Telepathyの井口尊仁CEOが語るウェアラブル革命、TechCrunch Tokyoで登壇へ

11月12日に迫ったTechCrunch Tokyo 2013で、また1つセッション登壇者が確定したのでお知らせしたい。以前、TechCrunch Japanでも記事にしたことがあるTelepathyの井口尊仁氏と、Telepathyに投資したFirsthand Capital Managementの最高投資責任者であるKevin Landis氏だ(関連記事:「日本発Google Glass対抗「Telepathy One」が約5億円を調達して目指すものとは?」)。

TechCrunchの読者であれば、すでにご存じと思うが、井口氏は現在、シリコンバレーを拠点にウェアラブルコンピュータのベンチャー「Telepathy」を創業して頭部に着けるウェアラブルデバイスの「Telepathy One」の開発を進めている中心人物だ。Telepathy Oneの出荷は2014年中となっていて、まだもう少し先の話にはなりそうだけれども、ここで改めて井口氏の話を聞ければと思う。

Telepathy Oneはスタイリッシュなデバイスだ。細く滑らかな曲線でできたフォルム、美しい輝きの金属光沢と、ウェアラブルコンピュータの中でも、ひときわファッション性を意識したものと言える。一方、あの細さで十分な強度を出すためには素材として例えばチタンでも使うしかなく、1500ドル程度と言われるGoogle Glassより安いプロダクトの開発ができるのか? と、量産化の実現性について疑問の声も聞こえてくる。

エコシステム創出も課題だ。Google Glassは基本的にAndroidだから、開発者の巻き込みやエコシステム醸成の道筋が見えやすい。これに対して独自OSで、どうエコシステムを作っていくのか? という課題にTelepahty Oneは答えなければならない。現在3世代目を製作中というプロトタイプ製品にしても、まだ一般へのお披露目ができていない。

こうした課題がある一方で、井口氏が語るビジョンは傾聴に値すると感じるのは私だけだろうか。例えば、何のためにウェアラブルコンピュータを身に着けるのかということに井口氏ほどハッキリとした回答を用意している人はいない。

スマフォが普及すればするほどハッキリしてきたのは、人々が写真を撮るのは「体験の共有」のためだったということだ。人々は1日に150回もポケットやカバンのデバイスに手を伸ばすという調査がある。そして、1枚の写真を共有するために必要なステップ数は平均10クリック。こうした煩雑なステップをいかに減らし、体験を共有できるウェアラブルコンピュータを作っていくのか。それがTelepathy Oneのカギだという。身に着けたまま、ほとんど準備なく、自然な形で「見ているもの」を遠く離れた誰かと共有でき、その場で生の反応を受け取れるのだとしたら、新たなコミュニケーションのあり方を提示できる可能性がありそうだ。

日本にいると分かりづらいが、日々シリコンバレーを歩いていると、Google Glassをかけた人々がそこらを歩いていると井口氏は言う。PebbleGalaxy Gearをはじめとするスマートウォッチも次々と登場している。NikeのFuelBandのようなヘルス系でもウェアラブルコンピュータは多数登場している。Google Glassのソフトウェアを専門に開発するスタートアップが登場したりもしている。スマートデバイスの「次」となる、まだ見ぬウェアラブルコンピュータの実現と、そのプラットフォームの覇権を競ってシリコンバレーが走り出しているのは間違いない。

ウェアラブルコンピュータとは何なのか、どういう変化が起ころうとしているのか? この問いに答えを出す試みとして1冊の本が話題になっている。シャワールームでGoogle Glassをかけて裸で叫んでいる中年男、そんな写真でも有名になった技術エバンジェリストのロバート・スコーブル氏は最近、シェル・イズリアル氏と共著で「コンテクストの時代」(Age of Context: Mobile, Sensors, Data and the Future of Privacy)という本を上梓した。9月に出して1カ月で150近いコメントがAmazonに投稿されていて、非常によく読まれている様子がうかがえる。スコーブル氏によれば、ソーシャルにせよ、センサーデバイスにせよ、ウェアラブルコンピュータにせよ、ビッグデータにせよ、これらのトレンドが指し示しているのは、「コンテクスト」に反応するコンピューティング時代の幕開けなのだという。自分(コンピュータあるいはユーザー)の置かれた状況を理解し、適切に情報を提示したり処理したりする、現在より格段にパーソナル度の高いパーソナルコンピュータだ。こうした文脈で捉えてみても、ウェアラブルコンピュータ時代の到来は必然のようにも思われる。

もちろん未来なんて分からない。Google Glassだって、アップルが1993年に出したNewtonのように「登場の早すぎたデバイス」に終わる可能性もある(Newtonの完成形がiPhoneなのだと私は思う)。しかし、もしGoogle Glassがエコシステムを今まさに作りつつあるのだとすると、またしてもモバイル・デバイス普及期と同じことが起こるのではないか。つまり、iOSやAndroid OSというプラットフォームが、台湾や韓国といった多くのデバイスメーカーやアプリベンダを巻き込んで黒船のように日本市場にやって来て、瞬く間に日本のケータイ産業が壊滅したのと同じ歴史が繰り返される。Google Glassが1年あるいは2年後にやってきたときには、もはや日本メーカーはカスタマイズ程度しかできなくなっているのではないか?

井口氏は、私にはクレイジーな起業家にも見える。「Google対抗」というのは、われわれメディアが勝手に言っているだけだが、事実上そういう構図があるのは間違いない。Googleに対抗するのが可能だと考えるのはクレイジーだ。しかし、ウェアラブルコンピュータ時代に日本メーカーが全敗する未来を、まるで見てきたかのように「その歴史を書き換えたい」と語る井口氏の言葉に、私は賛同せざるを得ない。大きなビジョンのもとに無理に思える課題にチャレンジする。井口氏のように、世界市場を前提としたアニマルスピリッツの欠如こそが、日本という国がIT業界でプレゼンスを持てなくなった原因の1つではなかったのかと思うのだ。それが井口尊仁氏にお話し頂きたいと考えた理由だ。

Kevin Landis氏

2020年の東京オリンピックで2013年を振り返ってみれば、「何故みんなデバイスを振り回していたのだろうか?」とか、「何故いつもうつむいて画面ばかり見ていたのだろうか?」という風になっているかもしれないではないか。こうした未来を見つめて雄弁に語れる人物として井口尊仁氏以上に適任の人がいるだろうか?

……、と、ちょっとアツくなってしまったが、井口氏とともに登壇いただけるKevin Landis氏は、1998年からシリコンバレーで活躍する投資家で、CNBCやBloombergといったテレビ番組におけるテック関連株のコメンテーターとしても知られている。シリコンバレーにおけるウェアラブルの盛り上がりについても冷静なコメントが頂けるものと思う。

TechCrunch Tokyo 2013は11月11日、12日と、いよいよ間近に迫ってきた。早割チケット(通常1万5000円のところ1万円)の締め切りは今週の30日木曜日となっている。まだ確定していないセッションもいくらか残っているが(タイムテーブルはこちら)、参加を検討いただけていた方は、ぜひ木曜日18時までにチケットをご購入いただければと思う。

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TechCrunch Disruptヨーロッパの最優秀賞はスマート自転車ロックのLock8に決定!

