーのOEM版にも採用されていくだろう。

ダイヤラー

KitKatの新ダイヤラーは検索機能を内蔵している。つまりユーザーが店舗や施設の電話番号を知らない場合でも、名称を入力するとダイヤラーがGoogleマップのデータベスを検索して電話番号の候補を表示してくれる。また受信の場合には、電話番号から発信者情報を検索する。また通信履歴から自動的に「お気入り」リストを作る機能も追加された。

ハングアウト

Googleはテキスト、音声、ビデオすべてのメッセージ・サービスをハングアウトに統合した。ハングアウトが今後はデフォールトのメッセージ・アプリとなる。ユーザーは特定の番号や相手先リストに今まで同様にSMSを発信できる。またワンタッチで自分の位置をマップ上に表示して送信できるPlacesボタンの追加、キーボードへの絵文字の採用なども行われた。

これらはiMessageに相当する機能で、Googleが熱い視線を送っているBlackBerryユーザーのAndroidへの取り込みにはことに有効だろう。

また写真の添付もデバイス内やGoogleドライブの写真だけでなく、Boxもサポートされる。さらにGoogleによればサードパーティーのストレージ・プロバイダーは誰でも写真添付用のフックを提供できる仕組みだという。

カメラ

KitKatの新しいHDR+アプリは、ユーザー体験として従来と変わりない。ただシャッターボタンを押せばよいだけだ。しかしその背後でKitKatは設定を変えながら何枚も写真を撮り、それぞれのもっともよく写った部分をシームレスに統合する。逆光で撮影しても人物の表情がはっきりと写るし、動いている物体さえ、より鮮明になる。

HDR+も当面Nexus 5専用だが、これも将来は他のデバイスに拡張される。

ワイヤレス印刷

デベロッパーは、アプリに印刷機能を(Googleによれば、簡単に)追加できるようになった。HPのワイヤレス・プリンター全機種とGoogle CloudPrintをサポートするプリンターからワイヤレス出力できる。

Google検索

言うまでもなく検索はGoogleのすべてのプロダクトの核心だ。KitKatでは検索がさらに全面に押し出されている。すべてのホーム画面でデフォールトで検索窓が用意され、同時にGoogle Glassと同様の「ホット起動」もサポートされた。ユーザーがOkay, Googleと呼びかけると即座に音声検索が起動する。

Google Now

Google Nowは従来下から上への画面スワイプでアクセスできたが、今回は左から右へのスワイプに変更された。また新しいタイプのカードも追加されている。

新しいNowは知識ベースが大きく拡充され、たとえばユーザーのお気に入りのテレビ番組が「ウォーキング・デッド」だなどということを認識できるようになった。この場合、この番組の関連情報が表示されるカードが用意される。GoogleNowは位置情報、カレンダー情報だけでなく、ユーザーが関心を持ちそうなコンテンツも認識して有益な情報を提供する。たとえばユーザーがどのブログを頻繁に読んでいるかを記憶し、新しい記事が投稿されると通知する。ある意味でGoogleはしばらく前に終了させたGoogle ReaderをもっとスマートなかたちでNowに移植しつつあるいえるかもしれない。

またNowはクラウド・ソースによって関連ある情報を選び出す。たとえばイエローストーン国立公園について検索するユーザーの多くが間欠泉の噴出時刻を検索していると知ると、デバイスの持ち主がイエローストーン国立公園にいる場合、噴出時刻のカードを表示するといったぐあいだ。また映画館の近くにいる場合は上映時刻とチケット購入サイトへのリンクが表示される。

Google検索とアプリの連携強化

ユーザーがGoogle検索を実行した場合、結果がアプリへのリンクが含まれる。それもアプリのトップページではなく、アプリ中の特定のコンテンツに直接リンクされるようになった。検索結果にOpen in App Xと表示された場合、リンクをたどるとXというアプリの特定のセクションが表示される。 たとえば料理アプリなら検索した料理のレシピのページが開くわけだ。現在のパートナーはExpedia、Moviefone、 OpenTableなどだ。これも現在はNexusのみの機能だがやがて拡張されるはずだ。

入手可能時期

Android 4.4 KitKatは今日、Android Open Source Projectを通じて公開された。同時に世界10カ国で発売されたNexus 5ではただちに利用可能だ。数週間のうちにNexus 4、Nexus 7、Nexus 10向け及びGoogle Play上でSamsung Galaxy S4とHTC One向けのバージョンが公開されるという。

Googleによれば、「このアップデートはスマートフォンだけでなく、すべてのレベルと種類のデバイスで利用可能になる」と強調している。果たして最近話題のGoogleの各種ウェアラブルデバイスにも搭載されることになるか注目だ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


1,337枚の写真で振り返るTechCrunch Disrupt Europe

TechCrunch Disrupt Europeは大盛況のうちに幕を閉じた。イベントを見に来てくれた人、ファウンダーたち、そしてベンチャーキャピタリストなどが世界中から多数集まり、Arena Berlinをいっぱいにした。スタートアップは世界80ヵ国以上から集まり、自慢のプロダクトを発表してくれた。

