勝手にペグも回してくれるギター・チューニングマシンがDisruptに登場

Roadieは小さいながら非常に便利なツールだ。ギターのペグをかませて、そしてスマートフォン・アプリケーションに繋ぐ。すると各弦のチューニングを自動で行ってくれるのだ。現在行われているDisrupt NY Battlefieldにて「audience choice」(観客による人気投票)を獲得した。正確にチューニングすることができそして速い。ギターのチューニングを経験したことのある人なら、誰もがきっと欲しくなるのではないかと思う。

「私たちの会社はBand Industries」と言います。音楽関連テックプロダクトに注力しています。音楽に関わるエクスペリエンスをより豊かなものとしたいと考えているのです」と、共同ファウンダー兼CEOのHassane Slaibiは述べている。

最初に作ったデバイスが、このRoadieだ。価格は79ドルで、サイトからプレオーダーできるようになっている。発想は7月を予定しているとのこと。2014年1月にはKickstarterキャンペーンにて、みごと18万ドルほどの資金を調達している。

「レバノンのベイルートにはじまり、2年間にわたり開発に勤しんできました」とSlaibiは言う。その後、中国深セン市のスタートアップアクセラレーター・プログラムのHaxlr8rに参加した。

Roadieは、あらゆるギターに対応しているのが強みのひとつだ。エレキギターでもアコースティックギターでも、あるいはギター風のヘッドがあるものならRoadieを利用することができる(訳注:あらゆるとは言っても、さすがにヘッドレスは無理)。

技術面の説明もしておこう。RoadieはBluetooth経由でスマートフォンに接続する。スマートフォンこそが全体の中で中心的な役割を果たす。弦をはじくとスマートフォンがその音程を認識し、現在の状態をRoadieに伝える。そしてRoadieがチューニングを行うという仕組みになっているのだ。

4人のメンバーが属するBand Industriesは、Kicksatrterキャンペーンに加えてHaxlr8rより2万5000ドルの資金を調達している。今回、Disruptのステージに登場したことにより、今後はさらに多くの人から注目を集めることになるだろう。

訳注:原文サイトではDisrupt運営者側とのQAも掲載されています。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


学習管理プラットフォーム「Studyplus」がAPIを公開–外部教材アプリとの連携を強化

“IT×教育”の分野を指す「EdTech」。その中でも、教育のコンテンツではなく、プラットフォームの提供を進めるスタートアップがスタディプラスだ。

同社が提供する学習管理プラットフォーム「Studyplus」は、受験生を中心に現在約40万人の学生が利用している。Studyplusでは、ユーザーである学生が、自分の勉強の記録をつけてグラフとして可視化したり、勉強仲間を作ってコミュニケーションをしたりする機能を備えている。

ユーザーのサービス満足度は非常に高いようで、App Store、Google Playともにアプリの評価は4以上。レビューも好意的な内容が目立っている。また3月にサービスを見たときなどは、「○○大学に合格しました!」といったメッセージが並んでいるのが印象的だった。最近では、東京・渋谷にあるオフィスに併設するかたちで学習室「STUDY LOUNGE」を設立。オンラインだけでなくリアルに学びの場を提供している(ちなみに数カ月以内にもスペース運営単体での黒字化が実現しそう、とのことだった)。

そんなStudlyplusだが、5月1日よりサービス連携に向けたAPIを一般公開する。このAPIを外部の教材アプリ開発者が利用することで、そのアプリでの学習記録をStudyplusで自動的に記録できるようになる。

すでに複数の外部開発者が対応を予定しているとのことで、同社では年内100以上の教育・学習系サービスとの連携を目指す。また、これとあわせて、APIを利用した自社開発の英単語学習アプリ「ラーニングドラゴン英単語 3300」もiOS向けに提供する。

ラーニングドラゴンは、スマホ向けゲームを模した英単語学習アプリ。単語の学習、4択クイズをこなすことで、敵を倒していくというRPG風のアプリとなる。中学卒業レベルから難関大学入試(TOEIC700点程度)までの単語に対応。基本プレイは無料で200単語までの学習に対応。それ以上のコンテンツを利用する場合、月額500円がかかる。「まずは(API連携の)可能性をこのアプリで見せたい。教育カテゴリのサービスがきちんと儲かって運営できるカテゴリにならないといけないと思っている」(スタディプラス代表取締役の廣瀬高志氏)

なお同社はこれまでストックフォト販売を手がけるアマナホールディングスやミクシィ、ベンチャーキャピタルのジャフコなどから資金調達をしているが、現在次の調達に向けての準備中とのことだ。


球場やお寺だって借りられる「スペースマーケット」はビジネス向けのAirbnbだ

最近、スタートアップと話すときに聞くのが「Airbnbを(ときにはUberも)を徹底的に研究した」という言葉だ。特に聞くのはCtoCの領域だろうか。フリマ、旅行・アクティビティをはじめとしてあらゆるところでそういった声を聞く。

その中でもっとしっくりきたのが、4月28日にオープンしたスペースマーケットの「スペースマーケット」ではないだろうか。このサービスは、いわば“BtoB向けのAirbnb”だ。企業の持つ遊休スペースや利用時間外のスペースを、会議や株主総会、研修、イベントなど向けに貸し出すためのマーケットプレイスとなる。

当初利用できるのは、都内を中心にした100スペースほど。提供されるスペースは貸し会議室やオフィススペースにとどまらない、青山迎賓館(結婚式場)、ユナイテッド・シネマ豊洲(映画館)、門間箪笥店(古民家)、正蓮寺(お寺)、オバケン(お化け屋敷)、Coca-Cola Park(野球場)など、ユニークスペースが並ぶ。なんと現在は「お城」などもそのラインアップに入れるべく営業活動中だそうだ。

価格はスペースの性質にもよるが、「ホテルなどで会議をすると、平均で20万円程度かかるという資料があったがそれより安価になる」(スペースマーケット代表取締役 CEOの重松大輔氏)とのことだ。 実際僕がサイトを見たところ、VOYAGE GROUPのオフィス入り口にあるバースペース「AJITO」やフォトクリエイトセミナールームが利用無料で提供されているのにはじまり、1時間数千円の会議スペース、1日利用45万円の「代官山TSUTAYA」、さらには詳細は問い合わせとなっているスペースまでバラエティに富んでいる。なお、利用は最低3時間(スペースによっては1日)からになるという。

当初は、会場の性質や稼働率、運用をどこまでサポートするかなどの条件によって、20〜50%の手数料を取る。今後は広告でのマネタイズなども検討する。年内1000スペース、3年後5000スペースまでの拡大を狙う。また今後はスペース管理やセキュリティ、イベントへのケータリングなど、パートナーと組んでの派生事業も検討する。

“披露宴会場の課題”が起業のきっかけに

代表の重松氏は、NTT東日本に新卒で入社した後、同社の同期でフォトクリエイト代表取締役社長の白砂晃氏に誘われて同社へ。こそで新規事業のほか、広報、人事を担当。新規事業で立ち上げたウェディング事業は、全国で年間約3万組の結婚披露宴(日本全体では25万組程度らしい)で導入されるに至ったという。

実はここに、スペースマーケット創業のきっかけがある。重松氏はウェディング事業を通じて知ったそうだが、披露宴会場は優秀なスタッフがいるものの、披露宴がない場合、特に平日などは遊休スペースとなる。だが本業とは異なる分野で営業をかけ、スペースの利用を促すことは難しい。

また一方で、フォトクリエイトは各種イベントの写真を撮影し、オンラインで販売する事業を展開していたため、スペースの情報にも詳しく、同時にイベントなどで利用するスペース探しに広告代理店などが苦労している様をずっと見てきた。起業自体は以前から考えていたということだが、この2つの点から重松氏はスペースマーケットの企画を始めたのだという。余談だが同氏の妻はサイバーエージェント・ベンチャーズのキャピタリストとして活躍する佐藤真紀子氏。家庭内の会話で事業計画をブラッシュアップしていったそうだ。

「最初はオフィスの『間借り』のマッチングを考えたが、それではマーケットが小さい。Airbnbから発想したが、受け入れられるのは大きいハコではないかと考えた。イベントだけでなく、株主総会や採用説明会などでイベントスペースは求められている。需要が顕在化しているビジネス領域からまずはやっていこうとなった」(重松氏)。海外でも、「Liqudspace」「eventup」といった、スペースを貸し出すマーケットプレイスには注目が集まっている。また国内でも、サムライインキュベートが投資する「軒先.com」などがある。

 


第1回TechLunch、3社のスタートアップが編集部に–5月からは月2回開催

4月10日に記事で案内したTechCrunch Japan編集部とスタートアップを結ぶランチ会「TechLunch」。募集開始から開催まで1週間しかなかったが、数十件の応募を頂くまでになった。応募頂いたスタートアップに感謝したい。

早速4月16日に開催した第1回TechLunchでは、東京・末広町の3331 Arts Chiyodaに、以下3社のスタートアップに来て頂いた。

・3.0incLive3」:「今夜何するか」を決めるために、当日のライブ情報などを配信するサービス。将来的にはチケット販売も予定。

・オープンロジオープンロジ」:小規模ECサイトなどを対象に、倉庫での商品保管から配送までを代行するサービス。5月にもサービスインを予定している。

・マスカチaorb」:表示される1つの画像が好みか苦手か、2つの画像のどちらが好きかをタップして回答していくアプリ。将来的にはマーケティングなどでの利用も検討する。

初回ということで少し準備に手間取ったが、当日はあいさつのあと、ランチをとりながらサービスに関する情報交換を実施。その後、3分間のプレゼンテーションと、質疑応答の様子を撮影させて頂いた。この内容は動画として紹介していく予定だが、第1弾となるオープンロジの記事を本日掲載しているので、是非チェックして欲しい。

さて今後のTechLunchなのだが、予想以上の応募を頂いたため、運営方針を変更して5月以降に継続することにした。まず今後の開催は毎月第2、第4水曜日としたい。次回の開催は5月14日、その次は5月28日の予定だ。応募は以前もお伝えしたページにて受け付ける。開催前週の前半にも応募頂いたスタートアップの中から2社程度に連絡させて頂きたいと考えている。

応募条件は前回お伝えしたとおり、法人登記後5年未満の起業家もしくは今後起業を予定する人物。参加者に対しては、11月に開催する「TechCrunch Tokyo 2014」内のプレゼンイベント「スタートアップバトル」への参加も呼びかけていきたい。TechLunchに興味を持った起業家たちは、まずは下記から申し込みをして欲しい。

TechLunch申し込みはこちらから

当日のプレゼンの様子


日本の数年先を行く、米FinTech業界の次のトレンドは?