今日(米国時間10/29)、2日にわたって開催された最初のTechCrunch Disruptヨーロッパが無事閉幕した。ハッカソン、数々の著名人による講演、スタートアップの劇的なプレゼンの後、最優勝賞の最終候補が4チーム残った(Import.ioLock8VoicesphereAsap54)。

今回のDisruptでは数百もの応募チームから厳正な審査の結果14チームが選定された。さらに聴衆の投票と編集部の推薦により、2日目に幸運な1チーム、Integreightが選ばれ、合わせて15チームとなった。最終候補の4チームはTechCrunchのファウンダー、元編集長のMichael Arrington、Index VenturesのNeil Rimer、Lakestarのファウンダー、Klaus Hommels、 500 StartupsのDave McClure、Silicon Valley BankのBindi Kariaによって審査された。

長い真剣な討議の末、審査の結果は以下のとおりとなった。

最優勝賞: Lock8

ロンドンとベルリンに本拠を置くLock8は自転車のスマート盗難防止デバイスを開発している。アメリカでもヨーロッパでも自転車の盗難は大問題だ。このデバイスには各種のセンサーが内蔵され、ワイヤを切断しようとしたりするとアラームを鳴らす。振動センサーだけでなく、温度センサーも内蔵されており、冷却スプレーやトーチによる攻撃も感知する。それでも自転車が盗まれた場合、GPSによって所有者に位置を通報する機能もある。

開発チームはクラウド資金調達を開始して市場投入の準備を進めている。 CTOのDaniel Zajarlas-Fainsodによれば、アメリカ市場での予定価格は199ドル、ヨーロッパでは69ポンドだという。Lock8では、自転車シェアリングを進めようとする自治体にも売り込みを図る計画だ。盗難を防止することによって大幅なコスト削減が可能になるという。


最優秀賞次点: Asap54

Asap54はファッション・テクノロジーのスタートアップだ。これは最近の急成長分野だ。このチームは画像認識技術と人工知能による推薦アルゴリズムを利用してユーザーのファション選びを助ける。ユーザーが自分が関心をもったファッション・アイテムを写真に撮ってAsap8に送ると、システムはそのアイテム、ないしそれとよく似たアイテムへのリンクを送り返してくれる。

Asap54はある面でPinterestとInstagramに似ているが、即座に購入行動につなげることができるのが大きなセールスポイントだ。現在200人のベータテスターに限定公開中で、ユーザーからのフィードバックをベースにさらに改良を加えていくという。現在、2万件のファッション・アイテムがこのシステムで識別可能だ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Y Combinator初のアジア人卒業生、Strikingly創業者も来日講演!

シリコンバレーのシードアクセラレーターとして著名なY Combinatorは、Airbnb、Dropbox、Heroku、redditなど、キラ星のようなスタートアップを輩出している。Y Combinatorは、有望な若手起業家を募り、3カ月という期間で一気に「同期生」たちとプロダクト作りをするスタートアップ養成学校のようなスタイルで知られる。日本国内でもOnlab、MOVIDA JAPANなど、起業ノウハウを仲間で共有し、起業家のための人的ネットワーク作りを助けるシードアクセラレーターが登場しているが、Y Combinatorは、こうした起業支援スタイルの先駆けだ。

YC卒業生には成功した起業家が多く、そうした起業家たちや個人投資家などとコネクションが作れることなどから、YCから投資を受けることは金銭的メリットよりも大きなメリットがあるという。

その一方で、YCは競争率3%という狭き門。それにアジア人(中国人)として初めて通過して、YCに採用されたのがStrikingly創業者でCEOのDavid Chen氏だ。

TechCrunch Tokyo 2013に、そのDavid Chen氏が登壇することが決まったのでお知らせしたい。以前TechCrunch Japanでもインタビューを記事にしたことがあるけれど、StrikinglyはモバイルファーストなWebサイト作成サービスだ。

Chen氏はStrikingly以前にも金融リテラシー教育の非営利団体「Moneythink」を立ち上げるなど、起業家精神にあふれる若者だ。ゴールドマン・サックスに就職して良い給料で働きはじめたものの、これが本当に自分のやりたいことかという疑問に答えられずに7カ月で退職。起業家としての道を歩み始めたという。「起業にまつわる、考え得るあらゆる失敗を経験してきた」と語るChen氏にとってY Combinatorを通したStrikinglyの起業で得られた経験と教訓には、とても深いものがあるという。例えば、Strikinglyは一見ただシンプルなだけのWebサイト作成ツールだが、ここには深い洞察が含まれている。

例えば、たった1ページのWebサイトというシンプルさ。実はページ内にドラッグ&ドロップできる要素というのもほとんどない。これは不要なものを削った結果だという。ユーザーが本当に欲しいもの、それは全ての要素が動かせるほど柔軟なカスタマイズ性などではなく、テンプレートを変更できることだった、というのが一例だ。今でもChen氏はCEOとしての時間の多くを実際の利用者と話すことに当てているという。本当に多くの人々が共通して欲しているものは何かという洞察は、膨大な数のユーザーの話を聞くことで徐々に結晶してくるものだとChen氏はいう。それ以外に、こうした洞察を得る方法はないと話す。

使ってみれば分かるが、Strikinglyは本当にシンプルだ。そして本当に大切な部分だけを残して死ぬほどシンプルにした結果、ちょうどTwitterで起こったのと同じようなことが起こりつつあるのではないか、とChen氏はStrikinglyのビジョンを語る。Twitterは、それまでのブログなどと異なり、140文字という制限を課すことによって、むしろ人々から大量のアウトプットを引き出した。そして、誰も想像し得なかった使い道を生み出した。同様に「Webサイトを作る」ということが、かつてないシンプルさで、スマフォ1つで誰にでもできるようになったときに何が起こるのか? Chen氏自身が想像しなかった実際の例を交えて、こうしたこともChen氏にはTechCrunch Tokyoで語って頂けることと思う。

まだTechCrunch Tokyoの登壇予定のスピーカーを全員お知らせできてはいないが(タイムテーブル)、チケット販売は引き続き10月31日木曜日までは早期割引(通常価格1万5000円のところ1万円)が適用される。11月12日は火曜日の平日だが、多くの起業家やCEOたちを招いているので、ぜひ生の声を聞きにご来場頂ければと思う。

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なぜティーンはSnapchatを使うのか―短期消滅型メッセージ・サービスが必要とされる理由

「子どもたちはガラスの試験管の中に入れられているようなものだ。ソーシャルメディアへの投稿は親や教師、そして将来の就職先に細かく調べられる。そこで後に記録がのこならないSnapchatのようなメディアが重要になってきた」と出資者であるBenchmarkのBill Gurleyは説明する。

Gurleyはベルリンで開催中のTechCrunch Disrupt Europeに登壇、SnapchatについてTechCrunchファウンダーのMichaelArringtonと対話した。Gurleyによれば、Snapchatの取締役、Mitch Laskyの子どもは「Facebookは(ティーンエージャーにとって)大人のLinkedInみたいなものだ」と言ったという。

この点を理解できないために多くの大人たちがSnapchatエロ画像の交換のためのサービスだと軽視するという誤りをおかす。Snapchatは表示後10秒で消えるビデオや写真を友だちに送るサービスだ。そこで当然ながら馬鹿げたコンテンツも大量にやりとりされている。

「子どもたちはすぐに理解した」とファウンダーのEvan Spiegelは9月にサンフランシスコで開催されたDisruptで述べた。SpiegelによればSnapchatには毎日3億5000万のスナップ(写真とビデオ)が投稿されているという。それ自身で驚くべき数字だが、3億5000万というのはFacebookに毎日アップロードされる写真の数と同じだと知ればますます強い印象を受ける。