ヨーロッパで初開催となったStartup Battlefieldからは15のスタートアップが登場。戦いを勝ち抜いたのはLock8で、5万ドルの賞金とDisrupt Cupを手に入れた。Disrupt Europeはこれまでとはまたちょっと違った魅力を発していて、エネルギーに満ち満ちた活気あるイベントになったと思う。カンファレンス、パーティー、そしてハッカソンを流れたパルスを文字で伝えることは難しい。ぜひ、写真でも会場の雰囲気を味わって頂きたい。

(訳注)11月11日、12日にはTechCrunch Tokyo 2013のイベントも開催されます(ハッカソンあり)。







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(翻訳:Maeda, H


TC Tokyo早割チケットは本日18時終了……その前に(ほぼ)出揃った講演者をダイジェストでご紹介

きたる11月11日、12日に東京・渋谷で開催する1年に1度のスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2013」まであと10日余りと迫ってきたが、トークセッションが行われる2日目にご登場いただくスピーカー陣が(ほぼ)出揃ったので、改めてダイジェストでご紹介したい。そして、早割チケット(通常1万5000円が1万円)の販売が本日10月31日18時に終了するので、購入を迷っている方はぜひともご検討いただければと思う(タイムテーブルはこちらから)。

TechCrunch Tokyo 2013のチケット購入はこちらから→

ウェアラブルの中心で、未来を叫ぶ

Telepathy創業者の井口尊仁氏とFirsthand Capital Management最高投資責任者のKevin Landis氏

さて、2日目のオープニングセッションを飾るのは、「Google Glass対抗」としても注目を集めるメガネ型ウェアラブルデバイス「Telepathy One」を開発するベンチャー、Telepathy創業者の井口尊仁氏と、同社に投資したFirsthand Capital Managementの最高投資責任者であるKevin Landis氏だ。ここではシリコンバレーを拠点に活動する両者にウェアラブルデバイスが実現しうる未来について語っていただく。

Telepathyの井口尊仁CEOが語るウェアラブル革命、TechCrunch Tokyoで登壇へ

ソーシャル貸部屋サービス「Airbnb」に学ぶ国境の超え方

Airbnb

午前の部ではさらに、容量無制限をうたうクラウドストレージを手がけるBitcasaのCEOであるBrian Tapitch氏、世界で1500万サイトが利用するウェブサイト構築サービスを提供するWeebly共同創業者兼のDavid Rusenko氏、家の空き部屋を提供する人と、宿泊場所を探す人をマッチングするサービス「Airbnb」をアジア太平洋地域で展開しているOle Ruch氏など、米国発の注目スタートアップが続々と登壇してくれる。

容量無制限のクラウドストレージ、BitcasaのCEOがTechCrunch Tokyo 2013に登壇決定!
Weebly創業者のCEOがTechCrunch Tokyoに登壇! 1500万サイトが利用するYCの優等生
TechCrunch Tokyo 2013にAirbnb、Tinderから海外スピーカー来日が決定!

楽天はなぜ「Viki」を買収したのか? 米TechCrunch共同編集長が公開取材

Viki

ランチを挟んでからは、世界各地のユーザーが字幕を付けた動画コンテンツを配信する“映像版Wiki”的なサービスを運営するVikiでCEOを務めるRazmig Hovaghimian氏と、GoogleやYahoo!を押しのけて2億ドルでVikiを買収した楽天から、取締役常務執行役員の百野研太郎氏にご登壇いただく。このセッションでは米国TechCrunch共同編集長のAlexia Tsotsisが、両者に公開インタビューを行う予定だ。

楽天は何故Vikiを買収した? 米TechCrunch共同編集長がTechCrunch Tokyoで両社にインタビュー

中毒者続出、全ユーザーの半数以上が毎日起動するLA発のデートアプリとは

Tinder

午後の部では、学生間で爆発的な人気を誇り、ユーザーの半数以上が1日に1度以上は起動するロサンゼルス発のモバイルデートアプリ「Tinder」、CNNやBloomberg、そして実はTechCrunch Japanも導入している外部コメントシステム「Disqus」、ウェブサイト作成サービスを手がけ、Dropboxを輩出したことでも知られるシードアクセラレーター「Y Combinator」に中国人として初めて採用された「Strikingly」といったプロダクトを手がけるスタートアップの創業者が続々と登壇してくれる。

TechCrunch Tokyo 2013にAirbnb、Tinderから海外スピーカー来日が決定!
CNNやBloombergも採用するコメントサービス「Disqus」の創業者がTechCrunch Tokyoで講演!
Y Combinator初の中国人卒業生、Strikingly創業者も来日講演!

1日目は現役CEOが集う「CTO Night」やハッカソンも

内容が目白押しの2日目だが、初日となる11月11日には、約100社の中から選ばれたスタートアップ25社がステージ上でプロダクトを競い合うスタートアップバトルの予選(決勝は2日目)、最優秀プロダクトの開発者に賞金30万円が贈呈されるハッカソン、現役のCEOを対象にしたイベント「CTO Night」もあるので、スタートアップ関係者やエンジニア、CTOの方々との人脈を広げるチャンスにしてほしい。

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大事なことなので2度言います

通常1万5000円のチケットを1万円で販売する早割キャンペーンは本日、10月31日18時まで。大事なことなので2度言ったけど、迷っている方はぜひ購入していただければと思う。

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