編集部注:この原稿は本誌でも何度か紹介しているマネーフォワードの創業メンバーの1人、瀧俊雄取締役COOによる寄稿である。マネーフォワードは「お金に関する悩みや課題を解決したい」という思いから誕生したFinTechのスタートアップ。無料家計簿アプリ「マネーフォワード」や中小法人・個人事業主向けのクラウド型会計サービス「マネーフォワード for BUSINESS」を提供している。本稿では、大型調達が相次ぐアメリカのFinTech事情を解説するとともに、日本市場へのヒントを読み解いてもらう。

5000万〜1億ドルの大型調達が相次ぐアメリカのFinTech業界

TechCrunch読者であれば、FinTechという言葉はすでにご存じかもしれない。FinanceとTechnologyを合成した造語で、金融関連のスタートアップを示す用語として、この数年で市民権を得てきた。日々の報道からその盛り上がりが感じられる一方で、FinTechはどのような消費者ニーズに応え、進化を遂げているのか、あまり実感がないという人もいるかもしれない。ひと口にFinTechといってもその業態は多様で、わかりづらい面もあるだろう。私はそのような中、米国スタンフォード大学への留学やマネーフォワードの創業などの経験から、FinTechが手がける新たな問題解決の方向性を肌で感じる機会に恵まれてきた。本稿では、その中で得られた洞察を元に、全体像を俯瞰しつつ、日本市場への示唆を見ることとしたい。

従来、FinTechとは金融機関向けにサービス開発を提供する、どちらかと言えば大規模ベンダーを指す用語であった。しかし近年、FinTechにスタートアップのイメージが付随しつつある。その理由の一つとして、決済ビジネスにおけるメガベンチャーの台頭がある。古くはPayPalがあるし、最近ではスマートフォン決済を広めて脚光を浴びたSquare、EC向けツールであるStripeなど、新しい決済を体現したビジネスが生まれてきている。

そのプレゼンスの大きさは、米国の未公開株式市場を運営するSharesPostが自社ファンドで選定したベンチャー100社のリストにも表れている。同リストは、DropboxやEvernote、GitHubなどの当代を代表するメガベンチャーの一覧といえるが、その中で、金融関連では上記のSquareとStripeの2社がラインナップしている。

一方で、決済以外でも、FinTech産業では新たなプレーヤーが台頭してきており、5,000万〜1億ドル(50〜100億円)近い大型調達を行う事例が増えてきている。これらの事例を、既存プレーヤーと共に事業領域別に分類したのが図1である。

図1 米国FinTechの主要プレーヤー(B2Cを中心に)、(出所)筆者作成、調達金額はCrunchbase等を参照

FinTechの事業領域

プレーヤーを大きく分類すると、1)決済、2)会計サービス、3)銀行系サービス、4)PFM(家計・資産管理)ツールの他に、5)PFM+αといえる領域があるように思われる。それぞれの事業領域について詳しく見てみよう。

1)決済系のベンチャーとしては、スマートフォンを経由した決済や、ECサイトを経由した決済ツール等に関する、大規模なシェア争いがグローバルに行われている。決済市場は流通額に対する一定パーセントという巨大な手数料ビジネスである。その一方で、先日のSquareの身売り交渉の報道(真偽の程は不明)は、例えSquareのようなプレゼンスの大きな企業であっても、苛烈な競争環境に置かれていることを物語っている。

2)会計系サービスとしては、米国では中小企業向けには90%近いシェアを誇る会計ソフト最大手Intuit社のプロダクトに対して、いくつかのクラウド型会計ソリューションがシェアを奪おうと試みている点に注目したい。

その筆頭がXeroである。100カ国以上で20万を超えるユーザーを有する同社は、Intuit社の中小企業向け会計ソフトQuickBooksへの対抗馬として見られており、2億ドル以上の資金調達を行っている。会計分野では二大プレーヤーが火花を散らす中、他のプレーヤーとしては、経費精算に特化するExpensifyなどがある。

3)銀行系のツールとしては、Simpleが、既存の銀行の送金・貯金機能に対して、PFMツール的な色彩を加えたことが近年話題となった。Simpleでは、The Bancorp社の銀行のシステムインフラを借りることで、銀行での取引に「楽しさ」を加え、金融情報にライフログとしての味付けを持たせることに成功した。同アプリでは、日々の支出に写真やタグを付けて管理を行ったり、住宅購入に向けた目標別に、仮想口座を設定することができる。同社は、米国市場でのシェア拡大を狙うスペインの大手銀行BBVAに、創立4年にして1.17億ドルで買収されたこともあり、銀行産業自体の変革をも期待させる動きへと繋がっている。

他のベンチャーとしては、小規模の銀行向けにPFMツールを開発・納入するMoneyDesktopが注目される。同社は、調達額自体は少額に留まる一方で、ベンチャー系のベンダーとして、PFMツールやCLO(カードと連携した特典付クーポン)などの広告ビジネスなどを銀行に広めるなど、PFMの機能を銀行側から浸透させている点でも注目される。

4)PFM(家計・資産管理)ツールとは、日本的な表現をすると進化した家計簿である。この領域は、mint.comの存在なくしては語れない。2006年にローンチされた同サービスは、様々な金融機関の口座集約(アカウント・アグリゲーション機能)の技術を、洗練されたデザインで提供することにより、一気に国民的ツールに育て上げたプレーヤーである。同サービスは、設立3年目の2009年にIntuitに1.7億ドルで買収されたことも話題となった。

2009年以降、mint.comの買収に続けと言わんばかりに、口座集約機能を活用したPFMサービスのローンチは相次いでいる。その代表例はHelloWalletである。同サービスは、mint.comの有料版といえるサービスであるが、ターゲットを利用者個人ではなく、企業としている。同社は、企業が提供すべき福利厚生の一つとして「金銭的な健康(Financial Health)」を標榜しており、個人をカード破産や年金資金の早期引き出しから守るアドバイスを提供することを付加価値としている。お金に関するストレスが減れば、従業員と、ひいては会社の生産性を上げられる、というメッセージの元にサービスを展開をしている。カード破産が多いアメリカならではのビジネスといえるだろう。

また、最近話題となっているのがスウェーデンのベンチャーQapitalである。同サービスは、貯蓄に着目し、アプリ内に直接銀行に貯金する機能を付したアプリをリリースする予定と報道されている。従来全体像を把握し、ユーザー個人の行動にソリューションを求めることが多かったシンプルなPFMに対して、新たな付加価値を提供しようとする試みといえる。

このように、従来のシンプルなPFMサービスに加えて、近年では、5)PFM+αといえる業態が台頭してきている。この新しいトレンドとも言える、PFM+αについて、もう少し解説してみたい。

PFM+αのプレーヤー達

2009年以降、PFM(家計・資産管理)ツールの中では、資産運用や不正請求の防止、フィナンシャルプランニングといった、PFMの中でも特定のニーズに着目したベンチャーが台頭してきている。

・2007年創業のLearnVestは、オンライン上でユーザーとフィナンシャルプランナー(FP)を年間1~4万円のコストで提供し、貯金や投資に関するアドバイスを提供する会社である。同社では自動化されたアドバイスに加えて、人による助言を行うことで、何をすれば良いのかという「答え」を提供しており、拡大するユーザーベースを元に、6900万ドルを調達している。

・2007年創業のCheckは、クレジットカードの引き落としや、金額に対するアラートを提供するサービスである。口座集約機能のみならず。送金機能も付しているため、多くの米国人にとっての心配事である「引き落としの失敗」を未然に防ぐツールとなっており、クレジット・スコアの監視を行う有料サービスも提供している。同社は、これまでに4700万ドルを調達している。

・2009年に設立されたPersonal Capitalは、口座集約機能を持つPFMサービスを強みとしつつも、そのターゲットをユーザーの資産運用としている。同社ではユーザーごとにFP(フィナンシャルプランナー)がアドバイスを提供し、コストを抑えた資産運用プランを提供している(販売手数料はかからず、固定の運用報酬が課される)。累計では5400万ドル以上を調達しており、資産形成機能に特化したプレーヤーとなっている。

・2011年に創業したBillGuardは、クレジットカード履歴の監視サービスである。少額での不正請求や、身に覚えのない手数料などについて、従来であれば面倒で無視していたか、もしくは気付かなかったような支払いをデータベースから検知し、簡単な手続きで返還請求を可能とする機能を提供している。同社は累計で1300万ドルを調達している。

上記のプレーヤーの先駆者としては1996年に創業し、2010年に上場したFinancial Enginesがある。同社は、ノーベル賞学者ウィリアム・シャープを創業者とし、口座集約機能を用いたPFMツールを援用しながら、個人の年金資産運用に向けて、自動化されたアドバイスと運用を提供している。顧客数は75万人、運用資産は800億ドルを上回っている。