下にBenchmarkのチームがSnapchatについて語ったビデオをエンベッドした。

Gurleyはなぜ「短期消滅型」のメッセージ・サービスが急速に人気を得ているか詳しく論じた。

子どもたちにとって、インターネットは次第に居心地の悪い場所になっている。思ったように共有できない、面白くない、楽しくコミュニケーションできない場所になっているのだ。それがSnapchatに人気が出た本質的な理由だと思う。Snapchatは子どもたちが後の影響をあれこれ恐れずに楽しくコミュニケーションできる場所を提供している。昔のFacebookの写真のために就職の機会を逃した若者の話をよく聞く(のだからこれは理解できる心理だ)。

大人の場合、たとえば休暇で旅行に行ったときの写真をLinkedInに投稿すれば常識のないやつだと思われるだろう。子どもたちはFacebookについて同じように感じている。すぐに消えて、後からとやかく言われないような方法で写真を共有したいのだ。

短期消滅型メッセージ・サービスは定着した

ティーンエージャーの置かれている状況に対するこのような包括的な理解がなければ、Snapchatの重要性を見失う。だろう。またFacebookには簡単にSnapchatの真似ができない理由もここにある。本質的に短期消滅型であり、かつ独立したサービスであることが成功のために決定的に重要な要因なのだ。Snapchatに対するFacebookの買収提案をSpiegelが拒絶した理由はそこにあるのだという。

同時にこれは短期消滅型テクノロジーが一過性の流行ではない理由でもある。Facebookのような長期蓄積型のソーシャルネットワークのニーズはいつでもある。しかし短期消滅型のコミュニケーションの必要性は極めて大きい。

長期蓄積型も短期消滅型もともに大きな将来性をもったサービスだ。そのように考えれば、最近Snapchatが35億ドルの会社評価額で資金を調達した聞いても、受けるショックは減るのではないだろうか。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


初のヨーロッパ開催となるDisrupt。まず行われたハッカソンで優勝したのはFoursquare PreCheck-In

初めてヨーロッパで行われているTechCrunch Disrupt Europeのハッカソンがついに閉幕を迎えた。審査員もハッカソンの勝者を決定した。ハッカソンを闘いぬいて評価対象となったのは91グループだ。ハッキングに使った時間は丸一日、すなわち24時間だった。各グループは、自分たちのハックによる成果を60秒間のデモンストレーションで発表したのだった。

審査員の評価した上位3つのハックを紹介することにしよう。

優勝:Foursquare PreCheck-In

Foursquare PreCheck-Inは、実際に訪問する前の「予定」を共有するためのツールだ。友人達との旅行プランを立てるときに役立つ。またレストランなどの施設側からすれば、予定を実行に移してもらうために何かスペシャルなサービスを提示することもできるし、また事前に、やってくるであろう新たな顧客に対して、何かスペシャルな応対を用意しておくこともできるわけだ。

上に載せたのはプロダクトのデモで、下には優勝確定後に行ったインタビューのムービーを掲載している。

 

準優勝:Teleapp

準優勝はGoogle Chromeのブラウザー拡張機能だ。閲覧ページ中からアプリケーションストアのリンクを抜き出して、リンクアドレスをスマートフォンに通知する。アプリケーションをダウンロードするのに、どこにリンクがあるのかと探す必要がなくなるわけだ。通知されたURLはメールで送ったり、メッセージで共有することができる。これはブロガーにも便利な機能だろう。

第3位:A Colorful Gift

結婚に辿り着いたカップルが、ハネムーン費用をクラウドファンディングで獲得するためのツール。ゲーム風のサイトを作って、友だちや家族に出資してもらうという仕組みだ。

これら入賞者については、月曜日に始まるDisrupt Europe 2013の最中にプレゼンテーションを行う機会を得ることになる。グランドチャンピオンのタイトルに輝いた人には5000ドルの賞金が手渡されることになる。ハッカソンでのプレゼンテーションを行った人全員に、2名分のDisrupt入場チケットが渡された。スポンサーからもさまざまな賞品が提供された。今回スポンサーとして活動してくれたのはBox、ChallengePost、CrunchBase、T-Mobile、 Foursquare、Lufthansa、Mashery、Paymill、Xing、Yammer、Interoute、Nexmo、WatchmiおよびWeather Undergroundなどだった。名前をあげて感謝しておきたい。

ハッカソンの審判員はDeutsche Telekomの資金で運営されているインキュベーターであるhub:raumのファウンダーであるPeter Borchers、MicrosoftのDeveloper Platform EvangelistのAnika Klauss、SoundCloudのエンジニアリング部門VPのAlexander Grosse、そしてGetYour GuideのCEO兼共同ファウンダーであるJohannes Reckらにお願いしている。

どういった国々からハッカソンに参加してくれているのかをインタラクティブなグラフにまとめておいた。

2013 Disrupt Europe Hackathon Attendees By Country

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(翻訳:Maeda, H


楽天は何故Vikiを買収した? 米TechCrunch共同編集長がTechCrunch Tokyoで両社にインタビュー

また1つ、11月12日のTechCrunch Tokyo 2013のセッションが確定したのでお知らせしたい。楽天がGoogleとYahooを押しのけて2億ドルで買収した、コミュニティによる字幕付きビデオサイト「Viki」の共同創業者でCEOであるRazmig Hovaghimian氏が来日して、TechCrunch Tokyoに登壇いただけることとなった。そして、Vikiを買収した楽天の側からも取締役常務執行役員の百野研太郎氏(国際部担当役員)にご登壇いただき、公開インタビューというトークセッションをお届けしたい。インタビューするのは、このイベントのためにやってくる米TechCrunch共同編集長のAlexia Tsotsisだ。百野氏は、VikiやKobo、Wauki.tvなどグローバルなデジタルコンテンツビジネスを担当しているとのことなので、楽天のグローバル戦略とVikiの買収について話を聞くことができるだろう。

Vikiは、2つの理由で注目のスタートアップだ。

1つは、アジア(シンガポール)発のスタートアップ企業を日本のネット企業が200億円と言われる規模で買収したこと。ふだんTechCrunchをご覧頂いている方は、その金額にさほど驚かないのかもしれないが、アジア圏からシリコンバレーに匹敵する規模のスタートアップ企業の買収例が出たというのは特筆すべきことだろう。Vikiの設立は2007年で、2010年にベータ版を終了して一般公開というから成長スピードも速い。Viki上では韓国ドラマや日本アニメといったコンテンツが人気で、アジアやヨーロッパを中心に利用が伸びたが、やがてグローバルな市場に広がりつつあるという市場への浸透も、これまでのシリコンバレーやハリウッド中心だった情報・エンタメ産業のイノベーションの広がり方とは違う傾向として注目だと思う。

もう1つは、Vikiがグローバルなオンライン動画コンテンツ流通市場という、これまで存在しなかった市場を生み出したこと。VikiはVideoとWikipediaを合成した造語から付けられた名前で、同サイトには160言語以上の言語のボランティア翻訳者が集まり、テレビ番組や映画、ニュースなどの商業コンテンツに字幕をつけている。これまでに累計325万語が翻訳され、視聴回数は15億回を突破しているという。Vikiはコミュニティが活発で、字幕だけでなくドラマのエピソードごとにコメントがたくさん付けられていたり、ニコニコ動画のようにシーンごとに感想が流れたり(ただし画面中ではなく画面の上部に控えめに)もする。