このように、PFM+αと呼べるこの業態では、具体的なニーズに対して、資産運用やアドバイスといった、具体的なソリューションを提供している点が、純粋なPFMとは異なっている(図2)。

図2 米国のPFMサービスのトレンド

PFM+αが生まれた背景

PFM+αと呼べるプレーヤーが出てきた背景としては、mint.comによるシンプルなPFM市場の独占、口座集約機能のインフラ化、より切迫する若者層の金融ニーズ、の3点がある。

mint.comはIntuitによる買収後、1200万人にまでそのユーザーベースを拡大した。サービスの使い勝手は長らく評価されており、連携するIntuit社の確定申告用ソフトTurboTaxも市場の6割以上のシェアを有している。そのため敢えて「シンプルなPFM」の牙城に攻めこむプレーヤーが出てきていないのが現状といえる。

次に、口座集約機能のアウトソースが可能な環境が整ってきたことが挙げられる。米国では、口座集約(アカウント・アグリゲーション)機能をIntuitとYodleeの2社が外部ベンダーとして提供している。近年、両者はビジネスインキュベーション的な観点から、同機能をユーザーあたり月額数十セントという価格で提供し始めている。そのため、口座集約のためのコスト面及び技術面でのハードルが下がり、スタートアップがより「問題解決アイデア」で勝負できるようになったという、土壌の変化がある。

最後に、米国の若者層における、金融危機以降のお金に関する危機感の高まりがある。UBSが公表したMillennials世代(米国の21-36歳の間の世代)を対象とする調査では、2008年の金融危機を経験したこの層の資産構成において、過半数を預金が占めていることが話題となった(図3)。同レポートでは、投資よりも借金の返済に勤しむ若者の姿が観察されてきており、従来の投資意欲の高く楽観的な米国人像とは対照的な、地道な問題解決を望む米国の若者像が浮き彫りとなっている。このような層に向けて、具体的な問題解決につながるベンチャーの台頭が待たれていた、と見ることができる。

図3 米国Millenials世代の資産構成、(出所)UBS Investor Watch Reportより筆者作成

日本市場への示唆

ここまでアメリカのFinTech事情を見てきたが、ここからは日本市場へのヒントを考察してみたい。

決済の世界では、日本市場ではCoiney、楽天スマートペイ、PayPal Here、Squareといったプレーヤーが競争を繰り広げている中で、冒頭にも述べたSquare身売り話の噂など、本国市場での意外ともいえる収益性懸念についての余波が、今後とも注視されるところである。

会計サービスの領域では、クラウド型会計サービスが、既存の大手会計プレーヤーとの差別化をいかに図っていくかが重要といえる。銀行系のアプリケーションについては、Simpleの銀行インフラを提供していたThe Bancorpのようなプレーヤーが出てくる変化があれば、銀行業自体に大きな変化が生まれる可能性もあるだろう。

一方で、PFMの展開について今後を見据えると、日本では近年、当社のマネーフォワードのほか、kakeibon、MoneyLook、Zaim といった、複数の個性ある家計簿アプリが、口座集約機能を実装して、お金の全体像を把握するサービスの展開を活発化させてきている。ユーザーが自らのデータをサービスプロバイダーに預け、その結果としてスマートフォンやウェブ上で、これまでは得られなかった全体像を把握する習慣が、ようやく緒に付いてきた段階といえるだろう。

シンプルなPFMのニーズの先には、+αといえる要素があるビジネスモデルが求められている。日本の若年層は数十年前の日本人と比べて、所得の安定や、将来に向けた備えなど、様々な形での自己責任を求められるようになった。この社会的背景の中で、資産運用や将来設計などの米国型のソリューションに加えて、より分かりやすい貯蓄・節約方法や加入する保険の見直し、ローンの管理など、より問題解決につながるビジネスモデルが今後は求められているのかもしれない。


【動画】最短2分で利用できる物流クラウド「オープンロジ」創業者の伊藤氏に聞く

物流アウトソーシングの新サービス「オープンロジ」の立ち上げ準備に奔走する創業者の伊藤秀嗣氏は、EC事業の立ち上げに10年関わっていた人物だ。流通総額50億円規模のEC事業に創業から入った経験から、「分かりにくい物流をもっとシンプルに」という問題意識で起業した。

オープンロジはEC・通販事業者、企業や店舗、あるいは個人でも最短2分でWebブラウザから利用できる物流のアウトソーシングサービスで、伊藤氏は「物流のクラウドサービス」と説明する。

出荷作業が面倒だったり、配送費用が高かったり、商品の保管スペースがマンションまたは社内の一室で管理していたり、商品の在庫出荷管理がデータ化できていない、といった課題を抱える比較的小規模なEC事業者などが、オープンロジの最初のターゲットユーザーだ。

特徴は管理UIの使いやすさ。一般的な物流サービスだと問い合わせから実際に導入するまで最短1カ月かかるというが、オープンロジは、これを最短2日で出荷できるほどシンプルにしているという。例えば一般にこうしたサービスはB向けなのでWebサイトに料金が書かれておらず、「問い合わせ→見積もり→提案→詳細見積もり→検討→契約→マニュアル→導入準備→利用開始」というステップがあるそうだ。導入後の入庫手続きも煩雑になりがちだという。オープンロジは、透明でシンプルな料金体系と手続きの簡略化で、小口や潜在顧客層を初期ターゲットとするという。

TechCrunch Japan編集部では、ゴールデンウィーク明けにもベータ版サービスを始めるというオープンロジの伊藤秀嗣氏に話を聞いた。サービス説明(約3分)と質疑の様子(約3分)は以下の通り。これは、新たに始めたTechLunchシリーズの第1弾の動画インタビューだ。


人気ニュースメディア運営者が教える注目を集めるプレスリリースの極意

最近新サービスのリリースに関わっていたこともあり、プレスリリースの確認の機会が何度かあったのですが、タイムリーにプレスリリースのティップスをニュースメディアの運営者自ら伝授してくれた記事を見つけたのでここに紹介します。PR作業の基本中の基本であるプレスリリースですが、効果的に活用できている企業は意外と少ないのではないでしょうか。メディア視点のアドバイスから学べることは新人からベテランまで多いかも。 — SEO Japan


[コンラッド・エグサによる寄稿]

まずは、この記事を寄稿する機会を与えて頂いた、スコット・モンティに感謝の意を伝えたい。

現在、企業のPRは、今まで以上に重要度を増している。この記事では、皆さんの企業のPRをさらに改善してもらうことを願って、PRのプロセスを分解して説明していく。

今回の投稿は、VentureBeatのライターとしての経験、 南米で2番目に大きな英語のニュースメディア「Colombia Reports」の共同オーナーとしての経験、そして、マーケティング代理店のBrownstein & Egusaの創設者としての経験を基に綴っている。 質問がある方は、コメント欄で尋ねてもらいたい。喜んで答えさせてもらう。

PRのプロセスの概要

企業は、待望の発表を行う際、プレスリリースを介して、メディアに伝える取り組みを行う。ジャーナリストのeメールアドレスにプレスリリースを送る企業もあれば、techcrunch.comのように一般的なメディアに接触する企業もある。

企業にとって難しいのは、ジャーナリストには、同じように大勢の消費者に知ってもらいたい企業から、多くの依頼が舞い込んでいる点である。

そのため、ターゲットのオーディエンスに接触する前に、狙いがはっきりしない、あるいは、適切ではないeメールを読むことに飽きた、疲れ気味のレポーターに注目してもらわなければならない。

この記事では、メディアで会社の特集を組んでもらう方法を説明していく。PRのプロセスでは、以下の構造が適用されることになる:

  1. ジャーナリストに接触するべきストーリーを認識する。
  2. 説得力のあるプレスリリースを作成する(冒頭から)。
  3. 知名度の高いメディアでの独占記事を確保する。
  4. さらに取り上げてもらうために多くのメディアにeメールを送信する。
  5. 3-4ヶ月おきに、このプロセスを新たな告知で繰り返す。

全てのニュースが取り上げる価値を持つわけではない

PRに初めてアプローチする際は、ジャーナリストに接触するべきストーリーを特定する必要がある。

残念ながら、ジャーナリストは、会社のニュースに興味を持っていない。例外はあるものの、例えば、ホームページのデザインを変更したニュースは、TechChrunchで取り上げてもらえないはずだ。

メディアに、常に登場することは重要だが、取り上げもらえる可能性が低いストーリーをジャーナリストに宣伝していると、信用を失ってしまう。

取り上げてもらえることが多い告知のタイプを以下に挙げていく。実際に該当する告知を用意しているなら、PRを行うために活用してもらいたい:

  • 会社の創設
  • 資金調達
  • 製品の立ち上げ
  • 買収
  • 販売の目標達成(モバイルデバイスによる250,000回のダウンロード等)

冒頭から全力を出す

ストーリーを特定したら、次に、プレスリリース、つまり、ストーリーをジャーナリストに説明するためのメディアの作成に取り掛かる。

取り上げてもらいたいなら、ジャーナリストがオーディエンスに向けて記事を書くことが出来るように、ストーリーを受け入れてもらえるeメールとプレスリリースを作成することを肝に銘じておくべきである。

現実の世界では、どれだけ第一印象が重要であっても、後で挽回する機会が与えられる。しかし、プレスリリースには、このルールは適用されない。

1行目で、後続の文章を要約する必要がある。なぜなら、1行目で要約に失敗し、説得することが出来ない場合、残りの文章を読んでもらえる可能性は事実上ゼロになるためだ。

プレスリリースの1行目では — なぜ注目する必要があるのか?と言う疑問に答えなければならない。これが「ストーリーライン」と呼ばれるものだ — 業界にとって、そして、読者にとって、会社、または、製品の何が、そして、なぜ重要なのかを説明することになる。

ストーリーラインの例を紹介しよう:

スタンフォード大学の博士号取得者 & パートナーは、言語のオンライン学習に革命を起こすことを目指し、2年の開発期間を経て、Lingua.lyに対して500,000万ドルの資金を調達することに成功した

大胆に、そして、興味を引くことが重要である — 曖昧になり過ぎるのは良くないが、かと言って、過度に具体的な情報を提供するのも良くない。説得力のあるストーリーを求めて、大量のeメールに目を通すことに疲れて切っている人物に注目してもらう必要がある点を忘れないでもらいたい。

1行で、書き手/読み手は、書く価値のあるものが存在するかどうか、そして、読む価値のある良質なストーリーがあるかどうかを判断する必要がある。

社会的証明

プレスリリースで社会的証明を提供するスキルが、成功を左右する。ジャーナリストは、自分、もしくは、会社のことを何も知らないと仮定しなければならない。

有名な大学を卒業したなら(スタンフォードやハーバード)、知名度の高い会社に勤務したことがあるなら(Facebook、Twitter)、何らかの賞をもらったことがあるなら、あるいは、経歴で何かしら特筆すべきことがあるなら、早い段階で紹介しておこう。

上のストーリーラインでは、この会社の創設者がスタンフォードの博士号を持っていることが分かる。ジャーナリストの注目を出来るだけ早く掴むことが肝要である。

最終的に多くの情報を伝える

質の高いストーリーを作るために必要な情報を全て手に入れた(そして、その他のデータを得るために、調査する必要がない)と自信を持って言える状態が理想的だ。

強調するべきポイントの概要を提供したら、次に情報を与える必要がある。出来るだけ多くの情報を与えよう。公平な視点で、この作業を行えば、ジャーナリストに、情報をより信頼してもらえるようになる。ここに具体的なプレスリリースの例を用意しているので、興味があるなら、是非チェックしてもらいたい。

独占記事を使ってPRにアプローチする

現代のニュースは、熾烈な競争を繰り広げる、多忙な業界であり、最新のストーリーを伝えるためにあらゆるメディアがしのぎを削っている。

プレスリリースを配信したいなら、特に人気の高いメディアに告知への独占的なアクセス権を与えることを薦める。

疲れ切った、過労気味のライターは、その他の大勢の疲労困憊のライターに売り込まれていることを感じると、そのストーリーに飛び付かなくなる。一方、オリジナルのコンテンツを伝える唯一のチャンスを与えると、注目してもらえる確率は高くなる。

大半の企業は、独占によって、注目度を高め、適切なソースに取り上げてもらえるようになる。

PRをドミノのようなイメージでとらえてもらいたい。 間違った駒を倒しても、何も起こらない。しかし、正しいメディアでストーリーを配信すると、規模の小さなメディアが後を追うようになる。運が良ければ、大手メディアが、探りとして利用している業界固有のソースからストーリーを取り上げる可能性がある。

さらにメディアへの露出を要請する

独占記事を確保して、記事がオンラインで配信されたら、その他の多くのメディアにeメールを送信し、掲載を要請すると良いだろう。 無料のテクノロジー分野のライターのリスト(eメールアドレスとTwitterのハンドル名付き)を時間をかけて集めたので、活用してもらいたい。

3-4ヶ月おきに報道する価値のある重要なストーリーを用意することが、PRの目標である。これを実現することが出来れば、トップ 10%どころから、1%に食い込むことが可能になるはずだ。

最後になるが、今一度、この投稿の機会を与えて頂いたスコット・モンティに感謝の意を伝えたい。私が答えることが出来る質問をお持ちなら、コメント欄で問い掛けるか、あるいは、conrad (at) brownsteinegusa.comにeメールを送り、尋ねてもらいたい。


この記事は、Scott Montyに掲載された「PR Advice from Former VentureBeat Writer」を翻訳した内容です。

プレスリリース、何となくフォーマットに合わせて無難にまとめ、一括配信サービスを使って大量にばら撒いて終わり、という流れ作業になってしまっている人も多いのではと思いますが、メディア視点で「ニュースに取り上げられるリリース」を作るためのアドバイス、私自身も色々反省と改めて気づきのあった内容でした。 — SEO Japan [G+]

クラウド型会計ソフト「freee」が8億円調達、給与計算ツールを今夏公開、アジア進出へ

クラウド会計ソフト「freee(フリー)」を運営するfreeeは23日、第三者割当増資を実施し、総額8億円を調達した。引受先は既存投資家であるDCMとインフィニティ・ベンチャーズ。DCMはシリコンバレーの大手VCで、シードラウンドから数えて3度目の投資となる。freee代表取締役の佐々木大輔によれば、来年にはアジア進出も視野に入れていることから、グローバル展開に強いDCMを中心とする既存投資家からの調達を決めたという。

freeeは、グーグル出身の佐々木大輔が2012年7月に設立。2013年3月にサービスを開始し、現在は7万以上の事業者が利用している。4月にWindows XPのサポート期間が終了し、インストール型の会計ソフトから乗り換るユーザーが増えていることや、消費税率の変更によって既存アプリのアップデートの波が来ていることから、2014年以降はユーザー登録のペースが年末の5倍に達する勢いで伸びているという。

この1年では、データを自動取得可能な金融機関を増やしており、現在は1600以上の金融機関と連携。このほか、モバイルアプリの開発AirレジやSquareといった外部サービスとの連携、カスタマーサポート体制の構築に取り組んできた。今回調達した資金ではプロダクト開発を強化。具体的には、給与計算や経費精算に代表されるスモールビジネスのバックオフィス業務を推進するツールを今夏までにリリースする予定だ。


“リブセンス仕込み”のキャッシュバック付き賃貸情報サイト、運営会社が1億円調達

賃貸情報は4月22日、グローバル・ブレインが運営するグローバル・ブレイン5号投資事業有限責任組合を割当先とする1億円の第三者割当増資を実施した。

賃貸情報は2012年9月の設立。賃貸情報代表取締役の金氏一真氏は、司法書士からジャスダック上場のアスコットに入社し、不動産ビジネスを手がけていた人物。取締役副社長の遠藤彰二氏はリブセンスの創業メンバーで、祝い金(キャッシュバック)付きアルバイト情報サイト「ジョブセンス」の事業部長などを務めた後に独立。その後ブルームの共同創業者となり「ドリパス」をヤフーに売却するなどしている。

同社が2013年11月から展開している賃貸情報サイト「キャッシュバック賃貸」は、賃貸情報の掲載料を無料にし、成約時に情報掲載者に課金するという「成約課金」型のサービスだ。借り主であるユーザーは、成約時にお祝い金として1万円以上のキャッシュバックを受けられる。このキャッシュバックの仕組みを導入することで、運営側で成約情報を把握できるようになっている。またキャッシュバック金額は掲載者が設定することが可能で、金額が大きい物件情報ほど検索結果の上位に表示するようにしている。

掲載物件数は現在98万5000件。今後は仲介会社のシステムとのつなぎ込みを完了すれば常時200万件程度まで物件情報は増える見込み。

”リブセンス仕込み”のビジネスモデル

賃貸情報サイトとといえば、ネクストの「HOME’S」、リクルート住まいカンパニーの「SUUMO」などが大手だが、それぞれ課金の方式が違う。SUUMOでは、掲載自体に課金する「掲載課金」、HOME’Sも以前は掲載課金だったが、現在は掲載自体は無料だが問い合わせがあった場合に課金する「反響課金」という課金モデルを採用している。

掲載課金であれば予算によって掲載できる物件数に限りがあり、その効果を計測することも難しい。そこでHOME’Sが採用したのが反響課金。だが反響課金で掲載数が増えたとしても一部の物件に問い合わせが集中するなどの不都合が起きる。それに対して成約課金は実際に成約した場合にのみ費用がかかるため、もっとも効率がいいという。ただしキャッシュバック金額によって表出順位が変わるため、どういった物件の注目度を上げるかなどは考えないといけないだろう。

「不動産は成功報酬でやっている世界なのに、広告は先払い。先払いの広告を排除するのは、不動産仲介業の悲願」とまで金氏氏は語るが、実際のところ、既存の事業者は相当数の営業マンを抱えていることもあってすぐにビジネスモデルを変更できないこともあり、成約課金にするのは難しいようだ。このあたりはジョブセンスを開始した当時のリブセンスとリクルートの関係にも通じるところがある。

なおこのキャッシュバック賃貸、現在6割のアクセスがモバイルからということもあり、今後はスマートフォン版の開発に注力していくそうだ。


Sprig、ランチ配送サービスを本格稼働。SpoonRocketと真っ向勝負へ

グルメな腹ペコさんはもっとたくさんいるはずだと考えたSprigが、ディナー配送に加えてランチ配送も開始した。以前の記事でもお伝えした通りだ。月曜日から金曜日まで、サンフランシスコ東部エリア限定でランチサービスのソフトローンチとなった。これにより、Sprigは、こちらもランチおよびディナーの配送サービスを行っているSpoonRocketと真っ向からぶつかるサービスを提供することとなった。この分野は、これからもいろいろな動きがあるのではないかと注目しているところだ。

ランチ配送サービスでは、たいていのレストランよりも安価でヘルシーなランチメニューを、温かくておいしいままに配達してくれる。SprigおよびSpoonRocketの双方ともに、メニューを絞って大量の数を作り、そして車に積み込んでサービスエリアをあちこち巡回しているのだ。こうして、いつでも配送先の近くにいるという状況を作り出している。SprigないしSpoonRocketのサイトやアプリケーションからオーダーすると、直ちに品物を届けてくれる。

Sprigの共同ファウンダー兼CEOのGagan Biyani曰く「良い物を直ちに」というのが基本方針であるとのこと。SprigとSpoonRocketは競合関係にあるわけだが、家庭における食習慣に変革をもたらすことができるかという意味では協力しあっていく関係にあるともいえる。自炊、テイクアウト、そして通常のデリバリーに、少品種ながらも即時配達してくれるサービスを根付かせることができるかがキーとなる。Biyani曰く、消費者はこれまでの選択肢に決して満足しているわけではなかったのだとのこと。それでサービスを立ち上げたわけだ。その目論見はいまのところあたっており、Yelpでは5つ星のレーティングを受けている。

SpoonRocketとの比較でみた場合、Sprigは配送時間がやや長めで、料金も高い。ただ、その分だけハイクオリティなものを提供している。ランチの提供は月曜日から金曜日の午前11時から午後2時までで、フィナンシャル地区、SoMA、ミッションベイ、そしてドッグパッチを対象としている。郵便番号でいうと94103、94104、94105、94107、94108、94111、および94158のエリアとなる。ディナー配送エリアよりも狭い範囲でのサービス提供開始となっている。

Sprigが提供しているメニューはサンドイッチ、トルティーヤラップ、そしてサラダなどの日替わりメニューで、少なくともそのうちひとつはベジタリアンメニューで、またグルテンフリーのものも用意される。料金は9ドルほどで、ここに2ドルの配送料が加わる。今日のメニューをみてみると、ステーキとマンチェゴチーズのサンドイッチ、チキンのバルサミコソースサンドイッチ、オレンジとファッロを使ったビーツサラダとなっている。TechCrunchのライターであるRyan Lawlerはメニューを早速試してみていた。サンドイッチもサラダもおいしく、量もたっぷりだとの感想だった。

SprigおよびSpoonRocketの双方ともに、この1ヵ月以内に1000万ドル程度の資金調達ラウンドを実施している。サプライチェーンを整理して、市場拡大を行って「食事版Uber」(Uber For Meals)を目指していくことになる。Biyaniによると開発、デザイン、マーケティング関連などの採用活動も積極的に行っているとのこと。そんな中、もっとも難しいのがやはり物流面なのだそうだ。「素材を選び、調理を行い、そして迅速かつ効率的な配送が必要となりますが、そのそれぞれにも、そして全体の流れにも困難さがつきまといます」と言っている。

「いつでも健康的でおいしい食事を提供しようというのがサービスの目的です」とBiyaniは述べる。「いつでも」ということは、もしかして朝食配送なども行おうと考えているのだろうか。「朝食デリバリーの良い方法が見つかれば、そちらにも手を伸ばすかもしれませんね」と、笑いながら応えていた。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


絶対に失敗するスタートアップの創設者が言いそうな10の迷言集

ちょっとした面白ネタかと思って読んでみると、意外と考えてしまう一言もあったり。 — SEO Japan

自分のためにこのソフトウェアを作ったら、もともと私が思い描いていた通りの製品を大勢の人達が求めていることが判明した。

数名従業員を採用すると、CEOの仕事が随分と楽になり、差し迫った問題の処理に追われるのではなく、ハイレベルな戦略計画に力を入れることが可能になった。

インターフェースのデザインとコードの記述を行う前に、顧客候補について、あんなに時間を割いて考えるべきではなかった。

LLC、S法人、もしくは、C法人を形成するかどうかの判断は、スタートアップを成功に導く上で、大きな影響をもたらした。

会社の売却は、簡単に決めることが出来た。しかも、社員全員が同じ意見だった。

この会社が、従業員のいない新しい会社であり、ソフトウェアがバグだらけである点を、最初の数名の顧客に気づかれずに済んだ。これは演技力の賜物だ。

ソフトウェアの特許を申請したおかげで、ライバルは現れなかった。

最も効果的なマーケティングキャンペーンは、バズワードと曖昧な主張で固めたものだ。

MBAを取得していなかったため、他の人達よりも会社を作ることに苦労した。

道徳的、経済的に賢明だと思ったことに飛び付き、取り組みを始めるのではなく、もっと多くの文献を読んで、メリットとデメリットを熟考すればよかった。

コメント欄でさらに名(迷)言を紹介してもらえると嬉しい


この記事は、A Smart Bearに掲載された「10 things I’ve never heard a successful startup founder say」を翻訳した内容です。

最初の2つは特に深いと思いました。中には「自分のためにこのソフトウェアを作ったら、もともと私が思い描いていた通りの製品を大勢の人達が求めていることが判明した」ケースも無くはないと思いますが、それってホントに例外中の例外ですからね。ちなみにコメント欄にも「開発者をロックスターか忍者と呼びかどうかで議論した。」「起業の勉強は全てブログを読んで学んだ。」など色々書かれていて面白かったです。 — SEO Japan [G+]

渋谷のITベンチャーにじわり浸透、野菜版オフィスグリコ「OFFICE DE YASAI」

オフィスで長時間働くビジネスパーソンの小腹を満たす“置き菓子”サービスとして人気の「オフィスグリコ」。その野菜版といえる「OFFICE DE YASAI」が22日、都内の一部エリアで正式スタートした。企業に週1回、ハンディサイズの野菜や果物を届けるサービスで、今年1月にベータ版を開始。現在までにサイバーエージェントやクラウドワークス、nanapiなど渋谷のITベンチャーを中心に40社が導入しているのだという。

スタッフが毎週オフィスを訪問し、商品の補充と代金の回収を行う「富山の薬売り」方式のサービス。野菜や果物は農薬や化学肥料の使用を抑えたという産直品。これまでにトマトや金柑、自家製味噌で作ったディップ付きのきゅうりやにんじん、いちごなど、洗わずにそのまま食べられるミニサイズの商品を提供している。今後は、レンジの使用を前提とした「じゃがバターセット」などの新商品も投入する予定だ。

導入する企業は、商品の代金を企業が全額負担する「レギュラー」、従業員各自が代金を支払う「パーソナル」、企業と従業員が代金を折半する「ライト」の3種類のプランから選べる。商品は1パック100円〜300円。毎週約20パックが届き、1カ月に1万円程度で導入できるという。レギュラープラン以外では売れ残った商品の金額を運営元のKOMPEITOが負担し、売れ行きに応じて配送する数を調整する。無償貸与されるA3サイズ(幅340×奥行390×高さ475mm)の小型冷蔵庫を設置するスペースを準備すれば、商品と電気代以外に費用はかからない仕組みだ。

無償貸与されるA3サイズの小型冷蔵庫

企業としては、お菓子の代わりに野菜や果物を用意することで健康志向の従業員の満足度向上を図れるのがメリット。実際に導入したサイバーエージェントでは、朝食代わりに利用する社員がいたり、朝ミーティングの前に配っていたりしていて、手軽な栄養補給とともに組織の潤滑油としての効果を発揮しているのだとか。

KOMPEITO代表取締役の川岸亮造

一方、農家はこれまで「規格外品」として廃棄処分していたミニサイズの農作物を産直販売することで、高付加で販売できるのが利点。農家としては「大きくて見栄えの良い商品」に価値があるのが常識だが、オフィス向けでは「小さくて食べやすい商品」に価値が生まれるのは魅力といえそうだ。

現在の配送エリアは渋谷区や新宿区、港区、東京駅周辺。商品はサービスを運営するKOMPEITO代表取締役の川岸亮造の自宅と、オフィスの2拠点の冷蔵庫で保管し、3人が自転車で配送している。生鮮食品だけに夏場は商品の劣化も予想されそうだが、今後は「都内にある飲食店の業務用冷蔵庫の遊休スペースを借り受け、そこから配送する体制を整えたい」と川岸は話している。

野菜版オフィスグリコのようなサービスは健康志向もあいまってアイデアとしては面白いが、ビジネスがスケールするかが課題となりそう。例えば、現在導入済みの40社や、北海道から九州にある契約農家は、川岸ら同社のスタッフが直接足を運んで受注していたり、商品の一部は自社でパック詰めしている。今後はウェブ経由で企業や農家とやりとりできるようにしたり、配送スタッフを強化するための資金調達も視野に入れている。年内に1000拠点の導入を目指すという。

(文中敬称略)


Whisperライクな匿名画像共有アプリ「Pictory」が月間200万PVに–自撮りで炎上しない世界の実現を目指す

月間アクティブユーザー12億人を越えるFacebook。そこでの開かれたコミュニケーションと逆行する形で、10代の若者を中心に、クローズド、匿名といった特徴を持ったサービスが登場し、注目を集めている。

送信したメッセージや画像が数秒で消えるメッセンジャーアプリの「Snapchat」、匿名で画像とつぶやきを投稿できる「Whisper」、FoursquareやInstagramのチェックイン情報をもとに、知り合いと出会わないようアラートを出す「Cloak」など、そのアプローチもさまざまだ。

日本でも同様の傾向があるのか、Whisperライクなサービス「Pictory(ピクトリー)」が賑わいを見せはじめているという。PictoryはAndroidアプリとPCで利用できるサービスで、カクテルが1月に公開した。ユーザーが持つ画像を加工してアップロードし、テキストを入れた作品として匿名で投稿、共有できる。投稿した作品にはお気に入りに入れたり、匿名でコメントをつけたりできる。ノンプロモーションながら月間の投稿数は1万4000件、月間200万ページビュー(PV)まで成長しているという。

特徴的なのはアクティブユーザー1人あたりの投稿数だ。アクティブユーザーの実数は答えてもらえなかったが、3月のアクティブユーザ1人あたりの平均作品投稿数は1日0.45件と、2人に1人が1日1回投稿をしているという状況だという。メインユーザーは10代の学生。そのため、下校時間となる夕方から深夜にかけてトラフィックが集中する傾向があるという。