Vikiでは、これまで国境を超えて出て行くことがなかったようなテレビ番組が、誰も想像しなかったような国で消費されているのだという。例えば、本国の韓国で鳴かず飛ばずだった韓国ドラマが字幕付きでサウジアラビアで受け入れられてヒットしたりするようなことが起こっている。日本のアニメ、ボリウッド(インド)映画、インドネシアのホラー映画、ブラジルのテレビ小説、トルコ、エジプトのドラマなど、Viki上のコンテンツの85%はハリウッド以外で制作されたもの。日本、韓国、台湾などの人気コンテンツは40〜90もの言語に翻訳されているという。翻訳のスピードとクオリティは従来のパッケージメディアの流通をしのぐという。例えば、医療ドラマの場合、数百人からなる各言語の翻訳グループの中には、実際に医療業務従事者を探してきて翻訳チェックを行うようなこだわりで翻訳に望む人たちがいるという。ボランティアで翻訳で行う動機は、語学学習の一環としてという人や、コンテンツの熱狂的ファンだからなどさまざま。Vikiで生み出された字幕付き映像は、HuluやNetflixのような商業動画サイトへ転載されることもあるといい、ある意味では「逆流」が起こっている。

コンテンツ制作者は、もはや自国市場だけを対象にする必要がなく、Vikiを通してグローバル市場でコンテンツをマネタイズしていくことができる。経済産業省によれば、映画・テレビ番組、音楽、マンガなど日本のコンテンツの海外輸出比率は5%と極めて低いが、中でも日本のテレビ番組の輸出比率は、わずか0.15%にすぎない(PDF)。こうした伸びしろの部分を、Vikiはメディアパートナーとともに、すくい取っていくことができそうだ。

Vikiの破壊的なビジネスモデルは興味深いが、これを楽天が買収して何をしたいのか? というところには、もっと興味をそそられる。ご存じのように楽天は、2011年11月にカナダの電子書製端末・販売サービスを手がけるKoboを3億1500万ドルで買収している。百野氏には、グローバル化の加速するコンテンツビジネスという視点から楽天の戦略を語って頂けるものと思う。

さて、すでに発表しているとおり、TechCrunch Tokyo 2013では、Airbnb(Ole Ruch)氏、Tinder(Sean Rad氏)、Bitcasa(Brian Taptich氏)Weebly(David Rusenco氏)Disqus(Daniel Ha氏)などの講演を予定している。まだ登壇者を公表できていない講演もあるが、早割チケットの締め切りが今週10月31日木曜日に迫ってきたので、参加をご検討頂いている方は是非前もってチケットをご購入頂ければと思う。全てのトークセションが予定されているイベント2日目の11月12日火曜日には、スタートアップ企業がデモとプレゼンでプロダクトを競い合う「スタートアップバトル」の決勝戦も行う。すでに書類審査を通過した25社が予選へ向けて準備中なので、こちらにも期待してほしい。

TechCrunch Tokyo 2013間もなく開催! チケット購入はこちらから→

なお、会場でプロダクトをお披露目したいスタートアップ向けにはブース出展も、まだ若干数受け付けている。以下のリンクからお申し込み頂ければと思う。

TechCrunch Tokyo 2013 ブース出展のお申し込みは、こちらから→


Disrupt EuropeでもHackathon開催。深夜過ぎの楽しさはいずこも同じ

ハッカソンも深夜を迎えると、あちこちに「ファンキー」な様子が見えてくる。ブレインストーミングでアイデアを出し、そしていくつかのプロトタイプを完成する。コードを書く者、ハッキングするターゲットを精査する者、そしてデザイナーたちも皆、時計の針が深夜12時を指す頃には、いいかげん疲れてくる。そして疲れているときには、また別の面も現れてくる。そう、同好の士が集う中で「ハイ」な状態になるのだ。

そうした時間にスナック菓子やビールが提供される。こうしたものを胃に入れるうち、いつのまにか「セカンドウィンド」の状態になる。尚、スポンサーからはマッサージ師も派遣されていて、おかげで腰の痛みなどを和らげることもできる。

ハッカソンは夜通し続き、そして翌日には100チームほどがプレゼンテーションを行うことになる。

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(翻訳:Maeda, H


TechCrunch Tokyoハッカソンで、500 Startupsに参加する日本人エンジニア2人が講演!

すでにお伝えしているように、今年のTechCrunch Tokyo 2013ではハッカソンを併催予定だ。11月11日、12日の2日間、TechCrunch Tokyoと同じくベルサール渋谷ファースト内の小会場のほうで行う。ハッカソンへの参加は無料だが、申し込みは必要だ。まだ若干席に余裕があるので、参加希望の人は早めにご登録をお願いしたい。このハッカソンはTechCrunch Tokyoと併催する別イベントだけれども、来場しているスタートアップ関係者やCTO Nightの参加者などとも交流していただける場となると思う。ハッカソンでは初日にチームビルディングタイムを設けるので、チーム参戦でなく1人で来ていただいてもオッケー。最優秀プロダクトには賞金30万円を用意しているのでふるって参加してほしい。

さて、このハッカソンに、ハッカー界の著名人が2人も登場して頂けることとなったのでお知らせしたい。1人はシードアクセラレーターの「500 Startups」から投資を受け、モバイル向け動画メッセンジャーの「unda」を開発している徳井直生氏。もう1人は、同じく500 Startupsに参加するグロース・プラットフォーム「AppSocially」の開発者、堤修一氏だ。

堤氏のことは、iOS開発者向けに多くの技術情報を出すブログや、著書「iOSアプリ開発達人のレシピ100―開発現場で実証された実用コード集」でご存じの方も多いかもしれない。これまでにフルスクラッチで開発したiOSアプリは30本以上といい、その中には150万ユーザー以上を獲得した対戦RPG「バウンドモンスターズ」もあるという筋金入りのiOS開発者だ。NTTデータ、キヤノンで、それぞれ音声認識技術の研究開発、画像処理機能の設計に携わるなど硬派なエンジニアでもある。ハッカソン経験も豊富な堤修一氏には、イベント初日11日の11時半ごろからハッカソンの心構えなどを語って頂く予定だ。

undaのほうは少し説明が必要かもしれない。徳井直生氏(個人サイト)がメキシコ人のオスカー・ヤッセル・ノリエガ氏と開発しているundaは、モバイル向けの動画メッセンジャーだ。「モバイル+動画」は、まだ勝者といえるところがない。老舗としてSkypeやFaceTimeがあるが、これらは電話と同じくリアルタイムなコミュニケーション。非同期のメールのやりとりとか、ブログ、ミニブログに相当する「非同期」の領域には、まだ勝者といえそうなところはない。Twitterが140文字のテキストに相当する「最長6秒までの動画」をシェアするプラットフォームとして「Vine」を提供していたり、Facebookが買収したInstagramがやはり動画投稿を開始したり、あるいはLINEもビデオ通話をスタートしたりと、いろいろと動きがある。YouTubeの共同ファウンダーが始めた「MixBit」というのも切り込みのアングルが違うが「モバイル+動画」領域での注目の試みだ。こうしたほかのアプリとundaの違いは、モバイルに最適化した軽量な通信と片手操作によるUIだという。

unda自体も興味深いチャレンジだが、徳井直生氏には日本人エンジニア、また起業家として海外で活動するという体験などを語って頂けるものと思う。ハッカソンはモノづくりのイベントだけれども、少し手を休めて、日本、シリコンバレー、メキシコを飛び回って活躍するエンジニアの話に耳を傾けてほしい。徳井氏にはハッカソン開催2日目の12日午前にご講演頂く予定だ。

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CNNやBloombergも採用するコメントサービス「Disqus」の創業者がTechCrunch Tokyoで講演!