「自撮り」でも炎上しない仕組み作り

僕が投稿された画像を見て気づいたのは、「Selfie」、いわゆる「自撮り」画像の多さだ。多くのユーザーが自分の写真や友人、カップルでの写真にテキストをつけてアップしているのだ。そしてそこには独り言やポエムから、自分のメイクが可愛いか、ファッションがおしゃれかといった質問など、さまざまなメッセージが添えられている。

自撮りが多いと気になるのは、それらに対する罵詈雑言のコメントだ。Pictoryでは——悪質なユーザーに対策がなされる可能性もあるとして詳細な方法は聞けなかったが——クラウドソーシングを使った人力での監視やテクノロジーを組み合わせることで、「自撮り画像をアップしても『危険』と言われない、居心地のいい場所を作っており、変な方向に荒れたりしないようにしている」(カクテル取締役CTOの天野仁史氏)とのことだ。公序良俗に反する画像、コメントも削除しているそうだ。

インキュベイトファンドのほか、メルカリ山田氏やモイ赤松氏が出資

カクテルは2012年の設立。インキュベイトファンドのほか、メルカリ代表取締役の山田進太郎氏やモイ代表取締役の赤松洋介氏が出資をしている。

同社ではこれまでTwitterやFacebookとは異なるソーシャルグラフの構築を目指してサービスを開発してきたという。それは実名制でもなく、決まったタイムラインがあるわけでもない、かといって「出会い系」にもならないもの——現在代表取締役を務める水波桂氏はこう語る。

今後はダイレクトメッセージ機能をはじめとしたコミュニケーション機能を強化する。「『匿名かつ居心地のいいところ』ができないかを考えている。友達やつながりを持てて、でもその関係をリセットできたりというもの」(天野氏)

そのほか、画像の検索機能やiPhoneアプリの提供などを予定する。ただしiPhoneアプリに関しては、「開発サイクルの早いAndroidアプリで機能が一通りそろった時点で提供していきたい」(天野氏)


Labit、「すごい時間割」の事業を譲渡へ–時間割共有サービスは「体力ある場所で成長させるべき」

設立から3年を迎えたばかりのLabitが大きな決断を発表した。同社は4月18日、自社で開発・運営する「すごい時間割」および学生領域の事業について、ジョブダイレクトに対して譲渡することを合意したことを明らかにした。7月をめどに事業譲渡を完了させるとしている。

譲渡先となるジョブダイレクトは、リクルートホールディングスの100%子会社で、求人情報サイト「ジョブダイレクト」を運営している。Labitは、2012年9月にリクルートの投資子会社リクルートインキュベーションパートナーズ2号R&D投資組合を引受先とした第三者割当増資を実施。その後相互送客や共同プロモーションをはじめとした取り組みを進めてきた中でジョブダイレクトへの事業譲渡を決めたとしている。今回の事業譲渡に伴う役員や社員等の異動、資本関係への影響はないという。

Labitによると、すごい時間割のユーザーは累計約20万人。2013年度で10万人のユーザーが増えたという。また、登録された講義データは累計110万件以上になる。総務省の統計データによると、2012年の大学生(学部)は256万人。決して多くの大学生が利用している状況ではなく、以前の取材で掲げていた目標には満たなかったが、「ユーザー数は全国1100大学以上に分布しており、ロングテールの図を描いている。感度の高い大学生が全国で広く浅く認知して利用しているのは特徴的な事例だと考えている」(labit創業者で取締役の鶴田浩之氏)としている。また事業譲渡の理由について、「これからのグロースのためには『マスに向けた施策』が必要不可欠。サービス、ユーザーのためにリソースの限られたスタートアップ企業での運用が適切かどうか慎重に検討した」(鶴田氏)とした。

鶴田氏、そしてLabit共同創業者で代表取締役社長の西尾健太郎氏の話から見えてきた、ユーザー増加のペースを遅らせた理由は“時間割”というサービスそのものの特性にあったようだ。

すごい時間割のユーザーグロースを期待できるのは、大学の前期、後期の講義を決めるタイミングのみ。そうなると当然、年間でも多くて2つの時期しか施策を実施できない。その影響は、Labitがサービスを設計した時点での想定を上回るものだったのだろうか。

現在事業の譲渡が完了していないこともあり、詳細については回答できないとするLabitだが、すごい時間割の事業譲渡後も「これからも西尾、鶴田の二人三脚で新規事業に挑戦する」(西尾氏)「2014年になって2人が入社し、直近でも5、6人にアルバイトをお願いしている。次のサプライズに向けて準備している最中」(鶴田氏)とした。

 


BeatroboがローソンHMVエンタテイメントなどから110万ドルを調達–「PlugAir」事業を加速

Beatroboは4月21日、ローソンHMVエンタテイメント(LHE)と Genuine Startupsから110万ドルの資金調達を実施したことを明らかにした。米国デラウェア州に登記するBeatroboだが、1月に100%子会社となる日本法人を設立。まもなく日本オフィスを代々木に移転、拡張する。

同社では、最初のプロダクトであるソーシャル音楽共有サービス「Beatrobo」に加えて、スマートフォンのイヤホンジャックにデバイスを挿して音楽を再生したり、デジタルコンテンツを配信できるデバイス「PlugAir」を開発している。今回調達した資金をもとに、PlugAirの開発や人員強化を進めるとしている。

LHEといえば、エンターテインメントやイベントのチケット販売、CDやDVDのオンライン販売などを手がけている。同社に対しては、今後国内でのPlugAirの製造に関するライセンスを提供することも予定する。これによって製造コストなどの課題をクリアして、PlugAirの普及を狙う。PlugAirは、これまでに米ロックバンドLINKIN PARKのファンクラブ向けグッズとして提供されたほか、Universal Musicやアミューズ所属のアーティストの楽曲販売、ツアーグッズとして提供された実績がある。今後はこういった事例も増やしていくという。

デバイスとしてのPlugAirの動作は、専用アプリを立ち上げてスマートフォンのイヤホンジャックに指すことで固有のIDを認識。そのIDに合わせてクラウド上の音楽や動画をアプリ上にダウンロードしたり、ストリーミング再生したりできるというものになる。アプリへのプッシュ通知にも対応しており、定期的なコンテンツ配信も実現するという。端末には電池を搭載しておらず、スマートフォンから発せられる音波を電力に変えることで給電している。

「IDのない世界」目指す

今回の調達について語ってくれたBeatrobo CEOの浅枝大志氏の発言の中で心に残ったのは、PlugAirが「ID、パスワードの概念を取り払う」という考えのもとに作られたサービスだということだった。

実はPlugAirには、「親」と「子」の関係も設定できる。つまり最初にアクティブにした端末を「親」、それ以外を「子」とすることで、PlugAirの持ち主(親)にはフルアルバムの音楽ファイルを、その友人(子)には再生期間や楽曲数を制限した試聴版の音楽ファイルをそれぞれ提供するといったこともできるのだという。

このような形でIDやパスワードを入力せずともユーザーを特定できる仕組みを作りたいと浅枝氏は語ってくれた。「友人にPlugAirを紹介して、その場で手渡して使うときに、(IDなどを取得、入力せさる必要のない)手軽な価値を提供する」(浅枝氏)。


資金調達の好機: VCのスタートアップ投資がバブル崩壊以降の新記録を達成

今は、猫も杓子も資金を調達して会社を作ろうとしているように感じられる。それには理由がある。まさに彼らは今、確かにそうしているからだ。二つの研究調査によると、成長期にある非公開企業がベンチャーキャピタリスト(VC)たちから調達した資金の額は、2001年以来、今が最高である。

MoneyTreeの調査では、今年のQ1に調達された総額は94億7000万ドルだ。この数字は、2001年のQ2に記録された115億ドルから今日までで、最高である。ちなみに前年同期は60億1000万ドルという、ほどほどの額だった。

もうひとつ、DJX VentureSourceの調査では、今年のQ1の投資額が100億7000万ドルで、2001Q2は上と同じく115億ドルだ。

どっちが正しいかはともかくとして、トレンドは明白だ。今は大量のドルが資本市場に投入されて、投資家たちはあらゆるステージの企業に資金を注入しようとしている。NASDAQは高く、IPOの窓が開き、そして豊富な現金を抱える業界の巨人たちがより多くの人材と製品を買おうと躍起になっている。

バブルか? 答は人によって違うが、今が金の動き的には保守的な時代だ、と真顔で言う人は一人もいないだろう。SquareのIPOが遅れている、Box’のS-1が疑問視されている、Kingの公開人気がないなどの傷(きず)はあるけど、そのほかの企業は公開による新たな資金の導入にきわめて積極的だ。

そんな例は山ほどある。

ただし、物差しは正しい物差しを持つ必要がある。上の数字は、投資の水準が2001年半ばのそれに達した、と言っている。しかし、その前については何も言っていない。BusinessInsiderの、いみじくも“VCの投資はドットコムバブルのころのレベルからほど遠い”と題された記事は、下のようなグラフを載せている[データは上記のMoneyTreeの調査より]:

つまりVCの投資は、2001年の大きな爆発以前と比べれば今の方が記録的に高いのだが、この前のバブルに比べると依然として小さいのだ。

2008年のクラッシュの前では、2007Q4の84億5000万ドルがVC投資の最高だが、しかし2000Q1/Q2では280億ドルとバブっている。それは、今の水準のほぼ3倍である。そして今、資金は主に、売上9桁以上の、安定した大企業に行くことが多くなっている。

市場の均衡は完全でなく、相当な額の愚かなお金が、愚行へと投資されている。でも2014Q1の全体としては、成熟期の大きなトップ企業へ大金が行く傾向から見ても、パニックにはほど遠い。

画像: FLICKR/Luz Bratcher; CC BY 2.0のライセンスによる(画像はトリミングした)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ディナーのみだったSprigもランチ配送に参入。サンフランシスコ・ランチ配送戦争の勃発か?!