さて、またTechCrunch Tokyo 2013の登壇者が決定したのでお知らせしたい。スピーカーセッションを用意しているイベント2日目の11月12日には、Airbnb、TinderBitcasaWeeblyなどの創業者やCEOなどが登壇する予定だが、これに加えて、Disqusの創業者でCEOのDaniel Ha氏に来日して登壇いただけることになったのでお知らせしたい。いずれも成功しているか、注目株というシリコンバレーのスタートアップ企業だ。

2007年にY Combinatorから投資を受けてDaniel Ha氏らが創業したDisqusは、オンラインコメントサービスの老舗だ。ブログや商業メディアの外部コメントシステムとして、既存サイトに埋め込むことができる。WordPressやTumblrなら直ぐにDisqusをコメント欄として利用できるし、CNNやBloombergといった大手ニュースサイトもコメントシステムとして採用している。われわれTechCrunch JapanもDisqusを使っているので、使ったことのない読者は、是非下のコメント欄にヒトコト残してみてほしい。FacebookやTwitterのアカウントを使ってアカウントを作ることもできるし、メールアドレスによるアカウント作成もできる。いったんDisqusにアカウントを作れば、どこのサイトであってもDisqus採用のところならコメントを付けることができる、サイト横断的なコメントシステムだ。

Disqusは実はデカい。Disqusを採用したWebサイトへのトラフィックは、月間10億ユニークユーザーに達していて、毎月2000万件ものコメントが新たに生み出されている。アクティブなDisqusユーザーは約1億人で、各コメントへの投票(高評価、低評価など第三者がコメントを評価できる)も、月間8000万件にのぼるといい、「オンライン・コミュニティ」を作るプラットホームの最大手の1つだ。

記事や情報は簡単にコピーできる。しかし、その周辺にできるコミュニティはコピーできない。それがDisqusの主張の1つで、オンライン・メディアやオンライン・コミュニティの行方を占うという意味でも興味深い話だ。実際Disqusは、大手メディアとのパートナーシップで収益をあげており、多くのサイトで導入されている。2011年とやや古いデータだが、外部コメントシステムを導入しているサイトのうち75%がDisqusを利用しているという調査もある。

日本の場合、多くのニュースサイトはコメント欄が荒れているか、閉じられているかのいずれかだったりする。はてなブックマークのようなソーシャルブックマークサービスが流行した結果からか、あるいは対話や衝突を避ける国民性からか、サイト横断的に横串でアカウントと紐付くDisqusのようなコメントシステムは日本ではあまり導入が進んでいないようにも見える。ただ、荒れ果てて罵り合うばかりのYouTubeのコメント欄に業を煮やしたGoogleが、Google+(つまり実名)をYouTubeのコメント投稿に取り入れるという決定をしたのが象徴していると思うのだが、いずれパブリックなオンラインの対話は一定のアイデンティティと紐付いたものが主流になっていくだろうし、まだ伸びるジャンルだと思う。

最近は、コメント欄の代わりにTwitterのツイートや、Faceboookのコメント欄を入れることも増えているが、こうしたソーシャルメディアとDisqusの違いはいくつかある。1つは、サイト主側によるコメントのコントロールのやりやすさだ。Disqusではスパム判定やIPアドレスベースでの投稿禁止などきめ細かく管理ができる。それと、これは結構重要な点だが、DisqusのコメントはGoogleにインデックスされるのでSEO的に意味があるという違いもある。コメントを付けるユーザーの解析機能を提供することでメディアに付加価値を提供しているという側面もある。

コメント投稿者から見た場合、異なるサイトで横断して自分の投稿を一覧したり、返信をつけたりといった管理がやりやすいことも、Disqusのようなコメントシステムを利用するメリットだ。自分のコメントへの返信に気付かない、ということがない。Facebookがコメント欄を外部サイトで利用できるようにしたときに、DisqusやLiveFyre、IntenseDebateのようなコメントサービスは一掃されてしまうのかと騒がれたが、今のところそうはなっていない。むしろ、DisqusのCEOであるDaniel Ha氏は、Facebookが外部コメント市場に参入したことで、既存アイデンティティに紐付いたコメントシステムの必要性が一般に認知される効果があったと話している。まあ餅は餅屋ということかもしれない。

ともあれ、掲示板設置やチャットシステムをたくさん作っていた大学生が、ごくごくシンプルなコメントシステムからスタートして、億単位の人が触れるサービスを育て上げたという、そのサクセスストーリーを、DisqusのDaniel Ha氏には語ってもらえると思う。

さて、まだ登壇予定のスピーカーを全員お知らせできてはいないが、チケット販売は引き続き10月31日木曜日までは早期割引(通常価格1万5000円のところ1万円)が適用される。11月12日は火曜日の平日だが、多くの起業家やCEOたちを招いているので、ぜひ生の声を聞きにご来場頂ければと思う。

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Apple、iPad Airは中国でも(初めて)アメリカなどと同時発売

Appleが中国市場を非常に大事に考えていることが、本日のプレスリリースイベントで明らかとなった。新モデル発表の舞台で、Worldwide Marketing部門SVPであるPhil Shillerが、中国におけるiPad Airの発売を、米国などと同時に行うことを発表したのだ。

このような取り扱いはこれが初めてのこと。これまでは、中国で最新版のiPadを入手するには数週間ないし数ヶ月の間、待っていなければならなかったのだ。

最近のAppleは、新製品を可及的速やかに広い地域で扱うようにしようとしているようだ。中国での店舗展開にも力を入れている様子。既に他の記事にも掲載しているが、iPad Airは499ドルより。レティナ版iPad miniは399ドルからとなっている。

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(翻訳:Maeda, H


Appleイベント速報:新iPad Mini、Retinaディスプレイで399ドルから

Appleは今日のプレスイベントの招待状に発表することがたくさんあると書いていた。そのとおり、次々に新製品の発表が続いている。そして先ほど、ステージ上でPhil SchillerがついにiPad miniのベールを外した。

前置きはそのぐらいにしてさっそく本題に入ると、新iPad miniの最大のポイントはRetinaディスプレイの採用だ。jこれによってフルサイズ版と同じ2048×1536ピクセルの解像度を誇る。Schillerは「Retinaの採用がユーザーからもっとも要望の多かった点だった」と述べたが、これは驚くに当たらない。Retinaは採用されないという弱気な噂が事実でなかったことを喜びたい。

残念な点はTouchID指紋センサーの搭載が見送られたことだ。少なくともあと1年は普通に起動させるしかないようだ。

今回大きなデザインの変更はないだろうと予想されていたが、そのとおり、新iPad miniの外見は現行モデルとほとんど同一だ。AppleはiPadminiのデザインを大いに気に入っており、iPhone 5sも新しいフルサイズ版のiPad Airもこのデザインを踏襲している。iPad miniのカラーバリエーションはスペースグレーと黒、シルバーとホワイトの2種類となる。新miniと5sは頭脳も一緒だ。どちらも64ビットのA7プロッサー(Appleによればデスクトップ・クラスの能力という)を採用している。

Schillerによれば、新iPad miniは「11月中に」出荷される。価格は399ドルから。クリスマス商戦に品揃えをできるだけ広げておきたいという考えだろうが、オリジナルのiPadminiも販売を継続される。第1世代のiPad miniは299からに値下げされる。クリスマス商戦を控えてAppleが投入してきた大量の新製品に対してライバルがどう応じるのか注目だ。

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Appleイベント速報:新MacBook ProはRetinaディスプレイ、Intel Haswell搭載、スリム化されて価格は値下げ

今日(米国時間10/22)のプレスイベントで、AppleはMacBook Proの新モデル2機種を発表した。13インチ、15インチ、両モデルとも最新のIntel Haswellプロセッサーを採用している。

13インチ版は軽く(3.5ポンド=1.58kg以下)、スリム(0.71インチ=1.8cm)になった。バッテリーは大型化され駆動時間は9時間だ。インテグレート・タイプのグラフィックスチップととThunderbolt2ポートを装備する。新しいThunderboltはRetinaを外部接続できる。フラッシュドライブはさらに高速化され、Wi-Fiは高速な802.11acチップを採用している。新しい13インチ・モデルは従来の1499ドルから200ドル値下げされて1299ドルとなった。1299ドルのモデルには,2.5GHz、デュアルコアi5、4GBのRAM、128GBのストレージ、Intel Irisグラフィックス・チップが搭載されている。

15インチ版はクアドコア・プロセッサー、Intel Iris Proグラフィクックス・チップを採用している。ハイエンドモデルにはさらにNVIDIA GeForce GT 750Mディスクリート・グラフィックスが装備される。ただしエントリーモデルにはディスクリート・グラフィックスはつかない。エントリーモデルは現行モデルの2199ドルに対して新モデルは1999ドルから。この価格で2.0GHzのクアドコアi7、8GBのRAM、256GBのストレージがつく。Iris Proはインテグレート・タイプだ。専用グラフィックス・カードを搭載したモデルでなくなったのは一歩後退のようにも見えるが、 バッテリー駆動時間には好影響を与えるだろう。Intelのチップがハードな処理にも耐える能力があるかどうかに注目だ。

2機種の新しいMacBook Proは本日から出荷される。Phil SchillerはDVDドライブ装備のMacBook Proの旧モデルの今後についてはまったく言及しなかった。おそらく次第に消えていくのだろうが、その時期などは不明だ。Schillerは新モデル”だけがMac Book Proのすべてであるかのように説明していた。Appleが旧モデルにまったく重きを置いていないことは確かだ。

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Appleイベント速報:iPad Air登場―軽く、薄くなってA7プロセッサを採用、11/1出荷

Appleが最初のiPadをリリースしたのは3年前になる。オリジナルのiPadは角ばっていて重かった。4世代を経て今第5世代のiPadが発表された

これは素晴らしい!

読者はすでにこの夏から新iPadの噂をたっぷり聞かされてきただろうから、すぐに本題に入ろう。

新デザイン

iPad 2以来で初めてとなる全面リニューアルの新デザインだ。

新iPadのモニタはこれまでと同じ9.7インチだが、iPad miniを踏襲したデザインになっている。重量は1ポンド(454g)ちょうどで、フルサイズiPadとしてはこれまででいちばん軽い。前モデルより0.4ポンド(181g)も軽量化されている。またiPad Airの厚みはわずか7.5mmで、25%も薄くなった。

ベゼル部分は43%も薄くなり、エッジはiPad miniに似て、これまでよりずっと強い傾斜が与えられている。

プロセッサー

新iPadのプロセッサーはiPhone 5sのものと同じA7だ。Appleによれば、オリジナルのiPadに比べて8倍速く、グラフィックスは72倍速いという。われわれが知りたいのは現行の第4世代のiPadとの比較だが、Appleはいつもわれわれの聞きたい点を発表してくれるわけではない。

新iPadにはiPhone 5sと同じくM7モーション・コプロセッサーが採用されており、内蔵センサーから発生した加速度情報などを処理する。これによってiPadはさらにスマートになったという。

新しいA7プロセッサーはAppleの最新プロダクトの例にもれず64ビット・アーキテクチャで、10億以上のトランジスタを内蔵している。またWiFi接続の信頼性を向上させるためにMIMOテクノロジーを採用しており、バッテリー駆動時間は10時間だという。

記事アップデート

カメラ

現行iPad搭載のカメラはiPadで写真を撮るという考え自体に笑い出したくなるくらいの時代遅れなしろものだ。

今回Appleはカメラにも多少の注意を払うことにしたらしい。5メガピクセルのiSightカメラ、1080ピクセルのFaceTimeビデオチャット用フロント・カメラと2個のマイクが搭載された。

価格と出荷時期

第5世代iPadのカラーバリエーションは黒、白、シルバー、 スペース・グレーだ(なぜかゴールドはない)。この製品は第4世代を置き換えることになる。価格はWiFiモデルが499ドルから。Wifi+ 無線モデルが629ドルから。

一方、iPad 2は販売が継続される。価格は399ドルからとなる。

新iPadは年末に商戦に間に合った。販売開始は11月1日からだ。

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Appleイベント速報:OS X Mavericksは無料、即日公開

Appleは新しいデスクトップOS、 OS X Mavericksの価格とリリース期日を発表した。驚いたことに、価格は無料だった。今日からさっそくダウンロードできるようになる。

Lion、Mountain Lion、Snow Leopardの各OSのユーザーは(無料で) OS X Mavericksに直接アップグレードできる。2007年のMacまでが対象だ。

この新世代OSは、ネコ科の猛獣の名前をつけるというこれまでの慣例を破ってサンフランシスコの南、ハーフムーンベイのサーフィンの名所にちなんで命名された。改良点は多数あるが、主要なものはFinderの強化、マルチモニターのサポートの改善、スタンドアローンのiBooksアプリ、OS X搭載Macの省電力の改良などだ。.

Appleは今日のプレスイベントでMavericksのバッテリー効率の改善、メモリー、グラフィックス機能yの強化について説明し、つづいてアプリとマップについても話した。

Appleのソフトウェア・エンジニアリング担当上級副社長のCraig Federighiは「われわれはMavericksで3つの点に集中した。ハードウェアのパフォーマンスの改善、新機能の追加、そして新しいアプリだ」と語った。

AppleはこれまでMavericksは秋に発表されると予告していた。

「今日、われわれはMacの新しい時代の幕開けを迎えた」とFederighiは付け加えた。

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トップレベル ユーザー サミット 2013 のご報告

9 月 30 日から 10 月 3 日にかけて、米国カリフォルニア州サンノゼ、およびマウンテンビューの Google 本社にて、「トップレベル ユーザー サミット 2013」を開催しました。


Google では、豊富な製品知識と経験に基づいて、公式ヘルプ フォーラムで多大な貢献をしてくださっている方々を、「トップレベル ユーザー」と呼んでいます。トップレベル ユーザーの方々は、世界各国の様々なプロダクトの公式フォーラムで、欠かせない存在となっています。

トップレベル ユーザー サミットは、世界各国の ヘルプ フォーラム で大きな貢献をされているトップレベル ユーザーの方々へ日頃の感謝をお伝えすると共に、より良いヘルプ フォーラム コミュニティ運営のために Google 社員との間で情報交換、ディスカッションをおこなうことを目的としたグローバル イベントです(前回の様子)。

今回、500 名を超えるトップレベル ユーザーの方々を Google 本社があるシリコンバレーにお招きし、新機能のご紹介や Q & A セッションなど、様々なイベントを開催しました。日本からは、AdWords、AdSense、Gmail、ウェブマスターの各フォーラムから計 7 名のトップレベル ユーザーが参加されました。ウェブマスター ヘルプフォーラム からは、木村 將さん(フォーラム上のユーザー名:マサさん) が参加されました。