ランチ配送サービスを行っているSpoonRocketに、競合サービスが登場してくることとなりそうだ。現在は夕食のみのデリバリーを行っているSprigがマーケットに参入してくるようなのだ。この話をしてくれた人によると、現在Sprigは日々1000食の配送を行っているとのこと。2週間前にシリーズAにて1000万ドルを調達し、消費者の胃袋をターゲットとしたサービスを直ちに拡大していく戦略のようだ。

この情報を受けて、SprigのCEO兼共同ファウンダーのGagan Biyaniに電話をかけてみた。Biyaniもランチデリバリーへの参入を認め、現在は配送に関わる詳細を詰めているところだとのことだった。ほとんどの準備は整っているが、実際に動き出すぎりぎりまで、詳細を詰めていくことにしているとのこと。

実のところ、こうした食事配送を行う各種サービスには、かなり興味を持っている。内容も面白さもUberやLyftを思い起こさせる。

両者ともにオーダーは簡単だ。SprigないしSpoonRocketのアプリケーションを起動して、表示される料理からオーダーするものを選ぶ。

SpoonRocketの方は8ドル(プラス税)で、サンフランシスコおよびイーストベイエリアに配送してくれる。配送にかかる時間は10分ほどだ。価格は安く届けるのにかかる時間も短いが、料理はときに固かったり、ぱさついている感じがすることもある。

Sprigの方は(現在提供している夕食の話だが)料理の価格が10ドルで、配送費が2ドルとなっている。サンフランシスコのほぼ全域を対象地域としており、平均18分でオーダーした料理が届く(もちろんもっと長くかかることもある)。食事のクオリティはなかなかのもので、ボリュームもたっぷりだ。

SpoonRocketでの配送時間について、これまでの最高記録はなんと3分だ。自分でピーナツバター付きの食パンを用意するよりもはやいくらいの時間だ。レストランにいくよりもはるかに安上がりで、あっという間に空腹を満たしてくれるのは本当にすごいことだと思う。

時々、あまりにもお腹が空いてしまって、、ランチやディナーに出かけようにも、ともかく何かをお腹に入れなければ動き出すことすらできないことがある。こんなとき、SpoonRocketがとても役に立つ。しかしちょっと余裕があって、そしておいしいものが食べたいというときならSprigを使いたい。これからはランチタイムにもSprigが使えるようになる。

Sprigはこれまでにベータテストも完了し、参入準備もほぼ整っているらしい。ランチの提供時間は、月曜日から金曜日の11時から14時を予定しているそうだ。もちろん、まだ変更の可能性はある。ディナーについては現在月曜日から木曜日の17時30分から21時30分の間で提供しており、これに加える形でランチサービスを開始することになる。これまでのところ、サンフランシスコに8つの配送センターをかかえるまでになっており、1日に1000食をデリバリーしている。CraigslistSprigのサイトにて、ランチに対応するための人材を募集しているところだ。

今のところSprigとSpoonRocketの双方ともに、サービスとして完全に定着したという段階にはない。しかも提供地域がサンフランシスコ限定だ。Sprigは3月にGreylockの主導で1000万ドルを調達し、そしてSpoonRocketの方もFoundation CapitalおよびGeneral Catalystによる1000万ドルのラウンドを完了したところだ。双方ともに、ロジスティクス面の強化をはかり、そして顧客を拡大し、サービスを定着させたいと狙っているところだ。

今後はUberとLyft間で繰り広げられ、サンフランシスコにおけるサービス価格を押し下げることとなった価格競争のような状況になることも考えられる。激しい戦いの末、みんながお腹いっぱいで大満足というような話になればめでたしめでたしなのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H


元Appleの人気エヴァンジェリストGuy KawasakiがクラウドソースのデザインSaaS Canvaに参加

90年代後半のAppleのエヴァンジェリストGuy KawasakiがオーストラリアのクラウドソーシングのデザインサービスCanvaに加わり、ほとんど20年ぶりに彼の‘本業’に復帰することになった。これまで彼は、起業家たちにコンサルしたり、TruemorsやAlltop(2008年)といったサイトを作ったりしていた。

Kawasakiは声明文の中で、こう述べている: “Macintoshはコンピュータを民主化し、Googleは情報を民主化し、そしてeBayは商業を民主化した。これらと同じ意味で、Canvaはデザインを民主化する。ひとつの大きな分野を民主化できるチャンスはめったにあるものではないので、Canvaで仕事ができるという機会を逃(のが)したくなかった”。

Guyは、Canvaのグローバル化を助ける、と同社は言っている。今Canvaには、毎週10万の新しいデザインが、33万あまりのユーザから寄せられている、という。

2012年に創業したCanvaは昨年、Matrix PartnersやInterWest Partners、500 Startups、それにGoogle MapsのファウンダLars RassmusenやCharles River VenturesのBill Tai、YahooのCFO Ken Goldmanなどのエンジェルたちから300万ドルのシード資金を獲得した。そのとき、このオンライングラフィックデザインサービスはユーザ数32万、寄せられたデザインは100万を超えていた。

本誌TechCrunchのSarah Perezの昨年の記事にもあるように、Canvaは人びとがデザインを作りたい、デザインでコラボレーションしたいと思ったときにデフォルトで利用するツールでありたい、という。そのために使いやすいドラッグ&ドロップのインタフェイスと、100万を超える素材(写真、グラフィクス、フォントなど)を提供している。

CanvaのCEO Melanie Perkinsはこう語る: “Canvaのユーザたちは7か月で150万あまりのデザインを作った。CanvaのChief EvangelistとしてGuyを迎えることはとても嬉しい。彼のような立派な人物がチームに加わってくれたことは、Canvaのビジョンが社会的に高く評価され認められたことの証(あかし)でもあるので、そのこともすばらしい”。

Canvaは、今成長株の、デザインをSaaSで提供するという業態に属する。この畑の大物はもちろん、AdobeのCreative Cloudだが、Canvaもまた、クリエイティブの世界に大きな変化をもたらそうとしている。

写真: Flickr/Ted Murphy; CC by 2.0のライセンスによる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


サステイナブルとは程遠い「成功」する企業の危うさ

少し前にアメリカのベンチャー界隈で話題になったサービス立ち上げ前から41億円の資金調達をして話題になった写真共有アプリといえばColor。SEO Japanでもその経緯を記事にしたことがありますが、その主役はサービス以上に創立者のグエン氏。米国で数々の事業を立ち上げどれも数十億単位で売却やIPOをさせてきた彼(グエン氏はAppleに80億円で企業売却した経験あり)ですが、そのどれもが今日は破綻状態なのもまた注目を浴びる1つの理由でもあります。そんな彼を巡る逸話の数々と、そこから考える皆が成功を信じたにも関わらず成功が長続きしなかった企業が多数ある現実について考えた、バズワードを越えたバズカンパニーとそれに驚される私たちのの悲劇、いや喜劇を、自らも地道に活動を続ける起業家が語る。 — SEO Japan

マスコミ、または、シリコンバレーで通用する「成功を勝ち取る起業家精神」は、どう考えても普通ではない。しかし、その罪をマスコミやシリコンバレーに擦り付けることは出来ない。

確かに画質は良くなったけど、内容は相変わらず最低だね

まず、シリアルアントレプレナーのビル・グエン氏(7番目のスタートアップ「Color」は、立ち上げられる前に4100万ドルの資金を獲得したことで有名)に関する素晴らしいFast Companyの記事を読んでもらいたい(因みにColorの立ち上げは失敗し、破産した)。辛口の投資家として知られるポール・ケドロスキ氏は、Colorの評判を次のように表現していた:

「ネタになる。ベンチャーキャピタルのイベントで、いきなり「Color」と言えば、会場は爆笑に包まれる」

しかし、以前は、全く逆の反応が起きていた。立ち上げに失敗する前、Colorに関する意見を求められたことがあった。私はColorが何なのかよく分からないと答えた。すると、モバイルを理解していないのではないかと指摘された。恐らく、その通りなのだろう。しかし、それでは説明になっていない。

ビル・グエン氏は、この曖昧なアイデアに対して、どのように4100万ドルの資金調達を成功させたのだろうか?6つの会社を成功に導いていた実績があったためだ。これは十分に妥当な理由である。常軌を逸したアイデアに支援する価値があることを証明するには、これ以上役に立つデータはない。そして、グエン氏はプロジェクトに着手し、資金を獲得するまでピボットを続けていく。

しかし、私が考える「成功」の定義は異なる。以下にグエン氏の実績を挙げていく(Fast Companyの記事から抜粋した):

  • Forefront — CBTが1995年にIPOを行う。CBTの株価は1998年に85%下落し、集団訴訟に発展した。
  • Freeloader — 300万ドルの資金が投じられ、1996年に3800万ドルで売却されるものの、その翌年に閉鎖。
  • Support.com — 250万ドルの資金が投資され、32ドル/株でIPOを実施した。現在は2/株に低迷。
  • OneBox.com — 6000万ドルの投資を受け、サービス開始から18ヶ月後に8億5000万ドルでJ2に売却される。その後、閉鎖に追い込まれる。
  • Seven — 6000万ドルが投資される。今でも非公開会社の状況であり、IPOの申請を却下された。
  • Lala — 3500万ドルの投資を受け、8000万ドルでAppleに売却されるものの、6月に閉鎖が決定。

上のデータには1つのパターンが存在する: 事業を構築し、魅力的な株主の価値を創り出し、失敗する。

一方で、買った企業が、扱いに失敗しているのであり、グエン氏の責任ではないと言う考え方もある。しかし、購入した会社の全てが、愚かな対応を行ったのだろうか?そんなことはないはずだ。Smart Bearは、私が売却した後も、2008/2009年のリーマンショックをものともせず、収益と利益を5年連続で増やしている。IT WatchDogsを2005年に売却した後も、同じように収益は増加の一途をたどっている。