各国から集まったトップレベル ユーザーのみなさんと Google 社員
最終日に行った「Webmaster Day」では、12 言語のウェブマスター ヘルプフォーラムから 40 名以上のトップレベル ユーザーの方々が参加され、 Google 社員との間で、活発な意見交換や質疑応答が行われました。また、Google 検索を担当するエンジニアから、開発現場で現在どのようなことに取り組んでいるかについてのプレゼンテーションなども行い、参加者の方に開発の最前線の様子に触れて頂きました。

このサミットは、トップレベル ユーザー間の交流もひとつの大きな魅力です。今回もプロダクトや国を超えたネットワークが得られたことに、みなさん満足されていたようです。 

今回参加されたマサさんに、イベントの感想を伺いました。
前回に引き続き参加させて頂きました。 以前にも増して大規模なイベントであり、プロダクト別の分科会(Webmaster Day)など、充実した内容でした。Google がユーザーのことを理解し、大切にしたいと思っていることを直に感じられ、とても嬉しく思いました。ユーザーとして Google と直接意見交換が行え、ユーザーの意見を汲み取ろうとする Google の姿勢に共感し、学びも得られました。
Webmaster Day での集合写真

ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

トップレベル ユーザーのみなさまとともに、Google のユーザー コミュニティがさらに活発になっていくことを楽しみに思っています。 そして、今後も ウェブマスター ヘルプフォーラム では、多くの方にトップレベル ユーザーとしてご参加いただきたいと思っています。トップレベル ユーザー プログラムの詳細についてはこちら をご覧ください。


関連記事 Saying thank you to our Google Top Contributors (Google Official Blog, 英語)

最優秀プロダクトは賞金30万円、TechCrunch Tokyoでハッカソン参加者募集中

hackathon

ハッカソンが「ハック」と「マラソン」からなる造語であったり、Facebookの「いいね!」や「タイムライン」が同社のハッカソンをきっかけに生まれたとされていることなどは、TechCrunchの読者ならご存じのことだろう。しかし、これが単なる「集まってやってみた」という以上のものになることがあるというのは、ご存じない方もいらっしゃるのではないだろうか。例えば、2011年8月にSkypeが買収したグループテキストチャットサービス「GroupMe」は、2010年にニューヨークで行われたTechCrunch Disruptのハッカソンを通じて誕生したプロジェクトだ。

すでにお伝えしたが、きたる11月11日と12日に東京・渋谷で開催する「TechCrunch Tokyo 2013」では、TechCrunch Japanの初の試みとしてハッカソンを2日連続で開催する。最も優秀なプロダクトには、「MA9部門賞 TechCrunch賞」として賞金30万円と、同会場で開催するリクルート主催「Mashup Awards 9」のファイナルステージへの進出権も提供させていただく。

すごく大事なことだけどハッカソンへの参加は無料なので、出会った仲間と情報交換したり、人脈を広げるチャンスにしてほしい。「1人じゃ参加できない」とためらっている読者も、初日にはチームビルディングタイムを設けているので心配は無用だ。協賛企業から提供されるAPIやインフラを駆使して、クールなプロダクトを作りにチャレンジしてほしい。

ハッカソン開催中には、ゲスト・スピーカーをお招きして、ハックやハッカソンとはどういうものであるのか、あるいは海外でエンジニアとして活躍するにはといったテーマでの講演も予定している。このあたりについては、内容が固まり次第、追ってご報告したい。

TechCrunch Tokyo Hackathon 2013参加の申し込みは、こちらから→

photo by hackNY.org


Apple、OS X Mavericksデベロッパー版に最後のバグ修正―今週のプレスイベントで発表は確実

Appleが今週22日〔日本時間23日〕にサンフランシスコで開催されるプレスイベントでOS X Mavericksの発表するだろうというのが大方の見方だ。

それに関連してデベロッパー向けすでに出荷されているMavericks Gold Master版にバグ修正のアップデートがひっそりと行われたという情報を耳にした。

AppleがGold Master版OSのアップデートをしたことは過去にもあるが、その回数はごくj少ない。Mac OSがGMビルドになったということは一般公開の準備が整ったことを意味する。ほとんどの場合は、そのまま公開されてきた。この段階で修正が行われたということは、おそらくユーザーのアップデートにともなって何らかの不具合が生じることが発見されたのだろう。そのバグの内容については情報がないが、このアップデートが予定外のものだったことは確かなようだ。9to5MacのMark Gurmanによれば、今日ビルド番号が13A598から13A603に変わったそうだ。

こうしたあれこれを考え合わせるとMavericksが木曜日のイベントで発表され、ほどなく一般ユーザーにも公開されるのはまず確実と思える。

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スタートアップのCTOに求められるモノって? 現役CTO集まれ!「CTO Night」やります!

11月11日、12日に開催するTechCrunch Tokyo 2013では、すでにお伝えしているとおり、ハッカソンを小会場で併催予定だ。

このハッカソンとは別に、今回のTechCrunch Tokyoでは新たに、CTOの方々を対象としたイベント「CTO Night」を開催予定なのでお知らせしたい。11月11日月曜日のイベント1日目、スタートアップバトルの予選を行った後の本会場のほうで、18時からの1時間。スタートアップ企業やWeb・モバイル系企業を中心に、CTO、もしくは技術責任者として活躍しているエンジニアの方々を中心にお集まりいただいての事例紹介やトークセッション、題して「現役CTOに直接聞きたい! スタートアップCTOに求められる資質とは?」を開催する。

これまで、いわゆる「CIO」に光が当たるイベントは結構あったと思う。エンタープライズの世界では大企業のCIOが「経営課題とIT」というテーマで語るべきことはいっぱいある。一方、CTOが集まるイベントというのは、私の知る限りではそれほど多くない。横のつながりでCTOの方々が作るクラスタや、飲み会グループはあるものの、あまりCTOが集まるイベントや場というのはなかったように思う。多忙を極めるスタートアップにいて、なかなか横のつながりを持つのが難しいというような事情もおありかもしれない。だからこそ、横のつながりを作ってこそ共有・共感できるノウハウや経験もあるのではないだろうか。

例えば、スタートアップ企業のCTOの皆さまは以下の様なことに悩んでいないだろうか?

  • スタートアップ企業のCTOは技術指向かビジネス指向であるべきか?
  • CTOは毎日コードを書き続けるべきか?
  • エンジニア採用、面接ではコードを書かせるべきか?
  • モバイルやJavaScript台頭で技術要素が増えた。どの技術に人的投資をするかをどう決める?
  • スタートアップ立ち上げ時のバックエンドシステム構築のベストプラクティスは?
  • セキュリティ対策、どこまでやれば安心できる?
  • スタートアップで技術的負債はどこまで許容できるか?
  • DevOpsツールとクラウド活用の最新トレンドってどんな感じ?