グエン氏の事業に投資を続けたVCも理性的な取り組みを行っていたはずである。砂上の楼閣が、必然的に崩れる前に、非公開株式の投資機関は、相当な利益を獲得する。グエン氏は、給料日まで魔法が解けない仕組みを理解しているのだ。

魔法と言う表現は大袈裟ではない。グエン氏と仕事をしたことがある人達の発言を読みながら、グエン氏を突き動かすのが、真実なのか、偽りなのか考えてみてもらいたい:

「大勢の営業スタッフが、現実と可能性の境界線をぼやかして、契約の締結に向けて、前進している。グエン氏は、意図的にこの境界線を軽視することに喜びを感じているように思える。」– Fast Companyの匿名希望の情報ソース

「グエン氏は、世界最高の絵描きを雇って絵を描くものの、絵に値する深みを与える語り手が欠けている。グエン氏は、自分の味方につけるスキルにおいてはジョブズ氏に引けを取らない。」– LalaのCEO & Colorの役員 ジェフ・ラルストン氏

「ビル・グエン氏は、相手が買いたくなるくらい、自らの発言を相手に信じてもらうことが出来る。まるで「ジェダイ」のような人物だ。」 — SevenのCEO、OneBoxの元CEO ロス・ボット氏

個人的には、欺く行為よりも、ダン・ライアンズ氏が言っていたように、持続可能だと心から信じていたものの実は持続不可能な会社が台頭していることが問題だと思う。

例えば、Grouponは、誰もがそのアイデアの素晴らしさを認め、真似する企業が続出した。しかし、成長、そして、営業に対して投じられた資金は、長期的な利益をもたらすことなく、また、小規模な店に対する製品の実際の価値は、同社の主張よりも遥かに低いことが判明した — 顧客を増やす取り組みを少しでも行えば、この点は明らかになるはずであった(レストランの経営者に訊いてもらいたい)。そのため、130億ドルの価値を見積もられてIPOを行ったものの、前月比の株価は、4分の1に落ち込み、既存のインフラが役に立つ、新しい、巨大なマーケットを探しながら、「常にピボットするモード」に移行したようだ。要するに、Grouponは、製品/市場のフィットを探す取り組みに戻り、巨大な市場(そして、がっちりと一致する市場)を見つけることでしか、多額のコストを相殺し、過去の投資資金を返済することが出来ない状態に追い込まれているのだ。

あるいは、Zyngaの例もある。同社は、Facebookをベースとした人気ゲームを次々に作り出し、ある程度の規模になるまでは、収益面でバランスが取れていたものの、現在の規模を維持することが出来るほどのイノベーションを続けられるとは思えない。また、同分野でゲーム(Draw Something等)がヒットする度に、当該のゲームを買収しているが、その直後に人気、そして、価値は急落している(Draw Somethingを2億ドルで買収したものの、1ヶ月後には、アクティブユーザーが500万人減った)。1年弱前にIPOされた当時の株価は10ドルであったものの、現在は2.43ドルに低迷しているのは、当然と言えば当然である。

このような企業は、グエン氏が立ち上げたColorとは異なる。数年に渡って、この手の企業は、(アクティブユーザーの人数だけでなく)疑いようのない収益を増やし 、(一時的に成功するアイデアではなく)繰り返し可能で、拡大可能なビジネスモデルを持ち、大きな市場を手に入れ(中小企業のリード生成、ソーシャルゲーム)、そして、急成長する企業にありがちな運営面での難題を乗り切っていた。

これは健全な企業に求められる重要なポイントであり、それでも、予想以上に寿命が短い(Facebookのゲームは、業界ではなく、一時的な流行であった)、もしくは、重役や投資家が、持続性よりも価値の増加を過剰に望んでいたように私には見えた(資金を増収に変えていたGrouponのエンジンは、製品を構築すると言うよりも、むしろ強制的に食料を与えているようであった)。

当然、これは後知恵の実情に疎い推測に過ぎず、ブログの記事でなら何とでも言える。しかし、その一方で、推測通りの収入曲線を描きながら、顧客の満足と獲得に固執した状態でHubSpotは高成長を維持し、Freshbooksは、理想的な収益を維持しながら、羨ましいくらい見事な企業文化を継続している。さらに、SEOMozは、TAGFEE(包み隠さず、偽らず、寛大で、楽しく、共感できる、特別な存在)を従業員、顧客、そして、投資家に納得してもらうことに力を入れ、激戦のSEOツールの分野で、一貫して成長を維持している。カスタマーサービスに徹底的にこだわるRackspaceは、プレミアム料金を要求し、10億ドルと言う巨大な収益を抱えつつも、30%と言う驚異的な成長率を維持している。

この中には自力で成長を遂げた企業もあれば、自力でスタートし、その後、資金を調達した企業もあれば、最初から多額の資金を得てスタートした企業もある。資金調達の経緯よりも、作り出す対象が重要である。

WP Engineで、上述した素晴らしい企業に仲間入りすることが私の目標である。あくまでも維持可能だと思えるやり方で、30名の従業員で、数百万ドルの収益を稼ぎ出し、Rackspace並にカスタマーサービスに力を入れ(1000社の顧客に対して、他のどの会社よりも多くのWordPressのエキスパートを雇用している)、SEOMozのように誠実さと透明性を重視し、さらに、HobSpotのようにマーケティングと成長だけでなく、顧客の満足度と維持に関して内部での計測を徹底的に行う企業を目指したい。

最後に、皆さんの会社について、同じことを考えてもらいたい。価値が長続きする製品/サービスを構築しているだろうか?維持可能な成長を意識するのではなく、闇雲に成長させようとしているだろうか?企業の文化的な価値を明確に伝え、この価値に従った行動を取っているだろうか(この価値が、適切な製品やサービスを作る上で欠かせない、適切な人材を集め、維持する源になる)?

格好良いモバイルアプリのような一時的に人気を得る製品を敢えて作っているなら、勿論、それはそれで楽しいかもしれない。

ただし、長続きする会社を作ることを目指しているなら、「長続き」の意味を正直に理解する必要がある。成長は必要だが、それだけでは十分ではない。


この記事は、A Smart Bearに掲載された「The rise of the “successful” unsustainable company」を翻訳した内容です。

私もどちらかというと地味に事業をこなす派ですが(それでも相当新規事業&投資は失敗してますが・・)、色々と考えさせられることの多い記事でした。 — SEO Japan [G+]

運転の様子をデータ化して把握するiOSアプリケーションのDriving Curve

Driving Curveは、何ら新たなデバイスなどを追加することなく、ドライブパフォーマンスを測定することができるアプリケーションだ。現在はiOS版が提供されている。

Automaticや、Y Combinatorを卒業してTechstarsが支援しているDashなどでは、独自のハードウェアをスマートフォンと連携させてデータを取得する仕組みになっている。またBluetooth対応デバイスをハンドル下部に取り付けるタイプのものもある。

一方でDriving Curveの方は「シンプルさ」を強みに勝負に挑む。自分のドライブパフォーマンスに興味はあっても、複雑なデバイスを使うのはごめんだと感じている人は多い。

「必要なのはスマートフォンだけです。導入障壁を著しく下げることで、より多くの人に使ってもらうことを心がけました」と、Duoyuan Chenとともにアプリケーションを開発したTim Huangは言う。「細かなマシンデータを採取するのではなく、人の振る舞いを数値化することに注力したのです」。

使い方も簡単だ。運転を始める際にスタートボタンを押す。するとGPS衛星やiPhoneの加速度計を利用してスピードなどの測定を行う。

そして目的地に到着すればストップボタンを押す。するとドライブ中の加速やブレーキングの様子、燃費効率、移動距離などを教えてくれる。

Driving Curveは現在台北にて展開されているTMIのインキュベーションプログラムに参加している。このプログラムには、最近500 Startupsにも参加してインタラクティブなおもちゃを開発しているRoam and Wanderや、Techstars Seattleが支援するCodementorなども参加している。

Driving Curveは、今のところマネタイズモデルを構築できないではいる。しかし広く普及しているスマートフォンのみを利用することで多くのデータを集めることができ、そのデータをうまく活用していく方向でマネタイズの方向性を探っている。

他にも追加デバイスを必要としないものとして、Confused.comのMotorMateAviva Driveなどがある。これらは双方ともに自動車保険と連携したディスカウントサービスを提供している。

Driving Curveは、自動車保険会社、タクシー会社、あるいはデリバリーサービスなどで利用して、運転手の状況を管理する用途にも利用できるだろう。但し、主要な用途と考えているのはやはり個人で、そのためにゲーム要素なども加えられている。

たとえば他のドライバーよりも安全な運転をしていればポイントやバッジをを手に入れることができる。一方でレベルの低い運転をしていると、改善ポイントのアドバイスの前に、「銀行強盗のような運転だ」などと批判されることになる。

筆者自身では運転しないため、台北およびソウルでタクシーに乗りながらDriving Curveを使ってみた。その結果、速度や距離は正しく測定されているようだった。しかし、さほどスピードを出していたわけではないのだが、「スピードニンジャ」のような運転だとする警告が出たことがある。このときはラッシュに巻き込まれていて、何度もブレーキを踏む必要があったことが理由だろう。

Driving Curveは、GPSを利用したチェックイン機能を使うので、利用中はインターネットに接続している必要がある。しかしスマートフォンだけで種々の測定ができるのはやはり手軽であり、そこに魅力を感じる人は多くいることだろう。またタクシーやライドシェア(相乗り)サービスを頻繁に使う人にも便利かもしれない。Driving Curveを使えば、運転の安全性だけでなく、ルート選択の適切さを確認することもできるからだ。

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(翻訳:Maeda, H