私は勝手に「お兄さんCTO」と呼んでいるが、ここ5年とか10年ぐらいで、もしかしたらクラウドがなかった時代からスケールアウトのアーキテクチャでクラスタや冗長構成を組んできた「ベテランCTO」と呼ぶべき人々がいる。まだDevOpsツール群が未発達だった時代に、いくつもスクリプトをサーバに忍ばせたり、自前デプロイツールを作ったりしてサービスの成長に合わせてシステムを育ててきたエンジニアたちだ。今回初めて企画したCTO Nightだが、そうしたベテランのお兄さんCTOをお招きするので、今まさに走りだしたようなスタートアップ企業の若手CTOの方々が出会う場になればと願っている。

さて、2日間のTechCrunch Tokyoのイベントの中でも、このCTO Nightの1時間のセッションだけは、CTOもしくはそれに準じる肩書きをお持ちの方の参加は無料とさせていだだこうと思う。CTO Nightの後には懇親会もあるので、ちょっと覗きに来る気持ちで、仕事帰りであってもご来場いただければと思う(場所は渋谷。参加は無料ですが、申し込みは必要です)。TechCrunch Tokyo参加チケットをご購入頂いている一般参加のエンジニア層の方々もCTO Nightのセッションを見に来ていただければと思う。

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photo by Erik (HASH) Hersman


TechCrunch Tokyo運営ボランティアを募集

volunteer

TechCrunch Japanは、11月11日、12日に東京・渋谷で開催する「TechCrunch Tokyo 2013」の運営を手伝ってくれるボランティアを募集している。ボランティアの皆さんには、イベント配布資料を封入してもらったり、来場者の誘導などをお願いする予定だ。

ボランティアになっていただいた方には、イベントのロゴ入りTシャツ(非売品)やTechCrunchのステッカーをご用意している。もちろん、運営業務が優先になるけれど、空き時間にはイベントに参加することもできる。

我こそは、という方はボランティア受付サイトにアクセスして、氏名やメールアドレス、自己紹介、意気込みなどを書いて送ってほしい。定員は10名程度だけど、応募多数の場合は抽選となる。ラッキーな当選者にはメールでご連絡する。

応募要項は下記の通りだ。

・募集人数:10名程度(応募多数の場合は、抽選となります)
・締切:10月25日(金) 17:59
・対象:学生、スタートアップに関係する方、本イベントに興味のある方
・条件:11月11日(月)、12日(火)の2日間手伝える方。時間は8:00〜21:00を予定

話は変わるけれど、TechCrunch Tokyo 2013では、プロダクトのデモンストレーションを審査して、優秀なスタートアップを決定するスタートアップバトルの参加企業を募集している。

優勝チームには賞金100万円と、来年米国で行われる本家のイベント、TechCrunch Disruptでのブース出展権を贈呈する予定だ。応募締め切りは本日18日23時59分までと迫っているので、改めてお知らせしたい。

イベントには昨年に引き続き、米TechCrunch本家から、共同編集長の1人であるAlexia Tsotsisと、アジアのソーシャルゲーム動向もカバーするTechCrunch主力ライターの1人、Kim-Mai Cutlerの2人が参加する予定だ。

優勝チームはもちろんのこと、スタートアップバトル参加チームのプロダクトがUS版TechCrunchで取り上げられる可能性もある。世界デビューを目指すスタートアップの方も、まずは国内から、というスタートアップもぜひ申し込み頂ければと思う。

TechCrunch Tokyo 2013スタートアップバトルの申し込みはこちらから→

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vastateparksstaff


Weebly創業者のCEOがTechCrunch Tokyoに登壇! 1500万サイトが利用するYCの優等生

TechCrunch Tokyo 2013が約1カ月後に迫ってきたが、海外ゲストスピーカーとして「Weebly」(ウィーブリー)の創業者でCEOのDavid Rusenko氏をお迎えすることができたのでお知らせしたい。

日本だとWeeblyと聞いても、もうひとつピンと来ない人もいるかもしれないが、ブラウザベースのWebサイト構築サービスの分野では、英語圏を中心にきわめて高い人気を誇っている。

「高い人気」というのがどのぐらいかというと、2012年のNetcraftの調査では北米のアクティブなWebサイトのうち2%がWeeblyで制作・メンテンスされていて、毎月全米ネットユーザーの15%がWeeblyベースのWebサイトにアクセスしているというリーチ率の高さとなっている。2013年現在、Weeblyで構築されたサイト数は1500万という。

Weeblyは2006年に創業した、Y Combinatorの2007年の卒業組として知られる。当時流行の兆しを見せていたAjax(なんか懐かしい言葉だね!)を活用したブラウザだけで完結するオーサリングツールとして「HTMLを1行も書かない層」に受け入れられ、今もまだ成長中だ。過去7年間、着々と新機能や外部サービスとの連携を進めてきて(TechCrunchのWeebly関連記事一覧はこちら。タイトルだけでも眺めてみてほしい)、いまも急速に成長している。TechCrunchが最近報じた数字によれば、2011年に19人だった社員数は2014年までに600人に増員する計画で、広い新オフィスへと引っ越したばかりという。

WeeblyのRusenko氏が指摘するのは、今でもまだ多くの人は「インターネットに参加していない」ということだ。レストランや個人商店のような、いわゆるスモールビジネスとか、ギャラリーを持つほどでないアーティストなどの多くは、今もまだインターネット上に存在していないに等しい状態で、こうした層の市場は大きい。Weeblyの競合サービスとしてイスラエル発のWixも3700万ユーザーを抱えるなど、あまり目立たないジャンルだが、実は大きなマーケットが存在している。

Webサイト構築といえば、WordPressやJoomla、DrupalといったCMS系のツールも人気が高いが、Weeblyがこうしたツールと違うのは、サーバ設定の手間もHTMLの知識も不要である点だ。もちろん独自ドメインもサイト構築の流れの中で統合されていて、ワンストップで取得・運用ができる。モバイル対応や写真・動画ギャラリー、ブログ設置、SEOサービスの併用、カートや決済サービスのつなぎ込み、問い合わせフォームやフォーラムの設置など、ほとんどのことが自前でできるサービスである点だ。画像アップロードはドラッグ&ドロップできるだけでなく簡易画像エディタもブラウザで利用できる。WeeblyはBookFreshというオンライン予約設定サービスと協業していて、ヘアサロンだとか歯医者であれば、オンライン予約受け付け機能まで作れてしまう、と徹底している。

Weeblyがdisruptしているのは、WordPressなどのツール群そのものではなく、それを使ってスモールビジネス向けのサイト構築をしている労働集約型の請負型ビジネスだろうと思う。Weeblyのサイトを使ってみれば分かるが、「どんなサイトを作りたいのか?」「どんな要素を入れるべきなのか?」といった質問にウィザード形式で答えていく形でサイト構築ができる。動画による説明もあり、サイト構築業者の役割をサービス自体で果たしているような印象だ。

そんなWeeblyを立ち上げたRusenko氏は、ペンシルバニア州率大学在学中の2006年に起業していて、まだ20代。Forbesが選ぶ30人の30歳以下の起業家・イノベータ「30 under 30」に2011年と2012年の2年連続で選ばれている。

Weeblyはサービスローンチ後は鳴かず飛ばずの時期が長く続いたという。フリーミアムモデルで黒字化してビジネスモデルが完成した、といえるようになるまで35カ月かかっているという。その間、プロアカウントサービスによって収益は増えつつあったものの、資金が底をついて公共料金などの支払いに困る事態になったこともあった。その彼が、起業家に向けたある講演の中で、こんなことを言っている。「多くの人が6カ月でプロダクトを作り、ローンチして2カ月で諦めたりする。だけど、本当に素晴らしい会社を作るには人生のうちの7年とか10年とかかかったりするんだ。途中でやめたら成功なんてできないよ」。

Weebly創業者でCEOのDavid Rusenko氏は11月12日、TechCrunch Tokyo 2013でご講演いただく予定だ。今ならまだ早割チケットに間に合うので、来場をご検討頂いている方には、ぜひ今のうちにご購入いただければと思う。

TechCrunch Tokyo 2013のチケット購入はこちらから→